JPH0981969A - 光ディスクおよび光ディスク装置 - Google Patents

光ディスクおよび光ディスク装置

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JPH0981969A
JPH0981969A JP7231626A JP23162695A JPH0981969A JP H0981969 A JPH0981969 A JP H0981969A JP 7231626 A JP7231626 A JP 7231626A JP 23162695 A JP23162695 A JP 23162695A JP H0981969 A JPH0981969 A JP H0981969A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】再生用光ビームのビームスポット径よりトラッ
クピッチやピットピッチを小さく設定しても隣接トラッ
ク間のクロストークを実用上問題ない程度まで小さくで
き、飛躍的に高密度・大容量化が可能な光ディスクを提
供する。 【解決手段】再生用光ビームの波長λ(μm)、対物レ
ンズの開口数NA、光ディスクの厚さd(μm)とし、
さらにα=2.623×10-7×(d/λ)2 −1.7
06×10-4×(d/λ)+0.9341なる係数αを
定めたとき、トラックピッチがα×(0.72〜0.
8)×(λ/NA)/1.14(μm)、ピットの上部
幅がWm=(0.3〜0.5)×(λ/NA)/1.1
4(μm)、ピットの底部幅がWi=(0.2〜0.3
2)×(λ/NA)/1.14(μm)に範囲に設定さ
れた光ディスク。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、情報をピットの形
で高密度に記録した光ディスクおよび該光ディスクと少
なくとも再生光学系を含む光ディスク装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、画像のディジタル信号処理技術
や、MPEG( Moving Picture ImageCoding Experts
Group)と呼ばれる標準化機関などで進められている動
画像圧縮技術の進展により、VTRやレーザディスクに
代わって、CD(コンパクトディスク)と同等のサイズ
で、映画のような動画像情報を2時間再生可能な光ディ
スクへの期待が高まっている。2時間の動画像情報をレ
ーザディスクのようにNTSCなどの標準TV方式のア
ナログビデオ信号の形で記録する場合に必要な容量は、
音声を含めると80Gバイトにもなるが、例えばMPE
G−2と呼ばれる標準化方式で規定される動画像圧縮技
術を用いれば、S−VHSのような高画質VTRと同程
度の画質であっても、必要な容量は4Gバイト程度で済
むからである。この4Gバイトという容量は、φ300
mmの追記型光ディスクで既に実用化されているが、一
般家庭向けとして今後の普及を考えると、取扱いの簡単
なφ120mmというCDサイズで同程度の容量を実現
することが要求される。
【0003】現在、音楽用CDあるいはCD−ROMな
どとして普及しているCDフォーマットの容量は、最大
で790Mバイト(線速が1.2m/sの場合)であ
り、この程度の容量ではMPEG−2による圧縮動画像
情報を24分のみしか記憶することができない。このた
め、CDサイズでMPEG−2による圧縮動画像情報を
2時間分記憶しようとすると、CDに比較して記録密度
を5倍にも高めなければならない。ちなみに、現行のC
Dフォーマットでは、基板の厚さが1.2mm、トラッ
クピッチが1.6μmであり、ピットピッチは線速(光
ビームとディスクの相対速度=ディスクの周速)が1.
2m/sのとき1.66μm、ビット長は0.59μ
m、変調方式はEFM(eight to fourteen modulatio
n)である。一方、再生光学系においては再生用半導体
レーザ(LD)の波長は780nm、対物レンズのNA
(開口数)は0.45、ビームスポット径はほぼ1.4
μmである。ビームスポット径の値は、主として隣接ト
ラック間のクロストークの影響を避けるという観点から
選ばれている。
【0004】ところで、光ディスクの記録密度を高める
ためには、ディスクに小さなピットを形成する加工技術
と、再生光学系において光ディスク上のビームスポット
サイズを小さくする技術が必要となる。ピットの加工技
術については、例えば波長が351nmのKrイオンレ
ーザ光(紫外光)を用いた光ディスク原盤記録技術が提
案されており(1993年秋、応用物理学会全国大会、
28−SF−2)、従来のArイオンレーザに比べてよ
り小さなピットの加工が可能となっている。再生光学系
に関しては、再生用レーザビームの短波長化とNAの増
大によりビームスポット径をより小さくすることが可能
である。しかし実際には、従来のCDプレーヤなどの手
法では、赤色LDのような短波長光源を用いたとして
も、波長による容量の増大効果は高々1.5倍程度であ
るため、それだけでは2時間分の圧縮動画像情報を記録
するのに必要とされる5倍もの容量アップは望めない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、従来
の光ディスク技術では隣接トラック間のクロストークの
問題を避けるために、再生光ビームのビームスポット径
に比較してトラックピッチやピットピッチを大きく設定
していたため、再生用光ビームの短波長化と対物レンズ
のNAの増大のみでは、例えばCDサイズでMPEG2
による圧縮動画像情報を2時間分記憶するのに必要な容
量が得られる程度まで記録密度を上げることはできない
という問題があった。
【0006】そこで、本発明は再生用光ビームのビーム
スポット径に比較してトラックピッチやピットピッチを
小さく設定しても隣接トラック間のクロストークを実用
上問題ない程度まで小さくでき、従来に比較して飛躍的
に高密度・大容量化が可能な光ディスクおよび光ディス
ク装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、本発明者らは光ディスク上のピット形状をサーカー
スタジアム形で近似して、トラック幅方向(ディスク半
径方向)とトラック方向(接線方向)の最適な形状、つ
まり隣接トラック間のクロストークを実用可能なレベル
まで抑え、かつ再生信号やプッシュプル信号の信号レベ
ルが十分に得られるようなピット形状を見出だした。
【0008】すなわち、本発明に係る光ディスクでは、
再生用光ビームの波長をλnm、対物レンズの開口数を
NAとし、かつα=2.623×10-7×(d/λ)2
−1.706×10-4×(d/λ)+0.9341なる
係数αを定めたとき、トラックピッチがα×(0.72
〜0.8)×λ/NA/1.14μm、ピットの上部幅
が(0.3〜0.45)×λ/NA/1.14μm、ピ
ットの下部幅が(0.2〜0.25)×λ/NA/1.
14μmであることを基本的な特徴とし、さらに好まし
くは、ピットの上部幅がα×(0.3〜0.45)×λ
/NA/1.14μm、ピットの下部幅がα×(0.2
〜0.25)×λ/NA/1.14μmであることを特
徴とする。
【0009】なお、λ/NA/1.14μmは、λ/N
Aの比をλ=685nm、NA=0.6で規格化するこ
と意味する。つまり、λ=685nm、NA=0.6で
あれば、トラックピッチ、ピットの上部幅および下部幅
は( )内に示した通りの値となるが、λやNAの値が
変われば、それに応じて最適なトラックピッチ、ピット
の上部幅および下部幅も変わることになる。
【0010】また、本発明に係る光ディスク装置は、こ
のようなトラックピッチおよびピット形状を有する光デ
ィスクを用い、この光ディスクに対物レンズを介して光
ビームを照射し、その反射光を検出して光ディスクに記
録されている情報を再生するように構成したことを特徴
とする。光ディスクには、好ましくは動画像情報をMP
EG2に従って圧縮したデータが記録され、光ディスク
装置はMPEG2に対応したデコーダを備え、圧縮され
たデータを伸長して元の動画像情報を再生する機能を有
する。
【0011】従来の光ディスク、例えばCDなどでは、
トラックピッチを再生用光ビームのスポット径より大き
く選んでいた。これに対し、本発明では光ディスクのよ
り高密度・大容量化のためにトラックピッチをα×
(0.72〜0.8)×λ/NA/1.14μmより小
さな値とする。そして、この範囲のトラックピッチの下
で、ピットの上部幅を(0.3〜0.45)×λ/NA
/1.14μm、ピットの下部幅を(0.2〜0.2
5)×λ/NA/1.14μmの範囲に設定し、より好
ましくはピットの上部幅をα×(0.3〜0.45)×
λ/NA/1.14μm、ピットの下部幅をα×(0.
2〜0.25)×λ/NA/1.14μmの範囲に設定
する。
【0012】このようにピット形状を選ぶことにより、
隣接トラック間のクロストーク量は再生信号から元の情
報を再現するのに必要とされているクロストーク量(−
20dB)以下に抑えられ、しかも再生信号レベルやト
ラッキングのためのプッシュプル信号のレベルも十分に
確保されると共に、システム上要請されるウインドウ占
有率を実現できる許容ディスク傾斜角(チルト)を大き
くとることが可能となり、機械精度に対する要求を厳し
くすることなく光ディスクの記録密度を飛躍的に高める
ことが可能となる。また、本発明は特に再生用光ビーム
の波長が0.55(μm)以下の場合に有効である。
【0013】
【発明の実施の形態】まず、本発明の基本的な考え方を
説明する。光ディスクの高密度化には、再生用光ビーム
のビームスポット径を小さくすることが必要であり、そ
のためには再生用LDの短波長化と対物レンズのNAの
増大が必須である。既に波長が685nm、出力が数m
W程度の低ノイズタイプのLD(セルフパルセーショ
ン)が実用化されており、波長650nmのLDも実用
に近いレベルになってきている。
【0014】一方、対物レンズのNAは、レンズの作り
易さと、レンズ・ディスク間のチルト角によって制限を
受ける。レンズ負荷(光ディスクの基板が薄いほど小さ
い)が小さく、かつNAが小さいほど対物レンズは作り
易いが、NAが0.6程度の対物レンズであれば非球面
の単一レンズでも実現できている。しかし、光ディスク
の再生光学系に使用する対物レンズでは、光ディスクの
傾きや対物レンズの光軸の傾きなどにより生じる光ディ
スクと再生用光ビームとの間の傾き(チルト)により、
コマ収差が生じる。
【0015】すなわち、対物レンズのNAを大きくして
再生用光ビームのスポットサイズを小さくしようとする
と、光ディスクと再生用光ビームとのチルトのために対
物レンズの収差が急激に大きくなる。対物レンズの収差
が大きくなれば、当然、隣接トラック間のクロストーク
が増大し、また再生分解能が低下する。このチルトの影
響は、光ディスクの基板が薄いほど小さい。文献:Jpn.
J.Appl.Phsys.Vol.32(1993),pp.5402-5405には、波長6
90nm、NA=0.6で、基板の厚さがCDと同じ
1.2mmのときと、その半分の0.6mmのとき、チ
ルトによって再生用光ビームのビームスポット形状がど
の様に変化するかが示されている。それによれば、基板
厚が1.2mmの場合には5mradのチルトがあると
ビームスポットの中心強度は10%も低下し、またクロ
ストークの原因となるサイドローブの盛り上がりや収差
が生じている。これに対し、基板厚が0.6mmの場合
には10mradまでのチルトに耐えられる。
【0016】図8および図9に、NAをパラメータとし
て、基板厚(t)が1.2mmの場合と0.6mmの場
合についてチルト特性を計算した結果を示す。横軸にチ
ルトの角度、縦軸に再生信号の正規化したピーク強度を
とっている。再生用光ビームの波長(λ)はいずれも6
90nmとした。基板厚0.6mm、NA=0.6の場
合、再生信号のピーク強度が10%低下するのはチルト
が9.5mradの時である。これを基板厚が1.2m
mについてみると、NA=0.49となる。すなわち、
基板厚を従来のCDの1.2mmから0.6mmにする
ことによって、NAを0.49から0.6に高めること
ができ、面記録密度を約1.5倍高めることができる。
すなわち、スポットサイズはλ/NAに比例し、面記録
密度はスポットサイズの2乗に反比例するので、(0.
6/0.49)2 より面記録密度は約1.5倍高くな
る。
【0017】しかし、基板厚を単純に薄くすると、温度
や湿度による基板の反りが顕著となる可能性がある。基
板の反りはチルトの大きな要因となる。この対策として
は、レーザディスクと同様に光ディスクを両面化する、
つまり光ディスクを表裏対称構造とすることが最も効果
的である。その場合、表裏両面に情報を記録することも
可能となる。従来のCDのような単板構造の光ディスク
では、基板作製時のインジェクション条件や、基板の一
方の面にアルミニウムによる反射膜や保護膜が形成され
るため、基板の吸湿が表裏非対称となり、どうしても反
りが生じ易い。光ディスクを両面化すると、このような
吸湿による基板の歪がキャンセルされ、大きなチルトが
生じないようにすることができる。
【0018】以上の検討結果から、波長685nmのL
Dと、0.6mm厚の基板と、NA=0.6の対物レン
ズの組み合わせを用いるものとすれば、波長が780n
mから685nmに短くなったことと、NAが0.45
から0.6と大きくなったこととにより、従来のCDの
設計手法の下でも従来のCDフォーマットに比較して約
2.3倍の記録密度を達成することができる。すなわ
ち、スポットサイズはλ/NAに比例するので、{(6
85/0.6)/(780/0.45)}2 より記録密
度は約2.3倍に上がる。しかし、前述したようにCD
サイズでMPEG2による圧縮動画像情報を2時間分以
上記録するのに必要な容量が得られるようにするには、
記録密度(容量)を従来のCDフォーマットの約5倍以
上に上げる必要があり、これでは不十分である。
【0019】本発明は、光ディスクのさらなる高密度・
大容量化を達成するため、上記と同じビームスポットサ
イズの下でピット形状を最適化することにより、低クロ
ストーク特性と、再生信号およびプッシュプル信号など
の信号レベルを十分に確保しつつ、トラックピッチをさ
らに小さくできるようにしたものである。以下、本発明
によるピット形状について詳しく説明する。
【0020】図1は、本発明に係る光ディスクにおける
ピット形状を説明するための図である。同図に示される
ように、ピット10の形状は台形断面のいわゆるサッカ
ースタジアム形で近似している。ピット10の周縁11
は下り勾配の傾斜部となっており、底部12はほぼ平坦
となっている。13はピット10の光ディスク半径方向
(トラック幅方向)の断面、14は光ディスク円周方向
(トラック方向)の断面であり、Wmはピット10の上
部のトラック幅方向の寸法(以下、上部幅という)、W
iはピット10の底部のトラック幅方向の寸法(以下、
底部幅という)、hmはピット10の深さ、Zmはピッ
ト10のトラック方向の長さである。
【0021】図2は、解析に用いた光ディスク装置の再
生光学系のモデルであり、再生用光ビームの入射光分布
20(V1(x,y))、入射光21、入射光21と反射光2
6を分離する偏光ビームスプリッタ(またはハーフミラ
ー)22、開口数NAの対物レンズ23、対物レンズ2
3による光ディスク記録面(ピット面)での集束光(ビ
ームスポット)の分布24(V2(x,y))、複素反射率r
2(x,y)を有する光ディスク25、反射光26、光検出器
上の反射光26の分布27(V3(x,y))を示している。
【0022】図3は、再生信号とプッシュプル信号のレ
ベルを計算するための光ディスク上のピット配列を模式
的に示す図であり、トラックピッチ(トラック幅方向に
おけるピットのピッチ)をPtとし、ピットピッチ(ト
ラック方向におけるピットのピッチ)をPmyとしてい
る。30,31は再生用光ビームのビームスポットであ
り、それぞれピットの中央にあるとき(A)と、ピット
とピットの中間にあるとき(B)を示している。再生信
号の振幅は、S(A)−S(B)で表される。ただし、
S(X)はビームスポットがXの位置にあるときの光検
出器の出力信号を表す。また、32,33はピットがあ
る領域(C)とピットがない領域(D)でのプッシュプ
ル信号(分割光検出器のトラック方向に並んだ少なくと
も二つの検出領域の出力信号の差信号)を表す。これら
のプッシュプル信号は、それぞれ領域C,Dでの平均の
p−p値である。
【0023】図4に、再生用レーザビーム波長6785
nm、NA=0.6、Zm=0.5μm、Pmy=1μ
m、Pt=0.72μmとしたときのピットのトラック
幅方向の大きさと、ピットの深さhmをパラメータとし
て、再生信号とプッシュプル信号のレベルを計算した結
果を示す。再生用光ビームのトラック幅方向(X)およ
びトラック方向(Y)におけるビーム充填率A/W
(x),A/W(Y)の値は図中に示す通りである。同
図に示されるように、再生信号およびプッシュプル信号
のレベルは、Wm=0.3μm、Wi=0.2μmの場
合を除いてピットの形状に大きくは依存しない。また、
再生信号とプッシュプル信号のレベルを同時に最大の値
とするようなピットの深さは存在しないが、プッシュプ
ル信号のレベル低下をできるだけ小さくしつつ、最大の
再生信号レベルを得ようとすれば、図4からピットの深
さはλ/5前後、すなわちλ/4.5〜λ/6の範囲が
適当であることが分かる。
【0024】図5は、再生光学系のMTF(変調伝達関
数)と隣接トラック間のクロストークの評価のために用
いた光ディスク上のピット配列を模式的に示す図であ
る。同図において50,51は再生用光ビームのビーム
スポットであり、それぞれピットの中心(A)と、ピッ
トの中心より距離tdだけ離れた位置(B)を通過した
ときを示している。MTFは、ビームスポットがピット
の中心を通過したときに得られる光検出器の出力信号の
基本周波数成分のパワーで表される。クロストークは、
ビームスポットが位置Bを通過したときに得られる光検
出器の出力信号の基本周波数成分のパワーで表される。
【0025】図6は、トラックピッチPtを0.72μ
m一定とし、ピット形状つまり上部幅Wm,底部幅Wi
を種々変化させた場合のMTFとクロストーク特性の一
例を示す図であり、横軸に空間周波数、縦軸にMTFと
クロストークをそれぞれとっている。再生用光ビームの
トラック幅方向(X)およびトラック方向(Y)におけ
るビーム充填率A/W(x),A/W(Y)、ピットの
深さhmの値は図中に示す通りである。同図に示される
ように、MTFはピット形状によって1〜2dB程度の
差は生じるが、あまり大きな値ではない。これに対し、
クロストークはピット形状によって大きく変化すること
が分かる。
【0026】ここで、光ディスク上に記録される情報の
変調方式としては、RLL(Run-Length Rimited)方式
を採用するものとする。この方式では、最長ピットを検
出したときの低周波成分によるクロストークに注意する
ことが必要となる。図6に示したトラックピッチが0.
72μmの場合の例では、Wm=0.5になると低周波
でのクロストークが急激に大きくなる。
【0027】なお、図6に示すクロストーク特性はチル
トがない場合であるが、実際にはチルトを考慮する必要
がある。図7は、チルトを考慮したときのMTFおよび
クロストーク特性である。同図に示されるように、チル
トを考慮するとMTFはほとんど変化しないが、クロス
トークは増大し、一層厳しくなることが分かる。
【0028】光ディスク装置のシステム設計では、光デ
ィスク自体の反りによるチルトとして5mrad、装置
に起因するチルトとして3mradを与えるものとすれ
ば、全体で8mrad程度のチルトを許容できるように
する必要がある。図7のシミュレーションによれば、同
じ空間周波数に対して±10mradのチルトまでクロ
ストークを実用上要求される−20dB以下の値に抑え
ることができる。これから、波長685nm、トラック
ピッチ0.72μmという値は妥当であることが分か
る。
【0029】以上の結果から、トラック幅方向における
ピット形状は、波長685nm、NA=0.6で規格化
すると(λ/NA=1.14)、概ね上部幅Wmが
(0.3〜0.45)×λ/NA/1.14(μm)、
下部幅Wiが(0.2〜0.25)×λ/NA/1.1
4(μm)の範囲が望ましいことが分かる。すなわち、
トラックピッチPtを(0.72〜0.8)×λ/NA
/1.14(μm)の範囲に選んで、再生用光ビームの
ビームスポット径に比較してトラックピッチを小さくし
た場合、ピットの上部幅Wmと下部幅Wiを上記の範囲
に選ぶことにより、実際の光ディスク装置で想定される
±10mradのチルトまで、クロストークを−20d
B以下の値に抑えることができ、記録密度の飛躍的な向
上を達成することが可能となる。この結果、これらのト
ラックピッチおよびピット形状と、前述した例えば波長
685nmのLDと、0.6mm厚の基板と、NA=
0.6の対物レンズとの組み合わせにより、CDサイズ
でMPEG2による圧縮動画像情報を2時間分以上記録
するという当初の課題を容易に達成することが可能とな
る。
【0030】ところで、上述のトラックピッチPt=
(0.72〜0.8)×(λ/NA)/1.14(μ
m)、ピットの上部幅Wm=(0.3〜0.5)×(λ
/NA)/1.14(μm)、ピットの底部幅Wi=
(0.2〜0.32)×(λ/NA)/1.14(μ
m)の条件(以下、この条件の光ディスクを比較例とい
う)は、ディスクの傾斜により発生する収差(光ディス
ク面に対する再生用光ビームの収差)が波長を基準にし
て等価であるという条件の下で定められたものである。
【0031】図10に、ディスクの傾斜により発生する
収差を幾つかの波長について計算した結果を示した。横
軸が半径方向のディスク傾斜角(mrad)であり、縦
軸は発生した収差のrms(root mean square)値を再
生用光ビームの波長を単位として示した量である。収差
のrms値(Wrmsという)は、ディスク傾斜角にほ
ぼ比例し、波長に反比例する。ディスク傾斜角が20m
radより小さい領域では、Wrmsは近似的に Wrms=3.58×10-3×θ(mrad)/λ(μ
m) で与えられる。例えば、再生用光ビームの波長が0.6
5μmで、ディスク傾斜角が10mradのとき、Wr
ms=0.0551λとなる。
【0032】比較例の条件は、再生用光ビームの波長が
0.65μm近辺でディスク傾斜角に対して10mra
dの許容度が与えられるようにする条件として求められ
たものである。従って、この近辺の波長に対しては、1
0mradのディスク傾斜角が許容されるものの、より
短い波長の再生用光ビームを用いた場合、許容ディスク
傾斜角は小さくなる。この関係は、ほぼ θ(mrad)=15.4×λ(μm) で与えられる。
【0033】これを図10で説明すると、再生用光ビー
ムの波長0.65μmの下で10mradのディスク傾
斜がある場合、収差のrms値Wrmsは0.0551
λとなっている。一方、再生用光ビームの光源として例
えばYVO4 とKTPの組み合わせによるSHG(Seco
nd Harmonic Generation)材料を用いたレーザ光源を用
いる場合、波長は0.532μmとなる。このとき、収
差のrms値Wrmsを再生用光ビームの波長0.65
μmの下でのWrms=0.0551λと同等に抑える
ためには、許容されるディスク傾斜角は8.2mrad
となる。また、例えばGaNのようなSHG材料系を用
いたレーザ光源のように、再生用光ビームの波長が0.
42μmあるいは0.36μmと小さくなると、許容デ
ィスク傾斜角はそれぞれ6.5mrad,5.5mra
dと更に小さくなる。
【0034】このように短波長の再生用光ビームを用い
て、光ディスクの記録密度を高めようにとすると、それ
に応じて許容ディスク傾斜角が小さくなるため、光ディ
スクの形状精度、スピンドルモータやターンテーブルの
精度、およびディスクのチャッキング精度などの機械精
度に対する要請が厳しくなり、安価な光ディスク装置を
提供することが難しくなる。
【0035】図11は、比較例の条件に従って記録密度
を定めた光ディスクに記録されている情報を10mra
dのディスク傾斜の下で再生した場合のウインドウ占有
率と再生用光ビームの波長の関係を示した図である。比
較例における各パラメータの典型的な値として、再生用
光ビームの波長をλ=0.65μm、対物レンズの開口
数をNA=0.6、トラックピッチをPt=0.725
μm、ピットの上部幅をWm=0.35μm、ピットの
底部幅をWi=0.2μmとし、さらに検出窓幅はd=
2の変調符号系の採用を仮定して0.134μm、ピッ
ト深さは再生用光ビームの波長λを基板屈折率nで割っ
た値の1/5とした。
【0036】図11の縦軸のウインドウ占有率は、スカ
ラ回折理論に基づく再生信号の計算を用いて求めたもの
で、変調符号の制約下で発生する多様なピットパターン
による符号間干渉のほか、隣接トラックからのクロスト
ークについても考慮し、しかも、それぞれの場合に最適
な等化回路を用いてジッタの低減を図った場合に達成可
能なウインドウ占有率の下限を求めたものである。この
ような計算はかなり膨大な計算時間を要するものであ
り、高速のアルゴリズムに基づく計算プログラムを開発
して初めて可能になったものである。また、NAが大き
いため、光ディスクの基板傾斜に起因する収差の計算に
おいても、通常よく用いられる近似式ではなく、光線追
跡に基づくより正確な評価方法を用いている。
【0037】図11から、再生用光ビームの波長が65
0nmの近辺ではウインドウ占有率は80%程度と妥当
な値であり、比較例による設定は妥当といえるが、波長
が例えば550nm(0.5μm)以下の領域ではウイ
ンドウ占有率が95%を越えてしまい、誤りのない再生
が実質的に不可能になってしまうことが分かる。
【0038】本発明は、上述した比較例についてさらに
改良を加えたものであって、機械精度に対する要請を厳
しくすることなく、可能な限り高い記録密度の光ディス
ク装置を実現しようとするものである。具体的には、本
実施形態は許容ディスク傾斜角を例えば10mradと
一定に保ったままで、例えば波長が0.5μm以下の再
生用光ビームを用いて、高密度の光ディスクの再生を可
能とするものである。この場合、各波長において10m
radで発生する収差量は大きくなるので、それだけの
収差を許容するためには、トラックピッチや検出窓幅の
などの、光ディスクの記録密度を定めるパラメータの値
を大きめに設定しておく必要がある。
【0039】図10によれば、例えば0.532μm,
0.42μm,0.36μmと再生用光ビームの波長を
小さくしていった場合、10mradのディスク傾斜で
発生する収差量はそれぞれ0.0673λ,0.085
2λ,0.0994λと、次第に大きくなる。このよう
に大きな収差を許容するということは、再生用光ビーム
の波長が0.65μmの再生光学系に換算すると、許容
ディスク傾斜角をそれぞれ12.2mrad,15.5
mrad,18.1mradのように大きな値にするこ
とに対応する。この換算は、上述した収差量とディスク
傾斜角の許容値との比例関係に基づいて、 θeq(mrad)=6.5/λ(μm) のように表される。ただし、θeqは、それぞれの波長で
10mradのディスク傾斜がある場合に発生する収差
と等価な収差が波長0.65μmの再生用光ビームを用
いた再生光学系において発生する角度を表わし、この角
度θeqは再生用光ビームの波長に反比例して増大する。
【0040】このように大きなディスク傾斜角を許容す
るには、トラックピッチや検出窓幅のなどの光ディスク
の記録密度を定めるパラメータの値、特にトラックピッ
チを(λ/NA)に比例して設定するよりも、大きく設
定する必要がある。
【0041】図12は、ディスク傾斜角とウインドウ占
有率の関係を示した図である。図12において、図11
に示した比較例と同じ条件の場合のディスク傾斜角とウ
インドウ占有率の関係は、1.0倍の曲線になる。1.
1倍および1.2倍の曲線はトラックピッチPt、ピッ
トの上部幅Wm、ピットの底部幅Wiおよび検出窓幅を
全て1.1倍および1.2倍に拡大した場合の曲線であ
り、記録密度はそれぞれ1/1.12 および1/1.2
2 に低下するが、その代わり許容ディスク傾斜角は増大
していることが分かる。なお、図12の縦軸のウインド
ウ占有率の計算は、図11の計算と同様のモデルに基づ
いている。
【0042】図13は、ウインドウ占有率80%を基準
として、許容ディスク傾斜角に対して必要な係数をプロ
ットした図であり、図12から導かれるものである。以
上をまとめると、再生用光源に短波長光源を用いる場合
の設計手順は次のようになる。
【0043】まず、図10を参照して再生用光ビームの
波長0.65μmでディスク傾斜角10mrad程度の
場合に相当する収差以下に収差が収まるように、許容デ
ィスク傾斜角を小さく設定することが可能かどうかを判
断する。これが可能ならば比較例に従ってパラメータを
定めてよい。しかしながら、許容ディスク傾斜角をそれ
ほど小さく設定できない場合は、同じく図10で使用す
る再生用光ビームの波長と許容する必要のあるディスク
傾斜から許容すべき収差量の値を読み取り、波長が0.
65μmの再生光学系でその収差量となる角度を「0.
65μmの再生光学系に換算された許容ディスク傾斜
角」と考える。そして、図13からその許容ディスク傾
斜角を実現するのに必要な係数を読み取る。最後に、比
較例に従って設定する場合の各パラメータ値にその係数
を乗じて設定することで、短波長でも実用的な許容ディ
スク傾斜角を確保することのできるディスクを実現する
ことができる。
【0044】なお、上述の説明では光ディスクの基板の
厚さを0.6mmとしたが、収差は基板の厚さに比例す
るので、他の厚さの基板の場合には比例計算によりパラ
メータを定めればよい。例えば基板厚が0.4mmの場
合、収差の値は図10の2/3倍となるので、そのよう
に読み替えてよい。すなわち、先に収差量が再生用光ビ
ームの波長に反比例することを述べたが、これを用いれ
ば基板厚がr倍になることは、収差量の観点から波長が
1/rになることに相当するので、そのように換算すれ
ば上記の設定手順で同様に係数を定めることが可能であ
る。
【0045】基板厚を600(μm)、再生用光ビーム
の波長をλ(μm)とした場合、 θeq(mrad)=6.5/λ(μm) であったが、基板厚の変化が再生用光ビームの波長変化
に換算できることを考慮すると、基板厚がd(μm)、
再生用光ビームの波長がλ(μm)の場合、 θeq(mrad)=6.5/λ×(d/600) =1.083×10-2×(d/λ) となる。この関係に従って、図12のグラフの上部では
d/λで横軸の目盛りを振っている。図13の作成は波
長0.65μmの具体例での計算に基づいているが、上
記議論により、図13の上部の目盛りを用いれば、波長
0.65μmの系を媒介とした換算を意識せず、実際に
使用する基板厚と再生用光ビームの波長との比を計算し
て、必要な係数を読み取ればよい。
【0046】さらに、前述したように収差は傾斜角にほ
ぼ比例するため、許容ディスク傾斜角θA (mrad)
を10mrad以外の値に拡張することも容易である。
すなわち、θeqをθA に比例させて設定すればよい。従
って、先の式は θeq(mrad)=(6.5/λ)×(θA /10) θeq(mrad)=1.083×10-2×(d/λ)×(θA /10) =1.083×10-3×(θA d/λ) とすればよい。
【0047】なお、図13のグラフの曲線は、設計等の
応用に便利な近似的な数式で表わすと、次のようにな
る。すなわち、横軸を650nmに換算した許容ディス
ク傾斜角θeq(mrad)、縦軸を寸法の係数αとする
と、 α=0.002236×θeq 2 −0.01575×θeq
+0.9341 となる。また、基板厚d、波長λを用いると、先のθeq
とd/λとの関係式を用いて、 α=2.623×10-7×(d/λ)2 −1.706×
10-4×(d/λ)+0.9341 のように表すことができる。この式によれば、基板厚と
再生用光ビームの波長の双方を変化させた場合の最適な
係数を、基板厚と波長の関数として求めることができ
る。さらに、許容ディスク傾斜角をθA (mrad)と
した場合の式は、 α=2.623×10-9×(θA d/λ)2 −1.70
6×10-5×(θd/λ)+0.9341 のように表すことができる。この式によれば、基板厚と
再生用光ビームの波長と許容ディスク傾斜角の全てを変
化させた場合の最適な係数を、基板厚と波長と許容ディ
スク傾斜角の関数として求めることができる。
【0048】図14は、NAが0.6、基板厚が600
μmの場合に許容ディスク傾斜角を10mradと固定
した時のトラックピッチの最適範囲を示した図である。
図でAは比較例の範囲であり、Bが本実施形態によるト
ラックピッチの範囲である。基板傾斜角を再生用光ビー
ムの波長に応じて精度よく確保できない場合は、本発明
に従った設定をする必要がある。このようにトラックピ
ッチを設定することにより、図14に示されるように再
生用光ビームの波長が0.55μm以下の場合でも許容
ディスク傾斜角を10mradにして、ウインドウ占有
率を80%以下に抑えることが可能となる。
【0049】なお、上述ではトラックピッチPtの最適
範囲について説明したが、ピットの上部幅Wmおよび底
部幅Wiについても、比較例の範囲に対してトラックピ
ッチPtに対する係数αと同じ係数を乗じることによっ
て、より好ましい範囲が実現される。すなわち、ピット
の上部幅Wmおよび底部幅Wiに対しても係数αを乗じ
ることによって、αを乗じない場合と比較して再生信号
のレベルが高くなり、それだけウインドウマージン、特
にディスク傾斜に対するマージンが確保されることにな
る。
【0050】次に、図15を用いて本実施形態に係る光
ディスクの構造について説明する。図15(a)(b)
は、両面貼り合わせ構造の光ディスク100の斜視図と
断面図であり、エンボスピットを有するポリカーボネイ
トやアクリルなどの透光性の樹脂からなる透明基板10
1,102の一方の面に、アルミニウムなどの反射膜1
03,104が被着され、これらの上に保護膜105,
106が形成されている。透明基板101,102の厚
さは、0.6mmである。そして、透明基板101,1
02を保護膜105,106側を対向させて、熱硬化型
の接着剤からなる数10μm厚の接着層107により貼
り合わせている。光ディスク100の中央にはクランピ
ングのための穴108が開けられており、その周囲にク
ランピングゾーン109が設けられている。そして、図
示しないLDから出射され再生光学系を経て入射する再
生用光ビーム110は、対物レンズ111を介して光デ
ィスク100に透明基板101,102側から入射し、
反射膜103,104上に微小なビームスポットとして
集束される。
【0051】図16に、上述した光ディスク100を用
いて圧縮動画像情報の再生を行う光ディスク装置の実施
形態を示す。図16において、光ディスク100は、
0.6mm厚という薄い基板101,102を用いてい
ることから、1.2mm厚の基板を用いいるCDに比較
して表面に付着したゴミや汚れに弱くなるため、カート
リッジ200に収容されている。光ディスク100をカ
ートリッジ200に収容することにより、CDのように
ディスクの持ち方や、ゴミ、指紋などに気を使わなくて
済むようになるし、ハンドリング、持ち運びの面でも有
利となる。CDのようにディスクが露出している場合
は、傷などの不測の事態も考えてエラー訂正能力を決め
る必要があるが、カートリッジ200を用いればそのよ
うな考慮は不要である。従って、録再型の光ディスクで
用いているようなセクタ単位で、LDCリードソロモン
エラー訂正方式を用いることができる。これにより、例
えば2k〜4kバイト単位で光ディスクのフォーマッテ
ィングを行った場合、CDに比べ10%以上、記録効率
をアップすることができる。
【0052】光ディスク100に記録する情報の変調方
式として、前述したように4/9変調方式を用い、光デ
ィスク100上のトラックピッチを0.72μm、ピッ
トピッチを0.96μmとすれば、従来のCDフォーマ
ットに比較してピットの密度比で3.84倍、変調方式
で20%、フォーマット効率で10%のアップが期待さ
れるから、トータルで約5.1倍の容量アップが望める
ことになる。前述のように、映画などの動画像情報をS
−VHS並みの高画質で再生する場合、音声も含めて
4.5Mbpsのレートとなるので、2時間の再生に必
要な容量は4Gバイトである。上述した5.1倍の容量
アップにより、この4Gバイトという容量をディスク片
面で実現できることになる。さらに、図15に示したよ
うに光ディスクを両面化すれば、一枚の光ディスクで最
大4時間の記録が可能となる。
【0053】図16に説明を戻すと、光ディスク100
はテーパコーン220にチャッキングされ、スピンドル
モータ201により回転される。スピンドルモータ20
1はスピンドルモータ駆動回路202により駆動され
る。一方、再生光学系は次のように構成される。
【0054】光ディスク100に対向して対物レンズ2
03が配置されており、この対物レンズ203はフォー
カスコイル204により光軸方向に、またトラッキング
コイル205によりトラック幅方向に移動可能となって
いる。LDドライバ206により駆動されるLD(半導
体レーザ)207の発振波長は685nmであり、この
LD207から出射される光ビームはコリメートレンズ
208で平行光束とされた後、偏光ビームスプリッタ2
09に入射する。LD207から出射される光ビームは
一般に楕円のファーフィールドパターンを有しているの
で、円形のパターンが必要な場合はコリメートレンズ2
08の後にビーム整形プリズムを配置すればよい。偏光
ビームスプリッタ209を通過した光ビームは対物レン
ズ203により絞られ、光ディスク100に入射する。
【0055】光ディスク100の反射膜で反射された光
は、対物レンズ203を入射光ビームと逆方向に戻り、
偏光ビームスプリッタ209で反射され、集光レンズ2
10およびシリンドリカルレンズ211などの検出光学
系を経て光検出器212に入射する。光検出器212は
例えば4分割光検出器であり、その4つの検出出力はア
ンプと加減算器を含むアンプアレー213に入力され、
ここでフォーカス誤差信号、トラッキング誤差信号およ
び再生信号が生成される。なお、トラッキング誤差信号
は、例えばプッシュプル法と呼ばれる手法により、前述
したプッシュプル信号として得られる。フォーカス誤差
信号およびトラッキング誤差信号は、サーボコントロー
ラ214を経由してフォーカスコイル204およびトラ
ッキングコイル205にそれぞれ供給される。これによ
り、対物レンズ203が光軸方向およびトラック幅方向
に移動され、光ディスク100の記録面である反射膜の
表面に対する光ビームのフォーカシングと、目標トラッ
クに対するトラッキングが行われる。
【0056】アンプアレー213からの再生信号は信号
処理回路215に入力され、ここで2値化された後、デ
ータパルスの検出が行われる。検出されたデータパルス
はディスクコントローラ216に入力され、フォーマッ
トの解読、エラー訂正などが行われた後、動画像情報の
ビットストリームとしてMPEG2デコーダ/コントロ
ーラ217に入力される。光ディスク100には、MP
EG2の規格に従って動画像情報を圧縮(符号化)した
データが記録されている。そこで、MPEG2デコーダ
/コントローラ217は入力されたビットストリームを
伸長(復号化)して、元の動画像情報を再生する。再生
された動画像情報はビデオ信号発生回路218に入力さ
れ、ブランキング信号などが付加されて所定のテレビジ
ョンフォーマットのビデオ信号となる。
【0057】なお、本実施形態では光ディスクとして両
面貼り合わせ構造の光ディスクを示したが、例えば2層
の記録層をディスクの片面から読み取り可能に形成した
光ディスクにも本発明を適用することができる。
【0058】
【発明の効果】以上説明したように、本発明による光デ
ィスクは、トラックピッチを再生用光ビームのスポット
径より小さな値に設定しつつ、隣接トラックのクロスト
ークを実用上要求されるレベルまで低減できるような最
適なピット形状を有するため、従来のCDに比較してト
ラック密度を約1.5倍も高めることができ、また再生
信号やトラッキングに用いられるプッシュプル信号のレ
ベルも十分に確保することができる。
【0059】また、本発明によれば特に、比較例で示し
た光ディスクの記録密度を決定するパラメータであるト
ラックピッチPtの範囲に係数αを乗じ、さらに好まし
くはピットの上部幅Wmおよび下部幅Wiの範囲に対し
ても係数αを乗じることによって、システム上要請され
るウインドウ占有率を実現できる許容ディスク傾斜角
(チルト)を大きくとることが可能となり、光ディスク
の形状精度、スピンドルモータやターンテーブルの精
度、およびディスクのチャッキング精度といった光ディ
スク装置各部の機械精度に対する要求を厳しくすること
なく、光ディスクの記録密度を飛躍的に高めることがで
きる。
【0060】この結果、本発明によれば前述した実施形
態に示されるように例えばCDサイズでも従来のCDの
約5倍の容量を実現することができ、音声も含めて4M
bpsに圧縮した高画質VTR並みの品質の動画像情報
を2時間分以上蓄えることも可能となり、その実用的効
果は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る光ディスクのピット
形状を説明するための模式図
【図2】光ディスク装置における再生光学系の概略を示
す模式図
【図3】光ディスクから検出される再生信号およびプッ
シュプル信号レベルを計算するための光ディスク上のピ
ット配列を示す模式図
【図4】ピットのトラック幅方向の大きさとピットの深
さをパラメータとして再生信号とプッシュプル信号のレ
ベルを計算した結果を示す図
【図5】再生光学系のMTFと隣接トラック間のクロス
トークの評価のために用いた光ディスク上のピット配列
を示す模式図
【図6】再生光学系のMTFと隣接トラック間のクロス
トーク特性のピット形状依存性を示す図
【図7】再生光学系のMTFと隣接トラック間のクロス
トーク特性のチルト依存性を示す図
【図8】基板厚1.2mmの光ディスクを用いた場合の
対物レンズのNAによるチルト依存性を示す図
【図9】基板厚0.6mmの光ディスクを用いた場合の
対物レンズのNAによるチルト依存性を示す図
【図10】光ディスクの傾斜により発生する収差を再生
用光ビームの波長をパラメータとして示した図
【図11】比較例に係る光ディスクを10mradのデ
ィスク傾斜の下で再生した場合のウインドウ占有率と再
生用光ビームの波長の関係を示す図
【図12】ディスク傾斜角とウインドウ占有率の関係を
示す図
【図13】ウインドウ占有率80%を基準として許容デ
ィスク傾斜角に対して必要な係数をプロットして示す図
【図14】比較例および本実施形態に係る光ディスクに
おけるトラックピッチの最適範囲を再生用光ビームの波
長に対して示す図
【図15】本発明の一実施形態に係る光ディスクの構造
を示す斜視図および断面図
【図16】本発明の一実施形態に係る光ディスク装置の
構成を示すブロック図
【符号の説明】
10…ピット 11…ピット周縁 12…ピット底部 Wm…ピット上部幅 Wi…ピット下部幅 Zm…ピット長 hm…ピット深さ
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成8年9月9日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正内容】

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板上に情報が所定のトラックピッチでピ
    ットの列として記録され、対物レンズを介して光ビーム
    が照射されることにより情報の再生が行われる光ディス
    クにおいて、 前記光ビームの波長をλ(μm)、前記対物レンズの開
    口数をNA、前記光ディスクの厚さをd(μm)とし、
    かつα=2.3×10-7×(d/λ)2 −1.706×
    10-4×(d/λ)+0.9341なる係数αを定めた
    とき、前記トラックピッチがα×(0.72〜0.8)
    ×(λ/NA)/1.14(μm)、前記ピットの上部
    幅が(0.3〜0.5)×(λ/NA)/1.14(μ
    m)、該ピットの底部幅が(0.2〜0.32)×(λ
    /NA)/1.14(μm)に範囲に設定されているこ
    とを特徴とする光ディスク。
  2. 【請求項2】基板上に情報が所定のトラックピッチでピ
    ットの列として記録され、対物レンズを介して光ビーム
    が照射されることにより情報の再生が行われる光ディス
    クにおいて、 前記光ビームの波長をλ(μm)、前記対物レンズの開
    口数をNA、前記光ディスクの厚さをd(μm)とし、
    かつα=2.623×10-7×(d/λ)2 −1.70
    6×10-4×(d/λ)+0.9341なる係数αを定
    めたとき、前記トラックピッチがα×(0.72〜0.
    8)×(λ/NA)/1.14(μm)、前記ピットの
    上部幅がα×(0.3〜0.5)×(λ/NA)/1.
    14(μm)、該ピットの底部幅がα×(0.2〜0.
    32)×(λ/NA)/1.14(μm)に範囲に設定
    されていることを特徴とする光ディスク。
  3. 【請求項3】前記トラックピッチ、前記ピットの上部幅
    および下部幅は、前記光ビームの波長λを0.55(μ
    m)以下として設定されていることを特徴とする請求項
    1または2に記載の光ディスク。
  4. 【請求項4】基板上に情報が所定のトラックピッチでピ
    ットの列として記録された光ディスクと、 この光ディスクに対物レンズを介して光ビームを照射す
    る手段と、 この手段により前記光ディスクに照射された光ビームの
    反射光を検出して前記光ディスクに記録されている情報
    を再生する手段とを具備し、 前記光ディスクは、前記光ビームの波長をλ(μm)、
    前記対物レンズの開口数をNA、前記光ディスクの厚さ
    をd(μm)とし、かつα=2.623×10-7×(d
    /λ)2 −1.706×10-4×(d/λ)+0.93
    41なる係数αを定めたとき、前記トラックピッチがα
    ×(0.72〜0.8)×(λ/NA)/1.14(μ
    m)、前記ピットの上部幅が(0.3〜0.5)×(λ
    /NA)/1.14(μm)、該ピットの底部幅が
    (0.2〜0.32)×(λ/NA)/1.14(μ
    m)に範囲に設定されていることを特徴とする光ディス
    ク装置。
  5. 【請求項5】基板上に情報が所定のトラックピッチでピ
    ットの列として記録された光ディスクと、 この光ディスクに対物レンズを介して光ビームを照射す
    る手段と、 この手段により前記光ディスクに照射された光ビームの
    反射光を検出して前記光ディスクに記録されている情報
    を再生する手段とを具備し、 前記光ディスクは、前記光ビームの波長をλ(μm)、
    前記対物レンズの開口数をNA、前記光ディスクの厚さ
    をd(μm)とし、かつα=2.623×10-7×(d
    /λ)2 −1.706×10-4×(d/λ)+0.93
    41なる係数αを定めたとき、前記トラックピッチがα
    ×(0.72〜0.8)×(λ/NA)/1.14(μ
    m)、前記ピットの上部幅がα×(0.3〜0.5)×
    (λ/NA)/1.14(μm)、該ピットの底部幅が
    α×(0.2〜0.32)×(λ/NA)/1.14
    (μm)に範囲に設定されていることを特徴とする光デ
    ィスク装置。
  6. 【請求項6】前記トラックピッチ、前記ピットの上部幅
    および下部幅は、前記光ビームの波長λを0.55(μ
    m)以下として設定されていることを特徴とする請求項
    4または5に記載の光ディスク装置。
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