JPH0954845A - 媒体識別装置および取引処理装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】この発明は、媒体の識別に先立って媒体の移動
速度を検出し、この移動速度から媒体の識別に適した撮
像タイミングを決定して高速移動する媒体の絵柄を正確
に検知して識別する媒体識別装置および取引処理装置の
提供を目的とする。 【解決手段】この発明は、移動する媒体を撮像する撮像
手段と、この撮像手段が撮像した媒体の撮像情報に基づ
いて媒体を識別する識別手段と、この識別手段の識別結
果に基づいて媒体の移動速度を検知する検知手段と、こ
の検知手段が検知した媒体の移動速度に基づいて上記撮
像手段の撮像タイミングを決定する制御手段とを備えた
媒体識別装置であることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、硬貨等の媒体を
取扱う自動取引機に内部構成されるような媒体識別装置
に関し、さらに詳しくは媒体の移動速度を検知すること
に基づいて最適な撮像タイミングを決定して媒体を確実
に識別する媒体識別装置および取引処理装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】以下、硬貨を取扱う硬貨識別装置を例に
とって説明すると、この硬貨識別装置は、図１２に示す
ように、硬貨Ｃを落下あるいは転動させて移動させる硬
貨通路１２１の両側に硬貨Ｃの通過を検知する通過検知
センサ１２２と硬貨Ｃの材質や外形を検知する磁気検知
センサ１２３を配設して金種を識別している。

【０００３】また、識別精度を高めるため、図１３に示
すように、硬貨通路１３１に導かれた硬貨Ｃの通過を検
知する通過検知センサ１３２と、硬貨Ｃの絵柄を撮像す
るエリア検知センサ１３３とで硬貨Ｃを識別する硬貨識
別装置が知られている。

【０００４】この硬貨の撮像検知に際しては、リニア検
知センサとエリア検知センサがあり、リニア検知センサ
は硬貨を転動させずに一方向に移動することが検知条件
であるため、複雑な搬送機構が必要となっていた。これ
に対し、エリア検知センサ１３３は任意のシャッタタイ
ミングにて撮像することができるので、硬貨は転動して
いても検知できる。したがって、硬貨の搬送構造を自由
落下方式等の簡単な搬送構造を適用することができ、撮
像検知に際してはエリア検知センサ１３３の利用が適し
ている。

【０００５】ところが、エリア検知センサ１３３で硬貨
の絵柄を撮像する場合、硬貨は硬貨通路を高速で移動す
るため、その硬貨のシャッタタイミングが重要視され、
硬貨がセンサ撮像範囲の中央にさしかかった瞬間が最適
なシャッタタイミングであり、シャッタタイミングがず
れると、画面中央に写し出される硬貨画像の一部が画面
から切れたり、全く写らないことがある。

【０００６】この場合、シャッタタイミングの取り方
は、通過検知センサ１３２で硬貨の通過を検知した時点
から一定時間経過した時点をシャッタタイミングに設定
している。また、図１４に示すように、硬貨通路１４１
は硬貨Ｃの落下性あるいは転動性を考慮して硬貨Ｃの外
形よりも硬貨通路１４１の内部空間を広く余裕を持たせ
て形成している。それゆえ、硬貨Ｃが跳ねたり引っ掛か
ったりして硬貨の高速移動時に速度が一定せず、このた
め撮像位置にずれを生じた場合は識別できないことがあ
った。

【０００７】また、硬貨通路を挟んでエリア検知センサ
と反射型検知センサを対設し、この反射型検知センサの
検知信号に基づいてシャッタタイミングを決定する方法
が知られているが、この場合は反射型検知センサを要
し、しかもこの反射型検知センサは硬貨の反射率によっ
て反射光強度が異なるので、著しく汚れた硬貨の場合は
検出不能でシャッタタイミングがとれないことがあっ
た。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】そこでこの発明は、媒
体の識別に先立って媒体の移動速度を検出し、この移動
速度から媒体の識別に適した撮像タイミングを決定して
高速移動する媒体の絵柄を正確に検知して識別する媒体
識別装置および取引処理装置の提供を目的とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】請求項１記載の発明は、
移動する媒体を撮像する撮像手段と、この撮像手段が撮
像した媒体の撮像情報に基づいて媒体を識別する識別手
段と、この識別手段の識別結果に基づいて媒体の移動速
度を検知する検知手段と、この検知手段が検知した媒体
の移動速度に基づいて上記撮像手段の撮像タイミングを
決定する制御手段とを備えた媒体識別装置であることを
特徴とする。

【００１０】請求項２記載の発明は、媒体の自重を利用
して媒体を移動させることを特徴とする。

【００１１】請求項３記載の発明は、撮像時の撮像信号
に基づいて検知手段が媒体の移動速度を検知する。

【００１２】請求項４記載の発明は、媒体識別装置を内
部構成して取引処理する取引処理装置であることを特徴
とする。

【００１３】

【作用】この発明によれば、媒体識別装置で媒体を識別
する際、撮像手段により移動する媒体を撮像し、この撮
像した媒体の撮像情報に基づいて識別手段は媒体を識別
し、この識別結果に基づいて媒体の移動速度を検知手段
が検知したとき、制御手段は媒体の移動速度に基づいて
撮像手段の撮像タイミングを決定し、この撮像タイミン
グで撮像することにより媒体の絵柄を正確に取得して媒
体を識別する。

【００１４】また、媒体の移動に際しては、媒体の自重
を利用して媒体を上方から下方へ移動させる媒体通路を
利用して移動させる。

【００１５】さらに、媒体の移動速度を検知する際は、
撮像時の撮像信号に基づいて検知手段が媒体の移動速度
を検知する。

【００１６】また、このように媒体を識別する媒体識別
装置を内部構成した取引処理装置で取引処理する。

【００１７】

【発明の効果】この結果、媒体を識別する際は、媒体の
移動速度からその速度に応じた最適な撮像タイミングを
決定するため、移動する媒体の速度変化にも追従許容し
て媒体を正確に撮像することができる。このため、媒体
の移動速度が一定でなくても、媒体の絵柄を正確に捉え
て撮像画面内に収めることができる。

【００１８】したがって、速度むらを発生しやすい媒体
通路の場合であっても、確実に画像取得でき、媒体通路
に制約を受けなくなる。このように高識別性能および高
信頼性を有するため、媒体通路の許容誤差および自由度
を広く設定でき、この結果、落下通路等の簡易構成の媒
体通路を適用して装置の小型化を図ることができる。

【００１９】

【実施例】この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳
述する。図１は硬貨識別装置１１を示し、この硬貨識別
装置１１は硬貨Ｃを上方から下方に自然落下させて移動
させる落下通路１２に、エリア検知センサ１３を対設し
て構成する。

【００２０】図２は硬貨識別装置１１の制御回路ブロッ
ク図を示し、信号処理回路２１はエリア検知センサ１３
からのビデオ出力信号を２値化判別回路２２で２値化処
理し、この最初の立上り信号をラッチ信号回路２３でカ
ウント値ラッチ信号として作成することで硬貨のエッジ
部分を検出する。このカウント値ラッチ信号は垂直同期
検出回路２４で１画面取得毎にリセットする。

【００２１】また、１画面取得毎に水平同期検出回路２
５で水平同期の数をカウンタ２６でカウントし、カウン
ト値ラッチ信号の立上りでカウンタ２６の値を水平同期
位置メモリ２７に入力する。これにより、硬貨下端部の
水平同期位置が記憶される。

【００２２】記憶された複数の硬貨下端部の水平同期位
置から遅延時間計算回路２８がシャッタを切りたい最適
なシャッタ時刻を演算してシャッタタイミングを作成
し、シャッタ出力回路２９より所定の露光時間のシャッ
タ信号を作成して、エリア検知センサ１３に入力する。

【００２３】図３はエリア検知センサ１３を用いて硬貨
Ｃの落下速度を検出したビデオ信号による第１〜第４表
示画像Ｉ〜IVを示し、落下途中の硬貨Ｃに対し、短い露
光時間でシャッタを数回切れば、第１〜第３表示画像Ｉ
〜III が得られる。また、このときのビデオ信号は標準
規格（ＮＴＳＣ方式）で定められており、図４に示すよ
うに、水平同期は５２５本で構成している。

【００２４】このビデオ信号を用いて、第１表示画像Ｉ
から検出した硬貨下端位置をビデオ信号の水平同期位置
で表すと図中Ｎ1 として求められ、また第２表示画像II
から検出した硬貨下端位置をビデオ信号の水平同期位置
で表すと図中Ｎ2 として求められる。さらに、第１表示
画像Ｉと、次の垂直同期位置（１Ｖ）で露光した第２表
示画像IIとの時間間隔（Ｔ2 ＝Ｔ1 ＋１Ｖ）は１／６０
秒である。

【００２５】この２つの表示画像Ｉ，IIより、水平同期
位置の差（Ｎ2 −Ｎ1 ）が１垂直同期期間（１／６０
秒）に移動した距離である。

【００２６】これらのデータから硬貨全体を画面に入れ
るための標準的な水平同期位置Ｎ4を求める際は、この
水平同期位置Ｎ4 に硬貨Ｃが来たときシャッタを切るよ
うに、ある程度余裕を持ってシャッタタイミングを作成
する。

【００２７】このとき、第２表示画像IIの検出時刻Ｔ2
＝Ｔ1 ＋１Ｖとすると、 Ｔ1 ：第１表示画像Ｉの検出時刻 １Ｖ：１垂直同期位置 最適シャッタ時刻Ｔｓは、 Ｔｓ＝（Ｎ4 −Ｎ2 ）／｛（Ｎ2 −Ｎ1 ）×６０｝＋Ｔ2 で求められる。

【００２８】このように２つの第１と第２の表示画像
Ｉ，IIから硬貨の移動速度を検出し、この検出した硬貨
の移動速度からシャッタタイミングを求めたが、第１、
第３表示画像Ｉ，III から硬貨の移動速度を検出し、こ
の検出した硬貨の移動速度からシャッタタイミングを求
めるように設定してもよく、さらにＩ→II、II→III の
硬貨移動速度の平均値からシャッタタイミングを求める
ように設定することもできる。

【００２９】例えば、図５のタイムチャートに示すよう
に、第１〜第３表示画像Ｉ〜III の各画像を得るための
露光時間（シャッタ）の後にビデオ信号が出力され、第
１〜第３表示画像Ｉ〜III の各画像取得時刻から硬貨の
移動速度を検出し、この検出した硬貨移動速度に応じて
最適なシャッタ時刻Ｔｓを求め、真の画像入力となる露
光時間を出力する。

【００３０】図６は硬貨下端部を検出した時のタイムチ
ャートを示し、第１表示画像Ｉが得られたとき、その画
像のビデオ信号は、硬貨のない部分は基本的に暗いので
信号レベルは０電位と見なしてよく、水平同期が下から
上に順になされ、硬貨の現れた位置から反射光によって
信号レベルは硬貨の形に沿って出力され、硬貨下端部の
エッジ部分（水平同期位置＝Ｎ1 ）を検出するには、ビ
デオ信号をしきい値で２値化したときの最初の立上り信
号をとればよい。

【００３１】このように構成された硬貨識別装置１１で
硬貨Ｃの金種を識別する際は、図１に示すように、落下
通路１２に導かれた硬貨Ｃの高速落下移動をエリア検知
センサ１３で検知して硬貨の移動速度を検出し、この検
出した移動速度からその速度に応じた最適なシャッタタ
イミングを決定して硬貨の全体を捉え、この全体の画像
取得に基づいて硬貨の絵柄を識別して金種判定する。

【００３２】図７〜図９は硬貨識別装置の他の実施例を
示し、図７は上方から下方に硬貨Ｃを落下移動させる落
下通路７１を挟んでエリア検知センサ７２と、速度検知
用のリニア検知センサ７３を対設し、このエリア検知セ
ンサ７２の検知データに加えてリニア検知センサ７３の
検知信号を加味することに基づいて硬貨の移動速度およ
びシャッタタイミングをより正確に設定することができ
る。図中、７４は通過検知センサである。

【００３３】図８は落下通路８１を挟んでエリア検知セ
ンサ８２と、透過型検知センサ８３を対設し、このエリ
ア検知センサ８２の検知データに加えて透過型検知セン
サ８３の検知信号を加味することに基づいて硬貨の移動
速度およびシャッタタイミングをより正確に設定するこ
とができる。図中、８４は通過検知センサである。

【００３４】図９は落下通路９１を挟んでエリア検知セ
ンサ９２と、レーザドップラー速度計９３を対設し、こ
のエリア検知センサ９２の検知データに加えてレーザド
ップラー速度計９３の測定信号を加味することに基づい
て硬貨の移動速度およびシャッタタイミングをより正確
に設定することができる。図中、９４は通過検知センサ
である。

【００３５】このように、エリア検知センサ７２，８
２，９２に速度検知用のセンサ７３，８３や速度計９３
を組合せれば、より一層的確なシャッタタイミングを捉
えて硬貨を識別することができる。

【００３６】図１０は硬貨識別装置を内部構成した自動
券売機１０１を示し、この自動券売機１０１は前面の接
客パネル１０２に、案内表示器１０３と、各購入選択ボ
タン１０４…と、硬貨投入口１０５と、紙幣挿入口１０
６と、カード挿入口１０７と、券放出口１０８と、誤購
入ボタン１０９と、受皿１１０等を配設して券売取引
し、このうち硬貨投入口１０５と連通する内方に既述し
た硬貨識別装置１１を内蔵して投入された硬貨の絵柄を
正確に捉えて金種を判定する。

【００３７】図１１は硬貨識別装置を内部構成した自動
預金支払機１１１を示し、この自動預金支払機１１１は
前面の接客パネル１１２に、通帳挿入口１１３と、カー
ド挿入口１１４と、硬貨投入口１１５と、紙幣投入口１
１６と、タッチ入力兼用の表示器１１７を装備して入出
金取引するものであって、このうち硬貨投入口１１５と
連通する内方に既述した硬貨識別装置１１を内蔵して投
入された硬貨の絵柄を正確に捉えて金種を判定する。こ
のように硬貨を取扱う各種の自動取引機に硬貨識別装置
１１を内部構成して適用することができ、また信頼性の
高い安定した硬貨の管理機能が得られる。

【００３８】上述のように、硬貨を識別する際は、硬貨
の移動速度からその速度に応じた最適なシャッタタイミ
ングを決定するため、移動する硬貨の速度変化にも追従
許容して硬貨を正確に画像取得することができる。この
ため、硬貨の移動速度が一定でなくても、硬貨の絵柄を
正確に捉えて画面内に収めることができる。したがっ
て、速度むらを発生しやすい硬貨通路の場合であって
も、確実に画像取得でき、硬貨通路に制約を受けなくな
る。この結果、硬貨識別装置は高識別性能および高信頼
性を有して、硬貨通路の許容誤差および自由度を広く設
定でき、落下通路等の簡易構成の通路を適用して装置の
小型化を図ることができる。

【００３９】また、硬貨の自重を利用して移動させた場
合は、落下通路や転動通路の簡素化した移動通路を構成
できる。さらに、時間経過の異なる画像を比較すること
により、正確に硬貨の移動速度を検出できるため、最適
なシャッタタイミングを容易に得ることができる。ま
た、硬貨を取扱う自動券売機や自動預金支払機等の各種
の取引処理装置に硬貨識別装置を内蔵して適用でき、ま
たこの場合は高識別性能の硬貨処理ができるため取引信
頼性が一層向上し、さらに高識別性能ゆえに無人化運用
の自動取引機に特に適している。

【００４０】この発明と、上述の実施例の構成との対応
において、この発明の媒体識別装置は、実施例の硬貨識
別装置１１に対応し、以下同様に、取引処理装置は、自
動券売機１０１と自動預金支払機１１１に対応し、媒体
は、硬貨Ｃに対応し、撮像手段は、エリア検知センサ１
３，７２，８２，９２に対応し、識別手段、検知手段お
よび制御手段は、信号処理回路２１に対応し、撮像信号
は、エリア検知センサのビデオ信号に対応するも、この
発明は上述の実施例の構成のみに限定されるものではな
い。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の硬貨識別装置の使用状態を示す要部
斜視図。

【図２】この発明の硬貨識別装置の制御回路ブロック
図。

【図３】この発明の硬貨識別装置の硬貨検知時の第１〜
第４表示画像を示す表示図。

【図４】この発明の硬貨識別装置のビデオ信号を示す説
明図。

【図５】この発明の硬貨の移動速度検出例を示すタイム
チャート。

【図６】この発明のビデオ信号に対応する２値化処理時
のタイムチャート。

【図７】この発明の他の実施例の硬貨識別装置を示す概
略側面図。

【図８】この発明の他の実施例の硬貨識別装置を示す概
略側面図。

【図９】この発明の他の実施例の硬貨識別装置を示す概
略側面図。

【図１０】この発明の硬貨識別装置を内部構成した自動
券売機を示す外観斜視図。

【図１１】この発明の硬貨識別装置を内部構成した自動
預金支払機を示す外観斜視図。

【図１２】従来の硬貨識別装置の一例を示す概略側面
図。

【図１３】従来の硬貨識別装置の一例を示す概略側面
図。

【図１４】従来の硬貨識別装置の不適な硬貨移動状態を
示す説明図。

【符号の説明】

１１…硬貨識別装置 １２，７１，８１，９１…落下通路 １３，７２，８２，９２…エリア検知センサ ２１…信号処理回路 １０１…自動券売機 １１１…自動預金支払機 Ｃ…硬 貨 Ｉ〜IV…第１〜第４表示画像 Ｎ1 〜Ｎ4 …硬貨下端部の水平同期位置 Ｔ1 〜Ｔ3 …第１〜第３表示画像の検出時刻 Ｔｓ…最適シャッタ時刻

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】移動する媒体を撮像する撮像手段と、上記
   撮像手段が撮像した媒体の撮像情報に基づいて媒体を識
   別する識別手段と、上記識別手段の識別結果に基づいて
   媒体の移動速度を検知する検知手段と、上記検知手段が
   検知した媒体の移動速度に基づいて上記撮像手段の撮像
   タイミングを決定する制御手段とを備えた媒体識別装
   置。
2. 【請求項２】媒体の自重を利用して媒体を移動させるこ
   とを特徴とする請求項１記載の媒体識別装置。
3. 【請求項３】検知手段は撮像時の撮像信号に基づいて媒
   体の移動速度を検知する請求項１記載の媒体識別装置。
4. 【請求項４】請求項１、２または３記載の媒体識別装置
   を内部構成して取引処理する取引処理装置。