JPH0980512A - 像振れ補正装置 - Google Patents

像振れ補正装置

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JPH0980512A
JPH0980512A JP7262203A JP26220395A JPH0980512A JP H0980512 A JPH0980512 A JP H0980512A JP 7262203 A JP7262203 A JP 7262203A JP 26220395 A JP26220395 A JP 26220395A JP H0980512 A JPH0980512 A JP H0980512A
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optical system
correction
correction optical
shake
correction lens
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JP7262203A
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Inventor
Sueyuki Ooishi
末之 大石
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Nikon Corp
Original Assignee
Nikon Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来技術による振れ補正付きカメラに於いて
は、露光時の振れ補正制御中に行われるシャッタ制御、
及び、ストロボ発光による電気的ノイズにより補正レン
ズ位置検出回路の出力にノイズが乗り、振れ補正精度に
影響が生じていた。 【解決手段】 シャッタ制御時、及び、ストロボ発光時
は、補正レンズ位置情報を用いず、オープン制御で振れ
補正制御を行った。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、カメラ等の撮像装
置あるいは双眼鏡等に於ける像振れを防止する像振れ補
正装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の振れ補正装置は、撮像
面、或いは、フィルム面上の像振れを防止するために、
手振れを検出し、検出された振れ量に応じて像面での振
れを補正する機構を有していた。手振れ検出機構は、カ
メラでは、手振れによる角速度を検出する機構、ビデオ
ムービー等では、画像から像振れ量を検出する機構を用
いるものが知られている。補正機構は、検出された振れ
量に応じて、撮影レンズの一部のレンズ(以下補正レン
ズと呼ぶ)を撮影光軸に直交し、かつ、互いに直交する
2方向(その内の1方向をヨーイング方向、他方向をピ
ッチング方向とする)にシフト移動し、像面での振れを
補正する機構が知られている。
【0003】補正レンズの機構は、以下の方式が知られ
ている。特開平2−66535号公報によれば、補正レ
ンズは、4本の支持棒が光軸と平行となるように配置さ
れ、一端はレンズ他端はカメラ本体の部材に取り付けら
れている。図57は、その例を模式的に示した断面図で
ある。この補正レンズの機構の補正レンズ30は、レン
ズ保持部材30aに保持され、この保持部材30aが4
本の支持棒31に支持され、4本の支持棒31は、弾性
的に撓むことのでき、カメラ本体の部材に片持式に支持
される((a)の状態)。したがって、補正レンズ30
は、支持棒31が撓むことにより、(b)に示すように、
光軸(紙面左右方向)に直交する方向に動くことができ
る。
【0004】また、特開平4−301822号公報は別
の方式を開示しており、図58に模式的に示す。この部
手振れの方式は、補正レンズ30のレンズ保持部材30
aに取り付けられた滑り軸が、カメラ本体の部材に対し
て直線的にスライドするように構成されている。したが
って、この滑り軸の方向に補正レンズ30が移動する。
また、滑り軸には、カメラ本体の軸受けを挟むように配
置された2つのコイルバネ32により弾性的に中立位置
付近に保持される。このような構成の補正レンズ機構が
このシフト方向と直交する方向にもう一組構成され、光
軸に直交する平面上を所定の可動範囲内で任意に移動が
可能となる。
【0005】補正レンズ30を駆動する手段は、以下の
構成をとるムービングコイル型のアクチュエータが知ら
れている。図57,58に示す、補正レンズ30の保持
部材30aは、ヨーイング方向用、ピッチング方向用に
それぞれの駆動用コイルが取り付けられ、一方、カメラ
本体(又は撮影レンズ)側の支持部は、このコイルに対
応してマグネットが取り付けられ、一種の電磁アクチュ
エータを構成する。ヨーイング方向、及び、ピッチング
方向用のコイルに電流を流すことにより電磁力を発生
し、補正レンズ30はそれぞれの方向に可動される。
【0006】次に、補正レンズ30の位置検出方法は、
以下の光学的位置検出方式が知られている。例えば、図
58に示すように、補正レンズ30の保持部材30aに
はスリット部材33が取り付けられていて、一方、カメ
ラ本体側には発光ダイオード34と、スリット部材33
を挟んで逆側に位置検出素子としての一次元のSPD3
5が取り付けられている。発光ダイオード34から投光
された光はスリット部材33のスリットを通過し、PS
D35に入射する。PSD35からの出力を後述の処理
回路により入射光の重心位置が算出され、入射光の重心
位置は補正レンズ30の位置により変化するから、つま
りは、補正レンズ位置30の位置が検出される。このよ
うに構成される位置検出部は、ヨーイング方向、及び、
ピッチング方向に設けられ、ヨーイング方向、及び、ピ
ッチング方向の補正レンズ位置をが検出する。
【0007】一般的に、一次元PSDに入射した光の重
心位置は、一次元PSDの2つの出力電流I1、I2から
算出でき、具体的には(I1−I2)/(I1+I2)の演
算値に一意的に決まることが知られている。同様に補正
レンズ30の位置はPSD35の2つの端子からの出力
電流I1、I2から算出される。PSD35からの出力か
ら補正レンズ30の位置を検出する回路は、図59のよ
うな回路構成を行うのがごく一般的である。演算増幅器
OP31、抵抗器R31、R32、及び、演算増幅器O
P32、抵抗器R33、R34で構成される部分により
位置検出素子PSD35からの出力電流I1,I2をそれ
ぞれ電流から電圧(それぞれ電圧V1、及び、電圧V2に
相当する)に変換する。次に、演算増幅器OP33、抵
抗器R35、R36、R37、R38及び、演算増幅器
OP34、抵抗器R39、R40、R41、R42で構
成される部分により電圧変換されたI1、I2出力から、
それぞれ(I1−I2)、及び、(I1+I2)に比例した
電圧(それぞれ電圧V3、電圧V4に相当する)を出力
する為の減算器、及び、加算器が構成される。こうして
得られた(I1−I2)、及び、(I1+I2)に比例した
出力は割り算器DIV1に入力され、(I1−I2)/
(I1+I2)に比例した電圧が出力(V5に相当する)
される。このようにして得られた(I1−I2)/(I1
+I2)に比例した出力V5は発光ダイオード34から
スリット部材33のスリットを通過した光の重心位置
を、つまりは補正レンズ2の位置を示している。
【0008】また、発光ダイオード34は、公知の技術
を用いて発光部駆動回路36により定電圧、或いは、定
電流で駆動される。次に、振れ補正制御には、これらの
弾性的に支持された補正レンズ2を用いた振れ補正制御
の例として、特開平4−301822号公報に開示され
た方式等が知られている。この方式は、振れ検出回路か
ら出力された振れ情報から適正に振れ補正を行う為、補
正レンズ目標位置を算出し、この補正レンズ目標位置と
前述のような回路により求められた実際の振れ補正レン
ズ位置とから、アナログハードウエアを用いたサーボ回
路により前述電磁アクチュエータを構成するコイルの電
流を制御することで像面での振れを抑えるように制御を
行っていた。
【0009】また、従来、こうした振れ補正機能を有す
るカメラを設計する思想として、振れ補正機能を付加し
たカメラは、一般的な低価格コンパクトカメラではでは
なく、ユーザもそれ相当の振れ補正機能以外の機能の充
実を期待してカメラを購入されるであろうから、例え
ば、測距性能、測光性能についても重要視して設計を行
う必要がある。測距機能は、例えば多点測距タイプのも
の、測光機能は、多分割タイプのものを使用し、そこか
ら得られる多点測距値からフォーカシング量を算出する
アルゴリズム、多分割測光値から露出量を算出するアル
ゴリズムについてもいっそうの性能充実をはからなけれ
ばならない。その一例としてカメラの姿勢差を検出す
る、例えば、縦横位置センサ等を用いてユーザがカメラ
を縦に構えたか、横に構えたかをのカメラ姿勢を検出
し、前述アルゴリズムにフィードバックをかける等の技
術が提案されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、こうし
た従来の像振れ補正装置では以下の問題が発生する。露
光中の補正レンズ位置検出回路からの電磁気ノイズの問
題である。露光中の振れ補正制御に於いては、シャッタ
制御と振れ補正制御を同時に行わなければならない。例
えば、コンパクトカメラではシャッタのアクチュエータ
にステッピングモータが多くの場合使用され、ステッピ
ングモータは瞬間的に大きな電流で通電され電磁気ノイ
ズが発生する。加えて、ストロボ撮影を行う場合には、
その発光時にストロボ発光部に瞬時に200〜300A
程度も流れるものがあり、これにより誘発される電磁ノ
イズが発生する。一方、PSD処理回路は、特に、電流
−電圧変換回路は微妙な電流を扱っている為、こういっ
た電磁気的ノイズに非常に弱い。この為、露光中、特に
シャッタ駆動中、或いは、ストロボ発光時に補正レンズ
位置検出回路からの出力にノイズが混入し、思うように
振れ補正精度が得られなかった。
【0011】本発明の課題は、これらの問題を極力除去
し、より精度の良い振れ補正装置を、しかも、安価に市
場に提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明による像振れ補正
機能付きカメラは、カメラの振れにより生じる像振れを
補正するように動く振れ補正光学系と、発光部と光学的
位置検出素子を用いた受光部とで構成された、前記振れ
補正光学系の位置の変位を光学的に検出する振れ補正光
学系変位検出手段と、撮像面の露光を制御するシャッタ
と、前記補正光学系を移動させるアクチュエータと、前
記補正光学系を移動させるべく前記アクチュエータを駆
動する補正光学系駆動手段と、前記像振れ補正装置に生
じた振れを検出し、前記振れを適正に補正する為の補正
光学系目標位置を算出する補正光学系目標位置算出手段
と、少なくとも前記補正光学系変位検出手段の出力とか
らの補正光学系位置と前記補正光学系目標位置算出手段
からの補正光学系目標位置をとから前記補正光学系駆動
手段への駆動量を算出するクローズド制御手段と、前記
補正光学系目標位置算出手段からの補正光学系目標位置
から前記補正光学系駆動手段への駆動量を算出するオー
プン制御手段とを有し、前記シャッタによる撮像面への
露光が開始される少なくとも前から、前記シャッタによ
る撮像面への露光が終了するまでの時間を前記クローズ
ド制御手段、或いは、オープン制御手段により振れ補正
制御を行い、少なくとも前記シャッタの動作中は前記オ
ープン制御により振れ補正制御を行うようにした。
【0013】また、カメラの振れにより生じる像振れを
補正するように動く振れ補正光学系と、発光部と光学的
位置検出素子を用いた受光部とで構成された、前記振れ
補正光学系の位置の変位を光学的に検出する振れ補正光
学系変位検出手段と、撮像面の露光を制御すべく先幕、
及び、後幕から構成されるフォーカルプレーン型のシャ
ッタと、前記補正光学系を移動させるアクチュエータ
と、前記補正光学系を移動させるべく前記アクチュエー
タを駆動する補正光学系駆動手段と、前記像振れ補正装
置に生じた振れを検出し、前記振れを適正に補正する為
の補正光学系目標位置を算出する補正光学系目標位置算
出手段と、少なくとも前記補正光学系変位検出手段の出
力とからの補正光学系位置と前記補正光学系目標位置算
出手段からの補正光学系目標位置をとから前記補正光学
系駆動手段への駆動量を算出するクローズド制御手段
と、前記補正光学系目標位置算出手段からの補正光学系
目標位置から前記補正光学系駆動手段への駆動量を算出
するオープン制御手段とを有し、前記シャッタによる撮
像面への露光が開始される少なくとも前から、前記シャ
ッタによる撮像面への露光が終了するまでの時間を前記
クローズド制御手段、或いは、オープン制御手段により
振れ補正制御を行い、少なくとも前記先幕、或いは、後
幕が作動してから所定時間は前記オープン制御により振
れ補正制御を行うようにした。
【0014】また、カメラの振れにより生じる像振れを
補正するように動く振れ補正光学系と、発光部と光学的
位置検出素子を用いた受光部とで構成された、前記振れ
補正光学系の位置の変位を光学的に検出する振れ補正光
学系変位検出手段と、被写体の輝度を補うべく使用され
る閃光放電装置と、前記補正光学系を移動させるアクチ
ュエータと、前記補正光学系を移動させるべく前記アク
チュエータを駆動する補正光学系駆動手段と、前記像振
れ補正装置に生じた振れを検出し、前記振れを適正に補
正する為の補正光学系目標位置を算出する補正光学系目
標位置算出手段と、少なくとも前記補正光学系変位検出
手段の出力とからの補正光学系位置と前記補正光学系目
標位置算出手段からの補正光学系目標位置をとから前記
補正光学系駆動手段への駆動量を算出しするクローズド
制御手段と、前記補正光学系目標位置算出手段からの補
正光学系目標位置から前記補正光学系駆動手段への駆動
量を算出するオープン制御手段とを有し、少なくとも前
記閃光放電装置の発光から所定時間は、前記オープン制
御により振れ補正制御を行うようにした。
【0015】
【発明の実施の形態】まず、図面を用いて、本実施の形
態のカメラの構成を説明する。図1は、本発明の実施の
形態の全体ブロック構成を示す。レンズ2は、通常複数
で構成される撮影光学系の一部を構成するレンズ、或い
は、レンズ群であり、この撮影光学系は、カメラ本体1
00に対し交換可能な撮影レンズの鏡筒200内に配置
される。ブレ補正機構は、このレンズ2を光軸Oに対し
ほぼ直交する平面上をシフトさせることで像面での振れ
を補正する。以下レンズ2は補正レンズと称す(撮影光
学系は、補正レンズ2以外は不図示)。補正レンズ2は
以下説明する補正レンズ機構により撮影光軸Oに対して
ほぼ直交する所定の方向(以下ヨーイング方向と称す)
と、撮影光軸に対してほぼ直交し、かつ、ヨーイング方
向に直交する所定の方向(以下ピッチング方向と称す)
の2方向にシフトする。
【0016】図2は、補正レンズ2をヨーイング方向に
シフトするように駆動する駆動機構7Y、7P、及び、
補正レンズ2の位置検出機構5Y、5Pの構成を模式的
に示した図である。補正レンズ2は、レンズ保持部材2
aに保持され、保持部材2aは、バネ15Y及び16Y
により鏡筒部材200に対して位置的にほぼ所定の位置
に弾性的に、すなわち移動可能に支持されている。保持
部材2aは、筒状に形成され、その外側にはコイル11
Yが取り付けられている。一方、鏡筒部材200には、
2極に分極着磁されたマグネット12Yと鉄等の透磁率
の高い素材で作られたヨーク13Y、14Yとが取り付
けられ、図2に示すように、コイル11Yを取り囲むよ
うに配置され、これらは、一種の電磁的アクチュエータ
を構成する。これらの機構は、コイル11Yに電流を流
すと電磁気的な力を発生し、補正レンズ2の部材は光軸
Oにほぼ直交するヨーイング方向に移動する。
【0017】補正レンズ2の移動可動範囲は、メカ的な
制限により予め所定範囲に設定され、この範囲を越えて
は移動しない。また、保持部材2aには、外側でかつ補
正レンズ2を挟んでコイル11Yと対向する位置に、ス
リット部材17Yが取り付けられ、スリット部材17は
保持部材2aとともに移動する。対する鏡筒部材200
側には、発光ダイオードLED1と、位置検出素子とし
ての一次元のPSD(position sensitive light detec
tor)1が取り付けられている。制御部(MPU)1
は、LED1から光の内スリット部材17Yを通過した
光の重心位置をPSD1から出力により検出し、補正レ
ンズ2の位置を検出する。
【0018】ピッチング方向の補正レンズ駆動機構、及
び、補正レンズ2の位置検出機構も前述したヨーイング
方向の機構と同様の構成で構成されている。また、これ
らの補正レンズ2の保持機構、及び、駆動機構は、図5
7、図58で示される従来の機構を用いても構わない。
次に、制御部1は、振れ補正制御、及び、シャッタ制御
等を含むカメラ全体の制御を行う制御部であり、例え
ば、ワンチップマイクロコンピュータ等が使用される。
以下制御部1をMPU1と称す。補正レンズ駆動機構7
Y、7Pは、それぞれ前述のヨーイング方向用のコイル
11Y、及び、ピッチング方向用のコイル11P(不図
示)に駆動する電流を制御し、補正レンズ2をヨーイン
グ方向、及びピッチング方向に駆動する機構である。M
PU1は、ヨーイング方向、及び、ピッチング方向の補
正レンズ駆動機構7Y、7Pを制御して所定の可動範囲
の任意の位置に補正レンズ2を駆動する。シャッタ3
は、撮影光学系を通過した被写体からの光束のフィルム
面への露光を制御する。シャッタ3は、通常閉じた状態
にあり、ユーザーがレリーズ釦を操作してレリーズ動作
を行った場合等の必要なタイミングに、MPU1の制御
によりシャッタ駆動回路6を通じて必要な量、必要な時
間解放し、所定時間後、閉鎖することで、フィルム面へ
の露光の動作が行われる。
【0019】位置検出機構5Y、5Pは、それぞれヨー
イング方向、ピッチング方向の補正レンズ2の位置を検
出する機構であり、MPU1は、この機構からの出力信
号をモニタし、補正レンズ2の位置を認識する。振れ検
出機構4Y、4Pは、それぞれヨーイング方向、ピッチ
ング方向のカメラに生じた振れを検出し、MPU1へ出
力する機構である。
【0020】また、MPU1は、カメラ本体100に配
置された、ユーザーが操作するスイッチとしてのMS
W,SW1,SW2が接続されている。MSWは、メイ
ンスイッチであり、オン状態ではMPU1にカメラの主
要な動作を許可する。逆にオフ状態では、カメラの主要
な動作を禁止する。SW1は、ユーザーのカメラのレリ
ーズ釦の半押し操作でオンする半押しスイッチであり、
メインスイッチMSWがオン状態でこの半押しスイッチ
SW1がオンされると、MPU1は撮影準備のための主
な動作、例えば、測距動作、測光動作等を行う。SW2
は、ユーザーのカメラのレリーズ釦の全押し操作でオン
するレリーズ(全押し)スイッチであり、メインスイッ
チMSWがオン状態で、このレリーズスイッチSW2が
オンされると、MPU1は、撮影動作、例えば、シャッ
タ駆動機構6を動作させ、シャッタを必要な量、必要な
時間解放、閉鎖させる。
【0021】測距機構21は、多点測距タイプであり、
撮影画角内を複数の領域に分割して測距し、検出結果を
MPU1に出力する機構である。測光機構22は、多分
割タイプであり、撮影画角内の被写体輝度を複数の領域
に分割して測光し、検出結果をMPU1に出力する。ス
トロボ機構23は、閃光放電装置であり、公知の技術に
より公知のタイミングで充電し、MPU1からの発光信
号で発光する。EEPROM24は、不揮発性メモリで
あり、振れ補正関連の調整値、或いは、その他のカメラ
に関する調整値等が書き込まれている。
【0022】その他、このカメラシステムには、前述の
機構やMPU1等を動作させる為の電源、或いは、スイ
ッチ類、その他電気的な機構等が組み込まれているが、
本発明には関係が薄いものは省略する。また、MPU1
は、振れ補正検出機構4Y、4P、補正レンズ位置検出
機構5Y、5P等のアナログ出力をディジタル値に変換
するA/D変換機能をその内部に有するものとする。逆
に、MPU1内部で使用されているディジタル値をアナ
ログに変換するD/A変換機能もMPU1内部に有し、
例えば、補正レンズ駆動機構7Y、7Pをアナログ的に
制御できる。
【0023】以下、本発明の実施の形態の各機構の具体
的形態を、動作を中心に説明する。なお、前述したよう
に振れ補正に関する機構は、ヨーイング方向用、及び、
ピッチング方向用にそれぞれ2組必要であるが、ほぼ同
等の機構構成、及び、同等の動作で行うものであり、以
下の機構、動作の説明は、基本的にヨーイング方向のみ
とする。
【0024】次に、補正レンズ2の位置を検出する位置
検出機構の動作を説明する。一般的に位置検出素子とし
て、一次元PSD(position sensitive light detecto
r)が知られている。本実施の形態でも、補正レンズ2
の位置検出に一次元のPSDを用いており、その具体例
を説明する。ヨーイング方向のスリット部材17Yは、
補正レンズ2のヨーイング方向の位置変化ともに移動
し、発光ダイオードLED1から投光された光がスリッ
ト17Yを通過して一次元PSD1に入射する。MPU
1は、スリット光の重心位置をこのPSD1からの2つ
の出力電流I1,I2の比率から、補正レンズ2のヨーイ
ング方向の位置をが算出する。以下、算出式について説
明する。
【0025】今、PSD1の全長をL、PSD1の中央
位置を座標ゼロとしてスリット光の重心位置、若しく
は、補正レンズ位置LRYをxとすると、理想的には数
1の関係式が成り立つ。
【0026】
【数1】2X/L=( I1-I2)/(I1+I2) 説明の簡略化する為、以下、各寸法に具体値にあてはめ
て説明する。但し、本発明は説明する条件を満たしてい
れば、これらの値に限定されないことは言うまでもな
い。
【0027】図3に示すように、PSDの有効全長Lを
4.0[mm]、補正レンズ2のヨーイング方向、ピッ
チング方向の可動範囲を±1.0[mm」とし、補正レ
ンズ2の位置がこの可動範囲の中央でPDS1のほぼ中
央付近に前述のスリットからの光が入射する。図4
(a)、(b)は、以上の条件に於ける補正レンズ2のヨーイ
ング方向の位置とPSD1の出力I1、I2、及び、数1
の関係を示す。また、ピッチング方向の補正レンズ位置
も同様な部材構成により検出される。
【0028】図5は、ヨーイング方向の補正レンズ駆動
機構7Yの実施の形態を示す。ヨーイング方向のコイル
11Yは、パワー演算増幅器OP4により駆動され、M
PU1からの出力電圧VoutYに対してほぼリニアな
電圧が印加される。図6(a)は、VoutYとコイル1
1Yの印加電圧の関係を示す。コイル11Yの電気的抵
抗値は、通電時間が短ければ温度上昇による抵抗値の変
化を無視でき、ほぼ一定と考えて良い。このため、コイ
ル11Yは、MPU1からの出力電圧VoutYに比例
した電流で駆動され、コイル11Yとそれに対になるマ
グネット12YとによりMPU1からの出力電圧Vou
tYにほぼ比例した駆動力を得る。また、図7は、コイ
ル11Yの印加電圧と定常状態の補正レンズ2の位置と
の関係の例をも示す。前述のように、補正レンズ2の保
持部材2aは、弾性的に支持されている為、補正レンズ
2のヨーイング方向の可動範囲の中央位置(この位置を
便宜上0とする)からの外側への位置変化に比例してバ
ネ15Yまたは16Yの弾性力(バネ力)が増加し、そ
の弾性力とコイル11Yに流れる駆動電流による磁気的
駆動力の釣り合った位置で、保持部材2aしいては補正
レンズ2の位置的釣り合いが保たれる。図7は、実線で
その様子を示す。図7において、補正レンズ2は、コイ
ル11Yの印加電圧1[V]当たり1[mm]移動する
ものとする。また、補正レンズ2の可動範囲は、位置−
1.0[mm]〜+1.0[mm]の範囲であり、この
範囲を越えた位置に補正レンズ2が駆動されることはな
い。但し、補正レンズ2の部材の自重(重力)の影響を
受ける為、自重の受け方により、補正レンズ2の定常時
の位置は+または−のどちらかの方向に偏る。補正レン
ズ2の部材の弾性力の受け方に+方向、或いは、−方向
へ偏りがあった場合にも同様に補正レンズ2の定常時の
位置は偏る。
【0029】図7は、今、補正レンズ2の部材の自重、
或いは、弾性力の偏りにより、−0.2[mm]補正レ
ンズ2の位置がシフトした場合を、点線で示す。尚、M
PU1には、VoutY出力に適する任意の電圧を発生
させる、D/A変換器が内蔵されている。但し、MPU
1に使用されるような通常のワンチップコンピュータに
内蔵されたD/A変換器は、正電圧のみしか発生できな
いタイプのものが多く、そうした場合には、補正レンズ
駆動機構7Yは、図6(b)に示されるような入出力特性
をもつように構成される。或いは、近年、コンパクトデ
ィスクのトラッキング制御用アクチュエータ等で使用さ
れている入力電圧に対してリニアな駆動電圧を得るリニ
アモータドライブIC等を使用することも可能である。
但し、説明の簡便化のため以下、図6(a)のタイプで説
明を続ける。
【0030】次に、ヨーイング方向の補正レンズ位置検
出機構5Yの実施の形態を説明する。補正レンズ位置検
出機構5Yは、発光部機構と受光部回路に分けられる。
ヨーイング方向の発光部回路の第一の実施の形態を図8
(a)に示す。本回路の入力VIFYは、演算増幅器OP
3の入力に接続され、Tr1により電流増幅され、発光
ダイオードLED1を駆動する。尚、ここで使用される
LED1には、例えば、赤外発光タイプの発光ダイオー
ドが使用されている。或いは、そのコヒーレント性の優
位性からレーザーダイオードを使用しても構わない。
今、抵抗R5の抵抗値をRIFとすると、LED1に流
れる駆動電流IFYと本回路の入力電圧VIFYとはほ
ぼ数2の関係となる。
【0031】
【数2】IFY=VIFY/RIF 尚、MPU1は、VIFY出力に適する任意の電圧を発
生させる、D/A変換器等を内蔵する。図8(b)は、ヨ
ーイング方向の発光部回路の第二の実施の形態を示す。
図8(b)は、4ビットの所定のHighレベル、所定
のLowレベルをもつディジタル入力VIF0Y、VI
F1Y、VIF2Y、VIF3YによりLED1の駆動電
流IFYを変化させる回路例を示す。入力VIF0Y、V
IF1Y、VIF2Y、VIF3YはMPU1に接続され
ていて、High、Lowレベルの組み合わせは0〜1
5の16通りの設定が行える。今、R6、R7、R8、
R9を適当に設定することにより、VIF0Y、VIF1
Y、VIF2Y、VIF3Yの組み合わせの設定値σFY
に対しほぼリニアに駆動電流IFYを制御することがで
きる。図9は、σFYとIFYとの関係を示す。
【0032】次に、ヨーイング方向の補正レンズ位置検
出機構5Yの検出部の回路を、図10に示す。補正レン
ズ位置を検出する素子は、一次元PSDを使用する。L
ED1から投光され、スリット部材17Yのスリットを
通過した光束はPSD1のある位置へ入射する。PSD
1へ入射する光束の位置は、補正レンズ2のヨーイング
方向の位置に依存して変化し、かつ、PSD1からの出
力電流I1、I2は補正レンズ2のヨーイング方向の位置
に依存してI1、I2の比率が変化する。PSD1は、公
知の方法により逆バイアス電圧VBが印加され、その高
速応答性が確保される。PSD1出力電流I1、I2は、
それぞれ演算増幅器OP1、及び、演算増幅器OP2と
抵抗R1、R2、R3、R4で構成される電流−電圧変
換器に入力され、電圧変換されたV1、V2の出力がMP
U1へ出力される。尚、抵抗R2、R4は、それぞれ演
算増幅器OP1、及び、OP2の入力バイアス電流の出
力V1、V2への影響をキャンセルするようその抵抗値が
決定される。MPU1は、その内部にA/D変換器を内
蔵し、V1、V2の電圧をモニタできる。
【0033】但し、MPU1に使用されるような通常の
ワンチップコンピュータに内蔵されたA/D変換器は、
正電圧の入力のみしか変換できないタイプのものが多
く、その場合、MPU1の外部に適当なA/D変換器を
設けても良いし、或いは、公知の技術を用いて出力V
1、V2を適当に反転増幅し、正電圧の出力が得られるよ
うにしても構わない、或いは、図10に於ける抵抗R
2、R4の一端のGND側を適当な基準電圧に接続し、
前記基準電圧分だけ電圧シフトさせた出力V1、V2を得
るように回路を構成しても構わない。
【0034】今、図10で示される検出部の回路を詳し
く解析する。図11は、図10のI1の電流−電圧変換
回路部の電圧値、電流値の詳細を示す。今、PSD1の
出力電流をI1、暗電流をish、演算増幅器OP1の
−入力の入力バイアス電流をib、+入力の入力バイア
ス電流をib’、入力オフセット電圧をVos、抵抗R
1、R2の抵抗値をそれぞれRf、Rbとし、各電流、
電圧の方向を図11に示す通りとした場合、各電圧は、
数3、数4、数5の関係が成り立つ。
【0035】
【数3】V+=ib’×Rb
【0036】
【数4】V−=Vos+V+ =Vos+ib’×Rb
【0037】
【数5】 V1=−(I1+ish+ib)×Rf+V− =−I1×Rf+{Vos+(ib’×Rb−ib×Rf)−ish×R f} 数5で示されるように、V1は、理想的な演算増幅器、
及び、理想的なPSDを使用した場合の出力電圧−I1
×Rfに対し、入力オフセット電圧Vos、入力バイア
ス電流ib、ib’、暗電流ishの影響による誤差が
出力される。ここで、Rb=Rfに設定し、ios=i
b’−ibとすると数5は、数6のように書き表され
る。
【0038】
【数6】 V1=−I1×Rf+{Vos+ios×Rf−ish×Rf} =(−I1+ios−ish)×Rf+Vos 尚、iosは演算増幅器OP1の入力オフセット電流に
相当する。数5、数6からも分かる通り、V1、及び、
V1と同様に出力されるV2は、上記入力オフセット電圧
Vos、入力バイアス電流ib、ib’、暗電流ish
等のの影響が無視できる程小さい場合には、I1、I2に
比例した電圧として出力される。
【0039】次に、図12を用いて、ヨーイング方向の
振れ検出機構4Yの実施の形態を説明する。角速度セン
サ1は、カメラに生じた手振れによる角速度を検出し、
検出した角速度に応じた出力をするセンサである。この
センサ1は、例えば、コリオリ力を検出する圧電振動型
ジャイロを使用する。抵抗R20、R21、R22、コ
ンデンサC1、C2、C3、及び、演算増幅器OP10
で構成される回路は、角速度センサ1の出力から手振れ
によらない高い周波数成分、特に角速度センサの高周波
ノイズ成分を除去する為のローパスフィルタ回路であ
る。コンデンサC4、抵抗R23で構成される回路は、
前述ローパスフィルタ回路からの出力から手振れによら
ない低い周波数成分を除去する為のハイパスフィルタ回
路を構成する。演算増幅器OP11、抵抗R23、R2
5で構成される回路は、前述のハイパスフィルタ回路か
らの出力をMPU1で扱いやすい電圧レベルに非反転増
幅してMPU1に出力する。この出力をVωYとする。
このようにして得られたヨーイング方向の振れ検出機構
の出力VωYは、ほぼカメラに生じたヨーイング方向の
角速度に比例した出力を得ることができる。尚、ピッチ
ング方向の振れ検出機構4Pも同様の回路の構成でカメ
ラに生じたピッチング方向の角速度を検出する。
【0040】次に、ヨーイング方向の補正レンズ位置検
出機構5Yの発光部の発光量調整を説明する。これは、
補正レンズ位置検出の発光部に使用される発光ダイオー
ドの個々の発光量のバラツキ、及び、温度変化による発
光量の変化を、カメラの外部調整装置等による調整を特
に必要とせず、後述所定のカメラ動作タイミングでカメ
ラ自身で自動調整し、補正レンズ位置検出機構の出力の
ダイナミックレンジをより大きくとり、補正レンズ2の
位置検出分解能を十分に得るために設けられている。以
下、発光部の発光量の調整の実施の形態を示す。
【0041】発光ダイオードLED1の発光量をヨーイ
ング方向の補正レンズ位置検出機構5Yの検出部の出力
電圧V1、V2が補正レンズ2のヨーイング方向の可動範
囲の全ての位置に於いてある所定電圧の範囲になり、か
つ、発光量が最大になるように調整する。具体的には、
補正レンズ2をヨーイング方向の可動範囲の各端へ駆動
し、その時のヨーイング方向の発光ダイオードLED1
の駆動電流を変化させながらヨーイング方向の補正レン
ズ位置機構5Yの検出部の出力V1、V2をモニタし、V
1とV2とは、所定電圧(本実施の形態では、−4.75
[V])より低い電圧にならないヨーイング方向の発光
ダイオードLED1の最大駆動電流を見つけだす。ヨー
イング方向の補正レンズ位置検出機構5Yの出力V1、
V2は、図4(a)に示されるように、補正レンズ2の位置
変化に対して単調増加、或いは、単調減少する。よっ
て、前述のように、補正レンズの可動範囲の各端での
み、この調整を行なえば、補正レンズ2は、可動範囲の
どこの位置あっても上記所定電圧より低い電圧にはなら
ないし、かつ、発光ダイオードの発光量は、最大値とな
る。
【0042】同様に、補正レンズ2をピッチング方向の
可動範囲の各端へ駆動し、その時のピッチング方向の発
光ダイオードの駆動電流を変化させながらピッチング方
向の補正レンズ位置機構5Yの検出部の出力V1、V2を
モニタし、V1もV2も−4.75[V]より低い電圧に
ならないピッチング方法の発光ダイオードの最大駆動電
流を見つけだすものとする。
【0043】その具体的例を図13、図14及び図15
を用いて、ヨーイング方向の発光ダイオードLED1の
発光量の調整を説明する。尚、ピッチング方向も同様の
制御を行い発光ダイオードの発光量を調整する。図1
4、15は、MPU1に内蔵されたソフトウエアの内、
ヨーイング方向のLED1の発光量調整に関する部分の
制御の流れを示したフローチャートを示している。処理
は、ステップS900から始まり、ステップS901に於いて
カウンタmを初期値である0とする。次に、ステップS
902に於いて所定の駆動電流初期値I0でLED1を駆
動する(図13の動作タイミングの時間t1に相当す
る)。このS902の電流値I0は、カメラの使用温度範囲
等を加味した上で、設計上この電流値でLED1を駆動
しても出力V1、及び、V2が絶対飽和しない電流値とす
る。次にステップS903に於いて徐々に補正レンズ2を
ヨーイング方向の+の可動端に駆動していく。図5に示
す補正レンズ駆動機構7Yの入力VoutYに、図13
のタイミングチャートにおいて、動作タイミングt2〜
t4の間で、0.0[V]から+4.0[V]まで徐々
に上げて行く。このことにより、コイル11Yの印加電
圧は、0.0[V]〜+4.0[V]へ徐々に変化し、
次第に補正レンズ2は、ヨーイング方向の+方向に駆動
され、タイミングt3に於いて+側の駆動端(補正レン
ズ位置+1.0[mm]の位置)に突き当たる。補正レ
ンズ2が+方向の可動端に駆動されると、S905に於い
てヨーイング方向の補正レンズ位置検出機構5Yの検出
部出力V1、及び、V2をモニタする(図13のタイミン
グt5に相当する)。但し、補正レンズ2は可動端にぶ
つかるタイミングで多少バウンドし、すなわちV1、V2
の電圧値が一定値にならない場合があり、そうした懸念
がある場合には、V1、V2のモニタするタイミングt5
までにバウンドがおさまるまでの時間は確保する(図1
4のS904の処理に相当する)。次に、ステップS906で
モニタされたV1が所定電圧、ここでは−4.75
[V]より低い場合にはステップS912(図15参照)
へ進み、否の時ステップS907でモニタされたV2が所定
電圧ここでは−4.75[V]より低い場合にはステッ
プS912へ進み、そうでなければステップS908でmの値
を+1し、ステップS909でmが所定値を判断する。ス
テップS909でm=所定値であればステップS912へ進
み、そうでなければステップS910でI0+△IF×mで
算出される駆動電流になるようにLED1を駆動する。
次に、ステップS911で、ヨーイング方向の補正レンズ
位置検出機構5Yの検出部出力V1、V2の出力が安定す
るまでの時間待ち、ステップS905へ戻る。ステップS9
05〜S911までの処理を、V1<−4.75[V]になる
まで、或いは、V2<−4.75[V]になるまで、或
いは、m=所定値になるまで繰り返すことにより、徐々
にLED1の駆動電流IFを上げて行き、その時の+の
可動端でのヨーイング方向補正レンズ位置検出機構5Y
の検出部の出力V1、及び、V2が所定電圧、この場合、
−4.75[V]を下まわらない最大のLED1の駆動
電流IFがI0+△IF×(m−1)として求まる。こ
のLED1の駆動電流とV1、V2出力の様子を図13の
タイミングタイミングチャートで説明すると、t5から
△IFずつ徐々にLED1の駆動電流を上げて行き、t
6に於いて駆動電流を上げたところでV1の電圧が所定電
圧−4.75[V]を下まわっている。
【0044】次に、図15に示すステップS912に於い
ては、カウンタnを初期値である0とする。次に、ステ
ップS913に於いて所定の駆動電流初期値I0でLED
1を駆動する(図13のタイミングt7に相当する)。
次にステップS914に於いて、徐々に補正レンズ2をヨ
ーイング方向の−の可動端に駆動していく。図5に示す
補正レンズ駆動機構7Yの入力VoutYに図13のタ
イミングt8〜t10の間で、+4.0から−4.0
[V]まで徐々に下げて行く。このことにより、コイル
11Yの印加電圧は+4.0[V]〜−4.0[V]へ
徐々に電圧が変化し、次第に補正レンズ2は、ヨーイン
グ方向の−方向に駆動され、タイミングt9に於いて−
側の駆動端(補正レンズ位置−1.0[mm]の位置)
に突き当たる。補正レンズ2が−方向の可動端に駆動さ
れると、ステップS916に於いてヨーイング方向の補正
レンズ位置検出機構5Yの検出部出力V1、V2をモニタ
する(図13のタイミングt11に相当する)。但し、補
正レンズ2は、可動端にぶつかるタイミングで多少バウ
ンドし、すなわちV1、V2の電圧値が一定値にならない
場合があり、そうした懸念がある場合には、V1、V2の
モニタするタイミングt11までにバウンドがおさまるま
での時間は確保する(図15のS915の処理に相当す
る)。次に、ステップS917でモニタされたV1が所定電
圧、ここでは−4.75[V]より低い場合にはステッ
プS923へ進み、否の時ステップS918でモニタされたV
2が所定電圧、ここでは−4.75[V]より低い場合
にはステップS923へ進み、そうでなければステップS9
19でnの値を+1し、ステップS920でnが所定値を判
断する。ステップS920でn=所定値であればステップ
S923へ進み、そうでなければステップS921でI0+△
IF×nで算出される駆動電流になるようにLED1を
駆動する。次に、ステップS922で、ヨーイング方向の
補正レンズ位置検出機構5Yの検出部出力V1、V2の出
力が安定するまでの時間待ち、ステップS916へ戻る。
ステップS916〜S922までの処理をV1<−4.75
[V]になるまで、或いは、V2<−4.75[V]に
なるまで、或いは、n=所定値になるまで繰り返すこと
により、徐々にLED1の駆動電流IFを上げて行き、
その時の−の可動端でのヨーイング方向補正レンズ位置
検出機構5Yの検出部の出力V1、及び、V2が所定電
圧、この場合、−4.75[V]を下まわらない最大の
LED1の駆動電流IFがI0+△IF×(n−1)と
して求まる。このLED1の駆動電流とV1、V2出力の
様子を図13のタイミングタイミングチャートで説明す
ると、t11から△IFずつ徐々にLED1の駆動電流を
上げて行き、t12に於いて駆動電流を上げたところでV
2の電圧が所定電圧−4.75[V]を下まわってい
る。
【0045】次に、ステップS923でm>nの判定を
し、m>n、つまり、mよりnが小さければステップS
924でLED1の最適駆動電流をI0+△IF×(n−
1)とし、逆に、m>nでない場合、つまり、mよりn
が小さくなければステップS925でLED1の最適駆動
電流をI0+△IF×(m−1)とし、それぞれステッ
プS926へ進み発光ダイオードLED1の通電を切り
(図13のタイミングt13に相当する)、ステップS92
7に於いて徐々に補正レンズ2をヨーイング方向の基の
位置付近へ駆動していく。図5に示す補正レンズ駆動機
構7Yの入力VoutYに図13のタイミングt13〜t
14の間で、−4.0[V]から0.0[V]まで徐々に
上げて行く。このことにより、ヨーイング方向のコイル
11Yの印加電圧は−4.0[V]〜0.0[V]へ徐
々に変化し、次第に補正レンズ2はヨーイング方向のも
とあった位置付近に駆動される。次に、ステップS928
で本ヨーイング方向の発光量調整の制御を終了する。
【0046】以上、説明した発光ダイオードLED1の
発光量調整に用いる発光部の回路は図8(a)のタイプで
も、(b)のタイプでも構わない。発光ダイオードLED
1の駆動電流の変化させる量△IF、及び、初期駆動電
流I0は適意に設定してして構わない。例えば、発光部
の回路に図8(a)のタイプを使用して△IFを細かく設
定すれば、より精度の良い発光量の調整ができる。或い
は、初期駆動電流I0を0としても構わない。
【0047】次に、補正レンズ位置検出機構5Yの検出
部の調整に関して述べる。まず、位置検出機構5Yの検
出部の調整の意義について説明する。演算増幅器OP
1、OP2の入力バイアス電流の影響は、数5、数6か
らも明らかなように、抵抗Rbの抵抗値を適当な値に設
定することで理論上はキャンセルすることができる。残
りの影響は、演算増幅器OP1、OP2の入力オフセッ
ト電流値、入力オフセット電圧値、及び、PSD1の暗
電流値による出力V1、V2への影響がある。これらの値
は、カメラが使用されるあらゆる条件下で常に一定であ
れば、回路上、或いは、ワンチップコンピュータ等によ
るソフトウエアにより、カメラ出荷時にカメラ1台1台
に於いて調整が可能であろう。しかし、入力オフセット
電流値、入力オフセット電圧値、及び、暗電流値はそれ
ぞれ温度依存性があり、上記のような調整を行ったとし
てもカメラの使用される温度条件によりこれらの誤差は
増大する恐れが生ずる。このような要因による出力誤差
を軽減するには、一つの方法として発光ダイオードの発
光量を上げることが考えられる。しかし、現実問題とし
て発光ダイオードの最大定格には限りがある。2つめと
して低入力オフセット電圧、低入力バイアス電流の演算
増幅器する方法があるが、そうした演算増幅器は一般的
に高価であり、コストアップにつながる。
【0048】これらのことを具体的数値を上げて説明す
る。今、第1の例として前述の発光ダイオードLED1
の発光量調節の結果、PSD1の出力電流I1、I2が図
16に示されるように(但し、PSD1の暗電流は説明
の便宜上このI1、I2には含めないものとする)、補正
レンズ2のヨーイング方向位置とともに変化して出力さ
れ、検出部の出力電圧V1、及びV2が、図17の太実線
V1、V2で示されるようにPSD1の暗電流、演算増幅
器OP1、OP2の入力オフセット電圧、入力オフセッ
ト電流等の影響のため、理想の出力(図17の細実線に
て示す)から−0.25[V]の誤差をもって出力され
たものとする。−0.25[V]の誤差は実際的な値で
あり、例えば演算増幅器OP1、OP2の入力オフセッ
ト電流が20nA程度発生しただけでこの電圧の誤差を
生じてしまう。ここで、V1、V2は理想的にはI1、I2
に比例した出力電圧となるはずであるから、数1の関係
からヨーイング方向の補正レンズ位置LRYは数7によ
り求まる。しかし、この数7で算出されたヨーイング方
向の補正レンズ位置LRYは、図19の太実線V5で示
されるように細実線で示される理想直線に対して−7.
7[%]程度の誤差が生じる。尚、数7の途中結果であ
る、V3=−(V1−V2)、及び、V4=−(V1+V2)
を図18の太実線で示す。
【0049】
【数7】LRY=γ×{(V1−V2)/(V1+V2) 但し、γはSDP1の全長L=4.0[mm]、補正レ
ンズ2のヨーイング方向可動範囲2.0[mm]である
からγ=2.0[mm]である。次に、第2の例として
前述のLED1の発光量調節の結果、PSD1の出力電
流I1、I2が図20に示されるように(但し、PSD1
の暗電流は説明の便宜上このI1、I2には含めないもの
とする)、補正レンズ2のヨーイング方向位置とともに
変化して出力され、検出部の出力電圧V1、及び、V2が
図21の太実線V1、V2で示されるようにPSD1の暗
電流、演算増幅器の入力オフセット電圧、入力オフセッ
ト電流等の影響のため、理想の出力(図21の細実線に
て示す)からV1のみ−0.25[V]誤差をもって出
力されたものとする。V1、V2は理想的にはI1、I2に
比例した出力電圧となるはずであるから、ヨーイング方
向の補正レンズ位置LRYは数7により求まる。しか
し、この数7で算出されたヨーイング方向の補正レンズ
位置LRYは、図23の太実線V5で示されるように細
実線で示される理想直線に対して最大−8[%]程度の
誤差が生じる。尚、数7の途中結果である、V3=−
(V1−V2)、及び、V4=−(V1+V2)を図22の
太実線で示す。
【0050】これらPSD1の暗電流、演算増幅器の入
力オフセット電圧、入力オフセット電流等の影響をたと
えカメラ1台1台に出荷時に調整したとしても、これら
の誤差要因は温度依存性を有する為、根本的解決にはな
らない。また、前述のスリット部材とPSD1等とのメ
カ的位置関係にはカメラ1台1台でバラツキがあり、よ
って、ヨーイング方向補正レンズ位置検出機構5Yの検
出部の出力V1、V2から算出される補正レンズ位置LRY
は、もしカメラ1台1台調整を行わなければその算出さ
れる位置には誤差を生ずる。具体的には数7で算出され
る0の位置が補正レンズ2のヨーイング方向の可動範囲
の中央に必ずしも一致しない、或いは、数7に於けるγ
がカメラ1台1台でバラツキがある。
【0051】そこで、上記の問題解決のため、本実施の
形態ではカメラの外部調整装置等による調整を特に必要
とせず、後述所定のカメラ動作タイミングでカメラ自身
で補正レンズ位置検出機構の出力から補正レンズ位置を
求める為の調整値を自動算出し、精度の良い補正レンズ
2の位置検出を行わせるものである。尚、振れ補正制御
時は、数8、数9、数10を用いて算出されるヨーイン
グ方向補正レンズLRY[mm]を使用するものとす
る。
【0052】
【数8】 LRY=γ*{(V1'−V2’)/(V1'+V2')−s)
但し、
【0053】
【数9】V1’=V1−Vd1
【0054】
【数10】V2’=V2−Vd2 数8は、数7に於けるγを可変値にし、かつ、補正レン
ズ2の可動範囲の中央位置を調整するsの項を追加し、
かつ、V1、V2を以下述べる調整により定まるVd1、
Vd2により補正を施した数である。Vd1、Vd2はそ
れぞれLED1を発光させない時の検出部の出力V1、
V2の電圧を示す調整値、γは図24で示される(V1’
−V2’)/(V1’+V2’)とヨーイング方向補正レ
ンズ位置LRYの関係を表す直線の傾きを示すガンマ調
整値、sは同じく図24で示される直線の横方向の補正
を示すシフト調整値であり、これらの調整値は後述する
自動調整方法により算出される。
【0055】次に、カメラ自身で補正レンズ位置検出機
構の出力から補正レンズ位置を求める為の調整値を自動
算出する方法の実施の形態を説明する。その具体的例を
図25に示されるタイミングチャート、及び、図26に
示されるフローチャートを用いてヨーイング方向の補正
レンズ位置検出部の調整の制御内容を説明する。尚、ピ
ッチング方向も同様の制御を行い補正レンズ位置検出部
調整を行うものとする。図26は、MPU1に内蔵され
たソフトウエアの内、ヨーイング方向の補正レンズ位置
検出部調整の制御の流れを示したフローチャートであ
る。処理は、ステップS300からは始まり、ステップS3
01に於いて発光部のLED1が非発光の状態でヨーイン
グ方向補正レンズ位置検出機構5Yの検出部出力V1、
V2をモニタし、その値をそれぞれVd1、Vd2とする
(図25の動作タイミングt21に相当する)。この電圧
Vd1、Vd2は、前述のPSD1の暗電流、演算増幅器
OP1、OP2の入力オフセット電圧、入力オフセット
電流等の影響による電圧と見なせる。また、その後のタ
イミングで行われる振れ補正制御時の補正レンズ2の位
置検出時のタイミングが本調整タイミングとそれほど時
間的経過がなければ温度変化等のVd1、Vd2の変化要
因を無視できる為、以下モニタされたVd1、Vd2を用
いて数9、数10で算出されるV1’、V2’を用いて数
8からヨーイング方向補正レンズ位置LCYを算出すれ
ば、前述のPSD1の暗電流、演算増幅器の入力オフセ
ット電圧、入力オフセット電流等の影響はキャンセルし
て精度の良い補正レンズ位置の検出が行える。
【0056】ステップS302に於いて、発光ダイオード
LED1を前述発光量の調整で算出された駆動電流で駆
動し(図25のタイミングt22に相当する)、ステップ
S303で前述発光量の調整と同様の方法で徐々に補正レ
ンズ2をヨーイング方向の+の可動端に駆動していく。
図5で示されるヨーイング方向の補正レンズ駆動機構7
Yの入力VoutYに図25のタイミングt23〜t25の
間で、0.0[V]から+4.0[V]まで徐々に上げ
て行く。このことにより、ヨーイング方向のコイル11
Yの印加電圧は0.0[V]〜+4.0[V]へ徐々に
変化し、次第に補正レンズ2はヨーイング方向の+方向
に駆動され、タイミングt24に於いて+側の駆動端(補
正レンズ位置+1.0[mm]の位置)に突き当たる。
補正レンズ2が+方向の可動端に駆動されると、ステッ
プS304に於いて補正レンズ2の可動端への衝突時のバ
ウンドがおさまり停止るまでの時間を確保し、次に、ス
テップS305に於いてヨーイング方向の補正レンズ位置
検出機構5Yの検出部出力V1、及び、V2をモニタし
(図16のタイミングt26に相当する)、モニタした
電圧をそれぞれV1+、V2+とする。
【0057】次に、ステップS306で前述発光量の調整
と同様の方法で徐々に補正レンズ2をヨーイング方向の
−の可動端に駆動していく。図5で示されるヨーイング
方向の補正レンズ駆動機構7Yの入力VoutYに図2
5のタイミングt27〜t29の間で、+4.0[V]から
−4.0[V]まで徐々に下げて行く。このことによ
り、ヨーイング方向のコイル11Yの印加電圧は+4.
0[V]〜−4.0[V]へ徐々に変化し、次第に補正
レンズ2はヨーイング方向の−方向に駆動され、タイミ
ングt28に於いて−側の駆動端(補正レンズ位置−1.
0[mm]の位置)に突き当たる。補正レンズ2が−方
向の可動端に駆動されると、ステップS307に於いて補
正レンズ2の可動端への衝突時のバウンドがおさまり停
止るまでの時間を確保し、次に、ステップS308に於い
てヨーイング方向の補正レンズ位置検出機構5Yの検出
部出力V1、及び、V2をモニタし(図25のタイミングt
30に相当する)、モニタした電圧をそれぞれV1−、V2
−とする。
【0058】次に、ステップS309に於いて徐々に補正
レンズ2をヨーイング方向の基の位置付近へ駆動してい
く。図5で示されるヨーイング方向の補正レンズ駆動機
構7Yの入力VoutYに図25のタイミングt31〜t
33の間で、−4.0[V]から0.0[V]まで徐々に
上げて行く。このことにより、ヨーイング方向のコイル
11Yの印加電圧は−4.0[V]〜0.0[V]へ徐
々に変化し、次第に補正レンズ2はヨーイング方向のも
とあった位置付近に駆動される。次に、ステップS310
でヨーイング方向の発光ダイオードLED1の通電を切
り、ステップS311で後述の方法でガンマ調整値γ、及
び、シフト調整値sを算出し、ステップS312で本ヨー
イング方向の補正レンズ位置検出部調整の制御を終了す
る。
【0059】次に、図26のステップS311に於けるガ
ンマ調整値γ、シフト調整値sを算出する方法である
が、図26に於けるステップS305で得られた補正レン
ズ2のヨーイング方向の+方向の可動端にぶつけた時の
検出部出力電圧V1+、V2+から数11により、s+
(図24の点Aのx座標に相当する)を算出し、ステッ
プS308で得られた補正レンズ2をヨーイング方向の−
方向の可動端にぶつけた時の検出部出力電圧V1−、V2
−から数12により、s−(図24の点Bのx座標に相
当する)を算出する。次に、得られたs+、s−から数
14を用いて 補正レンズ2のヨーイング方向の可動範
囲の中央位置の(V1’−V2’)/(V1’+V2’)の
演算結果に相当するシフト調整値sを算出し、数13を
用いて図24の直線の傾きに相当するガンマ調整値γを
算出する。
【0060】
【数11】s+={(V1+)−Vd1}−{(V2+)
−Vd2}/{(V1+)−Vd1}+{(V2+)−Vd
2}
【0061】
【数12】s−={(V1−)−Vd1}−{(V2−)
−Vd2}/{(V1−)−Vd1}+{(V2−)−Vd
2}
【0062】
【数13】γ=2.0[mm]/{(s+)−(s-)}
【0063】
【数14】s={(s+)+(s−)}/2 以降のタイミングで行われる振れ補正制御で使用される
補正レンズ2のヨーイング方向の位置検出には、ここで
算出されたガンマ調整値γ、及び、シフト調整値sを用
いて数8、数9、数10によって算出される。
【0064】ここで補足すると、補正レンズ2のヨーイ
ング方向の可動範囲、つまり、一方の可動端から他方の
可動端までの距離(以上の例では2.0[mm])は、
メカ設計上、ある許容可能な寸法公差内で作り込むこと
が出来、かつ、これら可動メカの組立て時に一意的に決
まり、その後の変動要因は前述の補正レンズ位置に与え
る影響要因に比べはるかにその変動量は少ない。よって
前述の方法で一方の可動端から他方の可動端まで移動し
た時の検出部の出力からγ、s調整値を導き出し、それ
を用いて補正レンズ2の位置検出を行えば精度の良い検
出が可能となる。
【0065】次に、振れ補正のディジタル制御の実施の
形態を説明する。ディジタル制御はサンプリング制御と
も呼ばれ、所定時間間隔で所定の制御を行うことが一般
的である。本実施の形態でもご多分にもれず所定間隔、
例えば、1「ms]間隔で以下説明する振れ補正制御を
行うものとする。図27、図28、図29、及び、図3
1のフローチャートを用いて具体的な制御例を示す。
【0066】図27で示されるフローチャートは、MP
U1のプログラムのヨーイング方向の振れ補正制御に関
して記したものであり、後述で規定される所定のタイミ
ングでその動作が許可されてから、後述で規定される所
定のタイミングでその動作が禁止されるまでの間、所定
時間、例えば、1[ms]間隔でその動作を繰り返し行
うタイマ割込みである。MPU1には、このように所定
時間間隔で処理を起動するタイマ割込みの機能を有して
いるものとする。その処理はS400から始まり、ステ
ップS401で図28のフローチャートで規定されるヨー
イング方向の補正レンズ目標位置LCYを算出する。詳
細は後述する。次に、ステップS402に於いて図29の
フローチャートで規定されるヨーイング方向の補正レン
ズ位置LRYを算出する。詳細は後述する。次に、ステ
ップS403に於いて図31のフローチャートで規定され
るヨーイング方向の補正レンズ駆動量VoutYを算出
する。詳細は後述する。次に、ステップS404に於いて
ステップS403で得られたVoutYでヨーイング方
向の補正レンズ駆動機構7Yを駆動する。つまりは前述
の説明から明白なようにVoutYに比例した電流でコ
イル11Yが駆動され、VoutYに比例した駆動力が
ヨーイング方向へ補正レンズ2の機構に印加される。ス
テップS404の処理が終了するとステップS405で本ヨー
イング方向振れ補正制御のタイマ割込み処理を終了す
る。
【0067】次に、図27のS401で行われるヨーイン
グ方向補正レンズ目標位置LCY算出の詳細を図28を
用いて説明する。本ヨーイング方向補正レンズ目標位置
LCY算出の処理はS500から始まり、ステップS501に
於いて前述のヨーイング方向振れ検出機構4Yの出力V
ωYをモニタし、その値からヨーイング方向の角速度ω
Yを算出する。次に、ステップS502に於いてωYを積
算することによりカメラのヨーイング方向に生じた振れ
角度θCYを算出する。前述のようにヨーイング方向振
れ検出機構4Yの出力VωYはカメラのヨーイング方向
の角速度に比例した出力が得られ、その値からヨーイン
グ方向の角速度ωYを算出し、それを積算することでカ
メラに生じた振れ角度を算出することができる。次に、
ステップS503の於いてヨーイング方向の振れ角度θC
Yから補正レンズ2のフィルム面上の振れ量を打ち消す
為の適正なヨーイング方向の補正レンズのシフト量LC
Yを算出し、ステップS504で本ヨーイング方向補正レ
ンズ目標位置LCY算出の処理を終了し、図27のステ
ップS402へ進む。ここで、LCYは以降で行われるヨ
ーイング方向の補正レンズの制御に於いてその目標位置
に相当する意味合いから以下ヨーイング方向の補正レン
ズ目標位置と呼ぶものとする。
【0068】以上のヨーイング方向振れ検出機構4Yの
出力VωYからヨーイング方向の補正レンズ目標位置L
CYを算出するまでの課程をもう少し補足説明すると、
例えば、ωYは数15のようにヨーイング方向振れ検出
機構4Yの出力VωY(パラメタは電圧)から角速度の
パラメタに変換し、かつ、ヨーイング方向振れ検出機構
4Yの出力の個々のゲインばらつきを補正する為の変換
係数KωYをVωYに乗じてωYを算出する。また、ヨ
ーイング方向の振れ角度θcYは理論的には数16のよ
うにωcYを積分することで得られる。ここでは数17
を用いて近似的にωYをサンプリング毎に積算すること
で得る。尚、数17のtsはサンプリング時間間隔であ
り、本ヨーイング方向補正レンズ目標位置LCY算出の
処理のタイマ割込みによる起動間隔に相当し、例えば、
tsは1[ms]である。また、ωcYを積分、或い
は、積算して求められるヨーイング方向振れ角度θCY
の積分定数(数16、数17に於けるθCY0に相当
し、振れによる角度θCYの初期値に相当する)は、例
えばθCY0=0とし、光軸方向をその振れ角度の初期
値とすれば良い。次に、ヨーイング方向の補正レンズ目
標位置LCYは数18で算出される。kLCはヨーイン
グ方向振れ角度θCYから補正レンズ2のヨーイング方
向の適正シフト量である補正レンズ目標位置LCYに変
換する係数であり、撮影光学系により定まる値である。
最も単純な例で言えば、撮影光学系が焦点距離fをもつ
レンズの厚みの無視できる薄い単レンズであれば、数1
9のように算出することができる。今、振れ角度θCY
が十分に小さければ数19は数20のように近似でき、
補正レンズ2をヨーイング方向にθCYに比例した量シ
フトすればフィルム面の振れが補正できることが分か
る。
【0069】尚、数15、17、18を一つにまとめ、
数21のようにVωYから適当な変換係数kYを乗じて
サンプリング間隔で積算して補正レンズ目標位置LCY
を算出しても構わない。この場合の補正レンズ目標位置
の初期値LCY0は例えば0とする。
【0070】
【数15】ωY=kωY×VωY
【0071】
【数16】θCY=∫ωYdt+θCY0
【0072】
【数17】θCY≒ΣωY×ts+θCY0
【0073】
【数 18】LCY=kLC×θCY
【0074】
【数19】LCY=f×tan(θCY)
【0075】
【数20】LCY≒f×θCY0
【0076】
【数21】LCY≒Σ(kY×VωY)+LCY 次に、図27のステップS402で行われるヨーイング方
向補正レンズ位置LRY算出の詳細を図29を用いて説
明する。本ヨーイング方向補正レンズ位置LRY算出の
処理はステップS510から始まり、ステップS511に於い
て前述のヨーイング方向補正レンズ位置検出機構5Yの
検出部出力V1、及び、V2をモニタし、S512に於いて
数8、9、10を用いてヨーイング方向の補正レンズ位
置LRYを算出し、ステップS513で本ヨーイング方向
補正レンズ位置LRY算出の処理を終了し、図27のス
テップS403へ進む。
【0077】ここで、前述のような補正レンズ2をシフ
トするメカの伝達特性を考えてみることとする。本実施
の形態で使用されるような弾性的に支持されたアクチュ
エータはバネと粘性、及び、質量でモデリングでき、運
動方程数は数22で示される。
【0078】
【数22】 m×d2x/dt2+c×dx/dt+kx=αi ここで、x:補正レンズ位置 m:補正レンズ部材可動部の質量 c:粘性係数 k:バネ定数 α:駆動力定数 i:コイル11Yの駆動電流 ここから導き出される本アクチュエータの伝達関数は、
数23で示される。
【0079】
【数23】x/i=α/(ms2+cs+k) この伝達関数より、公知の所定の手法を用いディジタル
制御に適した制御系の最適解として図30(a)に、本発
明の補正レンズ制御のブロック線図を示す。このブロッ
ク線図に従い、アナログ回路により補正レンズの制御を
実現することも可能であるが、ここでは実施の形態で採
用したディジタル制御を説明する。
【0080】補正レンズ制御をディジタル制御で行うそ
の優位性は以下の通りである。これらの制御を行う本実
施の形態で使用するMPU1のようなワンチップコンピ
ュータは、それなりの高速演算性を必要とし、カメラの
コストアップ要因につながる場合も有り得る。が、近年
これらのワンチップコンピュータは低価格課化が進み、
アナログ回路で構成する場合とカメラ全体のコストはほ
ぼ同等、或いは、逆にコストダウンの方向へ進みつつあ
る。また、図30(a)で使用される各制御パラメタg0、
g1、g2、g3等を実に容易に変えられ、例えば、メカ
的要因の設計上の変更、コイル11Yの巻き線数等の変
更による制御対象の伝達特性の変更等に敏速に対応で
き、かつ、アナログ回路で構成する場合に問題になる各
種制御ゲインと周波数特性のばらつきと温度変動、或い
は、経時変化等の影響を受けない等で優位である。
【0081】次に、図27のステップS403で行われる
補正レンズ駆動量VoutY算出の処理の詳細を、図3
1のフローチャートを用いて説明する。この補正レンズ
駆動量VoutY算出の処理は、図30(a)の制御ブロ
ック図に基づき、ヨーイング方向の補正レンズ駆動量V
outYを算出するものである。その処理は、ステップ
S520から始まり、ステップS521に於いてオープン制御
項VoYを算出する。このオープン制御項は、数24で
示され、図30(a)に於ける補正レンズ目標位置LCY
に比例(比例係数g0)した電圧を意味する。数24に
於ける比例係数g0は、例えば、前述の図5に於けるコ
イル11Yの印加電圧とヨーイング方向補正レンズ位置
LRYとの関係に基づいて、設定される。本実施の形態
では、この項の出力VoYのみで制御した場合に十分な
時間経過後の定常状態で、補正レンズ2が補正レンズ目
標位置LCYほぼ一致するように設定されている。
【0082】
【数24】VoY=g0×LCY 次に、ステップS522に於いて、ヨーイング方向の補正
レンズ位置誤差△LYを数25を用いて算出する。尚、
数25で用いるヨーイング方向の補正レンズ目標位置L
CY、及び、補正レンズ位置LRYの単位は同一である
ものとする。
【0083】
【数25】△LY=LCY−LRY ステップS522の処理を終えると、ステップS523で、位
置誤差比例項VpYを数26を用いて算出する。
【0084】
【数26】VpY=g1*△LY 次に、ステップS524で位置誤差微分項VdYを数27
を用いて算出する。尚、式△LY’は、前回のサンプリ
ング時の△LYであり、数27は図30(a)に於ける△
LYの微分値に比例係数g3を乗じた部分に相当し、△
Lの微分を△LYの前回のサンプリング時との変化量△
LY−△LY’で近似的に算出している。また、△L
Y’は前回のサンプリング時に△LYを保持しておくも
のとし、初回のサンプリング時にこの値が不定とならな
いように、初回サンプリング時の△LY’は所定の値、
例えば0とする。
【0085】
【数27】VpY=g3*(△LY−△LY’) 次に、ステップS525で位置誤差積分項ViYを数28
を用いて算出する。数28は、図30(a)の積分部分を
積算として近似的に算出し、初回サンプリング時のVi
Yの初期値は所定の値、例えば0とする。また、Vpi
Yは次のS526で算出され、ここでは、前回のサンプリ
ング時の値を保持しておき、その値を使うものとする。
初回サンプリング時のVpiYは不定のため、初回サン
プリング時には所定の値、例えば0として数28を演算
するものとする。
【0086】
【数28】 ViY=Σ(△LY−VpiY) ‥‥数28 次に、ステップS526で位置誤差比例−位置誤差積分項
VpiYを数29を用いて算出する。
【0087】
【数29】 VpiY=g2×(VpY+ViY) 次に、Sステップ527でステップS524とステップS526
で算出されたVdY、VpiYを用いて数30により、
フィードバック制御項VfYを算出する。
【0088】
【数30】VfY=VdY+VpiY 次に、ステップS528に於いて、ステップS521とステッ
プS527で算出されたVoY、VfYを用いて、数31
により最終的なヨーイング方向補正レンズ駆動量Vou
tYを算出し、ステップS529で、補正レンズ駆動量V
outY算出の処理を終了し、図27のステップS404
へ進む。
【0089】
【数31】VoutY=VoY+VfY 尚、上記図31の説明で用いた各項VoY、VpY、V
iY、VpiY、VdY、VfY等は、図30(a)で使
用している用語と同一にして説明している。以上、図2
7により規定される所定サンプリング間隔で起動される
ヨーイング方向振れ補正制御、詳述するならば、図28
により規定されるフローチャートの処理により、補正レ
ンズ目標位置LCYが算出され、図29で規定されるフ
ローチャートの処理により、ヨーイング方向の補正レン
ズ位置LRYが算出され、図31で規定されるフローチ
ャートの処理により、ヨーイング方向の補正レンズ駆動
量VoutYが算出され、さらに、図27のS404で前
述の補正レンズ駆動機構7Yを通じて補正レンズ2がヨ
ーイング方向に制御される。
【0090】このように、補正レンズは、補正レンズ目
標位置LCYと実際の補正レンズ位置LRYとによりフ
ィードバック制御がなされ、また、各制御係数g0、g
1、g2、g3等を制御対象である補正レンズ機構系の伝
達関数から、或いは、実際の構成メカの具体的制御特性
から導きだし、かつ、補正レンズ駆動機構7Y等の駆動
特性も加味しながら最適化する事により精度の良い振れ
補正が可能となる。また、以下説明は省くが、同様の制
御により補正レンズ2はピッチング方向に振れ補正制御
が行われる。
【0091】次に、シャッタ回路、シャッタの動作につ
いて説明する。まず、図32は、一眼レフカメラ等で一
般的に使用される電磁式の縦走りフォーカルプレーンシ
ャッタの動作タイミング例を示す。このタイプのシャッ
タは、先幕と後幕(ともに不図示)とで構成される。通
常、先幕、後幕ともフィルムアパーチャ面を覆い隠すよ
うに位置する。露光時は、まずシャッタ先幕マグネット
Mg1に通電を開始することにより、先幕の係止がはず
れ、バネ等の弾性エネルギーにより先幕がフィルムアパ
ーチャ面を走り始め、フィルム面への露光が開始され
る。次に、後幕が露光時間に依存するあるタイミングで
シャッタ後幕マグネットMg2に通電を開始することに
より、後幕の係止がはずれ、バネ等の弾性エネルギーに
より後幕がフィルムアパーチャ面を走り、露光を終了す
る。通常、カメラ本体から出力されるストロボ発光信号
は、シャッタが全開している所定のタイミングで出力さ
れ、出力された時、ストロボ装置が閃光発光する。尚、
先幕、後幕ともに所定のタイミングで公知の方法を用い
て基のフィルムアパーチャ面を覆い隠す位置へ移動す
る。
【0092】次に、シャッタ駆動機構6を説明する。図
33は、(a)シャッタ先幕マグネットMg1、(b)シャッ
タ後幕マグネットMg2の駆動機構の回路部分を示した
回路図である。この機構は、シャッタ先幕マグネット信
号SMG1をHighレベルにするこにより、トランジ
スタTr2はオンし、シャッタ先幕マグネットMg1が
通電状態になる。逆に、シャッタ先幕マグネット信号S
MG1をLowレベルにするこにより、トランジスタT
r2はオフし、シャッタ先幕マグネットMG1は非通電
状態になる。同様に、シャッタ後幕マグネット信号SM
G2をHighレベルにするこにより、トランジスタT
r3はオンし、シャッタ後幕マグネットMg2が通電状
態になる。逆に、シャッタ後幕マグネット信号SMG2
をLowレベルにするこにより、トランジスタTr3は
オフし、シャッタ後幕マグネットMg2は非通電状態に
なる。シャッタ先幕マグネット信号SMG1、及び、シ
ャッタ後幕マグネット信号SMG2は、MPU1に接続
されていて、MPU1は任意のタイミングでシャッタ先
幕マグネットMg1、及び、シャッタ先幕マグネットM
g2の通電、非通電を制御できる。
【0093】次に、図32を用いて、露光時の振れ補正
制御を説明する。詳細には前述のような電磁式の縦走り
フォーカルプレーンシャッタを使用する場合の、露光時
の振れ補正制御を説明する。露光時の振れ補正は、少な
くともシャッタが開き始める以前に開始され、露光が終
了するまでの間行わなければならない。ここで、前述の
ようにシャッタ先幕マグネットMg1、及び、シャッタ
後幕マグネットMg2の通電を開始するタイミング、及
び、ストロボを発光するタイミングでは瞬間に大きな電
流が流れ、それに誘発されて電気的ノイズが発生し、極
微少な電流を扱う補正レンズ位置検出機構5Y、5Pに
影響を及ぼし、その出力に多大なノイズが紛れ込む。そ
こで、本実施の形態では、上記タイミングから所定時間
の振れ補正制御はオープン制御としている。それ以外の
タイミングでの振れ補正制御は、補正レンズ位置情報を
用いたクローズド制御である。振れ補正制御に於けるオ
ープン制御とは、結果的に図30(a)に於ける補正レン
ズ目標位置LCYのみで補正レンズ2を制御することで
ある。その具体的方法は以下の方法が考えられる。
【0094】すなわち、図30(a)に示す補正レンズ位
置LRYを用いて制御を行うクローズド制御の制御に対
して、図30(b)、(c)、(d)に示す制御方法である。図
30(b)に示す制御ブロック図は、補正レンズ目標位置
LCYに比例した電圧、つまり、オープン制御項のみで
補正レンズ2を制御する時のブロック線図である。図3
0(c)に示す制御ブロック線図は、補正レンズ位置LR
Yを常に補正レンズ目標位置LCYと同一値にし、以
下、図30(a)に示される制御と同様の制御ブロック線
図で求まる制御量により補正レンズ駆動機構を駆動し、
結果的に補正レンズ目標位置LCYに基づくオープン制
御を行うものを示している。
【0095】最後に図30(d)に示す制御ブロック図
は、図30(a)に示す制御と同様の制御ブロック線図に
於けるゲイン係数g1、g2、g3をゼロにし、結果的に
補正レンズ目標位置LCYに基づくオープン制御を行
う。この振れ補正制御動作を、図32のタイミングチャ
ートを使用し説明する。なお、シャッタ先幕を走らせる
少し前のタイミングt41において振れ補正を開始し、シ
ャッタ後幕が走り終わり、露光が終了した後のt45で振
れ補正制御を終了し、その間の、以下、説明するt42か
ら所定時間、t43から所定時間、t44から所定時間はオ
ープン制御、それ以外のタイミングではクローズド制御
を行うものとする。
【0096】t42から所定時間とは、シャッタ先幕マグ
ネットMg1に通電を開始するタイミングt42から次
に、シャッタ先幕マグネットMg1の通電による補正レ
ンズ位置検出機構5Y、及び、5Pへの電気的ノイズの
影響がおさまるまでの所定時間であり、この間の振れ補
正制御はオープン制御とする。t43から所定時間とは、
t43でストロボ発光信号をHighにすることにより、
ストロボ機構23が動作し、ストロボ発光が行われてか
ら、このストロボ発光による補正レンズ位置検出機構5
Y、5Pへの電気的ノイズの影響がおさまるまでの所定
時間であり、この間の振れ補正制御はオープン制御とす
る。尚、この場合、ストロボ機構23は公知の技術によ
り構成される機構により、既にこのタイミングでは公知
のタイミングで充電されていて、図32では、MPU1
によるストロボ発光信号のHighレベルによりストロ
ボが発光するものとする。また、ストロボ機構23は、
カメラ本体に内蔵されるタイプは無論、アクセサリシュ
ーに取り付けられる外付けストロボであっても構わな
い。外付けタイプである場合でも、ストロボ発光時には
発光管に瞬時に巨大な電流(この電流は大光量タイプの
ものでは200[A]〜300[A]に達するものもあ
る)が流れることにより誘発される補正レンズ位置検出
機構5Y、5Pへの電気的ノイズの影響は大きい。
【0097】次に、t44から所定時間とは、シャッタ後
幕マグネットMg2に通電を開始するタイミングt44か
ら次に、シャッタ後幕マグネットMg2の通電による補
正レンズ位置検出機構5Y、5Pへの電気的ノイズの影
響がおさまるまでの所定時間であり、この間の振れ補正
制御はオープン制御とする。次に、図34、35のフロ
ーチャートを用いて、電磁式の縦走りフォーカルプレー
ンシャッタの露光時の制御を説明する。図34のフロー
チャートは、MPU1のプログラムの内、露光制御に関
して記したものであり、後述で規定される所定のタイミ
ングでその動作が開始される。尚、振れ補正制御に於け
るオープン制御は、図30(d)で示される制御方法、つ
まり、ゲイン係数g1、g2、g3をゼロにし、結果的に
補正レンズ位置情報を用いずに補正レンズ目標位置に基
づくオープン制御を行う方法により制御を行うこととす
る。また、これ以外、例えば図30(b)、図30(c)の方
法、若しくは、それ以外の方法を用いて、結果的に補正
レンズ位置情報を用いずに振れ補正制御を行っても構わ
ない。
【0098】本露光制御の処理は、ステップS200から
開始され、ステップS201に於いて、振れ補正を開始し
(図32のタイミングt41に相当する)、ステップS20
2に於いて振れ補正制御が安定するまで待ち、ステップ
S203で振れ補正制御をオープン制御に変更し、ステッ
プS204でシャッタ先幕マグネット信号をHigh(図
32のタイミングt42に相当する)にしてシャッタ先幕
マグネットMg1を通電し、シャッタ先幕の走行を開始
する。次に、ステップS205で所定時間待ってからステ
ップS206で振れ補正制御をクローズド制御に変更す
る。
【0099】ここで、ステップS201で行われる振れ補
正を開始するとは具体的には、図27で規定されるヨー
イング方向の振れ補正制御(タイマ割込み)および図示
のないピッチング方向の振れ補正制御(タイマ割込み)
の各処理の動作を許可することである。このことによ
り、前述の説明のようにヨーイング方向とピッチング方
法の振れ補正制御が開始される。尚、この時点での振れ
補正制御に於ける制御ブロック線図は図30(a)で規定
されるもので、振れ補正はクローズド制御により精度の
良い振れ補正制御がなされる。また、ステップS202で
の振れ補正制御が安定するまで待つとは、ステップS20
1に於いて振れ補正制御が開始されてから安定して振れ
補正制御がなされるまでにはある時間が必要であり、こ
れを待つ処理である。この安定時間は数[ms]〜数1
0[ms]程度である。ステップS203に於ける振れ補
正制御をオープン制御に変更することは、この場合、図
30(a)に於ける制御係数g1、g2、g3をゼロにし、つ
まりは図30(d)で表される制御ブロック線図に制御を
変更し、実質的に補正レンズ位置情報を用いず、補正レ
ンズ目標位置情報のみで制御を行うオープン制御に変更
することである。ステップS205の所定時間待つとは、
ステップS204で行われたシャッタ先幕マグネットMg
1への通電の影響による補正レンズ位置検出機構5Y、
5Pの出力ノイズの振れ補正制御への影響が無視できる
ようになるまでの時間を待つ処理である。ステップS20
6での振れ補正制御をクローズド制御に変更すること
は、この場合、現在の制御係数g1、g2、g3がゼロに
設定され、振れ補正制御がオープン制御されている状態
から制御係数g1、g2、g3を正規の値の変更し、図3
0(a)で示されるクローズド制御に変更すことである。
この時点から、精度の良い振れ補正制御がなされる。
【0100】次に、ステップS206の処理が終了する
と、ステップS207に於いて所定時間待ち、ステップS2
08に於いてステップS203での処理と同様の方法で振れ
補正制御をオープン制御に変更し、ステップS209でス
トロボ発光信号をHigh(図32のタイミングt43に
相当する)にしてストロボ機構23を動作させてストロ
ボを発光させ、ステップS210に於いてストロボ発光の
補正レンズ位置検出機構5Y、5Pの出力ノイズの影響
がおさまるまでの時間を待ち、ステップS211でステッ
プS206の処理と同様の方法で振れ補正制御をクローズ
ド制御に変更する。ここで、ステップS206に於ける所
定時間の待ちの処理は、ステップS204で開始されたシ
ャッタ先幕の走行が完了し、シャッタが全開状態になっ
てからステップS209に於けるストロボの発光を行う為
のものである。
【0101】次に、ステップS211の処理を終了すると
ステップS212でシャッタ秒時に依存した時間を待ち、
ステップS213でステップS203での処理と同様の方法で
振れ補正制御をオープン制御に変更し、ステップS214
でシャッタ後幕マグネット信号をHigh(図32のタ
イミングt44に相当する)にしてシャッタ後幕マグネッ
トMg2を通電し、シャッタ後幕の走行を開始する。次
に、ステップS215でシャッタ後幕マグネットへの通電
による補正レンズ位置検出機構5Y、5Pの出力ノイズ
の影響がおさまるまでの時間を待ち、ステップS216で
ステップS206の処理と同様の方法で振れ補正制御をク
ローズド制御に変更し、ステップS217でシャッタ後幕
の走行が完了し、シャッタが閉じ終わる、つまり、露光
が終了するまで待ち、ステップS218で振れ補正制御を
終了し(図32のタイミングt45に相当する)、ステッ
プS219でシャッタ先幕マグネット信号SMG1、シャ
ッタ後幕マグネット信号SMG2、ストロボ発光信号を
元の位相、つまり、Lowに戻し(図32のタイミング
t46に相当する)、ステップS220で本露光制御の処理
を終了する。
【0102】ここで、ステップS212でのシャッタ秒時
に依存した時間を待ちとは、このタイミング以外の時間
(例えば、ステップS204〜ステップS211、ステップS
213〜ステップS215等の処理時間)も含めて最終的にフ
ィルム面での露光時間が思惑のシャッタ秒時分適正に露
光時間が得られる様にここで時間を待つ意味である。ま
た、ステップS218で行われる振れ補正を終了するとは
具体的には、図27で規定される振れ補正制御(タイマ
割込み)の処理動作を禁止することであり、このことに
より、このタイミングまで行われていたヨーイング方向
とピッチング方法の振れ補正制御が終了する。
【0103】このように、図30(a)に示す振れ補正を
ディジタル制御を用いて露光中に行うことができる。ま
た、図32で示されるように、シャッタ先幕マグネッ
ト、及び、シャッタ後幕マグネットを通電するタイミン
グから、或いは、ストロボを発光するタイミングからそ
れぞれの所定時間は、振れ補正制御をオープン制御し、
補正レンズ位置検出機構5Y、5Pの電気ノイズの影響
を受けないように振れ補正レンズ位置情報を使用せず振
れ補正制御を行うことができる。尚、シャッタ先幕マグ
ネットの通電から振れ補正制御をオープン制御する所定
時間(S205の所定時間に相当)、シャッタ後幕マグネ
ットの通電から振れ補正制御をオープン制御する所定時
間(S215の所定時間に相当)、及び、ストロボの発光
から振れ補正制御をオープン制御する所定時間(S210
の所定時間に相当)は、それぞれのタイミングの補正レ
ンズ位置検出機構5Y、5Pの出力ノイズのレベル、及
び、ノイズの継続時間等で決まり、それぞれ独立に時間
を設定するものとする。
【0104】次に、図36、37のフローチャートを用
いて電磁式の縦走りフォーカルプレーンシャッタの露光
時の制御の別の実施の形態を説明する。図36、37で
示されるフローチャートは、MPU1のプログラムの
内、露光制御に関して記したものであり、後述で規定さ
れる所定のタイミングでその動作が開始される。尚、図
36、37で規定される処理は、図32、及び、図3
4、35で規定される処理のオープン制御されるタイミ
ングを以下のように簡易化したものである。図32のタ
イミングt41〜t42の間とt42から所定時間、t43から
所定時間、及び、t44〜t45の各間をオープン制御とす
る。その他の制御は図34、35と同様である。
【0105】本露光制御の処理は、ステップS250から
開始され、ステップS251に於いて、制御係数g1、g
2、g3をゼロして、図27で規定される振れ補正制御
(タイマ割込み)の各処理の動作を許可することにより
ヨーイング方向とピッチング方法の振れ補正制御を開始
する(図32のタイミングt41に相当する)。よって、
この振れ補正制御は制御係数g1、g2、g3をゼロとす
るオープン制御である。次に、ステップS252に於いて
振れ補正制御が安定するまで待ち、ステップS253でシ
ャッタ先幕マグネット信号をHigh(図32のタイミ
ングt42に相当する)にしてシャッタ先幕マグネットM
g1を通電し、シャッタ先幕の走行を開始する。次に、
ステップS254でシャッタ先幕マグネットMg1への通
電の影響による補正レンズ位置検出機構5Y、5Pの出
力ノイズの振れ補正制御への影響が無視できるようにな
るまでの所定時間を待ってからステップS255で制御係
数g1、g2、g3を正規の値の変更し、振れ補正制御を
クローズド制御に変更する。
【0106】次に、ステップS255の処理が終了する
と、ステップS256に於いて、少なくともS253で開始さ
れたシャッタ先幕の走行が完了し、シャッタが全開状態
になるまでの時間待ち、S257に於いて制御係数g1、g
2、g3をゼロとすることで振れ補正制御をオープン制御
に変更し、ステップS258でストロボ発光信号をHig
h(図32のタイミングt43に相当する)にしてストロ
ボ機構23を動作さてストロボを発光させ、ステップS
259に於いてストロボ発光の補正レンズ位置検出機構5
Y、5Pの出力ノイズの影響がおさまるまでの時間を待
ち、ステップS260でステップS255の処理と同様の方法
で振れ補正制御をクローズド制御に変更する。
【0107】次に、Sステップ260の処理を終了する
と、ステップS261でシャッタ秒時に依存した時間を待
ち、ステップS262でステップS257での処理と同様の方
法で振れ補正制御をオープン制御に変更し、ステップS
263でシャッタ後幕マグネット信号をHigh(図32
のタイミングt44に相当する)にしてシャッタ後幕マグ
ネットMg2を通電し、シャッタ後幕の走行を開始す
る。次に、ステップS264でシャッタ後幕マグネットへ
の通電による補正レンズ位置検出機構5Y、5Pの出力
ノイズの影響がおさまり、かつ、シャッタ後幕の走行が
完了し、シャッタが閉じ終わる、つまり、露光が終了す
るまで待ち、ステップS265に於いて、図27で規定さ
れるヨーイング方向振れ補正制御(タイマ割込み)、こ
れと同様、その処理が規定されるピッチング方向振れ補
正制御(タイマ割込み)の各処理の動作を禁止すること
によりヨーイング方向とピッチング方法の振れ補正制御
を終了し(図32のタイミングt45に相当する)、S26
6でシャッタ先幕マグネット信号SMG1、シャッタ後
幕マグネット信号SMG2、ストロボ発光信号を元の位
相、つまり、Lowに戻し(図32のタイミングt46に
相当する)、ステップS267で本露光制御の処理を終了
する。
【0108】また、図36、37で示される処理をさら
に簡略化し、図32のタイミングt41のタイミングから
シャッタ先幕マグネットの通電して所定時間経過後まで
の間をオープン制御で振れ補正をするようなことをして
も構わない。上記の様な方法により、少なくとも補正レ
ンズ位置検出機構5Y、5Pの出力の電気的ノイズが影
響を及ぼすタイミングではこの電気ノイズによる振れ補
正制御への影響がないように補正レンズ位置情報を用い
ずに振れ補正制御を行い、それ以外のタイミングでは振
れ補正制御は補正レンズ位置情報を用いて精度のよい振
れ補正制御を行うようにすることが可能となる。
【0109】次に、近年銀塩コンパクトカメラのシャッ
タに多く使用されているレンズシャッタの露光時の振れ
補正の動作を説明する。本実施の形態ではレンズシャッ
タの開閉動作を行う為のアクチュエータとして最も良く
使用される1つである2相励磁型のステッピングモータ
を使用するものとする。このようなレンズシャッタは、
例えば 、ステッピングモータを構成する2つのコイル
第1相励磁用コイル、第2相励磁用コイルの励磁位相を
(第1相コイルの励磁符号,第2相励磁符号)と表す
と、(+、+)→(−、+)→(−,−)→(+,−)
→(+,+)‥‥の順序で励磁位相を変化させることに
よりシャッタは開口し、逆に、(+,+)→(+,−)
→(−,−)→(−,+)→(+,+)の順序で各コイ
ルの励磁位相を変化させることによりシャッタは閉じ
る。振れ補正制御は少なくともシャッタの開口動作の前
に開始し、シャッタの閉じ動作終了で終了するのが一般
的である。尚、レンズシャッタに於けるストロボの発光
は、被写体距離に応じて一意的にストロボ光による最適
露光量が得られるシャッタ開口F値が決まり、シャッタ
がこの開口F値に到達したタイミングでストロボを発光
させる、いわゆる、フラッシュマチック制御を行うのが
一般的である。よって、この場合、図38に於けるシャ
ッタが開口し始めるタイミングt54からシャッタが全開
するタイミングt56の間でストロボは発光する。
【0110】ここで、前述の電磁式の縦走りフォーカル
プレーンシャッタの例と同様、シャッタを開閉するため
のステッピングモータへの通電を制御するタイミング、
及び、ストロボを発光するタイミングでは瞬間に大きな
電流が流れ、それに誘発されて電気的ノイズが発生し、
極微少な電流を扱う補正レンズ位置検出機構5Y、5P
に影響を及ぼし、その出力に多大なノイズが紛れ込む。
そこで、本実施の形態では、上記補正レンズ位置検出機
構5Y、5Pに影響を及ぼすタイミングには、振れ補正
制御はオープン制御とした。具体的には図38のタイミン
グチャートに示す通り、シャッタ3を開口途中、及び、
閉じ途中はオープン制御とし、シャッタの開放中をクロ
ーズド制御とした。また、ストロボの発光は、シャッタ
3の開口途中であり、当然、オープン制御となる。振れ
補正制御に於けるオープン制御は、前述の縦走りフォー
カルプレーンシャッタと同様の制御方法を用いている。
尚、レンズシャッタカメラで実施する時、この場合のシ
ャッタ駆動機構6は、公知の技術を用いた、例えば、汎
用H−ブリッジ型のモータドライバを使用し、公知の技
術によりステッピングモータの第1相励磁用コイル、及
び、第2相励磁用コイルに前述のような任意の方向の励
磁位相を実現すれば良い。
【0111】図38は、露光時のシャッタ3の開閉の動
作とストロボ機構23の発光の動作、及び、振れ補正制
御の動作を示すタイミングチャートである。図38で示
されるタイミングチャートを用いてレンズシャッタカメ
ラの露光時の振れ補正制御の概略を説明すると、露光時
のシャッタの開口動作を始める前のタイミングt52から
オープン制御の振れ補正制御を開始し、シャッタが開口
し、開放F値まで開口した、つまり、シャッタが全開し
終わったタイミングt57から振れ補正制御はクローズド
制御を開始する。次に、シャッタを閉じ始めるタイミン
グt59の直前タイミングt58から振れ補正をオープン制
御に変更し、シャッタの閉じ動作が終了した後のタイミ
ングt61で振れ補正制御を終了する。尚、図38では、
ストロボはシャッタがかすかに開き始めるタイミングt
54からTSB時間後のタイミングt55で発光している。
【0112】次に、図39を用いてレンズシャッタカメ
ラの露光時の制御を説明する。図39で示されるフロー
チャートは、MPU1のプログラムの内、露光制御に関
して、レンズシャッタカメラの場合の実施の形態を記し
たものであり、後述で規定される所定のタイミングでそ
の動作が開始される。尚、振れ補正制御に於けるオープ
ン制御は、図30(d)で示される制御方法、つまり、ゲ
イン係数g1、g2、g3をゼロにし、結果的に補正レン
ズ位置情報を用いずに補正レンズ目標位置に基づくオー
プン制御を行う方法により制御を行うこととする。ま
た、これ以外、例えば図30(b)、図30(c)の方法、若
しくは、それ以外の方法を用いて結果的に補正レンズ位
置情報を用いずに振れ補正制御を行っても構わない。
【0113】本露光制御の処理は、ステップS280から
開始され、ステップS281に於いて、ステッピングモー
タを初期励磁位相である(+、+)位相に励磁する(図
39のタイミングt51に相当する)。次に、ステップS
282に於いて制御係数g1、g2、g3をゼロして、図27
で規定されるヨーイング方向振れ補正制御(タイマ割込
み)、及び、これと同様、その処理が規定されるピッチ
ング方向振れ補正制御(タイマ割込み)の各処理の動作
を許可することによりヨーイング方向とピッチング方法
の振れ補正制御を開始する(図38のタイミングt52に
相当する)。よって、この振れ補正制御は制御係数g
1、g2、g3をゼロとするオープン制御である。次に、
ステップS283に於いて振れ補正制御が安定するまで待
ち、ステップS284で公知の技術によりストロボの発光
タイミングを決定し、決定されたタイミングでストロボ
が発光するように設定する。次に、ステップS285でス
テッピングモータを(+、+)→(−、+)→(−,
−)→(+,−)→(+,+)‥‥の順序で励磁位相を
変化させることによりステッピングモータを動作させて
シャッタを開口する(図38のタイミングt53〜t56に
相当する)。このt53〜t56の所定のタイミングでスト
ロボが発光(図38の例ではタイミングt55に相当す
る)する。ストロボ機構23の発光タイミングは、たと
えば、MPU1にタイマ割込み機能があれば、その機能
を使用し、図38ではシャッタが開き始めるタイミング
t54よりTSB時間後のタイミングt55でその割込みを
発生させ、ストロボ発光信号を一瞬Highに上げるこ
とによりストロボ機構23を動作させ、ストロボを発光
させる。尚、t53〜t54の時間が常に一定であれば、T
BSの計測基タイミングをt54ではなくt53に、つまり
は、図39のステップS284をストロボの発光タイミン
グの基準として良い。
【0114】ステップS285の処理を終了すると、ステ
ップS286に於いて振れ補正制御に関する制御係数g
1、g2、g3を正規の値の変更し、振れ補正制御をク
ローズド制御に変更する(図38のタイミングt57に相
当する)。次に、ステップS286の処理を終了するとス
テップS287でシャッタ秒時に依存した時間を待ち、ス
テップS286で振れ補正制御に関する制御係数g1、g
2、g3をゼロにすることにより振れ補正制御をオープン
制御に変更する(図38のタイミングt58に相当す
る)。次に、ステップS289に於いてステッピングモー
タを(+,+)→(+,−)→(−,−)→(−,+)
→(+,+)の順序で励磁位相を変化させることにより
シャッタを元通りに閉じる(図38のタイミングt59〜
t61に相当する)。ステップS289の処理を終了する
と、ステップS290に於いて図27で規定される振れ補
正制御(タイマ割込み)の処理の動作を禁止することに
よりヨーイング方向とピッチング方法の振れ補正制御を
終了し(図38のタイミングt62に相当する)、ステッ
プS291でステッピングモータを非通電(図38のタイ
ミングt63に相当する)にし、ステップS292で本露光
制御の処理を終了する。
【0115】上記のような方法により、少なくとも補正
レンズ位置検出機構5Y、5Pの出力の電気的ノイズが
影響を及ぼすタイミングではこの電気ノイズによる振れ
補正制御への影響がないように補正レンズ位置情報を用
いずに振れ補正制御を行い、それ以外のタイミングでは
振れ補正制御は補正レンズ位置情報を用いて精度の良い
振れ補正制御を行うようにすることが可能となる。
【0116】次に、補正レンズ位置検出機構5Y、5P
の出力を利用したカメラ本体に対する重力方向検出、及
び、カメラの構え方向検出の方法の実施の形態を説明す
る。まず、その検出方法概略を以下に述べる。半押しス
イッチSW1が押されてから、少なくとも全押しスイッ
チSW2がオンするまでの間のヨーイング方向、及びピ
ッチング方向の補正レンズ位置の平均を算出する。この
補正レンズ位置の平均値の算出方法は、補正レンズ位置
検出機構5Y、5Pの出力V1、V2を所定時間間隔でサ
ンプリングし、そのサンプリング値から前述の通り数
8、9、10を用いて補正レンズ位置を算出する。今、
ヨーイング方向の第i番目のサンプリング時の補正レン
ズ位置をLRY(i)とし、サンプリング回数をn回と
した時のヨーイング方向の補正レンズ平均位置LRY0
は数32で算出され、同様に、ピッチング方向の第i番
目のサンプリング時の補正レンズをLRP(i)とし、
サンプリング回数をm回とした時のピッチング方向の補
正レンズ平均位置LRP0は数33で算出される。
【0117】
【数32】
【0118】
【数33】 尚、以下で使用する補正レンズ2の位置の座標を(ヨー
イング方向の補正レンズ位置、ピッチング方向の補正レ
ンズ位置)と表し、図42に示すように便宜的にユーザ
ーがカメラを横位置に構えた時、カメラをフィルム面側
から見て右横方向をヨーイングの+方向、上方向をピッ
チングの+方向と定義するものとする。図41にこうし
て得られた補正レンズ平均位置LR0(LRY0,LR
P0)の例を示す。図41では、補正レンズ平均位置L
R0の座標は(−0.1[mm],−0.2[mm])
の例を示している。今、カメラの撮影レンズ光軸と重力
方向とが平行になるように静止させた場合を考える。こ
の場合、補正レンズ2は重力の影響を受けず、補正レン
ズ2を支える弾性力が釣り合った位置で静止する。この
位置をLR1(LRY1,LRP1)とする。ここで、
LR1を基準とした座標LR0’で半押し時の補正レン
ズ平均位置LR0を表すと数34のようになる。図41
では、座標LR0’=(−0.4[mm]、−0.4
[mm])と算出される。
【0119】
【数34】 LR0’=(LRY0’,LRP0’) =(LRY0−LRY1,LRP0−LRP1) 数34で示される弾性力釣り合い位置座標からの補正レ
ンズ平均位置座標LR0’を一つのベクトルとみた場
合、その方向はカメラに対する重力方向を示し、つま
り、重力方向を基準とするとカメラの光軸方向の回転を
意味し、その大きさはその影響力を意味する。
【0120】今、図42のように、ユーザーがカメラを
以下のように構えた場合を想定する。カメラはフィルム
面側から見て撮影光軸を中心とした回転方法に反時計方
向を+にθg、かつ、水平方向対しθh傾けられている
ものとする。θg、θhと座標LR0’とは以下の関係
が成り立つ。まず、ベクトルLR0’とθgには、数3
5の関係が成り立つ。
【0121】
【数35】θg=tan−1(LRY0’/LRP
0’)+kg×π ここで、LRY0’≦0、かつ、LRP0’≦0の場合
はkg=0、LRY0’>の場合はkg=1、LRY
0’>0、かつ、LRP0’>0の場合はkg=2と
し、θgの範囲は−π〜+πとする。尚、LRP0’/
LRP’=∞の場合、LRY0’>0時はθg=−π/
2、LRY0’<0の時はθg=+π/2とする。例え
ば、図41の例では、弾性力の釣り合い位置LR1の座
標は(+0.3[mm],+0.2[mm])の位置に
あり、弾性力釣り合い位置LR1からの補正レンズ平均
位置座標LR0’は(−0.4[mm]、−0.4[m
m])である。この場合、ユーザがフィルム面側から見
て反時計方向にθg=+π/4傾いて構えたことが算出
できる。尚、弾性力の釣り合いの位置LR1の座標はカ
メラ出荷時に測定し調整値としてEEPROM24に記
憶させておくものとする。
【0122】次に、ベクトルLR0’の大きさfgは、
数36で示され、fgとθhとは、数37の関係にあ
る。
【0123】
【数36】fg=√(LRP0’2+LRY0’2)
【0124】
【数37】|θh|=cos−1(fg/fg0) ここで、|θh|は0〜+π/2の範囲とし、fg0は
カメラをθh=0の位置に、つまり、水平方向に置いた
場合のfgの値であり、カメラ出荷時にこの値を測定
し、EEPROM24に調整値として書き込んでおく。
尚、本実施の形態のような補正レンズ位置の重力による
偏りによる検出では、θhの絶対値は検出できるが、理
論的にその符号は導き出せないことを付け加えておく。
【0125】以上のようにして、補正レンズ2の重力の
影響にいる位置の偏りから、カメラの傾きの情報を得
る。次に、補正レンズ2の平均位置LR0、及び、座標
系を変換したLR0’を求める具体的方法を、図43の
フローチャート等を用いて説明する。ここでは、ワンチ
ップコンピュータ等で容易に制御を行うよう、MPU1
でサンプリング制御を行った例を、図43のフローチャ
ートに示す。図43で示されるフローチャートは、MP
U1のプログラムの内、ヨーイング方向の補正レンズ位
置積算処理に関しての実施の形態を記したものであり、
後述で規定される所定のタイミングでその動作が開始さ
れてから、後述で規定される所定のタイミングでその動
作が禁止されるまでの間、所定時間間隔、例えば、1
[ms]間隔でその動作を繰り返し行うタイマ割込み処
理である。MPU1は、このように所定時間間隔で処理
を起動するタイマ割込みの機能を有している。尚、本ヨ
ーイング方向の補正レンズ位置積算処理が許可される間
とは、カメラのレリーズ釦をユーザーが半押し操作する
ことによる半押しスイッチSW1のオン(図40のタイ
ミングt71に相当する)に応じてその動作が開始され
(図40のタイミングt72に相当する)、カメラのレリ
ーズ釦をユーザーが全押し操作することによるレリーズ
スイッチSW2のオン(図40のタイミングt73に相当
する)に応じてその動作が禁止れされる(図40のタイ
ミングt74に相当する)。
【0126】図43の処理は、ステップS150から開始
され、ステップS151でヨーイング方向の補正レンズ位
置検出機構5Yの出力V1、V2をモニタし、ステップS
152に於いて、前述数8、9、10を用いてヨーイング
方向の補正レンズ位置LRYを算出する。次にステップ
S153に於いてヨーイング方向の補正レンズ位置LRY
を積算し、積算値をSLRYとし、ステップS154でヨ
ーイング方向の補正レンズ位置の積算回数nを+1し、
S155で本ヨーイング方向の補正レンズ位置積算処理
を終了する。尚、ヨーイング方向の積算値SLRY、及
び、ヨーイング方向の積算回数nの初期値は0とし、本
ヨーイング方向の補正レンズ位置積算処理が許可された
初回サンプリング時にSLRY、及び、nを0とするも
のとする。このようにして、サンプリング毎にヨーイン
グ方向の補正レンズ位置が積算されて行く。
【0127】次に、後述の規定されるタイミングで本ヨ
ーイング方向の補正レンズ位置積算処理の動作を禁止
し、その時の積算値SLRYと積算回数nから、数32
を基に補正レンズ平均位置LRY0が算出される。つま
りは、数32のΣLRY(i)部分がSLRYに相当
し、SLRYを積算回数nで割ることにより補正レンズ
平均位置LRY0が算出される。尚、ピッチング方向の
補正レンズ平均位置LRP0も以上の方法と同様の方法
を用いて算出される。LRY0、LRP0を用いて数3
4、35、36、37により、前述のようにカメラの傾
きθg、|θh|が算出される。
【0128】次に、前述の方法で算出されたヨーイング
方向、ピッチング方向の補正レンズ平均位置LRY0、
LRP0、カメラの傾きθg、|θh|を利用方法の実
施の形態を説明する。まず、第1に多点測距タイプカメ
ラに於ける複数の測距値から1つの被写体距離情報、或
いは、撮影レンズのデフォーカス量を算出する場合に、
前述カメラの傾きθg、|θh|の情報を用いる。若し
くは、多分割測光タイプカメラに於ける多分割測光値か
ら最終的な1つの測光値を算出する場合に、前述カメラ
の傾きθg、|θh|の情報を用いる。その詳細を以下
説明する。
【0129】今、測距機構21は、撮影画角内の互いに
異なるp個の領域の被写体距離情報、或いは、撮影光学
系のデフォーカス量を出力するものであるとする。その
測距機構21から出力されるp個の領域の測距値をAF
(1)、AF(2)、‥‥、AF(i)、‥‥AF
(p)とした場合、最終測距値AFは、数38を用いて
算出する。
【0130】
【数38】 ここで、kf(i)は、第i番目の領域の測距値AF
(i)の重み付け値であり、数38は、各領域の測距値
とその重み付け値による重み付け平均を算出することを
意味する。ここで、各領域の重み付け値kf(i)(i
=1、2、3‥‥p)は数39のように前述のカメラの
傾きθg、|θh|に依存してその値を決定する。
【0131】
【数39】kf(i)=f(θg,|θh|) 但し、i=1,2,3,4‥‥pとする。また、測距値
の得られない領域のkf(i)は0とする。これは、測
距機構21の形態によっては、例えば、測距機構21が
パッシブ方数の測距機構であった場合には、全領域でそ
の測距値が得られるとは限らない。その場合、測距値の
得られなかった領域の測距値を数38で算出される重み
付け平均に入れないようにする為に、測距値の得られな
い領域の重み付け値kf(i)は0とするものとする。
【0132】次に、測光機構22は、撮影画角内の互い
に異なるq個の領域の被写体輝度情報を出力するもので
ある。尚、被写体輝度の単位は、例えばAPEX方数に
準じてBV(brightnes valeue)とす
る。その測距機構21から出力されるq個の領域の測距
値をAE(1)、AE(2)、‥‥、AE(i)、‥‥
AE(q)とした場合、最終測光値AEは数40を用い
て算出する。
【0133】
【数40】 ここで、kf(i)は、第i番目の領域の測光値AE
(i)の重み付け値であり、数40は、各領域の測光値
とその重み付け値による重み付け平均を算出することを
意味する。ここで、各領域の重み付け値kf(i)(i
=1、2、3‥‥q)は、数41のように前述のカメラ
の傾きθg、|θh|に依存してその値を決定する。
【0134】
【数41】 ke(i)=f(θg,|θh|) ‥‥数41 但し、i=1,2,3,4‥‥qとする。 次に、各領域の測距値、及び、測光値の重み付け値kf
(i)、ke(i)の設定の実施の形態の具体例を説明
する。今、測距機構21の測距領域が、図44のように
撮影画角に対して配置され、その領域数p=9とする。
また、同様に測光機構22の測光領域が、図45のよう
に撮影画角に対して配置され、その領域数q=9とす
る。この時、カメラの傾きと各領域の測距値の重み付け
値kf(i)(i=1,2,3,‥‥,9)、測光値の
重み付け値ke(i)(i=1,2,3,‥‥,9)の
例を、図46(a)(b)、47(a)(b)、48(a)(b)に示す。
これらの各図に於ける左図は、カメラを後方のフィルム
面側から見た時のカメラの傾きを、それぞれの中央図
は、カメラの右横側から見た時のカメラの傾きを、それ
ぞれの右図は、その時の各領域の測距値の重み付け値、
及び、測光値の重み付け値をそれぞれ示す。右図は、図
44、及び、図45の測距の領域及び、測光の領域の配
置と同じ部分に配置された数値がその領域の測距値、及
び、測光値の重み付け値を示す。尚、各領域の測距値の
重み付け値と測光値の重み付け値とは、本例では共通の
値とした。図46(a)は、カメラを横位置(θg=0に
相当する)、水平(θh=0に相当する)に構えた場合
の各領域の測距値の重み付け値、及び、測光値の重み付
け値の例を示した図である。図46(a)のようなカメラ
の構え方は、最も一般的な構え方であり、その時の各領
域の重み付け値は被写体の存在確立の最も高いだろう画
角中央を優先し、周辺領域の重み付けは小さく抑えた。
図46(b)、及び、図47(a)は、カメラを横位置(θg
=0に相当する)に構え、かつ、カメラを上向き(θh
=約+30°に相当する)にした場合、及び、下向き
(θh=約−30°)にした場合の各領域の測距値の重
み付け値、及び、測光値の重み付け値の1例を示した図
である。前述のように、本実施の形態のような補正レン
ズの平均位置からカメラの傾き情報を算出する方式で
は、この例のような上向き、下向きの相違は検出できな
い。これは、θhの絶対値は検出できても符号は検出で
きないからである。よって、図46(b)、図47(a)の各
領域の重み付け値は同じとし、中央領域の重み付けを大
きく、かつ、上下の領域の重み付けを小さくする。これ
は、カメラを上向きに構えた場合に画角上部に太陽光等
の強い逆行が入射し、測距値、及び、測光値に影響を与
える場合が有り得る為、上部領域の重み付け値を小さく
し、また、カメラを下向きに構えた場合に画角下部に地
面等の暗い物体からの光が入射し、最終的な数38、4
0で算出される測距値値AF、及び、測光値AEに影響
を与える場合が有り得る。一方、前述のようにカメラの
上向き、下向きの区別がつかない為、これらを加味して
画角上部、及び、下部の重み付け値を小さく抑えるもの
とする。図47(b)、図48(a)、及び、図48(b)は、
カメラを光軸を水平方向に構え(θh=0に相当す
る)、かつ、図47(b)、図48(a)、(b)でそれぞれ反
時計方向に斜め(θg=約+30°に相当する)、時計
方向に斜め(θg=約−30°に相当)、反時計方向に
90°回転させて(θg=+90°に相当する)に構え
た場合の各領域の測距値の重み付け値、及び、測光値の
重み付け値の例を示した図である。この場合、重力方向
の重み付けを大きくし、それ以外の領域は重み付けを小
さくするものとする。
【0135】尚、上記説明では、測距値と測光値の各領
域の重み付け値を共通としたが、別々の設定をしても構
わないし、上記説明ではそれぞれの領域の重み付けを1
から3の値に設定した例を示したが、これ以外にも、カ
メラの傾きθg、及び、|θh|を使用してもっときめ
細かく設定しても構わないし、逆に、重み付け値を0と
1のみにし、その領域の測距値、或いは、測光値を選択
するか選択しないかとしても構わない。
【0136】このように、従来カメラに於いてユーザの
構え方によるカメラの傾きが測距性能、及び、測光性能
に大きな影響を及ぼしてきたが、本示実施の形態によれ
ばこれらの影響を大きく低減し、かつ、測距性能、測光
性能を大きく向上させることが可能となる。次に、補正
レンズ2は弾性力によって支持されている為、前述のよ
うに弾性力の偏りにより、或いは、補正レンズ2の可動
部材の自重等によりその定常時の位置は補正レンズ可動
範囲の中央からずれた位置となる。また、弾性力の偏り
の影響は、補正レンズ2の機構等の経時変化、及び、劣
化等によりより顕著になる場合があり、自重による影響
はユーザのカメラの構え方、つまりは、カメラの傾きに
依存してその影響を及ぼす方向、及び、量が変化する。
このようにして大きな補正レンズ位置の偏りがあるまま
前述のような振れ補正制御を行った場合には、当然、そ
の振れ補正制御精度に影響を及ぼす。そこで、図30
(a)で示される補正レンズ制御の制御ブロック線図を変
更し、前述の方法で算出されたヨーイング方向、ピッチ
ング方向の補正レンズ平均位置LRY0、LRP0に依
存してその制御係数を変更することで、これらの影響を
極力受けないように補正レンズ制御を行い、より精度の
良い振れ補正を行う。
【0137】その実施の形態を以下説明する。前述の方
法により補正レンズ平均位置LR0=(LRY0,LR
P0)が算出される。得られた補正レンズ平均位置LR
0=(LRY0,LRP0)を用い、図49で示される
制御ブロック線図を用いて振れ補正制御を行う。図49
は図30(a)の制御ブロック線図からオープン制御項V
oYの算出方法をヨーイング方向の補正レンズ平均位置
LRY0に依存した形に変更し、フィードバック制御項
に新たにゲイン係数g4というヨーイング方向の補正レ
ンズ平均位置LRY0に依存した制御係数を追加するこ
とで行う。
【0138】まず、ヨーイング方向のオープン制御項V
oYは、数24を変更し、ヨーイング方向の補正レンズ
平均位置LRY0のパラメタを追加した数42により算
出する。
【0139】
【数42】VoY=g0×(LCY−LRY0) この数42を具体的例を上げて説明する為に、補正レン
ズ2の可動部材の自重、及び、弾性力の偏りによりヨー
イング方向の補正レンズ平均位置LRY0が図7の点線
で示されるように補正レンズ2のヨーイング方向の可動
範囲の中心より−0.2[mm]偏り、ヨーイング方向
の補正レンズ平均位置LRY0=−0.2[mm]と算
出された場合を考える。この時、補正レンズを可動範囲
の中央位置(補正レンズ目標位置LCY=0に相当する
位置)に制御しようとした場合、数24で算出されるオ
ープン制御項VoYはゼロであり、この項のみで制御を
行えば、当然補正レンズ位置は−0.2[mm]の位置
から動こうとしない。こうした状態でフィードバック制
御を行えば、その分フィードバック量が大きくなり、制
御誤差が増大する。それに対し、数42で算出されるオ
ープン制御項VoYは、+0.2[V]であり、十分な
時間経過後の定常状態では、補正レンズ2は目標位置付
近に位置し、当然フィードバック量が小さく済み、制御
誤差は小さくなる。このように数42を用いることによ
り、自重、或いは、弾性力の偏りによる補正レンズ位置
の偏りの影響を極力小さくすることが可能となる。
【0140】次に、フィードバック制御項に、新たにゲ
イン係数g4という制御係数を追加する意味について説
明する。フィードバック制御項VfYは、数30にヨー
イング方向の補正レンズ平均位置LRY0に依存した制
御係数g4を追加した数43で算出する。
【0141】
【数43】VfY=g4×(VdY+VpiY) ここで、g4は、数44のヨーイング方向の方正レンズ
平均位置LRY0に依存した関数で算出され、例えばそ
の1例として数45のようにヨーイング方向の可動範囲
2mmとLRY0の偏りの比率の絶対値に依存した関数
として算出する。
【0142】
【数44】g4=f(LRY0)
【0143】
【数45】 g4=kg4×(1+|LRY0/2.0mm|) 尚、kg4は正の正数であり、例えばkg4=1.0とす
る。これら数43、44、及び、45は、補正レンズ2
の偏りが大きい場合にはフィードバック量を大きくし、
制御の追従性を向上させようというものである。また、
同様の効果を得る目的で、数43、44、及び、45を
用いずに、図30(a)の制御ブロックに於ける制御係数
g1、g2、g3をLRY0に依存して可変することで行
っても構わない。尚、図30(a)に示される制御ブロッ
ク図は、図49に於ける制御ブロック線図の特別な例で
あり、もし、上記のような補正レンズの位置的な偏りが
無視できる補正レンズ機構系である場合、LRY0=
0、かつ、g4=1.0として図49の制御ブロック線
図を用いて補正レンズ制御を行っても構わない。尚、こ
れらの数44、乃至、45の算出タイミングについては
後述する。
【0144】次に、図50のフローチャートを用いて、
図49の制御ブロック線図に基づくヨーイング方向補正
レンズ駆動量VoutYの算出の具体的実施の形態を説
明する。図50で示される処理は、図31に示されるヨ
ーイング方向補正レンズ駆動量VoutY算出の処理の
別の実施の形態であり、図27のステップS403で行わ
れる処理である。その処理は、ステップS620から始ま
りステップS621に於いて数42を用いて、補正レンズ
2のヨーイング方向の位置的偏りを意味する補正レンズ
平均位置LRY0に依存してオープン制御項VoYを算
出する。次に、ステップS622に於いて、補正レンズ位
置誤差△LYを数25を用いて算出する。ステップS62
2の処理を終えると、ステップS623で位置誤差比例項V
pYを数26を用いて算出する。次に、ステップS624
で位置誤差微分項VdYを数27を用いて算出する。
尚、式△LY’は、前回のサンプリング時の△LYであ
り、数27は図49に於ける△LYの微分値に比例係数
g3を乗じた部分に相当し、△Lの微分を△LYの前回
のサンプリング時との変化量△LY−△LY’で近似的
に算出している。また、△LY’は前回のサンプリング
時に△LYを保持しておくものとし、初回のサンプリン
グ時にこの値が不定とならないように、初回サンプリン
グ時の△LY’は所定の値、例えば0とする。次に、ス
テップS625で位置誤差積分項ViYを数28を用いて
算出する。数28は、図49の積分部分を積算として近
似的に算出し、初回サンプリング時のViYの初期値は
所定の値、例えば0とする。また、VpiYは次のステ
ップS626で算出され、ここでは前回のサンプリング時
の値を保持しておき、その値を使うものとする。初回サ
ンプリング時のVpiYは不定のため、初回サンプリン
グ時には所定の値、例えば0として数28を演算するも
のとする。次に、ステップS626で位置誤差比例−位置
誤差積分項VpiYを数29を用いて算出する。次に、
ステップS627でステップS624とステップS626で算出
されたVdY、VpiYと、補正レンズ2のヨーイング
方向の位置的偏りを意味するヨーイング方向補正レンズ
平均位置LRY0に依存して求められるg4を用いて数
43により、フィードバック制御項VfYを算出する。
次にステップS628に於いてステップS621とステップS
627で算出されたVoY、VfYを用いて数31により
最終的なヨーイング方向補正レンズ駆動量VoutYを
算出し、ステップS629で補正レンズ駆動量VoutY
算出の処理を終了し、図27のステップS404へ進む。
尚、上記図50のフローチャートの処理の説明で用いた
各項VoY、VpY、ViY、VpiY、VdY、Vf
Y等は、図49の制御ブロック線図で使用している用語
と同一である。
【0145】尚、前述の露光時の補正レンズ位置検出機
構5Y、5Pの電気的ノイズの対策に伴う補正レンズ駆
動制御のオープン制御、クローズド制御の切り替えは、
ヨーイング方向補正レンズ制御を図31のフローチャー
トで示される処理から図50で示されるフローチャート
にそのまま入れ替えても同様に制御が可能である。つま
り、図34、35、図36、37で示される露光制御に
於けるオープン制御に変える、或いは、クローズド制御
に変える処理は制御係数g1、g2、g3を0、若しく
は、正規の値に変えることにより同様に処理が行える。
【0146】次に、以上説明してきた各種調整、振れ補
正制御、カメラの傾き検出等の制御を如何なるタイミン
グで行うかの実施の形態を説明する。MPU1は、従来
の振れ補正機能を有しないカメラと同様に振れ補正以外
のカメラの制御を行うと共に、振れ補正関連の一連の動
作を行う。以下図51、52、53、54及び、図55
を用いてその説明を行う。
【0147】まず、ユーザーによりカメラに電池(不図
示)が投入されると電池からカメラの電気回路全体の電
源が供給される。図51は、ユーザによりカメラに電池
が投入された時にMPU1が最初に行う処理について記
載したフローチャートである。図51の電池投入時の制
御の処理は、ステップS1からその処理が始まり、ステ
ップS2に於いてヨーイング方向の補正レンズ位置検出
部の発光量調整を例えば図14、15で示されるフロー
チャートを用いて調整し、ステップS3に於いてピッチ
ング方向の補正レンズ位置検出部の発光量調整を例えば
図14、15で示されるフローチャートと同様の方法で
調整し、ステップS4でヨーイング方向の補正レンズ位
置検出部のガンマ、シフト調整を例えば図36、37で
示されるフローチャートを用いて調整し、ステップS5
でピッチング方向の補正レンズ位置検出部のガンマ、シ
フト調整を例えば図26で示されるフローチャートと同
様の方法で調整し、ステップS6に於いてメインスイッ
チMSWの受け付けを許可する。ステップS6の処理に
より、後述する図52で示されるメインスイッチMSW
オン時の制御、及び、図53で示されるメインスイッチ
MSWオフ時の制御が許可される。ステップS6の処理
が終了すると、ステップS7に於いて本電池投入時の制
御の処理を終了する。
【0148】次に、ユーザーによりカメラのメインスイ
ッチMSWがオンされるとMPU1は以下のような処理
を行う。図52は、ユーザーによりカメラのメインスイ
ッチMSWがオンされた時にMPU1が行う処理を記載
したフローチャートである。図52のメインスイッチM
SWオン時の制御の処理は、ステップS10からその処理
が始まり、ステップS10に於いてヨーイング方向の補正
レンズ位置検出部の発光量調整を例えば図14,15で
示されるフローチャートを用いて調整し、ステップS12
に於いてピッチング方向の補正レンズ位置検出部の発光
量調整を例えば図14,15で示されるフローチャート
と同様の方法で調整し、ステップS13でヨーイング方向
の補正レンズ位置検出部のガンマ、シフト調整を、例え
ば図26で示されるフローチャートを用いて調整し、ス
テップS14でピッチング方向の補正レンズ位置検出部の
ガンマ、シフト調整を例えば図26で示されるフローチ
ャートと同様の方法で調整し、ステップS15に於いて半
押しスイッチSW1の受け付けを許可するステップS15
の処理により、後述する図54,55あるいは56で示
される半押しスイッチSW1オン時の制御の処理が許可
される。ステップS15の処理が終了すると、ステップS
16に於いて本メインSWオン時の制御の処理を終了す
る。
【0149】次に、ユーザーによりカメラのメインスイ
ッチMSWがオフされると、MPU1は以下のような処
理を行う。図53は、ユーザーによりカメラのメインス
イッチMSWがオフされた時にMPU1が行う処理を記
載したフローチャートである。図52のメインスイッチ
MSWオフ時の制御の処理は、ステップS20からその処
理が始まり、ステップS21に於いて半押しスイッチSW
1の受け付けを禁止する。ステップS21の処理により、
後述する図54,55あるいは56で示される半押しス
イッチSW1オン時の制御の処理が禁止される。ステッ
プS21の処理が終了するとステップS22に於いてメイン
スイッチMSWオフ時の制御の処理を終了する。
【0150】このように、本実施の形態では、図52の
メインスイッチMSWオン時の制御、及び、図53のメ
インスイッチMSWオフ時の制御の各処理により、メイ
ンスイッチMSWがオンしている間は、後述する図5
4,55あるいは56で規定される半押しスイッチSW
1オン時の制御により行われる撮影動作が許可され、メ
インスイッチMSWがオフしている間は、撮影動作が禁
止される。
【0151】次に、メインスイッチMSWがオンしてい
る間に、ユーザーによりカメラの半押しスイッチSWが
オンされると、MPU1は以下のような処理を行う。図
54,55は、メインスイッチMSWがオンしている間
に、ユーザーによりカメラの半押しスイッチSW1がオ
ンされた時にMPU1が行う処理を記載したフローチャ
ートである。図54,55の半押しスイッチSW1オン
時の制御の処理は、ステップS30からその処理が始ま
り、ステップS31に於いてヨーイング方向の補正レンズ
位置検出部の発光量調整を例えば図14,15で示され
るフローチャートを用いて調整し、ステップS32に於い
てピッチング方向の補正レンズ位置検出部の発光量調整
を例えば図14、15で示されるフローチャートと同様
の方法で調整し、ステップS33でヨーイング方向の補正
レンズ位置検出部のガンマ、シフト調整を例えば図26
で示されるフローチャートを用いて調整し、ステップS
34でピッチング方向の補正レンズ位置検出部のガンマ、
シフト調整を例えば図26で示されるフローチャートと
同様の方法で調整し、ステップS35に於いて、ヨーイン
グ方向の振れ検出機構4Y、ピッチング方向の振れ検出
機構4Pを動作させ、振れの検出を開始する。次に、ス
テップS36で、図43で示される補正レンズ位置積算処
理、及び、同様の方法で実現されるピッチング方向の補
正レンズ位置積算処理を許可し、振れ補正レンズ位置の
積算を開始する。ステップS36の処理を終了すると、ス
テップS37で測光機構22を動作させ、撮影画角内の複
数の領域の測光値を得る。次に、ステップS38で測距機
構21を動作させ、撮影画角内の複数の領域の測距値を
得る。次に、ステップS39でユーザーのレリーズ釦の全
押し操作でオンするレリーズスイッチSW2がオンした
かを判定し、オンしていればステップS41へ進み、オフ
であればステップS40でユーザーのレリーズ釦の半押し
操作でオンする半押しスイッチSW1がまだオンしてい
るかを判定する。ステップS40で半押しスイッチSW1
がまだオンしていればステップS39へ戻り、既にオフし
ていればステップS47へ進み、半押しスイッチSW1が
オン時の制御の処理を終了する。ステップS39でレリー
ズスイッチSW2がオンと判定されてた場合には、ステ
ップS41で図43で示される補正レンズ位置積算処理を
終了し、その時のヨーイング方向補正レンズ位置の積算
値、積算回数、及び、ピッチング方向補正レンズ位置の
積算値、積算回数から前述の方法で補正レンズ平均位置
LR0=(LRY0,LRP0)を算出する。次に、ス
テップS42に於いてステップS41で算出された補正レン
ズ平均位置LR0=(LRY0,LRP0)から前述の
方法で、カメラの姿勢、傾きを示すθg、及び、|θh
|を算出し、ステップS43に於いて前述の方法を用いて
ステップS38で得られた複数の測距値からθg、及び、
|θh|に依存して最終測距を算出し、公知の方法によ
りフォーカシング量を決定する。本発明に関係が浅い
為、不図示ではあるが例えばオートフォーカスカメラで
はここで得られたフォーカシング量に基づき、撮影レン
ズ全体を、或いは、撮影レンズの一部を光軸方向へ移動
させ、フィルム面でのピントを調整するフォーカシング
動作を行う場合がある。ステップS43の処理が終了する
と、ステップS44に於いて、前述の方法を用いてステッ
プS37で得られた複数の測光値から1つの測光値をθ
g、及び、|θh|に依存して決定し、公知の方法によ
り適正露光量の得られるシャッタ秒時、撮影レンズの絞
り値等が算出される。ステップS44の処理が終了する
と、ステップS45で前述の数44、乃至、数45を用い
て補正レンズ制御に於ける制御係数g4を算出、或い
は、その他の制御係数を前述の補正レンズ平均位置LR
0=(LRY0,LRP0)に依存して決定し、ステッ
プS46で図34、35、若しくは、図36、37、若し
くは、図39で示される露光制御の処理を行い、図27
と図28、図29、図31、或いは、図50で規定され
る処理により、露光中の振れ補正制御が行われる。ステ
ップS46の処理を終了すると、ステップS47で半押しス
イッチSW1オン時の制御の処理を終了する。
【0152】次に、メインスイッチMSWがオンしてい
る間に、ユーザーによりカメラの半押しスイッチSW1
がオンされた場合のMPU1で行う半押しスイッチSW
1オン時の制御の他の実施の形態を説明する。図55
は、メインスイッチMSWがオンしている間に、ユーザ
によりカメラの半押しスイッチSW1がオンされた時に
MPU1が行う処理に於いて本発明に関する部分のみを
記載したフローチャートであり、図54の半押しスイッ
チSW1オン時の制御の別の実施の形態を示したもので
ある。尚、補正レンズ平均位置の算出処理、及び、その
算出された値を用いた多点測距値、多分割測距値からの
1つの測距値、測光値を算出する処理、振れ補正制御の
パラメタ変更等の処理は、図54で示されているのでこ
こでは省略するものとする。
【0153】図55の半押しスイッチSW1のオン時の
制御の処理は、ステップS50からその処理が始まり、ス
テップS51に於いて、ヨーイング方向の振れ検出機構4
Y、ピッチング方向の振れ検出機構4Pを動作させ、振
れの検出を開始する。次に、ステップS52で測光機構2
2を動作させ被写体輝度情報を得る。この場合の測光機
構22は、多分割タイプの測光機構でなくても構わな
い。次に、ステップS53で測距機構21を動作させ、被
写体の測距値情報を得る。この場合の測距機構21は多
点タイプの測距機構でなくても構わない。次に、ステッ
プS54でユーザのレリーズ釦の全押し操作でオンするレ
リーズスイッチSW2がオンしたかを判定し、オンして
いればステップS56へ進み、オフであればステップS55
でユーザーのレリーズ釦の半押し操作でオンする半押し
スイッチSW1がまだオンしているかを判定する。ステ
ップS55で半押しスイッチSW1がまだオンしていれば
S54へ移り、既にオフしていればステップS61へ進
み、半押しスイッチSW1オン時の制御の処理を終了す
る。ステップS54でレリーズスイッチSW2がオンと判
定されてた場合には、ステップS56で、補正レンズ位置
検出部の発光量調整を例えば図14、15で示されるフ
ローチャートを用いて調整し、ステップS57に於いてピ
ッチング方向の補正レンズ位置検出部の発光量調整を例
えば図14、15で示されるフローチャートと同様の方
法で調整し、ステップS58でヨーイング方向の補正レン
ズ位置検出部のガンマ、シフト調整を例えば図26で示
されるフローチャートを用いて調整し、ステップS59で
ピッチング方向の補正レンズ位置検出部のガンマ、シフ
ト調整を例えば図26で示されるフローチャートと同様
の方法で調整する。次に、ステップS60で図34、3
5、若しくは、図36、37、若しくは、図39で示さ
れる露光制御の処理を行い、図27と図28、図29、
図31で規定される処理により露光中の振れ補正制御が
行われる。ステップS60の処理を終了するとステップS
61で半押しスイッチSW1オン時の制御の処理を終了す
る。
【0154】このように、ユーザが電池を投入する、或
いは、ユーザがメインスイッチMSWをオンする、或い
は、ユーザが撮影を行う為にレリーズ釦を押すことによ
る半押しスイッチSW1のオン、或いは、レリーズ釦の
全押しによるレリーズスイッチSW2のオン、若しく
は、露光直前、これらユーザの動作、或いは、カメラの
動作に応じたタイミングに於いてヨーイング方向、及
び、ピッチング方向の補正レンズ位置検出機構5Y、5
Pの発光部の発光量調整、出力誤差Vd1値、Vd2値
の算出、ガンマ、シフト調整をカメラ自身のみで自己調
整を行う為、カメラ出荷時に調整装置による調整を行う
ことなしに補正レンズ位置検出機構5Y、5Pの出力の
ダイナミックレンジを確保し、かつ、十分な補正レンズ
位置検出精度を確保し、十分な精度の振れ補正制御が可
能となる。
【0155】また、撮影直前の半押しスイッチSW1の
オンのタイミングでこれらの調整を行っている為、レリ
ーズ釦の半押しから全押しまでの時間がそれほど長くな
ければ、温度変化による発光量変化、出力誤差Vd1
値、Vd2値の変化、ガンマ、シフト調整値の変化の影
響を受けない精度のより補正レンズ位置検出が行え、精
度の良い振れ補正制御が可能となる。さらに、図56で
示されるように全押しスイッチSW2のオン、若しく
は、露光制御直前でタイミングでこれらの調整を行った
場合には、これらの調整を行った直後のタイミングで振
れ補正制御を行った撮影が行える為、温度変化による発
光量変化、出力誤差Vd1値、Vd2値の変化、ガンマ、
シフト調整値の変化の影響をより受けない精度のより補
正レンズ位置検出が行え、より精度の良い振れ補正制御
が可能となる。
【0156】また、補正レンズ位置検出機構5Y、5P
の電流−電圧変換部のみとし、加算減算演算部、及び、
割り算部をMPU1内部のプログラムにより実現するこ
とにより、補正レンズ位置検出機構5Y、5Pの回路構
成を簡略化でき、カメラ全体のコストダウンを推進する
事ができる。さらに、従来、これら弾性的に支持される
補正レンズ2を用いた振れ補正制御は、振れ検出回路か
ら出力された振れ情報から適正に振れ補正を行う為の補
正レンズ目標位置を算出し、この補正レンズ目標位置と
実際の振れ補正レンズ位置から、主にアナログハードウ
エアを用いたサーボ回路により制御を行っていたが、本
発明ではこれら振れ補正の制御をディジタル化し、MP
U1のようなワンチップコンピュータ等を用いて実現し
ている為、振れ補正制御に用いる各制御パラメタ等を実
に容易に変えられ、例えば、補正レンズ機構等の設計上
の変更による制御対象の伝達特性の変更等に敏速に対応
でき、かつ、アナログ回路で構成する場合に問題になる
各種制御ゲインと周波数特性のばらつきと温度変動、或
いは、経時変化等の影響を受けないという点でより優れ
た振れ補正制御が可能となる。尚、これらの制御を行う
本実施の形態で使用するMPU1のようなワンチップコ
ンピュータは、それなりの高速演算性を必要とし、カメ
ラのコストアップ要因につながる場合も有り得るが、近
年これらのワンチップコンピュータは低価格下が進み、
極近い将来には逆にカメラ全体のコストダウンに通じる
ことが推測される。
【0157】また、露光時のシャッタ制御、及び、スト
ロボの発光による補正レンズ2の位置検出への電気的ノ
イズの影響を抑える為、ストロボ発光時、及び、シャッ
タ制御のタイミングでは、オープン制御による振れ補正
制御を行うことで、結果的に電気的ノイズののった補正
レンズ位置情報を用いずに振れ補正を行い、トータル的
な振れ補正精度を向上させた。
【0158】また、補正レンズ2の支持構造的な特徴、
具体的には補正レンズ2が弾性的に支持されていること
の特徴による弊害、例えば、補正レンズ2が重力の影
響、或いは、弾性力の偏りの影響等が及ぼす振れ補正制
御への悪影響を、補正レンズ平均位置を検出して補正レ
ンズ2の制御に帰還させることにより拭い去り、精度の
良い振れ補正制御を可能とした。また、この弊害を逆手
にとり、特別な例えば縦横位置センサ等のコストアップ
する回路を追加する事なしに、前述補正レンズ平均位置
からカメラの姿勢を算出し、算出されたカメラの姿勢に
より多点測距値、或いは、多分割測光値の算出アルゴリ
ズムを変化させ、より精度の良い測距、測光が行われる
ようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】は、本実施形態に係わる像振れ補正機構を備え
たカメラの全体ブロック図を示す。
【図2】は、図1の5Y,5P、7Y、7Pの構成を示
す模式図である。
【図3】は、補正レンズ位置検出部5Yの構成を示す模
式図である。
【図4】は、(a)(b)共、図3の補正レンズ駆動回路の電
流関係を示す図である。
【図5】は、補正レンズ駆動機構7Yの回路図を示す。
【図6】(a)は、VoutYとコイル11Yの印加電圧
の関係を示す。(b)は、変形例時の関係を示す。
【図7】は、コイル11Yの印加電圧と補正レンズ位置
の関係を示す図である。
【図8】は、(a)(b)共、補正レンズ位置検出機構の発光
部の回路図である。(b)は変形例を示す。
【図9】は、図7の補正レンズ位置検出機構の発光部の
入出力特性を示す図である。
【図10】は、本実施形態に係わる補正レンズ位置検出
回路の検出部の回路図である。
【図11】は、本実施形態に係わる補正レンズ位置検出
回路の検出部の回路の動作説明図である。
【図12】は、本実施形態に係わる振れ検出回路の回路
図である。
【図13】は、本実施形態に係わる補正レンズ位置検出
回路の発光部の調整のタイミングチャート図である。
【図14】は、本実施形態に係わる補正レンズ位置検出
回路の発光部の調整のフローチャート図である。
【図15】は、本実施形態に係わる補正レンズ位置検出
回路の発光部の調整のフローチャート図である。
【図16】は、本実施形態に係わる補正レンズ位置検出
回路の発光部の調整の動作説明図である。
【図17】は、本実施形態に係わる補正レンズ位置検出
回路の発光部の調整の動作説明図である。
【図18】は、本実施形態に係わる補正レンズ位置検出
回路の発光部の調整の動作説明図である。
【図19】は、本実施形態に係わる補正レンズ位置検出
回路の発光部の調整の動作説明図である。
【図20】は、本実施形態に係わる補正レンズ位置検出
回路の発光部の調整の動作説明図である。
【図21】は、本実施形態に係わる補正レンズ位置検出
回路の発光部の調整の動作説明図である。
【図22】は、本実施形態に係わる補正レンズ位置検出
回路の発光部の調整の動作説明図である。
【図23】は、本実施形態に係わる補正レンズ位置検出
回路の発光部の調整の動作説明図である。
【図24】は、本実施形態に係わる補正レンズ位置検出
回路の検出部の調整の動作説明図である。
【図25】は、本実施形態に係わる補正レンズ位置検出
回路の検出部の調整のタイミングチャート図である。
【図26】は、本実施形態に係わる補正レンズ位置検出
回路の検出部の調整のフローチャート図である。
【図27】は、本実施形態に係わる振れ補正制御のフロ
ーチャート図である。
【図28】は、本実施形態に係わる補正レンズ目標位置
算出のフローチャート図である。
【図29】は、本実施形態に係わる補正レンズ位置算出
のフローチャート図である。
【図30】は、本実施形態に係わる補正レンズ制御のブ
ロック線図である。
【図31】は、本実施形態に係わる補正レンズ駆動量算
出のフローチャート図である。
【図32】は、本実施形態に係わる露光時の振れ補正制
御のタイミングチャート図である。
【図33】は、本実施形態に係わるシャッタ駆動回路の
回路図である。
【図34】は、本実施形態に係わる露光時の振れ補正制
御のフローチャート図である。
【図35】は、本実施形態に係わる露光時の振れ補正制
御のフローチャート図である。
【図36】は、本実施形態に係わる露光時の振れ補正制
御のフローチャート図である。
【図37】は、本実施形態に係わる露光時の振れ補正制
御のフローチャート図である。
【図38】は、本実施形態に係わる露光時の振れ補正制
御のタイミングチャート図である。
【図39】は、本実施形態に係わる露光時の振れ補正制
御のフローチャート図である。
【図40】は。本実施形態に係わる補正レンズ平均位置
算出のタイミングチャート図である。
【図41】は、本実施形態に係わる補正レンズ平均位置
とカメラの傾きの関係の説明図である。
【図42】は、本実施形態に係わる補正レンズ平均位置
とカメラの傾きの関係の説明図である。
【図43】は、本実施形態に係わる補正レンズ位置積算
処理のフローチャート図である。
【図44】は、本実施形態に係わる測距回路の撮影画角
と測距領域を示す図である。
【図45】は、本実施形態に係わる測光回路の撮影画角
と測光領域を示す図である。
【図46】は、本実施形態に係わるカメラの傾きと測距
値、測光値の重み付け値を示す図である。
【図47】は、本実施形態に係わるカメラの傾きと測距
値、測光値の重み付け値を示す図である。
【図48】は、本実施形態に係わるカメラの傾きと測距
値、測光値の重み付け値を示す図である。
【図49】は、本実施形態に係わる補正レンズ制御のブ
ロック線図である。
【図50】は、本実施形態に係わる補正レンズ駆動量算
出のフローチャート図である。
【図51】は、本実施形態に係わる電池投入時の制御の
フローチャート図である。
【図52】は、本実施形態に係わるメインスイッチオン
時の制御のフローチャート図である。
【図53】は、本実施形態に係わるメインスイッチオフ
時の制御のフローチャート図である。
【図54】は、本実施形態に係わる半押しスイッチオン
時の制御のフローチャート図である。
【図55】は、本実施形態に係わる半押しスイッチオン
時の制御のフローチャート図である。
【図56】は、本実施形態に係わる補正レンズ機構の構
成図である。
【図57】は、従来例に係わる補正レンズ機構の構成図
である。
【図58】は、従来例に係わる補正レンズ機構の構成図
である。
【図59】は、従来例に係わる補正レンズ位置検出回路
の検出部の回路図である。
【符号の説明】
1 MPU 2 補正レンズ 2a 補正レンズ保持部材 3 シャッタ 4Y ヨーイング方向振れ検出機構 4P ピッチング方向振れ検出機構 5Y ヨーイング方向補正レンズ位置検出
機構 5P ピッチング方向補正レンズ位置検出
機構 6 シャッタ駆動回路 7Y ヨーイング方向補正レンズ駆動機構 7P ピッチング方向補正レンズ駆動機構 8 メインスイッチ 9 半押しスイッチ 10 レリーズスイッチ 11Y コイル 12Y マグネット 13Y ヨーク 14Y ヨーク 15Y、16Y バネ 17Y スリット部材

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カメラの振れにより生じる像振れを補正
    するように動く振れ補正光学系と、 発光部と光学的位置検出素子を用いた受光部とで構成さ
    れた、前記振れ補正光学系の位置の変位を光学的に検出
    する振れ補正光学系変位検出手段と、 撮像面の露光を制御するシャッタと、 前記補正光学系を移動させるアクチュエータと、 前記補正光学系を移動させるべく前記アクチュエータを
    駆動する補正光学系駆動手段と、 前記像振れ補正装置に生じた振れを検出し、前記振れを
    適正に補正する為の補正光学系目標位置を算出する補正
    光学系目標位置算出手段と、 少なくとも前記補正光学系変位検出手段の出力とからの
    補正光学系位置と前記補正光学系目標位置算出手段から
    の補正光学系目標位置をとから前記補正光学系駆動手段
    への駆動量を算出するクローズド制御手段と、 前記補正光学系目標位置算出手段からの補正光学系目標
    位置から前記補正光学系駆動手段への駆動量を算出する
    オープン制御手段と、を有し、 前記シャッタによる撮像面への露光が開始される少なく
    とも前から、前記シャッタによる撮像面への露光が終了
    するまでの時間を前記クローズド制御手段、或いは、オ
    ープン制御手段により振れ補正制御を行い、 少なくとも前記シャッタの動作中は前記オープン制御に
    より振れ補正制御を行うことを特徴とする像振れ補正機
    能付きカメラ。
  2. 【請求項2】 カメラの振れにより生じる像振れを補正
    するように動く振れ補正光学系と、 発光部と光学的位置検出素子を用いた受光部とで構成さ
    れた、前記振れ補正光学系の位置の変位を光学的に検出
    する振れ補正光学系変位検出手段と、 撮像面の露光を制御すべく先幕、及び、後幕から構成さ
    れるフォーカルプレーン型のシャッタと、 前記補正光学系を移動させるアクチュエータと、 前記補正光学系を移動させるべく前記アクチュエータを
    駆動する補正光学系駆動手段と、 前記像振れ補正装置に生じた振れを検出し、前記振れを
    適正に補正する為の補正光学系目標位置を算出する補正
    光学系目標位置算出手段と、 少なくとも前記補正光学系変位検出手段の出力とからの
    補正光学系位置と前記補正光学系目標位置算出手段から
    の補正光学系目標位置をとから前記補正光学系駆動手段
    への駆動量を算出するクローズド制御手段と、 前記補正光学系目標位置算出手段からの補正光学系目標
    位置から前記補正光学系駆動手段への駆動量を算出する
    オープン制御手段と、を有し、 前記シャッタによる撮像面への露光が開始される少なく
    とも前から、前記シャッタによる撮像面への露光が終了
    するまでの時間を前記クローズド制御手段、或いは、オ
    ープン制御手段により振れ補正制御を行い、 少なくとも前記先幕、或いは、後幕が作動してから所定
    時間は前記オープン制御により振れ補正制御を行うこと
    を特徴とする像振れ補正機能付きカメラ。
  3. 【請求項3】 カメラの振れにより生じる像振れを補正
    するように動く振れ補正光学系と、 発光部と光学的位置検出素子を用いた受光部とで構成さ
    れた、前記振れ補正光学系の位置の変位を光学的に検出
    する振れ補正光学系変位検出手段と、 被写体の輝度を補うべく使用される閃光放電装置と、 前記補正光学系を移動させるアクチュエータと、 前記補正光学系を移動させるべく前記アクチュエータを
    駆動する補正光学系駆動手段と、 前記像振れ補正装置に生じた振れを検出し、前記振れを
    適正に補正する為の補正光学系目標位置を算出する補正
    光学系目標位置算出手段と、 少なくとも前記補正光学系変位検出手段の出力とからの
    補正光学系位置と前記補正光学系目標位置算出手段から
    の補正光学系目標位置をとから前記補正光学系駆動手段
    への駆動量を算出しするクローズド制御手段と、 前記補正光学系目標位置算出手段からの補正光学系目標
    位置から前記補正光学系駆動手段への駆動量を算出する
    オープン制御手段と、を有し、 少なくとも前記閃光放電装置の発光から所定時間は、前
    記オープン制御により振れ補正制御を行うことを特徴と
    する像振れ補正機能付きカメラ。
JP7262203A 1935-09-14 1995-09-14 像振れ補正装置 Pending JPH0980512A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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