JPH0957275A - 工業用水系のスライム形成防止方法 - Google Patents
工業用水系のスライム形成防止方法Info
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Abstract
る微生物を的確に把握し、その微生物に対して有効な殺
菌剤を用いることにより効率的に工業用水系のスライム
を防止する。 【解決手段】 工業用水系から採取した微生物サンプル
をセルロース繊維を含む液体培地中で培養して、スライ
ムの形成状態を観察し、セルロース繊維に結合している
微生物を識別し、この微生物に対して有効な殺菌剤を、
前記工業用水系に添加することにより効率よくスライム
形成を防止する。
Description
排出される産業廃水や再生処理後循環再使用される工業
用水、例えば製紙工程における白水などのスライム形成
を効率よく防止する方法に関するものである。
殺菌剤を添加してスライム形成を防止する必要がある工
業用水系においては、その水系中に複数の微生物が生育
している場合が多く、その防除には、単一成分の殺菌剤
では不十分で、複数成分の殺菌剤による相乗効果を利用
しなければならないのが普通である。
微生物の種類が特定されないまま、全体的な防除が行わ
れているため、スライム形成を行う微生物とスライム形
成に関係のない微生物との区別なくすべての微生物を防
除しうる成分の組み合わせを用いなければならなかっ
た。
に起因する断紙や紙上での斑点発生に代表されるトラブ
ルを低減しようとする場合、スライムコントロール剤と
よばれる工業用殺菌剤を使用するのが常法となっている
が、これは系内に生息するすべての微生物の防除を予定
しなければならないため、複数の成分を組み合わせた複
合製剤を用いることが必要であり、これまで多種多様の
有効成分の組み合せから成る工業用殺菌剤が提案されて
きた。
スライムの発生の原因となる微生物を事前に検知するこ
とができれば、その微生物に対する防除のための成分の
みを含む殺菌剤を用いればよく、不要の成分を省くこと
ができるのでコスト的にもかなり有利になる筈である。
におけるスライム形成の原因となる微生物を的確に把握
し、その微生物に対して有効な殺菌剤のみを用いること
により、効率的に工業用水系のスライムを防止するため
の方法を提供することを目的としてなされたものであ
る。
におけるスライム形成を防止する方法について、種々研
究を重ねた結果、抄紙工程におけるスライムの大部分
は、セルロース繊維が白水中に生息する微生物によって
凝集され、フロックを形成する現象に基づくことに着目
し、セルロース繊維を含む液体培地における個々の微生
物の挙動を観察してスライム形成の有無を判断し、スラ
イム形成に関係する微生物に対してのみ、有効な殺菌剤
を投入すれば効率よく、白水中のスライム形成を防止し
うることを見出し、この知見に基づいて本発明をなすに
至った。
した微生物サンプルをセルロース繊維を含む液体培地中
で培養して、スライムの形成状態を観察し、セルロース
繊維に結合している微生物を識別し、この微生物に対し
て有効な殺菌剤を、前記工業用水系に添加するか、ある
いは工業用水系から採取した微生物サンプルを培養して
増殖させ、その中に含まれている各微生物を単離し、そ
の単離した微生物のそれぞれを個別にセルロース繊維を
含む液体培地中で培養し、スライム形成の有無を観察し
たのち、スライムを形成した微生物に対して有効な殺菌
剤を、前記工業用水系に添加することを特徴とする工業
用水系のスライム形成防止方法を提供するものである。
系としては、前記した製紙工程における白水のほかに、
食品製造工業、化学調味料製造工業、精糖工業、醸造工
業、レーヨン工業、製紙、絹製錬工業、羊毛工業、油脂
工業、医薬品製造工業、石油工業、皮革製造工業などに
おける排水や再生水などを挙げることができる。
生物サンプルの培養、増殖は、各種微生物を培養する際
に慣用されている公知の培地、例えば普通寒天培地、ア
スパラギン・グルコース寒天培地、ブイヨン寒天培地、
ツァペック氏寒天培地、デンプン寒天培地、卵寒天培
地、ワックスマン寒天培地、ゼラチン寒天培地などを用
い、常法に従い、これに微生物を接種し、培養条件に保
つことによって行うことができる。
必要に応じ顕微鏡を用いて、各微生物を識別し、それを
別々に採取して、セルロース繊維を含む液体培地に接種
する。この際の液体培地としては、特に制限はなく、L
−培地、LB−培地、肉エキス培地、トリプトソイブイ
ヨン培地、YCC液体培地などが用いられるが、培地の
透明度の点でワックスマン液体培地が好適である。ま
た、この液体培地中に含ませるセルロース繊維として
は、パルプ繊維その他スライム形成を生じる工業用水系
中に存在する各種セルロース繊維が用いられる。このセ
ルロース繊維は直径が5〜50μm、長さが2〜10m
mのものが好ましい。
生物の生育状況を顕微鏡で観察する際、常法に従い、微
生物を染色するのが有利であるが、染色せずにそのまま
位相差顕微鏡を用いて観察することもできる。
し、スライム形成の原因になっている微生物が特定され
たならば、この微生物に対して有効な殺菌剤を、微生物
サンプルが採取された工業用水系に添加する。この際に
用いられる殺菌剤の中には、通常防菌、防カビ剤とよば
れているものや、静菌剤とよばれているものも含まれ
る。
薬剤、チアゾール系薬剤、イソチアゾール系薬剤、ブロ
ム系薬剤、ヨード系薬剤などの中から、目的の微生物に
対して有効なものを適宜選んで使用する。この殺菌剤
は、単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用い
てもよい。これらは、製紙工業の場合には、1〜100
ppm、油脂工業、皮革工業、食品工業などの場合には
20〜400ppmの範囲の濃度で用水系に添加され
る。
した液体培地を用いることにより、試験管内でスライム
の発生状況を簡単に再現することができ、かつこれによ
り微生物のスライス形成能力を検定することができるの
で、これを利用して、所要工業用水系のスライム形成を
効率よく行うことができる。
する。
ペトリざらに用意したワックスマン寒天培地に植菌し、
30℃において24時間培養し、そのコロニーを顕微鏡
で観察した結果、表1に示す(A)〜(E)の5種の菌
種及び菌数から構成されていることが分った。
に単離し、それぞれ1重量%のパルプ繊維を添加したワ
ックスマン液体培地を入れた試験管に移し、33℃にお
いて24時間振とう培養した。得られた培養物をよくか
きまぜたのち、最終濃度0.05Mトリス−塩酸バッフ
ァー(pH9.5)、5%塩化ナトリウム溶液になるよ
うに処理し、カルボキシフルオレセインジアセテート
(5‐,6‐混合物)10ppm及びヨウ化プロピジウ
ム50ppmを添加して染色した。このようにして調製
した各サンプルについて、けい光顕微鏡を用い、B励起
波長による観察を行ったところ、次の結果を得た。
維上での菌体増殖が行われ、この増殖した菌体がセルロ
ース繊維同士を凝集し、スライムの原因となっているこ
とが確認された。 (B) 黄色粘塊状細菌;セルロース繊維上で著しい菌
体増殖が行われ、凝集を起していることが確認された。
また、菌体の巨大凝集物中にセルロース繊維の塊が観察
された。 (C) 黄色粘液状細菌;セルロース繊維上での細菌増
殖は全く観察されなかった。したがって、このものはス
ライム形成の原因になっていないことが分る。 (D) 淡褐色粘塊状細菌;セルロース繊維上での著し
い菌体増殖および凝集が確認された。また、菌体の巨大
な凝集物の中に、セルロース繊維の塊が観察された。 (E) 淡褐色粘液状細菌;セルロース繊維上での細菌
増殖は全く観察されなかった。したがって、この細菌は
スライム形成の原因になっていないことが分った。 以上の結果から、スライム形成の原因となっている細菌
を確認し、その結果を表1に示す。
及びDに対して、共通的に殺菌効果を示す微生物撲滅剤
を、常法にしたがって培養試験により、探索した結果、
2,2‐ジブロモ‐2‐ニトロエタノールと2‐メチル
‐5‐クロルイソチアゾリン‐3‐オンとを1:1で混
合した製剤が有効であることが分った。この微生物撲滅
剤を、最大80ppmの濃度で抄紙白水中に添加したと
ころ、30日間の操業中に、抄紙機中でのスライムの形
成は認められなかった。
コロニー形態を示す微生物は凝集物を形成しやすく、ス
ライム生成の原因となっていることは当業者間に周知の
事実である。そこで、各社の抄紙白水中から、3種の異
なったピンクコロニー形態を示す微生物(F、G、H)
を採取し、実施例1で用いたのと同じセルロース繊維含
有液体培地に接種し、実施例1と同じ条件下で培養し
て、増殖状況を顕微鏡で観察したところ、次の結果を得
た。
ース繊維上で著しい菌体増殖及び凝集が認められた。ま
た菌体の巨大な凝集物の中にセルロース繊維の塊が観察
された。 (G) ピンクコロニー微生物II;セルロース繊維上
での菌体増殖が確認され、かつ菌体の凝集が認められ
た。 (H) ピンクコロニー微生物III;セルロース繊維
を抱き込んだ微生物の凝集物が観察された。 以上の結果から、紙パルプ製造工程におけるスライム形
成の原因として知られているピンクコロニー形態を示す
微生物は、いずれもセルロース繊維の表面において増殖
することが分る。
殺菌剤の効力試験を行い、2,2‐ジブロモ‐3‐ニト
リロプロピオンアミドが有効であることを確認した。次
いで、このピンクコロニー微生物Iを採取した抄紙白水
中に同製剤を20ppmの濃度で添加したところ、30
日経過後にわずかに淡黄色コロニーのスライムが認めら
れたが、ピンクコロニーのスライムの発生は全く認めら
れなかった。
Claims (3)
- 【請求項1】 工業用水系から採取した微生物サンプル
をセルロース繊維を含む液体培地中で培養して、スライ
ムの形成状態を観察し、セルロース繊維に結合している
微生物を識別し、この微生物に対して有効な殺菌剤を、
前記工業用水系に添加することを特徴とする工業用水系
のスライム形成防止方法。 - 【請求項2】 工業用水系から採取した微生物サンプル
を培養して増殖させ、その中に含まれている各微生物を
単離し、その単離した微生物のそれぞれを個別にセルロ
ース繊維を含む液体培地中で培養し、スライム形成の有
無を観察したのち、スライムを形成した微生物に対して
有効な殺菌剤を、前記工業用水系に添加することを特徴
とする工業用水系のスライム形成防止方法。 - 【請求項3】 工業用水系が製紙工程からの排水である
請求項1又は2記載のスライム形成防止方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP22011995A JP3696941B2 (ja) | 1995-08-29 | 1995-08-29 | 工業用水系のスライム形成防止方法 |
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JP22011995A JP3696941B2 (ja) | 1995-08-29 | 1995-08-29 | 工業用水系のスライム形成防止方法 |
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Publication Number | Publication Date |
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JPH0957275A true JPH0957275A (ja) | 1997-03-04 |
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JP (1) | JP3696941B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006055693A (ja) * | 2004-08-17 | 2006-03-02 | Katayama Chem Works Co Ltd | 殺菌対象系における微生物障害の防止方法 |
-
1995
- 1995-08-29 JP JP22011995A patent/JP3696941B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JP2006055693A (ja) * | 2004-08-17 | 2006-03-02 | Katayama Chem Works Co Ltd | 殺菌対象系における微生物障害の防止方法 |
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JP3696941B2 (ja) | 2005-09-21 |
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