JPH0992462A - 電気製鋼炉における金属の溶解・精錬方法 - Google Patents
電気製鋼炉における金属の溶解・精錬方法Info
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- JPH0992462A JPH0992462A JP27191195A JP27191195A JPH0992462A JP H0992462 A JPH0992462 A JP H0992462A JP 27191195 A JP27191195 A JP 27191195A JP 27191195 A JP27191195 A JP 27191195A JP H0992462 A JPH0992462 A JP H0992462A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 電気エネルギのコストの低下に加えて、黒鉛
電極の先端部ならびに外周面の酸化消耗を抑制し、これ
によって電極原単位、更には、電力原単位を低下させる
黒鉛電極の冷却法を提案する。 【解決手段】 ニップルを介して黒鉛電極1が順次に接
続される黒鉛電極列に通電して、電気製鋼炉の炉蓋より
上部で、黒鉛電極の外周に向け水平レベルに対し10°
から35°までの範囲の上向き傾斜角θをもって上向き
に傾斜させて冷却液2を噴射して吹付け、冷却液2の吹
付量を0.8〜35リットル/分にする。
電極の先端部ならびに外周面の酸化消耗を抑制し、これ
によって電極原単位、更には、電力原単位を低下させる
黒鉛電極の冷却法を提案する。 【解決手段】 ニップルを介して黒鉛電極1が順次に接
続される黒鉛電極列に通電して、電気製鋼炉の炉蓋より
上部で、黒鉛電極の外周に向け水平レベルに対し10°
から35°までの範囲の上向き傾斜角θをもって上向き
に傾斜させて冷却液2を噴射して吹付け、冷却液2の吹
付量を0.8〜35リットル/分にする。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電気製鋼炉における金属
の溶解および精錬方法に係り、詳しくは、ア−ク電気炉
などの電気製鋼炉において、ニップルを介して順次に接
続される黒鉛電極に電流を通電して製鋼等金属の溶解・
精錬する際に、ア−ク電気炉の炉蓋より上方において、
黒鉛電極の外周面に対し、冷却水等の冷却液を連続的に
吹付けて冷却する一方、この冷却液は、所定の傾斜角を
とって上向きに傾斜させて噴射させ、これに併せて、冷
却液の噴射量を、冷却すべき黒鉛電極の直径に合わせて
適正範囲内に保ち、なかでも、溶解および精錬時の黒鉛
電極の酸化消耗を最小限におさえて電極原単位ならびに
電力原単位を大巾に低減し、その上で、ア−ク電気炉内
で水性反応による水素ガスなどを発生させることなく、
シャモットなどの安価な耐火物から成る炉蓋であって
も、冷却水の黒鉛電極への直接吹付けにもかかわらず、
耐用年数が損なわずに縮減されることもない金属の溶解
および精錬方法に係る。
の溶解および精錬方法に係り、詳しくは、ア−ク電気炉
などの電気製鋼炉において、ニップルを介して順次に接
続される黒鉛電極に電流を通電して製鋼等金属の溶解・
精錬する際に、ア−ク電気炉の炉蓋より上方において、
黒鉛電極の外周面に対し、冷却水等の冷却液を連続的に
吹付けて冷却する一方、この冷却液は、所定の傾斜角を
とって上向きに傾斜させて噴射させ、これに併せて、冷
却液の噴射量を、冷却すべき黒鉛電極の直径に合わせて
適正範囲内に保ち、なかでも、溶解および精錬時の黒鉛
電極の酸化消耗を最小限におさえて電極原単位ならびに
電力原単位を大巾に低減し、その上で、ア−ク電気炉内
で水性反応による水素ガスなどを発生させることなく、
シャモットなどの安価な耐火物から成る炉蓋であって
も、冷却水の黒鉛電極への直接吹付けにもかかわらず、
耐用年数が損なわずに縮減されることもない金属の溶解
および精錬方法に係る。
【0002】
【従来の技術】従来から、製鋼などに供せられる電気ア
−ク炉による金属の溶解および精錬においては、電気エ
ネルギのコストの低下に、加えて、黒鉛電極の先端部な
らびに外周面の酸化消耗を抑制し、これによって電極原
単位、更には、電力原単位を低下させることが望まれて
いる。この酸化消耗抑制の手段として黒鉛電極を冷却す
ることが提案実施され、冷却法の一つとして、順次に接
続される黒鉛電極列の上部の黒鉛電極を冷却する構造の
水冷式非消耗電極が提案されている。すなわち、非消耗
電極によって水冷する場合には、非消耗電極の下端にニ
ップルを介して接続される黒鉛電極を冷却するもので、
精錬操業時は、非消耗電極によって冷却される黒鉛電極
のみを消耗し、これによって精錬が行なわれる。
−ク炉による金属の溶解および精錬においては、電気エ
ネルギのコストの低下に、加えて、黒鉛電極の先端部な
らびに外周面の酸化消耗を抑制し、これによって電極原
単位、更には、電力原単位を低下させることが望まれて
いる。この酸化消耗抑制の手段として黒鉛電極を冷却す
ることが提案実施され、冷却法の一つとして、順次に接
続される黒鉛電極列の上部の黒鉛電極を冷却する構造の
水冷式非消耗電極が提案されている。すなわち、非消耗
電極によって水冷する場合には、非消耗電極の下端にニ
ップルを介して接続される黒鉛電極を冷却するもので、
精錬操業時は、非消耗電極によって冷却される黒鉛電極
のみを消耗し、これによって精錬が行なわれる。
【0003】例えば、米国特許4.416.014号、
4.417.344号ならびに4.451.926号の
各明細書に記載される水冷式非消耗電極は、アルミニウ
ム製の中空円筒から構成し、この中空円筒内に冷却水を
導入し、この冷却水によって、中空円筒の壁面や、非消
耗電極の下端に接続される黒鉛電極を冷却する。
4.417.344号ならびに4.451.926号の
各明細書に記載される水冷式非消耗電極は、アルミニウ
ム製の中空円筒から構成し、この中空円筒内に冷却水を
導入し、この冷却水によって、中空円筒の壁面や、非消
耗電極の下端に接続される黒鉛電極を冷却する。
【0004】また、特開昭60−501879号ならび
に特開昭60−501880号の各明細書に記載される
水冷式非消耗電極は、黒鉛製の管状体から構成し、この
管状体の中心孔内に冷却水を導入し、この冷却水によっ
て、管状体の壁面や、それに接続される黒鉛電極を冷却
する。
に特開昭60−501880号の各明細書に記載される
水冷式非消耗電極は、黒鉛製の管状体から構成し、この
管状体の中心孔内に冷却水を導入し、この冷却水によっ
て、管状体の壁面や、それに接続される黒鉛電極を冷却
する。
【0005】このように非消耗電極によって冷却する
と、下部に接続される黒鉛電極が冷却され、黒鉛電極の
酸化消耗がある程度おさえられる。
と、下部に接続される黒鉛電極が冷却され、黒鉛電極の
酸化消耗がある程度おさえられる。
【0006】しかしながら、下端に接続される黒鉛電極
を非消耗電極によって冷却すると云っても、冷却に関与
するところは、接続される黒鉛電極と非消耗電極との接
続端面に限られ、冷却効率がきわめて低い。更に、黒鉛
そのものの熱伝導率は100℃内外をこえると低下し、
精錬に関与している下部の黒鉛電極まで、所期の目的の
通り、冷却することはむづかしい。
を非消耗電極によって冷却すると云っても、冷却に関与
するところは、接続される黒鉛電極と非消耗電極との接
続端面に限られ、冷却効率がきわめて低い。更に、黒鉛
そのものの熱伝導率は100℃内外をこえると低下し、
精錬に関与している下部の黒鉛電極まで、所期の目的の
通り、冷却することはむづかしい。
【0007】また、黒鉛電極を非消耗電極から取り外す
ときには、ア−ク電気炉からオフラインに移して使用済
の黒鉛電極をニップルから外し、必要なときには、ニッ
プルも非消耗電極から取り外す。
ときには、ア−ク電気炉からオフラインに移して使用済
の黒鉛電極をニップルから外し、必要なときには、ニッ
プルも非消耗電極から取り外す。
【0008】また、新しい黒鉛電極を接続するときに
は、非消耗電極にニップルを取付け、このニップルに新
しい黒鉛電極を取付けることになる。
は、非消耗電極にニップルを取付け、このニップルに新
しい黒鉛電極を取付けることになる。
【0009】従って、水冷式非消耗電極によって下部に
接続される黒鉛電極を冷却するときには、黒鉛電極を交
換のために、オフラインに移送し、そこで重筋労働の取
外しや接続作業を行なう必要があって、作業がきわめて
はん雑化する。黒鉛電極の取外しならびに接続がくり返
されると、黒鉛電極、非消耗電極、ニップル等のねじ山
が変形、つぶれ、破損し、接続不良、電気抵抗の増加等
が起こり、操業上に支障がある。
接続される黒鉛電極を冷却するときには、黒鉛電極を交
換のために、オフラインに移送し、そこで重筋労働の取
外しや接続作業を行なう必要があって、作業がきわめて
はん雑化する。黒鉛電極の取外しならびに接続がくり返
されると、黒鉛電極、非消耗電極、ニップル等のねじ山
が変形、つぶれ、破損し、接続不良、電気抵抗の増加等
が起こり、操業上に支障がある。
【0010】このところから、実公昭59−23357
号公報には、ニップルを介して接続される黒鉛電極を冷
却するために、水冷式非消耗電極を用いることなく、ア
−ク電気炉の炉蓋から上方に突出する黒鉛電極の表面に
対して冷却水を吹付けて冷却する冷却装置が記載されて
いる。
号公報には、ニップルを介して接続される黒鉛電極を冷
却するために、水冷式非消耗電極を用いることなく、ア
−ク電気炉の炉蓋から上方に突出する黒鉛電極の表面に
対して冷却水を吹付けて冷却する冷却装置が記載されて
いる。
【0011】この冷却装置は、図2に示す通り、炉蓋1
1に黒鉛電極列が昇降自在に挿通されている。黒鉛電極
列では、上部の黒鉛電極12の下部にはニップルを介し
て順次に下部の黒鉛電極が接続されて形成されている。
1に黒鉛電極列が昇降自在に挿通されている。黒鉛電極
列では、上部の黒鉛電極12の下部にはニップルを介し
て順次に下部の黒鉛電極が接続されて形成されている。
【0012】一つの黒鉛電極列において、下部の黒鉛電
極12がア−ク電気炉内にあって、ア−ク電気炉内の黒
鉛電極12が製鋼などの精錬に関与している。炉蓋11
の上方において、上部の黒鉛電極12は電極ホルダ13
によって把持され、電極ホルダ13の下面には、上部の
黒鉛電極12の外周を包囲する環状冷却管14が設けら
れている。
極12がア−ク電気炉内にあって、ア−ク電気炉内の黒
鉛電極12が製鋼などの精錬に関与している。炉蓋11
の上方において、上部の黒鉛電極12は電極ホルダ13
によって把持され、電極ホルダ13の下面には、上部の
黒鉛電極12の外周を包囲する環状冷却管14が設けら
れている。
【0013】環状冷却管14から垂直方向に複数本の縦
パイプ15が突出され、各縦パイプ15の内面には、冷
却すべき黒鉛電極12の表面に指向するノズル16が設
けられている。従って、環状冷却管14に供給された冷
却水は各縦パイプ15に沿って下降し、内面の各ノズル
16から冷却水が上部の黒鉛電極12の外周面に吹付け
られて冷却される。
パイプ15が突出され、各縦パイプ15の内面には、冷
却すべき黒鉛電極12の表面に指向するノズル16が設
けられている。従って、環状冷却管14に供給された冷
却水は各縦パイプ15に沿って下降し、内面の各ノズル
16から冷却水が上部の黒鉛電極12の外周面に吹付け
られて冷却される。
【0014】しかし、図2に示す冷却装置は、各ノズル
16から冷却水が水平レベル若しくはそれと平行な方向
に指向して噴射される。このため、冷却水が黒鉛電極2
の外周面に衝突したときに相当量の冷却水が反射されて
飛散し、この飛散した冷却水が多いことから、電極ホル
ダ13や炉蓋11の汚染、破損が激しく、実用に供する
ことができない。とくに、炉蓋は高価なハイアルミナ質
耐火物からつくられている例はほとんどなく、ほとんど
の場合、シャモットなどの耐火物でつくられ、この耐火
物であると、とくに、汚染、損耗がはげしくなる。
16から冷却水が水平レベル若しくはそれと平行な方向
に指向して噴射される。このため、冷却水が黒鉛電極2
の外周面に衝突したときに相当量の冷却水が反射されて
飛散し、この飛散した冷却水が多いことから、電極ホル
ダ13や炉蓋11の汚染、破損が激しく、実用に供する
ことができない。とくに、炉蓋は高価なハイアルミナ質
耐火物からつくられている例はほとんどなく、ほとんど
の場合、シャモットなどの耐火物でつくられ、この耐火
物であると、とくに、汚染、損耗がはげしくなる。
【0015】また、衝突した冷却水16は、ほとんど反
射され、黒鉛電極12に沿って下降することがほとんど
ない。このため、冷却される黒鉛電極は、冷却水が衝突
する部分のみに限られ、冷却水の使用量を異常に大きく
しない限りは、電気炉内で精錬に関与している下部の黒
鉛電極まで冷却できず、それほど電力原単位や、電極原
単位が低下しないほか、冷却水量の増大はきわめて不経
済である。
射され、黒鉛電極12に沿って下降することがほとんど
ない。このため、冷却される黒鉛電極は、冷却水が衝突
する部分のみに限られ、冷却水の使用量を異常に大きく
しない限りは、電気炉内で精錬に関与している下部の黒
鉛電極まで冷却できず、それほど電力原単位や、電極原
単位が低下しないほか、冷却水量の増大はきわめて不経
済である。
【0016】なお、冷却水使用量の増加は、飛散した冷
却水のア−ク電気炉内に入りやすく、これが炉内反応に
影響を与え、なかでも、水素ぜい性などをきらう鋼種の
製鋼には、炉内での水性反応によって発生する水素ガス
が溶鋼中に入り易いため、黒鉛電極そのものを冷却水で
冷却することは適用できないと云われている。
却水のア−ク電気炉内に入りやすく、これが炉内反応に
影響を与え、なかでも、水素ぜい性などをきらう鋼種の
製鋼には、炉内での水性反応によって発生する水素ガス
が溶鋼中に入り易いため、黒鉛電極そのものを冷却水で
冷却することは適用できないと云われている。
【0017】また、冷却管14から多数の縦パイプ15
が下向きに突出し、しかも、この突出長さがきわめて長
い。このために、電極交換のときに冷却装置を取外す場
合に、この長い縦パイプ15が障害になり、取扱いがき
わめてめんどうである。
が下向きに突出し、しかも、この突出長さがきわめて長
い。このために、電極交換のときに冷却装置を取外す場
合に、この長い縦パイプ15が障害になり、取扱いがき
わめてめんどうである。
【0018】また、冷却管14によって電磁力がシ−ル
ドされるため、黒鉛電極12に流れる電流の相当部分が
遮断され、操業に大きな支障が生じる。
ドされるため、黒鉛電極12に流れる電流の相当部分が
遮断され、操業に大きな支障が生じる。
【0019】また、更に、黒鉛電極に冷却水などの冷却
液を吹付けて冷却する場合には、次の通りの問題があ
る。
液を吹付けて冷却する場合には、次の通りの問題があ
る。
【0020】すなわち、黒鉛電極に吹付けた冷却液の一
部は飛散し、それがどうしてもア−ク電気炉の一部に入
る。冷却水はア−ク電気炉炉内で高温条件下におかれる
と、水性ガス反応によって水素が発生する。水素は溶鋼
中に入り、水素ぜい性をひき起こし、精錬する鋼種によ
っては、この問題が当初から懸念されていた。
部は飛散し、それがどうしてもア−ク電気炉の一部に入
る。冷却水はア−ク電気炉炉内で高温条件下におかれる
と、水性ガス反応によって水素が発生する。水素は溶鋼
中に入り、水素ぜい性をひき起こし、精錬する鋼種によ
っては、この問題が当初から懸念されていた。
【0021】このため、じん性などが強く要求される鋼
種の製鋼には、黒鉛電極に冷却液を吹付ける操業は行な
われていないし、上記の通り、実公昭59−23357
号公報に示す冷却装置も提案されているのにも拘らず、
この冷却装置も実際の製鋼炉に使用されていない。
種の製鋼には、黒鉛電極に冷却液を吹付ける操業は行な
われていないし、上記の通り、実公昭59−23357
号公報に示す冷却装置も提案されているのにも拘らず、
この冷却装置も実際の製鋼炉に使用されていない。
【0022】また、主として酸化消耗防止ならびに電力
原単位の低減の上から、冷却液を吹付け、黒鉛電極を冷
却することが好ましいと云っても、黒鉛電極の冷却が過
剰になると、その過冷却の分だけ電力がかかり、かえっ
て電力原単位が上昇し、大巾なコストアップになって好
ましくない。
原単位の低減の上から、冷却液を吹付け、黒鉛電極を冷
却することが好ましいと云っても、黒鉛電極の冷却が過
剰になると、その過冷却の分だけ電力がかかり、かえっ
て電力原単位が上昇し、大巾なコストアップになって好
ましくない。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記欠点の解
決を目的とし、具体的には、ア−ク電気炉などの電気製
鋼炉において、ニップルを介して黒鉛電極が順次に接続
される黒鉛電極列に冷却液を吹付けつつ、この黒鉛電極
列に電流を通電して金属を溶解・精錬する際に、ア−ク
電気炉などの炉蓋より上方において、水平レベルより上
向きに所定の上向き傾斜角で傾斜させて冷却液を噴射し
て吹付け、これに併せて、冷却液の吹付量若しくは噴射
量を黒鉛電極の直径に対応して所定の適正範囲内にとど
めて、精錬ならびに溶解に関与するア−ク電気炉内の黒
鉛電極を効果的に冷却し、ア−ク電気炉の炉蓋より上方
の黒鉛電極やア−ク電気炉内にある黒鉛電極の酸化消耗
をおさえて電極原単位の上昇や、黒鉛電極過冷却による
電力原単位の増加を防止し、ア−ク電気炉内に冷却液が
侵入しても、侵入する冷却液から水性ガス反応によって
水素ガスがほとんど発生することなく、交流電力又は直
流電力による高電圧操業でも現行設備のままで容易に実
現できる金属の溶解および精錬方法を提案する。
決を目的とし、具体的には、ア−ク電気炉などの電気製
鋼炉において、ニップルを介して黒鉛電極が順次に接続
される黒鉛電極列に冷却液を吹付けつつ、この黒鉛電極
列に電流を通電して金属を溶解・精錬する際に、ア−ク
電気炉などの炉蓋より上方において、水平レベルより上
向きに所定の上向き傾斜角で傾斜させて冷却液を噴射し
て吹付け、これに併せて、冷却液の吹付量若しくは噴射
量を黒鉛電極の直径に対応して所定の適正範囲内にとど
めて、精錬ならびに溶解に関与するア−ク電気炉内の黒
鉛電極を効果的に冷却し、ア−ク電気炉の炉蓋より上方
の黒鉛電極やア−ク電気炉内にある黒鉛電極の酸化消耗
をおさえて電極原単位の上昇や、黒鉛電極過冷却による
電力原単位の増加を防止し、ア−ク電気炉内に冷却液が
侵入しても、侵入する冷却液から水性ガス反応によって
水素ガスがほとんど発生することなく、交流電力又は直
流電力による高電圧操業でも現行設備のままで容易に実
現できる金属の溶解および精錬方法を提案する。
【0024】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明方法は
ニップルを介して黒鉛電極が順次に接続される黒鉛電極
列に通電して、電気製鋼炉の炉蓋より上部で、黒鉛電極
列の黒鉛電極の外周に向け水平レベルに対し10°から
35°までの範囲の上向き傾斜角をもって上向きに傾斜
させて冷却液を噴射して吹付けて、黒鉛電極列を冷却し
つつ、電気製鋼炉中の金属をア−ク溶解して精錬する際
に、冷却液の吹付量を0.8〜35リットル/分にする
ことを特徴とする。
ニップルを介して黒鉛電極が順次に接続される黒鉛電極
列に通電して、電気製鋼炉の炉蓋より上部で、黒鉛電極
列の黒鉛電極の外周に向け水平レベルに対し10°から
35°までの範囲の上向き傾斜角をもって上向きに傾斜
させて冷却液を噴射して吹付けて、黒鉛電極列を冷却し
つつ、電気製鋼炉中の金属をア−ク溶解して精錬する際
に、冷却液の吹付量を0.8〜35リットル/分にする
ことを特徴とする。
【0025】換言すると、本発明方法は、ニップルを介
して順次に接続された黒鉛電極の外周面に、冷却液を吹
付けて冷却する際に、冷却液は、水平レベルに対して所
定の傾斜角をとって上向きに傾斜させて吹付ける。従っ
て、上向きに噴射された冷却液のほとんど大部分は、噴
射時のエネルギを持ったままで、黒鉛電極の外周面に衝
突することなく、上向きの冷却液はル−プしてから、黒
鉛電極の外周面に接触する。このため、外周面への衝
突、外周面に沿って下降の間は、冷却液はほとんど衝突
エネルギを失なっており、外周面に沿って下降する冷却
液は、黒鉛電極の外周面と常に接触しており、ア−ク電
気炉内の黒鉛電極の外周面や、先端まで冷却される。
して順次に接続された黒鉛電極の外周面に、冷却液を吹
付けて冷却する際に、冷却液は、水平レベルに対して所
定の傾斜角をとって上向きに傾斜させて吹付ける。従っ
て、上向きに噴射された冷却液のほとんど大部分は、噴
射時のエネルギを持ったままで、黒鉛電極の外周面に衝
突することなく、上向きの冷却液はル−プしてから、黒
鉛電極の外周面に接触する。このため、外周面への衝
突、外周面に沿って下降の間は、冷却液はほとんど衝突
エネルギを失なっており、外周面に沿って下降する冷却
液は、黒鉛電極の外周面と常に接触しており、ア−ク電
気炉内の黒鉛電極の外周面や、先端まで冷却される。
【0026】また、ア−ク電気炉内においても、侵入し
た冷却液は常に黒鉛電極の外周面に沿って流れかつ接触
している。このため、侵入した冷却液は下降の間にほと
んど蒸発飛散し、水性ガス反応を生じないため、これに
よって上記の障害が起こるおそれがない。
た冷却液は常に黒鉛電極の外周面に沿って流れかつ接触
している。このため、侵入した冷却液は下降の間にほと
んど蒸発飛散し、水性ガス反応を生じないため、これに
よって上記の障害が起こるおそれがない。
【0027】また、冷却液の中に耐酸化剤を含有させる
と、冷却液が黒鉛電極外周面に沿って下降する際に、そ
の中に含まれる耐酸化剤が付着し、この付着によって形
成された耐酸化剤皮膜によって黒鉛電極の酸化消耗の効
果的に防止できる。
と、冷却液が黒鉛電極外周面に沿って下降する際に、そ
の中に含まれる耐酸化剤が付着し、この付着によって形
成された耐酸化剤皮膜によって黒鉛電極の酸化消耗の効
果的に防止できる。
【0028】更に、冷却液の吹付量は冷却すべき黒鉛電
極の直径に対応して適正範囲にとどまっている。このた
め、黒鉛電極は過剰に冷却されることなく冷却されて電
力原単位の低減を達成できる。また、一部の冷却液がア
−ク電気炉内に入っても、ほとんどが途中で飛散し、炉
内で水性ガス反応が起こることもなく、水素ガスも発生
しない。そのところから、このように精錬すると、溶鋼
中に水素などの混入がなく、水素ぜい性を問題視する鋼
種でも容易に精錬できる。
極の直径に対応して適正範囲にとどまっている。このた
め、黒鉛電極は過剰に冷却されることなく冷却されて電
力原単位の低減を達成できる。また、一部の冷却液がア
−ク電気炉内に入っても、ほとんどが途中で飛散し、炉
内で水性ガス反応が起こることもなく、水素ガスも発生
しない。そのところから、このように精錬すると、溶鋼
中に水素などの混入がなく、水素ぜい性を問題視する鋼
種でも容易に精錬できる。
【0029】そこで、これら手段たる構成ならびにその
作用について、図面によって具体的に説明すると、次の
通りである。
作用について、図面によって具体的に説明すると、次の
通りである。
【0030】なお、図1は、本発明方法で、黒鉛電極に
冷却液を吹付けて冷却しながら、金属精錬する際の一例
を正面から示す説明図である。
冷却液を吹付けて冷却しながら、金属精錬する際の一例
を正面から示す説明図である。
【0031】まず、図1において符号1は黒鉛電極を示
し、黒鉛電極1はニップルを介して順次に接続されて、
一連の黒鉛電極列を形成する。この黒鉛電極列におい
て、炉蓋4より上方にある黒鉛電極1の上部は電極ホル
ダ(図示せず)によって把持される。また、黒鉛電極列
の下部の黒鉛電極はア−ク電気炉(図示せず)の中に挿
通され、電気炉内では、黒鉛電極による通電によって、
ア−ク加熱され、製鋼などの精錬が行なわれる。
し、黒鉛電極1はニップルを介して順次に接続されて、
一連の黒鉛電極列を形成する。この黒鉛電極列におい
て、炉蓋4より上方にある黒鉛電極1の上部は電極ホル
ダ(図示せず)によって把持される。また、黒鉛電極列
の下部の黒鉛電極はア−ク電気炉(図示せず)の中に挿
通され、電気炉内では、黒鉛電極による通電によって、
ア−ク加熱され、製鋼などの精錬が行なわれる。
【0032】また、ア−ク電気炉において、3相交流電
力により加熱する場合には、そのセンタ−を中心とする
所定半径の円サ−クル上に間隔をおいて3相の電力に対
応して、黒鉛電極1がニップルを介して順次に接続され
る黒鉛電極列が3本配置される。
力により加熱する場合には、そのセンタ−を中心とする
所定半径の円サ−クル上に間隔をおいて3相の電力に対
応して、黒鉛電極1がニップルを介して順次に接続され
る黒鉛電極列が3本配置される。
【0033】なお、交流電力によって加熱する代りに、
直流電力によって加熱する場合には、1本の黒鉛電極列
が配置され、この黒鉛電極列は、黒鉛電極1がニップル
を介して順次に接続され、直流電力による通電加熱によ
ると、大電流を流し、大量の精錬ができる。
直流電力によって加熱する場合には、1本の黒鉛電極列
が配置され、この黒鉛電極列は、黒鉛電極1がニップル
を介して順次に接続され、直流電力による通電加熱によ
ると、大電流を流し、大量の精錬ができる。
【0034】次に、黒鉛電極列のうちで、炉蓋より上方
の黒鉛電極1の外周面に、例えば冷却水の如き冷却液2
を、連続的に上向きに35°をこえ、つまり、10°以
上で35°以下の傾斜角θを水平レベルL−Lに対して
とって傾斜させて噴射して吹付け、この際の冷却液2の
吹付量は0.8〜35リットル/分、好ましくは、6リ
ットル/分をこえて35リットル/分の範囲に保つ。
の黒鉛電極1の外周面に、例えば冷却水の如き冷却液2
を、連続的に上向きに35°をこえ、つまり、10°以
上で35°以下の傾斜角θを水平レベルL−Lに対して
とって傾斜させて噴射して吹付け、この際の冷却液2の
吹付量は0.8〜35リットル/分、好ましくは、6リ
ットル/分をこえて35リットル/分の範囲に保つ。
【0035】すなわち、冷却液2は上記の通り上向きに
所定の傾斜角θをとって吹付け、冷却液2はル−プさせ
て黒鉛電極1の外周面1aに接触させるが、後記の実施
例にも示す通り、傾斜角θがあまり大きくなると、冷却
水2のル−プが不十分になり、所定の冷却効果が達成で
きない。
所定の傾斜角θをとって吹付け、冷却液2はル−プさせ
て黒鉛電極1の外周面1aに接触させるが、後記の実施
例にも示す通り、傾斜角θがあまり大きくなると、冷却
水2のル−プが不十分になり、所定の冷却効果が達成で
きない。
【0036】更に、傾斜角θが10°より小さくなる
と、冷却液の吹付圧力を相当調整しないと、吹付時の衝
突エネルギを緩和できない。
と、冷却液の吹付圧力を相当調整しないと、吹付時の衝
突エネルギを緩和できない。
【0037】一方、黒鉛電極1の直径、つまり、太さに
応じて冷却液2の吹付量を適正範囲内にコントロ−ルす
る。
応じて冷却液2の吹付量を適正範囲内にコントロ−ルす
る。
【0038】すなわち、冷却液の吹付量については、冷
却すべき黒鉛電極の直径と合わせて、最適範囲の吹付量
を求める。また、各電極径に応じた最適範囲内におい
て、主として電極原単位との関係から、冷却液の最適量
を求め、この量になるよう、冷却液を吹付ける。
却すべき黒鉛電極の直径と合わせて、最適範囲の吹付量
を求める。また、各電極径に応じた最適範囲内におい
て、主として電極原単位との関係から、冷却液の最適量
を求め、この量になるよう、冷却液を吹付ける。
【0039】この冷却液の最適量は、すでに示した通
り、冷却すべき黒鉛電極の直径との関連性から、ちなみ
に、電極直径が400mm±20mmの場合には、冷却
液は、6〜9リットル/分の割合で、吹付ける。
り、冷却すべき黒鉛電極の直径との関連性から、ちなみ
に、電極直径が400mm±20mmの場合には、冷却
液は、6〜9リットル/分の割合で、吹付ける。
【0040】冷却すべき黒鉛電極の直径が大きくなって
大径化するとき、つまり、直径が450mm±20mm
の場合には、8〜12リットル/分の割合で吹付ける。
冷却すべき黒鉛電極の直径が500mm±30mmの場
合には、10〜14リットル/分の割合で冷却液を吹付
ける。
大径化するとき、つまり、直径が450mm±20mm
の場合には、8〜12リットル/分の割合で吹付ける。
冷却すべき黒鉛電極の直径が500mm±30mmの場
合には、10〜14リットル/分の割合で冷却液を吹付
ける。
【0041】また、冷却すべき黒鉛電極の直径が550
mm±20mmの場合には、12〜17リットル/分の
割合で冷却液を吹付ける。
mm±20mmの場合には、12〜17リットル/分の
割合で冷却液を吹付ける。
【0042】また、冷却すべき黒鉛電極の直径が600
mm±30mmの場合には、14〜20リットル/分の
割合で吹付ける。
mm±30mmの場合には、14〜20リットル/分の
割合で吹付ける。
【0043】また、冷却すべき黒鉛電極の直径が650
mm±20mmの場合には、17〜24リットル/分の
割合で冷却液を吹付ける。
mm±20mmの場合には、17〜24リットル/分の
割合で冷却液を吹付ける。
【0044】また、冷却すべき黒鉛電極の直径が700
mm±30mmの場合には、20〜28リットル/分の
割合で冷却液を吹付ける。
mm±30mmの場合には、20〜28リットル/分の
割合で冷却液を吹付ける。
【0045】また、冷却すべき黒鉛電極の直径が760
mm±30mmの場合には、23〜32リットル/分の
割合で吹付ける。
mm±30mmの場合には、23〜32リットル/分の
割合で吹付ける。
【0046】この適正範囲であると、従来例(消耗電極
などで冷却した場合)に較べると、電極原単位(kg/
t)は14〜19%程度減少し、電力原単位(kwh/
t)も3〜5%程度減少する。
などで冷却した場合)に較べると、電極原単位(kg/
t)は14〜19%程度減少し、電力原単位(kwh/
t)も3〜5%程度減少する。
【0047】なお、冷却液の吹付量が適正範囲内であっ
て、その上に上向き傾斜角θを上記範囲に保つと、電極
原単位は一層減少する。
て、その上に上向き傾斜角θを上記範囲に保つと、電極
原単位は一層減少する。
【0048】また、冷却液2は、上記の条件のもとであ
れば、何れの方法によっても吹付けることができるが、
次の通りに冷却管3を用いて、冷却液を吹付けることが
できる。
れば、何れの方法によっても吹付けることができるが、
次の通りに冷却管3を用いて、冷却液を吹付けることが
できる。
【0049】すなわち、冷却液を吹付けるべき黒鉛電極
1の外周に冷却管3を配置し、この冷却管3内に冷却液
を送って、冷却液2を冷却管3の内周面に設けた少なく
とも一つの吹付ノズルから上向きに傾斜させて噴射し、
吹付ける。冷却管3は、通常、黒鉛電極1の上部を把持
する電極ホルダ(図示せず)とア−ク電気炉の炉蓋(図
示せず)との間に配置する。
1の外周に冷却管3を配置し、この冷却管3内に冷却液
を送って、冷却液2を冷却管3の内周面に設けた少なく
とも一つの吹付ノズルから上向きに傾斜させて噴射し、
吹付ける。冷却管3は、通常、黒鉛電極1の上部を把持
する電極ホルダ(図示せず)とア−ク電気炉の炉蓋(図
示せず)との間に配置する。
【0050】また、冷却管3の内周面に設けた吹付ノズ
ルは直径方向に黒鉛電極1の中心軸に向って指向させ、
各吹付ノズルは、斜め上向きに10°以上で35°未満
の上向き傾斜角θをとって傾斜させると、冷却液2は上
向きに傾斜させて吹出すことができる。
ルは直径方向に黒鉛電極1の中心軸に向って指向させ、
各吹付ノズルは、斜め上向きに10°以上で35°未満
の上向き傾斜角θをとって傾斜させると、冷却液2は上
向きに傾斜させて吹出すことができる。
【0051】このように吹付ノズルを取付けると、連続
的に供給される冷却液2は、冷却管3の各吹付ノズル4
から、斜め上向きに噴射され、冷却液2は、図1に示す
ようにル−プしてから黒鉛電極1の外周面1aに円滑か
つ支障なく接触し、外周面1aに沿って下向きに流れ
る。この冷却液2が黒鉛電極列で上部の黒鉛電極1の外
周面から下向きに下降する間に、精錬に関与する下部の
黒鉛電極(図示せず)の先端に達し、下部の黒鉛電極ま
で冷却される。
的に供給される冷却液2は、冷却管3の各吹付ノズル4
から、斜め上向きに噴射され、冷却液2は、図1に示す
ようにル−プしてから黒鉛電極1の外周面1aに円滑か
つ支障なく接触し、外周面1aに沿って下向きに流れ
る。この冷却液2が黒鉛電極列で上部の黒鉛電極1の外
周面から下向きに下降する間に、精錬に関与する下部の
黒鉛電極(図示せず)の先端に達し、下部の黒鉛電極ま
で冷却される。
【0052】ア−ク電気炉内に冷却液が入っても、冷却
液2のほとんどが黒鉛電極の外周面に沿って流れ、この
冷却液2が内部の高熱にもさらされることもあって、下
部の黒鉛電極の下端に達するまでに気化され、炉内で水
性反応などが起こる余地がほとんどない。
液2のほとんどが黒鉛電極の外周面に沿って流れ、この
冷却液2が内部の高熱にもさらされることもあって、下
部の黒鉛電極の下端に達するまでに気化され、炉内で水
性反応などが起こる余地がほとんどない。
【0053】つまり、このように上向きに傾斜させて
0.8〜35リットル/分の冷却液を吹付けて冷却する
と、冷却液2はほとんど飛散することなく、ほとんどの
冷却液2は黒鉛電極群の各黒鉛電極1の外周面上を流れ
て、ア−ク電気炉内に入り、下部の黒鉛電極の先端まで
冷却する。
0.8〜35リットル/分の冷却液を吹付けて冷却する
と、冷却液2はほとんど飛散することなく、ほとんどの
冷却液2は黒鉛電極群の各黒鉛電極1の外周面上を流れ
て、ア−ク電気炉内に入り、下部の黒鉛電極の先端まで
冷却する。
【0054】この場合、上向きの傾斜角θが10°以下
になると、レベルL−Lと平行に近くなり、黒鉛電極1
の外周面1aに衝突し反射される割合が多くなり、この
ため、噴射圧力を適正に調節しないと、冷却液を上向き
に噴射してル−プさせる効果が失なわれ、そのル−プ効
果を失なって反射された冷却水は落下した炉蓋などを汚
し、耐久力をも大巾に劣化させる。
になると、レベルL−Lと平行に近くなり、黒鉛電極1
の外周面1aに衝突し反射される割合が多くなり、この
ため、噴射圧力を適正に調節しないと、冷却液を上向き
に噴射してル−プさせる効果が失なわれ、そのル−プ効
果を失なって反射された冷却水は落下した炉蓋などを汚
し、耐久力をも大巾に劣化させる。
【0055】また、上向きの傾斜角θが35°内外をこ
え、更に大きくなると、冷却液に与えられるル−プ効果
がほとんどなくなり、一部の遊離した冷却液は炉内にそ
のまま入って水性ガス反応をおこし、水素ガスが生じる
ほか、局部的に爆発が起こって好ましくない。更に、上
向き傾斜角θを仮りに70°内外にすると、電極原単位
は10〜20%も高くなり、この面からも好ましくな
い。
え、更に大きくなると、冷却液に与えられるル−プ効果
がほとんどなくなり、一部の遊離した冷却液は炉内にそ
のまま入って水性ガス反応をおこし、水素ガスが生じる
ほか、局部的に爆発が起こって好ましくない。更に、上
向き傾斜角θを仮りに70°内外にすると、電極原単位
は10〜20%も高くなり、この面からも好ましくな
い。
【0056】更に、冷却液の流量が0.8リットル/
分、なかでも6リットル/分以下になると、上向き傾斜
角θが上記範囲内にあっても、冷却液の吹付量が不足
し、所定の効果が達成できない。
分、なかでも6リットル/分以下になると、上向き傾斜
角θが上記範囲内にあっても、冷却液の吹付量が不足
し、所定の効果が達成できない。
【0057】
実施例1.まず、表1に示す通り、各種直径の黒鉛電極
をニップルを介して接続た黒鉛電極列を用いて、炉蓋よ
り上方において、主として水道水から成る冷却液を上向
きの傾斜角θ(=15°、20°)をとって傾斜させル
−プさせながら吹付けて冷却しつつ、製鋼用のア−ク電
気炉でスクラップ材を溶融してア−ク精錬を行なった。
をニップルを介して接続た黒鉛電極列を用いて、炉蓋よ
り上方において、主として水道水から成る冷却液を上向
きの傾斜角θ(=15°、20°)をとって傾斜させル
−プさせながら吹付けて冷却しつつ、製鋼用のア−ク電
気炉でスクラップ材を溶融してア−ク精錬を行なった。
【0058】この際、冷却液としての水道水は、各直径
毎の黒鉛電極について、流量を変化させ、黒鉛電極の直
径と流量とに対する電極原単位ならびに電力原単位を求
めた。
毎の黒鉛電極について、流量を変化させ、黒鉛電極の直
径と流量とに対する電極原単位ならびに電力原単位を求
めた。
【0059】この結果は、表1に示す通りであった。
【0060】
【表1】
【0061】
【表2】
【0062】表1において、最適水量、過少水量ならび
に過大水量は以下の通りである。
に過大水量は以下の通りである。
【0063】冷却水から成る冷却水の水量と、電極原単
位ならびに電力原単位との関係を8種の直径の異なる黒
鉛電極毎に求め、その中で電極原単位ならびに電力原単
位が最良の結果を示す水量を最適冷却水量と定めた。
位ならびに電力原単位との関係を8種の直径の異なる黒
鉛電極毎に求め、その中で電極原単位ならびに電力原単
位が最良の結果を示す水量を最適冷却水量と定めた。
【0064】また、過少水量は最適水量より少ない水量
であり、過大水量は最適水量より多い水量である。
であり、過大水量は最適水量より多い水量である。
【0065】次に、このように求めた最適水量の範囲内
において、各黒鉛電極毎に適正値として一つの水量を定
めて電極原単位について実験を行なった。
において、各黒鉛電極毎に適正値として一つの水量を定
めて電極原単位について実験を行なった。
【0066】表2のところから明らかなように、噴射
用、つまり、上向き傾斜角θが10〜35°の範囲内で
あっても、各電極直径に対応して水量が最適水量の範囲
内にないと、電気炉操業で重要な電極原単位の大巾な減
少、つまり、2.5〜1.3kg/tの減少が達成でき
ない。
用、つまり、上向き傾斜角θが10〜35°の範囲内で
あっても、各電極直径に対応して水量が最適水量の範囲
内にないと、電気炉操業で重要な電極原単位の大巾な減
少、つまり、2.5〜1.3kg/tの減少が達成でき
ない。
【0067】このところは、電気炉操業で操業コストの
主要部分を占める電極原単位であるところからしても、
きわめて大きな特徴である。
主要部分を占める電極原単位であるところからしても、
きわめて大きな特徴である。
【0068】また、更に、同様な実験を一つの吹付ノズ
ルによっても行なったところ、表1や表2に示すところ
と同等の結果が得られた。
ルによっても行なったところ、表1や表2に示すところ
と同等の結果が得られた。
【0069】
【発明の効果】以上詳しく説明した通り、本発明方法に
おいては、ニップルを介して黒鉛電極が順次に接続され
る黒鉛電極列に通電して、電気製鋼炉中において金属を
ア−ク溶解して精錬する際に、電気製鋼炉の炉蓋より上
部において、黒鉛電極列の黒鉛電極の外周に向け水平レ
ベルに対し10°をこえて35°以下の上向き傾斜角を
もって上向きに傾斜させて冷却液を噴射吹付ける一方、
冷却液の吹付量は、冷却すべき黒鉛電極の直径に対応さ
せて、0.8〜35リットル/分の範囲内で、最適水量
などの吹付量を求め、この最適水量などの範囲内の吹付
量で冷却液を吹付けて、黒鉛電極を冷却する。
おいては、ニップルを介して黒鉛電極が順次に接続され
る黒鉛電極列に通電して、電気製鋼炉中において金属を
ア−ク溶解して精錬する際に、電気製鋼炉の炉蓋より上
部において、黒鉛電極列の黒鉛電極の外周に向け水平レ
ベルに対し10°をこえて35°以下の上向き傾斜角を
もって上向きに傾斜させて冷却液を噴射吹付ける一方、
冷却液の吹付量は、冷却すべき黒鉛電極の直径に対応さ
せて、0.8〜35リットル/分の範囲内で、最適水量
などの吹付量を求め、この最適水量などの範囲内の吹付
量で冷却液を吹付けて、黒鉛電極を冷却する。
【0070】このように冷却液を吹付けつつ、金属を溶
解、精錬すると、溶解および精錬時の黒鉛電極の酸化消
耗は最小限におさえられて、電極原単位を大巾に低減す
ると共に、操業時の電力原単位も大巾に低減でき、更
に、ア−ク電気炉内でで水性反応による水素ガスなどを
発生させることなく、更に、シャモットなどの安価な耐
火物から成る炉蓋であっても耐用年数を損なうことがな
い。
解、精錬すると、溶解および精錬時の黒鉛電極の酸化消
耗は最小限におさえられて、電極原単位を大巾に低減す
ると共に、操業時の電力原単位も大巾に低減でき、更
に、ア−ク電気炉内でで水性反応による水素ガスなどを
発生させることなく、更に、シャモットなどの安価な耐
火物から成る炉蓋であっても耐用年数を損なうことがな
い。
【図1】本発明方法で黒鉛電極に冷却液を吹付けて冷却
しながら、金属精錬する際の一例を正面から示す説明図
である。
しながら、金属精錬する際の一例を正面から示す説明図
である。
【図2】従来例の冷却装置の説明図である。
1 黒鉛電極 1a 黒鉛電極の外周面 2 冷却液 3 冷却管 4 炉蓋 θ 上向き傾斜角
Claims (5)
- 【請求項1】 ニップルを介して黒鉛電極が順次に接続
される黒鉛電極列に通電して、電気製鋼炉の炉蓋より上
部で、前記黒鉛電極列の黒鉛電極の外周に向け水平レベ
ルに対し10°から35°までの範囲の上向き傾斜角を
もって上向きに傾斜させて冷却液を噴射して吹付けて、
前記黒鉛電極列を冷却しつつ、電気製鋼炉中の金属をア
−ク溶解して精錬する際に、前記冷却液の吹付量を0.
8〜35リットル/分にすることを特徴とする電気製鋼
炉における金属の溶解・精錬方法。 - 【請求項2】 前記冷却液の吹付量を、6リットル/分
をこえて35リットル/分までの範囲内において前記黒
鉛電極の直径に対応して最適量にすることを特徴とする
請求項1記載の電気製鋼炉における金属の溶解・精錬方
法。 - 【請求項3】 前記冷却液の最適量は、冷却すべき前記
黒鉛電極の直径が400mm±20mmの場合に6〜9
リットル/分、冷却すべき前記黒鉛電極の直径が450
mm±20mmの場合に8〜12リットル/分、冷却す
べき前記黒鉛電極の直径が500mm±30mmの場合
に10〜14リットル/分、冷却すべき前記黒鉛電極の
直径が550mm±20mmの場合に12〜17リット
ル/分、冷却すべき前記黒鉛電極の直径が600mm±
30mmの場合に14〜20リットル/分、冷却すべき
前記黒鉛電極の直径が650mm±20mmの場合に1
7〜24リットル/分、冷却すべき前記黒鉛電極の直径
が700mm±30mmの場合に20〜28リットル/
分、冷却すべき前記黒鉛電極の直径が760mm±30
mmの場合に23〜32リットル/分にすることを特徴
とする請求項1または2記載の電気製鋼炉における金属
の溶解・精錬方法。 - 【請求項4】 前記冷却液として水を噴射することを特
徴とする請求項1、2または3記載の電気製鋼炉におけ
る金属の溶解・精錬方法。 - 【請求項5】 前記冷却液として、耐酸化剤を含み残余
が実質的に水から成る冷却液を噴射することを特徴とす
る請求項1、2、3または4記載の電気製鋼炉における
金属の溶解・精錬方法。
Priority Applications (4)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP27191195A JPH0992462A (ja) | 1995-09-26 | 1995-09-26 | 電気製鋼炉における金属の溶解・精錬方法 |
KR1019960042424A KR970016508A (ko) | 1995-09-26 | 1996-09-25 | 전기아크용광로와 레이들내에서 금속용융과 정련에 사용되는 그래파이트전극 냉각 방법 |
CA002186538A CA2186538C (en) | 1995-09-26 | 1996-09-26 | Method for cooling graphite electrodes used for metal melting and refining in an electric arc furnace and a ladle |
US08/721,221 US5795539A (en) | 1995-09-26 | 1996-09-26 | Method for cooling graphite electrodes used for metal melting and refining in an electric arc furnace and a ladle |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP27191195A JPH0992462A (ja) | 1995-09-26 | 1995-09-26 | 電気製鋼炉における金属の溶解・精錬方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0992462A true JPH0992462A (ja) | 1997-04-04 |
Family
ID=17506605
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP27191195A Pending JPH0992462A (ja) | 1995-09-26 | 1995-09-26 | 電気製鋼炉における金属の溶解・精錬方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0992462A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN118532941A (zh) * | 2024-07-26 | 2024-08-23 | 山西恒科新材料科技有限公司 | 一种竖式石墨化炉 |
-
1995
- 1995-09-26 JP JP27191195A patent/JPH0992462A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN118532941A (zh) * | 2024-07-26 | 2024-08-23 | 山西恒科新材料科技有限公司 | 一种竖式石墨化炉 |
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