JPH10102271A - Li抽出装置 - Google Patents

Li抽出装置

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JPH10102271A
JPH10102271A JP8277123A JP27712396A JPH10102271A JP H10102271 A JPH10102271 A JP H10102271A JP 8277123 A JP8277123 A JP 8277123A JP 27712396 A JP27712396 A JP 27712396A JP H10102271 A JPH10102271 A JP H10102271A
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liquid
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JP8277123A
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English (en)
Inventor
Shigeru Iijima
繁 飯島
Mitsuru Ito
満 伊藤
Nobuyuki Inaguma
宜之 稲熊
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Niterra Co Ltd
Original Assignee
NGK Spark Plug Co Ltd
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  • Electrolytic Production Of Non-Metals, Compounds, Apparatuses Therefor (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 Liイオン伝導性固体電解質を分離隔壁とし
て使用することにより、Li塩を高純度かつ高効率で電
解抽出できるLi抽出装置を提供する。 【解決手段】 Li抽出装置1は、ペロブスカイト型L
iイオン伝導性固体電解質を主体に構成された隔壁2
と、その隔壁の片側に形成され、Li成分と不純物成分
とを含有する原液CLが該隔壁2と接触するように導入
される原液室3と、その隔壁の他方の側に形成され、回
収液ELが該隔壁2と接触するように導入される回収液
室4と、隔壁2に対し原液CL側が正、回収液EL側が
負となるように電界を印加する電極5,6及び電源装置
とを備える。なお、電極5,6は隔壁2の表面に倣う形
状に形成される。そして、電界の印加により、原液CL
側のLi成分は、Liイオンの形で隔壁2を選択的に透
過し回収液EL側に抽出される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、Li抽出装置、特
に不純物成分を含有したLi含有溶液から、Li成分の
みを効率的に抽出するための装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、Li金属あるいはLi塩等のLi
化合物は多くの分野で用いられており、その代表的な用
途としては、Li電池を筆頭に、Li含有セラミック材
料、冷媒吸着剤、医薬品、アルミニウム合金材料、核融
合燃料等が挙げられる。Li金属あるいは化合物は、現
在、スポジューメン、アンブリゴナイト、ベターライ
ト、レビドライトなどのLi含有鉱石及びカン水や地熱
水を出発原料として製造されており、例えば水酸化アル
ミニウムなどを吸着剤として用いた吸着法、あるいはイ
オン交換膜を用いた電解法によりLi塩の形で抽出され
ている。また、Li電池は、腕時計、カメラ、電卓ある
いはICカードなど、小型家電製品の電源として採用さ
れたことで需要が爆発的に伸びているが、それに伴い使
用済みLi電池の量も急増しており、そのLi成分を分
離・抽出して再利用する技術にも注目が寄せられてい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記Li塩の抽出法の
うち、吸着法は抽出効率が低いため高純度のLi塩が得
にくく、結果としてその後の精製工程が必要となるな
ど、抽出工数及びコストがかかる欠点がある。一方、イ
オン交換膜電解法は、イオン交換膜を介してLiイオン
を電気的に移動させることによりこれを分離する方法で
あるが、電解の際に、Liイオン以外に水素イオンも移
動してしまうため、電解効率があまりよくない欠点があ
る。
【0004】本発明の課題は、Liイオン伝導性固体電
解質を分離隔壁として使用することにより、Li塩を高
純度かつ高効率で電解抽出できるLi抽出装置を提供す
ることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段及び作用・効果】上述の課
題を解決するために、本発明のLi抽出装置は、Liイ
オン伝導体を主体に構成された隔壁と、その隔壁の片側
に形成され、Li成分と不純物成分とを含有する原液が
該隔壁と接触するように導入される原液室と、その隔壁
の他方の側に形成され、回収液が該隔壁と接触するよう
に導入される回収液室と、隔壁に対し原液側が正、前記
回収液側が負となるように電界を印加する電界印加手段
とを備えた構成を基本とし、電界の印加により、原液側
のLi成分を、Liイオンの形で隔壁を介して選択的に
通過させた後、回収液側に抽出するものとされる。そし
て、その第一の構成は、上記電界印加手段において、電
極が、原液及び回収液が該隔壁と接触することを許容し
た状態で隔壁の両側に配置されるとともに、その少なく
とも一方が該隔壁の表面に倣う形状に形成されることを
特徴とする。上記第一の構成によれば、Liイオン伝導
体を主体に構成された隔壁により、原液側のLiイオン
のみが選択的に回収液側に抽出されるので高純度のLi
イオンを効率よく抽出することができる。また、電極が
隔壁の表面に倣う形状に形成されるので、隔壁面に対し
て均一に電界を印加することができ、ひいてはLiイオ
ン伝導体で構成された隔壁の全体を有効利用して、Li
の抽出効率をさらに高めることが可能となる。
【0006】隔壁は板状に形成することができ、その一
方の板面側に原液室を形成し、他方の板面側に回収液室
を形成することができる。この構成によれば、隔壁形状
が単純であり、例えばこれをセラミックグリーンシート
等の焼成により簡単に製造することができる。隔壁を板
状に形成する場合、電極は、例えばその板面を覆う金属
メッシュにより構成することができる。
【0007】次に、本発明の第二の構成は、隔壁が複数
のセグメントに分けて形成され、それらセグメントと、
セグメントの間を封止して液体の流通を阻止する封止部
とを備えたことを特徴とする。例えば、一体のLiイオ
ン伝導体により形成することが困難な大面積の隔壁も、
上述のようにセグメントに分割することで簡単に構成す
ることができ、しかもセグメント同士の間は封止部で封
止されるので、原液と回収液が混ざり合う心配もない。
封止部は、具体的にはセグメントと一体成形されたプラ
スチック部とすることができる。
【0008】次に、本発明の装置の第三の構成は、隔壁
は筒状部を含むように形成され、その筒状部の外側又は
内側の一方が原液室、他方が回収液室とされることを特
徴とする。例えば筒状部の内側を原液室とした場合、該
原液室を取り囲むようにして隔壁面が形成されることか
ら、液と隔壁との接触効率が高められ、ひいてはLiの
抽出効率が高められる。
【0009】上記本発明の第一〜第三の各構成におい
て、隔壁に使用されるLiイオン伝導体としては、一般
式が(Lax,Liy)TiOz(ただし、x=2/3−
a、y=3a−2b、z=3−b、0<a≦1/6、0
≦b≦0.06、y>0)で表されるペロブスカイト型
Liイオン伝導性固体電解質を使用することができる。
該Liイオン伝導性固体電解質(以下、単にLi固体電
解質ともいう)はLiイオンの選択性に優れ、また室温
近傍でも高いバルクイオン伝導率を示し、しかも水の存
在下でも安定に作動するので、特に水溶液からのLiイ
オンの抽出を高精度かつ高効率で行うことができる。
【0010】上記ペロブスカイト型固体電解質は、上記
一般式においてaの値が1/6未満(ただし0を含ま
ず)に調整されたものが使用される。aの値が1/6以
上になると、ペロブスカイト型以外の結晶構造を有する
異相(例えば、Li2TiO3、Li2Ti37等)を生
じ、結果としてLiイオン伝導性が低下するので、Li
の抽出効果が損なわれる。また、aが0になると、伝導
キャリアであるLiイオンの式量当りの個数が0とな
り、Liイオン伝導体として機能しなくなるので、Li
の抽出効果が損なわれる。
【0011】一方、上記一般式中のbの値は0.06以
下に調整される。このbの値は、後述する通り、ペロブ
スカイト型結晶構造の骨格を形成する酸素イオンのサイ
トに生ずる空孔量を規定するパラメータであるが、bが
0.06を超えると空孔量が増大し過ぎてペロブスカイ
ト型結晶構造が不安定化する場合があり、Liイオン伝
導性が低下してLiの抽出効果が損なわれる問題が生じ
うる。
【0012】上述のようなa及びbの値に対し、固体電
解質がペロブスカイト型結晶構造を維持するために、L
aイオン及びLiイオンの上記一般式の式量当りの個数
は、それぞれx=2/3−a及びy=3a−2bとして
設定される。そして、a及びbの値を勘案して、具体的
にはxの値が1/2〜2/3の範囲で設定され、yの値
が0〜1/2の範囲で設定されることが望ましい。xが
2/3を超えるとLiイオンの相対量が減少し、Liイ
オン伝導性が低下してLiの抽出効果が損なわれる。ま
た、xが1/2未満になるとペロブスカイト型以外の結
晶構造を有する異相が生じ、Liイオン伝導性が低下す
る場合がある。なお、xはより望ましくは、0.5〜
0.6の範囲で調整するのがよい。一方、yが1/2を
超えると、同様にペロブスカイト型以外の結晶構造を有
する異相が生じ、また、0になるとLiイオン伝導体と
して機能しなくなる。いずれの場合も、Liの抽出効果
が損なわれことにつながる。なお、yの値はより望まし
くは、0.1〜0.4の範囲で調整するのがよい。
【0013】固体電解質隔壁の製造方法としては、例え
ば下記の工程を含むものが採用できる。 構成金属元素の酸化物、あるいは酸化雰囲気中での熱
処理により酸化物に転化する性質を有した該金属元素の
化合物(例えば硝酸塩や炭酸塩など)を原料粉末とし
て、これを所定の組成となるように配合し、さらに80
0〜1100℃望ましくは900〜1000℃で加熱し
て、ペロブスカイト型化合物粉末を合成する(予備合成
工程)。具体的には、La23、Li2CO3及びTiO
2を原料粉末として用いる方法を例示することができ
る。 上記化合物粉末に、必要に応じて所定量のバインダを
添加した後、これをプレス成形(冷間静水圧プレスを含
む)、射出成形、押出成形、スリップキャスティング等
の公知の方法により所定の隔壁形状に成形する(成形工
程)。 成形体を温度1100〜1400℃で焼成する(焼成
工程)。焼成方法としては、通常の焼結法のほか、ホッ
トプレス法、熱間静水圧プレス法等も採用できる。
【0014】なお、原料粉末を配合後これを成形・焼成
することにより、ペロブスカイト型化合物の合成とその
焼結とを同時に行うこともできる。
【0015】上記ペロブスカイト型固体電解質は、以下
のようなメカニズムに基づいてLiイオン伝導性を示す
ものと推測される。図1は、上記固体電解質が理想的な
ペロブスカイト型結晶構造をとったと考えた場合の単位
胞(ユニットセル)を模式的に示したものである。すな
わち、該ユニットセルは、立方体の各頂点に相当するサ
イト(以下、B−サイトという)にTiイオンが、体心
位置に相当するサイト(以下、A−サイトという)にL
a又はLiイオンがそれぞれ位置し、さらに各Tiイオ
ンの周囲に正8面体を構成する6個の酸素イオンが配位
した構造を有しており、これが3次元的に連なって結晶
を構成する。ユニットセル中の各イオンの個数は、隣接
するユニットセル及び酸素8面体間のイオンの重複を考
慮すれば、La又はLiイオンが1、Tiイオンが1、
酸素イオンが3となり、組成式は(La,Li)TiO
3となる(すなわち、前述の一般式において、x=y=
0.5、z=3とした場合に相当する)。
【0016】ここで、理想的なペロブスカイト型結晶に
おいては、La及びLiイオンの式量当りの合計個数
(すなわちx=y=0.5)は1となるべきところであ
るが、結晶全体の電気的中性が維持されるようにx及び
yの値を制御することにより、x+yを1よりも小さい
値とすることができ、それによってAサイトに空孔を形
成することができる。また、A−サイトに空孔が生ずる
のに伴い、結晶全体の電気的中性条件を維持するため
に、酸素イオンサイトにも必然的に空孔が生ずる。従っ
て、上記固体電解質の一般式は、Liイオン量を規定す
るパラメータaと、酸素イオンサイトに生ずる空孔量を
規定するパラメータbとを用いて、(Lax,Liy)T
iOz(ただし、x=2/3−a、y=3a−2b、z
=3−b、y>0)により表すことができる。
【0017】図2は、上記結晶構造の(100)面(図
1において、一点鎖線で示した面)におけるイオン配置
を示している。Liイオンが結晶中で移動することを想
定した場合、該Liイオンの移動にとっては、上記面上
において2個の酸素イオンに挟まれたサイト(3次元的
には4個の酸素に囲まれたサイト:以下、ボトルネック
という)が最も狭くなるが、LiイオンはLaイオンに
比べてイオン半径が小さく、該ボトルネックを通過しう
るものとなっている。そして、Liイオンと空孔とが該
ボトルネックを介して結晶の端から端までつながってい
る場合、結晶に電界を印加することにより、これがイオ
ン伝導のチャネルとなって、空孔との交換を伴いつつL
iイオンが該チャネルに沿って移動し、イオン伝導度が
生ずるものと推測される。また、Laイオンは、ボトル
ネック幅Wnに対してイオン半径が大きすぎるためこれ
を通過できず、ほとんどイオン伝導には寄与しないもの
と考えられる。
【0018】一方、上記固体電解質のLiイオンに対す
る選択性が優れている理由としては、Li以外の金属イ
オンのほとんどがLiイオンよりも大きなイオン半径を
有していてボトルネックを通過しにくく、上記イオン伝
導チャネル内への侵入が困難となることが考えられる。
また、上記固体電解質は水素イオン(プロトン)の透過
を遮断する性質にも優れているが、一般に水溶液中では
水素イオンは、サイズの大きいオキソニウムイオン(H
3+)の形で存在しているため、同様にイオン伝導チャ
ネル内へ侵入しにくくなっていることがその要因として
考えられる。
【0019】次に、この固体電解質の一般式は、酸素欠
損のパラメータをJ、空孔を[ ]、空孔比率をQとし
て、La(Li1-Q[ ]Q)TiOz-Jで表すことがで
きる。ここで、Liイオンサイトの総数、すなわち、L
iイオンが実際に占めているサイトと空孔が形成されて
いるサイトの割合が0.31程度以下になると、Liイ
オンと空孔との和の絶対量が不足して、Liイオンが空
孔を介して結晶の端から端までつながることができなく
なり、イオン伝導のチャネル形成が不十分となって良好
なイオン伝導度が得られくなることがあるので、上記L
iイオンのサイトの総数はそれ以上の値とすることが望
ましい。また、Liイオンの量が増大し過ぎた場合、具
体的には前述のaの値が1/6以上になった場合は、L
iイオンは前述のA−サイトに入るよりもB−サイトに
入るほうがエネルギー的に安定となり、ペロブスカイト
型以外の結晶構造を有する異相が生じてイオン伝導度が
損なわれる場合がある。一方、aが0になると、伝導キ
ャリアであるLiイオンの式量当りの個数xが0とな
り、Liイオン伝導性が失われてしまうことは自明であ
る。
【0020】ここで、上記固体電解質において、上記ボ
トルネックを拡げる元素を添加することにより、固体電
解質のイオン伝導度を向上させ、Liイオンの抽出効率
を向上できる場合がある。具体的には、Laイオンの一
部をそれよりもイオン半径の大きい金属イオン、例えば
Srイオンで置換することが有効である。その理由とし
ては、半径の大きいイオンで置換することにより、周囲
の酸素イオンの配置が押し広げられ、前述のボトルネッ
ク幅Wn(図2)が拡張されて、Liイオンが通りやす
くなることが考えられる。例えばSrを使用する場合、
Laに対するその置換比率は30原子%以下で行うのが
よい。置換比率が30原子%を超えると、イオン伝導度
が却って低下する場合がある。なお、置換比率はより望
ましくは10〜20原子%の範囲で設定するのがよい。
【0021】以下、上記本発明のLi抽出装置に適宜付
加しうる要件について順に説明する。 まず、Liイオ
ン伝導体として、上記ペロブスカイト型Li固体電解質
のように、水の存在下でも安定に作動するものを使用す
れば、原液及び回収液は水を主体とするものを用いるこ
とができ、例えば原液としてLiイオン含有水溶液を、
回収液として蒸留水を用いることができる。
【0022】次に、原液及び回収液の温度を室温よりも
高くして、上記固体電解質の作動温度を上昇させればそ
のイオン伝導度が向上し、Liイオンの抽出効率を高め
ることができる。ただし、原液及び回収液の温度を高く
し過ぎると、その溶媒の蒸発が問題になることがある。
例えば、原液及び回収液が水を主体とするものである場
合は、その温度を温度調整手段により溶液の沸点以下の
範囲で調整するのがよい。ここで、温度調整手段は、例
えば原液及び回収液を加熱するためのヒータにより構成
することができるが、隔壁におけるジュール発熱を利用
して原液及び回収液を加熱するものとすれば、ヒータ等
を設ける必要がなくなり、装置構成を簡略化できるほ
か、液加熱のためのエネルギーコストの削減を図ること
ができる。
【0023】電界印加手段は、前記隔壁の両側におい
て、該隔壁と接触して又は該隔壁に対し近接して設けら
れた電極を含み、それら電極を介して隔壁に対し電解を
印加するものとして構成することができる。これによ
り、電極と隔壁とを別体に構成することができ、装置の
隔壁部分及びその電界印加機構部分の組立てを容易に行
うことができる。
【0024】また、上記装置の第三の構成、すなわち隔
壁を一端が閉じた筒状部を含むものとして形成する構成
においては、その筒状部の内側及び外側に、原液及び回
収液の該隔壁との接触を許容した状態で電極を配置する
ことができる。この場合、その外側に配置される電極を
該隔壁の外面に倣うメッシュ状に形成することができ
る。こうすれば、筒状の隔壁に対し均一に電界を印加す
ることができる。また、原液又は回収液を収容する液収
容タンクを設けるとともに、その液収容タンクに対し筒
状部の閉じた端部側を挿入し、該液収容タンク内面と筒
状部外面との間に挟まれた空間を原液室及び回収液室の
一方とし、筒状部の内側空間を原液室及び回収液室の他
方とする構成が可能である。この構成によれば、例えば
液収容タンクに対し、複数の筒状部を挿入することがで
きるので、隔壁を介した原液と回収液との接触効率をさ
らに高めることができる。
【0025】また、筒状の隔壁の内側に、メッシュ状の
電極をその内面に倣うように設ければ、隔壁に対し電界
をさらに均一に印加することができる。この場合、筒状
の隔壁の内側に、金属パイプで構成されて液又は回収液
を供給する液供給管をその軸方向に挿入することができ
る。そして、その液供給管は、メッシュ状の電極をこれ
に電気的に接続することで、自身を介して当該電極に通
電するための集電部に兼用させることができる。これに
より、筒状隔壁に対する電界印加手段をコンパクトに構
成することができる。
【0026】さらに隔壁は、各々一方向に伸びる複数の
細長い空間を、その延伸方向と交差する向きに互いに隣
接・集合した状態で形成するハニカム状の形態をなし、
各空間を取り囲む隔壁部分が各々上記筒状部を構成する
ものとすることができる。この場合、それら複数の空間
は、その一部のものが原液室とされ、それら各原液室と
互いに隣接するものが回収液室とされる。これにより、
ハニカム状の隔壁を介して多数の細長い原液室と回収液
室とが形成されるので、隔壁を介した原液と回収液との
接触効率がさらに高められ、Liの回収をより高効率で
行うことができるようになる。具体的には、上記複数の
空間を、それぞれ正方形状の断面を有するものとしてこ
れを碁盤目状に配列することができ、原液室と回収液室
とは、それら複数の空間により互い違いに隣接して形成
することができる。こうすれば、隔壁の全体がLiの選
択抽出に有効に使用され、Liの回収をさらに高効率で
行うことができる。
【0027】上記構成においては電界印加手段は、原液
室を形成する各空間に対し、その一方の端部側から軸方
向に挿入されて互いに並列接続された線状ないし棒状の
原液室側電極と、回収液室を形成する各空間に対し、原
液室側電極とは反対側からその軸方向に挿入されて互い
に並列接続された線状ないし棒状の回収液室側電極とを
備え、互いに隣接する原液室と回収液室とにそれぞれ配
置された原液室側電極及び回収液室側電極を介して、両
室を仕切る隔壁部分に対しそれぞれ電圧を印加するもの
として構成することができる。これにより、多数の原液
室と回収液室とを有する上記装置構成において、すべて
の隔壁に均一に電界を印加することができ、またその電
極構成も単純で作製が容易である。
【0028】前述の第一〜第三の構成においては、原液
室に対し原液を供給する原液供給手段と、回収液室側へ
のLi成分の抽出により、そのLi成分濃度が低下した
原液を原液室から排出する原液排出手段とを設けること
ができる。また、回収液室に対し回収液を供給する回収
液供給手段と、原液室側からのLi成分の抽出により、
そのLi成分濃度が増大した回収液を回収液室から排出
する回収液排出手段とを設けることができる。これによ
り、原液の供給及び排出ならびに回収液の供給及び回収
を能率よく行うことができる。
【0029】この場合、原液供給手段は、原液室に対し
原液を連続的に供給するものとし、原液排出手段は、上
記Li成分濃度が低下した原液を原液室から連続的に排
出するものとして構成することができる。また、回収液
供給手段を、回収液室に対し回収液を連続的に供給する
ものとし、回収液排出手段を、上記Li成分濃度が増大
した回収液を回収液室から連続的に排出するものとして
構成することができる。これにより、多量の原液及び回
収液を能率よく処理することができる。
【0030】上記装置は、原液室に対しその原液供給口
から供給された原液が、隔壁の壁面に沿う流れを形成し
た後、原液排出口から排出されるように構成することが
できる。これにより、隔壁の原液室側壁面やこれに沿っ
て形成された電極に対し、析出物等の付着物が付着して
も、上記原液の流れによりこれを洗い落とす効果が達成
されるので、例えば隔壁に対する通電効率が該付着物に
より低下する等の不具合が生じにくくなる。また、原液
室から原液排出手段により排出された原液を、該原液室
に対する供給側に戻すことによりこれを循環させる原液
循環手段を設けることもできる。循環により原液を隔壁
と繰返し接触させることにより、原液からLiを無駄な
く抽出することができる。
【0031】また、回収液室に対しても、その回収液供
給口から供給された回収液を、隔壁の壁面に沿う流れを
形成した後、回収液排出口から排出されるように構成す
ることができる。例えば水溶液によるLi抽出過程で
は、回収液側において、抽出されたLi成分によりLi
OHが生成し、これが隔壁の壁面や電極に析出・付着す
る問題が生じやすい。しかしながら上記構成のように、
隔壁の壁面に沿う回収液の流れを形成することでLiO
H等の析出物を洗い流すことができ、隔壁に対する通電
効率が低下する等の不具合を生じにくくすることができ
る。一方、回収液室から回収液排出手段により排出され
た回収液を、該回収液室に対する供給側に戻すことによ
りこれを循環させる回収液循環手段を設けることができ
る。循環により回収液を隔壁と繰返し接触させることに
より、回収液中のLi濃度を高めることができる。
【0032】また、回収液には、抽出されたLi成分と
反応して沈殿物を形成する沈殿形成成分を添加すること
ができる。これにより、回収液中のLi成分が沈殿形成
により固定されて液中の溶存Li成分の濃度が減少し、
ひいてはLiOH等が隔壁あるいは電極上に析出・付着
することを抑制することができる。沈殿形成成分として
は、例えば炭酸ガスを使用することができ、これにより
溶存Li成分は難溶性のLi2CO3として沈殿する。こ
の場合、回収液室には、炭酸ガスを回収液に曝気するた
めの曝気手段を設けることができる。また、回収液室に
は、その形成された沈殿物を回収液から分離する沈殿分
離手段を設けることができる。沈殿物を分離すること
で、例えば回収液の循環等をスムーズに行うことができ
る。なお、この沈殿分離手段は、例えば回収液から沈殿
物を濾し取るためのフィルタ手段を含むものとして構成
することができる。
【0033】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、図
面に示す実施例を参照して説明する。図3(a)は、本
発明のLi抽出装置の作動原理を概念的に示すものであ
る。すなわち、Li抽出装置1においては、Li固体電
解質により構成された隔壁2と、その隔壁2の片側に形
成され、Li成分と不純物成分とを含有する原液CLが
該隔壁2と接触するように導入される原液室3と、その
隔壁2の他方の側に形成され、回収液ELが該隔壁2と
接触するように導入される回収液室4とを備えている。
また、隔壁2の両側には、Ag、Ptあるいはそれらの
合金等のメッシュにより構成されたメッシュ電極5及び
6が、隔壁2の壁面を覆うように配置されており、その
原液室3側のもの(5)が直流電源装置7の正極に、ま
た回収液室4側のもの(6)が同じくその負極側にそれ
ぞれ接続されている。これら電極5,6及び直流電源装
置7が電界印加手段を構成している。なお、本実施例で
は、原液CLはLiClと不純物としてのNaClを含
有する水溶液とされ、回収液ELは蒸留水とされてい
る。
【0034】隔壁2を構成するLi固体電解質は、一般
式が(Lax,Liy)TiOz(ただし、x=2/3−
a、y=3a−2b、z=3−b、0<a≦1/6、0
≦b≦0.06、y>0)で表されるペロブスカイト型
固体電解質とされる。これは、例えば下記のようにして
製造されたものである。すなわち、構成金属元素の酸化
物、あるいは酸化雰囲気中で酸化物に転化する性質を有
した該金属元素の化合物(例えば硝酸塩や炭酸塩など)
を原料粉末として、これを所定の組成となるように配合
し、さらに800〜1100℃望ましくは900〜10
00℃で加熱して、ペロブスカイト型化合物粉末を合成
する。そして、その得られたペロブスカイト型化合物粉
末に必要に応じて所定量のバインダ成分を添加した後、
プレス成形(冷間静水圧プレスを含む)、射出成形、押
出成形、スリップキャスティング等の公知の方法により
所定の隔壁形状に成形し、さらにこれを温度1100〜
1400℃で焼成する。
【0035】上述のような隔壁2に対しては、上記電極
5,6及び直流電源装置7により、原液CL側が正、前
記回収液EL側が負となるように電界を印加すると、原
液CL側のLiイオンは、隔壁2中をLiイオン伝導に
基づき透過して回収液EL側に抽出される。一方、不純
物としてのNaイオンは隔壁2を透過できないので原液
CL側に残留する。こうして、原液CL中のLiイオン
のみが回収液EL側に抽出・精製されることとなる。な
お、隔壁2は通電に伴いジュール熱を発生するが、その
ジュール熱により原液CL及び回収液ELを室温よりも
高温となるように加熱すれば、隔壁2を構成する固体電
解質のイオン伝導度が増大するので、抽出効率を高める
ことができる。この場合、隔壁2は、液加熱手段に兼用
されていると見ることができる。ここで、原液CL及び
回収液ELの温度は、溶液の沸点以下で調整するのがよ
く、具体的には100℃以下、望ましくは70〜90℃
以下に調整するのがよい。なお、原液室3内及び回収液
室4内に、別途液加熱手段としてのヒータ8及び9を配
置し、これを用いて原液CLないし回収液ELを加熱す
るようにしてもよい。
【0036】また、Liイオンの抽出速度を高めるため
には、隔壁2に対する通電電流値を高めることが有効で
ある。そのための具体的な方法としては、使用される原
液が水溶液系のものである場合、水の電気分解が起こら
ない範囲で通電電圧をなるべく高くすること、隔壁2と
電極5,6との間の間隔を小さくすること、電極5,6
と隔壁2との対向面積を増大させること、及び強度が損
なわれない範囲内で隔壁2の厚さを減じ、通電方向にお
ける隔壁2の電気抵抗を小さくすること等が挙げられ
る。また、隔壁2の厚さは0.1〜2mmの範囲で調整す
るのがよい。隔壁2の厚さが0.1mm未満になると強度
が不足して割れ等の不具合が生じやすくなる。一方、厚
さが2mmを超えると、隔壁2の通電方向における電気抵
抗が大きくなり過ぎて十分な電流密度が得られなくな
り、Liの抽出効率を低下させることにつながる。
【0037】図3(b)は、上記抽出過程における、原
液CL側及び回収液EL側の各反応をまとめて示したも
のである。例えば原液CL側にLiClが溶解している
場合、Liイオンが回収液EL側に抽出されることで塩
素ガス(Cl2)が発生するが、図3(a)に示すよう
に、原液室3にはこの塩素ガスを排出・回収するガス抜
き通路3fなどのガス排出手段を設けておくことが望ま
しい。また、回収液EL側では、抽出されたLiイオン
と水との反応によりLiOHと水素ガス(H2)が発生
する。そこで、回収液室4には、その水素ガスを排出す
るためのガス排出手段4fを設けておくことが望まし
い。
【0038】以下、Li抽出装置1の各種実施例につい
て説明する。図4に示すLi抽出装置1においては、内
側空間が回収液室4とされたタンク10と、そのタンク
10の壁部を貫通して先端側が回収液室4内に入り込む
ように配置され、その内側空間が原液室3とされた筒状
体11とが設けられている。そして、その筒状体11の
先端側開口部11aに板状のLi固体電解質がこれを塞
ぐように嵌め込まれて隔壁2が形成されており、その両
側にはメッシュ電極5及び6が配置されて直流電源装置
7にそれぞれ接続されている。
【0039】また、筒状体11の、隔壁2が嵌め込まれ
ているのと反対側の端部には、原液室3に原液CLを供
給するための原液供給口12と、原液室3からの原液C
Lを排出するための原液排出口13とが形成されてお
り、排出された原液CLは原液循環管路14を通ってそ
の中間に設けられた送液手段としてのポンプ15によ
り、原液供給口12から再び原液室3に戻されて循環す
るようになっている。すなわち、これら原液循環管路1
4及びポンプ15が原液供給手段、原液排出手段及び原
液循環手段を構成している。なお、原液循環管路14に
は、バルブ21を備えた原液排出管路20、あるいはバ
ルブ23を備えた原液注入管路22を設けることができ
る。そして、Li成分の抽出を行いつつ原液CLの循環
を継続し、Li濃度が一定以下となればバルブ21を開
いて原液排出管路20から古くなった原液を排出し、代
わってバルブ23を開いて原液注入管路22から新しい
原液を導入することができる。
【0040】一方、タンク10には、回収液室4に回収
液ELを供給するための回収液供給口16と、回収液室
4からの回収液ELを排出するための回収液排出口17
とが形成されており、排出された回収液ELは回収液循
環管路18を通ってその中間に設けられた送液手段とし
てのポンプ19により回収液室4に戻されて循環する。
これら回収液循環管路18及びポンプ19が回収液供給
手段、回収液排出手段及び回収液循環手段を構成してい
る。ここで、回収液循環管路18には、バルブ25を備
えた回収液排出管路24、あるいはバルブ27を備えた
回収液注入管路26を設けることができる。そして、L
i成分の抽出を行いつつ回収液ELの循環を継続し、L
i濃度が一定以上となれば回収液排出管路24から回収
液を排出し、回収液注入管路26から新しい回収液を導
入することができる。
【0041】次に、図5(a)に示すLi抽出装置1に
おいては、タンク30の内側空間が隔壁2により仕切ら
れて、一方が原液室3、他方が回収液室4とされてい
る。原液室3に対しては、同様に原液循環管路14が設
けられており、その中間に設けられたポンプ15により
原液CLが循環するようになっているが、原液循環管路
14の途中には原液CLを貯溜するための原液リザーバ
タンク31が設けられている。一方、回収液室4には、
回収液供給タンク32からの回収液ELが、回収液供給
管路33を通ってその中間に設けられたポンプ34によ
り連続的に供給される一方、該回収液室4からの回収液
ELは、回収液排出管路35からポンプ36により連続
的に排出されて循環しないようになっている。
【0042】図5(b)に示すように、回収液室4は壁
部4cによりさらに仕切られるとともに、隔壁2側が沈
殿室4a、壁部4cを挟んでそれと反対側が排出準備室
4bとされており、回収液ELはその沈殿室4a側に供
給される。また、沈殿室4a内には、多数の曝気噴射孔
を備えた曝気ノズル38が設けられており、ガス供給管
39を介してこれにCO2(炭酸ガス)を供給すること
で、沈殿室4a内の回収液ELにそのCO2が噴射され
てこれが曝気されるようになっている。
【0043】ここで、回収液EL側に抽出されたLiイ
オンはLiOHとなり、回収液EL中のその濃度が高く
なると隔壁2や電極6にこれが析出・付着して、通電が
妨げられる問題が生ずることがある。しかしながら上述
のようにCO2で回収液ELを曝気することで、LiO
Hはこれと反応して難溶性のLi2CO3となり、沈殿室
4a内で沈殿して回収液ELから分離される。なお、沈
殿したLi2CO3は、沈殿室4aの底部に設けられた沈
殿回収管40から回収することができる。なお、Li成
分が分離された回収液ELは、壁部4cの上端から排出
準備室4b側へオーバーフローし、回収液排出管路35
からポンプ36により連続的に排出される。ここで、回
収液ELに浮遊・残留しているLi2CO3は、回収液排
出管路35上に設けられたフィルタユニット37により
濾過して除去することができる。
【0044】なお、大面積の隔壁の全体を、一体の固体
電解質により形成することが困難である場合には、これ
を複数のセグメントに分けて形成することができる。図
6はその例を示している。すなわち、隔壁2は、隔壁面
に沿って配列する複数の板状のセグメント41と、それ
らセグメント41の間に形成された隙間を充填する封止
部42とを備えて構成されている。封止部42は、例え
ば射出成形等によりセグメント41と一体に形成された
枠状のプラスチック部とされており、上記セグメント4
1間における液体の流通を阻止する役割を果たしてい
る。この場合、セグメント41の外周面に、封止部42
との間に食込みを生じさせる凸部(例えば凸条部)42
aあるいは凹部(例えば溝部)を形成しておけば、セグ
メント41が封止部42から脱落しにくくなる。
【0045】図7に示す装置構成においては、隔壁2が
下端側が閉じた筒状に形成されており、タンク(液収容
タンク)10に対しその閉じた端部側が挿入され、該タ
ンク10の内面と隔壁2の外面との間に挟まれた空間が
回収液室4、筒状の隔壁2の内側が原液室3とされてい
る。タンク10は、上面側が開放したタンク本体10a
と、その開口部10bを液密に塞ぐ遮蔽板10fとを備
えている。図7においては、遮蔽板10fは、本体10
aの外縁に形成されたフランジ10cに対し、ゴム等で
構成されたシール部材10dを介してボルトナット10
e等により着脱可能に取り付けられている。
【0046】遮蔽板10fには、これを板厚方向に貫通
して隔壁装着孔10gが形成されており、その内縁部に
沿って段付き面10hが形成されるとともに、ここに、
その内径が隔壁2の外径よりも少し小さく形成されたリ
ング状のシール部材10iが嵌着されている。そして、
隔壁2は、その下端部が半球状に閉じた形状とされる一
方、上端側には開口部2aが形成され、その周縁には外
向きに張り出すフランジ状の係止部2bが形成されてい
る。隔壁2は、上記シール部材10iが嵌着された隔壁
装着孔10gに対し挿入され、その係止部2bにおいて
遮蔽板10fの上面により、シール部材10iを介して
支持されることとなる。なお、このような形状の隔壁2
は、例えば原料粉末のスラリーを吸液性の型に鋳込むい
わゆるスリップキャスティング法により成形体を作り、
その後これを焼成することで製造することができる。
【0047】隔壁2の外側には、そのほぼ外面全体を覆
ってこれに倣うように形成されたメッシュ電極6が配置
されている。同様に、隔壁2の内側には、そのほぼ内面
全体を覆ってこれに倣うように形成されたメッシュ電極
5が挿入されている。図8に示すように、メッシュ電極
6は、それぞれ隔壁2の周方向に沿って形成され、該隔
壁2の軸方向において所定の間隔で配列する複数のリン
グ部材6aと、上記軸方向に沿ってそれらリング部材6
aを互いに連結する連結部材6bとからなる金属フレー
ム6cと、その金属フレーム6cに固着されてこれを覆
う金属メッシュ6dにより構成されている。
【0048】一方、メッシュ電極5もほぼ同様に構成さ
れており、その金属フレーム5cの内側には、原液EL
を原液室3に供給するための原液供給管43が配置され
ている。原液供給管43は金属パイプで構成され、その
外面と金属フレーム5cのリング部材5aとが放射状の
結合部材5eにより結合されることで、メッシュ電極5
と電気的に接続されている。また、図7に示すように、
隔壁2の開口部2aは、メッシュ電極5が原液供給管4
3とともに挿入された状態で、ゴム等で構成された封止
部材44により液密に封止されており、原液供給管43
及び原液排出管45が該封止部材44を貫いて隔壁2の
外側に伸びている。
【0049】そして、回収液室4には、タンク10に設
けられた回収液供給口16から回収液ELが供給され、
同じく回収液排出口17から排出される一方、原液室3
には上記原液供給管43により原液CLが供給され、原
液排出管45から排出される。その状態で、メッシュ電
極5及び6を介して直流電源装置7により、隔壁2に対
し原液室3側が正、回収液室4側が負となるように電界
を印加することで、原液CL側のLiイオンが隔壁2を
選択的に透過して回収液EL側に抽出される。ここで、
原液室3側のメッシュ電極5は、金属パイプで構成され
た原液供給管43を介して電源装置により通電されるよ
うになっている。すなわち、原液供給管43は、メッシ
ュ電極5に通電するための集電部に兼用されていると見
ることができる。
【0050】なお、図9(a)に示すように、遮蔽板1
0fに隔壁装着孔10gを複数形成し、そのそれぞれに
筒状の隔壁2を装着するように構成してもよい。この場
合、同図(b)に示すように、各隔壁2の原液室3から
排出される原液CLを、原液排出管45から遮蔽板10
fの上面側にオーバーフローさせ、例えばタンク本体1
0aの上部に設けられた流出口46からまとめて排出さ
せるようにしてもよい。なお、図9においては、遮蔽板
10fは、タンク本体10aの開口縁部から所定深さだ
け下がった位置に形成された溝10kに対し、その周縁
部をシール部材10lを介して嵌め込むことにより固定
されている。
【0051】図10は、隔壁2をハニカム状に形成した
例を示している。該隔壁2においては、各々一方向に伸
びる複数の細長い空間47が、その延伸方向と交差する
向きに互いに隣接・集合した状態で形成されている。こ
の場合、各空間47を取り囲む隔壁部分が各々筒状部を
構成していると見ることができる。具体的には、上記各
空間47は、それぞれ正方形状の断面を有してこれが碁
盤目状に配列し、図11(b)に示すように、原液室3
と回収液室4とは、それら複数の空間により互い違いに
隣接して形成される。なお、このような隔壁2は、例え
ば原料粉末をバインダと混練したコンパウンドを押出成
形又は射出成形することにより成形体を作り、その後こ
れを焼成して製造することができる。
【0052】図11は、そのようなハニカム状の隔壁2
を用いて構成したLi抽出装置1の例を模式的に示すも
のである。隔壁2の各空間は、その両側の開口部がプラ
スチックあるいは金属等の封止部材48により、シール
部材49を介して液密に塞がれている。そして、原液室
3を形成する各空間に対しその一方の端部側から軸方向
に、線状ないし棒状の電極5(原液室側電極)が上記封
止部材48を貫いて挿入され、図示しない直流電源装置
の正極に対し並列接続されている。また、回収液室4を
形成する各空間に対しては、原液室3側の電極5とは反
対側から、同様に線状ないし棒状の電極6(回収液室側
電極)がその軸方向に挿入されて、上記直流電源装置の
負極に対し並列接続されている。また、各原液室3及び
回収液室4には、電極5及び6が挿入されているのとは
反対側において、封止部材48に設けられた原液供給口
12及び回収液供給口16から、原液CL及び回収液E
Lがそれぞれ供給され、同じく原液排出口13及び回収
液排出口17から排出されるようになっている。
【0053】そして、互いに隣接する原液室3と回収液
室4とにそれぞれ配置された電極5及び電極6を介し
て、両室を仕切る隔壁部分に対し上記直流電源装置によ
り電圧を印加することにより、図11(b)に示すよう
に、各回収液室4内の回収液ELには、これと隣接する
周囲のすべての原液室3の原液CLから、隔壁部分を介
してLiイオンが抽出されることとなる。
【0054】なお、図12に示すように、回収液供給口
16を回収液室4の一方の端部側に形成し、回収液排出
口17を同じく他方の端部側に形成する構成も可能であ
る。この場合、回収液ELは回収液室4に対し、回収液
供給口16から導入されて隔壁2の壁面に沿う流れを形
成した後回収液排出口17から排出される。これによ
り、抽出されたLi成分によりLiOHが生成し、これ
が隔壁2の壁面に析出・付着しても、隔壁2の壁面に沿
う回収液ELの流れを形成することでLiOH等の析出
物を洗い流すことができる。なお、原液室3側も同様の
構成とすることにより、隔壁2の壁面に沿う原液CLの
流れを形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ペロブスカイト型Liイオン伝導性固体電解質
の結晶構造を示す模式図。
【図2】そのLiイオン伝導の発現機構を説明する模式
図。
【図3】本発明のLi抽出装置の作動原理を示す概念
図。
【図4】その具体的な装置構成の第一の例を示す側面断
面模式図。
【図5】同じく第二の例を示す模式図。
【図6】隔壁をセグメントに分割して形成する例を示す
模式図。
【図7】Li抽出装置の装置構成の第三の例を示す側面
断面模式図。
【図8】その隔壁及びメッシュ電極部分の分解斜視図。
【図9】上記第三の例において、筒状の隔壁を複数設け
た例を示す斜視図及び断面図。
【図10】隔壁をハニカム状に形成した例を示す斜視
図。
【図11】ハニカム状の隔壁を用いて構成されたLi抽
出装置の例を示す側面断面模式図及び平面模式図。
【図12】図11の装置において、隔壁の壁面に沿って
回収液の流れを形成できるようにした変形例を示す側面
断面模式図。
【符号の説明】
1 Li抽出装置 2 隔壁 3 原液室 4 回収液室 CL 原液 EL 回収液 5 電極(原液室側電極) 6 電極(回収液室側電極) 7 直流電源装置 8,9 ヒータ(液加熱手段) 11 筒状体 12 原液供給口 13 原液排出口 14 原液循環管路 15 ポンプ 16 回収液供給口 17 回収液排出口 18 回収液循環管路 37 フィルタユニット 38 曝気ノズル 40 沈殿回収管 41 セグメント 42 封止部 47 空間

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Liイオン伝導体を主体に構成された隔
    壁と、 その隔壁の片側に形成され、Li成分と不純物成分とを
    含有する原液が該隔壁と接触するように導入される原液
    室と、 その隔壁の他方の側に形成され、回収液が該隔壁と接触
    するように導入される回収液室と、 前記隔壁の両側に、前記原液及び回収液が該隔壁と接触
    することを許容した状態で配置されるとともに、その少
    なくとも一方が該隔壁の表面に倣う形状に形成された電
    極を有し、それら電極を介して前記隔壁に対し前記原液
    側が正、前記回収液側が負となるように電界を印加する
    電界印加手段とを備え、 前記電界の印加により、原液側のLi成分を、Liイオ
    ンの形で前記隔壁を介して選択的に通過させた後、前記
    回収液側に抽出することを特徴とするLi抽出装置。
  2. 【請求項2】 Liイオン伝導体を主体に構成された複
    数のセグメントと、液体の流通が阻止されるようにそれ
    らセグメントの間を封止する封止部とを備えた隔壁と、 その隔壁の片側に形成され、Li成分と不純物成分とを
    含有する原液が該隔壁と接触するように導入される原液
    室と、 その隔壁の他方の側に形成され、回収液が該隔壁と接触
    するように導入される回収液室と、 前記隔壁に対し前記原液側が正、前記回収液側が負とな
    るように電界を印加する電界印加手段とを備え、 前記電界の印加により、原液側のLi成分を、Liイオ
    ンの形で前記隔壁を介して選択的に通過させた後、前記
    回収液側に抽出することを特徴とするLi抽出装置。
  3. 【請求項3】 Liイオン伝導体を主体に構成された隔
    壁と、 その隔壁の片側に形成され、Li成分と不純物成分とを
    含有する原液が該隔壁と接触するように導入される原液
    室と、 その隔壁の他方の側に形成され、回収液が該隔壁と接触
    するように導入される回収液室と、 前記隔壁に対し前記原液側が正、前記回収液側が負とな
    るように電界を印加する電界印加手段とを備え、 前記隔壁は筒状部を含むように形成され、その筒状部の
    外側又は内側の一方が前記原液室、他方が前記回収液室
    とされ、 前記電界の印加により、原液側のLi成分を、Liイオ
    ンの形で前記隔壁を介して選択的に通過させた後、前記
    回収液側に抽出することを特徴とするLi抽出装置。
  4. 【請求項4】 前記隔壁は一端が閉じた筒状部を含んで
    形成され、その内側及び外側に、前記原液及び回収液の
    該隔壁との接触を許容した状態で電極が配置されるとと
    もに、その外側に配置される電極が該隔壁の外面に倣う
    メッシュ状に形成され、 前記電界印加手段は、それら電極を介して前記隔壁に対
    し前記原液側が正、前記回収液側が負となるように電界
    を印加するものとされている請求項3記載のLi抽出装
    置。
  5. 【請求項5】 原液又は回収液を収容する液収容タンク
    と、 その液収容タンクに対し前記筒状部の閉じた端部側が挿
    入され、該液収容タンク内面と前記筒状部外面との間に
    挟まれた空間が前記原液室及び回収液室の一方とされ、 前記筒状部の内側空間が前記原液室及び回収液室の他方
    とされる請求項4記載のLi抽出装置。
  6. 【請求項6】 前記筒状の隔壁の内側には、メッシュ状
    の電極がその内面に倣うように設けられるとともに、金
    属パイプで構成されて前記原液又は回収液を供給する液
    供給管がその軸方向に挿入され、 その液供給管は、前記メッシュ状の電極と電気的に接続
    され、自身を介して当該電極に通電するための集電部に
    兼用されている請求項4又は5に記載のLi抽出装置。
  7. 【請求項7】 前記隔壁は、各々一方向に伸びる複数の
    細長い空間を、その延伸方向と交差する向きに互いに隣
    接・集合した状態で形成するハニカム状の形態をなし、
    前記各空間を取り囲む隔壁部分が各々前記筒状部を構成
    するとともに、 それら複数の空間は、その一部のものが前記原液室とさ
    れ、それら各原液室と互いに隣接するものが前記回収液
    室とされている請求項3記載のLi抽出装置。
  8. 【請求項8】 前記複数の空間はそれぞれ正方形状の断
    面を有して碁盤目状に配列し、前記原液室と回収液室と
    は、それら複数の空間により互い違いに隣接して形成さ
    れている請求項7記載のLi抽出装置。
  9. 【請求項9】 前記電解印加手段は、前記原液室を形成
    する各空間に対し、その一方の端部側から軸方向に挿入
    されて互いに並列接続された線状ないし棒状の原液室側
    電極と、前記回収液室を形成する各空間に対し、前記原
    液室側電極とは反対側からその軸方向に挿入されて互い
    に並列接続された線状ないし棒状の回収液室側電極とを
    備え、互いに隣接する原液室と回収液室とにそれぞれ配
    置された原液室側電極及び回収液室側電極を介して、両
    室を仕切る隔壁部分に対しそれぞれ電圧を印加するよう
    になっている請求項7又は8に記載のLi抽出装置。
  10. 【請求項10】 前記Liイオン導電体は、一般式が
    (Lax,Liy)TiOz(ただし、x=2/3−a、
    y=3a−2b、z=3−b、0<a≦1/6、0≦b
    ≦0.06、y>0)で表されるペロブスカイト型Li
    イオン伝導性固体電解質、又はそのLaイオンの一部を
    それよりもイオン半径の大きい他の金属イオンで置換し
    たペロブスカイト型Liイオン伝導性固体電解質で構成
    されている請求項1ないし9のいずれかに記載のLi抽
    出装置。
  11. 【請求項11】 前記ペロブスカイト型Liイオン伝導
    性固体電解質は、前記xの値が1/2〜2/3の範囲で
    設定され、前記yの値が1/2以下の範囲で設定された
    ものである請求項10記載のLi抽出装置。
  12. 【請求項12】 前記原液及び回収液の温度を溶液の沸
    点以下の範囲で調整する温度調整手段が設けられている
    請求項1ないし11のいずれかに記載のLi抽出装置。
  13. 【請求項13】 前記温度調整手段は、前記隔壁におけ
    るジュール発熱を利用して前記原液及び回収液を加熱す
    るものである請求項12記載のLi抽出装置。
  14. 【請求項14】 前記原液室に対し前記原液を供給する
    原液供給手段と、 前記回収液室側へのLi成分の抽出により、そのLi成
    分濃度が低下した原液を前記原液室から排出する原液排
    出手段とを含む請求項1ないし13のいずれかに記載の
    Li抽出装置。
  15. 【請求項15】 前記回収液室に対し前記回収液を供給
    する回収液供給手段と、 前記原液室側からのLi成分の抽出により、そのLi成
    分濃度が増大した回収液を前記回収液室から排出する回
    収液排出手段とを含む請求項1ないし14のいずれかに
    記載のLi抽出装置。
JP8277123A 1996-09-26 1996-09-26 Li抽出装置 Pending JPH10102271A (ja)

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JP8277123A JPH10102271A (ja) 1996-09-26 1996-09-26 Li抽出装置
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