JPH0972846A - フレーム原子吸光光度計およびフレーム原子吸光分析方法 - Google Patents

フレーム原子吸光光度計およびフレーム原子吸光分析方法

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JPH0972846A
JPH0972846A JP22893995A JP22893995A JPH0972846A JP H0972846 A JPH0972846 A JP H0972846A JP 22893995 A JP22893995 A JP 22893995A JP 22893995 A JP22893995 A JP 22893995A JP H0972846 A JPH0972846 A JP H0972846A
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light
atomic absorption
magnet
flat
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JP22893995A
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Yoshihiro Hirano
義博 平野
Tadafumi Kuroishi
忠文 黒石
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Hitachi Ltd
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Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】試料に磁場をかけることによりゼーマン効果を
利用したバックグラウンド補正を行う場合においても、
より高濃度の目的元素の測定を正確に行うことが可能な
フレーム原子吸光光度計およびフレーム原子吸光分析方
法を提供する。 【構成】バーナーヘッド1にはバーナーチャンバ8から
のガスにより平板状の炎2が形成される。永久磁石6
は、炎2の両面を挟んでS極6a、N極6b、炎2が平
行に対向するように設置され、永久磁石6には両極を貫
通する直線状の通路7が設けてある。この通路7の軸は
平板状の炎2の面に対し角度θで交わる。また、永久磁
石6、バーナーヘッド1、バーナーチャンバ8を水平面
内で回転させる回転機構6Aが設けられている。光源3
からの分析光3sは、通路7に導入され平板状の炎2を
通過し、さらに分光器4を通過し、検知器5に入射す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、試料を平板状の炎(フ
レーム)によって原子化し、その平板状の炎に当てた光
の吸光度より試料中の金属元素の定量を行なうフレーム
原子吸光光度計およびフレーム原子吸光分析方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】フレーム原子吸光光度計は原子吸光分析
装置の一つであり、一般に、バーナーに燃料ガスや助燃
ガスを供給して生成される炎に、霧状の試料を導入して
試料に含まれる金属元素の原子化を行い、光源より光を
当ててこのとき生じる光の吸収(以下、適宜、吸光度と
いう)を測定することにより試料中の金属元素の定量を
行うものである。
【0003】図6に、フレーム原子吸光光度計の構成を
示す。光源103から発した光はバーナーヘッド101
上に形成される炎(フレーム)102の中を通過し、分
光器104において特定波長の光が選択され、検知器1
05へ導かれる。炎102の温度は、供給されるガスや
その流量などの条件により異なるが、通常2000℃か
ら3000℃程度となる。この炎102に導入された試
料は加熱により分解し、原子蒸気となり、元素固有の波
長の光を吸収する。そのため、目的元素に対応する波長
を分光器104において選択し、その波長の光の吸収を
検知器105において測定することにより、目的元素の
定量分析を行うことができる。
【0004】上記のようなフレーム原子吸光光度計に用
いられるバーナーヘッド101は通常、細長いスロット
を持ち、このスロットで形成される炎102は平板状と
なる。光源103からの光の光路はバーナーヘッド10
1のスロットと平行に設定され、光は平板状の炎102
により形成される平面と平行に入射する。これは、炎1
02中を通過する光の光路を長くとれば、より多くの原
子蒸気により光が吸収され、そのために単位濃度あたり
の吸光度が高くなり、より高感度の分析ができるためで
ある。
【0005】このように光源101からの光は炎102
を通過する際にその一部が吸収され、これが検知器10
5において検知されるが、その時の吸収は、原子蒸気と
なった目的元素だけでなく、分子状態の元素や、その他
の分子や化合物等による吸収も含まれ、これらの吸収が
大きな測定誤差を与えることがある。このような原子蒸
気の状態にある目的元素以外のものによる吸収は、一般
にバックグラウンド吸収と呼ばれている。このバックグ
ラウンド吸収による測定誤差を低減するため、フレーム
原子吸光光度計には、バックグラウンド補正の機能を備
えているものが多い。バックグラウンドを補正する方法
としては、様々な方法が用いられており、代表的なもの
として輝線スペクトルを用いる方法、連続光を用いる方
法、ゼーマン効果を利用する方法などがある。
【0006】これらのバックグラウンド補正方法のう
ち、ゼーマン効果を用いる方法には、光源からの光に磁
場をかける方法、あるいは試料(炎)に磁場をかける方
法があり、用いる磁石としては電磁石や永久磁石があ
る。さらに試料に磁場をかける方法を採用した装置は、
原子化した試料の両側、すなわち平板状の炎の両面を挟
んでS極およびN極が向かい合うように磁石が配置され
た構成となっているのが一般的である。上記で述べたフ
レーム原子吸光光度計の構成やバックグラウンド補正方
法については、保田和雄および長谷川敬彦著「原子吸光
分析」(講談社、1972年)、高橋務および大道寺英
弘編「ファーネス原子吸光分析」(学会出版センター、
1984年)などに記載されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】前述したフレーム原子
吸光光度計は、光源からの光を平板状の炎と平行に入射
させることによってより高感度の分析を可能としている
ため、分析元素の濃度が低い場合の分析に適している。
一方、分析元素の濃度が高くなると正確な定量分析がで
きないという問題が生じる。この理由について以下に述
べる。
【0008】前述の検知器において測定された特定波長
の吸収(吸光度)と、目的元素の濃度との関係は、ある
濃度範囲では直線関係が成り立ち、その濃度範囲では濃
度を増加するに従って吸光度も増加する。しかし、目的
元素の濃度が比較的高くなる範囲では、この直線関係が
成り立たなくなり、濃度の増加に対して、吸光度の増加
が少なくなる傾向が見られ、さらにある濃度範囲では濃
度の増加に対して吸光度が減少する場合もある。この原
因は、光源からの光(発光線)のスペクトルと試料の吸
収線のスペクトルの幅や裾の広がり方の違いによるため
である。このように目的元素が高濃度で吸光度と濃度の
直線関係が成り立たないような場合には正確な定量分析
が困難となる。
【0009】このような問題に対し、バーナーヘッドを
水平面内で回転させ、炎により形成される平面に対して
光源からの光を斜めに入射させれば、炎中を通過する光
の光路が短くなり、単位濃度あたりの吸光度が低くなっ
てより高い濃度まで測定可能になると考えられる。しか
し、磁石を用いて試料に磁場をかけることによりバック
グラウンドを補正する方法を採用したフレーム原子吸光
光度計では、炎の両面を挟んで両極が向かい合うように
磁石が配置され、磁石の両極の間隙を光源からの光が通
過するため、平板状の炎に対して光源からの光を斜めに
入射させようとするとその光を磁石が遮ってしまうとい
う不都合が生じる場合がある。
【0010】上記のように、試料に磁場をかけることに
よりバックグラウンドを補正する方法を採用した従来の
フレーム原子吸光光度計では、低濃度の目的元素の測定
は高感度の測定を行うことができるが、より高濃度の目
的元素の測定を正確に行なうことが困難であった。
【0011】本発明の目的は、試料に磁場をかけること
によりバックグラウンドを補正する場合においても、よ
り高濃度の目的元素の測定を正確に行うことが可能なフ
レーム原子吸光光度計およびフレーム原子吸光分析方法
を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明によれば、試料を原子化する平板状の炎と、
上記平板状の炎の両面を挟んでS極およびN極が向かい
合うように配置された磁石と、上記平板状の炎に光を発
する光源とを有し、上記平板状の炎を通過した光の吸光
度より前記試料中の金属元素の定量を行なうフレーム原
子吸光光度計において、前記磁石の両極を貫通する直線
状の通路を設け、その直線状の通路に前記光源からの光
を導入しかつ前記平板状の炎を通過させることを特徴と
するフレーム原子吸光光度計が提供される。
【0013】上記フレーム原子吸光光度計において、好
ましくは、前記直線状の通路を設ける方向が、平板状の
炎の表面に対して5°以上90°以下の角度、または前
記磁石の両極間を結ぶ最短の直線の方向に対して0°以
上85°以下の角度、または前記磁石のS極およびN極
の表面に対して5°以上90°以下の角度で交わる。
【0014】また、好ましくは、前記磁石および前記平
板状の炎は水平面内でそれぞれ回転可能であり、その磁
石および平板状の炎の回転により、前記光源からの光が
磁石に設けた直線状の通路を通過する配置に加え、前記
光源からの光が磁石の向かい合うS極およびN極の間を
通過する配置をとりうる。
【0015】また、前記磁石に設けた直線状の通路は複
数あってもよい。
【0016】また、前述の目的を達成するため、本発明
によれば、平板状の炎の両面を磁石のS極およびN極で
挟んだ状態で前記平板状の炎により試料を原子化し、上
記平板状の炎に光源からの光を当ててその光の吸光度よ
り前記試料中の金属元素の定量を行なうフレーム原子吸
光分析方法において、前記磁石の両極を貫通する直線状
の通路を設けておき、その直線状の通路に前記光源から
の光を導入して前記平板状の炎を通過させることを特徴
とするフレーム原子吸光分析方法が提供される。
【0017】上記フレーム原子吸光分析方法において、
好ましくは、直線状の通路に前記光源からの光とは別の
バックグラウンド補正用の光をさらに導入して前記平板
状の炎を通過させる。
【0018】また、好ましくは、前記磁石の両極を貫通
する直線状の通路を複数設けておき、その直線状の通路
の各々に複数の光源からの複数の光をそれぞれ導入して
上記平板状の炎を通過させ、同時に別の光源からの光を
前記磁石の向かい合うS極およびN極の間に導入し上記
平板状の炎に平行に入射させる。
【0019】
【作用】上記のように構成した本発明においては、磁石
の両極を貫通する直線状の通路を設けるため、その直線
状の通路に光源からの光を導入させることができ、平板
状の炎に対し斜めに光を入射させることが可能となる。
これにより、光源からの光が磁石により遮られるという
不都合が生じることなく、平板状の炎中を通過する光路
を短くし、単位濃度あたりの吸光度を低くして、目的元
素をより高い濃度まで正確に測定することが可能とな
る。
【0020】上記の場合、直線状の通路を設ける方向を
平板状の炎の表面に対して5°以上90°以下の角度で
交わるようにすると、単位濃度あたりの吸光度が、後述
するように平板状の炎に平行に光を入射させる場合の1
/2から1/10程度に低下するため、高濃度の目的元
素を正確に測定しやすい。また、直線状の通路を設ける
方向を磁石の両極間を結ぶ最短の直線の方向に対して0
°以上85°以下の角度で交わるようにしたり、磁石の
S極およびN極の表面に対して5°以上90°以下の角
度で交わるようにしてもほぼ同様である。
【0021】また、磁石および平板状の炎を水平面内で
それぞれ回転可能とすることにより、光源からの光が磁
石における前述のような直線状の通路を通過する配置に
加え、光源からの光が磁石の向かい合う両極間を通過す
る配置をとることも可能となる。即ち、一台のフレーム
原子吸光光度計によって、平板状の炎に対し斜めに光を
入射させるような配置にして高い濃度の目的元素を正確
に測定することもできるし、平板状の炎に対し平行に光
を入射させるような配置にして低い濃度の目的元素を正
確に測定することもできる。
【0022】また、磁石に設けた直線状の通路を複数に
することにより、同時に複数の光を入射させることが可
能となり、複数の目的元素の同時測定が可能となる。従
って、分析の能率が飛躍的に向上する。
【0023】また、上記直線状の通路に光源からの光に
加え、別のバックグラウンド補正用の光をさらに導入し
て同時に平板状の炎を通過させることにより、試料に磁
場をかけるゼーマン効果を用いたバックグラウンド補正
方法を採用するのではなく、輝線スペクトルや連続光を
用いたバックグラウンド補正方法を採用することができ
る。
【0024】また、前述の直線状の通路を複数設けた場
合において、その直線状の通路の各々に複数の光源から
の複数の光をそれぞれ導入して平板状の炎を通過させ、
同時に別の光源からの光を磁石の向かい合う両極間に導
入し平板状の炎に平行に入射させることにより、複数の
目的元素の同時測定が可能となるだけでなく、目的元素
が低濃度の場合の高感度な測定と、目的元素が高濃度の
場合の正確な測定とを同時に行うことが可能となる。従
って、低濃度域から高濃度域までの測定を、種類の異な
る多元素について、あるいは同一の目的元素について測
定可能となる。
【0025】
【実施例】本発明によるフレーム原子吸光光度計および
フレーム原子吸光分析方法の第1の実施例について、図
1から図3を参照しながら説明する。
【0026】図1に、本実施例のフレーム原子吸光光度
計の構成を示す。バーナーヘッド1はバーナーチャンバ
8の上に位置しており、バーナーチャンバ8から供給さ
れるガスによって、その上に平板状の炎2が形成され
る。炎2の両面を挟んで永久磁石6が設置されており、
さらに永久磁石6には両極を貫通する直線状の通路7が
設けてある。但し、永久磁石6は、S極6aおよびN極
6b、さらに炎2の面がそれぞれ平行に向かい合うよう
に設置されている。また、永久磁石6にはバーナーチャ
ンバ8が貫通しており、永久磁石6の下には永久磁石
6、バーナーヘッド1およびバーナーチャンバ8を水平
面内で回転させる回転機構6Aが設けられている。この
回転機構6Aにより、バーナーチャンバ8の軸を中心に
して永久磁石6およびバーナーヘッド1は水平面内で回
転することができる。通路7の軸、即ち通路7のあけら
れる方向は、平板状の炎2の面に対して所定の角度で斜
めに交わっている。
【0027】光源3からは目的元素に対応した輝線スペ
クトルを有する分析光3sが発せられ、分析光3sは通
路7に導入され、平板状の炎2を通過し、通路7より出
て分光器4を通過し、検知器5に入射する。
【0028】図2に、通路7の軸と平板状の炎2の面と
のなす角度θを変化させた場合の吸光度の変化を示す。
但し、図2は鉄(以下、Feと記す)についての測定例
であり、この時の測定条件は表1に示す通りである。
【0029】
【表1】
【0030】図2からわかるように、θが0°、即ち炎
2に平行に分析光3sを入射させる場合の吸光度に比べ
て、θを増加した場合の吸光度は急激に減少し、θが5
°において約1/2の吸光度に、θが45°から90°
において約1/10の吸光度になっている。このことか
ら、通路7の軸と炎2の面とのなす角度θとしては、5
°から90°の範囲において、平板状の炎2中を通過す
る分析光3sの光路を短くし、単位濃度あたりの吸光度
を1/2から1/10程度に低下させることが可能とな
ることがわかる。
【0031】図2では、通路7の軸と平板状の炎2の面
との角度をもとに吸光度の変化を評価したが、通路7の
軸を永久磁石6のS極6aおよびN極6b間を結ぶ最短
の直線の方向に対して0°以上85°以下の角度で交わ
るようにしてもほぼ同様となる。なぜならば、永久磁石
6のS極6aおよびN極6b、さらに炎2の面がそれぞ
れ平行に対向しているために、両極6a,6b間を結ぶ
最短の直線11は無数に存在し、それらの直線11のい
ずれもが両極6a,6bおよび炎2の面に対し垂直に交
わっているためである。つまり、通路7の軸を永久磁石
6のS極6aおよびN極6b間を結ぶ最短の直線11の
方向に対して0°以上85°以下の角度で交わるように
することは、通路7の軸と炎2の面とのなす角度θを5
°から90°の範囲にすることと同等である。さらに、
通路7の軸を永久磁石6のS極6aおよびN極6bの表
面に対して5°以上90°以下の角度で交わるようにし
てもほぼ同様である。この理由も、永久磁石6のS極6
aおよびN極6b、さらに炎2の面がそれぞれ平行に対
向していることによる。
【0032】図3に、通路7の軸と平板状の炎2の面と
のなす角度θを45°に固定し、Feの濃度(ppm)
を変えて測定を実施した場合の検量線を示す。ここに、
横軸がFe濃度、縦軸が吸光度である。また、比較のた
めに、炎2に平行に分析光3sを入射させた場合の測定
結果を、比較例として付記した。炎2に平行に分析光3
sを入射させた比較例では、Fe濃度が0から20pp
m程度の低濃度域における検量線は立上りが急であり、
この濃度範囲において高感度な分析が可能であることを
示している。しかし、それよりも濃度が高くなるにつれ
検量線は横軸方向へ湾曲する。このため、約60ppm
以上の高濃度域における精度の高い測定は困難である。
【0033】これに対し、本実施例では、Fe濃度が0
から500ppm以上の広い濃度範囲において検量線が
直線的になり、高濃度域においても精度の高い測定が可
能であることがわかる。これは、図1および図2で説明
したように、光源3から分析光3sを通路7に導入して
平板状の炎2を所定の角度θ(5°から90°の範囲)
で斜めに通過させ、平板状の炎2中を通過する分析光3
sの光路を短くしているためであり、それによって単位
濃度あたりの吸光度が1/2から1/10程度に低下
し、従って目的元素をより高い濃度まで正確に測定可能
にしている。
【0034】また、回転機構6Aによって永久磁石6お
よびバーナーヘッド1は水平面内で回転することができ
るため、光源3からの分析光3sが通路7を通過する配
置に加え、従来のように光源3からの分析光3sが永久
磁石6の両極6a,6b間を通過する配置をとることも
可能となる。即ち、一台のフレーム原子吸光光度計によ
って、平板状の炎2に対し斜めに光を入射させるような
配置にして高い濃度、例えば0から500ppm程度の
目的元素を正確に測定することもできるし、平板状の炎
2に対し平行に分析光3sを入射させるような配置にし
て低い濃度、例えば0から60ppm程度の目的元素を
高感度にかつ正確に測定することもできる。
【0035】以上のような本実施例によれば、永久磁石
6のS極6aおよびN極6bを貫通する直線状の通路7
を設けるので、通路7に光源3からの分析光3sを導入
可能で、分析光3sが永久磁石6により遮られるという
不都合なく、炎2に対し斜めに分析光3sを入射させる
ことができる。これにより、炎2中を通過する光路を短
くし、単位濃度あたりの吸光度を低くして、目的元素を
より高い濃度まで正確に測定することができる。
【0036】また、通路7の軸を炎2の表面に対して5
°以上90°以下の角度で交わるようにしたり、通路7
の軸を永久磁石6の両極6a,6b間を結ぶ最短の直線
11の方向に対して0°以上85°以下の角度で交わる
ようにしたり、永久磁石6の両極6a,6bの表面に対
して5°以上90°以下の角度で交わるようにするの
で、単位濃度あたりの吸光度を、炎2に平行に分析光3
sを入射させる場合の1/2から1/10程度に低下さ
せることができる。
【0037】また、回転機構6Aによって永久磁石6お
よびバーナーヘッド1を水平面内で回転可能とするの
で、一台のフレーム原子吸光光度計によって、炎2に対
し斜めに分析光3sを入射させるような配置にして高い
濃度の目的元素を正確に測定することもできるし、炎2
に対し平行に分析光3sを入射させるような配置にして
低い濃度の目的元素を正確に測定することもできる。そ
の結果として測定濃度範囲を拡大することができる。
【0038】次に、本発明によるフレーム原子吸光光度
計およびフレーム原子吸光分析方法の第2の実施例につ
いて、図4により説明する。但し、図4において、図1
と同等の部材には同じ符号を付してある。
【0039】本実施例では、目的元素の吸光度の測定の
ための光源3とは別に、バックグラウンド補正用の連続
光光源9を設ける。そして、光源3からの分析光3s、
および連続光光源9からの連続光9sの両方を、ハーフ
ミラー10を介して通路7に入射させる。分析光3sと
連続光9sが混合された光3tは通路7および炎2を通
過し、さらに分光器4を通過し、検知器5に入射する。
検知器5では分析光3sと連続光9sの両方の吸光度が
検知されるため、2つの光の吸光度を演算すること、即
ち分析光3sの吸光度から連続光9sの吸光度を差し引
くことにより、バックグラウンド補正された吸光度を算
出することができる。
【0040】前述した第1の実施例では、永久磁石6
は、ゼーマン効果を利用したバックグラウンド補正のた
めの磁場を形成させるためのものであった。しかし本実
施例においては、永久磁石6でバックグラウンド補正を
行わずに、別の方法、即ち連続光9sを用いてバックグ
ラウンド補正を行う。なお、図4のように連続光光源9
を用いる代わりに、バックグラウンド補正用の輝線スペ
クトルを発する光源を用いてもよい。上記のような本実
施例によれば、試料に磁場をかけるゼーマン効果を用い
たバックグラウンド補正方法を採用するのではなく、連
続光9sまたは輝線スペクトルを用いたバックグラウン
ド補正方法を採用することができる。
【0041】次に、本発明によるフレーム原子吸光光度
計およびフレーム原子吸光分析方法の第3の実施例につ
いて、図5により説明する。
【0042】本実施例では、永久磁石6に複数の通路7
a,7bが設けてあり、それぞれ通路7a,7bに対応
して、分析光3x,3yをそれぞれ発する光源3a,3
b、分光器4a,4b、検知器5a,5bが設置してあ
る。但し、通路7a,7bの軸、即ち通路7a,7bの
あけられる方向は、第1の実施例と同様に平板状の炎2
の面に対して前述のθで交わるようにする。さらに、光
源3cは、発せられる分析光3zが従来と同様に炎2に
対し平行に入射するような配置となっており、この光源
3cに対応して分光器4cおよび検知器5cが設置され
ている。
【0043】そして、図5のように、光源3a,3bか
らの分析光3x,3yは、それぞれ通路7a,7bに導
入され、平板状の炎2を通過し、通路7a,7bより出
て分光器4a,4bをそれぞれ通過し、検知器5a,5
bに入射する。また、光源3cからの分析光3zは永久
磁石6の両極6a,6b間を通過して分光器4cを通過
し、検知器5cに入射する。光源3a,3bのように炎
2に斜めに光を入射させる光源は、3個以上設けること
ができる。但し、その場合は、対応する直線状の通路お
よび分光器や検知器を設けることが必要である。
【0044】本実施例によれば、目的元素が高濃度の場
合に、光源3a,3bからの分析光3x,3y等により
多元素または多波長の同時測定ができるだけでなく、光
源3cからの分析光3zにより目的元素が低濃度の場合
の高感度な測定をも同時に行うことができる。従って、
低濃度域から高濃度域までの測定を、種類の異なる目的
元素について、あるいは同一の目的元素について測定可
能となる。
【0045】
【発明の効果】本発明によれば、磁石の両極を貫通する
直線状の通路を設けるので、その通路に光源からの光を
導入させ、磁石により遮られることなく平板状の炎に対
し斜めに光を入射させることができる。これにより、平
板状の炎中を通過する光路を短くし、単位濃度あたりの
吸光度を低くして、目的元素をより高い濃度まで正確に
測定することができる。
【0046】また、磁石および平板状の炎を水平面内で
それぞれ回転可能とするので、一台のフレーム原子吸光
光度計で、炎に斜めに光を入射させて高い濃度の目的元
素を正確に測定することもできるし、炎に平行に光を入
射させて低い濃度の目的元素を正確に測定することもで
きる。その結果として測定濃度範囲を拡大することがで
きる。
【0047】また、磁石に設けた直線状の通路を複数に
することにより、同時に複数の光を入射させることが可
能となり、複数の目的元素の同時測定が可能となる。従
って、分析の能率が飛躍的に向上する。さらに、同時に
別の光源からの光を平板状の炎に平行に入射させるの
で、目的元素が低濃度の場合の高感度な測定と、目的元
素が高濃度の場合の正確な測定とを同時に行うことがで
き、従って、低濃度域から高濃度域までの測定を、種類
の異なる多元素について、あるいは同一の目的元素につ
いて測定可能となる。
【0048】また、別のバックグラウンド補正用の光を
さらに導入して同時に平板状の炎を通過させるので、輝
線スペクトルや連続光を用いたバックグラウンド補正方
法を採用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例によるフレーム原子吸光
光度計の構成を示す図である。
【図2】永久磁石に設けられた直線状の通路の軸と平板
状の炎の面とのなす角度θを変化させた場合の吸光度の
変化を示す図である。
【図3】永久磁石に設けられた直線状の通路の軸と平板
状の炎の面とのなす角度θを45°に固定し、Feの濃
度を変えて測定を実施した結果を示す図である。
【図4】本発明の第2の実施例によるフレーム原子吸光
光度計の構成を示す図である。
【図5】本発明の第3の実施例によるフレーム原子吸光
光度計の構成を示す図である。
【図6】一般的なフレーム原子吸光光度計の構成図であ
る。
【符号の説明】
1 バーナーヘッド 2 炎 3,3a,3b,3c 光源 3s,3x,3y,3z 分析光 3t 分析光と連続光が混合された光 4,4a,4b,4c 分光器 5,5a,5b,5c 検知器 6 永久磁石 6a S極 6b N極 6A 回転機構 7,7a,7b 通路 8 バーナーチャンバ 9 連続光光源 9s 連続光 10 ハーフミラー 11 永久磁石の両極間を結ぶ最短の直線

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 試料を原子化する平板状の炎と、前記平
    板状の炎の両面を挟んでS極およびN極が向かい合うよ
    うに配置された磁石と、前記平板状の炎に光を発する光
    源とを有し、前記平板状の炎を通過した光の吸光度より
    前記試料中の金属元素の定量を行なうフレーム原子吸光
    光度計において、前記磁石の両極を貫通する直線状の通
    路を設け、その直線状の通路に前記光源からの光を導入
    しかつ前記平板状の炎を通過させることを特徴とするフ
    レーム原子吸光光度計。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のフレーム原子吸光光度計
    において、前記直線状の通路を設ける方向は、前記平板
    状の炎の表面に対して5°以上90°以下の角度で交わ
    ることを特徴とするフレーム原子吸光光度計。
  3. 【請求項3】 請求項1記載のフレーム原子吸光光度計
    において、前記直線状の通路を設ける方向は、前記磁石
    の両極間を結ぶ最短の直線の方向に対して0°以上85
    °以下の角度で交わることを特徴とするフレーム原子吸
    光光度計。
  4. 【請求項4】 請求項1記載のフレーム原子吸光光度計
    において、前記直線状の通路を設ける方向は、前記磁石
    のS極およびN極の表面に対して5°以上90°以下の
    角度で交わることを特徴とするフレーム原子吸光光度
    計。
  5. 【請求項5】 請求項1から4のうちいずれか1項記載
    のフレーム原子吸光光度計において、前記磁石および前
    記平板状の炎は水平面内でそれぞれ回転可能であり、前
    記磁石および前記平板状の炎の回転により、前記光源か
    らの光が前記磁石に設けた前記直線状の通路を通過する
    配置に加え、前記光源からの光が前記磁石の向かい合う
    S極およびN極の間を通過する配置をとりうることを特
    徴とするフレーム原子吸光光度計。
  6. 【請求項6】 請求項1から5のうちいずれか1項記載
    のフレーム原子吸光光度計において、前記磁石に設けた
    前記直線状の通路は複数あることを特徴とするフレーム
    原子吸光光度計。
  7. 【請求項7】 平板状の炎の両面を磁石のS極およびN
    極で挟んだ状態で前記平板状の炎により試料を原子化
    し、前記平板状の炎に光源からの光を当ててその光の吸
    光度より前記試料中の金属元素の定量を行なうフレーム
    原子吸光分析方法において、前記磁石の両極を貫通する
    直線状の通路を設けておき、その直線状の通路に前記光
    源からの光を導入して前記平板状の炎を通過させること
    を特徴とするフレーム原子吸光分析方法。
  8. 【請求項8】 請求項7記載のフレーム原子吸光分析方
    法において、前記直線状の通路に前記光源からの光とは
    別のバックグラウンド補正用の光をさらに導入して前記
    平板状の炎を通過させることを特徴とするフレーム原子
    吸光分析方法。
  9. 【請求項9】 請求項7または8記載のフレーム原子吸
    光分析方法において、前記磁石の両極を貫通する直線状
    の通路を複数設けておき、その直線状の通路の各々に複
    数の光源からの複数の光をそれぞれ導入して前記平板状
    の炎を通過させ、同時に別の光源からの光を前記磁石の
    向かい合うS極およびN極の間に導入し前記平板状の炎
    に平行に入射させることを特徴とするフレーム原子吸光
    分析方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN113189003A (zh) * 2021-04-20 2021-07-30 中国大唐集团科学技术研究院有限公司中南电力试验研究院 原子吸收光谱仪光路与燃烧头缝隙准直测量器
RU2756784C1 (ru) * 2021-02-01 2021-10-05 Вячеслав Витальевич Темкин Способ анализа элементного состава веществ

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