JPH10101642A - 安定なアミノ過カルボン酸含有水溶液、及びその製造方法 - Google Patents
安定なアミノ過カルボン酸含有水溶液、及びその製造方法Info
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- JPH10101642A JPH10101642A JP27398596A JP27398596A JPH10101642A JP H10101642 A JPH10101642 A JP H10101642A JP 27398596 A JP27398596 A JP 27398596A JP 27398596 A JP27398596 A JP 27398596A JP H10101642 A JPH10101642 A JP H10101642A
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Abstract
存することができるアミノ過カルボン酸水溶液を提供す
る。 【解決手段】 (a)次の一般式で表わされるアミノカル
ボン酸と、該アミノカルボン酸に相応するアミノ過カル
ボン酸との和 0.5〜4.0モル/Kg H2N−R−COOH(Rは炭素数2〜8を有する直鎖の
アルキレン基を表わす)、(b)過酸化水素 1.0〜12.0モ
ル/Kg、(c)水 10.0〜45.0モル/Kg、及び(d)硫酸、メタ
ンスルホン酸、又はリン酸から選ばれる少なくとも1種
の強酸を含有し、(a)成分に対する(d)成分のモル比が、
特定の範囲にあるアミノ過カルボン酸含有水溶液。
Description
洗浄等の用途に使用される安定なアミノ過カルボン酸含
有水溶液、及びその製造方法に関する。
ら種々の物質の酸化剤として利用されると共に、漂白、
殺菌、及び洗浄等の用途にも使用されている。有機過酸
の利用形態は、固形のものと水溶液状のものとに大別さ
れる。過酢酸は、最も広く利用されている水溶液状の有
機過酸であるが、強い刺激臭を有することから、用途に
よってはその使用が制約される場合がある。この問題点
を解決するために、無臭性の有機過酸の水溶液が提案さ
れており、例えば、特開昭53−81619号公報に
は、過グルタル酸濃厚液が、特開平8−67667号公
報には、過グルタル酸、過コハク酸及び過アジピン酸を
含む過ジカルボン酸含有水溶液が開示されている。しか
し、これらの有機過酸は、漂白、或いは殺菌作用を発揮
する条件が狭く、また該作用が不十分であるという問題
点がある。特開平1−153674号公報には、アルカ
リ性領域から酸性領域までの広いpH範囲で、高い漂白
力を示す、固形のアミノ過カルボン酸塩が開示されてお
り、注目されるが、同公報に従って、アミノ過カルボン
酸塩を得ようとする場合、高濃度の過酸化水素と高濃度
の硫酸を用いる(水含有量の少ない反応系をつくる)必
要があること、反応系からアミノ過カルボン酸塩の結晶
を得るために、多量の有機溶媒が必要であること、また
結晶を取り出す前の該アミノ過カルボン酸塩の水溶液の
安定性は、極めて悪く危険である等の製造上の問題点が
ある。
過カルボン酸の優れた漂白力に注目し、該アミノ過カル
ボン酸の性能を十分に発揮できる、保存安定性の良いア
ミノ過カルボン酸の水溶液を得ることを目的に検討を重
ねた結果、特定の組成を有するアミノ過カルボン酸含有
の水溶液が極めて安定であること、またラクタムを出発
原料とすることにより、簡単かつ安価に該アミノ過カル
ボン酸含有水溶液を得ることができることを見出し、本
発明を完成した。
下記の(a)〜(d)の成分 (a)次の一般式で表わされるアミノカルボン酸と、該ア
ミノカルボン酸に相応するアミノ過カルボン酸との和
0.5〜5.0モル/Kg H2N−R−COOH(Rは炭素数2〜8を有する直鎖の
アルキレン基を表わす) (b)過酸化水素 1.0〜12.0モル/Kg (c)水 10.0〜45.0モル/Kg (d)硫酸、メタンスルホン酸、又はリン酸から選ばれる
少なくとも1種の強酸を含有し、(a)成分に対する(d)成
分のモル比が、(d)成分として、硫酸、又はメタンスル
ホン酸を用いる場合には、0.4〜2.0であり、(d)成分と
して、リン酸を用いる場合には、1.0〜4.0である安定な
アミノ過カルボン酸含有水溶液に関する。
くは、0.05〜2.0モル/Kgである。また、前記アミノカ
ルボン酸は、好ましくは、β−アラニン、4−アミノ酪
酸、5−アミノ吉草酸、及び6−アミノ−n−カプロン
酸等のいずれかである。尚、前記アミノ過カルボン酸含
有水溶液は、安定剤としてジピコリン酸を0.0001〜2重
量%含有することが好ましい。
タンスルホン酸、又はリン酸等の強酸の水溶液中で加熱
し、加水分解して該ラクタムに相応するアミノカルボン
酸の該強酸の水溶液を得た後、該強酸水溶液に過酸化水
素を添加することを特徴とするアミノ過カルボン酸含有
水溶液の製造方法に関する。この製造方法において、過
酸化水素を添加する際に、アミノカルボン酸に対する強
酸のモル比が、強酸として、硫酸、又はメタンスルホン
酸を用いる場合には、0.4〜2.0になるように、強酸とし
て、リン酸を用いる場合には、1.0〜4.0になるようにそ
れぞれ強酸の濃度を調製する必要がある。前記ラクタム
は、好ましくは、ε−カプロラクタム又はγ−ブチロラ
クタムである。
水溶液中において、アミノカルボン酸、過酸化水素、ア
ミノ過カルボン酸、及び水は、平衡組成を形成している
が、硫酸、メタンスルホン酸、又はリン酸等の強酸は、
該平衡反応の触媒として作用するだけでなく、該平衡組
成物の保存安定性に極めて重要な影響を及ぼす。本発明
のアミノ過カルボン酸含有水溶液は、次の(a)〜(d)成分
を含有し、各成分は、次に示すような範囲内で調整され
る。 (a)次の一般式で表わされるアミノカルボン酸と、該ア
ミノカルボン酸に相応するアミノ過カルボン酸との和
は、0.5〜5.0モル/Kgであり、好ましくは、0.8〜3.5モ
ル/Kgである。 H2N−R−COOH(Rは炭素数2〜8を有する直鎖の
アルキレン基を表わす) (b)過酸化水素は、1.0〜12.0モル/Kgであり、好ましく
は、1.5〜10モル/Kgである。 (c)水は、10.0〜45.0モル/Kgであり、好ましくは、12.0
〜40.0モル/Kgである。 (d)硫酸、メタンスルホン酸、又はリン酸から選ばれる
少なくとも1種の強酸は、(d)成分として、硫酸、又は
メタンスルホン酸を用いる場合には、(a)成分に対する
モル比で、0.4〜2.0の範囲であり、好ましくは、0.6〜
2.0の範囲であり、(d)成分として、リン酸を用いる場合
には、(a)成分に対するモル比で、1.0〜4.0の範囲であ
り、好ましくは、1.2〜3.0の範囲である。
は、アミノカルボン酸、過酸化水素、強酸、及び水のそ
れぞれを、所望の比率で混合することによって調整する
ことができるが、仕込み時のアミノカルボン酸、過酸化
水素、及び強酸濃度が高い程、また水の濃度が低い程、
高い濃度のアミノ過カルボン酸を得ることができる。即
ち、アミノ過カルボン酸の濃度は、仕込み時のアミノカ
ルボン酸、過酸化水素、及び強酸濃度濃度を調整するこ
とによって、所望の濃度に調節することができる。アミ
ノ過カルボン酸の濃度は、0.05モル/Kg未満では実用
上、有用ではなく、また、2.0モル/Kg以上の濃度では保
存安定性が悪くなるという問題があり、アミノ過カルボ
ン酸の濃度は、0.05〜2.0モル/Kgであることが好まし
く、より好ましくは、0.08〜1.8モル/Kgである。
水溶液を得るためには、アミノカルボン酸等の前記(a)
成分に対する、前記硫酸等の(d)成分のモル比が極めて
重要であり、その比率は、(d)成分として、硫酸、又は
メタンスルホン酸を用いる場合には、0.4〜2.0の範囲で
あり、(d)成分として、リン酸を用いる場合には、1.0〜
4.0の範囲である。該比率が、前記比率よりも小さい時
には、実用的な濃度のアミノ過カルボン酸を得ることが
できず、また前記比率よりも大きい時には、保存安定性
の良いアミノ過カルボン酸含有水溶液を得ることはでき
ない。例えば、(d)成分として硫酸を用いた時、硫酸と
過酸化水素とが反応して、カロ酸を生成する副反応が生
起すると推定されるが、硫酸の添加量が多くなると、こ
の副反応が起こりやすくなり、アミノ過カルボン酸含有
水溶液の保存安定性を悪くする要因の一つになると推察
される。本発明において、アミノ過カルボン酸含有水溶
液の安定性を高める目的で、安定剤としてジピコリン酸
を0.0001〜2重量%含有させることが好ましい。ジピコ
リン酸以外の安定剤では、その効果は不十分である。
8のアルキレン基の両端にアミノ基とカルボキシル基が
結合したアミノカルボン酸であり、次の一般式で示さ
れ、好ましくは、β−アラニン、4−アミノ酪酸、5−
アミノ吉草酸、及び6−アミノ−n−カプロン酸等であ
る。 H2N−R−COOH(Rは炭素数2〜8を有する直鎖の
アルキレン基を表わす) α―アミノ酸やアルキレン基の両端でない炭素にアミノ
基を有するアミノカルボン酸は、実用的な濃度のアミノ
過カルボン酸を生成させることができない。また得られ
る生成物の保存安定性は悪い。前記アルキレン基の炭素
数が、8よりも大きくなると、水溶液への溶解度が低い
ため、反応は困難になる。
酸、又はリン酸等を用いることができるが、強酸の種類
によって、生成するアミノ過カルボン酸の濃度、及び得
られる組成物の安定性が相違する。硫酸を用いた時、ア
ミノ過カルボン酸の濃度が最も高く、また得られる組成
物の安定性も最も良い。
間を短縮させる目的から、30〜80℃で反応を行うことが
好ましく、より好ましくは、40〜60℃である。反応時間
は、反応温度、及び前記(a)成分に対する、前記(d)成分
の比率によっても異なり、反応温度を高くする程、また
モル比率を大きくする程、組成物が平衡に達するまでの
時間は短く、反応時間は短くなる。通常は、2〜50時間
で行われる。
は、先に述べたように、アミノカルボン酸、過酸化水
素、強酸、及び水のそれぞれを、所望の比率で混合する
ことによって調製することができるが、調製に際し、ア
ミノカルボン酸に対する強酸のモル比を、強酸として、
硫酸、又はメタンスルホン酸を用いる場合には、0.4〜
2.0の範囲に、またリン酸を用いる場合には、1.0〜4.0
の範囲になるように調製すれば、先に述べた(a)成分に
対する(d)成分のモル比の規定の範囲内に調製すること
ができる。
液を得ることができるが、ラクタムを出発原料とするこ
とにより、簡単かつ安価に該アミノ過カルボン酸含有水
溶液を得ることができる。その製造方法は、ラクタムを
硫酸、メタンスルホン酸、又はリン酸等の強酸の水溶液
中で加熱し、加水分解して該ラクタムに相応するアミノ
カルボン酸の該強酸水溶液を得、そこに過酸化水素、強
酸、安定剤、及び水等を添加する方法である。本発明に
おいては、ラクタムの加水分解反応液中の強酸、或いは
アミノカルボン酸等を分離することなしにそのまま反応
に用いることができるため、極めて経済的にアミノ過カ
ルボン酸含有水溶液を得ることができる。
〜50重量%、水を25〜60重量%、及び硫酸等の強酸を5
〜50重量%の割合になるように添加、混合し、該混合物
を80〜110℃の温度で、還流しながら、1〜10時間反応
させることによって行うことができる。ラクタムのアミ
ノカルボン酸への転換は、反応温度が高いほど、強酸の
ラクタムに対する比率が大きいほど、進行する。転換率
は、用いる強酸の種類によっても異なり、メタンスルホ
ン酸を用いた時、その転換率は最も高く、硫酸、リン酸
の順で低くなる。ラクタムのアミノカルボン酸への転換
率は、一般的には80〜100%である。未反応ラクタムが
仮に存在しても、アミノ過カルボン酸の生成反応、及び
該生成組成物の安定性には殆ど悪影響を及ぼさない。上
記反応条件で加水分解を行った後、反応液に過酸化水
素、必要により強酸、水、安定剤等を先に示した組成を
形成するような割合で添加、混合して反応させる。尚、
加水分解反応液と過酸化水素とを反応させる際には、ア
ミノカルボン酸に対する強酸のモル比が、強酸として、
硫酸、又はメタンスルホン酸を用いる場合には、0.4〜
2.0、またリン酸を用いる場合には、1.0〜4.0になるよ
うに強酸の添加量を調整することが重要である。
γ−ブチロラクタム等を用いることができるが、ε−カ
プロラクタムを原料として用いた時には、6−アミノ-n
−過カプロン酸含有水溶液を得ることができ、またγ−
ブチロラクタムを用いた時には、4−アミノ過酪酸を得
ることができる。
は、望む場合に於いて本発明の目的を妨げない範囲で、
界面活性剤、溶剤、可溶化剤、キレート剤、着色剤等の
添加剤を添加、含有させることができる。尚、本発明の
アミノ過カルボン酸含有水溶液を繊維の漂白剤として使
用するに際しては、通常、該アミノ過カルボン酸含有水
溶液を水で希釈して用いる。また、漂白効果を上げるた
めにアルカリ剤を添加してpHを4〜10に調整するのが
好ましい。本発明のアミノ過カルボン酸含有水溶液は、
原液のまま、或いは水等で希釈して、漂白剤、殺菌剤、
漂白洗浄剤、或いはカビ取り剤等として有利に使用でき
る。
説明する。本発明は実施例に限定されるものではない。 実施例1及び比較例1〜2 次のアミノ酪酸(4−アミノ酪酸、DL−2−アミノ酪酸、
及びDL−3−アミノ酪酸)をそれぞれの試験管に1g
(0.0097モル)取り、それぞれに、60重量%過酸化水素水
を2g(H2O2 0.0353モル)、97重量%硫酸は、アミノ酪
酸に対して等モル量(97重量%硫酸を1g<H2SO4 0.0
1モル>)、及び安定剤として、ジピコリン酸を0.002gを
加え、混合、溶解して室温で反応させた。各反応の所定
時間(0時間(仕込み時)、2時間、24時間、10日、及び
30日)経過後の反応液の組成を表1〜表3に示す。(表
中における濃度は、モル/Kgである。) アミノ酪酸として、4−アミノ酪酸を用いた時には、DL
−2−アミノ酪酸、又はDL−3−アミノ酪酸を用いた時と
比較し、高濃度のアミノ過カルボン酸を得ることがで
き、またその保存安定性も極めて良好である。尚、下記
の表1〜表6において、次の略号を用いる。 アミノカルボン酸 :ACA アミノ過カルボン酸:PACA
アミノ過カルボン酸濃度、及び過酸化水素の濃度は、次
のように分析して求めた。アミノ過カルボン酸含有水溶
液を0.1〜0.3g精量し(Sg)、水で約50mlに希釈し、
氷片を加えて冷却後、20%ヨウ化カリウムを約2ml加え、
デンプン溶液を指示薬として、すばやくN/10チオ硫酸ナ
トリウム(ファクター f)で滴定する(Aml)。硫酸
(1+4)約10ml、20%ヨウ化カリウム約5ml、モリブデン酸
アンモニウム溶液を2〜3滴加え、5分間暗所に放置後、N
/10チオ硫酸ナトリウムで滴定する(Bml)。 アミノ過カルボン酸(モル/Kg)= A×f×0.05/S 過酸化水素(モル/Kg)= B×f×0.05/S
ノ−n−カプロン酸、2−アミノイソカプロン酸)を用
いた以外は、実施例1と全く同様に反応を行い、表4〜
表5の結果を得た。アミノカプロン酸として、6−アミ
ノ−n−カプロン酸を用いた時には、2−アミノイソカ
プロン酸を用いた時に比較し、高濃度のアミノ過カルボ
ン酸を得ることができ、またその保存安定性も極めて良
好である。
施例1と全く同様に反応を行い、表6の結果を得た。
過酸化水素水9.2g、97%硫酸18.4g、ジピコリン酸0.0
1g及び水14.4gを混合溶解させた。この溶液(反応
前)は、β―アラニンが2.96モル/Kg、過酸化水素が2.8
4モル/Kg及び硫酸が3.19モル/Kg含有する。この溶液を5
0℃に加温、24時間反応させた。反応後の溶液は,3−ア
ミノ過プロピオン酸を0.36モル/Kg、過酸化水素を2.50
モル/Kgの濃度で含有した。この3−アミノ過プロピオン
酸含有水溶液を50℃で7日間貯蔵した後の3−アミノ過
プロピオン酸の濃度は0.35モル/Kg、過酸化水素の濃度
は、2.40モル/Kgであり、3−アミノ過プロピオン酸の安
定度は、97%、全過酸化物成分の安定度は、96%であっ
た。
酸、及び水の各成分を、表7に示す濃度になるようにそ
れぞれを調整し、混合溶解させて、50℃で6時間反応さ
せた。尚、何れの反応においても、安定剤としてジピコ
リン酸を0.02重量%添加した。反応後に得られた、6−
アミノ−n−過カプロン酸含有水溶液の組成、及びこの
組成物を50℃で7日間貯蔵(安定度試験)した後の該組
成物の組成等を表7に示す。
19.6g、97%硫酸4.9g、ジピコリン酸0.01g及び水9.7
gを混合溶解させた。この溶液(反応前)は6−アミノ
−n―カプロン酸2.5モル/kg、過酸化水素6.8モル/kg
及び硫酸0.96モル/kgを含有し、硫酸/6−アミノ-n-
カプロン酸のモル比は0.39である。この溶液を50℃に加
温し、6時間反応させた。反応後の溶液は、6−アミノ−
n−過カプロン酸を0.10モル/kg、過酸化水素を6.7モ
ル/kg含有した。この溶液を50℃で7日間貯蔵した後の6
―アミノ−n―過 カプロン酸濃度は0.03モル/kg、過
酸化水素濃度は3.55モル/kgであり、6−ア ミノ−n−
過カプロン酸の安定度は30%、全過酸化物成分の安定度
は53%であった。このように硫酸/6−アミノ−n−カ
プロン酸のモル比が本発明の範囲以下では、生成する6
−アミノ−n−過カルボン酸濃度は低く、またその安定
性も低い。
g、97%硫酸29g、ジピコリン酸0.011gを混合溶解さ
せた。この溶液(反応前)は、6−アミノ−n−カプロ
ン酸1.7モル/kg、過酸化水素4.2モル/kg及び硫
酸5.3モル/kgを含有し、硫酸/6−アミノ−n−カ
プロン酸のモル比は3.1である。この溶液を50℃に加温
し、6時間反応させた。反応後の溶液は、6−アミノ−n
−過カプロン酸を1.69モル/kg、カロ酸を0.82モル/k
g、過酸化水素を1.6モル/kg含有した。この溶液を50℃
で7日間貯蔵した後の6−アミノ−n−過カプロン酸濃度
は0.60モル/kg、カロ酸濃度は0.01モル/kg、過酸化水
素濃度は0.2モル/kgであり、6−アミノ−n−過カプロ
ン酸の安定度は36%、全過酸化物成分の安定度は20%で
あった。このように硫酸/6−アミノ−n−カプロン酸
のモル比が本発明の範囲以上では、生成した6−アミノ
−n−過カルボン酸の安定性は低い。アミノ過カルボン
酸含有水溶液中のカロ酸濃度は次のようにして求めた。
アミノ過カルボン酸含有水溶液を0.1〜0.5g精秤し(S
g)、水で約100mlに希釈し、N/10水酸化ナトリウム
(ファクター f)による中和滴定曲線のpH約6の変曲
点とpH約8.5の変曲点の間の滴定量(Cml)からアミ
ノ過カルボン酸の1/2硫酸塩を求め、ヨードメトリーに
よる分析値から、この中和滴定による分析値を差し引い
た値をカロ酸濃度とした。 カロ酸(モル/kg)=ヨート゛メトリーによるアミノ過カルボン酸(モル
/kg)−(C×f×0.1/S) 尚、実施例においては、ヨードメトリーによる分析値を
そのままアミノ過カルボン酸の濃度としたが、上の方法
で分析した実施例6及び実施例8における反応直後の6
−アミノーn―過カルボン酸含有水溶液中のカロ酸濃度
は、実施例6では0.03モル/kg、実施例8では、0.02モ
ル/kgであり、カロ酸の濃度は、上記比較例に比べて低
く、本発明においては、カロ酸はほとんど生成していな
いことがわかる。
1.98モル/Kg、及び硫酸2.10モル/Kgを含有する水溶液を
調製し、そこに表9に示す安定剤を、それぞれ所定量添
加した後、50℃で20時間反応させた。得られた反応組成
物を更に50℃で7日間貯蔵して、6−アミノ−n−過カ
プロン酸(PACpA)、及び全過酸化物の安定度試験(残
存率の測定)を行った。その結果を表8に示す。ジピコ
リン酸が安定剤として、優れていることが分かる。
0.2g、85%リン酸 12.7g、ジピコリン酸 0.01g及び
水 17.5gを混合溶解させた。この溶液(反応前)は、6
−アミノ−n−カプロン酸が1.51モル/Kg、過酸化水素
が3.57モル/Kg及びリン酸が2.19モル/Kg含有する。この
溶液を50℃に加温、20時間反応させた。反応後の溶液
は,6−アミノ−n−過カプロン酸を0.51モル/Kg、過酸
化水素を2.97モル/Kgの濃度で含有した。この6−アミノ
−n−過カプロン酸含有水溶液を50℃で7日間貯蔵した
後の6−アミノ−n−過カプロン酸の濃度は0.49モル/K
g、過酸化水素の濃度は、2.86モル/Kgであり、6−アミ
ノ−n−過カプロン酸の安定度は96%、全過酸化物成分
の安定度は、96%であった。
0.1g、メタンスルホン酸 8.8g、ジピコリン酸 0.01g
及び水 15.4gを混合溶解させた。この溶液(反応前)
は、6−アミノ−n−カプロン酸が0.91モル/Kg、過酸化
水素が7.06モル/Kg及びメタンスルホン酸が1.82モル/Kg
含有する。この溶液を50℃に加温、20時間反応させた。
反応後の溶液は,6−アミノ−n−過カプロン酸を0.41
モル/Kg、過酸化水素を6.63モル/Kgの濃度で含有した。
この6−アミノ−n−過カプロン酸含有水溶液を50℃で
7日間貯蔵した後の6−アミノ−n−過カプロン酸の濃
度は0.38モル/Kg、過酸化水素の濃度は、6.13モル/Kgで
あり、6−アミノ−n−過カプロン酸の安定度は93%、
全過酸化物成分の安定度は、93%であった。
硫酸15.9gを冷却、撹拌しながら徐々に加えた。この溶
液を、撹拌機、温度計、還流冷却器の付いたフラスコ中
で、105〜107℃で4.5時間反応させた。得られた反応溶
液には、4―アミノ酪酸が35重量%、未反応γ―ブチロ
ラクタムが1.4重量%、硫酸が27重量%含有されてい
た。この4―アミノ酪酸の硫酸水溶液を27.1g、60%過
酸化水素水を5.8g及びジピコリン酸を0.01g加え撹拌し
ながら50℃で6時間反応させた。反応後の溶液には、4−
アミノ過酪酸が0.48モル/Kg、過酸化水素が2.75モル/Kg
含有されていた。得られた4−アミノ過酪酸含有水溶液
を、50℃で7日間貯蔵した後の4−アミノ過酪酸の濃度
は0.52モル/Kgであり、また、全過酸化物成分の残存率
は97.1%であった。
酸86.1gを冷却、撹拌しながら徐々に加えた。この溶液
を、撹拌機、温度計、還流冷却器の付いたフラスコ中
で、105〜107℃で.5時間反応させた。得られた反応液に
は、6―アミノーn―カプロン酸が45重量%、未反応ε―
カプロラクタムが0.5重量%、硫酸が22重量%含有され
ていた。この6―アミノーn―カプロン酸の硫酸水溶液を
32.1g、60%過酸化水素水を14.9g、97%硫酸を3.0g及び
ジピコリン酸を0.01g加え撹拌しながら50℃で24時間反
応させた。反応後の溶液には、6―アミノーn―過カプロ
ン酸が0.91モル/Kg、過酸化水素が4.35モル/Kgの濃度で
含有されていた。得られた6―アミノーn―過カプロン酸
含有水溶液を50℃で7日間貯蔵した後の6―アミノーn―
過カプロン酸の濃度は0.91モル/Kgであり、また、全過
酸化物成分の残存率は97.7%であった。
水溶液、過酢酸含有水溶液、過酸化水素水、及び過炭酸
ナトリウムを用いて下記の方法で漂白試験を行い、表9
の結果を得た。 〔漂白試験〕6−アミノ−n−過カプロン酸含有水溶液と
過酢酸含有水溶液は、有機過酸分の有効酸素が0.005%
になるように、過酸化水素水と過炭酸ナトリウムは、過
酸化水素分の有効酸素が0.07%になるように、水で希釈
して用いた。pH調整は、水酸化ナトリウム水溶液で行
った。調製した漂白液100mlに紅茶汚染布(8×8cm、2
枚)を20℃で30分間浸漬し、漂白を行った。漂白後の布
は水洗、乾燥、プレス後、色差計によって反射率を測定
し、次式から漂白率を算出した。 紅茶汚染前白布の反射率:W0 漂白前の反射率 :W1 漂白後の反射率 :W2 漂白率(%)=(W2−W1)/(W0−W1)×100
水溶液、過酸化水素水を用いて下記の方法で殺菌試験を
行い、表11の結果を得た。 〔殺菌試験〕下水処理場汚水500mlに6―アミノーn―過
カプロン酸含有水溶液と過酸化水素水をそれぞれ所定量
にの濃度になるように添加し、室温で所定時間攪拌接触
させた溶液中の大腸菌群と一般細菌を、下水試験法(下
水道法)に記載されている大腸菌群(デスオキシコール
酸塩培地による平板培養法)、及び一般細菌(普通寒天
培地による平板培養法)に準じて算出し、殺菌効果(生
存率)を次の式より求めた。 生存率(%)=(殺菌処理液中の菌数)/(殺菌処理前
の菌数)×100 尚、殺菌処理前の菌数は、大腸菌群が8,700個/ml、一
般細菌が610,000個/mlであった。
で、長期間安定に保存することができるアミノ過カルボ
ン酸の水溶液を得ることができるため、該アミノ過カル
ボン酸の水溶液を漂白、殺菌、或は洗浄等の用途に有利
に使用することができる。
Claims (7)
- 【請求項1】 下記の(a)〜(d)の成分 (a)次の一般式で表わされるアミノカルボン酸と、該ア
ミノカルボン酸に相応するアミノ過カルボン酸との和
0.5〜5.0モル/Kg H2N−R−COOH(Rは炭素数2〜8を有する直鎖の
アルキレン基を表わす) (b)過酸化水素 1.0〜12.0モル/Kg (c)水 10.0〜45.0モル/Kg (d)硫酸、メタンスルホン酸、又はリン酸から選ばれる
少なくとも1種の強酸を含有し、(a)成分に対する(d)成
分のモル比が、(d)成分として、硫酸、又はメタンスル
ホン酸を用いる場合には、0.4〜2.0であり、(d)成分と
して、リン酸を用いる場合には、1.0〜4.0である安定な
アミノ過カルボン酸含有水溶液。 - 【請求項2】 前記アミノ過カルボン酸の濃度が、0.05
〜2.0モル/Kgである請求項1のアミノ過カルボン酸含
有水溶液。 - 【請求項3】 前記アミノカルボン酸が、β−アラニ
ン、4−アミノ酪酸、5−アミノ吉草酸、及び6−アミ
ノ−n−カプロン酸等のいずれかである、請求項1〜2
のアミノ過カルボン酸含有水溶液。 - 【請求項4】 安定剤としてジピコリン酸を0.0001〜2
重量%含有する、請求項1〜3のアミノ過カルボン酸含
有水溶液。 - 【請求項5】 ラクタムを硫酸、メタンスルホン酸、又
はリン酸等の強酸の水溶液中で加熱し、加水分解して該
ラクタムに相応するアミノカルボン酸の該強酸水溶液を
得た後、該強酸水溶液に過酸化水素を添加することを特
徴とするアミノ過カルボン酸含有水溶液の製造方法。 - 【請求項6】 過酸化水素を添加する際に、アミノカル
ボン酸に対する強酸のモル比が、強酸として、硫酸、又
はメタンスルホン酸を用いる場合には、0.4〜2.0になる
ように、強酸として、リン酸を用いる場合には、1.0〜
4.0になるようにそれぞれ強酸の濃度を調製する請求項
5の製造方法。 - 【請求項7】 ラクタムが、ε−カプロラクタム又はγ
−ブチロラクタムである請求項5〜6の製造方法。
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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CN110256268A (zh) * | 2019-07-02 | 2019-09-20 | 扬州中宝药业股份有限公司 | 一种氨基己酸的制备方法 |
US20220267952A1 (en) * | 2021-02-25 | 2022-08-25 | Sixring Inc. | Modified sulfuric acid and uses thereof |
US12031269B2 (en) * | 2021-02-25 | 2024-07-09 | Sixring Inc. | Modified sulfuric acid and uses thereof |
-
1996
- 1996-09-26 JP JP27398596A patent/JP4084434B2/ja not_active Expired - Fee Related
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