JPH0965490A - 超音波プローブ - Google Patents

超音波プローブ

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JPH0965490A
JPH0965490A JP7220475A JP22047595A JPH0965490A JP H0965490 A JPH0965490 A JP H0965490A JP 7220475 A JP7220475 A JP 7220475A JP 22047595 A JP22047595 A JP 22047595A JP H0965490 A JPH0965490 A JP H0965490A
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JP
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vibrator
ultrasonic probe
damping material
front plate
array
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JP7220475A
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English (en)
Inventor
Takashi Kobayashi
林 剛 史 小
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱膨張率の大きく異なる振動子、制振材、前
面板、及び接合材を選定し、融点の高い接合材料を用い
ながら、前面板、あるいは制振材が振動子との熱収差に
よる応力が緩和され、剥離、変形、破損等を生じず、振
動子群全域が一様な所用感度を呈し、常時、信頼性の高
い機能を果たす超音波プローブの提供を目的とする。 【解決手段】 アレイ状の配列された複数の振動子
(1)の超音波送受信面(1a)に保護用の前面板
(3)を接合するとともに、超音波送受信面(1a)の
反対側面(1b)で振動子(1)を残留振動抑制用の制
振材(2)に接合した超音波プローブにおいて、隣接す
る振動子(1)間の間隙に対応する制振材(2)の部分
にその厚み方向に間隙に連なる切り込み部(10)を形
成したことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、超音波診断装置や
超音波探傷装置等に使用する超音波プローブに係り、特
に高温での使用に耐える構造の超音波プローブに関す
る。
【0002】
【従来の技術】超音波の利用形態の一つとして、例えば
鋼材内に対して超音波を送波し、その反射波(エコー)
を受信(受波)して、この反射波の時間的ズレ分布か
ら、鋼材内部の欠陥などを映像化する超音波探傷装置が
知られている。
【0003】このような超音波探傷装置に利用される超
音波プローブは、図11に斜視的に示すごとく、短冊状
の振動子1を複数個並べ、その超音波送受信面の反対面
に残留振動抑制用の制振材2を接合・一体化し、振動子
1の超音波送受信面に振動子1の保護のための前面板3
を有した構造を採っている。つまり、探傷対象領域に一
様な超音波の送波を可能にする一方、対応した形態での
反射波の受信を可能とするため、短冊状の振動子1を一
定間隔で離隔配置し、本体部をアレイ構造としている。
【0004】ここで振動子1は、例えばジルコン酸チタ
ン酸鉛(PbZrO3 −PbTiO3 )系、チタン酸鉛
(PbTiO3 )系、ニオブ酸鉛系などのセラミックス
系圧電体を素材とし、厚さ0.1〜2mm程度、幅2〜
30mm程度、長さ2〜100mm程度の短冊状を成
し、かつ両主面にそれぞれ電極層が形成されている。
【0005】また、制振材2は、前記振動子1群を互い
に離隔して一体的に支持するとともに、各振動子1が送
波した超音波の反射波を、的確に受信(受波)し得るよ
うにダンピングする役割をはたしており、一般的に、例
えばフェライトゴムや多孔質セラミックスを素材として
構成されている。
【0006】また、前面板3は、前記振動子1群の構成
材に超音波プローブの使用環境にたいし充分な耐食性、
防湿性等を持たせる役割をはたしており、SUSあるい
はインバーなどの合金が用いられている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、複数の
振動子がアレイ状に配列されて構成された超音波プロー
ブにおいては、図9に示すごとく中央部に対して両端部
近傍において感度の低下が認められるという問題があっ
た。
【0008】この理由は、図10に一例を示すごとくア
レイ状に配列された振動子1群の両端部近傍において振
動子1と前面板3あるいは制振材2との剥離が生じ、超
音波の送受信の有効面積が振動子1群の両端部近傍にお
いて減少したためである。
【0009】この剥離は、振動子1と前面板3あるいは
制振材2との熱膨張率の違いにより生じる応力に起因す
る。この応力は、超音波プローブの製造工程で振動子1
に前面板3あるいは制振材2を接合する際に接合材の熱
処理温度が室温より高い温度の場合や、完成された超音
波プローブを室温より高い温度で使用する場合等に発生
する。これらの温度が高くなるほど、応力が大きくな
り、剥離が生じ易くなる。
【0010】例えば、超音波プローブを200℃の高温
環境下で使用する場合には、融点が200℃よりも高い
接合材を使用する必要があり、超音波プローブの製造中
における熱処理温度も200℃以上になり、熱膨張差に
よる残留応力は、室温温度に温度降下する際に、必ず生
じてしまうことになる。
【0011】残留応力を減らそうとすると接合材料の接
合温度を下げることになる。しかし、このことは、超音
波プローブを使用できる温度範囲が使用する接合材の融
点以下に制限されることになる。
【0012】また、一般に室温で使用する医用診断装置
に用いる超音波プローブにおいても、接合材に多く用い
られているエポキシ樹脂系の接着剤は、接合強度の向上
のため室温よりも数十℃以上の高温で硬化させる場合が
多く、従ってこの際にも剥離の原因となる熱膨張差によ
る応力が発生してしまう。
【0013】このように接合材に関係する熱膨張差に起
因して残留応力が発生してしまう結果、超音波プローブ
の両端部近傍では、感度が低下したチャンネルや、とき
には振動子1が完全に剥離し感度がゼロになってしまっ
たチャンネルが生じ得、超音波プローブの信頼性が低下
するとともに製造上の歩留まりが低下することになる。
【0014】上述のようなアレイ化された構造を採る超
音波プローブにおいて、振動子1、前面板3および制振
材2の熱膨張率が比較的近い材料を選定することによ
り、剥離問題を一応解決させることは可能である。
【0015】しかしながら、振動子1、前面板3および
制振材2の材料の間の熱膨張率をそろえようとすると、
振動子1の感度や制振材2のダンピング効果の劣る材料
や、融点が低い接合材料を選定せざるを得ず、超音波プ
ローブの性能が著しく低下していまうという問題があ
る。
【0016】そこで本発明の目的は、上記従来技術の有
する問題を解消し、熱膨張率の異なる材料を用いて高性
能を維持しながら、アレイ状に配列された振動子群全域
が一様な所用感度を呈するとともに両端部の剥離の要因
である応力も緩和され、信頼性の高い機能を果たす超音
波プローブの提供することである。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明に係る超音波プローブは、アレイ状の配列さ
れた複数の振動子の超音波送受信面に保護用の前面板を
接合するとともに、前記超音波送受信面と反対側面で前
記振動子を残留振動抑制用の制振材に接合した超音波プ
ローブにおいて、隣接する前記振動子間の間隙に対応す
る前記制振材の部分にその厚み方向に前記間隙に連なる
切り込み部を形成したことを特徴とする。
【0018】好適には、前記切り込み部は、前記振動子
のアレイ状配列方向の少なくとも両端部に近い前記制振
材の部分に形成されている。
【0019】また、前記切り込み部は、前記振動子のア
レイ状配列方向の両端部に近い前記制振材の部分ほど厚
み方向により深く形成されている。
【0020】また、アレイ状の配列された複数の振動子
の超音波送受信面に保護用の前面板を接合するととも
に、前記超音波送受信面と反対側面で前記振動子を残留
振動抑制用の制振材に接合した超音波プローブにおい
て、隣接する前記振動子間の間隙に対応する前記制振材
の部分にその厚み方向に前記間隙に連なる切り込み部を
形成し、この切り込み部に樹脂系接着剤を充填させたこ
とを特徴とする。
【0021】上述の超音波プローブにおいて、振動子と
前面板とを接合する際の接合温度と室温との温度差ある
いは接合温度と使用温度との温度差があると、振動子と
前面板の材料の熱膨張率に違いがあるためにアレイ状に
配列された振動子の前面板との接合部は、前面板の熱膨
張によりアレイ方向に応力を受けるが、隣接する振動子
の間の制振材の部分に、超音波送受信面から反対側面へ
向かう厚み方向に切り込まれた切り込み部を形成したの
で、個々の振動子は前面板の熱膨張に追従して撓むこと
が可能になり、振動子と前面板との接合部における剥離
が生じないようにできる。
【0022】振動子と前面板との接合部における剥離
は、振動子のアレイ状配列方向の両端部に近い制振材の
部分においてより生じやすいので、少なくとも両端部に
近い制振材の部分に切り込み部を形成する。
【0023】また、振動子と前面板との接合部における
剥離は、振動子のアレイ状配列方向の両端部に近い制振
材の部分においてより生じやすいので、両端部に近い制
振材の部分ほどより深い切り込み部を形成する。
【0024】また、切り込み部に樹脂系接着剤を充填さ
せることにより、樹脂系接着剤は振動子の材料に比べ可
撓性が大きいので、振動子のアレイ状配列を補強すると
ともに、切り込み部により振動子と前面板との接合部に
おける剥離を回避できる。
【0025】切り込み部を設けたことにより振動子と前
面板との接合部における剥離を防止することについて述
べたが、この切り込み部により、振動子と制振材との接
合部における剥離をも同様に防止することができる。
【0026】
【発明の実施の形態】以下に図面を参照して本発明の超
音波プローブの実施形態例を説明する。図1および図2
において、符号1は振動子を示し、アレイ状に配列され
た複数の振動子1の超音波送受信面1aには、接合材2
を介して、超音波送受信面1aを保護するための前面板
3が一体に接合されている。
【0027】アレイ状の配列された振動子1は、超音波
送受信面1aの反対側面1bにおいて制振材2に接合材
5を介して一体に接合されている。
【0028】制振材2には、隣接する振動子1の間の各
々の部分において、超音波送受信面1aから反対側面1
bへ向かう方向すなわち制振材2の厚み方向に切り込み
部10が形成されている。この結果、制振材2は櫛歯状
の形状をなし、制振材2の歯部に振動子1が接合材5を
介して接合されていることになる。
【0029】図2に示すように、前面板3はハウジング
4の前面をなし、アレイ状に配列された振動子1は前面
板3を介してハウジング4内に収納されている。
【0030】次に、図4および図5を参照して他の実施
形態例について説明する。
【0031】図1等に示した実施形態例と異なり、本実
施形態例では、切り込み部10は制振材2の背面に至る
まで制振材2を分離するように形成されており、分離さ
れた制振材2の間隙をなす切り込み部10には、樹脂系
接着剤が充填されており、この樹脂系接着剤により分離
された制振材2は互いに接着されている。
【0032】次に、上述した実施態様例の具体的実施例
について以下に説明する。
【0033】第1実施例 長さ64mm、幅20mm、厚さ0.4mmのチタン酸
鉛(PbTiO3 )系の圧電体の両主面にそれぞれ銀電
極層を焼き付けて形成されたアレイ化される振動子1群
の基ととなる素振動子と、長さ64mm、幅18mm、
厚さ10mmであって、音響インピーダンスが13であ
り、超音波の減衰率が14dB/mmであるチタン酸ア
ルミ(Al2 TiO5 )からなる制振材2と、長さ80
mm、幅35mm、厚さ0.1mmのインバー合金から
なる前面板3と、長さ85mm、幅40mm、厚さ40
mmのインバー合金からなるケーシング4を用意した。
ここで、長さは図1においてy方向、幅はx方向、厚さ
はz方向の寸法をいう。また、圧電体の両主面とは、z
方向に対向する二つの面をいい、他の主面についても同
様である。
【0034】次に、制振材2の主面に、融点が420℃
の接合材としてのガラス材5を介して素振動子の主面を
対接させ、450℃、15分間熱処理を施して、素振動
子と制振材2とが接合され一体化してなる超音波プロー
ブ素体を形成した。なおこの超音波プローブの作製にお
いては、制振材2の長さ方向(y方向)の1端面を素振
動子の長さ方向の1端面と一致させ、制振材2の長さ方
向の1端面と素振動子1の長さ方向の1端面とを同一面
とし、もう一方の端面(x方向の端面)は素振動子が2
mmはみ出す形態を採った。
【0035】次に、超音波プローブ素体の素振動子につ
いて、次のようにして電界冷却により分極処理を行っ
た。すなわち、超音波プローブ素体の素振動子をシリコ
ーンオイル中に浸し、170℃に昇温した後、5kV/
mmの電界を15分間印加し、電界印加のまま40℃ま
で冷却した。
【0036】その後、厚さ150μmのブレードを有す
るダイヤモンドカッターを用い、分極処理した素振動子
およびこれと接合している制振材2を、長さ方向に1m
mピッチ、深さ7.5mmで振動子1が接合している面
から背面に向かって制振材2の厚み方向に切れ込み加工
し、素振動子を64個の振動子1に分離するとともに、
隣接する振動子1間の間隙に対応する制振材2の部分に
その厚み方向にこの間隙に連なる切り込み部10を形成
した。
【0037】ここで、切れ込み部10の深さDが振動子
1の配列ピッチPに対しD>3Pの関係を成すように、
切れ込み部10を設けた。さらに、アレイ化し短冊状と
なった振動子1の裏面の制振材2が接合していない部分
に図示しないリード線を接続した。
【0038】次に、超音波プローブの超音波送受信面1
aに融点が315℃の接合材としてのハンダ6を介して
前面板3を対接させ、350℃、15分間熱処理を施し
て、前面板3と振動子1を一体化せしめた。なお、この
前面板3と振動子1の接合に関しては、前面板3の中央
に振動子1を接合し図1に斜視的に示すような構造を採
った。
【0039】次に、前面板3の周辺部をケーシング4に
溶接した。なお、この溶接に関しては、制振材2及び振
動子1がケーシング4の内側になるようにケーシング4
の中央に前面板3を溶接し、図2に断面図を示す様な構
成を採った。
【0040】以上のようにして作成した第1実施例の超
音波プローブについて、次のような測定試験を行った。
【0041】超音波プローブを200℃のシリコーンオ
イル中に入れ、パルスエコー法によって反射エコーを測
定した。全ての短冊状の振動子1から約5MHzの中心
周波数で、図3に示すごとく反射エコーが測定できた。
反射エコーレベルは、64チャンネル間のばらつきが、
平均値に対して、±10%の範囲におさまっていること
が確認された。
【0042】また、短冊状の振動子1及び前面板3は、
制振材2とのロウ付けからアレイ加工、分極処理、前面
板3のハンダ接合、ケーシング溶接、及びパルスエコー
特性の計測の過程で、何等の接合面の剥離、変形、破
損、損傷も認められなかった。
【0043】次に、上述した実施態様例の第2実施例に
ついて説明する。
【0044】第2実施例 第1実施例と同様の部材を用意し、振動子と制振材、及
び振動子と前面板の各々の接合材を変えて試験をした。
【0045】制振材2主面に、接合材としてAg−Cu
系のロウ材7を介して素振動子の主面を対接させ、85
0℃、15分間熱処理を施して、超音波プローブ素体を
形成し、前記超音波プローブ素体の素振動子について、
実施例1と同様の分極処理を行った。
【0046】次に、分極処理した素振動子と、これと接
合している制振材2を、ダイヤモンドカッターにより、
厚さ150μmのブレードで、長さ方向に1mmピッ
チ、深さ7.5mmで、振動子が接合している面から背
面に向かって切れ込み加工を施し、切れ込み部10を形
成した。
【0047】次に、この制振材2への切り込み部10へ
シリコン樹脂系の接着剤8を充填し、短冊状の振動子1
の裏面の制振材2が接合していない部分に図示しないリ
ード線を接続した。
【0048】次に、超音波プローブの超音波送受信面1
aに接合材としてのAl系ロウ材9を介して前面板3を
対接させ、650℃、15分間熱処理を施して、前面板
3と振動子1を一体化せしめた。
【0049】次に、制振材2の振動子1が接合していな
い面を厚み方向に4mm削り落とした。ここで、切れ込
み部10の深さDは、最終的には、制振材2の厚みTに
対しD>T/3の関係を成すように形成されている。
【0050】次に、前記前面板3の周辺部をケーシング
4に実施例1と同様に溶接した。
【0051】以上のようにして作成した第2実施例の超
音波プローブについて、次のような測定試験を行った。
【0052】超音波プローブを300℃のシリコーンオ
イル中に入れ、パルスエコー法によって反射エコーを測
定したところ、全ての短冊状振動子1から約5MHzの
中心周波数で、図6に示すごとく反射エコーが測定でき
た。反射エコーレベルは、64チャンネル間のばらつき
が、平均値に対して、±10%の範囲におさまってい
た。また、短冊状の振動子1及び前面板3は、制振材2
とのロウ付けからアレイ加工、分極処理、前面板3のロ
ウ付け、ケーシング溶接、及びパルスエコー特性の計測
の過程で、何等の接合面の剥離、変形、破損、損傷も認
められないことが確認された。
【0053】次に、上述の第1実施例と第2実施例に対
する比較例について説明する。
【0054】比較例 実施例1と同様の部材を用意し、素振動子と制振材2の
接合を実施例1と同様に行い、超音波プローブ素体を
得、さらにこの素振動子を実施例1と同様に分極処理を
施した。
【0055】次に、分極処理した素振動子とこれと接合
している制振材2を、ダイヤモンドカッターにより、厚
さ150μmのブレードで、長さ方向に1mmピッチ、
深さ0.5mmで、振動子1が接合されている面から背
面に向かって切れ込み加工を施した。
【0056】ここで、本比較例では、切れ込み加工され
た部分の深さDは非常に小さく、制振材2の厚みTや振
動子1の配列ピッチPに比較して無視できる量であり、
また、切れ込み加工された部分の深さDは、当然にして
D>T/3の関係やD>3Pの関係を満たさぬ量であ
る。
【0057】次に、アレイ化し短冊状となった振動子1
の裏面の制振材2が接合していない部分に図示しないリ
ード線を接続した。
【0058】次に、この超音波プローブの超音波送受信
面に融点が315℃のハンダを介して前面板3を対接さ
せ、350℃、15分間熱処理を施して、前面板3と振
動子1と制振材2を一体化し、図11に斜視的に示すよ
うな超音波プローブを得た。
【0059】次に、前記前面板3の周辺部を前記ケーシ
ング4に、実施例1と同様に溶接し、図9に断面図を示
す様な構成を採った超音波プローブを得た。
【0060】以上のようにして作成した比較例の超音波
プローブについて、次のような測定試験を行った。
【0061】この超音波プローブを200℃のシリコー
ンオイル中に入れ、パルスエコー法によって反射エコー
を測定し、図10に示す様な結果を得た。反射エコー
は、約5MHzの中心周波数で、エコーレベルのばらつ
きが平均値に対して、±65%にも及んだ。また、振動
子1及び前面板3は、制振材2とのロウ付けからアレイ
加工、分極処理、前面板3のハンダ接合、ケーシング溶
接、及びパルスエコー特性の計測の過程で、振動子1と
前面板3の接合面の剥離、前面板3の変形、振動子1の
破損、損傷が認められ、端部近傍の振動子ではパルスエ
コーを測定し得ない振動子1も多くあった。
【0062】以上説明したように、切り込み部10を形
成した第1実施例および第2実施例と、切り込み部10
を形成しない比較例との比較結果からわかるように、隣
接する振動子1間の間隙に対応する制振材2の部分にそ
の厚み方向にこの間隙に連なる切り込み部10を形成し
たことにより、振動子1と前面板3との接合部における
剥離等を生じないようにすることができる。
【0063】上述した実施態様例においては、アレイ化
した振動子の各チャンネルの隙間部分に相当する制振材
2に切れ込み加工を施すことを骨子としている。そして
前記アレイ化された振動子1と前面板3、接合材料等と
の熱膨張率の相違にともなう残留応力を緩和でき、振動
子1の破損、前面板3、制振材2の剥離、変形が防止さ
れ、両端部の振動子の感度低下を回避でき、振動子群全
域にわたってほぼ一様な(ばらつきの少ない)感度を得
ることができる。
【0064】さらに、制振材2、振動子1、前面板3及
びこれらを接合する接合材料の選定の際に熱膨張率が近
い材料を選ぶといった必要がなくなり、振動子1の感度
や制振材のダンピング効果が劣る材料、あるいは接合温
度が低い接合材料を選定する事なく、超音波プローブの
性能の低下を防止できる。
【0065】次に、図7あるいは図8を参照して、本発
明のさらに他の実施形態例について説明する。
【0066】図7に示す実施形態例では、切り込み部1
0は、振動子1のアレイ状配列方向の両端部に近い制振
材2の部分にのみ形成されている。
【0067】また、図8に示す実施形態例では、切り込
み部10は、振動子1のアレイ状配列方向の両端部に近
い制振材2の部分ほど厚み方向により深く形成されてい
る。
【0068】図7または図8に示す実施形態例は、振動
子1と前面板3との接合部における剥離は、振動子1の
アレイ状配列方向の両端部に近い制振材の部分において
より生じやすいことを考慮し、アレイ状配列方向の両端
部に近い制振材の部分に重点的に切り込み部10を形成
したものである。
【0069】なお、以上の説明において、圧電体はチタ
ン酸鉛(PbTiO3 )系以外のセラミック系圧電体、
例えばジルコン酸チタン酸鉛(PbZrO3 −PbTi
O3)、ニオブ酸鉛等でもよい。なお、チタン酸鉛系や
ニオブ酸鉛系の場合は、例えば250℃程度の高温でも
超音波プローブとして機能し、また、ジルコン酸チタン
酸鉛系の場合は、例えば190℃程度以下の温度で超音
波プローブとして良好な性能を呈する。さらに制振材2
もチタン酸アルミ系以外の他のセラミックを用いた構成
を採ることもできるし、フェライト粉末やタングステン
粉末とゴムとの混合物を用いることも可能である。
【0070】また、切り込み部10に樹脂系接着剤を充
填した例として、図5等に示すように切り込み部10が
制振材2の背面に至るまで制振材2を分離する場合につ
いて説明したが、図2に示す切り込み部10に樹脂系接
着剤を充填してもよい。
【0071】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の構成によ
れば、隣接する前記振動子間の間隙に対応する前記制振
材の部分にその厚み方向に前記間隙に連なる切り込み部
を形成したので、振動子と前面板との接合部における剥
離を防止することができ、また、振動子と制振材との接
合部における剥離をも同様に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の超音波プローブの一実施態様例におい
て、制振材に切れ込み部を設けた構成を示す斜視図
(a)と方向を定義するための座標系を示す図(b)。
【図2】図1(a)に対応する断面図。
【図3】図1および図2に示す超音波プローブの感度分
布を示すグラフ。
【図4】本発明の超音波プローブの他の実施態様例にお
いて、制振材に切れ込み部を設けた構成を示す斜視図。
【図5】図4に対応する断面図。
【図6】図4及び図5に示す超音波プローブの感度分布
を示すグラフ。
【図7】本発明の超音波プローブのさらに他の実施態様
例において、制振材に切れ込み部を設けた構成を示す断
面図。
【図8】本発明の超音波プローブの他の実施態様例にお
いて、制振材に切れ込み部を設けた構成を示す断面図。
【図9】制振材に切れ込み部を設けない従来の超音波プ
ローブにおいて、感度分布を示すグラフ。
【図10】図9に対応する制振材に切れ込み部を設けな
い従来の超音波プローブを示す断面図。
【図11】図10に対応する従来の超音波プローブを示
す斜視図。
【符号の説明】
1 振動子 2 制振材 3 前面板 4 ケーシング 5 ガラス(接合部材) 6 ハンダ(接合部材) 7 Ag−Cu系ロウ材(接合部材) 8 シリコン樹脂接着剤(接合部材) 9 Al系ロウ材(接合部材) 10 切れ込み部

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アレイ状の配列された複数の振動子の超音
    波送受信面に保護用の前面板を接合するとともに、前記
    超音波送受信面の反対側面で前記振動子を残留振動抑制
    用の制振材に接合した超音波プローブにおいて、 隣接する前記振動子間の間隙に対応する前記制振材の部
    分にその厚み方向に前記間隙に連なる切り込み部を形成
    したことを特徴とする超音波プローブ。
  2. 【請求項2】前記切り込み部は、前記振動子のアレイ状
    配列方向の少なくとも両端部に近い前記制振材の部分に
    形成されていることを特徴とする請求項1に記載の超音
    波プローブ。
  3. 【請求項3】前記切り込み部は、前記振動子のアレイ状
    配列方向の両端部に近い前記制振材の部分ほど厚み方向
    により深く形成されていることを特徴とする請求項1に
    記載の超音波プローブ。
  4. 【請求項4】アレイ状の配列された複数の振動子の超音
    波送受信面に保護用の前面板を接合するとともに、前記
    超音波送受信面の対側面で前記振動子を残留振動抑制用
    の制振材に接合した超音波プローブにおいて、 隣接する前記振動子間の間隙に対応する前記制振材の部
    分にその厚み方向に前記間隙に連なる切り込み部を形成
    し、この切り込み部に樹脂系接着剤を充填させたことを
    特徴とする超音波プローブ。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005502437A (ja) * 2001-09-17 2005-01-27 ジーイー・パラレル・デザイン,インコーポレイテッド トランスデューサの周波数アポダイゼーション及び振幅アポダイゼーション
JP2016524495A (ja) * 2013-05-24 2016-08-18 フジフィルム ソノサイト インコーポレイテッド 高周波超音波プローブ

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