JPH0971536A - 生物細胞含有液凍結乾燥装置 - Google Patents

生物細胞含有液凍結乾燥装置

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JPH0971536A
JPH0971536A JP8147671A JP14767196A JPH0971536A JP H0971536 A JPH0971536 A JP H0971536A JP 8147671 A JP8147671 A JP 8147671A JP 14767196 A JP14767196 A JP 14767196A JP H0971536 A JPH0971536 A JP H0971536A
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biological cell
containing liquid
container
nozzle
freeze
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JP8147671A
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Tetsuo Iijima
哲生 飯島
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Nippon Telegraph and Telephone Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 生物細胞含有液の凍結乾燥装置において、生
物細胞含有液の微粒子化における粒子サイズコントロー
ルが容易で、かつ生物細胞含有液の凍結および乾燥を一
貫して行うことのできる装置を提供する。 【解決手段】 生物細胞含有液を供給する生物細胞含有
液供給機構5と、生物細胞含有液供給機構5から供給さ
れた生物細胞含有液とキャリアガスを混合噴霧する二流
体ノズル2と、二流体ノズル2から噴霧された生物細胞
含有液を凍結させる凍結機構1と、二流体ノズル2に洗
浄液を流して二流体ノズル2内部に付着した生物細胞含
有液を洗浄するノズル内部洗浄機構6と、凍結した生物
細胞含有液を収容・保存する容器3と、容器3内の水分
を昇華させる乾燥機構7を備えたことを特徴としてい
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、保存において、特
殊な冷媒・装置を必要とせず、そのためのエネルギーの
供給も少なくてすみ、かつグリセリン等の凍結防止剤を
混入・脱離させる必要のない、生物細胞含有液を凍結乾
燥するための製造装置に関し、特に凍結乾燥工程での滅
菌性を保ち一貫して連続的な調製が可能な製造装置に関
する。
【0002】
【従来の技術】自分の血液を保存しておいて必要なとき
に輸血する、いわゆる自己血輸血や、まれな血液型をも
つ人が万一の場合に備えて貯血するまれ血、又は一般の
輸血用血液、及びこれらの血液成分は、保存を必要とす
る。保存期間は1カ月以上のものが対象となる場合が多
い。
【0003】前記血液及び血液成分の長期保存には、代
表的なものにエレクトリックフリーザを用いる−80℃
の冷凍法や液体窒素を使う冷凍法(約−196℃保
存)、また液体ヘリウムを使う冷凍法(−270℃保
存)がある。これらの貯血方法はいずれも、冷却するた
めに特殊な冷媒と容器、及びそのためのエネルギーの供
給が必要である。また、これらの方法においては、氷の
結晶の成長または浸透圧などにより細胞膜が破壊される
ことを防ぐために、グリセリン等の凍結防止剤を、冷凍
保存前に血液と混合させることが行われているが、使用
時には、これを解凍して当該グリセリン等の凍結防止剤
を除去する必要があった。
【0004】しかしながらこのような方法は、血液の保
存に特殊な冷媒と容器を必要とし、そのための大きなエ
ネルギーを供給しなければならないこと、また脱グリセ
リン操作が繁雑で時間を要するため緊急用には適用でき
ないという問題があった。
【0005】したがってこのような問題を解決するため
に、血液を凍結乾燥して保存する方法が考えられた。こ
の方法は、血球を含む血液、骨髄液(造血幹細胞)、及
び血漿中血小板からなる群から選択される1種の液体
を、糖類、バイオポリマー、または、酸もしくはその塩
のうちの少なくとも1種類を含有する溶液で前処理する
工程と、この前処理した液体を第1の所定のサイズに微
粒子化する工程と、微粒子化した液体を第2の所定のサ
イズの生成物に急速冷凍する工程と、凍結物から水分を
昇華して乾燥する工程とからなることを特徴としている
(特願平7−32718号参照)。
【0006】前記凍結乾燥血液は、保存に特殊な冷媒・
装置を必要としないので、そのためのエネルギーの供給
も少なくてすみ、かつグリセリン等の凍結防止剤を混入
・脱離させる必要のない点で優れている。
【0007】一方、血液を凍結するための装置として
は、従来より、液体窒素中に気体を利用して滴下させる
ことによって微粒子化させて凍結させる装置があった。
例えば、佐藤知義による「Droplet Freez
ingによる赤血球凍結保存の研究」北海道医学雑誌、
第58巻、第2号、第144〜153頁(1983)に
記述がある。
【0008】この装置は内径0.4mmのポリエチレン
製内管とこれを包む内径3mmの外套管よりなる二重管
から構成される。内管から血液を、外套管から気体を導
入し、ベルヌーイの原理を用いて前記内管出力端部に負
圧を発生させて血液を導入し、気体と混合して、その下
に置かれた液体窒素中に滴下するものである。滴下され
た血液の粒子サイズは、前記内管の直径で決まり、滴下
速度は、外套管に流す気体の流量で決まってくる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところが、従来の粒子
化して血液を凍結する装置では、ベルヌーイの原理を用
いた単純な負圧方式であるため、微粒子化コントロール
が不十分である。また粒子サイズが0.7mm〜2.8
mmと大きく、また0.5mm以下の粒子の形成は不可
能であり、0.5mmのサイズの粒子の場合でもその制
御が難しいため、赤血球などの血液細胞の生存率が著し
く悪い(溶血率が高い)という欠点があった。また凍結
させた血液を乾燥させるためには、別の乾燥装置に移す
操作が必要であり、煩雑であるばかりでなく、凍結装置
から乾燥装置へ移動させる間に凍結血液の滅菌性を保つ
ことが困難であった。
【0010】本発明は前記事情を鑑みてなされたもの
で、血液をはじめとする生物細胞含有液の微粒子化にお
いて粒子サイズコントロールが容易で、かつ生物細胞含
有液の凍結及び乾燥を一貫して行うことのできる装置を
提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、生物細
胞含有液を供給する生物細胞含有液供給機構と、この生
物細胞含有液供給機構から供給された生物細胞含有液と
キャリアガスを混合噴霧する二流体ノズルと、この二流
体ノズルから噴霧された生物細胞含有液を凍結させる凍
結機構と、前記二流体ノズルに洗浄液を流して前記二流
体ノズル内部に付着した生物細胞含有液を洗浄するノズ
ル内部洗浄機構と、凍結した生物細胞含有液を収容・保
存する容器と、この容器内の水分を昇華させる乾燥機構
を備えた生物細胞含有液凍結乾燥装置が提供される。前
記生物細胞含有液凍結乾燥装置においては、前記二流体
ノズルはジェット流とスパイラルフローの少なくとも一
方を発生するノズルで構成してもよい。また前記二流体
ノズルに隣接して加熱部を設けてもよい。さらに前記二
流体ノズル表面を洗浄するノズル表面洗浄機構を設けて
もよい。前記凍結機構は冷媒を用いた冷却機構を備え、
該冷却機構は凍結される生物細胞含有液と該冷媒とを間
接的に接触させる機構を備えた構成としても良い。前記
生物細胞含有液供給機構は、生物細胞含有液の二流体ノ
ズルへ圧入する圧力印加部を備えた構成としても良い。
前記凍結機構は、前記容器から排気されたガスを滅菌す
る滅菌機構、前記容器から排気されたガスを殺菌する殺
菌機構、前記容器から排気されたガスから液体を除去す
る吸水フィルタ機構のうち少なくとも1つを有する構成
としても良い。前記容器は、冷媒と直接または間接的に
接する構造体からなる構成としても良い。また前記容器
の内部のすべてまたはその一部にはっ水性のある部材を
用いた構成としても良い。前記乾燥機構は、前記容器を
加熱する加熱手段を備えた構成としても良い。前記二流
体ノズルを加熱する加熱用ヒータと、二流体ノズルの温
度を検知する温度センサと、二流体ノズルを一定の温度
範囲内に制御する温度制御部を備えた構成としても良
い。前記二流体ノズルと、前記加熱用ヒータと、前記温
度センサとが同一ハウジング内に収納されてなるノズル
アッセンブリを備えた構成としても良い。前記ノズルア
ッセンブリに、前記容器内に噴霧されたキャリアガスを
前記容器外に排気する排気機構を具備した構成としても
良い。前記ノズルアッセンブリと前記容器の一方または
両方を上下、左右、および回転のうちの少なくとも一方
向に移動させて、前記ノズルアッセンブリの容器への挿
入および抜脱を行うノズル着脱機構を備えるように構成
しても良い。前記乾燥機構は、前記ノズルアッセンブリ
が抜脱された容器内部を真空乾燥するように構成しても
良い。真空乾燥時の前記容器の温度を制御する容器温度
制御機構を備えた構成としても良い。前記容器温度制御
機構は、加熱用ヒータと冷却機構の少なくとも一方を備
えた構成としても良い。前記温度制御機構は、ペルチエ
素子を具備した構成としても良い。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の生物細胞含有液凍
結乾燥装置について、図面に基づいて説明する。本発明
において、生物細胞含有液とは、ヒトやその他の哺乳類
などの細胞を含む液体を指し、例えば全血液、赤血球,
白血球,血小板などの血液成分を含む液体、リンパ液、
組織液、あるいは組織の一部を含む液体などが挙げられ
る。
【0013】図1は、本発明の生物細胞含有液凍結乾燥
装置の構成の一例を示す概略図である。図1で、生物細
胞含有液を凍結させるための凍結機構1は、生物細胞含
有液とキャリアガスを混合噴霧するための二流体ノズル
2と、凍結させた生物細胞含有液を収容・保存するため
の容器3と、容器3から排気されるキャリアガスを放出
するためのキャリアガス後処理部4により概略構成され
ており、二流体ノズル2は容器3内部に設けられて構成
されている。前記二流体ノズル2には、噴霧される生物
細胞含有液を供給するための生物細胞含有液供給機構5
とノズル内部洗浄機構6が並列して接続されている。そ
して前記容器3には該容器3内の水分を昇華させるため
の乾燥機構7が接続されている。
【0014】以下、本発明の生物細胞含有液凍結乾燥装
置の一実施例について、図2に基づいてさらに詳しく説
明する。
【0015】(二流体ノズル)前記二流体ノズル2は、
生物細胞含有液とキャリアガスを容器3内部に混合噴霧
するためのものである。生物細胞含有液の微粒子化にお
ける粒子サイズコントロールは、二流体ノズル2のノズ
ル径を変えることにより行うことができる。すなわち混
合・噴霧される生物細胞含有液は、二流体ノズル2のノ
ズル径に依存して異なる粒子サイズ(血球等の生物細胞
が複数集まったクラスタサイズ)となって飛散する。例
えば、ノズル径1.2mmの二流体ノズル2を使った場
合、キャリアガスの圧力と生物細胞含有液の流量に依存
する関係となり、生物細胞含有液の流量を1−20cc
/分の範囲とし、キャリアガス圧力0.5−6kg/c
2の範囲とすれば、数ミクロンから40ミクロン程度
までのサイズの クラスタサイズが得られる。二流体ノ
ズル2のノズル径が大きくなると、クラスタサイズは大
きくなり、クラスタサイズと生物細胞含有液混合液の処
理量の制御が可能である。
【0016】さらに生物細胞含有液微粒子化における粒
子サイズコントロールを精密に行うためには、ジェット
流及び/又はスパイラルフローを発生するノズルで構成
されることが好ましい。具体的には、該ノズルは以下の
機能を有するものが望ましい。即ち、[特許出願公告平
4−21551](公告日平成4年4月10日/日本国
特許第1730868号)なる[高速渦流気体による超
微粒子発生用ノズル]に記述されている、[液体噴射口
と、前記液体噴射口を取り囲む位置に形成された環状の
渦流室と、渦巻き状に渦流室に延びて、渦流室内に高速
気流を導入する複数の旋回導孔と、前記渦流室の前記液
体噴射口に臨む側に液体噴射口の前方に向けて開口さ
れ、液体噴射口の前方に焦点をもつ先細り円錐形の高速
渦流を噴射形成する環状の気体噴射口とを備えた高速渦
流気体による超微粒子発生用ノズル]を用いる。また、
同様な機能を有する日本国特許第168945号、同1
689660号、同1757351号、同177049
6号記載のノズルであってもよい。これらは、気体と、
液体の導入方法の種々例を規定したものである。
【0017】そのポイントは、[気体導入口から導入さ
れた気体を、渦巻き状に渦流室に延びて渦流室内に高速
気流を導入する複数の旋回導孔によって渦巻き状にな
り、渦流室を経て液体噴射口の前方に焦点をもつ先細り
円錐形の環状の気体噴射口から噴射させることによっ
て、高速渦流を発生させ、これによって液体を粉砕・微
粒子化する]ものである。このノズルを使うと該細胞を
含む生物細胞含有液を微粒子化することが可能となる。
また、粒子サイズの分布が狭く、サイズのそろった微粒
子化が可能となる。あるいは二流体ノズル2としては、
いわゆる通常のスパイラルフローの原理を利用する他の
構成のノズルであってもよい。
【0018】(加熱部)前記二流体ノズル2には、これ
に隣接して、またはその周囲に加熱部8が設けられてい
る。この加熱部8は、必要に応じて一時生物細胞含有液
の供給を止めたとき、二流体ノズルが氷結して連続的な
生物細胞含有液の再供給が困難となることを防止し、生
物細胞含有液を連続して凍結処理させるためのものであ
る。加熱部8としては、通常の各種のヒータ、あるいは
各種の加熱素子等であればよく、二流体ノズル2での氷
結を防止できるものであればよい。なおキャリアガス排
気機構9(後述)付近にも、ヒーター等の加熱部材を設
ければ(図示せず)、氷結による容器内圧の上昇を防止
できるのでより好ましい。
【0019】(洗浄機構)二流体ノズル2に隣接して、
ノズル表面洗浄機構10が設けられている。これは、必
要に応じて一時生物細胞含有液の供給を止めたとき、ま
たは新しいロットの生物細胞含有液を処理する際、二流
体ノズル2の表面を洗浄するためのものであり、これに
よりノズルの目詰まり等を防ぎ、生物細胞含有液を連続
的に凍結処理することができる。ノズル洗浄部として
は、ワイプ等の物理的な手法を用いたもの、前記二流体
ノズル全体を移動させ(図示せず)洗浄液を使用して洗
浄するもの、あるいはそれらの両方を使うものであって
もよい。
【0020】(キャリアガス供給部)前記二流体ノズル
2には、キャリアガス供給部11が接続されている。キ
ャリアガス供給部11は、キャリアガスを貯蔵するキャ
リアガスボンベ12と、キャリアガスをキャリアガスボ
ンベから二流体ノズルへ供給するためのキャリアガス供
給管13と、キャリアガス供給管13に設けられたキャ
リアガス供給バルブ14から構成されている。そして供
給されるキャリアガスの圧力と流量は、減圧弁とフロー
メータ(図示せず)で制御できるようになっている。
【0021】(生物細胞含有液供給機構)生物細胞含有
液供給機構5は、供給する生物細胞含有液を充填するた
めの生物細胞含有液充填容器15と、生物細胞含有液充
填容器15から前記二流体ノズル2へ生物細胞含有液を
供給するための生物細胞含有液供給管16と、生物細胞
含有液供給管に設けられた生物細胞含有液供給バルブ1
7とから構成されている。また本実施例においてノズル
内部洗浄機構6は洗浄液溜め18からなり、生物細胞含
有液供給機構5と一体化されており、生物細胞含有液充
填容器15と洗浄液溜め18には、圧力印加部19が接
続されている。この圧力印加部19は必要に応じて生物
細胞含有液と洗浄液の一方または両方の圧力と流量を制
御するためのものである。
【0022】生物細胞含有液ろ洗浄液の一方または両方
の圧力と流量を制御する方法としては、例えば、通常5
kg/cm2以下の圧力となるように制御することが好
ましく、その手段は自 動、半自動、手動のいずれでも
よい。同様に、該キャリアガスと該液体の圧力と流量も
それぞれ独立に、またはある相関をもった適当な値で供
給される。
【0023】前記ノズル内部洗浄機構6は、二流体ノズ
ル2内部及び生物細胞含有液供給管16の洗浄を行うた
めのもので、生物細胞含有液の供給を止め、洗浄液溜め
18から洗浄液を供給し、例えば該容器4と同様な構成
の洗浄用容器(図示せず)に噴射することによって行う
ことができるようになっている。特に大量の生物細胞含
有液の凍結乾を連続的に行う場合、例えば、大きな容器
に大量の生物細胞含有液を噴霧して凍結乾燥を行う場
合、多数の容器に生物細胞含有液を分注して凍結乾燥を
行う場合、あるいは組成の異なる生物細胞含有液を続け
て凍結乾燥を行う場合には、二流体ノズル2内部あるい
は生物細胞含有液供給管16内部を適宜洗浄することが
必要であり、このノズル内部洗浄機構が不可欠なものと
なる。
【0024】(容器)容器3は、容器3内部を密閉可能
とする容器蓋20を備えており、密閉状態で二流体ノズ
ル2の先端が容器内に設置されるようになっている。容
器3の構成としては、冷媒21に直接接触された容器自
体の内部に、飛散噴霧された生物細胞含有液が蓄積され
るような構成であってもよいし、また容器3内壁部に密
着してプラスティック等のフレキシブルな素材からなる
フレキシブル容器(図示せず)が配置されて、このフレ
キシブル容器内部に飛散噴霧された生物細胞含有液が蓄
積され、該フレキシブル容器は冷媒と間接的に接触する
ような構成であってもよい。
【0025】後者の場合、該容器内壁に接して配置され
るフレキシブル容器としては通常使用されている輸血用
プラスティックバッグ素材を好適に用いることができ
る。このような輸血用プラスティックバッグを使用する
ことは、凍結及び/または乾燥処理の後、外気に触れる
ことなく取り出して、別の保存容器(図示せず)に貯蔵
できる等、乾燥・保存の一連の製造に適するばかりでな
く、大量・低価格化にも通じる。
【0026】容器3は金属性であっても、他の素材であ
ってもよく、要は熱伝導のよい材料で構成されたもので
あればよいが、容器3や容器3の内部に設けられる部材
のすべてまたはその一部、特にノズル面や蓋の部分に
は、液体に対するはっ水性、または超はっ水性を持つ材
料の使用が望ましい。はっ水性、または超はっ水性材料
とは、水に対する接触角110度以上、または140度
を越える物質をいい、例えばフッ素系材料やシリコン系
材料、及びそれらの複合体で構成される。
【0027】(冷却機構)前記凍結機構は、冷媒21を
用いた冷却機構22を備えており、容器3を冷媒21に
より冷却できるようになっている。冷却機構22として
は、液体窒素、液体ヘリウム、液体二酸化炭素、または
他の冷媒を保持またはフローを利用したものであって、
混合噴霧された生物細胞含有液を、容器3を介して急速
に冷却可能な機構であればよいが、冷媒21としては液
体窒素等が好ましく使用される。液体窒素は、−196
℃付近の極低温であるので、これを冷媒21に用いるこ
とにより混合噴霧された生物細胞含有液を効果的に冷却
することができる。
【0028】また生物細胞含有液の凍結処理後、昇華過
程を高効率で行なうためには、該容器3を加熱するため
の手段(図示せず)を設けることが望ましい。その加熱
手段は通常のものでよい。
【0029】(キャリアガス後処理部)前記容器蓋20
を貫通して設けられたキャリアガス排気機構9を介し
て、容器3内部とキャリアガス後処理部4がバルブ23
により開閉可能に接続されている。キャリアガス後処理
部4は、キャリアガスフィルタ24,25から構成さ
れ、バルブ23を解放したときにキャリアガスが容器3
内から、キャリアガス排気機構9、キャリアガスフィル
タ24、キャリアガスフィルタ25の順に通過して、含
有していた液体や雑菌などが除去された後、キャリアガ
ス放出端26から排出されるようになっている。
【0030】キャリアガスフィルタ24は、50mOs
M(ミリオズモル)以下の浸透圧の水溶液または水、及
び/または消毒液中をバブリングさせる構造体で構成し
てもよい。該水溶液及び/または消毒液は、凍結用容器
に捕らえられなかった生物細胞含有液を溶解または溶血
させ、及び/または滅菌消毒することを意図するもので
ある。具体的には、該消毒液としては例えば、次亜塩素
酸ソーダなどが使用される。キャリアガスフィルタ25
は、消毒用フィルタまたはエアフィルタとしてもよい。
【0031】(乾燥機構)前記容器の蓋を貫通して設け
られた脱気管27を介して、容器3内部と真空ポンプ2
8がバルブ29により開閉可能に接続されており、バル
ブ29を開いて、真空ポンプ28を作動させれば、容器
3内部で飛散噴霧された生物細胞含有液を乾燥できるよ
うになっている。
【0032】次に本発明の装置を用いて、細胞を含む血
液成分(以下血液と略記する)を凍結乾燥する方法につ
いて説明する。凍結される血液は、以下に述べる前処理
を経て使用することが好ましい。まず採血された血液か
ら遠心分離等の方法によってたとえばヘマトクリット値
55〜90%の濃厚赤血球を得る。ついで濃厚赤血球と
前処理液とを適当量混合(混和)する。前処理液の例と
しては、例えば、先願の特願平7−32718号に記載
されている通り、糖類、バイオポリマー、又は酸若しく
は酸の塩のうち少なくとも1種類を含有してなる溶液で
よい。濃厚赤血球と前処理液の混合の手段としては、常
法でよく、例えばかくはん、振とう等がある。また、混
合の手段も当該血液を前処理液に注入する方法でも、そ
の逆の方法であってもよい。好ましくは、該血液中に前
処理液を混和しながら加える。
【0033】前記前処理液に含まれる糖類の例として
は、マンノース、キシロース、グルコース、トレハロー
ス、スクロース、マルトースから選ばれた糖類を少なく
とも一種類以上含むものが挙げられる。
【0034】また前記前処理液に含まれるバイオポリマ
ーの例としては、デキストラン、リン酸エステル塩、ポ
リビニルピロリドン(PVP)アルブミンから選ばれた
バイオポリマーを少なくとも1種類以上含むものが挙げ
られる。
【0035】また、前記前処理液に含まれる酸若しくは
酸の塩の例としては、フィチン酸(別名、イノシトール
ヘキサりん酸:IHP)、ピロりん酸塩、アデノシン三
りん酸(ATP)、2,3−ジホスホグリセリン(2,
3−DPG)、から選ばれた物質を少なくとも一種類以
上含むものが挙げられる。
【0036】前処理液のpHについては、4から9の間
に制御する。好ましくは7.0〜8.0の間とする。例
えばりん酸水素二ナトリウム(Na2HPO4)とりん酸
二水素カリウム(KH2PO4)からなる緩衝液に生理的
電解質物質を加えたりん酸バッファに、前記糖類、バイ
オポリマー、酸若しくは酸の塩のいずれか1種類以上を
添加して、最終的に、そのpHが4から9の間、好まし
くは7.0〜8.0の間にくるようにする。
【0037】こうして前処理された血液を、血液充填容
器15に充填する。ついで、キャリアガスと血液を各々
バルブ14,17の操作により二流体ノズル2へ供給
し、容器3内へ混合噴霧する。ここでキャリアガスの圧
力と流量は減圧弁とフローメータ(図示せず)で制御
し、血液の供給圧力と流量も同様に圧力印加部19によ
って制御する。圧力印加部19によりキャリアガスと血
液の圧力と流量はそれぞれ独立に、またはある相関をも
った適当な値で供給される。
【0038】こうして容器3内へ混合噴霧された血液
は、微粒子状、好ましくは数10ミクロン径の微粒子状
となって、容器3の内壁に付着し瞬間急激に凍結され
る。前記噴霧された微粒子状液体のうち、キャリアガス
はキャリアガス排気機構9を経てキャリアガスフィルタ
24、25へと導かれ、凍結用容器に捕らえられなかっ
た血液が溶血され、かつ/または滅菌消毒された後、大
気中に排気される。
【0039】容器内での微粒子化及び凍結処理の後、キ
ャリアガス及び血液供給のためのバルブ14、17とキ
ャリアガス排気のためのバルブ23を閉じる。ついで容
器3を冷却機構22と分離する。ついで脱気管27のバ
ルブ29を開き、真空ポンプ28によって脱気する。こ
のとき、凍結された血液は氷点下にあり、特に冷媒に液
体窒素を用いた場合には初期には極低温にあるので、い
わゆる昇華過程で脱水化される。また必要に応じて昇華
の効率を高めるため、容器3をヒータ等(図示せず)で
加熱してもよい。
【0040】以上の手順で血液の凍結及び乾燥が終了
し、凍結乾燥血液を得ることができる。こうして得られ
た凍結乾燥血液は、例えば一般の冷蔵庫(温度5℃)で
保存すれば良く、使用時に、例えば前記前処理液と同様
の組成の戻し液で戻し、生理食塩水などで洗浄後、実際
の輸血に供することができる。
【0041】以上、本発明の生物細胞含有液凍結乾燥装
置について、血液成分の凍結乾燥を例にとって説明した
が、その他の生物細胞含有液、例えば、リンパ液や、組
織液や、あるいは組織の一部を含む液体などについても
同様にして凍結乾燥を行うことができる。
【0042】図3ないし図5は、本発明の生物細胞含有
液凍結乾燥装置の別の好適な実施態様を示すものであ
る。図3ないし図5に示した装置は、二流体ノズル2で
の氷結を防止するための前記加熱部8(加熱用ヒータ3
1)に、該加熱用ヒータ31の温度を検知するための温
度センサ32および該加熱用ヒータ31の温度を一定の
温度範囲内に制御するための温度制御部33が接続さ
れ、かつ二流体ノズル2と、加熱用ヒータ31と、温度
センサ32とが同一のハウジング34内に収納されてノ
ズルアッセンブリ35を形成した装置の一例を示してお
り、図3はノズルアッセンブリ35の斜視図、図4はノ
ズルアッセンブリ35の断面図、図5はこのノズルアッ
センブリ35を備えた装置の側面図である。
【0043】ハウジング34は、上下に開口した略円筒
体で、好ましくは金属製のものである。ハウジング34
の底部(先端部)は略円錐状となっており、ハウジング
34の中間部には複数の通気孔36…が穿設され、ハウ
ジング34の上方開口部には、Oリング37を挟んで該
上方開口部にキャップ38が嵌合され、ハウジング内部
に空間部41が形成されている。ハウジング34の底部
中央には、二流体ノズル2がその先端を下方に向けて嵌
合されている。またキャップ38には、5つの孔が穿孔
され、各々キャリアガス供給管13と生物細胞含有液供
給管16、排気機構(排気管)9、センサ導線39、ヒ
ータ導線40が挿通されている。このうち前記キャリア
ガス供給管13と生物細胞含有液供給管16はさらに下
方まで延びて二流体ノズル2の基端側に接続されてお
り、センサ導線39は後述する温度センサ32に、ヒー
タ導線40は加熱ヒータ31に各々接続されている。
【0044】図3および図4に示した例でも、図2に示
した例と同様に、キャリアガス供給管13の他方の端は
キャリアガスボンベに、生物細胞含有液供給管16の他
方の端は生物細胞含有液充填容器および/または洗浄液
溜めに、また排気管9はキャリアガス後処理部に接続さ
れている(図示せず)。ハウジング34に穿設された通
気孔36…は、噴霧後のキャリアガスを容器外へ排気す
るために容器内部からハウジング内部の空間部41へ導
くためのものである。すなわち、通気孔36…と排気管
9によりハウジング34内外が連通しており、排気管9
は排気機構(図示せず)に接続されているので、図4で
矢印で示すように、通気孔36…、ハウジング内部空間
部41、排気管9を経て、噴霧したキャリアガスを容器
3外に排気させる排気路42が形成されている。この排
気路42を設けることにより、小さな密閉容器中への噴
霧が可能となる。大きな容器中に噴霧する場合には通気
孔36…または排気管9の数を増やしても良い。
【0045】加熱用ヒータ31は、二流体ノズル2の外
周面と、ハウジング内部空間部41に面した生物細胞含
有液供給管16の外周面にコイル状に巻着されつつ上方
に延びて、ヒータ導線40を介して温度制御部33に接
続されている。加熱用ヒータ31は、二流体ノズル2の
氷結防止を主たる目的としているので、図4に示すよう
に二流体ノズル2の周囲に密に巻着されることが好まし
いが、同時に加熱用ヒータ31をその上方の生物細胞含
有液供給管16の周囲に巻着することで、排気路42の
加熱も実現し、排気路42の氷結防止を兼ねることがで
きる。
【0046】前記温度センサ32は二流体ノズル2の先
端付近に位置するように設けられるとともに、センサ導
線39を介して温度制御部33に接続され、二流体ノズ
ル2の先端の温度を検知して温度制御部33に信号を送
るようになっている。温度制御部33は、温度センサ3
2からの信号を受け、所定の設定温度との差を検出し
て、所定の温度範囲、通常は0℃以上かつ37℃以下に
入るように加熱用ヒータ31に供給する電流を制御す
る。その制御方式はいずれの方法でもよく、たとえばP
ID制御であっても良い。こうして二流体ノズル2が適
当な温度を保持するように制御され、生物細胞含有液の
二流体ノズル2中での凍結を防止できるようになってい
る。
【0047】容器3は、容器固定具46で固定される。
一方、ハウジング34は、アーム43に支持されてお
り、このアーム43は回転支柱44、モータ45などに
接続されていて(図5参照)、モータ45を駆動させ
て、回転支柱44およびアーム43を介してノズルアッ
センブリ35を上下、左右、回転の少なくともいずれか
一方向に移動させることができるようになっていて、ノ
ズルアッセンブリ35の容器3への挿入および抜脱を行
うようになっている。
【0048】ここでノズルアッセンブリ35は、容器固
定具46の上方から、アーム43の下降に伴って、パッ
キング(Oリング)47を挟んで、容器3上方開口部に
挿入される構造となっており、生物細胞含有液とキャリ
アガスの混合噴霧時には、パッキング47によって容器
3内の密閉が保たれる。このため生物細胞含有液噴霧の
ため同伴したキャリアガスは、生物細胞含有液凍結の
後、前記排気路42、すなわち通気孔36…、ハウジン
グ内部空間部41、排気管9を通って排気されるという
流体の流れが実現される。その間二流体ノズル2は常に
一定の温度範囲に保って制御されているため、凍結する
ことなく安定な噴霧動作を提供できる。
【0049】図5は、一連の操作で複数の容器3に分注
して同時に真空乾燥を行うことのできる装置の一例を示
している。図5に示す装置は、冷媒槽48と蓋49から
なるチャンバ50と、チャンバ50の内部に取り付けら
れた容器固定具46、ノズルアッセンブリ35、ノズル
アッセンブリの着脱を行うノズル着脱機構51、真空乾
燥時の容器の温度を制御する容器温度制御機構53から
概略構成されている。
【0050】容器固定具46は、図5(b)に示すよう
に、複数の容器取付孔52…が穿孔された板状のもの
で、チャンバ50内部中央付近に水平に取り付けられて
いる。容器取付孔52…には、ネジ部が形成されてい
て、容器がこのネジ部との螺合により、少なくとも容器
3先端が冷媒21に浸るような位置に取り付けられるよ
うになっている。このように容器固定具46に複数の容
器取付孔52…が形成されているので、複数の容器(図
示せず)の取り付けが可能になっている。容器取付孔5
2…の個数は任意の数に設定でき、その配置も同一円周
上に限られず、直線上、曲線上に配置した構成であって
も良い。
【0051】ノズル着脱機構51は、アーム43、回転
支柱44、モータ45から構成されている。ノズルアッ
センブリ35は、上述のごとく、アーム43で支持され
るとともに、アーム43は回転支柱44、モータ45に
よって上下移動、左右移動、回転が可能になっていて、
ノズルアッセンブリ35の所定の容器上への位置決め、
挿入、抜脱、隣の容器上へ位置決めの動作を連続して繰
り返すように構成されている。図5に示した例では、容
器3…は容器取付具46上に同一円周上に配置されてい
るので、アーム43の上下移動および回転により、連続
してノズルアッセンブリ35の挿入、抜脱を行うことが
できる。
【0052】さらに図5に示した装置には図示しない乾
燥機構が接続されていて、チャンバ50内部全体の真空
乾燥ができるようになっている。あるいは、噴霧・凍結
終了後、前記ノズルアッセンブリ35をはずした個々の
容器3に、チューブが挿通された蓋(図示せず)をはめ
るキャッピング機構(図示せず)を設け、このチューブ
に乾燥機構を接続して、容器3内部を真空乾燥できるよ
うに構成しても良い。真空乾燥時に容器3の温度を制御
するための、容器温度制御機構53としては、凍結時に
用いた液体窒素などの冷媒をそのまま用いることもでき
るが、好ましくはペルチエ素子などを用いて温度を制御
する方法であっても良い。この温度制御は真空乾燥時の
昇華過程の実行と効率を決めるパラメータであり、一般
に昇華が行われる温度範囲であれば温度が高いほど効率
はよいので必要に応じてヒータ等の加熱手段と併用して
用いられても良い。ペルチエ素子にはこれに電流を供給
する手段が接続されている(図示せず)。
【0053】次に図3ないし図5に示すノズルアッセン
ブリ35の使用方法について説明する。まず容器3を冷
媒21に浸るようにして取り付け、モータ45を駆動し
て、回転支柱44とアーム43を動かしてノズルアッセ
ンブリ35を位置決めして挿入する。上述の方法で前処
理され、シリンジ、血液パック等の生物細胞含有液充填
容器に充填された生物細胞含有液は、生物細胞含有液供
給管16を介して、またキャリアガスはボンベなどの供
給部からキャリアガス供給管13を介して、二流体ノズ
ル2に供給し、容器3内に噴霧する。
【0054】容器3は噴霧の間は冷媒21によって、0
℃以下に、好ましくは液体窒素を用いて−196℃に冷
却されており、噴霧される生物細胞含有液は0〜37℃
の温度から、−196℃へと超急冷速度による瞬間凍結
が実現する。同時に排気管9に取り付けられたバルブ
(図示せず)を開くと、噴霧された流体(生物細胞含有
液)の一部であるキャリアガスは、図4において矢印に
示すように容器3内部から、ハウジング34に形成され
た通気孔36…、ハウジング内部空間部41、排気管9
を経て排気される。
【0055】噴霧終了後、アーム43の上方移動によ
り、ノズルアッセンブリ35を容器から抜き、ついでア
ーム43と回転支柱44を回転させて、隣接する容器の
上方で位置決めした後、アーム43を下降させて容器に
ノズルアッセンブリ35を挿入し、同様の操作を繰り返
す。こうして各容器中への噴霧が断続的に実行される。
最後の容器への噴霧が終了し、ノズルアッセンブリ35
を最後の容器から抜いた後、乾燥機構を作動させバルブ
を開くことによって、各容器を取り付けたままチャンバ
内を一斉に真空乾燥する。あるいは、キャッピング機構
を備えた装置の場合は、このキャッピング機構を作動さ
せてチューブが挿通された蓋を容器上方の開口部には
め、このチューブに乾燥機構7を接続して、容器内部を
真空乾燥してもよい。真空乾燥時にも必要に応じて、凍
結時の冷媒21を用いて0℃以下で温度制御するかある
いは、ペルチエ素子などを用いて温度を制御する。一般
に昇華が行われる温度範囲であれば温度が高いほど効率
はよいので必要に応じてヒータ等の加熱手段と併用して
も良い。
【0056】
【発明の効果】本発明の生物細胞含有液凍結乾燥装置
は、生物細胞含有液の凍結及び乾燥を行う生物細胞含有
液凍結乾燥装置において、生物細胞含有液を供給する生
物細胞含有液供給機構と、この生物細胞含有液供給機構
から供給された生物細胞含有液とキャリアガスを混合噴
霧する二流体ノズルと、この二流体ノズルから噴霧され
た生物細胞含有液を凍結させる凍結機構と、前記二流体
ノズルに洗浄液を流して前記二流体ノズル内部に付着し
た生物細胞含有液を洗浄するノズル内部洗浄機構と、凍
結した生物細胞含有液を収容・保存する容器と、この容
器内の水分を昇華させる乾燥機構を備えたものである。
本発明によれば、凍結乾燥生物細胞含有液の滅菌性を維
持しながら、一貫かつ連続的に生物細胞含有液を凍結乾
燥できる生物細胞含有液凍結乾燥装置を得ることができ
る。本発明の凍結乾燥製造装置を用いれば、生物細胞含
有液の混合噴霧において、精密な粒子サイズコントロー
ルが可能であるので、例えば得られた凍結乾燥血液は、
溶血率が低く、輸血用血液の材料として適したものとな
る。本発明の生物細胞含有液凍結乾燥装置において、二
流体ノズルはジェット流とスパイラルフローの少なくと
も一方を発生するノズルで構成することにより、生物細
胞含有液微粒子化における粒子サイズコントロールを精
密に行うことができる。特に、二流体ノズルに加熱部を
設けることにより、二流体ノズルの氷結を防止できるの
で、生物細胞含有液の連続的な凍結乾燥が容易となる。
また二流体ノズル内部または生物細胞含有液供給管をノ
ズル内部洗浄機構や、ノズル表面をノズル表面洗浄機構
を設けることにより、ノズルや管の目詰まりを防ぎ、生
物細胞含有液の連続的な凍結乾燥が容易となる。また、
生物細胞含有液の凍結乾燥容器が乾燥後は保存容器とも
なるため、簡便でかつ滅菌構造をとり得る。また容器を
加熱する機構を備えた乾燥機構を用いれば、昇華過程を
高効率で行うことができる。
【0057】また、本発明の生物細胞含有液凍結乾燥製
造装置においては、前記二流体ノズルを加熱する加熱用
ヒータと、該二流体ノズルの温度を検知する温度センサ
と、該二流体ノズルを一定の温度範囲内に制御する温度
制御部を備えることにより、二流体ノズルを0℃〜37
℃の安定な温度範囲下に保持することができ、断続的な
噴霧による製造が容易となる。さらに、前記二流体ノズ
ルと、前記加熱用ヒータと、前記温度センサとが同一ハ
ウジング内に収納されてなるノズルアッセンブリを構成
することにより、容器への二流体ノズル、加熱用ヒー
タ、温度センサの着脱を簡便かつ迅速に行うことがで
き、生物細胞含有液の凍結乾燥を連続的、効率的に行う
ことができる。前記ノズルアッセンブリに、前記容器内
に噴霧されたキャリアガスを前記容器外に排気する排気
機構を具備することにより、小さな密閉容器中への噴霧
が可能となる。前記ノズルアッセンブリと前記容器の一
方または両方を上下、左右、および回転のうちの少なく
とも一方向に移動させて、前記ノズルアッセンブリの容
器への挿入および抜脱を行うノズル着脱機構を構成する
ことにより、複数の容器内への生物細胞含有液の凍結乾
燥を効率的に行うことができる。前記乾燥機構を、前記
ノズルアッセンブリが抜脱された容器内部を真空乾燥す
るように構成することにより、複数の容器について、凍
結と乾燥を連続して行うことができ、複数の容器内への
生物細胞含有液の凍結乾燥を効率的に行うことができ
る。また、真空乾燥時の前記容器の温度を制御する容器
温度制御機構、特に加熱用ヒータと冷却機構の少なくと
も一方を備えた容器温度制御機構を設けることにより、
昇華の効率を上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の生物細胞含有液凍結乾燥装置の構成
を示す、概略図である。
【図2】 本発明の生物細胞含有液凍結乾燥装置の一実
施例を示す構成図である。
【図3】 本発明の生物細胞含有液凍結乾燥装置に用い
られるノズルアッセンブリの一例を示す斜視図である。
【図4】 図3に示したノズルアッセンブリを容器に挿
入した様子を示す一部断面図である。
【図5】 本発明の生物細胞含有液凍結乾燥装置の一実
施例を示すもので、(a)は容器およびノズルアッセン
ブリの位置関係を示す側面図、(b)は容器固定具の平
面図である。
【符号の説明】
1…凍結機構、2…二流体ノズル、3…容器、4…キャ
リアガス後処理部、5…生物細胞含有液供給機構、6…
ノズル内部洗浄機構、7…乾燥機構、8…加熱部、9…
排気機構(排気管)、10…ノズル表面洗浄機構、19
…圧力印加部、21…冷媒、22…冷却機構、24…キ
ャリアガスフィルタ、25…キャリアガスフィルタ、3
1…加熱用ヒータ、32…温度センサ、33…温度制御
部、34…ハウジング、35…ノズルアッセンブリ、3
6…通気孔、51…ノズル着脱機構、53…容器温度制
御機構

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 生物細胞含有液の凍結及び乾燥を行う生
    物細胞含有液凍結乾燥装置において、生物細胞含有液を
    供給する生物細胞含有液供給機構と、この生物細胞含有
    液供給機構から供給された生物細胞含有液とキャリアガ
    スを混合噴霧する二流体ノズルと、この二流体ノズルか
    ら噴霧された生物細胞含有液を凍結させる凍結機構と、
    前記二流体ノズルに洗浄液を流して前記二流体ノズル内
    部に付着した生物細胞含有液を洗浄するノズル内部洗浄
    機構と、凍結した生物細胞含有液を収容・保存する容器
    と、この容器内の水分を昇華させる乾燥機構を備えたこ
    とを特徴とする生物細胞含有液凍結乾燥装置。
  2. 【請求項2】 前記二流体ノズルは、ジェット流とスパ
    イラルフローの少なくとも一方を発生するノズルで構成
    されることを特徴とする請求項1項記載の生物細胞含有
    液凍結乾燥装置。
  3. 【請求項3】 前記二流体ノズルに隣接して加熱部を設
    けたことを特徴とする請求項1または2記載の生物細胞
    含有液凍結乾燥装置。
  4. 【請求項4】 前記二流体ノズル表面を洗浄するノズル
    表面洗浄機構を設けたことを特徴とする請求項1から3
    のいずれか1項記載の生物細胞含有液凍結乾燥装置。
  5. 【請求項5】 前記凍結機構は冷媒を用いた冷却機構を
    備え、該冷却機構は、凍結される生物細胞含有液と該冷
    媒とを間接的に接触させる機構を備えたことを特徴とす
    る請求項1から4のいずれか1項に記載の生物細胞含有
    液凍結乾燥装置。
  6. 【請求項6】 前記生物細胞含有液供給機構は、生物細
    胞含有液を二流体ノズルへ圧入する圧力印加部を備えた
    ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載の
    生物細胞含有液凍結乾燥装置。
  7. 【請求項7】 前記凍結機構は、前記容器から排気され
    たガスを滅菌する滅菌機構、前記容器から排気されたガ
    スを殺菌する殺菌機構、前記容器から排気されたガスか
    ら液体を除去する吸水フィルタ機構のうち少なくとも1
    つを有することを特徴とする請求項1から6のいずれか
    1項記載の生物細胞含有液凍結乾燥装置。
  8. 【請求項8】 前記容器は、冷媒と直接または間接的に
    接する構造体からなることを特徴とする、請求項1から
    7のいずれか1項記載の生物細胞含有液凍結乾燥装置。
  9. 【請求項9】 前記容器の内部のすべてまたはその一部
    にはっ水性のある部材を用いたことを特徴とする請求項
    1から8のいずれか1項記載の生物細胞含有液凍結乾燥
    装置。
  10. 【請求項10】 前記乾燥機構は、該容器を加熱する加
    熱手段を備えたことを特徴とする請求項1から9のいず
    れか1項に記載の生物細胞含有液凍結乾燥装置。
  11. 【請求項11】 前記二流体ノズルを加熱する加熱用ヒ
    ータと、該二流体ノズルの温度を検知する温度センサ
    と、該二流体ノズルを一定の温度範囲内に制御する温度
    制御部を備えたことを特徴とする請求項1ないし10の
    いずれか1項に記載の生物細胞含有液凍結乾燥装置。
  12. 【請求項12】 前記二流体ノズルと、前記加熱用ヒー
    タと、前記温度センサとが同一ハウジング内に収納され
    てなるノズルアッセンブリを備えたことを特徴とする請
    求項11記載の生物細胞含有液凍結乾燥装置。
  13. 【請求項13】 前記ノズルアッセンブリに、前記容器
    内に噴霧されたキャリアガスを前記容器外に排気する排
    気手段が具備されたことを特徴とする請求項12記載の
    生物細胞含有液凍結乾燥装置。
  14. 【請求項14】 前記ノズルアッセンブリと前記容器の
    一方または両方を上下、左右、および回転のうちの少な
    くとも一方向に移動させて、前記ノズルアッセンブリの
    容器への挿入および抜脱を行うノズル着脱機構を備えた
    ことを特徴とする請求項12または13記載の生物細胞
    含有液凍結乾燥装置。
  15. 【請求項15】 前記乾燥機構は、前記ノズルアッセン
    ブリが抜脱された容器内部を真空乾燥するように構成さ
    れたことを特徴とする請求項12から14のいずれか1
    項記載の生物細胞含有液凍結乾燥装置。
  16. 【請求項16】 真空乾燥時の前記容器の温度を制御す
    る容器温度制御機構を備えたことを特徴とする請求項1
    ないし15のいずれか1項記載の生物細胞含有液凍結乾
    燥装置。
  17. 【請求項17】 前記容器温度制御機構は、加熱用ヒー
    タと冷却機構の少なくとも一方を備えたことを特徴とす
    る請求項16記載の生物細胞含有液凍結乾燥装置。
  18. 【請求項18】 前記温度制御機構は、ペルチエ素子を
    具備したことを特徴とする請求項16または17記載の
    生物細胞含有液凍結乾燥装置。
JP8147671A 1995-07-03 1996-06-10 生物細胞含有液凍結乾燥装置 Pending JPH0971536A (ja)

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PCT/JP1996/003854 WO1997047392A1 (fr) 1996-06-10 1996-12-27 Ajutage bifluide et dispositif utilisant ledit ajutage pour congeler et secher des substances biologiques contenant un liquide
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