JPH0999470A - 押出機用スクリーン装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 押出機の分解を行わずにブレーカープレート
およびスクリーンパックの濾過面に濾過された不純物や
異物の除去を行うことができると共に既存の押出機への
取り付けが容易で、かつ、操作および制御が容易なスク
リーン装置を提供する。 【解決手段】 押出機２のダイヘッド部２ｂと押出機本
体部２ａとを結ぶ通路６に、これを横断する挿入穴８を
形成し、該挿入穴８内に上記通路６を通過する溶融樹脂
Ｒから不純物を濾過するためのスクリーン部材１ｂを反
転自在に取り付けて、該スクリーン部材１ｂの濾過面を
上記ダイヘッド２ｂ側に反転させて洗浄するように構成
したものである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、押出機に接続され
るスクリーン装置に係り、特に押出機のダイヘッド部の
上流側に位置するスクリーン部材に濾過された溶融樹脂
中の不純物や異物を溶融樹脂の流れを利用して洗浄でき
る押出機用スクリーン装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】プラスチックの押出機は、射出成形機，
ブロー成形機，押出成形機などの主要構成部である。

【０００３】現在、廃棄物問題の対応策として、プラス
チックの工場内におけるリサイクル、さらには、回収プ
ラスチックのリサイクルが要求されるようになってい
る。しかし、これらのリサイクルプラスチックには、ゴ
ミなどの不純物、または、稀にボルトや釘などの異物が
含有されている。このため、リサイクルプラスチックを
再利用するためには、不純物や異物を除去するためのス
クリーン装置を押出機に組込むことが生産工程の簡易化
の上からも必須である。

【０００４】図７に示すように、押出機４１は一側にプ
ラスチックのペレットＰを装填するためのホッパー４４
を有するバレル４５とバレル４５内に挿通して設けられ
るスクリュー４６とバレル４５の先端に設けられるダイ
ヘッド部４３とから構成される。バレル４５には、ペレ
ットＰを溶融させるためのヒーターバンド４９がバレル
４５を囲繞して設けられる。また、スクリュー４６に
は、スクリュー４６を回転させるための回転伝導装置４
７およびモーター４８が接続されている。

【０００５】従来のスクリーン装置４０は押出機４１の
押出機本体部４２とダイヘッド部４３との間に挾持され
て設けられると共にステンレス製の金網を重ね合わせて
構成されるメッシュ状のスクリーンパック４０ａと蜂の
巣状に多数の孔を備えたブレーカープレート４０ｂとか
ら構成されている。

【０００６】スクリーンパック４０ａは、溶融樹脂Ｒの
流れを制限し、押出機内の圧力を高め、溶融樹脂Ｒの混
練を向上させ、溶融樹脂Ｒ中の細かい不純物や異物の濾
過を行っている。ブレーカープレート４０ｂはスクリー
ンパック４０ａを支持している。

【０００７】スクリーン装置４０によって濾過された不
純物や異物は、スクリーンパック４０ａの濾過面に濾過
されることになるが、この濾過を継続して行っている
と、溶融樹脂Ｒ中に混在する不純物や異物によって濾過
面が目詰まりを起こす。濾過面が目詰まりを起こすと押
出機本体部４２内の溶融樹脂Ｒの圧力が高まり、スクリ
ーン装置４０の圧損を引き起こすため、濾過面の洗浄を
行わなければならない。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
スクリーン装置４０におけるブレーカープレートおよび
スクリーンパックは、押出機４１の押出機本体部４２と
ダイヘッド部４３との間に挾持されて設けられているた
め、スクリーンパックの濾過面に濾過された溶融樹脂Ｒ
中の不純物や異物の除去を行うには、押出機本体部４２
とダイヘッド部４３とを接合しているボルトＢを外し
て、押出機４１の分解を行わなければならなかった。さ
らに、押出機４１の分解に伴い、押出機４１の稼動を停
止しなければならないと共に多大な溶融樹脂Ｒの損失が
生じるという問題もあった。

【０００９】スクリーンパックを押出機と別体に設けた
スクリーン装置を図８に示す。尚、図７と同様の部材に
は同じ符号を用いている。

【００１０】図８に示すように、ロール状に設けられた
スクリーンパック（スクリーンシート５０ａ）を巻取自
在に設けてあるため、スクリーンシート５０ａに濾過さ
れた溶融樹脂Ｒ中の不純物や異物の除去ならびにスクリ
ーンシート５０ａの交換を行うための押出機５１の分解
は行わなくて済む。しかし、スクリーン装置５０の操作
が複雑になると共にシール性を保つことが困難であるた
め、押出機５１のコスト高を招くという問題があった。

【００１１】

【課題を解決するための手段】上記課題を達成するため
に請求項１の発明は、押出機のダイヘッド部と押出機本
体部とを結ぶ通路に、これを横断する挿入穴を形成し、
該挿入穴内に上記通路を通過する溶融樹脂から不純物を
濾過するためのスクリーン部材を反転自在に取り付け
て、該スクリーン部材の濾過面を上記ダイヘッド側に反
転させて洗浄するように構成したものである。

【００１２】請求項２の発明は、上記スクリーン部材
は、上記挿入穴に、その軸廻りに回転自在に、且つ、軸
方向に挿抜自在に取付けられたロッド部材と、該ロッド
部材に上記通路と符合して形成された貫通路と、該貫通
路内に、これを横断すべく取付けられたフィルター部材
と、上記ロッド部材に取付けられ、該ロッド部材をその
軸廻りに回転させて上記フィルター部材の濾過面を反転
させると共に上記通路に固定させるためのスクリーン回
転部材とを備えたものである。

【００１３】上記の構成によれば、スクリーン装置を反
転自在に設けたため、フィルター部材の濾過面が溶融樹
脂中の不純物や異物により目詰りを起こしても、スクリ
ーン装置を反転させることで溶融樹脂の流れを利用して
フィルター部材の濾過面を洗浄することができると共に
常に清浄な濾過面を用いて濾過を行うことができる。

【００１４】

【発明の実施の形態】以下、本発明の好適実施の形態を
添付図面に基づいて詳しく説明する。

【００１５】図２に示すように、押出機２は一側にプラ
スチックのペレットＰを装填するためのホッパー２０を
有するバレル３とバレル３内に挿通して設けられるスク
リュー４とバレル３の先端に設けられるダイヘッド部２
ｂとから構成される。バレル３には、ペレットＰを溶融
させるためのヒーターバンド２３がバレル３を囲繞して
設けられる。また、スクリュー４には、スクリュー４を
回転させるための回転伝導装置２１およびモーター２２
が接続されている。

【００１６】溶融樹脂Ｒの異物を濾過する押出機２のス
クリーン装置１は、押出機本体部２ａとダイヘッド部２
ｂとの間に接続されて設けられている。

【００１７】このスクリーン装置１は、図１に示すよう
に、スクリーン支持管部１ａとスクリーン部材１ｂとか
ら構成されている。

【００１８】スクリーン支持管部１ａは、溶融樹脂Ｒが
流れるための所定の肉厚、内径および管長を有した溶融
樹脂移送管６と、その溶融樹脂移送管６の長手方向の両
端に押出機本体部２ａおよびダイヘッド部２ｂとそれぞ
れ接合すべく形成されたフランジ７ａ，７ｂとからな
る。

【００１９】それぞれのフランジ７には、スクリーン支
持管部１ａの両端に位置する押出機本体部２ａおよびダ
イヘッド部２ｂと接合するためのボルト孔７ｃが段部を
設けて形成されている。溶融樹脂移送管６は、バレル３
および押出管５と接合するための嵌合部６ａ，６ｂを有
している。また、溶融樹脂移送管６には、スクリーン部
材１ｂを着座させるべく円筒状の挿入穴８が、溶融樹脂
移送管６の中心部に長手方向と直交するように、かつ、
横断されて形成されている。さらに、溶融樹脂移送管６
とスクリーン部材１ｂとが当接する挿入穴８の周辺部分
には着座性を良好にするための面取部９が形成されてい
る。面取部９は溶融樹脂移送管６の両端にまで及んでも
良い。

【００２０】スクリーン部材１ｂは、ロッド部材１０と
リングナット部材１１とスクリーン回転部材１０ｂとフ
ィルター部材１３とから構成される。

【００２１】円柱状のロッド部材１０の先端には、雄ね
じ部１０ａが形成されている。リングナット部材１１の
内径部には、ロッド部材１０の雄ねじ部１０ａと螺合す
べく雌ねじ部１１ａが形成されている。ロッド部材１０
には、前記溶融樹脂移送管６の内径部６ｃに符合する貫
通路１２が、ロッド部材１０の長手方向と直交するよう
に、かつ、横断されて形成されている。

【００２２】この貫通路１２には、溶融樹脂Ｒ中の不純
物や異物などを除去するためのフィルター部材１３を着
座させるべく第１拡径部１２ａが形成されると共にフィ
ルター部材１３を押えるためのスプリングプレート１３
ｃおよび押えリング１４を挿入させるべく第２拡径部１
２ｂが形成されている。また、ロッド部材１０とロッド
部材１０のヘッド部分である厚肉円板状のスクリーン回
転部材１０ｂとの境界部およびロッド部材１０とリング
ナット部材１１との境界部には、溶融樹脂Ｒの漏れを防
ぐべくシール材１５がロッド部材１０を囲繞して設けら
れている。さらに、スクリーン回転部材１０ｂおよびリ
ングナット部材１１の周方向には、スクリーン部材１ｂ
をスクリーン支持管部１ａに締め付けて固定するための
回転用穴１６が一定の間隔をおいて形成されている。

【００２３】フィルター部材１３は、ブレーカープレー
ト１３ａとスクリーンパック１３ｂとから構成される。
図３に示すように、ブレーカープレート１３ａは、円板
状に形成され、貫通路１２に面する中央部に、蜂の巣状
に多数の孔（例えば、φ３〜φ５）が形成されて構成さ
れている。スクリーンパック１３ｂは、例えば１５０〜
２５０メッシュのステンレス製の金網を重ね合わせて構
成されると共にブレーカープレート１３ａ，１３ａによ
って挾持されている。

【００２４】フィルター部材１３の取り付けは、ロッド
部材１０に形成された貫通路１２の第１拡径部１２ａに
着座して行われる。然る後、フィルター部材１３を固定
すべくスプリングプレート１３および押えリング１４が
第２拡径部１２ｂに挿入される。

【００２５】次に、フィルター部材１３を固定した後、
ロッド部材１０およびスクリーン回転部材１０ｂは、ス
クリーン支持管部１ａの面取部９に着座するよう挿入穴
８に挿入される。面取部９に挿入させたロッド部材１０
およびスクリーン回転部材１０ｂにリングナット部材１
１を螺合させることにより、スクリーン部材１ｂはスク
リーン支持管部１ａに固定される。その際、フィルター
部材１３がスクリーン支持管部１ａの溶融樹脂移送管６
と直交するように固定すると共にその直交する位置が判
別できるようにスクリーン支持管部１ａとスクリーン回
転部材１０ｂとの両方に目印を付けておいてもよい。

【００２６】さらに、スクリーン支持管部１ａにスクリ
ーン部材１ｂが固定されてなるスクリーン装置１は、ス
クリーン支持管部１ａのフランジ７ａ，７ｂと押出機本
体部２ａおよびダイヘッド部２ｂとを図示しないボルト
でそれぞれ接合させて押出機２にセットされる。

【００２７】次に実施例の作用を説明する。

【００２８】スクリュー４によって混練された溶融樹脂
Ｒは、バレル３を通って溶融樹脂移送管６へと押出され
る。溶融樹脂移送管６に導入された溶融樹脂Ｒは、ブレ
ーカープレート１３ａによって溶融樹脂Ｒ中に混在する
粗い不純物や異物を、スクリーンパック１３ｂによって
細かい不純物や異物を除去されてダイヘッド部２ｂの押
出管５へと押出される。

【００２９】フィルター部材１３によって濾過された不
純物や異物は、フィルター部材１３の押出機本体部２ａ
側に濾過されることになる。この不純物や異物が濾過さ
れたフィルター部材１３は、適宜、洗浄を行わなければ
ならない。

【００３０】図４に示すように、本発明においては、ス
クリーン部材１ｂを反転させることにより、フィルター
部材１３の濾過面は、押出機本体部２ａ側からダイヘッ
ド部２ｂ側へと向けられる。すなわち、スクリーン部材
１ｂを反転させることによって、フィルター部材１３に
濾過された溶融樹脂Ｒ中の不純物や異物は、溶融樹脂Ｒ
の流れを利用して洗浄を行って除去することができる。

【００３１】また、スクリーンパック１３ｂはブレーカ
ープレート１３ａによって挾持されているため、フィル
ター部材１３はリバーシブル構造になっている。すなわ
ち、フィルター部材１３の表面を洗浄するためにスクリ
ーン部材１ｂを反転させることによって、裏面にあった
清浄な濾過面が新たな表面となるため、本発明において
は、常に清浄な濾過面を用いて溶融樹脂Ｒの濾過を行う
ことができる。

【００３２】本発明においては、濾過面の洗浄時に多少
の溶融樹脂Ｒの損失はあるが、従来のように押出機を分
解してフィルター部材を洗浄する場合と比較すると溶融
樹脂の損失量は遥かに少ない。さらに、従来のスクリー
ン装置の場合は、押出機の稼動を停止させなくてはなら
なかったが、本発明においては、押出機の稼動を停止さ
せることなくフィルター部材の洗浄を行うことができ
る。

【００３３】また、ロール状に設けたスクリーンシート
を巻きとって濾過を行う従来のスクリーン装置の場合、
スクリーンシートを挿抜自在に巻き取るためには、最も
薄くても、スクリーンシートの厚み分のスリットをバレ
ルに形成する必要があり、スクリーンシートに濾過され
た溶融樹脂中の不純物や異物の脱落を防ぐためにはバレ
ルのスリットはできるだけ大きい方が良い。しかし、溶
融樹脂のシール性を保つためにはバレルのスリットはで
きるだけ小さくしなければならないという問題がある。

【００３４】本発明においては、フィルター部材を洗浄
する際は、スクリーン部材を反転させるだけなので、ス
クリーン支持管部とスクリーン部材とのシール性を保つ
だけで良いので、シーリングは容易である。さらに、本
発明のスクリーン装置は、既存の押出機の押出機本体部
２ａとダイヘッド部２ｂとの間にボルト接合するだけな
ので、設備を新たに更新する必要がなく、コスト削減に
もなる。

【００３５】次に本発明の他の実施例を説明する。

【００３６】図５に示すように、ロッド部材３０ｂの長
手方向と直交し、かつ、そのロッド部材３０ｂを横断さ
せて形成される円筒状の貫通路３２をロッド部材３０ｂ
の長手方向に沿って複数本、かつ、同一方向に形成し、
それぞれの貫通路３２の中央に貫通路３２と直交してフ
ィルター部材３３を設けた。

【００３７】ロッド部材３０ｂに複数のフィルター部材
３３を設けたことにより、ブレーカープレート３３ａお
よびスクリーンパック３３ｂが溶融樹脂Ｒ中に混在する
不純物や異物などで目詰まりして圧損を起こし、フィル
ター部材３３の交換が迫られた場合、スクリーン部材３
１ｂをロッド部３０の長手方向にスライドさせることに
よって、図示しない押出機の稼動を停止させることなく
フィルター部材３３の交換を行うことができるようにな
る。

【００３８】この場合、スクリーン回転部材３０ｃとリ
ングナット部材３１との距離が単連式スクリーン装置の
場合と比べて離れているため、ロッド部材３０ｂに形成
されたそれぞれの貫通路穴３２ａと貫通路３２ｂとの中
間に位置決めピン孔３４を形成し、スクリーン回転部材
３０ｃと位置決めピン３４ａ或いはリングナット部材３
１と位置決めピン３４ａによってスクリーン部材３１ｂ
とスクリーン支持管部３１ａとの固定を行っている。
尚、フィルター部材３３を複連式にしても、本発明の押
出機用スクリーン装置と同様の効果を発揮することは言
うまでもない。

【００３９】次にロッド部の変形例を図６に示す。

【００４０】図６に示すように、スクリーン回転部材３
５ｃの形状を例えば厚肉六角板にすると、厚肉円板形状
のスクリーン回転部材の時には必要であった回転用穴が
不要になると共にスパナなどの一般工具でスクリーン部
材をスクリーン本体に締め付けて固定することができ
る。勿論、スクリーン回転部材の形状は多角形であって
も良い。

【００４１】また、図示しない長方形のブレーカープレ
ートおよびスクリーンパックをボルト３７ａで固定して
フィルター部材３７を形成する。このフィルター部材３
７を、貫通路３９と直交するようにロッド部材３５ｂに
形成されたスリット３６に挿入し、位置決めピン３８に
よって固定するようにしてもよい。

【００４２】

【発明の効果】以上要するに本発明によれば、押出機の
分解を行わずにブレーカープレートおよびスクリーンパ
ックの濾過面に濾過された不純物や異物の除去を行うこ
とができると共に既存の押出機への取り付けが容易で、
かつ、操作および制御が容易であるという優れた効果を
発揮する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のスクリーン装置の断面を示す図であ
る。

【図２】本発明のスクリーン装置の押出機への適用例を
示す図である。

【図３】図１のａ−ａ線矢視図である。

【図４】図１のｂ−ｂ線矢視図である。

【図５】本発明の他の実施例を示す図である。

【図６】ロッド部の変形例を示す図である。

【図７】従来のスクリーン装置の押出機への適用例を示
す図である。

【図８】従来のスクリーンシートを用いるスクリーン装
置の押出機への適用例を示す図である。

【符号の説明】

１ スクリーン装置 １ｂ スクリーン部材 ２ 押出機 ２ａ 押出機本体部 ２ｂ ダイヘッド部 ５ 押出管 ６ 溶融樹脂移送管（通路） ８ 挿入穴 １０ ロッド部材 １０ｂ スクリーン回転部材 １２ 貫通路 １３ フィルター部材 Ｒ 溶融樹脂

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石川 喜宣 神奈川県横浜市磯子区新中原町１番地 石 川島播磨重工業株式会社横浜エンジニアリ ングセンター内

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 押出機のダイヘッド部と押出機本体部と
   を結ぶ通路に、これを横断する挿入穴を形成し、該挿入
   穴内に上記通路を通過する溶融樹脂から不純物を濾過す
   るためのスクリーン部材を反転自在に取り付けて、該ス
   クリーン部材の濾過面を上記ダイヘッド側に反転させて
   洗浄するように構成したことを特徴とする押出機用スク
   リーン装置。
2. 【請求項２】 上記スクリーン部材は、上記挿入穴に、
   その軸廻りに回転自在に、且つ、軸方向に挿抜自在に取
   付けられたロッド部材と、該ロッド部材に上記通路と符
   合して形成された貫通路と、該貫通路内に、これを横断
   すべく取付けられたフィルター部材と、上記ロッド部材
   に取付けられ、該ロッド部材をその軸廻りに回転させて
   上記フィルター部材の濾過面を反転させると共に上記通
   路に固定させるためのスクリーン回転部材とを備えた請
   求項１記載の押出機用スクリーン装置。