JPH0988811A - マルチフローポンプ - Google Patents

マルチフローポンプ

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JPH0988811A
JPH0988811A JP7266103A JP26610395A JPH0988811A JP H0988811 A JPH0988811 A JP H0988811A JP 7266103 A JP7266103 A JP 7266103A JP 26610395 A JP26610395 A JP 26610395A JP H0988811 A JPH0988811 A JP H0988811A
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JP
Japan
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piston
discharge
swash plate
pressure
hydraulic
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Pending
Application number
JP7266103A
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English (en)
Inventor
Toshio Hashimoto
登志雄 橋本
Takeshi Ichiyanagi
健 一柳
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Construction Machinery Co Ltd
Yuken Kogyo Co Ltd
Original Assignee
Hitachi Construction Machinery Co Ltd
Yuken Kogyo Co Ltd
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Publication date
Application filed by Hitachi Construction Machinery Co Ltd, Yuken Kogyo Co Ltd filed Critical Hitachi Construction Machinery Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 主要部品については通常の単一吐出ポートの
アキシャルピストンポンプの部品が共用でき、独立した
複数の吐出流を安定して得ると共に、斜板にアンバラン
スモーメントが作用することなく、圧力的に平衡した状
態で安定した斜板の傾転制御を行うことのできるマルチ
フローポンプを提供する。 【解決手段】 弁板上の互いに異なる位置の吐出ポート
間の圧力差に基づいて生じる斜板の傾転角軸周りのアン
バランスモーメントを打ち消すように、これら吐出ポー
トからそれぞれ導かれた圧油圧力によって斜板に相補的
な逆向きモーメントを与えるアンバランスモーメント補
償用油圧ピストン機構を備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、一台のポンプから
互いに独立した複数の吐出流路に圧油を分配して吐出す
るアキシャルピストン型のマルチフロー可変容量ポンプ
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ミニパワーショベル、ミニホイールロー
ダ等の小型建設機械用の油圧ポンプの一つとして、シャ
フトの回転運動をピストンのストローク運動に変換して
圧油の吸入吐出を行うアキシャルピストン型可変容量ポ
ンプが挙げられる。
【0003】このアキシャルピストン型可変容量ポンプ
は、それぞれにピストンが嵌入される複数のシリンダ室
を回転軸心から互いに等しい離心距離で等角度間隔に配
設したシリンダバレルと、シリンダバレルの回転中に各
ピストンに吸排ストローク運動を与えるためにシリンダ
バレルの回転軸に対して傾斜した角度でハウジングに支
持される斜板と、回転するシリンダバレルの底面に摺接
してシリンダバレル底面の吸排孔の夫々が順次巡り合う
ように吸入ポート及び吐出ポートを設けた弁板(ポート
プレート)とをハウジング内に備えているものである。
【0004】このようなアキシャルピストンポンプによ
って複数の独立した吐出流を生じる多分配ポンプ、すな
わちマルチフローポンプを構成することは従来から知ら
れており、その第1の形式として、例えば実公昭43−
7977号には、図3に示すように、弁板の吐出ポート
Pをシリンダバレルの回転方向に複数に分割し、それぞ
れの吐出ポートP31〜P33を合流させることなく、それ
ぞれ独立したポンプ吐出口に導くことにより複数の独立
した吐出流を取り出すものが述べられている。この場
合、弁板以外は通常の単一吐出ポートのアキシャルピス
トンポンプの部品が共用でき、ピストンの1ストローク
で吐出される圧油は弁板によってストローク中に分割さ
れて順番に異なる流路に分配され、例えば3つの互いに
独立した吐出流として取出すことができる。
【0005】また、別の構成の第2の形式のマルチフロ
ーポンプとして、特開昭52−35304号、特開平1
−267367号、特開平1−267368号で開示さ
れているものも知られている。
【0006】これら第2の形式はいずれも、図4に示す
ようにシリンダバレルの底面に各シリンダ室h1 〜h6
に個々に通じる吸排孔Q41〜Q46を交互に離心距離の異
なる位置で穿ち、それぞれの離心距離にある二つの同心
円上で互いに独立した吐出流となるように弁板の吐出区
間に径方向に並ぶ別々の二つの吐出ポートP41、P42
形成した構造をもつものである。
【0007】この場合、個々のピストンの1ストローク
分の全吐出量がいずれか一方の吐出ポートから吐出され
ることになり、二つの吐出ポートに対して1つおきのシ
リンダ室から交互に吐出流が与えられることになるの
で、例えば6本のピストンを有するポンプでは、それぞ
れ3本のピストン吐出量をもつ二つのポンプと等価なマ
ルチフローポンプとなる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記第
1の形式の構成による従来のマルチフローポンプでは、
一般的な構成のアキシャルピストン型可変容量ポンプに
おける弁板の吐出ポートを単に回転方向に分割すること
により各ピストンの1ストローク分の吐出量を一定比率
で分割して多吐出流を得るものであるが、回転方向に分
離配列された各吐出ポート間における圧油圧力の相違に
対する対策が何もなく、単に弁板の吐出ポートを回転方
向に複数に分割しただけでは、シリンダ室内の閉じ込み
圧力の発生によりポンプ騒音が高くなったり、各吐出ポ
ート間における圧油圧力の相違に基づいて斜板に傾転軸
回りのアンバランスモーメントが生じてしまい、斜板の
傾転角制御、例えば、近似性馬力制御において、斜板が
アンバランスモーメントによって振動的になり、最悪の
場合には各吐出ポートの吐出量に予期しない偏差が生じ
る原因となる。
【0009】また、前記第2の形式による従来のマルチ
フローポンプの場合は、シリンダバレル底面における各
シリンダ室の吸排孔の配置を径方向に拡大展開すること
により複数の独立した吐出流を獲得する考えであるた
め、三つ以上の独立した吐出流を得るためには、各吐出
ポート間の漏洩防止の観点からも各シリンダ室底部の吸
排孔の径方向寸法を制限して径方向離間距離を充分にと
る必要があり、また、弁板に設ける吐出ポートも径方向
に並列して増やさなければならず、これは結果として、
装置の大型化を引き起こすこととなるので好ましくな
い。勿論、装置の大きさをあまり変えずに三つ以上の独
立した吐出流を得る構成とすることには、弁板近傍部で
各吸排孔及び吐出ポートの圧力バランスを考慮した設計
が極めて困難であり、現実には3スプリットフロー以上
のマルチフローポンプは製品化が実現できていない。
【0010】本発明の目的は、主要部品については通常
の単一吐出ポートのアキシャルピストンポンプの部品が
共用できるという前記第1の形式の利点を損なうことな
く、比較的簡単な構成で独立した複数の吐出流を安定し
て得ることのできるマルチフローポンプを提供すること
にあり、更には、斜板にアンバランスモーメントが作用
することなく、圧力的に平衡した状態で安定した斜板の
傾転制御を行うことのできるマルチフローポンプを提供
することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的は、本発明によ
れば、前記第1の形式のマルチフローポンプ、すなわ
ち、シャフトによって回転されるシリンダバレルの複数
のシリンダ室内でそれぞれピストンを斜板の傾転角に応
じたストロークで往復運動させると共に、シリンダバレ
ルの回転軸心に対して互いに等しい離心距離で配列され
た複数の互いに独立した吐出ポートを有する弁板によっ
てシリンダバレルの底部から各シリンダ室内のピストン
の1ストローク分の吐出流を前記複数の吐出ポートを介
して分割して取り出すことにより、複数の互いに独立し
た吐出流を生じるようにしたアキシャルピストン型のマ
ルチフローポンプにおいて、前記弁板上の互いに異なる
位置の吐出ポート間の圧力差に基づいて生じる斜板の傾
転角軸周りのアンバランスモーメントを打ち消すよう
に、これら吐出ポートからそれぞれ導かれた圧油圧力に
よって斜板に相補的な逆向きモーメントを与えるアンバ
ランスモーメント補償用油圧ピストン機構を装備するこ
とで達成される。
【0012】即ち、第1の形式のマルチフローポンプで
は、各シリンダ室からの吐出流をピストンの1ストロー
ク分のうちから分割して複数の互いに独立した吐出流を
得るために弁板の吐出ポートがシリンダバレルの回転方
向で複数に分割されているので、分割されたそれぞれの
吐出ポートにおける圧油圧力の違いによってシリンダバ
レル底面の弁板部分に生じる反力が斜板の傾転角回りの
アンバランスモーメントを与えようとするのに対し、本
発明ではアンバランスモーメント補償用油圧ピストン機
構が各吐出ポートからそれぞれ導かれた圧油圧力によっ
て斜板に相補的な逆向きモーメントを与え、これによっ
て斜板の傾転軸回りのモーメントを常に平衡状態に保持
するようにしている。
【0013】このアンバランスモーメント補償用油圧ピ
ストン機構は、弁板上の互いに異なる位置の吐出ポート
間の圧力差に基づいて生じる斜板の傾転軸周りのアンバ
ランスモーメントをポンプの作動中に常に打ち消すよう
に、各吐出ポートから相補的に操作圧油を受けるように
構成されていればよい。
【0014】例えば、斜板の傾転軸心をシリンダバレル
の回転軸方向に弁板上に投影した線分を圧力バランス境
界対称軸として想定し、斜板傾転軸が水平である場合の
弁板上における前記対称軸を境界として、弁板上で上下
に半円状に広がる吐出ポート配置領域を前記対称軸より
上方の第1の吐出領域と下方の第2の吐出領域に分けて
考える。いま、第1の吐出領域にある吐出ポートの圧力
によってシリンダバレル内のピストンを介して斜板の上
方部分に作用する力をF1、第2の吐出領域にある吐出
ポートの圧力によってシリンダバレル内のピストンを介
して斜板の下方部分に作用する力をF2とすると、ポン
プの作動中には第1と第2の吐出領域の各吐出ポート間
の圧力差によって斜板にはF1とF2との偏差に対応す
る大きさのアンバランスモーメントが傾転軸回りに作用
する。
【0015】そこで本発明においては、シリンダバレル
のピストンと同じ方向から斜板の上下部分に対してそれ
ぞれ補償用油圧ピストン機構によって相補的な力を作用
させることにより、作動中の斜板に前記アンバランスモ
ーメントを打ち消す逆モーメントが保たれるようにす
る。この場合、斜板の上部に補償のための力を作用させ
る補償用油圧ピストン機構は第2の吐出領域にある吐出
ポートの圧力によって操作力を与え、斜板の下部に補償
のための力を作用させる補償用油圧ピストン機構は第1
の吐出領域にある吐出ポートの圧力によって操作力を与
え、それぞれの補償用油圧ピストン機構の受圧面積はア
ンバランスモーメントを相殺するような大きさに選んで
おくことは述べるまでもない。
【0016】尚、各吐出ポートの圧力配分によって常に
第1と第2の吐出領域の圧力差の正負の関係が定まって
いる場合には、第1の吐出領域に作用する圧力と第2の
吐出領域に作用する圧力との差圧によって操作される補
償用油圧操作ピストン機構による補償力を低いほうの圧
力がかかる弁板の吐出領域と対抗する側で斜板に加える
ことによってアンバランスモーメントを打ち消すように
しても良い。
【0017】本発明では、弁板に形成された多分配用の
複数の分割吐出ポート間に圧力差が生じても、それによ
る斜板のアンバランスモーメントが補償用油圧ピストン
機構によって常に相殺されるので、斜板の傾転角を吐出
圧によって例えばカットオフ制御や近似定馬力制御など
の種々の方式で制御するレギュレータも装備することが
できる。このレギュレータは、傾転角を変化させるよう
に斜板を駆動する油圧操作ピストンと、前記複数の互い
に独立した吐出流のそれぞれの圧力の和と前記油圧操作
ピストンの位置フィードバック量との偏差が予め定めら
れたバネ荷重と平衡するように前記油圧操作ピストンに
最も高圧の吐出流による操作油圧を導く制御弁装置とを
含んでいる。
【0018】このレギュレータは、機械的な位置フィー
ドバック方式または電気油圧式位置フィードバック方式
のいずれも採用することができるが、いずれの場合も、
斜板の傾転角を変化させる油圧操作ピストンは、位置フ
ィードバック制御で制御弁装置により導入される圧油を
両端面間に受けてスリーブボア内で移動し、その移動量
と方向に応じて斜板の傾転角を増減させる。制御弁装置
は、複数の互いに独立した吐出流のそれぞれの圧力の和
と前記油圧操作ピストンの位置フィードバック量との偏
差が予め定められたバネ荷重と平衡するように前記油圧
操作ピストンに最も高圧の吐出流による操作油圧を導
き、この最も高圧の吐出流の選択は例えば各吐出ポート
からの圧油を圧力比較して常に高圧側のみを通過させる
シャットル弁などによって実現可能である。
【0019】機械的な位置フィードバック方式の場合、
前記制御弁装置には、例えば油圧操作ピストンと機械的
に連結されて油圧操作ピストンの移動量に応じて弁制御
口を変移させる可動スリーブと、この可動スリーブ内で
一端に作用する各吐出ポートの圧力でバネ荷重に抗して
移動する弁スプールとを備えた油圧パイロット操作方向
流量制御弁が利用でき、この場合、バネ荷重をたわみ量
に応じて非線形に変化させる特性のバネを用いることに
より、ポンプ軸入力をあらかじめ定められた圧力−流量
特性範囲内でほぼ一定に維持するような所謂近似定馬力
特性のポンプとすることもできる。
【0020】一方、電気油圧式位置フィードバック方式
の場合は、前記制御弁装置には比例電磁式あるいは電気
油圧サーボ式の方向流量制御弁が利用でき、これら制御
弁のバネ荷重に対抗する弁操作力を与える電気入力とし
ては、各吐出ポートの圧力を圧力検出器によって電気信
号に変換し、油圧操作ピストンの位置フィードバック量
も例えば差動トランスによって電気的に検出し、これら
の電気量をフィードバック制御回路で電気的に処理して
入力とすればよい。この場合、例えば前記のような近似
定馬力制御特性は、フィードバック制御回路において各
吐出ポートからの圧力検出信号の変化に応じて非線形に
変化する信号を発生せしめ、この信号と位置フィードバ
ック信号との偏差を制御弁への電気入力とすることによ
って実現可能である。
【0021】
【発明の実施の形態】図1(a)は、本発明によるマル
チフローポンプの実施形態の一例を示す模式構成図、図
1(b)はその弁板のポート配列を示す説明図であり、
本例では、最も構造が単純なバネによる負荷圧対抗型の
レギューレータを備えた3スプリットフロー式のアキシ
ャルピストン型マルチフローポンプを例示している。
【0022】図1(a)において、シリンダバレル2
は、内燃機関や電動機などの駆動原動機で回転されるシ
ャフト3と共に回転し、シリンダバレル2の各シリンダ
室内に挿入されたピストン4は、そのヘッド部がそれぞ
れ斜板5に相対摺接回転可能に保持されているので、シ
ャフト3の回転に伴ってシリンダバレル2が回転すると
ピストン4のヘッド部はシャフト3の回転軸心を中心と
して斜板5上を摺接周回運動することとなる。このとき
の各ピストン4のシリンダ室内での位置は、シリンダバ
レル2と斜板5との傾転角により決定されるので、ヘッ
ド部が斜板5上を周回運動する間にピストン4はシリン
ダ室内を往復運動することになる。
【0023】ピストン4のヘッド部がシリンダバレル2
に最も近づく位置(下死点位置と呼ぶ)に達すると、ピ
ストン4はシリンダ室の容積を最小にし、またピストン
4のヘッド部がシリンダバレル2から最も遠くなる位置
(上死点位置と呼ぶ)に達すると、ピストン4はシリン
ダ室の容積を最大にすることとなる。従って、ピストン
4がシリンダ室の容積を増加する方向に移動する時に圧
油がシリンダ室内に吸入され、逆にピストン4がシリン
ダ室の容積を減じる方向に移動する時にシリンダ室内の
圧油が外部に吐出されることとなる。
【0024】このようなピストン4のストローク運動に
よるシリンダ室の押しのけ容積は斜板5の傾斜角によっ
て決定され、この斜板5は、戻しバネ6に対抗するレギ
ュレータの油圧操作ピストン7によってその傾転角が制
御されるので、この油圧操作ピストン7の位置によりポ
ンプの吐出量を調整することができる。
【0025】シリンダバレル2の底面には、ポンプハウ
ジングに対して固定された非回転の弁板1が摺接可能に
配置されており、この弁板1においては、図1(b)に
示すように、ピストン4の上死点位置Aと下死点位置B
とを通る線分AB(シャフト軸心および斜板傾転軸と直
角)を境界として、その一方の側と他方の側とに吐出ポ
ート領域と吸入ポート領域とがシリンダバレルの回転方
向に基づいて分けられている。
【0026】弁板1の吐出ポート領域に設けられている
複数の互いに独立した吐出ポート1a〜1dと吸入ポー
ト領域に設けられている一つの吸入ポート1eは、いず
れも一つの円周上に円弧状に配列されており、吸入ポー
ト1eは、吸入ポート領域のほぼ全域に亙ってキドニー
状に設けられ、下死点位置Bから上死点位置Aまでの区
間では各シリンダ室内に連続的に圧油が吸入されるよう
になっている。
【0027】一方、弁板1の吐出ポート領域には、上死
点位置Aから下死点位置Bまでの区間が4つの領域θ1
〜θ4に区分され、各区分領域に一つずつの合計4つの
互いに独立した吐出ポート1a〜1dが相互に間隔を開
けて配列されている。これらの吐出ポート1a〜1dの
うち、θ2領域内に設けた吐出ポート1bからの吐出流
を圧力P1 および流量Q1 の独立した第1の吐出流とす
ると共に、θ3領域内に設けた吐出ポート1cからの吐
出流を圧力P2 および流量Q2 の別の独立した第2の吐
出流とし、更にθ1領域とθ4領域に別々に設けた吐出
ポート1aおよび1dからの吐出流を一つに合流して圧
力P3 および流量Q3 のさらに別の独立した第3の吐出
流として、これら各吐出流を互いに独立した3つのポン
プ吐出口に導いている。
【0028】この場合、弁板1のポート設計は、各区分
領域の寸法についてθ1=θ4としてあり、斜板5の傾
転軸心をシリンダバレル2の回転軸方向に弁板1上に投
影した線分を圧力バランス境界対称軸X−Xとすると、
θ1領域とθ4領域に作用するシリンダ室内の圧力によ
ってX−X軸回りに弁板に生じるモーメントが零となる
ようにバランスを採ることにより、シリンダ室内の圧力
の反力を回転軸心方向に受ける斜板5に対してθ1領域
とθ4領域の圧力バランスが保たれるようにしている。
【0029】また、θ2領域とθ3領域における吐出圧
力をP1 、P2 とすると、これら区分領域の寸法をθ2
=θ3としても、ポンプ作動中にはP1 ≠P2 となるこ
とが常に考えられるため、これにより弁板にX−X軸回
りに生じるモーメントは零とはならない。このモーメン
トは回転軸方向に弁板に作用して傾転軸回りのアンバラ
ンスモーメントとなり、このアンバランスモーメントを
二つの補償用油圧ピストン機構8aと8bによって打ち
消すが、この場合、θ2=θ3に寸法設計しておくこと
によりこれら補償用油圧ピストン機構の受圧面積および
離心距離に関する設計が容易となる。
【0030】斜板5の傾転軸より下方の端部に弁板1側
から押圧力を与えるアンバランスモーメント補償用のピ
ストン8aにはX−X軸より上方にあるθ2領域の吐出
ポート1bからの圧力P1 を操作力として導くと共に、
斜板の傾転軸より上方の端部に押圧力を与えるもう一つ
のアンバランスモーメント補償用のピストン8bにはX
−X軸より下方にあるθ3領域の吐出ポート1cの圧力
2 を操作力として導き、これによりポンプ作動中にP
1 とP2 が以下に変化しても、X−X軸回りのモーメン
トによる斜板5のアンバランスモーメントを常に相殺す
ることが可能である。ここで、θ2=θ3に寸法設計さ
れている場合、双方の補償用油圧ピストン機構の受圧面
積が互いに等しければ斜板5に対する作用点の回転軸心
からの離心距離も等しくすればよい。
【0031】3つの吐出圧P1 、P2 、P3 は、制御弁
11と吐出量設定用の油圧操作ピストン7により構成さ
れるレギュレータ機構にも導かれている。制御弁11
は、シャットル弁で選択された吐出圧P1 、P2 、P3
のうち最も圧力が高い圧油を油圧操作ピストン7の両端
に対して方向切換およびメータイン開度制御により導入
するものであり、図示の例では、スプール8の一端に導
入される3つの吐出圧P1 〜P3 の和をバネ10a〜1
0bによるバネ荷重に対抗させ、スプール8との間に制
御口を形成するスリーブ9を油圧操作ピストン7と機械
的に連結して位置フィードバック量を与えるようにして
ある。この場合、バネ10aと10cはスプール8の変
位ストロークの全域でバネ荷重を作用させ、バネ10b
はこの変位ストロークの一部のみでバネ荷重を作用さ
せ、これにより総合のバネ特性は近似定馬力制御のため
の非線形特性となっている。
【0032】例えば、吐出圧P1 〜P3 の和がバネ10
a〜10cによるバネ荷重よりも低いときは、そのとき
の最も高圧の吐出圧P1 、P2 、またはP3 が油圧操作
ピストン7の図中左方の端面に導入され、右方の端面は
ドレン圧となる。このとき油圧操作ピストン7は斜板5
を戻しバネ6のバネ力に抗して図中で時計方向に傾転さ
せ、これによって斜板5の傾転角が増加されるので各吐
出流の流量が増加される。同時に油圧操作ピストン7の
移動量はスリーブ9に機械的に帰還され、これはスプー
ル8の移動方向に追従する負帰還であるので、スプール
両端の力が平衡したときには制御弁11が中立状態とな
り、油圧操作ピストン7の両端への油路が遮断され、油
圧操作ピストン7がその位置に停止してポンプ吐出量が
そのときの斜板傾転角で定まる値に維持される。
【0033】ポンプの負荷圧の上昇などによって吐出圧
1 〜P3 の和がバネ10a〜10cによるバネ荷重よ
りも高くなると、そのときの最も高圧の吐出圧P1 、P
2 、またはP3 が油圧操作ピストン7の図中右方の端面
に導入され、左方の端面はドレン圧となる。このとき油
圧操作ピストン7は斜板5を戻しバネ6のバネ力と共に
図中で反時計方向に傾転させ、これによって斜板5の傾
転角が減少されるので各吐出流の流量が減少される。同
時に油圧操作ピストン7の移動量はスリーブ9に機械的
に負帰還され、スプール両端の力が平衡したときには制
御弁11が中立状態となり、油圧操作ピストン7の両端
への油路が遮断され、油圧操作ピストン7がその位置に
停止してポンプ吐出量がそのときの斜板傾転角で定まる
値に維持される。
【0034】図2は、本発明によるマルチフローポンプ
の実施形態のもう一つの例を示す模式構成図であり、本
例では、電気油圧サーボ弁による位置フィードバック方
式のレギュレータを用いた3スプリットフロー式のアキ
シャルピストン型マルチフローポンプを例示している。
【0035】図2において、レギュレータ部分を除くポ
ンプ部分の動作は、前述した図1の例と同様であり、得
られる3つの吐出圧P1 、P2 、P3 のうち、吐出圧力
1とP2 とが、斜板5のアンバランスモーメントを補
償するように、それぞれアンバランスモーメント補償用
のピストン8aと8bに相補的に導かれ、これにより独
立した3つの吐出流を得ると共に、吐出ポートに掛かる
圧力バランスを斜板の傾転軸に関して対称的に補償し、
斜板のアンバランスモーメントを油圧バランスによって
相殺している。
【0036】図2の例では、吐出量設定用の油圧操作ピ
ストン7に操作油圧を導入するレギュレータ機構に電気
油圧サーボ弁21を用いている。この電気油圧サーボ弁
21は、シャットル弁で選択された吐出圧P1 、P2
3 のうち最も高圧の圧油を油圧操作ピストン7の両端
に対して方向切換およびメータイン開度制御により導入
するものであり、図示の例では、半導体圧力検出器(図
示せず)等で検出された吐出圧P1 、P2 、P3 の電気
的な圧力検出信号から信号処理回路31によって作成さ
れた指令信号Ycによって増幅器32を介して励磁制御
される比例電磁ソレノイド装置28aの操作力をスプー
ル28の一端に作用させ、この操作力にバネ30による
バネ荷重を対抗させ、一方、油圧操作ピストン27の位
置を差動トランスなどの変位センサ27aで検出し、こ
の検出信号を位置フィードバック信号Yfとして指令信
号Ycに負帰還している。
【0037】3つの吐出圧力P1 、P2 、P3 の圧力値
は、電気信号として信号処理回路31に入力され、それ
らの和に対して予め設定された近似定馬力特性に対応す
る非線形特性で変化する指令信号Ycに変換される。こ
の指令信号Ycは、油圧操作ピストン27の変位センサ
27aからの位置フィードバック信号Yfとの偏差をと
られ、この偏差信号Yが増幅器32を介して比例電磁ソ
レノイド装置28aを励磁する。
【0038】例えば、吐出圧P1 〜P3 の和によって与
えられる指令信号Ycがその時の油圧操作ピストン27
の位置フィードバック信号Yfよりも小さいときは、電
気油圧サーボ弁21がバネ30に抗してスプール28を
変位させるので、そのときの最も高圧の吐出圧P1 、P
2 、またはP3 が油圧操作ピストン27の図中左方の端
面に導入され、右方の端面はドレン圧となる。このとき
油圧操作ピストン27は斜板5を戻しバネ6のバネ力に
抗して図中で時計方向に傾転させ、これによって斜板5
の傾転角が増加されるので各吐出流の流量が増加され
る。同時に油圧操作ピストン27の移動量は指令信号Y
cに電気的に負帰還され、これはソレノイド同地28a
の励磁電流を減少させる方向に作用するので、スプール
両端の力が平衡したときには制御弁21が中立状態とな
り、油圧操作ピストン27の両端への油路が遮断され、
油圧操作ピストン27がその位置に停止してポンプ吐出
量がそのときの斜板傾転角で定まる値に維持される。
【0039】ポンプの負荷圧の上昇などによって吐出圧
1 〜P3 の和が上昇し、指令信号Ycがその時の油圧
操作ピストン27の位置フィードバック信号Yfよりも
高くなると、そのときの最も高圧の吐出圧P1 、P2
またはP3 が油圧操作ピストン27の図中右方の端面に
導入され、左方の端面はドレン圧となる。このとき油圧
操作ピストン27は斜板5を戻しバネ6のバネ力と共に
図中で反時計方向に傾転させ、これによって斜板5の傾
転角が減少されるので各吐出流の流量が減少される。同
時に油圧操作ピストン27の移動量は変位センサ27a
から指令信号Ycに電気的に負帰還され、スプール両端
の力が平衡したときには制御弁21が中立状態となり、
油圧操作ピストン27の両端への油路が遮断され、油圧
操作ピストン27がその位置に停止してポンプ吐出量が
そのときの斜板傾転角で定まる値に維持される。
【0040】尚、以上に述べた各実施形態では3つの互
いに独立した吐出流を生じる3スプリットフロー式のマ
ルチフローポンプの場合を例示したが、本発明はこれに
限定されるものではなく、2つ以上の互いに独立した吐
出流を生じるマルチフローポンプにも同様に適用可能で
あることは述べるまでもない。
【0041】
【発明の効果】以上に述べたように、本発明によれば、
前述の第1の形式のマルチフローポンプの利点を損なう
ことのない構造で独立した複数の吐出流を得ることがで
き、各吐出ポート間の圧力差によって斜板に作用するア
ンバランスモーメントを補償用の油圧ピストン機構によ
る油圧的な逆モーメントによって常に相殺することがで
きるので、斜板の傾転角制御による吐出量制御を安定に
行うことが可能となり、ポンプのカットオフ制御や近似
定馬力制御を安定に実現できるマルチフローポンプを得
ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、本発明によるマルチフローポンプの
実施形態の一例を示す模式構成図、(b)はその弁板の
ポート配列を示す説明図である。
【図2】本発明によるマルチフローポンプの実施形態の
もう一つの例を示す模式構成図である。
【図3】従来のマルチフローポンプの弁板の一例を示す
説明図である。
【図4】従来の別のマルチフローポンプのシリンダバレ
ルの底面における吸排孔の配列と弁板のポート配列の一
例を示す説明図である。
【符号の説明】
1 :弁板 1a〜1d :吐出ポート 1e :吸入ポート 2 :シリンダバレル 3 :シャフト 4 :ピストン 5 :斜板 6 :戻しバネ 7 :斜板傾転制御用油圧操作ピス
トン 8a、8b :アンバランスモーメント補償
用油圧ピストン 10a、10b、10c:バネ 11 :制御弁 21 :電気油圧サーボ弁 27 :斜板傾転制御用油圧操作ピス
トン 27a :変位センサ 28a :比例電磁ソレノイド装置 31 :信号処理回路 32 :増幅器 P31〜P33、P41、P42:吐出ポート h1 〜h6 :シリンダ室

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シャフトによって回転されるシリンダバ
    レルの複数のシリンダ室内でそれぞれピストンを斜板の
    傾転角に応じたストロークで往復運動させると共に、シ
    リンダバレルの回転軸心に対して互いに等しい離心距離
    で配列された複数の互いに独立した吐出ポートを有する
    弁板によってシリンダバレルの底部から各シリンダ室内
    のピストンの1ストローク分の吐出流を前記複数の吐出
    ポートを介して分割して取り出すことにより、複数の互
    いに独立した吐出流を生じるようにしたアキシャルピス
    トン型のマルチフローポンプにおいて、 前記弁板上の互いに異なる位置の吐出ポート間の圧力差
    に基づいて生じる斜板の傾転角軸周りのアンバランスモ
    ーメントを打ち消すように、これら吐出ポートからそれ
    ぞれ導かれた圧油圧力によって斜板に相補的な逆向きモ
    ーメントを与えるアンバランスモーメント補償用油圧ピ
    ストン機構を備えたことを特徴とするマルチフローポン
    プ。
  2. 【請求項2】 斜板の傾転角によって吐出量を制御する
    ためのレギュレータを更に備え、該レギュレータは、傾
    転角を変化させるように斜板を駆動する油圧操作ピスト
    ンと、前記複数の互いに独立した吐出流のそれぞれの圧
    力の和と前記油圧操作ピストンの位置フィードバック量
    との偏差が予め定められたバネ荷重と平衡するように前
    記油圧操作ピストンに最も高圧の吐出流による操作油圧
    を導く制御弁装置とを含むことを特徴とする請求項1に
    記載のマルチフローポンプ。
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