JPH0985717A - 吸放湿性組成物、結露抑制用材ならびに結露抑制方法 - Google Patents

吸放湿性組成物、結露抑制用材ならびに結露抑制方法

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JPH0985717A
JPH0985717A JP24326895A JP24326895A JPH0985717A JP H0985717 A JPH0985717 A JP H0985717A JP 24326895 A JP24326895 A JP 24326895A JP 24326895 A JP24326895 A JP 24326895A JP H0985717 A JPH0985717 A JP H0985717A
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JP
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moisture
moisture absorbing
dew condensation
desorptive
wood
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Application number
JP24326895A
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English (en)
Inventor
Ryuji Fukuda
竜司 福田
Kakushi Karaki
覚志 唐木
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 吸放湿特性およびコストに優れる吸放湿性組
成物の提供。吸放湿特性、外観および肌触り、ならびに
コストに優れる結露抑制用材の提供。家屋内等の結露を
効果的に抑制する方法の提供。 【解決手段】 木粉等の木質系吸放湿材に化学的または
物理的変性処理を施してその吸湿容量を増大させ、該吸
放湿材にバインダを配合して吸放湿性組成物を得る。上
記吸放湿性組成物を成形して結露抑制用材を得る。上記
結露抑制用材を、結露の抑制を意図する部位に配設す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、吸放湿特性、外観
および肌触り、ならびにコストに優れる吸放湿性組成
物、結露抑制用材ならびに結露抑制方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年の住宅においては、サッシ、断熱材
等の普及により家屋内の気密性が高くなっているため、
外気と接する壁(特に北側の壁)の室内側面や内部、窓
等の開閉部表層、押入れ等で結露が発生しやすくなって
いる。この結露は、人の活動等によって高温多湿となっ
た空気が室内の低温部に接触した際、その温度が露点以
下に下がることにより凝縮して水滴を生じる現象であ
る。
【0003】結露は、クロスの剥がれやその表面のシミ
やカビ、木造住宅や家具に用いられている木材の腐食等
の原因となり、居住者に不快感を与える上、場合によっ
ては居住者の健康を損なったり、家屋の強度の低下等種
々の不都合を引き起こす原因となる。
【0004】このため、家屋内の温度むらをなくすよう
断熱性を向上させたり、除湿器等により除湿したりする
ことがなされている。ところが、断熱性を向上させるこ
とは、空気中の湿気を減少させるものではないため、例
えば部屋全体の温度が低下すると、結露が発生する環境
となる。一方、除湿器等を用いる方法では、乾燥しすぎ
た場合に、内装や壁等にひび割れが生じたり、ウイルス
が繁殖しやすくなるという問題がある。
【0005】したがって、結露を抑制するには、室内の
相対湿度を生活温度範囲内で一定に調節することが最も
効果的な方法であると考えられる。このため従来、吸放
湿性を有する材料をバインダ等により結着し成形したも
のを屋内の内装材等として用いることが提案されてい
る。
【0006】上記吸放湿性を有する材料としては、種々
のものが検討されており、具体的には、ゼオライト(特
開平6−24818号公報参照)、多孔質フィラー(特
開平4−87617号公報参照)、木炭(特開平6−4
9916号公報参照)、吸水性ポリマー(特開平6−1
1640号公報参照)等が例示される。
【0007】しかしながら、上記ゼオライト、多孔質フ
ィラーまたは木炭を用いたものでは、吸湿容量は高いも
のの、外観や肌触りに問題があるためその用途が主に壁
装下地材に限られる。また吸水性ポリマーを用いたもの
では、吸湿性には優れるが、乾燥時の放湿速度が遅く、
湿気が殆ど放出されないため、含水量が飽和すると吸湿
性を喪失してしまうという問題があり、また調湿機能と
いう点でも問題がある。さらに、上記多孔質フィラーや
吸水性ポリマーは高価であるため、これらを用いるとコ
ストが高くつくという問題もある。
【0008】ところで、一般的な成形材料として、例え
ば特開昭52−25844号公報、特開昭58−189
230号公報、特開昭62−297112号公報等に記
載されているような、木質材料に熱可塑性樹脂等のバイ
ンダを混合した組成物があるが、これらは、寸法安定性
や防腐性等に劣るといった木材の欠点を補うために、木
質材料の表面を樹脂でコーティングしたり前処理を施し
たりすることによって、該木質材料が成形品の表面に露
出しないようにしたものであり、したがって木材の吸放
湿特性は抑制されたものとなっている。
【0009】これに対し、例えば、木粉、おがくず等の
吸湿性片と合成樹脂バインダとの混合物を吸湿性のシー
ト基材上に展延し熱圧着したもの(特開昭52−146
481号公報参照)、セルロース系乾燥微粉骨材を混入
した樹脂フィルムまたはシートを緩衝芯材面上に張設
し、自動車本体の内装または内装設備の化粧表面とした
もの(特開昭60−203444号公報参照)、熱可塑
性樹脂に木粉を適当量混合し、発泡剤を添加して発泡さ
せた木粉発泡シート(特開昭61−69456号公報参
照)等のように、木材の吸放湿特性を活かすことを意図
した組成物が種々検討されている。
【0010】しかしながら、上記のような組成物におい
ても、木質材料の表面が樹脂で覆われることによって吸
放湿特性が阻害されることは避けられず、その吸湿容量
は例えば同体積の木製板、合板等には及ばないものであ
った。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
従来の吸放湿性組成物の有する問題を解決し、吸放湿特
性およびコストに優れる吸放湿性組成物を提供すること
にある。また、本発明の別の目的は、吸放湿特性、外観
および肌触り、ならびにコストに優れる結露抑制用材を
提供することにある。また、本発明のさらに別の目的
は、家屋内等の結露を効果的に抑制する方法を提供する
ことにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、以下の本
発明により上記目的が達成されることを見出した。即
ち、本発明の吸放湿性組成物は次の特徴を有するもので
ある。 (1)木質系吸放湿材とバインダとを含有し、該木質系
吸放湿材が、化学的または物理的に変性させることによ
ってその吸湿容量を増大させたものであることを特徴と
する吸放湿性組成物。
【0013】(2)発泡剤をさらに含有する上記(1)
記載の吸放湿性組成物。
【0014】(3)バインダ100重量部に対し、木質
系吸放湿材が10〜1000重量部含有されている上記
(1)または(2)記載の吸放湿性組成物。
【0015】(4)木質系吸放湿材の吸湿容量が変性前
に比して5%以上増加している上記(1)または(2)
記載の吸放湿性組成物。
【0016】(5)バインダがポリ塩化ビニルである上
記(1)または(2)記載の吸放湿性組成物。
【0017】また、本発明の結露抑制用材は、次の特徴
を有するものである。 (6)上記(1)〜(5)のいずれかに記載の吸放湿性
組成物よりなる結露抑制用材。
【0018】(7)上記(1)〜(5)のいずれかに記
載の吸放湿性組成物であって発泡性を有する吸放湿性組
成物を発泡成形してなり、その発泡倍率が30倍以下で
ある結露抑制用材。
【0019】(8)連泡率が30〜90%である上記
(7)記載の結露抑制用材。
【0020】(9)木質系吸放湿材とバインダとを含有
する吸放湿性組成物よりなり、該木質系吸放湿材が表層
側に多く偏在することを特徴とする結露抑制用材。
【0021】(10)請求項6〜9のいずれかに記載の
結露抑制用材を用いて結露を抑制することを特徴とする
結露抑制方法。のである。
【0022】
【作用】木粉等の木質系吸放湿材に、有機または無機化
合物を作用させる等の化学的または物理的変性処理を施
して該木質系吸放湿材の吸湿容量を増大させることによ
って、バインダが配合されている組成物中にあっても該
木質系吸放湿材は良好な吸放湿特性を示す。
【0023】
【発明の実施の形態】本発明において、吸放湿材とは、
湿潤な環境下においては湿気を吸収し得、一方乾燥した
環境下においては湿気を放出し得る物質を意味する。本
発明においては、この吸放湿材として、木質系の吸放湿
材を用いる。木質系吸放湿材としては、広葉樹または針
葉樹から得られる板目板、合板、パーティクルボード等
を粉砕して得られる木質粒子、製材時に出るおがくず、
パルプ、製紙スラッジ等から得られる木質繊維、セルロ
ースファイバ等が例示される。また、この木質系吸放湿
材の原料樹種、産地、形態等には特に限定はない。な
お、セルロースを含有する綿、麻等の植物系繊維を用い
ることもできる。また、これらの吸放湿材は、単独で用
いても2種以上を併せて用いてもよい。
【0024】上記吸放湿材のサイズとしては特に限定さ
れないが、粉状、粒子状のものである場合、径1〜50
00μm程度、好ましくは10〜1000μm程度、繊
維状のものである場合、太さ1〜1000μm程度、好
ましくは10〜500μm程度、長さ0.1〜50mm程
度、好ましくは0.1〜10mm程度であることが、吸放
湿性や加工性等の点から望ましい。
【0025】本発明においては、上記吸放湿材に化学的
または物理的な変性処理が施される。この変性処理は、
好ましくは、例えば吸放湿材に有機または無機化合物を
作用させることにより行われる。具体的には例えば木材
の主成分であるセルロース、ヘミセルロースまたはリグ
ニンを形成する糖鎖のヒドロキシル基による化学反応を
起こさせるものが挙げられるが、吸放湿材の吸湿容量を
増大させ得るものであれば特に限定されない。上記化学
反応としては、具体的には、エステル化、エーテル化、
アセタール化、イソシアネート処理、ベンジル化等の可
塑化などが例示される。
【0026】エステル化には、無水酢酸、無水マレイン
酸、無水コハク酸、無水フタル酸等の酸無水物、マレイ
ン酸、コハク酸、フタル酸、サリチル酸等の酸などが好
適に使用される。エーテル化には、エチレンオキシド、
プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、エピクロロヒ
ドリン、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポ
リエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリ
ンジグリシジルエーテルまたはこれらのモノグリシジル
エーテルなどが好適に使用される。アセタール化には、
ホルムアルデヒド、アセトアルデヒドなどが好適に使用
される。イソシアネート処理に使用されるイソシアネー
トとしては、メチルイソシアネート、ブチルイソシアネ
ート、フェニルイソシアネート、2,4-トリレンジイソシ
アネート、4,4-ジフェニルメタンジイソシアネート等が
挙げられる。ベンジル化に使用される化合物としては、
ベンジルクロリドまたはその誘導体等が挙げられる。
【0027】また、化学的変性処理としては、上記のよ
うな化学反応の他にも、吸放湿材に爆砕処理等を施して
脱リグニンを行うもの、亜塩素酸ナトリウム等で酸化処
理を行うもの等も例示される。
【0028】物理的変性としては、好ましくは、例えば
ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールモノ
メチルエーテル、エチレングリコール、トリエチレング
リコールなどのグリコール類、グリセリン、ソルビトー
ル、マンニトール、スレイトールなどの多価アルコー
ル、セルロース、デンプンなどの多糖類等の有機物質を
含浸させるもの、ホウ酸、ホウ砂、酸化ホウ素、ホウ酸
アンモニウム、ホウ酸カリウム等のホウ酸塩などのホウ
素系化合物、リン酸、リン酸アミド、リン酸アンモニウ
ム、リン酸カリウム等のリン酸塩などのリン系化合物、
ケイ酸、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カルシウムなどのケ
イ酸塩などのケイ酸化合物、塩化リチウム、塩化カルシ
ウムなどの無機塩などの無機物質を含浸させるもの、ア
セトン、ベンゼン、ヘキサン等の有機溶媒に浸漬するも
のなどが挙げられる。
【0029】なお上記したような変性処理のうち、例え
ばエステル化、ケイ酸化合物、ホウ素系化合物、リン系
化合物等による処理、グリコール類の含浸等のように、
バインダ(特に、熱可塑性樹脂)との親和性も向上させ
得るものが特に望ましい。
【0030】本発明においては、吸放湿材の吸湿容量が
上記変性処理前に比して5%以上、好ましくは10%以
上増加するようにすることが望ましい。この吸放湿材の
吸湿容量は、例えば、25℃、90%RHにおける平衡
含水率により比較することができる。
【0031】本発明において、バインダとしては、本発
明の目的を達成し得るものであれば特に制限はなく、例
えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニ
ル−酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン等のポリオレフィン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共
重合体、ナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリスチレン
系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテ
レフタレート等のポリエステル系樹脂、ABS樹脂等の
熱可塑性樹脂、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−
プロピレン−ジエン共重合体等の熱可塑性ゴム、フェノ
ール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂
等の熱硬化性樹脂等が挙げられるが、得られた成形品の
加工性等の点からは熱可塑性樹脂を用いることが望まし
く、なかでも、木質材料との親和性に優れるとともに、
木質材料の熱分解を十分に抑制しながら溶融混練または
成形加工することが可能であることから、ポリ塩化ビニ
ルまたは塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体が特に好適に
用いられる。なお、上記のような各種有機高分子材料以
外にも、セメント、モルタル、石膏等の無機系材料を用
いてもよい。
【0032】上記吸放湿材は、バインダ100重量部に
対し、10〜1000重量部、好ましくは50〜100
0重量部、さらに好ましくは100〜1000重量部配
合することが望ましい。吸放湿材の配合量が10重量部
以上であれば、組成物の吸放湿性や肌触り等が良好とな
り、一方1000重量部以下であれば、例えばバインダ
と混練する際に樹脂のゲル化が十分になされ、通常の樹
脂の成形法等による成形が行いやすく、さらに成形品の
機械的強度も十分となる。
【0033】本発明の吸放湿性組成物は、例えば、上記
吸放湿材とバインダとを溶融混練することによって得ら
れる。この混合方法としては特に限定されず、自体既知
の方法を用いることができる。例えば、ハンドブレン
ド、ヘンシェルミキサーその他の通常の攪拌機等により
ドライブレンドし、ロール混練等により溶融混練する方
法等が挙げられる。
【0034】本発明の吸放湿性組成物には、必要に応じ
安定剤、滑剤、可塑剤、顔料、帯電防止剤、防曇剤、加
工性改良剤、衝撃性改良剤等の通常の添加剤を適量添加
してもよい。さらに、後述するように、該吸放湿性組成
物に発泡剤を添加することもできる。なおこれらの添加
剤は、後述するように組成物を成形する際に添加するよ
うにしてもよい。
【0035】本発明の結露抑制用材は、上記本発明の吸
放湿性組成物よりなるものである。
【0036】上記結露抑制用材は、例えば、上記吸放湿
性組成物を単軸押出機、二軸押出機等を用いた押出成
形、射出成形、ブロー成形、カレンダー加工、インフレ
ーション成形等の加工成形方法や真空成形、圧空成形等
の熱成形、プレス成形等の二次加工等の通常の方法にて
成形することによって得られる。
【0037】上記結露抑制用材は、フィルム状物、シー
ト状物、幕状物等やボード等の任意の形状の成形品とす
ることができる。
【0038】なお、結露抑制用材をシート状物とする場
合は、上記吸放湿性組成物を紡糸し、これを織って織布
に調製したりバインダを用いて不織布に調製してもよ
い。この場合、吸放湿性組成物を紡糸する方法およびこ
れを織る方法としては通常の方法が用いることができ
る。
【0039】上記結露抑制用材の成形時には、前記した
ような各種添加剤を適宜配合してもよい。あるいは、予
め吸放湿性組成物中に添加剤を配合しておくことも可能
である。
【0040】また、本発明の結露抑制用材は、上記本発
明の吸放湿性組成物を、好適には発泡剤を混合して、発
泡させてなるものであってもよい。これによれば、結露
抑制用材がクッション性や弾力性等を有するものとなる
上、特に、発泡体の気泡径や連泡率を適度に調整するこ
とによって、その吸放湿効率をさらに良好とすることが
できる。このような結露抑制用材は、具体的には、例え
ば上記吸放湿性組成物と発泡剤とを溶融押出すること
や、これらの混合物を加熱することによって発泡成形す
ることによって得られる。
【0041】上記溶融押出の場合は、例えば押出機内で
上記吸放湿性組成物と発泡剤とを混練した後、該混練物
を押出成形すればよい。また上記吸放湿性組成物と発泡
剤との混練は、該吸放湿性組成物と発泡剤とを押出機内
で溶融混練する方法や、溶融状態とした吸放湿性組成物
に発泡剤を添加して混練する方法等により行うことがで
きる。
【0042】また、上記吸放湿性組成物と発泡剤との混
合物を混合状態で賦型し、これを加熱溶融状態として、
成形する際に発泡剤を発泡させるようにしてもよい。
【0043】吸放湿性組成物と発泡剤とを押出機内で溶
融混練する方法や、これらの混合物を混合状態で賦型し
加熱発泡させる方法を用いる場合、発泡剤としては、熱
分解型発泡剤等が例示され、具体的には、アゾジカルボ
ンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、トリヒドラジ
ノトリアジン、ベンゼンスルホニルセミカルバジド、ジ
アゾジアミノベンゼン、N, N'-ジニトロソペンタメチレ
ンテトラミン、N, N'-ジメチル -N, N'-ジニトロテレフ
タルイミド、アゾジカルボン酸バリウム、p-トルエンス
ルホニルヒドラジン、p, p'-オキシビスベンゼンスルホ
ニルヒドラジド等より選ばれる1種または2種以上が使
用できる。
【0044】一方、溶融状態とした吸放湿性組成物に発
泡剤を添加して混練する方法を用いる場合、発泡剤とし
ては、揮発性発泡剤等が例示され、具体的には、プロパ
ン、ブタン、イソブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタ
ン等の脂肪族炭化水素類、シクロヘプタン、シクロペン
タン、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素類、クロロジ
フルオロメタン、ジクロロメタン、ジクロロフルオロメ
タン、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロ
メタン、クロロエタン、ジクロロトリフルオロエタン、
ジクロロテトラフルオロエタン、トリクロロトリフルオ
ロエタン、テトラクロロジフルオロエタン、パーフルオ
ロシクロブタン等のハロゲン化炭化水素類、二酸化炭
素、窒素、空気等の無機ガス等より選ばれる1種または
2種以上が使用できる。
【0045】また、上記のいずれの方法を用いる場合で
も、木質系吸放湿材に含まれる水分を発泡剤として作用
させることもできる。さらに、上記熱分解型発泡剤、揮
発性発泡剤、無機ガス等を適宜混合して使用してもよ
い。
【0046】上記発泡剤の添加量は、該発泡剤の種類
や、所望する発泡倍率および独立気泡率等により選択す
ればよいが、通常、バインダ100重量部に対し1〜1
00重量部程度、好ましくは2〜50重量部程度とする
ことが望ましい。
【0047】なお、結露抑制用材における気泡径、連泡
率を適宜コントロールするため、必要に応じ重炭酸ソー
ダ−クエン酸、タルク等の造核剤を併用してもよい。
【0048】上記発泡後の結露抑制用材における発泡倍
率は、30倍以下、好ましくは1〜20倍とすることが
望ましい。発泡倍率が30倍以下であれば、結露抑制用
材が形状保持性を維持することができ、他のものとの接
触により形状が崩れるということが少ない。一方、発泡
倍率が1倍以上であれば発泡体としての特性が十分とな
る。ここに発泡倍率は、重量と水没法により求めた体積
から算出した発泡体密度と非発泡体の密度の比より算出
したものである。
【0049】また、発泡後の結露抑制用材における連泡
率は、30〜90%、好ましくは40〜85%とするこ
とが望ましい。連泡率が30%以上であれば、結露抑制
用材の表面積が大となり、吸放湿材が表面に多く露出す
るため、吸放湿の効率が良好となる。一方、連泡率が9
0%以下であれば、透湿抵抗が十分となり、湿気が該結
露抑制用材を透過することが少ないため、該結露抑制用
材が吸放湿性を喪失することが少ない。ここに連泡率
は、マルチピクノメータ(湯浅アイオニクス(株)製)
を用い、ASTM D−2 825に準じて測定したも
のである。
【0050】本発明においては、木質系吸放湿材とバイ
ンダとを含有する吸放湿性組成物よりなる結露抑制用材
において、該木質系吸放湿材が表層側に多く偏在するよ
うにすると、吸放湿性の良好な結露抑制用材とすること
ができ望ましい。このような結露抑制用材は、例えば、
バインダ上に木質系吸放湿材層を形成することにより得
られる。
【0051】上記木質系吸放湿材層は、例えば、バイン
ダを溶融し軟化させ、この状態で該バインダ上に木質系
吸放湿材を層状に堆積させることにより形成することが
できる。より具体的には、例えば、熱可塑性樹脂バイン
ダを押出成形しながら、軟化状態の熱可塑性樹脂バイン
ダの表面に木質系吸放湿材を堆積させ、これをプレス成
形するかまたはカレンダーロールにて圧延する方法、熱
可塑性樹脂または熱可塑性ゴムバインダを予め射出成
形、熱成形等によってシート状、ボード状等の任意の形
状に成形し、この成形物を加熱してその表面を溶融状態
とし、該表面に木質系吸放湿材を堆積させる方法、上記
のようにして得られた成形物の表面に木質系吸放湿材を
熱圧着する方法、熱硬化性樹脂バインダを賦型した後、
該バインダが硬化する前に木質系吸放湿材を堆積させる
方法等が例示される。
【0052】上記木質系吸放湿材層は、結露抑制用材の
少なくとも一方の面に形成すればよいが、例えば、後述
するように該結露抑制用材を、結露の抑制を意図する部
位に密着させることなく配設する場合には、上記木質系
吸放湿材層を該結露抑制用材の両面に形成することが望
ましく、これによれば結露抑制用材の吸放湿特性をさら
に良好とすることができる。
【0053】本発明の結露抑制用材は、上記本発明の吸
放湿性組成物よりなるものであるため、吸湿性に優れる
だけでなく放湿性にも優れるものである。したがって本
発明の結露抑制用材は、結露の抑制だけでなく、室内の
調湿にも好適に用いることができる。
【0054】本発明の結露抑制方法は、上記本発明の結
露抑制用材を用いるものである。
【0055】具体的には、例えば、上記のようにシート
状、幕状、ボード等に成形した結露抑制用材を、結露の
抑制を意図する部位に配設する。
【0056】本発明の結露抑制方法を適用し得る部位と
しては特に限定されないが、例えば家屋の窓等の開閉
部、壁の室内側または内部等においては従来十分な調湿
がなされていないため、本発明はこれらの部位に適用す
る場合に特に有用である。
【0057】上記のような部位に結露抑制用材を配設す
る方法としては、例えば、シート状または幕状とした結
露抑制用材を窓等の開閉部、壁の室内側等に密着させる
ことなく配設したり、あるいは、シート状またはボード
とした結露抑制用材を壁の室内側または内部等に装着し
たりする方法が挙げられる。
【0058】上記方法のうち、前者の場合、結露抑制用
材と適用部位との間には適度の間隙(例えば10〜50
0mm程度、好ましくは50〜300mm程度)をおくよう
にして配設すればよい。また、窓等の開閉部の場合に
は、例えば通常のカーテンと同様にして結露抑制用材を
配設すればよく、壁面の場合には、例えば通常のタペス
トリーと同様にして天井または壁面より吊り下げるよう
にして配設すればよい。
【0059】一方、後者の場合は、壁面に結露抑制用材
を粘着剤、接着剤、押しピン、釘等により装着したり、
壁内部に結露抑制用材を埋設したりすることができる。
【0060】
【実施例】以下、本発明の実施例を示しより具体的に説
明する。なお、もとより本発明はこれらに限定されるも
のではない。
【0061】実施例1 (吸放湿材の調製)杉材をボールミルにより粉砕して、
平均粒径約100μm(16メッシュ)の木粉を得た。
ついで、耐圧密閉反応層中で、この木粉と無水マレイン
酸とを重量比1:4となるように混合し、95℃で4時
間攪拌して反応させ、反応終了後、未反応の無水マレイ
ン酸をアセトンで6時間抽出除去した。処理後、無水マ
レイン酸のエステル化率を調べたところ27%であっ
た。また、得られた吸放湿材の吸湿容量(25℃、90
%RHにおける平衡含水率と25℃、50%RHにおけ
る平衡含水率との差)を調べたところ20%であった。
【0062】(吸放湿性組成物の調製)ポリ塩化ビニル
100重量部に対し、上記処理を施した木粉100重量
部、可塑剤100重量部および衝撃性改良剤10重量部
を添加し、ヘンシェルミキサーでドライブレンドした。
この後、この混合物を単軸押出機で溶融混練して、吸放
湿性組成物を得た。
【0063】(シートの作製)上記吸放湿性組成物を単
軸押出機により溶融混練しTダイにより押出して、厚さ
1mmのシート状に成形した。
【0064】実施例2 ポリエチレングリコール(平均分子量1000)5重量
%を溶解した水溶液中に、実施例1で用いたものと同様
の木粉を浸漬し、10時間常圧注入した。この後、木粉
粒子を濾過し、風乾した。処理後の木粉のポリエチレン
グリコール含有量を調べたところ30重量%であった。
また、得られた吸放湿材の吸湿容量を調べたところ25
%であった。この後、前記実施例1と全く同様にして、
上記処理を施した木粉を用いて吸放湿性組成物を調製す
るとともに、該組成物を用いてシートを作製した。
【0065】実施例3 リン酸水素アンモニウムの5重量%水溶液に、実施例1
で用いたものと同様の木粉を浸漬し、10時間常圧注入
した。この後、木粉粒子を濾過し、風乾した。処理後の
木粉のリン酸塩含有量を調べたところ5重量%であっ
た。また、得られた吸放湿材の吸湿容量を調べたところ
28%であった。この後、前記実施例1と全く同様にし
て、上記処理を施した木粉を用いて吸放湿性組成物を調
製するとともに、該組成物を用いてシートを作製した。
【0066】比較例1 上記実施例1において、木粉に無水マレイン酸による処
理を施さない以外は全て同様にして吸放湿材の調製、吸
放湿性組成物の調製およびシートの作製を行った。な
お、この場合の吸放湿材(未処理の木粉)の吸湿容量を
調べたところ10%であった。
【0067】比較例2 上記実施例1において、吸放湿材(木粉)を配合しない
以外は全て同様にして組成物の調製およびシートの作製
を行った。
【0068】実施例4〜6および比較例3〜4 上記実施例1〜3および比較例1〜2において得られた
組成物の各々を用い、以下の方法にてシートの作製をそ
れぞれ行った。バインダ100重量部に対してアゾジカ
ルボンアミド5重量部を混合してヘンシェルミキサーで
ドライブレンドした。この後、この混合物を単軸押出機
により溶融混練しTダイにより押出して、厚さ2mmのシ
ート状に成形した。
【0069】実施例7〜9および比較例5 上記実施例1〜3および比較例1において得られた吸放
湿材の各々を用い、以下の方法にてシートの作製をそれ
ぞれ行った。ポリ塩化ビニル100重量部に可塑剤10
0重量部および衝撃性改良剤10重量部を添加し、ヘン
シェルミキサーでドライブレンドした。ついで、この混
合物を単軸押出機により溶融混練しTダイによりシート
状に押出し、このシート状物がまだ溶融状態にある時に
その表面に吸放湿材を投下して堆積させた。この後、こ
のシート状物をカレンダーロールにて圧延して、厚さ2
mmのシートを得た。
【0070】〔吸放湿特性試験〕上記実施例1〜9およ
び比較例1〜5で得られたシート(乾燥状態にあるも
の)をそれぞれ10mm×10mmのサイズに切り出し、恒
温恒湿器で25℃、90%RHに設定した環境下に24
時間放置した。この後、各シートの重量変化を測定して
含水率を求め、これを指標として吸湿性を評価したとこ
ろ、表1に示す結果が得られた。また、上記シートを2
5℃、50%RHで平衡状態とした後、温度一定で湿度
を90%RHまで上昇させて24時間放置し、含水量の
変化量を測定した。ついで、温度一定で湿度を50%R
Hまで下降させて24時間放置し、含水量の変化量を測
定した。これらの含水量の変化量を指標として吸放湿速
度を評価したところ、表1に示す結果が得られた。ま
た、上記実施例4〜6および比較例3〜4で得られたシ
ートの発泡倍率および連泡率を調べたところ、表1に示
す結果が得られた。
【0071】
【表1】
【0072】但し、表1の実施例4〜6および比較例
3、4における、発泡倍率・連泡率は、次の値であっ
た。 実施例4;発泡倍率2.0、連泡率40。 実施例5;発泡倍率2.5、連泡率35。 実施例6;発泡倍率3.0、連泡率42。 比較例3;発泡倍率2.2、連泡率35。 比較例4;発泡倍率3.1、連泡率41。
【0073】〔結露抑制用材の評価〕上記各シートの外
観および肌触りをそれぞれ目視および触感により以下の
基準にて評価したところ、表1に示す結果が得られた。
なお、この評価は20歳代の男性5名、女性5名の計1
0名による評価の平均として示した。 ○:優れている △:やや劣っている ×:劣っている また、上記実施例で得られた各シートの成形時の成形性
は、いずれも良好であった。
【0074】実施例10 上記実施例1と全く同様にして、吸放湿材の調製および
吸放湿性組成物の調製を行い、得られた吸放湿性組成物
をカレンダー加工により厚さ0.5mmのシート状に押出
した。ついで、上記シートを1800mm×1800mmの
サイズに調製し、これを、室内の窓部を覆うようにし
て、該窓部との間に間隔約100mmをおいてカーテン様
に配設した。
【0075】実施例11 上記実施例10と全く同様にしてシートを作製し、この
シートを、室内の壁面を覆うようにして、該壁面との間
に平均約50mmの間隔をおいて配設した。
【0076】比較例6 上記実施例10と同様にして、市販のポリエステル製カ
ーテンを室内の窓部に配設した。
【0077】〔結露抑制効果試験〕上記実施例10〜1
1および比較例6のそれぞれにおいて、室外の気温0
℃、50%RHの環境下で、室内の環境を20℃、80
%RHとして、室内での結露の発生状況を目視により判
定したところ、実施例10〜11ではいずれも結露の発
生は認められなかったが、比較例6では結露が大量に生
じていることが認められた。
【0078】実施例12 上記実施例10と全く同様にしてシートを作製し、この
シートを、押入れ内の壁面全体を覆うようにして、粘着
剤により装着した。
【0079】比較例7 上記実施例12において、吸放湿材(木粉)を配合せず
に組成物を調製する以外は全て同様にしてシートを作製
し、これを押入れ内の壁面全体に装着した。
【0080】実施例13 上記実施例10と全く同様にしてシートを作製し、この
シートを、2700mm×3600mm×2500mmの閉じ
た室内の壁面全体を覆うようにして、粘着剤により装着
した。
【0081】比較例8 上記実施例13において、吸放湿材(木粉)を配合せず
に組成物を調製する以外は全て同様にしてシートを作製
し、これを室内の壁面に装着した。
【0082】〔結露抑制効果試験〕上記実施例12〜1
3および比較例7〜8のそれぞれにおいて、押入れ内の
環境を30℃、80%RHから温度10℃まで変化さ
せ、このときの押入れ内での結露の発生状況を目視によ
り判定したところ、実施例12〜13ではいずれも結露
の発生は認められなかったが、比較例7〜8では結露が
大量に生じていることが認められた。
【0083】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明において
は、木粉等の木質系吸放湿材に、有機または無機化合物
を作用させる等の化学的または物理的変性処理を施して
該木質系吸放湿材の吸湿容量を増大させているので、バ
インダが配合されている組成物中にあっても該木質系吸
放湿材が良好な吸放湿特性を示すことができる。
【0084】したがって、吸放湿特性およびコストに優
れる吸放湿性組成物が得られる。
【0085】また、上記吸放湿性組成物を用いることに
よって、吸放湿特性、外観および肌触り、ならびにコス
トに優れる結露抑制用材が得られる。
【0086】さらにまた、上記結露抑制用材を用いるこ
とによって、家屋内等の結露を効果的に抑制することが
できる。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 木質系吸放湿材とバインダとを含有し、
    該木質系吸放湿材が、化学的または物理的に変性させる
    ことによってその吸湿容量を増大させたものであること
    を特徴とする吸放湿性組成物。
  2. 【請求項2】 発泡剤をさらに含有する請求項1記載の
    吸放湿性組成物。
  3. 【請求項3】 バインダ100重量部に対し、木質系吸
    放湿材が10〜1000重量部含有されている請求項1
    または2記載の吸放湿性組成物。
  4. 【請求項4】 木質系吸放湿材の吸湿容量が変性前に比
    して5%以上増加している請求項1または2記載の吸放
    湿性組成物。
  5. 【請求項5】 バインダがポリ塩化ビニルである請求項
    1または2記載の吸放湿性組成物。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかに記載の吸放湿
    性組成物よりなる結露抑制用材。
  7. 【請求項7】 請求項1〜5のいずれかに記載の吸放湿
    性組成物であって発泡性を有する吸放湿性組成物を発泡
    成形してなり、その発泡倍率が30倍以下である結露抑
    制用材。
  8. 【請求項8】 連泡率が30〜90%である請求項7記
    載の結露抑制用材。
  9. 【請求項9】 木質系吸放湿材とバインダとを含有する
    吸放湿性組成物よりなり、該木質系吸放湿材が表層側に
    多く偏在することを特徴とする結露抑制用材。
  10. 【請求項10】 請求項6〜9のいずれかに記載の結露
    抑制用材を用いて結露を抑制することを特徴とする結露
    抑制方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2008010462A1 (fr) * 2006-07-19 2008-01-24 Pioneer Corporation feuille de nanofibre, son processus de fabrication, et matériau composite renforcé de fibre
JP2009121202A (ja) * 2007-11-19 2009-06-04 Byung Hun Park 鋸屑を混合した強化パルプ内装材及びその製造方法

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