JPH0995885A - パルプの漂白方法 - Google Patents

パルプの漂白方法

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JPH0995885A
JPH0995885A JP27469895A JP27469895A JPH0995885A JP H0995885 A JPH0995885 A JP H0995885A JP 27469895 A JP27469895 A JP 27469895A JP 27469895 A JP27469895 A JP 27469895A JP H0995885 A JPH0995885 A JP H0995885A
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bleaching
pulp
lignin
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oxygen
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Takeshi Iimori
武志 飯森
Makoto Machida
誠 町田
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Jujo Paper Co Ltd
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Nippon Paper Industries Co Ltd
Jujo Paper Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 無公害で効率の良いパルプの漂白方法を提供
すること。 【解決手段】 酸素漂白パルプを、0.0001〜1.
0U/mlの活性を有するリグニンペルオキシダーゼに
より処理することを特徴とするパルプの漂白方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は酵素を用いたパルプ
の漂白方法に関し、特に、酸素漂白パルプを、0.00
01〜1.0U/mlの活性を有するリグニンペルオキ
シダーゼにより処理する、パルプの漂白方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、パルプの漂白過程における蒸解後
のパルプ中には、リグニンを中心とした着色物質が多く
残存している。従って、蒸解後のパルプから着色物質を
除くために漂白という工程が必要となる。しかしなが
ら、この漂白工程には、塩素、二酸化塩素あるいは次亜
塩素酸ナトリウム等の塩素系薬品が多量に用いられてい
ることから、その廃液には金属を著しく腐食する塩素が
残され、蒸解の際の薬品回収工程における濃縮燃焼及び
漂白工程における再循環利用を困難なものとしている。
【0003】また、漂白廃液を活性汚泥や凝集沈殿など
で処理した後系外に排出する排水中には、極めて毒性の
高いダイオキシンを初めとする塩素化フェノール類が含
まれていることが近年明らかとなり、自然環境に対する
汚染を起こす恐れがあることが明らかとなった。そこ
で、塩素系漂白剤を全く使用しない酸素/アルカリ処理
等の酸素系漂白法、並びに、微生物や酵素を用いたバイ
オブリーチングとよばれる漂白法等が大きく注目される
に至った。
【0004】酸素/アルカリ漂白処理は、通常アルカリ
条件下で、リグニン中のフェノール性水酸基などの酸性
の水酸基を遊離させることによって電荷に富んだ部分を
作り、そこに酸素を求電子的に反応させることによりリ
グニンを分解するものであり、アルカリ条件下で圧縮空
気を吹き込むだけで反応が進行し、比較的容易に行える
漂白方法であるので、広く採用されている。しかしなが
ら、この漂白方法では、その反応機構上、リグニン中の
遊離のフェノール性水酸基を有する部分しか分解するこ
とができないので、実際には、蒸解後のパルプ中の約半
分のリグニンしか除去することができない。
【0005】一方、バイオブリーチング漂白法では、酵
素の基質特異性に基づいて特異的に選択漂白することが
できる上、常温・常圧及び中性領域で漂白を行うことが
可能なので、設備に特殊な性能が要求されず、また、使
用する薬品の危険性が極めて低いという利点がある。ま
た、バイオブリーチング漂白法を用いる場合における、
パルプ中の着色物質であるリグニンを分解できる酵素を
有する微生物としては、白色腐朽菌と呼ばれる一連のリ
グニン分解微生物が挙げられる。
【0006】この様な微生物を用いたパルプ漂白の報告
として、Phanerochaete chrysosporium を用いた例(バ
イオテック・レター. I,347〜353(1979))、及び、Cori
olisversicolor を用いた例(タッピ・ジャーナル.198
9年5 月号217 〜220)などが挙げられる。しかしなが
ら、このような微生物によるバイオブリーチング処理で
は処理時間が長い上、リグニンを分解すると同時にセル
ロースも分解するという欠点があった。
【0007】そこで処理時間を短縮化するために、これ
らの微生物が生産する酵素を用いて直接漂白を行うこと
が考えられる。従来から、リグニンを酵素により分解
し、紙パルプ工業の漂白に利用しようとする試みは多く
なされており、この目的のために、リグニンペルオキシ
ダーゼ、マンガンペルオキシダーゼ、ラッカーゼ等の前
述した白色腐朽菌が生産するフェノール酸化酵素が用い
られている。
【0008】それらの具体例としては、P.chrysosporiu
m の化学修飾したリグニンペルオキシダーゼを用いて、
過酸化水素の非存在下でパルプの漂白や排水処理を行う
方法(特開平3−104993号公報)、P.chrysospor
ium の変異株SC26のリグニンペルオキシダーゼrL
DMを用いたパルプ処理あるいは漂白排水を脱色する方
法(特表昭62−500604号公報)等が開示されて
いる。しかしながら、単なる酵素のみの漂白ではパルプ
中に残留するリグニンが簡単に分解されないという欠点
があった。
【0009】そこで、上述した酵素と数種類の薬品等を
組み合わせて用いる多段漂白が行われた。例えば、ラク
ターゼ処理、及び、二酸化塩素又は二酸化塩素と塩素ガ
スの混合物を用いた漂白処理の後、さらにアルカリ抽出
を行う方法(特開平3−130485号公報)、レドッ
クス電位を200〜500mVの範囲に調節し、その後
リグニン分解酵素を添加することによって漂白反応を開
始する方法(特表平5−505857号公報)等が開示
されている。
【0010】一般的に、薬品による漂白では、パルプ中
のリグニンの化学構造と適正な反応性を有する薬品を選
択する必要性がある。即ち、有毒物質である塩素化フェ
ノール類を低減しようとする場合には特にこの点が重要
となってくる。しかしながら、上記の多段漂白の発明に
おいてはその点が考慮されていないのでリグニン分解酵
素を有効に利用しているとは言い難く、塩素化フェノー
ル類の発生を完全に抑制することが出来ないことはもと
より塩素系の残存物を除去することもできなかった。
【0011】上記の方法とは異なり、無塩素の多段漂白
方法として、過酸化水素の約0.001〜0.5mMの
定常状態濃度下で、活性が0.05〜10.0U/ml
であるリグニンペルキシダーゼ又はマンガンペルオキシ
ダーゼを用いる漂白方法も開示されている(特開平2−
80687号公報)。
【0012】ところで、リグニンペルオキシダーゼがリ
グニンを分解する場合には、リグニンペルオキシダーゼ
が基質であるリグニンから電子を引き抜く酵素反応とそ
れに続く非酵素的なラジカル反応の2段階の反応が起き
る[(K.Hammelら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,83,3708,198
6)、(K.Hammel ら、J.Biol.Chem.,260,8348,1985)]こと
が知られている。この2段階目の反応は、生成したカチ
オンラジカルによるランダムな反応なので、このラジカ
ルの濃度が、反応における重要な因子となる。即ちラジ
カルの濃度が高い場合、ラジカル同志が再結合し、反応
は分解よりもむしろ重合の方に進行することになる。
【0013】従って、活性が約0.05〜10.0U/
mlである、前記したリグニンペルオキシダーゼ、ある
いは、マンガンペルオキシダーゼによる漂白を行って
も、リグニンペルオキシダーゼやMnベルオキシダーゼ
が高濃度であるため、リグニンの高分解率を得ることが
できない。さらに、上記酵素による漂白においては、ベ
ラトリルアルコールや硫酸マンガンといった補酵素を添
加しなければならないという欠点もあった。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明者ら
は、リグニンを分解する過程中の各化学反応機構に併せ
て、リグニンペルオキシダーゼを活用する方法について
鋭意検討した結果、酸素漂白パルプを、特定範囲の活性
を有するリグニンペルオキシダーゼにより処理すること
が特に有効であることを見い出し、本発明を完成させ
た。従って、本発明の目的は、無公害で効率の良いパル
プの漂白方法を提供することにある。
【0015】
【問題点を解決するための手段】本発明の上記の目的
は、酸素漂白パルプを、0.0001〜1.0U/ml
の活性を有するリグニンペルオキシダーゼにより処理す
ることを特徴とするパルプの漂白方法によって達成され
た。本発明で用いられるリグニンペルオキシダーゼ(以
下LiPと略す)とは、1983年にP.chrysosporium
の培養液から単離精製された酵素であり(M.Tienら、サ
イエンス221,661,1983あるいはJ.Glenn ら、Biochem.Bi
ophys.Res.Commun.,114,1077,198)、活性中心にヘム鉄
を含み、一般的には、過酸化水素共存下でベラトリルア
ルコール(3,4−ジメトキシ−フェノール)がベラト
ルムアルデヒドに酸化されることに伴って活性を示す。
【0016】LiPを得るための菌としては、一般にリ
グニンを分解できる菌を挙げることができ、その具体例
として、カワラタケ属(Coriolus versicolor IFO 3034
0 等)、マクカワタケ属(Phanerochaete chrysosporiu
m ATCC 34541等)、シロアミタケ属(Trametes dickins
ii IFO 6488 等)、タマチョレイ属(Polyporus mikado
i IFO 6517等)等が挙げられる。
【0017】本発明におけるLiPの単離方法は用いる
菌株によって異なるが、一般的に行われている方法で単
離することができる。この方法としては、たとえば、M.
H.Goldらの方法(Arch.Biochem.Biophy.,234,353-362,19
84) 、Renganathan らの方法(Arch.Biochem.Biophy.,24
1,304-314,1985) 、F.Tonon & E.Odier の方法(Appl.En
viron.Microbiol.,54,462-472,1988) 、A.Jager らの方
法(Appl.Envrion.Microbiol.,50,1274-1288,1985) 、T.
Kirkらの方法(Enzyme Microbiol.Technol.,8,27,1986)
、M.Kuwaharaらの方法(Mokuzai Gakkaishi,33,821,198
7) 等が知られている。
【0018】本発明で使用する酵素は精製されている必
要性はなく、LiP活性が存在すれば良い。LiPがリ
グニンを分解することによって生じたラジカルの濃度を
低く抑えるために、本発明におけるLiPの活性は0.
0001〜1.0U/mlの範囲であることが必要であ
り、特に0.001〜0.1U/mlの範囲であること
が好ましい。
【0019】活性が1.0U/mlより高くなると、L
iPにより生成したリグニンのラジカルが再結合する機
会が多くなり、漂白による白色度の上昇が抑制されるこ
とになる。また、逆に活性が0.0001U/mlより
低くなると反応が進行しなくなるため、漂白効果は表れ
ない。
【0020】本発明用いる酸素漂白パルプとしては、ア
ルカリ性下、加温・加圧下で酸素と反応することにより
脱リグニンを行ったパルプを用いられることができる。
本発明におけるパルプの処理に際しては、先ず、酸素漂
白パルプを通常、0.1ないし30重量%、好ましくは
0.5ないし10%の範囲内で水中に懸濁し酵素リグニ
ンペルオキシダーゼを添加し処理を行う。
【0021】パルプ濃度が0.1%以下では酵素とパル
プの接触が不十分となり処理効率が低下し、他方30重
量%以上では水分量が少なすぎ、酵素の分散が悪くなる
ために反応性が低下する。その際における処理液のpH
及び温度は、酵素が失活しない範囲であればその条件は
問わないが、通常、pHとしては2〜7、好ましくは3
〜5、温度としては20〜50℃、好ましくは30〜4
0℃の範囲内であれば良い。また、反応時間は処理条件
により相違するが、通常30分〜48時間、好ましくは
1〜24時間程度で十分である。
【0022】尚、本発明においてはベラトリルアルコー
ル等の芳香族化合物を添加することなくリグニンを分解
することができる。この理由については明確ではないが
以下のように推論される。即ち、従来、ベラトリルアル
コールは、酵素と基質であるパルプ等の間でラジカル運
搬体として機能しているとされてきたが、最近の知見で
はリグニンペルオキシダーゼの活性部位から表面まで電
荷リレーより電位差が移動することにより、酵素表面に
電荷の差が生じ、そこでパルプとの間で電子の授受が行
われ、反応が進行するものと推測される。
【0023】
【発明の実施の形態】本発明の方法は、酵素漂白パルプ
を更に漂白するいかなる場合にも適用することができ
る。蒸解後のパルプを単に、オゾン処理或いは酸素/ア
ルカリ漂白処理した後に、一度乾燥された酸素漂白パル
プに対して行うことも、前記漂白処理の後工程として、
乾燥した酸素漂白パルプを得ることなく連続して行うこ
ともできる。その他、多段処理等の従来の漂白処理の最
終工程として、或いは中間工程として行うこともでき
る。
【0024】
【発明の効果】本発明によれば、リグニンの分解反応機
構に沿って、LiPによる漂白処理と酸素系漂白処理を
有効に組み合わせるので、低い酵素活性で漂白を行うこ
とが可能である上、ベラトリルアルコール等の芳香族化
合物の添加が必要でないため、完全に無塩素で、無公害
な漂白が可能となった。
【0025】
【実施例】以下、本発明を実施例によって更に詳述する
が、本発明はこれによって限定されるものではない。
又、特に断らない限り、以下に記載する「部」及び
「%」は、それぞれ「重量部」及び「重量%」を意味す
る。
【0026】カーク塩( Kirk's salt) 液の調製 表1に示した如く各試薬を純水に溶かした後、HClあ
るいはNaOHでpHを4.5に合わせ、カーク塩液を
調製した。
【表1】 ────────────────── KH2PO4 20g MgSO4 ・7H2O 5g CaCl2 1g ミネラル溶液 100ml チアミン塩酸 10mg 純水 1000ml ──────────────────
【0027】表1中のミネラル溶液の調製 表2に示した如く各試薬を純水に溶かした後、HClあ
るいはNaOHでpHを4.5に合わせ、1リットルの
ミネラル溶液を調製した。
【表2】 ───────────────────ニトリロトリアセテート 1.5g MgSO4 ・7H2O 3.0g MnSO4 ・7H2O 0.5g NaCl 1.0g FeSO4 ・7H2O 100mg CoSO4 100mg CaCl2 ・2H2O 100mg ZnSO4 ・5H2O 10mg AlK(SO4)2 10mg H2O2 10mg NaMoO4 10mg ───────────────────
【0028】P.chrysosporium を用いたリグニンペルオ
キシダーゼの調製 ゴールド等の方法(Gold et al.,Arch.Biochem.Bioph
y.,234,353-362,1984 )及び(Renganathan,V., Miki,
K. and Gold,M.H.,Arch.Biochem.Biophy.,241,304-314,
1985 )を若干改良し、種菌培養、前培養(液体静
置培養)、大量振盪培養、及び、濾過の4工程で調
製した。
【0029】種菌培養 下記表3の培地組成に従ってスラントを調整し、これに
P.chrysosporium を接種し、30℃で1週間培養を行
い、胞子を形成させ、この状態で4℃で保存した。 培地組成:
【表3】 ──────────────────────── 麦芽エキス 3% 酵母エキス 0.15% カーク塩液 10m/100m 酒石酸アンモニウム 24mM 寒天 1.5% ────────────────────────
【0030】前培養(液体静置培養) 下記表4の各培地組成分を純水に溶かした後、HClあ
るいはNaOHでpHを4.5に合わせ、120ミリリ
ットルの培地液を調製した。 培地組成:
【表4】 ──────────────────────── グルコース 1.2g (1%) 酒石酸アンモニウム 1.2ml (1.2mM) カーク塩液 12ml 2,2 −ジメチルコハク酸 12ml (20mM) ────────────────────────
【0031】得られた培地液を20mlずつ分けて、2
00mlの三角フラスコに分注し、オートクレーブで滅
菌すると同時に、9mlの滅菌水を菌種培養の工程で得
られたスラントに加え、培地の表面をスパーテルでか
き、胞子を水に懸濁させた。得られた胞子懸濁水0.1
mlをピペットで採取し、滅菌した200mlの三角フ
ラスコの培地に接種し、37℃で3日間静置培養を行っ
た。
【0032】大量培養(振盪) 下記表5の各培地組成分を純水に溶かし、HClあるい
はNaOHでpHを4.5に合わせ、1.5リットルの
培地液を調製した。培地組成:
【表5】 ──────────────────────── グリセリン 15g (1%) 酒石酸アンモニウム 15ml (1.2mM) カーク塩液 150ml ミネラル溶液 90ml 酢酸ナトリウム 200ml (20mM) ツイン80 7.5g (0.5%) ────────────────────────
【0033】得られた培地液を500mlの三角フラス
コ(PYREXの製品を使用)に250mlずつ分注
し、酸素パージ用のガラス管を通したシリコン栓でフラ
スコに栓をし、ガラス管をアルミホイルで覆った後、オ
ートクレーブに15分間入れて滅菌した。前培養した菌
体マットフラスコ1個分を、ワーリングブレンダーで2
0秒ほど均一化した後、その菌体サスペンションを50
0mlの三角フラスコに植菌し、フラスコ6個分、6回
繰り返した後、37℃、140r.p.m.で振盪培養
を行った。培養3日目にLiP誘導のため、ベラトリル
アルコール0.252gを各フラスコに添加すると共に
酸素のパージを開始した。酸素パージは、最低1日1時
間、培養フラスコのガラス管を通して行った。
【0034】(培養液)濾過 LiPが生産されるにつれて培養液はオレンジ色から茶
色に着色していく。培地の色が濃くなり始める頃からL
iPの活性を測定し、高活性が得られた時点で培養を中
止し、直ちにガーゼで濾過して菌体を分離した後、濾液
を遠心分離した。上清をさらに冷却しながらメンブラン
フィルター(孔径は0.45μm)で濾過した。得られ
た濾液をイオン交換カラムを用いて精製し、LiP活性
画分及びマンガンペルオキシダーゼ活性画分を集めた。
【0035】リグニンペルオキシダーゼ活性測定 得られたリグニンペルオキシダーゼの活性を測定するた
め、下記表6の混合物試料を3ccの試験管に入れ、3
7℃の恒温槽内で10分間振盪して加温した後、コント
ロール以外では50mMのH2O220μl、コントロール
では純水を添加し、そのままさらに、37℃で5分間振
盪した後、水浴につけたステレンスの試験管立てに試験
管を移して保温した。
【0036】測定液組成分:
【表6】 ──────────────────────── 20mM succinate 緩衝液(pH3.0) 1480μl 10mM ベラトリルアルコール緩衝液 100μl リグニンペルオキシダーゼ(培養濾液等) 400μl ────────────────────────
【0037】得られた試薬の310nmにおける反応前
後の吸光度を測定し、下式から酵素の比活性を算出し
た。
【数1】 但し、式中のtは反応時間、At は反応後の吸光度、A
o は反応前の吸光度、*はベラトルムアルデヒドの31
0nmにおけるモル吸光係数である。
【0038】マンガンペルオキシダーゼ活性測定 マンガンペルオキシダーゼ活性は、ペイスらの方法(Pa
ice et al.,Appl.Environ.microbiol.,59(1993)260) に
従い、Mnを基質として270nmにおける吸光度の変
化を測定することにより行った。尚、1分間に270n
mの吸光度を1だけ変化させる酵素量を1Uとした。
【0039】実施例1.リグニンペルオキシダーゼによるパルプの漂白 活性が0.08U/mlのLiP、活性が0.05U/
mlのグルコースオキシダーゼ、グルコース50mM、
pH4(2,2−ジメチルこはく酸で調整)、及び、界
面活性剤(ツイン80)を0.05%含む溶液を調製
し、これを用いて工場製未晒パルプ(UKP)及び酸素
漂白後パルプ(OKP)をそれぞれ4g(乾燥)を、3
7℃、140rpm、24時間の条件で漂白反応を行っ
た。反応終了後、手抄紙を作製し、白色度(JISP8
123)を測定した結果は表7に示した通りである。
【0040】
【表7】
【0041】実施例2.LiPの活性を表8の活性に変
化させた他は、実施例1と全く同様の方法にしてOKP
の漂白を行った結果は同表に示した通りである。
【表8】 表8の結果から、酸素漂白後パルプの漂白は、LiPの
活性が0.0001〜1.0 U/mlで顕著であり、特にLiPの活
性が0.001 〜0.1U/ml の範囲であることが好ましいこと
が実証された。
【0042】実施例3.補酵素としてベラトリルアルコ
ール(VA)を0,0.005,0.05,0.5,5mM
を添加した他は、実施例1と全く同様の方法にしてOK
Pの漂白を行た結果は表9に示した通りである。
【0043】
【表9】 表9の結果から、LiPによるパルプの漂白は補酵素
(ベラトリルアルコール)に依存しないことが実証され
た。
【0044】実施例4.実施例1でLiPにより漂白し
た酸素漂白したパルプを、N.Liebergottの条件(Tappi.
J.,75(1)145(1992)) に従って更にオゾン漂白を行った
ところ、その白色度は86.8%に上昇した。
【0045】比較例1.マンガンペルオキシダーゼによるパルプの漂白 活性が0.08U/mlのLiPを、活性が0.1U/
mlのマンガンペルオキシダーゼに代え、さらに硫酸マ
ンガンを0.5mM添加した他は、実施例1と全く同様
にしてLiPによるパルプの漂白を行った結果は表10
に示した通りである。
【0046】
【表10】
【0047】表7及び表10の結果から、LiPによる
パルプ漂白においては酸素漂白後のパルプを用いるとよ
り大きい白色度の上昇が見られること、また、マンガン
ペルオキシダーゼは、UKPを漂白することができるも
ののOKPについてはあまり漂白することができないこ
とから、OKPの酵素漂白にはLiPが好適であること
が実証された。
【0048】比較例2.実施例1に用いた酸素漂白パル
プを用いて下記表11の条件で塩素系薬品による漂白を
行い、白色度87.2%のパルプを得た。 塩素系薬品による漂白条件:
【表11】
【0049】ダイオキシンの分析 実施例1及び比較例2において調整したパルプ中のダイ
オキシンの量を以下の手順に従って分析した。所定量の
風乾パルプをソックスレー抽出器につめ、内部標準物質
としてトルエン100μlをパルプに添加した後、エタ
ノールで48時間抽出を行った。この抽出液にダイオキ
シン保持剤であるn−テトラデカンを4滴加えてロータ
リーエバポレーターを用い、減圧下35℃で1mlまで
濃縮した。この濃縮液をn−ヘキサンに溶解し、硫酸シ
リカゲルカラム、アルミナカラム、活性炭カラムに順次
かけた。次に、溶出液にn−テトラデカン10μlを加
え、ドラフト内で風乾させ分析用試料を調整した。この
様にして調整した試料を高分解能ガスクロマトゲラフ質
量分析により分析した結果は表12に示した通りであ
る。
【0050】
【表12】 ──────────────────────── 実施例1 比較例2 ──────────────────────── 検出不可能 1.8ng/kg ──────────────────────── 表12の結果から、実施例1のパルプがダイオキシンフ
リーであり、通常の塩素漂白パルプよりその安全性が高
いことが実証された。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸素漂白パルプを、0.0001〜1.
    0U/mlの活性を有するリグニンペルオキシダーゼに
    より処理することを特徴とするパルプの漂白方法。
  2. 【請求項2】 置換芳香族化合物を添加しないことを特
    徴とする請求項1に記載されたパルプの漂白方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010265564A (ja) * 2009-05-15 2010-11-25 Mitsubishi Gas Chemical Co Inc Ecf漂白パルプの製造方法

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