JPH0959670A - 香料水及び香料水製造法 - Google Patents

香料水及び香料水製造法

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JPH0959670A
JPH0959670A JP24231195A JP24231195A JPH0959670A JP H0959670 A JPH0959670 A JP H0959670A JP 24231195 A JP24231195 A JP 24231195A JP 24231195 A JP24231195 A JP 24231195A JP H0959670 A JPH0959670 A JP H0959670A
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cypress
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fragrance
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Masayuki Makita
正行 牧田
Takateru Idekura
隆輝 出蔵
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【解決手段】香料又は調合香料の原料に用いられる香料
水はテルピネン−4−オ−ル及び/又はα−テルピネオ
−ルを含む複数の単環式テルペンアルコ−ルが水にヒノ
キの特徴的な香りを与えるのに有効な量含有されている
ものである。香料水製造法は水蒸気凝縮水中のテルピネ
ン−4−オ−ル及び/又はα−テルピネオ−ルを含む複
数の単環式テルペンアルコ−ルが香気の主体成分になる
操作条件でヒノキを水蒸留若しくは水蒸気蒸留して、留
出したヒノキ精油を伴った水蒸気を冷却した液から水蒸
気凝縮水を分離して香料水にする方法である。 【効果】ヒノキ精油とは共通のヒノキを特徴ずける香り
を有しているが、ヒノキ精油には存在しない独特の清涼
感(軽快な感じ)を有する香り付香できる香料水が提供
される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ヒノキの特徴的な
香りであって、かつ、独特の清涼感(軽快感とも表現し
得る)を有する香りを有していて、広範囲の商品の香気
付与に有効な香料水に関する。
【0002】本発明は、特に、化粧品及び芳香剤の香料
に適している香料水に関する。
【0003】
【従来の技術】香料は、一般に、天然香料、合成香料及
び調合香料に分類され、天然香料が植物性香料と動物性
香料とに分類されている。天然香料には、公知になって
いるものが多くある(約500種が公知になってい
る)。調合香料も公表されて公知になっているものがあ
る。
【0004】調合香料とは、複数種の香料を組み合わせ
た香料(湖上国男:「香料の物質工学」、(地人書館、
1995)参照)、若しくは天然香料・合成香料を目的
に応じてブレンドした香料である(光井武夫:「新化粧
品学」、(南山堂、1994)、p109参照)。
【0005】植物性香料には、植物精油よりなる植物性
香料と樹脂状物よりなる植物性香料とがある。
【0006】植物性香料となる植物精油は、果実、花、
種子、木の幹、木の枝葉、樹皮及び木の根等から採取さ
れる香気性(芳香性)を有する液状物である。
【0007】植物精油は、抽出法、蒸留法、圧搾法、脱
テルペン精油法及び脱セスキテルペン精油法により採取
されている。
【0008】抽出法には、揮発性溶剤を用いる揮発性溶
剤抽出法、不揮発性溶剤を用いる不揮発性溶剤抽出法及
び液化ガスを用いて低温で抽出する液化ガス抽出法があ
る。蒸留法には、原料を浸した水を直火若しくは蒸気に
より加熱して原料中の植物精油を水蒸気と共に取り出す
水蒸留法、蒸留釜に仕込んだ原料に水蒸気を吹き込んで
水蒸気蒸留して植物精油を水蒸気に随伴させた後で冷却
分離して植物精油を採取する水蒸気蒸留法(いわば、直
接的水蒸気蒸留法といえる方法)、及び格子の上に原料
を置き、その下から水蒸気を通して原料と水蒸気とを接
触させて植物精油を水蒸気に随伴させて冷却分離して植
物精油を採取する水蒸気蒸留法(いわば、間接的水蒸気
蒸留法といえる方法)がある。
【0009】なお、水蒸気蒸留法においては、植物精油
を随伴した水蒸気を冷却すると水層と植物精油層(一般
に水に不溶である)とに分離するので、植物精油を分離
して採取する。
【0010】圧搾法には、機械法、エキュテルと呼ばれ
る針により果皮等を破って芳香油を採取するエキュテル
法、果皮等を手で圧搾して浸出する芳香油を海綿により
吸収する海綿法、及び海綿法の手による圧搾をロ−ラに
よる圧搾に代えたロ−ラ法等がある。
【0011】脱テルペン精油法又は脱セスキテルペン精
油法は、植物精油から分流又は向流抽出法によりテルペ
ンあるいはセスキテルペンを除去する精油法であって、
アルコ−ルに難溶性のテルペン類等を除去して調合し易
い植物精油を得る方法である。
【0012】香料は、それが実用に供せられる場合に
は、殆どの場合において、調合香料の形態で使用されて
いる(例えば、湖上国男:「香料の物質工学」、(地人
書館、1995)等参照)。
【0013】例えば、化粧品においては、シンプルな香
りの場合でも10〜30種、複雑で洗練された香りでは
50〜100種、多い場合には200〜500種の香料
原料を目的に合わせて調合されている(光井武夫:「新
化粧品学」、(南山堂、1994)、p123参照)。
【0014】調合香料は、基調となる匂いの成分(基調
剤(ベ−ス)と称される)、匂いに「こく」をつける成
分(調和剤(ブレンダ−)と称される)、隠し味となる
匂いの成分(変調剤(モディファイヤ−)と称される)
及び匂い全体を調整する匂いの成分(保留剤(フィキサ
−)と称される)の四種の匂い成分を基本成分として、
必要に応じて種々の香料が組み会わせて調合されている
(例えば、湖上国男:「香料の物質工学」、(地人書
館、1995)、p327等参照)。
【0015】一方、樹木から採取される代表的な植物精
油の一つにヒノキ精油がある。
【0016】なお、ヒノキ科の樹木には、日本固有の樹
種(針葉樹)であるヒノキ、サワラ、台湾ヒノキ、台湾
サワラ、ロ−ソンヒノキ(北米産)、アメリカンヒノキ
及びヌマヒノキの7種がある。
【0017】しかし、わが国においては、日本固有種の
ヒノキ材の香りが他の樹木のそれよりも好まれる傾向に
あって、植物精油も日本固有種のヒノキの精油について
検討されている。
【0018】なお、本明細書において「ヒノキ」の用語
を使用する場合は、特に断らない限り、日本固有の樹種
(針葉樹)のヒノキ(檜、桧)の意味で使用している。
【0019】ヒノキ中の精油については、「ヒノキの根
株に10%程度及びヒノキの葉に1〜4%程度の精油が
含有されている。」旨の報告がある(林 良興:「樹木
の成分と効用」、森林総合研究所所報、No58、p6
等参照)。
【0020】なお、ヒノキ精油は、それが採取されたヒ
ノキの箇所の名称を付して、ヒノキ葉油、ヒノキ材油
(ヒノキの幹材から採取の精油)及びヒノキ根油の名称
で呼ばれることがある。
【0021】ヒノキ葉油には、テルペン40%、テルペ
ンアルコ−ル12%、カジネン、セスキテルペン20
%、セスキテルペンアルコ−ル、ジテルベン5%等が含
まれている旨のデ−タが公表されている。
【0022】ヒノキ材油には、主として、テルペン、カ
ジネンが含まれている旨のデ−タが公表されている。
【0023】ヒノキ根油には、テルペン40%、テルペ
ンアルコ−ル20.5%、セスキテルペン及びセスキテ
ルペンアルコ−ル30%、酸、フェノ−ル、ヒノキノ
ン、ヒノキオ−ルが含まれている旨のデ−タが公表され
ている。
【0024】なお、これら公表の分析値が得られた実験
の詳細は公表されていない。しかし、ヒノキの根若しく
は葉から溶媒により直接的に成分を抽出して分析したと
推量し得る可能性がある。
【0025】ヒノキ材の香りについては、「4−テルピ
ネオ−ル、ボルネオ−ルなどのモノテルペン類の刺激臭
と、セドロ−ルやカジノ−ルなどセスキテルペン類の木
香の総合的な香りである。」旨の報告がある(林 良
興:「樹木の成分と効用」、森林総合研究所所報、No
58、p6参照)。
【0026】なお、本明細書においては、ここ以外で
は、4−テルピネオ−ルに替えてテルピネン−4−オ−
ルの用語を使用する。
【0027】又、「新鮮なヒノキ材をエ−テル抽出し、
δ−カジネン(17.7%)、α−ピネン(17.3
%)、T−ム−ロロ−ル(16.0%)など92成分を
固定したことが報告された。このなかで、ガスクロから
出てくる成分のにおいを嗅ぎ、官能試験を行った結果、
ヒノキ材の香りを最も特徴ずけている成分はδ−カジノ
−ル(トレヨ−ル)であることが報告されている。」旨
のヒノキ材の香りについての報告がある(THE IN
TERNATIONAL REVIEW OFAROM
ATHERAPY&HERBAL MEDICINE
:aromatopia、VOL3、NO.4、(1
994)、p32参照)。
【0028】従って、従来は、モノテルペン類及びセス
キテルペン類の含酸素化合物がヒノキ材の総合的な木香
を放出していて、そのごく一部の成分であるδ−カジノ
−ルによりヒノキ材を最も特徴ずける香りが得られてい
ると考えられていた。
【0029】ヒノキ精油は、特定のセッケン及び浴用剤
の香料及び一部の調合香料の保留材に使用されている程
度であった。
【0030】
【発明が解決しようとする課題】ヒノキ精油は、水に不
溶性で、エチルアルコ−ル等に対して制限的可溶性等の
物性を有する油状の液状物である。
【0031】そのために、ヒノキ精油は、ヒノキの香気
を有するとして好まれる傾向にあるものの、溶解性等に
由来の制約から、香料としての使用が狭い範囲にとどま
っていた。
【0032】しかも、従来においては、ヒノキを特徴ず
ける香りの成分がδ−カジノ−ルであると考えられてい
たので、ヒノキ精油を水蒸留法及び水蒸気蒸留法により
製造する際の水蒸気の凝縮水の含有成分とヒノキの香り
のとの関係等については何らの検討も行われていなかっ
た。
【0033】そこで、ヒノキ精油を製造する際の水蒸気
凝縮水の香気が、本発明者によりヒノキ精油との対比を
含めて詳細に検討され、ヒノキ精油製造時の凝縮水より
ヒノキを特徴ずける香りであって、かつ、独特の清涼感
(軽快感とも表現し得る)を有する香りを与える香料が
得られることが見いだされた。
【0034】ここにおいて、本発明は、ヒノキ精油とは
共通のヒノキを特徴ずける香りを有しているが、ヒノキ
精油には存在しない独特の清涼感(軽快な感じ)を有す
る香りを付与可能な香料水を提供すること、を目的とす
る。
【0035】又、本発明は、香料として若しくは調合香
料の原料として、広範囲の商品に付香可能な香料水を提
供すること、を目的とする。
【0036】
【課題を解決するための手段】本発明による香料水は、
少なくともテルピネン−4−オ−ル及び/又はα−テル
ピネオ−ルを含む複数の単環式テルペンアルコ−ルが水
にヒノキの特徴的な香りを与えるのに有効な量含有され
ているもので、香料又は調合香料の原料に用いられるも
のであること、を特徴とする。
【0037】本発明による香料水製造法は、水蒸気凝縮
水に含有されるテルピネン−4−オ−ル及び/又はα−
テルピネオ−ルを含む複数の単環式テルペンアルコ−ル
が香気の主体成分になる操作条件でヒノキを水蒸留若し
くは水蒸気蒸留して、留出したヒノキ精油を伴った水蒸
気を冷却した液から水蒸気凝縮水を分離して香料水とす
る方法であること、を特徴とする。
【0038】
【発明の実施の形態】本発明の香料水は、ヒノキを特徴
ずける香りであって、かつ、清涼感のある香りを与える
香料又は調合香料の原料として用いられるものであっ
て、少なくともテルピネン−4−オ−ル及び/又はα−
テルピネオ−ルを含む複数の単環式テルペンアルコ−ル
が水に含有されているものである。
【0039】なお、テルピネン−4−オ−ル(1−p−
メンテン−4−オ−ル),テルピネン−4−オ−ル(3
−p−メンテン−1−オ−ル)、α−テルピネオ−ル
(1−p−メンテン−8−オ−ル)、β−テルピネオ−
ル(8(9)−p−メンテン−1−オ−ル)、γ−テル
ピネオ−ル(4(8)−p−メンテン−1−オ−ル)及
びボルネオ−ル(ボルニルアルコ−ル)はそれぞれ括弧
内の正式名称で呼ばれることがある。
【0040】図1は、テルピネン−4−オ−ル,テルピ
ネン−1−オ−ル、α−テルピネオ−ル、β−テルピネ
オ−ル及びγ−テルピネオ−ルの構造式を示している。
【0041】なお、β−テルピネオ−ルは、天然物中に
は存在しないとされていて、その結晶はヒアシンス様の
匂いであるとされている(共立出版編:「化学大事典」
等参照)。
【0042】そして、テルピネン−4−オ−ル及び/又
はα−テルピネオ−ルを含む複数の単環式テルペンアル
コ−ルの存在(微量であってもよい)が、ヒノキ精油と
共通のヒノキを特徴ずける香りを与えると共に、ヒノキ
精油にない清涼感のある香りを与えることが、実験に基
づく事実から本発明において見いだされている(後記実
施例1及び2参照)。
【0043】すなわち、δ−カジノ−ル(ヒノキを特徴
ずける香りの成分であると従来考えられていた化合物)
が存在しない場合であっても、特定の単環式テルペンア
ルコ−ルによって、ヒノキ精油に存在しない清涼感を有
するヒノキを特徴ずける香りが得られることが実験を基
礎とする検討から本発明者により見いだされている。な
お、α−テルピネオ−ルはその結晶がライラック様の匂
いがして、テルピネン−4−オ−ルは液体がα−テルピ
ネオ−ル様の匂いがするとされている(共立出版編:
「化学大事典」等参照)。
【0044】又、本発明の香料水は、テルピネン−4−
オ−ル及び/又はα−テルピネオ−ルを含む複数の単環
式テルペンアルコ−ルがヒノキの特徴的な香りを生ずる
のに有効な量含有されているならば、単環式テルペンア
ルコ−ル以外の他の香気成分(特に、ヒノキに含有の他
の香気成分)を含有することが可能である。
【0045】本発明の香料水は、他の香気成分を含有す
る場合でも、ヒノキの特徴的な香りであって、かつ、特
徴がある清涼感のある香りが保持できることが本発明者
により実験的に見いだされている(後記実施例2参
照)。
【0046】そのために、本発明においては、「少なく
とも」テルピネン−4−オ−ル及び/又はα−テルピネ
オ−ルを含む複数の単環式テルペンアルコ−ルが含有さ
れればよいと定義して、単環式テルペンアルコ−ル以外
の香気成分(特に、ヒノキに含有の香気成分)の混在を
許容している。
【0047】本発明による香料水のヒノキの特徴的な香
りを生ずるのに有効な量は、香料水中の香気成分の約5
0重量%(香料水中の香気成分の全量を基準)以上がテ
ルピネン−4−オ−ル及び/又はα−テルピネオ−ルを
含む複数の単環式テルペンアルコ−ルで占められている
ことである。
【0048】有効な量の上限は、本発明による香料水を
ヒノキから水蒸留法若しくは水蒸気蒸留法により製造す
る場合には約85重量%程度である。
【0049】なお、香料水がヒノキの水蒸留若しくは水
蒸気蒸留により製造される場合には、水に含有される成
分の全体を香気成分であるとして計算することも可能で
ある。本発明の香料水の具体例としては、(イ)テルピ
ネン−4−オ−ルとそれ以外の単数又は複数の単環式テ
ルペンアルコ−ル含有水、(ロ)α−テルピネオ−ルと
それ以外の単数又は複数の単環式テルペンアルコ−ル含
有水、(ハ)テルピネン−4−オ−ル及びα−テルピネ
オ−ルとそれ以外の単数又は複数の単環式テルペンアル
コ−ル含有水、(ニ)単環式テルペンアルコ−ル以外の
香気成分を含有の前記(イ)の含有水、(ホ)単環式テ
ルペンアルコ−ル以外の香気成分を含有の前記(ロ)の
含有水、及び(ヘ)単環式テルペンアルコ−ル以外の香
気成分を含有の前記(ハ)の含有水等がある。
【0050】なお、テルピネン−4−オ−ル及びα−テ
ルピネオ−ル以外の単環式テルペンアルコ−ルとして
は、例えば、β−テルピネオ−ル、ボルネオ−ル及びそ
の他がある。
【0051】次に、本発明の香料水製造法の具体例を説
明する。 〈香料水製造法〉本発明による香料水は、その香気成分
が前述のものである限りは、任意の製造法により製造す
ることが可能である。
【0052】ただし、水蒸留法若しくは水蒸気蒸留法に
よるヒノキ製油の製造法を利用して本発明の香料水を製
造できることが本発明者により見いだされている。
【0053】なお、従来のヒノキの水蒸留若しくは水蒸
気蒸留においては、ヒノキ製油にのみ着目して操作条件
が決められている。しかし、ヒノキ精油を伴った水蒸気
の冷却により得られる油層(すなわち、ヒノキ精油の
層)と水層(すなわち、水蒸気の凝縮水)のうちの水層
の含有成分を所望の成分になる操作条件で、ヒノキの水
蒸留若しくは水蒸気蒸留を行い得ることが本発明者によ
り見いだされた(後記実施例1及び2参照)。
【0054】そして、水蒸気の凝縮水中のテルピネン−
4−オ−ル及び/又はα−テルピネオ−ルを含む複数の
単環式テルペンアルコ−ルが香気の主体成分にする操作
条件でヒノキを水蒸留若しくは水蒸気蒸留することによ
って留出した水蒸気(ヒノキ精油を伴っている)を冷却
して、そこで得られる水層(水蒸気の凝縮水)が本発明
の香料水として採取される。
【0055】本発明の香料を水蒸留により製造する場合
の操作条件は、ヒノキを入れた釜の水を常圧下で沸騰若
しくはそれに近い条件で加熱することである。
【0056】なお、本発明の香料水は、その香気の主体
成分を水に配合したものでもよい。又、本発明の香料水
は、ヒノキの水蒸留若しくは水蒸気蒸留により得られた
水にヒノキ精油若しくは他の香気成分を混ぜることがで
きる。
【0057】それらの場合においても、本発明の香料水
が、ヒノキの特徴的な香りであって、かつ、特徴のある
清涼感のある香りを有して、しかも、その香りの主体が
テルピネン−4−オ−ル及び/又はα−テルピネオ−ル
を含む複数の単環式テルペンアルコ−ルであるならば、
いずれも本発明の範囲である。
【0058】本発明の香料水は、ヒノキの特徴的な香り
であって、かつ、特徴のある清涼感のある香りを生ずる
ことができれば、香料水中の香気成分の含有量は任意の
量であり得る。
【0059】従って、本発明の香料水は、水蒸留若しく
は水蒸気蒸留による得られる凝縮水であってもよく、あ
るいはその凝縮水を濃縮したものであってもよい。
【0060】本発明の香料水は、例えば、テルピネン−
4−オ−ルが1〜20,000ミリグラム/リットル及
びα−テルピネオ−ルが1〜10,000ミリグラム/
リットルであることができる。
【0061】単環式テルペンアルコ−ル含有濃度の大き
い高濃度香料水を使用する場合には、例えば、水蒸留若
しくは水蒸気蒸留の凝縮水より製造された香料水の香気
成分の濃度を大きくして使用する等できる。
【0062】本発明の香料水によりヒノキの香りを付与
する商品については特に制約がないが、化粧品及び芳香
剤が代表的である。 〈化粧品〉本発明の香料水による賦香の対象となる化粧
品は、本発明の香料水が添加若しくは配合可能であれ
ば、任意の種類の形態のものであり得る。
【0063】化粧品としては、例えば、基礎化粧品、メ
−キャップ化粧品、毛髪化粧品、芳香化粧品、ボディ化
粧品、インセクトリペラ−(蚊等の虫さされ予防に使用
する製品)及び口腔用化粧品等が対象となり得る。
【0064】基礎化粧品としては、例えば、洗顔料(例
えば、クレンジングフォ−ム)、化粧水、乳液、クリ−
ム、ジェル、エッセンス(美溶液)、バック・マスク及
びひげそり用化粧品等が対象となり得る。
【0065】メ−キャップ化粧品としては、例えば、白
粉・打粉類が対象となり得る。
【0066】毛髪化粧品としては、例えば、育毛剤、毛
髪仕上げ用化粧品及びパ−マネント用剤等が対象となり
得る。
【0067】芳香化粧品としては、例えば、香水及びコ
ロン等が対象となり得る。ボディ化粧品としては、例え
ば、セッケン、液体ボディ洗浄料、サンケア製品、ハン
ドケア製品、防臭化粧品(体臭の発生を防止する化粧
品)、脱色剤、浴用剤等が対象となり得る。
【0068】なお、浴用剤としては、無機塩類浴用剤、
薬用植物浴用剤、バスオイル及びバブルバス(湯中に投
入して浴槽内を泡で満たして、豊かな泡と芳香を楽しむ
浴用剤)の種類があり、粉末状、顆粒状、固形状、ジェ
ル状液状若しくはカプセルの製品形態があるが、いずれ
の商品も対象となり得る。
【0069】ただし、浴用剤としては、ジェル状若しく
は液状の製品形態のものが特に適している。
【0070】インセクトリペラ−としては、例えば、虫
よけスプレ−等が対象となり得る。口腔用化粧品として
は、例えば、歯磨剤、洗口剤及び口中清涼剤等が対象と
なり得る。 〈芳香剤〉本発明の香料水は各種の芳香剤への使用が可
能である。例えば、香料を保持可能な材料に香料を含浸
させる含浸型芳香剤、香料を各種ワックスに混入した水
性ワックス型芳香剤、水をゲル化剤等により固めた水ゲ
ル型芳香剤、水又はアルコ−ルをベ−スに用いた液状型
芳香剤、及び香料、水又はアルコ−ル及び噴射剤を耐圧
容器に入れたエアゾ−ル型芳香剤等への使用が可能であ
る。
【0071】又、トイレ用、タイル用、家具用及び浴槽
用の洗剤への付香にも本発明の香料水の使用が適してい
る。
【0072】なお、本発明においては、本発明の目的に
沿うものであって、本発明の効果を特に害さない限りに
おいては、改変あるいは部分的な変更及び付加は任意で
あって、いずれも本発明の範囲である。
【0073】本発明を実施例に基づいて具体的に説明す
るが、実施例は例示であって本発明を拘束するものでは
ない。
【0074】
【実施例】
〈実施例1〉試料香料水を調製してガスクロマトグラフ
により分析した。試料香料水の調製 木曾ヒノキを水蒸留してヒノキの精油と共に取り出した
水蒸気を冷却して水層(凝縮水の層)と油層(ヒノキ精
油の層)に分離させた。凝縮水を2リトッル採取して、
それから分析に適した含有量の試料香料水を調製した。
【0075】凝縮水そのものは、実施例2の官能試験に
使用した。
【0076】試料香料水には、木曾ヒノキを水蒸留の際
の操作条件を変えて得られた凝縮水から三種類の試料香
料水1、2、3を調製した。
【0077】各試料香料水からその成分をヘキサン10
ミリリットルに抽出して、それをガスクロマトグラフに
より分析した。ガスクロマトグラフの条件 測定器:FID、カラム:溶融シリカキャピラリ−カラ
ムHP−1(ヒュ−レット・パッカ−ド社製)、キヤリ
ャ−ガス:ヘリウムガス(1.2ミリリットル/mi
n)、燃料ガス:水素ガス及び助燃料ガス:空気をそれ
ぞれ用いた。
【0078】カラム入口温度:260℃及び検出器温
度:270℃の温度条件で分析を行った。
【0079】図2は、ガスクロマトグラフのチャ−ト図
である。
【0080】図2では、三種類の試料香料水1、2、3
の各チャ−トが上下に並べて示されている。
【0081】チャ−トのピ−ク4、4、4は抽出に用い
たヘキサンを示している。なお、図2では、チャ−ト3
のピ−ク4の先端部分とチャ−ト2のピ−ク4と、チャ
−ト2のピ−ク4の先端部分とチャ−ト1のピ−ク4と
が重なった状態で図示されている。
【0082】チャ−トのピ−ク5、5、5はテルピネン
−4−オ−ルを示していて、チャ−トのピ−ク6、6、
6はα−テルピネオ−ルを示している。チャ−トのピ−
ク7、7、7はボルネオ−ルを示している。
【0083】なお、試料香料水3のチャ−トのピ−ク群
8は、ヒノキ精油中の成分が移行したものと推量され
る。 〈実施例2〉試料香料水1a、2a、3aの匂いについ
ての官能試験を行った。
【0084】試料香料水1a、2a、3aは、実施例1
の試料香料水1、2、3の濃縮前の凝縮水である。
【0085】パネラは10人を1グル−プとし、A〜G
の各グル−プよりなる7グル−プを用意した。
【0086】A〜Cの各グル−プは20代の女性のパネ
ラからなるグル−プとした。D及びEの各グル−プは2
0代の男性のパネラからなるグル−プとした。E〜Gの
各グル−プは30代〜50代の女性及び男性の混在する
グル−プとした。
【0087】匂いの判定は、試料香料水を幅2センチメ
−トル×長さ8センチメ−トルのろ紙片にスポイトによ
り2滴垂らして匂い用試験片として行った。
【0088】パネラには、第一段階の官能試験として、
ヒノキを特徴ずける香気の有無及び試料香料水1a、2
a、3aの匂いの相違について解答してもらった。
【0089】第二段階の官能試験は、ヒノキを特徴ずけ
る香気があると解答したパネラについて、ヒノキ精油の
匂いとの異同を解答してもらった。第三段階の官能試験
は、ヒノキ精油の匂いと異なる部分があるとを解答した
パネラについて、それがどのような匂いであるかを解答
してもらった。第一段階の官能試験 A〜Gのグル−プのパネラの殆ど(9割以上)がヒノキ
を特徴ずける香気があると判定した。
【0090】すなわち、複数の単環式テルペンアルコ−
ルが量的主体成分となっている水が殆ど(9割以上)の
パネラによりヒノキを特徴ずける香気を有すると判定さ
れた。又、A〜Gのグル−プのパネラの9割以上が、試
料香料水1a、2a、3aの匂いについては相違がない
と判定した。
【0091】すなわち、他の香気成分の存在が認められ
る試料香料水3(図2のピ−ク群8参照)が、香気が複
数の単環式テルペンアルコ−ルに由来する試料香料水
1、2と同様であると判定された。第二段階の官能試験 ヒノキを特徴ずける香気があると解答したパネラの約8
割が、ヒノキ精油には存在しない匂いが試料香料水1
a、2a、3aの匂いに含まれていると判定した。第三段階の官能試験 ヒノキ精油には存在しない匂いが試料香料水1a、2
a、3aの匂いに含まれていると判定したパネラの殆ど
が、試料香料水1a、2a、3aに含まれている独特の
匂いは軽快感、軽い感じ若しくは清涼感(一番多かっ
た)を有する香気であると判定した。軽快感、軽い感じ
若しく清涼感は、匂いについてパネラが感受した内容は
同様と考えられる。
【0092】
【発明の効果】本発明の香料水によれは下記の効果が得
られる。
【0093】すなわち、ヒノキ精油とは共通のヒノキを
特徴ずける香りを有しているが、ヒノキ精油には存在し
ない独特の清涼感(軽快な感じ)を有する香りを付香可
能な香料水が提供される。
【0094】しかも、本発明の香料水を香料若しくは調
合香料の原料として用いる場合には、広範囲の商品にヒ
ノキの香りであって、かつ、清涼感を有する香りを付香
することができる。
【0095】又、本発明の香料水製造法によれば、ヒノ
キ精油と共に本発明の香料水が容易に得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】化学構造式を示す図である。
【図2】ガスクロマトグラフのチャ−ト図である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくともテルピネン−4−オ−ル及び/
    又はα−テルピネオ−ルを含む複数の単環式テルペンア
    ルコ−ルが水にヒノキの特徴的な香りを与えるのに有効
    な量含有されているもので、香料又は調合香料の原料に
    用いられる香料水。
  2. 【請求項2】水蒸気凝縮水に含有されるテルピネン−4
    −オ−ル及び/又はα−テルピネオ−ルを含む複数の単
    環式テルペンアルコ−ルが香気の主体成分になる操作条
    件でヒノキを水蒸留若しくは水蒸気蒸留して、留出した
    ヒノキ精油を伴った水蒸気を冷却した液から水蒸気凝縮
    水を分離して香料水とする香料水製造法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017008111A (ja) * 2016-10-17 2017-01-12 エステー株式会社 芳香組成物およびこれを利用した芳香剤、消臭剤並びに抗菌剤

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2017008111A (ja) * 2016-10-17 2017-01-12 エステー株式会社 芳香組成物およびこれを利用した芳香剤、消臭剤並びに抗菌剤

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