JPH09505557A - ヒト腫瘍細胞の遺伝子形質転換によるヒト腫瘍の治療 - Google Patents

ヒト腫瘍細胞の遺伝子形質転換によるヒト腫瘍の治療

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JPH09505557A JP7508296A JP50829695A JPH09505557A JP H09505557 A JPH09505557 A JP H09505557A JP 7508296 A JP7508296 A JP 7508296A JP 50829695 A JP50829695 A JP 50829695A JP H09505557 A JPH09505557 A JP H09505557A
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Abstract

(57)【要約】 ヒト宿主にある腫瘍を治療する一つの方法であって、ここで肺瘍細胞は一つの作用薬をコード化する核酸配列(DNAあるいはRNA)で生体内で形質導入され、この作用薬はそれをコード化する核酸配列の発現に際し腫瘍細胞の成長の阻害、予防あるいは破壊を提供出来る方法。一つの実施例において、このような治療は、負の選択マーカーをコード化する遺伝子を含むレトロウイルスベクターで形質導入された生産者細胞を生体内で腫瘍に投与することにより実施される。一度生産者細胞が腫瘍に投与されると、生産者細胞は腫瘍細胞を感染する感染性ウイルス粒子を生成する。腫瘍細胞に対し毒性のある作用薬を生産するために、負の選択マーカーと一緒に相互作用する相互作用薬を続けて投与することにより、形質導入腫瘍細胞は死滅する。望ましい実施例において、この方法はヒト脳腫瘍を治療するために使用される。

Description

【発明の詳細な説明】 ヒト腫瘍細胞の遺伝子形質転換によるヒト腫瘍の治療 この出願は優先権の目的で、アメリカ合衆国特許出願番号08/116,66 9号(1993年9月3日受理)およびアメリカ合衆国特許出願番号07/87 7,519号(1992年5月1日受理)を部分継承し、その恩恵を受けるもの であり、この2件の内容は引用例としてここにとり込まれている。 この発明はある作用薬をコード化するDNA(RNA)でヒト腫瘍細胞を形質 転換あるいは形質導入することによるヒト腫瘍の治療に関するものであり、この 作用薬はそれをコード化するDNA(RNA)の発現に際し腫瘍細胞の成長を阻 害し、予防しあるいは破壊することが出来る。 遺伝子転移は、疾病の中でもとりわけ癌治療の有望な方法としてある期間認識 されてきた。癌治療に対する遺伝子転移の初期の使用法は、抗腫瘍免疫応答を高 めることに集中する間接的アプローチであった。かくして例えば免疫細胞の細胞 毒性を増加させ、あるいはその増殖を高めることに努力がなされた。 このような一つのアプローチにおいて、腫瘍壊死因子(TNF)の遺伝子が、 腫瘍浸潤リンパ球(TIL)に挿入され、毒性遺伝子産物を原位置の腫瘍に優先 的に引渡すTILの帰巣性を利用する試みで行われた。この実験記録の開始はし かし困難であった。というのは形質導入T細胞はベクターサイトカインの発現を 停止させたためであった。ローゼンバーグ、他、ヒト 遺伝子治療 、1巻:443ページ(1990年)。 も一つのアプローチにおいて、腫瘍細胞は試験管内でサイトカイン遺伝子を使 って修飾され、患者自身の癌に対し患者を免疫化する試みで患者に再導入された 。動物研究では、IL−4遺伝子はテッパー、他、細胞、57巻:503ページ (1989年)により腫瘍に導入され、同じくIL−2遺伝子はフィアロン、他 、細胞、60巻:397ページ(1990年)、またガンズバッヒャー、他、 験医学ジャーナル 、172巻:1217ページ(1990年)により、ガンマイ ンターフェロン遺伝子はガンズバッヒャー、他、癌研究、50巻:7820ペー ジ(1990年)、TNF遺伝子はアッシャー、他、免疫ジャーナル、146巻 :3227ページ(1991年)によりそれぞれ腫瘍に導入された。各動物研究 は、再移植に対する遺伝子変換腫瘍の拒絶反応を示し、またこれらの研究でマウ スは続く同一腫瘍を使った再誘発試験には免疫であった。 遺伝子転移の臨床使用についてのこれら初期の研究は、腫瘍が切除されTIL あるいは細胞系が培養で株立ちされそれが次いで試験管内で遺伝子形質導入出来 、続いて患者に再移植されることを必要とした。このアプローチは、TILおよ び腫瘍系がすべての患者の腫瘍から試験管内で再成長出来ないという事実により また、生体外の形質導入で実行する必要性により制限される。 レトロウイルスベクターは現在臨床定植において生体外遺伝子転移のためのも っとも有効な手段を提供するが、レトロウイ ルスが活発にDNAを合成している標的細胞にのみ安定して組込み、またレトロ ウイルス遺伝子発現のためには組込みが必要条件となるために、その有効性はあ たかも限定されてきたように見える。 癌は活発に複製する細胞よりなるが、しばしば休止正常細胞により囲まれてい る。かくして前記の制約は癌を治療する利点として利用することが出来る。とい うのは、治療薬を運ぶレトロウイルスベクターは癌の塊の細胞に選択的もしくは 排他的に組込まれ、また発現されるためである。 この点に関し、エッツェディン、他、新生物学者、3巻:608−614ペー ジ(1991年)は、腫瘍治療のための試みとして、試験管内でのレトロウイル スベクター媒介遺伝子転移の利用について報告している。より詳細には、マウス レトロウイルスベクターが、1型単純ヘルペスウイルスからのチミジンキナーゼ 遺伝子(”HSV−1 tk遺伝子”)をC6ラット神経膠腫誘導細胞系に試験 管内で 導入するのに使用された。レトロウイルスベクターを取上げた細胞はガン シクロビル抗ウイルス剤に感作され、培地内でガンシクロビルに曝されると選択 的に殺された。 エッツェディン、他は基本的にすべての感染細胞を殺し、非感染細胞は殺さな いための試験管内での条件を定義する方法を使用することが出来た。加えてC6 細胞は腫瘍を形成するためのヌードマウスの皮下に導入され、腫瘍を持つマウス はガンシクロビルで治療された。ガンシクロビルはHSV−1 tk発現C6細 胞により形成される腫瘍の成長を阻害したが、 HSV−1 tk陰性C6細胞には影響を与えなかった。 エッツェディン、他はかくして試験管内レトロウイルス遺伝子転移が細胞毒性 作用薬に細胞を感作させるのに使用することが出来、この作用薬が次いでヌード マウスで細胞が腫瘍として増殖する際にその細胞を殺すのに使用出来ることを示 した。しかし、著者はHSV−1 tk遺伝子を原位置の腫瘍細胞に導入する何 らかの実際的な方法を示さなかった。エッツェディン、他は更に腫瘍にあるすべ ての細胞以下がtk遺伝子を取上げ、毒性を確実にするのに十分な水準で遺伝子 を発現し、その結果としてガンシクロビルに曝すことで殺される場合に、腫瘍緩 解の前提条件である新生細胞をすべて根絶する方法を示さなかった。 ショート、他、神経科学研究ジャーナル、27巻:427−433ページ(1 990年)は、レトロウイルスベクターパッケージング細胞系を腫瘍に移植する ことによる遺伝子の腫瘍細胞へのデリバリーを述べた。パッケージング細胞系は 複製欠陥レトロウイルスベクターを生産し、そこではレトロウイルスベクター増 殖のマーカーとして役立つβガラクトシダーゼの発現を駆動するのにMoMLV LTRプロモーターオペレーターが使用された。パッケージング細胞系が腫瘍 に移植された時、βガラクトシダーゼ原位置発現はパッケージング細胞および増 殖腫瘍細胞にのみ見られ、正常組織では見られなかった。 腫瘍細胞に対する明白な選好があるにも拘らず、ショートによれば、生産者細 胞から腫瘍細胞へのレトロウイルスベクターの増殖は比較的非能率的であり、腫 瘍内の細胞のほんの一部の みが感染した。更に無細胞レトロウイルスベクター粒子がパッケージング細胞系 よりも直接腫瘍に導入された時、事実上ガラクトシダーゼ発現は観察されなかっ た。ショート、他はパッケージング細胞系は「キラー」あるいは「サプレッサー 」遺伝子を腫瘍細胞に運ぶため使用されるかもしれないが、すべての腫瘍細胞へ の直接遺伝子導入にもとづく治療効用に必要とされるものよりはるかに低い感染 効率を観察したという考えであった。 悪性脳腫瘍は小児科および成人母集団両方のかなり高い罹患率および死亡率の 原因となる。これら共通の腫瘍は、根治手術、高処方の放射線治療および化学療 法にも拘らず成果が貧しいことに起因して莫大な量の治療的抗原投与を提供する 。診断時からの患者の生残りは月数で測定され、治療後の回帰は週による平均余 命と関連する。 カルヴァー、他、科学、256巻:1550−1552ページ(1992年6 月12日)および、ラム、他、癌研究、53巻:83−88ページ(1993年 1月1日)は、脳神経膠腫を持つラットに対し単純性ヘルペスチミジンキナーゼ を含むレトロウイルスベクターを生産する繊維芽細胞の腫瘍内注射による投与を 示している。ラットに生産者細胞が与えられた後、ガンシクロビルが次いで与え られた。 1993年3月4日公開されたPCT出願番号WO93/04167は、脳腫 瘍細胞を殺すために治療遺伝子をその細胞に転移する方法を開示する。このよう な方法では、一つの選択マーカーおよびその複製に必要とされる少くとも1個の 遺伝子 を含むレトロウイルスは、生産者細胞のゲノムに入るレトロウイルスに対応する プロウイルスDNAの組込みが修飾レトロウイルスの生成に帰着するように生産 者細胞に導入され、そこでは、レトロウイルスの複製に必要とされる少くとも1 個の遺伝子が治療遺伝子あるいは遺伝子群に代替される。生産者細胞は次いで修 飾レトロウイルスが生産者細胞のゲノムの一部としてとり込まれるように選択さ れる。生産者細胞は次いで腫瘍細胞を修飾レトロウイルスで感染させ、それによ り治療遺伝子あるいは遺伝子群を腫瘍細胞に転移させるために株分け腫瘍細胞に 近接して移植される。細胞は次いで細胞を殺す代謝産物に腫瘍細胞を転移させた 治療遺伝子により新陳代謝する一つの物質を投与することで殺される。治療遺伝 子は単純性ヘルペスチミジンキナーゼ遺伝子であり、また腫瘍細胞を殺す単純性 ヘルペスチミジンキナーゼにより代謝される物質はガンシクロビルあるいはアシ クロビルであることが出来る。引用されたPCT出願は、(i)HSV tk遺 伝子およびG418耐性遺伝子を運ぶ複製欠陥レトロウイルスがG418選択を 経て試験管内で神経膠腫細胞系に安定して導入出来た;(ii)形質転換細胞内の ウイルスtk遺伝子が対照神経膠腫細胞よりもガンシクロビルに対し約20倍も 感受性を持っていた;また(iii)ラット脳に移植された時に腫瘍を形成したあ る種の神経膠腫腫瘍細胞が、マーカー遺伝子を使ってレトロウイルスベクターを 生産する生産者細胞系を腫瘍が注射された時に更にβガラクトシダーゼを発現し たということだけを示すものである。説明された実験におけるベクターはtk遺 伝子を運ばなかったし、またそこ では化学療法剤の全身投与もなかった。かくして間題のPCT出願は腫瘍細胞が 何らかのそのような作用薬に対し生体内で感受性を与えることが出来ることを示 していない。 この発明の一つの見地に従って、ヒト宿主にある一つの腫瘍、望ましくは脳腫 瘍を治療する一つの方法が提供される。この方法は作用薬をコード化する核酸( DNAあるいはRNA)配列の発現に際し腫瘍細胞の成長を阻害し、予防し、あ るいは破壊することの出来る一つの作用薬をコード化する核酸配列を用いて生体 内で 腫瘍細胞を形質導入することを含む。 核酸配列の発現に際し腫瘍細胞の成長を阻害し、予防し、あるいは破壊するこ との出来る作用薬をコード化する核酸配列は、腫瘍細胞を形質導入する適切な発 現ベクターに含まれる。このような発現ベクターは必ずしもそれに限定されない が、真核ベクター、原核ベクター(例えば細菌ベクターなど)、およびウイルス ベクターである。 一つの実施例において、発現ベクターはウイルスベクターである。使用される ウイルスベクターは必ずしもそれに限定されないがレトロウイルスベクター、ア デノウイルスベクター、アデノ関連性ウイルスベクター、およびヘルペスウイル スベクターである。望ましくは、ウイルスベクターはレトロウイルスベクターで ある。 望ましい実施例において、パッケージング細胞系は、ウイルスベクターを含む 生産者細胞系を形成する作用薬をコード化する核酸配列の発現に際し、腫瘍細胞 の阻害、予防あるいは破壊を提供する作用薬をコード化する核酸配列を含むウイ ルスベク ターで形質導入される。生産者細胞は次いで腫瘍に投与され、これにより生産者 細胞は腫瘍細胞に形質導入出来るウイルス粒子を生成する。 望ましい実施例において、ウイルスベクターはレトロウイルスベクターである 。使用されるレトロウイルスベクターの例は、必ずしもそれに限定されないが、 モロニーマウス白血病ウイルス、脾臓壊死ウイルス;およびラウス肉腫ウイルス 、ハーヴェイ肉腫ウイルス、トリ類白血症ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、骨 髄増殖性肉腫ウイルス、および乳癌ウイルスなどのようなレトロウイルスから誘 導されるベクターである。望ましくは、レトロウイルスベクターは感染性ではあ るが、非複製能力のレトロウイルスである。しかし複製能力を持つレトロウイル スも利用することが出来る。 レトロウイルスベクターは真核細胞にレトロウイルス媒介遺伝子の転移を媒介 する作用薬として有用である。レトロウイルスベクターは、ウイルスの構築遺伝 子をコードする多数の配列が欠失し、対象となる遺伝子により代替されるように 一般的に構築される。非常にしばしば構造遺伝子(すなわちgag,pol,お よびenv)は従来の遺伝子操作技術を用いてレトロウイルスバックボーンから 除去される。これは適切な制限エンドヌクレアーゼで、あるいは、ある場合にお いてはパッケージングシグナルの適切な部分を含む断片を生成するためにBal 31エキソヌクレアーゼによる消化を含むこともある。 これら新しい遺伝子はいくつかの一般的な方法でプロウイル スバックボーンにとり込まれてきた。もっとも直截的な構築は、レトロウイルス の構造遺伝子が単一の遺伝子で取替えられ、次いでそれが長末端反復(LTR) 内でウイルス調節配列の制御の下で転写される構築である。更にレトロウイルス ベクターは1個以上の遺伝子を標的細胞に導入出来るよう構築された。通常この ようなベクターにおいては、1個の遺伝子がウイルスLTRの調節制御の下にあ り、一方第2遺伝子がスプライシングメッセージから離れるかもしくはそれ自体 の内部プロモーターの調節下で発現される。 ウイルスバックボーンのウイルス成分を最小にするように努力が払われ、特に パッケージング細胞内でベクターとパッケージング欠陥ヘルパーウイルスとの間 の組換えの機会を減少させるための努力が行われた。パッケージング欠陥ヘルパ ーウイルスはレトロウイルスの構造遺伝子を提供するのに必要であり、それはベ クター自身から欠失されていた。 一つの実施例において、レトロウイルスベクターはベンダー、他、ウイルス学 ジャーナル 、61巻:1639−1649ページ(1987年)に記載された一 連のベクターの一つであり、ベクターおよびパッケージングシステムの間の相同 を絶対最小値にまで減少させるために一連の欠失あるいは置換を含むN2ベクタ ー(アーメンターノ、他、ウイルス学ジャーナル、61巻:1647−1650 ページ)にもとづくものである。これらの変化は更に、ウイルスタンパク質が発 現される尤度を減少させた。これらベクターの最初のもの、LNL−XHCでは 、部位指向突然変異誘発によりgagの天 然ATG出発コドンからTAGへの変化が起こり、それによりその時点からの意 図しないタンパク質合成を排除することになる。モロニーマウス白血病ウイルス (MoMuLV)において、真正gagに対する5′が出発し、読取り枠は存在 し、それがも一つのグリコシル化タンパク質(pPr80gag)の発現を可能に する。モロニーマウス肉腫ウイルス(MoMuSV)はフレームシフトおよび、 糖鎖形成部位の欠損を含むこの5′領域で変質し、それがpPr80gagのアミ ノ末端の潜在的発現を未然に防ぐ。従ってLNL−XHCの変質ATGおよびM oMuSVの5′部分双方をとり込んだベクターLN6が形成された。LNベク ターシリーズの5′構造は、かくして遺伝子形質導入標的細胞におけるウイルス 抗原の連続生産とともにレトロウイルス読取り枠の発現の可能性を除去する。パ ッケージング欠陥ヘルパーウイルスを用いるオーバーラップを減少させる最終変 質において、ミラーはLNベクターにある3′LTRの直前にある余分のenv 配列を除去した(ミラー、他、バイオテクニクス、7巻:980−990ページ (1989年))。 遺伝子治療に応用されるどのような遺伝子転移システムによっても満足されね ばならない最高の必要性は安全性ということである。安全性はベクターゲノム構 造を、感染性ベクターの生産に利用されるパッケージングシステムと一緒に組合 せることにより誘導される。ミラー、他はレトロウイルス構造タンパク質の発現 のためのpPAM3プラスミド(パッケージング欠陥ヘルパーゲノム)とLNベ クターシリーズとをベクターパッ ケージングシステムを作るための組合せとして発展させたが、ここでは組換え野 生型レトロウイルスの生成はベクターゲノムとパッケージング欠陥ヘルパーゲノ ム(すなわちpPAM3を持つLN)との間の組換えの殆どすべての部位の除去 を通じて最小に減少される。 一つの実施例において、レトロウイルスベクターは前記記載のもののようなベ クターのLNシリーズであるモロニーマウス白血病ウイルスであり、それは更に ベンダー、他(1987年)およびミラー、他(1989年)により説明される 。このようなベクターはマウス肉腫ウイルスから誘導されるパッケージシグナル の一部、および突然変異gag開始コドンを持つ。ここで使用される「突然変異 (した)」という用語はgagタンパク質あるいは断片もしくはその切形が発現 されないようにgag開始コドンが欠失あるいは変質されたことを意味する。 も一つの実施例において、レトロウイルスベクターは少くとも4個のクローニ ング、あるいは制限酵素認識部位を含み、ここでは少くとも2個の部位が10, 000塩基対に1回以下の真核遺伝子の平均出現頻度を持つ。すなわち制限産物 は少くとも10,000塩基対の平均DNAサイズを持っている。望ましいクロ ーニング部位はNotI,SnaBI,SalI、およびXhoIよりなるグル ープから選択される。望ましい実施例において、レトロウイルスベクターはこれ らのクローニング部位のそれぞれを含んでいる。このようなベクターは更に、1 992年7月23日に受理されたアメリカ合衆国特許出願番 号919,062号に説明されており、ここでも引用文献として合体されている 。 このようなクローニング部位を含むレトロウイルスベクターが使用される場合 には、レトロウイルスベクターに位置するNotI,SnaBI,SalI、お よびXhoIよりなるグループから選択される少くとも2個のクローニング部位 と適合する少なくとも2個のクローニング部位をを含むシャトルクローニングベ クターが提供される。シャトルクローニングベクターは更に、シャトルクローニ ングベクターからレトロウイルスベクターに転移されることの出来る少くとも1 個の望ましい遺伝子を含む。 シャトルクローニングベクターは1個もしくはそれ以上のリンカーを結合する 基本「バックボーン」ベクターもしくは断片から構築され、このリンカーはクロ ーニングあるいは制限酵素認識部位を含む。クローニング部位に含まれるのは前 記記載の適合性あるいは相補性クローニング部位である。シャトルベクターの制 限部位に対応する末端を持つ遺伝子および、もしくはプロモーターは、従来の技 術を通じてシャトルベクターに結合することが出来る。 シャトルクローニングベクターは原核システムにあるDNA配列を増幅するた めに使用することが出来る。シャトルクローニングベクターは原核システム、と りわけ細菌で一般に用いられるプラスミドから調製される。かくして例えば、シ ャトルクローニングベクターはpBR322;pUC18などのようなプラスミ ドから誘導され得る。 ベクターは1個もしくはそれ以上のプロモーターを含む。使用される適切なプ ロモーターは、必ずしもそれに限定されないが、ミラー、他、バイオテクニク、 7巻、9号:980−990ページ(1989年)に説明されているレトロウイ ルスLTR;SV40プロモーター;およびヒトサイトメガロウイルス(CMV )プロモーター、あるいは他のプロモーター(必ずしもそれに限定されないが、 例えばヒストン、polIII、およびβアクチンプロモーターを含む真核細胞 性プロモーターなどの細胞性プロモーター)を含む。使用される他のプロモータ ーは、必ずしもそれに限定されないが、アデノウイルスプロモーター、TKプロ モーター、およびB19パルボウイルスプロモーターを含む。適切なプロモータ ーの選択は、ここに含まれる教訓から従来の技術に習熟した人にとっては明らか であろう。 ベクターは次いで生産者細胞系を形成するために、パッケージング細胞系に形 質導入するために使用される。形質移入されるパッケージング細胞の例は、必ず しもそれに限定されないが、PE501,PA317,ψ−2,ψ−AM,PA 12,T19−14X,VT−19−17−H2,ψCRE,ψCRIP,GP +E−86,GP+envAM12、およびDAN細胞系を含む。作用薬をコー ド化する核酸配列の発現に際し腫瘍細胞成長の阻害、予防、あるいは破壊を提供 出来る作用薬をコード化する核酸配列を含むベクターは、従来の技術で知られて いるいずれかの手段を通じてパッケージング細胞系に形質導入する。このような 手段は必ずしもそれに限定されない が、電気穿孔法,リポソームの使用、およびCaPO4沈殿法を含む。 生産者細胞は次いで腫瘍の成長を阻害し、予防し、あるいは破壊するのに有効 な量で腫瘍に直接、あるいは隣接して投与される。一般に生産者の細胞は腫瘍の cc(立方センチ)当り少くとも2.5×108細胞数の量で投与される。一般 に投与される細胞量は腫瘍のcc当り4×108細胞数を越えることはない。し かし大きな量が使用され得る。投与される生産者細胞の厳密な量は、必ずしもそ れに限定されないが腫瘍の型および腫瘍のサイズなど各種の要素に依存する。 一般に、生産者細胞は注射により腫瘍に直接あるいは隣接して投与される。例 えば細胞は、89孔を含むもののような二次元体内移植グリッドに腫瘍塊の表示 を可能にするCTあるいはMRI誘導定位システムの使用で投与することが出来 る。このシステムは、生産者細胞の腫瘍塊への分布を最適化するために正確な座 標、位置、および注射路を提供することが出来る。 生産者細胞は患者への投与に適切な薬理的に許容出来る担体と併用して投与さ れる。担体は例えば食塩水あるいは緩衝液もしくは他の同一モルの水溶液のよう な液状担体であることが出来る。 生産者細胞の腫瘍への投与に際し、生産者細胞はウイルス粒子を生成する。ウ イルス粒子は次いで周辺腫瘍細胞に形質導入する。腫瘍細胞、とりわけ癌性腫瘍 細胞は一般に活発に複製する細胞であるため、レトロウイルス粒子は正常細胞と は反対に腫瘍細胞にとり込まれ、また選択的にあるいは独占的に発現さ れるであろう。 この発明に従って治療される腫瘍は悪性および非悪性腫瘍を含む。 治療を受ける(原発性および転移性を含む)悪性腫瘍は、必ずしもそれに限定 されないが、以下のものに生じるものを含み、それらは副腎、膀胱、骨格、乳房 、頸、内分泌腺(甲状腺、下垂体、および膵臓を含む)、結腸、直腸、心臓、造 血組織、腎臓、肺、筋、神経系、脳、眼、口腔、咽頭、喉頭、卵巣、陰茎、前立 腺、皮膚(黒色腫を含む)、睾丸、胸腺、および子宮である。 この発明に従って、作用薬の発現に際し腫瘍細胞の成長の阻害、予防、あるい は破壊を提供出来るそのような作用薬は負の選択マーカーである。すなわちそれ は化学療法薬あるいは相互作用薬と併用して腫瘍細胞の成長を阻害し、予防しあ るいは破壊する物質である。 かくして、負の選択マーカーで腫瘍細胞を形質導入する際に、相互作用薬がヒ ト宿主に投与される。相互作用薬は腫瘍細胞の成長を予防し、阻害し、あるいは 破壊するために、負の選択マーカーを使って相互作用する。 使用される負の選択マーカーは、必ずしもそれに限定されないが、単純性ヘル ペスウイルスチミジンキナーゼ、サイトメガロウイルスチミジンキナーゼ、およ び水痘−帯状疱疹ウイルスチミジンキナーゼなどのチミジンキナーゼ;およびシ トシンデアミナーゼである。 一つの実施例において、負の選択マーカーは単純性ヘルペス ウイルスチミジンキナーゼ、サイトメガロウイルスチミジンキナーゼ、および水 痘−帯状疱疹ウイルスチミジンキナーゼよりなるグループから選択されるウイル スチミジンキナーゼである。このようなウイルスチミジンキナーゼが使用される 時には、相互作用薬あるいは化学療法薬は望ましくはヌクレオシド類似体、例え ばガンシクロビル、アシクロビル、および1−2−デオキシ−2−フルオロ−β −D−アラビノフラノシル−5−ヨードウラシル(FIAU)よりなるグループ から選択される類似体である。このような相互作用薬は基質としてのウイルスチ ミジンキナーゼにより有効に利用され、このような相互作用薬はかくしてウイル スチミジンキナーゼを発現する腫瘍細胞のDNAに致死的にとり込まれ、これに より腫瘍細胞の死滅を生じさせる。 も一つの実施例において、負の選択マーカーはシトシンデアミナーゼである。 シトシンデアミナーゼが負の選択マーカーである場合には、望ましい相互作用薬 は5−フルオロシトシンである。シトシンデアミナーゼは5−フルオロシトシン を細胞毒性の高い5−フルオロウラシルに転換する。かくしてシトシンデアミナ ーゼ遺伝子を発現する腫瘍細胞は5−フルオロシトシンを5−フルオロウラシル に転換し、死滅される。 相互作用薬は形質転換腫瘍細胞の成長を阻害し、予防し、あるいは破壊するの に有効な量で投与される。例えば相互作用薬は、患者に対する全毒性に依存し、 体重の5mgから10mg/kgの量で投与することが出来る。相互作用薬は例 えば、静脈内投与、非経口投与、腹腔内投与、あるいは筋肉内 投与などのように全身投与される。 負の選択マーカーを含む生産者細胞あるいは他の発現媒体が生体内の腫瘍に投 与される時には、「第三者効果」が生じることがある。すなわち負の選択マーカ ーをコード化する核酸配列でもともと形質導入されなかった腫瘍細胞は、相互作 用薬の投与に際して死滅させられることがある。この発明の範囲はいずれの理論 的類推に限定されるものではないが、形質転換腫瘍細胞は、負の選択マーカーの 分散可能な形態を生産し、それは相互作用薬に対し細胞外で作用するか、あるい は隣接する非形質転換腫瘍細胞によりとり上げられ、これは次いで相互作用薬の 作用を受けやすくなる。負の選択マーカーおよび相互作用薬の一方もしくは双方 が腫瘍細胞との間で連通することも可能である。 望ましい実施例において、パッケージング細胞系は、単純性ヘルペスウイルス チミジンキナーゼ遺伝子を含む前記記載のレトロウイルスベクターで形質導入さ れる。形質導入パッケージング細胞(生産者細胞)は許容出来る薬理担体で、ま た腫瘍の成長を阻害し、予防し、あるいは破壊するのに有効な量で腫瘍に対し 体内で 投与される。生産者細胞の腫瘍への投与に際し、生産者細胞は負の選択マ ーカーをコード化する遺伝子を含むウイルス粒子を生成する。このようなウイル ス粒子は、隣接する腫瘍細胞に形質導入する。ヒト宿主は次いで、形質導入腫瘍 細胞を死滅させる単純性ヘルペスウイルスチミジンキナーゼで作用するガンシク ロビルル、アシクロビル、あるいは1−2−デオキシ−2−フルオロ−β−D− アラビノフラノシル− 5−ヨードウラシル(FIAU)などのような作用薬を与えられる。前記記載の ように、「第三者効果」が生じることもあり、それにより非形質導入腫瘍細胞も また同じように死滅させられることもある。 この発明の望ましい実施例において、診断画像処理、コンピューター画像分析 および定位外科操作の調整システムが患者に対する損害を最小にしかつ治療効果 を最大にするように生産者細胞を腫瘍に投与するために使用される。以下でより 詳細に説明されるように、このシステムにより、一組の多重平行顕微注射曲線が 決定され、生産者細胞はその曲線に沿う部位でデポジットされる。このようにし て生産者細胞は望ましくは腫瘍内での生産者細胞の等容積量で均質の分布を果す ために、より一様に分布される。 この発明の一見地に従って、最初の原位置腫瘍の三次元画像のデータが望まし くはコンピューター断層撮影法(CT)あるいは磁気共鳴(MR)画像処理など のような診断画像処理技術の媒介により得られる。このような情況において使用 される画像は、画像の上の点として現れ、個別の患者の解剖学的構造に対し的確 な様式で関係する「起点」と呼ばれるマーカーを含むものでなければならない。 かくしてこの起点は、神経注射の個別の患者への定位装置上の座標に画像の座 標を的確に翻訳する手段を提供する。この目的での起点の利用は神経外科でのよ く知られた一つの便宜主義である。 CTあるいはMR画像からのデータは、望ましくはレトロウ イルス生産者細胞などの生産者細胞を腫瘍に顕微注射するための部位および曲線 を決定するために相互作用分析を促進するソフトウエアにより使用されるよう翻 訳される。この分析は顕微注射計画のリアルタイム相互展開を可能にするために 、高度な図形ワークステーションあるいはより強力なコンピューターで実施する ことが出来る。 各種の商業的に利用出来るソフトウエアおよびハードウエアをこの発明のこの 見地に従う使用のために修飾することが出来る。定位誘導処置を計画するために 特に開発されてきたソフトウエアは、この目的にもっとも容易に適応するもので ある。このようなソフトウエアの適例となるものはブレインスキャンBrain SCANソフトウエアで具体化されたブレインラブBrainLAB(ドイツ、 ミュンヘン)により商業化された定位計画システムである。ブレインスキャンソ フトウエアは、例えばCTあるいはMR画像処理により得られた三次元腫瘍画像 の操作を提供する。このソフトウエアは、画像を図解し、器官にある腫瘍塊を確 認および視覚化し、容積を計算し、物理的中心を計算し、顕微注射曲線をプロッ トし、腫瘍を通過する曲線の通路を表示し、また画像内の起点により画像内にあ る座標を定位器具上で使用するための座標に翻訳するための都合のよい利用設備 (ユーティリティ)を提供する。従って、このソフ卜ウエアは、もっとも有効な 一連の顕微注射曲線を物理学者が確認するための強力なツールを表わす。この発 明に従って治療処置を計画する場合にこの使用法が以下に示される。 現在の慣行では、CTあるいはMRデータは患者の画像領域 の二次元の断面図を提供し、それはコンピューターにより組合されて三次元図を 産み出す。腫瘍は医師により二次元図で確認され、彼がライトペンあるいは類似 の装置を使って腫瘍の形状の輪郭を示す。このように治療標的が画像解析プログ ラムへ入った後、医師は異なった神経系アプローチの効率を検討し評価するため にソフトウエアユーティリティを使用することが出来る。 そのようなプログラムの使用は、多重平行顕微注射による脳腫瘍内のレトロウ イルスベクター生産者細胞を均等に分布するのに必然的に伴うこの発明の望まし い実施例に対する図解引用例により理解することが出来る。この実施例では、ブ レインスキャンソフトウエアは顕微注射を統制するために開発されたグリッドを 描くように改造されてきた。医師は実際グリッドを脳の表面のどの部分にでも置 くことが出来る。 ソフトウエアは命令に応じて多くの針を収納するグリッド内で各針道のための 顕微注射曲線を示す。このプログラムは腫瘍を通過しその行路を示す曲線を照明 する。ソフトウエアは針が腫瘍を通過し、交差する曲線によりカバーされる腫瘍 の割合を要約する。グリッドを脳の表面の異なった点に動かすことにより、医師 は曲線を観察し脳神経外科のための効果的な計画を展開するための要約データを 評価することが出来る。 この発明に準じて、この点で最高に留意されねばならないことは腫瘍全体にわ たってレトロウイルス生産者細胞の均等な分布を達成することである。この目的 のために、細胞の沈着部位は出来る限り腫瘍に大よそ等しい量に集中するように されねば ならないことがわかった。つまり、生産者細胞の分布は、腫瘍塊の形状および近 付きやすさについて実際的である限りにおいて等容積でなければならないという ことである。この目的を達成するために選ばれたものは、(i)この発明に従っ た開頭術により曝されたグリッドが脳に置かれる入口位置、(ii)一連の平行曲 線および対応するグリッド内の針の位置、および(iii)各曲線に沿った沈着部 位である。 数多くの追加の要素もまた入口点、針の位置、および沈着部位を選択する際に 考慮されるであろう。例えば、入口部位は脳を多くの注射に曝さねばならない外 科処置に都合のよいものでなければならない。脳腫瘍のために開発された処置に おいて、開頭術が行われ、入口点は外科手術と関連して都合のよいように評価さ れる。曲線もまた、血管を避けるように選ばれる。外科処置を計画する際のも一 つの目的は針を特に機械的損傷を受けやすいいずれの領域をも通過させないこと である。最後に、グリッド配置および曲線は健康な組織を冒してもそれが最小に なるように選択される。 グリッド配置、曲線、および沈着部位が一度選択されると、このプログラムは 顕微注射を実施するための定位座標の一覧表を提供する。座標は外科手術で使用 される装置マーキングに正確に対応する。一覧表に含まれるものは細胞を沈着さ せる各顕微注射曲線の深さである。この処置は以下で例示されるように周知の脳 神経外科処置を用いてこのように開発された計画に従って実行されることになる 。 この方法は曲線および沈着部位が従来の神経外科の技術より も間隔がより密接に置かれることが意図される。加えて前記記載の通り決定され た顕微注射曲線に従って多重平行行路の生産は、針を適切に配置し、相対的に多 くの脳を開頭術により曝すことを必要とする。加えて、この発明の特に望ましい 実施例における針をガイドするグリッドは、曝された脳の表面に直接置かれる。 この発明のこの見地による特に望ましいいくつかの実施例の一つであり、図9 に示される特定定位装置は、前記の条件に調和するように特に開発されてきた。 図9は多重平行顕微注射曲線に従って針をガイドするグリッドシステムを装備し た脳外科手術用の典型的な定位装置を示す写真である。針を含む手術装置はその グリッド内の平行行路で見ることが出来る。描かれた装置は顕微注射のための複 数の間隔のつまったガイドを提供する。この装置は3mmの中心−中心間距離を持 つ89個のガイドホールドを提供する。示されているように、ガイドは定位装置 に取付けられ、前記の通り腫瘍の画像分析によりその期間測定された曲線の後を 追う注射針の正確な位置付けを可能にする。 別の方法では、注射は商業的に利用出来る設備を用いて行うことが出来る。針 および注射器は一般に脳神経外科で使用されるものである。狭いゲージの針が望 ましい。標準の注射器、例えば100ミクロリットルのハミルトン注射器が使用 される。針は手で脳に挿入される。液の受渡しも注射器プランジャーにより手で 直接制御される。 生産者細胞を脳に受渡しする際に、望ましくはまず針は計画 された最大の範囲にまで曲線に沿って挿入され、細胞はそこでデポジットされる 。次いで針は経路に沿ってあらかじめ定められた点で細胞をデポジットするよう 停止を繰返し徐々に引抜かれる。これに関して、針をミリメートルの増分で動か すことが実際的であることが判明した。計画されたデポジットすべてが行われる まで各曲線に対し同じ方法が使用された。 曲線間の距離、曲線に沿った注射部位の分布、およびタイプ、段階、部位、患 者の特徴等により区別される異なった腫瘍に最適であり、また異なったベクター および相互作用薬にとって最適である生産者細胞の量および濃度は、結局の所経 験的事実に基づいて、すなわち治療効力を参考にして決定されるであろう。かく して治療経験はますますより広い範囲の種類にわたるヒト腫瘍に対するより生産 的な治療設計を行うために前記の方法にとり込まれることになるであろう。 この発明の方法は、標的とする腫瘍が、肝臓,皮膚,骨,脳,筋,膀胱,前立 腺,腎臓,副腎,膵臓,心臓,血管および甲状腺組織などのような、その他の中 でも相対的に鎮静期の有糸分裂にある細胞から作られる組織にある時には、とり わけ有用である。この発明のアプローチは更にクモ膜下腔,腹膜および胸腔に位 置する腫瘍に対しても有用であるに違いない。 とりわけ望ましい標的は脳腫瘍であり、それはこの発明に従う治療を特に受け 易くさせるいくつかの特性を示している。脳にある神経細胞および大抵の定常細 胞は鎮静期にありDNAを定期的に合成していない。脳にある血管内皮細胞は遅 い速度で循環しているが、しかしその中でも恐らくもっとも循環してい るものは、腫瘍の近傍でしばしば局在化された血管形成促進シグナルに対応する 細胞になるであろう。このような血管は恐らく腫瘍の血液供給の部分となるため 、その破壊もまた望ましいものとなる。従って脳内では、主要な有糸分裂活性細 胞は腫瘍細胞あるいはその支援の必要な細胞となる。従って主として脳に導入さ れたレトロウイルスベクターは腫瘍細胞あるいは腫瘍血管新生に関連する細胞の みに組込まれあるいはそれに影響を与えるものとなるであろう。 脳腫瘍はしばしば局在化されるが、その位置が隣接する危険な構造のために未 だに手術不能である場合がしばしばある。従って有毒物質の腫瘍への受渡しが外 科切除なしで実行されるこの発明の範囲の技術は非常に有用である。この発明で 脳腫瘍を標的とするも一つの利点は、脳が免疫学的に特権を与えられた部位であ り、かくして免疫拒絶なしにかなりの期間固執し続ける組織不適合のレトロウイ ルスベクターの生産者細胞を受け入れる。 生産者細胞の直接注射は、複製可能レトロウイルスベクターが使用される場合 には、とりわけ体内にあるウイルスの望ましくない増殖を更に最小にする。体内 の大抵の細胞が両栄養性レトロウイルスベクターの受容体(レセプター)を発現 するために、腫瘍の局所環境から逃避するいずれのベクター粒子も直ちに他の細 胞と結合する。しかし大抵の細胞は循環の中にはなく、従ってベクターにより運 ばれる遺伝子にはとり込まれずそれが含むいずれの遺伝子をも発現しない。従っ て被曝の際に循環の中にある潜在的標的細胞の割合は小さく、正常組織に対す る全身毒性効果は最小になるであろう。 この発明のも一つの代替的で望ましい実施例は、一つのレザバー(以下でしば しば「オマヤレザバー」として引用されるもの)の脳の腫瘍床への外科切除およ び移植を使用し、これにより前記記載の生産者細胞の導入のための脳へのアクセ スポートを提供する。細胞は上にある皮膚を通して注射され、レザバーに入れら れる。 この発明はここで以下の実施例に関連して説明される。しかしこの発明の範囲 はそれにより限定されるものではない。 実施例1 チミジンキナーゼ遺伝子および静脈ガンシクロビルで腫瘍内形質導入を用いる 脳腫瘍の治療のための遺伝子療法 脳腫瘍は全人口の罹患率および死亡率の主要な原因である。新しい脳腫瘍は毎 年成人のアメリカ人の約35,000人に発生する。それは15才から34才ま での年代の人の癌に次ぐ第3位の死亡原因となる。マハレー、他、神経外科学ジ ャーナル 、71巻:826−836ページ(1989年)。最近の証拠は原発性 脳腫瘍の罹患率が、とりわけ初老の人に増えつつあることを示している。セール マン、他、アプッツオ編、悪性脳神経膠腫、パークリッジ、イリノイ、神経外科 医協会:95−110ページ(1990年)。 非常に悪性の多形グリア芽細胞腫(GBM)を含む大グリア細胞腫瘍はもっと も一般的な原発性脳腫瘍である。腫瘍の外科手術除去および術後高用量放射を含 む積極的な療養にも拘らず、GBMを持つ患者の予後は、9乃至10ケ月後の平 均生存 率で非常に厳しい。アミラーティ、他、神経外科学、21巻:607−614ペ ージ(1989年)。論争上の問題ではあったが、化学療法が手術および放射に 加えられた時にも生存率の質および時間のいずれも改善されていない。ウォーカ ー、他、神経外科学ジャーナル、49巻:333−343ページ(1978年) 。多形グリア芽細胞種が再発する場合には、数週間から2,3ケ月で100%の 死亡率となる。一つの研究では、2回の手術を受けた再発性GMBの患者は平均 生存率が僅か36週間であった。不幸なことにこれらの患者の人生の正当な特質 は再発性GMBの診断後10週間に限定された。ハーシュ、他、神経外科学、2 1巻:615−621ページ(1987年)。 脳への転移は、癌患者の20乃至30%に発生する全身性癌のしばしば起こる 合併症である。ケアンクロス、他、ウォーカー編、癌治療および研究、12巻: 341−377ページ、ボストン、マーチナス・ニグホフ(1983年)(米国 では毎年110万人の新しい癌症例が出ている)。患者の50%で、転移疾病が 中枢神経系に局在化する。デレイター、他、古運動神経学、45巻:741−7 44ページ(1988年)。小さなグループの患者は、脳で分離された転移疾病 に屈服することによってのみ彼等の原発性癌を治癒されることがあるかもしれな い。放射線療法と組合せた外科手術は外科手術で近づきやすい脳転移の単一焦点 のための選択の治療法である。複峰性(外科手術および放射線療法)を用いる平 均生存率は40週間に達する。脳転移疾病を持つ大抵の患者は、病巣の多重度あ るいは それらに到達し難いことが外科手術介入を阻害し、療法を放射線のみに限定して 平均生存率を約15週間に限定する。パッチェル、他、ニューイングランド医療 ジャーナル 、322巻:494−500ページ(1990年)。 中枢神経系は生体内遺伝子転移に関し、安全性および効能でいくつかの利点を 持つ。まず最初に、レトロウイルスベクターのみが結合し、従って増殖細胞の中 でベクター遺伝子を発現する。脳内では腫瘍は、マクロファージ誘導細胞、血球 、および内皮細胞のみと共に最小のリスクでもっとも有糸分裂活性の大きい細胞 である。従って腫瘍の特異的形質導入の可能性は高められる。第2に、脳は部分 的免疫特権部位であり、それは脳にある異種マウス細胞がいくらか長期に生存す ることを可能にし、成長する腫瘍がより頻繁に形質導入出来るようにする。ヒト 神経膠腫の特別な性能はそれが局所免疫を抑制する能力を持っていることである 。これはTリンパ球に対するIL−2分泌の低い調節および高親和性IL−2受 容体の発現の減少にとっては続発性であると考えられる。ロッツマン、今日の免 疫学 、12巻:370−374ページ(1991年)。マウス細胞はより長く生 存し、腫瘍細胞がより数多く形質導入出来るものとなる。しかしこの生存期間は 限定されるであろう。というのは単純性ヘルペスチミジンキナーゼを結合し発現 するすべての細胞は、ガンシクロビルで破壊されるからである。 A.pG1TkSvNaの構築 以下にpG1TkSvNaの構築が記述され、その概略図は図6で示される。 このベクターはレトロウイルスプロモーター により調節される単純性ヘルペスウイルスより得られるチミジンキナーゼ(hT K)遺伝子および細菌性遺伝子、SV40プロモーターにより駆動されるネオマ イシンリン酸転移酵素(NeoR)を含む。hTK遺伝子はDNA類似体アシク ロビルおよびガンシクロビルに感受性を与え、一方NeoR遺伝子製品はネオマ イシン類似体、G418に耐性を授ける。 pG1TkSvNaを作るために、3段階のクローニング戦略が用いられた。 まず単純性ヘルペスチミジンキナーゼ遺伝子(TK)がpG1Tkを生産するた めにG1プラスミドバックボーンにクローンされた。次いでNeoR遺伝子(N a)がpSvNaを作るためにプラスミドpSvBgにクローンされた。最後に SvNaがpSvNaから切除され、pG1TkSvNaを生産するためにpG 1Tkに結合された。 プラスミドpG1TkSvNaはプラスミドPG1から誘導された(図3)。 プラスミドpG1はpLNSXから構築された(パーマー、他、血液、73巻: 438−445ページ)。プラスミドpG1の構築戦略は図1で示される。5′ モロニーマウス肉腫ウイルス(MoMuSV)LTRを含む1.6キロベースE coRI断片、および3′LTR、細菌複製起点およびアンピシリン耐性遺伝子 を含む3.0キロベースEcoRI/C1aI断片が別個に分離された。7個の ユニーククローニング部位を含むリンカーが、次いでそれ自身にEcoRI/C 1aI断片を閉じ込めるために使用され、かくしてプラスミドpG0が生成され た。プラスミドpG0は 5′LTRを含む1.6キロベースEcoRI断片をpG0のユニークEcoR I部位に挿入することによりベクタープラスミドpG1を生成するために使用さ れた(図3)。かくしてpG1(図3)は、MoMuSVから誘導される5′部 分、真正ATG出発コドンがTAGに突然変異されたgagの短い部分(ベンダ ー、他、(1987年))、5′から3′までのEcRI,NotI,SnaB I,Sa1I,BamHI,XhoI,HindII,ApaI、およびC1a Iの各部位を含む54塩基対多重クローニング部位(MCS)および塩基対77 64から7813までより得られるMoMuLVの3′部分(ヴァン・ビヴァレ ン、他、コールド.スプリング.ハーバー、2巻:567ページ、(1985年 )に記載された数の塩基対)(図2)で構成されるレトロウイルスベクターバッ クボーンよりなる。このMCSはpG1プラスミド、neor遺伝子、βガラク トシダーゼ遺伝子、ヒグロマイシンr遺伝子、およびSV40プロモーターなど の非切断制限酵素のスクリーンにもとづいて最大数のユニーク挿入部位を生成す るように設計された。 pBg(図4)を構築するためにβガラクトシダーゼをコード化する3.0キ ロベースBamHI/EcoRI 1acZ断片がpMC1871から分離され た(ファルマチア)。この断片はβガラクトシダーゼ読み取り枠の5′および3 ′最末端を欠いている。完全1acZ読み取り枠を復原し1acZ遺伝子の各末 端に制限部位を加えるリンカーが合成され、BamHI/EcoRI 1acZ 断片に連結された。5′リ −NotI−SnaBI−Sa1I−SacII−AccI−NruI−BgI II−III27塩基対リボソーム結合シグナル−コザックコンセンサス配列/ NcoI−1acZ読み 1acZ読み取り枠の最後の55塩基対−XhoI−Hind 位が選択されたが、それは制限部位がネオマイシン耐性遺伝子、βガラクトシダ ーゼ遺伝子、ヒグロマイシン耐性遺伝子、あるいはSV40プロモーターには存 在しないからである。27塩基対リボソーム結合シグナルが5′リンカーに含ま れたが、それはmRNAの安全性を高めるものと考えられるからである(ハーゲ ンビュッヒレ、他、細胞、13巻:551−563ページ、(1978年)。お よびローレンスとジャクソン、分子生物学、162巻:317−334ページ( 1982年))。コザックコンセンサス配列(5′-GCCGCCACCATGG-3′)はmR NAの翻訳開始をシグナルするために示されている(コザック、核酸研究、12 巻:857−872ページ(1984年))。コザックコンセンサス配列はAT G翻訳開始コドンをマークするNcoI部位を含む。 pBR322(ボリバー、他、遺伝子、2巻:95ページ(1977年))は NdeIおよびEcoRIで消化され、アンピシリン耐性遺伝子および細菌複製 起点を含む2.1キロベース断片が分離された。前記の結合5′リンカー−1a cZ −3′リンカーDNAはpBgを生成するためにpBR322NdeI/Eco RIベクターに結合された。pBgはシャトルプラスミドとしての効用を持つが 、それは1acZ遺伝子が切除され、も一つの遺伝子が1acZ遺伝子の5′お よび3′末端に存在する制限部位のいずれかに挿入され得るからである。これら の制限部位はpG1プラスミドで反復されるため、シャトルプラスミド構築物内 で代替される1acZ遺伝子あるいは遺伝子群はたやすくpG1に入ることが出 来る。 単純性ヘルペスウイルスタイプIチミジンキナーゼ遺伝子(ここで引用例に組 込まれているジェンバンク,アクセス番号V00467)を含む1.74キロベ ースBg1II/PvuII断片がpX1プラスミドから切除され(ここで引用 例に組込まれているヒューバーマン、他、指数細胞研究、153巻:347−3 62(1984年))、DNAポリメラーゼIの巨大(クレノウ)断片で平滑化 され、プラスミドpG1TKを形成するためにpG1多重クローニング部位にあ るユニークSnaBI部位に挿入された(図5)。 プラスミドpSV2Neoから得られる339塩基対PvuII/HindI II SV40初期プロモーター断片(サザーン他、分子および応用遺伝子学ジ ャーナル 、1巻、327−341ページ(1982年))が次いでプラスミドp SvBgを生成するためにユニークNruI部位にあるpBgに挿入された。p SvBgプラスミドは1acZ遺伝子を除去するためにBg1II/XhoIで 消化され、その末端はクレノウ断片を使って平滑化された。ネオマイシン耐性遺 伝 子のコード化配列を含む852塩基対EcoRI/AsuII断片がpN2から 除去され(アーメンターノ他、ウイルス学ジャーナル、61巻、1647−16 50ページ、(1987年))、クレノウ断片で平滑化され、前記の通り生成さ れた2.5キロベース平滑化Bg1II/XhoI断片に結合され、pSvNa を生成した。SV40プロモーター/ネオマイシン耐性遺伝子カセットは、次い で1191塩基対Sa1I/HindIII断片としてpSvNaから除去され た。pG1Tkプラスミドは次いでSa1I/HindIIIで消化され、pG 1TkSvNaを生成するためにSV40/neor断片で結合された(図6) 。 B.生産者細胞系の生成 生産者細胞系はベクタープラスミドおよびパッケージング細胞から作られた。 PA317/G1TkSvNa生産者細胞は、従来の臨床関連レトロウイルスベ クター生産者細胞系を作るのに使用されたものと同じ技術により作られた。ベク タープラスミドpG1TkSvNa DNAは環境栄養性パッケージング細胞系 、PE501に形質移入された。PE501形質移入細胞から得た上澄みは、次 いで両栄養性パッケージング細胞系に形質移入するために使用された(PA31 7)。形質移入生産者細胞のクローンが次いでNeoR遺伝子を含むクローンを 選別するためにG418含有培地で成育された。クローンは次にレトロウイルス ベクター生産のために滴定された。いくつかのクローンが、次いで更に検査のた めに選択され、最後に一つのクローンが臨床用に選択された。 5×105PE501細胞(引用例でここに組み込まれた、ミラー、他、バイ オテクニク 、7巻、980−990ページ(1989年))が皿当り10%の胎 仔ウシ血清(HGD10)で補充された高グルコースダルベッコ修飾基本培地( DMEM)生育培地10mlを入れた100mm皿で平板培養された。細胞は3 7℃、5%CO2/空気で一晩保温された。 プラスミドpG1TkSvNaは次いで次のような処置によりDNA50μg を用いるCaPO4沈殿によりPE501に形質移入された。 DNA50μg、10×CaCl2 50μl、および無菌H2O 450μl がポリプロピレン管15ml内でDNA50μg、2×BBS 0.05ml( N−N−ビス−(2−ヒドロキシエチル)−2−アミノエタン−スルホン酸50 mM、NaC1 280mM、Na2HPO4 1.5mM、およびpH6.95 のヘペス50mMを含有する)を含むCaCl2溶液0.25Mを産出するため に混合された。DNA溶液は次いで室温で約20分から1時間放置された。皿は 次いで35℃で3%CO2大気中で一晩保温された。 一晩保温された後最適沈殿物を持つ培養皿が次いで選択された。皿は次に塩お よび塩溶液を除去するためにPBSで洗浄された。HGD10培地10mlが次 いで皿に加えられ、この皿は37℃で5%CO2大気で約48時間保温された。 48時間後に上澄みが形質移入細胞から採取された。皿はPBS 5mlです すぎ洗いされた。PBSが次いで除去さ れ、細胞はトリプシン−EDTAで除去された。細胞の連続希釈液が次いでHG D10および0.8mg/ml、G418を含む培地の6個の100mm皿に接 種された。 細胞の6個の皿は毎日検査された。培地は死滅細胞を除去するために必要に応 じて交換された。細胞あるいはコロニーは、コロニーがクローンされるのに十分 な大きさであるサイズに成長するようにされた(つまりコロニーは裸眼で見える 大きさであった)。PE501細胞のこのようなコロニーから得られるPE50 1上澄みは約5乃至10mlからの量で採取され、低温管に置かれ、液体窒素で −70℃で凍結された。 PA317細胞(ミラー、他、分子細胞生物学、6巻:2895−2902ペ ージ(1986年))は次いでグルコース4.5g/l、グルタミン補足剤、お よび胎仔ウシ血清(FES)10%を含むダルベッコ修飾基本培地で100mm 平板当り5×104細胞濃度で平板培養された。 PE501上澄みは次いで解凍され、ポリブレン8μg/mlの上澄みに加え られた。培地はPA317細胞の平板から吸引され、ウイルス上澄み7乃至8m lが加えられ一晩保温された。 PE501上澄みは次いで除去され、細胞は新鮮なFBS10%で約18−2 0時間再肥育され。1日後培地はFBS10%およびG418(800μg/m l)で交換された。平板は次いでモニターされ、培地は必要に応じて瀕死あるい は死滅細胞を取り除くために新鮮FBS10%およびG418で交換された。平 板はG418耐性コロニーの外観を見るために少 なくとも10乃至14日間モニターされた。 細胞はトリプシン化され、HGD10 5mlプラス1×ヒポキサンチン・ア ミノプテリン・チミジン(HAT)の入った6個のウエル皿で保温された。 クローンが密集成長したなら、それはトリプシン化された100ml皿で保温 された。100ml皿が密集に近付くと、その両栄養性ベクター含有上澄みは除 去され細胞をペレット出しするために5分間1.200乃至1.500rpmで 遠心分離された。 上澄みは6個の冷凍小びん(1ml/小びん)にアリコートされ、液体窒素で 保温された。PBS5mlが皿に加えられ、細胞はすすぎ洗いされ、HGD10 が再肥育され、液体窒素内でDMSO 10%で1mlアリコートに凍結された 。レトロウイルスベクターの最高の力価でクローンを測定するために異なったク ローンがモニターされた。生産者細胞系PA317/G1TkSvNa.53と して指定された最高力価のクローンがマスター細胞バンクを生産するために使用 された。 C.pG1Tk1SvNaの調製 pG1Tk1SvNaを生産する図形表示が図7で示されているが、これはp G1Tk1SvNaから部分読み取り枠を除去するために調製された(図6)。 pSPTK5′の生成 プラスミドpG1NaSvTkから得たDNAは制限酵素BgIIIおよびS maIで消化され、1163塩基対(bp)ヘルペスチミジンキナーゼ(TK) 断片がアガロース ゲル電気泳動で分画され分離された。この断片はTK5′未翻訳領域の56塩基 対およびTK翻訳読み取り枠の1107塩基対を含む。1163塩基対TK断片 は制限酵素BgIIIおよびSmaIで消化されたプラスミドベクターpSP7 3(プロメガ コーポレィション、マジソン、ウィスコンシン)に結合された。 生成する結合プラスミド構築物はpSPTK5′と名付けられ、それはTK読み 取り枠の5′部分を含むがそれは読み取り枠の最後の21塩基対および翻訳終止 コドンを欠いている。 RK読み取り枠のPCR; pG1NaSvTKプラスミドDNAはそれをBgIIIで消化することによ り線形化された。線形化pG1NaSvTKは、TK読み取り枠(5′-GCACCATGG CTTCGTACCCCTGC-3′)の最初の17塩基を含む前部プライマーおよびXhoI部 位の相補性配列を含む逆プライマー、TK翻訳終止コドン;およびTK読み取り 枠(5′-CCTGCATCGATTCTCGAGTCAGTTAGCCTCCCCCATCTCC-3′)の最終19塩基対を用 いるポリメラーゼ連鎖反応(PCR)のための鋳型として使用された。PCRの 30サイクルが次のように行われた:94℃で1分間、および60℃で2分間、 最後に72℃で延長サイクルで7分間。PCR製品はアガロースゲル上で分画さ れ、全長TK読み取り枠を含む予期された1215塩基対断片が分離された。分 離断片は制限酵素PstIおよびXhoIで消化され、消化製品はアガロースゲ ル上で分画され、420塩基対断片が分離された。この断片はTK読み取り枠の アミノ酸249−250をコード化するヌク レオチドのPstI部位からTGA翻訳終止コドンのすぐ下流にあるXhoI部 位まで延びる。 pSPTK1の生成: pSPTK5′はPstIで消化され、またpSP73ベクターおよびTK読 み取り枠の5′部分を含む3993塩基対断片が以下に述べるアガロースゲル電 気泳動で分離された。この3993塩基対断片はTK読み取り枠の3′末端(前 記)を含むPCR生成420塩基対PstI/XhoI断片に結合された。結合 プラスミドDNAは大腸菌DK5α能力細胞(ジブコ/BRL、ゲイザーズバー グ、メリーランド)に形質転換され、アンピシリン耐性コロニーから得られるD NAは制限酵素消化によりスクリーンされた。全長TK読み取り枠を含むように 見えるプラスミドはpSPTK1と名付けられた。いくつかのpSPTK1クロ ーンから得られるDNAはPstI部位からXhoI部位までの領域(PCRで 生成された領域)内でジデオキシ(リボヌクレオチド)配列決定された。pSP TK1クローン#4はこの領域で予期されたTK配列と適合することが見出され 、pG1TK1SvNaの構築に使用された。 pG1TK1SvNaの生成: pSPTK1 DNAはBgIIIで消化され、5′張出し末端はデオキシヌ クレオチドおよび大腸菌DNAポリメラーゼIのクレノウ断片を用いる消化DN Aの保温により修復された。DNAは次いでTK5′未翻訳領域の56塩基対お よび全長TK読み取り枠を含む1225塩基対断片を生成するためにXhoIで 消化された。この平滑/XhoI断片はSnaBI およびSa1Iで既に消化されたpG1XSvNa DNAに結合された。 pG1XSvNaを構築するために、1.2キロベースSvNa断片がSal IおよびHindIIIでpSvNa(前記パートA)から切除された。この断 片はSalIおよびHindIIIで既に消化されたpG1に結合された。結合 プラスミドはpG1XSvNaと名付けられ、ここで「X」は多重クローニング 領域を示している。 pG1XSvNaおよびTK結合から得る製品DNAはDH5αに形質転換さ れ、アンピシリン耐性コロニーから得るDNAは前に記載の通りスクリーンされ た。診断制限酵素消化によるTK断片を含むように見えるプラスミドはpG1T K1SvNaと名付けられた。クローン#2は5′−LTRの最初から3′−L TRの末端までジデオキシ配列決定され、完全なTK読み取り枠を含むことが発 見された。 pG1TK1SvNaは前記記載の方法(前記パートB)によるPA317と の組合せにより生産者細胞系を生産するのに使用された。細胞系により生産され たウイルス粒子の力価が試験された。生産者細胞系PA317/G1TK1Sv Na.7と指定された1個の高力価生産者細胞系が臨床展開のために選択された 。 D.生産者細胞のヒト患者への投与 悪性脳腫瘍罹患の8人の患者(内6人は再発性グリア芽細胞肺、1人が転移性 肝臓癌、も1人は転移性悪性黒色腫)がPA317/G1TkSvNa.53生 産者細胞の注射を受け た。1人の患者は2個の腫瘍を治療された。 各患者は生産者細胞を何回となく注射を受けた。腫瘍内注射の回数および量は 術前MRIスキャンに基づいて適切な標的量を確立することで定められた。ガド リニウム(Gd)増強腫瘍塊は(腫瘍の形状化に従って)1個乃至それ以上の球 体を表わすものと見做された。これら球体のそれぞれは、次いで生産者細胞を相 同の方法で受渡しするために(腫瘍塊内で注射細胞のカラムを創り出す)5乃至 7個の定位曲線を受けとめた。各注射は100μlのハミルトン注射器を使って 、腫瘍の全体の量および細胞の利用可能な数に依存して路に沿った腫瘍の各mm が細胞懸濁液50−100μl(イリノイ州ディアフィールド、バクスター ヘ ルス ケア コーポレイションにより生産されたpH7.4の5×106−107 生産者細胞がプラス ラムの長さは腫瘍の異なった領域で違っていた。注射は最初は頭骨の外科用バー ホール(穴ぐり器による穴)から行われた。 細胞分布を最適にするために、最初の2人の患者が注射を受けた後技術が改良 された。細胞は注射路に沿って浸出するのが見られ、濃度勾配は注射の単一点原 点からの拡張する曲線のために創出された。従って開頭(頭骨の除去)は単一の 外科用バーホールに代替され、かくして脳のより大きな面が曝され平行曲線で多 重注射が可能となった。 細胞注射後7日目に、各患者は静脈からガンシクロビル(サイドヴェーン,シ ンテックス コーポレイション)が体重キロ グラム当り5mgの用量で14日間与えられた。MRIスキャンは治療の初期の 段階でしばしば行われ、またその後は2乃至4週の間隔で行われた。放射性グル コース(FDG;フルオロデオキシグルコース)を利用する陽電子射出断層撮影 (PET)スキャンが治療前に代謝亢進腫瘍をPETが確認した患者において治 療前および治療直後に行われた。 8人の患者の5人には抗腫瘍応答の証拠が見られた。これは(3人の患者で) 腫瘍サイズの減少、およびもしくは(5人の患者でガドリニウム増強を少なくし た小嚢胞および大嚢胞の)腫瘍の整合性における変化により特性付けられた。 最初の応答の後、ガドリニウム増強領域において一過性増加が治療完了2週後 の2人の患者で発生した。注射路の増強も同じく明らかになった。これは2乃至 3週後(治療完了4乃至5週後)に自然に逆転し、一過性で一定進行経過をたど る炎症反応を提示することになる。これらの患者の1人から得られた多発性生検 材料は腫瘍細胞壊死を伴うび慢性炎症反応の存在を確認した。しかし分散腫瘍細 胞の小島(細胞群)は治療領域に生存し、患者は2回目の治療を受けた。生産者 細胞の注射およびガンシクロビル治療はすべての患者に十分に耐性を与えた。 治療される腫瘍の量および利用出来る生産者細胞数が大きく変るために、用量 応答曲線は腫瘍の単位量(cc表示)当り細胞濃度および抗腫瘍応答がプロット された。腫瘍量は商業的に利用出来るMRIスキャンのコンピュータ化画像分析 を用いて測定された。抗腫瘍応答は治療前の腫瘍量を分母として割った1ケ月お よび2ケ月後の腫瘍量の比を得ることで測定され た。注射細胞数(用量DOSE)および抗腫瘍応答(効果、EFFECT)の間 に強い相関が見られた(図8)。最小2.5×108細胞数が効力の持続する抗 腫瘍効果をもたらすために腫瘍cc当り必要であることが明らかである。低い濃 度のものは一過性抗腫瘍効果を示すに過ぎないか、あるいは全然効果がなかった 。 実施例2 移植可能レザバーを用いる脳腫瘍治療の遺伝子療法 開頭が行われ凍結部分が生存可能グリア芽細胞を確認するために取り出され、 最適腫瘍除去が試みられる。患者の腫瘍は凍結保存される。空洞の外科上の余地 はG1Tk1SvNa.7ベクター生産者細胞(0日)で最大量10mlまで多 くの部位で浸潤される。プラスマ ライトAに1−2倍108細胞/mlの濃度 で懸濁されたベクター生産者細胞は出来る限り均等に腫瘍部位の周りに分布する 部位で0.25乃至0.5mlの接種材料でゆっくり接種される。オマヤレザバ ーがこの領域で将来アクセス出来るように腫瘍床に配置される。接種部位のダイ ヤグラムおよび各部位での受渡しされた細胞量が永久研究記録の一部として保存 される。残存腫瘍のサイズを決定するために手術後48時間内にMRスキャンが 行われる。 最初の手術の7日後、オマヤレザバーは患者の脳および周辺組織の中に封入さ れる。7日目に、オマヤレザバーをおおう皮膚はベータダインで消毒された。患 者が起きている間に針がおおっている皮膚を通してレザバーに挿入される。患者 を寄りかかった位置にしておいて、オマヤレザバーは普通の食塩水で腫 瘍腔の内容物を清澄にし、腫瘍空洞量の見積りを確認するためにゆっくりと灌注 される。 腫瘍空洞からの等量の体液を除去する試みに続いて、懸濁液の追加ベクター生 産者細胞が受渡しされる。望ましくは5ml以上で10ml以下の懸濁液が受渡 される。もし体液がこの時点でオマヤカテーテルから得られるとすれば、1ml のサンプルが凍結され、これからの追加検査のために保管される。もし体液がも とからオマヤカテーテルで回収出来ないなら、ベクター生産者細胞懸濁液は1時 間以内に更に注射されることになるであろう。オマヤレザバーを通じる細胞の投 与の後、オマヤ受渡しシステムの量と同量の普通の食塩水で流し水される。 ガンシクロビルの投与は術後21日目に開始され、1時間にわたり静脈内注入 で1日2回(5mg/Kgの用量を)投与され、14日間(21日から34日目 まで)続けられ、その後7日間休息する。これが最初の治療サイクルを完結する 。 患者は抗腫瘍応答、毒性、および患者の臨床状態に依存して望ましくは5回ま での追加治療サイクルを受ける。MRスキャンは各サイクル終了時に行われる。 反応し続けるかあるいは変わりない疾病を持つ患者のみが続けて治療を受ける。 MRスキャンの評価が、病巣の亢進についての規模の拡大が腫瘍の進行によるも のかそれとも炎症の変化によるものかについて不確定性をもし残すとすれば、継 続して診断が行われるように生検材料がとられる。各反復サイクルは再治療サイ クルの0日にオマヤレザバーを経て注射されるベクター生産者細胞よりなる。ガ ンシクロビル治療は14日に始まり14日間(14日から 27日まで)続けられる。7日間(28日から34日まで)は治療は行われない 。患者の最後のガンシクロビルサイクルが完了すると、患者は治療後1,2,3 ,5,7,9および12ケ月に、また2年目は3か月毎に、次いで生涯を通じて 少くとも年1回は様子を見られる。 患者の腫瘍のサイズ、位置および術前神経病的条件などの要素が注射の量を決 定するであろう。注射される細胞の量は望ましくは10mlを越えない。最終細 胞濃度は108細胞/mlの1−2倍に調節される。すべての患者は最初の外科 処置の直前およびオマヤレザバーの挿入前にバンコマイシンなどのような抗生物 質の単一用量の投与を受ける。すべての患者は更に最初の手術の7日前に開始す るデキサメタゾンを投与される。手術に続き患者をデキサメタゾン治療から徐々 に引き離すために、患者の診療条件に応じて用量は漸減されるであろう。患者は 外科処置の期間1g/Kgでマンニトールを受け、この用量は診断で示されるよ うにこの処置に続き用量は1日3回繰返される。抗痙攣性療法は通常の神経外科 ガイドラインに従って投与される。疼痛投薬はアセトアミノフェンを含み、望ま しくは600乃至1000mgの供与量を4時間毎に与える。患者はまた好中球 減少(500細胞/mm3以下)のためにG−CSF支援を受ける。 すべての特許の開示、公開情報(公開特許出願を含む)、およびこの明細書で 引用されたデータベースエントリーは、あたかもそれぞれのこのような個別の特 許、公開情報、およびデータベースエントリーが引用例としてとり込まれるよう に特異的 かつ個別に示されたような範囲にまでその全体を引用例としてここに特異的にと り込まれている。 しかしこの発明の範囲はここに記載された特異な実施例に限定されるものでは ない。この発明は特に記載されたもの以外にも実施することが出来、しかも以下 に記載する特許請求の範囲内にある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI A61K 35/76 8615−4C C07H 21/04 B 38/45 AED 9051−4C A61K 37/52 AED C07H 21/04 0277−2J A61B 5/05 383 (72)発明者 ラム,ツヴィ アメリカ合衆国,20850 メリーランド, ロックヴィル,シャグバード ドライブ 11920 (72)発明者 ブレーズ,アール.,マイケル アメリカ合衆国,20854 メリーランド, ロックヴィル,ランカシャー ドライブ 1986 (72)発明者 カルヴァー,ケニス,ダヴリュ. アメリカ合衆国,50310 アイオワ,デモ ワン,ビーバー アヴェニュー 4515

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.ヒト患者にある腫瘍を治療する一つの方法であって、 一つの作用薬をコード化する一つの核酸配列を用いて腫瘍を生体内で形質転換 することよりなり、この作用薬は前記作用薬をコード化する前記核酸配列の発現 に際し、前記腫瘍の成長の阻害、予防あるいは破壊を提供出来ることを特徴とす る腫瘍を治療する方法。 2.請求の範囲第1項記載の方法であって、ここで前記腫瘍の成長の阻害、予防 あるいは破壊を提供出来る作用薬をコード化する核酸配列を用いる生体内での腫 瘍細胞の前記形質導入が、 前記作用薬をコード化する前記核酸配列を含む前記腫瘍細胞に投与することよ りなり、これにより前記生産者細胞が前記作用薬をコード化する前記核酸配列を 含むウイルス粒子を生成し、それが前記腫瘍細胞を形質転換出来ることを特徴と する方法。 3.請求の範囲第2項記載の方法であって、ここで前記作用薬が負の選択マーカ ーであり、更にこの方法が前記腫瘍細胞の成長を阻害し、予防しあるいは破壊す るために前記負の選択マーカーで相互作用する相互作用薬を前記ヒト患者に投与 することよりなることを特徴とする方法。 4.腫瘍が脳腫瘍であることを特徴とする請求の範囲第1項記載の方法。 5.請求の範囲第4項記載の方法であって、更にこの方法が (a)ウイルス生産者細胞を複数の部位で前記腫瘍に投与し、前記部位は前記 腫瘍を通じて前記細胞の分布を実行するた めに前記腫瘍に位置を占め、ここで前記生産者細胞により生産されるウイルス粒 子は前記腫瘍の細胞を形質転換するのに有効であり、また前記ウイルス粒子は前 記腫瘍細胞が相互作用薬に感受性であるようにされた作用薬をコード化する核酸 配列を含み、その後 (b)前記相互作用薬で前記腫瘍を治療する、 という段階よりなることを特徴とする方法。 6.請求の範囲第4項記載の方法であって、ここで前記形質転換の段階が、 (i)レザバーを腫瘍の部位で脳に挿入し、また (ii)ウイルス生産者細胞をレザバーに加える ことよりなることを特徴とする方法。 7.生産者細胞が定位投与されることを特徴とする請求の範囲第5項記載の方法 。 8.請求の範囲第5項記載の方法であって、ここで段階(a)が (i)前記患者にある前記腫瘍の最初の画像を獲得し、 (ii)前記最初の画像から、前記腫瘍にウイルス生産者細胞を顕微注射するため の複数の平行定位決定曲線を決定し、前記複数の各曲線は前記細胞のための少く とも1個の付着部位を交差し、かくして付着部位の全体が前記腫瘍を通じて前記 細胞の均質な分布をもたらすパターンになり、 (iii)前記複数の各曲線に沿って顕微注射に適応させるために前記患者の脳を 曝す開頭術を行い、 (iv)顕微注射針を各曲線に沿って前記脳に導入し、また (v)そのような曲線に沿って前記部位のそれぞれに前記細胞を沈着させること 、 よりなることを特徴とする方法。 9.請求の範囲第8項記載の方法であって、ここで前記ウイルスがレトロウイル スであり、それは前記腫瘍細胞で発現されるためのプロモーターと手術可能に結 合されるtk遺伝子を含み、ここで前記レトロウイルスで形質転換される腫瘍細 胞はガンシクロビルの致死効果に対し感受性であることを特徴とする方法。 10.請求の範囲第8項記載の方法であって、ここで前記最初の画像の獲得が前 記腫瘍のCT,MR,PEあるいはX線の画像を含むことを特徴とする方法。 11.請求の範囲第10項記載の方法であって、ここで前記最初の画像がガドリ ニウム増強MR画像であることを特徴とする方法。 12.請求の範囲第5項記載の方法であって、ここで前記作用薬が負の選択マー カーであることを特徴とする方法。 13.請求の範囲第12項記載の方法であって、ここで前記負の選択マーカーが 、単純性ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ、サイトメガロウイルスチミジンキ ナーゼ、水痘−帯状疱疹ウイルスチミジンキナーゼ、およびサイトシンデアミナ ーゼよりなるグループから選択されることを特徴とする方法。 14.請求の範囲第13項記載の方法であって、ここで前記相互作用薬がガンシ クロビル、アシクロビル、および1−2−デオキシ−2−フルオロ−β−D−ア ラビノフラノシル−5− ヨードウラシルよりなるグループから選択されることを特徴とする方法。 15.前記相互作用薬がガンシクロビルであることを特徴とする請求の範囲第1 2項記載の方法。 16.前記負の選択マーカーが単純性ヘルペスウイルスチミジンキナーゼである ことを特徴とする請求の範囲第12項記載の方法。 17.前記生産者細胞がレトロウイルスベクターを含むことを特徴とする請求の 範囲第5項記載の方法。 18.前記生産者細胞が腫瘍細胞のcc当り少くとも2.5×108の量で投与 されることを特徴とする請求の範囲第5項記載の方法。 19.前記相互作用薬が体重キログラム当り5mgから10mgまでの量で投与 されることを特徴とする請求の範囲第18項記載の方法。 20.前記作用薬がガンシクロビルであり、前記ガンシクロビルが全身に投与さ れることを特徴とする請求の範囲第19項記載の方法。 21.ガンシクロビルが静脈から投与されることを特徴とする請求の範囲第20 項記載の方法。 22.ガンシクロビルが体重のキログラム当り約5mgの用量で投与されること を特徴とする請求の範囲第21項記載の方法。 23.ヒト宿主にある腫瘍を治療する一つの生産物であり、この生産物は、前記 腫瘍が相互作用薬に対し感受性を持つように 前記作用薬をコード化する核酸配列を含むウイルス粒子を生産するウイルス生産 者細胞よりなることを特徴とする生産物。 24.生産物がヒト脳腫瘍を治療するものであることを特徴とする請求の範囲第 23項記載の生産物。 25.生産物が注射で脳腫瘍に使用されることを特徴とする請求の範囲第24項 記載の生産物。
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