JPH09510882A - 股関節プロテーゼ用楕円形寛骨臼部材 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 股関節部プロテーゼにおける寛骨臼コンポーネントとして使用されるヒップカップであって、少なくとも一部が凸状となった外面を有したシェル部を有し、該シェル部が、実質的に球面の一部の外面によって規定される内面を有した凹所内に挿入可能とされており、前記シェル部の前記外面が実施的に楕円体の一部の外面に対応しており、かつ該シェル部は、位置決めの際に、このシェル部が少なくとも周縁によって前記凹所の長手方向端縁に接触し、その一方で、前記凹所の前記内面と前記シェル部の頂部との間に空隙が形成されるように配設されて成るヒップカップ。

Description

【発明の詳細な説明】 股関節プロテーゼ用楕円形寛骨臼部材 本発明は、股関節プロテーゼ(股関節人工補装具：hip prosthcsis)における寛 骨臼部材(acetabular component)として用いられ、少なくとも一部が凸状とされ た外面を有し、実質的に球面の部分の外面によって規定される内面を有した凹所 内に挿入することのできるシェル部を備えたヒップカップ(hip cup：股関節カッ プ)に関する。 ヒップカップを取り付けるために最も多く用いられる技術には、固めるもの(c cmcntcd)と固めないもの(uncemented)との二つがある。固める技術では、ヒップ カップは骨用セメント(bone cement)によってによって固定される。固めない技 術においては、ネジ式ヒップカップ及び圧着式ヒップカップが用いられる。ネジ 式カップは、骨内に人工的に設置された又はされない凹所内に捩じ込まれ、圧着 式ヒップカップは上記の如き凹所内に該ヒップカップを例えば叩き込むことによ って取り付けられる。 これらの方法を用い、寛骨臼部材の寛骨臼内でのできるだけ正しい位置決めを 通して独自の解剖学上の立場にアプローチすべく試みがなされた。圧着式ヒップ カップの位置は、外力により、位置決め後の初めの数箇月間で僅かに変化する。 この位置の変化は通常「沈下(settling)」と称される。 股関節プロテーゼを患者に取り付けるために、球形カッタによって、寛骨臼内 に真球形の内面を有した凹所を形成し、次に、圧着ヒップカップをぴったりと取 り付ける技術が知られている。よって、この技術は、ヒップカップの外面が、形 成された前記凹所の内面に完全に当接することが必要とされ、その結果、該ヒッ プカップの設置後直ちに、ヒップカップに作用している力が凹所内面に完全に分 配される。特に位置決め後の最初の数箇月間において、患者、特にその患者の脚 の動きによってヒップカップに力が与えられると、そのヒップカップの位置が僅 かに変わることがある。数箇月間ではヒップカップ周辺の骨組織は未だ全体的に は治癒しておらず、そのためヒップカップは寛骨臼とは完全には統合されていな いのでヒップカップは依然として幾分動く可能性があり、そのため、ヒップカッ プの長手方向端縁周りに空隙が生ずる。ヒップカップは頂部に載っているのでヒ ップカップが凹所内にさらに押し込まれることはなく、従ってその結果、特に患 者の動きに関する頭部の変位によって次第に緩くなっていく。そして、このこと が、局部的に高いピーク荷重が生ずる原因となる。 よって、本発明の目的は、頭書のタイプのヒップカップにおいて、位置決め後 のヒップカップの前記沈下が、上述のピーク荷重及び位置変化を生ずることなく 有利な方法で生ずる可能性を残すヒップカップを提供することである。この目的 のため、本発明によるヒップカップは、前記シェル部の前記外面が実施的に楕円 （長円）体の一部の外面に対応しており、かつ該シェル部は、位置決めの際に、 該シェル部が少なくとも周縁によって前記凹所の長手方向端縁に接触するととも に前記凹所の前記内面と前記シェル部の頂部との間に空隙が形成されるように配 設されていることを特徴としている。 このヒップカップは楕円体の外面を有しているので、球面状の凹所内に配され た際には空隙が形成され、その一方、周縁が凹所の長手方向端縁に接触する。こ の結果、ヒップカップの取り付け後数箇月の間にヒップカップに荷重が掛かった 場合には、都合よくこのヒップカップはさらに前記凹所内に幾分押し込まれるこ ととなり、前記凹所の凹状内面に接触する該ヒップカップの凸状外面は徐々に広 がる。凹所形状及びヒップカップ形状の変化により荷重のピークが回避できる結 果、ヒップカップから寛骨臼へ伝達される力はヒップカップの周囲に広く分配さ れるものとなる。本発明に係るヒップカップは凹所内で流面形を有しているため 、凹所の内側に沿ってガイドされ、ヒップカップの傾きは生じない。 前記シェル部分の外面の楕円形状により、少なくとも最終的な位置において、 シェル部頂部と寛骨臼内の凹所内部との間に存在する空隙ができるだけ小さくな り、その上、新しい骨組織の成長によって相当早くかつ完全に埋められる。この ため、寛骨臼内に、ヒップカップの最適かつ非常に安定した位置が得られること となる。従って大抵の場合、寛骨臼内へのヒップカップの固定はもっぱら圧着を 介して得られ、このことは、寛骨臼に孔を穿設する必要が全くなく、またネジを 捩じ込む必要もない、といった利点を有している。結局、そのような孔やネジは 、位置が不適当であった場合に、設置時のみならず設置後においても、人体の重 要な神経及び静脈及びその他の重大な部位に容易に損傷を与える危険性がある。 前記シェル部の外面を規定する楕円形の部分は、好ましくは、楕円をその短軸 回りに回転させ、かつその形成された楕円体を該楕円の長軸により規定された円 形断面と略平行に切断して形成されたものである。この形状は単純な構成であり 、しかもヒップカップの特に適正な適合を可能とするものである。 本発明に係るヒップカップのさらに詳細なる実施形態では、前記楕円体面の前 記短軸と前記長軸との比は約０.９〜０.９７５であり、好ましくは０.９２５で ある。これは、通常寸法のヒップカップにおいて、このヒップカップの高さ／断 面比が最適であって、しかも、前記空隙が、ヒップカップが適正な沈下を生ずる ために充分動くことができ、かつ骨の成長部によって簡単に埋められるものであ ることを意味している。 本発明によるヒップカップの好ましい実施形態では、シェル部がチタン、また はチタン含有合金より製造され、該シェル部の外面は少なくとも部分的に多孔体 となっている。この実施形態のものは、ヒップカップが生物学的適合性(biocomp atible)を有し、そのため人体の拒絶反応が生じず、かつその多孔表面により患 者の骨組織が成長して該ヒップカップの外面に部分的に入り込んでヒップカップ と寛骨臼との癒合を向上させる、といった利点がある。 好ましくは、シェル部の外面には、リン酸カルシウム化合物、好ましくはヒド ロキシアパタイトを含んだコーティングが施されている。これにより、ヒップカ ップと寛骨臼と付着はより促進され、最適化される。 本発明によるヒップカップは、好ましくは、前記シェル部のほぼ内部にぴった りと挿入可能な内側シェルを備えている。この内側シェルは球形シェル形状の内 面を有しており、合成材料、好ましくはポリエチレンより製造されている。この 内側シェルは、その中に回転可能に収容される股関節部頭部(hip head)のための 支持面を形成する。この股関節部頭部は本来のものでもあっても人工的なもので あってもよい。内側シェルは合成材料から製造されるため、摩擦及び摩耗の少な い良好な支持特性が得られ、しかも、該股関節部頭部に付加された力に対する良 好な緩衝が得られる。 本発明はさらに、寛骨臼内に形成された凹所内にヒップカップを設置するのに 使用される取付具、特に本発明によるヒップカップに使用して好適な取付具にも 関連している。本発明による該取付具は、一端に衝撃面を有しかつ他端には、前 記ヒップカップを該取付具に対し取り外し可能に取り付けるとともに位置決め固 定する例えばネジ等の締め付け手段を有したロッドと、該ロッドの周囲にぴった りと配設されたスリーブとを備え、前記スリーブは、前記ロッドに対して角度を 介して延在した位置決めグリップを有している、ことを特徴としている。この取 付具にて、前記衝撃面を一回又はそれ以上叩くことにより最適な方法によってヒ ップカップを前記凹所内に挿入することができ、握りを備えた前記スリーブによ って、ヒップカップが前記凹所内に正しい方向で打ち込まれるよう、前記ロッド の正しい位置決めがなされる。ヒップカップは、前記衝撃面との対向端にぴった りと取り付けられるため、位置決めの際にこのヒップカップの位置が変わること はない。前記握り、好ましくはその衝撃面から離間した端部には、逆衝撃面が設 けられており、これによりヒップカップはこの取付具によって叩き出して取り外 すことも可能である。 さらに本発明は、本発明に係るヒップカップを設置する方法に関連している。 該方法は、球面カッタにより実質的に球面状の内面を持った凹所を形成し、ヒッ プカップを取付具に取り付けて、前記短軸がヒップカップを位置決めするのに適 した位置に保持されるようにヒップカップの長手方向端縁を前記凹所の長手方向 端縁に接触させ、次いで、ヒップカップを、前記取付具によって、ヒップカップ の頂部と凹所の内面との間に空隙を残して凹所内に叩き込み、ヒップカップのシ ェル部がその周縁によって凹所の内側長手方向端縁に当接し、その後、前記取付 具を取り外し、最後に、適当な内側シェルを前記シェル部の所要位置に挿入する ものである。 以下、添付の図面を参照して、本発明に係るヒップカップの実施の形態につい て記載する。図面において、 図１は本発明に係るヒップカップを示すもので、図２のＩ−Ｉ線に沿った断面 図； 図２は本発明に係るヒップカップのシェル部を開口側から見た図； 図３は本発明に係るヒップカップの他の実施形態を示す断面図； 図４は本発明による取付具を示す図である。 本発明によるヒップカップは、図１ないし図３に示すように、外側シェル１と 、その中に収納された内側シェル２と、を備えている。内側シェル２は、好まし くはポリエチレン等の合成材料から製造されるもので、球形の内側空間３を有し ている。この球形の内側空間内に、本来の、あるいはそうでない、図示しないヒ ップヘッドが入り込むことができ、ヒップジョイント(股関節部結合)を形成する 。前記内側シェル２には、その外表面４に沿って、均等に配設された四つのラグ ５が設けられている。これらラグは前記外表面から実質的に半径方向に延びてお り、またこれらラグの各々は、前記外側シェル１の内面７に均等に配設された十 六個の凹部６の一つに受け入れられる。内側シェル２には、外側の長手方向端部 ８に沿って止め肩部９が設けられている。この止め肩部９は、外側シェル１の外 方に延出して、外側シェル１の下端１０の少なくとも一部を覆っている。 前記内側シェル２は、この内側シェル２の外表面４全体が外側シェルの内面７ に接触し、かつ前記複数のラグ５が前記凹部６内にしっかりと入り込むように、 前記外側シェル１内にぴったりと固定され得るものである。内側シェル２は、前 記複数のラグ５を受け入れる凹部６により、外側シェル１に対し異なる六つの位 置を取る取ることができる。これは、内側シェル２が、例えば図３に示す後述す る変形実施形態の場合の如く中心線Ｍを通る面に対して対称的でないような場合 に特に重要である。 前記外側シェル１は楕円体外面１１を備えている。この外面は、楕円をその短 軸Ｋ回りに回転させて得られる回転体によって説明される。図１においてこの短 軸は内側シェル２の中心線Ｍと一致している。この楕円の長軸Ｌに対する短軸Ｋ の比率はおおよそ０.９〜０.９７５であり、好ましくは０.９２５である。通常 寸法のヒップカップに対しては例えば断面において約５０ｍｍであり、つまり、 短軸Ｋは長軸Ｌよりも約３.７５ｍｍ短くなる。よって、この寸法例において、 外側シェル１の最大高さは、楕円体の長軸Ｌにより描かれる円の半径Ｒよりも１ .８７５ｍｍ小さくなることになる。 外側シェル１の前記外面１１からは、周囲に均等に配分された１６個のフィン １８が外方に延びており、これらフィン１８は幾分鋭い外縁１９を有している。 外側シェル１の上面、好ましくは頂部１２には開口１３が設けられており、該 開口には内ネジ１４が形成されている。この開口１３の周囲であって外側シェル １１の内側には、前記短軸Ｋと直角に延在した平坦な環状凹所１５が形成されて いる。ネジ１４によって、外側シェル１を後述する取付具に取り付けることがで きる。 図４に示す如く、前記取付具５０はロッド５１を備え、このロッドは、一端５ ２に衝撃面５３及び握り５４を有し、他端５５に、ヒップカップの前記開口１３ に形成されたネジ１４と協働可能な外ネジ５６を有している。握り５４の、前記 衝撃面５３と離れた一端には逆衝撃面６２が設けられている。前記近接端５５か ら離れた前記外ネジ５６の側面には停止カラー６０が設けられている。この停止 カラーは、前記外側シェル１の頂部１２における厚みにほぼ対応した寸法だけ端 部５５から離間している。停止カラー６０は、外側シェル１の開口１３の周りに 形成された前記環状凹所１５の径に対応した外径を有している。このロッド５１ の中間部５７の範囲に、スリーブ５８をロッド５１に対して設けることができる 。このスリーブが配されることのできる前記中間部は、その一方が前記握り５４ により、また他方が前記ロッド５１に設けられた肥厚部５９により結合されてい る。スリーブ５８から、配置された状態において、位置決めグリップ６１がロッ ド５１の長手軸に対して斜めに、前記停止カラー６０から離れる方向に延出して いる。 本発明によるヒップカップは、下記の如く寛骨臼内に挿入される。 例えば疾患や損傷により、現存する本来のヒップカップが最早使用できなくな った患者の寛骨臼２１において、球形凹所１６が球面カッタによって形成される 。その凹所１６の内面１７を描く球面は、前記長軸Ｌの長さに対応した中心線を 有している。前記開口１３に切られた前記ネジ１４によって、前記外側シェル１ は、その開口側を前記ロッド５１の方に向けて、ロッド５１の他端５５に形成さ れた前記外ネジ５６にしっかりとネジ留めされる。外側シェル１は、前記停止カ ラー６０が環状凹所１５に接触するよう、充分離れてロッドにネジ留めされる。 この結果、外側シェルはロッド５１の端部の所定の位置に取り付けられ、この外 側シェル１を凹所１６内に挿入することが可能となる。実際のところ、この外側 シェルは、例えばクランプあるいは同様な手段によっても前記ロッドに取り付け ることも可能である。 外側シェル１は前記取り付け具５０により適正位置に保持され、少なくとも複 数の前記フィン１８における、開口側２０と対向した側２２が凹所１６の外側の 長手方向端縁２３に接触する。続いて、外側シェル１が凹所内に入り込むように ハンマ又は同様な手段により前記衝撃面５３に一つ又はそれ以上の打撃が与えら れ、前記複数のフィン１８が凹所１６周囲の寛骨臼内に切り込んで行く。ここで ロッド５１は、少なくとも一時的に前記位置決めグリップ６１によって前記スリ ーブ５８内に置かれて所要位置に動かされ、これにより、外側シェル１が凹所１ ６内の正規位置に挿入される。図１に示す実施形態においては、外側シェル１の 短軸Ｋが凹所１６の対称軸と平行となっているが、例えば図３に示す如き位置補 正の目的で、外側シェル１をこの対称軸に対し僅かに回転した位置に配すること も同様に可能である。 外側シェル１は、該外側シェル１の下端１０がだいたい凹所１６の外方の長手 方向端縁２３のレベルになるまで凹所１６内に押し込まれ、その際、該外側シェ ル１の頂部１２と凹所１６の内面１７との間に空隙が残される。よって、外側シ ェル１は、寛骨臼２１内に延出したフィン１８とともに、前記楕円体外面１１に おける下端１０に近接して延びた部分２５のみによって凹所１６の内面１７に接 触し、そのため、外側シェル１が短軸Ｋ回りに回転することはない。次いで、取 付具５０が開口１３から取り除かれる。 このように外側シェル１が凹所１６の適正な場所の適正な位置に取り付けられ たならば、内側シェル２が外側シェル１にしっかりと接続されるように内側シェ ル２が外側シェル１内の所要位置に押し込まれ、前記複数のラグ５が相応の凹所 ６内に入り込み、ヒップカップは準備完了となる。その後、対応する股関節部頭 部を内側シェル２の内側空間３内に受け入れることができる。 前記ヒップカップは、設置後の数箇月間における該ヒップカップ１の荷重によ って、また凹所１６を閉じる骨組織がその期間では未だ完全には直らずに成長し てないことから、凹所１６内に幾分多めに押し込まれる。これは通常、沈下(set tling)と称される。外側シェル１の外面１１が楕円形であり、またそのために前 記空隙２４が生ずるため、このヒップカップは凹所１６内にさらに押し込まれる ことができ、凹所１６の内部形状も僅かに楕円体となる。楕円体の外面１１によ って外側シェル１は凹所１６の内面１７に沿って簡単に滑ることができる。その 結果、このヒップカップは寛骨臼２１内により正確に固定される。さらに、 設置後初期は、このヒップカップに加えられた力の一部は、図１に矢印Ｆで示す 如く、該ヒップカップの尾部側によって寛骨臼に伝達される。 このことは、前記外側シェルが多くの周知のヒップカップの如く真の球形であ った場合には不可能である（あるいは極めて小さい範囲に限られる）。何故なら 、その場合には外側シェルは凹所の内面に当接する頂部を有し、一方、（変化す る）荷重により前記長手方向端縁の少なくとも尾部に沿って空隙が生じ、ヒップ カップに不利な力の分布を生じる原因となるからである。 位置決めされた後の最初の数箇月間に、該ヒップカップが据えられるときに該 ヒップカップに加えられた力によって、凹所形状の僅かな、ただし適切な変化が もたらされ、凹所の内面が僅かに楕円体となる。従って、本発明によるこのヒッ プカップは凹所内にますます適合するものとなる。 位置決め後、最初の数箇月間で、前記空隙２４は骨組織の発達によって埋まり 、それにより該ヒップカップの適合性はますます向上する。外側シェル１は多孔 上層を備えたチタン合金から製造され、カルシウム・ヒドロキシアパタイトを含 んだコーティングがなされる。このコーティングにより、外側シェル１に向かう 骨の成長が促進され、その骨は前記多孔上層内に僅かに入り込む。加えて、外側 シェル１は充分強固で外力に耐え、しかも生物学的適合性を有している。 前記内側シェル２はポリエチレンから製造される。それは同時に程よい摺動特 性、及び、このヒップヘッドによってヒップカップに伝達される力に対する緩衝 作動をもたらし、その結果、高い荷重ピークが均される。 図３に示す変形実施形態では、内側シェル２′に脱臼防止エッジ２６が設けら れている。この脱臼防止エッジは、外側シェル１′から外方に突出し、頭部側に 位置している内側シェル２′の周縁９′の略半分に沿って延在している。この脱 臼防止エッジ２６は前記頭部の方向に向かって高さが増加しており、ヒップヘッ ドのこのヒップカップからの脱臼を防止しようとするものである。さらに、内側 シェル２′には対称線Ｍ′が設けられている。この対称線Ｍ′は、例えば患者の 脚の動きの最大自由位置を正す目的により外側シェル１′の短軸Ｋに対して傾い ている。このような内側シェル２′を用いた場合には、外側シェル１′内で十六 箇所の位置を取れることが特に有利である。何故なら、これにより寛骨臼２１に 対する外側シェル１′の位置の小さいずれを簡単に補正できるからである。 原理からして、外側シェル１，１′における前記凹部６の数は、その数が少な くとも内側シェル２，２′のラグ５の数に対応し、またその配置が、各ラグ５が 各凹部６内に入り込むことができるものである限り如何程でもよいことが理解さ れる。適切な位置決めのためには、径方向に互いに対向した少なくとも二つ、好 ましくはそれ以上のラグ５を用いることが望ましい。 図３に示した変形実施形態において、外側シェル１′の頭部側に凹所２７が設 けられており、随意使用される固定ネジの頭部を受け入れることができるように なっている。かかる固定ネジはヒップカップの寛骨臼内での安定性を向上させる べきものであり、この目的により、該ネジは外側シェル１′を介して、寛骨臼２ １内に設けられた孔内に捩じ込まれる。ただし、本発明に係るヒップカップを使 用するにおいては、押圧固定によって外側シェル１、従って該ヒップカップ全体 が寛骨臼２１に充分しっかりと取り付けることができるため、ほとんどの使用に おいてはかかる固定ネジは不必要である。 このヒップカップを例えば実行される補正のために凹所から取り除くべき場合 には、前記取付具５０を前記開口１３に再度装着することができ、その後、ハン マ又は同様な手段を用いて前記逆衝撃面を打撃することにより該ヒップカップは 凹所から叩き外される。 本発明は図面及び本明細書に記載した実施の形態に限定されるものではない。 本発明の範囲内での種々の実施形態を採ることが可能である。例えば、外側シェ ルが回転しないように固定するために、骨内に打ち込まれる複数の釘又はネジ、 複数の異形フィン、あるいは例えばいくつかの列として外面のほぼ全体にわたっ て設けられた複数のラグ又は同様な突起等、その他の手段を用いることができる 。また、内側シェルは、患者の動きに対する要求可能性、及び要求される内側シ ェルの外側シェルへの取付方法に応じて全く異種の方法で設計することも可能で ある。例えば、ヒップカップの該ヒップカップ内での回転中心は内側シェルのシ ェル形状を調整することにより移すことができ、また、内側シェルは上記説明し た方法以外の種々の方法により外側シェルに固定することができる。

【手続補正書】特許法第１８４条の８ 【提出日】１９９５年１２月５日 【補正内容】 請求の範囲 １． 股関節部プロテーゼにおける寛骨臼部材として使用され、少なくとも一 部が凸状となった外面を有した外側シェル（１）を有し、該外側シェル（１）が 、 球面の一部によって規定される内面を有した骨の凹所内に挿入可能とされ、 前記骨の凹所内に位置決めされた際に、前記外側シェル（１）の外面（１１） の周縁部（２５）が前記凹所の球面部に接触し、これにより、前記凹所の内面と 前記外側シェル（１）の頂部（１２）との間に間隙（２４）が形成されるヒップ カップにおいて、 前記外側シェル（１）の前記外面（１１）は、楕円をその短軸（Ｋ）回りに回 転させ、かつ前記楕円の長軸（Ｌ）を含む面で切り取って半楕円体を形成するこ とにより規定されたものであり、 前記楕円の前記短軸（Ｋ）と前記長軸（Ｌ）との長さの比は約０.９〜０.９７ ５であり、好ましくは０.９２５である、 ことを特徴とするヒップカップ。 ２． 請求項１記載のヒップカップにおいて、前記ヒップカップは、実質的に 球面の一部の外面によって規定される内面を有した前記骨の凹所内に前記外側シ ェル（１） を回転させて固定される取付けに適合するよう、前記シェル面から外 方に突出した手段（１８）を備えて成るヒップカップ。 ３． 請求項１又は２記載のヒップカップにおいて、前記外側シェル（１）の 前記外面（１１）が生物学的適合性を有し、該外面により、 該外面の少なくとも 一部に及ぶ骨統合が促進されるヒップカップ。 ４． 請求項３記載のヒップカップにおいて、前記外側シェル（１）の本体は チタン又はチタンコーティング合金から製造されて成るヒップカップ。 ５． 請求項３又は４記載のヒップカップにおいて、前記外側シェル（１）の 前記外面（１１）の少なくとも一部は多孔性のものであるヒップカップ。 ６． 請求項３ないし５の何れかに記載のヒップカップにおいて、前記外側シ ェル（１） の前記外面（１１）には、リン酸カルシウム化合物、好ましくはヒド ロキシアパタイトを含むコーティングが設けられて成るヒップカップ。 ７． 請求項１ないし６何れかに記載のヒップカップにおいて、前記外側シェ ル（１）の実的内部に固定的に挿入可能な内側シェル（２） を有しており、該内 側シェル（２）は球形シェル形状とされた内面を有して成るヒップカップ。 ８． 請求項７記載のヒップカップにおいて、前記内側シェル（２）は合成材 料、好ましくはポリエチレンより製造されたものであるヒップカップ。 ９． 請求項７又は８記載のヒップカップにおいて、前記内側シェル（２）は 、複数の回転対応位置において前記外側シェル（１）内にぴったりと収容できる ヒップカップ 。 １０． 請求項１ないし９の何れかに記載のヒップカップにおいて、前記内側 シェル（２） は、取り付けられた状態において前記外側シェル（１）から外方に 延出した脱臼防止エッジ（２６）を有して成るヒップカップ。 １１． 請求項１ないし１０の何れかに記載のヒップカップにおいて、前記外 側シェル（１） には少なくとも一つの開口（１３）が形成されており、該開口は 好ましくは頂部（１２）に形成されているとともに、取付具と協働するのに適合 するネジ（１４）又は同様の締め付け手段を有して成るヒップカップ。 １２． ヒップカップを寛骨臼に形成された凹所内に位置させるのに用いられ 、特に上記請求項１ないし１１の何れかに記載のヒップカップへの使用に適した 取付具であって、 一端に衝撃面（５３）を有し、その対向端に、前記ヒップカップを該取付具に 対し取り外し可能に取り付け位置決め固定するのに適合するネジ等の締め付け手 段（５６）を有したロッド（５１）と、 該ロッド（５１）の周囲にぴったりと配設されることができ、かつロッド（５ １）に対して角度を介して延在した位置決めグリップ（６１）を有した スリーブ（５８） と、 該スリーブ（５８）と前記衝撃面（５３）との間において前記ロッド（５１） に沿って配設された逆衝撃面（６２）と、 を備えて成る 取付具。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １． 股関節部プロテーゼにおける寛骨臼部材として使用され、少なくとも一 部が凸状となった外面を有したシェル部を有し、該シェル部が実質的に球面の一 部の外面によって規定される内面を有した凹所内に挿入可能とされたヒップカッ プであって、 前記シェル部の前記外面が実施的に楕円体の一部の外面に対応しており、かつ 該シェル部は、位置決めの際に該シェル部が少なくとも周縁によって前記凹所の 長手方向端縁に接触し、前記凹所の前記内面と前記シェル部の頂部との間に空隙 が形成されるように配設されていることを特徴とするヒップカップ。 ２． 請求項１記載のヒップカップにおいて、前記楕円体の部分は、楕円をそ の短軸回りに回転させ、かつ、その形成された楕円体を前記楕円の長軸により規 定された円形断面と略平行に切断して形成されたものであることを特徴とするヒ ップカップ。 ３． 請求項１又は２記載のヒップカップにおいて、前記楕円面の前記短軸と 前記長軸との比は約０.９〜０.９７５であり、好ましくは０.９２５であること を特徴とするヒップカップ。 ４． 請求項１ないし３の何れかに記載のヒップカップにおいて、前記ヒップ カップは、実質的に球面の一部の外面によって規定される内面を有した前記凹所 内へ前記シェル部を回転させて固定される取付けに適合するよう、前記楕円面か ら外方に延出した手段を備えていることを特徴とするヒップカップ。 ５． 請求項１ないし４の何れかに記載のヒップカップにおいて、前記シェル 部が、生物学的適合性を有する外面を有し、かつ該外面の少なくとも一部に及ぶ 骨統合を促進することを特徴とするヒップカップ。 ６． 請求項５記載のヒップカップにおいて、前記シェル部はチタン又はチタ ン含有合金から製造されていることを特徴とするヒップカップ。 ７． 請求項５又は６記載のヒップカップにおいて、前記シェル部の前記外面 の少なくとも一部は多孔性のものであることを特徴とするヒップカップ。 ８． 請求項５ないし７の何れかに記載のヒップカップにおいて、前記シェル 部の前記外面には、リン酸カルシウム化合物、好ましくはヒドロキシアパタイト を含むコーティングが設けられていることを特徴とするヒップカップ。 ９． 請求項１ないし８の何れかに記載のヒップカップにおいて、該ヒップカ ップは、前記シェル部の実質的内部に固定的に挿入できる内側シェルを有してお り、該内側シェルは球形シェル形状とされた内面を有していることを特徴とする ヒップカップ。 １０． 請求項９記載のヒップカップにおいて、前記内側シェルは合成材料、 好ましくはポリエチレンより製造されたものであることを特徴とするヒップカッ プ。 １１． 請求項９又は１０記載のヒップカップにおいて、前記内側シェルは、 複数の回転対応位置においてシェル部内にぴったりと収容できることを特徴とす るヒップカップ。 １２． 請求項１ないし１１の何れかに記載のヒップカップにおいて、前記内 側シェルは、取り付けられた状態において前記シェル部から外方に延出した脱臼 防止エッジを有していることを特徴とするヒップカップ。 １３． 請求項１ないし１２の何れかに記載のヒップカップにおいて、前記シ ェル部には少なくとも一つの開口が形成されており、該開口は好ましくは頂部に 形成されているとともに、取付具と協働するのに適合するネジ又は同様の締め付 け手段を有していることを特徴とするヒップカップ。 １４． ヒップカップを寛骨臼に形成された凹所内に位置させるのに用いられ 、特に上記請求項１ないし１３の何れかに記載のヒップカップへの使用に適した 取付具であって、 一端に衝撃面を有しかつ他端には、前記ヒップカップを該取付具に対し取り外 し可能に取り付けるとともに位置決め固定する例えばネジ等の締め付け手段を有 したロッドと、該ロッドの周囲にぴったりと配設されることのできるスリーブと を備え、前記スリーブは、前記ロッドに対して角度を介して延在した位置決めグ リップを有していることを特徴とする取付具。 １５． 請求項１ないし１３の何れかに記載のヒップカップの位置決め方法で あって、 実質的に球面状の内面を持った凹所を球面カッタにより形成し、 前記ヒップカップを取付具に取り付けて、前記ヒップカップの長手方向端縁を 、前記短軸が前記ヒップカップを位置決めするのに適した位置に保持されるよう に前記凹所の長手方向端縁に接触させ、 次いで、前記ヒップカップを、前記取付具によって、前記ヒップカップの頂部 と前記凹所の内面との間を空隙を残して前記凹所内に叩き込み、 前記ヒップカップの前記シェル部をその周縁によって前記凹所の内側長手方向 端縁に当接させ、 その後、前記取付具を取り外し、 最後に、相応な内側シェルを前記シェル部の所要位置に挿入する、 ことを特徴とするヒップカップの位置決め方法。