JPH0956702A - 無侵襲血中成分濃度測定装置 - Google Patents

無侵襲血中成分濃度測定装置

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JPH0956702A
JPH0956702A JP7210619A JP21061995A JPH0956702A JP H0956702 A JPH0956702 A JP H0956702A JP 7210619 A JP7210619 A JP 7210619A JP 21061995 A JP21061995 A JP 21061995A JP H0956702 A JPH0956702 A JP H0956702A
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JP
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light
equation
wavelength
glucose concentration
blood
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JP7210619A
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English (en)
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Masahiro Ariizumi
昌弘 有泉
Tomomi Ono
智巳 小野
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Minolta Co Ltd
Original Assignee
Minolta Co Ltd
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  • Investigating Or Analysing Materials By Optical Means (AREA)
  • Measurement Of The Respiration, Hearing Ability, Form, And Blood Characteristics Of Living Organisms (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 複数の波長の光を利用するに際して採用され
る分光フィルターの温度特性(波長シフト)の測定値へ
与える影響を除去する。 【解決手段】 光源部4、分光フィルター41及び受光
部5がこの順で配列され、その間に指尖(測定部位)S
の差し込み部分が準備されている。光源部4はグルコー
ス濃度Cgを測定するべく、4種類の波長を含む光を照
射し、各波長は分光フィルター41で分離される。分光
された4種類の光は、更に参照光と測定光とされて、受
光され、それぞれの受光光量が測定さる。これらの受光
光量から演算部81でグルコース濃度、測定部位の温度
差、光路長、分光フィルターの波長シフト量が算出さ
れ、更に、予め求めておいた波長シフトとの相関関係に
基づく補正式あるいは補正テーブル(演算制御部8内の
ROMに記憶)を利用して、正確なグルコース濃度Cg
(血中成分濃度)が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光源と受光部との
間に分光フィルターを介在させて所要の複数の波長光を
受光するようにした光学的手段を用い、受光された光量
から生体のグルコース濃度等の血中成分濃度を測定する
無侵襲の血中成分濃度測定装置に係り、特に分光フィル
ターの温度特性に起因して生じる測定値の誤差を補正し
て正確な血中成分濃度を求める測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】糖尿病の診断や治療のための血糖値の測
定装置として、近年、血液を取り出すことなく、あるい
は生体組織の一部を破壊することなく光学的手段を用い
て血液中あるいは生体組織内のグルコース(ブドウ糖)
濃度を測定する、いわゆる無侵襲式のものが提案されて
いる。
【0003】かかる光学的な無侵襲式のグルコース濃度
の基本的な測定は、グルコースに吸収されることでグル
コース濃度に応じて吸収度(吸光度)が変化する波長光
と、グルコースにほとんど吸収されない波長光とを測定
部位に照射し、その測定部位を透過あるいは拡散反射し
た各光のエネルギーに基づいて、グルコース以外の成分
物質による影響を排除して求めることで行われる(特開
昭60−236631号公報、特開平3−173535
号公報)。
【0004】一方、測定光の受光レベルが測定部位の表
面温度の影響を受けることを考慮して、グルコース濃度
を算出する演算式中にこの表面温度の要素を加味して、
より正確なグルコース濃度を求めるようにしたものが提
案されている(米国特許第5086229号公報)。
【0005】更に、N個の異なる波長光を用いて、血液
以外の生体組織の脈動による影響を受けることなく、
(N−1)個の血中成分の相対濃度を測定するものが提
案されている(特公平5−88609号公報)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】米国特許第50862
29号公報記載の発明は、専用の測温手段で測定部位の
表面温度を測定し、これをグルコース濃度の算出に考慮
したものであって、測定環境の温度がグルコース濃度に
及ぼす影響について考慮したものではない。また、特公
平5−88609号公報記載の発明は、複数の波長の光
を用いることで、複数の血中成分の相対濃度を測定可能
とするものであるが、測定環境の温度に対しては全く考
慮されていない。
【0007】本発明は、上記に鑑みてなされたもので、
複数の波長の光を利用するに際して採用される分光フィ
ルターの温度特性の測定値へ与える影響を除去するよう
にした無侵襲血中成分濃度測定装置を提供することを目
的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
N種類の血中成分に対する各濃度を無侵襲で測定する装
置において、(N+3)個の波長を含む光を照射する光
源と、上記照射光から上記(N+3)個の波長の光を分
離する分光フィルターと、上記光源からの直接光と生体
組織を透過または反射した測定光とを上記分光フィルタ
ーを介して受光する受光手段と、この受光手段で受光し
た各波長毎の直接光及び測定光の各受光光量から上記N
種類の血中成分濃度を算出する濃度算出手段と、得られ
たN種類の血中成分濃度に対して、上記分光フィルター
の波長のシフト量に起因して生じる上記N種類の血中成
分濃度の誤差分を補正する濃度補正手段とを備えたもの
である。
【0009】この発明によれば、N種類の血中成分の濃
度を測定するために、(N+3)個の波長を含む光源が
用いられる。光源からの光は分光フィルターで上記(N
+3)個の光に分離される。測定は、光源と受光部間に
生体組織(測定部位)が介在されて、それを透過しある
いは反射して得られる測定光が受光され、一方、光源か
ら直接の参照光も受光される。このようにして2(N+
3)個の受光光量データが得られ、これより血中成分濃
度(例えばグルコース濃度Cg)、基準温度に対する温
度差Δt、分光フィルターの温度による波長シフト量Δ
λ及び光路長δ(第1実施形態ではdで表わしてい
る。)が算出され、このグルコース濃度がΔt、Δλ、
δを用いて補正式で補正され、正確なグルコース濃度C
gが求められる。あるいは、得られた受光光量から、更
に吸光度A1、A2、A3、A4も求め、この吸光度A1
2、A3、A4から正確なグルコース濃度Cgが求めら
れる。
【0010】これらの補正は、分光フィルターの波長シ
フト量と、血中成分濃度及び他の値との相関関係を予め
求めておいて、その判明した相関関係を補正式か補正テ
ーブルの形で予め装置内部の記憶部(ROM)等に記憶
しておき、測定時にこの補正式か補正テーブルを利用し
て、先に算出した血中成分濃度に対して更に補正を施
し、正確な血中成分濃度を算出する。求めるべき血中成
分濃度が2種類であれば、5種類の波長を含む光を照射
可能な光源が採用され、分光フィルターによって、それ
ぞれの波長が分離される。
【0011】
【発明の実施の形態】図1は、本発明に係る無侵襲血中
成分濃度測定装置の第1実施形態を示すブロック構成図
である。
【0012】本装置は、測定プローブ1及び測定装置本
体2から構成されている。なお、測定プローブ1はケー
ブルKを介して測定装置本体2と接続されている。
【0013】測定プローブ1は、ハウジング1aを有
し、そのハウジング1a内に測定対象を挾んで圧迫する
カフ部3、このカフ部3を介して対向する位置に配設さ
れた光源部4及び受光部5を備えている。なお、光源部
4及び受光部5の一方側には、後述する所要の複数の波
長光を分離するための分光フィルターが分離波長の数の
枚数だけ準備され、交換(差換)可能に配設されてい
る。この第1実施形態では光源部4の前面に分光フィル
ター41が配設されている。
【0014】カフ部3は、中央に指尖等が差し込み可能
な形状を有する軟質透明材からなる中空の圧迫部30及
びその圧迫部30と後述するカフ圧制御回路11とを接
続して空気の供給と吸引とが行われるチューブ31によ
って構成されるもので、圧迫部30は、カフ圧制御回路
11から空気が供給されることにより膨張して、測定対
象としての生体組織(測定部位)Sである指尖の他、耳
朶、手首あるいは新生児や幼児の手の甲、足の甲等を圧
迫するようになっている。
【0015】光源部4は、ハロゲンランプ等からなり、
後述するグルコース濃度等の血中成分濃度測定用の波長
λ1、生体内の測定部位の温度による吸光度のずれに対
する補正のための波長λ2、及び光路長や測定環境の温
度による分光フィルター41のピーク波長のシフトに対
する補正のための波長λ3,λ4を含む波長帯域の光を
測定部位Sへ照射するものである。上記分光フィルター
41はそれぞれ薄板状で、光源部4が波長λ1,λ2,
λ3,λ4を含む広帯域の波長の光を照射する際に、こ
れらの波長λ1,λ2,λ3,λ4の光をそれぞれ分離
抽出する。
【0016】受光部5は、測定部位Sを透過した光エネ
ルギーを受光して光電変換し、測定装置本体2へ出力す
るものである。この受光部5は、1乃至は複数のフォト
トランジスタ等の受光素子がライン状あるいはマトリク
ス状に配列されてなるものである。また、受光部5の前
面に対向させて分光フィルターを配設してもよい。
【0017】測定装置本体2は、受光部5からの波長λ
1,λ2,λ3,λ4の光の受光信号をそれぞれ増幅及
びフィルタリング(雑音除去)する信号処理回路6、こ
の信号処理回路6からの出力信号をデジタル信号に変換
するA/D変換回路7、波長λ1,λ2,λ3,λ4の
光の透過光量(受光光量)よりグルコース濃度等の血中
成分濃度を演算するとともにグルコース濃度等の測定の
ためのプログラムに基づいて測定装置本体2の各部を総
括制御する演算制御部8を備えている。
【0018】また、測定装置本体2は、血中のグルコー
ス濃度等、測定した血中成分濃度を表示する表示部9、
プリントアウトする出力部10を備えるとともに、カフ
部3による測定部位Sの圧迫、解除を制御すべくカフ部
3への空気供給を制御するカフ圧制御回路11、光源部
4に発光指示を与える発光回路12、グルコース濃度の
測定開始を指示する測定開始スイッチやプリントアウト
を指示するプリントキースイッチ等の各種のスイッチを
有する操作部13及び測定装置本体2の各部へ電源供給
を行なう電源部14を備えている。
【0019】また、演算制御部8は、測定部位Sにおけ
るグルコース濃度等の測定を行なうべく、A/D変換回
路7からの波長λ1,λ2,λ3,λ4の各光の透過光
量に基づいてグルコース濃度等を算出するようになって
いる。また、演算制御部8は、メモリを有しており、入
力された信号に基づいて後述する演算を実行する制御プ
ログラム等を記憶するROM、演算値を一時的に保存す
るRAMを有する。
【0020】先ず、グルコース濃度測定用の波長λ1、
測定部位の温度による吸光度のずれに対する補正のため
の波長λ2を用いた、グルコース濃度の算出を例にして
説明する。このグルコース濃度Cgは、重回帰の式を利
用して求めることができる。今、血液における透過光量
が数1で表されるとする。
【0021】
【数1】
【0022】以下、種々の条件下での測定について説明
する。
【0023】(1)未知数がCg,Δtの場合(光路長d
は一定) 波長λ1,λ2における透過光量は、数1より数2のよ
うに表される。
【0024】
【数2】
【0025】数2を解くと、数3に示すようにグルコー
ス濃度Cgが求まる。但し、log(Iλ1/I0λ1)は波長
λ1における吸光度である。
【0026】
【数3】
【0027】数3は数4のような一般式に書換えること
ができ、
【0028】
【数4】
【0029】そして、数4に数5の各値K1〜K3を代入
することで、グルコース濃度Cgが算出される。
【0030】
【数5】
【0031】(2)未知数がCg,Δt,dの場合 波長λ1,λ2,λ3(但し、λ3は光路長を求めるた
めのもの)における透過光量は、数1より数6のように
表される。
【0032】
【数6】
【0033】数6を解くと、数7に示すようにグルコー
ス濃度Cgが求まる。
【0034】
【数7】
【0035】ここで、数7は数8のような一般式に書換
えることができ、
【0036】
【数8】
【0037】そして、数8に数9の各値K1〜K3、k1
〜k3を代入することで、グルコース濃度Cgが算出さ
れる。
【0038】
【数9】
【0039】今、特殊な場合として、 λ1:グルコース吸収有,温度特性有 λ2:グルコース吸収無,温度特性有 λ3:グルコース吸収無,温度特性無 となる波長を選択すると、εgλ2=εgλ3=εtλ3=0
であるから、数8は数10のように簡易なものとなる。
【0040】
【数10】
【0041】(3)血液中に無視できない妨害物質が存在
する場合 この場合、数1は数11のように表わすことができる。
【0042】
【数11】
【0043】そこで、数11を上記と同様にし、グルコ
ース濃度Cgについて解くと、数12が得られ、これよ
りグルコース濃度Cgが算出される。
【0044】
【数12】
【0045】また、更に妨害物質が増大したときは、そ
の分、測定波長数を増加した数13を用いることで、グ
ルコース濃度Cgが算出される。
【0046】
【数13】
【0047】(4)血液以外の組織の影響を考慮した場合 この場合には、数1は数14のように表すことができ
る。
【0048】
【数14】
【0049】数14を用いると、上記(1)における数4
に対応して数15が得られ、この数15によりグルコー
ス濃度Cgが算出される。
【0050】
【数15】
【0051】また、上記(2)における数8に対応して数
16が得られ、この数16によってもグルコース濃度C
gが算出される。
【0052】
【数16】
【0053】また、上記(3)における数13に対応して
数17が得られ、この数17によっってもグルコース濃
度Cgが算出される。
【0054】
【数17】
【0055】ここで、グルコース濃度を測定するために
用いられるグルコース濃度測定用の波長λ1と温度補正
用の波長λ2とについて説明する。吸光度がグルコース
濃度の変化に依存して大きく変化する波長をグルコース
濃度測定用波長λ1として選択することが、グルコース
濃度の測定精度の点で好ましい。従って、グルコースに
吸収され易い、すなわちグルコースによる吸収ができる
だけ強い波長の光を選択することになるが、このグルコ
ースによる吸光度は波長によって温度特性を有する場合
がある。従って、温度補正を行なって温度変化による測
定値の誤差の発生を防止する必要がある。
【0056】この場合、吸光度がグルコース濃度の変化
にほとんど依存せず、温度のみに依存する波長であっ
て、光の吸収が波長λ1の温度特性に相関した温度特性
を有する波長域から選択された波長λ2を温度補正用の
波長として用いることで、グルコースによる吸収が強い
波長λ1の光に対して温度補正を施すことができる。
【0057】図4及び図5は、横軸に波長を、縦軸にグ
ルコース水溶液の吸光度を示し、そして濃度を基準(図
では、“0”のライン)としてグルコース濃度を変化さ
せた場合の吸光度の変化を示しているもので、これによ
ればグルコース濃度が高くなるに従って、吸光度が大き
くなっている。この図4及び図5では、グルコース水溶
液は、波長1600nm近傍をピークに波長域1560
nm〜1760nmの近赤外光に対して強い吸収が見ら
れ、且つ高濃度になる程、その吸光度が高くなってい
る。また、波長域2080nm〜2230nm及び波長
域2250nm〜2290nmの近赤外光に対しても強
い吸収が見られ、且つ高濃度になる程、その吸光度が高
くなっている。
【0058】図6及び図7は、グルコース水溶液の濃度
を一定にして温度をパラメータとした場合におけるグル
コース水溶液の相対的な吸光度特性を示すもので、横軸
は波長を示し、縦軸は図4及び図5に比して拡大されて
おり、且つ、低温を基準温度としたときの吸光度に対す
る差を示している。なお、図6及び図7は、グルコース
濃度を一定にし、且つ所定の低温度を基準(図では、
“0”のライン)として温度を変化させた場合の吸光度
の変化を示している。そして、吸光度は、基準とした低
温度に近づくに従って、“0”のラインに近づくように
なっている。
【0059】そして、波長域1440nm〜1560n
mの近赤外光の吸光度と、グルコース水溶液の吸光度が
高い(図4参照)波長域1560nm〜1760nmの
近赤外光の吸光度とは、温度変化に対して略等しい相関
を有している。この波長域1440nm〜1560nm
の近赤外光の吸光度は、図4に示すように、グルコース
濃度の変化に対してほとんど変化しない。また、波長域
2050nm〜2080nmの近赤外光の吸光度と、グ
ルコース水溶液の吸光度が高い(図5参照)波長域20
80nm〜2230nm及び波長域2250nm〜22
90nmの近赤外光の吸光度とは、温度変化に対して略
等しい相関を有している。この波長域2050nm〜2
080nmの近赤外光の吸光度は、図5に示すように、
グルコース濃度の変化に対してほとんど変化しない。な
お、波長域2050nm〜2080nmと波長域225
0nm〜2290nmとの温度特性は、負の相関関係に
なっている。
【0060】このように、図4にグルコース水溶液に対
して波長1600nmをピークに波長域1560nm〜
1760nmの近赤外光で強い吸収が見られるため、グ
ルコースによる吸収が強い波長λ1としては、この波長
域1560nm〜1760nmの範囲内から選択され
る。また、波長λ1としては、図5に示すように、強い
吸収が見られる波長域2080nm〜2230nmある
いは比較的強い吸収が見られる波長域2250nm〜2
290nmから選択されるものであってもよい。
【0061】一方、図4,図6に示すように、波長域1
440nm〜1560nmの近赤外光で吸光度がグルコ
ース濃度の変化に対して余り変化しないようになってお
り、また、図6から分かるように、この波長域1440
nm〜1560nmでは波長域1560nm〜1760
nmと温度変化に対して略等しい相関を有している。従
って、波長域1560nm〜1760nmの範囲内から
選択される波長λ1に対する波長λ2は、この波長域1
440nm〜1560nmの範囲内から選択される。
【0062】また、図5,図7に示すように、波長域2
050nm〜2080nmの近赤外光で吸光度がグルコ
ース濃度の変化に対して余り変化しないようになってお
り、また、図7から分かるように、この波長域2050
nm〜2080nmでは波長域2080nm〜2230
nmと温度変化に対して略等しい相関を有している。従
って、波長域2080nm〜2230nmの範囲内から
選択される波長λ1に対する波長λ2は、この波長域2
050nm〜2080nmの範囲内から選択される。
【0063】さらに、波長域2050nm〜2080n
mは波長域2250nm〜2290nmと温度変化に対
して略等しい相関を有しているため、波長域2250n
m〜2290nmの範囲内から選択される波長λ1に対
するグルコースによる吸収が弱い波長λ2として、波長
域2050nm〜2080nmの範囲内から選択され
る。なお、波長域2050nm〜2080nmと波長域
2250nm〜2290nmとの温度特性は、負の相関
関係になっている。
【0064】この特定の波長λ1,λ2に基づいて得ら
れるグルコース濃度Cgを、Cg=F(λ1、λ2)と
すると、λ1が1595nm、λ2が1535nmの例
では、Cg=F(1595nm、1535nm)のよう
になる。
【0065】また、第1実施態様では、上記の特定の単
一波長を選択する場合の他に、グルコース吸収波長域全
体の平均を1つの吸光波長と見做し、これをグルコース
吸収波長域とすることも可能である。例えば、1530
nm〜1800nmでは全体としてグルコースの吸収が
あり、この平均を平均吸光度とすると、単一波長と同様
に考えることができる。また、温度相関波長域について
も波長域の全体の平均を平均吸光度とすると、単一波長
と同様に考えることができる。上記の例では、Cg=F
(1560nm〜1760nm、1300nm〜144
0nm)のようになる。なお、波長域の幅は上記の例に
比して大きく、あるいは小さく設定されたものでもよ
い。このように特定波長を波長域として捉えることによ
り、十分な発光光量レベルを確保することができ、ま
た、ノイズに起因する誤差をかなり軽減し得て測定精度
の確保が可能となる。以下、波長λ1、λ2というとき
は、単一波長と波長域の双方を含んだものとして扱う。
【0066】次に、図2及び図3のフローチャートを用
いて、本測定装置による血中成分の内のグルコース濃度
の測定動作を説明する。まず、測定部位(生体組織)S
である指尖等をカフ部3に無圧迫状態で挾み込ませた
後、操作部13の測定開始スイッチがオンされて光源部
4から波長λ1,λ2を含む光が測定部位Sへ照射さ
れ、受光部5で受光されて、波長λ1,λ2の各光の透
過光量がそれぞれ測定される(♯1)。図3のサブルー
チンは、この測定処理を示している。
【0067】すなわち、光源部4からの波長λ1の光が
測定部位Sを透過して受光部5に入射されることにより
受光部5で光電変換され(♯21)、信号処理回路6に
よって増幅、フィルタリングされる(♯23)。続い
て、この信号処理回路6からの受光信号がA/D変換回
路7によってデジタル信号に変換され(♯25)、この
A/D変換された波長λ1の光の透過光量I1が演算制
御部8のメモリ(RAM)に格納される(♯27)。
【0068】同様に、♯3で、光源部4からの波長λ2
の光が測定部位Sを透過して受光部5に入射されること
により、図3のサブルーチンの処理が実行されて波長λ
2の光の透過光量I2が演算制御部8のメモリに格納さ
れる。
【0069】♯5では、カフ部3の圧迫部30を膨張さ
せて測定部位Sを圧迫すべく、チューブ31を介してカ
フ圧制御回路11から圧迫部30へ空気供給される。こ
の圧迫状態で光源部4からの波長λ1の光が測定部位S
を透過して受光部5に入射されることにより、図3のサ
ブルーチンの処理が実行されて圧迫状態での波長λ1の
光の透過光量I1´が演算制御部8のメモリに格納され
る。
【0070】続いて、圧迫状態で光源部4からの波長λ
2の光が測定部位Sを透過して受光部5に入射されるこ
とにより、図3のサブルーチンの処理が実行されて圧迫
状態での波長λ2の光の透過光量I2´が演算制御部8
のメモリに格納される(♯7,♯9)。なお、波長λ
1,λ2での測定に際しては、分光フィルター41が適
宜、対応する波長用のフィルターに交換されている。
【0071】♯11では、例えば、上記無圧迫状態と圧
迫状態との波長λ1の光の透過光量の差、及び無圧迫状
態と圧迫状態との波長λ2の光の透過光量の差が求めら
れ、これらの差に基づいてグルコース濃度Cg(血中濃
度)が抽出される。
【0072】次いで、グルコース濃度が表示部9に表示
され、カフ部3の圧迫部30のカフ圧が減圧されて測定
部位Sの圧迫が解除される(♯13,♯15)。続い
て、操作部13のプリントキースイッチがオンされてい
るかどうかが判別され(♯17)、プリントキースイッ
チがオンされていると(♯17でYES)、グルコース
濃度がプリンタ11によって印字出力される(♯1
9)。この後、♯1に戻ってグルコース濃度の再測定が
行なわれる。
【0073】一方、プリントキースイッチがオフのまま
のときには(♯17でNO)、♯19の処理を行なうこ
となく、直ちに♯1に戻る。
【0074】なお、上記フローチャートでは、グルコー
ス濃度の測定を繰り返し行なうようにしているが、操作
部13に再測定スイッチを設け、この再測定スイッチが
オンされたときに♯1に戻ってグルコース濃度の再測定
を行なうようにしてもよい。
【0075】また、上記フローチャートでは、測定部位
Sを圧迫しない状態で波長λ1,λ2の透過光量を測定
した後、圧迫した状態で波長λ1,λ2の透過光量を測
定したが、この測定の順番を逆にしてもよい。
【0076】このように、グルコースによる吸収が強い
波長λ1の光と、光の吸収が温度のみに依存し、且つ、
波長λ1の光の吸光度と温度変化に対して相関を有する
波長λ2を用いて温度補正してグルコース濃度を求める
ので、グルコース濃度の測定精度を高めることができ
る。
【0077】例えば、図10に示すように、グルコース
による吸収が強い波長λ1の光の透過光量に基づいて演
算されたグルコース濃度を波長λ2の光の透過光量に基
づいて温度補正すると、この温度補正されたグルコース
濃度は、温度変化に拘らず実際のグルコース濃度にほぼ
一致する。
【0078】また、図2では、測定部位Sを圧迫しない
状態と圧迫した状態との波長λ1,λ2の透過光量の差
を用いてグルコース濃度を算出する手法を採用したが、
これにより、脈動による血液量の変化、あるいは生体組
織の個人差、例えば皮膚、骨の個人差に起因するグルコ
ース濃度の測定誤差が抑制され、測定精度をさらに高め
ることができる。
【0079】すなわち、測定部位Sを圧迫した状態で
は、測定部位Sには血液がほとんど流れない(虚血)た
め、このときの波長λ1の光の吸収はほとんど皮膚、骨
の生体組織によって行なわれる。一方、測定部位Sを圧
迫しない状態では、測定部位Sに血液が流れ、このとき
の波長λ1の光の吸収は血中のグルコース及び皮膚、骨
等の生体組織によって行なわれる。
【0080】従って、測定部位Sを圧迫しない状態での
波長λ1,λ2の透過光量と圧迫した状態での波長λ
1,λ2の光の透過光量との差を求めることにより、皮
膚、骨の生体組織での波長λ1,λ2の光の吸収による
影響をほとんどキャンセルすることができる。
【0081】また、測定部位Sの透過光量は前記数14
に示すとおりであり、一方、圧迫して虚血したときの透
過光量は数18で表されるから、
【0082】
【数18】
【0083】そこで、数14に数18を代入すれば数1
9が得られ、このようにしても血液のみの場合と同様に
グルコース濃度の測定ができる。
【0084】
【数19】
【0085】なお、測定部位Sを圧迫することなく、波
長λ1,λ2の透過光量を所定時間毎に繰り返し測定し
て波長λ1,λ2の透過光量から脈動成分を抽出し、こ
の脈動成分のみを用いてグルコース濃度の測定を行なっ
てもよい。
【0086】この場合、波長λ1,λ2の透過光量の脈
動成分は、血液の脈動による血液量の変化によるもので
ある。従って、この波長λ1,λ2の透過光量の脈動成
分のみを用いてグルコース濃度の測定を行なうことによ
り、皮膚、骨等の生体組織による波長λ1,λ2の光の
吸収の影響を取り除いて、測定精度を向上させることが
できる。
【0087】すなわち、血液の脈動成分を含めると、前
記数1は光路長dがΔd変化するとして、あるタイミン
グで得られた透過光量は、
【0088】
【数20】
【0089】として表され、一方、平均透過光量は、
【0090】
【数21】
【0091】として表される。ここで数20と数21と
から、透過光量は、
【0092】
【数22】
【0093】として表すことができるので、前述同様に
グルコース濃度Cgが算出できる。このような演算方法
を採用すれば、血液以外の組織の透過率の影響について
数16、数17のように考慮する必要がなくなるので、
精度良くグルコース濃度を測定することが可能になる。
【0094】ところで、上記において、光路長が未知数
の場合にλ1,λ2,λ3を利用してグルコース濃度を
求めたが、実際には分光フィルターの分光特性として理
想的なものは製造し得えず、実際の分光特性は、図11
に示すように、半値幅が数十nmか、それ以上と広く裾
引きのあるものとなってしまうため、実測値と上記算出
値とは必ずしも一致することにはならない。更に、分光
フィルターが、その特性として温度によってピーク波長
がシフトするという性質を有していることから、より正
確なグルコース濃度を求めるためには、この波長シフト
特性を考慮する必要がある。以下、説明する。
【0095】図12は、本発明に係る無侵襲血中成分濃
度測定装置の第2実施形態を示すブロック構成図であ
る。本装置は、基本的に第1実施形態の測定装置と同一
であり、測定プローブ1及び測定装置本体2から構成さ
れている。
【0096】測定プローブ1は、測定部位である指尖等
が差し込み可能な空間を隔てて対向する光源部4及び受
光部5を備えている。光源部4側には光源からの照射光
から所要波長λ1,λ2,λ3,λ4を分離する分光フ
ィルタ41が交換可能に配設し得るようになっている。
【0097】測定装置本体2は、受光部5を構成する光
電変換素子に入射した光電流を電圧変換するI/V変換
回路6a、このI/V変換回路6aからの信号をデジタ
ル信号に変換するA/D変換回路7及び演算制御部8を
備え、この演算制御部8は、グルコース濃度等の血中成
分濃度の測定のためのプログラムに基づいて測定装置本
体2の各部を総括制御する演算制御部80と、波長λ
1,λ2,λ3,λ4の光の透過光量よりグルコース濃
度を演算する演算部81とを備えている。この演算制御
部8内には、後述する補正テーブルや補正式あるいは変
換テーブル等を記憶するROMを有している。
【0098】図13は、光源部4と受光部5との間の光
学的構造図である。図において、光源部4の分光フィル
ター41と受光部5との間には、測定光と参照光とを形
成するべく、それぞれ45°だけ傾斜されたハーフミラ
ー42,43及びミラー44,45が配設されている。
ハーフミラー42,43からなる光軸は分光フィルター
41を透過した光を指尖Sに照射し、透過させて測定光
として受光部5に導くためのものである。ミラー44,
45は指尖Sを迂回させる光軸を形成するもので、ハー
フミラー42で反射された照射光をミラー44,45で
反射させてハーフミラー43に戻し、ハーフミラー43
で反射させた後、参照光として受光部5に導くようにし
ている。なお、参照光の受光時には、ハーフミラー4
2,43間は遮光され、参照光のみが受光部5に導かれ
るようにしている。
【0099】今、血液中のグルコース濃度を測定する場
合において、グルコース濃度Cg、温度差Δt及び光路
長δが未知数であるとき、ある波長λnの光による血液
の透過光量が数23で表わされるとする。
【0100】
【数23】
【0101】このとき、波長λnでの血液の透過率Tn
吸光度Anは、数24、数25で与えられる。
【0102】
【数24】
【0103】
【数25】
【0104】数25を解くには、Cg,Δt,δの変数
に対して、3波長が必要であり、ここで、波長λ1、λ
2、λ3が用いられる。各波長における吸光度A1
2,A3は、数25を参照して、数26〜数28のよう
に表わされる。
【0105】
【数26】
【0106】
【数27】
【0107】
【数28】
【0108】よって、数26〜数28をグルコース濃度
Cg,温度差Δt,光路長δについて解くと、数29〜
数31のように、
【0109】
【数29】
【0110】
【数30】
【0111】
【数31】
【0112】となり、血液中のグルコース濃度Cgが数
29で求められる。
【0113】しかし、実際に各波長での吸光度を求める
には、図12に示す分光フィルター41、図13に示す
フィルタ光学的構造を利用して参照光と指尖Sに対する
測定光とを測定することとなる。そこで、これを式で表
わすと、
【0114】
【数32】
【0115】
【数33】
【0116】となり、このとき数32、数33より透過
光Tn、吸光度Anは数34、数35のようになる。
【0117】
【数34】
【0118】
【数35】
【0119】今、測定する指尖Sのグルコース濃度Cg
0、血液中の基準温度との差Δt0、光路長δ0を、真の
値としての設定値とする。このとき、数35から求めた
吸光度Anを用いて数29よりグルコース濃度Cgを求
めても、図11に示す分光フィルター41の分光特性
(裾引き)のために、数25と数35とが等しくならな
いことから、値CgとCg0とは一致しない。
【0120】そこで、3波長を用いた測定において、演
算より求めたグルコース濃度Cgから真値Cg0を求め
る方法について説明する。数29〜数31より演算で求
めたグルコース濃度をCg、温度差をΔt、光路長δと
すると、設定値(Cg0,Δt0,δ0)と演算値(C
g,Δt,δ)とは1対1に対応しているはずであるか
ら、種々の設定値(Cg0,Δt0,δ0)に対する演算
値(Cg,Δt,δ)との相関関係を補正テーブルとし
て作成し、これをメモリ(ROM)に予め記憶しておく
ことで、この補正テーブルから正しいグルコース濃度C
0を得ることが可能となる。なお、設定値と演算値と
の相関関係は補正テーブルに代えて、多変量解析によっ
てCg0とCg,Δt,δとの関係を数36に示す関
数、
【0121】
【数36】
【0122】として求め、これを記憶しておくことによ
り、この関数f(Cg,Δt、δ)を用いて、より正確
なグルコース濃度等を算出するようにしてもよい。表1
は、3波長をλ1=1500nm,λ2=1510n
m、λ3=1800nmとし、分光フィルター41の半
値幅を100nmとした場合の設定値(Cg0,Δt0
δ0)と演算値(Cg,Δt,δ)との関係を表わす補
正テーブルの一部を示している。
【0123】
【表1】
【0124】ところが、実際には、分光フィルター41
は、光源部4からの熱輻射による温度上昇や経時変化等
によりピーク波長が常に一定とはならない。そこで、分
光フィルター41が波長シフトを生じた場合に、この現
象がグルコース濃度Cgの測定値に与える影響について
考える必要がある。
【0125】今、分光フィルター41の波長が一律にΔ
λだけ波長シフトを生じた場合を考えると、このときの
各波長をλ1’=λ1+Δλ,λ2’=λ2+Δλ、λ
3’=λ3+Δλで表わされ、演算によって求められた
グルコース濃度、温度差、光路長をそれぞれCg’,Δ
t’,δ’とすると、数29〜数31より、
【0126】
【数37】
【0127】
【数38】
【0128】
【数39】
【0129】となり、各係数Egln,Etln,Eln
On,EWnは波長シフトを生じていないときの値である
ため、 Cg≠Cg’,Δt≠Δt’,δ≠δ’ であるから、補正テーブルや数36を用いても、正しい
グルコース濃度Cg0を求めることはできない。
【0130】そこで、表2として、表1における各分光
フィルター41が一律に+1nmだけシフトした場合の
設定値(Cg0,Δt0,δ0)と演算値(Cg’,Δ
t’,δ’)との関係及び演算結果であるCg’,Δ
t’,δ’の各値から表1の補正テーブルを用いてグル
コース濃度を求めた結果を示す。
【0131】
【表2】
【0132】人体の血液中の血糖値は、正常値で70〜
110(mg/dl)であり、低血糖の人で60(mg/dl)
以下、高血糖の人で140(mg/dl)以上である。そし
て、血糖値をモニタするには、±10(mg/dl)程度の
精度が必要と考えられている。しかし、表2では、誤差
が400(mg/dl)程度もあり、このままでは利用でき
ないことが分かる。また、一般に、分光フィルター41
は波長シフトの温度特性として0.02〜0.03nm
/℃程度であるので、測定環境や条件等によっては1n
m程度の波長シフトを生じることも考えられなくもな
い。
【0133】そこで、本発明では、数23において、波
長シフトの項Δλを考慮することとした。以下にその方
法を示すと、今、ある波長での血液の透過光量が数40
で表わされるとする。
【0134】
【数40】
【0135】すると、この波長での血液の透過率Tn
び吸光度Anは数41、数42で与えられる。但し、E
Snはフィルター41の波長シフト係数である。
【0136】
【数41】
【0137】
【数42】
【0138】
【数43】
【0139】よって、数42を解くには、Δλの変数が
増えたため、計4波長が必要となり、このときの波長λ
1,λ2,λ3,λ4での吸光度A1〜A4は次のように
なる。
【0140】
【数44】
【0141】
【数45】
【0142】
【数46】
【0143】
【数47】
【0144】よって、数44〜数47をCg,Δt,Δ
λ,δについて解くと、
【0145】
【数48】
【0146】
【数49】
【0147】
【数50】
【0148】
【数51】
【0149】
【数52】
【0150】
【数53】
【0151】
【数54】
【0152】となり、血液中のグルコース濃度Cgは数
48で求められる。しかし、3波長を用いた測定の場合
と同様に、実際に測定する吸光度Anは数35で与えら
れるので、補正テーブルや相関関数を使って正確なグル
コース濃度を求める必要がある。
【0153】今、測定する指尖Sのグルコース濃度
g0、血液中の基準温度との温度差Δt0、光路長δ0
フィルターの波長シフトΔλ0を、真の値としての設定
値とする。このとき、数48〜数51より演算で求めた
グルコース濃度をCg、血液中の基準温度との温度差を
Δt、光路長をδ、フィルターの波長シフトをΔλとす
ると、設定値(Cg0,Δt0,δ0,Δλ0)と演算値
(Cg,Δt,δ,Δλ)とは1対1に対応しているは
ずであるから、種々の設定値(Cg0,Δt0,δ0)に
対する演算値(Cg,Δt,δ)との相関関係を、表3
に示すように補正テーブルとして求め、これをメモリ
(ROM)に予め記憶しておくことで、この補正テーブ
ルから正しいグルコース濃度Cg0を得ることが可能と
なる。
【0154】
【表3】
【0155】また、4波長の各吸光度A1〜A4について
も、(Cg0,Δt0,δ0,Δλ0)と(A1,A2,A3
4)とは1対1に対応している。従って、上述のよう
な相関関係に基づく補正テーブルを用いて解く方法に代
えて、直接(A1,A2,A3,A4)と(Cg0,Δt0
δ0,Δλ0)との関係の変換テーブルを予め作成してR
OMに記憶しておき、この変換テーブルから正しいグル
コース濃度Cg0を算出することもできる。
【0156】もしも、数43の近似式が成立しない場合
には、演算式によって(Cg,Δt,δ,Δλ)を
(A1,A2,A3,A4)で表すことができないので、真
値(Cg0,Δt0,δ0,Δλ0)と(Cg,Δt,δ,Δ
λ)との関係を示すテーブルが作成できない。しかし、
直接(A1,A2,A3,A4)と(Cg0,Δt0,δ0,Δ
λ0)との関係を示すテーブルを作成することは可能で
あるので、正しいグルコース濃度Cg0を算出することが
できる。
【0157】また、相関関係は、テーブルに代えて、多
変量解析によって関数g,hを、
【0158】
【数55】
【0159】
【数56】
【0160】のように求めてROMに記憶しておき、か
かる関係を満足する関数g,hを用いてグルコース濃度
を算出する方法を採用することもできる。
【0161】以上の方法を採用することで、分光フィル
ター41の波長シフトΔλを考慮し得るため、波長シフ
トの有無に影響されることなく、常に正確なグルコース
濃度を求めることができる。
【0162】しかし、一般には、分光フィルターの波長
シフトの特性は、中心波長により、そのシフト量が異な
るので、次に、分光フィルターの波長シフトが一律でな
い場合について考える。
【0163】今、分光フィルター41を構成する各波長
に対するフィルターの波長シフト量をそれぞれΔλ1
Δλ2,Δλ3,Δλ4とすると、数44〜数47は、
【0164】
【数57】
【0165】
【数58】
【0166】
【数59】
【0167】
【数60】
【0168】となる。
【0169】このとき、各波長に対するフィルターのシ
フト量の相関関係を、予め数61のように求めておき、
【0170】
【数61】
【0171】この数61を用いると、数57〜数60
は、
【0172】
【数62】
【0173】
【数63】
【0174】
【数64】
【0175】
【数65】
【0176】となる。
【0177】よって、分光フィルター41を構成する各
フィルターの波長シフト量が一律でないときでも、各フ
ィルター間の相関関係が分かれば、その関係を補正テー
ブルとしてROMに記憶しておき、演算結果にこの補正
テーブルで補正を行わせることで波長シフトに影響され
ない正確なグルコース濃度を求めることができる。
【0178】次に、図14のフローチャートを用いて第
2実施形態におけるグルコース濃度を例にした測定動作
を説明する。まず、測定部位(生体組織)Sを光源部4
と受光部5間に差し込んだ状態で、光源部4から波長λ
1,λ2,λ3、λ4を含む光が順次(波長に対するフ
ィルターへの交換に応じて)測定部位Sへ照射され、受
光部5で受光されて、波長λ1,λ2、λ3、λ4の各
光の透過光量がそれぞれ測定される(♯31)。次に、
測定部位Sを外し(この間を遮光した)状態で、光源部
4から、上記と同様にして波長λ1,λ2,λ3、λ4
の光が順次参照光として直接受光部5に入射され、各光
の光源光量がそれぞれ測定される(♯33)。
【0179】得られた参照光及び測定光の透過光量は数
40で表わされ、これより各波長λ1,λ2,λ3、λ
4における吸光度A1,A2,A3,A4が、数44〜数4
7で求められる(#35)。そして、この演算結果を利
用して、数48〜数51からグルコース濃度Cg、血液
中の基準温度との温度差Δt、光路長δ、フィルターの
波長シフトΔλが算出される(#37)。そして、算出
されたグルコース濃度Cgに対して、補正テーブル(表
3など)あるいは補正式(数55や数56)を用いるこ
とによって、正確なグルコース濃度Cgが得られる(#
39)。
【0180】また、数57〜数60あるいは数62〜数
65を用いて吸光度を算出してもよく、このようにする
と、波長毎に波長シフト量の異なる場合でも、補正テー
ブルあるいは補正式から正確なグルコース濃度Cgが得
られる。
【0181】なお、第1実施形態も、波長λ1〜λ4を
用いて第2実施形態と同様な測定(参照光と測定光によ
る測定)を可能とするもので、かつ演算制御部8で、数
23〜数65に示す演算及び分光フィルターの波長シフ
トに対する補正テーブル等を利用して正確なグルコース
濃度を得ることができるものである。
【0182】また、本実施形態では、血中成分としてグ
ルコース濃度を例にして説明したが、本発明はこれに限
定されず、波長光に対して吸光度を示す種々の血中成分
に対して同様に測定することが可能であり、N種類の測
定対象に対し、(N+3)個の異なる波長の光を用いる
ことで、それらの血中成分濃度を得ることができるもの
である。
【0183】
【発明の効果】本発明によれば、(N+3)個の波長を
含む光を分光フィルターで分離して光源からの直接光と
生体組織を透過または反射した測定光とを受光させ、受
光した各波長毎の直接光及び測定光の各受光光量からN
種類の血中成分濃度を算出し、更に、得られたN種類の
血中成分濃度に対して、上記分光フィルターの波長のシ
フト量に起因して生じる上記N種類の血中成分濃度の誤
差分を補正するようにしたので、使用される分光フィル
ターの温度特性による波長シフトの有無やそのシフト量
に影響されることなく、常に正確な血中成分濃度を得る
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る血中成分濃度測定装置の第1実施
形態を示すブロック図である。
【図2】第1実施形態におけるグルコース濃度の測定動
作を示すフローチャートである。
【図3】光の透過光量を測定する動作の詳細を示すフロ
ーチャートである。
【図4】光の波長1200nm〜1800nmに対する
グルコース水溶液の吸光度特性を示す特性図である。
【図5】光の波長2050nm〜2400nmに対する
グルコース水溶液の吸光度特性を示す特性図である。
【図6】光の波長1200nm〜1800nmに対する
グルコース水溶液の吸光度の温度特性を示す特性図であ
る。
【図7】光の波長2050nm〜2400nmに対する
グルコース水溶液の吸光度の温度特性を示す特性図であ
る。
【図8】グルコース吸光度曲線に対する障害物による吸
光度曲線を示し、(a)〜(e)は障害物による吸光度
の経時的変化の一例を示す図である。
【図9】温度が一定でない場合の吸光度とグルコース濃
度との相関を示す相関図である。
【図10】本発明により選択された2波長によって求め
られたグルコースの演算濃度と実際のグルコース濃度と
の相関を示す相関図である。
【図11】分光フィルターの実際の分光特性の例を示す
特性図である。
【図12】本発明に係る血中成分濃度測定装置の第2実
施形態を示すブロック図である。
【図13】光源部と受光部との間の光学的構造図であ
る。
【図14】第2実施形態におけるグルコース濃度を例に
した測定動作を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
1 測定プローブ 2 測定装置本体 4 光源部 41 分光フィルタ 42,43 ハーフミラー 44,45 ミラー 5 受光部 6 信号処理回路 6a I/V変換回路 7 A/D変換回路 8 演算制御部 9 表示部 10 出力部 11 カフ圧制御回路 12 発光回路 13 操作部
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成8年4月1日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 N種類の血中成分に対する各濃度を無侵
    襲で測定する装置において、(N+3)個の波長を含む
    光を照射する光源と、上記照射光から上記(N+3)個
    の波長の光を分離する分光フィルターと、上記光源から
    の直接光と生体組織を透過または反射した測定光とを上
    記分光フィルターを介して受光する受光手段と、この受
    光手段で受光した各波長毎の直接光及び測定光の各受光
    光量から上記N種類の血中成分濃度を算出する濃度算出
    手段と、得られたN種類の血中成分濃度に対して、上記
    分光フィルターの波長のシフト量に起因して生じる上記
    N種類の血中成分濃度の誤差分を補正する濃度補正手段
    とを備えたことを特徴とする無侵襲血中濃度測定装置。
JP7210619A 1995-08-18 1995-08-18 無侵襲血中成分濃度測定装置 Pending JPH0956702A (ja)

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