JPH09509044A - 脳由来膜関連crf結合タンパク質 - Google Patents

脳由来膜関連crf結合タンパク質

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JPH09509044A JP7513885A JP51388595A JPH09509044A JP H09509044 A JPH09509044 A JP H09509044A JP 7513885 A JP7513885 A JP 7513885A JP 51388595 A JP51388595 A JP 51388595A JP H09509044 A JPH09509044 A JP H09509044A
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Abstract

(57)【要約】 単離された実質的に純粋な哺乳類脳由来膜関連CRF結合タンパク質及びその生物活性フラグメントが提供されるだけでなく、CRF結合タンパク質もしくはその生物活性フラグメントまたは別の哺乳類種の同族体をコードする単離され、精製されたDNAフラグメントが提供される。受容体活性化を調節するのに有効な量のこのようなCRF結合タンパク質またはそのフラグメントを投与することにより、(a)脳及び神経系、(b)ACTH、βエンドルフィン及びコルチゾルの産生に特別な下垂体、(c)炎症の部位、(d)胎盤、(e)副腎、(f)生殖腺または(g)胃腸道に対するCRFの作用を調節することが可能である。そのタンパク質のN末端フラグメントの投与はCRFに対する結合部位密度を増大し、こうして生体内のその生物効果を調節する。

Description

【発明の詳細な説明】 脳由来膜関連CRF結合タンパク質 本発明は国立健康協会により授与された補助DK-26741及びHD-13527のもとに政 府の支持によりなされた。政府は本発明に或る種の権利を有する。また、英国の リーディング大学及び医療研究カウンセルが財政面で本発明に貢献した。 本発明は一般に哺乳類中のコルチコトロピン放出因子(CRF)の生物効果の調節 に関するものであり、更に特別には脳中の細胞表面で発現され、かつCRFに対す る高アフィニティーを有するCRF結合タンパク質(CRF-BP)に関する。発明の背景 ストレスは実際の、または認知された脅迫または挑戦を受けた生物に課せられ た要求である。生体恒常状態を維持するために、生物は一連のホルモン応答、自 律応答及び挙動応答を増大し、これらの幾つかが最もストレスのある状況、例え ば、下垂体の副腎軸及び交感神経系の活性化並びに挙動の覚醒に共通している。 大部分のストレス応答は下垂体のACTHの分泌及び生合成を刺激して、増大された 副腎グルココルチコイド産生をもたらす41残基の視床下部ペプチドであるコルチ コトロピン放出因子(CRF)により調節される。このプロセスは負のフィードバッ クループにより調節され、それによりグルココルチコイドがCRF産生を抑制する 。 この視床下部下垂体副腎(HPA)軸中のその役割に基いて最初に単離され、特性 決定されたが、CRFは中枢神経系内だけでなく、神経外組織、例えば、副腎及び 睾丸中に広く分布されていることがわかり、そこでそれはまたパラクリン調節物 質または神経伝達物質として作用し得る。更に、感情の障害、例えば、鬱病及び 拒食症、並びに生殖及び免疫応答の調節におけるCRFの関与は、CRF発現の変化が 重要な生理学的結果を有し得ることを示唆する。例えば、HPA軸を含む調節ルー プの乱れは循環しているグルココルチコイドの慢性的に上昇されたレベルをしば しば生じる。このような患者は、神経幹の肥満、筋肉消耗、及び低下された受胎 率を含む、クッシング症候群の身体的特徴を示す。クッシング症候群の殆どの 症例は下垂体またはそれ程頻繁ではないが非内分泌性組織のACTH産生腫瘍により 引き起こされる。副腎腫瘍または異所性副腎組織はその障害の発生の10〜30%の 原因であるが、下垂体依存性形態とは対照的に、血漿ACTHレベルは上昇されない 。クッシング症候群の幾人かの患者は異所性CRF分泌腫瘍を有すると報告されて おり、CRFが下垂体ACTH産生を慢性的に誘導し、順に、グルココルチコイド放出 を慢性的に誘導し得るという提案をもたらした。CRFの過剰の産生が下垂体肥厚 を引起し、ミクロアデノーマ形成及び過度のACTH産生をもたらし得ることが示唆 されていた。その下垂体肥厚は幾つかのCRF分泌腫瘍を伴い、この提案と合致す る。 こうして、CRFは人体中の種々のペプチドの合成及び分泌の非常に強力な刺激 物質である。ラット及びヒトの種は同じCRF分子(r/h CRFまたはhCRF)を有し、こ れは米国特許第4,489,163号明細書に示される構造を有する41残基ペプチドであ る。ヒツジCRF(oCRF)が最初に特性決定され、その41残基構造が米国特許第4,415 ,558号明細書に示されている。 ヒト末梢循環器系中のCRFレベルは通常低いが、母系循環器中ではしばしば上 昇されたレベルのCRFがあり、そのレベルは妊娠中に次第に増加する。妊娠の症 例、例えば、妊娠誘導高血圧及び早期陣痛における次第に増加する濃度のCRFは 正常な妊娠中に見られる濃度よりも実質的にかなり上昇されることが知られてい た(Campbellら,J.Clin.Endocr.&Metab.,64:1054-1059,1987)。 この母系血漿CRFは、おそらくそれがパラクリン役割を果たす胎盤に由来する ものと考えられる。胎盤細胞はCRFに応答し、CRF及びそのmRNAを産生するこ とが示された。妊娠後期の母系血漿中で測定されたCRF濃度はラット視床下部の 門脈血液中の報告されたレベル(そのレベルはin vitro ACTH放出を刺激するこ とができる)と同様であるとしても、妊娠中のACTHの過剰産生が通常あることは 明らかではない。しかしながら、母系血漿ACTH濃度は妊娠の進行につれてわずか に増加する。 幾人かの研究者らは放射性ヨウ素化CRFによる分子架橋を使用して脳細胞、下 垂体細胞及びAtT-20細胞中の推定のヒツジCRF結合タンパク質及び受容体を同定 し、これらは分子量が40〜70kDの範囲である。架橋CRFの分子量(約5kD)を引 いた後に、下垂体中に見られる主タンパク質形態は70kDであることが報告された (Nishimuraら,J.Biol.Chem.,262,12893(1987))。約50kDの低分子量タンパク 質が主要な脳形態であると報告された(Grigoriadisら,Endocrinology,125,30 68-3077(1989))。これらのタンパク質のサイズの不均一性はおそらく異なるグ リコシル化のためであると考えられた。何となれば、N−グリカナーゼ処理後に 、約40〜46kDの唯一の架橋種が脳及び下垂体の両方中で観察されたからである。 また、CRFを生物学的に不活化することができるヒト血漿中のタンパク質に関 する報告があった。Linton,E.A.ら,Clin.Endo.28,315-324(1988)及びBehan ,D.P.ら,J.Endo.122,23-31(1989)を参照のこと。その後者の論文は約50% 以下の純度であったことが今測定された単離物を生じた部分精製方法を開示して いる。その単離タンパク質の精製が最終的に達成され、そして純粋な化合物の配 列決定がこのタンパク質をコードするDNAをクローン化するのに充分なアミノ 酸配列情報を与え、これが今ヒト血清hCRF結合タンパク質(hCRF-BP)[配列番号 6]と称される(E.Potterら,Nature,349,423-426(1/31/91))。このタンパ ク質物質の役割は妊娠中の不適当な下垂体−副腎の刺激の防止であることが提案 されており、そして組換えラット及びヒト血清CRF-BPが今COS細胞中で発現され た。それらは、CRFの作用を治療上調節できるように、高アフィニティーで41残 基CRFに結合することがわかった。 CRF受容体を単離しようと試みて、幾つかの追加の予備研究が行われていた。G rigoriadis及びDeSouza,J.Biol.Chem.,263,10927-10931(1988)及びGrigo-ria disらの上記の文献は、脳CRF受容体の分子量がヒツジCRFのMWより小さく、約58k Dであると推測した。しかしながら、彼らの特性決定は、受容体と非常に多数の その他のタンパク質を含む粗抽出物中に存在する125I-CRFとの間の化学架橋によ り生成された共有結合複合体のSDS-PAGE分析によるこのタンパク質の分子量の推 定に制限されていた。彼らはCRF受容体に関する更に明確な情報を公表しておら ず、こうして他人が受容体構造を決定し、または利用することを可能にしていな かった。 哺乳類の脳中のシナプス膜CRF結合部位は、CRF-BP遺伝子発現の主要な部位を 含む嗅球を含む幾つかの感知モダリティに主要なリレーに不可欠である。哺乳類 の脳中の膜関連CRF受容体の存在は、とりわけ、コルチコトロピン産生及び中枢 神経系の細胞間の連絡の調節のために存在するCRFペプチドの免疫検出をマスク する重要な細胞グループ中の結合タンパク質の存在により実証される。この分野 における現在の研究は、膜関連脳CRF-BPの発現が如何にしてストレス及びコルチ コステロイドの影響により調節されるのかを測定することを目的とする。 CRFに結合する脳由来膜関連タンパク質の構造及び生物学的特徴を研究し、そ してまたCRF刺激に対する種々の細胞集団の応答においてこれらの結合タンパク 質により果たされる役割を研究するため、またはそれらを治療、アフィニティー カラム中の成分として、診断もしくはアッセイに有効に使用するために、結合タ ンパク質の均一な組成物が必要とされる。このような組成物は培養細胞により発 現される可溶化タンパク質の精製により理論上利用可能である。しかしながら、 検出可能なレベルのCRF受容体を発現することが知られている細胞系においてさ えも、全細胞タンパク質の非常に微量の成分のようなものが存在する。それ故、 このような膜関連CRF結合タンパク質の性質及び構造が確かめられ、その結果、 これらのタンパク質がそれらを薬剤設計のための化合物のスクリーニング、組織 結合部位に関する競合によるCRF受容体のトランスアクチベーションの調節によ る治療、アフィニティーカラム及びその他の適当な目的に利用されることを可能 にするのに充分な量で提供されることが望ましい。発明の要約 幾つかの膜関連CRF-BPタンパク質がヒツジの脳から今単離され、特性決定され た。それらは固相マトリックスに固定されたhCRFに結合する能力を示す。約33kD 及び約35kDの分子量のタンパク質が得られた。夫々が125I放射能標識ヒトCRF及 びヒツジCRFに結合し、所望により、二官能性架橋剤、例えば、ジスクシンイミ ジルスベレートを使用してそれらに架橋し得る。33kD CRF-BP及び35kD CRF-BPは 互いに複合体形成することがわかる。その複合体は、それらに対し産生される抗 体を使用するアッセイにおいて同定されるように、35kDタンパク質のN末端部分 を介するものである。35kDヒツジ脳由来膜関連CRF-BPの生物活性の天然産タンパ ク質分解産物がまた33kD CRF-BPとの複合体形成に活性であり、かつ上記の33 kD/35kDタンパク質複合体の生体内解離を生じるのに活性である35kDタンパク質 のN末端フラグメントとして同定された。hCRF-BP(配列番号6)のN末端フラグ メントが同様に生物活性であり、膜関連CRF-BPの複合体の解離を生じる。また、 オルタナチブ遺伝子スプライシングの結果であると考えられる中間部アミノ酸配 列の欠失を有する、35kDヒツジタンパク質及び33kDヒツジタンパク質の生物活性 CRF結合タンパク質カウンターパートが同定された。 本発明は、特に、CRFと複合体形成し、それにより拮抗会合により哺乳類中のC RF作用を調節するのに使用でき、そしてまた更に有効な類縁体及び薬剤の設計に 使用し得る、ヒト同族体を含む、哺乳類の脳由来膜関連CRF結合タンパク質を提 供する。また、本発明のペプチドは、CRF受容体に対するそれらの相対的なアフ ィニティーを測定するための競合結合アッセイ等において化合物をスクリーニン グするのに有益である。これらのペプチドはまた生物学的試料からのCRFの精製 のためのアフィニティーカラムマトリックスへのカップリングに有益である。N 末端フラグメントが同様にCRF-BPの精製及びアッセイに有益である。好ましい実施態様の詳細な説明 CRFは本明細書に記載された膜関連結合タンパク質と組み合わせて機能する原 形質膜受容体タンパク質によるACTHの生合成及び分泌並びにβ−エンドルフィン 様免疫活性(β-END-LI)を刺激する。本明細書に開示されたタンパク質として、 ヒツジの脳から単離されたものが挙げられるが、これらに限定されない。生物活 性類縁体は、そのアミノ酸が一旦知られると、当業者により容易につくられる。 特にことわらない限り、本明細書に使用されるあらゆる技術用語及び科学用語 は、本発明が属する分野の当業者により普通に理解されるのと同じ意味を有する 。本明細書に現れる種々のアミノ酸配列で生じるアミノ酸は、それらの公知の3 文字略号または1文字略号に従って同定される。種々のDNAフラグメント中で 生じるヌクレオチドは、当業界で日常使用される通常の1文字表示で表示される 。 同族体という用語は、例えば、アミノ酸(AA)レベルまたはヌクレオチドレベル の配列中の員間の一致を示すその通常かつ公知の意味で使用される。この出願の 目的のために、相同は少なくとも約70%の一致を有することを意味し、実質的に 相同は少なくとも約80%の一致を有することを意味し、また高度に相同は少なく とも約90%または好ましくは約95%以上の一致を有することを意味する。 ポリペプチド及びペプチドは隣接残基のα−アミノ基とα−カルボキシ基の間 のペプチド結合により互いに連結されたアミノ酸残基の直線状の系列を表示する 。ポリペプチドという用語はペプチドと若干互換可能に使用されるが、特に限定 されない限り、一般に本明細書に記載されたタンパク質を含むのにまた使用され る。 “類縁体”という用語は、一つ以上の残基が機能上同様の残基で保存的に置換 され、かつ本明細書に記載されたようなCRF-BPを模擬する能力を示す本明細書に 詳しく示された配列と実質的に同一のアミノ酸残基配列を有するあらゆるポリペ プチドを含む。保存的置換の例として、一つの非極性(疎水性)残基、例えば、 イソロイシン、バリン、アラニン、グリシン、ロイシンまたはメチオニンのその 他の残基への置換;一つの極性(親水性)残基のその他の残基への置換、例えば 、アルギニンのリシンへの置換、グルタミンのアスパラギンへの置換、スレオニ ンのセリンへの置換;一つの塩基性残基、例えば、リシン、アルギニンまたはヒ スチジンのその他の残基への置換;及び、一つの酸性残基、例えば、アスパラギ ン酸またはグルタミン酸のその他の残基への置換が挙げられる。また、“保存的 置換”は、このようなポリペプチドが必要な結合活性を示すことを条件として、 非誘導体化残基に代えて化学誘導体化残基の使用を含む。 “化学誘導体”は官能性側鎖基の反応により化学誘導体化された一つ以上の残 基を有する主題ポリペプチドを表す。このような誘導体体化された分子として、 例えば、遊離アミノ基が誘導体化されてアミン塩酸塩、p−トルエンスルホニル 基、カルボベンゾキシ基、t−ブチルオキシカルボニル基、クロロアセチル基ま たはホルミル基を生成した分子が挙げられる。遊離カルボキシル基が誘導体化さ れて塩、メチルエステル基及びエチルエステル基もしくはその他の型のエステル またはヒドラジドを生成してもよい。遊離ヒドロキシル基が誘導体化されてO− アシル誘導体またはO−アルキル誘導体を生成してもよい。ヒスチジンのイミダ ゾール窒素が誘導体化されてN−im−ベンジルヒスチジンを生成してもよい。 また、化学誘導体として、20の標準アミノ酸の一種以上の天然産アミノ酸誘導体 を含むペプチドが挙げられる。例えば、4−ヒドロキシプロリンがプロリンに代 えて置換されてもよく、5−ヒドロキシリシンがリシンに代えて置換されてもよ く、3−メチルヒスチジンがヒスチジンに代えて置換されてもよく、ホモセリン がセリンに代えて置換されてもよく、またオルニチンがリシンに代えて置換され てもよい。また、本発明のポリペプチドとして、必要な生物活性が維持される限 り、配列が本明細書に示されるポリペプチドの配列に対して残基の一つ以上の付 加及び/または欠失を有するあらゆるポリペプチドが挙げられる。 本明細書に使用される“医薬上許される”、“生理学上寛容される”、及びこ れらの文法上の変化は、それらが組成物、担体、希釈剤及び試薬を表す際に、互 換可能に使用され、そしてこれらの物質が悪心、目眩、胃の不調等の如き望まし くない生理学的作用を生じないで哺乳類に投与することができることを表す。 本明細書に使用される“同族体”という用語は、微々たる変化を発生したが、 実質的に同じ方法で同じ生物学的機能を果たす異種哺乳類種からの類似のタンパ ク質、ペプチド及びDNAを表す。 本明細書に使用される“生物活性フラグメント”という用語は、N末端もしく はC末端、またはその両方;または相当するDNAコード領域の5'末端もしくは 3'末端、またはその両方に関してトランケートされた開示されたタンパク質また はペプチドのフラグメントを表し、これらのフラグメントは実質的に同じ機能も しくは直接関係する機能を果たし、または前駆体と実質的に同じ機能もしくは直 接関係する機能を果たすペプチドをコードする。 本明細書に使用される“哺乳類中のCRF受容体のトランスアクチベーションの 調節またはCRFの作用の調節”は、脳由来CRF-BPタンパク質またはその生物活性 フラグメントもしくは同族体を含む治療有効量の生理学上寛容される組成物を投 与してCRFと複合体形成し、かつ/または前記CRF-BP/CRF-BP複合体そしておそら く35kDタンパク質間の複合体を解離し、それにより内在性CRFとの直接または誘 導された拮抗(競合)会合により哺乳類中のCRF作用を調節し、こうしてCRFの周 囲の生体内濃度を低下することを含む。 ヒツジ及びラットの脳細胞の洗剤溶液から得られたCRF結合タンパク質がCRF結 合活性を完全に保持して単離された。これらの結合タンパク質分子を得るため に、哺乳類の脳が適当に均一にされ、処理され、抽出され、そして単離されたCR F-BPが特性決定された。実施例Iに以下に詳しく記載されるように、単離当たり 3つのヒツジの脳のグループを処理することが都合がよい。 33kD及び35kDのヒツジのCRF-BPが実施例Iに記載されたようにしてヒツジから 精製され、そして個々に試験された。実施例Iに示されたようにしてCRF-BPリガ ンドイムノラジオメトリックアッセイ(LIRMA)を使用して、CRF結合タンパク質様 免疫反応性がこれらの2つのバンド中で検出された。CRFに対するそれらのアフ ィニティーを実証するために、単離された脳のヒツジCRF-BPタンパク質が、二官 能性架橋剤としてジスクシンイミジルスベレートを使用して、oCRFまたはhCRFに 夫々架橋される。夫々が125I放射能標識hCRF及びoCRFに結合することがわかる。 これらの単離されたタンパク質を更に特性決定するために、当業界で公知のよう な結合アッセイ実験がまた精製膜関連CRF-BPタンパク質を用いて行われて、それ らがCRFに結合するアフィニティーを測定する。これらのアッセイの結果が解離 定数KDに関して表され、これは存在するするCRF-BPの半分がCRFに結合され、即 ち、CRFと複合体形成される平衡点における遊離CRFの濃度の逆数に等しい。換言 すれば、結合タンパク質が高アフィニティーを有し、CRFに強く結合する場合、 低CRF濃度は合計量の結合タンパク質分子の半分を飽和するであろう。一般に、 約5以下の解離定数は強いアフィニティーの指標であると考えられ、また約6〜 14のKDは中間アフィニティーの指標である。33kD分子はKD=0.25±0.2ナノモル を有する強いアフィニティーでhCRFを結合する。33kDタンパク質のN末端伸長変 種である35kD膜関連タンパク質はKD=7.5±2.5nMを有する。それ故、33kDタンパ ク質よりわずかに短い膜関連結合タンパク質はまた同様の強い結合アフィニティ ーを有するものと考えられる。更に、単離されたヒツジCRF-BPは約1μMの濃度 で冷CRFと特異的に競合することがわかり、これらのタンパク質は実際に41残基C RF分子と選択的に複合体形成していることを示す。 中間アフィニティー、例えば、約6〜約15ナノモルでCRFに結合する膜関連CRF -BPを含む、これらの膜関連CRF-BPは細胞標識受容体へのCRFの送出を促進するの に特に有益であり、この場合、その生物活性が達成される。これらの単離された ヒツジ脳結合タンパク質の両方がCRFに結合するので、それらの間でN末端 中間体を有する結合タンパク質は一般に同様の結合アフィニティーを示すことが 明らかである。更に、残基の一つまたは配列の脱離による33kDタンパク質のN末 端から更に短くされた結合タンパク質はまた中間の結合アフィニティーを示すも のと考えられる。 以下に詳しく説明されるように、35kDタンパク質は一連の異なる実験操作後に 配列番号1に示された295 AA配列を有することがわかった。 N末端エドマン分解が、SDS-PAGE及びPUDF膜への電気移動後に単離されたタン パク質の夫々を気相配列分析に適用することにより二つの単離された脳ヒツジCR F-BPにつき個々に行われた。35kDバンドのN末端配列分析はN末端アミノ酸(AA) 配列:Glu-Ala-Val-Asp-His-Asp-Ser-Phe-Pro-His-Leu-Ala-Gly-Gly-Ala-Ser( 配列番号1の残基1-16)を含むタンパク質を明らかにした。N末端配列分析は33 kDバンドがN末端アミノ酸(AA)配列: Glu-Leu-Glu-Gly-Glu-Pro-Leu-Tyr-Arg-Arg-Ala-Leu-Arg-Cys-Val-Asp-Met-Leu( 配列番号1の残基20-37)を含むタンパク質を含むことを明らかにした。 これらの精製タンパク質のトリプシン消化、続いてトリプシンフラグメントの 精製がまた行われた。33kDタンパク質の精製されたトリプシンフラグメントの全 部に相当するフラグメントが35kDタンパク質のトリプシンフラグメントの中にあ った。 次いでこれらのトリプシンフラグメントのN末端配列分析が行われて、以下の N末端AA配列の同定をもたらした。 Cys残基の存在は、得られた実験情報の全体から演繹された。 多数の品配列の同定による33kD及び35kD脳由来ヒツジCRF-BPの精製及び特性決 定後に、別個の推定されたDNAコード領域に関する合成5'センス及び3'アンチ センスオリゴヌクレオチドが使用されてヒツジcDNA(ヒツジ脳mRNAから 誘導された)からのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によりヒツジCRF-BP遺伝子フラ グメントをクローン化した。552塩基対及び441塩基対(bp)の二つのヒツジCRF-BP cDNAコード領域クローンが夫々配列番号3及び配列番号4として本明細書に示 されるように得られる。加えて、標識CRF-BP cDNAコード領域がその後分子ハイ ブリダイゼーションプローブとして使用されて、ヒツジ脳mRNAからつくられ たλZap(商標)(ストラタゲン、ラジョラ、CA)cDNAライブラリーから遺伝子 セグメントを得た。そのプローブはヒツジ脳cDNAライブラリー中で678 bpヒ ツジCRF-BP部分遺伝子cDNAセグメント(配列番号5)を同定するのに成功し た。 エドマン分解N末端配列分析、PCRクローン化cDNAコード領域、及び部分 cDNAコード領域からの相当するアミノ酸配列のその後の比較は35kDヒツジCR F-BP(配列番号1)及び33kDヒツジCRF-BP(配列番号1の残基20-295)の複合ア ミノ酸配列を生じる。二つのPCRクローン化セグメントの比較により、35kDヒツ ジCRF-BPに相当する37AA残基の欠失を有するタンパク質(配列番号2)そしてま た33kDヒツジCRF-BPに相当するタンパク質(配列番号2の残基20-258)があるこ とが演繹される。また、35kDヒツジCRF-BPの生物活性N末端の18または19AA残基 のタンパク質分解開裂産物(配列番号1の残基1-18または1-19)が演繹される。 ヒトの脳中に約33kD及び約35kDのヒト膜関連CRF-BPタンパク質があり、これらは ヒツジCRF-BPと相同性であり、またラットの脳中でも同様である。 脳からの35kDヒツジタンパク質はC末端部分可溶性ヒト血清CRF-BP(配列番号 6)と共通の或る配列を有し、これが今組換えにより発現された。その成熟ヒト 血清CRF-BPは配列番号6中のcys36とCys57、Cys80とCys117、Cys159とCys181、c ys213とcys240、及びcys253とcys294の間の夫々にその分子中に直線状に配置さ れた5つのジスルフィドブリッジを含むことが測定された。同様の結合パターン がヒツジ精製タンパク質中に存在するものと考えられる。37AA欠失を有するヒツ ジ脳由来CRF-BPにおいて、少なくとも一つのシステイン−システイン潜在性ルー プが欠いており、これがこのようなCRF-BPの三次構造を単離された35kDヒツジ脳 タンパク質の三次構造及びヒトCRF-BPの分泌血清形態と実質的に異ならせる。更 に、可溶性血清CRF-BPタンパク質の構造からの脳由来CRF-BPのN末端の領域にお ける非常にかなりの構造上の相違は、神経膜とのそれらの会合及び脳中のそれら の機能に寄与するものと考えられる。 cDNA PCRクローン(配列番号4)及び複合アミノ酸配列(配列番号2)により 示されるヒツジCRF-BP mRNA内部欠失はオルタネートmRNAスプライシングの 結果であると考えられる。これが二次構造中の第一ジスルフィドループの損失を もたらし、そして本明細書に開示されたようなCRF-BPの多様性を示す。 19アミノ酸N末端ドメインを欠いている33kD脳由来ヒツジCRF-BPは生体内のヒ ツジ脳由来膜関連CRF-BPの70%に相当し、そして上記されたように高アフィニテ ィーでCRFを結合する。また、この33kD膜関連CRF-BPは35kD膜関連CRF-BPと物理 的に複合体形成することが実証され、そしてこの複合体形成はそれに特異的であ る抗体を使用して行われたアッセイの結果として更に大きい生物分子の19残基N 末端を介するものと考えられる。生体内のこのような33kD/35kD CRF-BP複合体ま たは同様の35kD/35kD複合体の生物学的存在中に、両方の複合体形成されたCRF-B Pの高アフィニティーCRF結合部位が利用可能ではなく、またはかなり小さい結合 アフィニティーのものである。これがシナプス部位を自由に結合する周囲CRF中 の生体内の相対的な増加をもたらす。更に、35kD CRF-BPの19残基N末端タンパ ク質分解開裂産物は生物活性であり、33kD/35kD CRF-BP複合体を解離し、こうし て高アフィニティーCRF結合部位を自由にし、その結果、シナプス受容体を結合 するのに利用可能なCRFのレベルを低下する。それ故、このペプチドは脳中で利 用可能なCRFのレベルを低下するその能力の点で治療上有益と考えられる。この ペプチドの同族体変種はヒトを含むその他の哺乳類種中に存在し、この場合、配 列番号6のN末端配列、例えば、残基1-21は同様の生物学的機能を与えるものと 考えられる。また、35kDヒツジ脳由来膜関連CRF-BPの18残基N末端及び19残基N 末端(配列番号1の残基1-18及び1-19)は化学誘導体、類縁体及び複雑な医薬化 合物の設計に医療上有益である。化合物のこの記載されたファミリーはCRFの活 性を特定の臓器の付近に誘導するのに使用し得るものと考えられる。ペプチド/ 化合物は、例えば、局所炎症の治療において貴重な治療薬を与えるものと医療上 認められる。 完全長cDNAヒツジCRF-BP遺伝子セグメントがその後ヒツジ脳cDNAライ ブラリーからクローン化され、それから、35kDタンパク質が29残基リーダー配列 で転写されることが演繹される。 天然産CRF-BPタンパク質は通常の哺乳類の膜の微量成分のみを構成し、また存 在するその他の天然タンパク質に対し、非常に不純な形態でのみ存在する。関係 する作用、生物学的試料の制限された利用可能性及び哺乳類の脳中の比較的低い 濃度のために、CRF-BPを天然源から精製により調製することは非実用的であるで あろう。それ故、脳由来膜CRF-BPは、勿論、本明細書に開示されたような天然タ ンパク質の完全なアミノ酸構造を知ることを伴うタンパク質及び/または類縁体 の組換えDNA生産が可能にされない限り、臨床上の使用または類似の医薬化合 物の包括的な設計に実際に利用できない。 CRF-BPポリペプチドフラグメントは、組換えDNA技術を含む、ポリペプチド 分野の当業者に知られている技術のいずれかにより合成し得る。また、合成化学 技術、例えば、固相メリフィールド型合成が、純度、抗原特異性、望ましくない 副生物を含まないこと、生産の容易さ等の理由のためにポリペプチドフラグメン トを生産するのに好ましい。 例えば、組換えDNA技術は、天然CRF-BPが存在する比率に較べて、細胞物質 及び/またはその分泌中に、全タンパク質に対してかなり高い比率で異種タンパ ク質を産生する生物または細胞系を生じるのに使用し得る。ヒツジCRF-BPだけで なく、その他の哺乳類CRF-BPをコードする合成遺伝子の構築、ひいてはこれらの タンパク質の組換え発現が本明細書に開示されたアミノ酸配列により実施可能に される。このような合成の組換えCRF-BPタンパク質が単離される出発物質はタン パク質汚染物質を実質的に含まず、かつ実質的に大きな濃度の異種タンパク質を 有する培地からのものであるので、利用可能な精製技術は更に高度に精製された CRF-BP製剤を比較的多量にかなり簡単に生産し得る。例えば、CHO細胞中のアミ ノ酸配列配列番号1に相当する合成DNAコード領域の発現は、通常の技術を使 用して行われて295残基グリコシル化タンパク質を生産し得る。例示の組換え生 産が実施例IVに記載される。その結果、治療の方法は組換えタンパク質及びそれ らの有効な類縁体の投与により行い得る。有利に使用されるタンパク質及びペプ チドの例として、35kDヒツジCRF-BP(配列番号1)、33kDヒツジCRF-BP(配列番 号1の残基20-295)、37アミノ酸が欠失されたこれらの2種のタンパク質(配列 番号2及び配列番号2の残基20-258)、成熟35kDタンパク質(配列番号1)のN 末端フラグメント、例えば、残基1-18または1-19(Gluで開始し、LysまたはArg で終止する)、及び成熟ヒト血清タンパク質のN末端フラグメント(例えば、配 列番号6の残基1-21)が挙げられる。 医薬組成物は通常の医薬上許される担体と一緒にペプチドを通常含むであろう 。治療のために、医薬組成物を生成するための医薬上許される担体と組み合わさ れた、実質的に純粋な単離されたCRF-BPもしくは合成CRF-BPまたはこれらの無毒 性塩が、静脈内(iv)、皮下、筋肉内、経皮、例えば、鼻内、または大脳室内にヒ トを含む哺乳類に非経口投与されることが好ましい。経口投与が適当な担体を用 いて可能である。 本発明のあらゆるポリペプチドは医薬上許される塩の形態で使用されてもよい 。本発明のポリペプチドと塩を生成できる好適な酸として、無機酸及び有機酸、 例えば、塩酸、臭化水素酸、過塩素塩、硝酸、チオシアン酸、硫酸、リン酸、酢 酸、プロピオン酸、グリコール酸、乳酸、ピルビン酸、シュウ酸、マロン酸、コ ハク酸、マレイン酸、フマル酸、アントラニル酸、ケイ皮酸、ナフタレンスルホ ン酸、スルファニル酸等が挙げられる。 本発明のペプチドと塩を生成できる好適な塩基として、無機塩基、例えば、水 酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム等、並びに有機塩基、例 えば、モノ−、ジ−、及びトリ−アルキル及び−アリールアミン(例えば、トリ エチルアミン、ジイソプロピルアミン、メチルアミン、ジメチルアミン等)及び 必要により置換されていてもよいエタノールアミン(例えば、エタノールアミン 、ジエタノールアミン、等)が挙げられる。 本発明の治療組成物は、活性成分としてその中に溶解または分散された、本明 細書に記載された脳由来CRF-BPタンパク質、ヒト同族体、ポリペプチドフラグメ ントまたは生物活性類縁体と一緒に生理学上寛容される担体を含むことが望まし いことがある。好ましい実施態様において、治療組成物は治療目的で哺乳類また はヒト患者に投与される時に免疫原性ではない。 その中に溶解または分散された活性成分を含む医薬組成物の調製は当業界で良 く理解されている。典型的には、このような組成物は液体溶液または懸濁液とし て注射液のように調製される。しかしながら、使用前の液体中の溶液、または懸 濁液に適した固体形態がまた調製し得る。また、その製剤は乳化し得る。 活性成分は、医薬上許され、かつ活性成分と適合性であり、かつ本明細書に記 載された治療方法における使用に適した量の賦形剤と混合し得る。好適な賦形剤 は、例えば、水、食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノール等及びこ れらの組み合わせである。加えて、所望により、組成物は活性成分の有効性を増 進する少量の補助物質、例えば、湿潤剤もしくは乳化剤、pH緩衝剤等を含むこと ができる。 本発明の治療組成物はその中に成分の医薬上許される塩を含むことができ、そ の塩が先に記載された。 生理学上寛容される担体は当業界で公知である。液体担体の例示は、活性成分 及び水の他に物質を含まず、または緩衝剤、例えば、生理pH値のリン酸ナトリウ ム、生理食塩水またはその両方、例えば、食塩加リン酸緩衝液を含む無菌水溶液 である。更に、水性担体は一種より多い緩衝塩だけでなく、塩化ナトリウム及び 塩化カリウムの如き塩、デキストロース、ポリエチレングリコール及びその他の 溶質を含むことができる。 また、液体組成物は水に加えて、また水を除いて液相を含むことができる。こ のような付加的な液相の例はグリセリン、植物油、例えば、綿実油、及び水−油 エマルションである。 これらのCRF-BPまたはその或る種のポリペプチドフラグメントの投与は、過剰 のCRFにより生じた哺乳類中の高ACTHレベル(これが本明細書中“CRF誘発ACTH放 出”と称される)を減少するのに有効である。このようにして、CRF-BPは高コル チゾール血症、クッション病、アルコール中毒、神経性食欲不振及び同様の疾患 と関連する高コルチゾル(即ち、グルココルチコイド)レベルを治療するのに有 効である。CRF-BPタンパク質及びそのフラグメントはまた妊娠の後期中に起こる 異常を治療するのに有益である。例えば、それらは妊娠誘発合併症及び増大され たCRFレベルを軽減するのに使用でき、これはそうしないとACTHの過度の放出 をもたらし得る。加えて、CRF-BPタンパク質またはそのフラグメントは投与され て患者中に存在するCRF/CRF-BPの比を減少し得る。また、CRF-BPのiv投与が或る 場合に使用されてもよく、血圧を調節し、それにより低血圧を治療し得る。CRF- BPタンパク質は特に食欲、生殖、成長、不安、鬱病、発熱及び代謝の調節だけで なく、血圧、心拍数及び血流の調節に関して、脳に対するCRFの作用を調節する のに有効に使用し得る。先に示されたように、短いN末端フラグメントがまた脳 中で有益であると予想される。 こうして、本発明は、本発明のCRF-BPタンパク質またはポリペプチドフラグメ ントを含む生理学上寛容される組成物の治療有効量を投与することを特徴とする 哺乳類中のCRFの作用の調節方法を提供する。治療有効量は、患者中で所望の効 果、即ち、ACTHの量を減少し、またはCRF/CRF-BPの比を減少する効果を得るのに 計算された量である。必要とされる投薬量は特別な治療及び所望の治療の期間に 応じて変化するであろう。体重1Kg当たり約10μg〜約1mgの非常に一般的な毎日 の投薬量が現在意図されているが、タンパク質またはポリペプチドのサイズに依 存し、即ち、比較的少量が短いN末端フラグメントにつき使用し得る。加えて、 ACTHレベルの変化が治療レジメ中に監視されて、経時の投与されたCRF-BPタンパ ク質またはポリペプチドフラグメントの有効性を測定し得る。患者中に存在する ACTHのレベルがルーチンの臨床分析により容易に測定でき、そしてACTHのレベル を監視するアッセイが公知である。こうして、本発明の治療方法はまたヒト患者 中のACTHレベルを減少する方法を提供する。 精製され、単離された膜関連CRF-BPまたは組換えタンパク質の製剤は生体内の CRF誘発ACTH放出を抑制するのに有利に使用される。こうして、これらのCRF-BP は治療に投与されてCRFに結合し、CRFを不活化し、それにより過剰のCRFにより 生じた哺乳類中の高ACTHレベルを減少し得る。更に、それらは下垂体ACTH分泌を 減少し、それ故それらが異常に高い状態のもとに、例えば、慢性のストレス中ま たは神経性食欲不振もしくはアルコール中毒で冒された患者中でコルチゾルレベ ルを減少するのに使用し得る。CRF-BPは静脈内(iv)投与される時にまたCRF誘発A CTH放出を防止するのに有効であることがわかった。更に、CRF-BPのiv投与は血 圧を上昇し、このようにして低血圧を治療するのに使用し得るものと考えられ る。 また、これらの結合タンパク質はアッセイ系中で使用されてその結合アフィニ ティーに関するCRFへの化学修飾の効果を監視でき、またそれらは競合結合アッ セイ及びCRF受容体に対するアフィニティーを測定するのに有益なアッセイにお いて化合物をスクリーニングするのに有益である。代表的なアッセイが共有の19 93年7月23日に出願された米国特許出願第08/097,828号に開示されており、その 開示が参考として本明細書に含まれる。ヒトCRFに対するそれらの高い結合アフ ィニティーはこれらの結合タンパク質を体液、例えば、血清中、また組織中のCR Fレベルを測定するアッセイにおける使用に特に有益にする。 CRF-BP/CRF-BP複合体の生体内解離を生じる能力の治療上有益な性質、例えば 、脳由来33kD/35kDまたはおそらく33kD/N末端開裂ペプチド複合体の解離を生じ る性質に関する化合物のスクリーニング方法がここで可能にされる。例えば、等 モル量のヒツジ脳由来33kD CRF-BP及び35kD CRF-BPと過剰の放射能標識CRFがほ ぼ生理イオン性の緩衝液中で混合される。次いで、生物学的平衡に達した後に、 推定の治療化合物、即ち、小ペプチド、または非ペプチド、例えば、ステロイド がその溶液に導入されて、解離が起こって、それにより35kD CRF-BPを遊離し、 それをCRFに結合させるか否かを試験する。生理溶液の動的平衡に続いて、35kD CRF-BPのN末端に対し誘導された精製抗体が添加される。生理条件下の再度の平 衡後に、第一抗体が第二接合抗体またはスタフィロコッカス プロテインAで沈 殿される。上記のN末端ペプチドまたは有効な薬剤候補の場合、35kD CRF-BP/ 標識CRF複合体がそれにより沈殿される。定量分析が行われ、そしてシンチレー ション カウンティングにより比較されて推定の治療化合物の相対的な有効性を 測定する。 これらのCRF結合タンパク質は、固体マトリックスに結合された時にCRFを生物 学的試料または水溶液からアフィニティーの一部等として単離するのに使用し得 る。これらのCRF-BPの結合能力はそれらをアフィニティークロマトグラフィーに 使用されてhCRFまたはCRFの同族体を精製することを可能にする。これらのCRF結 合タンパク質はセファロースまたはその他の適当なアフィニティークロマトグラ フィー担体にカップリングされ、そして溶液及び生物学的試料からCRF及 びCRF類縁体を精製するのに使用し得る。 下記の実施例は、前記に種々に参考とされ、使用された或る種の実験操作を記 載する。実施例I CRFに結合する精製タンパク質を得るために、3種のヒツジ脳を、50mMのリン 酸ナトリウム、100mMの塩化ナトリウム、25mMのEDTA、0.1容量%のアジ化ナトリ ウム(SPEA)を含み、10mMの塩化マグネシウム、2mMのフェニルメチル−スルホニ ルフルオリド(PMSF)、2.8μg/mlのロイペプチン及び7μg/mlのアプロチニンを 含む標準結合緩衝液700ml中で均一にした。ホモジネートを500mlの遠心分離バケ ットに分け、遠心分離機中で3000rpmで10分間回転させて核と粒状物を分離した 。上澄みをデカントし、ペレットを約0.2容量%の濃度のNP-40液体洗剤の水溶液 の添加そして4℃で1時間の攪拌により可溶化した。NP-40(ノニデットP-40) はフェノール1モル当たり平均9モルのエチレンオキサイドを含むオクチルフェ ノール−エチレンオキサイド縮合物からなる洗剤である。それはフルカ・ケミカ ル・コーポレーション及びシグマ・ケミカル社を含む幾つかの供給業者から入手 し得る。使用したNP-40はニューヨーク、ロンコンコマ、11779にあるフルカ・ケ ミカ−バイオケミカから得られた純度99%以上の物質であった。次いでその混合 物を4℃で15分間にわたって5000xgで再度遠心分離し、上澄みをデカントした。 得られたペレットを結合緩衝液400mlの添加により再度抽出し、その混合物をNP- 40を添加しないで上記のようにして再度遠心分離した。再抽出操作を4回繰り返 した。全ての得られた上澄みを溜め、次いで結合緩衝液で4Lの最終容積に希釈 した。 顆粒のアフィゲル クロマトグラフィー媒体(バイオラド)1mlを4℃の蒸留 水50mlで洗浄した。次いでCRF1mgをカップリング緩衝液(これは100mMのHep-es 、pH7.4である)7mlに溶解した。アフィゲル媒体をその混合物に添加し、その 容器を4℃で一夜回転させ、CRFペプチドを全容積10mlの媒体にカップリングさ せた。次いでその固相を重力下に沈降させ、上澄みをデカントした。次いで固相 を1Mのエタノールアミン/HCL pH8.0に暴露し、適当な容器中で25℃で1時間に わたって回転させることによりアフィゲル媒体の未反応の基をブロックした。得 られたCRF-固相接合体を焼結ガラスロートに移し、そして50mMの酢酸ナトリウム /ギ酸塩/20%のアセトニトリル緩衝液、pH3.0及び100mMのHepes pH7.4を含む 夫々50mlの10のバッチで連続して洗浄した。次いでCRF-固相接合体を9mlの冷却 した未活性化顆粒セファロース4Bと充分に混合することにより最後に希釈し、こ の希薄な混合物をアフィニティークロマトグラフィー分離の第一工程の媒体とし て使用した。 冷却した未活性化セファロース4Bによる希釈を使用しなかった以外は上記のよ うにして第二工程分離の媒体を調製し、その結果、顆粒アフィゲル-CRF接合体単 独1mlを使用して極めて小さい容積の物質を処理した。 次いでこのクロマトグラフィー媒体を抽出液とともに4℃で一夜攪拌すること により抽出液4リットルを希釈されたCRF-固相接合体10mlに暴露した。暴露後、 抽出液4Lを粗い焼結ガラスロート600mlで濾過することにより固相を回収した 。次いで固相を0.9%のNaClで焼結ガラスから洗浄して除き、バイオラド・エコ ノカラム(20x2.5cm)に移し、そこでそれを0.9%のNaCl約200mlで更に洗浄した 。次いで結合されたタンパク質を溶離緩衝液、即ち、0.1容量%のウシ血清アル ブミン(BSA)を含む、80%の50mMの酢酸ナトリウム−ギ酸塩緩衝液/20%のアセ トニトリル、pH3.0 50mLで脱着した。10の5mlのフラクションをこの溶離中に連 続して回収した。 フラクションの夫々を、全ヒト組換え成熟タンパク質hCRF-BP(1-298)に対して 産生された抗体(Ab 5144)を使用するCRF-BPリガンドイムノラジオメトリックア ッセイ(LIRMA)の助けによりCRF-BP様免疫反応性につき分析した。そのアッセイ は1:1000初期希釈のCRF-BP抗体5144、及び高アフィニティー放射能標識125I-hCR Fトレース[50,000c.p.m.]を使用した。放射性ヨウ素化CRFトレース50μl[50 ,000c.p.m./アッセイ緩衝液50μlに希釈した]を、夫々のフラクションからの アリコートを含むケイ酸塩ガラス管に添加し、続いて室温で30分間インキュベー トして結合を生じさせた。次いで、例えば、アッセイ緩衝液(0.25%のB.S.A.及 び10mMのMgCl2を含むSPEA)中1:1000に希釈された50μlのCRF-BP抗体5144を夫々 のガラス管に添加し、室温で更に30分間インキュベートする。所望に より競合結合曲線をこの型のアッセイの一部として得るために、結合を0から10 00nMの範囲の一連の冷CRF濃度の存在下で生じさせる。次いで結合された複合体 を沈殿したヒツジ抗ウサギ[SAR]第二抗体[SARI:20、1%のNRS、4%のPEG、 50mMのリン酸ナトリウム、0.1%のアジ化ナトリウムを含む混合物]200μlの添 加により沈殿させ、続いて室温で30分間インキュベートする。次いで抗体結合12 5 I-CRF沈殿を4℃で20分間にわたって遠心分離[3000xg]により分離し、得られ たペレットをγカウンター中でカウントする。 次いで活性フラクションを溜め、pHを1Mのトリス塩基で約7.5に調節し、溶離 液約15mlを得た。次いでこの溶離液を、バイオラド エコノカラム(0.7x10cm)に 装填された未希釈のCRF-固相接合体で4℃で5回パーコレートした。次いで固相 接合体カラムを0.9%のNaCl 40ml及び80%の50mMの酢酸ナトリウム−ギ酸塩/20 %のアセトニトリル緩衝液、pH6.8 15mlで連続して洗浄した。次いで結合された タンパク質を、BSAを含まない以外は第一アフィニティークロマトグラフィー工 程からタンパク質を溶離するのに使用したのと同じ溶離緩衝液を使用して5つの 0.5mlのフラクション中で最後に溶離した。 この固相カラムから溶離し、LIRMAにより測定してAb 5144に結合した活性フラ クションを溜め、次いで真空下でスピードーバク(商標)濃縮装置中で約100μl に濃縮した。次いでこれらの濃縮物をそれらの容積の約4倍の量の5%のメルカ プトエタノールを含むSDS試料緩衝液の添加により還元し、そして試料緩衝液の 色が黄色から淡青色に変化するまで、pHを5MのNaOHの滴下、添加によりほぼ中性 に調節した。次いでその濃縮物を25℃で4時間にわたって10%のSDSポリアクリ ルアミドゲルによるSDS電気泳動にかけた。次いで分離したタンパク質を、移動 緩衝液として10%のメタノールを含む100mMの3−[シクロヘキシルアミノ]− 1−プロパンスルホン酸(CAPS)、pH11緩衝液を使用して、バイオラド トランス ブロット装置中で水平電気泳動を25℃で45分間行うことによりイモビロン-Pブロ ッティング膜に移した。次いでイモビロン膜をアミドブラック染色液で室温で5 分間染色することによりタンパク質バンドを視覚化した。 33kD及び35kDに相当する主要バンドを観察した。次いで染色されたタンパク質 バンドをイモビロン膜(これはポリフッ化ビニリデン(PVDF)膜である)から切断 し、それらを蒸留水1mlを含むエッペンドルフ管中に使用前に貯蔵し、これを-7 0℃に凍結する。この実施例に記載された操作を、3種のヒツジ脳の夫々のもう 二つのグループを使用して繰り返し、同様の染色パターンをイモビロン膜でその 都度得る。 夫々500のラット脳のグループを使用して、記載された操作を繰り返し、同様 の染色パターンをイモビロン膜でその都度得る。ヒト脳組織を使用して、同様の 結果を得る。実施例II 実施例Iからの2種の単離された35kD及び33kD脳由来膜関連ヒツジCRF-BPを、 以下のようにしてアミノ酸配列データを測定することにより特性決定した。 N末端エドマン分解を、単離されたタンパク質の夫々をSDS-PAGE及びPUDF膜へ のエレクトロトランスファー後に気相配列分析に適用することにより単離された 脳ヒツジCRF-BPにつき個々に行った。35kDヒツジCRF-BPのN末端配列分析はN末 端アミノ酸(AA)配列:Glu-Ala-Val-Asp-His-Asp-Ser-Phe-Pro-His-Leu-Ala-Gly- Gly-Ala-Ser(配列番号1の残基1-16)を含むタンパク質を明らかにした。N末端 配列分析は、単離された33kDヒツジCRF-BPがN末端アミノ酸(AA)配列:Glu-Leu- Glu-Gly-Glu-Pro-Leu-Tyr-Arg-Arg-Ala-Leu-Arg-Cys-Val-Asp-Met-Leu(配列番号 1の残基20-37)を含むタンパク質を含むことを明らかにした。 精製ヒツジCRF-BPタンパク質のトリプシン消化を行い、続いてトリプシンフラ グメントを精製する。33kDフラクションからのトリプシンフラグメントは全て35 kDタンパク質のトリプシン消化パターン中にカウンターパートを有する。これら のフラクションのN末端配列決定後の5種の別個のトリプシンフラグメントの配 列分析は下記のAA配列を生じた。 そのCys残基は全体の実験データから演繹された。 精製された33kD及び35kD脳由来ヒツジCRF-BP及びこれらのトリプシンフラグメ ントの配列分析からのN末端配列データを得た後、夫々約55%のG、C含量を有 する21塩基の合成の5'センス及び3'アンチセンスオリゴヌクレオチドを得、これ らは異なる哺乳類種の間に高度に保存されると思われるコード領域に誘導された 。これらのオリゴヌクレオチドを使用してヒツジcDNA(脳mRNAから誘導 された)からポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によりヒツジCRF-BP遺伝子フラグメン トをクローン化した。通常のPCR条件及び94℃の変性、45℃のアニーリング、72 ℃で10分間の一つの最後の伸長を伴う72℃の伸長の35サイクルを使用して、552 塩基対(bp)及び441塩基対(bp)のDNAフラグメントを生産した。これらのヒツ ジCRF-BP cDNA部分クローンは夫々配列番号3及び配列番号4として本明細書に 示される。 ヒト血清CRF-BP cDNAコード領域の5'末端からの621塩基対pst1フラグメントを 標識し、分子ハイブリダイゼーションプローブとして使用して上記のλZap(商標 )ヒツジ脳cDNAラットをスクリーニングした。678bpヒツジCRF-BP cDNA部分 クローン(配列番号5)を同定した。 エドマン分解配列分析、PCRクローン化cDNAフラグメント、及びcDNA 部分クローンからの相当するアミノ酸配列のその後の比較は、35kDヒツジCRF-BP (配列番号1)、33kDヒツジCRF-BP(配列番号1の残基20-295)、及び37アミノ 酸欠失を有するこれらの2種のタンパク質(配列番号2及び配列番号2の残基20 -258)の複合アミノ酸配列を生じる。また、35kDヒツジCRF-BPからタンパク質分 解開裂される生物活性N末端が配列番号1の残基1-18または1-19として同定され る。実施例III ヒツジ脳由来膜関連CRF-BP結合分析及び解離分析 配列番号6(ヒトCRF-BP)のN末端残基を含むペプチドに対し誘導された抗体 はCRF/ヒトCRF-BP複合体を免疫沈殿させることができる。同抗体は完全長ヒツジ 33kDまたは35kDヒツジ脳由来膜関連CRF-BPに対し免疫アフィニティーを有しない 。ヒトCRF-BP N末端に対するアフィニティーを有するこれらの抗体は、33kDヒツ ジ脳由来CRF-BPが溶液に添加される時に配列番号6の完全長ヒトCRF-BPを結合す ることができない。こうして、ヒトCRF-BPのN末端エピトープ領域はヒトCRF-BP /33kDヒツジ脳由来CRF-BP複合体中で抗体からマスクされることが結論される。 配列番号6のヒト残基1-21からなる合成ペプチドはCRFを結合するヒツジCRF-BP の能力を抑制するが、それはCRFを結合する完全長ヒト血清CRF-BPの能力を抑制 しないことが更に示される。これは脳由来ヒツジCRF-BPの70%が35kDヒツジCRF- BPのN末端トランケート変種(33kD)を含むためである。それ故、おそらく、配列 番号6(ヒトCRF-BP)の残基1-21は33kD脳由来ヒツジCRF-BPと複合体形成するが 、完全長35kDヒツジタンパク質とは複合体形成しない。それ故、ヒツジ35kD脳由 来CRF-BPはヒト血清由来CRF-BPに類似する。一方、33kDトランケート変種及びN 末端タンパク質分解開裂産物は異なる機能を有する脳由来哺乳類物体である。 合成の21アミノ酸N末端ヒト血清CRF-BPペプチドはそれ自体ではCRFに対する アフィニティーを有しない。N末端ヒツジCRF-BPペプチド、即ち、配列番号1の 残基1-18及び1-19は同様にCRFと複合体形成しない。しかしながら、33kDヒツジ タンパク質は高アフィニティー(0.25のKD)でCRFを結合する。更に、21残基の合 成のN末端ヒト血清CRF-BPはCRF/33kDヒツジCRF-BP複合体の生成を抑制する。 35kDヒツジCRF-BPは、33kDタンパク質並びに18残基N末端タンパク質分解フラ グメント及び19残基N末端タンパク質分解フラグメントが誘導される前駆体とし て一部利用できる。タンパク質分解開裂は配列番号1の残基19-20の間または残 基18と19の間で起こることがあり、Arg残基が続いてトリミングされる。いずれ にしても、それはCRFに対するそのKDを7.5から0.25ナノモルに減少するヒツジ 脳由来CRF-BPの配座変化をもたらす。また、得られた33kD CRF-BPは35kDヒツジC RF-BPと複合体形成する傾向を有し、この複合体は35kDタンパク質のN末端によ り生じて35kD/33kDヒツジCRF-BP複合体をつくる。こうして、その無傷の露出さ れたN末端19残基領域を有する35kDヒツジCRF-BPは反応性であり、33kD変種と複 合体形成する。しかしながら、N末端開裂された18AAペプチド及び19AAペプチド は35kDタンパク質と競合して、35kDヒツジCRF-BP及び33kDヒツジCRF-BPの複合 体の解離を生じることができる。このN末端タンパク質分解産物及びそのヒト脳 同族体は、それ故、CRF-BP CRF結合部位を遊離し、それにより生物組織中でCRF に対する結合部位密度を増大することができるであろうと予想される。これは生 物組織中のCRFの濃度を有効に低下し、それ故、高レベルのCRFに関連する生理学 的疾患の治療に有益であることが論理的に予想される。 脳由来CRF-BPの33kD変種を生じるタンパク質分解イベントは33kD CRF-BP対35k D CRF-BPの脳中の比を支配するのに重要である。それ故、このタンパク質分解イ ベントは脳中の未結合CRFの平衡レベルを測定するのに重要である。このような 脳プロテアーゼが参加する自然の調節機構は、脳中の33/35kD CRF-BP分子集団ひ いては利用できるシナプスCRF結合部位の量を調節する微小の同調装置である。 それ故、治療上有益なペプチド及びこのプロテアーゼの類縁アンタゴニストは自 生タンパク質分解酵素により認識され、そしてまた自生開裂部位(即ち、配列番 号1の残基18-19及び配列番号6の残基21-22)をスパンするのに充分な長さのCRF -BPフラグメント及び合成の化学誘導体または類縁体の形態で提供し得る。この ようなペプチドは長さが少なくとも約5残基であり、好ましくは長さが約10AA残 基よりも大きく、更に好ましくは約15残基以上である。実施例IV ヒツジCRF-BPをコードする機能性遺伝子の構築だけでなく、これらのタンパク 質の組換え発現の方法が以下に示される。成熟35kDヒツジ脳由来膜関連CRF-BPの DNAコード領域を、5'-3'の順序で、(1)配列番号1の残基1-7をコードする合 成DNA配列(当業者に公知のこれらの特別な残基の遺伝子コードの統計上保存 されたヒトコドンを使用する)、(2)配列番号3の1-189 bpDNA配列、及び(3) 配列番号5のDNA配列の融合により構築する。この複合DNAセグメントの異 種遺伝子発現は成熟35kDタンパク質(配列番号1)の完全コード領域を含み、そ して市販の発現ベクター、例えば、ファーマシア(ピスカサウェイ、NJ)からの pMSG、pSVT7及びpMT2、または広く使用されるオカヤマ−ベルグベクターを使用 してチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、CV-1細胞、HeLa S3、NIH-3T3細胞 またはCOS7細胞中で有効に行われる。通常の技術の使用は295残基の活性な 成熟グリコシル化タンパク質を生じる(また、E.Potterら,Nature,349,423-4 26(1/31/91);分子クローニング、実験マニュアル第2編、16章、培養哺乳類細胞 中のクローン化遺伝子の発現、J.Sambrookら(1989)を参照のこと)。また、Summ ers,M.D.ら,Tex.Agric.Exp.Stn.Bull.1555号(1987)により記載されているよう に、バキュロウイルスベクターが培養昆虫細胞中のこれらの遺伝子の異種発現に 使用されてもよい。この複合DNAセグメント遺伝子はまた天然細菌遺伝子に融 合されて安定なキメラ原核生物生合成タンパク質を生じ得る。これらのキメラタ ンパク質はアフィニティークロマトグラフィーにより容易に単離され、次いでそ の活性タンパク質がその後の部位特異性タンパク質分解開裂により放出される。 良く開発された市販の細菌発現ベクター及び宿主細胞が容易に利用できるだけで なく、これらの生合成ポリペプチドの生産のための単離/精製物質及びプロトコ ル(即ち、タンパク質融合及び精製系(PFP)、ニューイングランド・バイオラブ ズ)が容易に利用できる。 ラットとヒトの間の41AA CRF生物学的メッセンジャーの分子構造に関する進化 の逸脱の明らかな欠如は、このような多様な哺乳類種における類似受容体及びCR F脳由来結合タンパク質の相当するアミノ酸配列中の可能な保存領域のかなりの 指標である。容易に引き出せる結論は、一つの哺乳類種の脳由来膜関連CRF-BP核 酸配列、即ち、本明細書に開示されたヒツジ配列のかなりの部分を一旦有すると 、同族体結合タンパク質をコードするその他の動物種の天然産の変異同族体配列 を得ることが直接的な実施であることである(例えば、Potterら,Nature,349 ,423-426(1991)を参照のこと、そこにはヒト血清由来CRF-BPのcDNAコード 領域が類似の血清由来ラットcDNAコード領域の同定を可能にするのに充分に 相同性であることが示されていた)。例えば、当業者に公知の確立された方法( 例えば、分子クローニング、実験マニュアル第2編、8章、cDNAライブラリ ーの構築及び分析、J.Sambrookら(1989)を参照のこと)を使用して、配列番号3 −5またはその部分がヒト脳mRNAからつくられた哺乳類cDNAライブラリ ーをスクリーニングしてヒト脳由来膜関連CRF-BP DNA同族体コード領域及び/ま たはその他の哺乳類種のこれらのコード領域を同定し、単離し得る。実施例V CRF-BPは、CRFが試料中に存在するか否かを下記のプロトコルに従って測定す るのに使用し得る。適当なアッセイが種々の方法で実施し得る。例えば、CRF-BP を96ウェルのミクロタイタ プレートにカップリングでき、次いでCRFを含むと 予想される試料のアリコートをビオチンがカップリングされた一定量の真正CRF の存在下で結合CRF-BPとともにインキュベートし得る。4〜6時間のインキュベ ーション後に、その溶液を除去し、プレートを洗浄して未結合のCRFを除去する 。ホースラディッシュペルオキシド(HRP)にカップリングされたアビジンを添加 し、インキュベートしてCRF-ビオチン接合体と複合体を生成する。再度、プレー トを洗浄し、HRP基質を添加する。CRFを含まない試料を含む殆どのウェル中で色 が生じる。試料をインキュベートし続けるにつれて、ビオチン-CRF接合体が次第 に減少するレベルで結合する。それ故、発色が小さいであろう。これは、既知濃 度の真正CRF(適当な場合)を使用して較正し得る投薬量依存性応答を生じるであ ろう。この種のアッセイは、いずれの欠点(即ち、放射能トレーサー、活性タン パク質に対する非特異性)もなく、受容体に結合することができる活性リガンド に対する特異性、並びにELISA抗体アッセイの感度及び簡素化を含む、放射性受 容体アッセイの利点を有する。 以上、特にことわらない限り、全ての%は容量%である。 本発明が発明者らに不変に知られている最良の様式を構成するその好ましい実 施態様に関して説明されたが、当業者に明らかであるような種々の変化及び改良 が請求の範囲に示される本発明の範囲から逸脱しないでなし得ることが理解され るべきである。例えば、C末端もしくはN末端または両方の末端で短くされた、 このようなタンパク質の生物活性フラグメントは完全タンパク質に代えて使用さ れて生物活性CRFを調節する同じ生物効果を有し得る。 本発明の特別な特徴が下記の請求の範囲において強調される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI G01N 33/566 0276−2J G01N 33/53 Z // G01N 33/53 9282−4B C12N 5/00 B (C12P 21/02 C12R 1:91) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG ,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN, TD,TG),AP(KE,MW,SD,SZ),AM, AT,AU,BB,BG,BR,BY,CA,CH,C N,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB,GE ,HU,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LK, LR,LT,LU,LV,MD,MG,MN,MW,N L,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE ,SI,SK,TJ,TT,UA,US,UZ,VN (72)発明者 ベーハン ドミニク ピー アメリカ合衆国 カリフォルニア州 92122 サン ディエゴ アヴェニダ ナ ヴィダード 282‐7915 (72)発明者 ヴェイル ワイリー ダブリュー ジュニ ア アメリカ合衆国 カリフォルニア州 92037 ラ ジョラ ヴァルデーズ 1643 (72)発明者 フィッシャー ヴォルフガンク ハー アメリカ合衆国 カリフォルニア州 92024 エンシニタス レッド バーン ロード 1733 (72)発明者 ローリー フィリップ ジェイ イギリス バークシャー アールジー6 2エイチピー リーディング アーリー メイデン アーリー ドライヴ 19

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.CRFに対するアフィニティーを示す単離された実質的に純粋な哺乳類脳由来 膜関連CRF結合タンパク質。 2.CRFに対するアフィニティーを示し、かつ配列番号1の下記の配列:残基1-1 6、残基20-37、残基96-106、残基110-120、残基206-222、残基248-256及び残基2 67-272、または別の哺乳類種の天然産同族体からなる群から選ばれた少なくとも 一つの配列を含む請求の範囲第1項に記載の単離された実質的に純粋な哺乳類膜 関連CRF結合タンパク質。 3.約35kDの分子量及び配列番号1の残基1-16のN末端を有する請求の範囲第1 項に記載のCRF結合タンパク質。 4.約33の分子量及び配列番号1の残基20-37のN末端を有する請求の範囲第1 項に記載のCRF結合タンパク質。 5.配列番号2のアミノ酸配列及びその生物活性フラグメントを含む請求の範囲 第1項に記載のCRF結合タンパク質。 6.実質的に配列番号2の残基20-258からなる請求の範囲第1項に記載のCRF結 合タンパク質。 7.複数の化合物をスクリーニングしてどの化合物がCRF受容体をトランスアク チベートするのかを測定する方法であって、 その方法が競合結合アッセイにおいて請求の範囲第2項に記載のCRF結合タ ンパク質を使用することを特徴とする複数の化合物のスクリーニング方法。 8.複数の化合物をスクリーニングしてどの化合物がCRF-BP複合体の解離を生じ るのかを測定する方法であって、 その方法が解離アッセイにおいて請求の範囲第2項に記載のCRF結合タンパ ク質を使用することを特徴とする複数の化合物のスクリーニング方法。 9.配列番号1のアミノ酸配列またはその生物活性フラグメントを含むことを特 徴とするCRF結合タンパク質。 10.実質的に配列番号1の残基20-295からなる請求の範囲第9項に記載の化合物 。 11.実質的に配列番号1の残基1-18または残基1-19からなる請求の範囲第9項に 記載の化合物。 12.CRF受容体のトランスアクチベーションを調節し、または哺乳類中のCRFのそ の作用を調節する方法であって、 その方法が有効量の請求の範囲第9項に記載のCRF結合タンパク質を投与し て受容体活性化を調節することを含み、前記の量が(a)脳及び神経系、(b)ACTH、 βエンドルフィン及びコルチゾルの産生に特別な下垂体、(c)炎症の部位、(d)胎 盤、(f)副腎、(g)生殖腺または(h)胃腸道に対するCRFの作用を調節するのに有効 であることを特徴とする方法。 13.配列番号1を有するCRF結合タンパク質もしくはその生物活性フラグメント 、または同一もしくは別の哺乳類種の天然産同族体タンパク質をコードする単離 され、精製されたDNAフラグメント。 14.配列番号3または別の哺乳類種の天然産同族体配列を含む請求の範囲第13項 に記載のDNAフラグメント。 15.配列番号5または別の哺乳類種の天然産同族体配列を含む請求の範囲第13項 に記載のDNAフラグメント。 16.配列番号2を有するCRF結合タンパク質もしくはその生物活性フラグメント 、または別の哺乳類種の天然産同族体タンパク質をコードする請求の範囲第13項 に記載のDNAフラグメント。 17.配列番号4または別の哺乳類種の天然産同族体配列を含む請求の範囲第16項 に記載のDNAフラグメント。 18.CRF結合タンパク質の生産方法であって、 その方法が前記DNAを発現することができる請求の範囲第13項に記載のD NAフラグメントを含む発現ベクターで形質転換された組換え宿主細胞を培養す ることを含み、前記培養が前記DNAの発現及びタンパク質の回収を可能にする 条件下で行われることを特徴とするCRF結合タンパク質の生産方法。
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