JPH0959506A - 安定化されたカルボキシル基含有重合体組成物 - Google Patents

安定化されたカルボキシル基含有重合体組成物

Info

Publication number
JPH0959506A
JPH0959506A JP23338895A JP23338895A JPH0959506A JP H0959506 A JPH0959506 A JP H0959506A JP 23338895 A JP23338895 A JP 23338895A JP 23338895 A JP23338895 A JP 23338895A JP H0959506 A JPH0959506 A JP H0959506A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
catalyst
carboxyl group
component
weight
acid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP23338895A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroshi Kimura
洋 木村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kao Corp
Original Assignee
Kao Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kao Corp filed Critical Kao Corp
Priority to JP23338895A priority Critical patent/JPH0959506A/ja
Publication of JPH0959506A publication Critical patent/JPH0959506A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Polyethers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【解決手段】カルボキシル基含有重合体の1種以上を1
00重量部、並びに炭酸ナトリウム及び/又は炭酸カリ
ウムを1〜60重量部、を含有してなる安定化されたカ
ルボキシル基含有重合体組成物、並びにカルボキシル基
含有重合体の安定化処理方法。 【効果】本発明の安定化されたカルボキシル基含有重合
体組成物は、ポリカルボン酸の脱炭酸分解を抑制するこ
とにより、長期保存しても洗剤用ビルダーとしての機能
が好適に維持されるものである。また本発明の重合体の
安定化処理方法によると、かかるカルボキシル基含有重
合体組成物を好適に得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、安定化されたカル
ボキシル基含有重合体組成物、並びに重合体の安定化処
理方法に関する。さらに詳しくは、水酸基化合物を特別
な触媒組成物および酸化剤の存在下に接触酸化させて得
られるカルボキシル基含有重合体の中和物(ナトリウム
塩、カリウム塩、アミン塩)であるポリカルボン酸塩に
アルカリ金属炭酸塩を添加してポリマーの脱炭酸分解を
抑制した、カルボキシル基含有重合体組成物、並びに重
合体の安定化処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】カルボキシル基含有重合体(ポリカルボ
ン酸)の製造方法については、特開平7−41554号
公報に開示されており、その生成ルートを得られるカル
ボキシル基含有重合体(I〜IV)と共に示すと図1のよ
うになる。ここでは、水酸基化合物としてグリセリン、
グリセリン酸、又はその塩、タルトロン酸、又はその
塩、エチレングリコール、グリコール酸、又はその塩、
又はそれらの任意の混合物が原料として用いられ、特定
の触媒の存在下に接触酸化することより、カルボキシル
基含有重合体を得ている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記のようにしてグリ
セリン等に代表される多水酸基化合物から誘導したカル
ボキシル基含有重合体は、中和していない場合、得られ
る反応混合物が通常酸性であるため脱炭酸分解を起こし
やすく、その結果ポリカルボン酸としての機能が低下し
やすい。このような場合、脱炭酸抑制を目的としてポリ
カルボン酸を中和塩とすると良いが、特にグリセリン等
から誘導されたカルボキシル基含有重合体の場合は、重
合体の骨格が主にα−ケト酸であり分解しやすい構造で
あるため、中和処理だけでは脱炭酸抑制は不充分であ
り、長期保存中にカルボキシル基の脱炭酸分解が進行
し、洗剤用ビルダーとしての機能が低下するといった問
題があった。
【0004】従って、本発明の目的は、ポリカルボン酸
の脱炭酸分解を抑制することにより、長期保存しても洗
剤用ビルダーとしての機能が好適に維持される、安定化
されたカルボキシル基含有重合体組成物、並びにそれを
得るための重合体の安定化処理方法を提供することにあ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ポリカル
ボン酸の脱炭酸分解の抑制について鋭意検討した結果、
次の知見に基づき本発明を完成した。即ち、ポリカルボ
ン酸中和塩にさらに炭酸ナトリウム等を添加して塩基性
を増強することにより、平衡の点からもポリカルボン酸
塩の脱炭酸分解抑制に対して有効であると考えた。その
際、塩基性付与物質として潮解性のあるアルカリ金属水
酸化物(空気中の二酸化炭素を吸収して炭酸塩になる)
の添加よりも、脱炭酸分解で生成するアルカリ金属炭酸
塩の添加を検討した。その結果、水酸基化合物の一つで
あるグリセリンから誘導したポリカルボン酸中和塩にさ
らにアルカリ金属炭酸塩(ナトリウム塩、カリウム塩)
を添加することにより、脱炭酸分解が大きく抑制され、
ポリマーの安定化が達成され、長期保存に対して有効で
あることが判明し、本発明を完成した。
【0006】即ち、本発明の要旨は、 (1) 下記の式(i)〜式(iv)で示される繰り返し
単位を有するカルボキシル基含有重合体の1種以上を1
00重量部、並びに炭酸ナトリウム及び/又は炭酸カリ
ウムを1〜60重量部、を含有してなる安定化されたカ
ルボキシル基含有重合体組成物、
【0007】
【化3】
【0008】(2) 水酸基化合物を下記の触媒組成物
および酸化剤の存在下に接触酸化させてカルボキシル基
を有するモノマーを生成させるとともに、該モノマーを
重合させて得られるカルボキシル基含有重合体、並びに
炭酸ナトリウム及び/又は炭酸カリウムを含有してなる
安定化されたカルボキシル基含有重合体組成物、 触媒組成物:パラジウム、白金、ロジウム、およびルテ
ニウムからなる群より選ばれる一種以上の元素を触媒第
1成分とし、ビスマス、テルル、スズ、鉛、アンチモ
ン、およびセレンから成る群より選ばれる一種以上の元
素を触媒第2成分とし、希土類元素から選ばれる一種以
上の元素を触媒第3成分とし、 (イ)触媒第1成分及び触媒第2成分 (ロ)触媒第1成分及び触媒第3成分 (ハ)触媒第1成分、触媒第2成分及び触媒第3成分、
又は (ニ)触媒第1成分のみ のいずれかを担体に担持してなる担持触媒、 (3) 炭酸ナトリウム及び/又は炭酸カリウムの添加
量が、カルボキシル基含有重合体100重量部に対して
1〜60重量部である上記(2)記載のカルボキシル基
含有重合体組成物、 (4) 水酸基化合物が、グリセリン、グリセリン酸、
グリセリン酸の塩、タルトロン酸、タルトロン酸の塩、
エチレングリコール、グリコール酸、及びグリコール酸
の塩からなる群より選ばれる1種以上の化合物である上
記(2)又は(3)記載のカルボキシル基含有重合体組
成物、 (5) 水酸基化合物がグリセリンとエチレングリコー
ルの混合物であることを特徴とする上記(2)又は
(3)記載のカルボキシル基含有重合体組成物、 (6) カルボキシル基含有重合体の重量平均分子量
が、ゲル濾過クロマトグラフィー法で500〜1,00
0,000である上記(1)〜(3)いずれか記載のカ
ルボキシル基含有重合体組成物、 (7) 含水状態でのpHが、8〜13である上記
(1)〜(3)いずれか記載のカルボキシル基含有重合
体組成物、 (8) 下記の式(i)〜式(iv)で示される繰り返し
単位を有するカルボキシル基含有重合体の1種以上を1
00重量部を含有する組成物に対して、炭酸ナトリウム
及び/又は炭酸カリウムを1〜60重量部添加すること
を特徴とする重合体の安定化処理方法、に関する。
【0009】
【化4】
【0010】
【発明の実施の形態】一般に洗浄力向上の目的で洗剤用
有機系ビルダーを炭酸ナトリウムと併用することは公知
であるが、本発明ではポリカルボン酸、特にグリセリン
から誘導したカルボキシル基含有重合体またはその中和
塩の脱炭酸分解を、塩基性の増強により、また平衡論的
に抑制することを目的として炭酸ナトリウム及び/又は
炭酸カリウムを添加するものであり、一般に知られてい
るビルダーの複合化による洗浄力向上とは目的を全く異
にするものである。
【0011】
【化5】
【0012】このカルボキシル基含有重合体は長期保存
中に上記反応式に従って脱炭酸分解する傾向があり、生
分解性ポリマーであることからも時間とともに炭酸ナト
リウムは増加傾向となる。この傾向はpHが7以下の水
溶液では顕著であり、中和塩の場合でも長期保存の間に
脱炭酸分解によりシュウ酸ナトリウム、炭酸ナトリウ
ム、あるいは炭酸水素ナトリウムが副生する。
【0013】従って、このようなカルボキシル基含有重
合体組成物に、さらに炭酸ナトリウムを添加すること
は、(1)アルカリ金属炭酸塩添加による塩基性の増大
と、(2)カルボキシル基含有重合体の脱炭酸分解を平
衡論的に抑制することから本発明の目的に有効な手法で
ある。
【0014】よって、本発明の重合体組成物は、下記の
式(i)〜式(iv)で示される繰り返し単位を有するカ
ルボキシル基含有重合体の1種以上を100重量部、並
びに炭酸ナトリウム及び/又は炭酸カリウムを1〜60
重量部、を含有してなる安定化されたカルボキシル基含
有重合体組成物である。ここで「安定化された」とは脱
炭酸分解が抑制されていることを意味する。
【0015】
【化6】
【0016】ここで、アルカリ金属としてはNa、K、
Li等が、アミン塩としてはモノエタノールアミン、ジ
エタノールアミン等による中和塩が挙げられる。なお、
上記の式(i)〜式(iv)で示される繰り返し単位は、
同一重合体の分子内に複数種含まれていてもよく、その
場合の配列も特に制限されない。
【0017】上記のカルボキシル基含有重合体は、特開
平7−41554号公報に記載の製造方法に準拠して好
適に製造することができるが、当該方法に何ら限定され
るものではない。なお当該製造方法については、後述す
る。用いられるカルボキシル基含有重合体の重量平均分
子量は、ゲル濾過クロマトグラフィー法で500〜1,
000,000が好ましく、1000〜100,000
がより好ましく、2000〜20,000が特に好まし
い。
【0018】上記において、炭酸ナトリウム及び/又は
炭酸カリウムの含有量は、カルボキシル基含有重合体1
00重量部に対して1〜60重量部、好ましくは1〜2
0重量部が良い。1重量部未満ではその効果が低く、6
0重量部を越えても効果に差がない。
【0019】本発明の安定化されたカルボキシル基含有
重合体組成物は、 カルボキシル基含有重合体の製造により得られる含水
反応混合物中にアルカリ金属炭酸塩を添加する、 カルボキシル基含有重合体の製造により得られる含水
反応混合物を中和処理後にアルカリ金属炭酸塩を添加す
る、 カルボキシル基含有重合体の製造により得られる含水
反応混合物を脱水処理して得られたカルボキシル基含有
重合体の粉体にアルカリ金属炭酸塩を添加する、 カルボキシル基含有重合体の製造により得られる含水
反応混合物を中和処理後、その脱水処理を経て得られた
カルボキシル基含有重合体の粉体にアルカリ金属炭酸塩
を添加する、 などの方法により、得ることができる。このようにアル
カリ金属炭酸塩の添加時期は特に限定されるものではな
く、任意の時期が選択できる。
【0020】ここで、予め中和処理を行う場合、用いら
れるアルカリ金属炭酸塩以外のアルカリ剤としては、水
酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等の
アルカリ金属の水酸化物、モノエタノールアミン、ジエ
タノールアミン等のアミン類、アンモニア等が使用され
る。また、予め脱水処理を行う場合、脱炭酸分解の抑制
の観点より、凍結乾燥、減圧乾燥等により脱水処理を行
うのが好ましい。
【0021】上記のように本発明の安定化されたカルボ
キシル基含有重合体組成物は、含水状態の混合物又は粉
体として得ることができる。本発明の重合体組成物が含
水状態の場合、脱炭酸分解の抑制の観点より、そのpH
は、8〜13であることが好ましく、9〜12であるこ
とがより好ましい。
【0022】本発明の重合体の安定化処理方法も上記の
ような技術思想に基づくものであり、上記の式(i)〜
式(iv)で示される繰り返し単位を有するカルボキシル
基含有重合体の1種以上を100重量部を含有する組成
物に対して、炭酸ナトリウム及び/又は炭酸カリウムを
1〜60重量部添加することを特徴とするものである。
従って、アルカリ金属炭酸塩の添加方法も上記の〜
の態様が挙げられ、その他、カルボキシル基含有重合体
やアルカリ金属炭酸塩の種類および添加量も上記の通り
である。
【0023】次に、本発明におけるカルボキシル基含有
重合体の製造方法について、特開平7−41554号公
報に記載の製造方法を例にとり説明する。当該製造方法
は、水酸基化合物を下記の触媒組成物および酸化剤の存
在下に接触酸化させてカルボキシル基を有するモノマー
を生成させるとともに、該モノマーを重合させるカルボ
キシル基含有重合体の製造方法である。 触媒組成物:パラジウム、白金、ロジウム、およびルテ
ニウムからなる群より選ばれる一種以上の元素を触媒第
1成分とし、ビスマス、テルル、スズ、鉛、アンチモ
ン、およびセレンから成る群より選ばれる一種以上の元
素を触媒第2成分とし、希土類元素から選ばれる一種以
上の元素を触媒第3成分とし、 (イ)触媒第1成分及び触媒第2成分 (ロ)触媒第1成分及び触媒第3成分 (ハ)触媒第1成分、触媒第2成分及び触媒第3成分、
又は (ニ)触媒第1成分のみ のいずれかを担体に担持してなる担持触媒。
【0024】カルボキシル基含有重合体生成時の反応ス
キームについて、図1を用いて以下に説明する。まず、
本発明における重合とは、主に酸化脱水素重合である。
即ち、反応原料であるモノマーの前駆体(以下、モノマ
ー前駆体と略す場合がある。)の重合部位の活性水素が
触媒表面上でバルクから供給される酸素と接触的に反応
して水が生成して重合に直接関与するアルデヒド基また
はカルボニル基を有するモノマー(以下、モノマーと略
す場合がある。)が触媒表面上に生成し、該モノマーの
重合反応が進行するというものである。
【0025】本発明におけるモノマー前駆体としては、
(1)グリセリン、グリセリン酸、またはグリセリン酸
の塩、(2)タルトロン酸又はその塩、(3)エチレン
グリコール、グリコール酸、またはグリコール酸の塩が
使用される。
【0026】グリセリン酸、タルトロン酸はグリセリン
の酸化物であり、グリコール酸は、タルトロン酸の脱炭
酸分解物又はエチレングリコールの酸化物である。これ
らは図1の反応スキームに示したように、グリセリン、
エチレングリコールの接触酸化によって逐次的に生成す
るものであるため、グリセリンとエチレングリコールが
最も安価な初期原料となる。
【0027】また、直接重合に関与するモノマーとして
は、グリセリン酸、タルトロン酸、グリコール酸または
それらの塩の接触酸化によってそれぞれ得られるタルト
ロン酸アルデヒド、ケトマロン酸、グリオキシル酸また
はそれらの塩であるが、これらのモノマーは、別途合成
法により合成したものを用いてもよい。
【0028】これらのモノマー前駆体を用いて生成する
モノマーをさらに重合させて本発明における重合体を生
成する反応機構については、完全には解明されていない
が接触酸化についての従来の知見より図1のように推定
される。即ち、本発明の反応は以下のように、(1)モ
ノマー前駆体およびモノマーの生成のための酸化反応
部、(2)カルボキシル基を有する重合体への重合部、
および(3)重合体の脱炭酸分解部の三つに大別され
る。
【0029】モノマー前駆体およびモノマーの生成のた
めの酸化反応部としては、例えばグリセリンの接触酸化
に始まり、グリセルアルデヒドを経由してグリセリン酸
が生成する。グリセリン酸はさらに酸化されて本発明に
おけるモノマーの一つであるタルトロン酸アルデヒドを
生成する。あるいは、このタルトロン酸アルデヒドはさ
らに酸化されてタルトロン酸を生成し、次いで本発明に
おけるモノマーの一つであるケトマロン酸を生成する。
また、タルトロン酸は脱炭酸分解によりグリコール酸を
生成し、さらに本発明におけるモノマーの一つであるグ
リオキシル酸を生成する。
【0030】また、エチレングリコールを出発原料にし
た場合には、対応するアルデヒドを経てグリコール酸へ
酸化されるが、これはタルトロン酸の脱炭酸分解で生成
したものと同じものである。グリコール酸はさらに酸化
されてモノマーであるグリオキシル酸が生成する。
【0031】カルボキシル基を有する重合体への重合部
としては、上記の酸化反応ルートに対応して次の3つの
ルート((a)〜(c))に大別される。
【0032】(a)タルトロン酸またはその塩をモノマ
ー前駆体とする場合であり、このルートではその2級水
酸基が酸化脱水素を受けながら、見かけ上ケトマロン酸
をモノマーとする重合反応が進行する(ルート1)。こ
れによりポリケトマロン酸(I)またはその塩が重合体
として生成するが、一部脱炭酸した場合、ケトマロン酸
とグリオキシル酸をモノマーユニットとするランダム共
重合体が生成する。
【0033】(b)グリセリン、グリセリン酸、または
グリセリン酸の塩をモノマー前駆体とする場合であり、
このルートではモノマーとなるタルトロン酸アルデヒド
またはその塩がその直前のモノマー前駆体であるグリセ
リン酸またはその塩の一級水酸基の酸化によって生成
し、そのアルデヒド基がエーテル結合に変換されながら
重合反応が進行する(ルート2)。これによりポリタル
トロン酸アルデヒド(III)またはその塩が重合体として
生成し、さらにその2級水酸基が酸化されて重合体であ
るポリメソキサルアルデヒド酸(IV)またはその塩が生
成すると推定される。この場合も一部脱炭酸により、タ
ルトロン酸アルデヒド、メソキサルアルデヒド酸、及び
グリオキシル酸をモノマーユニットとするランダム共重
合体が生成する。
【0034】(c)タルトロン酸またはその塩自体も前
記のように脱炭酸を受けてグリコール酸またはその塩に
なる。この場合、モノマー前駆体であるグリコール酸ま
たはその塩は、さらに酸化されてグリオキシル酸または
その塩をモノマーとする重合反応が進行する(ルート
3)。これによりポリグリオキシル酸(II)またはその
塩が重合体として生成する。又、エチレングリコールを
モノマー前駆体とする場合もグリコール酸、グリオキシ
ル酸を経て同様にポリグリオキシル酸(II)を生成す
る。
【0035】重合体((I)および(IV))の脱炭酸分
解部としては、ポリケトマロン酸(I)やポリメソキサ
ルアルデヒド酸(IV)またはそれらの塩が高温下では容
易に脱炭酸してポリグリオキシル酸(II)またはその塩
にまで分解すると推定される。このような反応スキーム
から明らかなように、重合体の脱炭酸によるカルボキシ
ル基の消失を出来るだけ抑制することが、多量のカルボ
キシル基を有する重合体を製造する上で効果的である。
【0036】また、本発明においてグリセリンとエチレ
ングリコールの混合物(例えば等モル混合物)を出発原
料として使用した場合、ルート1〜3に従って同様の重
合反応が進行する。この場合、ルート1のケトマロン酸
のホモポリマーに比べ、ケトマロン酸とグリオキシル酸
とのランダム共重合体が生成するため重合性もよく、熱
安定性のよい共重合体が生成する。
【0037】また、本発明においてはグリセリン、エチ
レングリコール、グリセリン酸、タルトロン酸またはグ
リコール酸またはそれらの塩等の原料の他、例えば1,
2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコ
ール等の多価アルコール、メタノール、エタノール、プ
ロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の一価ア
ルコール、またはホルムアルデヒド、アセトアルデヒド
等のアルデヒド類を共存させることができる。この場合
も、本発明のカルボキシル基を有する重合体の主鎖にこ
れらの多価アルコール、一価アルコールの酸化物である
対応するアルデヒドあるいはケトン、またはアルデヒド
類の構造ユニットが取り込まれ(ランダム共重合)、生
成ポリマーの熱力学的安定性によりグリセリンまたはそ
の酸化物を出発原料とする場合よりも洗剤用高分子ビル
ダーとしては有効な場合がある。
【0038】本発明で使用する触媒組成物としては、白
金系貴金属触媒が有効である。即ち、パラジウム、白
金、ロジウム、およびルテニウムからなる群より選ばれ
る一種以上の元素を触媒第一成分とし、ビスマス、テル
ル、スズ、鉛、アンチモン、およびセレンからなる群よ
り選ばれる一種以上の元素を触媒第二成分とし、希土類
元素から選ばれる一種以上の元素を触媒第三成分とする
場合、(イ)触媒第一成分及び触媒第二成分を組み合わ
せた触媒組成物、(ロ)触媒第一成分及び触媒第三成分
を組み合わせた触媒組成物、(ハ)触媒第一成分、触媒
第二成分及び触媒第三成分を組み合わせた触媒組成物、
(ニ)触媒第一成分のみからなる触媒組成物が使用され
る。
【0039】本発明のカルボキシル基を有する重合体
は、熱的に不安定で脱炭酸分解を併発しやすいため、温
和な条件で酸化重合を進行せしめることの可能な低温活
性を有する前記のような貴金属触媒が特に有効である。
しかし、他の一般の酸化触媒、あるいは無機、有機試剤
(過酸化水素、過酢酸等)による酸化および酸化重合も
併用することが出来る。
【0040】本発明における多成分触媒の組成は、重要
であり触媒活性に大きな影響を与える。従って、触媒第
一成分に対する触媒第二成分のバルクの原子比R1は、
触媒第二成分の種類により、次の範囲が選択される。触
媒第二成分がセレンの場合は、R1は0.05〜0.
3、好ましくは0.05〜0.10である。触媒第二成
分がテルル、ビスマス、アンチモン、スズの場合にはR
1は0.05〜1.5、好ましくは0.1〜0.5であ
る。触媒第二成分がビスマスまたはテルルの場合の最適
のR1は0.2であり、この時表面構造は√3×√3R
30°構造をとっていると推定される。
【0041】触媒担持量は生成する重合体の分子量に影
響を与え、低担持量の方が分子量が大きくなる傾向にあ
る。触媒第一成分の担持量は、全担持触媒(触媒担体を
含む)中、通常0.1〜10重量%、好ましくは0.1
〜5重量%、特に好ましくは0.1〜3重量%である。
なかでも触媒第一成分がパラジウムの場合は、単独で用
いる場合、あるいは触媒第二成分、触媒第三成分と併用
して複合化させる場合のいずれも0.5〜10重量%が
好ましく、1〜6重量%が更に好ましい。0.5重量%
未満では反応速度が遅く、10重量%を超えるとコスト
の点で問題となる。触媒第二成分の担持量は既述のR1
に依存するが、触媒活性の点より、通常0.1〜10重
量%、好ましくは0.1〜5重量%、特に好ましくは
0.5〜3重量%である。
【0042】触媒第一成分に対する触媒第三成分のバル
クの原子比R2は触媒活性の点より、通常0.01〜
1.0、好ましくは0.05〜0.5、さらに好ましく
は0.1〜0.3である。触媒第三成分の担持量は、触
媒活性の点より、通常0.1〜5重量%、好ましくは
0.3〜3重量%、特に好ましくは0.3〜1.5重量
%である。
【0043】本発明における触媒組成物は、通常の含浸
法、共含浸法、浸漬法、共沈法により、触媒成分を水中
で触媒担体に担持させ、ホルマリン、ヒドラジン、水素
化ホウ素ナトリウム、水素、低級アルコール(メタノー
ル、エタノール、グリセリン、エチレングリコール等)
等による還元処理を行う等、通常の方法によって容易に
調製することが出来る。特に、水溶液中で触媒担体に触
媒成分を担持させる場合、担持後、触媒前駆体を脱水乾
燥させることなく、水中で分散状態のまま還元処理を行
うことにより活性の高い触媒が出来やすい。
【0044】触媒調製にあたって、主に触媒担体の外層
に触媒成分が担持された外層担持(egg shell
型)は、本発明の反応が重合反応であることから物質移
動的に非常に有効である。この外層担持の効果は酸素被
毒抑制剤として使用する触媒第二成分のビスマスが特に
有効である。これは、前述のようにビスマスが他の触媒
第二成分と比較してad−atom構造、またはad−
layer構造を取りやすく、その結果、生成ポリマー
の吸着を大きく抑制することに由来すると考えられる。
ビスマスのこの特異性は、パラジウムとの二成分触媒の
CO吸着量の測定により、ビスマスの場合は他の触媒第
二成分であるテルル、鉛と違って、その吸着量がパラジ
ウム単独の場合に比べて前述のように激減することから
も理解することが出来る。外層担持触媒の表面構造は、
その調製方法に大きく依存するが、基本的には主触媒元
素であるパラジウムと触媒第二成分の表面物性に依存す
る。外層担持触媒の調製にあたっては、担持時間も重要
な因子となる。本発明で行う液相平衡吸着段階担持法に
おいては担持時間を5時間以下、好ましくは2時間以下
にするのがよい。
【0045】触媒担体としては、活性炭、カーボンブラ
ック、炭酸カルシウム、シリカ、アルミナ、モレキュラ
ーシーブ、石綿、希土類元素の酸化物等が挙げられる
が、高表面積を有する活性炭、カーボンブラック、アル
ミナおよびシリカがより好ましい。これらの中でも、特
に活性炭が有効である。
【0046】本発明における反応温度は極めて重要な因
子であり、本発明のカルボキシル基を有する重合体の収
率を大きく左右する。即ち、重合体中のカルボキシル基
の脱炭酸による分解を出来るだけ抑制するには、反応ス
キームの酸化反応部および重合部ともに出来るだけ低温
で反応を実施することが望ましい。反応温度は−30〜
100℃で実施することが出来るが、生成する重合体の
脱炭酸分解を出来るだけ抑制するため、好ましくは−1
0〜60℃、さらに好ましくは0〜50℃、特に好まし
くは20〜40℃で実施するのがよい。
【0047】即ち、本発明においては、反応温度が低い
程重合体が生成しやすい。また、モノマー生成段階と重
合体生成段階の最適反応温度が異なり、前者は60℃以
下、後者は30℃以下が良いが、重合体の生成を優先す
るためには出来るだけ低温で行うのが良い。更に、低温
の方が酸素の溶解度の点からも有利となる。従って、本
発明における低温活性の触媒組成物を使用することによ
り、常温での酸化重合を効率よく進行せしめることが出
来る。反応時間は反応温度、触媒の種類およびその濃度
等に大きく依存するが、通常1〜30時間が好ましい。
【0048】本発明における反応はカルボキシル基生成
工程は塩基性雰囲気での水溶液下で実施するため、生成
する重合体は一般にカルボン酸塩となる。従って、適用
する反応温度において生成する重合体の溶解度を考慮し
て出発原料の濃度を設定するのが好ましい。即ち、原料
濃度は通常1〜80重量%が好ましく、5〜50重量%
がより好ましい。原料濃度が1重量%未満では得られる
重合体の濃度が薄すぎて実用的ではなく、80重量%を
越えると粘度が高くなりすぎて物質移動速度が低下し、
その結果、反応速度が大きく低下する。また、反応溶媒
としては水を使用するのが生産性および効率の点から有
効である。
【0049】本発明における反応において、塩基性雰囲
気下で酸化反応によるモノマー前駆体およびモノマーの
合成および酸化重合反応を進行せしめるには、それに要
するアルカリ剤として水酸化ナトリウム、水酸化カリウ
ム、水酸化リチウム等のアルカリ金属の水酸化物、モノ
エタノールアミン、ジエタノールアミン等のアミン類、
アンモニア等が使用される。
【0050】この場合、アルカリ過剰率は重要な反応因
子となり反応時のpHを支配するとともに、本発明にお
ける重合体の構造と重合度に大きく影響を与え、その結
果洗剤用ビルダーとしてのCa捕捉能に大きな影響を与
える。例えば、グリセリンを出発原料として下式のよう
に本発明を実施した場合、アルカリ剤としての例えば水
酸化ナトリウムはグリセリンの2倍モル使用する。
【0051】
【化7】
【0052】その結果、ポリケトマロン酸までは水酸化
ナトリウムは等量消費されるが、ポリケトマロン酸は熱
力学的に不安定であるためカルボキシルの一部が脱炭酸
分解しやすい。その結果、グリオキシル酸骨格が重合体
鎖中に存在し余剰の水酸化ナトリウムが生成する。この
余剰水酸化ナトリウムは、通常脱炭酸分解した二酸化炭
素と反応して炭酸水素ナトリウムや炭酸ソーダを生成す
る。
【0053】従って原料がグリセリンの場合には、水酸
化ナトリウムの仕込み等量比はグリセリンに対して0.
50〜0.90が好ましい。また、エチレングリコール
を原料とした場合には水酸化ナトリウムは0.5等量以
下でよく、グリセリンとエチレングリコールを混合した
ものを原料とする場合には、以上の点を踏まえて水酸化
ナトリウムの過剰率を調整し、反応混合物水溶液のpH
が本発明の条件に合うように設定するのが好ましい。
【0054】反応時のpHは、重合体(I)〜(IV)を
製造する場合、モノマー生成時には7〜13の塩基性下
の方が好ましい。一方、重合時はpHは7以下がよく、
好ましくは6.0〜1.0、特に好ましくは5.5〜
3.0が良い。
【0055】例えば、攪拌槽型反応装置を使用して重合
体(I)〜(IV)を製造する場合、反応初期のモノマー
生成が主の時点ではpHを7〜10に、反応中期〜末期
にかけての重合反応が主の時点ではpHが7以下になる
ように原料(アルカリ剤、酸化剤)供給速度を制御する
のがよい。
【0056】又、固定床反応装置を使用して重合体
(I)〜(IV)を製造する場合、反応塔上段ではモノマ
ー生成が主に進行し、反応塔中〜下段では重合反応が主
に進行する。この場合、反応塔の高さ方向のpHは上段
から下段に向かって大きく下降する傾向にあり、必要に
応じて反応塔中段の複数箇所より原料供給(アルカリ
剤、酸化剤)を行い、反応塔出口の反応混合物のpHを
6.5〜2.0に維持するのが好ましい。
【0057】本発明で用いる酸化剤としては純酸素、純
酸素と窒素との混合ガス、又は空気が使用でき、特に限
定されるものではないが空気が経済的である。
【0058】本発明の反応においては反応初期はグリセ
リンの酸化物であるモノマーが主に生成するが、反応中
期から末期においてはこれらのモノマーを原料とする重
合反応が進行する。従って、高分子生成過程においては
物質移動の影響が顕著となり、その結果、生成物被毒に
由来して反応性が大きく低下するため、酸素供給量は等
量では不充分となる場合がある。酸素供給量は生成高分
子の分子量の増大とともに増加させるのがよく、好まし
くは等量の3倍以下、特に好ましくは等量の0.5〜2
倍に設定するのが良い。過度の酸素供給量の増大は逆に
酸素による触媒の自己被毒を併発する。
【0059】このようにして得られる重合体の重量平均
分子量は、ゲル濾過(GPC)分析により500〜1,
000,000にまで達し、従来のポリグリセリンのそ
れ(分子量500〜1000)を遙かに越えるものであ
る。しかし、洗剤用ビルダーとして用いる場合はキレー
ト能の点から1000〜10万が好ましく、2000〜
2万が特によい。
【0060】本発明で得られる重合体のGPC測定に当
たっては、特に末端安定化処理を行っていない場合、カ
ラム内で容易に吸着したり、充填剤の種類によっては脱
炭酸分解する場合があるため、測定に当たっては最適な
カラム系を選択する必要がある。
【0061】本発明における重合体は、その赤外吸収ス
ペクトルから、カルボキシレートのカルボニル振縮振動
およびエーテル結合の振縮振動の吸収ピークが得られ、
プロトンNMRおよびC13NMRスペクトルからは、そ
れぞれエーテル性炭素に結合したプロトンとエーテル性
炭素の吸収ピークが得られる。このことから本発明にお
ける重合体は、多量のカルボキシル基を有する重合体で
あることが判明している。
【0062】その構造は、式(i)、式(ii)、式(ii
i )、式(iv)で表されるいずれかの、又は2種以上の
構造単位を含む構造からなることが推定される。
【0063】
【化8】
【0064】また、反応混合物からモノマー成分を除去
した重合体は、100〜600mg−CaCO3 /gと
いう高いイオン交換能を有することから、洗剤用ビルダ
ーとして有用である。
【0065】
【実施例】以下、実施例等により本発明をさらに詳しく
説明するが、本発明はこれらの実施例等によりなんら限
定されるものではない。
【0066】なお、以下の実施例においてCa捕捉量
(炭酸カルシウムのmg数に換算した試料1g当たりに
捕捉されるCaの量)はつぎの方法により測定した。カ
ルボキシル基含有重合体の中和塩の水溶液を粉体で測定
する場合は凍結乾燥し、水溶液のまま測定する場合は4
0重量%に濃度調整した。試料を固形分換算で0.1g
精秤し、0.1M−NH4 Cl−NH4 OH緩衝溶液
(pH10)により100mlとし測定用溶液を調製し
た。この溶液にカルシウム電極を挿入後、マグネティッ
クスターラーでの攪拌下、CaCO3 換算で20000
ppmに相当するCaCl2 水溶液(pH10)をビュ
ーレットより滴下し、イオンアナライザーにより液中の
カルシウムイオン濃度を測定した。Ca捕捉量は、滴定
量−残存Caイオン濃度の関係を作図し、その変曲点よ
り求めた。
【0067】また、重合体の分析は次の方法により行っ
た。反応混合物をエチルアルコールを用いる溶剤再沈澱
法によって再沈澱を行い、溶剤分離後、乾燥を行った。
得られた吸湿性の白色粉末について赤外吸収スペクト
ル、NMRスペクトル、ゲル濾過クロマトグラフィー
(GPC)によって分析を行った。なお、GPC測定条
件を以下に示す。 ・カラム :G 2000SW−G 4000SW(東ソ−製シリカゲル充填カ ラム)なお、重合物の分析を行う前にナフタレンスルホン酸ソーダ のホルマリン縮合物の水溶液をカラムに通液して、この縮合物をシ リカゲルに吸着させることが必要である。 ・溶媒 :0.1M−NaCl水溶液/アセトニトリル=7/3 ・流速 :0.8ml/min ・温度 :25℃ ・検出器 :UV−8011(東ソ−製),210nmにて測定 ・試料濃度:0.1%水溶液
【0068】触媒組成物の製造例 武田薬品工業(株)の木質系活性炭、WH2 C(比表面
積:1200m2 /g、嵩密度:500/リットル、細
孔容積:0.8ml/g)を触媒担体としたときの0.
8%Ce・1.5%Bi・0.75%Pt・3.0%P
d/Cよりなる四成分触媒を以下の方法により調製し
た。120℃で一昼夜、熱風乾燥した活性炭93gを1
250mlのイオン交換水に分散させた。一方、塩化セ
リウム(CeCl3 ・7H2 O)2.1g、塩化ビスマ
ス(BiCl3 )2.3g、塩化白金酸2.0g、およ
び塩化パラジウム(PdCl3 )5.0gを、150m
lのイオン交換水に濃塩酸26mlを添加した塩酸水溶
液に撹拌下、均一に溶解させた。得られた触媒成分の褐
色均一溶液を活性炭の水分散液中に添加し、撹拌下、5
時間、常温で触媒成分の担持操作を行った。上澄み液は
無色透明になった。得られた触媒前駆体の還元処理を行
うため、触媒前駆体の水分散液を20%水酸化ナトリウ
ム水溶液でpHを約12に維持し、37%ホルマリン水
溶液20mlを添加した。撹拌下、80℃まで昇温し、
80℃で30分間還元処理を行った。得られた触媒は室
温まで放冷し1500mlのイオン交換水で3回洗浄
し、減圧濾過した。以上の操作により、約50%含水率
の0.8%Ce・1.5%Bi・0.75%Pt・3.
0%Pd/C触媒が乾燥品換算で100g得られた。ま
た、0.6%Bi・3.0%Pt/Cの触媒組成物につ
いても同様の操作で調製した。
【0069】重合体の製造例 触媒組成物の調製例で調製した0.8%Ce・1.5%
Bi・0.75%Pt・3.0%Pd/C触媒をジャケ
ット付きの内径20mm,高さ700mmの200ml
のパイレックス製固定床反応塔(第1反応塔)に乾燥品
換算で100g充填した。また、0.6%Bi・3.0
%Pt/C触媒を同一のパイレックス製固定床反応塔
(第2反応塔)に乾燥品換算で100g充填した。反応
温度を25℃に設定し、反応塔塔頂より25%グリセリ
ン水溶液100部と15%水酸化ナトリウム145部の
混合溶液を、液空間速度(LHSV)0.07hr-1
流速で供給しつつ、酸素ガスを5Nリットル/hrの流
速で下向き並流で供給した。なお、第1反応塔を出た反
応混合物はそのまま同じ流速で第2反応塔に導入した。
40時間後、反応塔出口より粘調液体が留出したが、溜
出物のpHは3.5であり受器の中に白色結晶が析出し
ていた。この白色結晶はHPLCによりケトマロン酸と
同定された。尚、ポリマー成分の構造は、赤外吸収スペ
クトル、NMRスペクトルより式(i)〜式(iv)の構
造単位よりなることが推定された。この反応混合物のG
PCチャートを図2に示す。なお、重合体の全体のGP
Cによる重量平均分子量は22000であった。
【0070】実施例1及び比較例1 上記のカルボキシル基含有重合体を含む反応混合物水溶
液100gを精製することなく、pH10になるまで4
8%水酸化ナトリウム水溶液1.5gを添加して中和塩
水溶液を得た。この中和塩水溶液中に、その固形分10
0重量部に対して2重量部となる量だけアルカリ金属炭
酸塩を添加して、本発明の安定化されたカルボキシル基
含有重合体組成物を得た。また中和塩水溶液を凍結乾燥
してカルボキシル基含有重合体の粉末を得て、水溶液の
場合と同様にアルカリ金属炭酸塩を2重量部添加して、
本発明の安定化されたカルボキシル基含有重合体組成物
を得た。
【0071】これらの組成物と、アルカリ金属炭酸塩を
含まないもの(比較例)を用いて、カルボキシル基含有
重合体の脱炭酸分解の目安となるCa捕捉量(試料純分
1g当たりのCa捕捉量を炭酸カルシウムのmg数に換
算した値)を測定することにより、保存安定性を評価し
た。その結果を表1に示す。
【0072】
【表1】
【0073】なお、アルカリ金属炭酸塩添加前のCa捕
捉量は、反応終了時の水溶液および凍結乾燥後の粉末
品、共に449であった。また、炭酸ナトリウム添加に
よるCa捕捉量への寄与は、計算により実測Ca捕捉量
より差し引き、試料純分としてのカルボキシル基含有重
合体中和塩基準の値に換算して示した。
【0074】その結果、表1の如く、アルカリ金属炭酸
塩無添加系ではCa捕捉量が長期保存期間中に低下する
のに対して、アルカリ金属炭酸塩を添加した場合にはそ
の低下が少なく、カルボキシル基の脱炭酸分解が抑制さ
れることが分かった。
【0075】実施例2 アルカリ金属炭酸塩として炭酸ナトリウムの最適添加量
を把握する為、実施例1と同じ中和塩水溶液の乾燥品
に、添加量を変えて炭酸ナトリウムを添加し、その添加
量の効果を調べた。Ca捕捉量は炭酸ナトリウム添加後
6ヶ月経過した時点で測定した。その結果を表2に示す
が、1〜60重量部の範囲で良好な結果が得られた。
【0076】
【表2】
【0077】実施例3 実施例2において炭酸ナトリウムの代わりに炭酸カリウ
ムを添加すること以外は、実施例2と同様の操作によ
り、炭酸カリウムの添加量の効果を調べた。Ca捕捉量
は炭酸カリウム添加後6ヶ月経過した時点で測定した。
その結果を表3に示すが、1〜60重量部の範囲で良好
な結果が得られた。
【0078】
【表3】
【0079】
【発明の効果】本発明の安定化されたカルボキシル基含
有重合体組成物は、ポリカルボン酸の脱炭酸分解を抑制
することにより、長期保存しても洗剤用ビルダーとして
の機能が好適に維持されるものである。また本発明の重
合体の安定化処理方法によると、かかるカルボキシル基
含有重合体組成物を好適に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明における反応スキームの一例の
概略図を示す。
【図2】図2は重合体の製造例で得られた反応混合物の
GPCチャートを示す。図中のピーク1(面積5.0
%)は、本発明における重合体(重量平均分子量6.6
×105 )、ピーク2(面積17.0%)は、本発明に
おける重合体(重量平均分子量8.2×104 )、ピー
ク3(面積3.0%)は、本発明における重合体(重量
平均分子量3.7×104 )、ピーク4(面積30%)
は、本発明における重合体(重量平均分子量2.0×1
4 )、ピーク5(面積25%)は、本発明における重
合体(重量平均分子量6000)、ピーク6、7、8は
重量平均分子量が200〜1000のオリゴマーとモノ
マーである。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の式(i)〜式(iv)で示される繰
    り返し単位を有するカルボキシル基含有重合体の1種以
    上を100重量部、並びに炭酸ナトリウム及び/又は炭
    酸カリウムを1〜60重量部、を含有してなる安定化さ
    れたカルボキシル基含有重合体組成物。 【化1】
  2. 【請求項2】 水酸基化合物を下記の触媒組成物および
    酸化剤の存在下に接触酸化させてカルボキシル基を有す
    るモノマーを生成させるとともに、該モノマーを重合さ
    せて得られるカルボキシル基含有重合体、並びに炭酸ナ
    トリウム及び/又は炭酸カリウムを含有してなる安定化
    されたカルボキシル基含有重合体組成物。 触媒組成物:パラジウム、白金、ロジウム、およびルテ
    ニウムからなる群より選ばれる一種以上の元素を触媒第
    1成分とし、ビスマス、テルル、スズ、鉛、アンチモ
    ン、およびセレンから成る群より選ばれる一種以上の元
    素を触媒第2成分とし、希土類元素から選ばれる一種以
    上の元素を触媒第3成分とし、 (イ)触媒第1成分及び触媒第2成分 (ロ)触媒第1成分及び触媒第3成分 (ハ)触媒第1成分、触媒第2成分及び触媒第3成分、
    又は (ニ)触媒第1成分のみ のいずれかを担体に担持してなる担持触媒。
  3. 【請求項3】 炭酸ナトリウム及び/又は炭酸カリウム
    の添加量が、カルボキシル基含有重合体100重量部に
    対して1〜60重量部である請求項2記載のカルボキシ
    ル基含有重合体組成物。
  4. 【請求項4】 水酸基化合物が、グリセリン、グリセリ
    ン酸、グリセリン酸の塩、タルトロン酸、タルトロン酸
    の塩、エチレングリコール、グリコール酸、及びグリコ
    ール酸の塩からなる群より選ばれる1種以上の化合物で
    ある請求項2又は3記載のカルボキシル基含有重合体組
    成物。
  5. 【請求項5】 水酸基化合物がグリセリンとエチレング
    リコールの混合物であることを特徴とする請求項2又は
    3記載のカルボキシル基含有重合体組成物。
  6. 【請求項6】 カルボキシル基含有重合体の重量平均分
    子量が、ゲル濾過クロマトグラフィー法で500〜1,
    000,000である請求項1〜3いずれか記載のカル
    ボキシル基含有重合体組成物。
  7. 【請求項7】 含水状態でのpHが、8〜13である請
    求項1〜3いずれか記載のカルボキシル基含有重合体組
    成物。
  8. 【請求項8】 下記の式(i)〜式(iv)で示される繰
    り返し単位を有するカルボキシル基含有重合体の1種以
    上を100重量部を含有する組成物に対して、炭酸ナト
    リウム及び/又は炭酸カリウムを1〜60重量部添加す
    ることを特徴とする重合体の安定化処理方法。 【化2】
JP23338895A 1995-08-18 1995-08-18 安定化されたカルボキシル基含有重合体組成物 Pending JPH0959506A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP23338895A JPH0959506A (ja) 1995-08-18 1995-08-18 安定化されたカルボキシル基含有重合体組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP23338895A JPH0959506A (ja) 1995-08-18 1995-08-18 安定化されたカルボキシル基含有重合体組成物

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH0959506A true JPH0959506A (ja) 1997-03-04

Family

ID=16954319

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP23338895A Pending JPH0959506A (ja) 1995-08-18 1995-08-18 安定化されたカルボキシル基含有重合体組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0959506A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005042617A1 (ja) 2003-10-31 2005-05-12 Fuji Xerox Co. Ltd. 主鎖にケトン基を有する脂肪族ポリマーの製造方法及び主鎖にケトン基を有する脂肪族ポリマー含有組成物の製造方法
WO2005042618A1 (ja) * 2003-10-31 2005-05-12 Fuji Xerox Co. Ltd. 主鎖にケトン基とエーテル結合を有する脂肪族ポリマー、および樹脂組成物

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005042617A1 (ja) 2003-10-31 2005-05-12 Fuji Xerox Co. Ltd. 主鎖にケトン基を有する脂肪族ポリマーの製造方法及び主鎖にケトン基を有する脂肪族ポリマー含有組成物の製造方法
WO2005042618A1 (ja) * 2003-10-31 2005-05-12 Fuji Xerox Co. Ltd. 主鎖にケトン基とエーテル結合を有する脂肪族ポリマー、および樹脂組成物
JP2005133034A (ja) * 2003-10-31 2005-05-26 Fuji Xerox Co Ltd 脂肪族ポリエーテルケトン類ポリマー、および樹脂組成物
JP2005133035A (ja) * 2003-10-31 2005-05-26 Fuji Xerox Co Ltd 脂肪族ポリケトン類ポリマー及び脂肪族ポリケトン類ポリマー含有組成物の製造方法
KR100779150B1 (ko) * 2003-10-31 2007-11-28 후지제롯쿠스 가부시끼가이샤 주쇄에 케톤기를 가진 지방족 폴리머의 제조 방법 및주쇄에 케톤기를 가진 지방족 폴리머 함유 조성물의 제조방법
US7528215B2 (en) 2003-10-31 2009-05-05 Fuji Xerox Co., Ltd. Aliphatic polymer having ketone group and ether bonding in its main chain and resin composition containing the same
US7576172B2 (en) 2003-10-31 2009-08-18 Fuji Xerox Co., Ltd. Method of preparing aliphatic polymer having ketone group in main chain thereof and method of preparing composition containing the same

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Corma et al. Optimization of alkaline earth metal oxide and hydroxide catalysts for base-catalyzed reactions
Yamamoto et al. Catalysis and characterization of Pd/NaY for dimethyl carbonate synthesis from methyl nitrite and CO
US20080242898A1 (en) Process for the preparation of propylene glycol
EP3819284A1 (en) Catalyst for preparing 1,2-pentanediol and method for preparing 1,2-pentanediol by using same
JP2008179602A (ja) トリフルオロヨードメタンとペンタフルオロヨードエタンを製造するための触媒プロモーター
US8450518B2 (en) Method for preparing a carbamate, a catalyst applied in the method, a method for preparing the catalyst and use thereof
EP1571125A2 (en) Catalyst for removal of carbon monoxide from hydrogen gas
Alassmy et al. One‐pot Fixation of CO2 into Glycerol Carbonate using Ion‐Exchanged Amberlite Resin Beads as Efficient Metal‐free Heterogeneous Catalysts
JP3150643B2 (ja) α−メチレン−γ−ブチロラクトン類の製造方法
JPH0959506A (ja) 安定化されたカルボキシル基含有重合体組成物
RU2119905C1 (ru) Способ получения 1,4-бутандиола
AU774521B2 (en) Process for selective oxidation of carbon monoxide in a hydrogen containing stream
JPS6244536B2 (ja)
JPH0741554A (ja) カルボキシル基を有する重合物の製造方法
JPH08104892A (ja) 洗浄剤組成物
JP4025029B2 (ja) d10電子状態の典型金属イオンを含む酸化物を用いた光触媒
JP4488321B2 (ja) 合成ガス製造用触媒及び合成ガスの製造方法
JPH06279352A (ja) タルトロン酸塩の製造方法
WO1995032233A1 (fr) Procede de production de polymere carboxyle
ES2224323T3 (es) Procedimiento mejorado para la obtencion de eteres ciclicos insaturados.
JPH08224473A (ja) 脱水環化脱水素用触媒、及びそれを用いたピラジン類の製造法
JP4609613B2 (ja) 一酸化炭素の製造方法
JP2001232196A (ja) 触媒およびその製造方法
JP2003010684A (ja) 水素製造用触媒および水素の製造方法
JP4895251B2 (ja) メタクリル酸エステル製造用触媒の製造方法