JP3819459B2 - 光ディスク - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、情報をピットの形で高密度に記録した光ディスクに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、画像のディジタル信号処理技術や、MPEG( Moving Picture Image Coding Experts Group)と呼ばれる標準化機関などで進められている動画像圧縮技術の進展により、VTRやレーザディスクに代わって、CD(コンパクトディスク)と同等のサイズで、映画のような動画像情報を2時間再生可能な光ディスクへの期待が高まっている。2時間の動画像情報をレーザディスクのようにNTSCなどの標準TV方式のアナログビデオ信号の形で記録する場合に必要な容量は、音声を含めると80Gバイトにもなるが、例えばMPEG−2と呼ばれる標準化方式で規定される動画像圧縮技術を用いれば、S−VHSのような高画質VTRと同程度の画質であっても、必要な容量は4Gバイト程度で済むからである。この4Gバイトという容量は、φ300mmの追記型光ディスクで既に実用化されているが、一般家庭向けとして今後の普及を考えると、取扱いの簡単なφ120mmというCDサイズで同程度の容量を実現することが要求される。
【0003】
現在、音楽用CDあるいはCD−ROMなどとして普及しているCDフォーマットの容量は、最大で790Mバイト(線速が1.2m/sの場合)であり、この程度の容量ではMPEG−2による圧縮動画像情報を24分のみしか記憶することができない。このため、CDサイズでMPEG−2による圧縮動画像情報を2時間分記憶しようとすると、CDに比較して記録密度を5倍にも高めなければならない。ちなみに、現行のCDフォーマットでは、基板の厚さが1.2mm、トラックピッチが1.6μmであり、ピットピッチは線速(光ビームとディスクの相対速度=ディスクの周速)が1.2m/sのとき1.66μm、ビット長は0.59μm、変調方式はEFM(eight to fourteen modulation)である。一方、再生光学系においては再生用半導体レーザ(LD)の波長は780nm、対物レンズのNA(開口数)は0.45、ビームスポット径はほぼ1.4μmである。ビームスポット径の値は、主として隣接トラック間のクロストークの影響を避けるという観点から選ばれている。
【0004】
ところで、光ディスクの記録密度を高めるためには、ディスクに小さなピットを形成する加工技術と、再生光学系において光ディスク上のビームスポットサイズを小さくする技術が必要となる。ピットの加工技術については、例えば波長が351nmのKrイオンレーザ光(紫外光)を用いた光ディスク原盤記録技術が提案されており(1993年秋、応用物理学会全国大会、28−SF−2)、従来のArイオンレーザに比べてより小さなピットの加工が可能となっている。再生光学系に関しては、再生用レーザビームの短波長化とNAの増大によりビームスポット径をより小さくすることが可能である。しかし実際には、従来のCDプレーヤなどの手法では、赤色LDのような短波長光源を用いたとしても、波長による容量の増大効果は高々1.5倍程度であるため、それだけでは2時間分の圧縮動画像情報を記録するのに必要とされる5倍もの容量アップは望めない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、従来の光ディスク技術では隣接トラック間のクロストークの問題を避けるために、再生光ビームのビームスポット径に比較してトラックピッチやピットピッチを大きく設定していたため、再生用光ビームの短波長化と対物レンズのNAの増大のみでは、例えばCDサイズでMPEG2による圧縮動画像情報を2時間分記憶するのに必要な容量が得られる程度まで記録密度を上げることはできないという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は再生用光ビームのビームスポット径に比較してトラックピッチやピットピッチを小さく設定しても隣接トラック間のクロストークを実用上問題ない程度まで小さくでき、従来に比較して飛躍的に高密度・大容量化が可能な光ディスクを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明者らは光ディスク上のピット形状をサッカースタジアム形で近似して、トラック幅方向(ディスク半径方向)とトラック方向(接線方向)の最適な形状、つまり隣接トラック間のクロストークを実用可能なレベルまで抑え、かつ再生信号やプッシュプル信号の信号レベルが十分に得られるようなピット形状を見出だした。
【0008】
すなわち、本発明に係る光ディスクでは、再生用光ビームの波長をλnm、対物レンズの開口数をNAとし、かつα=2.623×10-7×(d/λ)2 −1.706×10-4×(d/λ)+0.9341なる係数αを定めたとき、トラックピッチがα×(0.72〜0.8)×λ/NA/1.14μm、ピットの上部幅が(0.3〜0.45)×λ/NA/1.14μm、ピットの下部幅が(0.2〜0.25)×λ/NA/1.14μmであることを基本的な特徴とし、さらに好ましくは、ピットの上部幅がα×(0.3〜0.45)×λ/NA/1.14μm、ピットの下部幅がα×(0.2〜0.25)×λ/NA/1.14μmであることを特徴とする。
【0009】
なお、λ/NA/1.14μmは、λ/NAの比をλ=685nm、NA=0.6で規格化すること意味する。つまり、λ=685nm、NA=0.6であれば、トラックピッチ、ピットの上部幅および下部幅は( )内に示した通りの値となるが、λやNAの値が変われば、それに応じて最適なトラックピッチ、ピットの上部幅および下部幅も変わることになる。
【0011】
従来の光ディスク、例えばCDなどでは、トラックピッチを再生用光ビームのスポット径より大きく選んでいた。これに対し、本発明では光ディスクのより高密度・大容量化のためにトラックピッチをα×(0.72〜0.8)×λ/NA/1.14μm、つまり再生用光ビームのスポット径より小さな値とする。そして、この範囲のトラックピッチの下で、ピットの上部幅を(0.3〜0.45)×λ/NA/1.14μm、ピットの下部幅を(0.2〜0.25)×λ/NA/1.14μmの範囲に設定し、より好ましくはピットの上部幅をα×(0.3〜0.45)×λ/NA/1.14μm、ピットの下部幅をα×(0.2〜0.25)×λ/NA/1.14μmの範囲に設定する。
【0012】
このようにピット形状を選ぶことにより、隣接トラック間のクロストーク量は再生信号から元の情報を再現するのに必要とされているクロストーク量(−20dB)以下に抑えられ、しかも再生信号レベルやトラッキングのためのプッシュプル信号のレベルも十分に確保されると共に、システム上要請されるウインドウ占有率(ジッタ(再生信号エッジの変動範囲)の検出窓幅に対する割合)を実現できる許容ディスク傾斜角(チルト)を大きくとることが可能となり、機械精度に対する要求を厳しくすることなく光ディスクの記録密度を飛躍的に高めることが可能となる。
【0013】
【発明の実施の形態】
まず、本発明の基本的な考え方を説明する。
光ディスクの高密度化には、再生用光ビームのビームスポット径を小さくすることが必要であり、そのためには再生用LDの短波長化と対物レンズのNAの増大が必須である。既に波長が685nm、出力が数mW程度の低ノイズタイプのLD(セルフパルセーション)が実用化されており、波長650nmのLDも実用に近いレベルになってきている。
【0014】
一方、対物レンズのNAは、レンズの作り易さと、レンズ・ディスク間のチルト角によって制限を受ける。レンズ負荷(光ディスクの基板が薄いほど小さい)が小さく、かつNAが小さいほど対物レンズは作り易いが、NAが0.6程度の対物レンズであれば非球面の単一レンズでも実現できている。しかし、光ディスクの再生光学系に使用する対物レンズでは、光ディスクの傾きや対物レンズの光軸の傾きなどにより生じる光ディスクと再生用光ビームとの間の傾き(チルト)により、コマ収差が生じる。
【0015】
すなわち、対物レンズのNAを大きくして再生用光ビームのスポットサイズを小さくしようとすると、光ディスクと再生用光ビームとのチルトのために対物レンズの収差が急激に大きくなる。対物レンズの収差が大きくなれば、当然、隣接トラック間のクロストークが増大し、また再生分解能が低下する。このチルトの影響は、光ディスクの基板が薄いほど小さい。文献:Jpn.J.Appl.Phsys.Vol.32(1993),pp.5402-5405には、波長690nm、NA=0.6で、基板の厚さがCDと同じ1.2mmのときと、その半分の0.6mmのとき、チルトによって再生用光ビームのビームスポット形状がどの様に変化するかが示されている。それによれば、基板厚が1.2mmの場合には5mradのチルトがあるとビームスポットの中心強度は10%も低下し、またクロストークの原因となるサイドローブの盛り上がりや収差が生じている。これに対し、基板厚が0.6mmの場合には10mradまでのチルトに耐えられる。
【0016】
図8および図9に、NAをパラメータとして、基板厚(t)が1.2mmの場合と0.6mmの場合についてチルト特性を計算した結果を示す。横軸にチルトの角度、縦軸に再生信号の正規化したピーク強度をとっている。再生用光ビームの波長(λ)はいずれも690nmとした。基板厚0.6mm、NA=0.6の場合、再生信号のピーク強度が10%低下するのはチルトが9.5mradの時である。これを基板厚が1.2mmについてみると、NA=0.49となる。すなわち、基板厚を従来のCDの1.2mmから0.6mmにすることによって、NAを0.49から0.6に高めることができ、面記録密度を約1.5倍高めることができる。すなわち、スポットサイズはλ/NAに比例し、面記録密度はスポットサイズの2乗に反比例するので、(0.6/0.49)2 より面記録密度は約1.5倍高くなる。
【0017】
しかし、基板厚を単純に薄くすると、温度や湿度による基板の反りが顕著となる可能性がある。基板の反りはチルトの大きな要因となる。この対策としては、レーザディスクと同様に光ディスクを両面化する、つまり光ディスクを表裏対称構造とすることが最も効果的である。その場合、表裏両面に情報を記録することも可能となる。従来のCDのような単板構造の光ディスクでは、基板作製時のインジェクション条件や、基板の一方の面にアルミニウムによる反射膜や保護膜が形成されるため、基板の吸湿が表裏非対称となり、どうしても反りが生じ易い。光ディスクを両面化すると、このような吸湿による基板の歪がキャンセルされ、大きなチルトが生じないようにすることができる。
【0018】
以上の検討結果から、波長685nmのLDと、0.6mm厚の基板と、NA=0.6の対物レンズの組み合わせを用いるものとすれば、波長が780nmから685nmに短くなったことと、NAが0.45から0.6と大きくなったこととにより、従来のCDの設計手法の下でも従来のCDフォーマットに比較して約2.3倍の記録密度を達成することができる。すなわち、スポットサイズはλ/NAに比例するので、{(685/0.6)/(780/0.45)}2 より記録密度は約2.3倍に上がる。しかし、前述したようにCDサイズでMPEG2による圧縮動画像情報を2時間分以上記録するのに必要な容量が得られるようにするには、記録密度(容量)を従来のCDフォーマットの約5倍以上に上げる必要があり、これでは不十分である。
【0019】
本発明は、光ディスクのさらなる高密度・大容量化を達成するため、上記と同じビームスポットサイズの下でピット形状を最適化することにより、低クロストーク特性と、再生信号およびプッシュプル信号などの信号レベルを十分に確保しつつ、トラックピッチをさらに小さくできるようにしたものである。以下、本発明によるピット形状について詳しく説明する。
【0020】
図1は、本発明に係る光ディスクにおけるピット形状を説明するための図である。同図に示されるように、ピット10の形状は台形断面のいわゆるサッカースタジアム形で近似している。ピット10の周縁11は下り勾配の傾斜部となっており、底部12はほぼ平坦となっている。13はピット10の光ディスク半径方向(トラック幅方向)の断面、14は光ディスク円周方向(トラック方向)の断面であり、Wmはピット10の上部のトラック幅方向の寸法(以下、上部幅という)、Wiはピット10の底部のトラック幅方向の寸法(以下、底部幅という)、hmはピット10の深さ、Zmはピット10のトラック方向の長さである。
【0021】
図2は、解析に用いた光ディスク装置の再生光学系のモデルであり、再生用光ビームの入射光分布20(V1(x,y))、入射光21、入射光21と反射光26を分離する偏光ビームスプリッタ(またはハーフミラー)22、開口数NAの対物レンズ23、対物レンズ23による光ディスク記録面(ピット面)での集束光(ビームスポット)の分布24(V2(x,y))、複素反射率r2(x,y)を有する光ディスク25、反射光26、光検出器上の反射光26の分布27(V3(x,y))を示している。
【0022】
図3は、再生信号とプッシュプル信号のレベルを計算するための光ディスク上のピット配列を模式的に示す図であり、トラックピッチ(トラック幅方向におけるピットのピッチ)をPtとし、ピットピッチ(トラック方向におけるピットのピッチ)をPmyとしている。30,31は再生用光ビームのビームスポットであり、それぞれピットの中央にあるとき(A)と、ピットとピットの中間にあるとき(B)を示している。再生信号の振幅は、S(A)−S(B)で表される。ただし、S(X)はビームスポットがXの位置にあるときの光検出器の出力信号を表す。また、32,33はピットがある領域(C)とピットがない領域(D)でのプッシュプル信号(分割光検出器のトラック方向に並んだ少なくとも二つの検出領域の出力信号の差信号)を表す。これらのプッシュプル信号は、それぞれ領域C,Dでの平均のp−p値である。
【0023】
図4に、再生用レーザビーム波長685nm、NA=0.6、Zm=0.5μm、Pmy=1μm、Pt=0.72μmとしたときのピットのトラック幅方向の大きさと、ピットの深さhmをパラメータとして、再生信号とプッシュプル信号のレベルを計算した結果を示す。再生用光ビームのトラック幅方向(X)およびトラック方向(Y)におけるビーム充填率A/W(x),A/W(Y)の値は図中に示す通りである。同図に示されるように、再生信号およびプッシュプル信号のレベルは、Wm=0.3μm、Wi=0.2μmの場合を除いてピットの形状に大きくは依存しない。また、再生信号とプッシュプル信号のレベルを同時に最大の値とするようなピットの深さは存在しないが、プッシュプル信号のレベル低下をできるだけ小さくしつつ、最大の再生信号レベルを得ようとすれば、図4からピットの深さはλ/5前後、すなわちλ/4.5〜λ/6の範囲が適当であることが分かる。
【0024】
図5は、再生光学系のMTF(変調伝達関数)と隣接トラック間のクロストークの評価のために用いた光ディスク上のピット配列を模式的に示す図である。同図において50,51は再生用光ビームのビームスポットであり、それぞれピットの中心(A)と、ピットの中心より距離tdだけ離れた位置(B)を通過したときを示している。MTFは、ビームスポットがピットの中心を通過したときに得られる光検出器の出力信号の基本周波数成分のパワーで表される。クロストークは、ビームスポットが位置Bを通過したときに得られる光検出器の出力信号の基本周波数成分のパワーで表される。
【0025】
図6は、トラックピッチPtを0.72μm一定とし、ピット形状つまり上部幅Wm,底部幅Wiを種々変化させた場合のMTFとクロストーク特性の一例を示す図であり、横軸に空間周波数、縦軸にMTFとクロストークをそれぞれとっている。再生用光ビームのトラック幅方向(X)およびトラック方向(Y)におけるビーム充填率A/W(x),A/W(Y)、ピットの深さhmの値は図中に示す通りである。同図に示されるように、MTFはピット形状によって1〜2dB程度の差は生じるが、あまり大きな値ではない。これに対し、クロストークはピット形状によって大きく変化することが分かる。
【0026】
ここで、光ディスク上に記録される情報の変調方式としては、RLL(Run-Length Rimited)方式を採用するものとする。この方式では、最長ピットを検出したときの低周波成分によるクロストークに注意することが必要となる。図6に示したトラックピッチが0.72μmの場合の例では、Wm=0.5になると低周波でのクロストークが急激に大きくなる。
【0027】
なお、図6に示すクロストーク特性はチルトがない場合であるが、実際にはチルトを考慮する必要がある。図7は、チルトを考慮したときのMTFおよびクロストーク特性である。同図に示されるように、チルトを考慮するとMTFはほとんど変化しないが、クロストークは増大し、一層厳しくなることが分かる。
【0028】
光ディスク装置のシステム設計では、光ディスク自体の反りによるチルトとして5mrad、装置に起因するチルトとして3mradを与えるものとすれば、全体で8mrad程度のチルトを許容できるようにする必要がある。図7のシミュレーションによれば、同じ空間周波数に対して±10mradのチルトまでクロストークを実用上要求される−20dB以下の値に抑えることができる。これから、波長685nm、トラックピッチ0.72μmという値は妥当であることが分かる。
【0029】
以上の結果から、トラック幅方向におけるピット形状は、波長685nm、NA=0.6で規格化すると(λ/NA=1.14)、概ね上部幅Wmが(0.3〜0.45)×λ/NA/1.14(μm)、下部幅Wiが(0.2〜0.25)×λ/NA/1.14(μm)の範囲が望ましいことが分かる。すなわち、トラックピッチPtを(0.72〜0.8)×λ/NA/1.14(μm)の範囲に選んで、再生用光ビームのビームスポット径に比較してトラックピッチを小さくした場合、ピットの上部幅Wmと下部幅Wiを上記の範囲に選ぶことにより、実際の光ディスク装置で想定される±10mradのチルトまで、クロストークを−20dB以下の値に抑えることができ、記録密度の飛躍的な向上を達成することが可能となる。この結果、これらのトラックピッチおよびピット形状と、前述した例えば波長685nmのLDと、0.6mm厚の基板と、NA=0.6の対物レンズとの組み合わせにより、CDサイズでMPEG2による圧縮動画像情報を2時間分以上記録するという当初の課題を容易に達成することが可能となる。
【0030】
ところで、上述のトラックピッチPt=(0.72〜0.8)×(λ/NA)/1.14(μm)、ピットの上部幅Wm=(0.3〜0.45)×(λ/NA)/1.14(μm)、ピットの底部幅Wi=(0.2〜0.25)×(λ/NA)/1.14(μm)の条件(以下、この条件の光ディスクを比較例という)は、ディスクの傾斜により発生する収差(光ディスク面に対する再生用光ビームの収差)が波長を基準にして等価であるという条件の下で定められたものである。
【0031】
図10に、ディスクの傾斜により発生する収差を幾つかの波長について計算した結果を示した。横軸が半径方向のディスク傾斜角(mrad)であり、縦軸は発生した収差のrms(root mean square)値を再生用光ビームの波長を単位として示した量である。収差のrms値(Wrmsという)は、ディスク傾斜角にほぼ比例し、波長に反比例する。ディスク傾斜角が20mradより小さい領域では、Wrmsは近似的に
Wrms=3.58×10-3×θ(mrad)/λ(μm)
で与えられる。例えば、再生用光ビームの波長が0.65μmで、ディスク傾斜角が10mradのとき、Wrms=0.0551λとなる。
【0032】
比較例の条件は、再生用光ビームの波長が0.65μm近辺でディスク傾斜角に対して10mradの許容度が与えられるようにする条件として求められたものである。従って、この近辺の波長に対しては、10mradのディスク傾斜角が許容されるものの、より短い波長の再生用光ビームを用いた場合、許容ディスク傾斜角は小さくなる。この関係は、ほぼ
θ(mrad)=15.4×λ(μm)
で与えられる。
【0033】
これを図10で説明すると、再生用光ビームの波長0.65μmの下で10mradのディスク傾斜がある場合、収差のrms値Wrmsは0.0551λとなっている。一方、再生用光ビームの光源として例えばYVO4 とKTPの組み合わせによるSHG(Second Harmonic Generation)材料を用いたレーザ光源を用いる場合、波長は0.532μmとなる。このとき、収差のrms値Wrmsを再生用光ビームの波長0.65μmの下でのWrms=0.0551λと同等に抑えるためには、許容されるディスク傾斜角は8.2mradとなる。また、例えばGaNのようなSHG材料系を用いたレーザ光源のように、再生用光ビームの波長が0.42μmあるいは0.36μmと小さくなると、許容ディスク傾斜角はそれぞれ6.5mrad,5.5mradと更に小さくなる。
【0034】
このように短波長の再生用光ビームを用いて、光ディスクの記録密度を高めようにとすると、それに応じて許容ディスク傾斜角が小さくなるため、光ディスクの形状精度、スピンドルモータやターンテーブルの精度、およびディスクのチャッキング精度などの機械精度に対する要請が厳しくなり、安価な光ディスク装置を提供することが難しくなる。
【0035】
図11は、比較例の条件に従って記録密度を定めた光ディスクに記録されている情報を10mradのディスク傾斜の下で再生した場合のウインドウ占有率と再生用光ビームの波長の関係を示した図である。比較例における各パラメータの典型的な値として、再生用光ビームの波長をλ=0.65μm、対物レンズの開口数をNA=0.6、トラックピッチをPt=0.725μm、ピットの上部幅をWm=0.35μm、ピットの底部幅をWi=0.2μmとし、さらに検出窓幅はd=2の変調符号系の採用を仮定して0.134μm、ピット深さは再生用光ビームの波長λを基板屈折率nで割った値の1/5とした。
【0036】
図11の縦軸のウインドウ占有率は、スカラ回折理論に基づく再生信号の計算を用いて求めたもので、変調符号の制約下で発生する多様なピットパターンによる符号間干渉のほか、隣接トラックからのクロストークについても考慮し、しかも、それぞれの場合に最適な等化回路を用いてジッタの低減を図った場合に達成可能なウインドウ占有率の下限を求めたものである。このような計算はかなり膨大な計算時間を要するものであり、高速のアルゴリズムに基づく計算プログラムを開発して初めて可能になったものである。また、NAが大きいため、光ディスクの基板傾斜に起因する収差の計算においても、通常よく用いられる近似式ではなく、光線追跡に基づくより正確な評価方法を用いている。
【0037】
図11から、再生用光ビームの波長が650nmの近辺ではウインドウ占有率は80%程度と妥当な値であり、比較例による設定は妥当といえるが、波長が例えば550nm(0.5μm)以下の領域ではウインドウ占有率が95%を越えてしまい、誤りのない再生が実質的に不可能になってしまうことが分かる。
【0038】
本発明は、上述した比較例についてさらに改良を加えたものであって、機械精度に対する要請を厳しくすることなく、可能な限り高い記録密度の光ディスク装置を実現しようとするものである。具体的には、本実施形態は許容ディスク傾斜角を例えば10mradと一定に保ったままで、例えば波長が0.5μm以下の再生用光ビームを用いて、高密度の光ディスクの再生を可能とするものである。この場合、各波長において10mradで発生する収差量は大きくなるので、それだけの収差を許容するためには、トラックピッチや検出窓幅のなどの、光ディスクの記録密度を定めるパラメータの値を大きめに設定しておく必要がある。
【0039】
図10によれば、例えば0.532μm,0.42μm,0.36μmと再生用光ビームの波長を小さくしていった場合、10mradのディスク傾斜で発生する収差量はそれぞれ0.0673λ,0.0852λ,0.0994λと、次第に大きくなる。このように大きな収差を許容するということは、再生用光ビームの波長が0.65μmの再生光学系に換算すると、許容ディスク傾斜角をそれぞれ12.2mrad,15.5mrad,18.1mradのように大きな値にすることに対応する。この換算は、上述した収差量とディスク傾斜角の許容値との比例関係に基づいて、
θeq(mrad)=6.5/λ(μm)
のように表される。ただし、θeqは、それぞれの波長で10mradのディスク傾斜がある場合に発生する収差と等価な収差が波長0.65μmの再生用光ビームを用いた再生光学系において発生する角度を表わし、この角度θeqは再生用光ビームの波長に反比例して増大する。
【0040】
このように大きなディスク傾斜角を許容するには、トラックピッチや検出窓幅のなどの光ディスクの記録密度を定めるパラメータの値、特にトラックピッチを(λ/NA)に比例して設定するよりも、大きく設定する必要がある。
【0041】
図12は、ディスク傾斜角とウインドウ占有率の関係を示した図である。図12において、図11に示した比較例と同じ条件の場合のディスク傾斜角とウインドウ占有率の関係は、1.0倍の曲線になる。1.1倍および1.2倍の曲線はトラックピッチPt、ピットの上部幅Wm、ピットの底部幅Wiおよび検出窓幅を全て1.1倍および1.2倍に拡大した場合の曲線であり、記録密度はそれぞれ1/1.12 および1/1.22 に低下するが、その代わり許容ディスク傾斜角は増大していることが分かる。なお、図12の縦軸のウインドウ占有率の計算は、図11の計算と同様のモデルに基づいている。
【0042】
図13は、ウインドウ占有率80%を基準として、許容ディスク傾斜角に対して必要な係数をプロットした図であり、図12から導かれるものである。
以上をまとめると、再生用光源に短波長光源を用いる場合の設計手順は次のようになる。
【0043】
まず、図10を参照して再生用光ビームの波長0.65μmでディスク傾斜角10mrad程度の場合に相当する収差以下に収差が収まるように、許容ディスク傾斜角を小さく設定することが可能かどうかを判断する。これが可能ならば比較例に従ってパラメータを定めてよい。しかしながら、許容ディスク傾斜角をそれほど小さく設定できない場合は、同じく図10で使用する再生用光ビームの波長と許容する必要のあるディスク傾斜から許容すべき収差量の値を読み取り、波長が0.65μmの再生光学系でその収差量となる角度を「0.65μmの再生光学系に換算された許容ディスク傾斜角」と考える。そして、図13からその許容ディスク傾斜角を実現するのに必要な係数を読み取る。最後に、比較例に従って設定する場合の各パラメータ値にその係数を乗じて設定することで、短波長でも実用的な許容ディスク傾斜角を確保することのできるディスクを実現することができる。
【0044】
なお、上述の説明では光ディスクの基板の厚さを0.6mmとしたが、収差は基板の厚さに比例するので、他の厚さの基板の場合には比例計算によりパラメータを定めればよい。例えば基板厚が0.4mmの場合、収差の値は図10の2/3倍となるので、そのように読み替えてよい。すなわち、先に収差量が再生用光ビームの波長に反比例することを述べたが、これを用いれば基板厚がr倍になることは、収差量の観点から波長が1/rになることに相当するので、そのように換算すれば上記の設定手順で同様に係数を定めることが可能である。
【0045】
基板厚を600(μm)、再生用光ビームの波長をλ(μm)とした場合、
θeq(mrad)=6.5/λ(μm)
であったが、基板厚の変化が再生用光ビームの波長変化に換算できることを考慮すると、基板厚がd(μm)、再生用光ビームの波長がλ(μm)の場合、
となる。この関係に従って、図12のグラフの上部ではd/λで横軸の目盛りを振っている。図13の作成は波長0.65μmの具体例での計算に基づいているが、上記議論により、図13の上部の目盛りを用いれば、波長0.65μmの系を媒介とした換算を意識せず、実際に使用する基板厚と再生用光ビームの波長との比を計算して、必要な係数を読み取ればよい。
【0046】
さらに、前述したように収差は傾斜角にほぼ比例するため、許容ディスク傾斜角θA (mrad)を10mrad以外の値に拡張することも容易である。すなわち、θeqをθA に比例させて設定すればよい。従って、先の式は
とすればよい。
【0047】
なお、図13のグラフの曲線は、設計等の応用に便利な近似的な数式で表わすと、次のようになる。すなわち、横軸を650nmに換算した許容ディスク傾斜角θeq(mrad)、縦軸をトラックピッチ、ピットの上部幅及び底部幅等の寸法に対して乗じる係数αとすると、
α=0.002236×θeq 2 −0.01575×θeq+0.9341
となる。また、基板厚d、波長λを用いると、先のθeqとd/λとの関係式を用いて、
α=2.623×10-7×(d/λ)2 −1.706×10-4×(d/λ)+0.9341
のように表すことができる。この式によれば、基板厚と再生用光ビームの波長の双方を変化させた場合の最適な係数を、基板厚と波長の関数として求めることができる。さらに、許容ディスク傾斜角をθA (mrad)とした場合の式は、α=2.623×10-9×(θA d/λ)2 −1.706×10-5×(θA d/λ)+0.9341
のように表すことができる。この式によれば、基板厚と再生用光ビームの波長と許容ディスク傾斜角の全てを変化させた場合の最適な係数を、基板厚と波長と許容ディスク傾斜角の関数として求めることができる。
【0048】
図14は、NAが0.6、基板厚が600μmの場合に許容ディスク傾斜角を10mradと固定した時のトラックピッチの最適範囲を示した図である。図でAは比較例の範囲であり、Bが本実施形態によるトラックピッチの範囲である。基板傾斜角を再生用光ビームの波長に応じて精度よく確保できない場合は、本発明に従った設定をする必要がある。このようにトラックピッチを設定することにより、図14に示されるように再生用光ビームの波長が0.55μm以下の場合でも許容ディスク傾斜角を10mradにして、ウインドウ占有率を80%以下に抑えることが可能となる。
【0049】
なお、上述ではトラックピッチPtの最適範囲について説明したが、ピットの上部幅Wmおよび底部幅Wiについても、比較例の範囲に対してトラックピッチPtに対する係数αと同じ係数を乗じることによって、より好ましい範囲が実現される。すなわち、ピットの上部幅Wmおよび底部幅Wiに対しても係数αを乗じることによって、αを乗じない場合と比較して再生信号のレベルが高くなり、それだけウインドウマージン、特にディスク傾斜に対するマージンが確保されることになる。
【0050】
次に、図15を用いて本実施形態に係る光ディスクの構造について説明する。図15(a)(b)は、両面貼り合わせ構造の光ディスク100の斜視図と断面図であり、エンボスピットを有するポリカーボネイトやアクリルなどの透光性の樹脂からなる透明基板101,102の一方の面に、アルミニウムなどの反射膜103,104が被着され、これらの上に保護膜105,106が形成されている。透明基板101,102の厚さは、0.6mmである。そして、透明基板101,102を保護膜105,106側を対向させて、熱硬化型の接着剤からなる数10μm厚の接着層107により貼り合わせている。光ディスク100の中央にはクランピングのための穴108が開けられており、その周囲にクランピングゾーン109が設けられている。そして、図示しないLDから出射され再生光学系を経て入射する再生用光ビーム110は、対物レンズ111を介して光ディスク100に透明基板101,102側から入射し、反射膜103,104上に微小なビームスポットとして集束される。
【0051】
図16に、上述した光ディスク100を用いて圧縮動画像情報の再生を行う光ディスク装置の実施形態を示す。図16において、光ディスク100は、0.6mm厚という薄い基板101,102を用いていることから、1.2mm厚の基板を用いいるCDに比較して表面に付着したゴミや汚れに弱くなるため、カートリッジ200に収容されている。光ディスク100をカートリッジ200に収容することにより、CDのようにディスクの持ち方や、ゴミ、指紋などに気を使わなくて済むようになるし、ハンドリング、持ち運びの面でも有利となる。CDのようにディスクが露出している場合は、傷などの不測の事態も考えてエラー訂正能力を決める必要があるが、カートリッジ200を用いればそのような考慮は不要である。従って、録再型の光ディスクで用いているようなセクタ単位で、LDCリードソロモンエラー訂正方式を用いることができる。これにより、例えば2k〜4kバイト単位で光ディスクのフォーマッティングを行った場合、CDに比べ10%以上、記録効率をアップすることができる。
【0052】
光ディスク100に記録する情報の変調方式として、前述したように4/9変調方式を用い、光ディスク100上のトラックピッチを0.72μm、ピットピッチを0.96μmとすれば、従来のCDフォーマットに比較してピットの密度比で3.84倍、変調方式で20%、フォーマット効率で10%のアップが期待されるから、トータルで約5.1倍の容量アップが望めることになる。前述のように、映画などの動画像情報をS−VHS並みの高画質で再生する場合、音声も含めて4.5Mbpsのレートとなるので、2時間の再生に必要な容量は4Gバイトである。上述した5.1倍の容量アップにより、この4Gバイトという容量をディスク片面で実現できることになる。さらに、図15に示したように光ディスクを両面化すれば、一枚の光ディスクで最大4時間の記録が可能となる。
【0053】
図16に説明を戻すと、光ディスク100はテーパコーン220にチャッキングされ、スピンドルモータ201により回転される。スピンドルモータ201はスピンドルモータ駆動回路202により駆動される。一方、再生光学系は次のように構成される。
【0054】
光ディスク100に対向して対物レンズ203が配置されており、この対物レンズ203はフォーカスコイル204により光軸方向に、またトラッキングコイル205によりトラック幅方向に移動可能となっている。LDドライバ206により駆動されるLD(半導体レーザ)207の発振波長は685nmであり、このLD207から出射される光ビームはコリメートレンズ208で平行光束とされた後、偏光ビームスプリッタ209に入射する。LD207から出射される光ビームは一般に楕円のファーフィールドパターンを有しているので、円形のパターンが必要な場合はコリメートレンズ208の後にビーム整形プリズムを配置すればよい。偏光ビームスプリッタ209を通過した光ビームは対物レンズ203により絞られ、光ディスク100に入射する。
【0055】
光ディスク100の反射膜で反射された光は、対物レンズ203を入射光ビームと逆方向に戻り、偏光ビームスプリッタ209で反射され、集光レンズ210およびシリンドリカルレンズ211などの検出光学系を経て光検出器212に入射する。光検出器212は例えば4分割光検出器であり、その4つの検出出力はアンプと加減算器を含むアンプアレー213に入力され、ここでフォーカス誤差信号、トラッキング誤差信号および再生信号が生成される。なお、トラッキング誤差信号は、例えばプッシュプル法と呼ばれる手法により、前述したプッシュプル信号として得られる。フォーカス誤差信号およびトラッキング誤差信号は、サーボコントローラ214を経由してフォーカスコイル204およびトラッキングコイル205にそれぞれ供給される。これにより、対物レンズ203が光軸方向およびトラック幅方向に移動され、光ディスク100の記録面である反射膜の表面に対する光ビームのフォーカシングと、目標トラックに対するトラッキングが行われる。
【0056】
アンプアレー213からの再生信号は信号処理回路215に入力され、ここで2値化された後、データパルスの検出が行われる。検出されたデータパルスはディスクコントローラ216に入力され、フォーマットの解読、エラー訂正などが行われた後、動画像情報のビットストリームとしてMPEG2デコーダ/コントローラ217に入力される。光ディスク100には、MPEG2の規格に従って動画像情報を圧縮(符号化)したデータが記録されている。そこで、MPEG2デコーダ/コントローラ217は入力されたビットストリームを伸長(復号化)して、元の動画像情報を再生する。再生された動画像情報はビデオ信号発生回路218に入力され、ブランキング信号などが付加されて所定のテレビジョンフォーマットのビデオ信号となる。
【0057】
なお、本実施形態では光ディスクとして両面貼り合わせ構造の光ディスクを示したが、例えば2層の記録層をディスクの片面から読み取り可能に形成した光ディスクにも本発明を適用することができる。
【0058】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明による光ディスクは、トラックピッチを再生用光ビームのスポット径より小さな値に設定しつつ、隣接トラックのクロストークを実用上要求されるレベルまで低減できるような最適なピット形状を有するため、従来のCDに比較してトラック密度を約1.5倍も高めることができ、また再生信号やトラッキングに用いられるプッシュプル信号のレベルも十分に確保することができる。
【0059】
また、本発明によれば特に、比較例で示した光ディスクの記録密度を決定するパラメータであるトラックピッチPtの範囲に係数αを乗じ、さらに好ましくはピットの上部幅Wmおよび下部幅Wiの範囲に対しても係数αを乗じることによって、システム上要請されるウインドウ占有率を実現できる許容ディスク傾斜角(チルト)を大きくとることが可能となり、光ディスクの形状精度、スピンドルモータやターンテーブルの精度、およびディスクのチャッキング精度といった光ディスク装置各部の機械精度に対する要求を厳しくすることなく、光ディスクの記録密度を飛躍的に高めることができる。
【0060】
この結果、本発明によれば前述した実施形態に示されるように例えばCDサイズでも従来のCDの約5倍の容量を実現することができ、音声も含めて4Mbpsに圧縮した高画質VTR並みの品質の動画像情報を2時間分以上蓄えることも可能となり、その実用的効果は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る光ディスクのピット形状を説明するための模式図
【図2】光ディスク装置における再生光学系の概略を示す模式図
【図3】光ディスクから検出される再生信号およびプッシュプル信号レベルを計算するための光ディスク上のピット配列を示す模式図
【図4】ピットのトラック幅方向の大きさとピットの深さをパラメータとして再生信号とプッシュプル信号のレベルを計算した結果を示す図
【図5】再生光学系のMTFと隣接トラック間のクロストークの評価のために用いた光ディスク上のピット配列を示す模式図
【図6】再生光学系のMTFと隣接トラック間のクロストーク特性のピット形状依存性を示す図
【図7】再生光学系のMTFと隣接トラック間のクロストーク特性のチルト依存性を示す図
【図8】基板厚1.2mmの光ディスクを用いた場合の対物レンズのNAによるチルト依存性を示す図
【図9】基板厚0.6mmの光ディスクを用いた場合の対物レンズのNAによるチルト依存性を示す図
【図10】光ディスクの傾斜により発生する収差を再生用光ビームの波長をパラメータとして示した図
【図11】比較例に係る光ディスクを10mradのディスク傾斜の下で再生した場合のウインドウ占有率と再生用光ビームの波長の関係を示す図
【図12】ディスク傾斜角とウインドウ占有率の関係を示す図
【図13】ウインドウ占有率80%を基準として許容ディスク傾斜角に対して必要な係数をプロットして示す図
【図14】比較例および本実施形態に係る光ディスクにおけるトラックピッチの最適範囲を再生用光ビームの波長に対して示す図
【図15】本発明の一実施形態に係る光ディスクの構造を示す斜視図および断面図
【図16】本発明の一実施形態に係る光ディスク装置の構成を示すブロック図
【符号の説明】
10…ピット
11…ピット周縁
12…ピット底部
Wm…ピット上部幅
Wi…ピット下部幅
Zm…ピット長
hm…ピット深さ
Claims (1)
- 基板上に情報が所定のトラックピッチでピットの列として記録され、対物レンズを介して光ビームが照射されることにより情報の再生が行われる光ディスクにおいて、
前記光ビームの波長をλ(μm)、前記対物レンズの開口数をNA、前記光ディスクの厚さをd(μm)とし、かつα=2.623×10-7×(d/λ)2 −1.706×10-4×(d/λ)+0.9341なる係数αを定めたとき、前記トラックピッチがα×(0.72〜0.8)×(λ/NA)/1.14(μm)、前記ピットの上部幅がα×(0.3〜0.45)×(λ/NA)/1.14(μm)、該ピットの底部幅がα×(0.2〜0.25)×(λ/NA)/1.14(μm)の範囲に設定され、前記トラックピッチ、前記ピットの上部幅および下部幅は、前記光ビームの波長λを0.55(μm)以下として設定されていることを特徴とする光ディスク。
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