JPH0973819A - ヒューズ付きテープ電線およびその製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 遮断電流量の管理が容易で、しかもヒューズ
溶断時にあって溶断したヒューズのみの交換で復旧可能
なヒューズ付きテープ電線およびその製造方法を得る。 【解決手段】 第１および第２テープ４、５間に導線２
を配設したテープ電線において、導線２を途中で分断
し、分断したそれぞれ導線端部２Ａ、２Ｂに、着脱可能
なヒューズ片６の両端部６Ａ、６Ｂを列設し、このよう
にしてヒューズ片６を介して、分断された導線端部２
Ａ、２Ｂを電気的に導通させる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明はテープ電線およびそ
の製造方法に関し、とりわけ互いに重ね合わされる２枚
の樹脂テープ間に複数本の導体が長手方向に並列配置さ
れ、かつ、各導体にヒューズが一体的に設けられたヒュ
ーズ付きテープ電線およびその製造方法に関するもので
ある。

【０００２】

【従来の技術】自動車のバッテリー等の電源と、電機機
器、例えばパワーウインドウ開閉用モータとの間を接続
するのに、従来、テープ電線が用いられている。このよ
うなテープ電線は、２枚の絶縁性のテープ（例えば樹脂
製フィルム）間に複数本の導体を長手方向に並列させて
配置し、これらを融着一体化させたものであり、両端に
露出させた導体の端部をそれぞれ、電源と電機機器に接
続するものである。また、そのものの可撓性により配索
路に沿って屈曲自在になされるものである。

【０００３】ところで、電機機器を過電流から守るため
に、通常、前記回路中にヒューズが設置されている。こ
うしたヒューズとしては、ヒューズ片を格納した別体の
ヒューズボックスを配設し、そのヒューズ片の一端を電
源に、また他端をテープ電線に、それぞれ接続して、電
源に対して電機機器とヒューズが直列に接続される構成
となっている。しかしながら、前記のような構成のヒュ
ーズは、ヒューズボックスを用いるため場所をとり、装
置の小型化を困難にする。さらに、ヒューズ片を別体に
用いるので、部品点数が増加してコスト高となる。

【０００４】このため、テープ電線そのものにヒューズ
機能を与えた構成が既に提案されている。このようなヒ
ューズ機能付きのテープ電線の例として、特開平６―２
９０６４２号公報で開示されているものがある。図９に
示されるように、このフラットハーネス（テープ電線）
５０は、長尺平板状の導体で構成された複数本の導線５
１と、これら導線５１を上下から覆う被膜５２、５３か
ら成り、かつ導線５１には円孔５４が穿設されている。
この円孔５４によって、電流通電方向に直交する断面が
一部、小面積となって溶融切断されやすくなり、この結
果、導線５１の円孔５４を形成した部分がヒューズ部と
なっている。円孔５４は通常、打ち抜き加工で形成さ
れ、その直径は遮断電流量に応じて決定される。前記の
ようなテープ電線の導線に過電流が流れると、断面を小
さくしたヒューズ部が高温となって溶融し、遮断する。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら前記のよ
うな、テープ電線の導線の一部に、円孔を形成して断面
積を小さくすることでヒューズ部を形成するものでは、
遮断電流量が円孔の寸法に依存するから、製造時におい
て円孔の寸法の厳密な管理が必要不可欠となり、製造コ
ストの上昇を招くと同時に、所望の溶断特性を引き出す
ことは困難であった。さらに、ひとたび過電流が流れ
て、該当する導線が溶断してしまうと、この溶断した導
線だけを交換することは困難である。したがって復旧の
ためには、溶断していない他の導線も含めたテープ電線
全体を取り替え更新しなければならず、すべての導線の
接続（しかも導線の両端の接続）をやり直すという作業
が不可欠であった。これは作業が繁雑である上、正常な
部分の取り替え更新をするため不経済でもあった。

【０００６】本発明は上記事情に鑑みなされたものであ
り、その目的は遮断電流量を容易に管理でき、過電流に
よる溶断時にあって復旧作業が簡単容易であり、しかも
溶断したヒューズのみが交換できて経済的なヒューズ付
きテープ電線およびその製造方法を提供することにあ
る。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明に係るヒューズ付きテープ電線の構造は、第１
および第２テープ間に導体を配設したテープ電線におい
て、前記導体を途中で分断し、分断したそれぞれ導体端
部に、着脱可能なヒューズ片の両端部を列設し、前記ヒ
ューズ片を介して、分断された前記導体端部を電気的に
導通させる構成としたことを特徴とする。また、本発明
に係るヒューズ付きテープ電線の製造方法は、少なくと
も１本の導体の一方の面に、平坦な第１テープを貼り付
け、さらに前記導体の他方の面に、前記導体を露出させ
る切込み窓を設けた第２テープを貼り付けてテープ状の
連続体を形成し、前記切込み窓よりも小さく開口し、か
つ前記導体を途中から分断するとともに、前記分断によ
り残留する前記導体の各導体端部が前記切込み窓から露
出される寸法と位置を有する開口部を設け、さらに前記
露出された前記各導体端部に、ヒューズ片の両端部を着
脱可能に導設してヒューズ付きテープ電線を形成するこ
とを特徴とする。

【０００８】前記のように、テープ電線の分断された導
体を電気接続するヒューズ片を列設してヒューズ付きテ
ープ電線を構成することによって、テープ電線そのもの
にヒューズ機能が付与され、別途にヒューズボックス等
を設ける必要がなく、小型で低コストのハーネスが実現
される。加えて、過電流によってヒューズ片のみが溶断
する構成であるから、溶断が生じた際には、溶断したヒ
ューズ片のみを交換することで復旧が容易かつ迅速にな
される。

【０００９】

【発明の実施の形態】以下、この発明の好適な実施形態
を添付図面に基づいて詳細に説明する。図１は、本発明
に係るヒューズ付きテープ電線の一実施形態の構成を説
明する斜視図である。また、図２は、本発明に係るヒュ
ーズ付きテープ電線の一実施形態の側面断面図である。
本発明に係るヒューズ付きテープ電線１は、絶縁性の、
互いに重ね合わされる第１および第２テープ４、５間に
導体２を配設し、第１および第２テープ４、５の少なく
とも一方に切込み窓７を設け、切込み窓７内において導
体２を露出させている。さらに、導体２は途中で分断さ
れ、分断されたそれぞれ導体端部２Ａ、２Ｂに、着脱可
能なヒューズ片６の両端部６Ａ、６Ｂをそれぞれ列設さ
せて構成している。したがって、ヒューズ片６を介し
て、分断された導体端部２Ａ、２Ｂを電気的に導通させ
る構成としている。

【００１０】ヒューズ片６は導体端部２Ａ、２Ｂに着脱
可能であり、したがって取り外し交換可能に構成されて
いる。具体的には、ヒューズ片６の両端部６Ａ、６Ｂが
導体端部２Ａ、２Ｂに半田付けされるか、ねじ等で螺着
されるか、あるいは両端部６Ａ、６Ｂが導体端部２Ａ、
２Ｂに強く押圧されるか、等で導設されている。さらに
１０は絶縁ケースであり、露出されている導体端部２
Ａ、２Ｂの絶縁や保護、ヒューズ片６の絶縁や保護を目
的として、必要に応じて設けられる。また絶縁ケース１
０には、後述するように、ヒューズ片６を固定する機能
が付与されることがある。

【００１１】次に、本発明に係るヒューズ付きテープ電
線の動作を説明する。前記のように、分断された導体端
部２Ａ、２Ｂは、ヒューズ片６を介して電気的に導通さ
れているから、通過する電流量が適正な範囲にあれば、
そのまま導通状態が維持される。しかし、短絡等の異常
発生で過電流が流れると、ヒューズ片６が溶断して回路
と電機機器を守る。ヒューズ片６は、前記のように、半
田付けや、螺着等で導体端部２Ａ、２Ｂに取り外し交換
可能に構成されているから、ヒューズ片６の溶断が発生
した際にはヒューズ片６のみを交換するだけで復旧で
き、よって迅速かつ容易に復旧作業を行うことができ
る。

【００１２】図３は、本発明に係るヒューズ付きテープ
電線の他の実施形態の側面断面図である。さらに図４
は、その要部分解斜視図である。両図に示されるよう
に、ヒューズ付きテープ電線１Ａは、第１および第２テ
ープ４、５間に挟まれ、分断部分において第２テープ５
が切除されることで露出して端子状となった導体端部２
Ａ、２Ｂと、ヒューズ片６と、スプリング１２と、平面
突起状のサポート部１４を底面内部に有して挿通される
導体端部２Ａ、２Ｂを第１テープ４を介して支持し、か
つ係合部１０Ｄを側部に設けた下ケース１０Ｃと、スプ
リング１２を収容固定するための棒突起状の固定ピン１
３を天板面内部に設けてヒューズ片６をスプリング１２
の弾性力により押下し、かつ係合片１０Ｃを側部に設け
た上ケース１０Ａとを備えて構成される。端子状となっ
た導体端部２Ａ、２Ｂは、前記のように、あらかじめ第
２テープ５が部分的に切除されることで露出されている
ものであり、よって導体そのものに加工を施す必要はな
い。

【００１３】つぎにヒューズ付きテープ電線１Ａの組立
と動作を説明すると、まず分断部分である導体端部２
Ａ、２Ｂが露出されたテープ電線１Ａを下ケース１０Ｃ
の平面突起状のサポート部１４上に配置し、ヒューズ片
６を、その両端部６Ａ、６Ｂが導体端部２Ａ、２Ｂに合
致する位置に置く。ついで、上ケース１０Ａの固定ピン
１３にスプリング１２を挿入して、図４に示されるよう
に反転し、上ケース１０Ａと下ケース１０Ｃを重ね合わ
せて、係合片１０Ｃを係合部１０Ｄに係合させて固定す
る。これによってケース内では、スプリング１２が圧縮
されてその付勢力によりヒューズ片６の両端部６Ａ、６
Ｂを強く押圧する。この結果、絶縁ケース１０は、ヒュ
ーズ片６を導体端部２Ａ、２Ｂ上に固定するとともに、
両端部６Ａ、６Ｂと導体端部２Ａ、２Ｂとの電気的接続
を確実にしている。

【００１４】短絡等の異常発生で過電流が流れ、ヒュー
ズ片６が溶断した際には、上ケース１０Ａを開いて溶断
したヒューズ片６を除去し、交換用のヒューズ片６を配
置して、前記のように上ケース１０Ａを下ケース１０Ｃ
に再係合させて固定する。この作業のみで復旧でき、よ
って迅速かつ容易に復旧作業を行うことができる。

【００１５】図５は、本発明に係るヒューズ付きテープ
電線の製造方法が適用される製造装置の説明図である。
以下、図示されるヒューズ付きテープ電線製造装置２０
に基づいて、本発明に係るヒューズ付きテープ電線の製
造方法を説明する。ヒューズ付きテープ電線製造装置２
０において、少なくとも１本の導体２がピッチロール３
１を経て一対の熱ロール３２、３２間に供給される。同
時に、熱ロール３２には、平坦な第１テープ４および、
プレス刃３０によって導体２を露出させる切込み窓７が
設けられた第２テープ５が熱ロール３２の左右方向から
それぞれ導体２を挟むように供給される。これにより、
導体２の一方の面に、平坦な第１テープ４が貼り付けら
れ、さらに導体２の他方の面に、導体２を露出させる切
込み窓７を設けた第２テープ５が貼り付けられた、テー
プ状の連続体２１が形成される。図６に、連続体２１の
斜視図を示す。

【００１６】連続体２１は、カレンダーロール３３を経
て一対のカッター３４、３４に導かれ、カッター３４、
３４によって耳部分であるカット部２２、２２がそれぞ
れ切除されて、トリミングされた連続体２３となる。図
７に、トリミングされた連続体２３の斜視図を示す。

【００１７】トリミングされた連続体２３は、ついでプ
レス刃３５によって、切込み窓７内において開口部８が
打ち抜かれる。開口部８は、切込み窓７よりも小さく開
口し、かつ導体２を途中から分断するとともに、分断に
より残留する導体２の各導体端部２Ａ、２Ｂが切込み窓
７から露出される寸法と位置を有する。以上の工程によ
って、図８に示されるようなテープ電線２４が形成され
る。

【００１８】ついで、テープ電線２４の露出された各導
体端部２Ａ、２Ｂに、ヒューズ片６の両端部６Ａ、６Ｂ
を着脱可能に列設して、ヒューズ付きテープ電線を形成
させる。ヒューズ片６の着脱可能な列設は、前記実施形
態（図２〜図４参照）等のいずれかの方法に従って施工
する。前記のように、本発明によるヒューズ付きテープ
電線製造方法によれば、ヒューズ付きテープ電線の量産
体勢を容易に組むことができる。

【００１９】また、図示されないが、既存のテープ電線
製造技術である、切込み窓を第１および第２テープの両
方に、位置が合致するよう設けて、狭着した導体を完全
露出させ、耳取りカット後に露出した導体を中央部分で
裁断して、テープ電線端部の露出導体部分を形成させる
方法を、本発明によるヒューズ付きテープ電線製造方法
に併せて適用することも可能である。

【００２０】

【発明の効果】以上説明した様に、本発明に係るヒュー
ズ付きテープ電線は、途中が分断された導体の、分断さ
れたそれぞれ端部に、着脱可能なヒューズ片を列設し、
このヒューズ片を介して分断された導体を電気的に導通
させる構成であるから、テープ電線そのものにヒューズ
機能を付与でき、したがって別途にヒューズボックス等
を設ける必要がない。この結果、小型で低コストのヒュ
ーズ付きテープ電線を実現することができる。

【００２１】さらに、過電流によってヒューズ片のみが
溶断する構成であるから、溶断が生じた際には、溶断し
た箇所のヒューズ片のみを交換することで復旧でき、よ
ってテープ電線全体を取り替える必要がないから、作業
が簡単で短時間に復旧でき、しかも経済的である。ま
た、ヒューズ片は遮断電流量に適したものを任意に選択
して導設できるから、作動時の遮断電流量に合致するヒ
ューズ片の適用が容易になり、作動時の誤差を最小にで
きる。

【００２２】また、本発明に係るヒューズ付きテープ電
線の製造方法は、導体を露出させる切込み窓を設けた第
２テープを導体に貼り付け、さらにこの切込み窓よりも
小さく、導体を途中から分断するとともに残留する導体
の各端部を露出状態にする開口部を設け、さらに露出さ
れた導体の各端部に、ヒューズ片の両端部を着脱可能に
列設して製造するから、製造工程の自動化と工程管理を
はじめ、品質管理の徹底が容易になり、製品品質の向上
と、製造コストの低減を実現できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係るヒューズ付きテープ電線の一実施
形態による斜視図である。

【図２】図１に示すヒューズ付きテープ電線の要部側面
断面図である。

【図３】本発明に係るヒューズ付きテープ電線の他の実
施形態の側面断面図である。

【図４】図３に示したヒューズ付きテープ電線の要部分
解斜視図である。

【図５】本発明に係るヒューズ付きテープ電線の製造方
法に適用される製造装置の説明図である。

【図６】ヒューズ付きテープ電線の製造過程を説明する
斜視図である。

【図７】ヒューズ付きテープ電線の製造過程を説明する
斜視図である。

【図８】ヒューズ付きテープ電線の製造過程を説明する
斜視図である。

【図９】従来のテープ電線の構成斜視図である。

【符号の説明】

１ ヒューズ付きテープ電線 ２ 導体 ２Ａ、２Ｂ 導体端部 ４ 第１テープ ５ 第２テープ ６ ヒューズ片 ６Ａ、６Ｂ ヒューズ片の端部 ８ 開口部 １０ 絶縁ケース

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 第１および第２テープ間に導体を配設し
   たテープ電線において、前記導体を途中で分断し、分断
   したそれぞれ導体端部に、着脱可能なヒューズ片の両端
   部を列設し、前記ヒューズ片を介して、分断された前記
   導体端部を電気的に導通させる構成としたことを特徴と
   するヒューズ付きテープ電線。
2. 【請求項２】 少なくとも１本の導体の一方の面に、平
   坦な第１テープを貼り付け、さらに前記導体の他方の面
   に、前記導体を露出させる切込み窓を設けた第２テープ
   を貼り付けてテープ状の連続体を形成し、前記切込み窓
   よりも小さく開口し、かつ前記導体を途中から分断する
   とともに、前記分断により残留する前記導体の各導体端
   部が前記切込み窓から露出される寸法と位置を有する開
   口部を設け、さらに前記露出された前記各導体端部に、
   ヒューズ片の両端部を着脱可能に導設してヒューズ付き
   テープ電線を形成することを特徴とするヒューズ付きテ
   ープ電線の製造方法。