【発明の詳細な説明】
合金鋳造品に樹脂をシールする方法
技術分野
本発明は、芳香族溶剤または水性ベースの溶液を用いて合金鋳造品に樹脂をシ
ールする方法に関するものである。
発明の背景
アルミニウム、マグネシウムおよび鉄から製造されるような合金鋳造品は、し
ばしば航空機のジェネレータ(generator)部品を格納するために用いられ、こ
れは厳重な設計が要求され、また厳しい環境操作条件下に施される。航空機のジ
ェネレータ部品に固有なオイルおよび他の溶剤からの腐食を防止しこれに耐えら
れるように、合金鋳造品は、しばしば樹脂のような有機コーティングで処理され
シールされる。樹脂のシールは、ジェネレータ部品が有効に機能するのに必要な
熱オイルおよび他の溶剤に対する物理的バリヤを合金鋳造品に提供する。
鋳造合金材料から製造されたハウジングに樹脂をシールするための一つの手順
は、芳香族溶剤とフェノール樹脂とを組み合わせたフェノール樹脂浴中にハウジ
ングを浸漬することである。浸漬後、過剰の樹脂を拭い落とし、続いてハウジン
グをオーブン中でベーキングする。ベーキングの間、芳香族溶剤が蒸発し、硬化
フェノール樹脂のシールを残す。しかしながら、このような手順によれば、航空
機のジェネレータの性能に重要である厳密な寸法を達成するのが難しく;またこ
のような厳密な寸法を満たすためには、厳しい作業が要求される。このような時
間と努力は、合金鋳造品の製造コストに影響を及ぼす。さらに、この手順は芳香
族溶媒を使用し、これらはオゾン層を攻撃して環境的に悪影響を及ぼし、また芳
香族溶媒の使用は、近日にも米国の政府の規制により厳しく制限されるかもしれ
ない。
エポキシ樹脂コーティング硬化剤の要求は、米国特許第5,204,385号明細書に
おいてNaderhoffにより解決されている。Naderhoffの特許は、まず多官能エポキ
サイド化合物の化学的過剰量と第4級アンモニウム塩とを反応させ、続いて反応
生成物の未反応のエポキサイド基をポリアミドと縮合することにより、水を減少
させることのできるエポキシ硬化剤を教示している。Naderhoffの特許は、エポ
キシ樹脂硬化剤の特定の化学的性質を扱うものであるが、以下でさらに詳細にこ
の発明を説明するように、とくに寸法要求が重要である条件下、合金鋳造品に樹
脂をどのようにシールするか、の方法については詳細に記載されていない。
粒状材料からフラットな製造物を製造する方法が、Bellesら、米国特許第4,77
2,322号明細書に開示されている。この方法は、水性溶液中の粒状材料の懸濁液
、フィルム形成バインダー材料および水性溶液中の粒状合成樹脂の分散液を含む
比較的滑らかなスラリーを形成し;このスラリーを支持体表面上にコーティング
し;および合成樹脂の成分が揮発する温度に、付着したコーティングを加熱する
ステップを含むものである。しかしながらこのBellesらの特許は、以下でさらに
詳細にこの発明を説明するように、合金鋳造品に樹脂をシールする方法を提供す
るものではなく;むしろこの特許は金属基体上の粒状樹脂のコーティングを硬化
させることにより製造物を製造するために樹脂硬化剤を使用するものであり、続
いてフラットな製造物として基体から形成されたコーティングを分離するもので
ある。このように、Bellesらの特許は、最終的に形成された製造物としてコーテ
ィングを使用するものである。
表面上に撥水性(water wadable)で耐摩耗性の永久フィルムを製造する方法
および組成物がRickert,Jr.、米国特許第4,536,420号明細書に開示されている
。この方法において、カルボン酸官能ポリマーの水性コロイダル分散液、表面を
ヒドロキシル化したシリカの水性コロイダル分散液、カルボン酸官能ポリマーを
水溶性にするためのアミン、カルボン酸官能ポリマーのための硬化剤および湿潤
剤を含む組成物を、表面に適用しフィルムを形成し、このフィルムを、これが硬
化またはキュアするのに十分な温度で乾燥および/または加熱する。Rickert,J
r.の特許は、表面にフィルムを適用する方法に関するものであるが、適用される
組成物の化学的性質はアクリル樹脂のそれに注目している。このような組成物の
化学的性質は、撥水性表面を製造するためにとくに考慮しているが、本発明は、
オイルのような溶剤および合金鋳造品間の物理的バリヤを形成するために表面に
樹脂をシールする方法に関するものである。
本発明は、上記課題の一つ以上を克服するものである。
発明の要旨
さらに詳細には本発明は、芳香族溶剤を使用して合金鋳造品に樹脂をシールす
る方法に関するものである。この方法は、樹脂を用意し、この樹脂を芳香族溶剤
と配合してシール用コーティングを形成することを包含する。シール用コーティ
ングは、樹脂の規定容量濃度を有する。またこの方法は、合金鋳造品を第1規定
温度に加熱し、続いて前記シール用コーティングを加熱された合金鋳造品に選択
的に適用する。最後にシール用コーティングの適用された加熱された合金鋳造品
を、第2規定温度で、規定時間でもってベーキングする。
第2の好適な態様において、本発明は、水性ベース溶液を用いて合金鋳造品に
樹脂をシールする方法に関するものである。この方法は、水性エマルジョン樹脂
を用意し、ベース溶剤とこの水性エマルジョン樹脂とを配合し最終水性ベース溶
液を形成することを包含する。この最終水性ベース溶液は、ベース溶剤の規定容
量濃度を有する。またこの方法は、第1規定温度に合金鋳造品を加熱し、加熱さ
れた合金鋳造品に最終水性ベース溶液を適用することを包含する。最後に、最終
水性ベース溶液の適用された加熱された合金鋳造品を、第2規定温度で規定時間
でもって加熱する。
さらなる好適な態様において、本発明は、水性ベース溶液を用いて合金鋳造品
に樹脂をシールする方法に関するものである。この方法は、水性エマルジョン樹
脂を用意し、第1のベース溶剤とこの水性エマルジョン樹脂とを配合し、中間溶
液を形成することを含む。この中間溶液は第1ベース溶剤の第1規定容量濃度を
有する。またこの方法は、第2ベース溶剤を用いるものであって、この第2ベー
ス溶剤は、イソプロピルアルコールと脱イオン水との第2規定濃度比を有する。
この第2ベース溶剤は、前記中間溶液と組み合わされ、最終水性ベース溶液を形
成する。この最終水性ベース溶液は、第2ベース溶剤と中間溶液との第3規定濃
度比を有する。この方法は、さらに第1規定温度に合金鋳造品を加熱し、加熱さ
れた合金鋳造品に最終水性ベース溶液を適用するステップも有する。最終水性ベ
ース溶液が適用された加熱された合金鋳造品は、第2規定温度で規定時間でもっ
てベーキングされる。
本発明の他の目的および有利さは、添付の図面を参照しながら以下の記載によ
り明らかになるであろう。
図面の簡単な説明
明細書は本発明としてみなされることを特定し且つ明確に請求する請求の範囲
でまとめられるが、本発明の構成、硬化およびさらなる目的は、図面を参照した
以下の詳細な記載から、当業者ならば容易に確かめることができる。
図1は、芳香族溶剤を用いて合金鋳造品に樹脂をシールする方法を説明する本
発明の一実施態様のプロセスフロー図である;
図2は、水性ベース溶液を用いて合金鋳造品に樹脂をシールする方法を説明す
る本発明の第2の実施態様のプロセスフロー図である;および
図3は、水性ベース溶液を用いて合金鋳造品に樹脂をシールする方法を説明す
る本発明のさらに別の実施態様のプロセスフロー図である。
好適な態様の記載
図1は、本発明に従った、芳香族溶剤を用いて合金鋳造品に樹脂をシールする
方法のプロセスフロー図である。
図1に示されるように、プロセスの好適な一つの態様において、第1ステップ
10は、樹脂を準備するものである。この樹脂は、フェノールまたはエポキシ樹
脂のいずれかであることができ、これによりオイルおよび他の溶剤からの腐食を
適切に防止することができ、またその耐性を提供する。
合金鋳造品は、準備ステップ12において用意される。合金鋳造品は、マグネ
シウム、アルミニウムまたは鉄から選択することができる;これらはすべて液体
金属を鋳造して形成される航空機のジェネレータを格納するために一般的に使用
されている。準備ステップ14において、芳香族溶媒が準備され、これは合金鋳
造品が加熱されるときに蒸発し、合金鋳造品上に樹脂シールを形成するための樹
脂のキャリアとして作用する。芳香族溶剤はトルエンまたはキシレンであること
ができる。
図1に示される本発明のプロセスの第2ステップ16は、芳香族溶剤と樹脂と
を配合してシール用コーティングを形成することを含む。このシール用コーティ
ングは、条件設定ステップ18で提供される樹脂の規定容量濃度を有する。この
好適な態様において、シール用コーティングの規定濃度は、樹脂が20容量%以
下であるのがよい。なお、もし樹脂の濃度が20容量%であるということは、芳
香族溶剤の濃度は80容量%になる。
図1に示される本発明のプロセスの第3ステップ20は、条件設定ステップ2
2で提供される第1規定温度に合金鋳造品を加熱することを包含する。この好適
な態様において、第1の規定温度は、375°F(190.55℃)以上である
のがよい。第1の規定温度を適用する条件設定ステップ22は重要である。なぜ
ならば、もし合金鋳造品が第1規定温度に施されなかった場合、シール用コーテ
ィングを形成するために第2ステップ16において芳香族溶剤と組み合わされる
樹脂は、合金鋳造品によく接着しないからである。
図1に示される本発明のプロセスの第4ステップ24は、第3ステップ20に
おいて加熱された合金鋳造品に、第2ステップ16において形成されたシール用
コーティングを選択的に適用することを包含する。シール用コーティングを選択
的に適用する第4ステップ24は、第2ステップ16で形成されたシール用コー
ティングを選択的にスプレーすることにより達成可能である。このような選択的
なスプレーは、とくに細部の作業がマグネシウム、アルミニウムまたは鉄の合金
コーティングに対して必要であるとき、合金鋳造品を製造するに関連するコスト
を最少化する。シール用コーティングを選択的にスプレーすることは、このよう
な作業がベアリングライナーを再加工するときや寸法の許容誤差が非常に厳密で
あるときのような、航空機のジェネレータ部品に対する重要な寸法取りを含むと
きにとくに有用となる。さらに、第3ステップ20で合金鋳造品を加熱すること
により、得られる樹脂シールに加工不可能なボイドが排除される。シール用コー
ティングが冷たい合金鋳造品上に選択的にスプレーされるときは、これはあては
まらない。
図1に示される本発明のプロセスの第5ステップ26は、シール用コーティン
グが適用された加熱された合金鋳造品をベーキングすることを含む。この好適な
態様において、加熱した合金鋳造品をベーキングする第2規定温度が条件設定ス
テップ28で提供され、第5ステップ26で、加熱した合金鋳造品をベーキング
する規定時間が条件設定ステップ30で提供される。条件設定ステップ28で提
供される第2規定温度は、300°F(148.88℃)以上であるのがよい。
条件設定ステップ30で提供される規定時間は1時間以上であるのがよい。条件
設定ステップ28および30でその因子を選択することにより、樹脂が合金鋳造
品にシールするために適切な時間および温度が与えられ、芳香族溶剤は第5ステ
ップ26のベーキングの際に蒸発する。本発明のステップ10、16、20、2
4および26を実施することにより、芳香族溶剤を用いて合金鋳造品を樹脂にシ
ールするためのプロセスが展開し、これにより作業上の顕著な努力およびさらな
るコストのかかることなく、厳密な寸法要求が達成される。
図2は、本発明による、水性ベース溶液を用いて合金鋳造品に樹脂をシールす
る方法のプロセスフロー図を示すものである。
図2に示されているように、プロセスの第2の好適な態様において第1ステッ
プ40は、水性エマルジョン樹脂を準備するものである。水性エマルジョン樹脂
は、水性エマルジョンフェノール樹脂または水性エマルジョンエポキシ樹脂であ
ることができる。樹脂に存在する乳化剤は、水性媒体中への樹脂の導入を可能に
し、また促進するものである;この2つは一般的に通常条件下では導入できない
ものである。
合金鋳造品は準備ステップ42で提供される。合金鋳造品はマグネシウム、ア
ルミニウムまたは鉄から選択できる;これらはすべて航空機のジェネレータハウ
ジングを製造するために一般的に使用されている。準備ステップ44において、
水性溶液と配合されたときに、迅速な速度で水性溶液を蒸発させるのに役立つベ
ース溶剤が提供される。本発明においてベース溶剤は、有機溶剤であるのがよく
、イソプロピルアルコールまたはアセトンが好適である。
図2に示される本発明のプロセスにおける第2ステップ46は、水性エマルジ
ョン樹脂と有機ベース溶剤とを組み合わせて最終水性ベース溶液を形成すること
を含む。この最終水性ベース溶液は、ベース溶剤を規定容量濃度で有し、これは
条件設定ステップ48で調整される。この好適な態様において、最終水性ベース
溶液の規定容量濃度は、ベース溶剤の22容量%以下であるのがよい。ここでベ
ース溶剤濃度が22容量%であるということは、水性エマルジョン樹脂濃度が7
8容量%であるということである。第2ステップ46においてベース溶剤と水性
樹脂エマルジョンとを組み合わせることにより、合金鋳造品のより大きい表面へ
の浸透が達成され、樹脂シールが強固となる。このことは、低い表面張力を有す
るイソプロピルアルコールのようなベース溶剤によるものであり、合金鋳造品の
不確定表面に流れるであろう。
図2に示される本発明のプロセスにおける第3ステップ50は、条件設定ステ
ップ52で提供される第1規定温度に合金鋳造品を加熱することを含む。この好
適な態様において、第1規定温度は375°F(190.55℃)以上であるの
がよい。第1規定温度を提供する条件設定ステップ52は重要である。なぜなら
ば、最終水性ベース溶液を形成するために第2ステップ46でベース溶剤と組み
合わされる水性エマルジョン樹脂が、もし第1規定温度まで合金鋳造品が加熱さ
れない場合、合金鋳造品とよく接着しないからである。ベース溶剤は水性エマル
ジョン樹脂の水性成分が蒸発する温度を低下させるために、接着効果は高められ
る。
図2に示される本発明のプロセスにおける第4ステップ54は、第2ステップ
46で形成される最終水性ベース溶液を、第3ステップ50で加熱される合金鋳
造品に適用することを含む。最終水性ベース溶液を適用する第4ステップ54は
、最終水性ベース溶液内部で完全に加熱された合金鋳造品を浸漬することにより
達成される。このような全体の浸漬は、芳香族溶剤の使用を最小限にするため、
環境に悪影響を与えずに、大量の合金鋳造品を容易に製造することを可能にする
。
図2に示される本発明のプロセスにおける第5ステップ56は、第4ステップ
54の最終水性ベース溶液が適用された第3ステップの加熱された合金鋳造品を
ベーキングすることを含む。この好適な態様において、加熱した合金鋳造品をベ
ーキングする第2規定温度が条件設定ステップ58で提供され、加熱した合金鋳
造品をベーキングする規定時間が条件設定ステップ60で提供される。条件設定
ステップ58で提供される規定温度は、300°F(148.88℃)以上であ
るのがよい。条件設定ステップ60で提供される規定時間は1時間以上であるの
がよい。条件設定ステップ58および60でその因子を選択することにより、水
性エマルジョン樹脂が硬化し合金鋳造品にシールするために適切な時間および温
度が与えられ、ベース溶剤は第5ステップ56のベーキングの際に蒸発する。本
発明のステップ40、46、50、54および56を実施することにより、作業
上の顕著な努力を低減し、且つ環境に悪影響を及ぼさずに合金に樹脂をシールす
るプロセスが達成される。
図3は、本発明による、水性ベース溶液を用いて合金鋳造品に樹脂をシールす
る方法の別の態様のプロセスフロー図を示すものである。
図3に示されているように、プロセスの別の好適な態様において第1ステップ
70は、水性エマルジョン樹脂を準備するものである。水性エマルジョン樹脂は
、水性エマルジョンフェノール樹脂または水性エマルジョンエポキシ樹脂である
ことができる。樹脂に存在する乳化剤は、水性媒体中の樹脂の導入を可能にし、
また促進するものである;この2つは一般的に通常条件下では導入できないもの
である。
合金鋳造品は準備ステップ72で提供される。合金鋳造品はマグネシウム、ア
ルミニウムまたは鉄から選択できる;これらはすべて航空機のジェネレータハウ
ジングを製造するために一般的に使用されている。準備ステップ74において、
水性溶液と配合されたときに、迅速な速度で水性溶液を蒸発するのに役立つ第1
ベース溶剤が提供される。本発明において第1ベース溶剤は、有機溶剤であるの
がよく、イソプロピルアルコールまたはアセトンが好適である。これらのベース
溶剤は、芳香族溶剤よりも環境に悪影響を及ぼさない点で優れている。
図3に示される本発明のプロセスにおける第2ステップ76は、準備ステップ
74で提供される第1ベース溶剤と第1ステップ70で提供される水性エマルジ
ョン樹脂とを組み合わせ、中間溶液を形成することを含む。この中間溶液は、第
1ベース溶剤を第1規定容量濃度で有し、これは条件設定ステップ78で提供さ
れる。この好適な態様において、中間溶液の第1規定容量濃度は、イソプロピル
アルコールのような第1ベース溶剤の22容量%以下であるのがよい。ここでイ
ソプロピルアルコール濃度が22容量%であるということは、水性エマルジョン
樹脂濃度が78容量%であるということである。第2ステップ76において第1
ベース溶剤と水性樹脂エマルジョンとを組み合わせることにより、合金鋳造品の
より大きい表面への浸透が達成され、樹脂シールが強固となる。このことは、低
い表面張力を有するイソプロピルアルコールによるものであり、合金鋳造品の不
確定表面に流れるであろう。
図3に示される本発明のプロセスにおける第3ステップ80は、第2ベース溶
剤を準備することを含む。この第2ベース溶剤は、イソプロピルアルコールと脱
イオン水とを第2規定濃度比でもって有し、これは条件設定ステップ82で提供
される。この好適な態様において、第2ベース溶剤の第2規定濃度比は、約2部
のイソプロピルアルコールと約7部の脱イオン水の比として選択されるのがよい
。
図3に示される本発明のプロセスにおける第4ステップ84は、第3ステップ
80の第2ベース溶剤と第2ステップ76で形成された中間溶液とを組み合わせ
、最終水性ベース溶液を形成することを含む。この最終水性ベース溶液は、第2
ベース溶剤と中間溶液との第3規定濃度比を有し、これは条件設定ステップ86
で提供される。この好適な態様において、最終水性ベース溶液の第3規定濃度比
は、約1部の第2ベース溶剤と約2部の中間溶液の比として提供されるのがよい
。
図3に示される本発明のプロセスにおける第5ステップ88は、第1規定温度
に合金鋳造品を加熱することを含み、これは条件設定ステップ90で提供される
。この好適な態様において、第1規定温度は375°F(190.55℃)以上
であるのがよい。第1規定温度を提供する条件設定ステップ90は重要である。
なぜならば、中間溶液を形成するために第2ステップ76で第1ベース溶剤と組
み合わされ、続いて第4ステップ84で第2ベース溶剤と組み合わされる水性エ
マルジョン樹脂が、もし第1規定温度まで合金鋳造品が加熱されない場合、合金
鋳造品とよく接着しないからである。
図3に示される本発明のプロセスにおける第6ステップ92は、第4ステップ
84で形成される最終水性ベース溶液を、第5ステップ88で加熱された合金鋳
造品に適用することを含む。最終水性ベース溶液を適用する第6ステップ92は
、第5ステップ88で加熱された合金鋳造品に、第4ステップ84で形成された
最終水性ベース溶液を適用することを含む。最終水性ベース溶液を適用する第6
ステップ92は、第4ステップ84で形成された最終水性ベース溶液で、加熱さ
れた合金鋳造品を選択的にスプレーすることにより達成される。このような選択
的なスプレーは、とくにマグネシウム、アルミニウムまたは鉄の部品に細かい再
作業が必要となったときに、合金鋳造品を再製造することに関連するコストを最
少にすることができる。選択的なスプレーによれば、厳密な寸法要求が多くの廃
棄物を出すことなく容易に達成される。さらに、第5ステップ88で合金鋳造品
を加熱することにより、仕上がり樹脂シールに修正不可能なボイドを避けること
ができる。最終水性ベース溶液を冷たい合金鋳造品に選択的にスプレーした場合
は、ボイドが生じる。
図3に示される本発明のプロセスにおける第7ステップ94は、最終水性ベー
ス溶液が適用された合金鋳造品をベーキングすることを含む。この好適な態様に
おいて、第7ステップ94において加熱した合金鋳造品をベーキングする第2の
規定温度が条件設定ステップ96で提供され、加熱した合金鋳造品をベーキング
する規定時間が条件設定ステップ98で提供される。条件設定ステップ96で提
供される第2規定温度は、300°F(148.88℃)以上であるのがよい。
条件設定ステップ98で提供される規定時間は1時間以上であるのがよい。条件
設定ステップ96および98でその因子を選択することにより、水性エマルジョ
ン樹脂が硬化し合金鋳造品にシールするために適切な時間および温度が与えられ
、第1および第2溶剤は第7ステップ94のベーキングの際に蒸発する。本発明
のステップ70、76、80、84、88、92および94を実施することによ
り、作業上の顕著な努力や過剰なコストのかかることなく、水性ベース溶液を用
いて合金鋳造品に樹脂をシールする環境に悪影響を及ぼさないプロセスが達成さ
れ、これにより厳密な寸法要求も達成される。
本発明を特定の態様によって説明および記載したが、添付の請求の範囲に明ら
かにされた本発明の精神を逸脱しない限り、当業者ならば様々な変更が可能であ
ることが分かるであろう。
【手続補正書】特許法第184条の7第1項
【提出日】1995年6月6日
【補正内容】
補正された請求の範囲
33. 加熱された合金鋳造品にシール用コーティングを選択的にスプレーす
るステップが、合金鋳造品の損傷部分付近にのみシール用コーティングをスプレ
ーすることを含む請求の範囲第4項に記載の方法。
34. 最終水性ベース溶液で加熱された合金鋳造品を選択的にスプレーする
ステップが、合金鋳造品の損傷部分付近にのみ最終水性ベース溶液をスプレーす
ることを含む請求の範囲第22項に記載の方法。
【手続補正書】特許法第184条の8
【提出日】1995年11月7日
【補正内容】
補正された請求の範囲
1. 削除
2. 削除
3. 削除
4. 削除
5. 削除
6. 削除
7. 削除
8. 削除
9. 削除
10. 芳香族溶剤を用いて合金鋳造品に樹脂をシールする方法において、該
方法は:
マグネシウム、アルミニウムおよび鉄からなる群から選択される合金鋳造品を
準備し;
トルエンおよびキシレンからなる群から選択された芳香族溶剤を準備し;
フェノール樹脂およびエポキシ樹脂からなる群から選択された樹脂を準備し;
芳香族溶剤と樹脂とを組み合わせてシール用コーティングを形成し、該シール
用コーティングは、樹脂の20容量%以下の濃度を有するものであり;
375°F(190.55℃)以上の温度に合金鋳造品を加熱し;
加熱された合金鋳造品にシール用コーティングを選択的にスプレーし;および
シール用コーティングが選択的にスプレーされた加熱された合金鋳造品を、3
00°F(148.88℃)以上の温度で1時間以上ベーキングするステップを
含むことを特徴とする合金鋳造品に樹脂をシールする方法。
11. 水性ベース溶液を用いて合金鋳造品に樹脂をシールする方法において
、該方法は:
水性エマルジョンフェノール樹脂および水性エマルジョンエポキシ樹脂からな
る群から選択される水性エマルジョン樹脂を準備し;
ベース溶剤と水性エマルジョン樹脂とを組み合わせて最終水性ベース溶液を形
成し、該最終水性ベース溶液は、ベース溶剤の規定容量濃度を有するものであり
;
375°F(190.55℃)以上の第1規定温度に合金鋳造品を加熱し;
加熱された合金鋳造品に最終水性ベース溶液を適用し;および
最終水性ベース溶液の適用された加熱された合金鋳造品を、規定された時間に
おいて第2規定温度でベーキングするステップを含むことを特徴とする合金鋳造
品に樹脂をシールする方法。
12. 最終水性ベース溶液を加熱された合金鋳造品に適用するステップが、
最終水性ベース溶液内で、加熱された合金鋳造品を浸漬することを含む請求の範
囲第11項に記載の方法。
13. ベース溶剤と水性エマルジョン樹脂とを組み合わせるステップが、最
終水性ベース溶液に対してベース溶剤を22容量%以下の規定容量濃度を提供す
ることを含む請求の範囲第12項に記載の方法。
14. ベース溶剤と水性エマルジョン樹脂とを組み合わせるステップが、ベ
ース溶剤としてイソプロピルアルコールを選択することを含む請求の範囲第13
項に記載の方法。
15. 削除
16. 最終水性ベース溶液の適用された加熱された合金鋳造品をベーキング
するステップが、300°F(148.88℃)以上の第2規定温度を提供する
ことを含む請求の範囲第12項に記載の方法。
17. 最終水性ベース溶液の適用された加熱された合金鋳造品をベーキング
するステップが、1時間以上の規定時間を提供することを含む請求の範囲第16
項に記載の方法。
18. マグネシウム、アルミニウムおよび鉄からなる群から選択された合金
鋳造品を提供するステップをさらに含む請求の範囲第11項に記載の方法。
19. 削除
20. 水性ベース溶液を用いて合金鋳造品に樹脂をシールする方法において
、該方法は:
マグネシウム、アルミニウムおよび鉄からなる群から選択される合金鋳造品を
準備し;
水性エマルジョンフェノール樹脂および水性エマルジョンエポキシ樹脂からな
る群から選択された水性エマルジョン樹脂を準備し;
イソプロピルアルコールと水性エマルジョン樹脂とを組み合わせて最終水性ベ
ース溶液を形成し、該最終水性ベース溶液は、イソプロピルアルコールの22容
量%以下の濃度を有するものであり;
375°F(190.55℃)以上の温度に合金鋳造品を加熱し;
最終水性ベース溶液の中に加熱された合金鋳造品を浸漬し;および
最終水性ベース溶液に浸漬された加熱された合金鋳造品を、300°F(14
8.88℃)以上の温度で1時間以上ベーキングするステップを含むことを特徴
とする合金鋳造品に樹脂をシールする方法。
21. 水性ベース溶液を用いて合金鋳造品に樹脂をシールする方法において
、該方法は:
水性エマルジョン樹脂を準備し;
第1ベース溶剤と水性エマルジョン樹脂とを組み合わせて中間溶液を形成し、
該中間溶液は、第1ベース溶剤の第1規定容量濃度を有するものであり;
第2ベース溶剤を準備し、該第2ベース溶剤は脱イオン水に対するイソプロピ
ルアルコールの第2規定容量濃度比を有するものであり;
第2ベース溶剤と中間溶液とを組み合わせて最終水性ベース溶液を形成し、該
最終水性ベース溶液は、中間溶液に対する第2ベース溶剤の第3規定容量濃度比
を有するものであり;
第1規定温度に合金鋳造品を加熱し;
加熱された合金鋳造品に最終水性ベース溶液を適用し;および
最終水性ベース溶液の適用された加熱された合金鋳造品を、規定された時間に
おいて第2規定温度でベーキングするステップを含むことを特徴とする合金鋳造
品に樹脂をシールする方法。
22. 加熱された合金鋳造品に最終水性ベース溶液を適用するステップが、
最終水性ベース溶液を用いて加熱された合金鋳造品を選択的にスプレーすること
を含む請求の範囲第21項に記載の方法。
23. 第1ベース溶剤と水性エマルジョン樹脂とを組み合わせるステップが
、中間溶液に対して第1ベース溶剤の22容量%以下の第1規定容量濃度を提供
することを含む請求の範囲第22項に記載の方法。
24. 第1ベース溶剤と水性エマルジョン樹脂とを組み合わせるステップが
、第1ベース溶剤としてイソプロピルアルコールを選択することを含む請求の範
囲第23項に記載の方法。
25. 第2ベース溶剤を準備するステップが、イソプロピルアルコール:脱
イオン水=約2部:7部の比として第2ベース溶剤の第2規定濃度を提供するこ
とを含む請求の範囲第22項に記載の方法。
26. 第2ベース溶剤と中間溶液とを組み合わせるステップが、第2ベース
溶剤:中間溶液=約1部:2部の比として最終水性ベース溶液の第3規定濃度を
提供することを含む請求の範囲第22項に記載の方法。
27. 合金鋳造品を加熱するステップが、375°F(190.55℃)以
上の第1規定温度を提供することを含む請求の範囲第22項に記載の方法。
28. 最終水性ベース溶液の適用された加熱された合金鋳造品をベーキング
するステップが、300°F(148.88℃)以上の第2規定温度を提供する
ことを含む請求の範囲第22項に記載の方法。
29. 最終水性ベース溶液の適用された加熱された合金鋳造品をベーキング
するステップが、1時間以上の規定時間を提供することを含む請求の範囲第28
項に記載の方法。
30. マグネシウム、アルミニウムおよび鉄からなる群から選択された合金
鋳造品を提供するステップをさらに含む請求の範囲第21項に記載の方法。
31. 水性エマルジョン樹脂を準備するステップが、水性エマルジョンフェ
ノール樹脂および水性エマルジョンエポキシ樹脂からなる群から選択された水性
エマルジョン樹脂を提供するステップをさらに含む請求の範囲第21項に記載の
方法。
32. 水性ベース溶液を用いて合金鋳造品に樹脂をシールする方法において
、該方法は:
マグネシウム、アルミニウムおよび鉄からなる群から選択される合金鋳造品を
準備し;
水性エマルジョンフェノール樹脂および水性エマルジョンエポキシ樹脂からな
る群から選択された水性エマルジョン樹脂を準備し;
イソプロピルアルコールと水性エマルジョン樹脂とを組み合わせて中間溶液を
形成し、該中間溶液はイソプロピルアルコールの22容量%以下の濃度を有する
ものであり;
第2ベース溶剤を準備し、該第2ベース溶剤はイソプロピルアルコール:脱イ
オン水=約2部:7部の比としての濃度を有するものであり;
第2ベース溶剤と中間溶液とを組み合わせ、最終水性ベース溶液を形成し、該
最終水性ベース溶液は、第2ベース溶剤:中間溶液=約1部:2部の比としての
濃度を有するものであり;
375°F(190.55℃)以上の温度に合金鋳造品を加熱し;
最終水性ベース溶液で合金鋳造品を選択的にスプレーし;および
最終水性ベース溶液で選択的にスプレーされた合金鋳造品を、300°F(1
48.88℃)以上の温度で1時間以上ベーキングするステップを含むことを特
徴とする合金鋳造品に樹脂をシールする方法。
33. 加熱された合金鋳造品にシール用コーティングを選択的にスプレーす
るステップが、合金鋳造品の損傷部分付近にのみシール用コーティングをスプレ
ーすることを含む請求の範囲第10項に記載の方法。
34. 最終水性ベース溶液で加熱された合金鋳造品を選択的にスプレーする
ステップが、合金鋳造品の損傷部分付近にのみ最終水性ベース溶液をスプレーす
ることを含む請求の範囲第22項に記載の方法。