JPH09505812A - 腸疾患の治療方法 - Google Patents

腸疾患の治療方法

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JPH09505812A JP7515299A JP51529995A JPH09505812A JP H09505812 A JPH09505812 A JP H09505812A JP 7515299 A JP7515299 A JP 7515299A JP 51529995 A JP51529995 A JP 51529995A JP H09505812 A JPH09505812 A JP H09505812A
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、患者の腸の管腔内のTNFレベルの上昇によって引き起こされた腸疾患の治療または予防方法を提供するものである。この方法は、管腔内のTNFの作用を低減、あるいは管腔内のTNFの産生または蓄積を低減する成分を患者に投与することを含む。この成分は、既知の抗TNF成分のいずれであってもよいが、抗TNF抗体が好ましい。また、この成分は、直接的に腸に投与されることが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】 腸疾患の治療方法 本発明は、腸疾患の治療方法に関する。この方法は、ヒトまたは動物の肝臓で 生成され胆汁に放出される腫瘍壊死因子α(TNF)の生成を低減、あるいはそ の作用を遮断する手法または成分の使用に関する。胆汁に放出されたTNFは、 ある状況では腸管から吸収されて全身的に作用するので、本発明は、循環TNF の増加による疾患を、胆汁へのTNFの放出あるいは胆汁での作用を遮断するこ とによって治療する方法にも関する。 内毒素性ショック(endotoxic shock)の主な症状は、腫瘍壊死因子α(TNF )、インターロイキン1(IL−1)および血小板活性化因子(PAF)に最も 関心が集まる炎症性仲介前駆物質(pro inflamatory mediators)の範囲によると 考えられている。これらの成分が如何に作用して種々の効果を生むのかについて は知られていない。腸の病変は、内毒素血症の共通の特徴であり、TNFとPA Fの両方が関係している。さらに、これらの成分が循環系から単独で作用すると いうことは、このような研究で暗に信じられている。本願の発明者らは、内毒素 性ショックにおける腸の損傷は、管腔(lumenal)の成分の作用によるという仮説 を立てた。リポポリサッカリド(LPS)が肝臓で除去されるので、クップファ ー細胞が関連するサイトカインを産生し、肝臓で生成された産物が胆汁中に少な くとも微量見られるであろうと仮定して、本願発明者らは、LPS誘発性肝臓胆 汁因子(hepatobiliary factors)が直接的に相互作用して、腸に損傷を引き起こ すと推論した。本願発明者らは、致死量のLPSを与えたラットの外的な胆汁ド レナージ(external biliary drainage)が、胃腸の病変を妨げることを見出した 。 さらに、本願発明者らは、胃腸管からそらされ再度胃腸管に注入される胆汁に 組換えヒトTNFを注入することにより、LPSでチャレンジされた動物に見ら れるものと類似の症状になることを証明した。 さらに、LPS処理した動物の胆汁にマウスTNFに向けられた抗体(ラット TNFも認識する)を添加することにより、抗体処理されていない動物で見られ るような出血および流体の蓄積、下痢およびひどい腸の損傷を含む胃腸の病変が 、部分的または完全に遮断される。また、LPS処理および胆汁TNFレベルの 上昇に係る全身的症状(熱、低血圧、一般的な倦怠および組織損傷)が減少する 。 従って、第一の態様では、本発明は、患者の腸の管腔のTNFレベルの上昇に よって引き起こされた腸の疾患を治療又は予防する方法であって、管腔内のTN Fの作用を減少する、あるいは管腔内のTNFの産生または蓄積を減少させる成 分を患者に投与することを含む。 第二の態様では、肝臓で産生され胆汁に分泌されたTNFの循環系への取り込 み増加による全身的症状を治療又は予防する方法であって、胆汁TNFの生成ま たは作用を減少させる成分を患者に投与することを含む。 これらの症状の中には、腸の疾患を含む多数の症候群または状態がある。これ らの症候群または状態は、敗血症、下痢(ウイルス性、細菌性)、下痢(ストレ ス、アルコール、抗生物質、化学療法、あるいは放射線によって誘発されたもの )、ゲイ腸症候群(gay bowel syndrome)、宿主対移植片疾患(例えば骨髄移植後 )、大腸癌、HIV感染、AIDSおよびAIDS関連感染症(例えば、ミクロ スポリジウム(Microsporidium))、疝痛、非ステロイド系抗炎症剤(NSAID S)によって開始された潰瘍、炎症性腸疾患(クローン病、漬瘍性大腸炎、感応 性腸症候群)、宿主対移植片疾患、胃腸潰瘍、胃腸炎症、手術後の細菌性転座、 多重器官不全および食物アレルギーを含む。TNFは、これらの症候群または状 態の多くと関係している(9−18)。また、NSAIDS誘発腸損傷の進行に おける胆汁の重要性についても、以前に証明されている(19)。 従って、本発明の実施態様において、患者の腸疾患はこれらの症状または状態 の一つ以上の結果である。特に、敗血症、下痢(ウイルス性、細菌性)、下痢( ストレス、アルコール、抗生物質、化学療法、あるいは放射線によって誘発され たもの)、HIV感染、AIDSおよびAIDS関連感染症(例えば、ミクロス ポリジウム(Microsporidium))、手術後の細菌性転座および腸の虚血/再灌流(r eperfusion)傷害を患っている患者である。 これらの状態または症候群のいくつか、特に感染を含むものは、腸に流れ込む 胆汁中のTNFレベルを増加させる。本発明の好ましい実施態様では、腸の管腔 中のTNFレベルの上昇は胆汁に由来するものである。 管腔TNFの作用を低減する、あるいは管腔TNFの生成または蓄積を低減す る成分は、以下の多数の成分、すなわち a)TNFまたはそのレセプターに対する抗体、例えばTNF遮断抗体; b)TNFレセプターの可溶性形態; c)レセプターにおけるTNFの作用を遮断するペプチドまたは他の分子; d)TNFの産生を減少するペプチド; e)サリドマイド等のTNF産生を遮断する成分、5−リポキシゲナーゼおよび 5−シクロオキシゲナーゼといった抗炎症阻害剤、例えば、テポキサリン(Tepox alin)(Johnson & Jhonson)、テニダップ(Tenidap)(Pfiz er)、CGP47969A(Ciba Geigy)、ペントキシフィリン(p entoxyfylline)を含むcAMPレベルを上昇させることによりTNF産生を低減 する成分; f)TNF産生を遮断するポリ不飽和脂肪酸等の脂質分子 のいずれかとすることができる。 現在のところ、上記成分が、ポリクローナルまたはモノクローナル抗体である ことが好ましい。好ましいモノクローナル抗体は、MAb47である。MAb4 7を産生するハイブリドーマセルラインは、動物細胞培養欧州コレクション(E CACC)、ワクチン・リサーチ・プロダクション・ラボラトリー(Vaccine Res earch Production Laboratory)、公共健康研究サービス(Public Health Laborat ory Service)、提供された微生物およびリサーチのためのセンター、ポートンダ ウン、サリスバリー、ウィルトシア SP4 OJG、イギリスに1989年1 2月14日に寄託され、寄託番号89121402が付与されている。本発明の 方法で使用できることが見出された他の抗体は、国際特許出願WO90/019 50、WO89/08460およびWO90/10707に開示されたものであ る。 本発明のさらに好ましい態様では、上記成分がペプチド、好ましくはペプチド 492またはペプチドTである。ペプチド492に係るさらなる詳細は、オース トラリア特許出願第22731/92号“TNFおよび/またはLPS毒素を排 除するペプチド(Peptide which abrogates TNF and/or LPS toxicity)”に見出 すことができる。ペプチドTのさらなる情報は、欧州特許出願第0249390 号、欧州特許出願第0249394号および国際特許出願第88/09338号 に見られる。これらの参考文献の開示を、参照としてここに取り込む。 TNFの産生を低減する成分は、経口、非経口、経皮等を含む多数の経路を介 して、あるいは肝臓における前記成分の蓄積を増幅する第二成分と組み合わせて 運ぶことができる。 胆汁TNFの作用を低減する成分は、以下の多数の経路、すなわち a)カニューレまたは針を介した胆管または胃腸管の適切な領域への直接輸送、 b)腸でその効果を有する経口輸送(すなわち、腸の所望の部位で放出されるま で、分解から保護されるように製剤されたもの)、 c)肝臓を経て胆汁中に分泌される非経口輸送、 d)胆汁へのTNFの輸送を遮断する非経口輸送、 e)下方の腸疾患用に直腸を介する輸送、もしくは f)これらの経路の組み合わせ で運ぶことができる。 現在のところ、上記成分が、直接的に胃腸管または胆管に運ばれることが好ま しい。 本発明の性質をより明確に理解するために、その好ましい形態を以下の実施例 および図面を参照して記載する。 図1 正常ラット(a)、LPS処理ラット(b)、胆管カニューレ挿入(B DC)正常ラット(c)BDCされたLPS処理ラット(d)および胆管結紮( BDL)されたLPS処理ラット(e)における、腸の透明な流体の体積。体積 は、平均値±S.E(n=5)として示されている。 方法:各ラットの小腸を各末端で縛り、腹の組織から分け、内容物を十二指腸 から回腸へやさしく絞り出した。粘液を含む固形物を遠心(500g、15分) して除去し、透明な流体の体積を測定した。 図2 十二指腸内(intra-duodenally)(I/Duo)または静脈内(I/V) のいずれかで投与される、1mlのポリクローナルウサギ抗TNFαによる処理 前、あるいは処理20時間後における、サルモネラ菌(Salmonella)感染ラット の血清中の生物学的に活性なTNFレベル。 方法:血清を、TNF感応性ヒト横紋筋肉腫細胞ライン(KYM−1)を用い た細胞毒性アッセイでTNF滴定した(20)。実施例1 致死量のLPSをげっ歯類に与えると、死亡する前に、熱、低血圧、一般的な 倦怠、および組織損傷等の一連のよく知られた症状が発生する。大人のウィスタ ーラット(Wistar rats)に、15mg/kgの大腸菌B04:111LPSを静 脈内注射することにより、12−24時間後には100%が死亡する。接種から 4時間後の試験では、出血の肉眼的証拠および小腸内の流体の蓄積が見られた。 胆汁が腸に入り込むのを防ぐためのカニューレ挿入された共通の胆管を有するラ ットでは、同様の処理がなされても、これらのいずれの症状も見られなかった。 正常な動物もしくは胆管カニューレ挿入された動物(LPS処理されていない) では、腸の損傷は全く見られなかった。胆管結紮されたLPS処理ラットでは、 出血がほとんど見られず、流体蓄積が全く観察されなかった。このときの腸に存 在する流体の体積の測定は、LPS処理されたラットと、胆汁が腸に入り込まな いようにされたラットとの間に重要な差異を示した(図1)。これらの現象にお ける胆汁のさらなる関わりのために、LPS処理ラットの胆管をカニューレ挿入 し、胆汁を上方の空腸に離した。腸の下方で出血および流体の蓄積があったが、 ここで十二指腸は正常に見えた。組織の組織学的試験は、胆汁を奪う(そらす) ことにより、LPS処理ラットにおけるひどい腸の疾患が妨げられることを示し た。好中球辺縁趨向(neutrophil margination)は、完全なラットおよびBDCラ ットの両方の腸の血管においてかなり明瞭であったが、完全なラットのグループ においてのみ、絨毛で出血現象の証拠があった。組織の完全性の主要な障害がな いことは明らかであるが、BDCグループの特別な絨毛には、その先端にいくら かの水腫があった。主観的であるかもしれないが、BDCグループは、手術を受 けたにもかかわらず、対称となる完全なラットよりも4時間も生存し続けたこと が観察されたが、この研究は、生存に関する胆汁を奪うことの効果を調べるため に 意図されたものではない。BDC動物の便通がよくなされたことも観察された。 正常およびLPS処理動物の胆汁および血清中のTNFの測定(バイオアッセ イによる)により、処理グループ中の胆汁TNFレベルが実質的に増加すること が示された(表1)。 この内毒素性ショックのモデルでは、胃で組織損傷も起こる。これは、巨視的 および微視的レベルの両方から、上記実験で観察された。しかしながら、このよ うな損傷は、BDC動物では全く検出されなかった。しかして、TNFのレベル が増加した胆汁の逆流(reflux)が、胃における潰瘍形成を誘発すると考えられる 。実施例2 深刻な腸の損傷を引き起こす致死量の細菌性リポポリサッカリド(LPS)が 与えられたラットの胆汁中の高レベルの腫瘍壊死因子α(TNF)を検出するこ とで、以下の仮説、すなわち、 a)TNFは腸の損傷の原因であること、および b)TNF活性のin situでの中和により、腸の損傷が妨げられることを 直接的に調べる実験を行うことにした。 仮説a)を調べるために、無菌食塩水中の組換えヒトTNFαを、1ml/h rの速度で4時間、ラットのグループの十二指腸に注入した。 0−30 1μg/ml 30−60 5μg/ml 60−120 10μg/ml 120−180 5μg/ml 180−240 1μg/ml 第二グループの動物に、LPSをIV注入し(実施例1のように15mg/k g)、上述のように胆管をカニューレ挿入してTNFαを注入した。 さらに別のグループの動物に、生理食塩水(対照)を与えた。 4時間後、これらの動物を殺して、H&E染色した十二指腸、空腸および回腸 の断片を調製した。 TNF注入された動物のグループの両方の腸管の巨視的および微視的な試験は 、LPS注入されたラットに似た損傷パターンを示し、そこでは胆汁が正常に流 れていた。食塩水の注入は、腸に影響を与えなかった。これらの結果は、仮説a )と一致する。 仮説b)を調べるために、LPSをIV注入(実施例1のように15mg/k g)したグループのラットに、Genzymeウサギポリクローナル抗マウスT NFα(組番号B4377とB4805)を十二指腸に注入した。 さらに別のグループのLPS処理動物に、正常なウサギ血清(NRS)を注入 した。血清の注入速度は1ml/時で、希釈率(食塩水中)は以下の通りであっ た: 0−30 1:10希釈 30−60 1:5希釈 60−120 1:2希釈 120−180 1:5希釈 180−240 1:10希釈 4時間後に、動物を殺して、上述のように腸組織を切断し染色した。 抗TNFα血清を注入した動物の組織は、正常のように見えた。十二指腸およ び回腸の絨毛で低頻度の水腫が見られたが、出血はどこにも見られなかった。上 皮の破れ目は、全く観察されなかった。通常の血清を注入されたラットの腸管は 、LPSが注入され抗TNFα血清が注入されていない動物と同じように損傷( 壊死、ひどい出血、ウイルス損傷または重度の水腫)を受けた。これらの結果は 、仮説b)と一致する。 さらに、胃の組織の組織学的試験から、抗TNF抗体の腸内注入も胃を損傷か ら保護することがわかった。実施例3 胆汁TNFの起源としての肝臓マクロファージ さらなる実験により、胆汁TNFが肝臓のクップファー細胞から生じるであろ うこと、並びにLPS処理後の損傷成分としてTNFがさらに含まれることがわ かった。 しかして、致死量のLPSで処理する24時間前に、塩化ガドリニウム(クッ プファー細胞を排除(eliminate)することが知られている(21))で処理され たラットは、腸の損傷から保護される。同時に、塩化ガドリニウム処理したラッ トの胆汁のTNFレベルは、バックグラウンドレベルより高くならないことがわ かった。これは、肝臓におけるTNF生成の阻害が、腸組織の完全性を維持する 選択的/付加的な手段であるという本発明者らの主張を強力に支持する。実施例4 腸の病原の病因性における胆汁TNFの影響 バックグラウンド:侵襲性の腸の病原に関する現在の考察および調査は、上皮 表面への付着、増殖および局所組織への侵入の工程を増幅する微生物(ウイルス 性因子)の特徴に集中している。この工程に影響する宿主のファクター(特に誘 発因子)には、ほとんど注意が注がれていなかった。グラム陰性細菌の病原の構 成要素の一つである細菌性リポポリサッカリド(LPS、内毒素)の腸の効果に おける胆汁腫瘍壊死因子αの役割に係る本発明者らの報告は、a)LPSによっ て誘発された胆汁のファクターが、腸の上皮を変えて、この障壁を介して生物を 早く侵入させること、およびb)感染の後の段階で胆汁(および特に腫瘍壊死因 子αの成分)が下痢の進行の原因であることの仮説を調べる実験を刺激した。 感染モデル:感染(非致死)量(106−107)の生きたSalmonella enterid itis(Se)が経口投与されたラットは、8−12日から疾患の徴候を示し、2 1日までに十分に回復する。生物体の高い投与量(1010のオーダー)が投与さ れたラットは、1週間以内で病気になり、処置しなければ10−12日で死亡す るであろう。5−6日で下痢段階が始まる。Seでのラットの感染は、ヒト腸チ フスの標準動物モデルの一つとして見なされる。 実験: 1. 正常ラットの低い投与量感染は、標的組織(肝臓および脾臓)が最も早く て3日までに侵害されることを示した。しかしながら、ラットに、腸からのSe LPSの吸収を模造する、低い投与量のLPS(1−300μg)を静脈内に 前処理した場合には、より早く侵害が起こり、10μg/ラット以上の投与量で は24時間以内に侵害が起こった。重要なことに、感染およびLPS処理(全投 与量)の際の、胆管カニューレ挿入、すなわち外的な胆汁のドレナージのラット は、24時間以内に標的生物中におけるSeの発生を妨げた。さらなる一連の実 験から、上記投与量のLPSが、最後に疾患を引き起こすか否かに係わらず、病 原が侵入する機会を提供する腸の透過性を一時的に増加することがわかった。確 かに、腸の細菌である正常なミクロビオタ(microbiota)は、これらの実験でSe の侵害に伴って検出された。これらの生物体は、腸が傷つけられるとわかってい る環境で細菌性敗血症の誘発の第一の候補である。また、これらの生物体は、胆 汁が奪われる(そらされる)と、侵入(すなわち細菌性転座)できない。他の実 験は、LPS処理後の胆汁TNFが増加すること、並びに、胆汁が腸からそらさ れるか、TNF成分が中和されれば、腸はその完全性を維持することを示したの で、これらの実験で、腸の透過性および増幅された侵襲性が、胆汁TNFレベル の増加によるものであると信じられる。 2. 対照の動物では下痢が続いたが、下痢が明らかである高い投与量(1010 )のSeが与えられたラット(6日)の外的な胆汁のドレナージにより、20時 間以内に下痢が停止した。カニューレ挿入後のラットの状態の評価(例えば素早 さ等)は、非カニューレ挿入グループと比べて優れた健康状態を示した。カニュ ーレ挿入は腸の流体の体積を顕著に低減し、便通がなされるようにした。 下痢の工程におけるTNFの役割を評価すべく、ラットのグループを以下のよ うに処理した: (a)1mlの中和ポリクローナルウサギ抗TNF抗体(Genzyme)をI V注入 (b)1ml/時の速度で1mlの上記抗血清(1/20に希釈)を上方の十二 指腸に注入 (c)1mlの正常ウサギ血清をIV注入(対照) (d)1mlの希釈された正常ウサギ血清を注入(上記と同様に)(対照)。 この実験は20時間で終了した。 結果: 対照グループ(c)および(d)の動物は、健康状態および下痢の観点、すな わち過剰な下痢を伴った内毒素血症の徴候(毛なみの乱れ、食欲の喪失、無気力 )の観点から区別できなかった。 グループ(a)の動物の50%が20時間以内に死亡した。生存しているもの も、内毒素血症の明らかな症状および明らかな下痢を示し(グループ(c)およ び(d)よりもひどい)、目に見えて苦しんだ。 グループ(b)の動物は、グループ(c)および(d)よりもずっと健康であ ると評価された。全ての動物において、下痢が止まった。 グループ(b)における下痢が止んだ証拠は、他のグループの動物の腸内に存 在する腸の流体の体積と比べて、その体積が統計学的に非常に減少していること から判断される(表2)。 腸内抗TNFグループと静脈内抗TNFグループとの差異は統計学的に重要で ある(p=0.026)。 また、グループb)の動物で、より便通がなされていることにも注目すべきで ある。また、腸内に20ml投与されたグループb)の動物では、腸の流体の体 積が他のグループの体積より非常に少ないことが注目される。 グループ(b)の動物は、グループ(a)の動物より腸間膜のリンパ節におけ るSeが顕著に低い。グループ(b)の動物のパイエル板における生物体数も低 いが、統計学的にグループ(a)における数と変わらない(表3)。 腸組織の組織学的試験は、上皮の完全性における実質的な改良がグループbの 動物で起こったことを示した。さらに、血清TNFレベルは、これらの動物にお いて検出不可能なレベルにまで減少した。 結論: これらの実験結果は、上記の仮説に当てはまるものである。これらの実験の特 定のメリットは、確立された下痢の状態におけるTNF活性の阻害(腸から胆汁 をそらすこと、またはin situ中和による)が、劇的にこのエピソードを終結す ることである。最初の実験(LPS毒性モデル)では、腸内抗TNF治療が腸の 損傷の開始を妨げることが証明された。 抗TNF抗体の十二指腸内への投与とは対照的に、同じ量の抗体の全身輸送で は動物が保護されず、その代わりに、このグループの動物において、内毒素血症 の全身的な症状がより急速に進行した。抗TNF抗体の全身輸送の効果について の上記結果は、他の研究者らの発見と一致しており(2−6)、抗TNF抗体と 他のTNF阻害剤を全身的に投与することを備えた最近の診療上の試みが、なぜ 失望させる結果を生むのか(7)を説明する助けになることであろう。実施例5 種々の腸疾患を有するヒトの便のTNFレベルを評価する研究 便のサンプルを公表された方法によるアッセイ用に調製した。アッセイシステ ム−酵素結合免疫測定法−は、公表されたプロトコル(8)によって確立された 。 以下の条件を備えた患者は、正常な個人の便物質中に存在するレベルよりも、 統計学的に(Kruskal-Wallis One Way Analysis of Varianceを使用)かなり高 いレベルの便のTNFを有することがわかった。 炎症腸疾患(公表されたデータ(9)を確認)。 Microsporidiaの陽性診断結果を有するヒト免疫不全ウイルス/ AIDS患者。 移植対宿主疾患の診断を受けた骨髄移植患者。 これらの結果は、腸障害がTNFの上昇したレベルの存在と関係するという見 地と一致した。 実施例1−5の結果からわかるように、本願発明者らは、胃腸の病変と胆汁中 のTNFレベルの上昇との間の強力な関係を証明した。さらに、胆汁にTNFの 作用を遮断する成分を添加することによっても、関連する胃腸の病変が遮断され ることを効果的に示した。 また、本願発明者らは、胆管のカニューレ挿入後腸から胆汁をそらすことによ り、あるいは胃腸管にTNFに対する抗体が投与されたLPS処理動物において 、胆汁TNFレベルの上昇に係わる一般的な全身的症状(毛なみの乱れ、食欲の 喪失、無気力、他の動物からの孤立)が低減することを観察した。 敗血症性ショック症候群(the septic shock syndrome)と係わるものを含む、 ヒトの多くの毒血症は、肝臓を含む多くの組織および器官におけるTNFの過剰 な産生と関連する。多くの刊行物は、TNF産生と種々の病理学的症状との間に 係る原因を報告している。ヒトでは、動物のように、胃腸管(G.I.)に胆管 を介して肝臓のTNFを放出するか、他の源から腸の管腔にTNFを直接的に放 出することが、敗血症性ショックを含む多数の内毒素血症の直接的な原因である と提案し、ここにG.I.管のTNFの毒性量の肝臓中における生成の効果を妨 げる方法および深刻な疾患の病状を確立することにおけるその結果を記載する。 細菌性細胞壁リポポリサッカリド画分(LPS)のような細菌細胞構成物の体 循環に存在するような刺激物は、肝臓における大過剰のTNFの産生を誘発する ということが我々の論点である。このTNFは、十二指腸中に胆管を介して分泌 され、そこで入り口から遠位のG.I.管の領域に炎症反応を引き起こす。順に 、これにより、腸の完全性を乱す(ブリーチング)ことを含む腸壁の裏の損傷が 引き起こされ、G.I.管の内容物を体循環に分散させてしまう。これらの内容 物は、次いで肝臓中のTNFのさらなる段階の誘発を開始する他の細菌および細 菌性細胞構成物を含み、順に、腸に放出されて、個人の健康に深刻な結果をもた らすサイクルを進行し続ける。 この疾患のサイクルを終結し、この疾患の症状を治癒するいくつかの方法を工 夫した。選択的、あるいはより効果的な結果を達成するように組み合わせて用い ることもできるこれらの工程は、以下のものである。 1. G.I.管中に胆管を介して、肝臓で生成されたTNFの分泌の防止。こ れは、TNFを含む胆管の内容物が外に出る(ドレイン)ような、標準的なあら ゆる工程で胆管にカニューレを挿入することにより、容易に実施できる。このド レナージを、疾患の症状がなくなるまで続ける。 2. G.I.管のTNFの中和。胃の幽門括約筋に隣接し遠位にある十二指腸 のG.I.管の上部に、胆管がその内容物を放出する。十二指腸の内容物は、p Hでほぼ中性を示し、十二指腸に直接的に輸送された抗体はかなり安定である。 結果的に、十二指腸におけるTNFの中和の効果的な方法の一つは、例えば、胃 と幽門括約筋を経て腸の十二指腸に至るように、胃管を腸の管腔まで挿入して、 あるいは、キーホール(keyhole)外科器具によってガイドした十二指腸の壁部を 外側から貫通する針を介して、TNFに直接結合し得る抗体を注入することであ る。適切な抗体は、肝臓のTNFの放出が正常な限界値に落ちるまで、それを不 活性化するためにTNFの存在量を超え続けるように一つ以上の上記管を介して 十二指腸に連続的に滴下される。 上述の実験では、ウサギで産生された不均一なポリクローナル抗体が、実験動 物、この場合には深刻な毒血症を誘発するためにLPSが注入されたラットに注 入される。ヒト毒血症を治療するには、通常の方法で種々の動物をヒトTNFで 過剰免疫(hyperimmunising)して産生されるポリクローナル抗体、あるいはいく つかのモノクローナルヒト抗体を混合することによって調製されるポリクローナ ル抗体を用いることが好ましいと考えられる。ポリクローナル抗TNF抗体の動 物 源は、ウマ、ウシ、ヒツジ、ラクダ、ヤギもしくはウサギとすることができる。 モノクローナル抗体も効果的である。ヒトTNFの生物学的活性を遮断しうるヒ トモノクローナル抗体の方が、免疫学的な副作用を起こしそうもないが、実際に 、G.I.管に輸送された他の動物のモノクローナル抗体は同様に効果的である 。十二指腸または十二指腸とは遠位であって腸壁の損傷が発生しているG.I. 管の他の部分に直接的に、抗体あるいは、TNFを不活性化し得る他の治療成分 を輸送することとは別に、間接的な不活性化方法も効果的であることは明瞭であ る。また、抗TNF抗体、あるいは他のTNF阻害剤は、必要な部位で放出され るような適切な製剤として経口的に輸送することもできる。ある場合では、腸の TNF分泌細胞によるTNFの局在化した産生によって炎症が引き起こされるこ とがある(10、11)。いくつかの単純な製剤およびコーティングは、胃にお ける分解から不安定な薬品を保護するために使用されるが、活性成分がG.I. 管の下方で利用できるようになっている。このようなコーティングおよび/また は製剤の使用は、ほとんど外傷性の毒血症がない治療用であって、患者に意識が あり、タブレットをのみ込むことができ、疾患の消散がそれほど緊急ではない場 合に、抗体、ペプチド等の経口治療の使用を可能にする利点を有する。これらの 内毒素血症は、胃を経てあるいは体壁を貫通して挿入されたチューブを介して、 治療成分をG.I.管の上方に輸送することによって治療できることを提案する ことにおいて、類似した治療も、抗体の放出部位に隣接または遠位の腸の領域に 対するTNFによる損傷を妨げるために、直腸を経て下方の腸に挿入されたチュ ーブを介して、TNFへの露呈によって最も影響を受けたG.I.管の部位に輸 送されうることも明確である。 G.I.管でTNFを中和できる抗体に加えて、TNFの機能を調節し毒性効 果を弱めることができる他の治療成分を、抗体に関して記載したのと同じ方法で 胃腸管に輸送することによってこのような毒血症を治療するのに用いることがで きる。このような化合物の例としては、TNFとそのレセプターとの結合を抑制 することができるいくつかのペプチドが挙げられる。TNFもしくはTNFレセ プターから誘導されたペプチドおよびその類似体は、TNFの機能を遮断する活 性を有することが示されており、この治療的役割に使用される。他には、ペプチ ドT等(欧州特許第0249390号、欧州特許第0249394号および国際 特許第WO88/09338号)は、TNFのある機能を遮断することができ、 上記方法で輸送して使用することもできる。 ヒトの治療において、治療抗体またはペプチドを、連続して十二指腸またはG I管の別の領域に直接的に輸送する必要があってもよい。深刻な毒血症の患者は 一般的に昏睡状態にあるため、これは十二指腸に通された胃管を使用することに より最も都合よく達成することができる。抗体は、胆管から十二指腸に通るTN Fを完全に不活性化する必要量を超えるような速度で連続的に十二指腸に滴下さ れる。この効果は、遊離TNFのレベルおよび遊離抗TNF抗体のレベルをアッ セイするために、胃管を介して十二指腸中の流体を周期的にサンプリングするこ とによって、実際的な意味で達成することができる。 TNFの効果を不活性化する化合物による胆管またはG.I.管のカニューレ 挿入は、単独で用いられた時に利点を有すると考えられるが、両方の方法を組み 合わせて使用することにより、さらに治療結果を確実にするであろう。正確な投 与量は、上述の方法で決定することができる。 本願発明の使用は、ヒトの治療に関係して記載されているが、本願発明の方法 がヒト以外の動物の治療に同様に適用できることも容易に理解できる。 当業者であれば、広く記載された本発明の精神または範囲から外れることなく 、特定の実施態様に示されているように、本発明に多数の変形および/または修 飾をしてもよいことが理解できるであろう。それゆえ、この実施態様は、あらゆ る点で、例証であり、限定するものではないと見なすべきである。
【手続補正書】特許法第184条の8 【提出日】1995年10月4日 【補正内容】 明細書 腸疾患の治療方法 本発明は、腸疾患の治療方法に関する。この方法は、ヒトまたは動物の肝臓で 生成され胆汁に放出される腫瘍壊死因子α(TNF)の生成を低減、あるいはそ の作用を遮断する手法または成分の使用に関する。胆汁に放出されたTNFは、 ある状況では腸管から吸収されて全身的に作用するので、本発明は、循環TNF の増加による疾患を、胆汁へのTNFの放出あるいは胆汁での作用を遮断するこ とによって治療する方法にも関する。 内毒素性ショック(endotoxic shock)の主な症状は、腫瘍壊死因子α(TNF )、インターロイキン1(IL−1)および血小板活性化因子(PAF)に最も 関心が集まる炎症性仲介前駆物質(pro inflamatory mediators)の範囲によると 考えられている。これらの成分が如何に作用して種々の効果を生むのかについて は知られていない。腸の病変は、内毒素血症の共通の特徴であり、TNFとPA Fの両方が関係している。さらに、これらの成分が循環系から単独で作用すると いうことは、このような研究で暗に信じられている。本願の発明者らは、内毒素 性ショックにおける腸の損傷は、管腔(lumenal)の成分の作用によるという仮説 を立てた。リポポリサッカリド(LPS)が肝臓で除去されるので、クップファ ー細胞が関連するサイトカインを産生し、肝臓で生成された産物が胆汁中に少な くとも微量見られるであろうと仮定して、本願発明者らは、LPS誘発性肝臓胆 汁因子(hepatobiliary factors)が直接的に相互作用して、腸に損傷を引き起こ すと推論した。本願発明者らは、致死量のLPSを与えたラットの外的な胆汁ド レナージ(external biliary drainage)が、胃腸の病変を妨げることを見出した 。 さらに、本願発明者らは、胃腸管からそらされ再度胃腸管に注入される胆汁に 組換えヒトTNFを注入することにより、LPSでチャレンジされた動物に見ら れるものと類似の症状になることを証明した。 さらに、LPS処理した動物の胆汁にマウスTNFに向けられた抗体(ラット TNFも認識する)を添加することにより、抗体処理されていない動物で見られ るような出血および流体の蓄積、下痢およびひどい腸の損傷を含む胃腸の病変が 、部分的または完全に遮断される。また、LPS処理および胆汁TNFレベルの 上昇に係る全身的症状(熱、低血圧、一般的な倦怠および組織損傷)が減少する 。 従って、第一の態様では、本発明は、患者の腸の管腔のTNFレベルの上昇に よって引き起こされた腸の疾患を治療又は予防する方法であって、管腔内のTN Fの作用を減少する、あるいは管腔内のTNFの産生または蓄積を減少させる成 分を、成分を静脈投与しないことを特徴として患者に投与することを含む。 第二の態様では、肝臓で産生され胆汁に分泌されたTNFの循環系への取り込 み増加による全身的症状を治療又は予防する方法であって、胆汁TNFの生成ま たは作用を減少させる成分を、成分を静脈投与しないことを特徴として患者に投 与することを含む。 これらの症状の中には、腸の疾患を含む多数の症候群または状態がある。これ らの症候群または状態は、敗血症、下痢(ウイルス性、細菌性)、下痢(ストレ ス、アルコール、抗生物質、化学療法、あるいは放射線によって誘発されたもの )、ゲイ腸症候群(gay bowel syndrome)、宿主対移植片疾患(例えば骨髄移植後 )、大腸癌、HIV感染、AIDSおよびAIDS関連感染症(例えば、ミクロ スポリジウム(Microsporidium))、疝痛、非ステロイド系抗炎症剤(NSAID S)によって開始された潰瘍、炎症性腸疾患(クローン病、潰瘍性大腸炎、感応 性腸症候群)、宿主対移植片疾患、胃腸漬瘍、胃腸炎症、手術後の細菌性転座、 多重器官不全および食物アレルギーを含む。TNFは、これらの症候群または状 態の多くと関係している(9−18)。また、NSAIDS誘発腸損傷の進行に おける胆汁の重要性についても、以前に証明されている(19)。 従って、本発明の実施態様において、患者の腸疾患はこれらの症状または状態 の一つ以上の結果である。特に、敗血症、下痢(ウイルス性、細菌性)、下痢( ストレス、アルコール、抗生物質、化学療法、あるいは放射線によって誘発され たもの)、HIV感染、AIDSおよびAIDS関連感染症(例えば、ミクロス ポリジウム(Microsporidium))、手術後の細菌性転座および腸の虚血/再灌流(r eperfusion)傷害を患っている患者である。 これらの状態または症候群のいくつか、特に感染を含むものは、腸に流れ込む 胆汁中のTNFレベルを増加させる。本発明の好ましい実施態様では、腸の管腔 中のTNFレベルの上昇は胆汁に由来するものである。 管腔TNFの作用を低減する、あるいは管腔TNFの生成または蓄積を低減す る成分は、以下の多数の成分、すなわち a)TNFまたはそのレセプターに対する抗体、例えばTNF遮断抗体; b)TNFレセプターの可溶性形態; c)レセプターにおけるTNFの作用を遮断するペプチドまたは他の分子; d)TNFの産生を減少するペプチド; e)サリドマイド等のTNF産生を遮断する成分、5−リポキシゲナーゼおよび 5−シクロオキシゲナーゼといった抗炎症阻害剤、例えば、テポキサリン(Tepox alin)(Johnson & Jhonson)、テニダップ(Tenidap)(Pfiz er)、CGP47969A(Ciba Geigy)、ペントキシフィリン(pe ntoxyfylline)を含むcAMPレベルを上昇させることによりTNF産生を低減 する成分; f)TNF産生を遮断するポリ不飽和脂肪酸等の脂質分子 のいずれかとすることができる。 現在のところ、上記成分が、ポリクローナルまたはモノクローナル抗体である ことが好ましい。好ましいモノクローナル抗体は、MAb47である。MAb4 7を産生するハイブリドーマセルラインは、動物細胞培養欧州コレクション(E CACC)、ワクチン・リサーチ・プロダクション・ラボラトリー(Vaccine Res earch Production Laboratory)、公共健康研究サービス(Public Health Laborat ory Service)、提供された微生物およびリサーチのためのセンター、ポートンダ ウン、サリスバリー、ウィルトシア SP4 OJG、イギリスに1989年1 2月14日に寄託され、寄託番号89121402が付与されている。本発明の 方法で使用できることが見出された他の抗体は、国際特許出願WO90/019 50、WO89/08460およびWO90/10707に開示されたものであ る。 本発明のさらに好ましい態様では、上記成分がペプチド、好ましくはペプチド 492またはペプチドTである。ペプチド492に係るさらなる詳細は、オース トラリア特許出願第22731/92号“TNFおよび/またはLPS毒素を排 除するペプチド(Peptide which abrogates TNF and/or LPS toxicity)”に見出 すことができる。ペプチドTのさらなる情報は、欧州特許出願第0249390 号、欧州特許出願第0249394号および国際特許出願第88/09338号 に見られる。これらの参考文献の開示を、参照としてここに取り込む。 TNFの産生を低減する成分は、経口、非経口、経皮等を含む多数の経路を介 して、あるいは肝臓における前記成分の蓄積を増幅する第二成分と組み合わせて 運ぶことができる。 胆汁TNFの作用を低減する成分は、以下の多数の経路、すなわち a)カニューレまたは針を介した胆管または胃腸管の適切な領域への直接輸送、 b)腸でその効果を有する経口輸送(すなわち、腸の所望の部位で放出されるま で、分解から保護されるように製剤されたもの)、 c)肝臓を経て胆汁中に分泌される非経口輸送、 d)胆汁へのTNFの輸送を遮断する非経口輸送、 e)下方の腸疾患用に直腸を介する輸送、もしくは f)これらの経路の組み合わせ で運ぶことができる。 現在のところ、上記成分が、直接的に胃腸管または胆管に運ばれることが好ま しい。 本発明の性質をより明確に理解するために、その好ましい形態を以下の実施例 および図面を参照して記載する。 図1 正常ラット(a)、LPS処理ラット(b)、胆管カニューレ挿入(B DC)正常ラット(c)BDCされたLPS処理ラット(d)および胆管結紮( BDL)されたLPS処理ラット(e)における、腸の透明な流体の体積。体積 は、平均値±S.E(n=5)として示されている。 方法:各ラットの小腸を各末端で縛り、腹の組織から分け、内容物を十二指腸 から回腸へやさしく絞り出した。粘液を含む固形物を遠心(500g、15分) して除去し、透明な流体の体積を測定した。 図2 十二指腸内(intra-duodenally)(I/Duo)または静脈内(I/V) のいずれかで投与される、1mlのポリクローナルウサギ抗TNFαによる処理 前、あるいは処理20時間後における、サルモネラ菌(Salmonella)感染ラット の血清中の生物学的に活性なTNFレベル。 方法:血清を、TNF感応性ヒト横紋筋肉腫細胞ライン(KYM−1)を用い た細胞毒性アッセイでTNF滴定した(20)。実施例1 致死量のLPSをげっ歯類に与えると、死亡する前に、熱、低血圧、一般的な 倦怠、および組織損傷等の一連のよく知られた症状が発生する。大人のウィスタ ーラット(Wistar rats)に、15mg/kgの大腸菌B04:111LPSを静 脈内注射することにより、12−24時間後には100%が死亡する。接種から 4時間後の試験では、出血の肉眼的証拠および小腸内の流体の蓄積が見られた。 胆汁が腸に入り込むのを防ぐためのカニューレ挿入された共通の胆管を有するラ ットでは、同様の処理がなされても、これらのいずれの症状も見られなかった。 正常な動物もしくは胆管カニューレ挿入された動物(LPS処理されていない) では、腸の損傷は全く見られなかった。胆管結紮されたLPS処理ラットでは、 出血がほとんど見られず、流体蓄積が全く観察されなかった。このときの腸に存 在する流体の体積の測定は、LPS処理されたラットと、胆汁が腸に入り込まな いようにされたラットとの間に重要な差異を示した(図1)。これらの現象にお ける胆汁のさらなる関わりのために、LPS処理ラットの胆管をカニューレ挿入 し、胆汁を上方の空腸に離した。腸の下方で出血および流体の蓄積があったが、 ここで十二指腸は正常に見えた。組織の組織学的試験は、胆汁を奪う(そらす) ことにより、LPS処理ラットにおけるひどい腸の疾患が妨げられることを示し た。好中球辺縁趨向(neutrophil margination)は、完全なラットおよびBDCラ ットの両方の腸の血管においてかなり明瞭であったが、完全なラットのグループ においてのみ、絨毛で出血現象の証拠があった。組織の完全性の主要な障害がな いことは明らかであるが、BDCグループの特別な絨毛には、その先端にいくら かの水腫があった。主観的であるかもしれないが、BDCグループは、手術を受 けたにもかかわらず、対称となる完全なラットよりも4時間も生存し続けたこと が 観察されたが、この研究は、生存に関する胆汁を奪うことの効果を調べるために 意図されたものではない。BDC動物の便通がよくなされたことも観察された。 正常およびLPS処理動物の胆汁および血清中のTNFの測定(バイオアッセ イによる)により、処理グループ中の胆汁TNFレベルが実質的に増加すること が示された(表1)。 この内毒素性ショックのモデルでは、胃で組織損傷も起こる。これは、巨視的 および微視的レベルの両方から、上記実験で観察された。しかしながら、このよ うな損傷は、BDC動物では全く検出されなかった。しかして、TNFのレベル が増加した胆汁の逆流(reflux)が、胃における潰瘍形成を誘発すると考えられる 。実施例2 深刻な腸の損傷を引き起こす致死量の細菌性リポポリサッカリド(LPS)が 与えられたラットの胆汁中の高レベルの腫瘍壊死因子α(TNF)を検出するこ とで、以下の仮説、すなわち、 a)TNFは腸の損傷の原因であること、および b)TNF活性のin situでの中和により、腸の損傷が妨げられること を直接的に調べる実験を行うことにした。 仮説a)を調べるために、無菌食塩水中の組換えヒトTNFαを、1ml/h rの速度で4時間、ラットのグループの十二指腸に注入した。 0−30 1μg/ml 30−60 5μg/ml 60−120 10μg/ml 120−180 5μg/ml 180−240 1μg/ml 第二グループの動物に、LPSをIV注入し(実施例1のように15mg/k g)、上述のように胆管をカニューレ挿入してTNFαを注入した。 さらに別のグループの動物に、生理食塩水(対照)を与えた。 4時間後、これらの動物を殺して、H&E染色した十二指腸、空腸および回腸 の断片を調製した。 TNF注入された動物のグループの両方の腸管の巨視的および微視的な試験は 、LPS注入されたラットに似た損傷パターンを示し、そこでは胆汁が正常に流 れていた。食塩水の注入は、腸に影響を与えなかった。これらの結果は、仮説a )と一致する。 仮説b)を調べるために、LPSをIV注入(実施例1のように15mg/k g)したグループのラットに、Genzymeウサギポリクローナル抗マウスT NFα(組番号B4377とB4805)を十二指腸に注入した。 さらに別のグループのLPS処理動物に、正常なウサギ血清(NRS)を注入 した。血清の注入速度は1ml/時で、希釈率(食塩水中)は以下の通りであっ た: 0−30 1:10希釈 30−60 1:5希釈 60−120 1:2希釈 120−180 1:5希釈 180−240 1:10希釈 4時間後に、動物を殺して、上述のように腸組織を切断し染色した。 抗TNFα血清を注入した動物の組織は、正常のように見えた。十二指腸およ び回腸の絨毛で低頻度の水腫が見られたが、出血はどこにも見られなかった。上 皮の破れ目は、全く観察されなかった。通常の血清を注入されたラットの腸管は 、LPSが注入され抗TNFα血清が注入されていない動物と同じように損傷( 壊死、ひどい出血、ウイルス損傷または重度の水腫)を受けた。これらの結果は 、仮説b)と一致する。 さらに、胃の組織の組織学的試験から、抗TNF抗体の腸内注入も冑を損傷か ら保護することがわかった。実施例3 胆汁TNFの起源としての肝臓マクロファージ さらなる実験により、胆汁TNFが肝臓のクップファー細胞から生じるであろ うこと、並びにLPS処理後の損傷成分としてTNFがさらに含まれることがわ かった。 しかして、致死量のLPSで処理する24時間前に、塩化ガドリニウム(クッ プファー細胞を排除(eliminate)することが知られている(21))で処理され たラットは、腸の損傷から保護される。同時に、塩化ガドリニウム処理したラッ トの胆汁のTNFレベルは、バックグラウンドレベルより高くならないことがわ かった。これは、肝臓におけるTNF生成の阻害が、腸組織の完全性を維持する 選択的/付加的な手段であるという本発明者らの主張を強力に支持する。実施例4 腸の病原の病因性における胆汁TNFの影響 バックグラウンド:侵襲性の腸の病原に関する現在の考察および調査は、上皮 表面への付着、増殖および局所組織への侵入の工程を増幅する微生物(ウイルス 性因子)の特徴に集中している。この工程に影響する宿主のファクター(特に誘 発因子)には、ほとんど注意が注がれていなかった。グラム陰性細菌の病原の構 成要素の一つである細菌性リポポリサッカリド(LPS、内毒素)の腸の効果に おける胆汁腫瘍壊死因子αの役割に係る本発明者らの報告は、a)LPSによっ て誘発された胆汁のファクターが、腸の上皮を変えて、この障壁を介して生物を 早く侵入させること、およびb)感染の後の段階で胆汁(および特に腫瘍壊死因 子αの成分)が下痢の進行の原因であることの仮説を調べる実験を刺激した。 感染モデル:感染(非致死)量(106−107)の生きたSaimonella enterid itis(Se)が経口投与されたラットは、8−12日から疾患の徴候を示し、2 1日までに十分に回復する。生物体の高い投与量(1010のオーダー)が投与さ れたラットは、1週間以内で病気になり、処置しなければ10−12日で死亡す るであろう。5−6日で下痢段階が始まる。Seでのラットの感染は、ヒト腸チ フスの標準動物モデルの一つとして見なされる。 実験: 1. 正常ラットの低い投与量感染は、標的組織(肝臓および脾臓)が最も早く て3日までに侵害されることを示した。しかしながら、ラットに、腸からのSe LPSの吸収を模造する、低い投与量のLPS(1−300μg)を静脈内に 前処理した場合には、より早く侵害が起こり、10μg/ラット以上の投与量で は24時間以内に侵害が起こった。重要なことに、感染およびLPS処理(全投 与量)の際の、胆管カニューレ挿入、すなわち外的な胆汁のドレナージのラット は、24時間以内に標的生物中におけるSeの発生を妨げた。さらなる一連の実 験から、上記投与量のLPSが、最後に疾患を引き起こすか否かに係わらず、病 原が侵入する機会を提供する腸の透過性を一時的に増加することがわかった。確 かに、腸の細菌である正常なミクロビオタ(microbiota)は、これらの実験でSe の侵害に伴って検出された。これらの生物体は、腸が傷つけられるとわかってい る環境で細菌性敗血症の誘発の第一の候補である。また、これらの生物体は、胆 汁が奪われる(そらされる)と、侵入(すなわち細菌性転座)できない。他の実 験は、LPS処理後の胆汁TNFが増加すること、並びに、胆汁が腸からそらさ れるか、TNF成分が中和されれば、腸はその完全性を維持することを示したの で、これらの実験で、腸の透過性および増幅された侵襲性が、胆汁TNFレベル の増加によるものであると信じられる。 2. 対照の動物では下痢が続いたが、下痢が明らかである高い投与量(1010 )のSeが与えられたラット(6日)の外的な胆汁のドレナージにより、20時 間以内に下痢が停止した。カニューレ挿入後のラットの状態の評価(例えば素早 さ等)は、非カニューレ挿入グループと比べて優れた健康状態を示した。カニュ ーレ挿入は腸の流体の体積を顕著に低減し、便通がなされるようにした。 下痢の工程におけるTNFの役割を評価すべく、ラットのグループを以下のよ うに処理した: (a)1mlの中和ポリクローナルウサギ抗TNF抗体(Genzyme)をI V注入 (b)1ml/時の速度で1mlの上記抗血清(1/20に希釈)を上方の十二 指腸に注入 (c)1mlの正常ウサギ血清をIV注入(対照) (d)1mlの希釈された正常ウサギ血清を注入(上記と同様に)(対照)。 この実験は20時間で終了した。 結果: 対照グループ(c)および(d)の動物は、健康状態および下痢の観点、すな わち過剰な下痢を伴った内毒素血症の徴候(毛なみの乱れ、食欲の喪失、無気力 )の観点から区別できなかった。 グループ(a)の動物の50%が20時間以内に死亡した。生存しているもの も、内毒素血症の明らかな症状および明らかな下痢を示し(グループ(c)およ び(d)よりもひどい)、目に見えて苦しんだ。 グループ(b)の動物は、グループ(c)および(d)よりもずっと健康であ ると評価された。全ての動物において、下痢が止まった。 グループ(b)における下痢が止んだ証拠は、他のグループの動物の腸内に存 在する腸の流体の体積と比べて、その体積が統計学的に非常に減少していること から判断される(表2)。 腸内抗TNFグループと静脈内抗TNFグループとの差異は統計学的に重要で ある(p=0.026)。 また、グループb)の動物で、より便通がなされていることにも注目すべきで ある。また、腸内に20ml投与されたグループb)の動物では、腸の流体の体 積が他のグループの体積より非常に少ないことが注目される。 グループ(b)の動物は、グループ(a)の動物より腸間膜のリンパ節におけ るSeが顕著に低い。グループ(b)の動物のパイエル板における生物体数も低 いが、統計学的にグループ(a)における数と変わらない(表3)。 腸組織の組織学的試験は、上皮の完全性における実質的な改良がグループbの 動物で起こったことを示した。さらに、血清TNFレベルは、これらの動物にお いて検出不可能なレベルにまで減少した。 結論: これらの実験結果は、上記の仮説に当てはまるものである。これらの実験の特 定のメリットは、確立された下痢の状態におけるTNF活性の阻害(腸から胆汁 をそらすこと、またはin situ中和による)が、劇的にこのエピソードを終結す ることである。最初の実験(LPS毒性モデル)では、腸内抗TNF治療が腸の 損傷の開始を妨げることが証明された。 抗TNF抗体の十二指腸内への投与とは対照的に、同じ量の抗体の全身輸送で は動物が保護されず、その代わりに、このグループの動物において、内毒素血症 の全身的な症状がより急速に進行した。抗TNF抗体の全身輸送の効果について の上記結果は、他の研究者らの発見と一致しており(2−6)、抗TNF抗体と 他のTNF阻害剤を全身的に投与することを備えた最近の診療上の試みが、なぜ 失望させる結果を生むのか(7)を説明する助けになることであろう。実施例5 種々の腸疾患を有するヒトの便のTNFレベルを評価する研究 便のサンプルを公表された方法によるアッセイ用に調製した。アッセイシステ ム−酵素結合免疫測定法−は、公表されたプロトコル(8)によって確立された 。 以下の条件を備えた患者は、正常な個人の便物質中に存在するレベルよりも、 統計学的に(Kruskal-Wallis One Way Analysis of Varianceを使用)かなり高 いレベルの便のTNFを有することがわかった。 炎症腸疾患(公表されたデータ(9)を確認)。 Microsporidiaの陽性診断結果を有するヒト免疫不全ウイルス/ AIDS患者。 移植対宿主疾患の診断を受けた骨髄移植患者。 これらの結果は、腸障害がTNFの上昇したレベルの存在と関係するという見 地と一致した。 実施例1−5の結果からわかるように、本願発明者らは、胃腸の病変と胆汁中 のTNFレベルの上昇との間の強力な関係を証明した。さらに、胆汁にTNFの 作用を遮断する成分を添加することによっても、関連する胃腸の病変が遮断され ることを効果的に示した。 また、本願発明者らは、胆管のカニューレ挿入後腸から胆汁をそらすことによ り、あるいは胃腸管にTNFに対する抗体が投与されたLPS処理動物において 、胆汁TNFレベルの上昇に係わる一般的な全身的症状(毛なみの乱れ、食欲の 喪失、無気力、他の動物からの孤立)が低減することを観察した。 敗血症性ショック症候群(the septic shock syndrome)と係わるものを含む、 ヒトの多くの毒血症は、肝臓を含む多くの組織および器官におけるTNFの過剰 な産生と関連する。多くの刊行物は、TNF産生と種々の病理学的症状との間に 係る原因を報告している。ヒトでは、動物のように、胃腸管(G.I.)に胆管 を介して肝臓のTNFを放出するか、他の源から腸の管腔にTNFを直接的に放 出することが、敗血症性ショックを含む多数の内毒素血症の直接的な原因である と提案し、ここにG.I.管のTNFの毒性量の肝臓中における生成の効果を妨 げる方法および深刻な疾患の病状を確立することにおけるその結果を記載する。 細菌性細胞壁リポポリサッカリド画分(LPS)のような細菌細胞構成物の体 循環に存在するような刺激物は、肝臓における大過剰のTNFの産生を誘発する ということが我々の論点である。このTNFは、十二指腸中に胆管を介して分泌 され、そこで入り口から遠位のG.I.管の領域に炎症反応を引き起こす。順に 、これにより、腸の完全性を乱す(ブリーチング)ことを含む腸壁の裏の損傷が 引き起こされ、G.I.管の内容物を体循環に分散させてしまう。これらの内容 物は、次いで肝臓中のTNFのさらなる段階の誘発を開始する他の細菌および細 菌性細胞構成物を含み、順に、腸に放出されて、個人の健康に深刻な結果をもた らすサイクルを進行し続ける。 この疾患のサイクルを終結し、この疾患の症状を治癒するいくつかの方法を工 夫した。選択的、あるいはより効果的な結果を達成するように組み合わせて用い ることもできるこれらの工程は、以下のものである。 1. G.I.管中に胆管を介して、肝臓で生成されたTNFの分泌の防止。こ れは、TNFを含む胆管の内容物が外に出る(ドレイン)ような、標準的なあら ゆる工程で胆管にカニューレを挿入することにより、容易に実施できる。このド レナージを、疾患の症状がなくなるまで続ける。 2. G.I.管のTNFの中和。胃の幽門括約筋に隣接し遠位にある十二指腸 のG.I.管の上部に、胆管がその内容物を放出する。十二指腸の内容物は、p Hでほぼ中性を示し、十二指腸に直接的に輸送された抗体はかなり安定である。 結果的に、十二指腸におけるTNFの中和の効果的な方法の一つは、例えば、胃 と幽門括約筋を経て腸の十二指腸に至るように、胃管を腸の管腔まで挿入して、 あるいは、キーホール(keyhole)外科器具によってガイドした十二指腸の壁部を 外側から貫通する針を介して、TNFに直接結合し得る抗体を注入することであ る。適切な抗体は、肝臓のTNFの放出が正常な限界値に落ちるまで、それを不 活性化するためにTNFの存在量を超え続けるように一つ以上の上記管を介して 十二指腸に連続的に滴下される。 上述の実験では、ウサギで産生された不均一なポリクローナル抗体が、実験動 物、この場合には深刻な毒血症を誘発するためにLPSが注入されたラットに注 入される。ヒト毒血症を治療するには、通常の方法で種々の動物をヒトTNFで 過剰免疫(hyperimmunising)して産生されるポリクローナル抗体、あるいはいく つかのモノクローナルヒト抗体を混合することによって調製されるポリクローナ ル 抗体を用いることが好ましいと考えられる。ポリクローナル抗TNF抗体の動物 源は、ウマ、ウシ、ヒツジ、ラクダ、ヤギもしくはウサギとすることができる。 モノクローナル抗体も効果的である。ヒトTNFの生物学的活性を遮断しうるヒ トモノクローナル抗体の方が、免疫学的な副作用を起こしそうもないが、実際に 、G.I.管に輸送された他の動物のモノクローナル抗体は同様に効果的である 。十二指腸または十二指腸とは遠位であって腸壁の損傷が発生しているG.I. 管の他の部分に直接的に、抗体あるいは、TNFを不活性化し得る他の治療成分 を輸送することとは別に、間接的な不活性化方法も効果的であることは明瞭であ る。また、抗TNF抗体、あるいは他のTNF阻害剤は、必要な部位で放出され るような適切な製剤として経口的に輸送することもできる。ある場合では、腸の TNF分泌細胞によるTNFの局在化した産生によって炎症が引き起こされるこ とがある(10、11)。いくつかの単純な製剤およびコーティングは、胃にお ける分解から不安定な薬品を保護するために使用されるが、活性成分がG.I. 管の下方で利用できるようになっている。このようなコーティングおよび/また は製剤の使用は、ほとんど外傷性の毒血症がない治療用であって、患者に意識が あり、タブレットをのみ込むことができ、疾患の消散がそれほど緊急ではない場 合に、抗体、ペプチド等の経口治療の使用を可能にする利点を有する。これらの 内毒素血症は、胃を経てあるいは体壁を貫通して挿入されたチューブを介して、 治療成分をG.I.管の上方に輸送することによって治療できることを提案する ことにおいて、類似した治療も、抗体の放出部位に隣接または遠位の腸の領域に 対するTNFによる損傷を妨げるために、直腸を経て下方の腸に挿入されたチュ ーブを介して、TNFへの露呈によって最も影響を受けたG.I.管の部位に輸 送されうることも明確である。 G.I.管でTNFを中和できる抗体に加えて、TNFの機能を調節し毒性効 果を弱めることができる他の治療成分を、抗体に関して記載したのと同じ方法で 胃腸管に輸送することによってこのような毒血症を治療するのに用いることがで きる。このような化合物の例としては、TNFとそのレセプターとの結合を抑制 することができるいくつかのペプチドが挙げられる。TNFもしくはTNFレセ プターから誘導されたペプチドおよびその類似体は、TNFの機能を遮断する活 性を有することが示されており、この治療的役割に使用される。他には、ペプチ ドT等(欧州特許第0249390号、欧州特許第0249394号および国際 特許第WO88/09338号)は、TNFのある機能を遮断することができ、 上記方法で輸送して使用することもできる。 ヒトの治療において、治療抗体またはペプチドを、連続して十二指腸またはG I管の別の領域に直接的に輸送する必要があってもよい。深刻な毒血症の患者は 一般的に昏睡状態にあるため、これは十二指腸に通された胃管を使用することに より最も都合よく達成することができる。抗体は、胆管から十二指腸に通るTN Fを完全に不活性化する必要量を超えるような速度で連続的に十二指腸に滴下さ れる。この効果は、遊離TNFのレベルおよび遊離抗TNF抗体のレベルをアッ セイするために、胃管を介して十二指腸中の流体を周期的にサンプリングするこ とによって、実際的な意味で達成することができる。 TNFの効果を不活性化する化合物による胆管またはG.I.管のカニューレ 挿入は、単独で用いられた時に利点を有すると考えられるが、両方の方法を組み 合わせて使用することにより、さらに治療結果を確実にするであろう。正確な投 与量は、上述の方法で決定することができる。 本願発明の使用は、ヒトの治療に関係して記載されているが、本願発明の方法 がヒト以外の動物の治療に同様に適用できることも容易に理解できる。 当業者であれば、広く記載された本発明の精神または範囲から外れることなく 、特定の実施態様に示されているように、本発明に多数の変形および/または修 飾をしてもよいことが理解できるであろう。それゆえ、この実施態様は、あらゆ る点で、例証であり、限定するものではないと見なすべきである。 請求の範囲 1. 患者の腸の管腔内のTNFレベルの上昇によって引き起こされた腸疾患の 治療または予防方法であって、管腔内のTNFの作用を低減する、もしくは管腔 内のTNFの産生または蓄積を低減する成分を、静脈投与しないことを特徴とし て患者に投与することを含む方法。 2. 敗血症、下痢、ゲイ腸症候群、移植物対宿主疾患、大腸癌、HIV感染、 AIDSおよびAIDS関連感染症、疝痛、非ステロイド系抗炎症剤によって開 始された潰瘍、炎症性腸疾患、宿主対移植片疾患、胃腸潰瘍、胃腸炎症、手術後 の細菌性転座、多重器官不全および食物アレルギーからなる群から選択された症 候群または状態の患者における、請求項1記載の方法。 3. 敗血症、下痢、HIV感染、AIDSおよびAIDS関連感染症、並びに 手術後の細菌性転座からなる群から選択された症候群または状態の患者における 、請求項2記載の方法。 4. 個々の腸の管腔内のTNFが胆汁由来である、請求項1ないし3のいずれ か一項に記載の方法。 5. 成分が、 a)TNFまたはそのレセプターに対する抗体、例えばTNF遮断抗体; b)TNFレセプターの可溶性形態; c)レセプターにおけるTNFの作用を遮断するペプチド;および d)これらの組み合わせ からなる群から選択された請求項1ないし4のいずれか一項に記載の方法。 6. 成分がポリクローナルまたはモノクローナル抗体である、請求項1ないし 5のいずれか一項に記載の方法。 7. 成分がモノクローナル抗体MAb47である、請求項1ないし6のいずれ か一項に記載の方法。 8. 成分がペプチド、好ましくはペプチド492またはペプチドTである、請 求項1ないし5のいずれか一項に記載の方法。 9. 成分が、 a)カニューレまたは針を介した胆管または胃腸管の関連領域への直接輸送; b)腸で効果を有する経口輸送; c)肝臓を経て胆汁に排出される非経口輸送; d)胆汁へのTNFの輸送を遮断する非経口輸送;および e)これらの組み合わせ からなる群から選択された経路で輸送される、請求項1ないし7のいずれか一項 に記載の方法。 10. 成分が、直接的に胃腸管または胆管に輸送される、請求項1ないし9の いずれか一項に記載の方法。 11. 成分が胆汁TNFの産生を減少する、請求項3記載の方法。 12. 成分が、 a)TNF産生を減少するペプチド: b)サリドマイド等のTNF産生を遮断する成分、5−リポキシゲナーゼおよび 5−シクロオキシゲナーゼといった抗炎症阻害剤、ペントキシフィリンを含むc AMPレベルを上昇させてTNF産生を減少する成分 c)TNF産生を遮断するポリ不飽和脂肪酸等の脂質分子 からなる群から選択される、請求項11記載の方法。 13. 肝臓で産生され胆汁に分泌されたTNFの循環への取り込みの増加によ る全身的な症状を治療又は予防する方法であって、患者に胆汁TNFの産生また は作用を妨げる成分を、静脈投与しないことを特徴として投与することを含む方 法。 14. 成分が、 a)TNFまたはそのレセプターに対する抗体、例えばTNF遮断抗体; b)TNFレセプターの可溶性形態; c)レセプターにおけるTNFの作用を遮断するペプチド;および d)これらの組み合わせ からなる群から選択される請求項13記載の方法。 15. 成分がポリクローナルまたはモノクローナル抗体である、請求項13ま たは14のいずれか一項に記載の方法。 16. 成分がモノクローナル抗体MAb47である、請求項13ないし15の いずれか一項に記載の方法。 17. 成分がペプチド、好ましくはペプチド492またはペプチドTである、 請求項13ないし15のいずれか一項に記載の方法。 18. 成分が、 a)カニューレまたは針を介した胆管または胃腸管の関連領域への直接輸送; b)腸で効果を有する経口輸送; c)肝臓を経て胆汁に排出される非経口輸送; d)胆汁へのTNFの輸送を遮断する非経口輸送;および e)これらの組み合わせ からなる群から選択された経路で輸送される、請求項13ないし17のいずれか 一項に記載の方法。 19. 成分が、直接的に胃腸管または胆管に輸送される、請求項13ないし1 8のいずれか一項に記載の方法。 20. 成分が、 a)TNF産生を減少するペプチド: b)サリドマイド等のTNF産生を遮断する成分、5−リポキシゲナーゼおよび 5−シクロオキシゲナーゼといった抗炎症阻害剤、ペントキシフィリンを含むc AMPレベルを上昇させてTNF産生を減少する成分 c)TNF産生を遮断するポリ不飽和脂肪酸等の脂質分子 からなる群から選択される、請求項13記載の方法。 21. 患者がヒトである、請求項1ないし20のいずれか一項に記載の方法。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI A61K 38/44 ABJ A61K 39/395 ACQ 39/395 AAH ADU ABB ADY ACQ 9284−4C ADZN ADU 9284−4C AEDD ADY 9051−4C 37/02 ABE ADZ 9051−4C 37/50 ABJ AED 9051−4C 37/22 ABF (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG ,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN, TD,TG),AP(KE,MW,SD,SZ),AM, AT,AU,BB,BG,BR,BY,CA,CH,C N,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB,GE ,HU,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LK, LR,LT,LU,LV,MD,MG,MN,MW,N L,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE ,SI,SK,TJ,TT,UA,US,UZ,VN

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1. 患者の腸の管腔内のTNFレベルの上昇によって引き起こされた腸疾患の 治療または予防方法であって、管腔内のTNFの作用を低減する、もしくは管腔 内のTNFの産生または蓄積を低減する成分を患者に投与することを含む方法。 2. 敗血症、下痢、ゲイ腸症候群、移植物対宿主疾患、大腸癌、HIV感染、 AIDSおよびAIDS関連感染症、疝痛、非ステロイド系抗炎症剤によって開 始された潰瘍、炎症性腸疾患、宿主対移植片疾患、胃腸潰瘍、胃腸炎症、手術後 の細菌性転座、多重器官不全および食物アレルギーからなる群から選択された症 候群または状態の患者における、請求項1記載の方法。 3. 敗血症、下痢、HIV感染、AIDSおよびAIDS関連感染症、並びに 手術後の細菌性転座からなる群から選択された症候群または状態の患者における 、請求項2記載の方法。 4. 個々の腸の管腔内のTNFが胆汁由来である、請求項1ないし3のいずれ か一項に記載の方法。 5. 成分が、 a)TNFまたはそのレセプターに対する抗体、例えばTNF遮断抗体; b)TNFレセプターの可溶性形態; c)レセプターにおけるTNFの作用を遮断するペプチド;および d)これらの組み合わせ からなる群から選択された請求項1ないし4のいずれか一項に記載の方法。 6. 成分がポリクローナルまたはモノクローナル抗体である、請求項1ないし 5のいずれか一項に記載の方法。 7. 成分がモノクローナル抗体MAb47である、請求項1ないし6のいずれ か一項に記載の方法。 7. 成分がモノクローナル抗体MAb47である、請求項1ないし6のいずれ か一項に記載の方法。 8. 成分がペプチド、好ましくはペプチド492またはペプチドTである、請 求項1ないし5のいずれか一項に記載の方法。 9. 成分が、 a)カニューレまたは針を介した胆管または胃腸管の関連領域への直接輸送; b)腸で効果を有する経口輸送; c)肝臓を経て胆汁に排出される非経口輸送; d)胆汁へのTNFの輸送を遮断する非経口輸送;および e)これらの組み合わせ からなる群から選択された経路で輸送される、請求項1ないし7のいずれか一項 に記載の方法。 10. 成分が、直接的に胃腸管または胆管に輸送される、請求項1ないし9の いずれか一項に記載の方法。 11. 成分が胆汁TNFの産生を減少する、請求項3記載の方法。 12. 成分が、 a)TNF産生を減少するペプチド: b)サリドマイド等のTNF産生を遮断する成分、5−リポキシゲナーゼおよび 5−シクロオキシゲナーゼといった抗炎症阻害剤、ペントキシフィリンを含むc AMPレベルを上昇させてTNF産生を減少する成分 c)TNF産生を遮断するポリ不飽和脂肪酸等の脂質分子 からなる群から選択される、請求項11記載の方法。 13. 肝臓で産生され胆汁に分泌されたTNFの循環への取り込みの増加によ る全身的な症状を治療又は予防する方法であって、患者に胆汁TNFの産生また は作用を妨げる成分を投与することを含む方法。 14. 成分が、 a)TNFまたはそのレセプターに対する抗体、例えばTNF遮断抗体; b)TNFレセプターの可溶性形態; c)レセプターにおけるTNFの作用を遮断するペプチド;および d)これらの組み合わせ からなる群から選択される請求項13記載の方法。 15. 成分がポリクローナルまたはモノクローナル抗体である、請求項13ま たは14のいずれか一項に記載の方法。 16. 成分がモノクローナル抗体MAb47である、請求項13ないし15の いずれか一項に記載の方法。 17. 成分がペプチド、好ましくはペプチド492またはペプチドTである、 請求項13ないし15のいずれか一項に記載の方法。 18. 成分が、 a)カニューレまたは針を介した胆管または胃腸管の関連領域への直接輸送; b)腸で効果を有する経口輸送; c)肝臓を経て胆汁に排出される非経口輸送; d)胆汁へのTNFの輸送を遮断する非経口輸送;および e)これらの組み合わせ からなる群から選択された経路で輸送される、請求項13ないし17のいずれか 一項に記載の方法。 19. 成分が、直接的に胃腸管または胆管に輸送される、請求項13ないし1 8のいずれか一項に記載の方法。 20. 成分が、 a)TNF産生を減少するペプチド: b)サリドマイド等のTNF産生を遮断する成分、5−リポキシゲナーゼおよび 5−シクロオキシゲナーゼといった抗炎症阻害剤、ペントキシフィリンを含むc AMPレベルを上昇させてTNF産生を減少する成分 c)TNF産生を遮断するポリ不飽和脂肪酸等の脂質分子 からなる群から選択される、請求項13記載の方法。 21. 患者がヒトである、請求項1ないし20のいずれか一項に記載の方法。
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