JPH0994076A - 新規なコク味調味料素材およびコク味調味料の製造方法 - Google Patents

新規なコク味調味料素材およびコク味調味料の製造方法

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JPH0994076A
JPH0994076A JP7321942A JP32194295A JPH0994076A JP H0994076 A JPH0994076 A JP H0994076A JP 7321942 A JP7321942 A JP 7321942A JP 32194295 A JP32194295 A JP 32194295A JP H0994076 A JPH0994076 A JP H0994076A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 飲食品に容易に「あつみ」および「こく」を
付与しまたはこれを増強する。 【解決手段】 畜肉または魚介類エキスについて、その
pHを3.5〜5.5に調整し、得られた不溶性成分を
回収することにより、コク味付与機能を有する新規な調
味料素材を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、畜肉エキスまたは
魚介類エキスについて、そのpHを3.5〜5.5に調整
し、得られた不溶性成分を回収すること、または、この
方法によって得られた成分を単独またはゼラチンとの共
存下において天然エキスのエキス分の低分子画分を水中
で加熱することにより「あつみ」および「こく」付与物
質が生成する現象を利用した「あつみ」および「こく」
付与機能を有する調味料素材およびコク味調味料に関す
る。
【0002】
【従来の技術】各種料理のベースとして、畜肉エキス、
チキンエキス、魚介類エキス、野菜エキスなどの天然エ
キスが業務用として広く用いられている。これらの天然
エキスの機能は、食品に複雑な味と幅を与える、「あつ
み」および「こく」を与える、食品材料の味の不足を補
うなどとされている。
【0003】しかし、これらの天然エキスは高価であ
り、入手しがたいものであるため、一般的には、これら
天然エキスの一部を用いた加工品および代替品が製造・
市販され利用されている。また、かつお節、煮干、だし
昆布、シイタケなどの基本だし、およびこれらの天然材
料に食塩、砂糖、うま味調味料、アミノ酸などを配合し
た風味調味料も広く使われている。これら市販の天然エ
キスの加工品および代替品などは、その組成がグルタミ
ン酸ナトリウムを中心としたアミノ酸、核酸、有機酸な
どの低分子物質を主成分に構成されているために、やは
り天然のエキスと比較してみると、呈味が単純であり、
ぼけているという欠点を有している。
【0004】従来、このような欠点を補うためには、H
VP(植物蛋白加水分解物)、HAP(動物蛋白加水分
解物)、酵母エキス等を添加することにより、コク味、
複雑味を付与し、呈味の改善を計っているが、HVPお
よびHAPは、分解臭を有しているために、また、酵母
エキスは、酵母特有の風味を有しているため、自ずから
その使用量に制限が生じ、いわゆるモデルとした天然エ
キスとは明らかに呈味・風味が異なり満足できるもので
はなかった。特に、このような調味料は、ビーフブイヨ
ンや鰹節だし汁のような天然素材の持つ「あつみ」およ
び「こく」、天然感、複雑感に欠けるという欠点を有し
ている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前項記載の従来技術の
背景下に、本発明は、飲食品にビーフブイヨンや鰹節だ
し汁などの天然素材の持つ「あつみ」および「こく」を
付与するための新規な調味料素材、コク味調味料、並び
に「あつみ」および「こく」付与方法を提供することを
目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題の
解決につき鋭意工夫を重ねた結果、畜肉エキスまたは魚
介類エキスから得られる不溶性成分が天然素材に特有の
「あつみ」「こく」付与機能に関与するとの知見を得
て、更に鋭意検討した結果、畜肉エキス、魚介類エキス
のpHを3.5〜5.5、よりのぞましくは3.8〜
4.8に調整し、得られた不溶性成分を回収すること、
また、この方法によって得られた成分を単独またはゼラ
チンとの共存下において天然エキスのエキス分の低分子
画分と水中で加熱することにより、天然素材特有の「あ
つみ」および「こく」付与機能を有する高分子成分が生
成するとの結論を得て本発明を完成したものである。
【0007】なお、本発明に言う「あつみ」および「こ
く」とは、ビーフブイヨンやかつお節だし汁などの天然
素材の持つ呈味質であり、後味の伸びおよび深みを表現
するものである。このような呈味質は上記に示した、グ
ルタミン酸ナトリウムなどのアミノ酸類、イノシン酸ナ
トリウムやグアニル酸ナトリウムなどの核酸関連化合物
およびHVP、HAPや酵母エキスなどの調味料素材で
は再現できないものである。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の実施態様の第1は、畜肉
エキスまたは魚介類エキスのpHを3.5〜5.5に調
整し、得られる不溶性成分から成ることを特徴とする新
規なコク味調味料素材である。
【0009】本発明の実施態様の第2は、畜肉エキスま
たは魚介類エキスについて、そのpHを3.5〜5.5
に調整し、得られた不溶性成分を回収することを特徴と
する請求項1記載の新規なコク味調味料素材の製造方法
に関する。この方法によって得られたコク味調味料は、
このままの形態で流通に置くことができる。
【0010】本発明の実施態様の第3は、畜肉エキスま
たは魚介類エキスについて、そのpHを3.5〜5.5
に調整し、得られた不溶性成分を天然エキスのエキス分
の低分子画分とともに水中において加熱することにより
製造されたことを特徴とする新規なコク味調味料の製造
方法に関する。このような方法によって得られたコク味
調味料素材もまた、この形態で流通に置くことができ
る。
【0011】なお、本発明に用いる畜肉エキスは、市販
のビーフエキス、ポークエキス、チキンエキスおよび
牛、豚、鶏の煮汁や蒸煮液等をさす。また、魚介類エキ
スは、市販のカツオエキス、サバエキス、マグロエキ
ス、イワシエキス、グチエキス、ハモエキス、ヒラメエ
キスなどの魚類のエキス、ホタテガイエキス、アサリエ
キス、シジミエキス、カキエキスなどの市販貝類エキス
および加工食品製造時に副生物として得られる、魚類、
貝類の煮汁、蒸煮液、クッカージュースおよびフィッシ
ュソルブルなどを示す。
【0012】天然エキスのエキス分の低分子画分は、要
するに、畜肉エキスまたは魚介類エキスについて、その
pHを3.5〜5.5、好ましくはpH3.8〜4.8に
調整し、得られた不溶性成分単独またはこのような不溶
性成分とゼラチンと加熱した時に「あつみ」および「こ
く」付与機能を有する高分子物質を与えることのできる
低分子画分で、例えばビーフエキスの場合はゲル濾過カ
ラム「トヨパールHW−55F」により測定したときの
分画分子量約10,000以下の画分である。このよう
な低分子画分は、天然エキスから分取したものでもよい
が、未分取のビーフエキス、ポークエキスやチキンエキ
スなどの畜肉系エキス調味料、カツオエキス、サバエキ
ス、ホタテガイエキスやアサリエキスなどの魚介系エキ
ス調味料および酵母エキス等の天然エキスそのままの形
態でも使用可能であり、さらにまた、天然エキスを配合
した配合エキスの形態でも使用可能である。
【0013】このようなコク味調味料、すなわちビーフ
ブイヨンやかつお節だし汁などの天然素材に特有の「あ
つみ」および「こく」を付与する機能を有するコク味調
味料は、例えば、以下に示す方法で得ることが可能であ
る。畜肉エキスまたは魚介類エキスについて、そのpH
を3.5〜5.5、好ましくは3.8〜4.8に調整し、
得られた不溶性成分を回収することによって得られた成
分単独またはこの成分とゼラチンをカツオエキスやビー
フエキスなどの調味料溶液中に溶解し、「あつみ」およ
び「こく」付与機能を有する高分子物質の生成するに適
当な条件で加熱する。 このような条件は、例えば、5
0〜150゜Cにおける、1〜5時間の加熱である。
なお、このときの前記不溶性成分の添加濃度は溶液に対
して例えば0.01〜10%(上乗せ)、そしてゼラチ
ンの添加濃度は0.01〜10%(上乗せ)である。
また、加熱時において、エキス調味料溶液の固形分濃度
を、例えば、5〜80%に調整して反応を行なうが、特
にこの濃度に限定されるものではない。 また、ゼラチ
ンは、周知のように、コラーゲンを水と煮沸して非可逆
的に水溶性に変えたものであるので、加熱して本発明の
コク味調味料を製造する場合のゼラチンとしては、コラ
ーゲンの形態でもよく、またコラーゲンを有する動物の
結合組織、腱、軟骨などそのものまたはこれらのエキス
の形態でもよいことはもちろんである。また、上記に示
したコク味調味料は、限外濾過、ゲル濾過クロマトグラ
フィーなどの分子量分画、エタノール分画などの溶媒分
画、硫酸アンモニウムや塩化ナトリウムなどを用いた塩
析法およびイオン交換カラムクロマトグラフィーなどの
分画手法を用いることによっても得ることが可能であ
る。
【0014】加熱後の反応液は、そのままで、または適
宜、透析、限外濾過あるいはエタノール沈澱などの方法
を用いて、高分子画分すなわちタンパク質を中心とした
画分を回収して、本発明の調味料素材が製造される。前
者の場合、すなわち、加熱反応後の調味料溶液はそのま
まの状態で「あつみ」および「こく」の増強された調味
料溶液となる。
【0015】このようにして得られた「あつみ」および
「こく」を付与する物質は、日本料理のだし、たとえ
ば、かつお節、鶏肉、魚貝、こんぶ、牛肉、シイタケな
どの素汁に添加し、西洋料理のスープストック、たとえ
ば、牛肉、鶏肉、豚肉、魚貝などの素汁に添加し、中華
料理のタン、たとえば、牛肉、鶏肉、豚肉、ハム、貝
柱、アワビ、エビ、スルメ、シイタケ、ハクサイ、セロ
リなどの素汁に添加することにより、これらに「あつ
み」および「こく」を付与し、その呈味機能を増強させ
ることが判明した。また、前述のごとく、上記の天然エ
キスの加工品および代替品、特にアミノ酸混合物として
比較的安価に利用できるHVP(植物蛋白加水分解
物)、HAP(動物蛋白加水分解物)、酵母エキスに添
加したり、低品質の安価なビーフエキスに添加した場合
にも、また基本だし素材または従来の風味調味料に添加
しまたはこれと併用した場合にも、味全体をまとめ、
「あつみ」および「こく」を付与しまたはこれを増強す
るとともに味の増強がみられ、これらを高品質なものに
改良することができる。
【0016】尚、「あつみ」および「こく」を付与する
物質の濃度は、これを添加使用する対象とする飲食品、
調味料などに応じてその至適使用量の範囲が異なるが、
当業者であれば簡単な事前トライアルにより適当な使用
量を極めて容易に定めることができる。本発明者の経験
では、例えば、液中濃度が0.005%〜2%(固型物
重量換算)となるように添加することにより、従来の調
味料素材などに欠けていた「あつみ」および「こく」を
付与し、味全体を整え、味のぼけを抑制することができ
た。
【0017】本発明の実施態様の第4は、飲食品または
その原材料を、畜肉エキスまたは魚介類エキスについ
て、そのpHを3.5〜5.5に調整し、得られた不溶
性成分、ゼラチンおよび天然エキスのエキス分の低分子
画分の少なくとも1者を添加しかつ3者全ての存在下に
加熱することにより「あつみ」および「こく」が付与さ
れまたは増強されて製造されたことを特徴とする「あつ
み」および「こく」を有する飲食品に関する。
【0018】このような「あつみ」および「こく」を有
する飲食品には、いわゆる調味料素材そのものも含まれ
ることは、本発明の、これまでに説明した性質上、明ら
かである。
【0019】また、このような「あつみ」および「こ
く」を有する飲食品の製造法についても、飲食品または
その原材料を、畜肉エキスまたは魚介類エキスについ
て、そのpHを3.5〜5.5、好ましくは3.8から
4.8に調整し、得られた不溶性成分、ゼラチンおよび
天然エキスのエキス分の低分子画分の少なくとも1者を
添加しかつ3者全ての存在下に、これら3者から「あつ
み」および「こく」付与機能を有する物質が生成する条
件下で加熱することを除いては、特別の制限はなく、適
宜従来の飲食品の製造法に準ずることができる。
【0020】このような製造法によれば、既存の飲食品
に「あつみ」および「こく」を付与することができ、ま
たは既に付与されていた「あつみ」および「こく」を増
強することもできる。また、飲食品の原材料から飲食品
を加熱して製造する場合には、差し仕えがなければ、こ
の加熱工程に上記の「あつみ」および「こく」付与機能
を有する物質を生成せしめる加熱をかねさせることがで
きる。
【0021】本発明に係わる「あつみ」および「こく」
付与機能を有する物質は、先に説明したように、畜肉エ
キスまたは魚介類エキスについて、そのpHを3.5〜
5.5、好ましくはpH3.8〜4.8に調整して得られ
た不溶性成分、ゼラチンおよび天然エキスの低分子画分
の3者を水中で加熱することにより生成する。従って、
本発明に係わる「あつみ」および「こく」を有する飲食
品の製造法において、既存の飲食品または飲食品の原材
料には、少なくとも「あつみ」および「こく」付与機能
を有する物質の生成しうる程度の水分の含まれているこ
とまたは添加することを前提とする。
【0022】また、前記3者は、これらを全てあらため
て添加する必要はなく、既存の飲食品または飲食品の原
材料に既に存在している場合は、それをそのまま利用す
ることができる。ただし、これら3者のうち、少なくと
も1者はあらためて添加しなければならないことは言う
までもない。
【0023】
【実施例】以下に、天然素材に特有の「あつみ」および
「こく」を付与する物質を得る方法とその添加効果を実
施例をあげて説明する。なお、本発明の技術的範囲はこ
れら実施例によって制限されるものではないことはもち
ろんである。
【0024】
【実施例1】市販カツオエキス(固形分濃度45%)1
Lについて、塩酸を用いてpHを4.3に調整し、その
後に遠心分離を行い不溶性画分を得た。この様にして得
られた不溶性成分を凍結乾燥し、9.5gの粉末を得
た。
【0025】このようにして得られた物質を市販コンソ
メスープに添加し、官能評価を実施した。配合比は次の
通りとした。すなわち、市販コンソメ顆粒(味の素
(株)製)20gおよび本発明調味料粉末0.5gに水
(湯)を加えて全量1Lとした。
【0026】対照として、無添加コンソメスープを作成
し、2種類のスープについて、二点比較法で味覚パネル
20名による官能評価を実施した。結果を表1に示す。
【0027】
【表1】
【0028】
【実施例2】カツオ煮汁(固形分濃度6%)5Lについ
て、塩酸を用いてpHを4.3に調整し、その後に遠心
分離を行い不溶性画分を得た。得られた不溶性画分を凍
結乾燥し、7.5gの粉末を得た。このようにして得ら
れた不溶性成分粉末50mgと豚皮ゼラチン(酸処理ゼ
ラチン)50mgを市販ビーフエキス調味料溶液100
mlに溶解し、圧力釜で90゜Cにおいて、6時間加熱
を行った。このときのエキス調味料溶液の固形分濃度
(乾重量)を予め30%に調整しておいた。加熱後の反
応液について透析を行い、高分子画分(分画分子量1
0,000)すなわちタンパク質を中心とした画分を1
05mg得た。この操作を全5回繰り返すことにより、
同様の画分を約0.5g得た。
【0029】このようにして得られた物質を市販コンソ
メスープに添加し、官能評価を実施した。配合比は次の
通りとした。すなわち、市販コンソメ顆粒(味の素
(株)製)20gおよび本発明調味料粉末0.5gに水
(湯)を加えて全量1Lとした。
【0030】対照として、無添加コンソメスープを作成
し、2種類のスープについて、二点比較法で味覚パネル
20名による官能評価を実施した。結果を表2に示す。
【0031】
【表2】
【0032】
【実施例3】市販チキンエキス(固形分濃度60%)5
Lについて、塩酸を用いてpHを4.0に調整し、その
後に遠心分離を行い不溶性画分を得た。得られた不溶性
画分を凍結乾燥し、25.5gの粉末を得た。このよう
にして得られた不溶性成分粉末1.0gと豚皮ゼラチン
(酸処理ゼラチン)0.5gを市販チキンエキス調味料
溶液100mlに溶解し、圧力釜で90゜Cにおいて、
6時間加熱を行った。このときのエキス調味料溶液の固
形分濃度(乾重量)を予め30%に調整しておいた。加
熱後の反応液について透析を行い、高分子画分(分画分
子量10,000)すなわちタンパク質を中心とした画
分を1.55g得た。
【0033】このようにして得られた物質を市販コンソ
メスープに添加し、官能評価を実施した。配合比は次の
通りとした。すなわち、市販コンソメ顆粒(味の素
(株)製)20gおよび本発明調味料粉末1gに水
(湯)を加えて全量1Lとした。
【0034】対照として、無添加コンソメスープを用い
た。2種類のスープについて、二点比較法で味覚パネル
20名による官能評価を実施した。結果を表3に示す。
【0035】
【表3】
【0036】
【実施例4】市販ビーフエキス(固形分濃度86%)5
Lに蒸留水5lを添加し、塩酸を用いてpHを4.3に
調整し、その後に遠心分離を行い不溶性画分を得た。得
られた不溶性画分を凍結乾燥し、32.8gの粉末を得
た。このようにして得られた不溶性成分粉末6.0gを
市販チキンエキス調味料溶液100mlに溶解し、圧力
釜で90゜Cにおいて、6時間加熱を行った。このとき
のエキス調味料溶液の固形分濃度(乾重量)を予め20
%に調整しておいた。加熱後の反応液について透析を行
い、高分子画分(分画分子量10,000)すなわちタ
ンパク質を中心とした画分を5.4g得た。
【0037】このようにして得られた物質について、カ
レールウ溶液に添加し、官能評価を実施した。配合比は
次の通りとした。すなわち、カレー粉1.5g、ラード
8.0g、薄力粉6.0g、食塩1.7gおよび上記の
本発明調味料粉末0.1gに水(湯)を100mL加え
て加熱攪はんした。
【0038】対照として、無添加カレールウ溶液を作成
し、2種類のカレールウ溶液について、実施例1におけ
る方法と同様の官能評価を実施した。結果を表4に示
す。
【0039】
【表4】
【0040】
【実施例5】市販コンソメスープ1Lに対し実施例3で
得られた粉末0.5gを添加し、95゜Cで3時間加熱
を行った(本発明)。比較のために、上記粉末を添加し
なかった以外は全く同様に処理して対象スープを得た。
【0041】両者を実施例と同様の方法にて官能評価に
供した結果は、表5に示す通りである。
【0042】
【表5】
【0043】
【実施例6】市販コンソメスープ1Lに対し実施例3で
得られた粉末0.5gを添加し、95゜Cで6時間加熱
を行った(本発明)。比較のために、上記粉末を添加し
なかった以外は全く同様に処理して対象スープを得た。
【0044】両者を実施例と同様の方法にて官能評価に
供した結果は、表6に示す通りである。
【0045】
【表6】
【0046】
【実施例7】ホタテガイの煮汁(固形分濃度7.5%)
5Lに、塩酸を用いてpHを4.1に調整し、その後に
遠心分離を行い不溶性画分を得た。得られた不溶性画分
を凍結乾燥し、10.5gの粉末を得た。このようにし
て得られた不溶性成分粉末2.0gと牛骨ゼラチン(ア
ルカリ処理ゼラチン)1.5gを市販チキンエキス調味
料溶液100mlに溶解し、圧力釜で90゜Cにおい
て、6時間加熱を行った。このときのエキス調味料溶液
の固形分濃度(乾重量)を予め20%に調整しておい
た。加熱後の反応液について透析を行い、高分子画分
(分画分子量10,000)すなわちタンパク質を中心
とした画分を3.4g得た。
【0047】このようにして得られた物質について、カ
レールウ溶液に添加し、官能評価を実施した。配合比は
次の通りとした。すなわち、カレー粉1.5g、ラード
8.0g、薄力粉6.0g、食塩1.7gおよび上記の
本発明調味料粉末0.1gに水(湯)を100mL加え
て加熱攪はんした。
【0048】対照として、無添加カレールウ溶液を作成
し、2種類のカレールウ溶液について、実施例1におけ
る方法と同様の官能評価を実施した。結果を表7に示
す。
【0049】
【表7】
【0050】
【実施例8】サバ煮汁(固形分濃度6%)5Lについ
て、塩酸を用いてpHを4.5に調整し、その後に遠心
分離を行い不溶性画分を得た。得られた不溶性画分を凍
結乾燥し、7.5gの粉末を得た。このようにして得ら
れた不溶性成分粉末2gと豚皮ゼラチン(酸処理ゼラチ
ン)1.5gを市販カツオエキス調味料溶液250ml
に溶解し、圧力釜で95゜Cにおいて、6時間加熱を行
った。このときのエキス調味料溶液の固形分濃度(乾重
量)を予め25%に調整しておいた。
【0051】このようにして得られた物質を市販コンソ
メスープに添加し、官能評価を実施した。配合比は次の
通りとした。すなわち、市販コンソメ顆粒(味の素
(株)製)20gおよび本発明調味料10gに水(湯)
を加えて全量1Lとした。
【0052】対照として、無添加コンソメスープを作成
し、2種類のスープについて、二点比較法で味覚パネル
20名による官能評価を実施した。結果を表8に示す。
【0053】
【表8】
【0054】
【実施例9】マグロ煮汁(固形分濃度6%)5Lについ
て、塩酸を用いてpHを4.3に調整し、その後に遠心
分離を行い不溶性画分を得た。得られた不溶性画分を凍
結乾燥し、6.5gの粉末を得た。このようにして得ら
れた不溶性成分粉末2gと牛骨ゼラチン(アルカリ処理
ゼラチン)3gを市販ビーフエキス調味料溶液250m
lに溶解し、圧力釜で95゜Cにおいて、6時間加熱を
行った。
【0055】このようにして得られた物質を市販コンソ
メスープに添加し、官能評価を実施した。配合比は次の
通りとした。すなわち、市販コンソメ顆粒(味の素
(株)製)20gおよび本発明調味料粉末10gに水
(湯)を加えて全量1Lとした。
【0056】対照として、無添加コンソメスープを作成
し、2種類のスープについて、二点比較法で味覚パネル
20名による官能評価を実施した。結果を表9に示す。
【0057】
【表9】
【0058】
【実施例10】市販ポークエキス(固形分濃度75%)
5Lに蒸留水5lを添加し、塩酸を用いてpHを4.1
に調整し、その後に遠心分離を行い不溶性画分を得た。
得られた不溶性画分を凍結乾燥し、21.0gの粉末を
得た。このようにして得られた不溶性成分粉末2.0g
と牛骨ゼラチン(アルカリ処理ゼラチン)1.5gを市
販チキンエキス調味料溶液100mlに溶解し、圧力釜
で90゜Cにおいて、6時間加熱を行った。このときの
エキス調味料溶液の固形分濃度(乾重量)を予め20%
に調整しておいた。加熱後の反応液について透析を行
い、高分子画分(分画分子量10,000)すなわちタ
ンパク質を中心とした画分を3.5g得た。
【0059】このようにして得られた物質について、カ
レールウ溶液に添加し、官能評価を実施した。配合比は
次の通りとした。すなわち、カレー粉1.5g、ラード
8.0g、薄力粉6.0g、食塩1.7gおよび上記の
本発明調味料粉末0.1gに水(湯)を100mL加え
て加熱攪はんした。
【0060】対照として、無添加カレールウ溶液を作成
し、2種類のカレールウ溶液について、実施例1におけ
る方法と同様の官能評価を実施した。結果を表10に示
す。
【0061】
【表10】
【0062】
【実施例11】カツオ煮汁(固形分濃度6%)180L
について、塩酸を用いてpHを4.5に調整し、300
Lタンク内にて1時間攪拌を行った。その後にBRPX
遠心分離機(液/液分離)を用いて遠心分離を行い、不
溶性画分を含む懸濁液を42L得た。この懸濁液につい
て、pHを6.0に調整後、噴霧乾燥を行い、850k
gの粉末を得た。このようにして得られた粉末500g
および豚皮ゼラチン(酸処理ゼラチン)500gを市販
カツオエキス調味料溶液25Lに溶解し、圧力釜で90
゜Cにおいて、6時間加熱を行った。このときのエキス
調味料溶液の固形分濃度(乾重量)を予め30%に調整
しておいた。加熱後の反応液について限外濾過を行い、
高分子画分(分画分子量10,000)すなわちタンパ
ク質を中心とした画分を1.05kg得た。
【0063】このようにして得られた物質を市販コンソ
メスープに添加し、官能評価を実施した。配合比は次の
通りとした。すなわち、市販コンソメ顆粒(味の素
(株)製)20gおよび本発明調味料粉末0.5gに水
(湯)を加えて全量1Lとした。
【0064】対照として、無添加コンソメスープを作成
し、2種類のスープについて、二点比較法で味覚パネル
20名による官能評価を実施した。結果を表11に示
す。
【0065】
【表11】
【0066】
【実施例12】カツオ煮汁(固形分濃度6%)150L
について、塩酸を用いてpHを3.9に調整し、300
Lタンク内にて1時間攪拌を行った。その後にBRPX
遠心分離機(液/液分離)を用いて遠心分離を行い、不
溶性画分を含む懸濁液を36L得た。この懸濁液につい
て、pHを6.0に調整後、噴霧乾燥を行い、720k
gの粉末を得た。このようにして得られた粉末500g
および豚皮ゼラチン(酸処理ゼラチン)500gを市販
カツオエキス調味料溶液25Lに溶解し、圧力釜で90
゜Cにおいて、6時間加熱を行った。このときのエキス
調味料溶液の固形分濃度(乾重量)を予め30%に調整
しておいた。加熱後の反応液について限外濾過を行い、
高分子画分(分画分子量10,000)すなわちタンパ
ク質を中心とした画分を1.02kg得た。
【0067】このようにして得られた物質を市販コンソ
メスープに添加し、官能評価を実施した。配合比は次の
通りとした。すなわち、市販コンソメ顆粒(味の素
(株)製)20gおよび本発明調味料粉末0.5gに水
(湯)を加えて全量1Lとした。
【0068】対照として、無添加コンソメスープを作成
し、2種類のスープについて、二点比較法で味覚パネル
20名による官能評価を実施した。結果を表12に示
す。
【0069】
【表12】
【0070】
【発明の効果】以上のように示した方法により、畜肉エ
キスまたは魚介類エキスについて、そのpHを3.5〜
5.5に調整し、得られた不溶性成分を回収することに
より、天然エキス特有の「あつみ・こく」付与機能を有
するコク味調味料素材を得ることが可能であった。ま
た、畜肉エキスまたは魚介類エキスについて、そのpH
を3.5〜5.5に調整し、得られた不溶性成分を天然
エキスのエキス分の低分子画分とともに水中において加
熱することにより、「あつみ・こく」付与機能を有する
新規なコク味調味料素材を得ることができた。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 畜肉エキスまたは魚介類エキスのpHを
    3.5〜5.5に調整し、得られる不溶性成分から成る
    ことを特徴とする新規なコク味調味料素材。
  2. 【請求項2】 畜肉エキスまたは魚介類エキスのpHを
    3.5〜5.5に調整し、得られる不溶性成分を回収す
    ることを特徴とする新規なコク味調味料素材の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 請求項1の調味料素材を天然エキスのエ
    キス分における低分子画分とともに水中において加熱す
    ることを特徴とする新規なコク味調味料の製造方法。
  4. 【請求項4】飲食品またはその原材料を、請求項1記
    載のコク味調味料素材、ゼラチン、および天然エキ
    スのエキス分の低分子画分の少なくとも1を添加しかつ
    〜全ての存在下に加熱することにより、「あつみ」
    および「こく」が付与されまたは増強されて製造された
    ことを特徴とする「あつみ」および「こく」を有する飲
    食品。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPWO2008007667A1 (ja) * 2006-07-10 2009-12-10 キリン協和フーズ株式会社 チキンエキスおよびチキンエキスの製造方法
JP2019129745A (ja) * 2018-01-30 2019-08-08 味の素株式会社 コク味付与組成物

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JPWO2008007667A1 (ja) * 2006-07-10 2009-12-10 キリン協和フーズ株式会社 チキンエキスおよびチキンエキスの製造方法
JP2019129745A (ja) * 2018-01-30 2019-08-08 味の素株式会社 コク味付与組成物

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