JPH0975680A - 酸化窒素の製造方法 - Google Patents

酸化窒素の製造方法

Info

Publication number
JPH0975680A
JPH0975680A JP7241240A JP24124095A JPH0975680A JP H0975680 A JPH0975680 A JP H0975680A JP 7241240 A JP7241240 A JP 7241240A JP 24124095 A JP24124095 A JP 24124095A JP H0975680 A JPH0975680 A JP H0975680A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
electrolytic solution
nitric acid
chamber
water
solution chamber
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP7241240A
Other languages
English (en)
Inventor
Yasuo Hirose
保男 広瀬
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Ltd filed Critical Hitachi Ltd
Priority to JP7241240A priority Critical patent/JPH0975680A/ja
Publication of JPH0975680A publication Critical patent/JPH0975680A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C25ELECTROLYTIC OR ELECTROPHORETIC PROCESSES; APPARATUS THEREFOR
    • C25BELECTROLYTIC OR ELECTROPHORETIC PROCESSES FOR THE PRODUCTION OF COMPOUNDS OR NON-METALS; APPARATUS THEREFOR
    • C25B1/00Electrolytic production of inorganic compounds or non-metals

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Inorganic Chemistry (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Electrochemistry (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Metallurgy (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Separation Using Semi-Permeable Membranes (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】消費エネルギー量を減少し、不純物を除去した
水を排出する。 【構成】硝酸電解槽44の第1電解液室2とバイポーラ
膜17で分離された第2電解液室3より排出した亜硝酸
と硝酸を含む第2電解液を、電気透析槽45の第3電解
液室18に導く。電気透析槽45は、陽イオン交換膜1
及びバイポーラ膜17を交互に配列し、それらの間に第
3電解液室18及び第4電解液室19を形成している。
陽極20と陰極21の間に電圧を印加することにより、
第2電解液に含まれていた水が第4電解液室19に移動
する。水が除去された第2電解液は、第2電解液室3に
戻され、亜硝酸は分解されず硝酸濃度が一定に保たれ
る。 【効果】硝酸電解槽44で消費される電力量が減少し、
第2電解液から水を除去するエネルギーが減少し、製造
する酸化窒素当りの消費エネルギー量が著しく減少す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、酸化窒素の製造方法に
係り、特に使用済核燃料の再処理プロセスより回収した
硝酸及び不純物としての金属イオンを含む廃液を原料と
して用いるのに好適な酸化窒素の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】使用済核燃料のピュレックス再処理プロ
セスは、多量の酸化窒素を反応薬剤として用いる。従
来、酸化窒素は亜硝酸ソーダと硝酸を反応させて発生さ
せており、酸化窒素の生成反応は下式に従っている。
【0003】NaNO2+HNO3→0.5NO+0.5N
2+NaNO3+0.5H2Oこの方法によれば、1グラ
ム分子の酸化窒素を製造するのに1グラム分子の硝酸ソ
ーダが利用価値のない副産物として生成される。しか
し、硝酸の電解還元による酸化窒素の製造は水及び酸素
以外の副産物を発生しない。
【0004】硝酸に腐食しにくい物質でできた電極を硝
酸水溶液中に挿入して片方を陽極とし他方を陰極として
適当な電位差を与えた場合、陽極上で酸化反応が起こ
り、陰極で還元反応が起こる。陽極及び陰極で起こる主
要な反応と標準酸化還元電位(水素イオン濃度が1規定
である場合の標準水素電極電位との相対値)は、以下の
通りである。H+ は水素イオンであり、NO3-は硝酸イ
オンである。
【0005】 陽極:H2O⇔0.5O2+2H++2e (1.23V) 陰極:(NO3-)+5(H+)+4e⇔0.5N2O+2.5H2O(1.11V) (NO3-)+4(H+)+3e⇔NO+2H2O (0.975V) (NO3-)+(3H+)+2e⇔HNO2+H2O (0.934V) (NO3-)+(2H+)+e⇔0.5N24+H2O (0.803V) (H+)+e⇔0.5H2 (0.00V) 陽極反応においては、硝酸は関与せず、1分子の水が
0.5 分子の酸素ガスと2分子の水素イオンに分解す
る。水素イオンは電位勾配によって陰極に引き付けられ
正電荷を担って移動するとともに陰極反応に寄与する。
硝酸を還元する陰極反応は、還元される硝酸1分子当り
1〜2.5 分子の水を陰極室内で生成する。陽極反応で
1分子の水を分解して消費する電気量を電極間に与える
とき陰極反応で生成する水は0.5〜1.25分子であ
る。
【0006】高い酸化電位でも硝酸に溶解しない白金を
陽極として使用した場合、1規定の水素イオン濃度の場
合、標準酸化電位である1.23V において陽極から酸
素ガスが発生しない。正確には電極の表面状態や電流密
度に依存するが、一般には電位が1.70V になったと
き酸素ガスが発生する。ここで、標準酸化電位と実際に
酸素を発生する電位の差は過電圧と言われる。
【0007】水素イオン濃度が1規定でない場合には、
ネルンストの式に従って、実際の酸化電位と標準酸化電
位の間には下記の関係がある。
【0008】酸化電位=1.23+0.06log[H+] ここに、[H+ ]は硝酸溶液中の水素イオン濃度であ
る。
【0009】陰極への白金の使用は水素発生の過電圧を
比較的小さくできる。水素イオン濃度が1規定の場合に
は還元電位が0.00V 近くにおいて水素ガスを発生す
ることが知られている。水素ガス発生以外の陰極反応に
おける過電圧については通常それぞれの条件において測
定する必要がある。
【0010】水素イオン濃度が1規定でない場合には、
ネルンストの式に従って、実際の還元電位と標準還元電
位の間には上記の各陰極反応について下記の関係があ
る。
【0011】 還元電位(V)=1.11+0.30log[H+ ] 還元電位(V)=0.975+0.24log[H+ ] 還元電位(V)=0.934+0.18log[H+ ] 還元電位(V)=0.803+0.12log[H+ ] 還元電位(V)=0.00+0.06log[H+ ] 陰極反応の過電圧を無視できれば、陽極反応の酸化電位
と陰極反応の還元電位の差に等しい電位差を陽極と陰極
の間に加えることによって上記の陰極反応が起こる。従
って、水素イオン濃度が高いほど還元電位の高い陰極反
応が優先的に起こる。
【0012】実際に硝酸中で起こる陰極反応は、ワイ・
スズキらの報告,ノックス・ジェネレーション・メソッ
ド・フロム・リカバード・ナイトリック・アシッド・バ
イ・エレクトロリス,レコッド'94,1994年
(“Y.Suzuki et al, Nox Generation Method fr
om Recovered Nitric Acid by Electrolysis, RECOD'9
4,1994”)に紹介されている。
【0013】スズキらは、実験において、陽イオン交換
膜で陽極室と陰極室とを隔離し、かつ面積が100cm2
の白金鍍金チタン電極を陽極及び陰極とする構成を有す
る電解槽を用い、陽極室内の陽極室電解液及び陰極室内
の陰極室電解液をそれぞれ独立に別々の循環液槽との間
で一定流量で循環させている。電解は標準的に0.3A
/cm2 の一定電流密度で行われる。電解中には陽極室電
解液に水を添加して電解液量を一定に保ち、陰極室電解
液には濃硝酸を添加しながら添加硝酸溶液と同量の溢流
液を抜き出して硝酸濃度を一定に保持している。
【0014】陰極室電解液の硝酸濃度を9規定に保って
行われた実験では、陽極室から陰極室に移行した水素イ
オン1分子当り1.3 分子の水が陽極室から陰極室に移
行した。この水の一部は水分子が水素イオンと結合して
ヒドロニウムイオンを形成して移行し、一部は電気浸透
により移動したものと考えられる。
【0015】平衡状態における全電解反応に係る電流効
率は100%に近く、その物質収支は実験結果に基づい
て下式で表されている。
【0016】HNO3=0.65NO+0.21HNO2
0.15NO2+0.63O2+0.40H2O 上記の物質収支によれば、1グラム分子の硝酸が電解還
元されて酸化窒素を生成する反応においては、2.52
グラム分子の水素イオンが関与し、陰極室で硝酸が還元
することによって生成する水は1.66 グラム分子,陽
極室で酸素発生に伴って消費される水が1.26 グラム
分子,2.52グラム 分子の水素イオン移動に伴って陽
イオン交換膜を透過して移動する水が3.28 グラム分
子である。従来の方法では、1グラム分子の酸化窒素を
製造するために必要な水素イオンの量は3.15 グラム
分子である。
【0017】電解還元反応のメカニズムは、まず亜硝酸
のみが生成し、亜硝酸濃度の蓄積につれて一定の硝酸濃
度のもとに存在するNO/NO2/HNO2の平衡関係に
依存する濃度組成に到達するものと考えられている。こ
のようにして、酸化窒素が生成される。陰極室電解液の
硝酸濃度が7規定以下になると、酸化窒素中にH2 とN
2O などの不純物濃度が高くなり好ましくない。このた
め、スズキらは、硝酸の実用的な電解還元方法として、
陰極室電解液の硝酸濃度を7〜9規定の範囲内の所定値
に保持する必要があることを示している。
【0018】従来の酸化窒素製造方法においては、陰極
室から溢流した陰極室電解液は、含まれている亜硝酸を
硝酸に酸化した後、蒸留による濃縮工程において含まれ
ている水が除去され、硝酸が濃縮される。このように濃
縮されて硝酸濃度が上昇した陰極室電解液には、酸化窒
素の生成によって消費された硝酸に相当する濃硝酸が新
たに加えられ、電解槽の陰極室に供給される。このよう
にして、陰極室内の陰極室電解液の硝酸濃度を一定に保
持されている。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】電解槽から溢流した陰
極室電解液を蒸留により濃縮しようとすれば、蒸留のた
めに少なくとも水の蒸発潜熱に相当する熱エネルギーが
必要であるのみならず、蒸留器の塔頂から硝酸を含んだ
蒸留液が生成することを防ぐため、蒸留工程に先立って
亜硝酸を硝酸に酸化する必要があり、これによって硝酸
還元の中間生成物である亜硝酸が失われ、約20%の消
費電力量が損失する。
【0020】使用済核燃料の再処理プロセスより回収し
た硝酸廃液を原料として酸化窒素を製造する場合は、硝
酸廃液に少量であるが核分裂生成物化学種が含まれてお
り、腐食生成物化学種も存在している。この回収された
硝酸が陰極室内で還元されて酸化窒素を生成して消費さ
れると、核分裂生成物化学種や腐食生成物は系内に蓄積
して濃度が上昇する。装置内の放射性物質濃度が高くな
ることは被曝防止上好ましくない。
【0021】陽イオン交換膜で分離された陽極室と陰極
室を有する硝酸の電解還元手段においては、陽極で生成
して陰極に移動して電荷を輸送する1モル分子の水素イ
オンに伴って1.3 モル分子の水が陽イオン交換膜を通
過して陽極室から陰極室に移動する。陽極室から陰極室
に移動する水の量を減少させることができれば酸化窒素
を生成するために陰極室電解液から水を除去するために
必要なエネルギーが少ない。
【0022】本発明の目的は、陰極室電解液に入る水の
量を低減して陰極液を濃縮するための消費エネルギー量
を減少できる酸化窒素の製造方法及びその装置を提供す
ることにある。
【0023】本発明の他の目的は、陽極室で水が酸素に
電解されることによって水が失われ、濃縮した硝酸溶液
を陰極室電解液に加えることにより、供給硝酸に含まれ
て陰極室電解液に入る水の量を低減する酸化窒素の製造
方法を提供することにある。本発明の他の目的は、陰極
室電解液に入る水の量をさらに低減して陰極液を濃縮す
るための消費エネルギー量を減少できる酸化窒素の製造
方法を提供することにある。
【0024】本発明の他の目的は、陰極室電解液を電解
槽の外に取り出して、硝酸の電解還元生成物である亜硝
酸を分解することなく水だけを電気透析により除去し
て、硝酸と亜硝酸の濃度を酸化窒素の製造に適当な条件
に保持することができる酸化窒素の製造方法および製造
装置を提供することにある。
【0025】本発明の他の目的は、装置内に陽イオン不
純物が高い濃度で蓄積しない酸化窒素の製造方法および
製造装置を提供することにある。
【0026】本発明の他の目的は、水除去手段である電
気透析槽の電流効率を高く保つことができる酸化窒素の
製造方法を提供することにある。
【0027】本発明の他の目的は、水除去手段である電
気透析槽内での物質の沈殿による電気透析の阻害を軽減
できると同時に電気透析槽に必要な電力を低減できる酸
化窒素の製造方法を提供することにある。
【0028】本発明の他の目的は、水除去手段である電
気透析槽から排出する過剰水中の硝酸濃度を低減でき、
かつ、回収した硝酸を水除去手段である電気透析槽で再
利用できる酸化窒素の製造方法及びその装置を提供する
ことにある。
【0029】本発明の他の目的は、水除去手段である電
気透析槽から排出する排水中の陽イオン濃度を低減でき
る酸化窒素の製造方法及びその装置を提供することにあ
る。本発明の他の目的は、陽イオン交換体のイオン交換
容量とイオン交換速度を高めることができる酸化窒素の
製造方法及びその装置を提供することにある。
【0030】本発明の他の目的は、陽イオン交換体の再
生時に発生する二次廃棄物量を減少できる酸化窒素の製
造方法及びその装置を提供することにある。
【0031】本発明の他の目的は、核燃料再処理装置か
ら回収された硝酸廃液を用いる場合に揮発性の放射性物
質の電解液内での蓄積を抑制できる酸化窒素の製造方法
を提供することにある。
【0032】本発明の他の目的は、水除去手段である電
気透析槽及び硝酸の除去手段である電気透析槽のそれぞ
れの、陰極が存在する電解液室中で消費する電力を硝酸
の還元のために利用すると共に、電極が存在する電解液
室への電解液の循環設備を簡単にすることができる酸化
窒素の製造方法及びその装置を提供することにある。
【0033】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する請求
項1の発明の特徴は、陽極を含む第1電解液室と陰極を
含む第2電解液室をイオン透過性がないバイポーラ膜で
分離することにある。バイポーラ膜の陰イオン選択透過
膜面を陽極に対向し、陽イオン選択透過膜を陰極に対向
して配置し、一定の電圧を負荷すると陽極に対向する面
では水酸化イオンを発生する。陽極からバイポーラ膜ま
では陽極で発生した水素イオンが正電荷を運び、バイポ
ーラ膜面上で水酸化イオンと中和して放電する。バイポ
ーラ膜の陰極に対向する面では水素イオンを発生して正
電荷を運び陰極上で放電すると同時に硝酸の還元に関与
する。バイポーラ膜内部で生成する水素イオンはバイポ
ーラ膜の内部に拡散した水分子と結合して移動するが、
バイポーラ膜を挟んで存在する電解液からバイポーラ膜
の内部に拡散する水の量はそれぞれの電解液中の自由な
水の活動度に依存して振り分けられるのでイオン透過性
がある陽イオン交換膜で分離した従来の電解槽と比較し
て陽極室から陰極室に移動する水の量は著しく少なくな
る。
【0034】請求項1の発明の他の特徴は、硝酸が陰極
で還元されて生成した亜硝酸を含む第2電解液を電解槽
から取り出し、亜硝酸を分解することなく、水のみを除
去して第2電解液室に戻すことにある。
【0035】上記の他の目的を達成する請求項2の発明
の特徴は、請求項1の発明の特徴を備えると共に、第1
電解液が硝酸溶液であり、陽極上で酸素ガスを発生する
ことで水を失い、第2電解液に水が移動することによっ
て相対的に濃縮した硝酸溶液を第2電解液室に供給する
ことにより第2電解液室に供給される硝酸溶液に含まれ
る水分を低減することにある。
【0036】上記の他の目的を達成する請求項3の発明
の特徴は、請求項1または請求項2の発明の特徴を備え
ると共に、前記第1電解液室に補充する硝酸の濃度を制
御して前記第1電解液の硝酸濃度を高く保つことによ
り、第2電解液に移動する水の量を低減すると同時に第
2電解液に供給される硝酸溶液に含まれる水分を低減す
ることにある。
【0037】上記、他の目的を達成する請求項4の発明
の特徴は、複数の陽イオン交換膜と複数のバイポーラ膜
で構成される電気透析槽の第3電解液室に、第2電解液
を循環して、前記第2電解液中の亜硝酸を分解すること
なく、水を第4電解液室に移動させて除去してから、硝
酸を第1電解液室から加えられた前記第3電解液を第2
電解液室に戻すことにより、第2電解液の硝酸濃度を酸
化窒素の製造に適当な条件に保持するものである。
【0038】上記、他の目的を達成する請求項5の発明
の特徴は、前記第2電解液の硝酸濃度を酸化窒素の製造
に必要な最低限度に保持して上記第3電解液室から上記
第4電解液室への水の移動を効率よく行わせることにあ
る。
【0039】上記、他の目的を達成する請求項6の発明
の特徴は、上記第4陰極室内の電解液の硝酸濃度を0.
01規定と0.1規定の間で、望ましくは0.1 規定に
近く保つことにある。
【0040】上記他の目的を達成する請求項7の発明の
特徴は、請求項4または請求項6の発明の特徴を備える
と共に、複数の陰イオン交換膜及び複数のバイポーラ膜
を交互に配置することによって第5電解液室及び第6電
解液室がそれらの間に交互に配置された硝酸回収手段の
前記第6電解液室に、前記第4電解液室内の硝酸と水を
含む第4電解液を供給し、この第4電解液内の硝酸イオ
ンを前記陰イオン交換膜を通して前記第6電解液室から
前記第5電解液室に移動させて硝酸となし、この硝酸を
前記第4電解液室に導く前記第4電解液に加え、硝酸が
除去された前記第6電極液室内の液体を外部に排出する
ことにある。
【0041】上記他の目的を達成する請求項8の発明の
特徴は、請求項4の発明の特徴を備えると共に、陽イオ
ン交換体を備える容器内に、前記第4電解液室内の硝酸
を含む第4電解液を導き、前記第4電解液に含まれる陽
イオンを前記陽イオン交換体によって除去して外部に排
出する液体を処理することにある。
【0042】上記他の目的を達成する請求項9の発明の
特徴は、請求項4又は請求項8の特徴を備えると共に、
第1電極及び陽イオン交換体と複合された第2電極を備
える容器内に、前記第4電解液室内の硝酸を含む第4電
解液を導き、前記第1電極を陽極にすると共に前記第2
電極を陰極にして、前記第4電解液に含まれる陽イオン
を前記陽イオン交換体によって除去することにある。
【0043】上記他の目的を達成する請求項10の発明
の特徴は、請求項9の特徴を備えると共に、前記第1電
極を陰極に変更すると共に前記第2電極を陽極に変更し
て、前記陽イオン交換体に吸着されている前記陽イオン
を、前記陽イオン交換体から脱離させ、脱離した前記陽
イオンを含む液体を前記容器から排出させることにあ
る。
【0044】上記他の目的を達成する請求項11の発明
の特徴は、請求項4,請求項7,請求項8,請求項9又
は請求項10の特徴を備えると共に、複数の陰イオン交
換膜及び複数のバイポーラ膜を交互に配置することによ
って第5電解液室及び第6電解液室がそれらの間に交互
に配置された硝酸回収手段の前記第6電解液室に、前記
容器内の第4電解液室内の硝酸と水を含む第4電解液を
供給し、この第4電解液内の硝酸イオンを前記陰イオン
交換膜を通して前記第6電解液室から前記第5電解液室
に移動させて硝酸となし、この硝酸を前記第4電解液室
に導く前記第4電解液に加え、硝酸が除去された前記第
6電極液室内の液体を外部に排出することにある。これ
によって、前記第6電解液室に供給される前記第4電解
液には陽イオンが含まれていないので前記第6電解液中
の硝酸濃度を低下させても沈殿の発生により電気透析が
阻害されることはなく、外部に排出する液体に含まれる
硝酸の濃度を著しく低下させることができる。
【0045】上記他の目的を達成する請求項12の発明
の特徴は、請求項2または請求項4の発明の特徴を備え
ると共に、前記第1電解液に加えられる硝酸が核燃料再
処理装置から排出された硝酸廃液であり、前記第1電解
液室の前記第1電解液内で発生する酸素を含む気体を前
記第1電解液より取り出し、この気体を洗浄液で洗浄す
ることにある。
【0046】上記他の目的を達成する請求項13の発明
の特徴は、請求項4,請求項7または請求項11の発明
の特徴を備えると共に、前記水の除去手段である電気透
析槽あるいは、前記硝酸の除去手段である電解透析槽の
それぞれの、陽極が存在する電解液室に第1電解液を循
環させ、また、陰極が存在する電解液室に第2電解液を
循環させることにある。
【0047】
【作用】請求項1の発明は、硝酸の電解還元による酸化
窒素生成手段が成立するために必要な陰極における電荷
と水素イオンの供給を陽極で生成する水素イオンの陽イ
オン交換膜を透過しての直接移動に依存せず、電位を与
えたバイポーラ膜の両面でそれぞれ生成する水酸化イオ
ンと水素イオンを介しての間接的な電荷と水素イオンの
移動に依存しているので水素イオンの移動に伴う水の移
動量を著しく低減することができる。
【0048】既知のバイポーラ膜は、陽イオン選択透過
性の層及び陰イオン選択透過性の層をそれぞれの面に有
する単一の膜である。電解液中でバイポーラ膜の陽イオ
ン選択透過性の層を陰極側に向け、陰イオン選択透過性
の層を陽極側に向けた状態でバイポーラ膜の表面間に電
位を与えると、バイポーラ膜の二層に挟まれた領域に拡
散していた陽イオン及び陰イオンは全て除去される。電
位が与えられていれば、この領域には陽イオン及び陰イ
オンが持ち込まれないので純粋な水が存在する。0.8
6V 以上の電位が与えれると、水の解離によって生成
する水素イオンは水和した水素イオン(ヒドロニウムイ
オンH3O+)となって陽イオン選択透過性の層を透過し
て陰極側電解液中に放出され、水酸化イオン(OH- )
は陰イオン選択透過性の層を透過して陽極側電解液中に
それぞれ供給される。水は、電荷を持たないのでバイポ
ーラ膜の両側のイオン透過層を透過して二層間の領域内
に自由に拡散する。バイポーラ膜に隔てられて存在する
それぞれの電解液からバイポーラ膜の内部に拡散する水
の量は、それぞれの電解液中の自由な水の活動度に依存
する。ここで、電解液の主成分は硝酸であるため自由な
水の活動度は硝酸の濃度に依存する。
【0049】硝酸水溶液における水の蒸気圧から推定で
きる硝酸濃度と自由な水の相対的な活動度の数値はそれ
ぞれ次のように与えられる。
【0050】 硝酸濃度 自由な水の相対的活動度 硝酸濃度 自由な水の相対的活動度 1規定以下 100% 11規定 48% 7規定 68% 12規定 43% 8規定 63% 13規定 39% 9規定 58% 14規定 36% 10規定 53% 14.4規定 33% 濃度が異なる硝酸水溶液からバイポーラ膜の内部に拡散
する水の相対的な割合は硝酸水溶液における自由な水の
相対的な活動度の比に依存すると考えられる。請求項1
の発明において、バイポーラ膜の両側に存在する電解液
中の水の活動度が等しければそれぞれの側から取り込ま
れる水の量は等しくなる。結局、陽極液室と陰極液室を
陽イオン交換膜で分離した従来の方法と比較して請求項
1の発明においては第1電解液室から第2電解液室に移
動する水の量は1/2になる。従来の方法では、陰極液
中で硝酸の還元により酸化窒素が1グラム分子だけ生成
する時に消費される水素イオンは3.15 グラム分子で
あり、生成する水の量は2.08グラム分子である。1
グラム分子の水素イオンの移動に伴って1.3グラム分
子の水が陽極液から陰極液に移動しているので、酸化窒
素が1グラム分子だけ製造された時に陽極液から陰極液
中へ移動する水の量は4.10 グラム分子で、合計して
陰極液中で増加する水の量は6.18 グラム分子であっ
た。
【0051】請求項1の発明において、硝酸の還元によ
って第2電解液中に生成する亜硝酸を分解することな
く、水のみを電解槽外で除去して第2電解液室に戻すの
で、中間生成物である亜硝酸はすべて最終的に酸化窒素
になって損失しない。そこで、第2電解液室における硝
酸還元反応(陰極反応)は下式のようになる。
【0052】HNO3+2.6(H+)+2.6e=0.8N
O+0.2NO2+1.8H2O 一方、第1電解液室における陽極反応は下式のようにな
る。
【0053】 1.3H2O=0.65O2+2.6(H+)+2.6e 従って、水の移動を除外した全体の物質収支としては下
式のようになる。
【0054】HNO3=0.65O2+0.8NO+0.2
NO2+0.5H2O 請求項1の発明において、第1電解液中で硝酸が1グラ
ム分子だけ還元され、酸化窒素が1グラム分子だけ生成
した時に消費される水素イオンは2.6 グラム分子であ
って、生成する水は1.8 グラム分子であるが、第1電
解液室から第2電解液室への1グラム分子の水素イオン
の移動に伴っては従来の方法の1/2に相当する0.6
5 グラム分子の水が移動しているので、1グラム分子
の酸化窒素が製造される時に第1電解液室から第2電解
液室に移動する水の量は1.69 グラム分子であり、第
2電解液中で増加する水の量は合計して3.49 グラム
分子であり、従来の方法の56.5% に減少している。
【0055】酸素を発生している陽極が例えば従来の方
法のように白金であれば電極電位は少なくとも1.7V
より高いので、水素イオンを生成している陽極が存在す
る電解液中に亜硝酸が存在すれば容易に硝酸に酸化され
てしまう。しかし、バイポーラ膜の内部で水が電解する
膜表面間電位は0.86V であり、水素イオンを生成し
ている陽イオン選択透過層の表面でも酸素を発生せず、
さらに一般に弗素化樹脂で構成されているバイポーラ膜
には電気化学的な触媒作用がないので第2電解液室中に
存在する亜硝酸を酸化して消費することはない。
【0056】請求項1の発明において第1電解液は例え
ば電気伝導度の高い電解液であればよい。陽極上におい
ては水の電解により消費されて酸素が発生する。陰極で
硝酸が1グラム分子だけ還元されたときに陽極で酸素を
発生するために消費される水の量は1.3 グラム分子で
ある。また、第1電解液中の自由な水の活動度が第2電
解液の自由な水の活動度と等しければ1グラム分子の硝
酸が還元される時に第1電解液からバイポーラ膜中に拡
散して第2電解液中に移動する水の量は1.69グラム分子
である。合計して、硝酸が1グラム分子だけ還元された
時に第1電解液から失われる水の量は2.99 グラム分
子であり、これだけの水を第1電解液に補充して濃度を
一定に保持していればよい。
【0057】請求項2及び請求項3の発明を以下に具体
的に説明する。
【0058】請求項2の発明は、第1電解液である陽極
液に硝酸を用い、水が減少した陽極液を第2電解液室で
ある陰極液室に硝酸還元反応の原料として供給するので
硝酸溶液に伴われて第2電解液室に供給される水の量が
減少する。電解槽に供給される硝酸の濃度が9規定であ
るとすれば硝酸が44.35%(9.00グラム分子/リ
ットル),水が55.65%(39.59グラム分子/リ
ットル)で構成されている。
【0059】比較のために、請求項2の発明によらな
い、硝酸が第2電解液に直接供給される場合を説明する
と、1グラム分子の硝酸が供給されと同時に4.40 グ
ラム分子の水が供給される。1グラム分子の硝酸が還元
される時に第2電解液中で増加する水の総量は、硝酸供
給に伴って4.40グラム分子(79.2g),硝酸の還
元に係わり1.8グラム分子(32.4g),硝酸濃度が
9規定である第1電解液からバイポーラ膜内に拡散して
硝酸濃度が9規定の第2電解液に移動する水が1.69
グラム分子(30.4g)で合計が7.89グラム分子
(142.0g)である。
【0060】一方、第1電解液室へ供給される硝酸の濃
度が9規定であり第2電解液の硝酸濃度が7規定である
請求項2又は請求項3の発明によれば、1グラム分子の
硝酸が還元される時に、第1電解液から失われる水の量
は、陽極上で酸素が発生するために1.3 グラム分子,
第1電解液からバイポーラ膜内に拡散して第2電解液に
移動する水が1.10グラム分子であり、合計が2.40
グラム分子であり、第1電解液に存在する硝酸の濃度は
65%であって、14.4 規定に相当し、1グラム分子
の硝酸が第2電解液に供給されると、同時に供給される
水の量は1.89グラム分子である。従って、請求項2の発
明によれば1グラム分子の硝酸が還元される時に第2電
解液中で増加する水の量は第1電解液室を経由して供給
される硝酸溶液の水が1.89グラム分子,硝酸の還元
に係わり1.8グラム分子,第1電解液からバイポーラ
膜内に拡散した水が1.10グラム分子で合計が4.79
グラム分子(86.2g )であって、請求項2及び請求
項3の発明によらない、請求項1の発明の場合と比較し
て第2電極液に入る水の量が61%に低減している。請
求項2及び請求項3の発明の他の具体例を以下に説明す
る。
【0061】上述のように、第2電解液の硝酸濃度が7
規定の場合に、第1電解液室に供給する硝酸の濃度が8
規定であれば硝酸が40.24%(8.00グラム分子/
リットル),水が59.76%(41.59グラム分子/
リットル)で構成されている。硝酸が第2電解液に直接
供給されると、1グラム分子の硝酸が供給されと同時に
5.20 グラム分子の水が供給される。1グラム分子の
硝酸が還元される時に、第1電解液から失われる水の量
は、陽極上で酸素が発生するために1.3 グラム分子、
第1電解液からバイポーラ膜内に拡散して第2電解液に
移動する水が1.29グラム分子であり、合計が2.59
グラム分子であり、第1電解液に存在する硝酸の濃度は
58.2%であって、12.5規定に相当し、1グラム分
子の硝酸が第1電解液室を経由して第2電解液に供給さ
れると、同時に供給される水の量は2.54 グラム分子
である。従って、請求項2及び請求項3の発明によれば
1グラム分子の硝酸が還元される時に第2電解液中で増
加する水の量は供給硝酸溶液の水が2.54グラム分
子,硝酸の還元に係わり1.8グラム分子,第1電解液
からバイポーラ膜内に拡散した水が1.29グラム分子
で合計が5.63グラム分子(101.3g )であっ
て、請求項3の発明によらない請求項1の発明の場合と
比較して第2電極液に入る水の量が71%に低減してい
る。
【0062】請求項3の発明は、第1電解液の硝酸濃度
が実用上の限度である共沸濃度以下で高いほどバイポー
ラ膜を介して第2電解液に入る水の量が少なくなる作用
に基づいている。第1電解液室に供給する硝酸溶液の濃
度が9規定以上であると第1電解液の硝酸濃度は共沸濃
度以上に高くなり好ましくない。一方、第1電解液室に
供給する硝酸溶液の濃度が8規定以下であると第2電解
液内で増加する水の量を低減する効果が少なくなる。
【0063】請求項4の発明は、水の除去手段に係わ
る。酸化窒素生成手段における電解によって、第2電解
液室に存在する第2電解液に含まれる硝酸を還元して酸
化窒素を生成し、複数の陽イオン交換膜及び複数のバイ
ポーラ膜を交互に配置することによって第3電解液室及
び第4電解液室がそれらの間に交互に配置された水の除
去手段の電気透析により、第3電解液室に導入された、
硝酸の還元生成物である亜硝酸と水を含んだ硝酸溶液で
ある第2電解液から蒸留工程によらずに水を除去するの
で、第2電解液中の亜硝酸を酸化分解することなく第2
電解液の硝酸の濃度を上昇できる。従って、同じ電解還
元電力消費量で多量の酸化窒素を製造できると共に、エ
ネルギー効率の高い電気透析による第2電解液の硝酸濃
度上昇を行っているので、製造する酸化窒素当りに消費
エネルギー量は著しく減少する。
【0064】請求項4の発明の具体例を以下に説明す
る。
【0065】水の除去手段は、水素イオンを供給するバ
イポーラ膜の陽イオン選択透過層と、陽イオン交換膜
と、水酸化イオンを供給するバイポーラ膜の陰イオン選
択透過層を単位として構成される。電気透析による実際
の水除去手段は、複数の陽イオン交換膜と複数のバイポ
ーラ膜を交互に配列し、両端に電極を配置した電気透析
槽とすることが必要である。第3電解液室を区画するバ
イポーラ膜の陽イオン選択透過層には硝酸溶液に含まれ
る亜硝酸を酸化するような電位は与えられず、第4電解
液室を区画するバイポーラ膜の陰イオン選択透過層には
亜硝酸が共存する硝酸を亜硝酸に還元するような電位は
与えられない。バイポーラ膜の陽イオン選択透過層で生
成した水素イオンは水分子と結合して陽イオン交換膜を
透過し、バイポーラ膜の陰イオン選択透過層で生成する
水酸化イオンと中和して水を生成する。1グラム分子の
水素イオンが第3電解液室から陽イオン交換膜を透過し
て第4電解液室に入る際に1.3 グラム分子の水が陽イ
オン交換膜を透過すると考えられる。
【0066】従来の知見によれば、酸化窒素生成手段
(硝酸電解槽)の第2電解液室で1グラム分子の酸化窒
素を製造する時に第1電解液室から陽イオン交換膜を透
過して第2電解液室に移動した水素イオンは3.15 グ
ラム分子であり、硝酸電解槽の第1電解液室から陽イオ
ン交換膜を透過して第2電解液室に移動した水の量は
4.10 グラム分子である。第2電解液室内で1グラム
分子の酸化窒素の生成によって生成した水の量は2.0
8 グラム分子である。また、9規定の硝酸を第2電解
液室に供給するものとすれば、1グラム分子の酸化窒素
を製造する時に硝酸溶液に含まれて第2電解液室に供給
された水の量は5.5 グラム分子であり、合計して1グ
ラム分子の酸化窒素を製造する時に第2電解液室中で増
加する水の量は11.68 グラム分子であった。
【0067】請求項1,請求項2及び請求項3の発明に
より、1グラム分子の酸化窒素が生成する時に第2電解
液室中で増加する水の量は7.89グラム分子乃至4.7
9グラム分子にまで減少している。
【0068】バイポーラ膜で水素イオンと水酸化イオン
を生成する原料となる水はバイポーラ膜の両側にある第
3電解液および第4電解液からバイポーラ膜の内部に拡
散する。それぞれの電解液からの水の拡散の割合は電解
液中の自由な水の活動度に依存する。バイポーラ膜は、
電解液から水を取り込んでH+ とOH- を供給するため
に、硝酸濃度が高く水の活動度が低い第3電解液側から
水を取り込みにくい特徴を有する。水は第3電解液とバ
イポーラ膜の間をリサイクルしているので、第2電解液
中の水を除去する効果は陽極室の硝酸濃度が高いほど低
くなる。
【0069】請求項4の発明の具体例における電気透析
槽(水の除去手段)でバイポーラ膜が分離する一方であ
る第3電解液の硝酸濃度が7規定であり、他方である第
4電解液の硝酸濃度が0.1 規定であれば、第4電解液
中の自由な水の活動度を100%として第3電解液中の
自由な水の活動度は68%である。バイポーラ膜の陽イ
オン選択透過層を通過して第3電解液中に入る水素イオ
ンおよび水素イオンと結合した水分子のうち40.5%
は第3電解液から還流するものであるが、59.5%に
相当する水は隣接する第4電解液から供給される。従っ
て、この場合には1グラム分子の水素イオンが陽イオン
交換膜を透過する時に第3電解液室から第4電解液室に
1.3 グラム分子の水を移動させていても、第3電解液
から第4電解液にバイポーラ膜を介して移動する正味の
水の量は0.53 グラム分子である。請求項4の発明の
他の具体例における電気透析槽(水の除去手段)でバイ
ポーラ膜が分離する一方である第3電解液の硝酸濃度が
8規定であり、他方である第4電解液の硝酸濃度が0.
1 規定であれば、第4電解液中の自由な水の活動度を
100%として第3電解液中の自由な水の活動度は63
%である。バイポーラ膜の陽イオン選択透過層を通過し
て第3電解液中に入る水素イオンおよび水素イオンと結
合した水分子のうち38.7% は第3電解液から還流す
るものであるが、61.3% に相当する水は隣接する第
4電解液から供給される。従って、この場合には1グラ
ム分子の水素イオンが陽イオン交換膜を透過する時に第
3電解液室から第4電解液室に1.3 グラム分子の水を
移動させていても、第3電解液から第4電解液にバイポ
ーラ膜を介して移動する正味の水の量は0.50 グラム
分子である。
【0070】若し、第3電解液の硝酸濃度が9規定であ
れば、第3電解液から第4電解液に移動する正味の水の
量はさらに5%低下するので第2電解液の硝酸濃度を8
規定以上に高めることは水の除去手段である電気透析槽
の電流効率を低めるので好ましくない。
【0071】1グラム分子の硝酸を請求項1,請求項2
および請求項3の発明によって最適な条件で還元して酸
化窒素を製造した時に第2電解液中に増加する水の量で
ある4.8 グラム分子を除去するために、第2電解液の
硝酸濃度が7規定である場合には、9.06 グラム分子
の水素イオンを透過させる必要がある。硝酸の還元に必
要な水素イオンは2.6 グラム分子であるため、第2電
解液から水を除去するために必要な電気量は電解還元に
必要な電気量の約3.5 倍に相当する。
【0072】水の除去手段である電気透析槽の運転は電
流の制御によって容易に行うことができ、電解還元手段
である電解還元槽の運転と連動して容易に制御される。
【0073】従来の電解還元槽の陰極室から溢流する濃
度が低下した硝酸溶液を蒸留缶で濃縮し硝酸濃度を上昇
させる方法に必要なエネルギー量と比べると、上記具体
例の電気透析槽での電気消費量は著しく小さいものであ
る。本具体例の電気透析槽において、バイポーラ膜の陽
イオン選択透過層における亜硝酸の酸化反応は起こらな
いが、亜硝酸濃度が高くなるとNO/NO2/HNO2
平衡関係に依存して亜硝酸は部分的に酸化窒素に分解す
るため亜硝酸濃度は平衡濃度以上には高くならない。そ
こで、再び硝酸電解槽の第2電解液室に戻され酸化窒素
の生成に寄与させることができる。また、第2電解液に
含まれる亜硝酸は損失しないので電解還元に消費された
電力は全く損失しない。
【0074】本具体例では酸化窒素製造の原料となる回
収硝酸に含まれる核分裂生成物化学種及び腐食生成物化
学種が硝酸電解槽の第2電解液中に必然的に蓄積され
る。しかし、第2電解液を第3電解液室中で電気透析す
る波及的な効果として、第3電解液中の陽イオン成分
は、第4陰極室内に連続的に除去されるので第2電解液
中に蓄積することはない。
【0075】ただし、ルテニウムは硝酸電解槽の第3電
解液中で亜硝酸の存在によってニトロシル錯化合物とな
り陽イオン交換膜を透過しにくいために第2電解液中に
蓄積する可能性がある。
【0076】本具体例の硝酸電解槽において、電極とバ
イポーラ膜を陽極/バイポーラ膜/陰極のように交互に
配列して実用的な装置を構成した場合は、バイポーラ膜
の数より1組み多い陽極と陰極のを必要とする。一方、
バイポーラ膜と陽イオン交換膜を交互に配列する電気透
析槽においては、陽イオン交換膜より1枚多いバイポー
ラ膜と電極を1組(陽極と陰極の組合せ)設けるだけで
よい。この場合に陽極液としては第1電解液を、陰極液
としては第2電解液を循環することが可能である。
【0077】請求項5の発明は、請求項4の作用効果を
得ることができると共に、第2電解液の硝酸濃度を酸化
窒素の製造に必要な条件の下限である7規定に近く調整
することによってバイポーラ膜の特性に係わり第3電解
液室における水除去の効率を高める効果がある。上述の
ように、第3電解液の硝酸濃度が7規定であると、1グ
ラム分子の水素イオンが第3電解液室から第4電解液室
に移動する時に除去できる水の量は0.53 グラム分子
である。第3電解液の硝酸濃度が8規定になると、1グ
ラム分子の水素イオンが第3電解液室から第4電解液室
に移動する時に除去できる水の量は0.50 グラム分子
である。
【0078】さらに、第3電解液の硝酸濃度が9規定に
なると、1グラム分子の水素イオンが第3電解液室から
第4電解液室に移動する時に除去できる水の量は0.4
8 グラム分子であって水の除去手段としての電流効率
が低下する。水の除去手段である電気透析槽に必要な電
流を流すために負荷する電圧は第4電解液の抵抗で決定
され、第3電解液の硝酸濃度には殆ど依存しない。
【0079】請求項6の発明は、請求項4,請求項5の
作用効果を得ることができると共に、第4電解液室内の
第4電解液の硝酸濃度を0.01 規定以下とすることな
く、0.1 規定に近く保持することが好ましい。
【0080】請求項6の発明の具体例を以下に説明す
る。電気透析槽は電気透析すべきイオンの電荷量に対応
した電気量が必要である。電気透析槽の消費電力量は必
要な電流を流すための電圧に依存し、本具体例の場合に
は第4電解液の電気抵抗に依存する。一定の液層距離に
おいて硝酸の電気抵抗はほぼ硝酸濃度に比例するので電
気透析槽の第4電解液の硝酸濃度を高く保持するほど所
要電力量を低減できる。一方、電気透析槽の第4水性電
解液は、適当な処理を行い、少なくとも硝酸濃度が許容
値以下の水として最終的に環境に放出する必要がある。
硝酸濃度が低いほど硝酸を含む廃液の処理と外部への放
出が容易になるので、この観点からは電気透析槽の第4
水性電解液の硝酸濃度は低いほど望ましい。
【0081】しかし、特に、電解還元槽に供給する硝酸
として核燃料再処理装置から排出された硝酸廃液を用い
る場合は、硝酸廃液には核分裂生成物化学種及び腐食生
成物化学種として相当量の金属陽イオンが含まれてい
る。この金属陽イオンは、電気透析槽の陽イオン交換膜
を透過して第3電解液室から第4電解液室に移行し、第
4電解液室内の第4電極液の水素イオンを消費する。こ
のため、第4電解液室内の水素イオン濃度が0.001
規定より低下すると、第4陰極室内で金属の水酸化物の
沈殿を発生し、陽イオン交換膜に付着して電気透析が困
難になる恐れがある。第4電解液室内の第4電解液の硝
酸濃度が0.01 規定以上あれば、硝酸が解離して生じ
るH+ により金属陽イオンが存在しても第4水性電極液
中の水素イオン濃度が0.001 規定以上に保持され
る。従って、第4電解液中で上記水酸化物の沈殿が著し
く抑制される。一方、電気透析槽の第4水性電解液の硝
酸濃度が0.1 規定以下であると、イオン交換体等を用
いたイオン交換法による第4電解液の放出前処理として
の金属陽イオンの除去が容易になる。第4電解液の硝酸
濃度が0.1 規定以下である場合、前述のイオン交換法
による処理終了後に廃棄される排水の硝酸性窒素の濃度
は1400mg/リットル以下となる。
【0082】この電気透析槽の1対のバイポーラ膜間に
負荷する直流電圧が2Vであり、第4電解液室の膜間隔
が2mmである場合、第4電解液の硝酸濃度と電流密度と
の関係は、硝酸濃度がそれぞれ0.1規定または0.01
規定において、電流密度はそれぞれ210mA/cm2
たは22.5mA/cm2である。バイポーラ膜は投影面積
として1m2 とすることが可能であり、第4電解液の硝
酸濃度を0.1 規定に保持することによって、1組みの
バイポーラ膜と陽イオン交換膜には2000Aの電流を
流すことが可能である。
【0083】上記具体例での硝酸電解槽及び電気透析槽
の合計の電気消費量は、従来の硝酸電解槽及び蒸留缶の
合計のエネルギー消費量よりも著しく減少する。
【0084】請求項7の発明は、請求項4の発明の作用
効果を生じると共に、複数のバイポーラ膜と複数の陰イ
オン交換膜を交互に配置した電気透析槽である硝酸回収
手段に循環して、第6電解液室に供給された第4電解液
内の硝酸イオンを陰イオン交換膜を通して第6電解液室
から第5電解液室に移動させて硝酸となし、この硝酸を
第4電解液室に導く第4電解液に加え、硝酸が除去され
た第5電解液室内の液体を外部に排出するので、排出す
る排水中の硝酸濃度を低減でき、かつ回収した硝酸を第
4電解液に加えて再利用できる。
【0085】具体的には、水除去手段である電気透析槽
の、硝酸濃度が0.1 規定の第4電解液が、硝酸除去電
気透析槽の第6電解液室に供給され、硝酸イオンは陰イ
オン交換膜を透過して第5電解液室に移動して第6電解
液の硝酸濃度は低下するが、第6電解液中の金属イオン
の沈殿を防止する観点から0.001 規定が低濃度の限
界であり、硝酸イオンは第5電解液室でバイポーラ膜の
陽イオン選択透過層で生成する水素イオンと結合して硝
酸になる。第6電解液中に残った水素イオンはバイポー
ラ膜の陰イオン選択透過層で生成する水酸化イオンで中
和される。第5電解液室内の硝酸イオン濃度は高くなる
が同時に水が陰イオン交換膜を透過して移動するためと
水素イオンが陰イオン交換膜を透過して第6電解液室に
逆流し電流効率が低下するため硝酸濃度は0.5 規定が
限界である。第5電解液は水の除去手段である電解透析
槽の第4電解液室に循環される。硝酸の除去手段である
電気透析槽に必要な電気量は第6電解液室に流入する硝
酸の量に依存し、1グラム分子の硝酸を還元して1グラ
ム分子の酸化窒素を製造する場合に必要な電気量は、第
4電解液室を溢流する第4電解液が約0.1リットルで
硝酸濃度が0.1規定であるため、0.01ファラディで
あり、電解還元に必要な電気量の0.4%にすぎない。
第6電解液の硝酸濃度が0.001 規定であり、バイポ
ーラ膜間に負荷する直流電圧が2Vである場合に電流密
度は2.5mA/cm2程度となる。
【0086】請求項8の発明は、請求項4の発明の作用
効果を生じると共に、容器内の陽イオン交換体によって
第4電解液室を循環する第4電解液に含まれる陽イオン
を除去してから放出するので、放出排水中に含まれる陽
イオン濃度を低減することができる。陽イオン交換体と
しては、イオン交換樹脂または無機イオン交換物質が使
用可能である。請求項8の発明により、第4電解液中で
金属水酸化物の沈殿発生の可能性を防止することが可能
である。
【0087】請求項9の発明は、請求項8の発明の作用
効果を生じると共に、第1電極及び陽イオン交換体と複
合した第2電極を備える容器内で、第1電極を陽極とす
ると共に第2電極を陰極にして、第4電解液に含まれる
陽イオンを陽イオン交換体によって除去するので、陽イ
オン交換体のイオン交換容量を高めることができ、ま
た、イオン交換の反応速度を高めることができる。請求
項9の発明は、電気的イオン交換法として知られている
方法を適用するものであって、弱酸性型の陽イオン交換
材を作用電極の周囲に付着させて設け、対照電極との間
で作用電極に負の電位差を与えるものである。この負の
電位差を与えることによって、陽イオン交換材中におけ
る陽イオンの移動拡散が促進され、イオン交換で生成す
る水素イオンが作用電極の表面で生成する水酸化イオン
で中和されるので、陽イオン交換材のイオン交換容量を
高めて陽イオン交換膜の吸着を行うことができる。
【0088】通常の強酸性陽イオン交換材は、水素イオ
ン濃度が1規定程度でも陽イオンを吸着する。しかし、
このイオン交換材は、一般に、吸着した陽イオンの溶
離,回収及びイオン交換材の再生のために、多量の薬剤
を必要とするので、二次廃棄物を生じる。弱酸性陽イオ
ン交換材は、溶離が簡単であるが水素イオン濃度が0.
0001 規定程度でなければ陽イオンを吸着しない。
電気的イオン交換法は弱酸性陽イオン交換材の欠点を補
って、水素イオン濃度が0.1 規定以下で使用できる。
イオン交換材としては、イオン交換樹脂あるいは燐酸ジ
ルコニウムのような無機イオン交換物質を使用できる。
一般に電気的イオン交換法では、イオン交換体に流れる
電流密度は1乃至5mA/cm2である。
【0089】請求項10の発明は、請求項9の発明の作
用効果を生じると共に、第1電極及び陽イオン交換体と
複合した第2電極を備える容器内で、第1電極を陰極に
変更すると共に第2電極を陽極に変更して、陽イオン交
換材に吸着している陽イオンを、第2電極の表面で生成
する水素イオンによって置換することによって水を溶離
剤として溶離させ、溶離した陽イオンを含む溶液を前記
容器から排出させるので、陽イオンの溶離における薬剤
の使用を著しく減少でき、陽イオン交換体の再生時に発
生する二次廃棄物量を減少できる。請求項10の発明
は、一般に電気的イオン交換法として知られる方法を適
用している。
【0090】請求項11の発明は、請求項7,請求項8
及び請求項9の発明の作用効果を生じる。第1電極液に
核燃料再処理装置から排出された硝酸廃液を加えた場合
は、水除去電気透析槽の陽イオン交換膜を通して第3電
解液室から第4電解液室に移行する核分裂生成物イオン
種および腐食生成物イオン種等の陽イオンを陽イオン交
換体によって分離除去できる。このため、水の除去手段
から最終的に環境へ放出する排水の放射能除去処理が容
易となる。
【0091】請求項12の発明は、請求項2の作用効果
を生じると共に、第1電解液に加えられる硝酸が核燃料
再処理装置から排出された硝酸廃液であり、第1電解液
室の第1電解液内で発生する酸素を含む気体を取り出し
て洗浄液で洗浄するので、核燃料再処理装置から回収さ
れた硝酸廃液に含まれる揮発性の放射性物質(例えば、
ルテニウム等)の酸化窒素生成手段及び硝酸濃縮手段内
の電解液中での蓄積を抑制できる。従って、酸化窒素製
造装置の放射線量率の増加を抑制できる。
【0092】具体的に説明すると、硝酸電解槽の第1電
解液の硝酸濃度及び電位が高い状態に保たれるので、第
1電解液中のルテニウム化合物は容易に揮発性の四酸化
物に酸化される。この揮発性の四酸化物は、酸素ガスに
伴って第1電解液から分離除去され、酸素ガスを洗浄液
で洗浄することによって洗浄液に吸収される。このよう
に、ルテニウムは第1電解液から除去されるので、第2
電解液室に供給される硝酸溶液にはルテニウムを含まな
くなり、第2電解室液にルテニウムのニトロシル錯体と
して高濃度に蓄積する恐れがなくなる。
【0093】請求項13の発明は、請求項4,請求項7
又は請求項11の作用効果を生じると共に、水の除去手
段である電気透析槽あるいは硝酸の除去手段である電気
透析槽のそれぞれの、陽極が存在する電解液室に第1電
解液を循環し、また、陰極が存在する電解液室に第2電
解液を循環するので、それぞれの電気透析槽の陰極が存
在する電解液室中で消費される電力を酸化窒素製造のた
めに利用できると共に、電極が存在する電解液室への電
解液の循環槽が不要となり、従って設備が簡単になる。
【0094】具体的に説明すると、陰極が存在する電解
液室は、バイポーラ膜と陰極で区画されているが、バイ
ポーラ膜の陽イオン選択透過層で生成する水素イオン
は、電子を供給している陰極表面に到達して硝酸の還元
反応に係わり、電気量に応じて第2電解液中で亜硝酸を
生成して亜硝酸濃度が増加し、酸化窒素を生成する。一
方、前記バイポーラ膜を介して存在する前記第4又は前
記第6電解液からは、第2電解液との自由な水の活動度
の比率に依存して、電気量に応じて、前記バイポーラ膜
を透過して水が移動する。陽極が存在する電解液室は、
バイポーラ膜と陽極で区画されているが、陽極で生成す
る水素イオンは、水酸化イオンを供給しているバイポー
ラ膜の陰イオン選択透過層に到達して中和される。陽極
では、電気量に応じて酸素が発生し、酸素発生量に見合
った水が失われる。また、前記バイポーラ膜を介して存
在する前記第2電解液が循環している前記第3電解液又
は前記第5電解液へは第1電解液との自由な水の活動度
の比率に依存して、電気量に応じて、前記バイポーラ膜
を透過して水が移動する。
【0095】
【実施例】
(実施例1)本発明の好適な一実施例である酸化窒素製
造装置を図1を用い以下に説明する。本実施例は、硝酸
電解槽44及び電気透析槽45を有する。硝酸電解槽4
4は、バイポーラ膜17を備え、バイポーラ膜17で隔
離された第1電解液室2及び第2電解液室3を有する。
第1電解液2内に設置される陽極4は、白金鍍金したチ
タンで製作される。第2電解液室3内に設けられる陰極
5は、白金鍍金したチタンで製作されている。第1電解
液室2と循環槽6は、配管50及び51にて連絡され
る。硝酸水溶液である第1電解液は、循環槽6,配管5
0,第2電解液室2及び配管51を一定の流速で循環す
る。水供給管10が、循環槽6に接続される。酸素排出
管8も、循環槽6に接続される。第2電解液室3と循環
槽7は、配管52及び53にて連絡される。硝酸水溶液
である第2電解液は、循環槽7,配管52,第2電解液
室3及び配管53を一定の流速で循環する。酸化窒素取
出し管9が、循環槽7に連絡される。
【0096】電気透析槽45は、複数の陽イオン交換膜
1及び複数のバイポーラ膜17を交互に配置し、陽イオ
ン交換膜1とバイポーラ膜17との間に形成される第3
電解液室18及び第4電解液室19を有する。第3電解
液室18と第4電解液室19は、交互に配置される。電
気透析槽45内の一端部に、陽極20が設けられる。電
気透析槽45内の他端部に、陰極21が設けられる。各
第3電解液室18は、配管54及び55にて循環槽7に
接続される。第2電解液は、循環槽7,配管54,第3
電解液室18及び配管55を一定の流速で循環する。硝
酸供給管16が、配管55に接続される。各第4電解液
室19は、配管57及び58にて循環槽22に連絡され
る。硝酸水溶液である第3電解液は、循環槽22,配管
57,第4電解液室19及び配管58を一定の流速で循
環する。排出管24が循環槽22に連絡される。配管2
3が、循環槽22に接続される。
【0097】本実施例の作用を以下に説明する。毎時2
600ファラディの電気量が硝酸電解槽44の陽極4と
陰極5との間に供給される。このとき、第1電解液室2
内で第1電解液に含まれる水から発生する酸素は毎時6
50グラム分子となる。酸素は、第1電解液と共に循環
槽6に送られ、酸素排出管8より排出される。また、陽
極4への電気の印加により発生する水素イオンが水分子
と結合して生成するヒドロニウムイオンとしてバイポー
ラ膜17の陰イオン選択透過層に達し、そこで発生する
水酸化イオンと中和する。一方、バイポーラ膜17の陽
イオン選択透過層で水素イオンは水分子と結合して生成
するヒドロニウムイオンは陰極5に到達して硝酸の還元
反応に寄与し、水を生成する。第1電解液室2内の第1
電解液に含まれる水の一部は、電気浸透により第2電解
液室3に移動する。酸素の発生,水素イオン及び水の第
2電解液室3への移動により、第1電解液の硝酸濃度が
上昇するので水供給管10を通じて水を添加して第1電
解液の硝酸濃度を9規定の一定値に保持する。
【0098】第2電解液室3内では、硝酸の亜硝酸への
還元電位(約1V)より低い電位に保たれた陰極5の表
面で硝酸が選択的に亜硝酸に還元され、水素イオンが消
費されて水が生成する。亜硝酸は濃度が高くなると不均
一化反応により硝酸と酸化窒素に分解し、硝酸は再び還
元反応に係わる。
【0099】第2電解液中では、電解還元槽の運転開始
時には亜硝酸濃度が高くなってくるが、やがて飽和し、
以降は一定の濃度に保たれる。生成した亜硝酸は順次に
酸化窒素に分解するので長期間の運転における硝酸還元
反応の物質収支は下記で表される。
【0100】HNO3+2.6(H+)+2.6(e-)=0.8
NO+0.2NO2+1.8H2O 具体的には、一酸化窒素80%及び二酸化窒素20%の
酸化窒素が、毎時1000グラム分子生成される。生成され
たNO及びNO2 等の酸化窒素は、循環槽7を介し酸化
窒素取出し管9より取り出される。
【0101】第2電解液室3では硝酸の還元に伴って水
が毎時1800グラム分子(32.4kg)生成する。第1
電解液室からバイポーラ膜を介して第2電解液室に移動
する水の量は毎時1690グラム分子(30.4kg )で
ある。還元分解する硝酸を補充するため、毎時1000
グラム分子(63.0kg )の硝酸と2730グラム分子
(49.14kg )の水を含む濃硝酸溶液(12規定)1
12kgが、硝酸供給管16及び配管55を通して循環槽
7に導入される。第2電解液の濃度を一定に保持するた
めに水除去手段で除去する必要がある水の量は毎時62
20グラム分子(112kg)である。
【0102】後述する電気透析槽45により濃度が上昇
した硝酸の循環槽7への供給と併せて、第2電解液室3
内の第2電解液の硝酸濃度は9規定に保たれる。112
kgの12規定の濃硝酸を得るために、硝酸溶液を蒸留す
るのに要した熱エネルギー量は、約130kWである。
【0103】硝酸電解槽44に供給される毎時2600
ファラディの電気量は、電流として69694アンペア
に相当する。硝酸電解槽44は、具体的には、77対の
陽極4,バイポーラ膜17及び陰極5を交互に配置して
構成されている。バイポーラ膜17の有効面積は1枚当
り0.3m2である。両電極間に直流電圧3Vを印加した
場合において、バイポーラ膜17の電流密度は常時約
0.3A/cm2に維持される。従って、硝酸電解槽44の
電力消費量は209kWである。
【0104】循環槽7内の第2電解液は、配管54によ
って電気透析槽45の各第3電解液室18に送られる。
水除去手段で除去すべき水の量が毎時6220グラム分
子であり、第2電解液の硝酸濃度が9規定である場合に
必要な電気量は、毎時12958ファラディであり、電流と
して347355アンペアに相当する。このため、電気
透析槽45は、各有効面積が1m2 で139枚の陽イオ
ン交換膜1と、140枚のバイポーラ膜17を、それぞ
れ交互に狭い間隔で配置している。1対のバイポーラ膜
17に直流電圧2Vを印加した場合において、バイポー
ラ膜17の電流密度は常時約0.2A/cm2に維持され
る。直流電圧280Vが陽極20と陰極21との間に印
加されている。従って、水の除去手段である電気透析槽
45の電力消費量は560kWである。
【0105】バイポーラ膜17は、陽イオン選択透過性
の層及び陰イオン選択透過性の層を有する単一の膜であ
る。バイポーラ膜17の陽イオン選択透過性の層が陰極
21側に向いた状態で配置される。陽極20及び陰極2
1は、チタン製であって白金鍍金されている。直流電圧
280Vが陽極20と陰極21との間に印加されてい
る。
【0106】バイポーラ膜17の陽イオン選択透過性の
層と陽イオン交換膜1で分離された第3電解液室18か
ら、陽イオン透過膜1を透過してバイポーラ膜17の陰
イオン選択透過性の層と陽イオン交換膜1で分離された
第4電解液室19にH+ が移動する。このH+ は、バイ
ポーラ膜17の陰イオン選択透過性の層の表面で生成さ
れるOH- と中和して水を生成する。H+ の移動に伴う
3O+の生成及び電気浸透に依存して水が陽イオン透過
膜1を透過して第3電解液室18から第4電解液室19
に移動する。この水は、第4電解液室19内の第4電解
液に混合される。第3電解液室18内では、第2電解液
中の硝酸濃度が上昇する。硝酸濃度が上昇した第2電解
液は、配管55により循環槽7に導かれる。電気透析槽
45は、硝酸電解槽44の第1電解液室2から第3電解
液室3に移動された水、すなわち水供給管10にて硝酸
電解槽44に供給される水だけでなく、硝酸供給管16
によって導入される硝酸水溶液に含まれる水も第2電解
液から除去する。
【0107】各第4電解液室19から流出した第4電解
液は、循環槽22に導かれる。陽イオン透過膜1を透過
して第4電解液室19に移動する水の量と同程度の量の
第4電解液が、循環槽22から溢流し排出管24により
排出される。循環槽から毎時6220グラム分子の水を
含む第4電解液が溢流する。この第4電解液は、低レベ
ル放射性廃棄物として処理される。第4電解液の排出に
より硝酸濃度が減少して電気透析の機能が低下する場合
は、配管23から少流量(毎時1グラム分子)の硝酸溶
液を循環槽22に供給する。陰極室19内の第3電解液
の硝酸濃度は0.1 規定に保持した。
【0108】実施例1において、1000グラム分子の
酸化窒素を製造するために必要な電力は硝酸電解に20
9kW,第2電解液からの水の除去に560kWであ
り、総電力は769kWである。第2電解液室に供給す
る12規定硝酸を調製するために必要な熱エネルギー
が、130kWであるとすれば、酸化窒素を1000グ
ラム分子製造するために必要な全エネルギーは、約90
0kWである。
【0109】本実施例の効果を説明する前に、従来の酸
化窒素の製造方法の作用を図5に基づいて具体的に説明
する。従来の酸化窒素の製造装置の構造は、図1の構造
の電気透析槽45の代わりに亜硝酸酸化装置11及び蒸
留塔14を設けたものである。亜硝酸酸化装置11は、
配管60にて循環槽7に接続される。亜硝酸酸化装置1
1には、空気供給管12及び空気放出管13が接続され
る。亜硝酸酸化装置11に接続される蒸留塔14は、配
管61にて循環槽7に連絡される。硝酸供給管16が、
配管61に接続される。水排出管15が蒸留塔14に接
続される。
【0110】毎時3150ファラディの電気量が、硝酸
電解槽44の陽極4と陰極5との間に供給され、毎時1
000グラム分子の酸化窒素が製造される。陽極室2か
ら発生する酸素は毎時788グラム分子である。陽極室
2の第1電解液の硝酸濃度を9規定に保つために毎時5
670グラム分子の水が循環槽6に供給される。
【0111】硝酸電解槽44に供給される毎時3150
ファラディの電気量は、電流として84438アンペア
に相当する。硝酸電解槽44は94陽極、陽イオン交換
膜及び陰極を交互に配置して構成されている。陽イオン
交換膜の有効面積は1枚当り0.3m2陽極4と陰極5と
の間に直流電圧3Vを印加した場合において、電流密度
は常時約0.3A/cm2に維持される。従って、硝酸電解
槽44の電力消費量は253kWである。
【0112】硝酸電解槽44の陰極室3では、電解還元
反応の結果として一酸化窒素80%及び二酸化窒素20
%の酸化窒素が毎時1000グラム分子生成され、酸化
窒素取出し管9より取り出される。また、毎時263グ
ラム分子の亜硝酸、6578グラム分子の硝酸及び28
935グラム分子の水を含む、硝酸濃度が9規定の第2
電解液が、循環槽7から溢流し亜硝酸酸化装置11に送
られる。第2電解液の硝酸濃度を所定値に保つために、
蒸留塔14から排出される硝酸及び硝酸供給管16から
供給される濃硝酸が循環槽7に供給される。亜硝酸酸化
装置11において、第2電解液に含まれる亜硝酸は、空
気供給管12から供給される空気に含まれた酸素で酸化
されて硝酸になる。過剰の空気は空気放出管13から放
出される。この第2電解液は、蒸留塔14で加熱され、
水蒸気を発生する。蒸発した水蒸気は、冷却されて凝縮
し、第2電解液から分離される。凝縮されて蒸留塔14
の塔頂から回収された微量の硝酸を含む水は、毎時10
677グラム分子であり、低レベル廃液として処理され
る。また、水分が分離されて硝酸濃度が上昇した第2電
解液は、配管61に排出される。
【0113】蒸留塔14から排出された硝酸溶液及び硝
酸供給管16から導入された硝酸溶液を混合してなる配
管61中の第2電解液は、毎時7828グラム分子の硝
酸及び21728グラム分子の水を含む。この第2電解
液の循環槽7への供給によって、陰極室3内の第2電解
液の硝酸濃度が9規定に保持される。蒸留塔14での蒸
留及び硝酸供給管16から導入する前における硝酸溶液
の蒸留によって、毎時7828グラム分子の硝酸及び2
1728グラム分子の水を含む硝酸溶液(12規定)を
得るために必要な熱エネルギー量は約1030kWであ
る。
【0114】この従来例において、1000グラム分子
の酸化窒素を製造するために必要な電力は硝酸電解に2
53kW,陰極液に供給する12規定硝酸を調製するた
めに必要な熱エネルギーが、1030kWであり、酸化
窒素を1000グラム分子製造するために必要な全消費
エネルギーは、1283kWである。
【0115】本実施例によれば、以下の効果を得ること
ができる。
【0116】(1)硝酸電解槽44における電解還元反
応によって、第2電解液に含まれている硝酸から酸化窒
素を連続的に生成することができる。
【0117】(2)硝酸電解槽44で電気透析して水を
除去した第2電解液を回収しているので、本実施例の硝
酸電解に消費されるエネルギー量は83%に減少し、第
2電解液室に供給する硝酸を濃縮するための消費エネル
ギー量は67%に減少し、合計して減少率は70%であ
る。
【0118】(3)硝酸電解槽44に供給する原料とな
る硝酸溶液の供給量は従来例に比べて約1/8に低減で
きる。
【0119】(4)電気透析槽45を用いているので、
亜硝酸酸化装置11及び蒸留塔14を用いている従来例
に比べて酸化窒素製造装置の構成を著しく単純化でき
る。
【0120】(5)従来例では、硝酸電解槽44から流
出した一部の亜硝酸を亜硝酸酸化装置11で酸化により
硝酸に変化させるので、その分の亜硝酸を陰極室3内で
生成するために硝酸電解槽44が余計に電力を消費す
る。本実施例は、電気透析槽45で酸化還元反応が生じ
なく第2電解液中の亜硝酸が消失しないので、また、電
気透析槽45において亜硝酸が酸化されないので、電気
透析槽45に供給された第2電解液に含まれている亜硝
酸を、陰極室3内で酸化窒素生成の原料として用いるこ
とができる。このため、本実施例における硝酸電解槽4
4の消費電力量が従来例よりも低下する。
【0121】(6)バイポーラ膜17と陽イオン交換膜
1を交互に配列する電気透析槽45は、電極として1組
の陽極と陰極を設けるだけでよいので、構成が単純であ
る。 (7)硝酸供給管16から供給される硝酸溶液として核
燃料再処理装置から排出された硝酸廃液を利用する場合
において、硝酸廃液に含まれる陽イオンの核分裂生成物
化学種及び腐食生成物化学種は、陽イオン交換膜1を透
過して第4電解液に達するので、第2電解液中に蓄積さ
れない。循環槽22から排出される第4電解液は、廃棄
物処理によって陽イオンである放射性の核分裂生成物化
学種及び腐食生成物化学種が取り除かれるので、放射性
物質が取り除かれた状態で外部に排出できる。
【0122】(8)陰極室19内の第3電解液の硝酸濃
度を0.01規定以上0.1規定以下の範囲に保っている
ので、陰極室19内の第4電解液中での物質の沈殿によ
る電気透析の阻害を軽減できる。特に、核燃料再処理装
置から排出された硝酸廃液を第2電解液に加える硝酸と
して用いる場合は、第4電解液室内の第4水性電解液中
での核分裂生成物化学種及び腐食生成物化学種の沈殿を
抑制できる。
【0123】(実施例2)本発明の他の実施例である酸
化窒素の製造装置を図2に基づいて以下に説明する。本
実施例は、実施例1の構成と以下の点で異なる。水供給
管10の替りに硝酸供給管16が循環槽6に接続され
る。循環槽6と循環槽7は、電解液供給管59によって
連絡される。硝酸供給管16は配管55に接続されてい
ない。
【0124】本実施例の作用を以下に説明する。毎時2
600ファラディの電気量が硝酸電解槽44の陽極4と
陰極5との間に供給される。第1電解液室2内の第1電
解液から発生する酸素は毎時650グラム分子となる。
毎時1000グラム分子の硝酸及び4280グラム分子
の水を含む硝酸溶液(9規定)が、循環槽6に供給され
る。この硝酸溶液は、核燃料再処理装置から排出され、
硝酸濃度が9規定に調節された硝酸廃液である。酸素排
出管8にて排出される酸素は、1%のアスコルビン酸を
含む水(洗浄液)で洗浄し揮発性のルテニウム化学種を
除去してから放出する。硝酸電解槽に供給した硝酸溶液
中に含まれていた放射性ルテニウムの95%以上が洗浄
液に捕捉される。
【0125】循環槽6から電解液供給管59を通して循
環槽7に溢流した第1電解液は、毎時1000グラム分
子の硝酸及び1940グラム分子の水を含む濃硝酸(1
4.4規定)である。第1電解液室における水の減少
は、酸素の発生に伴い1300グラム分子,第2電解液
の硝酸濃度が7規定である場合に、第2電解液室への水
の移動1100グラム分子で合計2400グラム分子で
ある。第1電解液の硝酸濃度の増加は、実施例1で述べ
たように、第1電解液室2内での酸素の発生,水素イオ
ン及び水の第2電解液室3への移動に起因する。その濃
硝酸は、酸化窒素の原料になると共に電解還元機能の保
持に寄与する。第2電解液室3内の第2電解液の平衡状
態における硝酸濃度は7規定である。第2電解液室3内
では、第1電解液室から移動した水が1100グラム分
子、硝酸の還元反応で生成した水が1800グラム分子
であり、第1電解液室から供給される硝酸に伴う水が19
40グラム分子で、合計3840グラム分子の水が増加し
ている。実施例1において第2電解液室から除去を必要
としていた水の量が6220グラム分子であったことと
比較すると、実施例2においては62%に減少してい
る。実施例1と同様に、一酸化窒素80%及び二酸化窒
素20%を含む酸化窒素が毎時1000グラム分子発生
する。酸化窒素は、循環槽7を介し酸化窒素取出し管9
より取り出される。
【0126】実施例1において濃度が12規定の濃硝酸
を調製するには蒸留缶が必要であるが、実施例2におけ
る濃度が9規定の濃硝酸を調製するにはより簡単な構成
である蒸発缶によって行うことが可能である。また、濃
硝酸(9規定)を蒸発によって調製するために必要な熱
エネルギー量も少なくなる。
【0127】硝酸電解槽44における電力消費量は実施
例1と同じ条件で209kWである。
【0128】循環槽7内の第2電解液は、配管54によ
って電気透析槽45の各第3電解液室18に送られる。
第2電解液の硝酸濃度が7規定である場合に、毎時38
40グラム分子の水を除去するために電気透析槽に供給
する必要がある電気量は毎時7245ファラディであ
り、電流としては194206アンペアに相当する。電気透析
槽45は、有効面積が1m2 の陽イオン交換膜97枚
と、バイポーラ膜98枚を、実施例1のそれと同様にそ
れぞれ交互に狭い間隔で配置し、両端に陽極20及び陰
極21を配置する構成を有し、同じ作用を生じる。直流
電圧196Vが陽極20と陰極21との間に印加されて
いる。この場合において、電流密度は常時約0.2A/c
m2に維持され、電力消費量は392kWである。本実施
例の電気透析槽45の電力消費量は実施例1の電気透析
槽45のそれよりも著しく減少する。これは、外部から
供給される水の量が減少するため、循環槽7より第2電
解液室18に導入される第2電解液が減少することによ
る。各第3電解液室19から流出した第3電解液は、循
環槽22に導かれる。循環槽22から毎時3840グラ
ム分子の水が溢流液となり、低レベル放射性廃液として
処理される。配管23から少流量(毎時1グラム分子)
の硝酸溶液が循環槽22に供給され、第4電解液室19
内の第4電解液の硝酸濃度は0.1規定に制御する。
【0129】実施例2において、1000グラム分子の
酸化窒素を製造するために必要な電力は硝酸電解に20
9kW,第2電解液からの水の除去に392kWであ
り、総電力は約600kWである。
【0130】本実施例によれば、実施例1で得られる
(1)〜(8)の効果を生じると共に、更に以下の効果
を生じる。
【0131】(1)硝酸電解槽44の第2電解液室3の
第2電極液が陽イオン交換膜1を透過して第1電解液室
2から導かれる水によって希釈されても、その水の透過
によって硝酸濃度が上昇した、第1電解液室2から排出
される第1電解液を第2電解液に加えているので、硝酸
電解槽に加える硝酸の濃度を低くできる。このように、
硝酸電解槽に供給する、酸化窒素の原料となる硝酸の濃
度を、低減できることは、濃度の高い硝酸を調製するた
めに必要な多量の熱エネルギーを節約できる。具体的
に、実施例2で水の除去手段に必要な電力量は実施例1
の70%に減少しており、硝酸の濃縮に係わる消費エネ
ルギー量は従来例の38%に減少している。
【0132】(2)図1の実施例のように循環槽6に水
を供給しかつ循環槽7に硝酸供給管16より硝酸溶液を
供給せず、循環槽6に硝酸溶液を供給するので、図1の
実施例に比べて電気透析槽45で除去される水の量が著
しく減少する。従って、循環槽22より排出される硝酸
を含む廃液の量が著しく減少する。
【0133】(3)電気透析槽45の電力消費量が実施
例1よりも著しく減少するので、実施例1の(2)の効
果は更に良いものとなり、具体的には従来例の約50%
となる。
【0134】(4)核燃料再処理装置から排出された硝
酸廃液が第1電解液に加えられ、第1電解液室2内で発
生する酸素を含む気体を取り出して洗浄液で洗浄するの
で、硝酸廃液に含まれる揮発性の放射性物質(例えば、
ルテニウム等)の酸化窒素生成手段及び硝酸濃縮手段内
の電解液中での蓄積を抑制できる。従って、酸化窒素製
造装置の放射線量率の増加を抑制できる。
【0135】(実施例3)本発明の他の実施例である酸
化窒素の製造装置を図3に基づいて以下に説明する。本
実施例は、硝酸電解槽44及び水の除去手段である電気
透析槽45以外に硝酸の除去手段である電気透析槽46
を設け、循環槽22の替りに循環槽25を設けたもので
ある。電気透析槽46は、複数のバイポーラ膜17及び
複数の陰イオン交換膜26を交互に配置し、バイポーラ
膜17と陰イオン交換膜26との間に形成される第5電
解液室27及び第6電解液室28を有する。第5電解液
室27と第6電解液室28は、交互に配置される。電気
透析槽46内の一端部に、陽極29が設けられる。電気
透析槽46内の他端部に、陰極30が設けられる。各第
5電解液室27は、配管63及び62にて循環槽31に
接続される。硝酸水溶液である第5電解液は、循環槽3
1,配管62,第5電解液室27及び配管63を一定の
流速で循環する。循環槽31は配管42にて循環槽25
に接続される。各第6電解液室28は、配管64及び6
5にて循環槽32に連絡される。第6電解液は、循環槽
32,配管64,第6電解液室28及び配管65を一定
の流速で循環する。循環槽32は配管41にて循環槽2
5に接続される。排出管33が循環槽32に接続され
る。排出管33と配管63は、配管66によって連絡さ
れる。
【0136】本実施例は、さらに、水の除去手段である
電気透析槽45及び硝酸の除去手段である電気透析槽4
6のそれぞれ、陽極が存在する電解液室を図示してない
配管で循環槽6に接続して第1電解液が一定の流速で循
環され、また、陰極が存在する電解液室を図示してない
配管で循環槽7と接続して第2電解液が一定の流速で循
環される。
【0137】循環槽25の詳細構成を図4に基づいて説
明する。電気的イオン交換体を内蔵する水の除去手段で
ある電気透析槽45の第4電解液を循環する循環槽25
の詳細は図4に示される。作用電極36及び対照電極3
8が、循環槽25内に設けられる。弱酸性陽イオン交換
材37は、粉末を可塑剤で作用電極36の周囲に練り固
めたものである。イオン交換材として、イオン交換樹脂
あるいは燐酸ジルコニウムのような無機イオン交換物質
の使用も可能である。循環槽25は、配管57及び58
にて電気透析槽45の第4電解液室19に接続される。
図示されていないが、直流電源に接続され、作用電極3
6と対照電極38との極性を切替る切替手段(例えば、
切替スイッチ)が設けられる。弱酸性陽イオン交換材3
7の吸着時には、作用電極36が陰極に、対照電極38
が陽極になるように、切替手段が電源に接続される。弱
酸性陽イオン交換材37の脱着時には、作用電極36が
陽極に、対照電極38が陰極になるように、切替手段が
電源に接続される。溶離液供給管34と溶離液排出管3
5は循環槽25に接続される。
【0138】本実施例の作用を以下に説明する。毎時2
470ファラディの電気量が硝酸電解槽44の陽極4と
陰極5との間に供給される。硝酸電解槽44に供給され
る毎時2470ファラディの電気量は、電流として66
210アンペアに相当する。硝酸電解槽44は、具体的
には、74対の陽極4,バイポーラ膜17及び陰極5を
交互に配置して構成されている。バイポーラ膜17の有
効面積は1枚当り0.3m2 である。陽極4と陰極5との
間に直流電圧3Vを印加した場合において、バイポーラ
膜17の電流密度は常時約0.3A/cm2に維持される。
従って、硝酸電解槽44の電力消費量は200kWであ
る。
【0139】第1電解液室2で発生する酸素は毎時61
7グラム分子である。別に、水の除去手段である電気透
析槽45の陽極が存在する電解液室で発生する酸素は毎
時33グラム分子である。毎時1000グラム分子の硝
酸及び4280グラム分子の水を含む硝酸廃液(9規
定)が循環槽6に供給される。酸素排出管8にて排出さ
れる酸素に含まれる揮発性のルテニウム化学種が、実施
例2と同じように除去される。
【0140】循環槽6から電解液供給管59を通して循
環槽7に溢流した第1電解液は、毎時1000グラム分
子の硝酸及び1940グラム分子の水を含む濃硝酸(1
4.4規定)である。第2電解液室3内の第2電解液の
平衡状態における硝酸濃度は7規定となる。第2電解液
室3で生成される酸化窒素は、実施例2よりも毎時130
グラム分子少ない。しかし、電気透析槽45の陰極が存
在する電解液室中で生成される酸化窒素は毎時130グ
ラム分子であり、合計すると実施例2と同じ量である。
実施例2では硝酸電解槽44での電力消費量は209k
Wであったので、実施例3では消費電力が毎時9kW節
約されたことになる。硝酸の除去手段である電気透析槽
46の硝酸電解に及ぼす電力の節約効果は無視できるほ
ど小さい。循環槽7内の第2電解液は、配管54によっ
て電気透析槽45の各第3電解液室18に送られる。水
の除去手段で除去すべき水の量が毎時6220グラム分
子であり、第2電解液の硝酸濃度が7規定である場合に
必要な電気量は、毎時12958ファラディであり、電
流として347355アンペアに相当する。有効面積が
1m2 の陽イオン交換膜97枚と、バイポーラ膜98枚
を、実施例1及び実施例2のそれと同様に、それぞれ狭
い間隔で配置し、両端に陽極20及び陰極21を配置す
る構成を有し、同じ作用を生じる。直流電圧196Vが
陽極20と陰極21との間に印加されている。この場合
において、電流密度は常時約0.2A/cm2 に維持され、
電力消費量は392kWである。
【0141】電気透析槽45の各第4電解液室19から
第4電解液が、循環槽25に送られる。切替手段によっ
て、作用電極36が陰極に、対照電極38が陽極になる
ように直流電源に接続される。第4電解液に含まれてい
る陽イオンである核分裂生成物化学種及び腐食生成物化
学種は、弱酸性陽イオン交換材37に吸着される。これ
らの核分裂生成物化学種及び腐食生成物化学種は、循環
槽6に供給される硝酸廃液に含まれており、電気透析槽
45の陽イオン透過膜1を透過して第4電解液室19に
達する。対照電極38との間で作用電極36に負の電位
差を与えることによって、弱酸性陽イオン交換材37内
で吸着された陽イオンの移動拡散が促進される。イオン
交換によって弱酸性陽イオン交換材37から生成する水
素イオンは、作用電極36の表面で生成する水酸化イオ
ンで中和されるので、弱酸性陽イオン交換材37のイオ
ン交換容量が高められる。
【0142】電気透析槽45の第4電解液の硝酸濃度を
0.1 規定に保持した場合に、陽イオンを除去された、
毎時7グラム分子の硝酸と毎時4600グラム分子の水
を含む第4電解液が、溢流し、配管41を通って循環槽
32に供給される。この第4電解液のうち、毎時384
0グラム分子の水は電気透析槽45の第4電解室19か
ら第4電解液として供給されたものであり、毎時7グラ
ム分子の硝酸と毎時770グラム分子の水は電気透析槽
46の第5電解液室27から配管42を通して第5電解
液として供給されたものである。循環槽32からは、微
量の硝酸を含むが放射性核種を含まない毎時4600グ
ラム分子の水が溢流液として排出される。このうち、毎
時3840グラム分子の水は排水として外部に放出さ
れ、毎時770グラム分子の水は電気透析槽46の循環
槽31に供給される。
【0143】電気透析槽46は、有効面積が0.3m2
陰イオン交換膜26とバイポーラ膜17を10個ずつ交
互に狭い間隔で配置している。陽極29は白金鍍金した
チタン製である。陰極30はステンレス鋼製である。直
流電圧60Vが陽極29と陰極30との間に印加されて
いる。この場合において、電流密度は常時約10mA/
cm2 に維持されている。バイポ−ラ膜17は、陽イオン
選択透過性の層が陰極30側を向いて配置される。第6
電解液室28内の第6電解液中で硝酸は、水素イオンと
硝酸イオンに解離している。硝酸イオンは、陰イオン交
換膜26を透過して第5電解液室27に達する。この硝
酸イオンは、バイポーラ膜17の陽イオン選択透過層で
生成する水素イオンと結合して硝酸となる。このように
して、電気透析槽46において、第6電解液から第5電
解液に硝酸が実質的に回収される。電気透析槽46にお
ける電力消費量は1.8kWである。
【0144】回収された硝酸を含む第5電解液は、循環
槽25に供給される。このため、電気透析槽45の第4
電解液室19には毎時3840グラム分子の水が第3電
解液室18から移動しても第4電解液の硝酸濃度が0.
1規定に保持される。これは、電気透析槽45の第4電
解液室19における電気伝導度を適当に保持し、第4電
解液室19内の第4電解液中での核分裂生成物化学種及
び腐食生成物化学種の水酸化物の沈殿を十分に抑制す
る。
【0145】一連の酸化窒素製造操作の後に、切替手段
を操作して作用電極36が陽極に、対照電極38が陰極
になるように直流電源と接続する。5mA/cm2 の電流
密度が与えられる。作用電極36の表面で水素イオンが
発生し、吸着されていた陽イオンが弱酸性陽イオン交換
材37から脱着される。その後、配管23より溶離液
(水)を循環槽25内に供給し、溶離液排出管35より
排出する。排出された溶離液は、硝酸電解槽に供給した
硝酸廃液に含まれていたセシウム及びストロンチウムを
主成分とする放射性物質の95%以上を含んでいる。
【0146】実施例3において、1000グラム分子の
酸化窒素を製造するために必要な硝酸電解と第2電解液
からの水の除去のための消費電力は実施例2よりやや少
なく約590kWである。一方、排出水から硝酸と陽イ
オンを除去するため消費電力は数kWにすぎない。
【0147】本実施例は、実施例2で生じる効果を得る
ことができる。更に以下に示す効果も生じる。
【0148】(1)電気透析槽45の陰極が存在する電
解液室で硝酸の電解を行うので、硝酸電解槽44の設備
容量と消費電力が5%節約される。さらに、電気透析槽
45及び電気透析槽46の陽極が存在する電解液室に循
環する電解液の循環槽は循環槽6と共通であり、また、
電気透析槽45及び電気透析槽46の陰極が存在する電
解液室に循環する電解液の循環槽は循環槽7と共通であ
るため、設備は簡単になる。
【0149】(2)電気透析槽46第6電解液から実質
的に硝酸を回収して電気透析槽45の第4電解液室19
に導く第4電解液に加えるので、循環槽32から外部に
排出する排水中の硝酸濃度を低減でき、かつ回収した硝
酸を再利用できるため硝酸の消費がなく、排出する硝酸
の総量が低減する。
【0150】(3)循環槽25内に弱酸性陽イオン交換
材37を設けているので、第4電解液中の陽イオンを除
去でき第4電解液中の金属硝酸塩の生成に伴う水素イオ
ン濃度の低下を抑制できる。このため、第4電解液室1
9内での金属の水酸化物の沈殿によって電気透析が阻害
されることを軽減できる。
【0151】(4)第1電極液に核燃料再処理装置から
排出された硝酸廃液を加えた場合は、電気透析槽45の
陽イオン交換膜1を通して第3電解液室18から第4電
解液室19に移行する核分裂生成物イオン種および腐食
生成物イオン種等の陽イオンを弱酸性陽イオン交換材3
7によって分離除去できる。このため、電気透析槽45
より最終的に環境へ放出される排液の処理が容易とな
る。
【0152】(5)対照電極38を陽極にし作用電極3
6を陰極にすることにより、作用電極36に設けられた
弱酸性陽イオン交換材37のイオン交換容量を高めるこ
とができる。
【0153】(6)対照電極38極に変更すると共に作
用電極36極に変更して、陽イオンを弱酸性陽イオン交
換材37脱着させるので、陽イオンの脱着における薬剤
の使用量を著しく減少でき、弱酸性陽イオン交換材37
再生時に発生する廃棄物量を減少できる。
【0154】
【発明の効果】請求項1の発明によれば、酸化窒素生成
手段における電解によって酸化窒素を生成し、電解液室
をバイポーラ膜で分離することにより電解液室間の水の
移動量を低減するとともに、亜硝酸を減少させない水の
除去手段により第2電解液から水を除去するので、生成
する酸化窒素当りの消費電力量が著しく減少する。
【0155】請求項2、及び請求項3の発明によれば、
請求項1の発明によって得られる効果を生じると共に、
第1電解液室から排出される第1電解液を第2電解液に
加えているので、硝酸電解槽に加える硝酸の濃度を低く
でき、この硝酸濃度を得るために必要な多量の熱エネル
ギーを節約できる、さらに、第2電解液室に供給される
硝酸溶液に含まれる水の量と、第1電解液室から第2電
解液室に移動する水の量を低減でき、水の除去手段に必
要なエネルギーを著しく低減できる。
【0156】請求項4の発明によれば、請求項1の発明
によってえられる効果を生じると共に、第2電解液室内
の第2電解液中に含まれる亜硝酸を分解させることなく
水を電気透析によって除去できるので、生成する酸化窒
素当たりの消費電力量が著しく減少する。さらに、電解
装置に供給される原料硝酸溶液に含まれる陽イオンが電
気透析により第2電解液から除去できるので、電解装置
内に陽イオンが高濃度に蓄積して障害となることがな
い。
【0157】請求項5の発明によれば、請求項1,請求
項2及び請求項3の発明によって得られる効果を生じる
と共に、第2電解液の硝酸濃度を酸化窒素の生成に必要
な限りで低く保持されるので、第1電解液室から第2電
解液室に移動する水の量を低減でき、同時に、第3電解
液室から第4電解液室に移動する水の量を増加でるので
第2電解液からの水の除去手段に必要なエネルギーを著
しく低減できる。
【0158】請求項6の発明によれば、請求項4の発明
によって得られる効果を生じると共に、第4電解液室内
の第4電解液中での物質の沈殿を抑制でき硝酸濃縮手段
における電気透析の阻害を軽減できる。さらに、第4電
解液の電気伝導度を低下させないことによって電気透析
の電力消費量を節約することができる。
【0159】請求項7の発明によれば、請求項4及び請
求項6の発明の効果を生じると共に、排出する排水中の
硝酸濃度を低減でき、かつ回収した硝酸を第4電解液に
加えて再利用できるため、排出する硝酸の総量を低減す
ることができる。
【0160】請求項8の発明によれば、請求項4の発明
の効果を生じると共に、陽イオン交換体によって第4電
解液に含まれる陽イオンを除去するので、第4電解液室
の第4電解液中の金属塩生成による水素イオン濃度の低
下を抑制でき、第4電解液室内での金属の水酸化物の沈
殿によって電気透析が阻害されることを軽減できる。請
求項9の発明によれば、請求項8の発明の効果を生じる
と共に、第1電極を陽極にし、陽イオン交換体と複合さ
れた第2電極を陰極にするので、陽イオン交換体のイオ
ン交換容量を高め、かつ、イオン交換速度を高めること
ができる。
【0161】請求項10の発明によれば、請求項9の発
明の効果を生じると共に、第1電極を陰極に変更すると
共に陽イオン交換体と複合された第2電極を陽極に変更
するので、薬剤を使用することなく陽イオン交換体の再
生ができ、二次廃棄物の発生がなくなる。
【0162】請求項11の発明によれば、請求項7及び
請求項9の発明の効果を生じる。
【0163】請求項12の発明によれば、請求項2の効
果を生じると共に、核燃料再処理装置から排出された硝
酸廃液が第1電解液に加えられ、第1電解液室の第1電
解液内で発生する酸素を含む気体を取り出して洗浄液で
洗浄するので、硝酸廃液に含まれる揮発性の放射性物質
の酸化窒素生成手段及び硝酸濃縮手段内の電解液中での
蓄積を抑制できる。従って、酸化窒素製造装置の放射線
量率の増加を防止できる。
【0164】請求項13の発明によれば、請求項4,請
求項7または請求項11の効果が生じると共に、硝酸電
解槽の設備と消費電力が節約でき、また、電気透析槽の
電極が存在する電解液室に循環する電解液の循環槽が電
気透析槽の循環槽と共用できるので設備が簡単になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好適な一実施例である酸化窒素の製造
装置の構成図である。
【図2】本発明の他の実施例である酸化窒素の製造装置
の構成図である。
【図3】本発明の他の実施例である酸化窒素の製造装置
の構成図である。
【図4】図3の装置の一部の詳細を示した別の説明図で
ある。
【図5】従来の方法による実施例であり、回収硝酸の電
解還元による酸化窒素の製造方法及び装置の構成図であ
る。
【符号の説明】
1…陽イオン交換膜、2,18,27…陽極室、3,1
9,28…陰極室、4,20,29…陽極、5,21,
30…陰極、6,7,22,25,31,32…循環
槽、8…酸素排出管、9…酸化窒素取出し管、10…水
供給管、16…硝酸供給管、17…バイポーラ膜、26
…陰イオン交換膜、36…作用電極、37…弱酸性陽イ
オン交換材、38…対照電極、44…硝酸電解槽、4
5,46…電気透析槽、59…電極液供給管。

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】陽極を含む第1電解液室と陰極を含む第2
    電解液室をバイポーラ膜で分離してなる電解槽の陽極と
    陰極の間に直流電圧を負荷し、第2電解液室に硝酸を供
    給して、陰極の電位を硝酸の還元電位以下に保つことに
    より亜硝酸を経由して硝酸を酸化窒素ガスに還元して電
    解槽から取り出し、硝酸の還元によって第2電解液中に
    生成した亜硝酸を分解せずに、第2電解液中の水を除去
    して第2電解液室に戻すことにより、第2電解液室内の
    第2電解液の硝酸および亜硝酸濃度を酸化窒素の生成に
    必要な所定濃度に保つことを特徴とする酸化窒素の製造
    方法。
  2. 【請求項2】前記陽極を含む第1電解液室内の第1電解
    液が硝酸溶液であり、前記陰極を含む第2電解液室にお
    いて還元され、消費された硝酸に見合った量の硝酸が第
    1電解液室から第2電解液室に移送して供給され、同時
    に第1電解液室に実質的に同一量の硝酸が補充されるこ
    とを特徴とする請求項1の酸化窒素の製造方法。
  3. 【請求項3】前記陽極を含む第1電解液室に補充される
    硝酸の濃度が8規定と9規定の間であり、第1電解液の
    硝酸濃度が12.5規定と14.4規定の間である請求項
    1または請求項2の酸化窒素の製造方法。
  4. 【請求項4】複数の陽イオン交換膜及び複数のバイポー
    ラ膜を交互に配置することによって第3電解液室及び第
    4電解液室がそれらの間に交互に配置された、硝酸の還
    元によって第2電解液中に生成する亜硝酸を分解せずに
    水を除去して第2電解液室に戻す水除去手段の前記第3
    電解液室に、前記第2電解液を供給し、電気透析によ
    り、前記第3電解液室から第4電解液室に移動する水素
    イオンとその他の陽イオンに伴って水を第4電解液室に
    移動せしめ、前記電気透析によって水が除去され、かつ
    硝酸が第1電解液室から加えられた前記第3電解液を前
    記第2電解液室に戻す請求項1,請求項2または請求項
    3の酸化窒素の製造方法。
  5. 【請求項5】前記第2電解液室の第2電解液中の硝酸濃
    度が7規定と8規定の間に保持されることを特徴とする
    請求項4の酸化窒素の製造方法。
  6. 【請求項6】前記第4電解液室の電解液が硝酸であり、
    濃度が0.01規定乃至0.1規定の範囲に保たれる請求
    項4の酸化窒素の製造方法。
  7. 【請求項7】複数の陰イオン交換膜及び複数のバイポー
    ラ膜を交互に配置することによって第5電極液室及び第
    6電極液室がそれらの間に交互に配置された硝酸回収手
    段の前記5電極液室に、前記第4電解液室内の硝酸を含
    む前記第4電解液を供給し、この第4電解液内の硝酸イ
    オンを前記陰イオン交換膜を通して前記第6電解液室か
    ら前記第5電解液室に移動させて硝酸となし、この硝酸
    を前記第4電解液室に導く前記第4電解液に加え、硝酸
    が除去された前記第6電解液室内の液体を外部に排出す
    る請求項4の酸化窒素の製造方法。
  8. 【請求項8】陽イオン交換体を備える容器内に、前記第
    4電解液室内の硝酸を含む第4電解液を導き、前記第4
    電解液に含まれる陽イオンを前記陽イオン交換体によっ
    て除去する請求項4の酸化窒素の製造方法。
  9. 【請求項9】第1電極及び陽イオン交換体と複合された
    第2電極を備える容器内に、前記第4電解液室内の硝酸
    を含む第4電解液を導き、前記第1電極を陽極にすると
    共に前記第2電極を陰極にして、前記第4電解液に含ま
    れる陽イオンを前記陽イオン交換体によって除去する請
    求項4の酸化窒素の製造方法。
  10. 【請求項10】前記第1電極を陰極に変更すると共に前
    記第2電極を陽極に変更して、前記陽イオン交換体に吸
    着されている前記陽イオンを、前記陽イオン交換体から
    脱離させ、脱離した前記陽イオンを含む液体を前記容器
    から排出させる請求項9の酸化窒素の製造方法。
  11. 【請求項11】複数の陰イオン交換膜及び複数のバイポ
    ーラ膜を交互に配置することによって第5電極液室及び
    第6電極液室がそれらの間に交互に配置された硝酸回収
    手段の前記5電極液室に、前記容器内の前記第4電解液
    を供給し、この第4電解液内の硝酸イオンを前記陰イオ
    ン交換膜を通して前記第6電解液室から前記第5電解液
    室に移動させて硝酸となし、この硝酸を前記第4電解液
    室に導く前記第4電解液に加え、硝酸が除去された前記
    第6電解液室内の液体を外部に排出する請求項7,請求
    項8または請求項9の酸化窒素の製造方法。
  12. 【請求項12】前記第1電解液に加えられる硝酸が核燃
    料再処理装置から排出された硝酸廃液であり、前記第1
    電解液室の前記第1電解液内で発生する酸素を含む気体
    を前記第1電解液より取り出し、この気体を洗浄液で洗
    浄して揮発性の放射性物質を除去する請求項2又は請求
    項4の酸化窒素の製造方法。
  13. 【請求項13】前記水の除去手段である電気透析槽及び
    前記硝酸の除去手段であるそれぞれの電気透析槽の、陽
    極が存在する電解液室に前記第1電解液を電解液として
    循環させ、また、陰極が存在する電解液室に前記第2電
    解液を電解液として循環させることを特徴とする請求項
    4,請求項7又は請求項11の酸化窒素の製造方法。
JP7241240A 1995-09-20 1995-09-20 酸化窒素の製造方法 Pending JPH0975680A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7241240A JPH0975680A (ja) 1995-09-20 1995-09-20 酸化窒素の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7241240A JPH0975680A (ja) 1995-09-20 1995-09-20 酸化窒素の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH0975680A true JPH0975680A (ja) 1997-03-25

Family

ID=17071296

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP7241240A Pending JPH0975680A (ja) 1995-09-20 1995-09-20 酸化窒素の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0975680A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014005178A (ja) * 2012-06-26 2014-01-16 Miyama Kk 硝酸の回収方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014005178A (ja) * 2012-06-26 2014-01-16 Miyama Kk 硝酸の回収方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Walters et al. Concentration of radioactive aqueous wastes. Electromigration through ion-exchange membranes
JP3716042B2 (ja) 酸性水の製造方法及び電解槽
US4707240A (en) Method and apparatus for improving the life of an electrode
EP0492612B1 (en) Electrolyzer and method of operating same
JP3048612B2 (ja) 電解オゾン発生装置
US4115225A (en) Electrodialysis cell electrode reversal and anolyte recirculation system
US20160264443A1 (en) Water recovery method and system
JP5386215B2 (ja) 放射性廃液の処理方法および処理装置
EP2949630B1 (en) Water recovery device for closed system space
US4058441A (en) Process for the regeneration of spent pickling solutions
US5578181A (en) Method for treating waste water containing neutral salts comprising monovalent ions
US7828980B2 (en) Water treatment process
JP3236315B2 (ja) 中間室を設けた純水電解槽
US20090014337A1 (en) Electrochemical Nitrate Destruction
JPH11226576A (ja) 廃液の処理方法および処理装置
JP2007268331A (ja) 電気式脱イオン水製造装置
JPH022830A (ja) 電気透析装置
US5225054A (en) Method for the recovery of cyanide from solutions
JPH0975680A (ja) 酸化窒素の製造方法
EP1337472B1 (en) Process and apparatus for removal and destruction of dissolved nitrate.
GB2396625A (en) Removal of an acid
JPH08290906A (ja) 酸化窒素の製造方法およびその装置
JP3293475B2 (ja) 硝酸水溶液の濃縮方法およびその濃縮装置
JP3304221B2 (ja) 塩化アルカリ水溶液中の塩素酸塩の除去方法
JP3981424B2 (ja) ハロゲン化エチレンの分解処理方法