JPH0988798A - 自動回転装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 電気、ガソリン等の高コストのエネルギー源
を使用することなく、水または液体の浮力及び慣性モー
メントを利用することによって、回転体を永続的に回転
することができる自動回転装置を提供する。 【構成】 水平を成す回転軸３の周りに回動自在に支持
された回転体４の外周に沿って複数の案内部材５が回転
体４の外周方向に所定角度を有して等間隔で固設される
と共に、案内部材５に沿って先端にフロート１０を固着
したスライドバー８が前後の移動方向への停止機能を有
して摺動自在に挿着され、回転体４の下方には、該回転
体４の回転によって下方位置に至ったフロート１０に浮
力を与えるための所定高さの水または液体１１が設けら
れ、さらに該水または液体１１によって浮力が与えられ
たフロート１０のスライドバー８が案内部材５に沿って
後端に移動した状態を係止するキー手段と、回転体４の
最上端位置に移動したスライドバー８のキー係止を解除
するキー解除手段とを有するものである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、水または液体の高さを
一定レベルに保持するよう供給することにより、回転体
を永続的に自動回転することができる自動回転装置に関
するもので、回転式玩具や発電機にまで利用することが
できる広い応用範囲を有する自動回転装置に関するもの
である。

【０００２】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、電気、ガソ
リン等の高コストのエネルギー源を使用することなく、
水または液体の浮力及び慣性モーメント等を利用するこ
とによって、回転体を永続的に回転することができる自
動回転装置を提供することを目的とする。

【０００３】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、水平を成す回転軸の周りに回動自在に支持された
回転体の外周に沿って複数の案内部材が前記回転体の外
周方向に所定角度を有して等間隔で固設されると共に、
前記案内部材に沿って先端にフロートを固着したスライ
ドバーが前後の移動方向への停止機能を有して摺動自在
に挿着され、前記回転体の下方には、該回転体の回転に
よって下方位置に至った前記フロートに浮力を与えるた
めの所定高さの水または液体が設けられ、さらに前記水
または液体にて浮力を与えられたフロートのスライドバ
ーが前記案内部材に沿って後端に移動した状態を係止す
るキー手段と、前記回転体の最上端位置に移動した前記
スライドバーのキー係止を解除するキー解除手段とを有
することを特徴としている。

【０００４】また、前記各案内部材は長手方向に案内溝
を備えてその後端と前端にストッパが設けられて成り、
該案内部材の案内溝内に前記スライドバーを挿通すると
共に該スライドバーの後端に前記案内部材の後端と前端
に設けられたストッパに係止する突出片が固設された構
成とするのが好ましい。

【０００５】さらに、前記各案内部材の前端付近の回転
体の面上に突出し又は待機位置に復帰するキーロッドが
設けられ、該キーロッドが前記キー係止の位置と前記キ
ー解除の位置に設けられた磁石によって前記スライドバ
ーに固設された係止片の係止及び解除を行うようにして
もよい。

【０００６】

【発明の実施の形態】本発明の自動回転装置は、水平を
成す回転軸に支持された回転体の外周方向に所定角度を
有して等間隔で固設された案内部材に沿って摺動するス
ライドバーの先端に固着したフロートが回転軸を中心に
して垂直面内における回転奇跡を描きながら回転するよ
うにされている。

【０００７】このような装置において、各案内部材は回
転体の外周方向に所定角度を有して等間隔で固設されて
いるため、回転軸位置の水平レベルに至ったスライドバ
ーは上記の所定角度で下方向又は上方向に傾斜する。

【０００８】このうち、下方向に傾斜した方は案内部材
から滑り落ちて、水平軸からのフロートの位置を最長ま
で延長した状態となるが、上方向に傾斜したスライドバ
ーは水槽内でフロートに作用した浮力によって案内部材
の後端まで移動して、水平軸からのフロートの位置を最
短まで縮小する。

【０００９】従って、回転軸の左右において両側の各フ
ロートは、最長に延長されたものと最短に短縮されたも
のとが回転軸を中心にして水平レベル上に並設された状
態となり、回転軸を境にして左右の重量バランスが崩
れ、最長側のフロートが最短側のフロートよりも重くな
って、回転軸周りに回転動作を行うのである。

【００１０】

【実施例】以下、本発明の実施例について図面を参照し
ながら説明する。

【００１１】図１は本発明による自動回転装置の正面図
である。図２は図１の回転体からリング状係止板を取り
除いた状態を示す正面図である。図３は本発明の作用を
示す図である。図４は図１の一個の案内部材とスライド
バーとフロートを示す部分拡大斜視図である。図５は図
１のキー手段の引出状態を示す部分断面図である。図６
は図１のキー手段の引込状態を示す部分断面図である。

【００１２】図１において、水槽１の上面には一対の支
持板２が立設され、これら支持板２に対して水平状に配
置された回転軸３がベアリング等を介して回動自在に支
持されると共に、該回転軸３には回転体４がその中心位
置で固着されている。

【００１３】回転体４は円盤から成り、この回転体４の
円形外周の近傍には面上に沿って複数の案内部材５が等
間隔で固設されている。

【００１４】この案内部材５は、図４に示すように、長
手方向に案内溝７を有する断面コ字形の長尺部材の前端
と後端にストッパ６ａ、６ｂが固設された構成とされて
いる。

【００１５】このような案内部材５が、図２、３に示す
ように、一つの案内部材５に対して互いに３０°の角度
を持って固定されることにより、複数の案内部材５、５
…が、全体として左回り方向に順次傾斜した状態に設け
られている。

【００１６】なお、図示の案内部材５は、全部で１２個
から成るが、本発明はこれに限定されるものではなく、
全体の規模、後述するフロート１０の浮力及び重量等に
よって決定すべきものである。

【００１７】図４において、各案内部材５の案内溝７内
にはスライドバー８が摺動自在に挿通されている。この
スライドバー８の後端には突出片８ａが固設され、該突
出片８ａが案内部材５の前端と後端のストッパ６ａ、６
ｂに対して係止するようにされている。

【００１８】従って、各スライドバー８が前後端のスト
ッパ６ａ、６ｂによって前後方向への移動限界を有して
摺動するようにされているため、該スライドバー８の先
端に固設されたフロート１０の引出し及び引込み量を制
限することができる。

【００１９】各スライドバー８の先端に固設されたフロ
ート１０は、後述するように水槽１内の水または液体１
１によって所定の浮力を受ける容量を有するようにさ
れ、しかも水槽１内の水または液体１１中を移動するの
に都合の良い略楕円体から形成するのが好ましい。

【００２０】なお、フロート１０自体に重量があるた
め、後述するように、各フロート１０が傾斜した案内部
材５に沿って引出し方向に移動することが可能である
が、スライドバー８の先端に不図示の重りを設け、この
重りの周囲に上記のフロート１０を固設するようにして
もよい。

【００２１】各スライドバー８には、図４に示すよう
に、係止片９が設けられている。この係止片９は、スラ
イドバー８の後端部が後端のストッパ６ｂに係止された
位置で前端のストッパ６ａの外側に位置するように固設
されている。

【００２２】また、キーロッド１２は、スライドバー８
の突出片８ａが案内部材５の後端のストッパ６ｂに当接
した位置で、スライドバー８の係止片９を引き出し方向
に係止する位置に設けられている。

【００２３】このキーロッド１２は、図５、６に示すよ
うに、回転体４に穿設された複数の貫通孔１３に対して
移動自在に挿通されたものである。

【００２４】また、図１に示すように、回転体４の円形
外周の縁部にはリング状の係止板１５が、スライドバー
８の移動を妨げないように幅部材１５ａを介して固設さ
れると共に、回転体４の複数の貫通孔１３に対応する位
置にも、係止板１５に対して貫通孔１７が設けられてい
る。

【００２５】さらに、これらの回転体４の貫通孔１３と
係止板１５の貫通孔１７との外側にはプラスチック等の
非磁性体から成る網１８が被せられた状態で固定される
ことにより、キーロッド１２が移動する際に網１８に当
たって抜け落ちないようにしてある。

【００２６】さらに、上記のキーロッド１２を貫通孔１
３にて左右に移動するために、互いに反対極を有する磁
石１９、１９が設けられている。この二個の磁石は、後
述するように案内部材５を移動するスライドバー８の係
止片９を回転体４の面上に突出させたキーロッド１２で
係止するために設けられたものである。

【００２７】図５において、各キーロッド１２の左端を
マイナス極にして、係止板１５の外側にプラス極の磁石
１９を設けておけば、キーロッド１２はプラス極の磁石
１９に引っ張られて左方に移動し、回転体４の面上から
突出する。この時、図３に示すように、案内部材５の後
端に移動したスライドバー８の係止片９に対して、この
キーロッド１２を係止するようにすれば、このスライド
バー８は、キーロッド１２の係止作用によって抜け出し
から防止される。

【００２８】また、図６において、キーロッド１２の右
端をプラス極にして、回転体４の外側にマイナス極の磁
石１９を設けておけば、キーロッド１２はマイナス極の
磁石１９に引っ張られて右方に移動し、回転体４の貫通
孔１３内に引き込まれる。この時、図３においては、ス
ライドバー８の係止片９を係止したキーロッド１２が解
除され、スライドバー８は案内部材５の案内溝７に沿っ
て移動可能になる。

【００２９】これらの二個の磁石を設ける位置について
は、スライドバー８の作用を説明しながら述べることと
する。ただし、各磁石を固設するには、図１に示すよう
に、水槽１の上面に支柱片２０を立設して、その上端付
近に磁石１９を固設して、所定の方向に向けておけばよ
い。

【００３０】上記の水槽１に対して、所定位置に水また
は液体１１が収容されている。またこの水槽１は、スラ
イドバー８の各フロート１０の回転を妨げないように、
上面の必要部分が解放された状態にされている。

【００３１】図３を参照しながら、スライドバー８の動
作について説明する。なお、説明の便宜上、図３におい
て各フロート１０には、左回りにＦ１〜Ｆ１２の数字が
付してある。

【００３２】回転体４の略上端に位置するフロートＦ１
は、後述するキー作用によってスライドバー８の係止片
９が、図４に示すようにキーロッド１２で係止された状
態にされている。

【００３３】さらに、左回りのフロートＦ２の位置にお
いて、キーロッド１２を解除方向に引き込むようにする
ため、図１に示すように、フロートＦ２の位置に図６に
示すようなキーロッド１２を解除するためのマイナス極
の磁石１９（図１参照）を設けておく。

【００３４】このフロートＦ２の位置において、スライ
ドバー８のキー係止が解除されると、これ以降の左回り
において、スライドバー８は、フロートＦ２とスライド
バー８自体の重量のために案内部材５から引出方向に摺
動自在に移動することができる。

【００３５】フロートＦ３の位置において、スライドバ
ー８は略水平状態にされているが、さらに左回りに移動
したフロートＦ４の位置では案内部材５が３０°の傾斜
角を有するため、フロートＦ４の重量及び慣性力によっ
て、スライドバー８は案内部材５の案内溝７に沿って傾
斜方向に移動し始める。

【００３６】そして、フロートＦ５に至って、フロート
Ｆ５は完全に傾斜方向に引き出された状態に移動する
が、スライドバー８の後端の突出片８ａが案内部材５の
前端のストッパ６ａに係止して、スライドバー８の抜け
落ちが防止される。

【００３７】さらに、フロートＦ６に至って、水または
液体１１中に侵入することにより浮力を受け始めると、
スライドバー８が案内部材５に沿って上方へ移動し始め
る。そして、フロートＦ７に至った時点では、スライド
バー８が完全に案内部材５の後端まで押し戻される。こ
の上昇移動したスライドバー８を係止するために、この
位置にプラス極の磁石１９を設け（図１参照）、図５に
示すように、キーロッド１２を係止方向に引き出して、
図３に示すようにスライドバー８の係止片９に対してキ
ーロッド１２を係止させる。

【００３８】この状態で、左回りのフロートＦ７からＦ
１に至るまで、スライドバー８の係止片９はキー係止か
ら解除されることなく、案内部材５内に引き込まれた状
態を保つことができる。

【００３９】上記の動作において、図３に示すように、
フロートＦ１〜Ｆ１２の全体を見ると、回転体４の回転
軸３から左方のフロートＦ４までの距離は、回転体４の
回転軸３から右方のフロートＦ１０までの距離Ｌ１より
もＬ２だけ長くなる。従って、左方のフロートＦ４等の
慣性モーメントが右方のフロートＦ１０等の慣性モーメ
ントよりも大きくなるため、回転体４が回転軸３の周り
に左回りに回転して、全体の回転を永続的に維持するこ
とができるのである。

【００４０】実際の回転動作においては、回転体４が回
転することにより、フロート１０には慣性力が作用し、
図３のフロートＦ４の傾斜方向への移動はこの慣性力に
よって付勢された状態で行われるため、回転体４全体と
してより円滑な回転を永続的に行うことが可能となる。

【００４１】なお、上記の案内部材５の傾斜角度３０°
は、回転体４に自動回転を生じさせるのに最良と思われ
る角度を実験の結果得たもので、その角度に多少の変化
があっても本装置を作動させるのにはさしつかえない。

【００４２】また、水槽１の水の高さはフロート１０に
対してどのような浮力を生じさせるかによって変動し得
るものであり、フロート１０の容量によっても変化する
ものである。

【００４３】ただし、水槽１内の水または液体１１は、
回転体４を回転させるのに、最も好ましいと思われる高
さを得た後、この高さを維持するために水または液体１
１の補給手段を設けておくのが好ましい。

【００４４】また、水槽内の水または液体１１は通常静
止しているが、本装置を用いることによって水槽内の水
または液体１１に流れを生じさせることができる。

【００４５】また、本装置を流れのある水または液体に
対して設けるようにしてもよい。この場合、フロートの
回転方向を流れと同方向にすると、フロートの回転は流
れによって付勢されるため、回転体４の回転速度を加速
度的に増加することができる。

【００４６】また、本装置は、フロート１０の回転方向
とは逆方向の流れに対しても用いることができる。この
場合、フロート１０の回転力が流れによる抵抗力よりも
大である必要がある。

【００４７】また、フロート１０に浮力を与えるのに、
水以外の液体を用いてもよい。

【００４８】さらに、本装置においては、キーロッド１
２と磁石１９によるものの他に、機械的に構成したキー
手段またはキー解除手段を構成することが可能である。

【００４９】

【発明の効果】以上説明したように、本発明の自動回転
装置によれば、回転体の外周に沿って設けられた複数の
フロートが、回転軸の片側で傾斜方向に引き出されるこ
とと、水または液体の浮力によって押し戻されたフロー
トが回転軸の反対側で押し戻された長さを維持すること
により、回転軸の左右で複数のフロートの重量バランス
がくずれ、より長く引き出された側のフロートに大きな
慣性モーメントが作用する結果、回転体は永続的に回転
し続けることが可能となる。

【００５０】このような装置において、供給すべきもの
は、フロートに与える浮力を一定に保つための水または
液体であるが、本装置の作動においては、この水または
液体は主に蒸発によって減少するものであるから、供給
すべき水または液体の量もわずかであり、本装置はラン
ニングコストの極めて安価な自動回転装置を提供し得る
ものである。

【００５１】なお、本装置は、オルゴールの音を自動的
に発したり、回転による色変化を得たりする玩具等に利
用するほか、発電機としての利用も可能である。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は本発明による自動回転装置の正面図であ
る。

【図２】図２は図１の回転体からリング状係止板を取り
除いた状態を示す正面図である。

【図３】図３は本発明の作用を示す図である。

【図４】図４は図１の一個の案内部材とスライドバーと
フロートを示す部分拡大斜視図である。

【図５】図５は図１のキー手段の引出状態を示す部分断
面図である。

【図６】図６は図１のキー手段の引込状態を示す部分断
面図である。

【符合の説明】

１…水槽、２…支持板、３…回転軸、４…回転体、５…
案内部材、６ａ…前端のストッパ、６ｂ…後端のストッ
パ、７…案内溝、８…スライドバー、９…突出片、１０
（Ｆ１〜Ｆ１２）…フロート、１１…係止片、１２…キ
ーロッド、１３…貫通孔、１４…回転体、１５…係止
板、１６…幅部材、１７…貫通孔、１８…網、１９…磁
石、２０…支柱片。

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 水平を成す回転軸の周りに回動自在に支
   持された回転体の外周に沿って複数の案内部材が前記回
   転体の外周方向に所定角度を有して等間隔で固設される
   と共に、前記案内部材に沿って先端にフロートを固着し
   たスライドバーが前後の移動方向への停止機能を有して
   摺動自在に挿着され、前記回転体の下方には、該回転体
   の回転によって下方位置に至った前記フロートに浮力を
   与えるための所定高さの水または液体が設けられ、さら
   に前記水または液体によって浮力を与えられたフロート
   のスライドバーが前記案内部材に沿って後端に移動した
   状態を係止するキー手段と、前記回転体の最上端位置に
   移動した前記スライドバーのキー係止を解除するキー解
   除手段とを有することを特徴とする自動回転装置。
2. 【請求項２】 前記各案内部材は長手方向に案内溝を備
   えてその後端と前端にストッパが設けられて成り、該案
   内部材の案内溝内に前記スライドバーを挿通すると共に
   該スライドバーの後端に前記案内部材の後端と前端に設
   けられたストッパに係止する突出片が固設されたことを
   特徴とする請求項１記載の自動回転装置。
3. 【請求項３】 前記各案内部材の前端付近の回転体の面
   上に突出し又は待機位置に復帰するキーロッドが設けら
   れ、該キーロッドが前記キー係止の位置と前記キー解除
   の位置に設けられた磁石によって前記スライドバーに固
   設された係止片の係止及び解除を行うようにしたことを
   特徴とする請求項１記載の自動回転装置。