JPH1010178A - ガス絶縁機器の部分放電検出方法とその装置 - Google Patents

ガス絶縁機器の部分放電検出方法とその装置

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JPH1010178A
JPH1010178A JP16435596A JP16435596A JPH1010178A JP H1010178 A JPH1010178 A JP H1010178A JP 16435596 A JP16435596 A JP 16435596A JP 16435596 A JP16435596 A JP 16435596A JP H1010178 A JPH1010178 A JP H1010178A
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JP
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phase
gas
output waveform
level
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JP16435596A
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Inventor
Kana Okamoto
香奈 岡本
Seiji Wakabayashi
誠二 若林
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 検出した異常が内部部分放電によるものか外
部ノイズによるものかを容易かつ確実に判別可能にす
る。 【解決手段】 3相のガス絶縁機器1A〜1Cは、信号
線8を介し、3相の共通の部分放電検出器20に接続さ
れる。部分放電検出器20は、切換器21、信号増幅器
22、周波数分析装置23、中央演算装置24を有す
る。切換器21によって、3相のガス絶縁機器1A〜1
Cからの部分放電信号を入力し、信号増幅器22に供給
する。信号増幅器22によって、各相の部分放電信号を
増幅した後、周波数分析装置23によって、各相の部分
放電信号の周波数を分析して各相の周波数スペクトラム
を得る。中央演算装置24によって、各相の周波数スペ
クトラムのレベルを所定のノイズ判定レベルと比較する
と共に、3相の周波数スペクトラムのレベルの間に所定
の相間判定レベルを超過する差があるか否かを判定す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、SF6 ガス等の絶
縁性の優れた絶縁ガスを絶縁媒体としたガス絶縁機器に
係り、特に、ガス絶縁機器内に発生する部分放電を検出
する部分放電検出方法とその装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、ガス絶縁機器内部に発生する
部分放電を検出するための各種の部分放電検出方法が開
発されている。そのような部分放電検出方法の一つとし
て、部分放電が発生し易くかつノイズが含まれにくいと
されている特定周波数の信号を取り出すことによって部
分放電を検出する方法がある。
【0003】図5は、この部分放電検出方法を適用した
ガス絶縁機器の一例を示す構成図である。この図5に示
すように、ガス絶縁機器1は、SF6 ガス等の絶縁ガス
が封入された接地電位の金属容器2と、隣接する金属容
器2相互間を機械的に連結しかつ電気的に絶縁する絶縁
スペーサ3、およびこの絶縁スペーサ3によって金属容
器2内に絶縁支持された高電圧導体4を有する。このよ
うなガス絶縁機器においては、絶縁スペーサ3の金属容
器2近傍の内部に埋設電極5が設けられ、この埋設電極
5と金属容器2との間にコンデンサ6が設けられてこの
コンデンサ6は、信号引き込み線7を介して外部の部分
放電検出器10に接続されている。
【0004】この場合、部分放電検出器10はまず、特
定周波数の信号を取り出すフィルタ(フィルタ回路)1
1と、フィルタ11で取り出された信号を増幅する増幅
回路12、および増幅回路12で増幅された信号のピー
ク値を取り出して積分を行うピークディテクタ・積分回
路13を有する。部分放電検出器10はまた、これらの
回路11〜13を駆動する電源14を有する。
【0005】以上のような図5の装置構成により、次の
ようにして部分放電を検出することができる。すなわ
ち、金属容器2内で部分放電パルス(コロナパルス)が
発生すると、コンデンサ6の分担電圧には、その放電に
起因する高周波成分(信号)が重畳される。このコンデ
ンサ6からの高周波成分を含む信号は、信号引き込み線
7を介して、部分放電検出器10に入力される。
【0006】次に、部分放電検出器10においては、以
上のような高周波成分を含む信号から、フィルタ11に
よって部分放電パルスに相当する特定周波数の信号が取
り出され、この信号が増幅回路12で増幅された後、ピ
ークディテクタ・積分回路13を介して部分放電検出器
10の外部に出力される。そして、この部分放電検出器
10の出力信号により、ガス絶縁機器内部で部分放電が
発生したことが検知されることになる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、図5に示し
た部分放電検出器10を使用する上記のような従来の部
分放電検出方法においては、検出された部分放電信号の
中にノイズが含まれている可能性があり、精度の高い部
分放電検出を行うことが難しいという欠点がある。すな
わち、上記のような従来の部分放電検出方法において
は、ガス絶縁機器の内部で部分放電が発生した場合に、
この部分放電を検出することができる一方で、気中ノイ
ズ等の外部ノイズの影響による誤検出の可能性があり、
高精度な検出をすることが困難である。
【0008】本発明は、以上のような従来技術の問題点
を解決するために提案されたものであり、その目的は、
検出した異常が内部部分放電によるものか外部ノイズに
よるものかを容易かつ確実に判別することが可能な、検
出精度および信頼性の高いガス絶縁機器の部分放電検出
方法とその装置を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明では、ガス絶縁機器からの部分放電信号の
出力波形を得て、この出力波形に基づいて内部異常や外
部ノイズの有無を判定することを特徴としている。そし
て、このような特徴を有することにより、部分放電信号
の出力波形に基づいて、検出した異常が内部部分放電に
よるものか外部ノイズによるものかを容易かつ確実に判
別することができるものである。
【0010】請求項1〜9記載の各発明は、絶縁ガスが
封入された接地電位の金属容器とその内部に配置された
高電圧部を有するガス絶縁機器を対象とし、その内部に
発生する部分放電を検出するためのガス絶縁機器の部分
放電検出方法において、次のような構成を有することを
特徴としている。
【0011】請求項1記載の発明は、次のような検出ス
テップ、分析ステップ、および判定ステップを有するこ
とを特徴としている。すなわち、検出ステップは、ガス
絶縁機器からの部分放電信号を検出するステップであ
り、分析ステップは、前記検出ステップで検出された部
分放電信号の周波数を分析して出力波形を得るステップ
である。また、判定ステップは、分析ステップで得られ
た出力波形のレベルに基づいてそのガス絶縁機器におけ
る異常発生の有無の判定を行うステップである。以上の
ような構成を有する請求項1記載の発明によれば、次の
ような作用が得られる。すなわち、一般的に、ガス絶縁
機器に内部異常が発生している場合や外部気中ノイズが
発生している場合には、そのガス絶縁機器の部分放電信
号の出力波形のレベルが、正常時のガス絶縁機器の部分
放電信号の出力波形のレベルと明らかに異なるものとな
る。これに対し、請求項1記載の発明によれば、検出ス
テップおよび分析ステップにより、ガス絶縁機器の部分
放電信号の出力波形を得ることができる。そして、判定
ステップによって、出力波形のレベルから、ガス絶縁機
器における内部異常や外部気中ノイズ等の異常発生の有
無を容易かつ確実に判定することができる。さらに、こ
のような異常発生の判定後に、そのガス絶縁機器のより
詳細な部分放電検出、発生位置標定を行うことができ
る。このような詳細な部分放電検出や発生位置の標定
は、既存の部分放電検出方法によって容易に実施可能で
ある。
【0012】請求項2記載の発明は、請求項1記載の発
明において、さらに、各ステップが次のような構成を有
することを特徴としている。まず、検出ステップにおい
ては、複数相のガス絶縁機器を対象として各相からの部
分放電信号を検出する。次に、分析ステップにおいて
は、前記検出ステップで検出された各相の部分放電信号
の周波数を分析して各相の出力波形を得る。さらに、判
定ステップにおいては、複数相の出力波形における正常
時の相間レベル差の上限として設定した相間判定レベル
を用いて、前記分析ステップで得られた複数相の出力波
形を比較し、ある相の出力波形のレベルが他相の出力波
形のレベルに対して前記創刊判定レベルを超過した場合
に、その超過した相のガス絶縁機器に内部異常が発生し
たものと判定する。さらに、このような内部異常発生の
判定後に、その相のガス絶縁機器のより詳細な部分放電
検出、発生位置標定を行うことができる。
【0013】以上のような構成を有する請求項2記載の
発明によれば、次のような作用が得られる。すなわち、
一般的に、ある相のガス絶縁機器に内部異常が発生して
いる場合には、その相の部分放電信号の出力波形のレベ
ルが、他相のガス絶縁機器の部分放電信号の出力波形の
レベルと明らかに異なるものとなる。これに対し、請求
項2記載の発明によれば、検出ステップおよび分析ステ
ップにより、複数相のガス絶縁機器の部分放電信号の出
力波形を得ることができる。そして、このようにして得
られた複数相の出力波形を、判定ステップによって比較
することにより、異常相と正常相との出力波形のレベル
の差異から、内部異常発生を容易かつ確実に判定するこ
とができる。
【0014】請求項3記載の発明は、請求項1記載の発
明において、さらに、判定ステップが次のような構成を
有することを特徴としている。すなわち、判定ステップ
においては、出力波形における正常時の上限として設定
した異常判定レベルを用いて前記分析ステップで得られ
た出力波形のレベルと前記異常判定レベルを比較し、出
力波形のレベルが異常判定レベルを超過した場合に、そ
のガス絶縁機器に内部異常が発生したものと判定する。
【0015】以上のような構成を有する請求項3記載の
発明によれば、判定ステップによって、部分放電信号の
出力波形のレベルから、ガス絶縁機器における内部異常
発生の有無を容易かつ確実に判定することができる。本
発明によれば、他相と比較することなく、当該相のガス
絶縁機器の部分放電信号の出力波形のレベルのみを判定
するだけで、容易に内部異常発生の有無を判定できる。
【0016】請求項4記載の発明は、請求項1〜3のい
ずれか一つに記載の発明において、さらに、判定ステッ
プが次のような構成を有することを特徴としている。す
なわち、判定ステップにおいては、出力波形における外
部気中ノイズの発生のない上限として設定したノイズ判
定レベルを用いて前記分析ステップで得られた出力波形
のレベルと前記ノイズ判定レベルを比較し、出力波形の
レベルがノイズ判定レベル以下である場合に、そのガス
絶縁機器に外部気中ノイズの発生はないものと判定す
る。
【0017】以上のような構成を有する請求項4記載の
発明によれば、判定ステップによって、部分放電信号の
出力波形のレベルから、ガス絶縁機器における外部気中
ノイズの発生の有無を容易かつ確実に判定することがで
きる。本発明によれば、他相と比較することなく、当該
相のガス絶縁機器の部分放電信号の出力波形のレベルの
みを判定するだけで、容易に外部気中ノイズの発生の有
無を判定できる。
【0018】請求項5〜9記載の各発明は、請求項1〜
4のいずれか一つに記載の発明において、さらに、判定
ステップにおいて用いる手法を限定したことを特徴とし
ている。
【0019】請求項5記載の発明は、判定ステップにお
いて、出力波形データの累積手法を用いることを特徴と
している。
【0020】請求項6記載の発明は、判定ステップにお
いて、出力波形データの平均手法を用いることを特徴と
している。
【0021】請求項7記載の発明は、判定ステップにお
いて、出力波形データをパターン認識手法により判別す
ることを特徴としている。
【0022】請求項8記載の発明は、判定ステップにお
いて、出力波形データをニューラルネットワーク手法に
より判別することを特徴としている。
【0023】請求項9記載の発明は、判定ステップにお
いて、出力波形データを統計的手法により判別すること
を特徴としている。
【0024】以上のような構成を有する請求項5〜9記
載の各発明によれば、いずれも、出力波形のレベルに基
づいて、ガス絶縁機器における内部異常発生または外部
気中ノイズの発生を効率よく高い精度で判定することが
できる。
【0025】請求項10、11記載の各発明は、絶縁ガ
スが封入された接地電位の金属容器とその内部に配置さ
れた高電圧部を有するガス絶縁機器を対象とし、その内
部に発生する部分放電を検出するためのガス絶縁機器の
部分放電検出装置において、次のような構成を有するこ
とを特徴としている。
【0026】請求項10記載の発明は、次のような入力
手段、増幅手段、分析手段、および判定手段を有するこ
とを特徴としている。すなわち、入力手段は、ガス絶縁
機器からの部分放電信号を入力する手段であり、増幅手
段は、前記入力手段によって入力された部分放電信号を
増幅する手段であり、分析手段は、前記増幅手段によっ
て増幅された部分放電信号の周波数を分析して出力波形
を得る手段である。また、判定手段は、前記分析手段に
よって得られた部分放電信号の出力波形に基づいてその
ガス絶縁機器における異常発生の有無の判定を行う手段
である。
【0027】以上のような構成を有する請求項10記載
の発明によれば、請求項1〜9記載の各発明による各方
法を良好に実施することができる。すなわち、入力手
段、増幅手段、および分析手段によって、ガス絶縁機器
の部分放電信号の出力波形を得ることができる。そし
て、判定手段により、出力波形に基づいてガス絶縁機器
における内部異常発生または外部気中ノイズ発生の有無
を容易に判定することができる。
【0028】請求項11記載の発明は、請求項10記載
の発明において、さらに、各手段が次のように構成され
たことを特徴としている。すなわち、請求項11記載の
発明において、まず、入力手段は、複数相のガス絶縁機
器からの部分放電信号を入力し、入力した複数相の部分
放電信号を前記増幅手段に対して各相毎に選択的に供給
するように構成される。次に、増幅手段は、前記入力手
段から供給された各相の部分放電信号を増幅するように
構成される。また、分析手段は、前記増幅手段によって
増幅された各相の部分放電信号の周波数を分析して各相
の出力波形を得るように構成される。さらに、判定手段
は、前記分析手段によって得られた複数相の出力波形に
基づいて複数相のガス絶縁機器の各々における異常発生
の有無の判定を行うように構成される。
【0029】以上のような構成を有する請求項11記載
の発明によれば、請求項1〜9記載の各発明による各方
法を良好に実施することができる。すなわち、共通の単
一の入力手段、増幅手段、および分析手段によって、複
数相のガス絶縁機器の部分放電信号の出力波形を得るこ
とができる。そして、共通の単一の判定手段により、複
数相の出力波形に基づいて複数相のガス絶縁機器におけ
る内部異常発生または外部気中ノイズ発生の有無を容易
に判定することができる。
【0030】このように、請求項11記載の発明によれ
ば、複数相のガス絶縁機器の部分放電の検出に当たり、
入力手段、増幅手段、分析手段、および判定手段をいず
れも共通の単一の手段として構成できる。そのため、一
部の手段を各相毎に個別に構成したり、また、各相毎に
個別の装置を使用する場合に比べて、複数相のガス絶縁
機器に対する部分放電検出装置全体の構成を格段に簡略
化できる。
【0031】
【発明の実施の形態】
[1.構成]以下には、本発明によるガス絶縁機器の部
分放電検出方法とその装置の代表的な実施の形態とし
て、ガス絶縁開閉装置を構成するA〜C相のガス絶縁機
器に対して、請求項2、4〜7、および11に記載の各
発明を適用した一つの実施の形態について、図1〜図4
を参照して具体的に説明する。ここで、図1は、本実施
の形態の部分放電検出器(部分放電検出装置)を示す構
成図、図2は、各相における正常状態(BGN)および
気中ノイズ発生状態の周波数スペクトラムの一例を示す
波形図、図3は、A相で内部部分放電が発生した場合の
各相における周波数スペクトラムの一例を示す波形図、
図4は、本実施の形態における内部部分放電発生の判定
手法の複数例を示す説明図である。
【0032】[1−1.部分放電検出器]図1に示すよ
うに、A〜C相の3相のガス絶縁機器1A〜1Cは、い
ずれも、複数個の円筒状の金属容器2が絶縁スペーサ3
を介して機械的に連結されて構成されている。この場
合、隣接する金属容器2相互間は絶縁スペーサ3により
電気的に絶縁されている。そして、金属容器2の内部に
は、SF6 ガス等の絶縁ガスが封入されると共に、充電
部となる高電圧導体が中心軸線上に配設され、絶縁スペ
ーサ3によって絶縁支持されている。
【0033】そして、3相のガス絶縁機器1A〜1C
は、信号線8を介して、3相の共通の部分放電検出器
(部分放電検出装置)20に接続されている。より詳細
には、信号線8は、ガス絶縁機器1A〜1Cの絶縁スペ
ーサに設けられた図示しない部分放電検出用のセンサに
接続されている。このようなセンサとしては、図5の従
来例に示したような、埋設電極5とコンデンサ6を組み
合わせたセンサ等の、既存の各種の放電検出センサを使
用可能である。
【0034】部分放電検出器20は、切換器(入力手
段)21、信号増幅器(増幅手段)22、周波数分析装
置(分析手段)23、および中央演算装置(判定手段)
24を有する。ここで、切換器21は、3相のガス絶縁
機器1A〜1Cからの部分放電信号を入力し、入力した
3相の部分放電信号を信号増幅器22に対して各相毎に
選択的に供給するようにして信号の切換を行う手段であ
る。また、信号増幅器22は、切換器21から供給され
た各相の部分放電信号を増幅する手段であり、周波数分
析装置23は、信号増幅器22によって増幅された各相
の部分放電信号の周波数を分析して各相の周波数スペク
トラム(出力波形)を得る手段である。さらに、中央演
算装置24は、周波数分析装置23によって得られた3
相の出力波形に基づいて3相のガス絶縁機器1A〜1C
の各々における異常発生の有無の判定を行うように設定
されている。
【0035】[1−2.部分放電検出方法]本実施の形
態においては、図1に示したような部分放電検出器20
を使用し、次のような方法によって、3相のガス絶縁機
器1A〜1Cの部分放電検出を行う。まず、切換器21
によって、3相のガス絶縁機器1A〜1Cからの部分放
電信号を入力し、入力した3相の部分放電信号を、信号
増幅器22に対して各相毎に選択的に供給する。ここで
は、便宜上、A相、B相、C相の順で、各相の部分放電
信号を信号増幅器22に順次供給するものとする。次
に、信号増幅器22によって、供給された各相の部分放
電信号を順次増幅し、増幅した各相の部分放電信号を周
波数分析装置23に順次供給する。続いて、周波数分析
装置23によって、各相の部分放電信号の周波数を順次
分析して各相の周波数スペクトラムを得て、これらの周
波数スペクトラムを周波数分析装置23に順次供給す
る。
【0036】この後、中央演算装置24によって、各相
の周波数スペクトラムのレベルを、所定のノイズ判定レ
ベルと比較すると共に、3相の周波数スペクトラムのレ
ベルの間に、所定の相間判定レベルを超過する差がある
か否かを判定する。
【0037】ここで、所定のノイズ判定レベルは、周波
数スペクトラムにおける外部気中ノイズの発生のない上
限として予め設定したレベルである。すなわち、図2の
例に示すように、同じ相のガス絶縁機器において、正常
状態(BGN)の周波数スペクトラム31〜33よりも
気中ノイズ発生状態の周波数スペクトラム34〜36の
レベルは明らかに高くなっている。したがって、ノイズ
判定レベルは、このような正常状態(BGN)と気中ノ
イズ発生状態とにおける周波数スペクトラムの差異に基
づき、正常状態(BGN)と判断できる上限として予め
設定されている。
【0038】また、所定の相間判定レベルは、3相の周
波数スペクトラムにおける正常時の相間レベル差の上限
として予め設定したレベルである。すなわち、図3の例
に示すように、例えば、A相のガス絶縁機器1Aにおい
て、内部部分放電を生じていない正常相の周波数スペク
トラム42,43は、ほぼ同じレベルであるが、内部部
分放電を生じた異常相の周波数スペクトラム41は、正
常相の周波数スペクトラム42,43よりも明らかに高
くなっている。したがって、相間判定レベルは、このよ
うな正常相間と、異常相・正常相間とにおける周波数ス
ペクトラムの差異に基づき、正常相間の相間レベル差と
判断できる上限として予め設定されている。
【0039】そして、中央演算装置24は、周波数スペ
クトラムがノイズ判定レベル以下である場合には、その
相のガス絶縁機器に外部気中ノイズの発生はないものと
判定する。また、ある相の周波数スペクトラムのレベル
が他相の周波数スペクトラムのレベルに対して相間判定
レベルを超過した場合には、その超過した相のガス絶縁
機器に内部異常が発生したものと判定する。
【0040】なお、このような中央演算装置24におけ
る内部部分放電発生の有無の具体的な判定手法として
は、例えば、図4に示すような、4つの手法のいずれか
が適宜使用される。ここで、図4の51は、ある周波数
A における出力値のみを用いる手法である。また、5
2は、ある2つの周波数fA ,fB 間における出力値の
累積値を用いる手法(出力波形データの累積手法)であ
り、53は、ある2つの周波数fA ,fB 間の出力値の
平均値を用いる手法(出力波形データの平均手法)であ
る。さらに、54は、周波数スペクトラム全体をパター
ンとして認識して判定に用いる手法(パターン認識手
法)である。
【0041】[2.作用]以上のような構成を有する本
実施の形態の方法によれば、次のような作用が得られ
る。
【0042】すなわち、図2の例に示すように、同じ相
のガス絶縁機器において、問題とならない程度の定常的
な小さな気中ノイズのみが発生している正常状態(BG
N)の周波数スペクトラム31〜33に比べて、大きな
気中ノイズが発生している気中ノイズ発生状態の周波数
スペクトラム34〜36のレベルは明らかに高くなって
いる。その一方で、3相のガス絶縁機器1A〜1Cがい
ずれも正常状態(BGN)である場合には、各相の周波
数スペクトラム31〜33は、若干の違いはあるもの
の、互いにほぼ同様なスペクトラムとなることが分か
る。さらに外部で大きな気中ノイズ等が発生した場合に
は、各相の周波数スペクトラム34〜36は、3相共に
同様に影響を受けるために、互いにほぼ同様なスペクト
ラムとなる。
【0043】したがって、本実施の形態においては、中
央演算装置24によって、正常状態(BGN)と判断で
きる上限として設定したノイズ判定レベルと各相の周波
数スペクトラムのレベルを比較することにより、外部気
中ノイズの異常発生の有無を容易かつ確実に判定するこ
とができる。
【0044】また、図3の例に示すように、例えば、A
相のガス絶縁機器1Aにおいて、内部部分放電を生じた
場合に、この異常相の周波数スペクトラム41は、内部
部分放電を生じていない正常相の周波数スペクトラム4
2,43よりも明らかに高くなっている。その一方で、
2相の正常相の周波数スペクトラム42,43は、若干
の違いはあるものの、互いにほぼ同様なスペクトラムと
なることが分かる。この関係は、B相あるいはC相のガ
ス絶縁機器1B,1Cのいずれか一方において、内部部
分放電を生じた場合でも、同様である。なお、ガス絶縁
開閉装置において、複数相のガス絶縁機器で同時に内部
部分放電が発生することはなく、過去の事例でもそのよ
うな状況が発生したことはない。さらに、ガス絶縁開閉
装置は、そのほとんどが金属にて覆われているために、
他相の影響を受け難い構成となっている。そのため、い
ずれか一つの相で内部部分放電が発生した場合は、当該
相のみの部分放電信号から、図3の31に示されるよう
な、異常相の周波数スペクトラムが検出されることにな
る。
【0045】したがって、本実施の形態においては、中
央演算装置24によって、正常相間の相間レベル差と判
断できる上限として設定した相間判定レベルと3相の周
波数スペクトラムの相間レベル差を比較することによ
り、内部異常発生の有無を容易かつ確実に判定すること
ができる。
【0046】さらに、このような異常発生の判定後に、
その異常相のガス絶縁機器のより詳細な部分放電検出、
発生位置標定を行うことができる。なお、このような詳
細な部分放電検出、発生位置標定は、既存の部分放電検
出方法によって容易に実施可能であるため、ここでは説
明を省略する。
【0047】[3.効果]以上のように、本実施の形態
によれば、3相のガス絶縁機器1A〜1Cからの部分放
電信号の周波数スペクトラムを得て、この周波数スペク
トラムに基づいて、検出した異常が内部部分放電による
ものか外部ノイズによるものかを容易かつ確実に判別す
ることができる。また、本実施の形態においては、図4
の51〜54に示したような内部部分放電発生の判定手
法を用いることにより、特に、突発的なノイズ等を高い
精度で判定可能であり、信頼性が高くなっている。
【0048】また、本実施の形態においては、3相のガ
ス絶縁機器1A〜1Cの部分放電の検出に対して、切換
器(入力手段)21、信号増幅器(増幅手段)22、周
波数分析装置(分析手段)23、および中央演算装置
(判定手段)24からなる共通の部分放電検出器20を
使用しているため、各相毎に個別の部分放電検出器を使
用する場合に比べて、3相のガス絶縁機器1A〜1Cに
対する装置全体の構成を格段に簡略化できる。
【0049】[4.他の実施の形態]なお、本発明は、
前記の実施の形態に限定されるものではなく、他にも多
種多様の形態を実施可能である。例えば、内部部分放電
発生の具体的な判定手法としては、ニューラルネットワ
ーク手法や統計的手法を用いることも可能であり、その
場合にも、前記の判定手法を用いた場合と同様に、突発
的なノイズ等を高い精度で判定可能である。
【0050】また、気中ノイズの発生だけでなく、内部
異常の発生についても、他相との比較を行うことなし
に、請求項3に記載の発明を適用し、ある異常判定レベ
ルを設定して当該相の周波数スペクトラムのレベルと比
較するように構成することも可能である。この場合に
は、気中ノイズの発生と内部異常の発生の両方につい
て、当該相の周波数スペクトラムのレベルのみを判定レ
ベルと比較するだけで当該相のガス絶縁機器の判定を行
うことができるため、判定の処理が容易になる。これに
関連して、本発明の方法の各ステップ、すなわち、検出
ステップ、分析ステップ、および判定ステップ等の具体
的な手順は、前記実施の形態の方法に限定されるもので
はなく、自由に変更可能である。
【0051】一方、本発明の部分放電検出装置は、前記
実施の形態のように、複数相のガス絶縁機器に対して必
ずしも共通である必要はなく、各相毎に個別の装置を使
用することも可能である。また、複数相のガス絶縁機器
と各手段の関係についても、一部の手段を各相毎に個別
に構成し、残りの手段を共通に構成すること等、自由に
選択可能である。例えば、入力手段、増幅手段、分析手
段からなる各相毎の個別の手段を用いると共に、共通の
判定手段を用いる等の構成が考えられる。さらに、入力
手段、増幅手段、分析手段、および判定手段等の具体的
な構成は適宜選択可能である。
【0052】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
複数相のガス絶縁機器からの部分放電信号の周波数スペ
クトラムを得て、この周波数スペクトラムに基づいて内
部異常や外部ノイズの有無を判定することにより、検出
した異常が、内部部分放電によるものか外部ノイズによ
るものかを容易かつ確実に判別することが可能な、検出
精度および信頼性の高いガス絶縁機器の部分放電検出方
法を提供することができる。また、そのような方法の実
施に好適な部分放電検出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を3相のガス絶縁機器に適用した一つの
実施の形態の部分放電検出器を示す構成図。
【図2】図1のガス絶縁機器の各相における正常状態
(BGN)および気中ノイズ発生状態の周波数スペクト
ラムの一例を示す波形図。
【図3】図1のA相のガス絶縁機器で内部部分放電が発
生した場合の各相における周波数スペクトラムの一例を
示す波形図。
【図4】図1の実施の形態における内部部分放電発生の
判定手法の複数例を示す説明図。
【図5】従来の部分放電検出法の一例を適用したガス絶
縁機器の一例を示す構成図。
【符号の説明】
1,1A〜1C:ガス絶縁機器 2:金属容器 3:絶縁スペーサ 4:高電圧導体 5:埋設電極 6:コンデンサ 7:信号引き込み線 8:信号線 10:部分放電検出器 11:フィルタ 12:増幅回路 13:ピークディテクタ・積分回路 20:部分放電検出器 21:切換器 22:信号増幅器 23:周波数分析装置 24:中央演算装置

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 絶縁ガスが封入された接地電位の金属容
    器とその内部に配置された高電圧部を有するガス絶縁機
    器を対象とし、その内部に発生する部分放電を検出する
    ためのガス絶縁機器の部分放電検出方法において、 ガス絶縁機器からの部分放電信号を検出する検出ステッ
    プと、 前記検出ステップで検出された部分放電信号の周波数を
    分析して出力波形を得る分析ステップと、 前記分析ステップで得られた出力波形のレベルに基づい
    てそのガス絶縁機器における異常発生の有無の判定を行
    う判定ステップを有することを特徴とするガス絶縁機器
    の部分放電検出方法。
  2. 【請求項2】 前記検出ステップにおいて、複数相のガ
    ス絶縁機器を対象として各相からの部分放電信号を検出
    し、 前記分析ステップにおいて、前記検出ステップで検出さ
    れた各相の部分放電信号の周波数を分析して各相の出力
    波形を得て、 前記判定ステップにおいて、複数相の出力波形における
    正常時の相間レベル差の上限として設定した相間判定レ
    ベルを用いて前記分析ステップで得られた複数相の出力
    波形を比較し、ある相の出力波形のレベルが他相の出力
    波形のレベルに対して前記相間判定レベルを超過した場
    合に、その超過した相のガス絶縁機器に内部異常が発生
    したものと判定することを特徴とする請求項1記載のガ
    ス絶縁機器の部分放電検出方法。
  3. 【請求項3】 前記判定ステップにおいて、出力波形に
    おける正常時の上限として設定した異常判定レベルを用
    いて前記分析ステップで得られた出力波形のレベルと前
    記異常判定レベルを比較し、出力波形のレベルが異常判
    定レベルを超過した場合に、そのガス絶縁機器に内部異
    常が発生したものと判定することを特徴とする請求項1
    記載のガス絶縁機器の部分放電検出方法。
  4. 【請求項4】 前記判定ステップにおいて、出力波形に
    おける外部気中ノイズの発生のない上限として設定した
    ノイズ判定レベルを用いて前記分析ステップで得られた
    出力波形のレベルと前記ノイズ判定レベルを比較し、出
    力波形のレベルがノイズ判定レベル以下である場合に、
    そのガス絶縁機器に外部気中ノイズの発生はないものと
    判定することを特徴とする請求項1から請求項3までの
    いずれか一つに記載のガス絶縁機器の部分放電検出方
    法。
  5. 【請求項5】 前記判定ステップにおいて、出力波形デ
    ータの累積手法を用いることを特徴とする請求項1から
    請求項4までのいずれか一つに記載のガス絶縁機器の部
    分放電検出方法。
  6. 【請求項6】 前記判定ステップにおいて、出力波形デ
    ータの平均手法を用いることを特徴とする請求項1から
    請求項4までのいずれか一つに記載のガス絶縁機器の部
    分放電検出方法。
  7. 【請求項7】 前記判定ステップにおいて、出力波形デ
    ータをパターン認識手法により判別することを特徴とす
    る請求項1から請求項4までのいずれか一つに記載のガ
    ス絶縁機器の部分放電検出方法。
  8. 【請求項8】 前記判定ステップにおいて、出力波形デ
    ータをニューラルネットワーク手法により判別すること
    を特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一つ
    に記載のガス絶縁機器の部分放電検出方法。
  9. 【請求項9】 前記判定ステップにおいて、出力波形デ
    ータを統計的手法により判別することを特徴とする請求
    項1から請求項4までのいずれか一つに記載のガス絶縁
    機器の部分放電検出方法。
  10. 【請求項10】 絶縁ガスが封入された接地電位の金属
    容器とその内部に配置された高電圧部を有するガス絶縁
    機器を対象とし、その内部に発生する部分放電を検出す
    るためのガス絶縁機器の部分放電検出装置において、 ガス絶縁機器からの部分放電信号を入力する入力手段
    と、 前記入力手段によって入力された部分放電信号を増幅す
    る増幅手段と、 前記増幅手段によって増幅された部分放電信号の周波数
    を分析して出力波形を得る分析手段と、 前記分析手段によって得られた出力波形に基づいてその
    ガス絶縁機器における異常発生の有無の判定を行う判定
    手段を有することを特徴とするガス絶縁機器の部分放電
    検出装置。
  11. 【請求項11】 前記入力手段は、複数相のガス絶縁機
    器からの部分放電信号を入力し、入力した複数相の部分
    放電信号を前記増幅手段に対して各相毎に選択的に供給
    するように構成され、 前記増幅手段は、前記入力手段から供給された各相の部
    分放電信号を増幅するように構成され、 前記分析手段は、前記増幅手段によって増幅された各相
    の部分放電信号の周波数を分析して各相の出力波形を得
    るように構成され、 前記判定手段は、前記分析手段によって得られた複数相
    の出力波形に基づいて複数相のガス絶縁機器の各々にお
    ける異常発生の有無の判定を行うように構成されたこと
    を特徴とする請求項10記載のガス絶縁機器の部分放電
    検出装置。
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