JPH0987305A - アクリル系樹脂の製造方法 - Google Patents

アクリル系樹脂の製造方法

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JPH0987305A
JPH0987305A JP24453595A JP24453595A JPH0987305A JP H0987305 A JPH0987305 A JP H0987305A JP 24453595 A JP24453595 A JP 24453595A JP 24453595 A JP24453595 A JP 24453595A JP H0987305 A JPH0987305 A JP H0987305A
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JP
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monomer
polymerization reaction
polymerization
reaction
reactor
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JP24453595A
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Norio Numata
憲男 沼田
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Sekisui Chemical Co Ltd
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Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 生産効率に優れ、狭い分子量分布を有するア
クリル系共重合体混合物を確実に得ることを可能とする
製造方法を得る。 【解決手段】 炭素数2〜14のアルキル基を側鎖に有
する(メタ)アクリル酸エステルを主成分とするアクリ
ル系共重合体混合物からなるアクリル系樹脂を製造する
にあたり、回分式反応器を用い、モノマー混合液を2回
以上に分けて反応器内に投入してそれぞれ重合するにあ
たり、二回目以降に投入されるモノマー混合液またはモ
ノマーと反応溶媒との混合液を反応器内に投入するに先
立ち、溶存酸素を除去しておくことを特徴とするアクリ
ル系樹脂の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アクリル系樹脂の
製造方法に関し、より詳しくは、回分式反応器を用いて
複数回の重合反応を行わせることにより複数のアクリル
系共重合体の混合物からなるアクリル系樹脂を製造する
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、溶液ラジカル重合によりアクリル
系共重合体を製造するに際しては、窒素ガス導入管を備
えた反応器内に原料モノマー及び溶剤等を投入し、所定
の反応温度に昇温した後、窒素ガスを反応器に吹き込ん
だり、窒素バブリングすることにより重合反応を阻害す
る溶存酸素を除去し、上記溶存酸素を除去した後に、重
合開始剤を投入し、重合反応を開始していた。
【0003】他方、特公昭58−1711号公報には、
二段重合法によるアクリル系共重合体混合物の製造方法
が開示されている。ここでは、窒素ガス導入管が備えら
れた反応器を用い、1回目の重合反応が終了した段階
で、二回目の重合反応に用いるモノマー混合液を上記反
応器に投入する。次に、1回目の反応で生成した共重合
体溶液と、上記モノマー混合液とを混合しつつ、窒素気
流下において、窒素ガス置換を充分に行って溶存酸素を
除去し、しかる後二回目の重合反応を行っている。
【0004】すなわち、上記二段重合法においても、溶
存酸素による重合阻害効果を防止するために、1回目の
反応で生成した共重合体溶液と、モノマー混合液と混合
しつつ、溶存酸素の除去が行われていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ように二段重合法において、1回目の重合反応で生成し
た共重合体溶液と、二回目の反応に用いられるモノマー
混合液を混合した後、溶存酸素を除去して二回目の重合
反応を行った場合、モノマー転化率が低下し、生産効率
が低下し、場合によっては、重合反応が途中で停止する
ことがあった。
【0006】上記のような問題は、1回目の重合反応で
生成した共重合体溶液と、二回目の重合反応に用いるモ
ノマー混合液とを混合しつつ窒素置換等により溶存酸素
を除去する方法では、溶存酸素を十分に除去しきれない
ためと考えられる。
【0007】そこで、従来、二回目の重合反応におい
て、より多くの重合開始剤を投入したり、反応温度を高
めて重合開始剤の分解量を増大させたりする方法が試み
られている。しかしながら、これらの方法では、生産効
率は改善し得るものの、分子量分布の広いポリマー混合
物しか得ることができず、目的とする物性を発揮し得る
製品を安定かつ確実に得ることは困難であった。
【0008】本発明の目的は、生産効率が高いだけでな
く、狭い分子量分布を有するポリマー混合物を安定かつ
確実に得ることを可能とする、二段または多段溶液重合
反応によるアクリル系樹脂の製造方法を提供することに
ある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本願発明者は、上述した
問題点を鋭意検討した結果、二回目以降に投入されるモ
ノマー混合液、またはモノマーと反応溶媒との混合液
(以下、両者をまとめてモノマー混合液等と総称す
る。)を反応器内に投入するに先立ち、該モノマー混合
液等内の溶存酸素を除去しておけば、溶存酸素による重
合阻害効果を効果的に抑制し、目的とする分子量分布の
ポリマー混合物を安定に得られることを見出し、本発明
を成すに至った。
【0010】すなわち、本発明は、炭素数2〜14のア
ルキル基を側鎖に有する(メタ)アクリル酸エステルを
主成分とする複数のアクリル系共重合体を回分式反応器
においてモノマー混合液等を2回以上に分けて反応器内
に投入して重合反応することにより、アクリル系樹脂を
製造するに際し、2回目以降に投入するモノマー混合液
等を反応器内に投入するに先立ち、該モノマー混合液等
中の溶存酸素を実質的に除去しておくことを特徴とする
アクリル系樹脂の製造方法である。
【0011】以下、本発明の詳細を説明する。本発明で
製造されるアクリル系共重合体は、炭素数2〜14のア
ルキル基を側鎖に有する(メタ)アクリル酸エステルを
主成分としている。このような(メタ)アクリル酸エス
テルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸ブチル、
(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソプ
ロピル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、アク
リル酸n−オクチル、アクリル酸イソノニル、(メタ)
アクリル酸ラウリルなどが挙げられる。これらは単独で
用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。これ
らの(メタ)アクリル酸エステルは、好ましくはアクリ
ル系共重合体を構成する全モノマーの60重量%以上、
より好ましくは70重量%以上の範囲で含有される。
【0012】また、本発明で製造されるアクリル系共重
合体には、その他の単量体を必要に応じて共重合させる
ことができる。例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン
酸、フマル酸等のカルボキシル基含有単量体、またはこ
れらの無水物;(メタ)アクリルアミド、N,N´−ジ
メチルアクリルアミド、アクリロイルモルホリン、N−
ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビ
ニルアセトアミド等のアミド基含有単量体;2−ヒドロ
キシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロ
ピル(メタ)アクリレート等の水酸基含有単量体;酢酸
ビニル、スチレン、メチル(メタ)アクリレート等が挙
げられる。これらの単量体は、好ましくは、アクリル系
共重合体を構成する全モノマーの0.05〜40重量%
の範囲で含有され、さらに好ましくは0.1〜30重量
%の範囲で含有される。
【0013】本発明においては、各回の重合に際し、適
宜の重合開始剤を用いることができ、具体的には、アゾ
ビスイソブチロニトリル、1,1´−アゾビス(シクロ
ヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2´−アゾビス
(2,4,4−トリメチルペンタン)等のアゾ系開始
剤、1,1−ビス(t−ヘキシルペルオキシ)3,3,
5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブ
チルペルオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサ
ン等の過酸化物系開始剤などが挙げられる。
【0014】これらの開始剤は、モノマー100重量部
に対し0.01〜0.1重量部用いられる。この開始剤
の添加割合は、二回目または三回目以降の重合反応にお
ける各段階で重合反応に供するモノマー量に対応するも
のである。従って、三段重合以上の多段重合を行う場合
には、各段階の重合において、上記開始剤の量が添加さ
れる。重合開始剤の量が少なすぎると、反応速度が遅く
なり、反応終了に長時間必要になったり、途中で、反応
が進行しなくなるおそれがある。
【0015】また重合開始剤の量が多すぎると、生成し
たポリマー中の低分子量成分が多大になり、Mw/Mn
が大きくなってしまい、性能の悪いものになったり、あ
るいは、反応が急速に進行し、反応を制御することが困
難になるおそれがある。
【0016】製造工程 本発明においては、回分式反応器を用い、複数のモノマ
ー混合液等を2回以上に分けて該反応器内に投入し、そ
れぞれ重合反応を行わせる。用いられる回分式反応器と
しては、従来よりバッチ式溶液重合法にて複数回重合反
応を行わせるのに用いられている適宜の反応器を用いる
ことができる。また、各回の重合方法についても、特に
限定されるものではなく、周知慣用の重合方法に従って
行い得る。
【0017】本発明では、上記反応器に、1回目の重合
反応を行わせるための上記モノマー混合液等を投入し、
重合反応を行い、上記特定の(メタ)アクリル酸エステ
ル共重合体を重合する。次に、反応器内に二回目の重合
反応を行わせるためのモノマー混合液等を投入する。こ
の場合、モノマー混合液を投入するに先立ち、該モノマ
ー混合液等から溶存酸素を除去する。溶存酸素の除去方
法は、特に限定されるものではなく、窒素ガスを用い
る方法、モノマー混合液を減圧あるいは沸騰させるこ
とにより溶存酸素を除去する方法などを用いることがで
きる。
【0018】の方法を行うには、例えば、各種モノマ
ー原料供給管及び窒素ガス供給管を備えたモノマー混合
槽を用意し、上記反応器に接続しておけばよい。また、
上記モノマー混合槽には、溶剤供給管及び冷却管等など
が備えられていてもよい。
【0019】上記モノマー混合槽において、モノマー混
合液等に窒素ガスを供給し、窒素置換を行い、溶存酸素
を除去する。この場合、窒素ガスの供給速度は、モノマ
ー混合槽の容積をa(リットル)とすると、a/100
0〜a(リットル/分)程度の流速とすればよく、窒素
ガスは上記速度で定速で流してもよく、あるいは流速を
変化させて流してもよい。何れにしても、モノマー混合
槽中に導入されているモノマー混合液等において十分に
窒素置換を行い得る範囲で、窒素ガスの流速を適宜定め
ればよい。
【0020】また、窒素ガス導入孔は、モノマー混合槽
の上部に設けられていてもよく、底部に設けられていて
もよく、これら双方に設けられていてもよい。すなわ
ち、窒素ガス導入孔は、モノマー混合槽の任意の位置に
配置し得る。
【0021】また、窒素ガスは、モノマー混合槽中に導
かれるだけでもよいが、好ましくは、モノマー混合液等
に直接吹き込むことが望ましい。例えば、モノマー混合
槽の上部から窒素ガスを流し込むだけでは溶存酸素を除
去するのに時間がかかり、経済的ではないため、少なく
とも20分、モノマー混合液等内に窒素ガスを直接吹き
込むことが望ましい。
【0022】上記の方法により、モノマー溶液等中の
溶存酸素を除去するには、例えば、上記モノマー混合槽
中において、モノマー混合液等を減圧したり、あるいは
沸騰させればよい。この場合においても、溶存酸素を確
実に除去し得る時間、例えば5分以上、減圧または沸騰
させればよい。
【0023】なお、二回目の重合反応に用いられるモノ
マー混合液は、溶存酸素を除去した後に、反応器に一括
して仕込んでもよく、2回以上に分割して仕込んでもよ
く、さらには、連続的に反応器内に滴下してもよい。す
なわち、溶存酸素が除去されたモノマー混合液の反応器
への供給方法は任意である。また、三回目以降の重合反
応を行う場合にも、二回目の重合反応に先立って溶存酸
素を除去した工程を、同様に実施すればよい。
【0024】本発明の利用分野 本発明のアクリル系樹脂の製造方法は、上記のように多
段重合により複数種のアクリル系共重合体を含むアクリ
ル系樹脂を製造する方法に一般的に適用することができ
るが、好ましくは、上記のような複数種のアクリル系共
重合体を含む粘着剤の製造に好適に用いることができ
る。
【0025】作用 本発明では、二回目以降の重合反応に先立ち、二回目以
降の重合反応に用いられるモノマー混合液等において、
予め溶存酸素が実質的にほぼ完全に除去される。従っ
て、溶存酸素による重合阻害が生じ難い適切な条件で、
二回目以降の重合反応を実施することができ、よって、
分子量分布の狭い共重合体混合物を確実に得ることがで
きる。
【0026】
【実施例】以下、本発明の非限定的な実施例を説明する
ことにより、本発明を明らかにする。なお、以下におい
て、部は、特に断らない限り、重量部を意味するものと
する。
【0027】なお、以下の実施例1及び比較例1,2
は、二回目の重合に用いられるモノマー混合液を反応器
に一括して投入し、かつほぼ同一のガラス転移点Tgを
有するアクリル系共重合体を一回目及び二回目の重合に
より重合する例に相当し、実施例2及び比較例3,4は
一回目の重合においてガラス転移点Tgが高いアクリル
系共重合体を、二回目の重合においてガラス転移点Tg
が低いアクリル系共重合体を重合し、かつ二回目の重合
に用いるモノマー混合液を反応器に連続的に滴下するこ
とにより加えた例に相当する。
【0028】実施例1 温度計、攪拌機、還流冷却管及び窒素ガス導入管を備え
た1リットルのセパラブルフラスコを2個用意し、一方
を反応器、他方を二回目の重合に用いるモノマー混合液
調製用のモノマー混合槽として用いた。双方のセパラブ
ルフラスコはフッ化エチレン樹脂よりなるチューブによ
り接続し、かつ送液ポンプを用い、モノマー混合槽中の
モノマー混合液を反応器に送液し得るように構成した。
【0029】反応器にブチルアクリレート77部、2−
エチルヘキシルアクリレート20部、アクリル酸3部、
酢酸エチル100部及びドデシルメルカプタン0.04
部を投入し、30分間窒素ガスバブリングを行い、溶存
酸素を実質的に除去した。しかる後、反応器内の溶液を
窒素雰囲気下で60℃に加温し、アゾビスイソブチロニ
トリル0.03部を投入し、7時間反応させ、1回目の
重合反応を行った。
【0030】上記1回目の重合反応中に、モノマー混合
槽にブチルアクリレート76.6部、2−エチルヘキシ
ルアクリレート20部、アクリル酸3部、2−ヒドロキ
シエチルアクリレート0.4部、酢酸ビニル5部、ドデ
シルメルカプタン0.04部及び酢酸エチル100部を
混合しつつ500ml/分の流速で30分間窒素ガスバ
ブリングを行い、溶存酸素を実質的に除去した後、窒素
バブリングを停止し、フラスコ天井部から窒素ガスを流
し、窒素ガス雰囲気に保った。その結果、モノマー混合
液中の溶存酸素濃度を測定したところ、0ml/Lであ
った。
【0031】1回目の重合反応を終了した後、少量の反
応液を取り出し、モノマー転化率を測定したところ96
%であった。また、GPC(ゲルパーミエーションクロ
マトグラフィー)法にて、ポリスチレン換算分子量を測
定したところ、重量平均分子量Mwは58万、重量平均
分子量と数平均分子量Mnとの比Mw/Mnは2.3で
あった。
【0032】1回目の重合反応終了後、直ちに二回目の
重合反応に用いるモノマー混合槽からモノマー混合液を
反応器に移送し、反応液温度を60℃に昇温し、アゾビ
スイソブチロニトリル0.03部を5部の酢酸エチルに
溶解したものを添加し、二回目の重合反応を6時間行っ
た。
【0033】上記のようにして得られた共重合体混合物
の転化率を測定したところ、98%であった。また、G
PC法で測定した分子量分布曲線から、1回目の重合反
応で生成したポリマーの分子量分布曲線を減算すること
により、二回目の重合反応で生成したポリマーの分子量
を求めた。その結果、二回目の重合反応で生成したポリ
マーの重量平均分子量Mwは62万、分子量分布Mw/
Mnは2.5であった。
【0034】比較例1 実施例1と同様にして1回目の重合反応を行ったが、そ
の際、モノマー混合槽においては窒素ガスの吹き込みは
行わなかった。なお、モノマー混合槽中のモノマー混合
液の溶存酸素濃度を測定したところ、7.7ml/Lで
あった。
【0035】二回目の重合に際し、二回目の重合反応に
用いられるモノマー混合溶液を、1回目の重合反応終了
後に反応器に移送し、実施例1と同様にして二回目の重
合反応を行った。6時間重合反応を行ったところで、少
量の反応液を取り出し、転化率を測定したところ、79
%であった。さらに3時間反応を継続したが、モノマー
転化率は85%であった。
【0036】また、二回目の重合反応で生成したポリマ
ーの重量平均分子量Mw及び分子量分布Mw/Mnを実
施例1と同様にして求めたところ、二回目の重合反応で
生成したポリマーの重量平均分子量Mwは51万、分子
量分布Mw/Mnは4.5であった。
【0037】比較例2 実施例1と同様にして1回目の重合反応を行ったが、モ
ノマー混合槽においては窒素ガスを流さず、二回目の重
合反応に用いられるモノマー混合液を反応器に移送して
から、反応器内において、1時間窒素雰囲気下で二回目
の重合反応に用いられるモノマー混合液を1回目の重合
反応で得られた反応液と混合攪拌した。次に、実施例1
と同様にして二回目の重合反応を行い、6時間反応した
ところで、少量の反応液を取り出し、モノマー転化率を
測定したところ、89%であった。また、さらに3時間
重合反応を継続したが、モノマー転化率は92%であっ
た。
【0038】また、二回目の重合反応で生成したポリマ
ーの重量平均分子量Mw及び分子量分布Mw/Mnを、
実施例1と同様にして測定したところ、二回目の重合反
応で生成したポリマーの重量平均分子量Mwは55万、
分子量分布Mw/Mnは4.2であった。
【0039】実施例2 1回目の重合反応に用いたモノマー組成を、ブチルアク
リレート90部、アクリル酸10部及びドデシルメルカ
プタン0.02部としたこと以外は、実施例1と同様に
して、1回目の重合反応を7時間行った。1回目の重合
反応終了後、少量の反応液を取り出し、転化率を測定し
たところ、91%であった。また、GPC法にて、ポリ
スチレン換算分子量を測定したところ、重量平均分子量
Mwは91万、分子量分布Mw/Mnは2.0であっ
た。
【0040】二回目のモノマー組成を、ブチルアクリレ
ート48部、アクリル酸2部及び酢酸エチル50部から
なる組成としたことを除いては、実施例1と同様にして
二回目の重合用モノマー混合液を調製した。すなわち、
1回目の重合反応中に、モノマー混合槽においてモノマ
ー混合液を窒素ガスバブリングすることにより溶存酸素
を除去した。その結果、実施例1の場合と同様に、モノ
マー混合槽中のモノマー混合液の溶存酸素濃度は0ml
/Lであった。
【0041】1回目の重合反応終了後、アゾビスイソブ
チロニトリル0.015部を添加し、二回目の重合反応
に用いるモノマー混合液を反応器内に1時間かけて滴下
し、滴下終了後、重合反応を4時間継続した。
【0042】反応終了後の反応液を取り出し、モノマー
転化率を実施例1と同様にして測定したところ93%で
あった。また、二回目の重合反応で生成したポリマーの
重量平均分子量Mw及び分子量分布Mnを、実施例1と
同様にして測定したところ、二回目の重合反応で生成し
たポリマーの重量平均分子量Mwは105万、分子量分
布Mw/Mnは2.3であった。
【0043】比較例3 実施例2と同様にして1回目の重合反応を行ったが、モ
ノマー混合槽において窒素ガスによるバブリングは行わ
なかった。なお、二回目の重合反応に用いられるモノマ
ー混合槽中のモノマー混合溶液の溶存酸素濃度を測定し
たところ、7.8ml/Lであった。
【0044】二回目の重合反応に用いるモノマー溶液
を、1回目の重合反応終了後に、実施例2と同様にし
て、1時間かけて滴下し、二回目の重合反応を行った。
滴下終了後4時間反応を継続した。
【0045】4時間反応を継続した後に、反応液を少量
取り出し、モノマー転化率を実施例1と同様にして測定
したところ、72%であった。さらに3時間反応を継続
したが、モノマー転化率は74%であった。
【0046】また、二回目の重合反応で生成したポリマ
ーの重量平均分子量及び分子量分布を実施例1と同様に
して求めたところ、重量平均分子量分布Mwは84万、
分子量分布Mw/Mnは4.6であった。
【0047】比較例4 実施例2と同様にして1回目の重合反応を行ったが、モ
ノマー混合槽において窒素ガスによるバブリングは行わ
なかった。なお、モノマー混合槽中のモノマー混合溶液
の溶存酸素濃度は7.7ml/Lであった。
【0048】1回目の重合反応終了後、アゾビスイソブ
チロニトリル0.1部と、二回目の重合反応に用いるモ
ノマー混合液を1時間かけて反応器内に滴下し、二回目
の重合反応を行った。4時間反応を継続し、反応液を少
量取り出しモノマー転化率を測定したところ、90%で
あった。
【0049】また、二回目の重合反応で生成したポリマ
ーの重量平均分子量Mw及び分子量分布Mw/Mnを実
施例1と同様にして算出したところ、重量平均分子量分
布Mwは80万、分子量分布Mw/Mnは5.1であっ
た。
【0050】表1に、上記実施例1,2及び比較例1〜
4の条件及び結果をまとめて示す。なお、表1中の略号
は以下の意味を示す。 BA…アクリル酸ブチル 2EHA…2−エチルヘキシルアクリレート AAc…アクリル酸 2HEA…2−ヒドロキシエチルアクリレート DO…溶存酸素濃度
【0051】
【表1】
【0052】実施例及び比較例の評価 上記から明らかなように、比較例1では、窒素ガスの吹
き込みを行っていないため、モノマー転化率が低く、か
つ得られた共重合体混合物において分子量分布が広くな
っていることがわかる。また、比較例2では、反応器内
において、窒素ガス気流下で1回目の重合反応を終了し
た反応液と二回目の重合反応に用いるモノマー混合液と
を混合しているが、溶存酸素の除去が不完全なためか、
モノマー転化率が低く、かつ分子量分布Mw/Mnも狭
くならないことがわかる。
【0053】これに対し、実施例1では、二回目の重合
反応に用いられるモノマー混合液において溶存酸素が十
分に除去されているためか、モノマー転化率が上記のよ
うに高く、かつ分子量分布Mw/Mnも十分に狭いこと
がわかる。
【0054】同様に、比較例3では、1回目の重合反応
でガラス転移点Tgが高いアクリル系共重合体が重合さ
れ、二回目の重合反応でガラス転移点Tgが低いアクリ
ル系重合体の重合が試みられているが、二回目の重合反
応に用いられるモノマー混合液が反応容器に滴下されて
いるため、連続的にガラス転移点Tgが変化している種
々のポリマーが生成し、それによって分子量分布Mw/
Mnが広がっているものと思われる。
【0055】さらに、比較例4のように、モノマー転化
率を高めるために、重合開始剤を多量に投入したとして
も、転化率は向上するものの、分子量分布Mw/Mnが
より大きくなり、分子量分布が広がってしまうことがわ
かる。
【0056】これに対して、実施例2から明らかなよう
に、ガラス転移点が異なる2種のアクリル酸系共重合体
を二段重合する場合であっても、二回目の重合反応に用
いられるモノマー混合液中の溶存酸素を十分に除去した
場合には、二回目の重合反応に用いられるモノマー混合
液を滴下により反応器内に加えたとしても、分子量分布
がさほど広がらないことがわかる。
【0057】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、二段以
上の多段重合に際し、二回目以降の重合反応に用いられ
るモノマー混合液中の溶存酸素が、該モノマー混合液が
反応器に加えられるに先立ち十分に除去される。従っ
て、溶存酸素による重合阻害を防止することができ、モ
ノマー転化率を高めることが可能となり、アクリル系共
重合体混合物の生産効率を高めることができる。しか
も、製品としての物性の低下を引き起こし易い、低分子
量ポリマー成分の生成量を低減することができるため、
分子量分布の狭いアクリル系共重合体混合物からなるア
クリル系樹脂を確実に得ることが可能となる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭素数2〜14のアルキル基を側鎖に有
    する(メタ)アクリル酸エステルを主成分とする複数の
    アクリル系共重合体を回分式反応器においてモノマー混
    合液を2回以上に分けて反応器内に投入して重合反応す
    ることにより、アクリル系樹脂を製造するに際し、 2回目以降に投入するモノマー混合液、またはモノマー
    と反応溶媒との混合液を反応器内に投入するに先立ち、
    該モノマー混合液またはモノマーと反応溶媒との混合液
    中の溶存酸素を実質的に除去しておくことを特徴とする
    アクリル系樹脂の製造方法。
JP24453595A 1995-09-22 1995-09-22 アクリル系樹脂の製造方法 Pending JPH0987305A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2003221403A (ja) * 2002-01-29 2003-08-05 Daicel Chem Ind Ltd フォトレジスト用高分子化合物の製造方法
JP2007246917A (ja) * 2007-05-24 2007-09-27 Nippon Shokubai Co Ltd (メタ)アクリル酸系重合体の製造方法
JP2014136772A (ja) * 2013-01-18 2014-07-28 Sanyo Chem Ind Ltd 粘度指数向上剤、潤滑油組成物及び粘度指数向上剤の製造方法

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