JPH09508022A - カタランタスの植物エキビョウ菌耐性遺伝子およびその使用 - Google Patents

カタランタスの植物エキビョウ菌耐性遺伝子およびその使用

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、病害耐性であるカタランタス種子、カタランタス植物、カタランタス変種およびカタランタス雑種に関するものである。より詳細には本発明は、エキビョウ菌真菌病に対する耐性を有するカタランタス植物に関するものである。また本発明は、アブラムシその他の害虫に対する耐性水準の増大、ならびに全アルカロイド含量の増大に関するものである。本発明はさらに、エキビョウ菌に対する耐性を有するカタランタス植物を交配して、カタランタス植物および他の作物植物における病害耐性および全アルカロイド含量増大を得る方法に関するものである。

Description

【発明の詳細な説明】 カタランタスの植物エキビョウ菌耐性遺伝子およびその使用 技術分野 本発明は、フィトフトラ・パラシチカ(Phytophthora para sitica)病に対する一定水準の耐性を含むカタランタス(Cathara nthus)の耐性遺伝子、カタランタス種子、カタランタス植物、カタランタ ス変種およびカタランタス雑種に関するものである。本発明のPhytopht hora(エキビョウ菌)耐性遺伝子を種々のカタランタス遺伝子バックグラウ ンドおよび他の属に取り込ませることができる。また本発明はカタランタス植物 製品、アルカロイド含量の増加、および特定の昆虫に対する耐性の増大に関する ものである。 発明の背景 カタランタス・ロゼウス(Catharanthus roseus)(L. )G.Don、(ニチニチソウ(periwinkle,vinca)とも呼ば れる)はマダガスカル原産であり、キョウチクトウ科(Apocynaceae )に属する。この種は温帯気候ではしばしば種子または切り茎(cutting )から毎年生長し、夏の花壇に、または温室用もしくは窓辺用の鉢植えとして用 いられる。カタランクス・ロゼウスは世界の熱帯地域で鑑賞植物として以前から 栽培されている。その自家結実性(self−seediness)(自家受粉 して、直ちに成熟した自家種子(selfed seed)を形成しうること) のため、現在では多くの熱帯地域に広く適合している。この鑑賞植物はマダガス カルニチニチソウ(別個の属であるツルニチニチソウ(Vinca)と混同して はならない)として一般に知られているが、一般に種子から増殖し、切り茎から 増殖する頻度はより低い。 ニチニチソウはその低木性の性状、大輪の好ましい花、熱、乾燥および直射日 光に対する許容度のため価値がある。その園芸上の利点のほか、カタランタス・ ロゼウスはある種の疾患、たとえば白血病を遅延させるのに用いられるアルカロ イドを含有する。 カタランタス属植物種は、Farmsworth,Lloydia 24:1 05−139(1961);Sevestre−Rigouzzoら,Euph ytica 66:151−1569(1993)に記載されるように、それら がインドール系アルカロイドを産生することで周知である。カタランタス・ロゼ ウスはその成分であるインドール系アルカロイドに関して十分に研究されている 植物の1つであり、BalsevichおよびHogge,J.Nat.Pro .,51:1173−1177(1988)に記載されるようにアルカロイドの うち70種類以上が全植物体から単離されている。vanDam,Oecolo gia 95:425−430(1993)に述べられるように、アルカロイド は一般に病原体および草食動物に対して生物学的に活性な化合物として知られて いる。インドール系アルカロイドは有効な拒食性害虫防除薬である。Meisn erら,J.Econ.Entomol.74:131−135(1981); Chockalingamら,J.Environ.Biol.10:303− 307(1989)に記載されるように、0.04%溶液を用いるバイオアッセ イにおいて試験した場合、ビンブラスチンおよびカタランチンは多草性Spod optera(ヨトウ)の幼虫に対して極めて阻害性の高いアルカロイドである と思われる。ニチニチソウ抽出物は幾つかの細菌属に対しても強い阻害活性をも つことが示された。Farmsworth,Lloydia 24:105−1 39(1961)は、カタランタス・ロゼウスのアルカロイド画分がもつ駆虫活 性についても記載している。Raven,Diversity 9:49−51 (1993)に記載されるように、カタランタス・ロゼウスから得られるアルカ ロイドは22年来の企業の基礎をなし、優に年間1億ドルを越える収益をもたら している。共にカタランタス・ロゼウスから単離されるビンブラスチンおよびビ ンクリスチンの抗癌活性は製薬業界で十分に立証されている。 今日までカタランタス属植物種にはエキビョウ菌に対する耐性は知られていな い。生育中のニチニチソウに関する主な問題はフィトフトラ・パラシチカによる 攻撃に対する感受性(sensitivity,susceptibility )である。フィトフトラ・パラサイチカにより生じる茎および根頭(crown 、茎と根の境界部分)の腐敗病はカタランタス共通の問題である。症状は一般に 最終段階の病害発生を伴うが、感染植物が目に見える症状を示すことなく病原体 の 集団を支持する可能性がある。 KeenおよびYoshikawa(in Erwin et al.)279 −284(1983)には、他の作物におけるエキビョウ菌属菌種に対する耐性 の天然のメカニズムが記載されている。エキビョウキン属菌種に対する普遍的耐 性のメカニズムには、宿主の構造的特徴、予め形成されている阻害物質、誘導さ れた構造的バリヤー、過敏反応、およびフィトアレキシンが含まれる。Keen ,Adv.Plant Pathol.65:35−82(1982)も、エキ ビョウ菌属菌種に対する特異的耐性は通常は単一の宿主耐性遺伝子により調節さ れることを示唆している。エキビョウ菌属の異なる菌種に対して一遺伝子により 遺伝する耐性が、カタランタス以外の幾つかの作物において報告されている。耐 性は単一の優性対立遺伝子に起因することが極めて頻繁に認められている(Um aerusら,in Erwin et al.,315−326(1983) )。Colonら,Euphytica 55−64(1983)には、ナス属 (Solanum)植物種におけるエキビョウ菌属病原菌に対する耐性が記載さ れている。 化学薬品メタラキシル(真菌類(eumycete)特異性殺真菌剤サブデュ ー(Subdue)およびリドミル(Ridomil)の有効成分である)は、 Ferrinら,Plant Disease,Vol.76,p.60−63 ,p.82−84(1992)が述べるように、苗木場の職員がエキビョウ菌属 菌種により起こる茎および根頭の腐敗病を抑制するために使用する主な殺真菌薬 である。化学薬品メタラキシルによってある程度の病害抑制は行われるが、Fe rrin(前掲)は南カリフォルニアの苗木場からメタラキシルに対して不感性 であるフィトフトラ・パラシチカの1分離体を見出した。メタラキシルに対する 耐性は、Ferrinら(前掲)が選択した分離体によってインビボで発現した 。さらにこのメタラキシル耐性分離体は感受性の野生型分離体と同様に有害であ ると思われた。植物を容器内で生育させる苗木場については、そのような耐性が 出現する頻度は低く、かつ病原体集団が増加して分散するのには時間がかかるの で、メタラキシル耐性の出現後直ちに広域の病害抑制失敗が起こることは必ずし も予想されないであろう。広域の病害抑制失敗は、大部分の病原体集団がこの農 薬に 対して耐性になったのち初めて起こる。このメタラキシル耐性集団が確立する速 度は、農薬耐性の安定性、病原体集団に負荷される淘汰圧、および病原体が分散 する能力によって大幅に左右される。カリフォルニアの苗木場では循環する潅漑 用水中にエキビョウ菌属およびピチウム(Pythium)属の菌種が検出され たので、カリフォルニアの一定地域の商業的苗木場ですべての流出水をトラップ して再循環させるという要求はそれらの苗木場においてこれらの病原体の殺真菌 薬耐性集団を再循環させる危険性を大幅に高める。従って、再循環水の処理がエ キビョウ菌属菌種の伝播体(propagule)の排除に不十分である場合に は、メタラキシル耐性の出現は最終的に抑制失敗をもたらし、かつ殺真菌薬メタ ラキシルの連続使用による淘汰圧が保持される可能性がある。 エキビョウ菌により起こる病害の主要な抑制手段としてメタラキシルを連続使 用すると、メタラキシルに対する不感性を発現する可能性が高まる(Ferri nら,前掲)。新たな殺真菌薬に対して不感性のフィトフトラ・パラシチカの新 たな分離体が最終的には出現することを歴史が示しており、かつ化学薬品の使用 はそれらの薬品を使用する人々および環境に副作用を及ぼす可能性があるので、 エキビョウ菌属菌種に対して遺伝的耐性を備えたカタランタス・ロゼウスの利用 が極めて望ましい。 ニチニチソウにおいてエキビョウ菌属菌種に対する遺伝的耐性が得られれば、 その利用によって化学薬品メタラキシルの使用を減少させ、または排除し、その 結果、経費効率および環境に対する安全性を高めることができるであろう。 発明の概要 本発明は、カタランタス種子、カタランタス植物、カタランタス変種、カタラ ンタス雑種、およびカタランタス植物生産方法に関するものである。 より詳細には、本発明は、フィトフトラ・パラシチカ真菌病に対する耐性をも つカタランタス植物に関するものである。またアブラムシ(Myzus per sicae、モモアカアブラムシ)およびダニ(Tetranychus ur ticae、ナミハダニ)に対する中程度ないし高度の耐性をもつカタランタス 植物、ならびに全アルカロイド含量の増加したカタランタス植物に関するもので ある。 本発明は、全アルカロイド含量約2.0−約9.5%のカタランタス種子を目 的とする。本発明はさらに、全アルカロイド含量約2.0−約9.5%のカタラ ンタス植物を目的とする。また本発明は、全アルカロイド含量約2.0−約9. 5%のカタランタス植物の実質的に均一な集合体(assemblage)に由 来するカタランタス植物製品を目的とする。本発明はさらに、全アルカロイド含 量約2.0−約9.5%のカタランタス植物の実質的に均一な集合体からなるカ タランタス変種を目的とする。また本発明は、全アルカロイド含量約2.0−約 9.5%のF1雑種ニチニチソウ植物を目的とする。 本発明はさらに、本発明のエキビョウ菌耐性植物を他のカタランタス植物と交 配することにより、開示されたカタランタス植物および種子を生産する方法に関 するものである。また本発明は遺伝的エキビョウ菌耐性をカタランタス以外の属 に伝達することに関するものであり、これにはSolanum(ナス属)、Ca psicum(トウガラシ属)、Eucalyptus(ユーカリ属)、Car ica、Ananas(アナナス属)、Fragaria、Camellia( ツバキ属)、Castanea、Persea(ワニナシ属)およびCitru s(ミカン属)が含まれるが、これらに限定されない。 本発明はさらに、特定の昆虫に対する一定水準の耐性をもつニチニチソウ植物 に関するものであり、これらの昆虫にはアブラムシ(Myzus persic ae、モモアカアブラムシ)およびダニ(Tetranychus urtic ae、ナミハダニ)が含まれるが、これらに限定されない。 本発明はさらに、全アルカロイド含量が少なくとも2.0%またはそれ以上の ニチニチソウ植物に関するものである。 図面の簡単な説明 添付の図面において、 図1は、ニチニチソウ植物の模式的透視図であり、それに付随する番号1−1 0はエキビョウ菌耐性または感受性の種々の水準に関する評点を示す。 図2A、2Bおよび2Cは、カタランタス植物にエキビョウ菌接種物を接種す る方法の各段階を模式的に示す。 発明の詳細な記述 本明細書および請求の範囲で用いる幾つかの用語を理解するために、以下の定 義を示す: 全アルカロイド含量−’全アルカロイド含量’という用語は、植物組織の乾燥 全重量に対する%として表した全アルカロイド含量を意味するものとする。 均一な集合体−’均一な集合体’という用語は、特定のニチニチソウ特性につ いて均一である種子または植物の群を意味するものとする。この用語は、エキビ ョウ菌耐性の形質または全アルカロイド含量のいずれかについて均一である種子 または植物を含むものとする。 植物製品−’植物製品’という用語は、アルカロイドを含めて、植物抽出物お よび植物由来の化合物または構造体を意味するものとする。 カタランタス・ロゼウス(L.)G.Don(ニチニチソウとも呼ばれる)は 主として自家受粉性の種である。本発明のカタランタス・ロゼウスはフィトフト ラ・パラシチカに対する耐性を再現性をもって発現する。本発明者らは、エキビ ョウ菌耐性を伝達する伝達性遺伝子を本発明者らの育種集団から分離した。この 病害耐性形質は、ニチニチソウの多数の異なる遺伝子バックグラウンドにおいて 発現した。 今日まで、本発明以外に市販のニチニチソウ栽培変種(cultivar)に おけるエキビョウ菌耐性は知られていない。さらに、野生または市販のいずれの カタランタス属植物種、栽培変種においても、エキビョウ菌耐性に関する既知の 報文はない。米国、メキシコ、中米、アフリカおよびマダガスカルから入手しう るすべての栽培変種および天然採集品を試験したが、表1および2に示すように 、エキビョウ菌耐性を指示するものは全く見出されなかった。この従来未知の病 害耐性が、1988年から実施された育種および研究の努力により得られた。 本発明はニチニチソウにおけるエキビョウ菌病に対する遺伝的耐性であり、こ の病害に暴露されたニチニチソウ植物は感染するが、この病害が植物全体に拡散 または移動することはない。その結果、耐性ニチニチソウ植物は健全な状態に維 持され、エキビョウ菌暴露後に枯死することはない。この病害耐性遺伝子がどの ようにニチニチソウ植物内で病原生物の拡散を阻止することにより作用するかは 分かっていない。可能性のある作用メカニズムの1つは、植物内のアルカロイド 含量の増加である。 ニチニチソウにおけるエキビョウ菌耐性の遺伝的根拠は、単一の優性対立遺伝 子を伴うものであると思われる。この所見はErwinら(1983)に記載さ れる他の作物において観察されたエキビョウ菌耐性と一致する。現在進行中の育 種試験は、カタランタスにおけるエキビョウ菌耐性の遺伝的根拠をさらに解明す るのに役立つであろう。この病原耐性遺伝子をニチニチソウの異なる遺伝子バッ クグラウンドに取り込ませた場合、病原耐性がこれらの遺伝子バックグラウンド に伝達される。 園芸的に価値ある形質(たとえば小型の性状、望ましい色)をも保有する純粋 育種耐性系統が開発されると、これらの系統から放任受粉した耐性種子を市販す ることができる。同様に純粋育種耐性系統をF1雑種種子生産における親の1つ として用いて、エキビョウ菌耐性を発現するF1雑種を得ることができる。さら に、本発明のエキビョウ菌耐性遺伝子をカタランタス以外の作物に伝達すること によって、それらの作物においてエキビョウ菌により生じる損害を減少させるこ とができる。 本明細書において用いる“植物”という用語は、植物細胞、植物プロトプラス ト、それからニチニチソウ植物を再生しうる組織培養の植物細胞、植物カルス、 植物塊(clump)、および植物または植物の一部における無傷の植物細胞、 たとえば花粉、花、種子、葉、茎などを包含する。 ニチニチソウの組織培養はvan der Heijdenらの“カタランタ ス・ロゼウス(L.)G.Donの細胞培養および組織培養:文献探索”,Pl ant Cell,Tissue and Organ Culture 18 :231−280(1989)に記載されており、これが本明細書に参考として 含 まれるものとする。この報文に記載されるように、療法上価値ある細胞毒性アル カロイドが存在することによって、カタランタスは現代の植物細胞バイオテクノ ロジーにおいて関心がもたれる主要な分野の1つとなった。これらの二量体イン ドール系アルカロイドの収率が低いこと(約0.0005%)、従ってそれらが 高価であることが、細胞培養および組織培養によるこれらのアルカロイドの生産 の可能性を研究する動機であった。ニチニチソウを用いるこの組織培養の最初の 試みは、約20−30年前に始まる。従って本発明の他の観点は、生育および分 化に際してニチニチソウにエキビョウ菌に対する病害耐性を与える細胞を提供す ることである。 優性の耐性遺伝子を異なる遺伝子バックグラウンドに伝達した場合、エキビョ ウ菌に対する病害耐性を与えるほか、植物の乾燥全重量に対する%として表した 全アルカロイド含量の増加、アブラムシおよびダニを含めた特定の昆虫に対する 許容性または耐性の増加という、関連する特性と考えられるものが得られる。全 アルカロイド含量の増加は直接にアブラムシおよびダニに対する植物耐性の増大 に関連し、かつある程度はエキビョウ菌耐性水準に関連すると考えられる。全ア ルカロイド含量および昆虫耐性の増大という重要な形質は本発明の他の目的であ る。 EilertらはPlant Physiol.,126:11(1986);Arch.Biochem.,Biophys. ,254:491(1987)に 述べられるようにカタランタス・ロゼウスの細胞懸濁培養において培養物を種々 の真菌のホモジネートで処理した際にアルカロイド蓄積を誘発することができ、 これによってさらにアルカロイド産生と潜在的な真菌耐性の関係が示唆された。 Nefら,Plant Cell Reports 10:26−29(199 1)も、カタランタス・ロゼウス細胞における主要アルカロイドの産生を真菌P ythium vexansの抽出物によって刺激することができた。最後に、 vanDamら,Oecologia 95:425−430(1993)は、 カタランタス・ロゼウスにおけるインドール系アルカロイドの産生を機械的な葉 の損傷だけでは誘発し得ないことを認めている。本発明のエキビョウ菌耐性遺伝 子は、カタランタスにおけるアルカロイドの合成および活性の調節に強く関与し ている。しかしこの活性は耐性現象につき可能性のある他の観点を排除するもの ではない。 カタランタスにおけるエキビョウ閑耐性遺伝子の開発によって、重要な園芸作 物に殺虫薬によらない保護を与えるための直接的手段が提供された。遺伝子の利 用は遍在性エキビョウ菌感染症からの保護を与え、かつ他の真菌性および昆虫性 病原体からの保護を補助することができる。さらにこの遺伝子は作物の維持に必 要な殺虫薬の量を減少させ、または排除することにより、利用者および環境の両 方にとって害のないものとなる。エキビョウ菌からの保護および他の潜在的な広 域スペクトルの保護は、この耐性遺伝子を他の作物において潜在的に価値あるも のにする。エキビョウ菌感染症による年間の損失額は膨大である。フィトフトラ ・シンナモミ(Phytophthora cinnamomi)のみでもZe itmeyer,Monogr.10,Am.Phytopathol.Soc .96 pp.(1980)に述べられるようにほぼ1,000種類の宿主をも ち、それらのうちの多くは重要な作物植物である。ジャガイモの最近の葉枯れ病 の原因であり、1846−47年の大幅なジャガイモ不足を生じたフィトフトラ 属病原菌は、約800,000人の飢餓をもたらした。この病害は今日でもなお 重大な問題である。殺虫薬によらないエキビョウ菌損失の減少または排除は、食 物用および鑑賞用作物の両方にとって極めて重要であろう。空気性または根性の エキビョウ菌病に対する耐性の新規な提供源はいずれも、潜在的に極めて価値が ある。 実施例 以下の実施例は本発明をさらに説明するために提示され、請求の範囲に述べる 限定以上に本発明を限定するためのものではない。 実施例1 エキビョウ菌病原体のインビトロ増殖および接種 カタランタスにおける立ち枯れ病の病原体であるフィトフトラ・パラシチカの インビトロ培養についてはGillら(1977)に記載されている。この真菌 はV−8ジュース寒天上で容易に増殖する。この真菌の分離および同定は当業者 に知られている方法で行われた。この真菌に対する耐性を試験するに際して本発 明者らは、著しい真菌攻撃を受けている商業的苗木場および栽培場から得たもの を含めた、表3に示す12種類の異なる真菌分離体を用いた。分離体はFerr inらにより得た:Ferrinら(前掲)に従う。ニチニチソウ植物を苗木業 者に一般に知られている標準法で種子から生育させた。接種前に植物を5プラス 節段階(図1に示す)まで生育させた。エキビョウ菌分離体間の病原性の比較の ために、接種前に個々のニチニチソウ植物を切り茎によりクローン化した。 エキビョウ菌純粋培養を用いて、図2A、2Bおよび2Cに示すように接種用 カプセルを調製した。飲み物用の透明なプラスチックストロー(13)を用いて 培養皿(11)から真菌の寒天外植体(12)を打ち抜いた。次いでこの寒天外 植体(12)を短い接種用カプセル(15)、すなわちプラスチックストロー( 13)の15mmセグメントの一端を直径6mmの球状ガラスビーズ(14)で シールしたものの中に配置した。真菌菌糸体の表面をビーズから遠い方に置いた 。 ニチニチソウの若木を、直立した茎の第4節と第5節の間を清潔な安全かみそ りの刃で切断することによって用意した。図1に示すように、次いで接種用カプ セルを茎の切り口に乗せ、丁寧に下方へ押し、露出した切り口表面にこうして真 菌菌糸体を押し付けた。同様にして、ただし真菌分離体を用いずに対照を調製し た。 次いで、接種した植物を当業者に知られている普通の方法により温室内で生育 させた。次いで約3週間後に植物を植物組織内の真菌の移動度につき採点した。 実施例2 感染の評価−耐性の定義 表4に記載し、図1に模式的に示した評点スケール1−10を用いて、感染の 程度、および接種された植物の無傷の組織内を病原体が移動する範囲を測定した 。1科内の各々の若木についての感染の程度を、表1、2、5、6および7に定 めるように耐性子孫と感受性子孫の比として測定した。接種の3週間後に、表4 および図1の評点スケールを用いて組織壊死の程度を評価した。頂部節間の最上 部分内に真菌の移動を阻止し得た植物を耐性とみなした;さらに、部分的な壊死 が最上節に示されたが、最頂部節より下方へと移動し続けなかった植物は、真菌 が第2節付近まで下降し続けなかった場合には耐性とみなされた。カタランタス におけるフィトフトラ・パラシチカ耐性は、病原体の移動を感染部位の下部第1 節またはその付近に阻止する能力として定義された。これに対し感受性は、病原 体の移動を阻止することができず、最終的に植物の枯死を生じることと定義され た。 実施例3 既存のカタランタス栽培変種におけるエキビョウ菌耐性の欠如 公的研究所、および/またはゴールドスミス・シーズ・インコーポレーテッド 以外の会社が開発した、市販の栽培変種すべてを、前記方法でエキビョウ菌耐性 につきスクリーニングした。試験結果は表1に提示されるが、エキビョウ菌に対 して耐性である市販の栽培変種はないことを示す。現在、その製造業者または販 売業者によってエキビョウ菌耐性であると主張されている市販の栽培変種はない 。ChaseおよびKing,Grower Talks 57:63−69( 1993)は、若干の栽培変種が他のものよりエキビョウ菌に対して感受性であ ることを示唆している;ただし彼らは、彼らの試験した栽培変種がすべてフィト フトラ・パラシチカに対して感受性であることを認めている。 実施例4 野生カタランタス属植物種におけるエキビョウ菌耐性の欠如 一群のカタランタス属植物種の生殖質を同様に前記実施例1および2の方法で エキビョウ菌耐性につき試験した。天然分布が限定されており(マダガスカル) 、その天然生息場所が広範に破壊されているため、カタランタスの野生生殖質は 入手が困難である。マダガスカルでカタランタス・ロンギフォリウスおよびカタ ランタス・ロゼウスの生殖質を採集した。同様に代表的なカタランタス・トリコ フィルスの生殖質をAnnik Petit(CNRS,インスティチュート・ デ・サイエンス・ベジターレ、フランス)から得た。これらの一群の非耐性を表 2にまとめる。明らかに、カタランタス属の野生種はエキビョウ菌耐性ではない 。 実施例5 新規な耐性系統 表5に示すように、数百の種×種、栽培変種×種、および栽培変種×栽培変種 のカタランタス雑種をエキビョウ菌耐性につきスクリーニングする過程で、3つ の実験的雑種系統、13516、13517および13518が良好な耐性を示 すことが1992年に確認された。入手しうるすべての天然および帰化植物採集 品ならびに既存のすべての栽培変種の生殖質を同時に広範に試験したにもかかわ らず、その時点でこの耐性はそれまでに見出された唯一の耐性であった。さらに 、 それらの系統は表5に示すように耐性と感受性とに分離したので、耐性に関して 純粋育種ではなかった。同様に表5に示すその後の血統分析により、耐性は単一 優性(R)対立遺伝子の結果である可能性が示唆された。前世代の親が耐性につ き予め試験されておらず、交配終了後に廃棄されていたという事実のため、遺伝 子分析は困難であった。 耐性を保有する3系統(13516、13517、13518)の血統分析は 、それらが1植物(8424−3)を共有することを示した。この1植物は、そ の淡青色の色彩および極端な不妊性のため突然変異形であると考えられていた。 本発明者らはこれまでこのような花の色を野生種、栽培変種または雑種のいずれ においても見たことがない;さらにこの植物はVeyret,Catharan thus Alkaloids ,(1974)に述べられるいずれの野生種の検 索表にも適合しなかった。この植物を育種計画に利用する最初の動機は、この突 然変異の色を獲得し、それをその不妊性バックグラウンドから取り出し、新規な 栽培変種の開発に利用することであった。 耐性遺伝子の遺伝的根拠をより良く理解するために、さらに交配による世代交 替を行った。 実施例6 耐性の遺伝子分離 系統番号13516、13517および13518由来の個々の植物を自己増 殖させ;次世代の子孫を耐性分離につき検査した(表5参照)。さらに表6に示 すように、13516、13517、13518由来の個体を既知の感受性系統 とも異系交配させた。これらの異系交配種からのF1子孫を同様に耐性:感受性 比につき評価した。 表現型が耐性である個体の自己増殖体中に感受性子孫が存在することにより、 耐性は優性対立遺伝子によって制御されていることが確認される。自己増殖体と F1世代の分離比から、耐性が2つの対立遺伝子、すなわちエキビョウ菌耐性に 関する(R)およびエキビョウ菌感受性に関する(r)により一遺伝子制御され ていることが確認される。表7は、F2分離がさらにカタランタスにおけるエキ ビョウ菌耐性の遺伝的根拠を立証することを示す。表5−7を合わせると、単一 優性対立遺伝子としての耐性遺伝子のさらに遺伝的根拠が立証される。 実施例7 放任受粉によるエキビョウ菌耐性栽培変種 前記のように、現存する市販のニチニチソウ栽培変種は放任受粉作物として生 産される。花は主として温室の生産場で自家受粉し、生じた種子を収穫して販売 する。ニチニチソウを含めて放任受粉作物は、均一な継続性をもって発現するた めには目的とする形質に関して純粋育種(ホモ接合)でなければならない。後続 の放任受粉世代すべてにおいて耐性表現型のみを分離するホモ接合性耐性(RR )系統が開発された。これらのホモ接合性耐性系統には現在では、園芸上望まし い他のホモ接合性形質が取り込まれている。これには植物の性状、花の色および 花の大きさが含まれるが、これらに限定されない。本発明者らは今回、通常の交 雑育種法によりエキビョウ菌耐性遺伝子を、表1に挙げた“リトル”、“クーラ ー”、“プレティ・イン”および“トロピカーナ”系列を含む市販の重要なニチ ニチソウ栽培変種すべてに交雑した。これらの多様なバックグラウンドにおける 耐性遺伝子の発現および分離が、本発明者の予想どおりに伝達された。この広範 な遺伝的根拠を新規なエキビョウ菌耐性栽培変種の開発に利用した。 実施例8 エキビョウ菌耐性F1雑種栽培変種 現在入手しうるすべての市販のニチニチソウ栽培変種は放任受粉作物として生 産されているが、エキビョウ菌耐性F1雑種を生産することもできる。F1雑種に おいては、花粉の欠如または手作業による除雄のため自家受粉が不可能な雌系統 が、他の花粉産生(“雄”)系統から受粉する。得られたF1雑種は雑種強勢に よって花粉親および雌の両ゲノムの外観を発現する。ニチニチソウ以外に、現在 市販されている極めて高い割合の花および野菜の種子が共にF1雑種種子である 。 F1雑種種子の生産における雌として用いるのに適したニチニチソウ系統が生 産された。エキビョウ菌耐性は優性対立遺伝子により一遺伝子制御されているの で、F1雑種世代に発現するエキビョウ菌耐性を雄、雌または両方が提供するこ とができる。このような生産方式によって均一にエキビョウ菌耐性である新規な F1雑種栽培変種が得られた。 実施例9 アブラムシおよびダニを含めた他の害虫に対する付加的耐性 新規なニチニチソウ栽培変種を開発するための長期育種計画により、アブラム シ(Myzus persicae)モモアカアブラムシ)およびダニ(Tet ranychus urticae、ナミハダニ)を含めた一般的な温室害虫に 対する感受性に関して既存の栽培変種および育種系統の行動を観察する十分な機 会を得た。表8はこれらの一般的な温室害虫に対する選ばれた系統および栽培変 種の感受性の質的な差を示す。興味深いことに、エキビョウ菌耐性であるため選 ばれた系統は、アブラムシおよびダニなどの温室害虫による攻撃をより受けにく い。逆にエキビョウ菌感受性であることが知られている系統はアブラムシおよび ダニなどの温室害虫による攻撃をより受けやすい。表8に示すように、極めてエ キビョウ菌感受性であるため選ばれた系統13812は、アブラムシおよびダニ の侵入も極めて受けやすい。本発明のエキビョウ菌耐性遺伝子の発現は、アブラ ムシおよびダニを含めた他の害虫(これらに限定されない)からの保護の増大と 強く関連すると思われる。 実施例10 耐性表現型の評価−可能性のある作用メカニズム 先に述べたように、カタランタス属植物種はそれらがアルカロイドを産生する ことで周知である。表9は、選ばれたカタランタス系統における全アルカロイド 含量とエキビョウ菌耐性発現の関係を示す。エキビョウ菌耐性であるため選ばれ た系統15667は、他のカタランタス属植物種または栽培変種につき報告され ている全アルカロイドの一致した水準の3.6倍を越える量を含有する。系統1 5667は、表8に示すようにアブラムシおよびダニに対しても耐性が高い。こ のように、間接的な証拠はエキビョウ菌耐性遺伝子の作用様式がアルカロイドの 産生および/または活性の増大を伴うものであることを示す。他の系統、たとえ ば表9中の15614および15620は、アルカロイド水準の増大を伴わない が、なおかつエキビョウ菌耐性を発現し、従って全アルカロイド含量よりむしろ アルカロイド組成の質的な変化が耐性表現型に影響を及ぼしたという可能性があ る。本発明のエキビョウ菌耐性遺伝子は、カタランタスにおけるアルカロイドの 合成および活性の調節に強く関与している。しかしこの作用は耐性現象の他の観 点の可能性を排除するものではない。 実施例11 害虫耐性を得るための、耐性遺伝子を用いた他の作物種の形質転換 本発明のエキビョウ菌耐性遺伝子をエキビョウ菌病害に対して感受性である他 の作物種の形質転換に直接に利用しうることは重要である。現在多くの植物種に 適用されている形質転換法(RobinsonおよびRiroozabady, Scientia Horticulturae 55:83−99,1993 )は、目的とする遺伝子を供給源(この場合はエキビョウ菌耐性カタランタス) から標的種へ移動させることができる。当業者に知られている、現在利用しうる 分子法により遺伝子を配列決定し、クローニングし、その発現が有用である他の 種に挿入する。ヤシ、ブーゲンビリア(Bougainvillea)および他 の園芸植物を含めた空気感染性エキビョウ菌に対して現在感受性である作物にお いて耐性遺伝子を発現させることは、殺虫薬によらない保護の、新たな供給源を 提供する。一見すると、増大したアルカロイド含量(従ってエキビョウ菌耐性) が 食用作物に害を与えるかも知れないという疑問をもつであろう。この状況の可能 性はあるが、ジャガイモは食用作物が本発明の耐性遺伝子の形質転換挿入によっ ていかに利益を受けるかという良い例を提供する;ジャガイモの茎および葉はそ れらが含有する高水準のアルカロイドのため既に有毒であるが、植物が産生する 塊茎は可食性である。このように本発明の耐性遺伝子による形質転換によって達 成されるアルカロイド発現の変化は、作物の食用性に影響を及ぼすことなく、殺 虫薬によらない付加的な作物保護を与えることができる。 選ばれた遺伝子が現在カタランタスから分離され、クローニングされている。 Meijerら,Plant Mol.Biol.,22:379−383(1 993)(本明細書に参考として含まれるものとする)は、カタランタス・ロゼ ウスから当業者に知られている標準法によりシトクロムP−450 cDNAク ローンを分離した。Goddijinら,Plant Mol.Biol.,2 2:907−912(1993)(本明細書に参考として含まれるものとする) は、カタランタス・ロゼウスからトリプトファンデカルボキシラーゼ遺伝子を分 離し、この同じ遺伝子をアグロバクテリウム仲介によるタバコ葉ディスク形質転 換実験において選択性マーカーとして用いた。彼らはカタランタス遺伝子を発現 する成熟した形質転換タバコ植物を回収することができた。このように現在では 本発明者らのエキビョウ菌耐性遺伝子を他の作物種に用いて形質転換する方法を 当業者は利用しうる。 実施例12 商業的なアルカロイド生産 アルカロイドの量および質を調節するための耐性遺伝子の利用 エキビョウ菌に対する耐性をもつものを選択したところ、選択した系統におけ るアルカロイドの水準が高かった。ただし重要な点は、これらの系統がアルカロ イドの含量または質のため特別に選択されたのではないことを留意すべきである という点である。現在では、表9に示すように耐性遺伝子がアルカロイドの産生 量に直接に影響を及ぼすことが明らかであるので、耐性遺伝子を含む系統をスク リーニングすることによって、アルカロイド含量の増加したものを意図的に選択 することができる。YoderおよびMahlberg Am.J.Bot., 63:1167−1173(1976)は、カタランタス・ロゼウスの葉のイン ドール系アルカロイド濃度が高いこと(“1.5%”)、およびそれらが主とし て特殊な細胞中に見出されるという事実は、その植物がインドール系アルカロイ ドを構成的に蓄積し、恐らく自家中毒を克服するメカニズムを既に進化させてい るということを示すものであると示唆している。表9に報告したものを上回る高 いアルカロイド含量を達成しうると予想される;さらに、全アルカロイド含量よ りむしろ特定のアルカロイドを選択することは、カタランタスにおけるアルカロ イド産生を改良する効果的な手段となる。本発明者らは現在、カタランタスにお けるアルカロイド合成遺伝子を包含する米国特許を知らない;さらに、カタラン チン、ビンドリン、ビンブラスチンおよびビンクリスチンを含めた重要なアルカ ロイドに至る合成経路は、カタランタスにつき報告されているにすぎない。Ba lsevichおよびHogge,J.Nat.Prod. 51:1173− 1177に述べられるように、量的にはカタリン、ビンドリンおよびアンヒドロ ビンブラスチンがカタランタスにおいて最も多いアルカロイドである。野外で生 育したカタランタス・ロゼウス植物が(現在では)、抗がん療法用アルカロイド であるビンブラスチンおよびビンクリスチンの産生のための唯一の商業的供給源 である。ニチニチソウアルカロイドの金銭的価値を考えると、アルカロイドの量 または質のわずかな改良ですら経済上の莫大な可能性に換算することができる。 長期にわたってアルカロイドのインビトロ産生のために組織培養法を利用する多 数の試みがなされてきた。これらのインビトロ法の経済的効率は、一部はアルカ ロイド産生量が低いため達成されなかった。アルカロイドの産生水準および/ま たは質を高めるためにエキビョウ菌耐性遺伝子を利用することにより、インビト ロアルカロイド産生を実施可能にすることができる。従ってカタランタスアルカ ロイド産生のいずれかの観点のために、耐性遺伝子を全植物体、植物の器官、組 織、細胞、プロトプラストまたは細胞抽出物に使用することができる。本発明の 遺伝的耐性対立遺伝子を含む植物を野外生産条件下で生育させて、目的とするア ルカロイドを生産することができる。 寄託情報 ニチニチソウ種子はアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATC C)、20852マリーランド州ロックビル、に1994年1月14日に寄託番 号75636で寄託された。 以上、本発明を明確にし、理解するために、図面および実施例によってある程 度詳細に記載したが、請求の範囲により限定される本発明の範囲内で一定の変更 および修正をなしうることは明らかであろう。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG ,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN, TD,TG),AP(KE,MW,SD,SZ),AM, AT,AU,BB,BG,BR,BY,CA,CH,C N,CZ,DE,DK,ES,FI,GB,GE,HU ,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LK,LT, LU,LV,MD,MG,MN,MW,NL,NO,N Z,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SI,SK ,TJ,TT,UA,UZ,VN

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.エキビョウ菌(Phytophthora)に対する遺伝的耐性を含むカ タランタス(Catharanthus)種子。 2.種子がフィトフトラ・パラシチカ(Phytophthora para sitica)に対する耐性に関する優性対立遺伝子を含む、請求項1に記載の カタランタス種子。 3.請求項1に記載の種子を生育させることにより生産されるカタランタス植 物。 4.請求項3に記載の植物の花粉。 5.請求項3に記載の植物の胚珠。 6.植物がエキビョウ菌に対する遺伝的耐性を含む、請求項3に記載の植物の 再生可能な細胞を含む組織培養物。 7.第1の親カタランタス植物を第2の親カタランタス植物と交配し、得られ たF1雑種カタランタス種子を収穫し、その際第1または第2の親カタランタス 植物が請求項3に記載のカタランタス植物であることを含む、F1雑種カタラン タス種子の生産方法。 8.請求項7に記載の雑種カタランタス種子を生育させることにより生産され る第1世代(F1)雑種カタランタス植物。 9.約2.0%以上の全アルカロイド含量を有するカタランタス種子。 10.全アルカロイド含量が約2.0−約6.5%である、請求項9に記載の カタランタス種子。 11.約2.0%以上の全アルカロイド含量を有する、請求項3に記載のカタ ランタス植物。 12.全アルカロイド含量が約2.0−約6.5%である、請求項11に記載 のカタランタス植物。 13.約2.0%以上の全アルカロイド含量を有するカタランタス植物の実質 的に均一な集合体に由来するカタランタス植物製品。 14.全アルカロイド含量が約2.0−約6.5%である、請求項13に記載 のカタランタス植物の実質的に均一な集合体に由来するカタランタス植物製品。 15.約2.0%以上の全アルカロイド含量を有するカタランタス植物の実質 的に均一な集合体からなるカタランタス変種。 16.全アルカロイド含量が約2.0−約6.5%である、請求項15に記載 のカタランタス植物の実質的に均一な集合体からなるカタランタス変種。 17.約2.0%以上の全アルカロイド含量を有するニチニチソウ種子の生産 方法であって: a)エキビョウ菌に対する遺伝的耐性を含むニチニチソウ遺伝子型の種子、お よび他のニチニチソウ遺伝子型の種子を、受粉可能な近さにまき; b)それらの種子から生じたニチニチソウ植物をそれらの植物が花をつけるま で栽培し; c)いずれか一方のニチニチソウ遺伝子型の植物の雄花を除雄し; d)それらのニチニチソウ遺伝子型間で他家受粉させ;そして e)除雄されたニチニチソウ系続の植物に形成された種子を収穫する 工程を含む方法。 18.請求項17に記載の雑種ニチニチソウ種子を生育させることにより生産 される第1世代(F1)雑種ニチニチソウ植物。 19.約2.0%以上の全アルカロイド含量を有するF1雑種ニチニチソウ植 物。 20.ATCC寄託番号75636で寄託された生存可能なカタランタス種子 、ならびに該種子から生育した植物および後続世代、ならびに寄託された種子か らエキビョウ菌耐性対立遺伝子が伝達されたカタランタス種子および植物または その後続世代。 21.遺伝的エキビョウ菌耐性をカタランタスから他の種へ伝達する方法であ って: a)遺伝的エキビョウ菌耐性遺伝子を分離し; b)遺伝的エキビョウ菌耐性遺伝子をプロモーターと結合させ;そして c)遺伝的エキビョウ菌耐性遺伝子を形質転換法により他の種へ挿入する 工程を含む方法。 22.第1のニチニチソウ遺伝子型を第2のニチニチソウ遺伝子型と交配し、 それらの遺伝子型のうち少なくとも一方は約2.0%以上の全アルカロイド含量 を有するものである、約2.0%以上の全アルカロイド含量を有するニチニチソ ウ植物の開発方法。
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