【発明の詳細な説明】
新規エイメリア抗体および抗原ならびにその使用方法技術分野
本発明は、一般に、寄生虫学の分野に関する。より詳細には、本発明はエイメ
リア(Eimeria)からの新規抗体および抗原、ならびにそれらの使用および検出
方法に関する。発明の背景
鳥類のコクシジウム症は、原生動物のエイメリア属の一員によって引き起こさ
れる家畜および野生の鳥類の腸の寄生虫病である。本疾病は、感染した宿主の糞
便からの芽胞化卵母細胞の経口摂取によって伝染する。感染プロセスは迅速で、
小腸粘膜に対して広範な損傷を引き起こす、宿主細胞における寄生虫の複製によ
って特徴づけられる。
鳥類のエイメリアの生活環は複雑でであり、ゴミ中において起こる外因性期お
よび宿主の腸管において起こる内因性期という2つの段階にて見られる。典型的
な野外での飼育においては、新しく孵化したヒヨコは、養鶏場に到着して間もな
く、混入したゴミから感染性の芽胞化卵母細胞を経口摂取する。様々な刺激物が
相互作用して、腸粘膜の絨毛または表面の表皮細胞に種特異的方法で迅速に侵入
する、感染力を有するスポロゾイトが腸管内へ放出される。次いで、細胞内スポ
ロゾイトは、遺伝的にプログラムされた無性増殖またはシゾゴニー(schizogony
)を行い、限定された膜または寄生虫液胞(parasitophorous vacuole)に結合
したメロゾイトを形成する。メロゾイトが出現し、付近の小腸細胞を侵略し、メ
ロゴニー(merogony)(無性分化)を再び開始する。内因性エイメリアの生活環
の各時点で、異なる段階特異的抗原が宿主の防御的BおよびT細胞免疫応答の潜
在的な標的となる。かくして、活発な感染は、ある動物において自然の免疫応答
を引き起こすことができる。しかしながら、個々の動物が実際に感染に対し免疫
を
有しているかどうかを決定する実用的方法はなく、殺した鳥の腸管を視覚的に検
査することによって確認できるにすぎない。
防御的な宿主免疫応答がなければ、いくつかの感染的事象および寄生虫の数の
指数関数的増殖は、速やかに、表面および表面下の細胞損失、吸収不良、下痢お
よび脱水により顕在化した臨床的コクシジウム症を引き起こす。次いで、有性の
ガメトゴニー(gametogony)が起こり、その結果、糞便中にて卵母細胞の連続的
発散、およびさらなる感染の拡大が生じる。従って、該疾病は急性に病的状態を
もたらし、その結果、家禽産業に生育低下および飼料使用といった経済的損害が
生じる。
コクシジウム症に対する従来の免疫方法は、不活化、弱毒化、および早発形態
の寄生虫の使用からなっている。例えば、エイメリア種に由来の生卵母細胞およ
び弱毒化卵母細胞が免疫応答を誘導する方法として使用されていた。例えば、ジ
ョイナー・エル・ピー(Joyner,L.P.)およびノートン・シー・シー(Norton,C
.C.)、パラサイトロジー(parasitology)(1973年)第67巻:333−
340頁;ガルメス・エム・エム(Galmes,M.M.)ら、アン・パラサイトロ・ヒ
ュム・コンプ(Ann.Parasitol.Hum.Comp.)(1991年)第66巻:144
−148頁;ジェンキンス(Jenkins)ら、インフェクション・アンド・イムニ
ティー(Infect.Immun.)(1991年)第59巻:4042−4048頁参照
。しかしながら、かかる材料を用いての効果的な免疫化は試験的であり、これら
の調製物の製造および供給には問題が多いであろう。また、毒性型への変換のご
とき副作用も見いだされている。
免疫化の目的のため、および寄生虫の様々な発達段階の間に起こる事象を説明
する努力において、抗エイメリアポリクローナルおよびモノクローナル抗体が製
造されている。例えば、エイメリア種の卵母細胞に感染したニワトリから製造さ
れた粗グロブリン画分を用いた免疫化が記載されており(例えば、ローズ・エム
・イー(Rose,M.E.)、パラサイトロジー(1974年)第68巻:285−
292頁;ロング・ピー・エル(Long,P.L.)およびローズ・エム・イー、パ
ラサイトロジー(1972年)第65巻:437−445頁;ローズ・エム・イ
ー、
パラサイトロジー(1971)第62巻:11−25頁;ローズ・エム・イーお
よびロング・ピー・エル、パラサイトロジー(1971年)第63巻:299−
313頁、参照)、およびイー・テネラ(E.tenella)メロゾイトおよびスポロ
ゾイトに対して生成されたモノクローナル抗体を用いた受動的免疫化が示唆され
ている(例えば、EPA公開第135,073号および第135,712号、各々
1984年3月27日、1985年4月3日に公開、参照)。ダンフォース・エ
イチ・デイ(Danforth,H.D.)、アメリカン・ジャーナル・オブ・ベテリナリ
ー・リサーチ(Am.J.Vet.Res.)(1983年)第44巻:1722−1727
頁は、イー・テネラの発達段階およびスポロゾイト侵入および細胞内での発達に
対する効果を研究するため、イー・テネラに対するモノクローナル抗体を製造し
た。前記した抗体調製物はすべて慣用的技術を用いて製造した。しかしながら、
これまでエイメリア感染の局所部位での抗体産生は記載されたことがなく、現在
、分泌免疫系および/または細胞介在免疫性関連の局所的応答が寄生虫に対する
防御免疫に関与しているのは明らかである。
サブユニットワクチン調製物が、前記した調製物の使用における固有の問題を
解決する試みにおいて開発された。例えば、EPA公開第453,055号(1
991年10月23日公開)は、エイメリア卵母細胞由来の25kDaのイー・
テネラ抗原、26kDaのイー・ネカトリックス(E.necatrix)抗原、または
55kDaのイー・マキシマ(E.maxima)抗原の混合物を含有する多成分系ワ
クチン組成物を記載している。EPA第256,536号(1988年2月24
日公開)は、イー・マキシマのマクロガメトサイトおよびマイクロガメトサイト
の単離、およびガメトサイト由来の異種起源のタンパク質抽出物からなるワクチ
ンを記載している。同様に、EPA公開第167,443号(1986年1月8
日公開)は、少なくとも15のポリペプチドを含有する、スポロゾイトおよびニ
ワトリを免疫化するためのイー・テネラの芽胞化卵母細胞からの異種起源の抽出
物の使用を記載している。最後に、EPA公開第164,176号(1985年
12月11日公開)、およびオーストラリア特許公開第87/199,027号
(1987年6月4日公開)は、イー・テネラのスポロサイトから、各々、17
kDaと8kDaの分子量を有する2つのポリペプチド鎖からなる25kDaの
タンパク質の単離、およびワクチン組成物におけるそれの使用を記載している。
そのタンパク質をコードする遺伝子もクローン化され、配列決定されている。
これらのすべてのサブユニットワクチンは、細胞外寄生虫形のエイメリア、即
ち細胞外スポロゾイトおよびメロゾイト形の微生物に由来している。同様に、以
前に同定されたエイメリア遺伝子は、細胞外寄生虫形態に対して形成された抗体
プローブに基づいて単離され、特徴づけられている。しかしながら、後発的防御
免疫は発達した無性段階に関連しており、細胞内スポロゾイトの代謝および/ま
たは初期無性発達は、免疫系によって認識される寄生虫特異的遺伝子産物の転写
および翻訳のために必須であるように思われる。従って、これらの細胞内寄生虫
代謝産物の同定、単離、および生化学的特徴づけは、効果的な抗コクシジウム症
ワクチンの設計のために所望される。発明の開示
本発明は、寄生虫感染の部位で局所的に産生される、または該部位に行き来す
る新規エイメリア抗体調製物の開発に基づく。そのようにして産生された抗体は
、高レベルの寄生虫の生育および発育を支持する培養系を含む、生物学的試料に
おける防御的細胞外および細胞内エイメリア抗原の発見をもたらす。細胞内抗原
は、以前には、慣用的な細胞培養技術、およびポリクローナルまたはモノクロー
ナル抗体調製物を用いて同定できなかった。抗原および抗体は、防御的エイメリ
アワクチンにおいて使用できる。寄生虫侵入の局所部位におけるBおよびT細胞
依存性免疫応答を測定するための診断試験ならびにバイオアッセイも本発見によ
って可能になる。
従って、1つの具体例において、本発明は、単離され、局所的に産生されたエ
イメリア抗体調製物に関する。特に好ましい具体例においては、抗体調製物は盲
腸リンパ球免疫産物(CLIP)、脾臓リンパ球免疫産物(SLIP)、直腸抗
体試験体(RAT)またはケージドロッピング抗体試験体(CDAT)からなる
。
もう一つ別の具体例において、本発明は、生物学的試料におけるエイメリア抗
原の有無の検出方法であって、
a)生物学的試料を局所的に産生されたエイメリア抗体調製物に、生物学的試
料中に存在する抗原と抗体調製物中に存在する抗体との間に複合体を形成し得る
条件下で接触させること;および
b)発現ラベルを用いて、形成されたいずれの複合体をも検出することからな
る方法に関する。
さらにもう一つ別の具体例において、本発明は、生物学的試料におけるエイメ
リア・テネラ(Eimeria tenera)抗原の有無の検出方法であって、
a)生物学的試料をCLIP、SLIP、RATおよびCDATからなる群よ
り選択される少なくとも1つの局所的に産生されたエイメリア・テネラ抗体調製
物と、生物学的試料中に存在する抗原と抗体調製物中に存在する抗体との間に複
合体を形成し得る条件下で接触させること;および
b)発現ラベルを用いて、形成されたいずれの複合体をも検出することからな
る方法に関する。
もう一つ別の具体例において、本発明は、鳥類対象におけるコクシジウム症の
診断方法であって、
a)鳥類対象より生物学的試料を用意すること;
b)生物学的試料を局所的に産生されたエイメリア抗体調製物と、生物学的試
料中に存在する抗原と抗体調製物中に存在する抗体との間に複合体を形成し得る
条件下で接触させること;および
c)発現ラベルを用いて、形成されたいずれの複合体をも検出することからな
る方法に関する。
さらに別の具体例において、本発明は、局所的に産生されたエイメリア抗体調
製物を用いて同定できる細胞内エイメリア抗原に関する。特に、好ましい具体例
において、抗原はウエスタンイムノブロット解析によって決定されたごとく、約
28kDa、35kDa、38kDa、40kDa、43kDa、55kDa、
70kDa、100kDaまたは110kDaの分子量を有する。
もう一つの具体例において、本発明は、生物学的試料におけるエイメリア抗体
の有無の検出方法であって、
a)生物学的試料を細胞内エイメリア抗原と、該抗原と生物学的試料中に存在
する抗体との間に複合体を形成し得る条件下で接触させること;および
c)発現ラベルを用いて、形成されたいずれの複合体をも検出することからな
る方法に関する。
さらに別の具体例において、本発明は、鳥類対象におけるコクシジウム症診断
キットであって、適当な容器にパッケージされた、局所的に産生されたエイメリ
ア抗体調製物からなるキットに関する。
もう一つ別の具体例において、本発明は、鳥類対象におけるコクシジウム症診
断キットであって、適当な容器にパッケージされた、細胞内エイメリア抗原と反
応するエイメリア・テネラのモノクローナル抗体からなるキットに関する。
もう一つ別の具体例において、本発明は、生物学的試料におけるエイメリアに
対する抗体の有無を検出するキットであって、適当な容器にパッケージされた、
細胞内エイメリア抗原からなるキットに関する。
本発明の、これら、および他の具体例は、本明細書の開示の観点において、当
業者は容易に理解するであろう。詳細な記載
本発明の実施には、特に示さない限り、示される分子生物学、微生物学、ウイ
ルス学、組換えDNA技術および免疫学の慣用的技術を用い、それは当該分野の
技術範囲内にある。かかる技術は文献において十分に説明されている。例えば、
サムブルック(Sambrook)、フリッシュ・アンド・マニアティス(Fritsch & M
aniatis)、モレキュラー・クローニング:ア・ラボラトリー・マニュアル(Mol
ecular Cloning: A Laboratoru Manual)第2版、(1989年);DNAクロ
ーニング(DNA Cloninng)、第IおよびII巻、(ディー・エヌ・グロバー(D
.N.Glover)編、1985年);オリゴヌクレオチド・シンセシス(origonucl
eotide synthesis)(エム・ジェイ・ガイト(M.J.Gait)編、1984年);
ヌクレイック・アシッド・ハイブリダイゼーション(Nucleic Acid
Hybridization)(ビー・ディー・ハメス(B.D.Hames)およびエス・ジェイ
・ヒギンズ(S.J.Higgins)編、1984年);アニマル・セル・カルチャー
(Animal Cell Culture)(アール・ケイ・フレッシュニー(R.K.Freshney)編
、1986年);イモビライズド・セル・アンド・エンザイムズ(Immobilized
Cells and Enzymes)(IRSプレス(IRL Press、1986年);パーバル・ビ
ー(Perbal,B.)、ア・プラクチカル・ガイド・ツゥ・モレキュラー・クローニ
ング(A Practical Guide to Molecular Cloning)(1984年);一連のメソ
ッズ・イン・エンザイモロジー(Methods In Enzymology)(エス・コロウィッ
ク(S.Colowick)およびエヌ・カプラン(N.Kaplan)編、アカデミック・プレ
ス・インク(Academic Press Inc.);および、ハンドブック・オブ・エクスペ
リメンタル・イムノロジー(Handbook of Experimental Immunoligy)、第I−
IV巻(ディー・エム・ワイア(D.M.Weir)およびシー・シー・ブラックウェ
ル(C.C.Blackwell)編、1986年、ブラックウェル・サイエンティフィッ
ク・パブリケーションズ(Blackwell Scientific Publications)参照。
上記、下記いずれの、本明細書に引用したすべての特許、特許出願、および刊
行物は、出典明示によりそれらの内容全部を本明細書の一部とする。
本明細書および添付した請求の範囲に用い場合、単数形の「a」、「an」お
よび「the」は、その内容が明確に別であると示していない限り複数を包含す
る。A.定義
本発明の記載中、以下の用語が用いられ、以下に示したごとく定義される。
「エイメリア抗原」は、宿主の免疫系を刺激し、分泌性、体液性、および/ま
たは細胞性の抗原特異的応答を起こす1つまたはそれ以上のエピトープを含有す
るエイメリア種に由来する分子をいう。本発明の目的のために、抗原は既知のい
ずれのエイメリア種からも誘導することができ、種の選択は宿主および治療され
るべきコクシジウム症に依存する。例示として、家畜の鳥類(ガラス・ドメステ
ィカス(Gallus domesticus)は、イー・テネラ、イー・ネカトリックス、イー
・ブルネッティ(E.brunetti)、イー・マキシマ、イー・アセルブリナ
(E.acervulina)、およびイー・プレコックス(E.praecox)のいずれかによっ
て感染し得る。七面鳥(メレアグリス(Meleagris)は、イー・メラグリミティ
ス(E.melagrimitis)、イー・ディスパーサ(E.dispersa)、イー・メレアグリ
ディス(E.meleagridis)、イー・ガロパボニス(E.gallopavonis)、イー・ア
デノイデス(E.adenoides)、イー・イノカ(E.innocua)、および イー・サブ
ロツンダ(E.subrotunda)による感染に対して感受性がある。家畜および野生の
アヒル(アナス(Anas))は、イー・アナティス(E.anatis)によって引き起こ
される感染に苦しみ、ガチョウ(アンサー(Anser))は、イー・アンセリス(E
.anseris)、イー・ノセンス(E.nocens)、イー・パルブラ(E.parvula)、イ
ー・ヘルマニ(E.hermani)、イー・ストリアタ(E.striata)、およびイー・フ
ルバ(E.fulva)に感染し得る。従って、本発明の抗原は、上記のいずれの種か
ら同定され、誘導されてもよい。
さらには、本発明の目的のために、「エイメリア抗原」は実質的に同種起源で
、対応する本来のエイメリア抗原と機能的に等価な抗原を包含する。かくして、
「エイメリア抗原」という語は、本来の配列に対し、欠失、付加、および置換(
一般に、自然界においては保存的)のごとき修飾体を包含する。一次アミノ酸配
列のかかる修飾によって、本来の配列に比較して活性が向上または減少したタン
パク質が得られる。これらの修飾は、部位定方向変異法によって多様化され、ま
たは抗原を産生する宿主の変異のごとく偶然に起こるであろう。これらのすべて
の修飾は、以下に定義するごとく、その分子が免疫学的応答を誘発する能力を維
持し、活性が失われない限り、包含される。
さらに、「エイメリア抗原」は、脂質および糖質のごとき他の生物学的物質と
の組み合わせによって、あるいは、コードされている一次配列の他の修飾と同様
、アミノ基のアセチル化、チロシン、セリン、スレオニンまたは他のいずれの側
鎖も、一般的に、本来の分子にてリン酸化されていてもまたはいなくても、これ
らの残基のリン酸化を包含するヒドロキシル側鎖のリン酸化またはスルフヒドリ
ル基の酸化によって修飾されていてもよいタンパク質を示す。かくして、免疫学
的活性を残している糖鎖付加および非糖鎖付加型、結合リン酸を有するかまたは
有
さないアミノ酸配列、および本来の配列と実質的に同一起源のアミノ酸配列は、
その定義に含まれる。
「細胞内抗原」は、寄生虫の発達のうち細胞内の段階、即ち、小腸粘膜の絨毛
または表皮細胞内での無性発達の間に発現する上記のごときエイメリア抗原を意
味する。細胞内の段階は、細胞内スポロゾイト代謝、トロフォゾイトおよび多核
のシゾントまたはメロントへの無性発達を包含する。従って、これらの事象の間
に産生される細胞内抗原は定義により包含される。かかる細胞内抗原の産生は、
一次および連続継代細胞系を包含する、細胞内エイメリア spp.形態の成長を支
持するのに適応した細胞系において見ることができる。代表的な細胞系をさらに
以下に記載する。かくして、細胞内抗原を本明細書では「組織培養由来抗原」と
もいう。「細胞内抗原」という語は、細胞膜、小胞体などに結合している抗原の
ごとき、細胞内に保持される抗原同様、寄生虫が発達している細胞培養の培地中
へ分泌されるタンパク質を包含する。細胞内抗原は、可溶性または不溶性のいず
れかとすることができる。「細胞外抗原」は、寄生虫の発達のうち細胞外の段階
の間に、即ちゴミ中で起こるエイメリア生活環のうちの外因性期、およびその生
物がまだ宿主細胞に侵略および侵入していない内因性期の間に産生されるエイメ
リア抗原である。かかる抗原は、その生物の細胞外スポロゾイトおよびメロゾイ
ト形態を包含する。
本発明の目的のために、エイメリア spp.の抗原を、時にそれらのキロダルト
ン(kDa)での分子量を参考にして以下のように同定する。例えば、約35k
Daの分子量を有する抗原は本明細書ではP35として同定し;約40kDaの
分子量の抗原はP40等として同定する。
「局所的に産生された」抗体調製物は、エイメリア感染の局所部位で産生され
るか、または該部位に行き来する1つまたはそれ以上の抗体を含有する組成物で
ある。局所的に産生された抗体調製物は、例えば、盲腸または小腸のいずれの部
分、および本明細書でいうところの盲腸リンパ球免疫産生物(「CLIP」);
感染した鳥類対象においてメモリー脾臓リンパ球が行き来することによって産生
される脾臓リンパ球免疫産生物(「SLIP」);感染鳥類対象の直腸の腸内消
化物から単離される直腸抗体試験体(RAT)および感染鳥類対象の鳥かごの排
泄物に由来のケージドロッピング抗体試験体(「CDAT」)のごとき、以前に
または現在感染している鳥類対象の腸管から直接的に、または排出後のいずれか
の糞便から単離したコプランティボディ(coprantibody)調製物(即ち、糞便に
由来の抗体)のごとき、以前にまたは現在感染した鳥類対象の腸管内で見られる
免疫リンパ球集団に由来の抗体調製物を包含する。
「単離した」抗原または抗体は、タンパク質配列が、通常、自然にて結合する
生物全体(生体または死体)から分離した抗原または抗体である。かくして、無
細胞抽出物に含有される抗原は、合成的にまたは組換え的に産生された抗原のご
とき、「単離した」抗原を構成するであろう。同様に、「単離した」抗体調製物
は、混合物が、通常、抗体が見られる生物から分離される限り、その粗混合物、
血液、血清等に存在する抗体を包含する。「単離した」という語は、ポリクロー
ナルおよびモノクローナル抗体調製物を共に包含する。さらに抗原および抗体に
関する「単離した」という語は、特定の純度を暗示するものではない。かくして
、粗抽出物は高度に精製された調製物と同様、その用語に包含される。
「ポリペプチド」および「タンパク質」という語は、相互に交換可能に用いら
れ、ペプチド結合で連結されたアミノ酸のポリマー(ジペプチドまたはそれ以上
)をいう。かくして、「ポリペプチド」および「タンパク質」という語は、オリ
ゴペプチド、タンパク質断片、アナログ、ミューテイン(muteins)、融合タン
パク質等を包含する。
「エピトープ」という語は、特異的B細胞およびT細胞が応答する抗原または
ハプテン上の部位をいう。その用語はまた、「抗原決定基」または「抗原決定基
部位」で、相互に交換可能に用いられる。
組成物またはワクチンに対する「免疫学的応答」は、対象の組成物またはワク
チンに対する分泌性、細胞性、および/または抗体媒介免疫応答の宿主における
発達である。通常、かかる応答は1つまたはそれ以上の以下の効果;免疫グロブ
リンA、D、E、G、またはMのごとき免疫学的クラスのいずれかの抗体産生;
B細胞;ヘルパーT細胞;サプレッサーT細胞;および/または対象の組成物ま
たはワクチンに含有される単一の抗原または複数の抗原に対して特異的に指向さ
れる細胞毒性T細胞および/またはγδ細胞を包含するが、これに限定されない
。
免疫グロブリンA(IgA)の産生を刺激する免疫学的応答が特に興味深い。
というのは、これは、原理的には、温血動物の分泌系によって産生される免疫グ
ロブリンだからである。特に、鳥類種は、腸管結合リンパ組織(GALTまたは
ペイエルのパッチといわれる)、気管支結合リンパ組織(BALT)および眼球
の前面および後中部に位置するハーダー腺(harder gland)からなる粘膜の免疫
網状組織を有する。これらの組織に抗原を入れると、分泌型IgA(sIgA)
の最終産生と共に、コミッティドB細胞の体内の分泌組織および腺への増殖およ
び拡大を作動させる。sIgAは、粘膜表面上に集落化し、次いで、それを貫通
する特定の表面抗原の集落化および侵略を遮断するように作用する。
「免疫原性」抗原またはタンパク質という語は、上記のごとき免疫学的応答を
引き起こすアミノ酸配列を有する抗原またはタンパク質をいう。本明細書中に使
用される「免疫原性」抗原またはタンパク質は、所望のエイメリアタンパク質ま
たはそれの免疫原性断片の配列の全長を包含する。「免疫原性断片」は、1つま
たはそれ以上のエピトープを含有し、かくして前記したごとき免疫学的応答を惹
起させるポリペプチド断片を意味する。かかる断片は、例えば、固体支持体上で
同時に多くのポリペプチド、エイメリアタンパク質分子の一部に対応するペプチ
ドを合成し、該ペプチドを支持体に結合させたまま、該ペプチドを抗体と反応さ
せることによって同定できる。かかる技術は当該分野において知られており、例
えば、米国特許第4,708,871号;ゲイセン・エイチ・エム(Geysen,H.M.
)ら、(1984年)、プロシーディングス・オブ・ナショナル・アカデミー・
オブ・サイエンシーズ・ユー・エス・エー(Proc.Natl.Acad.Sci.USA)第8
1巻:3998−4002頁;ゲーセン・エイチ・エム(Geysen,H.M.)ら、
(1986年)モレク・イムノル(Molec.Immunol.)第23巻:709−71
5頁に記載されており、出典明示によりその内容全体を本明細書の一部とする。
かかる断片は、通常少なくとも約2アミノ酸の長さ、より好ましくは約5アミノ
酸の長さ、およびもっとも好ましくは少なくとも約10ないし15アミノ酸の長
さで
あろう。断片の長さには臨界的上限はなく、タンパク質配列のほとんど全長、あ
るいは2つまたはそれ以上のエイメリア抗原、または、例えば、細菌、真菌、ウ
イルスまたは原生動物タンパク質と融合した1つまたはそれ以上のエイメリア抗
原の断片からなる融合タンパク質からなっていてもよい。
少なくとも約65%(好ましくは少なくとも約80%ないし90%、および、
もっとも好ましくは少なくとも約95%)のアミノ酸の一致が分子の一定の長さ
に及ぶ場合、その2つのポリペプチド配列は「実質的に同一」である。本明細書
にて用いる場合、実質的同一はまた特定のポリペプチド配列に対して同一性を示
す配列をいう。
「鳥類対象」は、アヒルおよびガチョウのごときアンセリフォーム(Anserifo
rms)目の鳥と同様、鶏、七面鳥、キジ、ヤマウズラ、ウズラ、ライチョウ、ホ
ロホロチョウ、およびクジャクのごときガリフォーム(Galliform)目に属する
動物を包含する、家畜、野生および競技用の鳥を意味する。その定義はin ovoに
おけるの対象を包含する、すべての年齢の鳥を包含する。
本明細書で用いる「生物学的試料」は、例えば、血液、血漿、血清、糞便、尿
、骨髄、胆汁、髄液、リンパ液、皮膚、呼吸器、腸、および生殖器の試料、血液
細胞、器官、卵成分、およびインビトロの細胞培養成分の試料(培地中の細胞お
よび組織の増殖により生じる調整培地、組換え細胞および細胞成分を包含するが
、これに限定されない)も包含するが、これに限定されない、鳥類対象から単離
された組織または体液の試料をいう。「生物学的試料」はまた、芽胞化卵母細胞
、感染性スポロゾイト、細胞内スポロゾイト、メロゾイト、ガメトサイト等の試
料を包含する、種々の発達段階のいずれかのエイメリア spp.から得られる試料
もいう。
本明細書に用いる「治療」なる語は、(i)感染または再感染の防止(予防)
、および(ii)コクシジウム症の徴候の減弱または除去(治療)の両方をいう。B.一般的方法
本発明の中心は、寄生虫感染の部位で局所的に産生される新規抗体調製物の開
発およびこれらの調製物を用いた寄生虫抗原の同定方法である。その抗体は、エ
イメリアの生活環の細胞内および細胞外期の間に産生される抗原を同定するため
のアッセイを包含する様々なアッセイにおいて使用できる。その抗体は、感染の
特定の部位と同様、感染プロセスの間の特定の期間に現れる抗原の検出および特
徴付けも可能にする。その抗体は、コクシジウム症感染を検出するため、ならび
に宿主の免疫レベルを決定するため;エイメリア抗原を免疫的に精製するために
診断試薬として;および他の医学的に重要な種における相同遺伝子の存在を検出
するためのスクリーニング試薬として使用できる。
エイメリア感染に応答して産生される局在化抗体はこれまで報告されていない
。さらには、細胞内抗原の同定は以前は不可能であり、かかる抗原がコクシジウ
ム症に対して防御免疫を付与することに関与していると思われる。そのようにし
て同定された抗原を単離し、特徴付け、サブユニットワクチン組成物に用い、そ
うして従来の弱毒化および死菌ワクチン調製物に固有の問題を回避することがで
きる。同定された抗原は、生物学的試料においてエイメリア感染を検出するため
、および対象のエイメリア種に対する宿主の免疫レベルを決定するための診断具
としても使用できる。
寄生虫感染の局所部位で産生され、または該部位に行き来する、数種の抗体調
製物が本明細書中に記載されている。特に、腸の免疫リンパ球によって産生され
る盲腸リンパ球免疫産物(「CLIP」);およびメモリー脾臓リンパ球を行き
来させることによって産生される脾臓リンパ球免疫産物(「SLIP」)が本明
細書に記載されている。エイメリア spp.免疫鳥の腸内消化物由来のコプランチ
ボディ調製物を含有するsIgAも開示される。これらの抗体調製物を、直腸の
腸内消化物から単離された直腸抗体試験体(「RAT」);および鳥かごの排泄
物由来のケージドロッピング抗体試験体(「CDAT」)と称する。
より詳細には、CLIPおよびSLIP抗体調製物は、適当な免疫鳥対象から
単離された脾臓および盲腸リンパ球から誘導することができる。特に有用な対象
は、実施例に記載するような、コクシジウム症感染に対して自然免疫を刺激する
ように処理された屋内飼育鳥系である。脾臓および盲腸リンパ球は、各々、鳥対
象および単一細胞懸濁液中でインビトロで培養された脾臓および盲腸ポウチ
(pouches)から、当業者に知られている細胞単離および培養技術を用いて単離
できる。一般に、リンパ球は、約5日間培養され、その後、分泌されたエイメリ
ア spp.特異的抗体を含有する培養上清を除去し、遠心によって清澄にし、濾過
し、次いで、−20℃またはそれ以下で貯蔵する。抗体を含有する上清も、定義
された免疫TおよびB細胞リンパ球サブセット、またはそれの組み合わせのイン
ビトロでの培養から既知の技術を用いて製造できる。
RATおよびCDATのsIgA含有コプランチボディを、各々エイメリア s
pp.免疫鳥の直腸消化物および鳥の糞便排泄物から単離する。本明細書の実施例
にRATおよびCDATの屋内飼育の自然の鳥類免疫モデルからの単離がある。
鳥類のsIgAコプランチボディ試料も、ワイヤーバッテリー、フロアーおり、
またはブロイラー小屋で飼育された、自然にエイメリア spp.に曝露された屋外
飼育ブロイラーから得られるであろう。抗体を単離するために、湿糞便をリン酸
緩衝セイライン(PBS)のごとき適当な生理学的均衡溶液または培地中に再懸
濁し、引き続いて撹拌し、プロテアーゼ阻害剤を添加し、次いで、2回または複
数回、低および中速で連続遠心する。抗体含有溶液を生理的pHに調整し、濾過
し、次いで、少なくとも−20℃で貯蔵する。さらなるsIgAの精製を、硫酸
アンモニウム沈澱、サイズおよびアフィニティクロマトグラフィー、または当業
者によく知られた他の生物生理学的方法を用いて行うことができる。
さらに上記の産生された抗体調製物を特徴づけし、様々な目的に用いることが
できる。例えば、エイメリアのSLIP、CLIP、RAT、およびCDAT試
薬を、寄生虫中和アッセイ(PN)およびインビトロの寄生虫阻害アッセイ(P
I)のごとき抗寄生虫アッセイにおいて特徴づけることができる。総じて、SL
IP、CLIP、RAT、およびCDAT中に存在する同基準標体特異的および
エイメリアspp.特異的抗体を、当業者に知られておりさらに実施例において記載
されている通常のELISAを用いて定量することができる。
特に興味深いことは、寄生虫の発達のうち細胞内段階の間に産生されるエイメ
リア spp.抗原を同定するのにSLIP、CLIP、RATおよびCDATを使
用することである。エイメリア抗原の検出は、ワクチン候補物の同定のみならず
、
鳥類対象におけるコクシジウム症の存在または不存在を決定するため、および対
象のエイメリア種に対する宿主の免疫レベルを評価するための診断目的について
有用性を見いだす。エイメリア抗原は、芽胞化卵母細胞、細胞外スポロゾイトお
よびメロゾイト、細胞内スポロゾイトおよびメロゾイト等を含有する試料を包含
する様々な生物学的試料中にて同定することができる。さらに、組織および糞便
、例えば、鳥の脾臓、盲腸、直腸および排泄物からの試料を、感染鳥類対象また
はコクシジウム症および本発明の抗体を用いて検出される抗原を有する感受性の
対象から直接得ることができる。細胞内抗原は、寄生虫の生活環の細胞内段階の
成長を支持する細胞培養系からの培地中にて同定できる。かくして、本発明は、
類似の分子量を有するが、異なる段階の寄生虫感染の間に、および/または感染
の異なる部位で産生される抗原を区別することを可能とする。例えば、本発明の
使用により、免疫された鳥およびされていない鳥において曝露後、脾臓、盲腸、
小腸消化物および糞便中に特異的に見られる細胞内および細胞外抗原を同定する
ことができる。
多くの既知の細胞外抗原が、エイメリアスポロゾイトおよびメロゾイトにおい
て、本明細書に記載された新規抗体調製物を用い、これらの抗体が、実際、免疫
原性細胞外タンパク質を選択的に同定できることを確認する、ウエスタンイムノ
ブロットにおいて同定された。より重要なことは、本発明の抗体調製物が、初め
てエイメリアの段階特異的および/または細胞内抗原を同定したことである。こ
れらの抗原は、それらが主として生物に対する防御免疫応答に関連すると考えら
れるので特に興味深いものである。細胞内抗原は、これまでエイメリア免疫ニワ
トリにおいて産生された血清のごとき通常の抗体プローブによって認識されず、
またそれらはウサギのごとき共通の動物種において産生されるポリクローナル抗
体を用いて、またはエイメリアのスポロゾイトおよびメロゾイトで免疫されたマ
ウスからのモノクローナル抗体によっても同定されなかった。エイメリア細胞内
抗原の同定は、現在、スポロゾイトから卵母細胞までのエイメリアの全生活環、
特に細胞内期の発達の間、エイメリアの発達を支持することができる連続継代細
胞系において成長した鳥類エイメリア spp.からの培地をアッセイする本発明の
抗体調製物を用いて可能である。かかる細胞系は、国際公開第WO93/012
76(1993年1月21日公開)に記載され、クローン細胞SB−CEV−1
/P(ATCC受託番号CRL10497)、SB−CEV−1/F7(ATC
C受託番号CRL10495)、およびSB−CEV−1/G7(ATCC受託
番号CRL10496)を包含する。しかしながら、細胞内段階の無性発達の間
でエイメリアの成長を支持するいずれの細胞系もまた、これらの段階特異的抗原
を同定することに用途が見いだされるであろう。
代表的な細胞内エイメリア抗原が、上記抗体を用いてSB−CEV−1/F7
(ATCC受託第CRL10495)細胞系において生育されたエイメリアspp.
から同定された。この細胞系は、最適には、199培地(ギブコ・ラボラトリー
ズ(Gibco Laboratories)、グランド・アイランド(Grand Island)、NY)中
、5%CO2および40.5℃のインキュベーション条件下で培養される。ウシ胎
児血清、抗生物質および抗真菌剤も、当業者によって容易に決定される割合で添
加することができる。さらにSB−CEV−1/F7の培養条件は、国際公開第
WO93/01276(1993年1月21日公開)に詳細に述べられている。
特に、各々、28kDa、35kDa、38kDa、40kDa、43kDa
、55kDa、70kDa、100kDaおよび110kDaの分子量を有する
抗原を包含する、多くの細胞内抗原が、SB−CEV−1/F7からのイー・テ
ネラ由来の硫酸アンモニウム処理の組織培養上清において、自然曝露した屋内飼
育のニワトリから調製された高免疫血清と同様に、本発明の抗体を用いて同定さ
れた。35、38、43、55および70kDaの抗原は、SLIP、CLIP
、RATおよび免疫血清によって;40kDaの抗原は、CLIP、RATおよ
び免疫血清によって;100kDaの抗原は、SLIP、RATおよび免疫血清
によって;100kDaの抗原は、SLIPおよびRATによって;28kDa
の抗原は、CLIP、およびRATによって;55および70kDaの抗原は、
SLIP、CLIPおよびRATによって認識される。さらに、以下の実施例に
て示されるように、抗原は感染プロセスの間の異なる時点に現れる。加えて、3
5、38、40、43および70kDaの抗原は、試験したイー・テネラおよび
イー・
マキシマ株の両方に存在し、38および43kDaの抗原は、イー・テネラおよ
びイー・アセルブリナの両方に同定できる。最後に38、40および43kDa
の抗原は、試験したいくつかのイー・テネラ株に存在し、上記抗体を用いた免疫
優勢反応種であるのは明らかである。従って、これらの3つの抗原は、エイメリ
ア感染の存在を示すエイメリアの抗体の検出のためのイムノアッセイにおける診
断試薬としての使用と同様に、様々なコクシジウム症が引き起こす因子に対して
予防を提供するために、特に重要である。
これらおよび他の重要なエイメリア抗原を、上記抗体およびいくつかの標準的
同定技術を用いて生物学的試料中に同定することができる。例えば、抗体と反応
するタンパク質の存在を、標準的電気泳動および免疫診断技術を用いて検出する
ことができる。抗体は、競合、直接反応またはサンドイッチ型アッセイのごとき
、抗体との複合体を形成することによってタンパク質の有無を同定するためのイ
ムノアッセイにおいて使用できる。かかるアッセイは、ウエスタンブロット、凝
集試験、ELISAのごとき酵素ラベルおよび媒介イムノアッセイ、ビオチン/
アビジン型アッセイ、ラジオイムノアッセイ、免疫電気泳動、免疫沈降等を包含
するか、これらに限定されない。反応は、一般に、蛍光、化学発光、放射活性ま
たは酵素ラベルのごとき発現ラベル、または染色分子、または生物学的試料中に
存在する抗原および抗体または抗原と反応する抗体との間の複合体の形成を検出
する他の方法を包含する。
典型的には、1つまたはそれ以上のエイメリアタンパク質を検出するためのイ
ムノアッセイは、試料を選択および調製し、次いで、それを1つまたはそれ以上
のSLIP、CLIP、RATおよびCDATと、タンパク質抗体結合体が形成
され得る条件下で反応させることからなる。膜またはマイクロタイターウエル形
態のニトロセルロース;シートまたはマイクロタイターウエルのポリビニルクロ
リド;ビーズまたはマイクロタイタープレートのポリスチレンラテックス;ポリ
ビニリジンフルオリド;ジアゾ化紙;ナイロン膜;活性化ビーズ等のごとき固体
の支持体を用いることができる。典型的には、固体支持体を最初に生物学的試料
と反応させ、洗浄し、次いで、抗体を適用する。サンドイッチELISAアッセ
イのごときサンドイッチ型フォーマットが望ましい場合、ホースラディッシュ・
ペルオキシダーゼ、アルカリ性ホスファターゼまたはウレアーゼのごとき検出可
能なラベルに接合させた、市販の抗免疫グロブリン(即ち、抗ウサギ免疫グロブ
リン)を添加できる。次いで、適当な基質を用いて色素反応を発色させる。
本発明の抗体を用いて抗原を同定し特徴づけるのに特に都合のよい方法は、イ
ムノブロット解析を包含する。簡単には、寄生虫抗原を調製し、次いで、SDS
ポリアクリルアミド分取用ミニゲル上で分離する。分離されたタンパク質を膜上
に電気的にブロットし、切片に切断し、次いで、膜上に残っているタンパク質結
合部位を、脱脂乳、ウシ血清アルブミン(BSA)または熱不活化正常ウシ血清
(NBS)のごとき適当な試薬で遮断する。試験試料を純物で適用し、またはよ
り頻繁には、通常、乳、BSAまたはNBSのごとき少量のタンパク質を含有す
る緩衝液で希釈することができる。特異的結合が起こるのに十分な時間インキュ
ベートした後、膜を洗浄して非結合試料を除去し、次いで、接合抗ニワトリ免疫
グロブリン(全抗体)(即ち、IgA+IgG+IgM)または単一ラベル化抗
ニワトリ免疫グロブリン(同基準標体抗体)(即ち、IgA)の組み合わせと一
緒にインキュベートする。再び特異的結合を生じさせるのに十分な時間インキュ
ベートし、膜を洗浄して未結合の接合体を除去し、該酵素に対する基質を添加す
る。発色させ、次いで、適当な溶液ですすぐことにより反応を停止させる。
別法として、「2抗体サンドイッチ」アッセイを、本発明タンパク質を検出す
るために使用することができる。この方法では、固体支持体を、まず1つまたは
それ以上の本発明の抗体と反応させ、洗浄し、次いで、試験試料に曝露する。抗
体を再び添加し、次いで、反応を直接色素反応か、またはホースラディッシュペ
ルオキシダーゼ、アルカリ性ホスファターゼまたはウレアーゼでラベルされた抗
免疫グロブリンのごとき、ラベル化された別の抗体を用いて視覚化する。
エイメリアタンパク質および抗体が沈澱条件下で複合体を形成するように、溶
液中でアッセイを行うこともできる。次いで、沈澱した複合体を、例えば、遠心
によって試料から分離できる。
いったん同定され、単離された抗原を、さらに液体クロマトグラフィー、順相
または逆相HPLC、FPLC等;アフィニティクロマトグラフィー;サイズ排
除クロマトグラフィー;固定化金属キレートクロマトグラフィー;ゲル電気泳動
等を包含する様々な通常の方法を用いて精製することができる。精製された抗原
のアミノ酸配列は、エドマン分解の繰り返しサイクル、続いてアミノ酸分析のご
とき当該分野によく知られた技術を用いて決定できる。
精製抗原は、遺伝学的に屋内にて飼育した動物におけるMHC制限応答プロフ
ィールのごとき標準的技術を用いて免疫学的に特徴付けできる。これらの測定法
は、ウエスタンブロット、SDS−PAGE/染色のごとき標準的方法を用いた
分子量決定、T細胞認識アッセイ、および細胞、タンパク質または抗体の養子移
入による免疫防御または免疫疾病を阻止するアッセイを包含するが、これに限定
されない。
目的の抗原をコードする遺伝子を、遺伝子ライブラリーを構築し、得られたク
ローンを適当な宿主細胞を形質転換するために用い、本発明の抗体、所望の抗原
に対するポリクローナル血清またはモノクローナル抗体を用いて個々のコロニー
をプールし、スクリーニングすることによって同定することができる。
別法として、いったん目的の抗原のアミノ酸配列を決定し、決定されたアミノ
酸配列の一部の遺伝暗号を含有するオリゴヌクレオチドプローブを調製し、目的
のタンパク質をコードする遺伝子についてのDNAライブラリーをスクリーニン
グするために使用することができる。例えば、DNAクローニング:第I巻、前
掲;ヌクレイック・アシッド・ハイブリダイゼーション、前掲;オリゴヌクレオ
チド・シンセシス、前掲;ティー・マニアティスら、前掲参照。関連するタンパ
ク質をコードする合成DNA配列も、既知の技術を用いて決定された配列に基づ
いて調製できる。例えば、エッジ(Edge)(1981年)ネイチャー(Nature)
第292巻:756頁;ナンバイア(Nambair)ら、(1984年)サイエンス
(Science)、第223巻:1299頁;ジャイ(Jay)ら、(1984年)ジャ
ーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J.Biol.Chem)、第259巻:
6311頁参照。
コードしている配列を適当なベクターまたはレプリコン中にクローン化できる
。
多くのクローニングベクターが当業者に知られており、適当なクローニングベク
ターの選択は選定の問題である。一般に、DNAクローニング:第I巻およびI
I巻、前掲;ティー・マニアティスら、前掲;ビー・パーバル、前掲参照。その
遺伝子は、プロモーター、リボソーム結合部位(細菌の発現用)、および所望に
よりオペレーター(正確には本明細書では「制御」因子という)の制御下に置く
ことができ、その結果、所望のタンパク質をコードしているDNA配列は、この
構築物を含有するベクターによって形質転換された宿主細胞中のRNAに転写さ
れる。コードしている配列は、シグナルペプチドまたはリーダー配列を含有して
いてもしていなくてもよい。そうであるならば、そのタンパク質は本来の配列と
共に、またはそれなしに発現され得る。別法として、異種のシグナル配列が使用
できる。リーダー配列は、細菌宿主の翻訳後プロセッシングにより除去され得る
。例えば、米国特許第4,431,739号;第4,425,437号;第4,33
8,397号参照のこと。
宿主細胞の成長に関連したタンパク質配列の発現を制御することができる他の
調節配列がまた望ましいかもしれない。調節配列は当業者に知られており、例え
ば、制御化合物の存在を含む、化学的または物理学的刺激物に応答して、遺伝子
の発現を開始または停止させるものを包含する。他の型の調節配列、例えば、エ
ンハンサー配列がベクター中に存在してもよい。
制御配列および他の調節配列は、上記のクローニングベクターのごときベクタ
ー中への挿入の前に、コードしている配列に連結されてもよい。また、コードし
ている配列をすでに制御配列および適当な制限部位を含有する発現ベクター中に
直接クローン化することができる。
いくつかの場合には、コードしている配列を制御配列に適当な配置で;即ち、
好ましい読み枠を維持するように接続するように、コードしている配列を修飾す
ることが必要である。関連するエイメリア抗原の変異株またはアナログを産生す
ることもまた望ましい。変異株またはアナログは、抗原をコードしている配列の
一部の欠失、配列の挿入、および/またはその配列中の1つまたはそれ以上のヌ
クレオチドの置換によって調製されてもよい。部位特異的変異法のごときヌクレ
オチド配列を修飾する技術は、例えば、サムブルックら、前掲;DNAクローニ
ング、第IおよびII巻、前掲;ヌクレイック・アシッド・ハイブリダイゼーシ
ョン、前掲に記載されている。
次いで、発現ベクターを適当な宿主細胞を形質転換するために使用する。形質
転換された宿主細胞を対象の抗原の発現を提供するような条件下で培養する。次
いで、抗原を宿主細胞から単離し、精製する。その発現系がタンパク質を生育培
地中に分泌する場合、タンパク質は培地から直接精製できる。タンパク質が分泌
されない場合、細胞溶解物から単離される。適当な成長条件および回収方法の選
択は、当業者の理解するところである。
本発明抗原は、既知のアミノ酸配列または関連の遺伝子のDNA配列由来のア
ミノ酸配列を用いて、固相ペプチド合成のごとき化学合成によって製造されても
よい。かかる方法は当業者に知られている。問題の抗原の小さな断片が関連の対
象において免疫応答を引き起こす能力がある場合には、ペプチドの化学合成が好
ましい。
単離された組換え的または合成的に製造されたエイメリア抗原は、生物学的試
料中のエイメリア抗体の存在を検出するための上記のごとき競合、直接反応また
はサンドイッチ型アッセイのごときイムノアッセイにおいて使用することができ
る。このようにして、コクシジウム症の診断のみならず、宿主の免疫レベルを決
定することができる。例えば、天然の抗エイメリアspp.抗体は感染したニワトリ
の糞便中に産生される。これらの抗体の存在は、糞便の試料を、本発明の1つま
たはそれ以上のエイメリア抗原と反応させることによって決定できる。糞便中に
存在する抗体は抗原と抗体抗原複合体を形成する。上記の免疫診断法のごとき多
くの標準的方法のうちのいくつかを用いて反応混合物を解析して、これらの抗体
抗原複合体の存在または不存在を決定することができる。例えば、単離された抗
原は、前記した支持体のごとき固体支持体に接合させ、次いで、糞便試料をその
接合物と一緒にインキュベートし、反応混合物を解析して抗体の存在を決定する
ことができる。
他の有用なアッセイ方法は、フィルターカップおよびデイップスティックを包
含する。前者のアッセイでは、本発明抗原を小さなカップの開口部に焼成ガラス
フィルターに固定化する。糞便を希釈剤中に再懸濁し、次いで、フィルターを通
過させる。抗体が存在すれば、それはフィルターに結合し、次いで、別の抗体の
検出剤で視覚化される。デイップスティックアッセイは、抗原をフィルターに固
定化し、次いで、再懸濁された糞便に浸し、乾燥し、検出分子と一緒にスクリー
ニングすることを包含する。
本発明のエイメリアタンパク質またはそれらの断片も、ポリクローナルおよび
モノクローナル抗体の両方を製造するために使用できる。ポリクローナル抗体が
望ましい場合、選択された哺乳動物(例えば、マウス、ウサギ、ヤギ、ウマなど
)を本発明抗原またはその断片または変異抗原で免疫する。免疫された動物から
の血清を集め、次いで、既知の方法に従って処理する。ポリクローナル抗体を含
有する血清を使用する場合、そのポリクローナル抗体は既知の方法を用いてイム
ノアフィニティクロマトグラフィーによって精製することができる。
本発明のエイメリア抗原およびその断片に対するモノクローナル抗体も当業者
によって容易に製造できる。イー・テネラ感染SB−CEV/F7組織培養上清
に対して生成されたいくつかのモノクローナル抗体の製造が実施例に記載されて
いる。本明細書において防御的であると同定された40kDa細胞内タンパク質
と反応するMAb1−2−6が特に有用である。エイメリアモノクローナル抗体
は、ハイブリドーマ技術を用いて製造される。特に、不死の抗体産生細胞系を、
Bリンパ球の発癌DNAによる直接形質転換またはエプスタイン−バールウイル
スによるトランスフェクションのごとき他の技術と同様、細胞融合によって形成
することができる。例えば、エム・シュライアー(M.Schreiner)ら、ハイブリ
ドーマ・テクニークス(Hybridoma Techniques)(1980年);ハマーリング
(Hammerling)ら、モノクローナル・アンチボディーズ・アンド・T−セル・ハ
イブリドーマズ(Monoclonal Antibodies and T-cell Hybridomas)(1981
年);ケネット(Kennett)ら、モノクローナル・アンチボディーズ(1980
年)参照;米国特許第4,341,761号;第4,399,121号、第4,42
7,783号、第4,444,887号、第4,452,570号、第4,466,9
17号、第4,472,500号、第4,491,632号、および第4,493,8
90号も参照。関連のエイメリア抗原またはそれの断片に対して産生されたモノ
クローナル抗体のパネルを、様々な性質について、即ち同基準標体、エピトープ
、アフィニティ等についてスクリーニングできる。
モノクローナル抗体は、イムノアフィニティ技術を用い、その抗体に定方向性
の個々の抗原の精製にて有用である。抗体は、コクシジウム症感染の診断におい
ても有用であり、例えば、鳥類対象の受動免疫化のための治療組成物と同様、上
記のごときイムノアッセイにおいて使用できる。
種々の細胞内抗原、その抗原に対して形成されたポリクローナルおよびモノク
ローナル抗体、CLIP、SLIP、RATおよびCDATを包含する上記抗原
および抗体は、適当な道具および必要な他の試薬を有する、前記したイムノアッ
セイを行うためのキットにて提供することができる。例えば、抗体、エイメリア
抗原、またはその両方が、コクシジウム症感染の検出用、または鳥類対象のコク
シジウム症に対する免疫状態を試験するための診断的イムノアッセイ試験キット
にて提供することができる。そのキットは、使用される個々のイムノアッセイに
依存して、適当なラベルおよび他の梱包試薬および材料(即ち、洗浄緩衝液等)
も包含することができる。前記した標準的イムノアッセイは、これらのキットを
用いて行うことができる。
抗原(精製物、部分精製物、またはそれらの粗混合物のいずれか)、抗原の免
疫原性断片、同じ抗原からなるキメラタンパク質、および前記抗体も、コクシジ
ウム症に対する免疫を提供するためのサブユニットワクチン組成物中に処方され
るであろう。本発明の抗原および抗体は、単独で、または、同じかまたは異なる
種のエイメリアからの他の抗原および抗体と共に使用できる。例えば、細胞内エ
イメリア抗原は、細胞外スポロゾイトおよびメロゾイトにおいて存在するタンパ
ク質のごとき細胞外エイメリアタンパク質と組み合わされてもよい。かかる組み
合わせにおいて、抗原は融合タンパク質またはより大きな多量体タンパク質の形
態で提供されてもよい。これらの融合タンパク質または多量体タンパク質は、例
えば、米国特許第4,336,246号に記載されたごとく組換え的に製造される
か、または化学的に合成されてもよい。さらに、本発明の抗原は、種々の鳥類の
疾病に対する広範囲な予防を提供するために、他の鳥類病原体からの抗原と組み
合わせて使用してもよい。加えて、細胞内形態のエイメリアspp.の成長を支持す
る培地の、硫酸アンモニウム沈澱物由来の部分精製された細胞内抗原の混合物の
ごとき抗原の粗混合物を、さらに精製することなくワクチン組成物に使用するこ
とができる。例えば、かかる粗抽出物がイー・テネラ曝露に対して防御的である
ことを例示する実施例参照のこと。
ワクチン組成物は、一般に、医薬上許容される担体または賦形剤と共に処方さ
れる。例えば、適当な担体は、水、セイライン、デキストロース、グリセロール
、エタノールなどおよびそれらの組み合わせである。さらに所望される場合には
、担体は、湿潤剤またはエマルジョン試薬のごとき微量の補助物質およびpH緩
衝試薬を含有していてもよい。チメロサール、フェノールおよび他のフェノール
性化合物のごとき当該分野に知られている保存料も、抗菌剤と同様、本発明のワ
クチン組成物に添加することができる。適当なワクチン担体および添加物は当業
者に知られているか、または明らかであろう。例えば、レミングトンズ・ファー
マシューティカル・サイエンシーズ(Rmington's Pharmaceutical Sciences)、
マック・パブリッシング・カンパニー(Mack Publishing Company)、イースト
ン(Easton)、ペンシルバニア(Pennsylvania)、第18版、1990年参照の
こと。
ワクチンの効果を増強するアジュバントも、処方に添加されてもよい。アジュ
バントは、例えば、ムラミルジペプチド、アブリジン、水酸化アルミニウム、油
、水中油エマルジョン、サポニン、サイトカイン、および他の当該分野に知られ
ている物質を包含してもよい。
タンパク質は、それの免疫原性を増加させるために担体に結合していてもよい
。適切な担体は、血清タンパク質、キーホール・リンペット・ヘモシアニン、免
疫グロブリン分子、チログロブリン、卵白アルブミン、および当業者によく知ら
れている他のタンパク質を包含する、徐々に代謝される大きな高分子;セファロ
ース、アガロース、セルロースビーズ等のごとき多糖類;ポリグルタミン酸、ポ
リ
リジン等のごときアミノ酸のポリマー;アミノ酸のコポリマー;および不活性の
ウイルス粒子を包含する。エイメリア抗原はその天然形態で使用するか、または
官能基をこれらの担体結合用に修飾してもよい。
前記にて説明したごとく、鳥類種は、GALTまたはパイエルのパッチと呼ば
れる腸結合リンパ組織、気管支結合リンパ組織(BALT)、および眼球の前面
および後中部に位置するハーダー腺からなる粘膜性免疫ネットワークを有する。
これれらの組織に抗原を与えることによって、分泌型IgA(sIgA)の最終
的な産生と共に、体内の分泌組織および腺へのコミッティドB細胞の増殖および
撒布を誘発する。sIgAは、粘膜表面に集落形成し、次いで、これを貫通する
特異的表面抗原の集落形成および侵入を遮断するように働く。腸のsIgA系は
、エイメリアに対する防御免疫応答において本質的な役割を果たしているように
思われる。デイビス・ピー・ジェイ(Davis,P.J.)ら、イムノロジー(Immuno
logy)(1978年)第34巻:879−888頁。従って、本発明のエイメリ
ア抗原をGALTおよびBALTの細胞内に侵入し増殖し得る無毒の担体微生物
を用いて投与してもよい。かかる薬剤デリバリーは、体液性および細胞性免疫応
答同様、全身的な分泌性免疫応答を可能にする。例えば、エイメリア抗原に関す
る遺伝子を含有する組換えプラスミドを、抗原を鳥類対象に送達するように設計
されたいくつかの無毒の細菌株のうちの1つに導入することができる。かかる無
毒の生物は、一般に、長期間生存するのに必要な遺伝子中に変異を有しており、
サルモネラ(Salmonella)、イー・コリ(E.coli)およびイー・コリ、サルモネ
ラハイブリッドの変異誘導体を包含する。かかる変異体は、例えば、カーティス
・アール・III(Curtiss,R.III)ら、インフェクト・イミュン(Infedct.
Immun.)(1987年)第55巻:3053−3043頁および米国特許第4,
968,619号;4,888,170号ならびに4,190,495号に記載され
ており、出典明示によりこれら内容全体を本明細書の一部とする。
さらに、タンパク質を、天然または塩のいずれかの形態としてワクチン組成物
中に処方してもよい。医薬上許容される塩は、酸付加塩(活性ポリペプチドの遊
離アミノ基で形成)を包含し、それらは、例えば、塩酸もしくはリン酸のごとき
無機酸、または酢酸、シュウ酸、酒石酸、マンデル酸等のごとき有機酸で形成さ
れる。遊離カルボキシル基から形成される塩は、例えば、水酸化ナトリウム、水
酸化カリウム、水酸化アンモニム、水酸化カルシウムまたは水酸化鉄のごとき無
機塩基、およびイソプロピルアミン、トリメチルアミン、2−エチルアミノエタ
ノール、ヒスチジン、プロカイン等の有機塩基から誘導してもよい。
有効量の前記した1つまたはそれ以上の抗原を混合することによりワクチン処
方を調製することができ、その正確な量は当業者により容易に決定される。本発
明の目的に関して、抗原性ワクチン組成物の「有効量」は、コクシジウム症疾病
の徴候を阻止または減少させるために十分な量の循環性抗体を産生させるのに必
要な量である。エイメリア抗原の有効量は、投与方法、標的とするエイメリアの
個々の種、必要とする防御の程度および治療すべき対象の年齢ならびに健康状態
に依存して変化する。しかしながら、かかる量は実施例を用いて当業者によって
容易に決定され、例えば、非経口的に投与される組成物については、一般に、約
0.5ないし約10ml、好ましくは約1mlないし3ml中、約10μgない
し約1mgの間、より好ましくは約25μgないし約200μgの間、最も好ま
しくは、約50μgないし約100μgの間の量が抗原の有効量となる。
本発明のワクチン組成物を、非経口的に、例えば、筋肉内、皮下、静脈内、ま
たは腹腔内注射により投与することができる。GALTまたはBALTの好まし
い応答を刺激するために、エア・サック(air sac)および気管内投与と同様、
経口投与、経鼻内投与、胃挿管による投与もしくはエアロゾル投与のようなワク
チン組成物を胃または気管支に直接導入することもまた望ましい。例えば、経口
投与を行うために、簡単には、ワクチンを鳥類対象に与える水中に直接入れるこ
とができる。本発明ワクチンの他の適当な投与方法は、例えば、結膜を経由して
ハーダー腺に導入するか、または孵化前に鳥類の卵に接種することによるインオ
ボ投与である。これらの投与経路の組み合わせも使用することができる。例えば
、最初の投与を非経口投与にて行い、その後の追加免疫を経口投与してもよい。
少なくとも1回の投与、好ましくは2回またはそれ以上の投与でワクチン処方
を投与することにより鳥類対象を免疫する。しかしながら、コクシジウム症に対
する免疫状態を維持するために必要な回数だけ動物に投与してもよい。
例えば、追加免疫を通常の間隔、即ち、6ヶ月毎または1年毎に行って、有効
なレベルの免疫を維持することができる。C.実験
以下は、本発明を実施するための具体例である。実施例は説明のためにのみ示
されるのであって、本発明の範囲を限定することを意図とするものではない。
使用した数値(例えば、量、温度等)について正確さを保証するための努力を
行ったが、いくつかの実験誤差および偏差はもちろん許容されるべきである。
エイメリア spp.の抗原を、時に、それらのキロダルトン(kDa)での分子
量を引用して実施例において同定している。かくして、約35kDaの分子量を
有する抗原は以下にP35として同定され;約40kDaの分子量の抗原はP4
0として同定される等である。
以下の頭字語が実施例において用い、次のように定義される。
UI/UC、非免疫化、非感染(感受性)
UI/C、非免疫化、感染
NE/UC、自然曝露、非感染(「トリックルフェッド(tricklefed)」とも
いう)
NE/C、自然曝露、感染
SLIP、脾臓リンパ球免疫産物
CLIP、盲腸リンパ球免疫産物
RAT、直腸抗体試験体
CDAT、ケージドロッピング抗体試験体
MAb、モノクローナル抗体
spz、細胞外スポロゾイト
mrz、細胞外メロゾイト
実施例1
屋内飼育の自然曝露(NE)モデルの確立および試験
血清学的にタイプ分けし、前もってMHC部位(B複合体)で異なることが決
定されているニワトリ(B19B19、B24B24およびB30B30、ニューハンプシャ
ー・ポートリー・リサーチ・センター(New Hampshire Poultry Research Cente
r))をワイヤーケージの中で飼育した。ニワトリに薬剤無添加初発/成長用の
飼料および水を適宜与えた。生後1日目のニワトリの群(NE/C)を、L.S
.65株(ニューハンプシャー大学のディー・ストラウト(D.Strout)から提供
された)から得た500個のイー・テネラ卵母細胞で経口的に5日間連続して免
疫した。特記しない限り、すべてのトリックル(Trickle)免疫および曝露感染
は、イー・テネラL.S.65株で行った。同様に、対象群(UI/C)を蒸留水
で免疫した。寄生虫に曝露した最終日から6、8、11または15日目に鳥の体
重を測定し、3.5x104個のイー・テネラ卵母細胞に感染させた。体重増加の
平均および盲腸傷害を感染6日後に調べた。トリックル免疫されたニワトリにお
ける同種感染に対する免疫期間は少なくとも2週間であることがわかった。3種
すべてのハプロタイプ由来のNE/Cの鳥は、試験時点におけるその対応するU
I/Cよりも有意に体重増加が大きく、病変が少なく、このトリックル免疫方法
が同種の寄生虫の感染に対して防御を与えるという考えを支持する。したがって
、感染後の種々の時点でNE/UC、NE/CおよびUI/Cの鳥から得られた
試薬は、以下の寄生虫感染後に存在する異なるレベルの免疫性を表す。
実施例2
屋内飼育のNEモデルからのSLIPおよびCLIP試料の調製
SLIP試料の調製のために、所望の時点において脾臓を摘出し(典型的には
一群当たり4〜6個)、標準的なヒストパーク(Histopaque)1077遠心機(
ミズーリ州セントルイスのシグマ社(Sigma))を用いて単球細胞を単離した。
生細胞をトリパンブルーおよび血球計数板を用いて計数し、無血清改変LM−h
aln培地(LMH)(カルネック(Calnek)ら、インフェクション・アンド・
イミュニティー(Infect.Immun.)(1981年第34巻:483−491頁)
中5x106細胞/mlの密度で5日間(40.5℃、5%CO2)培養した。上
清を集め、遠心(800xg、10分、4℃)し、無細胞上清を集めた。ナトリ
ウ
ムアジドを最終濃度0.1%(v/v)まで添加し、試料を濾過(0.2μM)し
た。SLIP試料を4℃で2週間まで保存するか、またはアリコートを調製し、
使用するまで凍結した。
CLIP試料の調製のために、所望の時点で一羽の鳥から両方の盲腸ポウチを
とり(典型的には、一群当たり4〜6羽)、標準的方法により腸リンパ球を単離
した。簡単には、盲腸ポウチを回腸盲腸接合部位において切断し、遠位末端を切
り出し、次いで、盲腸内容物を押し出した。組織をcHBSS(2x抗生物質/
アンチマイコティック(antimycotic)、25mM HEPES、pH7.4を含
有し、Ca2+およびMg2+を含有しないHBSS)を含有する試験管中に入れ、
さらなる操作を行うまで氷上に置いた。さらに腸内容物を除去するために、試験
管を10秒間激しく振盪し、次いで、組織を重力で沈降させた後S/Nを捨てた
。盲腸組織をペトリ皿中に置き、次いで、各々の盲腸を水平に開いた。粘膜表面
を静かにこすって、糞便内容物のすべての残存クランプを除去し、次いで、組織
を1−2cmの切片に切り刻んだ。組織断片を10−20mlのcHBSSの入
った50mlの試験管に入れ、次いで、試料を手で激しく10−20秒間振盪し
、次いで、低速で遠心分離(70xg、1分、室温)した。S/Nを捨て、次い
で、10−20mlの新鮮なcHBSSを組織に添加した。振盪/遠心分離工程
をさらに2回繰り返し、次いで、試料あたり10−20mlのcHBSS/DT
T(10mMDTT、1xゲンチシンおよび硫酸ポリミキシンB)を添加した。
組織のペレット化を防止するために試験管を軽く振盪し、プラットホームシェイ
カー上で水平位置にして20分間(150rpm、室温)インキュベートし、次
いで、上記のごとく低速で遠心した。S/Nを捨て、次いで、残存するDTTを
除去するためにさらに2回組織を低速遠心で洗浄した。新たに調製した約10m
lのcHBSS/ES(1mg/mlのコラゲナーゼ(クロストリジオペプチダ
ーゼA、タイプVII、シグマ社を含有するcHBSS)を添加し、次いで、挽
いた組織溶液をスタラーバーを入れたガラスフラスコに入れた。試料を複数のマ
グネティックスタープレートで60分間(37℃)緩やかに撹拌(400−50
0rpm)し、次いで、溶液を50ml容試験管に移し、次いで、低速遠心して
す
べての移された組織断片をペレット化させた。次いで、所望細胞を含有するS/
Nを注意深く注ぎ出し、次いで、さらなる操作を行うまで氷上に保存した。cH
BSS/ES処理をさらに1回繰り返し、次いで、2回目のインキュベーション
から得た所望細胞を最初の酵素処理をした細胞と共に貯留した。細胞をペレット
化させ(450xg、10分、4℃)、次いで、40%等張パーコール/cHB
SS中に均質に再懸濁した。再懸濁体積は、細胞ペレットのサイズに依存した。
典型的には、108個の細胞あたり9mlの40%パーコールを用いた。40%
細胞懸濁液約3mlを15mlの試験管中の同体積の70%等張パーコール上に
静かに重層し、遠心(600xg、20分、4℃)し、次いで、40/70細胞
界面を集めた。この方法を用いて、上皮細胞中および基底膜の両方の盲腸腸リン
パ球を、40/70細胞界面中において一緒に単離した。細胞をcHBSS中で
3−4回洗浄し(450xg、10分、4℃)、生細胞数を調べ、次いで、脾臓
リンパ球に関して上記したごとく5日間培養した。CLIP試料を調製し、次い
で、SLIP試料について上記したごとく貯蔵した。
実施例3
腸消化物からのRATおよびカゴ中の新鮮な排泄物からのCDATの調製
RATについては、回腸盲腸接合部から総排泄腔までの糞便(典型的には、一
群当たり4〜6羽)を集め、次いで、あらかじめ秤量しておいた50mlコニカ
ルチューブに入れた。CDATについては、カゴ中の新鮮な排泄物をゴミ皿から
集め、次いで、あらかじめ秤量しておいた50mlコニカルチューブに入れた。
試料の正味の重量を計り、次いで、1gの糞便につき3mlのダルベッコのリン
酸緩衝化セイライン(DPBS)を添加した。試料を中速で15−20秒間ボル
テックス撹拌し、糞便を再懸濁した。試料を遠心し(2750xg、4℃、15
分)、次いで、糞便のペレット上の上清を30mlのソーバルGSA−600ロ
ーターチューブに移した。試料を遠心し(32,571xg、4℃、20分)、
次いで、ペレット上の上清をきれいな試験管に移した。試料pHを調べ、次いで
、必要ならばpH6.5ないし7.0に調整した。プロテアーゼ阻害剤(1mM、
1,10−フェナンスロリン、1mMベンツアミジン塩酸水和物、10μg/m
lペ
プスタチン、0.5mMPMSF(すべて最終濃度))を添加し、次いで、アジ
化ナトリウム(最終濃度0.1%)を添加した。使用まで、試料を−20℃で保
存した。
実施例4
インビトロ寄生虫中和アッセイ
CLIP中に存在する細胞外スポロゾイトに対するB細胞由来の抗体を測定す
るために、対照およびトリックル免疫されたB24B24ならびにB30B30の鳥を実
施例1に記載のごとく調製した。最後の寄生虫曝露後13日目に、3.5x104
個の卵母細胞に鳥を感染させ、次いで、実施例2記載のごとく感染後1、3およ
び5日目にCLIP試料を調製した。ロッカープラットホーム上で1mlの試料
を同体積の新たに採取したL.S.65イー・テネラ・スポロゾイト(5x105
個/ml)と共にインキュベーションした(1時間、40.5℃)。次いで、混
合物を前もって24時間プレートしておいた(199培地/5%FBS)1x1
05個/ウェルのSB−CEV/F7細胞(ATCC受託番号CRL10495
)を含有するマイクロタイターウェル中に4系にして直接添加した。2時間後(
40.5℃5%CO2)、細胞外スポロゾイトを洗浄により除去し、次いで、ウェ
ルあたり1μCiの力価決定済みのウラシル(アマシャム社(Amersham)、5m
ci/mmol)を添加した。24時間インキュベーション後(40.5℃、5
%CO2)、細胞をガラスファイバーマット(MACHハーベスター、トムテッ
ク(TomTech)オレンジ(Orange)、コン(Conn.))上に集め、次いで、放射活
性の取り込みを測定した(マトリックス96、バージニア州スターリング、パッ
カード・インスツルメント・カンパニー(Pacchard Instrument Co.))。阻害
のパーセント値を、試料の処理ウェルの1分間あたりの平均カウント(cpm)
を無処理ウェルの100%時間におけるcpm値で割った値(平均cpm値は、
極端な値を除外するためにディクソンズ・アウトライヤー・テスト(Dicksons O
utlier Test)(ディクソン・ダブリュ・ジェイ(Dickson,W.J.)、バイオメ
トリックス(Biometrics)(1953年)第9巻:74−89頁)を用いて求め
た4系の平均値に等しい)として計算した。CLIPスポロゾイト中和活性の反
応動力学は、感受性および感染免疫された鳥の間で異なる。感染1日後には、両
方のNE/CハプロタイプからのCLIPはUI/Cグループ由来のCLIPと
比較すると、有意に高い寄生虫中和活性を有していた。感染3日後には、B24B24
ハプロタイプ由来のNE/CのCLIPのみが高い寄生虫中和活性を有してい
た。感染5日後には、いずれのハプロタイプにおいても感受性および免疫グルー
プ間の測定可能な活性の相違は観察されなかった。これらの結果は、NE/Cの
鳥からのCLIPの抗寄生虫活性は、寄生虫感染後、感受性の鳥に対して免疫さ
れた鳥においてより早く出現することを示す。
特定の分子量の細胞外スポロゾイト抗原がこれらの抗体含有CLIP試料によ
り認識されるかどうかを調べるために、種々の程度の中和活性を示す試料を、イ
ー・テネラspz抗原に対するウエスタンブロットによりスクリーニングした(
実施例7参照)。結果は、分子量43kDa、40kDa、38kDaおよび2
6kDaのスポロゾイト抗原に対する強力なIgG反応性を有するCLIP試料
は、高レベルの抗スポロゾイト中和活性を有することを示した。これらの結果は
、これらの抗原が寄生虫複製部位において盲腸リンパ球により産生されたIgG
により認識されることを示す。最終的にこれらの結果は、免疫されたCLIPに
おける抗原特異的IgGがT細胞依存性免疫機構により産生されることを明確に
示す。
実施例5
インビトロ寄生虫阻害アッセイ
CLIP中に存在する可溶性のT細胞由来の抗寄生虫因子を測定するために、
実施例4においてUI/CおよびNE/CのB24B24およびB30B30鳥から得ら
れた同じCLIP試料をアッセイに用いた。アヒル・胚(DE)細胞系(ATC
C受託番号CCL141)を1x104細胞/ウェルで平らな96穴マイクロタ
イタープレート(199培地/5%FBS中)に撒いて一晩おいた(40.5℃
、5%CO2)。次いで、細胞を2系にした、0.2ml/ウェルのCLIP試料
の102倍希釈物で前処理した。細胞の一方の列を培地のみで処理した(対照)
。
24時間インキュベーション後(40.5℃、5%CO2)、試験CLIPの新鮮
な希釈物、1x105個/ウェルの新たに採取した細胞外イー・テネラ・スポロ
ゾイト(実施例7に記載したようにして得た)、およびウェルあたり1μCiの
力価決定済みのウラシルを添加した。24時間インキュベーション後(40.5
℃、5%CO2)、細胞をガラスファイバーマット上に集め、次いで、放射活性
の取り込みを調べた。阻害のパーセント値を、実施例4記載の方法と同様の方法
で、即ち、試料処理ウェルの平均cpm値を100%時間における培地対照ウェ
ルのcpm値で割ることにより計算した。CLIP寄生虫阻害の反応動力学は、
感受性および免疫感染鳥との間で異なっていた。感染1日目には、両方のNE/
Cハプロタイプ由来のCLIPは、UI/C群由来のCLIPと比較すると、有
意に高い寄生虫中和活性を有していた。感染3日目には、B24B24ハプロタイプ
由来のNE/CのCLIPのみが、より高い寄生虫阻害活性を有していた。感染
5日目には、いずれのハプロタイプにおいても感受性および免疫群との間におい
て阻害活性の有為な相違は観察されなかった。これらの結果は、細胞内寄生虫形
態に対して指向された、CLIPにおける抗寄生虫活性が、寄生虫感染後の感受
性の鳥に対して免疫された鳥においてより速やかに出現することを示す。
これらのNE/CのT細胞由来のサイトカインのピークの阻害活性は、実施例
4において得られたNE/CのB細胞由来の抗体のピークの阻害活性に対応して
いる。NE/Cの鳥において感染後24時間までには、盲腸内面に局在する抗原
特異的TH2細胞は、抗体産生および細胞外スポロゾイト中和を促進する特異的
サイトカイン(IL5およびIL6がその可能性がもっとも高いが)を産生する
。しかし、おそらく、抗原特異的TH1細胞の誘導および細胞内で複製している
寄生虫に直接影響を及ぼす抗寄生虫サイトカイン、おそらくインターフェロン−
ガンマおよび腫瘍壊死因子ベータの分泌が同時にあることがより重要であろう。
従って、同じCLIP試料を、抗体および細胞により媒介される免疫エフェクタ
ー分子の両方を測定するために使用することができる。
実施例6
RATにおける全IgAおよびスポロゾイト特異的IgAの定量
RAT試料中の全IgAの定量のために、マウス・抗ニワトリIgA MAb
(ニューヨーク州イサカのコーネル大学のエス・ナキ(S.Naqi)博士から、腹
水として手にいれたMAb6.2.3-1)、またはMAbJ126.189.96(ジャンセン
・バイオケミカ(Janssen Biochemica)社)を、50mMホウ酸ナトリウム(p
H9.5)に1:500で希釈した。ウェルあたり100マイクロリットルをE
LISAマルチウェルプレート(ヌンク・イムノプレート・マキシソルブ・F9
6(Nunc ImmunoPlate Maxisorb)、デンマークのヌンク社製)に添加し、次い
で、40℃で(2時間)または4℃で(一晩)インキュベートした。プレートを
3XのPBST(リン酸緩衝セイライン/0.05%ツイン(Tween))で洗浄し
、次いで、PBST/5%スキムミルク(ディフコ(Difco)0032−01−
1)で2時間(40℃)または一晩(4℃)遮断した。次いで、プレートを3X
PBSTで洗浄した。試験RAT試料を最初にPBST/5%ミルクで1:1
00に希釈し、次いで、連続的な2倍希釈物を2系にしてウェルに添加した(1
00μl/ウェル)。IgAを含有する対照血清(ベシル・ラボ(Bethyl Labs
)RS10−102−1)の連続的な2倍希釈物(最初の濃度4.0μl/ml
)を、同様にして各々のプレートに調製した。プレートを4℃で一晩インキュベ
ートした。最初のRAT抗体インキュベーションは試料の内在性プロテアーゼ活
性を減じるために4℃で行った。プレートを3X PBSTで洗浄し、次いで、
100μl/ウェルの1:500希釈(PBST/5%ミルク)のヤギ・抗ニワ
トリIgA接合ホースラディッシュペルオキシダーゼ(ベシル・ラボ(Bethyl L
abs)、A30−103P−3)を1時間(40℃)添加した。プレートを3X
PBSTで洗浄し、100μl/ウェルのTMBペルオキシダーゼ基質/ペルオ
キシダーゼ溶液(キルケガード・アンド・ペリー(Kirkegarrd & Perry))の添
加によって発色させた。5−30分後、反応を10μl/ウェルの1N NaOH
の添加により停止した。450nmの吸光度をVMAX ELISAプレートリ
ーダー(モレキュラー・デバイシーズ(Molecular Devices)で測定した。VM
AXプログラムをIgA対照標準曲線に基づいた未知の濃度を計算するために使
用した。
スポロゾイト特異的IgA RAT試料の定量用には、プレートを100μl
/ウェルの超音波処理したイー・テネラ抗原(3μg/ml)で2時間(40℃
)または一晩(4℃)被覆したことを除いて、同様の手順が行われた。対照血清
の捕獲のために、2列を上記のごとく抗ニワトリIgA MAbで被覆した。ア
ッセイの残りは、RAT試料を最初に1:1希釈で試験した以外は、全IgA
ELISAについて上記したようにして行った。
実施例7
イムノブロット
以下の方法を以下のいくつかの実施例のために使用した。イムノブロットは、
以前に公開された方法(ジェイ・ティー・ローリッヒ(J.T.Roehrig)ら、ビ
ロロジー(Virology)、(1985年)第142巻:347−356頁およびエ
イチ・トウビン(H.Towbin)ら、プロシーディングス・オブ・ナショナル・ア
カデミー・サイエンシーズ・USA(Proc.Natl.Acad.Sci.USA)(1979
年)第76巻:4350−4354頁)を変形した。イー・テネラ(L.S.65
)卵母細胞を産生し、次いで、ニワトリに感染させて維持した。純粋な卵母細胞
およびスポロゾイトを、本質的に、前にシュルツ・ディー・エム(Schultz,D.
M.)らによってジャーナル・オブ・プロトゾロジー(J.Protozol.)(1984
年)第31巻:181−183頁に記載されたようにして得た。スポロゾイトお
よびメロゾイト抗原は、スポロゾイトおよびインビトロメロゾイトを0.5mM
フェニルメチルフルホニルフルオリド(カリフォルニア州ラジョラのカルバイオ
ケム−ベーリング社)含有PBSに再懸濁することによって得られた。溶液をド
ライアイス上で3回凍結融解を行い、次いで、氷上で1分間1/2パルス、80
%デューティー・サイクルを用いて超音波処理した。各々1分間の5サイクルの
後、試料をマイクロ遠心チューブに移し、次いで、4℃で10,000xg、1
0分間遠心した。ペレット上の可溶性物質を集め、次いで、標準的方法を用いて
タンパク質濃度を決定した。超音波処理した寄生虫調製物は、無血清培地199
で1mg/mlになるようにし、一部取って、さらなる使用のために−20℃で
貯蔵した。
イー・テネラの超音波処理したスポロゾイトまたはメロゾイト、および非感染
またはイー・テネラSB−CEV/F7の30%および45%(NH4)2SO4
44−72時間組織培養タンパク質(10μg/レーン)を、10%、12.5
%、または4−20%ポリアクリルアミド調製用ミニゲル(ユー・ケイ・レムリ
(U.K.Laemmli)、ネイチャー(1970年)第277巻:680−685頁
)(MAハイドパークのインテグレイティド・セパレイションズ・システムズ(
Integrated Separation Systems)社、ダイイチ・ゲルズ(Daiichi gels))上で
、高および低分子染色済みバイオラッド(BioRad)マーカー(バージニア州リッ
チモンドのバイオラッド社)を標準として用いて分離した。ブロモフェノールの
マーカーが分離ゲルの底辺に移動して溶出し始めた時点でゲルを停止した。分子
量決定は平均ゲル移動度(n=5)に基づいた。
タンパク質をイモビロン−P(Immobilon-P)(0.45μM、マサチューセッ
ツ州ベッドフォード(Bedford)のミリポア・コーポレーション(Millipore Cor
p.))膜上にイムノブロット(一晩、40mA、4℃)した。必要ならば、その
後の操作に先だって、膜を所望の大きさの断片に切断した。膜または膜断片をT
TBS(洗浄緩衝液、トリス(Tris)緩衝セイライン/0.01%ツイン20)
で3回洗浄した。以下のすべてのインキュベーション工程の間で、膜を洗浄緩衝
液ですすいだ。SLIP、CLIPおよび血清抗体インキュベーションに用いる
ブロットは、TTBS/2%スキムミルク/1%ゼラチンで最低2時間(室温)
遮断し;RATインキュベーションに用いるブロットは、TTBS/3%BSA
で最低6時間遮断した。いくつかの例において、ブロットは一晩(室温)遮断さ
れた。最初のSLIP、CLIPおよび血清抗体インキュベーションでは、試料
をTTBS/1%ゼラチン/0.1%NaN3で、各々1/2、1/2、および1
/500に希釈し;最初のRATインキュベーションでは、試料をTTBS/3
%BSA/10%FBSで1/5に希釈した。すべての一次抗体インキュベーシ
ョンは一晩(室温)行った。SLIP、CLIPおよび血清試料からの結合した
ニワトリIgGの検出には、ヤギ・ホスファターゼでラベルされた抗ニワトリI
gG(キルケガード・アンド・ペリー)を1/1000希釈(TTBS/0.1
%BSA)で用いた。ウサギ・血清からの結合したウサギIgGの検出には、
マウス・ホスファターゼラベル・抗ウサギIgG(キルケガード・アンド・ペリ
ー)を1/1000希釈(TTBS/0.1%BSA)で用いた。CLIPおよ
びRAT試料からの結合したニワトリIgAの検出には、ヤギ・抗ニワトリIg
A(テキサス州モントゴメリーのベシー・ラボ(Bethy Labz)社)を1/500
希釈(TTBS/3%BSA/10%FBS)で用い、最低2時間(室温)イン
キュベーションし、その後、ホスファターゼラベル・ウサギ・抗ヤギIgG(キ
ルケガード・アンド・ペリー)を1/1000希釈(TTBS/3%BSA/1
0%FBS)でインキュベーションした。すべてのホスファターゼのインキュベ
ーションは1時間(室温)行った。免疫検出には、BCIP/NBT1コンポー
ネント・サブストレイト・システム(component substrate system)(キルケガ
ード・アンド・ペリー)を推奨される濃度で使用した。ブロットは5ないし15
分間発色させ、次いで、水ですすぐことにより反応を停止した。
実施例8
屋内飼育NEモデルRAT試料における全IgAレベル
およびスポロゾイト特異的IgAレベルの決定および疾病の防御との相関
RAT試料を、異なる休息期間後のNE/UCおよびNE/CのB19B19鳥か
ら調製した。生後1日目のヒヨコを500個のイー・テネラ卵母細胞で5日間連
続してトリックル免疫した。次いで、最後の寄生虫曝露の後10、17および2
4日目に10羽/群の体重を測定し、次いで、偽の感染または3.5X104の均
質な卵母細胞で感染させた。年齢を一致させた感受性の鳥の群も体重を測定し、
次いで、感染させた(UI/C)。感染後2日目に1群あたり5羽の鳥からRA
T試料を調製した。感染後6日目に、残りの鳥の体重を測定し、次いで、UI/
C鳥に比較してNE/C鳥の体重増加を測定した。RAT試料を全IgAおよび
スポロゾイト特異的IgA濃度の両方についてアッセイした。寄生虫の感染後、
全IgAレベルの実質的な増加が観察された。その増加は、調べた休息期間に依
存していた。10または17日間の休息期間の後の感染後2日目に、NE/UC
鳥に比較してNE/C鳥において全IgAレベルが上昇しており、このことは寄
生虫感染が結果としてIgA記憶応答を刺激することを示した。寄生虫曝露後2
4日後には、全IgAにおける顕著な増加は検出されず、このことは記憶応答が
衰え始めたことを示した。
spz特異的IgAの結果は、24日間ではなく10および17日間の休息後
の寄生虫感染後のIgA濃度が増加したことに似ている。24日間の休息後には
抗体増加が見られないが、10または17日間の休息後の寄生虫曝露後の全Ig
Aおよびspz特異的IgAレベルにおける増加は、得られた体重増加のデータ
に矛盾しない。NE/C群における体重減少に対する顕著な防御が、10および
17日間休息後に観察されたが、24時間休息後では見られなかった。これ、ま
たはELISA由来の同様の方法を用いて、鳥のRAT中の全IgAおよびsp
z特異的IgAの濃度を決定できる。その結果を、均質な寄生虫感染に対する防
御に必要とされる最低の全IgAおよびspz特異的IgA力価を決定するため
に使用することができる。結果は、群れの免疫性をよりよく評価するためにも使
用できる。
実施例9
屋外飼育ブロイラーから調製されたRAT試料における全IgA
およびスポロゾイト特異的IgAレベルの決定
ワイヤーのカゴで飼育された家禽産業用ブロイラー系からのニワトリを本研究
に使用した。生後16日目の鳥を500個のイー・テネラL.S.65またはL.
S.80の卵母細胞で4日間連続してトリックル免疫し、2日間休息し、次いで
、もう一度500個の卵母細胞でトリックル免疫した。鳥を実質的に14日間休
息させ、均質な免疫化株の50,000個の卵母細胞で経口的に感染させ、再び
15日間休息させ、次いで、各々の群の一部を均質または不均質な免疫化株のい
ずれかで経口的に感染させた。感染後2および6日後、RAT試料をすべての群
から調製し(2−3羽/群)、次いで、全IgAおよびスポロゾイト特異的Ig
A濃度をアッセイした。そのデータは、屋外飼育ブロイラーにおける全IgAお
よびスポロゾイト特異的IgAレベルを、RAT ELISAを用いて測定する
ことができること、およびRATレベルが免疫状態に相関していることを示して
いる。例えば、高レベルのspz特異的IgAが感染後6日目の免疫鳥(群6お
よ
び9)において検出され、これらの値は感染後6日目の感受性の鳥(群2および
3)から得られた値よりかなり高かった。その結果は、1つのイー・テネラ株に
免疫された鳥(群4)は、2番目のイー・テネラ株に曝露された(群8)後のs
pz特異的IgAレベルを増加させることも示した。得られた結果は、均質また
は不均質な種の感染に対する防御に必要とされる最低の全IgAおよびspz特
異的IgA力価を決定するために使用することができる。結果は、群れの免疫性
をよりよく評価するためにも使用できる。
実施例10
SB−CEV/F7 イー・テネラ感染44−72時間組織培養上清から
調製された30%(NH4)2SO4抗原でワクチン免疫された感受性の
屋内飼育鳥におけるイー・テネラ感染に対する防御
SB−CEV/F7 44−72時間組織培養上清から調製した30%(NH4
)2SO4抗原のインビボでの効率を3つの独立したワクチン試験において試験し
た。3つのすべてのバッテリー試験において、30%(NH4)2SO4 44−7
2時間イー・テネラ抗原を生後4日目の屋内飼育B19B19ヒヨコを免疫するため
に使用した。ヒヨコの首の付け根の皮下にアンフィゲン(Amphigen)含有水中油
エマルジョンでアジュバント化された抗原をワクチン注射した(全量1.0ml
)。生後7日目に鳥を同じ量のワクチンで経口的に追加免疫した。年齢の一致し
た対照の鳥(UI/C)を免疫し、次いで、非感染F7細胞から得られたアジュ
バント化された組織培養培地で追加免疫した。生後10日目にすべての鳥の体重
を測定し、次いで、3.5X104個の芽胞化イー・テネラ卵母細胞で経口的に感
染させた。生後16日目に最終的な鳥の体重測定を行った。試験1において、鳥
を1薬用量あたり約50μg全タンパク質でワクチン化し、試験2および3にお
いては、1薬用量あたり鳥を約100μgの全タンパク質でワクチン化した。非
免疫化、非感染鳥(UI/UC)の群も3試験すべてにおいて使用した。最小二
乗法およびUI/C対照との比較値を用いて、体重増加の統計学的比較を行った
。
3つの屋内飼育の有効試験の結果を表1にまとめる。3つのすべてのワクチン
化試験において、44−72 30%免疫化、感染鳥は、統計学的にUI/C対
照に比較して高い体重増加を示した。試験1において、ワクチン化された群もU
I/UC群に比較して数値的に高い体重増加を示した。これらの結果は、若い鳥
におけるイー・テネラ感染に伴う体重の減少に対する防御が、イー・テネラ感染
F7細胞系から調製された30%(NH4)2SO4可溶性寄生虫抗原画分による
ワクチン化によって達成されることを示す。従って、この特別な抗原画分を、リ
ード(lead)防御抗原の候補を同定するためのSLIP、CLIPおよびRAT
を包含するNE/C免疫試薬のパネルを用いた広範なウェスタン解析および特徴
付けのために選択した。
実施例11
3つのMHCハプロタイプから調製したSLIPを用いた、
NEモデルにおけるイー・テネラ抗原の同定
SLIP試料をUI/C、NE/UC、およびNE/CのB19B19、B24B24
、およびB30B30群から得た。鳥を500個/羽のイー・テネラ卵母細胞で5日
間トリックル免疫し、13日間休息させ、次いで、3.5X104の均質な卵母細
胞に経口的に感染させた。感染後1日目に、SLIP試料を上記のごとく調製し
、次いで、イー・テネラの超音波処理したスポロゾイトおよびイー・テネラSB
−CEV/F7感染細胞からの30%(NH4)2SO4 44−72時間上清に対
してのウェスタンの反応性についてアッセイした。SLIP試料のIgGウェス
タン反応性プロファイルを表2にまとめる。
結果は、3つのすべてのUI/Cハプロタイプの脾臓が、spz40kDa抗
原(本明細書では「P40」という)に反応性のIgGを産生することができる
B細胞集団を含有することを示す。3つのすべてのNE/UCハプロタイプの脾
臓が500個の寄生虫卵母細胞での最後の曝露後15日間、P40に対して反応
性のB細胞を含有するので、この抗原は免疫的優勢応答を誘導する。興味深いこ
とに、この同じ脾臓B細胞集団は、B19B19およびB24B24ハプロタイプにおい
ては感染後1日目には存在せず、このことはこの集団が脾臓から移動したことを
示唆する。
結果は、NE/UC群が最後のトリックル免疫後15日間これらの抗原に対し
て反応性のB細胞を含有するので、分子量110kDaおよび70kDa(各々
「P110」および「P70」という)を有するSB−CEV/F7 30%(
NH4)2SO4抗原が免疫的優勢応答を誘導することも示す。
要約すれば、これらの結果は、spzP40およびSB−CEV/F7 30
%(NH4)2SO4 P110およびP70が、防御に重要なMHC非限定イー・
テネラ抗原であることを示す。
実施例12
3つのMHCハプロタイプから調製されたCLIPを用いた
NEモデルにおけるイー・テネラ抗原の同定
CLIP試料を、上記実施例10のごとく、感染後1および3日目にUI/C
、NE/UC、およびNE/CのB19B19、B24B24、およびB30B30群から得
た。これらの試料を調製し、次いで、イー・テネラの超音波処理したスポロゾイ
トおよびイー・テネラSB−CEV/F7感染細胞からの30%(NH4)2SO4
44−72時間上清に対してのウェスタンの反応性についてアッセイした。C
LIP試料の感染後1および3日目のIgGウェスタン反応性プロファイルを各
々表3および4に要約する。
結果は、単一のNE/Cハプロタイプおよび群内のCLIP反応性プロファイ
ルが感染後1および3日目で類似しているが明らかに異なることを示す。かくし
て、いくつかのMHC非限定NE/C小腸B細胞が感染後1および3日目に存在
する一方(例えば、P70およびP40)、他のMHC非限定B細胞は感染後3
日目まで存在しない(例えば、P43)。さらに、ほとんど同一の1および3日
目のCLIP反応性プロファイルが3つのNE/UCハプロタイプで観察された
ので、これらの抗原特異的B細胞の異なる存在は寄生虫感染の直接的結果である
。さらに結果は、3つのすべてのNE/UC MHCハプロタイプからの群が最
後のトリックル免疫後15日間これらの2つの抗原に対して反応性の小腸B細胞
IgGを含有するので、SB−CEV/F7 30%(NH4)2SO4 P70お
よびP38抗原が、MHC非限定免疫的優勢応答を誘導することを示す。
結果は、3つのすべてのハプロタイプからのNE/CのCLIPが、30%(
NH4)2SO4物質に存在するP40タンパク質を認識するが、超音波処理され
たspz調製物においては認識しないことも明らかに示す。これらの結果は、3
0%(NH4)2SO4 P40が、実施例11で上記したspz P40から区別
されることを示唆する。さらに、感染後1および3日目の30%(NH4)2SO4
プロファイルに対するspzの解析は、いくつかの免疫優勢細胞外特異的抗原
(例えば、P110、P28、P26)、およびいくつかの免疫優勢細胞内特異
的30%(NH4)2SO4抗原(例えば、P70、P55、P38)を明らかに
する。
最終的に、1日目のNE/CのCLIPプロファイルに対する1日目のNE/
CのSLIP(実施例11、表2)プロファイルの比較は、2つの生物学的コン
パートメントの間の反応性パターンが異なることを示しており、このことはユニ
ークで局在化した免疫応答が同じ免疫宿主内に同時に存在することを示す。
実施例13
低または高卵母細胞感染後の2つのMHCハプロタイプから調製した
RATを用いたNEモデルにおけるイー・テネラ抗原の同定
RAT試料を、UI/CおよびNE/CのB19B19、B24B24、およびB30B30
群から調製した。鳥を500個/羽のイー・テネラ卵母細胞で5日間トリック
ル免疫し、16日間休息させ、次いで、あらかじめ決定した低または高用量の卵
母細胞に経口的に感染させた。感染後2日目に、RAT試料を調製し(3羽/群
)、次いで、イー・テネラの超音波処理したスポロゾイトおよびイー・テネラS
B−CEV/F7感染細胞からの30%(NH4)2SO4 44−72時間上清に
対してのウェスタンの反応性についてアッセイした。
6日目の結果は、NE/C群における感染に対する防御は用量およびMHCハ
プロタイプ依存的であったことを示す。どちらのNE/Cハプロタイプも、低用
量感染時の体重減少に対する有意な防御を示したが、B30B30のNE/C群のみ
が、高用量感染時の体重減少に対して有意に防御した。しかしながら、B19B19
のNE/C群は、傷害の有意な減少に基づく高用量感染に対する部分的な防御を
示した。B19B19およびB30B30系の挙動が二分されることについての免疫学的
基礎が、RAT試料のIgAウェスタン反応性プロファイルの調査によって研究
された。
ウェスタンの結果(表5および6)は、反応性プロファイルがパラメーター:
感染用量、免疫状態およびMHCハプロタイプの組み合わせに依存したことを示
す。低用量の感染では、特異的抗原反応性が両方のNE/Cハプロタイプで防御
に相関しているように思われた。B19B19のUI/CではなくNE/C鳥がいく
つかの抗原:30%(NH4)2SO4 P120、P55およびP28、45%(
NH4)2SO4 P120、P55およびP28に応答した。高用量の感染では、
特異的抗原反応性は、防御に相関してさらに困難であった。しかしながら、結果
は明らかに、RATプロファイルがCLIPおよびSLIPによってすでに同定
されたいくつかのMW抗原を同定したことを示す。
実施例14
NEモデルから調製された血清を用いたイー・テネラ抗原の同定
血清試料をUI/CおよびNE/CのB19B19群から得た。鳥を500個/羽
のイー・テネラ卵母細胞で5日間トリックル免疫し、14日間休息させ、次いで
、3.5X104の均質な卵母細胞で経口的に感染させた。感染後1、3および5
日目に、血清試料を心臓刺によって集め(5/群)、貯留し、次いで、イー・テ
ネラの超音波処理したスポロゾイト、メロゾイトおよびイー・テネラSB−CE
V/F7感染細胞からの30%(NH4)2SO4 44−72時間上清に対しての
ウェスタンの反応性についてアッセイした。血清試料のIgGウェスタン反応性
プロファイルを表7に要約する。
調べた感染後初期の時点から期待されたごとく、UI/C群からの血清はいず
れのタンパク質も認識しなかった。感染後1ないし5日目にUI/C鳥において
検出可能なIgG血清免疫反応性の欠如、しかし同時点での他の生物学的コンパ
ートメントにおけるエイメリア抗原に対する免疫反応性は(上記実施例のいくつ
かにおいて示されたごとく)、本発明の重大な観点の一つであることを強調し、
即ち、血清のみを用いた抗体応答の解析および免疫優勢抗原の同定は、寄生虫の
複製の部位で起こる局所の小腸BおよびT細胞免疫応答および細胞の交通事象を
反映しない。感染後1日目に、NE/Cからの血清はspzおよび30%(NH4
)2SO4 44−72の両方にP35が存在することを同定した。曝露後3日目
には、NE/Cからの血清はmrz中にP38が存在することを同定した。曝露
後5日目には、P70、P55、P43、P38およびP35のごとき多くの抗
原が同定された。SLIP、CLIPおよびRATを用いた本明細書の上記実施
例において類似の分子量のタンパク質が記載されている。しかしながら、これら
のタンパク質は一般には感染後1ないし3日目のより初期に同定された。これら
のデータは、イー・テネラ抗原が初期には局所免疫応答(CLIP、RAT)に
よって認識され、次いで、後には系統的免疫応答(血清)によって測定されるよ
うになることを示唆する。従って、初期の局在化した記憶免疫応答の動力学的測
定および特異性の決定は、防御免疫応答の誘導に重要な決定的なイー・テネラ抗
原のさらに包括的で意味深い解析を提供する。
実施例15
NE/CCLIPからのsIgAの精製
14羽のB19B19の鳥を、生後10日目に5X104個のイー・テネラ卵母細
胞で感染させ、次いで、生後22および36日目に同じ用量で感染させた。最後
の感染後2日目に、CLIP試薬を実施例2に記載したごとく調製した。約40
mlのCLIPを35%の硫酸アンモニウムで処理した。4℃で1時間撹拌後、
溶液を遠心(16,800xg)し、沈澱を集め、PBSに溶解し、次いで、P
BSで透析した。ウェスタンブロットの結果は、ニワトリアルファ鎖に特異的な
マウスMAb(コーネル、6:3−2)を用いたすべての反応性が、35%(N
H4)2SO4沈澱中に存在し、35%(NH4)2SO4上清には検出可能な反応性
が存在しないことを示す。次いで、ウェスタンに陽性の試料を5mlのジャカリ
ン(Jacalin)カラム(ピアス(Pierce)社)に流速0.5ml/分で適用し、次
いで、吸光度(280nm)をモニターした。結合していないタンパク質を除去
するためにカラムをPBS(30ml)で洗浄し、次いで、画分を集め、貯留し
、次いで、濃縮した。結合した物質を100mMメリビオース/PBSを用い
て溶出し、次いで、最大の吸光度を有する画分を貯留した。未結合および結合貯
留画分をSDS−PAGE(還元)にかけ、次いで、銀染色およびウェスタンブ
ロットにより解析した。銀染色は、いくつかの少量の不純物バンドと共に優勢に
P70種を示した。還元型アルファ重鎖の分子量は70kDaである。染色陽性
画分の一部をスーパロース(Superose)6カラム(1.6x53cm)に流速0.
5ml/分で適用した。SDS−PAGE銀染色による集められた画分の解析は
、主にP70種を同定した。スーパロース6の分子量標準プロファイルに基づい
て、分子量約170,000ダルトンが示され、これはIgA単量体の存在を示
す。
実施例16
NE/CRATからのsIgAの精製
RAT試薬を集め、次いで、実施例15で用いたのと同じ群の鳥から集めて調
製し、次いで、同様の方法で精製した。ジャカリン(Jacalin)カラムからの溶
出物をspz特異的IgA ELISAにおける陽性を試験し、スーパーロース
6カラムに適用し、個々の画分を集め、次いで、SDS−PAGE銀染色で解析
した。結果は、P70種が初期および後期の画分に共に存在することを示した。
SMARTシステム(ファルマシア社、スーパーロース6カルム)を用いてP7
0について陽性に染色された個々の画分の解析は、四量体sIgA(700,0
00kDa)が初期の画分に存在し、二量体sIgA(350,000kDa)
は後期の画分に存在することを示唆した。抗ニワトリIgAプローブのみが四量
体IgAに反応した。これらの結果は、sIgAの四量体および二量体形態は共
に免疫RATに見られ、本明細書に記載の方法を用いて精製できることを示す。
実施例17
NE/Cモデルから得られた精製sIgAを用いたイー・テネラ抗原の同定
CLIP二量体sIgAを含有する画分(実施例15)を、イー・テネラ感染
SB−CEV30%および45%(NH4)2SO4 44−72時間上清中に存在
する抗原を同定するためのプローブとして使用した。IgAウェスタンの結果は
、免疫優勢な30%(NH4)2SO4 P100、およびより弱い反応性を有する
P140およびP30を同定した。45%(NH4)2SO4を用いて、P140
、P
120、P70およびP35が同定された。さらに多くのspz抗原が検出され
た。免疫された鳥の防御免疫局所部位から単離され、部分的に精製されたIgA
を用いて同定されたこれらのイー・テネラ抗原は、コクシジウム症ワクチンの内
容物になる候補である。
実施例18
免疫された屋内飼育NE/Cモデルから調製したRATに対する
抗イー・テネラ・ウサギ・ポリクーナル血清のウェスタン反応性の比較
標準NE/CRAT試料ロットを、B19B19の鳥から調製した。ヒヨコを50
0個/羽のイー・テネラ卵母細胞で5日間トリックル免疫し、15日間休息させ
、5x104個の卵母細胞で感染させ、次いで、14日後に再感染させた。7日
後に、RAT試薬を調製した。Rb 15/16で表されるポリクローナル・ウ
サギ・抗イー・テネラ血清を、新鮮に採取され、アジュバント化されたイー・テ
ネラスポロゾイトでウサギを3回免疫することによって得た。Rb 15/16
およびRAT試料を、イー・テネラspz、mrz、およびイー・テネラ感染S
B−CEV/F7 30%および45%(NH4)2SO4 0−44および44−
72上清に対しての各々IgGおよびIgAについてアッセイした。Rb 15
/16およびRAT試料のウェスタン反応性プロファイルを表8にまとめる。結
果は、抗イー・テネラ抗体の2つの由来源の間の抗原反応性における明かな差異
を示す。もっとも印象的なのは、免疫RATでは見られないRb 15/16に
よって認識される免疫優勢なP26種である。さらに、Rb 15/16は少な
くとも6つの異なるメロソイト抗原を同定し、しかるにRATは限定された数の
メロゾイトタンパク質、即ちP40、P35およびP29と反応する。これらの
結果は、RATに存在する抗イー・テネラIgA抗体は、いくつかのユニークな
細胞外およびSB−CEV/F7細胞内イー・テネラ抗原を同定するが、イー・
テネラスポロゾイトに対して作成された通常のウサギ・抗血清によって認識され
ないという主張を支持する。NE/CRATによって認識される抗原は、新規ワ
クチン候補の標的を代表する。
実施例19
NE/CB19B19鳥の異なる生物学的コンパートメントにおける
抗エイメリア抗体応答の比較
血清、SLIPおよびCLIP試料をNE/CB19B19鳥から得た。生後1日
目のヒヨコを500個/羽のイー・テネラ卵母細胞で5日間トリックル免疫し、
15日間休息させ、5x104個の均質な卵母細胞で追加免疫し、さらに14日
間休息させ、5x104個の卵母細胞で感染させ、次いで、上に簡単に記載した
ごとく、試料を感染後2日目に調製した。試料をイー・テネラspz、SB−C
EV/F7感染ならびに非感染細胞からの30%ならびに45%(NH4)2SO4
44−72時間上清、および44−72時間感染ならびに非感染SB−CEV
/F7全細胞結合抗原に対するウェスタン反応性についてアッセイした。全細胞
結合抗原を、可溶性の膜および細胞質タンパク質については、細胞可溶性溶解緩
衝液(プロテアーゼ阻害剤(100mM1,10フェナンスロリン、100mM
ベンツアミジン塩酸水和物、1mg/mlペプスタチン、50mM PMSF、
2mg/mlロイペプチン、5mg/ml大豆トリプシン阻害剤、および4mg
/mlアプロチニン)を含有する、0.5%ブリッジ−35(Brij-35)、300
mM NaCl、50mM トリス−Cl、pH7.6)を用いて、および不溶性の物
質については、細胞不溶性溶解緩衝液(0.2%デオキシコール酸ナトリウム、
0.2%SDS)を用いて調製した。可溶性および不溶性調製物をウェスタン解
析用に貯留した。ウェスタン反応性プロファイルの結果を表9にまとめる。感染
調製物にユニークな免疫優勢タンパク質のみを挙げた。抗原反応性は、調べた免
疫コンパートメントに特異的であった。例えば、30%(NH4)2SO4におい
て、CLIPはP55のみを認識し、SLIPはP120、P110、P100
およびP70を同定した。対照的に、免疫ニワトリ血清は、強力な反応性の30
%(NH4)2SO4種のいずれも同定できなかった。感染細胞結合物質において
は、免疫血清はP55を認識し、SLIPはP38およびP35を同定し、およ
びCLIPはP29のみを同定した。これらの結果は、同定された免疫優勢な抗
原は使用した抗体プローブのタイプに依存するという一般的な請求の範囲を支持
する。免疫宿主における感染の局所部位で産生された抗体、即ち、CLIPおよ
び/ま
たはRATは、典型的にはSLIPおよび血清と比較してより限定された一連の
抗原を認識する。さらに、一定の時点、特に感染後初期には、免疫CLIPおよ
び/またはRATによって認識される抗原は、SLIPまたは血清によって認識
される抗原とは異なっている。上記したごとく、本発明抗原は、MHCハプロタ
イプ認識、生物学的コンパートメント、応答時間および鳥の免疫状態によって特
異化される。
実施例20
L.S.65イー・テネラNE/C鳥から調製されたRATを用いた
交叉反応性イー・テネラ株抗原の同定
標準RAT試料ロットをNE/CB19B19鳥から得た。ヒヨコを500個/羽
のイー・テネラL.S.65卵母細胞で5日間トリックル免疫し、15日間休息さ
せ、5x104個の均質な卵母細胞で追加免疫し、さらに14日間休息させ、5
x104個の卵母細胞で感染させ、次いで、上に簡単に記載したごとく、試料を
感染後7日目に調製した。異なるイー・テネラ株の間で保存されている重要なエ
イメリア抗原を同定するために、イー・テネラL.S.65に対して作成された免
疫RATを、2つの異なる地理学上の地域から単離された2つの異なるイー・テ
ネラ野外株から調製した抗原に対するウェスタン反応性についてアッセイした。
GP5と命名された最初の野外株は、1992年ミシシッピの家禽農場から単離
され(リンダ・ポウト(Linda Pote)博士、ミシシッピ州)、2番目の野外株は
1992年アーカンサスの家禽農場から単離された(フィル・デイビス(Phil D
avis)博士、アーカンサス大学)。両方の野外株からの卵母細胞を精製し、次い
で、標準的技術を用いてピーターソン・アーバー・アクレス・ブロイラー(Pete
rson Arbor Acres Broilers)で増殖させ、次いで、SB−CEV/F7細胞を
感染するために使用した。イー・テネラL.S.65、GP1およびPD1抗原の
以下のパネを以前に記載したごとく調製した:スポロゾイト、SB−CEV/F
7感染ならびに非感染細胞からの30%ならびに45%(NH4)2SO4 44−
72時間上清、および感染ならびに非感染SB−CEV/F7全細胞結合抗原。
ウェスタン反応性プロファイルの結果を表10にまとめ、感染調製物に特
異的な免疫優勢タンパク質のみを挙げた。結果は、以前に同定されたP43、P
40、P38の三重線が、調べた3つのイー・テネラ株の間で保存されているこ
とを示す。これらの結果は、1つのイー・テネラ株にたいして作成されたイー・
テネラRATIgA抗体が他のイー・テネラ株からの抗原を認識できることを示
す。株交叉反応性血清抗体は以前に記載されているが、これは、感染の局所部位
で産生された抗体、即ち、免疫RATが株交叉反応性のIgA抗体を含有するこ
とが示された最初の実施例である。この方法は、他のイー・テネラおよび異なる
エイメリア spp.の野外単離株におけるP43、P40およびP38の保存を確
認するために使用できる(以下参照)。
実施例21
イー・テネラL.S.65NE/C鳥から調製されたRATを用いた
交叉反応性異種エイメリア spp.抗原の同定
異なるエイメリアspp.の間で保存されている重要な抗原を同定するために、イ
ー・テネラL.S.65にたいして作成されたRATを、異なるエイメリアspp.:
イー・アセルブリナおよびイー・マキシマから得られた細胞外およびSB−CE
V/F7細胞内抗原を同定するために使用した。各々の種の純粋な卵母細胞培養
から得られたスポロゾイトを、SB−CEV/F7細胞を感染させるために使用
した。スポロゾイト、SB−CEV/F7感染ならびに非感染細胞からの30%
ならびに45%(NH4)2SO4 44−72時間上清、および感染ならびに非感
染SB−CEV/F7全細胞結合抗原を調製した。いくつかの種については、限
定されたSB−CEV/F7細胞内複製が行われ、かくして、これらの場合には
、スクリーニングのためのいくつかの標準抗原調製物が入手できなかった。標準
RAT試料ロットを、NE/CB19B19鳥から得た。ウェスタンIgA反応性プ
ロファイルの結果は、35、38、40、43および70kDa抗原がイー・テ
ネラおよびイー・マキシマ株の両方に存在し、38および43kDa抗原は、イ
ー・テネラおよびイー・アセルブリナの両方において同定された。
実施例22
4つの異なる屋外飼育商業用ブロイラー系から調製された
イー・テネラのUI/C、NE/UCおよびNE/CRATを用いた
イー・テネラ抗原の同定および防御の相関
任意に1ないし4系と命名されたUI/C、NE/UCおよびNE/C屋外飼
育商業用ブロイラーの群は、針金の上で飼育され、RATの原料として使用され
た。生後10日の鳥を5x104個のイー・テネラ卵母細胞で感染させ、11日
間休息させ、次いで、体重を測定し、次いで、同じ株、同じ用量に感染させた。
各々の系からの年齢を一致させた非感染感受性の鳥の群を対照として使用した。
感染後39時間後に、2−3羽/群から盲腸および直腸の糞便を集め、次いで、
貯留した。感染後6日目に残りの鳥の体重を測定し、次いで、各々の系のUI/
C群の体重増加をUI/UCの対応する群と比較した。体重増加を、UI/UC
対照に比較したUI/C群の体重損失のパーセントとして表した。各々の系の各
々の群からの貯留RATをイー・テネラL.S.65スポロゾイトおよびSB−C
EV/F7感染細胞からの30%(NH4)2SO4 44−72時間上清をスクリ
ーニングするために使用した。RAT試料のIgAウェスタン反応性プロファイ
ルを表11にまとめる。spzおよび30%抗原反応性プロファイルは、鳥の系
および免疫状態に共に依存した。結果は、P35、P38、P40、P55およ
びP70を包含するいくつかの以前に同定された抗原を確認する。さらに同定さ
れた抗原は、P28およびP21を包含する。重要なことに、これらの結果は、
体重増加と、P55、P40およびP35spz抗原およびP40およびP28
30%(NH4)2SO4抗原に応答する能力との間の直接的相関を示す。系3お
よび4からのUI/C鳥は、最低の体重減少(より耐性)を示し、これらの2つ
の系は上記のいくつかの抗原に対するIgAを産生した。系1からの鳥は、急性
の曝露に対して部分的に感受性であり、中間的IgA抗原特異的応答を示した。
系2からの鳥は、感染に対してもっとも感受性であり、ほとんどIgA反応性を
示さなかった。これらの観察は、各々の系からのNE/C群のIgA抗原特異的
応答によっても支持される。系2からのNE/C鳥は、検出可能な抗原特異的反
応性を示さなかった。RATプロファイルに基づく結果は、系3および4は急性
の感染に対して高い応答性を有し(より耐性)、一方、系2は応答が小さい(よ
り
感受性)ことを示唆する。最終的に、これらの結果は、3つのMHCハプロタイ
プ系を用いたNE/Cモデルにおいて記載されたいくつかのイー・テネラ抗原、
即ち、P35、P38、P40およびP70も、いくつかの商業用生産系からの
屋外飼育ブロイラーによって認識されることを確認した。これらの結果は、エイ
メリア抗原を同定するため、および最初の寄生虫感染によっておこる免疫防御の
速度およびレベルのよりよい示度を提供するための屋外飼育RAT S/N使用
の実用性も示す。
実施例23
4つの異なるイー・テネラUI/C屋外飼育ブロイラー系から調製された
CDATを用いたイー・テネラ抗原の同定および防御の相関
上記実施例において使用した同じ屋外飼育商業用ブロイラー系をワイヤー上で
飼育し、次いで、CDATの原料として用いた。生後14日目に鳥の体重を測定
し、次いで、5x104の卵母細胞に感染させた(UI/C)。各々の系から年
齢を一致させた感受性の鳥の体重を測定し、次いで、偽の感染を行う(UI/U
C)。感染後36−40時間後にすべての群から新鮮なかご排泄物を集め、CD
ATを調製し、次いで、イー・テネラspz抗原に対する抗IgAを用いたウェ
スタンブロット解析によってスクリーニングした。UI/C鳥の感染後6日目の
体重を測定し、次いで、それらの対応するUI/UCの体重と比較した。体重増
加は、UI/UC対照に比較したUI/C群の体重損失のパーセントとして表し
た。UI/UC対照物ではなく、UI/Cでのみ同定された抗原を表12に示す
。系1からのCDATはP110を同定し、系3からのCDATはP55および
P35を認識した。これらの結果は、イー・テネラで急性に感染した生後14日
目の鳥において、RAT IgAのspz特異的応答が系3においてもっとも初
期に現れることを示す。この結果は、実施例21において得られたRATの結果
に一致する。さらに、系3が調べた4つのUI/C系の中でもっとも小さい体重
減少(−10%)を示したので、イー・テネラspzのP55およびP35に対
するCDAT応答は防御応答の示度であると思われる。最終的に、この実施例は
、新鮮なCDATが対照のエイメリア種に対する群れの免疫レベルをよりよく決
定
するための非破壊、非侵襲性診断試験において使用できることを示す。
実施例24
エイメリア spp.に感染した商業的家禽野外飼育農場から調製された
RATを用いたイー・テネラ抗原の同定
通常のコクシジウム症診断スクリーニング方法で、RAT試料を15の異なる
商業的家禽農場(4羽/農場、貯留)から定期的に集めた。試料は、ブロイラー
またはロースター(roaster)生産系のいずれかからであり、鳥の年齢は生後2
−6週間であった。RAT試料をイー・テネラL.S.65スポロゾイト抗原に対
する予備的なウェスタンブロットに適用した。15農場のうち2つが非常に強い
反応性を示した。これらの同じ2つの農場は、調べた鳥においてイー・テネラ盲
腸傷害の最も高い発生率を有することが、独立した研究室によって実質的に確認
された。15農場のうち5つを、3つのイー・テネラspz抗原、p92、P4
0およびP38に対する反応性について陽性を試験した。次いで、これらの5つ
のRATを、イー・テネラSB−CEV/F7感染細胞からの30%(NH4)2
SO4 44−72時間上清抗原に対してスクリーニングした。ウェスタン反応性
の要約を表13に示し、鳥の型、年齢、および、独立した研究室によって存在す
ることが確認された、もっとも影響が大きいエイメリア spp.を包含する。結果
は、RATによって認識される局所的な体液性免疫応答が、5つのすべての農場
に共通に3つの抗原を同定したことを示す。これらの5つの農場は、発見された
最も共通するエイメリア spp.において異なっていた。従って、これらの結果は
、P43、P40、およびP38抗原が交叉反応性であり、イー・テネラ、イー
・マキシマ、およびイー・アセルブリナの野外単離株でもっとも保存的であるこ
とを示す。これらの3つの抗原は、もっとも経済的に重要なエイメリア種に対し
て防御的に設計された多価コクシジウム症ワクチン中に包含されるべき明らかな
標的である。
実施例25
イー・マキシマに感染した商業的家禽野外飼育農場から調製された
RATを用いたイー・テネラ抗原の同定
通常のコクシジウム症診断スクリーニング方法で、RAT試料を8つの異なる
商業的家禽農場(4羽貯留/農場)から定期的に集めた。試料は、ブロイラー家
禽舎からであり、鳥の年齢は生後2−5週間であった。RAT試料を調製し、次
いで、イー・テネラSB−CEV/F7感染細胞からのイー・テネラ30%(N
H4)2SO4 44−72時間上清抗原のスクリーニングに使用した。RAT試料
のIgAウェスタン反応性プロファイルを表14に要約する。貯留した8つの試
験した試料のうち3つが、spzおよび30%(NH4)2SO4抗原に強い反応
性を示した。イー・マキシマの高い臨床的傷害性と、イー・テネラL.S.65s
pz抗原P43、P28ならびにP26、および、イー・テネラL.S.65SB
−CEV/F7 30%(NH4)2SO4 P70に対する反応性との間に正の相
関が見られた。実施例24において上記したごとく、最強のウェスタン反応性は
イー・マキシマコクシジウム症の最も高度な傷害に直接相関した。イー・テネラ
コクシジウム症の臨床的傷害は、調べたいずれの農場においても見られなかった
。従って、P70、P43、P28およびP26のイー・テネラ抗原はイー・マ
キシマに対して形成された野外RAT試料と交叉反応性であり、交叉防御免疫応
答の誘導に重要な抗原である。
実施例26
イー・テネラに感染したSB−CEV/F7 44−72時間組織培養抗原
またはメロゾイトに対して作成されたモノクローナル抗体の特徴づけ
モノクローナル抗体が、5つの独立した融合実験から誘導した。最初のシリー
ズにおいて(融合#3および4)、マウスを2週間の間隔で、完全(最初の免疫
化)または不完全(追加免疫)フロイント(Freund's)アジュバントで1:1で
アジュバント化された5x106個のSB−CEV/F7培養由来イー・テネラ
メロゾイトの腹腔内注射で免疫した。融合の3日前に、マウスをIPおよびIV
の両方で106のアジュバント化されていないメロゾイトで免疫化した。脾臓細
胞をマウス・ミエローマ細胞系SP2/0と融合し、次いで、ハイブリドーマの
上清を最初に、イー・テネラ・スポロゾイトおよびメロゾイト抗原に対するEL
ISAによってスクリーニングした。反応性のコロニーを広げ、次いで、非感染
および44−72時間感染SB−CEV/F7上清に対してスクリーニングした
。限定希釈により全部で9つのMAbがクローン化され、次いで、ウェスタンブ
ロットおよび免疫蛍光アッセイにより特徴づけられた。3−1と命名されたある
MAbは、唯一P21タンパク質と反応した。MAb4−1、4−4および4−
7は、一連のタンパク質と反応し、このことはすべてのタンパク質に存在する共
通の炭水化物部分に対する反応性を示唆する。2番目のシリーズ(融合#1、2
および5)において、マウスを上記のごとく、イー・テネラ感染44−72時間
SB−CEV/F7組織培養上清の生化学的分離によって得られた25−30μ
gの部分精製されたタンパク質で免疫し、次いで、追加免疫した。ハイブリドー
マコロニーを、免疫原物質に対してスクリーニングし、次いで、さらに全部で3
つのクローン化したMAbを上記のごとく特徴づけた。MAb1−2−6は少な
くとも4つの異なる分子量のタンパク質を認識したが、それは本明細書中で同定
した防御タンパク質の1つであるP40に反応性を示した。MAb1−2−6が
免疫蛍光によって分割されたシゾントと反応したという事実は、P40が細胞内
生活環の間に発現し、次いで、44−72時間組織培養上清中に実質的に現れる
ことを示唆する。P40の一部も大きな分子量の(>200kDa)44−72
時間組織培養凝集物に結合しているようである。本発明で記載されたSLIP、
CLIPおよびRAT反応性に基づいて、P40は、鳥において防御的であるこ
とが示された(実施例10)、30%(NH4)2SO4組織培養ワクチンの組成
物である。MAb1−2−6および通常のcDNAライブラリースクリーニング
技術を用いて、P40のcDNAクローンを得ることは可能であろう。
実施例27
Rb15/16、MAb2−3およびSLIP、CLIPおよびRATと
二重反応性の45%(NH4)2SO4 110/100の
N末端アミノ酸部分配列決定
45%(NH4)2SO4 44−72時間SB−CEV/F7感染上清を、PB
S中の4MGdSCNで平衡化したスーパロース6カラムに適用した。MAb2
−3を用いたウェスタンブロットの結果は、強い反応性の92kDa種を同定し
た。MAb2−3反応性を含有する画分をひとまとめにし、PBSに透析し、次
いで、透析物をMAb2−3イムノアフィニティカラムに適用した。MAb2−
3およびRb15/16を用いた銀染色およびウェスタンブロットの結果は、素
通し画分に、強い反応性の110/100二重線を同定した。非還元型SDS−
PAGEではMAb2−3に反応性のものは検出されなかった。二重線は、Rb
15/16に強く反応し、MAb2−3イムノアフィニティ素通しおよび溶出画
分の両方に存在する92kDa種に関連した。免疫反応性の素通しおよび溶出画
分を貯留し、次いで、アミコン・マイクロコンセントレーター(Amicon microco
ncentrator)(MWCO10,000)で濃縮した。SDS−PAGEを行い、
次いで、マイクロシークエンシングに用いた。プロブロット(Problott)膜に電
気的にブロットした後、7つのレーンの110/100二重線の上のバンドを配
列決定用に負荷した。二重線から得られた配列は以下のとおりである:
110: 1X−P−L−P−Y−T−Y−I−P−Q10
100: 1X−P−L−E−A−V−A−G−X−L−E11
配列と一致するものはGenEMBLデータベース中に見られなかった。
かくして、本発明は新規エイメリア抗体調製物および抗原、同様にそれらの製
造および使用方法を開示する。本発明の好ましい具体例を詳細に記載したが、明
らかな変更は、添付した請求の範囲によって記載されるごとく、発明の精神およ
び範囲から離脱することなく行うことができることが理解される。
本発明の実施に有用な菌株の寄託
以下の菌株の生物学的に純粋な培養物の寄託をメリーランド州、ロックビル、
パークタウン・ドライブ、12301号、アメリカン・タイプ・カルチャー・コ
レクションに行った。生存試験に合格し、手数料を支払った後に、受け入れ番号
を受け取った。該培養物へのアクセスは、37CFR1.114および35US
C122の下、そこに標記されているコミッショナーにより決定された国に特許
出願が係属している間、行うことができる。公衆が該培養物を利用することに対
する制限はすべて、該特許出願に基づく特許が付与された後に除去されるであろ
う。さらには、指定された寄託物は寄託日から30年間、または寄託物を最後に
請求した後の5年間;または米国特許の存続期間、いずれか長い期間中維持され
る。培養物が生育不能となるか、または不注意により不活化し、またはプラスミ
ド含有株の場合、そのプラスミドが欠失したならば、同一の分類学上の生存培養
物と取り替えられる。
これらの寄託物は、単に、当業者に都合がよいように付与されるものであり、
35USC§112の下、寄託物が請求されることを容認するものではない。寄
託物を産生、使用または販売するにはライセンスが必要であり、かかるライセン
スはこれにより付与されるものではない。
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フロントページの続き
(51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI
C07K 16/20 9356−4H C07K 16/20
C12P 21/08 9358−4B C12P 21/08
G01N 33/577 0276−2J G01N 33/577 B
// A61K 39/012 9284−4C A61K 39/012
39/395 9284−4C 39/395 D
9284−4C Q
(C12P 21/08
C12R 1:91)
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M
C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG
,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN,
TD,TG),AU,BB,BG,BR,BY,CA,
CN,CZ,FI,HU,JP,KP,KR,KZ,L
K,MG,MN,MW,NO,NZ,PL,RO,RU
,SD,SI,SK,UA,US,VN
(72)発明者 ブレイク,デイビッド
アメリカ合衆国ネブラスカ州68516、リン
カーン、バーチ・ホロー・ドライブ4801番