JPH0999037A - 医療用複室容器 - Google Patents
医療用複室容器Info
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Abstract
透明性、柔軟性および外観のバランスに優れた医療用複
室容器を提供すること。 【解決手段】メタロセン系触媒で製造され、かつ融点が
140℃以下であるポリプロピレンと、オレフィン系ま
たはスチレン系熱可塑性エラストマーとの重合体組成物
を内壁面とする容器であって、相対する内壁面の一部が
剥離可能な熱シールによって複数の収容室に区画されて
いる。
Description
互いに隔離された別々の収容室で保存し、使用時には隔
離部を破断することによって該複数の薬液をクローズド
の状態で混合するのに適した医療用複室容器に関する。
状態で生体内に投与することはごく一般的であるが、混
合する薬剤成分の組み合わせによっては次のような方法
が探られる。例えば輸液の場合、アミノ酸とブドウ糖と
を含む液はメイラード反応による変質が起こりやすいの
で、各成分を別々の閉鎖系に保存しておき、患者への投
与の直前に混合することが多いが、この際混合操作を無
菌的に(クローズドシステムで)行うために、また容易
に操作するために、複数の収容室に区画された容器を用
い、該収容室の各々に異なる輸液成分を保存しておき、
使用直前に区画された収容室を何らかの手段でクローズ
ドシステム内で連通させ混合する方法が実用化されるよ
うになった。
は安定に各輸液成分を隔離でき、使用時(混合時)には
容易に連通させ得ることが大切であり、このために種々
の形態が工夫され提案されている。代表的なものは、
(1)収容室間を外側からクランプで狭窄するもの(特
開昭53−38189号、特開昭61−103823
号、特開平1−160558号など)、(2)収容室間
を容器外に露出したチューブで連結し、該チューブをク
ランプで狭窄するもの(実開昭57−76636号な
ど)、(3)収容室間に用時連通可能な連通具をもつも
の(特開昭57−52455号など)、(4)収容室間
の隔壁部のシールを比較的安定でかつ混合時には容易に
破断できる程度の接着強度としたもの(特開昭63−1
9149号(特公平6−26563号)、特開昭63−
309263号、特開平1−240469号、特開平2
−4671号、特開平2−57584号、特開平2−2
41457号、特開平2−255418号、特開平4−
242647号、特開平5−31153号、特開平5−
68702号など)、である。
のは、(4)のいわゆるイージリィピーラブルタイプの
複室容器であり、最も注目されている。このタイプの技
術的ポイントは製造時あるいは輸送時においては収容室
間の隔壁シールが比較的安定で破断しにくく、使用時
(混合時)には手、治具などで容易に破断され得る程度
のシール強度を持ち、かつ外界(大気)とつながる境界
部の破断シール強度は十分であることである。したがっ
て、容器の内壁を形成する(すなわち該シール部を成形
する)材質の選定が最重要となるのであるが、一般には
ミクロ相分離構造を成形する材質例えばポリエチレンと
ポリプロピレンとの混合物、ポリエチレンと架橋ポリエ
チレンとの混合物など(これらはシール部の破断時にい
わゆる凝集剥離を起こすタイプである)が使われる。し
かしながら、問題なのはこれらの材質が輸液容器として
の材料の要件すなわち安全性、柔軟性、透明性、耐熱性
(耐高圧蒸気滅菌性)などを満たすか否かであり、最も
頻繁に行われるポリプロピレンとポリエチレンの混合物
の適用は透明性と柔軟性に難がある。ポリプロピレンと
ポリエチレンを混合して得たシートは透明性が損なわれ
る。また、ポリプロピレンは剛性が高く(柔軟性に劣
り)、比較的柔軟なポリエチレンを混合しても輸液容器
として満足な柔軟性の領域には到達し難い。ポリプロピ
レンを柔軟化する有効な手段として他のモノマー(例え
ばエチレンやブテン−1)の共重合が知られているが、
柔軟性を増すためにコモノマー量を多くすると、それか
ら得られる容器(シート)の表面にべたつきの問題があ
る(低分子量成分や無定形成分に起因)。なお、ここで
述べた「ポリプロピレン」は不均一系チタン触媒で製造
される通常の結晶性ポリプロピレンのことである。
なイージリィピーラブル型医療用複室容器につきものの
材質の選定の問題の解消を課題としてなされたものであ
る。
触媒で製造され、かつ融点が140℃以下であるポリプ
ロピレン(以下、M−PPと称す)と、オレフィン系熱
可塑性エラストマーまたはスチレン系熱可塑性エラスト
マーからなる熱可塑性エラストマー(以下、単に熱可塑
性エラストマーと称す)との重合体組成物を内壁面と
し、相対する内壁面の一部が剥離可能な熱シールによっ
て複数の収容室に区画されている医療用複室容器であ
り、安全性、柔軟性、耐熱性、外観などのバランスにお
いて従来にないすぐれた医療用複室容器である。
レンは不均一系チタン触媒で製造される「通常」のポリ
プロピレン(以下PPと称す)に比し、均一系触媒の効
果が発揮され、分子量分布が非常に狭く、ランダム性に
富み均質な分子構造をとるので、透明性にすぐれ、低融
点の場合でも低分子量物や不定形物(アタクチックポリ
マー)が非常に少ないのでべたつきが無く溶出成分も微
量であることは周知の通りであり、比較的低融点のもの
が必然的に柔軟性に富むことも明らかであるが、特定の
熱可塑性エラストマーとの組み合わせにおいて複室容器
としての要件を十分満たすことが本発明によって見出さ
れたのである。本発明におけるM−PP熱可塑性エラス
トマーとの重合体組成物がミクロ層分離構造を形成する
のか、相溶系であるのかなどについては解明の余地があ
るが、M−PPと熱可塑性エラストマーとの分子間相互
作用が適度なシール強度、透明性、柔軟性などと密接に
結びついていると考えられている。
触媒(活性点の性質が同一という点に着目してシングル
サイト触媒あるいは均一系触媒とも言われる)とも呼ば
れるメタロセン触媒(一般にはZr, Hf, Tiなどの遷移金
属のシクロペンタジエニル系、インデニル系あるいはフ
レオニル系化合物)を用いて製造されるポリプロピレン
のうち融点が140℃以下のものであり、アイソタクチ
ックあるいはシンジオタクチックの立体規則性の度合
い、2,1−結合(頭−頭結合あるいは尾−尾結合)や
1,3−結合(トリメチレン結合)の含量が調節されて
製造される。また、エチレン、ブテン−1、ヘキセン−
1、オクテン−1などのα−オレフィン類を少量(2〜
20モル%)共重合したコポリマーであることもある。
M−PPの製造については、例えば曽我和雄ほか著「日
本化学会編・新産業化学シリーズ・重合プロセス技術−
ポリオレフィン」(大日本図書(株)1994年発行)
に述べられている。
0℃以下であることを要件とする。融点が140℃を超
えると剛性が高くなり、柔軟性に乏しくなり、M−PP
の特性が生きてこないからである。熱可塑性エラストマ
ーはM−PPの柔軟剤として働くが、M−PPの剛性が
高い領域では多量に添加することが必要となり、成形性
の低下につながる。高圧蒸気滅菌時の温度(通常100
〜121℃で行われる)をも考慮すると好ましい融点は
120〜135℃である。この領域ではM−PPの曲げ
弾性率は約4,000kg/cm2以下であり、比較的少量の
熱可塑性エラストマーの添加で柔軟となり、しかも複室
容器としての要件である良好なシール挙動を示す。そし
て成形性、成形物(容器シート)の力学的性質などを考
慮すると、温度230℃、荷重2,160gにおけるM
FR(メルトフローレイト)が0.3〜15より好まし
くは0.5〜15であるのがよい。
マーのうちオレフィン系熱可塑性エラストマー(以下T
POと称す)はエチレンとプロピレン、ブテン−1、ヘ
キセン−1などのα−オレフィン類とのコポリマーのう
ち非晶性もしくは低結晶性の軟質ポリマー(エラストマ
ー)が代表例であり、特に密度0.90g/cm3以下でビ
カット軟化点が50〜70℃で、エチレン含有量が25
〜80重量%のものが好ましく選ばれる。そしてTPO
は成形性、成形物の力学的性質などを考慮すると、温度
230℃、荷重2,160gにおけるMFRが0.5〜1
5より好ましくは1〜10程度であるのがよい。
ーのうちスチレン系熱可塑性エラストマー(以下SBC
と称す)の代表例を以下に挙げる。これらは通常公知の
方法で製造される。 (1)ブロック(ポリスチレン−エチレンブチレンコポ
リマー−ポリスチレン)(以下SEBSと称す):ポリ
スチレン−ポリブタジエン(1,2−結合体と1,4−結
合体とのコポリマー)−ポリスチレン型のトリブロック
コポリマー(SBS)への水素添加によって得られるブ
ロックコポリマーである。M−PPとの親和性、得られ
るシートのイージリィーピーラブル性などを考慮する
と、両端のポリスチレン部(S部)の合計がSEBS中
の10〜40重量%さらに好ましくは12〜30重量%
を占めるのがよい。また、エチレンブチレンコポリマー
部(EB部)はEB部中のブチレン部の割合が20〜9
0重量%でさらに好ましくは30〜80重量%であるの
がよい。そして、成形性、成形物の力学的性質などから
SEBSは温度230℃、荷重2,160gにおけるM
FRが0.5〜20さらに好ましくは1〜15のものが
薦められる。 (2)ブロック(ポリスチレン−エチレンプロピレンコ
ポリマー−ポリスチレン)(以下SEPSと称す):S
EBSの場合とほぼ同様、ポリスチレン−ポリイソプレ
ン−ポリスチレン型のトリブロックコポリマー(SI
S)の水素添加で得られる。SEBSと同様の事柄を考
慮すると、両端のポリスチレン部(S部)の合計がSE
PS中の8〜40重量%さらに好ましくは10〜35重
量%であるのがよく、MFRは0.5〜20さらに好ま
しくは1〜15のものがよい。
ブチレンコポリマー−ポリエチレン)(以下SEBEと
称す):ポリスチレン−ポリブタジエン(1,2−結合
体と1,4−結合体のコポリマー)−ポリ−1,4−ブタ
ジエン型のトリブロックコポリマーの水素添加で得られ
る。SEBSと同様の事柄を考慮すると、ポリスチレン
部(S部)、エチレンブチレンコポリマー部(EB部)
およびポリエチレン部(E部)の重量割合は好ましくは
5〜30:40〜80:10〜40さらに好ましくは8
〜25:45〜75:12〜35であり、EB中のブチ
レン量は25〜90重量%さらに好ましくは30〜80
重量%であるのがよい。また、MFRはSEBSと同程
度のものがよい。 (4)ブロック(ポリスチレン−エチレンプロピレンコ
ポリマー−ポリエチレン)(以下SEPEと称す):ポ
リスチレン−ポリ−1,4−イソプレン−ポリ−1,4−
ブタジエン構造のトリブロックコポリマーの水素添加に
よって製造され得る。SEBSと同様の事柄を考慮する
と、ポリスチレン部(S部)、エチレンプロピレンコポ
リマー部(EP部)およびポリエチレン部(E部)の重
量割合は好ましくは5〜30:40〜80:10〜40
さらに好ましくは8〜25:45〜75:12〜35で
あって、MFRがSEBSと同程度のものがよい。 (5)ブロック(ポリスチレン−ポリ−1,2−ポリイ
ソプレン−ポリスチレン)もくしはその水素添加物:ポ
リスチレン含量が10〜50重量%さらに好ましくは1
5〜40重量%であって、MFRがSEBSと同程度の
ものがよい。 上記(1)〜(5)のスチレン系熱可塑性エラストマー
のうち、(1)のSEBSと(2)のSEPSが最も汎
用性に富む。
るのはM−PPと熱可塑性エラストマーとの重合体組成
物であるのは既に示した通りであり、一般には該組成物
は、熱シール性、シール強度、柔軟性、透明性、耐熱性
などを考慮すると、M−PPと熱可塑性エラストマーと
の重量比が90:10〜60:40さらに好ましくは8
5:15〜65:35であるのがよい。この範囲におい
て良好な性能バランスが得られやすい。また、本発明の
医療用複室容器は内壁面がM−PPと熱可塑性エラスト
マーとの重合体組成物であり、M−PPと熱可塑性エラ
ストマーとの重合体組成物のシート単独からなる場合
と、M−PPと熱可塑性エラストマーとの重合体組成物
を内層(容器の内壁面)とし、他のポリマー(または重
合体組成物)を外層あるいは中間層とする多層シートの
場合がある。後者では容器のガス(水蒸気、酸素など)
バリアー性、透明性、柔軟性、耐熱性、強度などの要求
性能に応じて他のポリマー(または他の重合体組成物)
と組み合わされるが、具体的に好ましい他のポリマー
(または他の重合体組成物)の代表例を次に示す。
ン−1、オクテン−1、4−メチルペンテン−1などの
α−オレフィン類を共重合成分とする密度0.910〜
0.930g/cm3の線状低密度ポリエチレン。Ziegler-
Natta 系触媒やメタロセン系触媒で製造されるが、特に
後者は透明性という点で好ましい。 (ロ)結晶性ポリプロピレンまたはこれを主成分とする
結晶性ポリプロピレン系コポリーマ。(イ)の場合と同
様Ziegler-Natta 系触媒(不均一チタン系触媒)もしく
はメタロセン系触媒で製造される。特に後者の場合は柔
軟性・透明性のよいポリマーが得られやすいという点で
すぐれている。 (ハ)(ロ)とアモルファスポリプロピレン(アタクチ
ックポリプロピレン)との重合体組成物。 (ニ)エチレンビニルアルコールコポリマー、容器に酸
素ガスバリアー性を付与する目的で用いられ得る。ま
た、本発明の医療用複室容器を形成するシートの厚さは
全体で0.2〜0.6mmより好ましくは0.25〜0.4
5mmであるのが適当であり、複層の場合の場合にはM−
PPと熱可塑性エラストマーとの重合体組成物層は0.
01mm以上好ましくは0.02mm以上であるのがよい。
され得る。すなわち、単層用あるいは外層用のTダイま
たはサーキュラーダイを介して抽出し(溶融温度は17
0〜250℃さらに好ましくは180〜230℃)、得
られたフラット状のシート、チューブ状のシート、パリ
ソンなどについてサーモフォーミング、ブロー、延伸
(熱シール性を考慮すると無延伸の方がよいが)、裁
断、融着などの手法を適宜活用して所定の形状・形態に
加工すればよい。複室容器の作製で最も重要なポイント
は熱シールの工程である。複数の収容室間の仕切り(融
壁)部のシールは製造時あるいは輸送時には破断が起こ
りにくく、使用時(混合時)には手、治具などで容易に
破断できる程度のシール強度(一般には180℃剥離強
度で0.3〜1kg/15mm程度)を示し、外界と接する
部分のシール(周辺シール)は容易には破断できない程
度のシール強度(180℃剥離強度が1.5kg/15mm
以上より好ましくは2kg/15mm以上)であることが要
求されるため、仕切り部シールと周辺シールの条件のコ
ントロールが要求される。本発明の容器の場合、仕切り
部シールは温度110〜150℃、圧力1〜4kg/c
m2、時間0.2〜5秒、シール巾2〜10mmで、周辺シ
ールは温度130〜200℃、圧力2〜5kg/cm2、時
間0.2〜10秒、シール巾5mm以上の範囲で行うのが
通常である。収容室の数は2〜4個が一般的である。
の重合体組成物の調製は通常公知の単軸もしくは2軸の
溶融混合押出機や静的溶融混合機を利用して行うことが
できる。混合時の溶融温度は160〜220℃が好まし
い。本発明の複室容器は輸液剤におけるアミノ酸液とブ
ドウ糖液の組み合わせ、あるいは、CAPDに用いる腹
膜透析透析液における炭酸水素ナトリウム液とブドウ糖
含有電解質液の組み合わせの如く、同一溶液内に存在す
ると変質が起こりやすい薬液の組み合わせに有効であ
り、さらには輸液のみならず血液分野にも適用され得る
ものである。
説明する。 1)実験方法 (1)原料ポリマーの準備:使用した原料ポリマー(ペ
レット状)を表1に示す。なお、融点は示差走査熱量計
を用い、10℃/分の昇温速度で測定した。
ーを適宜選択し、45mm中の2軸溶融混練押出機を用い
て、所定の割合で180〜200℃の温度範囲で混練
し、押出されたストランドを水冷・カッティング乾燥し
て表2に示すペレット状の重合体組成物を得た。
表2のポリマーまたは重合体組成物を単層用または多層
用のサーキューラーダイ(インフレダイ)に供給し、1
80〜200℃でチューブ状のシートを押出し、水冷リ
ングで冷却後、厚さ0.3mm、折径200mmのシートを
5m/分の速度で巻き取った。表3にシートの構成を示
す。 (4)複室容器の作製:(3)で得られたシートを30
0mm長に裁断し、中央部の巾7mmを温度120℃、圧力
2kg/cm2、時間5秒の条件で熱シール後、片方の室に
アミノ酸3wt/v%水溶液、もう一方の室にブドウ糖1
5wt/v%水溶液各400mlを入れ、両端を巾10mm、
温度160℃、圧力4kg/cm2、時間5秒の条件で熱シ
ールし、区画室が2個の薬液入り複室容器を作製した。 (5)高圧蒸気滅菌:(4)の容器を高圧蒸気滅菌機に
入れ、窒素雰囲気中で、温度110℃、ゲージ圧1.8k
g/cm2、時間30分の条件において滅菌し、室温まで冷
却した。
を窒素雰囲気中で48時間以上放置した後、容器シート
の一部を切り取って、波長450nmにおける水中透過率
を島津ダブルビーム型自記分光光度計UV−300にて
測定し、透明性の尺度とした。 (7)容器の柔軟性の評価:(5)の容器の48時間以
上放置後のシートをダンベル状に裁断し、JISK71
13に準じて引張弾性率を測定し、柔軟性の尺度とし
た。 (8)シール強度の測定:(5)の容器の48時間以上
放置後のシートの中央部(仕切り部)および端部(周辺
部)のシール部を切り取り、300mm/分の速度で18
0°剥離強度を測定した(表3中の剥離強度は15mm巾
に換算した値である)。 (9)容器(シート)表面の調査:(5)の容器の48
時間以上放置後の容器表面のべたつき状態を肉眼観察す
るとともに、手でさわって調べた。 (10)容器の仕切り部の破断性(連通性)の評価:
(5)のシートを机の上に寝かせて置き、一方の区画室
側を手で押さえる程度で、仕切り部のシールが破断する
か否か確認した(各例につき5回テスト)。 (11)溶出物試験:日本薬局方一般試験法「輸液用プ
ラスチック試験法」に準じ、(3)で得られたシートに
ついて試験を行った。
調で、異物、発泡、ブロッキングなどは観察されず、均
一性に富む重合体組成物ペレットおよびシートがいずれ
の場合も得られた。 (2)実施例1〜8のいずれの組成においても溶出物は
日本薬局方に適合することが確認された。 (3)表3にシートの構成と高圧蒸気滅菌後の透明性
(水中透過率)、柔軟性(引張弾性率)およびシール強
度を示す。本発明におけるM−PPと熱可塑性エラスト
マーとの重合体組成物を層成分として含む容器(シー
ト)はいずれも透明性と柔軟性にすぐれていることがわ
かる。一方、比較的高融点のメタロセン系触媒で製造さ
れたポリプロピレンを使用した場合は柔軟性に乏しい
(比較例1)。 (4)M−PPの分子量分布の狭さを反映してか、容器
(シート)表面にべたつき現象が発生せず、通常PP
(比較例2)の欠点を解消している。すなわち、比較例
2の場合は表面が濡れていると感じられるほどのべたつ
き状態であった。 (5)容器の仕切り部の破断性(連通性)は比較例を含
めていずれも良好であり、容易に連通させることができ
た。表3のシール強度のデータもこれを裏付けている。
容器は140℃以下と比較的低融点のメタロセン系触媒
で製造されたポリプロピレンの持つ特性がオレフィン系
あるいはスチレン系熱可塑性エラストマーとの組み合わ
せにおいて良好に発揮されることを利用したものであ
り、複室容器としての性能(イージリィピーラブル性)
はもちろん、透明性、柔軟性、外観などのバランスにす
ぐれている。また、生産性にも富むので、医療分野に大
きく貢献するものと期待される。
Claims (4)
- 【請求項1】 メタロセン系触媒で製造され、かつ融点
が140℃以下であるポリプロピレンと、オレフィン系
熱可塑性エラストマーまたはスチレン系熱可塑性エラス
トマーからなる熱可塑性エラストマーとの重合体組成物
を内壁面とし、相対する内壁面の一部が剥離可能な熱シ
ールによって複数の収容室に区画されていることを特徴
とする医療用複室容器。 - 【請求項2】 上記熱可塑性エラストマーがエチレン−
プロピレンコポリマーもしくはエチレン−ブテン−1コ
ポリマーである請求項1に記載の医療用複室容器。 - 【請求項3】 上記熱可塑性エラストマーがブロック
(ポリスチレン−エチレンブチレンコポリマー−ポリス
チレン)もしくはブロック(ポリスチレン−エチレンプ
ロピレンコポリマー−ポリスチレン)である請求項1に
記載の医療用複室容器。 - 【請求項4】 上記重合体組成物中の熱可塑性エラスト
マーの含量が10〜40重量%である請求項1に記載の
医療用複室容器。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7259048A JPH0999037A (ja) | 1995-10-05 | 1995-10-05 | 医療用複室容器 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7259048A JPH0999037A (ja) | 1995-10-05 | 1995-10-05 | 医療用複室容器 |
Related Child Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2006043015A Division JP4119920B2 (ja) | 2006-02-20 | 2006-02-20 | 医療用複室容器 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0999037A true JPH0999037A (ja) | 1997-04-15 |
Family
ID=17328616
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP7259048A Pending JPH0999037A (ja) | 1995-10-05 | 1995-10-05 | 医療用複室容器 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0999037A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US5945187A (en) * | 1996-12-23 | 1999-08-31 | Novo Nordisk A/S | Medicament container of polymer of linear olefin for storing a liquid medicament |
JP2000178319A (ja) * | 1998-12-14 | 2000-06-27 | Mitsubishi Chemicals Corp | 医療容器用プロピレン系ランダム共重合体及びその組成物、並びに医療容器 |
EP1693044A4 (en) * | 2003-12-11 | 2009-07-08 | Fujimori Kogyo Co | MULTIBAY TANK |
-
1995
- 1995-10-05 JP JP7259048A patent/JPH0999037A/ja active Pending
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