JPH09508566A - 廃棄物材料の濃酸による処理法及びこの方法により製造された生成物 - Google Patents

廃棄物材料の濃酸による処理法及びこの方法により製造された生成物

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JPH09508566A JP7513271A JP51327195A JPH09508566A JP H09508566 A JPH09508566 A JP H09508566A JP 7513271 A JP7513271 A JP 7513271A JP 51327195 A JP51327195 A JP 51327195A JP H09508566 A JPH09508566 A JP H09508566A
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Abstract

(57)【要約】 木材廃棄物(例えば、鋸屑及びこれに類するもの)及び/又は紙、特に故紙(例えば、新聞故紙)及び/又は他のタイプの多糖類(セルロース及びリグニンより本質的に構成される物質)、好ましくは“廃棄物”として入手できる多糖類を濃硫酸(H2SO4・93〜98.5%)若しくは濃リン酸(H3PO4・75〜85%)又はこれら酸の濃縮された形での各種混合物で処理する方法。この方法の生成物は農耕用土壌の処理に又は埋立材料として使用することができる。

Description

【発明の詳細な説明】 廃棄物材料の濃酸による処理法及び この方法により製造された生成物 本発明はリグノセルロース化合物、主として新聞故紙、コンピューター故紙、 故紙一般、及び鋸屑や木屑のような廃木材を、数ある用途の中でも、あらゆる種 類及びタイプの農業用土壌の有益な処理において使用するのに特に適した化合物 に転化する方法に関する。 本発明は、また、濃硫酸(H2SO4・93〜98.5%)により、若しくは濃 リン酸(H3PO4・75〜85%)により、又はこれら酸の濃縮された形での種 々の組み合わせ若しくは混合物により、木材、特に木材廃棄物(例えば、鋸屑及 びこれに類するもの)を処理し、及び/又は紙、特に故紙(例えば、新聞紙)を 処理し、及び/又は、好ましくは“廃棄物”として入手できる他のタイプの多糖 類(本質的にセルロース及びリグニンから構成される物質)を処理することによ って製造することができる、現在存在しない、未知の、無数の新規かつ極めて有 用な組成物に関する。本発明は、更に、規定された量の濃リン酸で処理された木 材廃棄物と新聞故紙との混合物を、規定された量の濃硫酸で既に処理されている 木材廃棄物及び/又は故紙の混合物と物理的に混合して次のものの供給源となり 得ることを証明する組成物をもたらすことを意図するものである:リンの、水和 形態の、可溶性かつ(土壌中)植物に有効な(available-to-plants)五酸化リ ン体;可溶性の化合(combined)リン酸及び非化合(uncombined)リン酸(H3PO4 );可溶性の化合硫酸及び非化合硫酸(H2SO4);有機物質の加水分解体及び一部 分解されていない加水分解体;有効窒素;リグニン及びある種特定のリグノ−有 機化合物;酢酸;セルロース及びリグニンのリン酸及び硫酸の両エステル;及び 農業用土壌一般に適用されるとき、全て化学的に及び生物学的に協力して有効に 作用して、土壌の顕著な改良、肥沃化、pHコントロールの働きによる改善、及 び上記のように処理された土壌中での植物の最適生長条件を与える土壌の総合的 強化をもたらす能力がある、極めて広範囲かつ多数の有機及び無機の両 化合物。複数の、追加の、化学的及び物理的性質の両性質が、上記の多糖類含有 物質を前記の濃酸と化合させることによって製造された本発明の組成物の属性で あると考えることができ、かつ証明することができる。 本発明に係る方法を使用することによって得ることが可能な組成物は、上記の リグノセルロース化合物と共に濃硫酸(H2SO4)、濃リン酸(H3PO4)又は濃硫酸 と濃リン酸の両酸の、色々な量での、化学的及び物理的に組み合わされた形の、 予め選択された混合物のいずれかを少割合乃至60%以上の範囲の色々な量で含 有するように製造することができる。更に、新聞故紙単独としての、或いは各成 分の種類と量のいずれかが及び全てが変動している鋸屑、新聞紙及びコンピュー ター故紙の混合物のような相互混合物としてのリグノセルロース化合物及びセル ロース化合物を、個々に、濃硫酸(93〜98.5%)、濃リン酸(H3PO4・ 75〜85%)、又はここに名を挙げたこれら2種の酸の濃縮体の色々な量の混 合物を色々な量で使用して本発明の方法により処理すると、生成組成物は、また 、高度に吸着性の炭素質物質を種々の含有量で含むように調製される。この炭素 質物質には、セルロース及びリグニンの硫酸エステル及び/又はリン酸エステル のような有機化合物、反応及び熱分解の熱分解生成物、混合- アルデヒド、- ケ トン、- 分解糖のような加水分解生成物及び種々の有機酸、例えば酢酸があり、 これらは、全て、最終生成物中に見いだされる、広範囲の種類と量で存在してい る多数の、異なる、高度に水溶性の酸性物質の吸着に関して大きな容量を有する 活性炭及び炭素質化合物と組み合わされている。更に、主として、濃硫酸及び/ 又は濃リン酸によるリグノセルロース化合物及びセルロース化合物一般について の前記の処理法を使用することにより誘導し得る生成物に存在せしめられる加水 分解性かつ易反応性の酸の可能な量が非常に大量であることに因り、得られる生 成物は、あらゆる種類の塩基性組成物と、所望とされるだろうように部分的に或 いは中和可能で反応性の酸含有物の含有量の全範囲まで容易に化合して、ほとん ど無限の数の、製造した通りの形で使用するための、又はある追加の数の使用法 のために変性されるべき誘導体生成物を形成することができる。例えば:H2S O4を約60%と言う当量(equivalency)で含有するように調製される乾燥した 固体生成物は、色々な量の水和アンモニア(NH4OH)と反応させて、 硫酸アンモニウム(NH42SO4を希望通りの色々な含有量で、(希望通りの )色々な量の、反応性であるが化合していない硫酸自体と物理的に混合した状態 で有する組成物を生成させるように製造することができる。例えば:重量で1/ 3は粉砕された乾燥木材;1/3は裁断された乾燥新聞紙;1/3は水であるセ ルロース系化合物75グラムの混合物を濃硫酸(H2SO4・98%)50グラム で処理し、次いでこの混合物を225〜250°Fの温度で乾燥することにより 、約100グラムの重量を有し、そして硫酸(H2SO4)として表した酸度の当 量が49%である生成物が得られる。この生成物はそっくりそのまま十分な量の 水和アンモニア(NH4OH)溶液と共に噴霧してその全硫酸含有量の約半分を 中和し、他の半分を未中和の硫酸−(H2SO4)自体−のままにして置くことが できる。式1 式2 (42gm.AmSO4・H2O・24.5gm.H2SO4) (66.5gm.水和硫酸アンモニウム) 又は、同様に、リグノセルロース化合物を濃リン酸(H3PO4)で処理する場 合は、得られる生成物はアンモニウムと酸性リン酸アンモニウム塩誘導体を形成 するように完全に中和することができ;又はその酸は、そのリグノセルロース物 質の存在下で、中和されたリン酸アンモニウム化合物と中和されていないリン酸 自体との混合物を色々な量で含有する生成物を形成するように部分的にのみ中和 することができる。尿素のような窒素を含有する塩基性化合物は濃縮酸で処理さ れたリグノセルロースの酸性生成物と混合することによって、選択された酸、そ の使用量、及び尿素又はこのような処理で使用される他の窒素含有化合物の量に 依存して組成が変わり得る硫酸尿素アミド塩及び/又はリン酸尿素アミド塩を形 成することができる。これは、(水性硫酸による常用の処理法を使用する代わり に)リン酸三カルシウム−Ca3(PO42をシングル−過ホスフェート(singl e-super phosphate)又はトリプル−過ホスフェート(triple-super phosphate)に転化するためにこの酸−リグノセルロース化合物を使用する場合 に、本発明の使用により達成することができる。即ち、それは、硫酸単独の使用 によるか、又は濃縮体としての硫酸とリン酸との混合物をそのリグノセルロース と共に使用するかのいずれかにより必要量の酸性化リグノセルロースを化合させ 、次いでこの酸性化された混合物を、化学量論的必要条件が有効ホスフェート生 成物の酸形態への転化を求める通りに、リン酸三カルシウムに加えることによっ て達成することができる。このような生成物は、ホスフェートを含むものをプラ ントに有効な形で有することに加えて、活性炭、炭素質物質、及び“通常の過− リン酸塩”生成物が発揮するよりも土壌プロフィール(soil profile)での寿命 が長いセルロース−酸マトリックスにおける吸着と吸収により有効ホスフェート を酸性ホスフェートとして保持する有機物質をも含有するものも有している。 固体組成物の形で形成されている生成物を有し、そして、物理的に(吸収され ているが、吸着されていない)及び化学的に化合され及び化合されていない硫酸 及び/又はリン酸を、全て、酸性化され、分解され、そして一部炭素化されたリ グノセルロースと物理的に及び化学的に組み合わされている一次及び二次の含有 植物栄養物(所望通りのリン、硫黄及び窒素)を含有するものと共に、それら硫 酸及びリン酸の(所望されるだろう通りの)質と量の両者に関して色々変えた形 で現す、本発明を採用することにより得ることができるほとんど無限の数の化学 的生成物は未知で、市場には存在しない。活性炭及び有機物質が組み合わされて いるこれらの生成物は、可溶性で、利用可能な、そして加水分解性の酸を多様な 量で含み、そしてこれら酸が、順次、イオン交換反応を促進し、土壌構造を土壌 骨格の安定化を通じて強化し、そして透水性と保水能を共に高めるので、土壌の 有益化(beneficiation)を促進するのみならず、土壌のpHを変え、一部修正 し、そしてpH調整を直接助ける極めて高い吸着、吸収容量を示す。同時に、処 理された土壌においては、植物に対する支持性及びその他の植物成長の最適必要 条件を広げつつ、植物に対する速やかな利用のために植物の栄養物の保持状態を 高めるようにすることが可能となる。更に、本発明の方法で製造できる生成物の 水溶性かつ反応性の酸含有物は、(土壌中の遊離アルカリのような)他の反応性 物質とも反応することができることに加えて、追加量の同様の又は異なったセル ロース材料及びリグノセルロース材料を酸性化することができる。例えば、含水 量約35%の鋸屑350グラムを濃硫酸(H2SO4・98.5%)650グラム と混合し、この場合その濃硫酸を1つの一定の流れとしてその鋸屑に直接注加し 、その間にこれら両物質を完全に混合する本発明に係る方法を使用することによ り、代表的な生成物約850グラムが製造された。得られた混合物を225〜3 00°Fの範囲の温度で空気乾燥すると、結果としてH2SO4の百分率として表 される可溶性酸の当量が約70%である自由流動性の乾燥した生成物約850グ ラムが得られたのである。この生成物は、その硫酸に加えて、水溶性の有機化合 物と少量の酸結合水より成る水溶性化合物を約82%と言う百分率で含有してい た。この場合、水不溶性物質は約17%に相当し、それは活性炭約45%と活性 化された有機炭素質物質55%との混合物より成り、そして灰分含有量はこの水 不溶性物質の約0.5%に相当すると定量された。上記のようにして製造され、 定義された酸性化生成物425グラムを、裁断された乾燥厚紙約425グラムと 水約225グラムとを混合することにより初めに調製された、裁断された、段ボ ール状の湿潤厚紙650グラムとよく混合した。この湿潤厚紙と酸性化された生 成物425グラムとのよく混合された後の生成混合物を、225〜300°Fの 範囲の温度で乾燥して重量約825グラムの生成物を得た。この生成物は、定量 すると、硫酸(H2SO4)として表した酸の含有量が34.8%であることを示 し、その水溶解度は約40%であった。 上記の情報は、酸では前以て追加の処理が行われていない、埋立材料中に存在 し得ると思われるもののようなセルロース材料及びリグノセルロース材料を酸性 化してこの種材料を最も効果的に分解するのを積極的に助長するための化合及び 非化合の両状態の硫酸を含有する酸性化生成物の追加の使用可能性を述べるもの である。研究によれば、硫黄及びリンの濃酸で酸性化されたこれらの関係リグノ セルロース物質中に存在せしめられている活性炭及び炭素質物質は、それらの表 面にそのような遊離酸を含有し、しかして同様の物質であるが表面に遊離酸を何 ら含有していないそのような物質より濡れと酸反応性が容易になっていることが 示された。このような活性炭化合物は、脂肪族アルコール、脂肪酸アミド、脂肪 酸エステル、二級アルコールサルフェート、硫酸化エステル及び硫酸化二塩基酸 、 とりわけ硫酸及びリン酸反応体生成物(アニオン系界面活性剤及び優れた湿潤剤 である)のような多数の硫酸化有機化合物の存在と相俟って、土壌中に存在する だろういかなるハロゲン化有機物質の一層容易なそして一層完全な分解を強め、 同時にホワイト・ロット・ファンジ(white rot fungi)及び土壌中に存在する だろう数種の他の望ましくない菌成長物の引き付けと撲滅においてリグニン分と 協力して働くと共に、これら生成物中のセルロース及びセルロースエステルに、 懸濁液を吸着するそれらの能力の大きさまでもの、途方もなく大きい吸着容量と 界面活性容量を与える。 かくして、本発明は、以前に開示されていない最初の組成物と共に、それらの 製造に使用するのに最も適した方法に関する。この発明は複数の組成物、用途、 そしてそれらに伴われる価値を含むが、それらは全て一般的な廃棄物材料の有用 な組成物への新規かつ非常に有用な転化を例証するものである。 次の実施例は木材廃棄物、故紙、及び本質的にセルロース−リグニン−多糖類 より成る任意の物質を、農業化学の分野での使用に特に、そして最も適している だけでなく、他の化学分野での使用にも適用可能な、乾燥した固体の組成物に転 化するために本発明を例示説明するものであると考えられるものである。 実施例1: H3PO4(85%)50mLとH2SO4(98.5%)200mLとの混合物 250mLを約30〜40%と言う所定の水分含有量を有する鋸屑(米国標準篩 で4〜20メッシュの粒径範囲が100%)1Kgに加えた。上記の酸混合物は 、これを鋸屑と完全に混合させながら、一定の流れとして3〜5分の間注加され た。結果として生成した混合物を225〜300°Fの範囲の温度で空気乾燥す ると、6.5%の可溶性の有効P25及び52.5%の水溶性分を含有し、H2 SO4の百分率として表した酸当量が47.2%である自由流動性の乾燥した生 成物が800グラム生成した。 実施例2: H2SO4(98.5%)50mLとH3PO4(85%)200mLとの混合物 250mLを鋸屑(上記実施例1に記したものと同じ粒径と水分含有量を有する )1Kgに加えた。上記の酸混合物は、これを鋸屑と完全に混合させながら、 一定の流れとして3〜5分の間注加された。結果として生成した混合物を225 〜300°Fの範囲の温度で空気乾燥すると、25.4%の有効P25及び42 .7%の水溶性分を含有し、H2SO4の百分率として表した酸当量が38.1% である自由流動性の乾燥した生成物が820グラム生成した。 実施例3: リン酸(H3PO4・85%)250mLを鋸屑(実施例1で使用したものと同 じ粒径と水分含有量のもの)1Kgに加えた。上記のリン酸は実施例1及び2に 記載したように添加され、混合され、結果として生成した生成物も実施例1及び 2に記載したように乾燥され、32.5%の可溶性の有効P25及び44.7% の水溶性分を含有する乾燥した自由流動性の生成物を生成させた。 実施例4: 新聞紙300グラムを水中で離解し、続いて遠心分離により過剰の水を除去し 、結果として重量1460グラムの湿潤した紙パルプを得、これにリン酸(H3 PO4・85%)150mLを、その濃リン酸をその湿潤紙パルプと完全に混合 させながら、一定の流れとして加えた。結果として生成した生成物を225〜3 00°Fの範囲の温度で空気乾燥すると、31.8%の可溶性有効P25を含有 する乾燥した生成物が490グラム生成した。 実施例5: 濃硫酸(H2SO4・98.5%)200mLを、約35〜40%の水分含有量 を導くように水で濡らされた、米国標準篩で4〜20メッシュの粒径範囲が10 0%である木材の穴あけ屑1100グラムに加えた。結果として生成した酸性化 された生成物を250°Fの温度で空気乾燥すると、硫酸(H2SO4)の百分率 として表した酸当量が35.2%である乾燥した粒状生成物が1030グラム生 成した。 実施例6: リン酸(H3PO4・85%)200mLを水800mLで前以て濡らされた新 聞紙(切断物)580グラムに加えた。このリン酸をその湿潤紙と完全に混合し た後、生成した混合物を約250°Fの温度で空気乾燥すると、可溶性の有効P25を24.4%含有する乾燥した生成物が生成した。 本発明の方法の最も典型的かつ最も生産性の高い使用例は、厨芥として知られ る、固体の都市廃棄物と一般に称される廃棄物の処理及び都市下水処理プラント で生成する如き下水汚泥の処理に見いだされる。ガラス、鉄金属類及びアルミニ ウム金属を取り除いた後の“平均的な”都市厨芥について調べると、厨芥は次の 材料より本質的に成っていることが示された;紙及び厚紙46.9%、木材8. 5%、食品廃棄物8.4%、繊維材料3.5%、プラスチック類10.4%、園 芸廃棄物20.3%で、残り2%が出所不明の外来物。言い換えると、厨芥は大 部分がセルロース材料とリグノセルロース材料から本質的に構成されている。都 市下水の汚泥も、人間及び動物が出すごみ、汚物及び外来物を含んでいる外に、 大量の反応性セルロース系リグノセルロースを含有している。多数の出所から得 られた厨芥及び下水汚泥の試料は、全て、処理のし易さに優れ、それらを埋立材 料に含めるのに最も適した材料か、又はあらゆるタイプの農耕用土壌に適用して 、農耕用土壌の有益化に特に有用であることに加えて、必要な植物栄養物を提供 するのに適した化学的生成物のいずれかに転化する目的から、本発明の方法で処 理することができることが証明された。本発明を使用してこれらの廃棄物を処理 するに当たって、使用される濃縮酸の作用と、この濃酸が濃厚な酸として厨芥又 は下水汚泥(又はこれら廃材料の混合物でさえも)と初めに接触せしめられると きに発生する水蒸気−熱の作用は、菌類及びかび類、更にはバクテリアのような 腐敗物に寄生するもの及び存在するだろう高温生物を死滅させる場合に極めて有 効である。(濃酸を全て初めに一度に処理下にある廃棄物に添入した後、それに 続いて行われる)追加の処理は、生成物を225〜300°Fの範囲の温度で“ 乾燥”することから成る。この乾燥工程中に、(水蒸気としての)水分が生成物 から放出され、同時に酸濃度が更に上昇せしめられる。このことで、酸含有量が 非常に高い系中での水蒸気熱の発生を伴う初めの酸添加に対して十分に暴露され ることを逃れた可能性のある、死滅させることが最も困難な有害な全ての生物を 完全に撲滅することが保証される。ここで更に留意すべきは、硫酸根(SO4 =) とリン酸根(PO4 -3)の両者に含まれる酸素は、それらを土壌に加える場合に 、これら生成物から入手できるようになることである。これらの酸素基は、生物 学的安定化の速度を速め、同時に、不快な(腐敗による)臭いの発生を伴って望 ま しくない感染性条件(septic conditions)をもたらすと思われる土壌中の溶存 酸素の減少を予防する助けとなすために、好気菌を利用できるようにする。下水 汚泥又は類似の悪臭を放つ材料から誘導される本発明の生成物によれば、(前記 の)硫酸根及び/又はリン酸根の存在は、臭いを出すスルフィド系硫黄化合物、 アミン類、並びにインドール及びスカトールと言った化合物のような(蛋白質の 腐敗に由来する)ベンゾピロール類(これらは大部分人間が出す廃棄物に含まれ るベンゾピロール類からの強力な臭いの原因である)を酸化し、毒素を除く実質 的な助けになる。酸素基の作用機構を以下に示す: 使用される濃酸のセルロース材料との反応により酢酸が生成することから見て 、その酢酸にメトキシ基−(CH3O-)−が存在することは、電子引き抜き反応を 促進するプロトンとしてのヒドロキシル性水素の分離を助長することによってイ オン化性を増加させ、それによって下水汚泥中に含まれる臭い本体の脱毒素が更 に向上せしめられる。本発明を使用することにより導かれる生成物中に存在する 有機物質の主要な効果は、単に、性質が酸性の農耕用土壌を製造する目的にある のではなく、主としてそのような土壌の土壌緩衝能を高めるに当たってその有機 物質を使用するためにある。乾ききった土地の土壌では、特に、そのような土壌 が潅漑によって農産物の生産が行えるような状態にされるまでは、非常に少量の 有機物しか存在しないことが判明している。しかして、本発明を使用することに より導き得る多くの生成物は、そのような土壌、特に大量の酸中和可能なアルカ リを含む乾ききった土地の土壌に対する使用に関して異例に高価値であることが 見いだされる。軽質の砂土に対しては、本発明に係る生成物の使用は、農業演習 で証明されたように(この農業演習では敏感になっている作物(brought sensitive crops)に対する潅漑の必要が75%以上減少せしめられる)、吸水 性、保水性及び水の保持容量を著しく増加させる。そしてまた、本発明に係る生 成物の使用によれば、栄養素含有有機物の長期間にわたる追加の分解中に必要と される通りにゆっくり摂取されるようにすべく栄養物を吸収する本発明の各種生 成物の能力によって示されるように、有機物の量、タイプ及び性質に因っては栄 養素の供給が著しく増加せしめられる。ここでまた留意すべきは、本発明に係る 生成物において、制御された可変含有量の反応性の酸と有効酸素と共に存在可能 な有機物のこの非常に高い含有量は、栄養物としての鉱物質(元素)をクレーと 同様の、塩に似た結合状態で保持する能力を含めて、非常に大きな塩基交換特性 に寄与する。更に、酸は、例えばアルカリ性土壌のアルカリ度を中和するときに 消費されるので、その過程で形成される中性塩生成物は直ちに水溶液に放出され るのではなく、吸着で有機物粒子の面上に保持される傾向がある。ここで、その ような中性塩生成物が直ちに水溶液に放出される場合は、土壌の導電率の増加に よって、また土壌に対する塩類化作用(salinization)を予防するために必要な 量の有機物が不足しているそのような土壌系で成長している作物に対する有害な 作用により証明されるように、反応性の可溶性塩の存在量に望ましくない、所望 されない増大が引き起こされる。 本発明の最大の基本をなすと考えられるこれら生成物は、化合した及び化合し ていない両状態の硫酸及び/又はリン酸を色々な含有量で有しているが、この生 成物を高酸性タイプの土壌の有益化に使用する目的で設計する場合には、その生 成物(セルロース及び/又はリグノセルロースの濃硫酸及び/又は濃リン酸によ る処理で形成されたその生成物)は、それらを、例えば石灰又は石灰石のような アルカリ性材料で更に処理して、考えている有機物の生成物中に存在しているい かなる含有遊離酸も、そのあるもの若しくはその何らかの部分又はその全てを中 和することができる。所望とされるならば、得られる生成物を、水溶性の酸又は 中性の硫酸塩及び/又はリン酸塩を、石灰が不足した酸タイプの土壌の処理に使 用するための有機物−吸着カルシウムと共に含有するように製造できるようにす るために、十分な量の酸化カルシウム(CaO)含有材料を加えることができる。 本発明で使用されるセルロース系材料のような生成物を使用することの利点は、 土壌中に有機物の構造体として存在する(前記の濃酸で処理された後の)セルロ ース及びリグニン酸の硫酸エステル及び酸性リン酸エステルが典型的なものであ る大きい分子凝集物中に一緒に保持されている大量かつ多数の酸性有機基が、微 生物による攻撃と即時破壊に対して極めて耐性であると言うことである。しかし て、このような有機基の存在は土壌の総合構造を改善するように作用すると共に 、同時に土壌中に存在するクレー鉱物質の表面と相互作用して、土壌の栄養物を 提供し、土壌を有益化する。 本発明は、廃棄物を有用な農業用化成品に転化することによって、そのような 廃棄物の有用な形での処分を可能にする方法を提供するために主として開発され た。しかし、もし利用可能な廃棄物の量が農業用化成品としての転化形態で使用 することができ、そしてそのような形態で使用されるだろう量を越えるならば、 本発明の廃棄セルロース材料の濃酸による酸性化プロセスでは、ほとんどの場合 、処理されたそのような廃棄物の総容積は30〜65%低下せしめられるので、 そのような酸性化による本発明の主要な価値の1つが導かれると予想された。こ の容積低下だけで、少なくとも平均で、埋め立てに利用できる容積の2倍になる と思われる。同時に、この生成物は濃硫酸又は濃リン酸のいずれか又は両方とし て有効な酸を規定された量で含有するように製造することができ、またこの有効 な酸は埋立材料に既に存在する前以ては処理されていないセルロース、リグノセ ルロース、炭水化物及び蛋白質系の材料と反応して、そのような材料を分解する から、それらの容積は、順次、低下され、また酸化性のSO4 =根(硫酸根)及び PO4 =根(リン酸根)の存在が毒性の可能性を減じ、かつ酸化による悪臭を放つ 物質の無臭物質への転化を助長する。 次の例は都市厨芥と都市下水汚泥のような廃棄物を有用な農業用化成品に、又 は、所望とされるならば、埋立作業で使用するのに極めて適した生成物に転化す るための本発明の方法の使用例である。 *米国標準篩サイズで約2メッシュからマイナス200メッシュまでの範囲の 分別粒径を持つ“受け取ったままの”、離解され、粉砕され、そして半微粉砕さ れた廃棄物の含水量を約35〜45%含水量に調整し、次いで各種試料について 上記表に示した酸の重量を、指定厨芥の記載された重量と混合しながら、その最 も濃縮された形で、一回の連続添加で加えた後、得られた生成物を225〜30 0°Fの範囲の温度で乾燥した。上記表の“下記により処理”と言う欄に示され た濃硫酸以外のものは、最初に添加された濃硫酸が厨芥と完全に混合された後に 、記載の順序で添加された。この場合、アンモニアガス(無水)は酸中和剤と、 最終生成物を最適粒径に粒状化するのを助ける乾燥剤との組み合わせとして最後 に加えられ、その間に乾燥が225〜300°Fの温度範囲で行われた。 *米国標準篩サイズで約1/2インチからマイナス250メッシュまでの範囲 の分別粒径を持つ“受け取ったままの”、離解され、粉砕され、そして半微粉砕 された下水汚泥試料の含水量を約35〜45%含水量に調整し、次いで上記表に 示した酸の重量を、各種被処理試料について記載された下水汚泥重量と完全に混 合しながら、一回の連続添加で加えた。表の“下記により処理”と言う欄に示さ れた追加のものはその酸性化された下水汚泥に記載の順序で添入され、これらを 完全に混合した後、得られた生成物を225〜300°Fの範囲の温度で空気乾 燥した。 更に、以上の記載は本発明の原理の単なる例示であると見なされるべきである 。当業者には、本発明の多数の適用例は容易に思い浮かぶものであろうから、本 発明を開示された特定の実施例又は前記で示され、説明された正確な構成及び操 作に限定することを望むものではない。むしろ、適当な修正例及び均等例が全て 用い得るものであって、これら全てが本発明の範囲内に入るものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG ,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN, TD,TG),AM,AT,AU,BB,BG,BR, BY,CA,CH,CN,CZ,DE,DK,EE,E S,FI,GB,GE,HU,JP,KG,KP,KR ,KZ,LK,LT,LU,LV,MD,MG,MN, MW,NL,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,S D,SE,SI,SK,TJ,TT,UA,UZ,VN

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.濃硫酸、濃リン酸及び両者の混合物より成る群から選択される濃酸を一定 の流れとしてリグノセルロース含有材料又はセルロース含有材料に施し、該濃酸 と該材料とを完全に混合し、そして生成した混合物を約225〜300°Fの範 囲の温度で乾燥することから成る、リグノセルロース含有材料又はセルロース含 有材料の処理法。 2.濃酸が、H2SO4濃度が約93〜98.5%の硫酸である、請求の範囲第 1項に記載の方法。 3.濃酸が、H3PO4濃度が約75〜85%のリン酸である、請求の範囲第1 項に記載の方法。 4.材料が米国標準篩で約4〜20メッシュの粒径を有する、請求の範囲第1 項に記載の方法。 5.材料の水分含有量が約30〜40%である、請求の範囲第1項に記載の方 法。 6.濃酸を一定の流れとして材料上に約3〜5分の間注加する、請求の範囲第 1項に記載の方法。 7.得られた混合物を空気乾燥する、請求の範囲第1項に記載の方法。 8.材料が木材及び紙より成る群から選択されたものである、請求の範囲第1 項に記載の方法。 9.材料が鋸屑及び新聞紙より成る群から選択されたものである、請求の範囲 第1項に記載の方法。 10.材料が厨芥及び下水汚泥より成る群から選択されたものである、請求の 範囲第1項に記載の方法。 11.生成混合物が濃酸をごく少量乃至約60%の範囲の量で含有している、 請求の範囲第1項に記載の方法。 12.生成混合物をアルカリ性物質で中和する、請求の範囲第1項に記載の方 法。 13.生成混合物を石灰、石灰石又は酸化カルシウムと反応させる、請求の範 囲第1項に記載の方法。 14.生成混合物を尿素と反応させる、請求の範囲第1項に記載の方法。 15.乾燥された生成混合物をリン酸三カルシウムに加える、請求の範囲第1 項に記載の方法。 16.乾燥された生成混合物を農耕用土壌の処理に使用する、請求の範囲第1 項に記載の方法。 17.乾燥された生成混合物を埋立材料として使用する、請求の範囲第1項に 記載の方法。 18.濃度が約93〜98.5重量%の濃硫酸、濃度が約75〜85%の濃リ ン酸及び両者の混合物より成る群から選択される濃酸を一定の流れとして木材廃 棄物、故紙、厨芥及び下水汚泥より成る群から選択される廃棄物材料に注加し、 該濃酸と該廃材料とを完全に混合し、そして生成した混合物を約225〜300 °Fの範囲の温度で乾燥することから成る、上記廃棄物材料の処理法。 19.廃棄物材料が米国標準篩で約4〜20メッシュの粒径を有する、請求の 範囲第18項に記載の方法。 20.廃棄物材料の水分含有量が約30〜40%である、請求の範囲第18項 に記載の方法。 21.生成混合物が濃酸をごく少量乃至約60%の範囲の量で含有している、 請求の範囲第18項に記載の方法。 22.乾燥された生成混合物をアルカリ性物質で中和する、請求の範囲第18 項に記載の方法。 23.乾燥された生成混合物を農耕用土壌の処理に使用する、請求の範囲第1 8項に記載の方法。 24.乾燥された生成混合物を埋立材料として使用する、請求の範囲第18項 に記載の方法。 25.濃硫酸、濃リン酸及び両者の混合物より成る群から選択される濃酸を一 定の流れとしてリグノセルロース含有材料又はセルロース含有材料に施し、該濃 酸と該材料とを完全に混合し、そして生成した混合物を約225〜300°Fの 範囲の温度で乾燥する方法により調製された、農耕用土壌を処理するための、又 は埋立材料として使用するための生成物。 26.濃酸が、H2SO4濃度が約93〜98.5%の硫酸である、請求の範囲 第25項に記載の生成物。 27.濃酸が、H3PO4濃度が約75〜85%のリン酸である、請求の範囲第 25項に記載の生成物。 28.材料が米国標準篩で約4〜20メッシュの粒径を有する、請求の範囲第 25項に記載の生成物。 29.材料の水分含有量が約30〜40%である、請求の範囲第25項に記載 の生成物。 30.濃酸を一定の流れとして材料上に約3〜5分の間注加する、請求の範囲 第25項に記載の生成物。 31.材料が木材及び紙より成る群から選択されたものである、請求の範囲第 25項に記載の生成物。 32.材料が厨芥及び下水汚泥より成る群から選択されたものである、請求の 範囲第25項に記載の生成物。 33.生成混合物をアルカリ性物質で中和する、請求の範囲第25項に記載の 生成物。
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