JPH0973643A - 光ピックアップの対物レンズ駆動装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 光ピックアップの対物レンズ駆動装置のフォ
ーカシング及びトラッキング制御時における可動ホルダ
ーの振動を抑え、静停止特性の向上を図る。 【解決手段】 フォーカシング制御用マグネット３もし
くはトラッキング制御用マグネット４と対向する位置
に、高導電性金属部材１３を配置してマグネットとコイ
ルとの間に生じる磁束により高導電性金属部材１３に渦
電流を起こして可動部材５の振動を抑えながら静停止さ
せるように構成したもの。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、フォーカシング制
御及びトラッキングを制御行う光ピックアップの対物レ
ンズ駆動装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】光ピックアップの対物レンズ駆動装置に
おいて、トラッキング方向及びフォーカシング方向に自
在に可動する可動ホルダーを所望の位置に静止・停止さ
せる技術が従来より公開されている。従来の光ピックア
ップの対物レンズ駆動装置を図面を用いて説明する。

【０００３】図６は特開平３−１４４９２４号公報等に
記載された従来の対物レンズ駆動装置の概略図であっ
て、本図において対物レンズ１０２は、可動ホルダー１
０３に接着されている。この可動ホルダー１０３の対物
レンズ１０２と対向する側には、回転によるトラッキン
グ制御及び上記上下移動によるフォーカシング制御に際
しての重量バランスを取るためのバランサー１０４が設
けられている。可動ホルダー１０３は摺動穴１０９を案
内として自由に回転・上下移動できるようになってい
る。上記バランサー１０４を可動ホルダー１０３に取り
付ける際は、可動ホルダー１０３の鉛直壁面、つまり対
物レンズ１０２のフォーカシング制御駆動による振動共
振方向と平行路な面にのみ粘着材として両面接着テープ
１０７が介在されている。

【０００４】上述した従来の対物レンズ駆動装置は、こ
のようにレンズホルダー１０３とバランサー１０４との
間で両面接着テープ１０７の粘着作用を生じさせること
によって、フォーカシング制御時に発生する高次共振の
振動が吸収され、駆動軸からの振動による対物レンズ１
０２のフォーカシング制御に与える影響が低減されるよ
うに構成されている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】一方、特開平３−２０
３０３３号及び特開平２−３０１２２号公報には、それ
ぞれ対物レンズ駆動装置のトラッキング方向の制御方法
が開示されている。これらはいずれも対物レンズ駆動装
置の駆動回路に振動を抑えるための振動減衰部を有して
いるが、これらのいずれの従来技術においても、高速駆
動される対物レンズ駆動装置の回動を短時間で静停止さ
せるだけの制動力を有しておらず、トラッキング方向又
はフォーカシング方向の制御を行うときに、対物レンズ
駆動装置が静停止するまでに時間がかかり、各制御動作
が良好に行われなくなる畏れがある。

【０００６】そこで本発明は、簡易な構成でトラッキン
グ及びフォーカシング制御を良好に行うことを可能とす
る光ピックアップの対物レンズ駆動装置を提供すること
を目的としている。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明の光走査装置の第
１の手段は、対物レンズを有する可動ホルダーを固定部
材に対してフォーカシング方向及びトラッキング方向に
移動自在に装着し、上記固定部材及び可動ホルダーの一
方にコイルを配置するとともに、他方に、上記コイルに
対向するようにマグネットを配置して、トラッキング及
びフォーカシング制御を行うようにした光ピックアップ
の対物レンズ駆動装置において、前記固定部材もしくは
可動ホルダーの一方に設けられた前記マグネットに対向
するように、固定部材もしくは可動ホルダーの他方に高
導電性金属部材を配置した構成となっている。

【０００８】また、本発明の第２の手段は、請求項１の
コイルを可撓性樹脂で一体的に形成されたシート状のフ
レキシブルコイル基板内に配置し、該フレキシブルコイ
ル基板と可動ホルダーとの間に高導電性金属部材を配す
るようにして、前記フレキシブルコイル基板を可動ホル
ダーに固定した構成となっている。

【０００９】更に、本発明の第３の手段は、請求項１の
高導電性金属部材を銅もしくはアルミニウムから形成し
た構成となっている。

【００１０】このような本発明の第１手段による光ピッ
クアップの対物レンズ駆動装置によれば、マグネットに
対向する位置に高導電性金属部材を配置したので、可動
ホルダーの動作時にマグネットと高導電性金属部材との
間に渦電流が発生し、渦電流によるエネルギー損失によ
って可動ホルダーの振動が短時間で静停止される。

【００１１】また、本発明の第２手段によれば、高導電
性金属部材をフレキシブルコイルと可動ホルダーとの間
に配置したので、装置全体が薄形化されるとともに、組
立時の作業性が容易となる。

【００１２】更に、本発明の第３手段によれば、高導電
性金属を銅或いはアルミニウムにしたため、銅を用いた
場合は導電率が高く、渦電流がより大きくなるため高導
電性金属部材自体を薄く構成でき、もしアルミニウムを
用いた場合はアルミニウムが軽い材質であるので、銅、
アルミニウムと共に装置全体を軽く構成でき高速移動の
使用に適している。

【００１３】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図１及
び図２に基づいて説明する。図１は本発明の一実施形態
における光ピックアップの対物レンズ駆動装置である。
取付用基板１には、部分円筒形状の周壁を有する固定部
材２が螺子止め等によって固定されている。該固定部材
２の周壁は、後述する光軸を中心として一対の円弧状壁
を対称的に配置したものであって、各内周面２ａ，２ａ
には、フォーカシング制御用マグネット３及びトラッキ
ング制御用マグネット４がそれぞれ所定の位置に設けら
れている。またこの固定部材２の略中心位置には摺動用
軸５が立設されている。

【００１４】該摺動用軸５には、トラッキング方向及び
フォーカシング方向に対物レンズ６を載置した可動ホル
ダー７が回動・摺動自在に嵌合されており、この可動ホ
ルダー７の外周面には可撓性部材で構成された一対のフ
レキシブルコイル基板８，８が、可動ホルダー７の中心
と上記対物レンズ６の中心とを結ぶ線に対して略対称位
置に貼着されている。各フレキシブルコイル８の構成に
ついては図２及び図３を用いて詳述する。

【００１５】フレキシブルコイル基板８には、フォーカ
シング制御用コイル１０とトラッキング制御用コイル１
１が前記固定部材２の周壁内周面２ａ，２ａと対向する
位置に配置され、可撓性樹脂によってそれぞれ固定され
ている。これらのフォーカシング制御用コイル１０及び
トラッキング制御用コイル１１は、周方向に並設されて
二組設けられており、当該フォーカシング制御用コイル
１０，トラッキング制御用コイル１１の内周端及び外周
端からは図示しない導線が引き出されて外部接続用のフ
ォーカシング制御用コイル端子１０ａ，１０ａ、トラッ
キング制御用コイル端子１１ａ，１１ａにそれぞれ接続
されている。

【００１６】また上記フォーカシング制御用コイル１０
及びトラッキング制御用コイル１１の下層には絶縁層１
２を介して高導電性金属部材１３，１３が配置されてい
る。これら各高導電性金属部材１３は、上記フォーカシ
ング制御用コイル１０及びトラッキング制御用コイル１
１の配置位置に重なる位置でかつフォーカシング制御用
コイル端子１０ａ，１０ａ及びトラッキング制御用コイ
ル端子１１ａ，１１ａには重ならない位置に接着固定さ
れている。

【００１７】このように構成されたフレキシブルコイル
基板８，８は可動ホルダー７の外周面の円弧形状に合わ
せて曲げられて接着層１４を介して可動ホルダー７の外
周面上に接着され、これによりフォーカシング制御用コ
イル１０及びトラッキング制御用コイル１１が、フォー
カシング制御用マグネット３及びトラッキング制御用マ
グネット４にそれぞれ対向するように配置されている。

【００１８】このように、対物レンズ６を載置した可動
ホルダー７のフォーカシング制御及びトラッキング制御
時において、フォーカシング制御用コイル１０，１０及
びトラッキング制御用コイル１１，１１に電流が流れる
と、フォーカシング制御用コイル１０及びトラッキング
制御用コイル１１と、これらに対向したフォーカシング
制御用マグネット３及びトラッキング制御用マグネット
４との間に駆動磁界が発生し、フォーカシング及びトラ
ッキング制御を行うべく可動ホルダー７が摺動用軸５を
中心に摺動または回動をする。そして、この摺動または
回動を停止して回動ホルダー７を所定の位置に静停止し
た後、図示しない媒体上に対物レンズ６からの光線を照
射することにより媒体の記憶情報を読み取り、又は書き
込むように構成されている。

【００１９】このような本実施形態装置における可動ホ
ルダー７の摺動又は回動を静停止させる時の振動状態
を、従来装置と対比しつつ説明する。

【００２０】まず、図５のグラフには、上述した可動ホ
ルダー７が静停止するまでの時間の経過（横軸）と、振
動の振幅すなわち変位量（縦軸）との関係が表わされて
いる。本図に示されているように、従来装置の場合（図
５（ａ））及び本願発明にかかる装置の場合（図５
（ｂ））のいずれにおいても、可動ホルダーがフォーカ
シング又はトラッキング制御するための停止信号を受け
た時点Ａから時間の経過とともに（図５右方向に）、振
動は減衰して可動ホルダーの変位量は小さくなっている
が、図５（ａ）の従来装置では、完全に停止するまでの
時間及び振幅がかなり大きくなっている。これは、図４
（ａ）のグラフに示した従来装置では、可動ホルダーの
振動周波数応答を示す利得（従軸；ｄＢ）が、大きな共
振点ピークを有していることに起因するものである。

【００２１】これに対して、前述するように構成された
本発明の装置によれば、図４（ｂ）のグラフに示すよう
に、振動周波数応答すなわち利得（従軸；ｄＢ）におけ
る共振点ピークが下がっており、その結果、図５（ｂ）
のグラフに示すように、振動は極めて短時間でおさま
り、上述した従来の光ピックアップの対物レンズ駆動装
置と比較して完全に静停止するまでの時間が格段に短く
なっている。

【００２２】すなわち、本発明の上記実施形態の構成に
よれば、可動ホルダー７の停止動作時にフォーカシング
制御用コイル及びトラッキング制御用コイルと対向配置
されたフォーカシング制御用マグネット３及びトラッキ
ング制御用マグネット４の間に発生した磁束が、高導電
性金属部材１３に対して変化することによって当該高導
電性金属部材１３に渦電流が発生する。そしてこの渦電
流は、可動ホルダー７に起こる振動のエネルギー損失と
なって強力なブレーキを掛ける作用を奏することとな
り、そのため、可動ホルダー７の振動は容易かつ短時間
で止まる。

【００２３】更に本実施形態では、フォーカシング制御
用コイル１０，１０及びトラッキング制御用コイル１
１，１１が接着層１４を介して可動ホルダー７に固定さ
れているので、接着層が防振作用を発揮することとな
り、上記の渦電流によるブレーキ作用と合わせて振動低
減作用を増加させる作用を有する。

【００２４】また、静停止時に当該可動ホルダー７自体
に渦電流を起こして摺動・回動力にブレーキを掛けるべ
く、可動ホルダー７本体自体を高導電性金属部材で構成
しても良いし、高導電性金属材料をメッキしても良い。
なおこのように可動ホルダー７本体自体を高導電性金属
部材で構成した場合には、高導電性金属部材で構成され
た可動ホルダー７とフォーカシング制御用コイル１０，
１０及びトラッキング制御用コイル１１，１１とは短絡
しないように絶縁しなければならない。

【００２５】次に、高導電性金属部材１３，１３として
銅を使用した実施形態について説明する。銅は、密度の
高い材質なので非常に重いが、導電率が高く渦電流が発
生し易いという特質を有している。つまり、高導電性金
属部材１３，１３として銅を用いると、高導電性金属部
材の厚さを薄く構成して重量を軽減しても、導電率が高
いために渦電流効果によるブレーキ力を十分発生させる
ことができる。従って、高導電性金属部材を薄く構成し
て可動ホルダー７の総重量を軽減することができ、可動
ホルダー７が高速で摺動・回動をしても静停止する際に
重量の影響を低減することができる。例えば、アルミニ
ウムと比較すると、高導電性金属部材の厚さを約１／３
にすることが可能である。

【００２６】また、高導電性金属部材１３，１３として
アルミニウムを使用した実施形態について説明する。ア
ルミニウムは、銅と比較すると導電率は低いが、密度が
小さく非常に重量が軽いという特質を有している。つま
り、高導電性金属部材としてアルミニウムを用いると、
銅に比べて導電率が低いために高導電性金属部材の厚さ
を厚く構成しなければならないが、総重量を軽くするこ
とができるため、可動ホルダー７が高速で摺動・回動を
しても静停止する際に重量の影響を低減することができ
る。例えば、銅と比較すると、同じ体積では重量が約１
／３である。

【００２７】以上、本発明者によってなされた発明の実
施形態を具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に
限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で
種々変形可能であるというのはいうまでもない。

【００２８】例えば、フォーカシング制御用マグネット
３及びトラッキング制御用マグネット４を可動ホルダー
７側に設けるとともに、可動ホルダー７とフォーカシン
グ制御用コイル１０，１０及びトラッキング制御用コイ
ル１１，１１を固定部材２側に設け、かつ高導電性金属
部材１３をフォーカシング制御用マグネット３及びトラ
ッキング制御用マグネット４に対向するように配置すれ
ば、上記本発明の構成と同様の渦電流によるブレーキ効
果が得られることとなり、可動ホルダー７の静停止を容
易に且つ短時間に行うことができる。

【００２９】また、本発明の上記実施形態では、高導電
性金属部材１３をフォーカシング制御用マグネット３，
３及びトラッキング制御用マグネット４，４の両方、つ
まり４つのマグネットと対向させた構成となっている。
しかし、渦電流のブレーキ力の強さによって、上記のフ
ォーカシング制御用マグネット３，３及びトラッキング
制御用マグネット４，４のうつの１つ、２つ、或いは３
つと高導電性金属部材１３を対向させることが可能であ
る。

【００２９】さらに本発明の実施形態として、高導電性
金属部材に銅またはアルミニウムを使用した実施例を説
明したが、高導電性金属部材としては、導電率が高い多
種多様な金属部材を用いることができる。

【００３０】

【発明の効果】以上述べたように、本発明の光ピックア
ップの対物レンズ駆動装置の第１の手段によれば、フォ
ーカシング制御用マグネットもしくはトラッキング制御
用マグネットに対向配置した高導電性金属部材に可動ホ
ルダーを停止させる渦電流を発生させ、この渦電流によ
り可動ホルダーの振動を静停止を良好に行わせることが
でき、制御特性の向上を図ることができる。

【００３１】また、本発明の第２手段によれば、第１の
手段に加えフォーカシング制御用コイル及びトラッキン
グ制御用コイルを可撓性の樹脂で一体的に固定したフレ
キシブルコイル基板に高導電性金属部材を配置して可動
部材に接着層を介して固定した構成としたため、貼着時
の作業性が向上するとともにコンパクトな構成になると
いう効果を有している。

【００３２】さらに、本発明の第３手段によれば、上述
した第１の手段に加えて高導電性金属部材を銅もしくは
アルミニウムで構成したため、高導電性金属部材の重量
を軽減しつつ渦電流によるブレーキ力を発生させること
ができる。そのため、可動ホルダー全体の重量も軽減で
き、重量の影響を受けずに高速で摺動・回動することが
可能となり、媒体への追従性を確保でき、製品の信頼性
を向上させる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例における光ピックアップの対
物レンズ駆動装置の平面説明図である。

【図２】図１に表わした光ピックアップの対物レンズ駆
動装置に用いられているフレキシブルコイル基板の外観
斜視説明図である。

【図３】図２に表わしたフレキシブルコイル基板の縦断
面説明図である。

【図４】（ａ）は従来の光ピックアップの対物レンズ駆
動装置にかかる可動ホルダーの静停止時における振動と
駆動周波数との関係を表わしたグラフであり、（ｂ）は
本発明にかかる装置における可動ホルダーの静停止時の
振動と駆動周波数との関係を表わしたグラフである。

【図５】（ａ）は従来装置における可動ホルダーの静停
止までの時間と振幅との関係を表わしたグラフであり、
（ｂ）は本発明にかかる装置における可動ホルダーの静
停止までの時間と振幅との関係を表わしたグラフであ
る。

【図６】先行技術の問題点を指摘した説明図であり、先
行技術における光ピックアップの対物レンズ駆動装置の
要部拡大横断面図である。

【符号の説明】

２ 固定部材 ３ フォーカシング制御用マグネット ４ トラッキング制御用マグネット ７ 可動ホルダー １０ フォーカシング制御用コイル １１ トラッキング制御用コイル １３ 高導電性金属部材

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 対物レンズを有する可動ホルダーを固定
   部材に対してフォーカシング方向及びトラッキング方向
   に移動自在に装着し、上記固定部材及び可動ホルダーの
   一方にコイルを配置するとともに、他方に、上記コイル
   に対向するようにマグネットを配置してトラッキング及
   びフォーカシング制御を行うようにした光ピックアップ
   の対物レンズ駆動装置において、 前記固定部材もしくは可動ホルダーの一方に設けられた
   前記マグネットに対向するように、固定部材もしくは可
   動ホルダーの他方に高導電性金属部材を配置したことを
   特徴とする光ピックアップの対物レンズ駆動装置。
2. 【請求項２】 請求項１のコイルを、可撓性樹脂で一体
   的に形成されたシート状のフレキシブルコイル基板内に
   配置し、該フレキシブルコイル基板と可動ホルダーとの
   間に高導電性金属部材を配するようにして、前記フレキ
   シブルコイル基板を可動ホルダーに固定したことを特徴
   とする請求項１に記載の光ピックアップの対物レンズ駆
   動装置。
3. 【請求項３】 高電導性金属部材を銅もしくはアルミニ
   ウムから形成したことを特徴とする請求項１又は２の光
   ピックアップの対物レンズ駆動装置。