JP6347531B1 - 皮膜形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】金属表面の耐食性を向上させること。
【解決手段】本発明は、亜鉛皮膜または亜鉛合金皮膜12の表面に珪酸アルカリ金属塩溶液を塗布S12し乾燥S14させる工程と、前記乾燥させた前記亜鉛皮膜または前記亜鉛合金皮膜12の表面にオルガノシロキサン、アルコキシシランオリゴマーまたはコロイダルシリカを含む溶液を塗布S16し乾燥S18させることで、シリカ皮膜16を形成する工程と、を含む皮膜形成方法である。
【選択図】図1

Description

本発明は、皮膜形成方法に関し、例えばシリカ皮膜を形成する皮膜形成方法に関する。
亜鉛皮膜や亜鉛合金皮膜等の金属表面にシリカ皮膜を設けることで錆等の腐食を抑制することが知られている(例えば特許文献1から3)。アルコキシシランオリゴマーを含むアルコール溶液を用いシリカ皮膜を形成することが知られている(例えば特許文献1)。水性コロイダルシリカを含む水性溶液を用いシリカ皮膜を形成することが知られている(例えば特許文献2)。亜鉛または亜鉛合金の電気メッキ膜に亜鉛、アルミニウムおよびシリカ化合物の混合皮膜を焼き付け塗装し、ポリオルガノシロキサン薄膜を焼成処理しシリカ皮膜を形成することが知られている(例えば特許文献3)。
特許第4128969号公報 特許第5364390号公報 特許第5840278号公報
特許文献1から3の方法では、クロムを用いずに耐食性を向上できる。しかしながら、特許文献1から3の方法を用い金属表面にシリカ皮膜を形成しても十分な耐食性が得られない場合がある。例えば、溶融亜鉛メッキ膜に特許文献1から3の方法を用いシリカ皮膜を形成しても十分な防錆性は得られない。
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、金属表面の耐食性を向上させることを目的とする。
本発明は、亜鉛皮膜または亜鉛合金皮膜の表面に珪酸アルカリ金属塩溶液を塗布し乾燥させる工程と、前記乾燥させた前記亜鉛皮膜または前記亜鉛合金皮膜の表面に水性コロイダルシリカとアルコールおよび水の混合溶媒とを含む水性溶液を塗布し加熱処理することで、シリカ皮膜を形成する工程と、を含む皮膜形成方法である。
上記構成において、前記珪酸アルカリ金属塩溶液は珪酸ソーダ溶液である構成とすることができる。
上記構成において、前記亜鉛皮膜または前記亜鉛合金皮膜は溶融亜鉛メッキ膜である構成とすることができる。
本発明は、亜鉛皮膜または亜鉛合金皮膜の表面に珪酸アルカリ金属塩溶液を塗布し乾燥させる工程と、前記乾燥させた前記亜鉛皮膜または前記亜鉛合金皮膜の表面にテトラアルコキシシランを加水分解しかつ縮重合された重量平均分子量が1000から10000であるアルコキシシランオリゴマーを含む有機溶液を塗布し加熱することで、シリカ皮膜を形成する工程と、を含む皮膜形成方法である
上記構成において、前記亜鉛皮膜または前記亜鉛合金皮膜は溶融亜鉛メッキ膜であり、前記珪酸アルカリ金属塩溶液は珪酸ソーダ3号を含む珪酸ソーダ溶液であり、前記水性溶液は、水性コロイダルシリカ、チタン化合物、イソプロピルアルコール、シランカップリング剤、樹脂および水を含構成とすることができる。
上記構成において、前記シリカ皮膜を形成する工程における加熱処理は、80℃から150℃の温度で行う塗布した溶液の乾燥である構成とすることができる。
本発明は、金属表面に珪酸アルカリ金属塩溶液を塗布し乾燥させる工程と、前記乾燥させた前記金属表面に水性コロイダルシリカとアルコールおよび水の混合溶媒とを含む水性溶液を塗布し加熱処理することで、シリカ皮膜を形成する工程と、を含む皮膜形成方法である。また、本発明は、金属表面に珪酸アルカリ金属塩溶液を塗布し乾燥させる工程と、前記乾燥させた前記金属表面にテトラアルコキシシランを加水分解しかつ縮重合された重量平均分子量が1000から10000であるアルコキシシランオリゴマーを含む有機溶液を塗布し加熱することで、シリカ皮膜を形成する工程と、を含む皮膜形成方法である。
本発明によれば、金属表面の耐食性を向上させることができる。
図1(a)は、実施形態1に係る皮膜形成方法を示すフローチャート、図1(b)は皮膜を形成した金属の断面図である。 図2(a)は、実施形態2に係る皮膜形成方法を示すフローチャート、図2(b)は皮膜を形成した金属の断面図である。 図3(a)は、実施形態3に係る皮膜形成方法を示すフローチャート、図3(b)は皮膜を形成した金属の断面図である。 図4は、実施例1および比較例1から3のサンプルの写真画像である。
[実施形態1]
図1(a)は、実施形態1に係る皮膜形成方法を示すフローチャート、図1(b)は皮膜を形成した金属の断面図である。なお、皮膜14はシリカ皮膜16形成後にはほぼ消失しているが説明を容易にするため図示している。以下の図も同様である。図1(a)および図1(b)に示すように、下地材10に亜鉛皮膜または亜鉛合金皮膜12を形成する(ステップS10)。下地材10は、例えば鉄等の金属であり例えばボルトである。亜鉛皮膜または亜鉛合金皮膜12の膜厚は、例えば1μmから10μmである。なお、ステップS10を行わず、予め表面に亜鉛皮膜または亜鉛合金皮膜12が形成された下地材10を用いることとしてもよい。
亜鉛皮膜は、亜鉛以外の金属元素を意図的に添加していない皮膜であり、例えば電解メッキまたは溶融メッキにより形成する。亜鉛合金皮膜は、亜鉛と他の金属との合金の皮膜である。亜鉛合金としては、例えば亜鉛ニッケル合金である。亜鉛ニッケル合金にはニッケルが例えば5重量%から20重量%含まれる。亜鉛ニッケル合金皮膜は例えば電解メッキにより形成する。亜鉛アルミニウム合金には例えばアルニミウムが皮膜等の亜鉛と他の金属との合金皮膜である。亜鉛アルミニウム合金にはアルミニウムが例えば5重量%から20重量%程度含まれる。亜鉛アルミニウム合金は15重量%程度のシリカ化合物を含んでもよい。亜鉛アルミニウム合金皮膜は例えば塗装および焼き付けにより形成する。
亜鉛皮膜または亜鉛合金皮膜12の表面に珪酸アルカリ金属塩溶液を塗布する(ステップS12)。すなわち、亜鉛皮膜または亜鉛合金皮膜12の表面を珪酸アルカリ金属塩溶液に曝す。珪酸アルカリ金属塩溶液は、例えば珪酸ナトリウム水溶液、珪酸リチウム水溶液または珪酸カリウム水溶液である。珪酸アルカリ金属塩溶液は、珪酸アルカリ金属塩以外の元素または分子を含んでもよい。
珪酸アルカリ金属塩溶液の塗布は、例えば溶液に浸漬した後引き上げる方法、浸漬しその後スピンで残液を振り切る方法、または溶液をスプレーする方法等を用いる。
亜鉛皮膜または亜鉛合金皮膜12の表面を乾燥させる(ステップS14)。これにより、亜鉛皮膜または亜鉛合金皮膜12の表面に薄い皮膜14が形成される。皮膜14は、例えば亜鉛皮膜または亜鉛合金皮膜12の表面を修飾するOH基である。または、皮膜14は珪酸アルカリ金属塩またはその反応生成物である。乾燥は、例えば雰囲気炉または大気炉または温風乾燥炉において80℃から150℃の温度で10分から30分程度行う。
亜鉛皮膜または亜鉛合金皮膜12の表面にシリカ皮膜形成用溶液を塗布する(ステップS16)。シリカ皮膜形成用溶液は、オルガノシロキサンを含む有機溶液、アルコキシシランオリゴマーを含む有機溶液、または水性コロイダルシリカを含む水性溶液である。
オルガノシロキサンを含む有機溶液またはアルコキシシランオリゴマーを含む有機溶液は、例えば特許文献1のようなアルコキシシランオリゴマーのアルコール溶液である。アルコキシシランオリゴマーは、例えばテトラアルコキシシランを加水分解しかつ縮重合された重量平均分子量が1000から10000である。有機溶剤中の濃度はシリカ成分に換算して例えば8重量%から25重量%である。有機溶剤は、メタノール、エタノールおよび/またはイソプロピルアルコール等のアルコールを含む。有機溶剤は、プロピレンフリコールモノメチルエーテルおよび/またはエチレングリコールモノブチルエーテル等のエーテルを含んでもよい。有機溶剤は、テトラエトキシシタンおよび/またはトリエトキシビニルシラン等のシランカップリング剤を含んでもよい。さらに有機溶剤は、酸化チタン粉末および/または有機溶剤に可溶性の樹脂を含んでもよい。
水性コロイダルシリカを含む水性溶液は、例えば特許文献2のような水性コロイダルシリカと、アルコールと水の混合溶媒とを含む水性溶液である。水性コロイダルシリカは、例えば酸性で安定である。混合溶媒中には例えば3重量%から40重量%のアルコールを含む。アルコールは、例えばメタノール、エタノールおよび/またはイソプロピルアルコールである。水性溶液はシランカップリング剤、チタンキレート化合物、および/または水性溶液に可溶性の樹脂を含んでもよい。
シリカ皮膜形成用溶液の塗布は、例えば溶液に浸漬した後引き上げる方法、浸漬しその後スピンで残液を振り切る方法、または溶液をスプレーする方法等を用いる。
塗布したシリカ皮膜形成用溶液を乾燥させる(ステップS18)。これにより、亜鉛皮膜または亜鉛合金皮膜12上にシリカ皮膜16が形成される。これにより、多孔質なシリカ皮膜16が形成される。シリカ皮膜16の膜厚は例えば1μmから20μmである。ステップS16および/またはS18において皮膜14は消失する。皮膜14は残存してもよい。乾燥は、例えば雰囲気炉または大気炉または温風乾燥炉において80℃から150℃の温度で10分から30分程度行う。乾燥に代えまたは加えて焼き付け処理を行ってもよい。焼け付け処理は、例えば150℃から200℃の温度で10分から20分程度行う。
シリカ皮膜16を形成することで、シリカ皮膜16のもつ自己修復作用により、防錆性能等の耐食性能を向上できる。さらに、ステップS16およびS18の前にステップS12およびS14を行うことで、耐食性能がより向上する。ステップS12およびS14により耐食性能がより向上する理由は明確ではないが、例えば以下のように考えられる。
ステップS12およびS14により、OH基を含む皮膜14が形成される。ステップS16および/またはS18においてOHはシリコン原子と結合する。シリコン原子のOH基同士が縮重合反応することで、O−Si−O結合が促進される。これにより、シリカ皮膜16の膜質が向上し、耐食性能がより向上すると考えられる。
実施形態1によれば、ステップS12のように、亜鉛皮膜または亜鉛合金皮膜12の表面に珪酸アルカリ金属塩溶液を塗布し、ステップS14のように乾燥させる。ステップS16のように、乾燥させた亜鉛皮膜または亜鉛合金皮膜12の表面にオルガノシロキサン、アルコキシシランオリゴマーまたはコロイダルシリカを含む溶液を塗布し、ステップS18のように乾燥させる。これにより、シリカ皮膜16を形成する。これにより、耐食性能が向上する。
ステップS12において、珪酸アルカリ金属塩溶液として珪酸ソーダ溶液を用いる。これにより、耐食性能をより向上できる。
亜鉛皮膜または亜鉛合金皮膜12を電解メッキ法または塗装および加熱処理により形成した後、ステップS12およびS14の工程を行わずシリカ皮膜16を形成しても耐食性能は比較的高い。一方、溶融亜鉛メッキ膜にシリカ皮膜16を形成すると耐食性能は低い。例えば鉄製螺子に亜鉛皮膜または亜鉛合金皮膜12を形成し、ステップS12およびS14の工程を行わず、ステップS16およびS18の工程によりシリカ皮膜16を形成したサンプルについてJIS−Z2371に準拠した塩水噴霧試験を行った。亜鉛電解メッキ膜、亜鉛ニッケル合金電解メッキ膜、亜鉛アルミニウム合金塗布焼き付け膜では、約1000時間以上防錆できる。亜鉛溶融メッキ膜では、200時間以下で錆が形成される。このように、亜鉛溶融メッキ膜では、耐食性能が低い。これは、亜鉛溶融メッキ膜には硫黄等の不純物が多く含まれているためと考えられる。
そこで、亜鉛皮膜または亜鉛合金皮膜12が溶融亜鉛メッキ膜のとき、ステップS12およびS14を行うことで、耐食性能を向上できる。
オルガノシロキサン、アルコキシシランオリゴマーまたはコロイダルシリカを含む溶液は、オルガノシロキサンもしくはアルコキシシランオリゴマーを含む有機溶液または水性コロイダルシリカを含む水性溶液である。これにより、耐食性能をより向上できる。
亜鉛皮膜または亜鉛合金皮膜12は溶融亜鉛メッキ膜であり、珪酸アルカリ金属塩溶液は珪酸ソーダ溶液であり、オルガノシロキサン、アルコキシシランオリゴマーまたはコロイダルシリカを含む溶液は、水性コロイダルシリカを含む水性溶液である。これにより、実施例1のようにより耐食性能を向上できる。
[実施形態2]
図2(a)は、実施形態2に係る皮膜形成方法を示すフローチャート、図2(b)は皮膜を形成した金属の断面図である。図2(a)および図2(b)に示すように、ステップS10の後、亜鉛皮膜または亜鉛合金皮膜12の表面にOH基を付加する(ステップS20)。これにより、亜鉛皮膜または亜鉛合金皮膜12の表面に皮膜13が形成される。皮膜13は、亜鉛皮膜または亜鉛合金皮膜12の表面が直接OH基で修飾されたものでもよいし、OH基を含む化合物の膜でもよい。ステップS20としては、例えば実施形態1のステップS12およびS14を行ってもよいし、他の工程を行ってもよい。
亜鉛皮膜または亜鉛合金皮膜12の表面にSi−O結合を含む材料を塗布する(ステップS22)。Si−O結合を含む材料は、例えば実施形態1のオルガノシロキサン、アルコキシシランオリゴマーまたはコロイダルシリカである。Si−O結合を含む材料は、他の材料でもよい。乾燥させることで、シリカ皮膜15を形成する(ステップS24)。ステップS22および/またはS24において皮膜13は消失する。
実施形態2によれば、ステップS20のように、亜鉛皮膜または亜鉛合金皮膜12の表面にOH基を付加する。ステップS22のように、OH基を付加した亜鉛皮膜または亜鉛合金皮膜12の表面に、Si−O結合を含む材料の溶液を塗布し、ステップS24のように乾燥させる。これにより、シリカ皮膜15を形成する。
これにより、亜鉛皮膜または亜鉛合金皮膜12の表面に付加されたOH基により、Si−O結合を有する材料を塗布し乾燥するときに、O−Si−O結合が促進される。これにより、シリカ皮膜15の膜質が向上し、耐食性能がより向上すると考えられる。
OH基を付加する工程は、亜鉛皮膜または亜鉛合金皮膜12の表面に珪酸アルカリ金属塩溶液を塗布する工程を含むことが好ましい。これにより、亜鉛皮膜または亜鉛合金皮膜12の表面にOH基を付加できる。
Si−O結合を有する材料は、オルガノシロキサン、アルコキシシランオリゴマーまたはコロイダルシリカを含むことが好ましい。これにより、シリカ皮膜15を形成できる。
[実施形態3]
図3(a)は、実施形態3に係る皮膜形成方法を示すフローチャート、図3(b)は皮膜を形成した金属の断面図である。図3(a)および図3(b)に示すように、金属11の表面に珪酸アルカリ金属塩溶液を塗布する(ステップS26)。珪酸アルカリ金属塩溶液は、実施形態1と同じである、金属11の表面を乾燥させる(ステップS28)。
珪酸アルカリ金属塩溶液は、例えば珪酸ナトリウム水溶液、珪酸リチウム水溶液または珪酸カリウム水溶液である。珪酸アルカリ金属塩溶液は、珪酸アルカリ金属塩以外の元素または分子を含んでもよい。これにより、実施形態1と同様に、金属11の表面に薄い皮膜14が形成される。その後、実施形態1のステップS16およびS18を行う。これにより、金属11の表面にシリカ皮膜16が形成される。皮膜14は消失する。
実施形態3によれば、ステップS26のように、金属11表面に珪酸アルカリ金属塩溶液を塗布する。ステップS28のように、珪酸アルカリ金属塩溶液を塗布した金属11表面を乾燥させる。ステップS16のように、乾燥させた金属11表面にオルガノシロキサン、アルコキシシランオリゴマーまたはコロイダルシリカを含む溶液を塗布し、ステップS18のように乾燥させることで、シリカ皮膜を形成する。このように、珪酸アルカリ金属塩溶液を塗布する表面は亜鉛皮膜または亜鉛合金皮膜12の表面でなくてもよい。ステップS26およびS28により、金属11の表面にOH基が付加される。これにより、ステップS16およびS18においてO−Si−O結合が促進される。よって、シリカ皮膜の膜質が向上し、耐食性能が向上する。
実施形態1の実施例として、以下の実験を行った。
[実施例1]
下地材10:M10ボルト 炭素鋼(SWCH10R)
図1(a)のステップS10として、溶融亜鉛メッキ膜を形成した。溶融亜鉛メッキ条件は、JIS−H8641のHDZ35に準拠する。
ステップS12として、珪酸ソーダ水溶液に塗布した。条件は以下である。
溶液:奥野製薬工業株式会社製トップアノコート
主に珪酸ソーダ3号が含まれている。
塗布方法:溶液に浸漬
溶液温度:100℃
浸漬時間:10分
ステップS14として、塗布した溶液を乾燥させた。条件は以下である。
乾燥温度:120℃
乾燥時間:30分
ステップS16として、水性コロイダルシリカを含む水性溶液を塗布した。塗布条件は以下である。
溶液:株式会社放電精密加工研究所製ZEC−W
主に、珪素化合物、チタン化合物、イソプロピルアルコール、シランカップリング剤、樹脂および水が含まれている。
塗布方法:溶液に浸漬
溶液温度:常温
ステップS18として、塗布した溶液を乾燥させた。条件は以下である。
乾燥温度:100℃
乾燥時間:20分
以下の比較例を作製した。
[比較例1]
溶融亜鉛メッキのみでステップS12以降は行わない。
[比較例2]
ステップS12およびS14は行わず、ステップS16およびS18として以下を行った。
ステップS16として、オルガノシロキサンまたはアルコキシシランオリゴマーを含む有機溶液を塗布した。塗布条件は以下である。
溶液:株式会社放電精密加工研究所製ZEC−888
主に、珪素化合物、チタン化合物、イソプロピルアルコール、シランカップリング剤および樹脂が含まれている。
塗布方法:溶液に浸漬
溶液温度:常温
ステップS18として、塗布した溶液を乾燥させた。条件は以下である。
乾燥温度:100℃
乾燥時間:20分
[比較例3]
ステップS12およびS14は行わず、実施例1と同じ工程のステップS16およびS18を行った。
実施例1、比較例1から3のサンプルを各々3個用い、塩水噴霧試験を行った。塩水噴霧試験の条件は以下である。
JIS−Z2371に準拠
試験室温度:35±2℃
噴霧液:5%塩化ナトリウム溶液
噴霧量:1.5±0.5ml/時間
試験結果
実施例1:408時間後に白錆が発生した。
比較例1:72時間後に白錆が発生した。
比較例2:192時間後に白錆が発生した。
比較例3:192時間後に白錆が発生した。
図4は、実施例1および比較例1から3のサンプルの写真画像である。「試験前」の画像は塩水噴霧試験を開始する前のサンプルの写真を示す。「408時間後」の画像は、塩水噴霧試験を408時間行った後のサンプルの写真を示す。図4に示すように、実施例1および比較例1から3との、試験前には白錆は発生していない。408時間後には、実施例1ではボルトの先端に若干白錆は発生している。比較例1から3ではボルト全体に白錆が発生している。
比較例1のように、溶融亜鉛メッキ膜を被覆したサンプルは塩水噴霧においてすぐに白錆が発生する。比較例2および3のように溶融亜鉛メッキ膜にシリカ皮膜を被覆させると、白錆が発生する時間は遅くなるものの十分な時間ではない。実施例1のように、溶融亜鉛メッキ膜を形成した後に珪酸ソーダ水溶液に浸し、シリカ皮膜を形成すると、塩水噴霧開始から408時間が経過するまで白錆が発生しない。これは、溶融亜鉛メッキ膜にOH基が付加されたため、シリカ皮膜を形成するときにO−Si−O結合が促進されるためと考えられる。OH基によりO−Si−O結合が促進されるとすると、実施形態1から3においても耐食性能が向上すると考えられる。
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明はかかる特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
10 下地材
11 金属
12 亜鉛皮膜または亜鉛合金皮膜
13、14 皮膜
15、16 シリカ皮膜

Claims (8)

  1. 亜鉛皮膜または亜鉛合金皮膜の表面に珪酸アルカリ金属塩溶液を塗布し乾燥させる工程と、
    前記乾燥させた前記亜鉛皮膜または前記亜鉛合金皮膜の表面に水性コロイダルシリカとアルコールおよび水の混合溶媒とを含む水性溶液を塗布し加熱処理することで、シリカ皮膜を形成する工程と、
    を含む皮膜形成方法。
  2. 亜鉛皮膜または亜鉛合金皮膜の表面に珪酸アルカリ金属塩溶液を塗布し乾燥させる工程と、
    前記乾燥させた前記亜鉛皮膜または前記亜鉛合金皮膜の表面にテトラアルコキシシランを加水分解しかつ縮重合された重量平均分子量が1000から10000であるアルコキシシランオリゴマーを含む有機溶液を塗布し加熱することで、シリカ皮膜を形成する工程と、
    を含む皮膜形成方法。
  3. 前記珪酸アルカリ金属塩溶液は珪酸ソーダ溶液である請求項1または2記載の皮膜形成方法。
  4. 前記亜鉛皮膜または前記亜鉛合金皮膜は溶融亜鉛メッキ膜である請求項1から3のいずれか一項記載の皮膜形成方法。
  5. 前記亜鉛皮膜または前記亜鉛合金皮膜は溶融亜鉛メッキ膜であり、
    前記珪酸アルカリ金属塩溶液は珪酸ソーダ3号を含む珪酸ソーダ溶液であり、
    前記水性溶液は、水性コロイダルシリカ、チタン化合物、イソプロピルアルコール、シランカップリング剤、樹脂および水を含請求項1記載の皮膜形成方法。
  6. 前記シリカ皮膜を形成する工程における加熱処理は、80℃から150℃の温度で行う塗布した溶液の乾燥である請求項1からのいずれか一項記載の皮膜形成方法。
  7. 金属表面に珪酸アルカリ金属塩溶液を塗布し乾燥させる工程と、
    前記乾燥させた前記金属表面に水性コロイダルシリカとアルコールおよび水の混合溶媒とを含む水性溶液を塗布し加熱処理することで、シリカ皮膜を形成する工程と、
    を含む皮膜形成方法。
  8. 金属表面に珪酸アルカリ金属塩溶液を塗布し乾燥させる工程と、
    前記乾燥させた前記金属表面にテトラアルコキシシランを加水分解しかつ縮重合された重量平均分子量が1000から10000であるアルコキシシランオリゴマーを含む有機溶液を塗布し加熱することで、シリカ皮膜を形成する工程と、
    を含む皮膜形成方法。
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