【発明の詳細な説明】
環状セミランダムペプチドライブラリー
発明の分野
本発明は、ランダムおよびセミランダムペプチドライブラリー、かかるライブ
ラリーの製造方法、および、関心のある標的分子または生物系への望ましい結合
特性を有するペプチドを選択するためのかかるライブラリーのスクリーニング方
法に関する。
背景
ランダムペプチドライブラリーは、一般に、全てのアミノ酸がペプチドの全て
の位置にランダムに取り込まれたペプチド配列のコレクションとして構想される
。したがって、該ライブラリーは、l個の残基のペプチドがn個の異なるアミノ
酸から構成される場合、ln個の異なるペプチドを含有するであろう。混合物中
の各ペプチドは、固有の配列を有しており、l−残基ペプチドについての全ての
可能な配列が表されるであろう。かかるライブラリーは、標的分子に有効に結合
するペプチド配列についてスクリーンし、かかる配列を同定するために、種々の
方法で生産および使用されてきた。
1つの、ランダムライブラリーの生産方法は、繊維状ファージのようなウイル
ス上でランダム組成のペプチドを発現させることを含む。ペプチドは、ランダム
化されたオリゴヌクレオチド(NNC/T)nを産生することによってコードさ
れる(ここで、Nは、ランダム塩基であり、Tは、停止コドンを表す)。ヌクレ
オチドは、ファージ表面上で発現されたタンパク、典型的には、pVIII主要コー
トタンパクまたはpIIIテールタンパクのいずれかをコードする遺伝子中に挿入
される。
ランダムライブラリーを製造するいくつかの化学的方法がある。全体的にラン
ダムなライブラリーの製造方法の1つは、ラム(Lam)ら、ネイチャー(Nature)
、354、82(1991)およびPCT/US91/04666(WO 92
/00091)によって開示された。該方法は、ポリスチレンまた
はポリアクリルアミド樹脂などの固体支持体上の線状ペプチドの合成を含む。該
樹脂を、標準的な固相合成方法を使用して、各プールについて単一のアミノ酸の
混合のために18個のプールに分ける。カップリング後、樹脂のプールを再度合
わせ、第2のアミノ酸のカップリングのために再度18個のプールに再度分ける
。個々のビーズは、固有のペプチド配列を含有するであろうし、充分に多くのビ
ーズが与えられる場合、すべての可能なペプチド配列は、ペプチドライブラリー
において示されるであろう。該方法の本質は、樹脂様ペプチドをいくつかの可溶
性レセプターまたは抗体で検出し、プローブと反応するビーズを単離し、典型的
なエドマン配列決定化学を使用して個々に配列決定することができることである
。さらに、PCT/US91/08694(WO 92/09300)には、あ
る量のペプチドを樹脂から遊離させ、多少のペプチドがまだ樹脂に結合したまま
である間に可溶性の形態でアッセイすることができる(配列決定することができ
る)ように、ペプチドおよび樹脂の間の選択的に切断可能なリンカーを提供する
ための方法が開示されている。レブル(Lebl)ら、Int.J.Pept.Prot.Res.
、41、201(1993)も参照のこと。
ゲイセン(Geysen)ら、J.Immunol.Meth.、259、102(1987)
によって開示された他の方法は、それらが、96ウエルマイクロタイタープレー
ト中のウエルの配置に対応するような方法でブロック上で配列する誘導ポリスチ
レンピン上のペプチドの合成を含む。個々の化学反応は、単一ウエル中、各ピン
上で行うことができ、かくして、各ピン上で個々のペプチドを製造することがで
きる。該ピンは、典型的には、マイクロタイターウエル中でも行われるELIS
Aタイプの二重抗体アッセイを使用して検出することができる。ミモトープ(mi
motope)法では、該ピンの上でランダムペプチドを合成し、標的抗体を用いて検
出する。最良のジペプチドを選択し、オリジナルのジペプチド+もう1つの残基
に基づいた一連のトリペプチドを製造し、検出する。オクタペプチドまでの最適
な配列が決定されるまで、最良のトリペプチドをテトラペプチドなどの基礎とし
て使用する。該ストラテジーにより、非天然アミノ酸またはD−アミノ酸をペプ
チド中に取り込むことができる。可溶性「レセプター」の必要性を回避する
ために、C末端ε−Lys−Pro配列を含むピンから[ブレイ(Bray)ら、テト
ラヘドロン・レターズ(Tet.Lett.)、31、5811(1990)を参照]ま
たはアンモノリシスを介して[ブレイら、テトラヘドロン・レターズ、32、6
163(1991)を参照]、ペプチドを遊離するであろう切断可能なリンカー
が開示されている。
可溶性ペプチドプールを含むが抗体またはレセプター結合配列の新たな測定に
対する別の方法は、ホフテン(Houghten)ら、ネイチャー(Nature)、354、
84(1991)の方法である。同時固相合成法を使用して、固有のアミノ酸を
配列における2つの定義された位置でカップリングさせられるヘキサペプチドが
製造され、残り4つの位置についてのカップリングのために、等モル量のアミノ
酸混合物が使用される。得られたペプチドは、配列O1−O2−X−X−X−X[
配列番号1]によって表すことができる(ここで、O1およびO2は、定義された
アミノ酸であり、Xは、ランダム化されたアミノ酸を表す)。18個のアミノ酸
から構成されるペプチドについて、182または324個の異なるペプチド混合
物またはプールがあり、各混合物は、O1およびO2についての単一の定義された
残基を有する184または104,976個の個々のペプチドからなる。324
個のプールの各々は、活性についてアッセイされ、O1およびO2についての最良
の選択は、次の残基を変更するために基礎として使用される、すなわち、配列A1
−A2−O3−X−X−X[配列番号2]のペプチドから構成される(ここで、A1
およびA2は、最適化残基であり、O3は、変更されるであろう定義されたアミ
ノ酸であり、Xは、アミノ酸のランダムプールである)。この方法は、最適化配
列が得られるまで、反復して繰り返される。該方法は、6×18または108個
のペプチドプールの合計について、変更されるべきである1個のアミノ酸のみを
含有するヘキサペプチド、すなわち、18個のペプチドO1−X−X−X−X−
X[配列番号3]、18個のペプチドX−O2−X−X−X−X[配列番号4]な
どを製造することによってかなり簡素化することができる。各プールは、アッセ
イされ、各位置についての最良の残基が決定される。ピニーラ(Pinilla)ら、
バイオテクニクス(Biotechniques)、13、901(1991)およびPCT
出願WO 92/09300(イテレックス・ファーマシューテイカルズ(Itere
x Pharmaceuticals))を参照。これらの技術は、線状ペプチドに関係している
。
線状ペプチドは、歴史的に、薬物および医薬設計のために比較的乏しい対象を
表した。線状ペプチドは、多数の配座を採用することができ、故に、単一標的分
子に種々の方法で結合することができ、種々の配座の種々の標的分子に結合する
ことができる。剛直であるか、または、限定された数の配座を採用することがで
きる分子は、より選択的に標的分子に結合する。さらに、線状ペプチドは、薬物
研究において困難さを与え、線状ペプチドの非ペプチド薬物への転換について合
理的なストラテジーがなかった。
組合せライブラリーにおける樹脂結合環状ペプチドおよび遊離環状ペプチドの
使用は、PCT/US91/04666(WO 92/00091)およびダル
レイク(Darlak)ら、プロシーディングス・オブ・ザ・サーティーンス・アメ
リカン・ペプタイド・シンポジウム(Proceedings of the 13th American P
eptide Symposium)、2−193、P902(1993)に開示されている。こ
れらの環状ペプチドは、配座的束縛素子を含有せず、環化が可能である場合、こ
れらのペプチドは、一般的に、多数の配座を採用し、線状ペプチドと同一の多く
の欠点を有する。
本発明は、定義された配座的束縛を導入することによって、ペプチドの質およ
びランダムライブラリーから誘導された合理的な薬物設計のためのリードを改良
する。本発明の鋳型から誘導されたペプチドおよびリードは、側鎖位置を最適に
するだけではなく、全体的な配座も最適にし、これは、ペプチド薬物および非ペ
プチドリガンドを合理的に設計しようとする試みにおける有意な長所である。本
発明は、従来のランダムライブラリーのいくつかの欠点である段階を追って進行
するペプチド配列決定の必要性および可溶性標的分子の必要性を除去する。
発明の概要
本発明の目的は、生物活性分子についてのスクリーニングについて有用なペプ
チドライブラリーを提供することである。
本発明の態様は、環状ペプチドライブラリーの調製である。本発明の他の態様
は、束縛された配座を有する環状ペプチドライブラリーの調製である。さらに、
本発明の態様は、生物活性系における標的分子についての結合親和性または生物
活性を有する環状ペプチドを選択するためのかかる環状ペプチドライブラリーの
スクリーニングである。
図面の簡単な説明
本発明は、1カ所以上の位置のアミノ酸および少なくとも1つの位置の定義さ
れたアミノ酸の可変性混合物からなる環状ホモデチックペンタ−およびヘキサ−
ペプチドライブラリーのセットからなる。特に、本発明は、ライブラリーのペプ
チド骨格がよく定義されたペプチド骨格配座を有するペプチドライブラリーのセ
ットからなる。
一般的な形態において、本発明は、式(I):
[式中、
X1、X2、X3、X4、X5およびX6は、各々独立して、アミノ酸の可変性混合
物である;
ただし、少なくとも1個の残基は、定義されており、1個の残基は、所望によ
り存在しない]
で示される環状ペプチドライブラリーのセットである。
別の具体例では、本発明は、少なくとも1個のアミノ酸が不変のアミノ酸であ
るペプチドライブラリーのセットである。好ましい具体例では、1〜3個のアミ
ノ酸は、不変であり、配座的束縛素子からなる。
ペプチドの「ライブラリー」は、少なくとも1つの定義されたアミノ酸が存在
するペプチドのコレクションを示す。典型的には、ペプチドの別の位置でアミノ
酸は、それらが定義されない場合、「ランダム化」されるか、または「不変」で
ある。各ライブラリーは、その定義されたアミノ酸残基、その不変の残基および
その可変性アミノ酸残基によって特徴付けられる。nが所定の位置における定義
されたアミノ酸残基の数を示す場合、ライブラリーのセットは、n個のライブラ
リーのグループを示す。2つの位置が定義されたアミノ酸を含有するライブラリ
ーのセットは、n2個のライブラリーからなるであろう。
「可変性」の位置またはアミノ酸残基は、ペプチドの明記された位置に1個を
超えるアミノ酸を有する。
「定義された」アミノ酸残基は、ペプチドにおける同一性および位置が知られ
ている残基である。典型的には、ライブラリーのセットにおいて、各ライブラリ
ーは、その定義されたアミノ酸の同一性において他とは異なる(例えば、定義さ
れたアミノ酸は、単一のライブラリー全体にわたって不変であるが、セット内で
はライブラリー間で異なる)。「不変の」アミノ酸または配列は、同一性および
位置がライブラリーのペプチド全体にわたって、およびライブラリーのセットの
全域で不変であるものである。本明細書で使用する場合、不変および可変アミノ
酸残基は、共に、「O」によって示される。上付き数字は、単に、1つの定義さ
れたまたは不変の残基を別の残基と区別する役割をするだけである。
「ランダム化された」位置またアミノ酸残基は、アミノ酸セットからなる全て
のアミノ酸がライブラリーにおいて表される場合、該ペプチドにおける位置であ
る。本明細書で使用される場合、ランダム化されたアミノ酸残基は、「X」によ
って示される。上付き数字は、単に、1つのランダム化された残基を別の残基と
区別する役割をするだけである。
ランダム化されたアミノ酸の等モル混合物は、ランダム化されたアミノ酸セッ
トにおける各アミノ酸が同一モル量で存在する混合物である。
「最適化された」アミノ酸残基は、定義されたアミノ酸を有するライブラリー
が所定の標的活性についてスクリーンされる場合、最適な活性(例えば、生物学
的応答、結合または生物学的応答もしくは結合の阻害)を有するアミノ酸セット
のアミノ酸である。好ましくは、単一のアミノ酸だけが最適な活性を与える。最
適化された残基は、ペプチド配列におけるその同一性および位置によって特徴付
けられ、種々の定義されたアミノ酸がライブラリーに導入され、活性について試
験される位置配列の官能基でもある。本明細書で使用する場合、最適化されたア
ミノ酸残基は、「A」によって示される。上付き数字は、単に、1つの最適化さ
れたアミノ酸残基を別の残基と区別する役割をするだけである。
「アミノ酸セット」は、特別な位置のペプチドの範囲内で変更される全てのア
ミノ酸からなる。典型的には、アミノ酸セットは、2〜50種類のアミノ酸残基
からなる。該アミノ酸セットは、ペプチドにおける各位置についてのアミノ酸残
基の数および残基のタイプにおいて変更されてもよいか、または、同一セットは
、ペプチドにおいて全ての位置について使用されてもよい。すなわち、該セット
は、ヘキサペプチドの全体にわたって全ての位置について全ての天然L−アミノ
酸からなるか、または、それは、1位、3位および5位について全ての天然L−
アミノ酸ならびに2位、4位および6位についてL−およびD−両方のアミノ酸
からなる。
アミノ酸としては、好ましくは、炭素骨格上に1,2−、1,3−または1,4
−置換パターンにおいて、アミノ末端およびカルボキシ末端を有する化合物が挙
げられる。α−アミノ酸が最も好ましく、タンパク中に見られる20個の天然ア
ミノ酸(グリシンを除いてはL−アミノ酸である)、対応するD−アミノ酸、タ
ンパク中には見られない生合成により入手可能なアミノ酸(例えば、4−ヒドロ
キシ−プロリン、5−ヒドロキシ−リシン、シトルリン、オルニチン、カナバニ
ン、ジェンコール酸、β−シアノアラニン)、および合成により誘導されるα−
アミノ酸、例えば、アミノ−イソ酪酸、ノルロイシン、ノルバリン、Cαアルキ
ル化およびNαアルキル化アミノ酸、Dtc、Tpr、ホモシステインおよびホモセ
リンが挙げられる。β−アラニンおよびγ−アミノ酪酸は、1,3−および1,4
−アミノ酸の例であり、ほかに当該技術分野においてよく知られているものが多
くある。スタチン様同配体(CONH連結基がCHOHに代えられる2つのアミ
ノ酸からなるジペプチド)、ヒドロキシエチレン同配体(CONH連結基がCHO
HCH2に代えられる2つのアミノ酸からなるジペプチド)、還元アミド同配体(
CONH連結基がCH2NH連結基に代えられる2つのアミノ酸からなるジペプ
チド)およびチオアミド同配体(CONH連結基がCSNH連結基に代えられる
2つのアミノ酸からなるジペプチド)もまた、本発明のための有用な残基であ
る。
本明細書で使用する場合、「ペプチド」は、ペプチド結合によって連結された
アミノ酸の配列を示す。本発明のペプチドは、各残基がアミノおよびカルボキシ
末端を有することによって特徴付けられる4〜6個のアミノ酸残基のアミノ酸の
配列からなる。
本明細書で使用する場合、アミノ酸配列を囲む角形括弧の意味は、アミノ末端
がカルボキシ末端に連結される環状ペプチドを示す。例えば、α−アミノ酸の場
合、第1残基のα−アミノ基は、最後の残基のカルボキシ基に連結する。かかる
方法で形成された環状ペプチドは、ホモデチックペプチドと称される。
環状ペプチドにおいて、該分子の対称性のために、定義された可変性アミノ酸
残基の全ての位置は、相対的である。例えば、1つのアミノ酸が定義され(Oに
よって示される)、他の全てがランダム化されている場合、[O1−X2−X3−X4
−X5−X6][配列番号6]によって表されるコレクションは、[X1−O2−X3
−X4−X5−X6]、[X1−X2−O3−X4−X5−X6]、[X1−X2−X3−O4−
X5−X6]、[X1−X2−X3−X4−O5−X6]および[X1−X2−X3−X4−X5
−O6]と同一である。同様に、[O1−X2−O3−X4−X5−X6][配列番号6]
は、[O1−X2−X3−X4−O5−X6]などと同一である。環化を容易にするため
に線状ペプチドにおける特異的な位置において定義されたアミノ酸を調製するこ
とがライブラリーの合成の間に有用であるが、環状ペプチドの記述における文字
の使用は、合成中間体における残基の絶対的な位置を示すことは意図しない。
ペプチド骨格の配座は、ペプチド骨格原子の位置だけでなく、ペプチド骨格か
らのアミノ酸側鎖の突出の角度(Ca−Cbベクター)をも明記する3つの二面
角、φ(C−N−Cα−C)、ψ(N−Cα−C−N)およびω(Cα−C−N−Cα
)によって測定される。各残基についてのφ、ψおよびωの特異的な値によっ
て特徴付けられる単一のコンホーマーにのみ存在するか、または、相対的に2、
3の分離したコンホーマーの平衡混合物として存在する「よく定義された骨格配
座」を有するペプチドは、剛直である。各コンホーマーについての全残基の捩れ
角度がよく記載されている。かくして、よく定義された骨格配座を有する環状ペ
プチド
は、環を構成する原子および結合が、室温または室温付近でお互いに関係する空
間における限定された数の位置だけをエネルギッシュに仮定することができるも
のであり、これらの位置は、分子模型製作および結晶学の慣用技術によってよく
定義される。
本明細書では略語を使用して、本発明およびその製造および使用方法を記載す
る。例えば、t−Buは、第3ブチル基を表し、Bocは、t−ブチルオキシカル
ボニル基を表し、Fmocは、フルオレニルメトキシカルボニル基を表し、Phは、
フェニル基を表し、Cbzは、カルボベンジルオキシ基を表し、BrZは、o−ブ
ロモベンシジルオキシカルボニル基を表し、ClZは、o−クロロベンジルオキ
シカルボニル基を表し、Bnは、ベンジル基を表し、Mtsは、4−メトキシ−2,
3,6−トリメチルベンゼンスルホニルを表し、Pmcは、ペンタメチルクロマン
−6−スルホニルを表し、Tsは、トルエンスルホニルを表し、DMAPは、ジ
メチルアミノピリジンを表し、DIEAは、ジイソプロピル−エチルアミンを表
し、Aibは、2−アミノ−イソ酪酸を表し、Dtcは、5,5−ジメチルチアゾリ
ジン−4−カルボン酸を表し、Tprは、チアゾリジン−4−カルボン酸を表し、
Trtは、トリチルを表し、HOBTは、1−ヒドロキシベンゾトリアゾールを表
し、THFは、テトラヒドロフランを表し、DMFは、ジメチルホルムアミドを
表し、BOPは、ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ−トリ(ジメチルアミノ)
ホスホニウムヘキサフルオロホスフェートを表し、DCCは、ジシクロヘキシル
カルボジイミドを表し、DPPAは、ジフェニルホスホリルアジドを表し、ED
Cは、N−エチル−N'(ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドを表し、HB
TUは、(1−ヒドロキシベンゾトリアゾリルテトラメチル−ウロニウムヘキサ
フルオロホスフェート)/N−メチルモルホリンを表し、PPAは、1−プロパ
ンホスホン酸環状無水物を表し、HFは、塩酸塩を表し、LAWESSON試薬
は、2,4−ビス(4−メトキシフェニル)−1,3−ジチア−2,4−ジホスフェ
タン−2,4−ジスルフィドであり、THFは、テトラヒドロフランを表し、T
FAは、トリフルオロ酢酸を表す。SASRINR樹脂は、3−メトキシ−4−
ヒドロキシメチル−フェノキシメチル化した1%ジビニルベンゼン架橋結合ポリ
スチレンであり、Fmoc保護アミノ酸による直交(orthogonal)保護スキームを
使用する。PAM樹脂は、4−(ヒドロキシメチル)フェニル−アセトアミドメチ
ル1%ジビニルベンゼン架橋ポリスチレンであり、Boc保護アミノ酸による直交
保護スキームにおいて使用される。HMPB樹脂は、樹脂と最初のアミノ酸との
間で4−ヒドロキシメチル−3−メトキシフェノキシブタン酸(HMPB)基が
切断可能な連結基として結合しているアミノベンジルまたはベンズヒドリルアミ
ンビニルベンゼン架橋結合ポリスチレン樹脂を表し、Fmoc保護アミノ酸と一緒
に使用される。Rink樹脂は、(2,4−ジメトキシフェニル)−ヒドロキシメチル
)フェノキシ−メチル1%ジビニルベンゼン架橋結合ポリスチレン樹脂である。
本発明において使用されるアミノ酸は、市販されているか、または、慣用の合
成方法によって入手可能なものである。ある残基は、ペプチドへの取込みのため
の特別な方法を必要とする。線状ペプチドへの連続的なおよび収束的な両方の合
成方法は、本発明において有用である。例えば、チオアミド同配体は、ジペプチ
ドを合成し、クラウゼン(Klausen)らのケミカ・スクリプタ(Chemica Scrip
ta)、20、14(1982)に開示されているようにジペプチドをLAWESS
ON試薬で処理してアミドをチオアミドに転換し、該ジペプチドを未完成ペプチ
ド配列に導入することによってペプチドに導入される。還元アミド同配体は、例
えば、ササキ(Sasaki)らのペプタイディス(PEPTIDES)、第8巻、
119(1987)またはホチャート(Hochart)らのジャーナル・オブ・メデ
ィシナル・ケミストリー(J.Med.Chem.)、31、1920(1988)に開示
されているように、末端遊離アミンをアミノアルデヒド(対応するアミノ酸から
製造された)と反応させ、該イミンを還元することによってペプチドに導入され
る。ヒドロキシエチレン同配体は、よく知られており、エバンズ(Evans)らのジ
ャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー(J.Org.Chem.)、50、461
5(1985)およびケンプ(Kempf)のジャーナル・オブ・オーガニック・ケ
ミストリー(J.Org.Chem.)、51、3921(1986)に開示されているよ
うに製造される。
本発明の環状ペプチドを製造するための一般的な方法は、鎖伸長、側鎖保護ペ
プチドの固体支持体からの切断、保護ペプチド混合物の環化、次いで、側鎖の脱
保護をさせる直交保護スキームを使用する固相ペプチド合成法を含む。種々のラ
ンダムペプチド配列が実質的に等しい量でライブラリー中に存在するのが好まし
い。本発明の環状ペプチドのランダム配列を製造するためのいくつかの方法が利
用可能である。
1つの方法は、
a)樹脂をn個の異なるアリコットに分割し(ここで、nは、定義されたアミ
ノ酸セットにおけるアミノ酸残基の数である)、
b)各アリコットに、いずれかの順序で
(1)セットの単一の可変性アミノ酸を徹底的にカップリングさせるか(例え
ば、各アリコットに、セットされたランダム化された異なるアミノ酸をカップリ
ングさせる)、
(2)一定のアミノ酸を徹底的にカップリングさせるか(例えば、全てのアリ
コットに同一のアミノ酸をカップリングさせる)、または
(3)定義されたアミノ酸を徹底的にカップリングさせ、
c)可変性アミノ酸を含有するアリコットを再度合わせ、混合し(例えば、別
々に、定義されたアミノ酸を含有するアリコットを有する)、
d)アミノ酸上の反応性官能基から保護基を除去し、
e)5個または6個の残基が付加されるまで、次の残基が可変性または定義さ
れたアミノ酸である場合、工程(a)〜(d)を繰り返して、次の残基をカップ
リングさせるか、または、次の残基が不変のアミノ酸である場合、工程(b)〜
(d)を繰り返して、次の残基をカップリングさせ、
f)樹脂からペプチドを切断し、
g)ペプチドを環化し、
h)保護基を除去すること
からなることを特徴とする、1カ所以上の位置でアミノ酸のランダム混合物を含
有する環状ホモデチックペンターまたはヘキサ−ペプチドのライブラリーのセッ
トの製造方法である。
WO 92/00091[バイオリガンド(Bioligand)]に開示されている方法
は、線状ペプチドについてのライブラリー中にランダムにアミノ酸残基を取り込
むためのライブラリーの分割および組換え方法を開示している。かかるスキーム
において、不変のアミノ酸残基または配座的に束縛するモチーフは、ライブラリ
ーをアリコットに分割することなく、全ライブラリーを不変のアミノ酸と徹底的
にカップリングさせることによって取り込まれる。
ランダムアミノ酸をペプチド中に取り込む別の方法は、U.S.P 5,010,
175に開示されている。この方法によると、アミノ酸混合物は、個々のアミノ
酸がカップリングにおけるそれらの相対的な反応速度に依存して変化する割合で
存在する混合物をカップリングさせることによって取り込まれる。例えば、アミ
ノ酸の量は、そのカップリング速度に反比例する。
別の方法は、
a)樹脂に、いずれかの順序で
(1)樹脂上の反応性官能基の数と同量のランダム化アミノ酸セットの等モル
混合物をカップリングさせるか(例えば、1つの反応性アミノ酸は、樹脂上の各
反応性部位について存在する)、
(2)一定のアミノ酸をカップリングさせるか、または
(3)樹脂をn個の分離アリコットに分離し、各アリコットに定義されたアミ
ノ酸をカップリングさせ(次いで、各アリコットに別々に担持させ)(ここで、
nは、定義されたアミノ酸セットにおけるアミノ酸残基の数である)、
b)アミノ酸上の反応性官能基から保護基を除去し、
c)5または6個の残基が付加されるまで工程(a)を繰り返して前のアミノ
酸の反応性官能基に次の残基をカップリングさせ、
d)該樹脂からペプチドを切断し、
e)ペプチドを環化させ、
f)保護基を除去すること
からなることを特徴とする、1カ所以上の位置でアミノ酸のランダム混合物を含
有する環状ホモデチックペンターまたはヘキサ−ペプチドのライブラリー1組の
製造方法である。
典型的には、樹脂と第1アミノ酸との間のカップリングは、エステル結合を形
HMPB、Rink、PAMおよびヒドロキシメチル樹脂が典型的である。
カルボン反応は、アミドまたはエステル結合を生じさせるための方法によって
行われ、本明細書に記載されている当該技術分野においてよく知られている方法
によって行われる。典型的なカルボン剤は、カルボジイミド、活性化無水物およ
びエステルおよび酸ハロゲン化物である。EDC、DCC、DPPA、HPTU
、PPA、BOP試薬、HOBT、N−ヒドロキシスクシンイミドおよび塩化オ
キサリルなどの試薬が典型的である。
各アミノ酸またはペプチドの側鎖の反応性官能基は、ペプチド技術において知
られているように保護されるのが好適である。例えば、Boc、CbzまたはFmoc
基は、アミノ基、特に、α−アミノ基の保護のために使用される。アルキル(例
えば、t−Bu、Me)、cHexまたはベンジルエステルは、AspまたはGluのカル
ボキシル側鎖の保護のために使用される。ベンジルまたは好適に置換されている
ベンジル、トリチルまたはt−Bu基は、システインまたは他のチオール含有残
基のメルカプト基またはTyr、SerまたはThrのヒドロキシルを保護するために
使用される。Cysおよび他の硫黄含有アミノ酸は、アセトアミド基によって、ま
たはチオアルキル(例えば、エチルメルカプタン)またはチオアリール基とのジ
スルフィド形成によって保護されてもよい。ベンジル/ベンジルオキシメチルま
たは好適に置換されているベンジル/ベンジルオキシメチル、Bocまたはホルミ
ル基は、Hisのイミダゾリル基の保護のために使用され、Argのグアニジノ窒素
の保護のためにはPmc、ニトロまたは好適に置換されているベンゼン−スルホニ
ル基(例えば、Ts、Mts)が使用される。フタルアミド、Boc、Fmoc、カルボ
ベンジルオキシまたはベンジル基または好適に置換されているベンジルまたはベ
ンジルオキシ基は、リシンのε−アミノ酸を保護するために使用される。カルボ
ベンジルオキシまたはベンジル保護基の好適な置換は、5個のクロロ、ブロモ、
ニトロ、メトキシまたはメチル基との置換であり、一般にオルトおよび/または
パラであり、保護基の反応性を変化させるために使用される。これらの保護基は
、当該技術分野において知られている接触水素添加、アンモニア溶液中ナトリウ
ム、ヒドラジン、塩基、TFAまたはHF処理などの方法によって除去される。
側鎖保護基の選択は、それらが線形ペプチド鎖を形成するためにカップリング反
応で使用される反応性官能基(例えば、一般的には、α−アミノ酸)を保護する
ために使用される条件下で除去されないように選択される。反応性官能基の保護
基は、各々連続するアミノ酸をカップリングする前に除去される。
該ペプチドは、当該技術分野において知られている方法によって樹脂支持体か
ら切断される。正確な方法は、樹脂の特徴に依存する。Rink樹脂、HMPBお
によって切断される。当業者には、保護基の除去がペプチドの樹脂からの切断と
同時に起こることが理解されるであろう。
環化方法は、線状ペプチドの末端アミノ基がペプチドの末端カルボキシ基にカ
ップリングされる別のカップリング反応である。DPPAは、カップリング反応
用の特に有用な試薬である。高希釈の溶液条件下でカップリングを行うのも有用
である。
またはHMPB樹脂などの超酸−不安定樹脂を、側鎖についてα−アミノ保護基
およびt−ブチルベースの保護基としてFmocおよびArgのグアニジン側鎖につ
いてPmc(ペンタメチルクロマン−6−スルホニル)を使用することを含む。当
業者に知られているオルトゴナール保護の別のスキームも同様に利用可能である
ことが明らかである。一般的に、ペプチド鎖の長さおよび該ペプチドにおける各
Iについてのアミノ酸セットにおけるアミノ酸の数を基本とする起こりうる固有
のランダムペプチド配列の数が計算されるであろうし、起こりうるランダム化ペ
プチド配列の数の少なくとも10倍モル過剰の該樹脂の反応性部位があるように
充分な樹脂が使用されるであろう。
C−末端アミノ酸がランダム化されると、個々のアミノアシルペプチド樹脂の
、使用されるアミノ酸の等モル分配との混合物を使用して合成を開始することが
好
都合である。同一の保護アミノ酸の等モル混合物も製造される。正確に1当量の
全アミノ酸に対応する保護アミノ酸混合物のアリコットは、樹脂混合物にカップ
リングさせられる。典型的な標準は、HBTUカップリングなどの迅速なカップ
リング方法が使用され、該カップリング反応が一晩進行せしめられることである
。正確に1当量の全アミノ酸および長いカップリング時間の使用は、混合物中の
個々のアミノ酸の異なるカップリング速度について部分的に修正し、アミノ酸の
等モル混合物が各位置で得られることを確実にする助けをする。この点で、カイ
ザー試験は、カップリングの完全性を評価するために行われ、所望により、1当
量の等モル混合物との再カップリングを行うことができる。
保護アミノ酸の等モル混合物の添加は、定義されたアミノ酸が添加される時点
まで徐々に進行することができる。この時点で、該樹脂は、混合物のために使用
されるアミノ酸の数に対応する多くの等価のアリコットに分割される。各樹脂ア
リコットは、この時点から個々に処理される。各アリコットは、標準的な固相法
を使用して単一のアミノ酸にカップリングされる。さらなるランダム化残基が配
列に付加される必要がある場合、それらは、1当量のペプチジル樹脂当たり1当
量の全アミノ酸が存在するように注意しつつ、前と同様の等モル混合物を添加さ
れる。
ペプチド配列の完成後、塩化メチレン中の希(1〜2%)トリフルオロ酢酸に
よる処理によって、保護ペプチド混合物が樹脂から切断され、この反応からの濾
液は、メタノール中ピリジンなどの有機塩基で中和される。側鎖保護ペプチド混
合物は、エチルエーテルの添加によって沈殿され、遠心分離または濾過によって
回収される。
側鎖保護ペプチド混合物は、1.1当量のジフェニルホスホリルアジドおよび
ジイソプロピル−エチルアミンなどの2.2当量の第3級塩基を使用してDMF
中で環化される。ペプチドの濃度は、約5mMであり、反応は、室温で数時間、
次いで、4℃で一晩進行せしめられる。溶媒は、蒸発によって除去され、環状ペ
プチド混合物の側鎖は、室温で2時間、トリフルオロ酢酸、アニソール、水(お
よび所望によりエタンジチオール)の混合物による処理により脱ブロックされる
。
脱保護ペプチドは、エチルエーテルの添加によって沈殿し、遠心分離または濾過
によって回収される。次いで、完全に脱保護された環状ペプチド混合物を10%
酢酸水溶液に溶解させ、ゲル濾過カラムを通過させて、残存する有機不純物を除
去する。全ペプチドピークを回収し、凍結乾燥させて、環状ペプチドライブラリ
ーの1つのプールを得る。
線状ペプチドは、すべての実施目的のために、無数のポテンシャル配座を有す
る。したがって、それらは、標的分子に結合する非常に多数の配座を採用するこ
とができるように最大限に柔軟である。逆に、それらは、それらが標的分子に結
合する配座に関する多くの情報を与えることができない。例えば、ペプチドが高
いエネルギー配座で結合しているか、または低いエネルギー配座で結合している
かを知ることができない。対応する線状ペプチドと比較して、しばしば結合のた
めに好ましい位置におけるポジティブ官能基がそれらの配座により、有効かつ選
択的である。かくして、アミノ酸の側鎖上の官能基は、お互いに比較してスペー
スにおける減少した位置を仮定することができる。環化ペプチドは、線状ペプチ
ドについての低いエネルギー配座を構成するものを達成することができないので
、それらは、好ましい配座でさらに何回も使用することができる。さらに、それ
らは、ある配座を達成することができないので、それらは、増大した選択性を生
じる対応する線状ペプチドほど多くは外来分子に結合できない。
ホモデチックペプチドを得るための線状ペプチドの環化は、環状ペプチドに利
用可能な配座の数を束縛する。許容される配座およびそれらのエネルギーは、分
子モデリング方法を使用して評価することができ、熟練した化学者は、標的分子
に結合するペプチドにおける官能基の好ましい位置に関して仮定を行うことがで
きる。次いで、これは、好ましい結合特性を有する他の分子、例えば、非ペプチ
ドの合理的な設計の助けをする。大きなサイズの環状ペプチドがあまり配座リジ
ディティを有さず、一般的に分析に従わないので、本発明のペプチドは、5また
は6個の残基を有するものであるのが好ましい。5または6個の残基のペプチド
でさえ、分析を困難にする多数の配座を採用することができる。それらの成分の
空間的な方向があまりよく決定されない。
許容される配座の数は、さらに、配座的束縛素子を環状ペプチド中に取り込む
ことによって減少させることができる。配座的束縛素子は、アミノ酸残基または
アミノ酸残基の組み合わせであり、それらの固有の構造により、環化ペプチドの
骨格におけるある種の結合の回りの回転に対するエネルギーバリヤーを生じる。
したがって、環状ペプチドについての利用可能な配座の数は、さらに減少し、そ
の結果、ペプチドは、よく定義された骨格配座を有する。配座的束縛素子の例は
、ProまたはAib残基、還元されたジペプチド同配体、または、ペンタペプチド
においてγ−回転を誘発するチオアミド同配体、環状ヘキサペプチドにおいてβ
−回転を誘発するPro-D−Pro、環状ヘキサペプチドにおいて伸長した骨格配
座を誘発するD−Pro−Gly−Proである。かかる素子は、例えば、ペイショッ
フ(Peishoff)ら、ジャーナル・オブ・メディシナル・ケミストリー(J.Med.
Chem.)、35、3962(1992)によって開示されている。これらの素子
は、大きな基の所有による立体障害によるある種の結合の回りの回転を制限する
ことにより(例えば、Aib、Cα−メチルアミノ酸、Nα−メチルアミノ酸)、ま
たは、環構造における炭素骨格の素子を取り込むことにより(例えば、Pro)、ま
たは、連結残基との水素結合を形成することにより(例えば、チオアミド同配体
、ジペプチド同配体)それらの効果を有する。他の配座的束縛素子は、これらの
原理を使用する当該技術から設計または選択される。
ペプチド混合物における環化の効率および完全性は、正確にはモニターするこ
とができず、実際に、エネルギー的に好都合ではないので、環化反応の間に実質
的に環化されないペプチドもある。典型的には、長い反応時間を使用し、環化の
部位は、あまりラセミ化しないアミノ酸が線状ペプチドのカルボキシ末端部分を
占有する(例えば、ラセミ化を最小限にする)ように選択される。したがって、
別の態様では、本発明は、有効な環化を誘発するための部位においてペプチドに
おいて配座的束縛素子を取り込むことからなる改良された線状ペプチド環化方法
である。好ましくは、配座的束縛素子は、ペプチドの中間位置に取り込まれ、そ
の結果、末端アミノおよびカルボキシ基が配座的束縛素子によって空間的に近位
になる。
かくして、本発明の線状ペプチドは、好ましくは、最適な環化のために設計さ
れる。例えば、本明細書に記載するように、ペプチド(例えば、γ−回転)のさ
らなる配座的束縛を誘発するためにプロリン残基を取り込む場合、線状ペプチド
の第3の位置においてそれを置くことは、迅速かつ実質的に完全な環化を促進す
る。かかる場合、環化の速度は、他の4個のアミノ酸の性質に非常に依存してい
ると思われ、環化は、DPPAを使用して室温で約1時間以内に実質的に完了す
る。これは、プロリンが同一ペプチドに取り込まれる場合と対照しているが、環
化は、ペプチドの末端(例えば、第1または第5)位置のプロリンにより影響さ
れる。後者の場合の環化は、約3日間取り、実質的な完了まで操作される。
例えば、分子モデリング、規則的合成、および、所望により、結晶化および結
晶構造分析により配座的束縛についてのモチーフを発明することは、当該技術分
野の技術の範囲内である。ライブラリーの範囲内に含まれ、束縛を取り込む2、
3の単純ペプチドに対する効果を研究することによって、配座的に束縛するモチ
ーフについての適正な置換を測定することもできる。例えば、ProおよびAibは
、ペンタペプチドの3位にあるのが好ましくは、Pro−D−Proは、3および4
位にあるのが好ましく、Pro−Gly−Proは、典型的には、線状ヘキサペプチド
の2、3および4位にある。
収束的なアプローチを使用して、標的分子についての最適化された結合ペプチ
ドを見いだすことができる。収束的なアプローチによると、少なくとも1つのア
ミノ酸残基が定義されているライブラリーのセミランダムセットがスクリーンさ
れる。定義されたアミノ酸セットにおけるアミノ酸の数がnである場合、これは
、n個のライブラリーのスクリーニングを生じる。スクリーンの結果に基づいて
、最適な活性を有するライブラリー(または、2、3のライブラリー)が同定さ
れる。最適な活性を有するライブラリーは、その定義されたアミノ酸の同一性お
よび位置によって特徴付けられる。最適な定義されたアミノ酸が第1のスクリー
ンにおいて同定され、ライブラリーの全体にわたって一定であり、第2残基が定
義されているライブラリーの第2のセットが構築される。このライブラリーの第
2セットをスクリーンし、最適な定義された残基を同定し、前記で定義された最
適
な定義されたアミノ酸の両方がライブラリーの全体にわたって一定であるライブ
ラリーの新しいセットを構築する。この方法は、ペプチドの全ての残基が最適化
されるまで、反復的に繰り返される。もちろん、1個を超えるアミノ酸が存在す
るライブラリーを生じることは、当該技術分野の技術の範囲内であり、これは、
nd個のライブラリーのスクリーニングを必要とするであろう[ここで、nは、前
記定義と同じであり、dは、定義されたアミノ酸残基の数である]。配座的に束
縛するモチーフがペプチド中に存在する場合、該モチーフからなる残基の同一性
および位置は、全てのライブラリーの全体にわたって一定である。
この収束的な方法のバリエーションは、最適なペプチドが収束される方法によ
って生じる。この方法では、1個を超える最適なペプチドが同定される。例えば
、第1の定義されたアミノ酸のカルボキシ末端から配列において各残基を反復的
に最適化することによってペプチドを最適化する。別法としては、第1の定義さ
れた残基のアミノ末端からの配列における各残基を最適化する。かかる収束的な
スキームにより、
[ここで、X1、X2、X3、X4およびX6は、アミノ酸のランダム化混合物であ
り、
X5は、アミノ酸の混合物であるか、または不在であり、
O1〜O4のうち1つは、定義されたアミノ酸であり、残りの残基は、不変のア
ミノ酸であり、
O5は、定義されたアミノ酸もしくは不変のアミノ酸であるか、または不在で
ある]
の形態のライブラリーのセットが調製される。
別のバリエーションにおいては、第1の定義されたアミノ酸から他の残基ごと
に最適化することができる。かくして、ライブラリーのセットは、
[ここで、X1、X2、X3、X4およびX6は、アミノ酸のランダム化混合物であ
り、
X5は、アミノ酸の混合物であるか、または不在であり、
O1〜O5のうち1つは、定義されたアミノ酸であり、残りの残基は、不変のア
ミノ酸である]
の形態である。
ゲイセン(Geysen)ら、Biorg.Med.Chem.Lett.、3、397(1993
)には、線状ペプチドを最適化するためのアプローチが開示されている。
本発明は、基質に関する所望の活性を有するペプチドを同定することからなる
本発明のライブラリーの使用方法を構成する。この方法によると、ライブラリー
は、標的分子と接触し、ライブラリーのペプチドと標的分子または生物的系との
間の相互作用が評価される。該相互作用を定量化する一般的な方法は、結合アッ
セイおよび生物活性アッセイによる。本発明のペプチドは、固定化ペプチドライ
ブラリーとは異なり、可溶性および固定化標的分子の両方と相互作用するので、
かかるアッセイによく適している。
基質について結合リガンドを選択する方法は、
a)ライブラリーが、少なくとも1カ所における第1の定義されたアミノ酸お
よび1カ所以上のアミノ酸のランダム混合物を有する基質に対する環状ホモデチ
ックペンタ−またはヘキサ−ペプチドのライブラリー1組をスクリーニングし、
b)最大活性を有するライブラリーを測定し、
c)最大活性を有するライブラリーにおいて第1のアミノ酸の同一性を測定し
、
d)第1のアミノ酸が最大活性を有すると定義されるものであり、第2のアミ
ノ酸が各ライブラリーについて定義される環状ホモデチックペンタ−またはヘキ
サ−ペプチトの第2回収を生じ、
e)最大活性を有するライブラリーを測定し、
f)第2のアミノ酸の同一性を測定し、
g)最大結合配列が全ての位置について同定されるまで、工程(d)〜(f)
を繰り返すことからなる。
「結合リガンド」は、ライブラリーにおける1個以上のペプチドまたはライブ
ラリーのセットである。「基質」は、一般に、標的分子または結合もしくは生物
学的応答のようないくつかの相互作用を示すことができる生物学的系である。典
型的な基質標的分子は、タンパク、炭化水素、核酸、脂質、糖タンパク、糖脂質
、ウイルスまたは細菌または薬物、または特に、レセプター、抗体、酵素、成長
因子、ホルモン、または、成長因子もしくはホルモンの作動薬または拮抗薬であ
る。該基質は、細胞、組織、器官または微生物などの生物系、または、細胞、組
織、器官または微生物のホモジネートであってもよい。例えば、該基質は、ウイ
ルス、細菌または真菌類(いずれも、天然またはクローン化標的分子を発現して
いてもよい)、脳組織、腎組織または血管組織由来のような組織ホモジネート、
血液、骨、皮膚または神経細胞系(再度、いずれも、天然またはクローン化標識
分子を発現していてもよい)などの培養哺乳動物細胞系または調製物であっても
よい。
最大活性の測定は、最大結合、または最大もしくは最小阻害、刺激、または他
の生物学的応答を用いてライブラリーを測定することによる。結合アッセイは、
結合リガンドの検出のためのよく知られている好都合な方法である。例えば、ラ
イブラリーの、標的分子、細胞または組織ホモジネートからの放射性リガンドの
阻害能または置換能を測定する。直接酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)
、間接ELISAおよび競争ELISAは、標的分子に結合する抗体の測定およ
び/またはマーカー分子の存在の同定のための当該技術分野でよく知られている
好都合な方法である(例えば、メディエーター放出)。
生物活性アッセイは、一般に、生物学的応答の程度が測定される細胞ベースま
たは組織ベースのアッセイである。例えば、細胞毒性の程度、イオン束密度、極
性の変化、放出された媒介物質の量、刺激、増殖、収縮、またはペプチドライブ
ラリーと標的分子もしくは細胞との間の接触により生じる他の生理学的変化が測
定される。別法としては、ペプチドライブラリーの濃度の制御によって、所定の
パーセントの生物学的応答を生じるための有効投与量が測定される(例えば、5
0%応答[EC50]を生じる濃度、または応答の50%阻害[IC50]を生じる
濃度)。生物活性アッセイは、結合アッセイなどの他のアッセイと一緒に用いて
もよく、その結果、定量化は、間接的である。かかる方法は、当該技術分野にお
いてよく知られている。
結合リガンドの選択方法のプラクティスは、疾患の治療、予防もしくは改善ま
たは若干の生物的機能の遂行または増強のための治療薬を同定させる。例えば、
当該方法によって同定された治療薬は、酵素阻害薬、レセプター作動薬、レセプ
ター拮抗薬、抗菌剤またはワクチンである。さらにまた、結合リガンドの同定は
、生物学的活性を増強した結合リガンドの誘導体または類似体を同定せしめる。
以下の実施例は、本発明のライブラリーの製造方法および使用ならびに方法を
説明するものであり、如何なる場合も限定するものではない。
実施例1
環化によって束縛されるペンタペプチドライブラリーおよび不変のPro残基を
使用するエンドセリンのその天然レセプターへの結合の阻害薬の同定。
Proを残基1であると考えると、当該セットは、残基3についての天然L−ア
ミノ酸(CysおよびProを除く)ならびに、残基2、4および5についての天然
アミノ酸(CysおよびProを除く)のD−異性体からなる(しかしながら、Pro
は、線状ペプチドにおける第3の位置を占めて、有効な環化を促進させると思わ
れる)。
ペプチドライブラリーの構築のための一般的な方法
を、130℃で4時間、HCl/プロピオン酸(1:1)中で加水分解し、アミ
ノ酸分析により、ほぼ等モル量の18個のアミノ酸全てを含有することが判明し
た。
DMF 40mLの全体積中に各々0.8mmolの、Fmoc−D−Ala、Fmoc−D
−Arg(PMC)、Fmoc−D−Asn、Fmoc−D−Asp(t-Bu)、Fmoc−D−Gln
、Fmoc−D−Glu(t-Bu)、Fmoc−Gly、Fmoc−D−His(Trt)、Fmoc−D−
Ile、Fmoc−D−Leu、Fmoc−D−Lys(Boc)、Fmoc−D−Met、Fmoc−D
−Phe、Fmoc−D−Phe、Fmoc−D−Ser(t-Bu)、Fmoc−D−Thr(t-Bu)
、Fmoc−D−Trp、Fmoc−D−Tyr(t-Bu)およびFmoc−D−Valを溶解させ
ることによって、Fmoc−D−アミノ酸の母液を調製した。
間脱ブロックし、DMFで洗浄し、次いで、DMF中、3.6mmolのHBTUお
よび7.2mmolのDIEAを使用して、3.6mmolの全アミノ酸と等価の母液の1
0mLアリコットにカップリングさせた。ニンヒドリン試験は、完全なカップリ
ングが起こらなかったことを示し、そこで、同量の試薬を用いて2時間結合を繰
り返した。ニンヒドリン試験は、陰性であり、これは、完全なカップリングを示
HCl/プロピオン酸(1:1)中で加水分解し、アミノ酸分析に付した。これ
を示した。これにより、ほぼ等モルのアミノ酸カップリングが得られたことが判
明した。
洗浄し、次いで、一晩、HBUT(10.8mmol、3当量)およびDIEA(2
1.6mmol、6当量)を使用して、Fmoc−Pro(10.8mmol、3当量)にカッ
プリングさせた。ニンヒドリン試験は、陰性であり、これは、完全なカップリン
および洗浄し、前記と同様に、一晩、DMF中、3.6mmolのHBTUおよび7.
2mmolのDIEAを使用して、3.6mmolの全アミノ酸を含有するFmoc−D−X
母液のアリコットにカップリングさせた。ニンヒドリン試験は、完全なカップリ
ングが起こらなかったことを示しており、そこで、同量の試薬を用いてカップリ
ングを4時間繰り返した。ニンヒドリン試験は、陰性であり、これは、完全なカ
ッ
脂が得られた。該樹脂を洗浄し、一晩、真空乾燥させて、7.4gを得た。これを
、ライブラリーの完成のために各々0.41gの等しいアリコット18個に分けた
。
ライブラリー1
シクロ[D−O4−D−X5−Pro1−D−X2−X3]の調製
残基4での定義されたアミノ酸
a)シクロ[D−Ala−D−X−Pro−D−X−X](1)
の0.41g(0.2mmolと等価)アリコットを、20%ピペリジン/DMFを用
いて20分間脱保護し、DMFで洗浄し、0.6mmolのHBTUおよび1.2mmol
のDIEAを3時間使用して、0.6mmolのFmoc−D−Alaにカップリングさせ
た。ニンヒドリン試験は、陽性であり、そこで、同量の試薬を用いて一晩カップ
リングを繰り返した。ニンヒドリン試験は、陰性であり、20%ピペリジン/D
MFを用いてペプチジル樹脂を再度脱ブロックし、洗浄し、一晩乾燥させた。
1%TFA/CH2Cl2 5mLを2分間用いて、保護されたペプチドを樹脂か
ら切断し、低アルゴン圧下、10%ピリジン/MeOHを含有する遠心管中に直
接濾過した。この方法を、毎回、10%ピリジン/MeOHを含有する新しい遠
心管を使用して4回繰り返した。ピリジン/MeOH溶液を約半分の体積に減少
させ、エーテルの添加によりペプチドを沈殿させた。該ペプチドを遠心分離によ
って回収し、エーテルをデカントし、ペプチドをエーテルに再懸濁させ、再度、
遠心分離に付した。これを2回繰り返し、次いで、ペプチドを一晩風乾した。乾
燥した沈殿物を合わせて、130mgを得た。
保護した線状ペプチドをDMF 10mLに溶解させ、次いで、トリエチルアミ
ン30μL(0.22mmol、1.1当量)に溶解させた。該溶液を0℃に冷却し、
ジフェニルホスホリルアジド(0.20mmol、1当量)を添加した。該溶液を室
温に加温し、一晩撹拌した。次いで、該溶液を真空下で除去し、得られたガラス
状物を一晩乾燥させた。
該残留物をTFA 10mL、チオアニソール0.5mL、水0.5mLおよびエタ
ンジチオール0.5mLの混合物で2時間処理した。該混合物を2本の遠心管に移
し、氷冷エーテルの添加により、ペプチドを沈殿させた。該ペプチドを遠心分離
により回収し、エーテルで2回洗浄した。次いで、沈殿物を濾過により回収し、
風乾させ、氷酢酸に溶解させ、凍結乾燥させて、環状ペプチド29.9mgを得た
。
該ペプチドを10%HOAcに溶解させ、1.6×60cmのセファデックス(S
ephadexTM)G−15カラムに適用し、10%HOAcで溶離した。全てのUV−
ポジティブ(A254)物質を回収し、プールし、凍結乾燥させて、標記ペプチド
プール28.0mgを得た。
b)シクロ[D−Arg−D−X−Pro−D−X−X](2)
(1)におけると同様に、保護された線状ペプチドD−Arg(Pmc)−D−X−
Pro−D−X−Xを調製し、樹脂から切断して、226mgを得た。(1)におけ
ると同様に、該ペプチドを環化させ、側鎖を脱保護し、凍結乾燥後、64.8mg
を得た。環状ペプチドを1.6×60cmのセファデックス(SephadexTM)G−1
5カラムに通し、10%HOAcで溶離した。全てのUV−ポジティブ(A254)
物質を回収し、プールし、凍結乾燥させて、標記ペプチドプールを得た。
c)シクロ[D−Asn−D−X−Pro−D−X−X](3)
(1)におけると同様に、保護された線状ペプチドD−Asn−D−X−Pro−D
−X−Xを調製し、樹脂から切断して、173mgを得た。(1)におけると同
様に、該ペプチドを環化し、側鎖を脱保護し、凍結乾燥後、46.6mgを得た。
環状ペプチドを1.6×60cmのセファデックス(SephadexTM)G−15カラム
に通し、10%HOAcで溶離した。全てのUV−ポジティブ(A254)物質を回
収し、プールし、凍結乾燥させて、標記ペプチドプールを得た。
d)シクロ[D−Asp−D−X−Pro−D−X−X](4)
(1)におけると同様に、保護された線状ペプチドD−Asp(t−Bu)−D−
Pro−D−X−Xを調製し、樹脂から切断して、140mgを得た。(1)におけ
ると同様に、該ペプチドを環化し、側鎖を脱保護し、凍結乾燥後、35.9mgを
得た。環状ペプチドを1.6×60cmのセファデックス(SephadexTM)G−15
カラムに通し、10%HOAcで溶離した。全てのUV−ポジティブ(A254)物
質を回収し、プールし、凍結乾燥させて、標記ペプチドプールを得た。
e)シクロ[D−Gln−D−X−Pro−D−X−X](5)
(1)におけると同様に、保護された線状ペプチドD−Gln−D−X−Pro−D
−X−Xを調製し、樹脂から切断して、203mgを得た。(1)におけると同
様に、該ペプチドを環化し、側鎖を脱保護し、凍結乾燥後、71.2mgを得た。
環状ペプチドを1.6×60cmのセファデックス(SephadexTM)G−15カラム
に通し、10%HOAcで溶離した。全てのUV−ポジティブ(A254)物質を回
収し、プールし、凍結乾燥させて、標記ペプチドプールを得た。
f)シクロ[D−Glu−D−X−Pro−D−X−X](6)
(1)におけると同様に、保護された線状ペプチドD−Glu(t−Bu)−D−
X−Pro−D−X−Xを調製し、樹脂から切断して、151mgを得た。(1)に
おけると同様に、該ペプチドを環化し、側鎖を脱保護し、凍結乾燥後、38.8m
gを得た。環状ペプチドを1.6×60cmのセファデックス(SephadexTM)G−
15カラムに通し、10%HOAcで溶離した。全てのUV−ポジティブ(A254
)
物質を回収し、プールし、凍結乾燥させて、標記ペプチドプールを得た。
g)シクロ[Gly−D−X−Pro−D−X−X](7)
(1)におけると同様に、保護された線状ペプチドGly−D−X−Pro−D−
X−Xを調製し、樹脂から切断して、120mgを得た。(1)におけると同様に
、該ペプチドを環化し、側鎖を脱保護した。環状ペプチドを1.6×60cmのセ
ファデックス(SephadexTM)G−15カラムに通し、10%HOAcで溶離した
。全てのUV−ポジティブ(A254)物質を回収し、プールし、凍結乾燥させて
、標記ペプチドプールを得た。
h)シクロ[D−His−D−X−Pro−D−X−X](8)
(1)におけると同様に、保護された線状ペプチドD−His(Trt)−D−X−
Pro−D−X−Xを調製し、樹脂から切断して、113mgを得た。(1)におけ
ると同様に、該ペプチドを環化し、側鎖を脱保護した。環状ペプチドを1.6×
60cmのセファデックス(SephadexTM)G−15カラムに通し、10%HOAc
で溶離した。全てのUV−ポジティブ(A254)物質を回収し、プールし、凍結
乾燥させて、標記ペプチドプールを得た。
i)シクロ[D−Ile−D−X−Pro−D−X−X](9)
(1)におけると同様に、保護された線状ペプチドD−Ile−D−X−Pro−D
−X−Xを調製し、樹脂から切断して、144mgを得た。(1)におけると同
様に、該ペプチドを環化し、側鎖を脱保護した。環状ペプチドを1.6×60cm
のセファデックス(SephadexTM)G−15カラムに通し、10%HOAcで溶離
した。全てのUV−ポジティブ(A254)物質を回収し、プールし、凍結乾燥さ
せて、標記ペプチドプールを得た。
j)シクロ[D−Leu−D−X−Pro−D−X−X](10)
(1)におけると同様に、保護された線状ペプチドD−Leu−D−X−Pro−D
−X−Xを調製し、樹脂から切断して、289mgを得た。(1)におけると同
様に、該ペプチドを環化し、側鎖を脱保護した。環状ペプチドを1.6×60cm
のセファデックス(SephadexTM)G−15カラムに通し、10%HOAcで溶離
した。全てのUV−ポジティブ(A254)物質を回収し、プールし、凍結乾燥さ
せて、標記ペプチドプールを得た。
k)シクロ[D−Lys−D−X−Pro−D−X−X](11)
(1)におけると同様に、保護された線状ペプチドD−Lys(Boc)−D−X−
Pro−D−X−Xを調製し、樹脂から切断して、213mgを得た。(1)におけ
ると同様に、該ペプチドを環化し、側鎖を脱保護した。環状ペプチドを1.6×
60cmのセファデックス(SephadexTM)G−15カラムに通し、10%HOAc
で溶離した。全てのUV−ポジティブ(A254)物質を回収し、プールし、凍結
乾燥させて、標記ペプチドプールを得た。
1)シクロ[D−Met−D−X−Pro−D−X−X](12)
(1)におけると同様に、保護された線状ペプチドD−Met−D−X−Pro−D
−X−Xを調製し、樹脂から切断して、246mgを得た。(1)におけると同
様に、該ペプチドを環化し、側鎖を脱保護した。環状ペプチドを1.6×60cm
のセファデックス(SephadexTM)G−15カラムに通し、10%HOAcで溶離
した。全てのUV−ポジティブ(A254)物質を回収し、プールし、凍結乾燥さ
せて、標記ペプチドプールを得た。
D−Alaを適切なアミノに代えた以外は、1(a)の方法を使用して、以下のラ
イブラリーを調製した。
m)シクロ[D−Phe−D−X−Pro−D−X−X](13)
o)シクロ[D−Ser−D−X−Pro−D−X−X](14)
p)シクロ[D−Thr−D−X−Pro−D−X−X](15)
q)シクロ[D−Tyr−D−X−Pro−D−X−X](16)
r)シクロ[D−Val−D−X−Pro−D−X−X](17)
s)シクロ[D−Trp−D−X−Pro−D−X−X](18)
ライブラリー2〜5
各々の位置について同一のアミノ酸セットを用い、適切な位置で適切な定義さ
れたアミノ酸を代わりに用いる以外は、1(a)〜1(s)の方法を使用して、以下
のライブラリーを調製した。
シクロ[D−X−D−O−Pro−D−X−X](20)
シクロ[D−X−D−X−Pro−D−O−X](21)
シクロ[D−X−D−X−Pro−D−X−O](22)
ライブラリー6〜8
ライブラリー1〜18を使用してエンドセリン(endothelin)結合アッセイを
行い、エンドセリン結合の最大阻害を有するライブラリーを同定する。5位にお
いて適切な定義されたアミノ酸を代わりに用いる以外は、実施例1(a)〜1(s)
の方法に従って、式シクロ[D−A4−D−O5−Pro1−D−X2−X3][ここで
、1位および4位は、不変のアミノ酸残基である]のライブラリー6を構築する
ための基礎として、エンドセリン結合の最大阻害を有するライブラリーに対応す
る4位の既知のアミノ酸(A4)を使用する。
ライブラリー6を使用してエンドセリン結合アッセイを行い、エンドセリン結
合の最大阻害を有するライブラリーを同定する。2位において適切な定義された
アミノ酸を代わりに用いる以外は、実施例1(a)〜1(s)の方法に従って、シク
ロ[D−A4−D−A5−Pro1−D−O2−X3][ここで、1位、4位および5位
は、不変のアミノ酸残基である]のライブラリー7を構築するための基礎として
、エンドセリン結合の最大阻害を有するライブラリーに対応する5位の既知のア
ミノ酸(A5)を使用する。
ライブラリー7を使用してエンドセリン結合アッセイを行い、エンドセリン結
合の最大阻害を有するライブラリーを同定する。3位において適切な定義された
アミノ酸を代わりに用いる以外は、実施例1(a)〜1(s)の方法に従って、シク
ロ[D−A4−D−A5−Pro1−D−A2−O3][ここで、1位、2位、4位およ
び5位は、不変のアミノ酸残基である]のライブラリー8を構築するための基礎
として、エンドセリン結合の最大阻害を有するライブラリーに対応する2位の既
知のアミノ酸(A2)を使用する。
ライブラリー8を使用してエンドセリン結合アッセイを行い、エンドセリン結
合の最大阻害を有するライブラリーを同定する。エンドセリン結合の最大阻害を
有するライブラリーに対応する3位の既知のアミノ酸(A3)を同定し、これに
より、前記アミノ酸セットを使用するエンドセリン結合の阻害薬について、最適
化ペンタペプチド配列シクロ[D−A4−D−A5−Pro1−D−A2−A3]が完成
される。
ライブラリー2〜5を用いて開始することによるなど、異なる順序、または可
変性の順序でアミノ酸残基を最適化すること以外は、同様のアプローチを使用し
て、最適な結合配列が確認されるか、または、他の最適化ペプチド結合配列がエ
ンドセリン結合の阻害について同定される。さらなる最適化配列は、種々の位置
について使用されるアミノ酸セットを変えることによって得られる。
エンドセリン(ET)結合の阻害についての結合アッセイ
A)膜調製
ラットの小脳または腎皮質を迅速に解剖し、液体窒素中ですぐに冷凍するか、
または、生で使用した。電動式ホモジナイザーを使用して、4℃で、20mMト
リスHClおよび5mM EDTAを含有する緩衝液(pH7.5)15mLに、小脳
については1〜2g、腎皮質については3〜5gの組織をホモジナイズした。ホモ
ジネートをチーズクロスを介して濾過し、4℃で10分間、20,000×gで
遠心分離した。上清を取り出し、4℃で30分間、40,000×gで遠心分離
した。得られたペレットを、50mMトリス、10mM MgCl2を含有する少量の
緩衝液(pH7.5)に再懸濁し、小さなバイアルにアリコットを取り、液体窒素
中で冷凍した。膜を希釈して、結合アッセイにおいて小脳および腎皮質のために
各管についてタンパク1mgおよび5mgを得た。
新しく単離したラットの腸間膜動脈および側副枝血管床を氷冷生理食塩水(氷
上)中で洗浄し、主要な血管に沿ってリンパ節を取り出した。次いで、側副枝血
管床〜6mgについて、4℃、20mMトリスおよび5mM EDTAを含有する緩
衝液(pH7.5)中のポリトロンを体積15mLで使用して、該組織をホモジナ
イズした。ホモジネートをチーズクロスを介して濾過し、4℃で10分間、2,
000×gで遠心分離に付した。上清を取り出し、4℃で30分間、40,00
0×gで遠心分離に付した。小脳および腎皮質について前記したと同様に、得ら
れたペレットを再懸濁させた。結合実験において、各管について膜タンパク約1
0mgを使用した。
B)[125I]ET−1結合プロトコール
合計体積100mLの50mMトリスHCl、10mM MgCl2、0.05%BS
A、pH7.5緩衝液中、30℃で60分間インキュベートした後、ラットの小脳
からの膜(タンパク2〜5mg/アッセイ管)または腎皮質からの膜(タンパク3
〜8mg/アッセイ管)に結合する[125I]ET−1を測定した。緩衝液または所
定濃度の化合物を含有する管に膜タンパクを添加した。BSAを含有する同一の
緩衝液中で[125I]ET−1(2200Ci/mmol)を希釈して、最終濃度0.2
〜0.5nMのET−1を得た。100nM非標識ET−1の不在および存在下、
全非特異的結合を測定した。インキュベーション後、50mMトリスおよび10m
M MgCl2を含有する冷緩衝液(pH7.5)3.0mLを用いて停止させた。ワッ
トマンGF/C濾紙を介して濾過し、該フィルターを、ブランドル(Brandel)
セルハーベスターを使用して冷緩衝液3mLを用いて5回洗浄することによって
、膜結合放射能を遊離リガントから分離した。75%の効率を有するガンマーカ
ウンター中で濾紙をカウントした。
本発明は、前記具体例の範囲に限定されるものではなく、前記方法の種々の変
形は、当業者に明らかであろう。かかる変形は、以下の請求の範囲によりのみ限
定される本発明に含まれるものである。本明細書において引用される種々の文献
の記載は、従来技術を開示するものであり、出典明示により明細書の一部とする
。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(72)発明者 ムーア,マイケル・リー
アメリカ合衆国ペンシルベニア州19063、
メディア、サウス・ジャクソン・ストリー
ト417番