JPH0972390A - フェースギア系遊星歯車装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 製作が容易でコンパクトな遊星歯車装置を提
供すること。 【解決手段】 内周に固定フェースギアが設けられた２
つの回転軸を同一軸線上に配した状態で支持するための
筒状の機枠１と、この機枠の一端に配され、前記機枠内
の端部にフェースギアが設けられた入力回転軸２と、前
記機枠内の内周寄りに設けられ前記入力回転軸と嵌合す
る第１ピニオン、およびこの第１ピニオンと一体的に構
成され前記第１ピニオンよりも前記機枠の外周寄りに設
けられ前記機枠の固定フェースギアと嵌合する第２のピ
ニオンをそれぞれ有する一対のピニオン４ａ，４ｂと、
両軸端が前記機枠の内周に滑動自在に当接し、前記一対
のピニオンを自転自在に軸支するガイド軸５と、前記一
対のピニオンおのおのに係合し、前記入力回転軸の回転
に伴う前記ピニオンの自転による前記固定フェースギア
との噛み合いによって生じる前記ガイド軸および前記一
対のピニオンの公転運動を取り出す出力軸３と、をそな
えたフェースギア系遊星歯車装置。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明が属する技術分野】本発明は、マイクロマシンと
呼ばれる微小機械用の減速装置として好適な歯車装置に
係り、とくに大減速比を持った減速機としてのフェース
ギア系遊星歯車装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】近年開発が進められている微小機械で
は、その駆動源として高速回転するマイクロモータの回
転力を減速機構を介して大幅に減速し対象機器に伝達す
る構成が要求されている。この場合に用いる減速装置と
しては、種々のものが提供されている。

【０００３】そのうち入力回転軸と出力回転軸とを平行
または同芯に配置する減速装置は、円筒歯車を組み合わ
せて構成している。そして、とくに大減速比を得るに
は、遊星歯車を用いることもある。

【０００４】図２（ａ），（ｂ），（ｃ）の各出発機構
は、従来の減速装置の構成をスケルトン表示したもので
ある。

【０００５】まず図２（ａ）は、単純な遊星歯車機構で
あり、もっとも基本的な構成では、入力歯車Ｚ１と固定
歯車Ｚ３との間に介在する遊星歯車Ｚ２により減速出力
を取り出している。次に、図２（ｂ）では、キャリア付
き遊星歯車機構を示している。さらに、図２（ｃ）で
は、太陽歯車付き不思議歯車機構を示している。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】これらの歯車装置は、
噛み合い条件やバックラッシに関して各歯車間の芯間精
度を高くすることが必要であり、製作精度上から実用化
が困難である。

【０００７】本発明は上述の点を考慮してなされたもの
で、製作が容易でコンパクトな遊星歯車装置を提供する
ことを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記目的達成のため、本
発明では、請求項１記載の、内周に固定フェースギアが
設けられた２つの回転軸を同一軸線上に配した状態で支
持するための筒状の機枠と、この機枠の一端に配され、
前記機枠内の端部にフェースギアが設けられた入力回転
軸と、前記機枠内の内周寄りに設けられ前記入力回転軸
と嵌合する第１ピニオン、およびこの第１ピニオンと一
体的に構成され前記第１ピニオンよりも前記機枠の外周
寄りに設けられ前記機枠の固定フェースギアと嵌合する
第２のピニオンをそれぞれ有する少なくとも一対のピニ
オンと、両軸端が前記機枠の内周に滑動自在に当接し、
前記少なくとも一対のピニオンを自転自在に軸支するガ
イド軸と、前記少なくとも一対のピニオンおのおのに係
合し、前記入力回転軸の回転に伴う前記ピニオンの自転
による前記固定フェースギアとの噛み合いによって生じ
る前記ガイド軸および前記少なくとも一対のピニオンの
公転運動を取り出す出力軸と、をそなえたフェースギア
系遊星歯車装置、請求項２記載の、請求項１記載の装置
における前記一対のピニオンを前記フェースギアの向け
て押圧する弾性部材をそなえたフェースギア系遊星歯車
装置、請求項３記載の、請求項１記載の装置における前
記出力軸の端部に前記少なくとも一対のピニオンと噛み
合うフェースギアをそなえたフェースギア系遊星歯車装
置、および請求項４記載の、請求項１記載の装置におけ
る前記第１ピニオンと前記第２ピニオンおよび前記固定
フェースギアとは、歯のピッチおよび歯形が異なるよう
に構成されたフェースギア系遊星歯車装置、を提供する
ものである。

【０００９】

【発明の実施の形態】図１（ａ），（ｂ）および（ｃ）
は、本発明の一実施例の構成を示す垂直断面図、水平断
面図および図１（ａ）におけるＡ−Ａ線に沿う横断面図
である。

【００１０】この図１（ａ）において、１は機枠であ
り、この機枠１の一端面に入力回転軸２が設けられ、他
の端面に出力回転軸３が設けられ、その内周に各要素が
組み込まれる。

【００１１】すなわち、入力回転軸２の端部には、フェ
ースギアＺ１１が設けられており、このフェースギアＺ
１１に対向して一対のピニオン４ａ，４ｂがガイド軸５
に嵌装されて配されている。ピニオン４ａ，４ｂは、ガ
イド軸５の中央部で接合しており、互いに自由に回転で
きる。この構成により、径方向および軸方向の寸法を小
さくすることができ、しかも入、出力回転軸を同一軸線
上に容易に配置することができる。

【００１２】このようにフェースギアを用いると、歯の
噛み合わせのための位置合わせに際して、歯車の中心距
離は軸方向の位置設定により調節される。この結果、極
小歯形の歯車を用いても適正なバックラッシおよび各歯
車のアラインメントが容易に得られる。また、スプリン
グとか弾性体によりピニオンをフェースギアに対して押
圧すればノーバックラッシの減速機を構成することもで
きる。このように、微小機械での大きな問題である噛み
合わせ位置を含む誤差に起因する影響が低減される。

【００１３】このように噛み合わせ調整が容易であるた
め、最適な噛み合わせを得ることができ、伝達効率を良
好にすることができる。

【００１４】そして、これらピニオン４ａ，４ｂには、
ガイド軸５の中央部近くと端部近くにそれぞれ１つづつ
の歯Ｚ１２およびＺ１３が設けられている。これらの歯
は、図１（ｃ）に示すように、中央部近くの歯Ｚ１２が
入力回転軸１のフェースギアＺ１１と噛み合ってピニオ
ン４ａ，４ｂに自転運動を行わせ、端部近くの歯Ｚ１３
が機枠１に固定された部材６の端面に設けられた固定フ
ェースギアＺ１４と噛み合ってピニオン４ａ，４ｂに公
転運動を行わせる。

【００１５】ピニオン４ａ，４ｂにおける歯Ｚ１２の歯
ピッチと歯Ｚ１３の歯ピッチとは、同じでもよいし異っ
ていてもよい。この歯ピッチは、噛み合うフェースギア
の歯も含めてであるが減速比を決めるものである。

【００１６】これら一対のピニオン４ａ，４ｂそれぞれ
の２つの歯の間の円筒状部分には、図１（ｂ）に示すよ
うに、出力回転軸３の端部に設けられたフォーク状部が
係合し、ピニオン４ａ，４ｂの公転運動を出力回転軸３
に取り出す。

【００１７】入力回転軸２は、機枠１の内周に取り付け
られた固定部材６に固着されているベアリング７により
軸支され、また出力回転軸３は、機枠１の内周に取り付
けられたもう一つの固定部材９に固着されているベアリ
ング９により軸支されている。 （動作）この構成において、入力回転軸２から回転入力
が与えられると、フェースギアＺ１１と一対のピニオン
４ａ，４ｂの歯Ｚ１２とが噛み合い、ガイド軸５を中心
として互いに逆方向に自転する。

【００１８】ピニオン４ａ，４ｂの自転により、これら
ピニオンの歯Ｚ１３と固定フェースギアＺ１４との噛み
合いでピニオン４ａ，４ｂがガイド軸５の中央部を中心
とする公転運動を行う。

【００１９】この公転運動が、出力回転軸３のフォーク
状部を介して出力される。この出力回転数は、入力回転
軸２の回転数に比べて遥かに低い回転数に減速された回
転運動である。

【００２０】このように、入力回転軸２から与えられた
回転運動は、ピニオン４ａ，４ｂの自転および公転によ
り大幅に減速されて出力回転軸３に出力される。

【００２１】図２（ａ），（ｂ），（ｃ）の各下部は、
図１の構成を発展させた本発明の他の実施の形態を示し
たものである。

【００２２】すなわち図２（ａ）は、一般の遊星歯車に
よる減速機構をフェースギアとピニオンとの組み合わせ
により置き換えた形態であり、図２（ｂ）はキャリア付
き遊星歯車機構を図２（ａ）と同様にフェースギアとピ
ニオンとの組み合わせにより置き換えて大減速化した形
態であり、図２（ｃ）は太陽歯車付き不思議遊星歯車に
よる減速機構をフェースギアとピニオンとの組み合わせ
により置き換えてキャリアを省略した形態である。

【００２３】そして、図２（ａ）の場合は図における上
下各一対づつのピニオンが図１同様のガイド軸で支持さ
れてる。また、図２（ｂ）の場合は図における上、下の
各ピニオン対から延びる軸がガイド筒により支持されて
いる。これはピニオンに筒を設け、それをガイド軸によ
り支持する図示とは内外反対の構成としてもよい。さら
に、図（ｃ）の場合は上下各一対づつのピニオンが図１
同様のガイド軸で支持されている。

【００２４】

【発明の効果】本発明は上述のように、同一軸線上に配
された入力回転軸と出力回転軸との間に、フェースギ
ア、ガイド軸付きピニオン対およびフォーク状構造を設
けて減速機を構成したため、従来の円筒歯車を用いた遊
星歯車を代表例とする減速機構に比べて小型化が容易で
ありながら大きな減速比を持ち、しかも高伝達効率の減
速機構を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１（ａ）は本発明の一実施例の垂直断面図、
図１（ｂ）は同じく水平断面図、図１（ｃ）は同じく図
１（ａ）のＡ−Ａ線に沿う横断面図。

【図２】図２（ａ）は従来および本発明の遊星歯車によ
る減速機構を矢印を交えて原機構と本発明適用機構と関
連付けて示したスケルトン図、図２（ｂ）は同じくキャ
リア付き遊星歯車による減速機構のスケルトン図、図２
（ｃ）は同じく太陽歯車付き減速機構のスケルトン図。

【符号の説明】

１ 機枠 ２ 入力回転軸 ３ 出力回転軸 ４ ピニオン ５ ガイド軸 ６ 固定部材 ７ ベアリング ８ ベアリング ９ 固定部材 Ｚ１１，Ｚ１４ フェースギア Ｚ１２，Ｚ１３ ピニオン歯

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】内周に固定フェースギアが設けられた２つ
   の回転軸を同一軸線上に配した状態で支持するための筒
   状の機枠と、 この機枠の一端に配され、前記機枠内の端部にフェース
   ギアが設けられた入力回転軸と、 前記機枠内の内周寄りに設けられ前記入力回転軸と嵌合
   する第１ピニオン、およびこの第１ピニオンと一体的に
   構成され前記第１ピニオンよりも前記機枠の外周寄りに
   設けられ前記機枠の固定フェースギアと嵌合する第２の
   ピニオンをそれぞれ有する少なくとも一対のピニオン
   と、 両軸端が前記機枠の内周に滑動自在に当接し、前記少な
   くとも一対のピニオンを自転自在に軸支するガイド軸
   と、 前記少なくとも一対のピニオンおのおのに係合し、前記
   入力回転軸の回転に伴う前記ピニオンの自転による前記
   固定フェースギアとの噛み合いによって生じる前記ガイ
   ド軸および前記少なくとも一対のピニオンの公転運動を
   取り出す出力軸と、 をそなえたフェースギア系遊星歯車装置。
2. 【請求項２】請求項１記載の装置において、 前記一対のピニオンを前記フェースギアの向けて押圧す
   る弾性部材をそなえたフェースギア系遊星歯車装置。
3. 【請求項３】請求項１記載の装置において、 前記出力軸の端部に前記少なくとも一対のピニオンと噛
   み合うフェースギアをそなえたフェースギア系遊星歯車
   装置。
4. 【請求項４】請求項１記載の装置において、 前記第１ピニオンと前記第２ピニオンおよび前記固定フ
   ェースギアとは、歯のピッチおよび歯形が異なるように
   構成されたフェースギア系遊星歯車装置。