JPH09500616A - 同種及び異種間移植 - Google Patents

同種及び異種間移植

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JPH09500616A JP6525794A JP52579494A JPH09500616A JP H09500616 A JPH09500616 A JP H09500616A JP 6525794 A JP6525794 A JP 6525794A JP 52579494 A JP52579494 A JP 52579494A JP H09500616 A JPH09500616 A JP H09500616A
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エイチ. サクス,デイビッド
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ザ ジェネラル ホスピタル コーポレイション
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Abstract

(57)【要約】 寛容を誘導する方法であって、レシピエントに、補助減縮治療の短期コースを施与するか又は免疫抑制剤の短期コースを施与することにより移植片の受容を延長する短期コース及び方法を施与することを含む上記の方法。

Description

【発明の詳細な説明】 同種及び異種間移植発明の背景 この発明は、組織及び器官の移植に関するものである。発明の要約 この発明は、外来抗原例えば同種又は異種の組織若しくは器官の移植片上の抗 原に対する寛容を誘導する幾つかの方法を提供する。これらの方法は、個別に用 いても互いに組合せて用いてもよい。例えば、補助減縮剤の短期投与例えばシク ロスポリンA(CsA)の短期高投与量のコースが移植片の受容を有意に延長し 得ることが見出されている。この発明の短期の補助減縮方法は、移植片受容を延 長させるための他の1つ以上の方法と組合せることが出来る。例えば、不一致( unmatched )のドナーのクラスI及び他のマイナーな不一致のドナー抗原に対す る寛容を誘導するための高投与量のシクロスポリン治療の短期コースをレトロウ イルスでトランスフォームした骨髄細胞の移植と組合せて不一致のドナーのクラ スIIに対する寛容を誘導することが出来る。不一致のドナーのクラスI及び他の マイナー抗原に対する寛容を誘導するために投与する高投与量シクロスポリンの 短期コースを、ドナーの骨髄細胞の移植と組合せて、不一致のド ナーのクラスIIに対する寛容を誘導することも出来る。 従って、この発明は、一面において、レシピエント哺乳動物例えば霊長類例え ばヒトにおいて、ドナー霊長類からの同種移植片に対する寛容を誘導する方法で あって、移植片をレシピエント中に移植して、補助減縮治療の短期コース例えば 高投与量シクロスポリンの短期コースをレシピエントに施与することを含む上記 の方法を特徴とする。この補助減縮治療の短期コースを、一般に、移植片をレシ ピエント中に導入した頃に施与する。 好ましくは、レシピエントは、移植片の拒絶に影響する第1の遺伝子座、例え ばMHCクラスI若しくはII遺伝子座又はマイナー抗原遺伝子座においてミスマ ッチであり、且つ移植片の拒絶に影響する第2の遺伝子座、例えばMHCクラス I若しくはII遺伝子座又はマイナー抗原遺伝子座においてマッチする(又は、ミ スマッチ寛容である)。第2の遺伝子座におけるマッチングは、適当な遺伝子型 のレシピエント又はドナーの選択により達成することが出来る。レシピエントを 、任意の寛容誘導方法例えばドナーの骨髄組織をレシピエントに投与してドナー の骨髄において発現されたドナー抗原に対する寛容を誘導すること、レシピエン トの幹細胞からドナーのMHC抗原を発現させてドナー抗原に対する寛容を誘導 すること、又は移植片の免疫学的特性を例えば移植片の細胞表面分子をマスクし 、開裂させ若しくは改変すること により変えることによって第2の遺伝子座でミスマッチの寛容にすることが出来 る。好適具体例において、第2の遺伝子座をマッチさせ又は該遺伝子座に対する 寛容を誘導するために利用出来る任意の方法を用いて、移植片の拒絶に影響する 第3の遺伝子座例えばMHCクラスI若しくはII遺伝子座又はマイナー抗原遺伝 子座をマッチさせ又は該遺伝子座に対する寛容を誘導することが出来る。 好適具体例において、レシピエント及びドナーは、クラスII遺伝子座において マッチし且つ補助減縮治療の短期コースは、移植片における不一致のクラスI及 び/又はマイナー抗原に対する寛容を誘導する。好適具体例において、クラスII 抗原に対する寛容は、補助減縮治療の短期コース以外の方法により誘導され、補 助減縮治療の短期コースは、移植片における不一致のクラスI及びマイナー抗原 に対する寛容を誘導する。 好適具体例において、補助減縮治療の短期コースの持続は、レシピエント種の 成熟T細胞について最初に抗原により刺激された後でその抗原の拒絶を開始する のに必要とされる期間とほぼ等しいかそれより短く、一層好適な具体例において は、この持続は、レシピエントの成熟T細胞について最初に抗原により刺激され た後でその抗原の拒絶を開始するのに必要とされる期間の2、3、4、5若しく は10倍にほぼ等しいか又はそれより短い。 他の好適具体例において、補助減縮治療の短期コースを、レシピエントにおけ る成熟T細胞によるサイトカインの放出を刺激する治療の不在において、例えば 、補助減縮治療の所望の効果を打ち消すのに十分な濃度のステロイド剤の不在、 例えば、レシピエントにおける成熟T細胞によるサイトカインの放出を刺激する 濃度のプレドニゾン(17,21−ジヒドロキシプレグナ−1,4−ジエン−3 ,11、20−トリオン)の不在において投与する。好適具体例において、補助 減縮治療の短期コースを、ステロイド剤の不在、例えばプレドニゾンの不在にお いて施与する。 好適具体例において、補助減縮治療を、移植片を導入する前又は導入した頃に 開始し、短期コースは手術中又は手術後であり、或はドナー及びレシピエントは クラスIマッチする。 補助減縮剤の短期投与、例えばシクロスポリンA(CsA)の短期高投与量コ ースによる寛容の誘導方法を、寛容を誘導するための他の方法、例えば抗原に対 する寛容を誘導するための形質導入された骨髄細胞の移植方法、例えば米国特許 出願第008/126,122号(1993年9月23日出願)と組合せること が出来る。 従って、他の面において、この発明は、第1の種のレシピエント哺乳動物、例 えば霊長類、例えばヒトにおける、第2の種の哺乳動物、例えばブタ、例えばミ ニブタ からの移植片に対する寛容を誘導する方法を特徴とし、好ましくは、この移植片 は主要組織適合複合体(MHC)抗原を発現する。この方法は、第2の種のMH C抗原をコードするDNAを、レシピエント哺乳動物の造血幹細胞例えば骨髄造 血幹細胞中に挿入し、MHC抗原をコードするDNAをレシピエントにおいて発 現させ、好ましくは移植片をそのレシピエントに移植し、そして好ましくはその レシピエントに補助減縮治療の短期コース例えば高投与量シクロスポリン治療の 短期コースを施与することを含む。補助減縮治療の短期コースを、一般に、移植 片をレシピエントに導入した頃に施与する。 好適具体例において、補助減縮治療の短期コースはMHC抗原の発現に続いて レシピエントに導入された移植片の不一致のクラスI及び/又はマイナー抗原に 対する寛容を誘導する。 好適具体例において、補助減縮治療の短期コースの持続は、レシピエント種の 成熟T細胞について最初に抗原により刺激された後でその抗原の拒絶を開始する のに要する期間とほぼ等しいか又はそれより短く、一層好適な具体例においては 、この持続は、レシピエント種の成熟T細胞について最初に抗原により刺激され た後にその抗原の拒絶を開始するのに要する期間の2、3、4、5若しくは10 倍とほぼ等しいか又はそれより短い。 他の好適具体例において、補助減縮治療の短期コースを、レシピエントにおけ る成熟T細胞によるサイトカイ ンの放出を刺激する治療の不在において、例えば、補助減縮治療の所望の効果を 打ち消すのに十分な濃度のステロイド剤の不在、例えばレシピエントにおける成 熟T細胞によるサイトカインの放出を刺激する濃度のプレドニゾン(17,21 −ジヒドロキシプレグナ−1,4−ジエン−3,11,20−トリオン)の不在 において投与する。好適具体例において、補助減縮治療の短期コースを、ステロ イド剤の不在、例えばプレドニゾンの不在において施与する。 好適具体例において、補助減縮治療を、移植片を導入する前若しくは導入する 頃に開始し、短期コースは、手術中又は手術後である。 好適具体例は、DNA挿入前にレシピエント哺乳動物から細胞を取り出し、D NA挿入後にレシピエント哺乳動物に戻すもの、DNAを移植片を得た哺乳動物 個体から得るもの、DNAを移植片を得た哺乳動物個体と同系である哺乳動物個 体から得るもの、DNAを移植片を得た哺乳動物個体とMHCマッチした好まし くは同一の哺乳動物個体から得るもの、DNAがMHCクラスI遺伝子を含むも の、DNAがMHCクラスII遺伝子を含むもの、DNAを例えばレトロウイルス 例えばMoloney に基づくレトロウイルスにより形質導入により細胞に挿入するも の及びDNAをレシピエントに導入した後に少なくとも14日、好ましくは30 日、一層好ましくは60日、最も好ましくは120日にわたってレシピエントの 骨髄細胞及び/又は末梢血液細胞においてそのDNAが発現されるものを含む。 他の好適具体例は、造血幹細胞の移植前に、例えばレシピエント哺乳動物を低 線量例えば約100〜400ラドで照射すること(レシピエントの骨髄を涸渇又 は部分的に涸渇させるための全身照射)により造血空間を創るステップ、造血幹 細胞移植前に、レシピエント哺乳動物を1回以上約700ラドの胸腺照射で照射 するか又はここに記載したように免疫抑制剤の短期コースをレシピエントに施与 することによる胸腺T細胞の不活性化を含む。 他の好適具体例は、移植片の移植前に、例えば第2の種の哺乳動物から得た器 官、例えば肝臓及び腎臓を血液灌流させることにより、レシピエント哺乳動物の 血液から天然の抗体を涸渇させるステップを含む(器官の血液灌流中に、血液中 の抗体は期間の細胞表面の抗原に結合し、それ故、血液から除去される)。 他の好適具体例において、この方法は、更に、造血幹細胞移植前に、レシピエ ント中に該レシピエント哺乳動物の成熟T細胞に結合し得る抗体を導入すること を含む。 他の好適具体例は、更に、ドナーから得た移植片例えば肝臓又は腎臓をレシピ エント中に導入するステップを含む。 他の面において、この発明は、レシピエント哺乳動 物、好ましくは霊長類例えばヒトにおいて、同種のドナーから得られた移植片に 対する寛容を誘導する方法を特徴とし、その移植片は好ましくはMHC抗原を発 現する。この方法は、ドナーのMHC抗原をコードするDNAをレシピエントの 造血幹細胞、例えば骨髄造血幹細胞中に挿入し、このMHCをコードするDNA をレシピエント中で発現させ、好ましくはこの移植片をレシピエントに移植し、 そして好ましくはレシピエントに補助減縮治療の短期コース例えば高投与量シク ロスポリンの短期コースを施与することを含む。この補助減縮治療の短期コース を、一般に、移植片をレシピエント中に導入した頃に施与する。 好適具体例において、この補助減縮治療の短期コースは、MHC抗原の発現に 続いてレシピエント中に導入された移植片の不一致のクラスI及び/又はマイナ ー抗原に対する寛容を誘導する。 好適具体例において、補助減縮治療の短期コースの持続は、レシピエント種の 成熟T細胞について最初に抗原により刺激された後にその抗原の拒絶を開始する のに要する期間とほぼ同じかそれより短く、一層好適な具体例においては、この 持続は、レシピエント種の成熟T細胞について最初に抗原により刺激された後に その抗原の拒絶を開始するのに要する期間の2、3、4、5若しくは10倍にほ ぼ等しいか又はそれより短い。 他の好適具体例において、補助減縮治療の短期コース を、レシピエントにおける成熟T細胞によるサイトカインの放出を刺激する治療 の不在において、例えば補助減縮治療の所望の効果を打ち消すのに十分な濃度の ステロイド剤の不在、例えばレシピエントにおける成熟T細胞によるサイトカイ ンの放出を刺激する濃度のプレドニゾン(17,21−ジヒドロキシプレグナ− 1,4−ジエン−3,11,20−トリオン)の不在において投与する。好適具 体例において、補助減縮治療の短期コースを、ステロイド剤の不在、例えばプレ ドニゾンの不在において施与する。 好適具体例において、補助減縮治療を、移植片を導入する前又は導入した頃に 開始し、短期コースは手術中であるか又は手術後であり、或はドナー及びレシピ エントはクラスIマッチする。 好適具体例は、DNA挿入前に細胞をレシピエントから取り出してDNA挿入 後にレシピエントに戻すもの、DNAがMHCクラスI遺伝子を含むもの、DN AがMHCクラスII遺伝子を含むもの、DNAを例えばレトロウイルス例えばMo loney に基づくレトロウイルスにより形質導入により細胞中に挿入するもの及び DNAをレシピエント中に導入してから少なくとも14日、好ましくは30日、 一層好ましくは60日、最も好ましくは120日後に、DNAがレシピエントの 骨髄細胞及び/又は末梢血液細胞において発現されるものを含む。 他の好適具体例において、この方法は、更に、造血幹 細胞の移植前に、レシピエント中に該レシピエント哺乳動物の成熟T細胞に結合 し得る抗体を導入することを含む。 好適具体例において、移植片は、肝臓又は腎臓である。 他の好適具体例は、造血幹細胞の移植前に、例えばレシピエント哺乳動物を低 線量例えば約100〜400ラドで照射すること(レシピエントの骨髄を涸渇さ せ又は部分的に涸渇させるための全身照射)により造血空間を創るステップ、造 血幹細胞の移植前に1回以上レシピエント哺乳動物を例えば約700ラドの胸腺 照射で照射し又は上記のように免疫抑制剤の短期コースをレシピエントに施与す ることによる胸腺T細胞の不活性化を含む。 他の好適具体例は、移植片の移植前に、例えば第2の種の哺乳動物から得た器 官、例えば肝臓又は腎臓を血液灌流することにより、レシピエント哺乳動物の血 液から天然の抗体を涸渇させることを含む(器官の血液灌流において、血液中の 抗体は、器官の細胞表面の抗原と結合し、それ故、血液から除去される)。 補助減縮剤の短期間投与、例えばシクロスポリンA(CsA)の短期の高投与 量コースで寛容を誘導する方法を、他の寛容を誘導するための方法、例えば抗原 に対する寛容を誘導するためのドナー幹細胞の移植を用いる寛容を誘導する方法 、例えば1992年2月19日に出 願された米国特許出願第07/838,595号に記載された方法と組合せるこ とが出来る。 従って、他の面において、この発明は、第1の種のレシピエント哺乳動物、例 えば霊長類例えばヒトにおいて第2の哺乳動物好ましくは不調和の種例えばブタ 例えばミニブタ又は不調和の霊長類種から得た移植片に対する寛容を誘導する方 法を特徴とする。この方法は、好ましくは移植片の移植前又は移植と同時に、例 えば静脈注射によりレシピエント哺乳動物に、第2の種の造血幹細胞例えば骨髄 細胞又は胎児の肝若しくは脾臓細胞を導入すること(好ましくは、これらの造血 幹細胞は、レシピエント哺乳動物中の部位に向かう)、(適宜に)例えば造血幹 細胞をレシピエント哺乳動物中に導入する前に該レシピエント哺乳動物のナチュ ラルキラー細胞に結合し得る抗体をそのレシピエント哺乳動物中に導入すること によりレシピエント哺乳動物のナチュラルキラー細胞を不活性化すること、好ま しくは移植片をそのレシピエント中に移植すること及び好ましくはレシピエント に補助減縮治療の短期コース例えば高投与量シクロスポリンの短期コースを施与 することを含む。補助減縮治療の短期コースを、一般に、移植片をレシピエント 中に導入した時点で施与する。 好適具体例において、補助減縮治療の短期コースは、レシピエント中に導入さ れた移植片の不一致のクラスI及び/又はマイナー抗原に対する寛容を誘導する 。 好適具体例において、補助減縮治療の短期コースの持続は、レシピエント種の 成熟T細胞について最初に抗原により刺激された後にその抗原の拒絶を開始する のに要する期間とほぼ同じか又はそれより短く、一層好適な具体例においては、 この持続は、レシピエント種の成熟T細胞について最初に抗原により刺激された 後にその抗原の拒絶を開始するのに要する期間の2、3、4、5若しくは10倍 とほぼ同じか又はそれより短い。 他の好適具体例において、補助減縮治療の短期コースを、レシピエントの成熟 T細胞によるサイトカインの放出を刺激する治療の不在において、例えば補助減 縮治療の所望の効果を打ち消すのに十分な濃度のステロイド剤の不在、例えばレ シピエントの成熟T細胞によるサイトカインの放出を刺激する濃度のプレドニゾ ン(17,21−ジヒドロキシプレグナ−1,4−ジエン−3,11,20−ト リオン)の不在において投与する。好適具体例において、補助減縮治療の短期コ ースを、ステロイド剤の不在、例えばプレドニゾンの不在において施与する。 好適具体例において、補助減縮治療を、移植片を導入する前又は導入する頃に 開始し、又は短期コースは手術中であり、短期コースは手術後である。 下記において一層詳細に説明するように、これらの造血細胞は、レシピエント に、B細胞及びT細胞レベルの両方における寛容を誘導することによって、後に 続く移 植片に対する準備をさせる。好ましくは、造血細胞は、胎児の肝若しくは脾臓細 胞、又は未成熟細胞を含む骨髄細胞(即ち、未分化造血幹細胞、これらの所望の 細胞を投与前に骨髄から分離することが出来る)であり、又はかかる細胞を含む 複合骨髄試料を用いることが出来る。 抗NK抗体の1つの源は、抗ヒト胸腺細胞ポリクローナル抗血清である。下記 で論ずるように、好ましくは、T細胞並びにNK細胞を溶解させる第2の抗成熟 T細胞抗体をも投与することが出来る。T細胞を溶解させることは、骨髄及び異 種移植片生存の両者にとって有利である。抗T細胞抗体は、抗NK抗体と共に抗 胸腺細胞抗血清中に存在する。抗NK又は抗T細胞抗体の反復投与が好ましい。 モノクローナル調製物をこの発明の方法で用いることが出来る。 他の好適具体例は、レシピエント哺乳動物へドナー種特異的間質組織、好まし くは造血間質組織例えば胎児の肝又は胸腺を導入するステップを含む。好適具体 例において、間質組織を、造血幹細胞と同時に又はそれより前に導入し、造血幹 細胞を、抗体と同時に又はそれより前に導入する。 他の好適具体例は、第2の種と同じ哺乳動物が移植片及び造血細胞の一方又は 両方のドナーであるもの、及び抗体が例えばウマ又はブタから得られた抗ヒト胸 腺細胞ポリクローナル抗血清であるものを含む。 他の好適具体例は、造血幹細胞の移植前に、例えばレシピエント哺乳動物を低 線量例えば約100〜400ラドで照射すること(レシピエントの骨髄を涸渇さ せ又は部分的に涸渇させるための全身照射)により造血空間を創るステップ、造 血幹細胞移植前に、レシピエント哺乳動物を1回以上約700ラドの胸腺照射で 照射するか又はここに記載したように免疫抑制剤の短期コースをレシピエントに 施与することによる胸腺T細胞の不活性化を含む。 他の好適具体例は、造血幹細胞の移植前に、例えば第2の種の哺乳動物から得 た器官、例えば肝臓又は腎臓を血液灌流することにより、レシピエント哺乳動物 の血液から天然の抗体を涸渇させるステップを含む(器官の血液灌流において、 血液中の抗体は、器官の細胞表面の抗原と結合し、それ故、血液から除去される )。 他の好適具体例において、この方法は、更に、造血幹細胞移植前に、レシピエ ント中に該レシピエント哺乳動物の成熟T細胞に結合し得る抗体を導入すること を含む。 好適具体例において、この方法は、レシピエント中にドナーから得た移植片( それは、造血幹細胞とは異なる器官、例えば肝臓又は腎臓から得られる)を導入 するステップを含む。 他の面において、この発明は、レシピエント哺乳動物、好ましくは霊長類、好 ましくはヒトにおいて、例え ば同種のドナーから得た移植片に対する寛容を誘導する方法を特徴とする。この 方法は、好ましくは移植片の移植前又は移植と同時に、例えば静脈注射によりレ シピエント中に、哺乳動物好ましくはドナーの造血幹細胞例えば骨髄細胞又は胎 児の肝若しくは脾臓細胞を導入すること(好ましくは、造血幹細胞は、レシピエ ント中の部位に向かう)、(適宜に)レシピエントのT細胞を、例えばレシピエ ントに造血幹細胞を導入する前に、そのレシピエントのT細胞に結合し得る抗体 をそのレシピエントに導入することにより不活性化すること、好ましくは、移植 片をそのレシピエントに移植すること及び、好ましくは補助減縮治療の短期コー ス、例えば高投与量シクロスポリンの短期コースをレシピエントに施与すること を含む。補助減縮治療の短期コースを、一般に、移植片をレシピエントに導入す る時点で施与する。 好適具体例において、補助減縮治療の短期コースは、レシピエントに導入され た移植片の不一致のクラスI及びマイナー抗原に対する寛容を誘導する。 好適具体例において、補助減縮治療の短期コースの持続は、レシピエント種の 成熟T細胞について最初に抗原により刺激された後にその抗原の拒絶を開始する のに要する期間とほぼ同じか又はそれより短く、一層好適な具体例においては、 その持続は、レシピエント種の成熟T細胞について最初に抗原により刺激された 後にその抗原の拒絶を開始するのに要する期間の2、3、4、5若し くは10倍とほぼ同じか又はそれより短い。 他の好適具体例において、補助減縮治療の短期コースを、レシピエントの成熟 T細胞によるサイトカインの放出を刺激する治療の不在において、例えば補助減 縮治療の所望の効果を打ち消すのに十分な濃度のステロイド剤の不在、例えばレ シピエントの成熟T細胞によるサイトカインの放出を刺激する濃度のプレドニゾ ン(17,21−ジヒドロキシプレグナ−1,4−ジエン−3,11,20−ト リオン)の不在において投与する。好適具体例において、補助減縮治療の短期コ ースを、ステロイド剤の不在、例えばプレドニゾンの不在において施与する。 好適具体例において、補助減縮治療を、移植片を導入する前又は導入する頃に 開始し、短期コースは手術中であり、短期コースは手術後であり、ドナー及びレ シピエントはクラスIマッチする。 好適具体例において、造血幹細胞を抗体の投与と同時に又は投与前に導入し、 この抗体は抗ヒト胸腺細胞ポリクローナル抗血清であり、そしてこの抗血清はウ マ又はブタから得られる。 他の好適具体例は、造血幹細胞移植前に、レシピエントのNK細胞を、例えば レシピエント中にレシピエント哺乳動物のNK細胞に結合し得る抗体を導入する ことにより不活性化又は涸渇させる更なるステップを含み及び同じ個体が移植片 及び骨髄の両者のドナーであるものを 含む。 他の好適具体例は、造血幹細胞移植前に、例えばレシピエント哺乳動物を低線 量例えば約100〜400ラドで照射すること(レシピエントの骨髄を涸渇させ 又は部分的に涸渇させるための全身照射)により造血空間を創るステップ、造血 幹細胞移植前に1回以上レシピエント哺乳動物を例えば約700ラドの胸腺照射 で照射し又はここに記載のようにレシピエントに免疫抑制剤の短期コースを施与 することにより胸腺T細胞を不活性化することを含む。 他の好適具体例は、骨髄移植前に、ドナーから得た器官例えば肝臓又は腎臓を 血液灌流することにより、レシピエントの血液から天然の抗体を吸収する更なる ステップを含む。 好適具体例は、レシピエント哺乳動物にドナー種特異的間質組織好ましくは造 血間質組織例えば胎児の肝又は胸腺を導入するステップを含む。 好適具体例において、この方法は、レシピエント中に造血幹細胞と異なる期間 例えば肝臓又は腎臓から得た移植片を導入するステップを含む。 補助減縮剤の短期投与例えばシクロスポリンA(CsA)の短期高投与量コー スによる寛容を誘導する方法は、更に他の寛容を誘導する方法、例えば異種胸腺 移植片の移植を利用して寛容を誘導する方法例えば1993年12月7日出願の 米国特許出願第08/163,91 2号に記載された方法、寛容促進若しくはGVHD阻止性サイトカインの活性レ ベルを増大させ又は寛容阻止若しくはGVHD促進性サイトカインの活性レベル を減少させる方法例えば1993年8月30日出願の米国特許出願第08/11 4,072号に記載された方法、臍帯血液細胞を用いて寛容を誘導する方法例え ば1993年11月10日出願の米国特許出願第08/150,739号に記載 された方法、及び1994年2月14日出願のSykes 及びSachs のPCT/US 94/01616号に開示された寛容を誘導するための方法と組合せることが出 来る。 免疫抑制剤例えばシクロスポリンの短期コースを用いてそうしなければ同種移 植片又は異種移植片の拒絶を促進するT細胞活性を減少させ又は阻害することが 出来るということも発見された。 従って、他の面において、この発明は、レシピエント哺乳動物例えば霊長類例 えばヒトにおいて、T細胞活性好ましくは胸腺若しくはリンパ節T細胞の活性を 減じ又は阻害する方法を特徴とする。この方法は、移植片に対する寛容を誘導し 、レシピエントにT細胞好ましくは胸腺若しくはリンパ節T細胞を不活性化する のに十分な免疫抑制剤例えばシクロスポリンの短期コースを施与し、そして好ま しくはこの移植片をこのレシピエントに移植することを含む。 移植片に対する寛容を、如何なる方法例えばここで論 じた方法の何れによって誘導してもよい。例えば、寛容を、ドナー同種若しくは 異種の造血幹細胞の投与、補助減縮剤の短期コースの施与、又は移植片の免疫学 的特性を、その細胞表面分子マスクし、開裂させ若しくは改変することにより変 えることによって誘導することが出来る。 好適具体例において、免疫抑制剤の短期コースの持続は、30日にほぼ等しい か、8〜12日にほぼ等しいか又はそれより短い(好ましくは、約10日)か、 8〜12日又は10日間の2、3、4、5若しくは10倍にほぼ等しいか又はそ れより短い。 好適具体例において、短期コースを、寛容を誘導するための治療を開始する前 又は開始する頃に、例えば異種、同種、遺伝子操作した同系の又は遺伝子操作し た自己の幹細胞をレシピエントに導入する頃に開始する。短期コースを、寛容を 誘導するための治療を開始する日に、例えば異種、同種、遺伝子操作した同系の 又は遺伝子操作した自己の幹細胞をレシピエントに導入する日に開始する。短期 コースを、寛容を誘導するための治療を開始する前又は開始後1、2、4、6、 8又は10日以内に、例えば異種、同種、遺伝子操作した同系の又は遺伝子操作 した自己の幹細胞をレシピエントに導入する前又は導入後1、2、4、6、8又 は10日以内に開始する。 他の好適具体例において、免疫抑制剤の短期コースを 抗T細胞抗体と共に施与し、免疫抑制剤の短期コースは、T細胞の抗体に基づく 不活性化例えばATG抗体若しくは類似の調製物の静脈投与による不活性化によ っては不活性化されないT細胞例えば胸腺若しくはリンパ節T細胞を不活性化す るのに十分である。 好適具体例において、レシピエント哺乳動物は、マウス又はラット以外である 。 この発明のT細胞好ましくは胸腺若しくはリンパ節T細胞を不活性化する方法 は、T細胞の不活性化が望ましい寛容を誘導する方法と組合せることが出来る。 この発明の抗T細胞法を、かかる寛容を誘導する方法において要求され若しくは 有用であるT細胞の不活性化のための方法の代りに又はそれに加えて用いること が出来る。例えば、この発明の抗胸腺又はリンパ節T細胞法を、形質導入された 骨髄細胞の移植のための方法例えば1993年9月23日出願の米国特許出願第 008/126,122号に開示された方法と共に用いて抗原に対する寛容を誘 導することが出来る。 従って、他の面において、この発明は、第1の種のレシピエント哺乳動物にお ける第2の種のドナー哺乳動物からの移植片の受容を促進する方法を特徴とし、 好ましくはこの移植片は主要組織適合複合体(MHC)抗原を発現する。この方 法は、第2の種のMHC抗原をコードするDNAをレシピエント哺乳動物の造血 幹細胞例えば骨髄造血幹細胞中に挿入すること、MHC抗原をコード するDNAをレシピエント中で発現させること、及び好ましくは、レシピエント に免疫抑制剤の短期コース例えばレシピエントのT細胞好ましくは胸腺若しくは リンパ節T細胞を不活性化するのに十分なシクロスポリン治療の短期コースを施 与する(そうでなければ、胸腺若しくはリンパ節T細胞は移植片又は操作した( engineered)細胞の生存を阻害する)ことを含む。 好適具体例において、免疫抑制剤の短期コースの持続は、30日にほぼ等しい か、8〜12日にほぼ等しいか又はそれより短いか(好ましくは、約10日)、 8〜12日又は10日間の2、3、4、5若しくは10倍にほぼ等しいか又はそ れより短い。 好適具体例において、レシピエント哺乳動物は、霊長類、例えばヒトであり、 ドナー哺乳動物はブタ、例えばミニブタである。 好適具体例において、短期コースを、遺伝子操作した幹細胞をレシピエントに 導入する前又は導入する頃に開始し、短期コースを、遺伝子操作した幹細胞をレ シピエントに導入する前又は導入後1、2、4、6、8又は10日以内に開始す る。 他の好適具体例において、免疫抑制剤の短期コースを抗T細胞抗体と共に施与 し、免疫抑制剤の短期コースは、抗体に基づくT細胞の不活性化例えばATG若 しくは類似の抗体調製物の静脈投与による不活性化によっては不活性化されない T細胞例えば胸腺若しくはリンパ節 T細胞を不活性化するのに十分である。 好適具体例は、細胞を、DNA挿入前にレシピエント哺乳動物から取り出して DNA挿入後にレシピエント哺乳動物に戻すもの、DNAを移植片を得た哺乳動 物個体から得るもの、DNAを移植片を得た哺乳動物個体と同系である哺乳動物 個体から得るもの、DNAを移植片を得た哺乳動物個体とMHCマッチした好ま しくは同一の哺乳動物個体から得るもの、DNAがMHCクラスI遺伝子を含む もの、DNAがMHCクラスII遺伝子を含むもの、DNAを形質導入により、例 えばレトロウイルス例えばMoloney に基づくレトロウイルスにより細胞に挿入す るもの、及びDNAが、そのDNAをレシピエントに導入した後に、レシピエン トの骨髄細胞及び/又は末梢血液細胞中で少なくとも14日、好ましくは30日 、一層好ましくは60日、最も好ましくは120日間にわたって発現されるもの を含む。 他の好適具体例は、造血幹細胞移植前に、移植した幹細胞の植付け及び生存を 促進するために、例えばレシピエント哺乳動物を低線量例えば約100〜400 ラドで照射すること(レシピエントの骨髄を涸渇させ又は部分的に涸渇させるた めの全身照射)によりレシピエント中に造血空間を創るステップを含む。 好適具体例において、この方法は更に、レシピエントへの胸腺照射例えば70 0ラドの胸腺照射の施与を含む。 他の好適具体例は、例えば第2の種の哺乳動物から得た器官例えば肝臓又は腎 臓を血液灌流することにより、レシピエント哺乳動物の血液から天然の抗体を涸 渇させるステップを含む(器官の血液灌流において、血液中の抗体はその器官の 細胞表面の抗原と結合し、それ故、血液から除去される)。 他の好適具体例は、更に、レシピエント中に、ドナーから得た移植片例えば肝 臓又は腎臓を導入するステップを含む。 他の面において、この発明は、レシピエント哺乳動物、好ましくは霊長類例え ばヒトにおける同種のドナーから得た移植片の受容を促進する方法を特徴とし、 その移植片はMHC抗原を発現する。この方法は、ドナーのMHC抗原をコード するDNAをレシピエントの造血幹細胞例えば骨髄造血幹細胞中に挿入し、その MHC抗原をコードするDNAをレシピエント中で発現させ、そして好ましくは 、そのレシピエントに、レシピエントのT細胞好ましくは胸腺若しくはリンパ節 T細胞を不活性化するのに十分な免疫抑制剤の短期コース例えばシクロスポリン 治療の短期コースを施与する(そうしなければ、胸腺若しくはリンパ節のT細胞 は移植片又は操作した細胞の生存を阻害する)ことを含む。 好適具体例において、免疫抑制剤の短期コースの持続は、30日にほぼ等しい か、8〜12日(好ましくは、約10日)にほぼ等しいか又はそれより短いか、 8〜 12日又は10日間の2、3、4、5若しくは10倍にほぼ等しいか又はそれよ り短い。 好適具体例において、短期コースを、遺伝子操作した幹細胞をレシピエントに 導入する前又は導入する頃に開始し、短期コースを、遺伝子操作した幹細胞をレ シピエントに導入する日に開始し、短期コースを、遺伝子操作した幹細胞をレシ ピエントに導入する前又は導入後1、2、4、6、8又は10日以内に開始する 。 他の好適具体例において、免疫抑制剤の短期コースを抗T細胞抗体と共に施与 し、免疫抑制剤の短期コースは抗体に基づくT細胞の不活性化例えばATG若し くは類似の抗体調製物の静脈投与による不活性化によっては不活性化されないT 細胞例えば胸腺若しくはリンパ節T細胞を不活性化するのに十分である。 好適具体例は、細胞をDNA挿入前にレシピエントから取り出してDNA挿入 後にレシピエントに戻すもの、DNAがMHCクラスI遺伝子を含むもの、DN AがMHCクラスII遺伝子を含むもの、DNAを形質導入により、例えばレトロ ウイルス例えばMoloney に基づくレトロウイルスにより細胞に挿入するもの及び DNAが、そのDNAをレシピエント中に導入した後、レシピエントの骨髄細胞 及び/又は末梢血液細胞において、少なくとも14日、好ましくは30日、一層 好ましくは60日、最も好ましくは120日発現されるものを含む。 他の好適具体例は、造血幹細胞移植前に、移植した幹 細胞の植付け及び生存を促進するために、例えばレシピエント哺乳動物を低線量 例えば100〜400ラドで照射すること(レシピエントの骨髄を涸渇させ又は 部分的に涸渇させるための全身照射)により、レシピエント中に造血空間を創る ステップを含む。 好適具体例において、この方法は、更に、レシピエントに対する胸腺照射例え ば700ラドの胸腺照射の施与を含む。 他の好適具体例は、例えば第2の種の哺乳動物から得た器官例えば肝臓又は腎 臓を血液灌流することによりレシピエント哺乳動物の血液から天然の抗体を涸渇 させるステップを含む(器官の血液灌流において、血液中の抗体は器官の細胞表 面の抗原に結合し、それ故、血液から除去される)。 他の好適具体例は、更に、レシピエント中に、ドナーから得た移植片例えば肝 臓又は腎臓を導入するステップを含む。 この発明のT細胞好ましくは胸腺若しくはリンパ節T細胞を不活性化する方法 は、抗原に対する寛容を誘導するためにドナーの幹細胞の移植を用いる寛容を誘 導する方法例えば1992年2月19日出願の米国特許出願第07/838,5 95号に記載された方法(参考として本明細書中に援用する)と組合せることが 出来る。 従って、他の面において、この発明は、第1の種のレシピエント哺乳動物例え ば霊長類例えばヒトにおける第 2の哺乳動物好ましくは調和しない種、例えばブタ例えばミニブタ又は調和しな い霊長類種から得た移植片の受容を促進する方法を特徴とする。この方法は、例 えば静脈注射によって、レシピエント哺乳動物中に第2の種の造血幹細胞例えば 骨髄細胞又は胎児の肝若しくは脾臓細胞を導入し(好ましくは、これらの造血幹 細胞はレシピエント哺乳動物中の部位に向かう)、(適宜に)レシピエント哺乳 動物のナチュラルキラー細胞を、例えば造血幹細胞をレシピエント哺乳動物中に 導入する前にそのレシピエント哺乳動物中に該レシピエント哺乳動物のナチュラ ルキラー細胞に結合し得る抗体を導入することによって不活性化し、(適宜に) レシピエント哺乳動物のT細胞を、例えば造血幹細胞をレシピエント哺乳動物中 に導入する前にそのレシピエント哺乳動物中に該レシピエント哺乳動物のT細胞 に結合し得る抗体を導入することによって不活性化し、そして好ましくは、レシ ピエントに、レシピエントのT細胞好ましくは胸腺若しくはリンパ節T細胞を不 活性化するのに十分な免疫抑制剤の短期コース例えばシクロスポリン治療の短期 コースを施与する(そうしないと、胸腺若しくはリンパ節T細胞は操作した細胞 の植付け又は生存を阻害するかも知れない)ことを含む。 好適具体例において、免疫抑制剤の短期コースの持続は、30日にほぼ等しい か、8〜12日(好ましくは、約10日)にほぼ等しいか又はそれより短いか、 上記の 8〜12又は10日間の2、3、4、5若しくは10倍にほぼ等しいか又はそれ より短い。 好適具体例において、短期コースを、幹細胞をレシピエント中に導入する前又 は導入する頃に開始し、短期コースを、幹細胞をレシピエントに導入する日に開 始し、短期コースを、幹細胞をレシピエントに導入する前又は導入後1、2、4 、6、8若しくは10日以内に開始する。 他の好適具体例において、免疫抑制剤の短期コースを抗T細胞抗体又は胸腺照 射例えば700ラドの胸腺照射の一方又は両方と共に施与し、免疫抑制の短期コ ースは、抗体に基づくT細胞の不活性化例えばATG抗体調製物の静脈投与によ る不活性化では不活性化されないT細胞例えば胸腺若しくはリンパ節T細胞を不 活性化するのに十分である。 下記に一層詳細に説明するように、造血細胞は、これらの造血細胞は、レシピ エントに、B細胞及びT細胞レベルの両方における寛容を誘導することによって 、後に続く移植片に対する準備をさせる。好ましくは、造血細胞は、胎児の肝若 しくは脾臓細胞、又は未成熟細胞を含む骨髄細胞(即ち、未分化造血幹細胞、こ れらの所望の細胞を投与前に骨髄から分離することが出来る)であり、又はかか る細胞を含む複合骨髄試料を用いることが出来る。 抗NK抗体の1つの源は、抗ヒト胸腺細胞ポリクロー ナル抗血清である。下記で論ずるように、好ましくは、T細胞並びにNK細胞を 溶解させる第2の抗成熟T細胞抗体をも投与することが出来る。T細胞を溶解さ せることは、骨髄及び異種移植片生存の両者にとって有利である。抗T細胞抗体 は、抗NK抗体と共に抗胸腺細胞抗血清中に存在する。抗NK又は抗T細胞抗体 の反復投与が好ましい。モノクローナル調製物をこの発明の方法で用いることが 出来る。 他の好適具体例は、レシピエント哺乳動物へドナー種特異的間質組織、好まし くは造血間質組織例えば胎児の肝又は胸腺を導入するステップを含む。好適具体 例において、間質組織を、造血幹細胞と同時に又はそれより前に導入し、造血幹 細胞を、抗NK若しくはT細胞抗体と同時に又はそれより前に導入する。 他の好適具体例は、第2の種と同じ哺乳動物が移植片及び造血細胞の一方又は 両方のドナーであるもの、及び抗T若しくは抗NK細胞抗体が例えばウマ又はブ タから得られた抗ヒト胸腺細胞ポリクローナル抗血清であるものを含む。 他の好適具体例は、造血幹細胞移植前に、移植した幹細胞の植付け及び生存を 促進するために、例えばレシピエント哺乳動物を低線量例えば約100〜400 ラドで照射すること(レシピエントの骨髄を涸渇させ又は部分的に涸渇させるた めの全身照射)により、レシピエント中に造血空間を創るステップを含む。 好適具体例において、この方法は、更に、レシピエントに対する胸腺照射例え ば300〜700ラドの胸腺照射の施与を含む。 他の好適具体例は、造血幹細胞の移植前に、例えば第2の種の哺乳動物から得 た器官、例えば肝臓又は腎臓を血液灌流することにより、レシピエント哺乳動物 の血液から天然の抗体を涸渇させるステップを含む(器官の血液灌流において、 血液中の抗体は、器官の細胞表面の抗原と結合し、それ故、血液から除去される )。 他の好適具体例は、更に、レシピエント中に、ドナーから得た移植片、例えば 造血幹細胞とは異なる器官例えば肝臓又は腎臓から得た移植片を導入するステッ プを含む。 好適具体例において、幹細胞を、移植片の移植の前に又は移植と同時にレシピ エント中に導入する。 他の面において、この発明は、レシピエント哺乳動物好ましくは霊長類例えば ヒトにおける同種のドナーから得た移植片の受容を促進する方法を特徴とする。 この方法は、例えばレシピエントへの静脈注射により、哺乳動物好ましくはドナ ーの造血幹細胞例えば骨髄細胞又は胎児の肝若しくは脾臓細胞を導入すること( 好ましくは、これらの造血幹細胞は、レシピエント中の部位に向かう)、(適宜 に)レシピエントのT細胞を、例えば造血幹細胞をレシピエントに導入する前に そのレシピエント中にそのレシピエントのT細胞に結合し得る抗体を導入 することにより不活性化すること、及び好ましくは、レシピエントに、レシピエ ントのT細胞好ましくは胸腺若しくはリンパ節T細胞を不活性化するのに十分な 免疫抑制剤の短期コース例えばシクロスポリン治療の短期コースを施与する(そ うしないと、胸腺又はリンパ節T細胞は操作した細胞の植付け又は生存を阻害す るかも知れない)ことを含む。 好適具体例において、免疫抑制剤の短期コースの持続は、30日にほぼ等しい か、8〜12日(好ましくは、約10日)にほぼ等しいかそれより短いか、上記 の8〜12日又は10日間の2、3、4、5若しくは10倍にほぼ等しいか又は それより短い。 好適具体例において、短期コースを、幹細胞をレシピエント中に導入する前又 は導入する頃に開始し、短期コースを、幹細胞をレシピエント中に導入する日に 開始し、短期コースを、幹細胞をレシピエント中に導入する前又は導入後1、2 、4、6、8若しくは10日以内に開始する。 他の好適具体例において、免疫抑制剤の短期コースを抗T細胞抗体又は胸腺照 射例えば700ラドの胸腺照射の一方又は両方と共に施与し、免疫抑制の短期コ ースは抗体に基づくT細胞の不活性化例えばATG抗体調製物の静脈投与による 不活性化では不活性化されないT細胞例えば胸腺若しくはリンパ節T細胞を不活 性化するのに十分である。 好適具体例において、抗T細胞又はNK細胞抗体は、抗ヒト胸腺細胞ポリクロ ーナル抗血清であり、この抗血清はウマ又はブタから得られる。 他の好適具体例は、造血幹細胞移植前に、レシピエントのNK細胞を、例えば そのレシピエント哺乳動物中にそのレシピエント哺乳動物のNK細胞に結合し得 る抗体を導入することによって不活性化する更なるステップを含み、及び同じ個 体が移植片と骨髄の両者のドナーであるものを含む。 他の好適具体例は、造血幹細胞移植前に、移植した幹細胞の植付け及び生存を 促進するために、例えばレシピエント哺乳動物を低線量例えば約100〜400 ラドで照射すること(レシピエントの骨髄を涸渇させ又は部分的に涸渇させるた めの全身照射)によって、レシピエント中に造血空間を創るステップを含む。 好適具体例において、この方法は、更に、レシピエントに対する胸腺照射例え ば700ラドの胸腺照射を施与することを含む。 他の好適具体例は、骨髄移植前に、ドナーから得た器官例えば肝臓又は腎臓を 血液灌流することによって、レシピエントの血液から天然の抗体を吸収する更な るステップを含む。 好適具体例は、レシピエント哺乳動物中に、ドナー種特異的な間質組織、好ま しくは造血間質組織例えば胎児の肝若しくは胸腺を導入するステップを含む。 他の好適具体例は、更に、レシピエント中に、ドナーから得た移植片、例えば 造血幹細胞と異なる器官例えば肝臓又は腎臓から得た移植片を導入するステップ を含む。 好適具体例において、幹細胞を、移植片の移植前又は移植と同時にレシピエン トに導入する。 この発明のT細胞好ましくは胸腺若しくはリンパ節T細胞を不活性化する方法 を、胸腺若しくはリンパ節T細胞の不活性化が望ましい更に他の寛容を誘導する 方法と共に用いることが出来る。例えば、この発明の抗胸腺又はリンパ節T細胞 法を、寛容を誘導すために異種胸腺移植片の移植を用いる方法例えば1993年 12月7日出願の米国特許出願第08/163,912号に記載された方法、寛 容促進若しくはGVHD阻止性サイトカインの活性レベルを増大させ又は寛容阻 止若しくはGVHD促進性サイトカインの活性レベルを減少させる方法例えば1 993年8月30日出願の米国特許出願第08/114,072号に記載された 方法、臍帯血液細胞を用いて寛容を誘導する方法例えば1993年11月10日 出願の米国特許出願第08/150,739号に記載された方法、及び1994 年2月14日出願のSykes 及びSachs のPCT/US94/01616号に開示 された寛容を誘導するための方法と共に用いることが出来る。 「胸腺又はリンパ節T細胞を不活性化することの出来 る免疫抑制剤」とは、ここで用いる場合、適当な投与量で投与した場合に、胸腺 又はリンパ節T細胞の不活性化を生じる薬剤、例えば化学剤例えば薬物をいう。 かかる薬剤の例は、シクロスポリン、FK−506及びラパマイシンである。抗 T細胞抗体は薬剤として使用するのに好適でない(それらは胸腺又はリンパ節T 細胞を不活性化する効果が比較的低いので)。薬剤を、抗T細胞抗体例えば抗A TG調製物の投与によっては不活性化されない胸腺又はリンパ節T細胞の有意の 不活性化を生じるのに十分な投与量で投与すべきである。推定の薬剤及びそれら の有効濃度を、イン・ビトロ又はイン・ビボ試験により、例えば推定の薬剤を試 験動物に投与し、胸腺又はリンパ節の試料を取り出して、活性T細胞の存在につ いてイン・ビトロ又はイン・ビボで試験することによって予備スクリーニングす ることが出来る。かかる予備スクリーニングした推定の薬剤を、次いで、更に、 移植アッセイにおいて試験することが出来る。 「免疫抑制剤の短期コース」とは、ここで用いる場合、一時的な長期でない治 療のコースを意味する。この治療は、寛容を誘導するための治療を開始する前又 は開始する頃に、例えば異種、同種、遺伝子操作した同系の又は遺伝子操作した 自己の幹細胞をレシピエントに導入する頃に開始すべきである。例えば、短期コ ースを、寛容を誘導するための治療を開始する日、例えば異種、同種、遺伝子操 作した同系の又は遺伝子操作した自己の幹 細胞をレシピエントに導入する日に開始することが出来、或は、短期コースを、 寛容を誘導するための治療を開始する前又は開始後1、2、4、6、8若しくは 10日以内に、例えば異種、同種、遺伝子操作した同系の又は遺伝子操作した自 己の幹細胞をレシピエントに導入する前又は導入後1、2、4、6、8若しくは 10日以内に開始することが出来る。この短期コースを、約8〜12日(好まし くは、約10日)以下の期間、又は8〜12日又は10日間の2、3、4、5若 しくは10倍に等しいか又はそれより短い時間続ける。最適には、この短期コー スを、約30日続ける。投与量は、胸腺又はリンパ節T細胞を不活性化するのに 十分な血中レベルを維持するのに十分であるべきである。約15/mg/kg/ 日の投与量が有効であることが霊長類において見出されている。 「リンパ節又は胸腺T細胞」とは、ここで用いる場合、T細胞不活性化の従来 法例えば抗T細胞抗体例えばATG調製物の単独での静脈投与による不活性化に 耐性であるT細胞のことをいう。 「補助減縮」とは、ここで用いる場合、寛容が望まれる抗原への最初の曝露の 際のレシピエントのT細胞からの少なくとも1種のサイトカイン例えばIL−2 、IL−4、IL−6、ガンマーインターフェロン又はTNFの何れかの放出を 阻止することによるT細胞補助の減縮を意味する。レシピエントのT細胞のサイ トカイン分泌 において誘導される阻止は、補助の減縮中に投与される抗原に対してレシピエン トが寛容化されるだけ十分でなければならない。理論に縛られる訳ではないが、 減縮のレベルは、外来抗原の最初の認識に伴うIL−2の初期バーストを実質的 に排除するが寛容の教育及び生成に重要なすべての成熟T細胞を排除するのでは ないものであると考えられる。 「補助減縮剤」とは、ここで用いる場合、サイトカイン放出の減縮を生じる薬 剤例えば免疫抑制剤である。補助減縮剤の例はシクロスポリン、FK−506及 びラパマイシンである。抗T細胞抗体は、T細胞を排除するので、補助減縮剤と して用いるのに好ましくない。補助減縮剤は、寛容を生じるサイトカイン放出の 阻止のレベルを与えるのに十分な投与量で投与しなければならない。この補助減 縮剤は、サイトカイン例えばIL−2の放出を促進する治療の不在において投与 すべきである。推定の薬剤補助減縮剤を、イン・ビトロ又はイン・ビボ試験によ り、例えば推定の薬剤をT細胞と接触させ、処理したT細胞のサイトカイン例え ばIL−2を放出する能力を測定することにより予備スクリーニングすることが 出来る。サイトカイン放出の阻止は、その推定の薬剤の補助減縮剤としての効力 を示している。かかる予備スクリーニングした推定の薬剤を、次いで、更に、腎 臓移植アッセイにおいて試験することが出来る。腎臓移植アッセイにおいて、推 定の補助減縮剤を、その推定の薬剤をレ シピエントのサルに投与し、次いで、クラスIIマッチしクラスI及びマイナー抗 原ミスマッチしたドナーのサルからの腎臓をそのレシピエント中に移植すること により、効力について試験することが出来る。ドナーのサルに対する寛容(移植 片の延長された受容による指示)はその推定の薬剤が試験した投与量において補 助減縮剤であることを示す。 「補助減縮剤の短期コース」とは、ここで用いる場合、一時的な長期でない治 療のコースを意味する。この治療は、移植片の移植前又は移植の頃に開始すべき である。或は、この治療をレシピエントのドナーの抗原への曝露の前又は曝露の 頃に開始することが出来る。最適には、この治療を、レシピエント種の成熟T細 胞について最初に抗原により刺激された後にその抗原の拒絶を開始するのに要す る期間とほぼ同じか又はそれより短期間続ける。この治療の持続を、レシピエン ト種の成熟T細胞について最初に抗原により刺激された後にその抗原の拒絶を開 始するのに要する期間の2、3、4、5若しくは10倍にほぼ等しいか又はそれ より短い時間まで延長することが出来る。この持続は、通常、少なくとも、レシ ピエント種の成熟T細胞について最初に抗原により刺激された後にその抗原の拒 絶を開始するのに要する時間に等しい。ブタとサルにおいて、約12日の治療は 十分である。サルにおける他の実験は、シクロスポリンA治療の8、9又は10 日目において投与したIL−2が移植 された組織の拒絶を生じることを示す。従って、8、9又は10日は、恐らく、 ブタにおいて十分でない。サルにおいて、10mg/kgのシクロスポリン投与 量(血中レベル約500〜1000ng/ml)は、クラスIIマッチしクラスI 及びマイナー抗原ミスマッチした腎臓に対する寛容を誘導するのに十分である。 同じ血中レベル500〜1000ng/mlは、ブタにおいて寛容を誘導するの に十分である。5mg/kgの長期投与は、(長期免疫抑制により)拒絶を防ぐ が寛容を生じない。 0 「寛容」とは、ここで用いる場合、例えば、非自己MHC抗原のレシピエント への導入に応じて阻止しなければ生じたであろう移植片レシピエントの免疫応答 の阻止をいう。寛容は、体液性、細胞性又はその両者の応答を含み得る。 「造血幹細胞」とは、ここで用いる場合、成熟ミエロイド及び/又はリンパ様 細胞に分化することの出来る細胞例えば骨髄細胞をいう。レシピエント又はドナ ーの臍帯血液から導いた幹細胞をこの発明の方法において用いることが出来る。 米国特許第5,192,553号(参考として本明細書中に援用する)及び米国 特許第5,004,681号(参考として本明細書中に援用する)を参照された い。 「MHC抗原」とは、ここで用いる場合、1つ以上のMHC遺伝子の蛋白質生 成物をいう。この用語は、レシ ピエント生物において免疫応答を喚起することの出来るMHC遺伝子の生成物の 断片又はアナログを含む。MHC抗原の例は、ヒトMHC遺伝子例えばHLA遺 伝子の生成物(及びそれらの断片及びアナログ)を含む。ブタ例えばミニブタの MHC遺伝子は、SLA遺伝子例えばDRB遺伝子の生成物(及びそれらの断片 及びアナログ)を含む。 「ミニブタ」とは、ここで用いる場合、完全に又は部分的に、同系交配の動物 をいう。 「移植片」とは、ここで用いる場合、身体の一部、器官、組織又は細胞のこと をいう。移植片は、器官例えば肝臓、腎臓、心臓又は肺;身体の部分例えば骨又 は骨格マトリックス;組織例えば皮膚、腸、内分泌腺;又は種々の型の始原幹細 胞からなってよい。 「不調和種の組合せ」とは、ここで用いる場合、一方から他方へ移植片を移植 したときに超急性拒絶が起きる2種をいう。一般に、不調和種は異なる目である が、他方、不調和でない種は同じ目である。例えば、ラット及びマウスは、不調 和でない種であり、即ち、それらのMHC抗原は実質的に類似しており且つそれ らは同じ目、ゲッ歯類のメンバーである。 「間質組織」とは、ここで用いる場合、機能性要素又は実質組織から区別され る器官の支持組織又はマトリックスをいう。 この発明の補助抑制方法は、移植においてしばしば用 いられる広いスペクトルの免疫抑制剤の望ましくない長期又は慢性的投与の副作 用を回避する。プレドニゾン、イムラン、CyA及び最近ではFK506等の薬 物の長期又は慢性的投与は、移植の分野に重大なインパクトを与えた。しかしな がら、これらのすべての薬物は、完全には免疫機能を排除しないが拒絶を回避す るのに十分なだけ滴定されなければならない免疫系の非特異的抑制を引き起こす 。人生の残りの間中慢性的免疫抑制治療を続けなければならない患者は、過剰又 は過小の免疫抑制から起きそれぞれ感染及び拒絶により引き起こされる主要な合 併症に直面する。この発明の補助抑制方法は、補助減縮剤治療の一時的な短期高 投与量コースの施与に基づいている。 レシピエントの胸腺又はリンパ節T細胞は、移植された移植片例えば移植され た造血細胞又は移植された器官に対する有意の抵抗の原因である。通常のT細胞 涸渇又は不活性化方法例えば抗T細胞抗体の投与は、しばしば、T細胞涸渇又は 不活性化の最適レベルに達しないことが見出されている。特に、かかる方法は、 胸腺又はリンパ節T細胞の涸渇又は不活性化の最適レベルを与えることが出来な い。レシピエントの胸腺又はリンパ節T細胞を不活性化することの出来る免疫抑 制剤例えばシクロスポリンの短期コースをレシピエントに施与するこの発明の方 法は、更に徹底した胸腺又はリンパ節T細胞の不活性化を生じ、それ故、移植片 組織の改善された受容を 生じる。 この発明のレトロウイルス方法は、同種又は異種MHC遺伝子を発現するトラ ンスジェニック自己骨髄細胞を用いる移植されたレシピエントの骨髄の再構築を 与える。トランスジェニックMHC遺伝子の発現は、これらの又は密接に関連す るMHC遺伝子の生成物を示す移植片に対する寛容を与える。従って、これらの 方法は、MHC遺伝子の体細胞トランスファーにより、特異的移植寛容の誘導を 与える。この発明のレトロウイルス方法は、移植においてしばしば用いられる広 いスペクトルの免疫抑制剤の望ましくない副作用を回避する。 骨髄移植(BMT)によるリンパ造血キメリズムの誘導を介して、移植抗原に 対する寛容を達成することが出来る。MHCバリヤーを横切るBMTは、2つの 主要な危険を与える:即ち、もし成熟T細胞が骨髄接種物から除去されていない と、レシピエントは重症の移植片対宿主病(GVHD)を発症し得るし、これら の細胞の除去はしばしば植付けの失敗へと導く。この発明のレトロウイルス方法 は、(同種異系又は異種に対して)自己の骨髄細胞を用いるレシピエントの骨髄 の再構成により特異的寛容を誘導し、GVHDの最小の危険しか有さず且つ骨髄 接種物からT細胞を除去する最小の必要性しか有しない寛容を与える。 この発明のレトロウイルス方法は、この発明の補助抑制及びT細胞不活性化方 法と組み合わせて移植片の受容 を延長させることが出来る。 この発明の造血細胞移植方法は、移植においてしばしば用いられる広いスペク トルの免疫抑制剤の望ましくない副作用を回避する。この発明の造血細胞移植方 法は、この発明の補助抑制及びT細胞排除方法と組み合わせて移植片の受容を延 長させることが出来る。 この発明の他の特徴及び利点は、下記の詳細な説明及び請求の範囲から明らか となろう。 詳細な説明 最初に図面を簡単に説明する。図面 図1は、GS4.5レトロウイルス構築物の図解である。 図2は、GS4.5プロウイルスゲノム及び予想される転写物の図解である。 図3a及び3bは、形質導入細胞のフローサイトメトリープロフィルの表示で ある。 図4は、形質導入アッセイの図解である。 図5は、C57BL/10、B10.AKM及びB10.MBR株の遺伝地図 の図解である。 図6は、形質導入した骨髄のレシピエントからの脾臓細胞のFACSプロフィ ルの図解である。 図7a及び7bは、皮膚移植実験における生存対時間のグラフである。 図8a〜dは、移植片拒絶者及び対照からの胸腺細胞のFACS分析の図解で ある。 図9は、N2−B19−H2bベクターの図解である。概観 この発明は、外来抗原例えば同種又は異種の組織若しくは器官移植片上の抗原 に対する寛容を誘導する幾つかの方法を提供する。これらの方法は、個別に又は 組み合わせて利用することが出来る。例えば、補助減縮剤の短期投与例えばシク ロスポリンA(CsA)の短期高投与量コースが移植片の受容を有意に延長する ことが見出された。(好ましくは、この発明の補助減縮養生法は、最初の抗原認 識に伴うIL−2の初期バーストを実質的に排除するが、成熟T細胞を排除しな い。これは、成熟T細胞を排除する抗T細胞抗体治療と区別される。) 免疫抑制剤例えばシクロスポリンの短期コースを用いて、さもなければ移植片 の拒絶を促進するであろうT細胞を不活性化することが出来ることも見出された 。 霊長類における腎臓の同種移植片に対するシクロスポリン誘導された寛容の効 果を示す実験を下記の第I節に記載する。この発明の補助抑制方法を、移植片の 受容を延長させるための他の方法と組み合わせることが出来る。下記の第II節は 、MHC不同に対する寛容を誘導するためのレトロウイルスによりトランスフォ ームした骨髄細胞の移植を論ずる。この方法は、この発明の補助抑 制方法例えばクラスI及び他のマイナー不同に対する寛容を誘導するためのシク ロスポリンの高投与量の短期コースと組み合わせることが出来る。 下記の第III節は、MHC不同に対する寛容を誘導するための骨髄細胞の移植 を論ずる。この方法は、クラスI及び他のマイナー不同に対する寛容を誘導する ための高投与量シクロスポリン投与の短期コースと組み合わせることが出来る。 T細胞を排除するためにシクロスポリンの短期コースを骨髄移植と組み合わせる ことも出来る。I.高投与量シクロスポリンの短期移植後コース(サイトカイン放出を刺激する 薬剤の不在にて施与する)は、霊長類において部分的にマッチする同種移植片の 受容を延長させる 。 T細胞補助排除免疫抑制の短期コース(高投与量シクロスポリンの短期コース の形態)を伴って又は伴わないで、カニクイザル間で腎臓移植を行なった。この 養生法は、移植片の受容を有意に延長させた。高投与量シクロスポリン(プレド ニゾンを伴わない)の移植後コースを受けたサルは、MLC(混合リンパ球倍容 アッセイ)非反応性クラスI及びマイナー抗原マッチしたドナーからの腎臓移植 片に対して65日間にわたって寛容であった(下記参照)。移植後シクロスポリ ンを受けなかったサルは同じ不同の移植片を20日未満で拒絶した。この仕事を 、下記において一層詳細に論ずる。 動物。カニクイザルは、Charles River Research Laboratoriesから購入した 。これらの動物を、隔離し、病原体の全試験を行ない、次いで、AAALAC公 認の設備内で、実験動物の世話及び使用のためのN.I.H.ガイドに厳密に適 合した環境制御された室内に収容した。 分類。動物を、標準的な補体媒介の細胞毒性アッセイによりクラスI抗原につ いて、及びMLC非反応性によりクラスIIマッチングについて分類した。 免疫抑制。CsAの静脈投与用調製物(Sandimmune,i.v.)をニュージャージー、Hano ver在、Sndoz Pharmaceuticals Corporation より入手した。サルは、約10m g/kgの12回投与を受けた(最初の投与を、移植片の血管再生の4時間前に 与えた)。CsAを250mlの通常の塩溶液にて希釈して1時間にわたって静 脈から注入した。CsAを他の免疫抑制剤を伴わずに投与した。治療の持続は1 2日であった。ブタにおける適当な投与量は、筋肉内送達で、約15mg/kg である。何れの動物における投与も、血中レベルが約500〜1000ng/m lに維持されるようにすべきである。 腎臓の機能、拒絶及び病理学。腎臓の機能を血清中のクレアチニン及びBUN レベルにより追跡した。病理はバイオプシーによった。バイオプシーを、7日目 に行ない、次いで、2か月間1週毎に行ない、次いで、1か月毎に行なった。 結果。対照レシピエント(シクロスポリンなし)は、移植された腎臓を15日 未満で拒絶した。6匹のシクロスポリン処理した動物での結果は、次の通りであ った:動物1は、65日目(即ち、移植後65日目)に死亡し、移植物は拒絶さ れた(この動物の血中シクロスポリンレベルが移植後の最初の7日間において5 00ng/mlより低かったことに注意すべきである);動物2は、バイオプシ ーの出血から65日目に死亡し、移植された腎臓は死亡時に正常であった;動物 3は、82日目に死亡し、55日目に幾らかの拒絶が見られた;動物4は、70 日目において依然として正常であった(その時点で実験は未だ進行中であった) ;動物5は、40日目において依然として正常であった(その時点において実験 は未だ進行中であった);及び動物6は26日目において依然として正常であっ た(その時点において実験は未だ進行中であった)。II.クラスII不同に対する寛容を誘導するためのレトロウイルスでトランスフォ ームした骨髄細胞の移植と組み合わせたクラスI及び他のマイナー不同に対する 寛容を誘導するための高投与量シクロスポリンの短期コース(サイトカインの放 出を刺激する治療の不在例えばプレドニゾンの不在にて施与する)レトロウイルスでのトランスフォーメーション レトロウイルスでのトランスフォーメーションは、同種又は異種MHC遺伝子 を発現するトランスジェニック 骨髄細胞好ましくは自己骨髄細胞を用いる移植されたレシピエントの骨髄の再構 築を与える。トランスジェニックMHC遺伝子の発現は、これらの又は密接に関 連したMHC遺伝子の生成物を示す移植片に対する寛容を与える。従って、これ らの方法は、MHC遺伝子の体細胞トランスファーにより特異的移植寛容の誘導 を与える。MHC遺伝子のレトロウイルスによる導入は、単独で又はここに記載 のT細胞補助減縮方法と組み合わせて用いることが出来る。このアプローチを以 下において詳細に論じる。 MHC遺伝子:様々な種のMHC遺伝子はよく研究されている。例えば、ヒト のHLA遺伝子(Hansen等、1989、The Major Histocompatibility Complex,Fu ndamental Immunology第二版 W.E.Paul編、New York在、Raven Press Ltd.,中 を参照されたい。参考として本明細書中に援用する。)及びブタのSLA遺伝子 (Sachs等、1988、Immunogenetics 28:22-29 参照。参考として本明細書中に援 用する)がクローン化され、特性決定されている。 MHC抗原をコードする遺伝子をこの発明の方法において用いて、その又は密 接に関連したMHC抗原を示す移植片に対する寛容を与えることが出来る。この 発明の方法を用いて、同種移植片(例えば、移植片のドナー及びレシピエントの 両者がヒト)及び異種移植片(例えば、移植片のドナーが非ヒト動物例えばブタ 例えばミニ ブタであり、移植片のレシピエントがヒト)に対する寛容を与えることが出来る 。 MHC遺伝子を供給する個体は、特にMHC遺伝子に関して、移植片を与える 個体と出来るだけ遺伝的に類似しているべきである。例えば、移植片ドナーがヒ トであり且つ移植片レシピエントがヒトである同種移植片においては、ドナーか らのMHC遺伝子を用いるのが好ましい。この具体例において、MHCプローブ 例えば第三者からのプローブ又は合成の共通プローブを用いて、MHC遺伝子又 は移植片ドナー個体の遺伝子をコードするDNAを単離することが出来る。これ は、寛容を与えるために使用する遺伝子及び移植片上にMHC抗原を発現する遺 伝子間に最も近いマッチを与える。 異種移植片において、移植片のドナー個体と寛容を与えるDNAを与える個体 とは同一個体であるべきであり又は出来るだけ密接に関連しているべきである。 例えば、移植片組織を高度に同系交配のドナー集団から得ることは好ましく、M HC遺伝子についてホモ接合であると一層好ましい。これは、多くの移植片レシ ピエントに対して単一クローン化MHC配列を使用することを可能にする。 骨髄細胞のトランスフォーメーション:MHC遺伝子を、これらの遺伝子の発 現を寛容を与えるのに十分なレベル及び期間で与える任意の方法によって骨髄細 胞中に導入することが出来る。これらの方法は、例えばトラン スフェクション、エレクトロポレーション、粒子銃及びウイルスベクター例えば レトロウイルスによる形質導入を含む。 組換えレトロウイルスは、好適な送達システムである。それらは、過去数年に わたって、遺伝子トランスファー用のビヒクルとして大規模に開発された。例え ば、Eglitis 等、1988,Adv.Exp.Med.Biol.241:19 を参照されたい。最も簡 単なレトロウイルスベクター構築物は、ウイルスの構造遺伝子を単一遺伝子で置 換したものであり、次いで、該単一遺伝子をウイルスのロングターミナルリピー ト(LTR)中に含まれる制御要素の制御下で転写する。Mologey マウス白血病 ウイルス(MoMuLV)を含む種々の単一遺伝子ベクター主鎖が用いられてき た。選択可能マーカー及び第2の関心ある遺伝子等の種々の遺伝子の複数の挿入 が可能なレトロウイルスをこの型の主鎖から導くことが出来る。Gilboa,1988,Ad v.Exp.Med.Biol.241:29 参照。 蛋白質生成物の発現のためのベクターの構築物の要素例えばプロモーターの選 択は、当業者には公知である。 レトロウイルスベクターからの最も効率的な発現は、「強い」プロモーター例え ばSV40プロモーター又はLTRプロモーターを用いて転写を制御した場合に 見られる。Chang 等、1989、Int.J.Cell Cloning 7:264 に総説あり。これらの プロモーターは、構成的であり、一般に、組織特異的発現を可能にしない。しか しながら、通 常すべての組織で発現されるクラスI遺伝子の場合には、遍在的発現は機能的目 的について許容される。ハウスキーピング遺伝子プロモーター例えばチミジンキ ナーゼプロモーターは、クラスII遺伝子の発現用に適したプロモーターである。 効率的パッケージングの細胞系統の使用は、生成した組換えビリオンの感染効 率及び感染スペクトルの両者を増大させることが出来る。Miller,1990,Human Gene Therapy 1:5 を参照されたい。マウスレトロウイルスベクターは、遺伝子 を効率よくマウスの胚細胞(例えば、Wagner等、1985、EMBO J.4:663; Griedle y 等、1987Trends Genet.3:162を参照されたい)及び造血幹細胞(例えば、Lemi schka 等、1986,Cell 45:917-927;Dick等、1986,Trends in Genetics 2:165-1 70)にトランスファーするために用いられてきた。 以前に可能であったよりずっと高いウイルス力価の達成を可能にする最近のレ トロウイルス技術における改良は、いわゆる「ピンポン」法と呼ばれる環境栄養 性及び両栄養性パッケージング細胞系統間での連続的トランスファーによる増幅 を含む。Kozak 等、1990J.Virol.64:3500-3508; Bodine等、1989,Prog.Clin.Bi ol.Res.319:589-600 を参照されたい。 形質導入の効率は、レシピエントへの導入前の感染骨髄の予備選択(選択可能 遺伝子を高レベルで発現する骨髄細胞を豊富にすること)によって増大させるこ とが出 来る。Bick等、1985,Cell 42:71-79; Keller 等、1985,Nature 318:149-154を参 照されたい。更に、ウイルス力価を増大させる最近の技術は、ウイルス生成細胞 系統との直接的インキュベーションではなく、ウイルス含有上清の利用により効 率的形質導入を達成することを可能にする。例えば、Bodine等、1989,Prog.Cli n.Biol.Res.319:589-600 を参照されたい。細胞性DNAの複製がレトロウイル スベクターの宿主ゲノム中へのインテグレーションに必要であるので、例えばイ ン・ビトロで成長因子で処理することにより標的細胞の分裂を誘導することによ って標的幹細胞が活発に細胞周期を巡る頻度を増すことは望ましく(例えば、Le mischka等、1986,Cell 45:917-927 を参照されたい)、IL−3とIL−6の組 合せは、明らかに最も効力があり(例えば、Bodine等、1989,Proc.Natl.Acad.Sc i.86:8897-8901 を参照されたい)、或は、骨髄採取前にレシピエントを5−フ ルオロウラシルにさらすこと(例えば、Mori等、1984,Jpn.J.Clin.Oncol.14前出 1:457-463参照)は望ましい。例えば、Lemischka 等、1986,Cell 45:917-927; Chang 等、1989,Int.J.Cell Cloning 7:264-280を参照されたい。 N2A又は他のMoloney に基づくベクターは、ヒト骨髄細胞を形質導入するた めの好適なレトロウイルスベクターである。 トランスフォームした骨髄細胞導入用の調製用養生法骨髄細胞を調製するため に、レシピエントは、除去しな いと植付けに抵抗するかも知れない免疫応答の除去を受けなければならない。 改変した自己の造血幹細胞の植付けを可能にするのに必要な調製用養生法は、 同種の骨髄移植に必要とされるものよりずっと低毒性であってよく、好ましくは 、最近マウスモデルにおいて示されたように、モノクローナル抗体を用いる成熟 T細胞の涸渇のみを必要とする。Sharabi 等、1989,J.Exp.Med.169:493-502 参 照。一時的発現が寛容を誘導するのに十分であり、混合異種骨髄移植物モデルに おいて心臓移植物について見られたように、たとえ造血細胞における発現が失わ れても移植物により維持され得ることはあり得る。Ildstad 等、1985,Transplan t.Proc.17:535-538。 移植片及び補助減縮:上記の補助減縮方法を、上記のようにして移植片の移植 と共に施与することが出来る。 レトロウイルス媒介の遺伝子トランスファーによるマウス骨髄造血細胞におけ るブタクラスII遺伝子の持続的発現 概観:ミニブタモデルにおける移植寛容の誘導への遺伝子トランスファーアプ ローチの効率を、薬剤耐性マーカー(ネオマイシン)及びブタクラスIIDRBc DNAを発現するように処理した二重コピーレトロウイルスベクターを用いるこ とによって示した。これらのベクターを含む感染性粒子を、環境栄養性及び両栄 養性パッケー ジング細胞系統の両者を用いて、>1×106のG418耐性コロニー形成単位 /mlの力価にて生成した。DRAトランスフェクトし続いてウイルス含有上清 で形質導入したマウス繊維芽細胞のフローサイトメトリー分析は、トランスファ ーされた配列がDR表面発現を生じるのに十分であることを示した。マウス骨髄 の高力価生成系統との同時培養は、G418選択下でのコロニー形成頻度で測定 して、顆粒細胞/マクロファージコロニー形成単位(CFU−GM)40%の形 質導入へと導く。長期骨髄培養にて5週間近く後に、ウイルスにさらした骨髄は 依然G418耐性CFU−GMを25%の頻度で含有した。更に、事実上すべて の形質導入し且つ選択したコロニーは、DRB特異的な転写物を含んだ。これら の結果は、非常に原始的な骨髄造血前駆細胞の有意の割合がDRB組換えベクタ ーで形質導入され得ること及びベクター配列がこれらの細胞の分化した子孫にお いて発現されることを示している。これらの実験を下記に詳細に記載する。 ヒトにおけるSLA−DRB組換えレトロウイルスの構築及びスクリーニング 、Lee 等、1982,Nature 299:750-752,Das 等、1983,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 8 0:3543-3547 ブタDRA遺伝子の配列は最小限に多型である。それ故、同種のD RBcDNAの骨髄細胞中への形質導入は、同種のクラスIIDR分子の発現を、 この抗原を発現することを託された細胞に与えるのに十分であるべき である。 レトロウイルス構築物の詳細を図1に与える。2つの型のレトロウイルス構築 物GS4.4及びGS4.5を調製した。図1の図解は、GS4.5レトロウイ ルス構築物を描写している。図1の矢印は、転写の向きを示している。GS4. 5において、DRBcDNA転写の向きはウイルスの転写と同じである。GS4 .4において(示してない)、TKプロモーター及びDRBcDNAを、ウイル ス転写に関する転写の逆向きでN2Aの3’LTR中に挿入し、シミアンウイル ス40の3’RNAプロセッシングシグナルを加えた。pBStとは、Bluescri ptベクター配列(Stratagene)のことをいう。チミジンキナーゼ(TK)プロモ ーターを、単純ヘルペスウイルスTK遺伝子からの215塩基対(bp)のPv uII−PstI断片内に含んだ。McKnight,1980Nucleic Acids Res.8:5949-596 4。シミアンウイルス40の3’RNAプロセッシングシグナルをpBLCAT 3プラスミッドからの142bpのHpaI−SmaI断片内に含んだ。Luckow 等、(1987)Nucleic Acids Res.15:5490-5497(図1参照)。プロモーターの結 合部、クラスIIcDNA及びベクター配列の配列分析は、これらの構築物が適当 に結合されたことを確実にした。 これらのレトロウイルス構築物を、両栄養性パッケージング細胞系統PA31 7中にトランスフェクトし、ト ランスフェクタントをG418含有培地にて選択した。全部で24及び36の、 それぞれGS4.4及びGS4.5組換えプラスミッドでトランスフェクトした クローンを、培養上清のPEG沈殿及びウイルスRNAのスロットブロット分析 により試験した。これらの内のそれぞれ8及び12クローンは、GS4.4から 得たクローンのDRBシグナルの方が一貫して弱かったが、DRBについて陽性 であることが見出された。ゲノム及びスプライスされたGS4.5細胞からの転 写物のPEG沈殿した粒子のドットブロット分析による分析は、GS4.5によ りトランスフェクトされた種々のクローン中のウイルス転写物中の異質性を示し た。一実験において、2つのクローンはDRB+/Neo+ウイルスRNAを含み 、2つはDRB+/Neo-RNAを含み、2つはDRB-/Neo+RNAを含み 、そして1つはクラスII又はNeoシグナルを示さなかった。DRB陽性クロー ンの上清のG418耐性(G418r)力価測定は、GS4.5トランスフェク トしたクローンにより生成した平均力価(103〜104CFU/ml)がGS4 .4トランスフェクトしたクローンのそれ(102〜103CFU/ml)より有 意に高いことを確実にした。それ故、更なる形質導入実験をGS4.5C4と命 名した最良のクローン(3×104CFU/mlの初期G418r力価を生じた) を用いて行なった。 プラスミッドの調製、クローニング手順、DNA配列 決定、RNA調製、ノーザンブロット及びRNAスロットブロットは、標準的方 法Sambrook等、1989,Molecular Cloning: A Laboratory Manual第二版(Cold Sp ring Harbor在、Cold Spring Harbor Lab.)により行なった。ブロットの最後の 洗浄を、0.1×SSPE(1×SSPE=0.18M NaCl/10mMリ ン酸ナトリウム、pH7.4/1mM EDTA)にて、60℃で30分間行な った。 パケージング細胞系統PA317(Miller等、1986,Mol.Cell.Biol.6:289 5-2902)、GP+E−86(Markowitz 等、1988,J.Virol 62:1120-124)、p siCRIP(Danos 等、1988,Proc.Natl.Acad.Sci.USA85:6460-6464)及びこ れらの派生物を37℃で、0.1mM非必須アミノ酸(Whittaker Bioproducts )、抗生物質ペニシリン(5単位/ml)及びストレプトマイシン(5μg/m l)を補った10%(v/v)ウシ胎児血清を加えたダルベッコ改変イーグル培 地(DMEM;GIBCO)にて維持した。 C4クローンのウイルス力価の改良 最近のデータは、高レトロウイルス力価を含む上清が骨髄細胞を形質導入するた めの最良の候補であることを示した(Bodine等、1990,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:3738-3742)ので、C4生成クローンの力価を、「ピンポン」増幅(Bestwick 等、1988,Proc.Natl.Acad.Sci.USA85:5404-5408)によって増大させた。ほぼ集 密なC4培 養の上清を用いてGP+E−86環境栄養性パッケージング細胞を形質導入して G418選択を適用した。48クローンを単離し、ウイルス粒子の生成について PEG沈殿によりスクリーニングした。これらのクローンの18からの上清は、 ウイルスRNAのドットブロット分析によりDRB陽性であり、0.5〜3.5 ×104CFU/mlのG418r力価を有した。1つの陽性クローンを、次いで 、両栄養性ヒグロマイシン耐性パッケージング細胞系統psiCRIPを用いる ピンポン技術により増幅した。48のヒグロマイシン耐性クローンからの上清を DRB陽性ウイルスRNAの存在についてPEG沈殿により試験し、G418r 力価を測定した。すべてのクローンは、DRBプローブを用いるドットブロット 分析により陽性であり、生成した力価は、1×105〜1×107CFU/mlで あった。最大力価を生じた両栄養性クローンGS4.5A4を、ヘルパーウイル スの存在についてS+Lアッセイにより試験した。複製能力のあるヘルパーウイ ルスは検出されなかった。 ウイルス力価の増幅を、ピンポン技術により達成した。psiCRIPパッケ ージング細胞は、ある型のベクターを用いるとPA317よりヘルパーウイルス を生成しない傾向があるという証拠(Miller,1990,Hum.Gene Therapy 1:5-14) があるので、DRB組換えウイルスをpsiCRIP/GP−E−86プロデュ ーサーの組合せを用いて調製した。検出可能なヘルパーウイルスを伴 わない>1×107CFU/mlの力価が得られ、この戦略がイン・ビボ実験に 適した安全なウイルス粒子を生成することを確実にした。それぞれ異なるパッケ ージング細胞系統から導いたGS4.5生成クローンC4、A9及びA4のノー ザンブロット分析は、保存されたハイブリダイゼーションパターンを示した。完 全長ウイルスゲノム、スプライスされたNeo転写物及びDRB転写単位に対応 するRNA種が、更なるRNA種を伴って見られた。これらの実験において認め られた高分子量サイズの種は、TKプロモーターから始まり他方のロングターミ ナルリピート(LTR)内で終るリードスルー転写物を構成し得る。不規則なD RB転写物を与えたトランスフェクションにより得られたビリオンプロデューサ ークローンの多くと対照的に、形質導入により得られたものは、安定なDRBハ イブリダイゼーションパターンを示し、増幅手順中に組換え事象が起きなかった ことをを示唆した。 レトロウイルス力価を以下のようにして測定した。複製欠損レトロウイルス粒 子を、標準的リン酸カルシウム沈殿法(Wigler等、1978,Cell 14:725-733)を用 いて、初期に組換え構築物でトランスフェクトしたパッケージング細胞系統から 生成した。レトロウイルス生成を、薬物耐性力価(G418耐性コロニー形成単 位/ml、CFU/ml)により、記載されたようにして評価した。Bodine等、 1990,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:3738 -3742。psiCRIP系統を除いて、G418(GIBCO)選択を、活性成 分中(500μg/ml)にて10〜12日間行なった。ヒグロマイシンB選択 を、活性薬物を含む培地(50μg/ml)にて10日間、psiCRIP誘導 したパッケージングクローンに適用した。複製能力のあるヘルパーウイルス力価 をPG4ネコ細胞においてS+-法によりアッセイした。Bassen等、1971,Natur e 229:564-566。 ウイルス粒子のPEG沈殿を下記のように行なった。1mlの培養上清中に含 まれるビリオンを、0.5mlの30%(w/v)ポリエチレングリコール(P EG)を用いて、30分間4℃で沈殿させた。遠心分離の後に、ペレットを、R Nアーゼ阻害剤(バナジルリボヌクレアーゼ複合体、BRL )の混合物で処理し、 フェノール/クロロホルム抽出し、そしてエタノール沈殿した。次いで、ペレッ トを、15.7%(v/v)ホルムアルデヒド中に再懸濁し、連続希釈物をニト ロセルロース膜上に点状に付着させた。 パッケージング細胞クローンにおけるDRB転写の分析 種々のプロデューサ ークローン内の導入されたDRBcDNAの正確な転写について試験するために 、これらのクローンから単離したRNAを含むノーザンブロットをDRB及びN eoプローブとハイブリダイズさせた。図2は、プロウイルスゲノムの構造及び ウイルスのLTR又はTKプロモーターの何れかから開始した転写 物の予想されるサイズを描いている。PA317(クローンC4)、GP+E− 86(クローンA9)及びpsiCRIP(クローンA4)細胞から得られた3 つのGS4.5含有クローンの各々は、DRB陽性転写物を示した。報告された ように(Hantzopoulos等、1989,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:3519-3523)、ス プライスされてないゲノムRNA(バンドa)及びスプライスされたNeo転写 物(バンドb)が認められた。更に、DRBプローブとユニークにハイブリダイ ズし得る、DRBcDNA転写単位について予想されるサイズ(1700塩基、 バンドc)に対応する転写物が検出された。 形質導入した繊維芽細胞上のSLA−DR抗原の表面発現 イン・ビトロアッ セイを開発して、マウス繊維芽細胞上のSLA−DR抗原の表面発現を試験した 。図3に示したフローサイトメトリー(FCM)プロフィルは、3×104のG 418r力価(クローンC4)が、形質導入されたDRAトランスフェクタント の細胞表面でのDR抗原の発現を促進するのに十分であったことを示している。 図3において、実線はDR細胞表面発現(抗DR抗体結合)(GS4.5C4( B)及びGS4.5A4(C)のそれぞれでの形質導入の3日後の細胞の細胞の バルク集団の22%及び75%)を示し、破線は抗マウスクラスI抗体結合を示 し(陽性対照)、点線は抗ブタCD8抗体結合を示す(陰性対照)。形質導 入した細胞のバルク集団の22%はDR陽性であり、サブクローンはクラスII発 現を5か月より長く維持した。力価の増大(クローンA4)は形質導入された細 胞数の増加(形質導入した集団の75%がDR陽性であった)及びDRシグナル の輝度と相関した。 クラスII形質導入アッセイを、図4に図解したように行なった。NIH3T3 細胞を、プラスミッド発現ベクター(Okayama 等、1982,Mol.Cell.Biol.2:161-1 70)に挿入したSLA−DRAdcDNAでトランスフェクトした。高レベルの DRAmRNAを発現する約3×104細胞の安定DRAトランスフェクタント (クローン11/12.2F)を、次いで、1mlのDRB含有レトロウイルス 上清で一晩形質導入した。細胞を、続いて、10%ウシ胎児血清及び抗生物質を 補った新鮮なDMEM中で更に2日間培養し、DR抗原の細胞表面発現をFCM 分析により試験した。 ここに記載したクラスII形質導入アッセイは、レトロウイルス構築物の発現と 機能力価の両者を試験する迅速で簡単な方法を提供する。DRAでトランスフェ クトした細胞を用いることにより、2つの別々のベクターによる形質導入の後の 長々しい二重の選択(Yang等、1987,Mol.Cell Biol.1:3923-3928;Korman等、198 7,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:2150-2154)は不要となる。DRヘテロ二量体の 細胞表面発現をFCM分析により形質導入の3日後に示し、トランスファーされ た配列が有意のレベルのDRβ鎖を生成するのに十分であるという直接的証拠を 与えた。一層重要なことには、この試験は、独立に制御される薬物耐性マーカー の発現ではなく、関心ある遺伝子の発現に基づいて「機能」力価の測定を与える 。 SLA−DRBプローブは、DRβ鎖の完全なコード配列を含むEcoRIc DNA断片(Gustafsson等、1990,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:9798-9802)であ った。ネオマイシンホスホトランスフェラーゼ遺伝子(Neo)プローブは、N 2AレトロウイルスプラスミッドのBclI−XhoI断片であった。Hantzopo ulos等、1989,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:3519-3523。 マウス骨髄前駆細胞に形質導入されたブタDRBcDNAの発現 ミエロイド クローン原性前駆細胞が形質導入される効率を、GS4.5由来のビリオンに骨 髄細胞をさらした後に選択量のG418を用いて及び用いないでCFU−GMに ついてアッセイすることにより測 定した。この薬物の存在及び不在において、2つの実験について形成されたコロ ニー数の比較は、ミエロイド前駆細胞の初期集団の約40%が形質導入されるこ とを示した。G418rCFU−GMの頻度を、形質導入した骨髄試料を33日 間にわたって長期培養条件下で発達させた後に再度測定した。培養の33日後に 存在した前駆細胞の25%は、依然として、G418選択下でコロニーを生じた 。CFU−GMから生じた細胞のコロニーを、DRB特異的転写物の存在につい て、RNAをcDNAに変換し次いでここ及びShafer等、1991,Proc.Natl.Acad .Sci.USA 88:9670 に記載されたようにPCR増幅を行なうことによって試験し た。360bpのDRB特異的生成物が、新たに形質導入された骨髄からの6つ のG418選択したコロニーの5つにおいて検出され、33日間の培養の後に存 在した形質導入された前駆細胞から得られた6つのコロニーはすべて陽性であっ た。これらの試料の幾つかにおいて認められた100bpの更なるバンドは、恐 らく、非特異的プライミング事象のストイキャスティック(stoichastic )な性 質を反映する。DRB特異的な転写物は又、薬物耐性コロニーのバルク集団及び プロデューサー細胞においても検出されたが、対照例えば未形質導入コロニーの バルク集団、キャリアーRNAを供給するために用いられた繊維芽細胞及び上記 のように処理したが逆転写酵素を用いなかった形質導入したコロニーのバルク集 団においては検 出されなかった。これらの後者のデータは、PCRシグナルがcDNAの合成に 依存したことを示し、ウイルスメッセージではなくプロウイルスが増幅された断 片の原因である可能性を排除している。 ウイルスデザインの改変、ウイルス力価の増加、前駆細胞を刺激する成長因子 の利用、及び形質導入前の幹細胞の選択を含む最近の改良は、造血区画における 形質導入された遺伝子の長期発現を改善することを示した。Bodine等、1990,Pro c.Natl.Acad.Sci.USA 87:3738-3742;Bodine等、1989,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 8 6:8897-8901;Wilson等、1990,Proc.Natl.Acad.Sci.USA87:439-443;Kang等、1990 ,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:9803-9807;Bender等、1989,Mol.Cell.Biol.9:142 6-1434。これらの実験は、造血細胞中にトランスファーされた主要組織適合性複 合クラスII遺伝子の発現の達成におけるレトロウイルスによる遺伝子トランスフ ァー技術の利用可能性を示す。発生的に原始的な造血細胞が形質導入される効率 を測定するために、33日間の長期培養に維持した感染骨髄細胞を発達させた後 に、G418rCFU−GMの頻度を評価した。外来のDRBcDNAの発現も 又、感染直後又は延長した培養期間の後に存在する形質導入されたCFU−GM から得た細胞においてモニターした。事実上すべての個別に試験したコロニーは DRB特異的転写物について陽性であり、DRB組換えベクターがマウス造血細 胞における発現に適していることを示唆して いる。 骨髄細胞を、6〜12週齢の雌のC57BL/10マウスの大腿骨から得て、 記載されたようにして調製した。Ildstad 等、1984,Nature 307:168-170。顆粒 細胞/マクロファージコロニー形成単位(CFU−GM)についてのメチルセル ロースコロニーアッセイ(Eaves 等、1978,Blood 52:1196-1210 )を、5%(v /v)マウスインターロイキン3培養上清(Collaborative Research)を用いて 、記載されたようにして行なった。長期デクスター型骨髄培養を、60mm培養 皿にて、2×107の有核細胞を用いて開始した。Eaves 等、1987,CRC Crit.Rev .Oncol.Hematol.7:125-138。 骨髄細胞を、本質的にBodine等、1989,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:8897-890 1 に記載されたようにして、形質導入した。簡単に言えば、骨髄細胞を、2日間 5−フルオロウラシル(150mg/kg)で処理した6〜12週齢の雌のC5 7BL/10ドナーから採取した。予備刺激を、1×106細胞/mlを、2日 間、7.5%インターロイキン3培養補充物及び組換えヒトインターロイキン6 (200単位/ml;メリーランド、Bethesda在、National Institute of Health の J.Jule より寄贈)を加えた長期デクスター型骨髄培養培地中でインキュベート することにより行なった。骨髄細胞を、48時間、ほぼ集密なウイルスプロデュ ーサー、ポリブレン(8mg/ml)及び上記のサイトカインを含む10 cmプレート当り5×106細胞を加えることにより形質導入した。 CFU−誘導したコロニーにおけるDRB特異的転写物の検出を下記のように して行なった。個々のCFUコロニー及び全プレート(バルク)上に存在するコ ロニーに対応する細胞を、最初に、メチルセルロース培養から、リン酸緩衝塩溶 液中での希釈及び遠心分離によって抽出した。次いで、これらの細胞を、1×1 06のNIH3T3細胞(キャリアーRNA供給用)と合わせて、全RNAを、 グアニジンイソチオシアネート/CsC1法を用いて調製した。第1鎖cDNA を、Invitrogen Red Module キットを用いて、20μgの全RNAから調製した 。次いで、cDNAを、SLADRB特異的オリゴヌクレオチド04(5'-CCACA GGCCTGATCCCTAATGG )(SEQ ID NO:1)及び17(5'-AGCATAGCAGGAGCCTTCTCAT G)(SEQ ID NO:2)の存在下で、Cetus GeneAmp キットを、勧められるように (Perkin-Elmer/Cetus )用いる50サイクルのPCR増幅にかけた。反応生成 物を、3% NuSieveアガロースゲル(FMC)上での電気泳動後にエチジウムブ ロミドで染色することにより可視化した。 FCM分析を、FAC-ScanIIフルオレセンス活性化セルソーター(Becton Dicke nson)を用いて、抗DRモノクローナル抗体40D(Pierres 等、1980,Eur.J.I mmunol.10:950-957)、抗H−2dアロ抗血清又は抗ブタCD8 モノクローナル抗体76−2−11(Pescovitz 等、1984,J.Exp.Med.160:1495- 1505)で染色し、その後、フルオレセインイソチオシアネート標識したヤギ抗マ ウス抗体(Boehringer Manheim)で処理した細胞について行なった。 同種クラスIIcDNAの組換えレトロウイルスで形質導入したブタ骨髄細胞中 での発現 MHC遺伝子(DRB)を、組換えレトロウイルスベクター(GS4.5)及 びイン・ビボ適用するためにデザインされた形質導入プロトコールを用いて、ブ タからのクローン原性前駆細胞中にトランスファーした。選択可能な薬物耐性遺 伝子及びこのベクターによりトランスファーされた同種クラスIIcDNAの両者 を、これらの形質導入された前駆細胞の子孫中で発現させた。Neo遺伝子の発 現を、G418選択下でのコロニー形成により機能的にモニターし、他方、クラ スII転写物の存在をPCR分析により検出した。この後者の方法を用いて、内在 性及びウイルス由来のDRB遺伝子の両者の、形質導入して選択したコロニーに おける転写発現を示した。 第一次のブタ繊維芽細胞を、高力価のウイルス上清と共に培養し、次いで、D RB及びNeoに特異的なプローブを用いてノーザンブロットにより分析した。 DRBプローブとユニークにハイブリダイズし且つTKプロモーターから始まり LTR3’RNAプロセッシング部位 にて終了するDRBcDNA転写単位について予想される位置(1700塩基) に移動する特異的転写物が認められた。 GS4.5含有ビリオンがブタ骨髄造血前駆細胞を形質導入することが出来る か否かを測定するために、ブタCFU−GMに適合させたコロニーアッセイを使 用した。形質導入を、SLACハプロタイプのドナーからの骨髄を高力価ウイル ス上清中でインキュベートすることにより行なった。全部で5つの独立した実験 について、G418の存在及び不在において形成されたコロニー数の比較は、C FU−GMの5〜14%が形質導入されたことを示した。 形質導入したCFU−GMから生ずる細胞のコロニーを、DRB特異的転写物 の存在について、RNAをcDNAに変換し、次いでPCR増幅を行なうことに よって試験した。内在性DRBc遺伝子に存在しない多型のSau3AI制限部 位を利用して、DRBd特異的転写物の存在を明確に示した。PCR生成物のゲ ル電気泳動は、ベクター由来のDRBd転写物を示す183/177ダブレット が、形質導入して選択したCFU−GMの子孫のプールからだけでなく、試験し た6つの別個のコロニーの少なくとも4つからの試料においても増幅されたこと を示した。内在性DRBc転写物を示す360bpのPCR断片も又、SLAC ドナーから単離されたPBLからだけでなく、プールしたコロニー試料 及び幾つかの個々のコロニー試料の両者からも予想されるので増幅した。 レトロウイルスGS4.5の構築及び高力価のウイルス上清の作成は、以下に 記載したようにした。CFU由来のコロニー中のDRB特異的転写物のcDNA のPCRによる検出は、上記及び下記のようにした。SLAcドナーからの骨髄 をGS4.5含有ビリオンにさらし、G418選択したコロニーを、DRBc内 在性)及びDRBd(ウイルス由来)特異的転写物の存在について、cDNAの PCRとそれに続くSau3AIでの消化及びアガロースゲル電気泳動により試 験した。対照は次の通りであった:逆転写酵素の存在又は不在において合成され たテンプレート;GS4.5含有ビリオンを産生する細胞、SLAc又はSLAd ドナーから単離されたPBL、及びキャリアーRNAとして用いられる形質導入 してないプロデューサー細胞に由来するテンプレート。 骨髄の形質導入を下記のように行なった。ブタ骨髄を、以前に記載されたよう にして採取し(Pennington等、1988,Transplantation 45:21-26)、形質導入を 、骨髄細胞を高力価ウイルス上清中で、3〜3のm.o.i.にて、8μg/mlのポ リブレンの存在下で、37℃で5時間インキュベートするにより行なった。ミエ ロイド前駆細胞を、PHA刺激したブタリンパ球調整培地を成長因子源として用 いて、メチルセルロース培養におけるコ ロニー形成によりアッセイした。選択培地は、1.2mg/mlの活性G418 を含有した。 形質導入した骨髄を、致死照射したミニブタに投与した。5週目に、末梢血液 リンパ球を、サザーン、ノーザン及び細胞表面FACS分析により分析した。こ れらのすべての試験により、これらの細胞中の形質導入された同種クラスII遺伝 子の存在及びこの遺伝子の生成物の発現の証拠があった。特に、ノーザン分析は 、転写されたcDNAに特徴的なバンドを示し、アロ抗血清及びDRに対するモ ノクローナル抗体の組合せを用いるFACS分析は、末梢リンパ球表面における DRβの形質導入された対立遺伝子の存在を示した。 同種寛容 B10.MBR−B10.AKM株組合せの開発 MHCについて真にコンジ ェニックである株を維持することを意図して、各コンジェニック系統の共通バッ クグラウンドパートナー株への戻し交配が、15年以上前に始められた。戻し交 配動物を交雑させ、適当な子孫を、各コンジェニック系統を再樹立するために血 清学的分類により選択した。こうして、C57BL/10は、一標準バックグラ ウンド株として用いられ、B10バックグラウンド上のすべての他のコンジェニ ック系統を、6〜10世代で各々一回このC57BL/10系統に戻し交配した 。 各コンジェニック系統のその血統の明らかな標準系統 への戻し交配において、勿論、内部MHC組換え事象が起きる機会はある。交雑 (F2)世代の分類は血清学的にかかる組換え事象を示し、組換えが遺伝研究に 潜在的に興味のある新たなハプロタイプを与える場合は、それを外部交配させ、 次いで、交雑させてホモ接合の組換えH−2ハプロタイプを生成する。このコロ ニーで始まるかかる組換え体の最も大切なものの一つは、B10.MBR系統で あり(Sachs 等、1979,J.Immunol.123:1965-1969)、それは、B10.AKM のC57BL/10への戻し交配中の組換え事象から得られた。この株はIkか らIbを分離した最初のものであったので、R−2免疫遺伝学の研究において広 く用いられた。更に、親のB10.AKM株と組合せて、MBR株は、単離され たK遺伝子をこれらの2株間で異なる唯一のMHCとして試験する可能性を提供 する。それ故、図5に示したように、Kb遺伝子のB10.AKM骨髄幹細胞中 への導入は、理論的に、B10.MBRのすべての細胞表面MHC抗原の発現へ と導く。骨髄由来細胞集団における発現は、形質導入した遺伝子の生成物に対す る移植寛容を生じ、この寛容は、B10.MBR株からの組織移植片により試験 することが出来る。 形質導入した骨髄を用いる骨髄除去マウスの再構築80匹の予期されるドナー B10.AKMマウスを−7日目に150mg/kgの5FUで処理した。これ らのマウスから−5日目に骨髄を採取し、抗CD4及び抗C D8モノクローナル抗体(mAb)プラス補体で処理して成熟T細胞を除去し、 psiCripパッケージング細胞系統からのN2−B19−H2bウイルス含 有上清(H2)と共に5日間培養した。対照として、骨髄の1/2をN2−B1 9−H2bを含まない対照パッケージング細胞からの上清(A2)と共にインキ ュベートした。0日目に、45匹のB10.AKMレシピエントに10Gyの全 身照射(TBI)を行ない、続いて、種々の濃度の培養骨髄細胞(A2又はH2 )を投与した。 Kb発現 13日目に最小投与量の培養骨髄を受けた数匹の動物を殺して個々 の脾臓コロニーを採取し、N2−B19−H2bDNAの存在についてPCRに より分析した。更に、脾臓細胞懸濁液を調製し、Kbの細胞表面発現について、 蛍光活性化セルソーター(FACS)上のフローミクロフルオロメトリーにより 分析した。FACS分析は、H2処理した骨髄を受けたすべての動物が対照を上 回る幾らかのレベルのKb発現を示す(非反応性抗体で染色)ことを示した。こ れらの結果を図6に示す(これは、形質導入骨髄のレシピエントからの脾臓細胞 のFACSプロフィルである。A=抗Kb抗体;B=対照抗体)。形質導入して ない骨髄のレシピエントからの脾臓細胞も又、陰性であった。更に、PCR分析 は、試験した各コロニーが形質導入されたDNAを含むことを示した。動物を、 その後、末梢血液リンパ球(PBL)についてFACS及びPCR分析した。2 8日目 及び40日目に、PCR分析は陽性であった。しかしながら、細胞表面発現につ いてのFACS分析は変化し易く、殆どのH2動物からのPBLは、抗Kb抗体 で染色したA2動物からのPBLと比較して又は非反応性HOPC抗体で染色し たH2動物からのPBLと比較して、抗Kbでの染色に対して全ピークの僅かな シフト示した。 同種移植片 40日目に、B10.MBR(Kb特異的)及びB10.BR( 対照。異種の第三者のクラスI)ドナーからの皮膚をすべての動物に移植した。 移植片の生存を毎日、拒絶が完了するまで、blinded 観察者によって記録した( 即ち、どの移植片がどのドナー株からのものであるかを知らないで読みを行なっ た)。生存時間を図7に示し、B10.MBR皮膚移植片の生存の顕著で特異的 な延長をKb形質導入したBMCのレシピエント(図7B)について示すが、対 照骨髄のレシピエント(図7A)については示さない。長期の完全なB10.M BR皮膚移植片を有する動物の1匹を114日目に殺して、そのリンパ組織の細 胞懸濁液をFACSによって試験し、B10.MBR皮膚移植片が拒絶された動 物からの同じ細胞懸濁液と比較した。抗KbmABを用いた胸腺細胞の染色にお いて著しい違いが見られた。細胞懸濁液を調製して、抗KbmAB28−8−6 又は対照抗体HOPC1の何れかで染色した。寛容な動物からの胸腺細胞の亜集 団は、HOPC1に比べて増大した 28−8−6での染色への顕著なシフトを示したが、他方、移植片を失った動物 からの胸腺細胞の染色パターンには本質的に何の変化もなかった。図8は、皮膚 移植片拒絶者(図8A、B)及び皮膚移植受入者(図8C、D)からの胸腺細胞 についてのFACS分析を示している。対照HOPC1抗体(図8A、C)及び 特異的抗Kb抗体(図8B、D)を用いた染色。骨髄細胞についての染色パター ンの類似の比較は、寛容マウスの骨髄中の細胞集団における低レベルのKb発現 の存在を示したが、皮膚移植片を拒絶したマウスでは示さなかった。これらの結 果は、多能性幹細胞若しくは初期前駆細胞集団は寛容マウスにおいてはKbを発 現するが、拒絶者マウスにおいては発現しないこと並びに、このBMC幹細胞は 、胸腺において、Kb反応性TCRを伴う胸腺細胞の発生の不活性化に重要な細 胞上にKb抗原の連続的源を提供するということを示している。Kb発現が寛容マ ウスの脾臓細胞において検出されなかったこと及び一般に脾臓細胞発現は皮膚移 植片の寛容と相関しなかったということに注目するのは興味深い。脾臓は胸腺で 成熟するT細胞を含んでいるので、これらの結果は、胸腺細胞が成熟するにつれ てKbの発現を失うのか或は、Kbを有するこの動物の胸腺細胞がマクロファージ 等の非リンパ様細胞系統の細胞であることに何れかを示唆している。 長期間の発現 上述のように、B10.AKM及びB 10.MBRコンジェニックマウス系統は、MHCクラスI領域を除いて同一で ある。B10.MBR系統からのクラスI遺伝子を含む組換えレトロウイルス( H−2Kb)は、B19パーボウイルスプロモーター(B19−H2Kb)に結合 し、ネオマイシン耐性(neor)遺伝子を、B10.AKM(H−2Kb)骨髄 細胞に導入した。対照として、neor遺伝子のみを含む組換えレトロウイルス をB10.AKM骨髄細胞に導入した。形質導入した骨髄を、抗CD8モノクロ ーナル抗体で前処理した致死的に照射したAKMレシピエントに注入した。BM Tの12週後に、量的PCRを用いて、すべてのレシピエント動物において末梢 血液細胞の5〜30%にB19−H−2Kbプロウイルス配列が存在するという ことを示した。逆転写酵素PCRを用いて、レシピエント動物のサブセットの骨 髄及び脾臓から単離したRNA中にB19−H−2KbmRNAを示した。 Kbレトロウイルスベクターの構築 レトロウイルスベクターは、モロニーマ ウス白血病ウイルスに基づくベクターN2(Armentano 等、J.Virol.61:1647- 1650)を用いた。このウイルス内のコード領域をその構築の間に削除して選択可 能マーカー遺伝子、ネオマイシンホスホトランスフェラーゼ(Neo)(ウイル ス性LTRプロモーターから転写されてG418に対する薬剤耐性を与える)で 置き換えた。この伝統的N2ウイルスを、次いで、パーボウイルス由来のプロモ ーターB19(Liu 等、1991,J.Virol.(印刷中))のNeoの下流への挿入(クラスI抗原H− 2Kbをコードして新たな組換えウイルスN2−B19−H2bを形成する1. 6kbのcDNAが続く)により更に改変した。図9は、N2−B19−H26 レトロウイルスベクター(P=PstI;X=XhoI;H=HinDIII; E=EcoRI;B=BamHI)を描写している。この後者のcDNAは、別 の目的のためのH−2bcDNAライブラリーの構築中に、Waneck等により導か れた(Waneck等、1987,J.Exp.Med.165:1358-1370)。 両栄養性(psi−Crip)(Danos 等、1988,Proc.Natl.Acad.Sci.8 5 :6460-6464 )及び環境栄養性(psi−2)(Sambrook等、1989,Molecular cloniong:A laboratory manual.Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,viral production)のパッケージング細胞系統を用いて、ウイ ルス性生産者細胞系統が生成された。これらの細胞系統は、特に、組換え不全ウ イルスを生成するためのウイルス性構造蛋白質を生成するためにデザインされた 。ウイルス生成は、psi−CripをN2−B19−H2bでトランスフェク トすることにより達成した。両栄養性及び環境栄養性の両生産者細胞系統を、次 いで、同時培養して多重集積事象及び高発現を与えた[即ち、「ピンポン」技術 。Bestwick等、1988,Proc.Natl.Acad.Sci.85:5404-5408 を参照されたい] 。この技術におい て、同時培養は、両栄養性及び環境栄養性ウイルスは異なるレセプターを認識す るので、内因性分泌蛋白質によるウイルス抗原レセプター妨害を克服する。次い で、3T3細胞において107cfu/mlを超えるG418耐性の力価を生成 する環境栄養性psi−2ウイルス性生産者クローンを選択した。 組換えウイルス由来のKbが発現されることを確実にするために、形質導入し た3T3細胞を、この抗原に特異的なモノクローナル抗体で染色してフローミク ロフルオロメトリーにより分析した。これらの実験は、ウイルス由来のKbの高 レベルの発現を明確に示した。 動物及び管理は、次の通りであった:B10.BMR系統[Sachs 等、1979, J.Immunol.123:1965-1969]は、約6年前に、メイン州 Bar Harbor のJackson 研究所に与えられ、現在、その源から、特定の病原体を有しないこの動物のス トックを入手することが出来る。生きている間は、動物を、オートクレーブした 食餌及びオートクレーブした酸性化した飲料水を含むオートクレーブしたミクロ アイソレーターケージに移すべきである。解釈可能な生存研究を実施し得るよう にする動物を病原体を有しない状態に維持するのに有効な無菌動物取扱手順を用 いるべきである。 骨髄移植を次のようにして実施した。マウスにおける骨髄移植のための技術は 、当業者には公知である(例えば、Sykes 等、1988,J.Immunol.140:2903-291 1 を参 照されたい)。簡単に言えば、12〜16週齢のレシピエントB10.AKMマ ウスを致死的に照射(1025R、137Cs源、110R/分)して、8時間 以内に、6〜14週齢の同性のドナーの脛骨及び大腿骨から得た2.5×106 の骨髄細胞で再構成した。動物は、滅菌したミクロアイソレーターケージ内に収 容され、オートクレーブした食餌及びオートクレーブした酸性化した飲料水を受 ける。同系の骨髄は同種の遺伝子で形質導入されるので及び骨髄は5FU処理し たマウス(正常マウスより低い全細胞カウントを有するが一層高い幹細胞含量を 有する)に由来するので、これらの研究のために、この一般的技術の幾らかの改 変が必要である。従って、このプロトコールは、次のとおりである: 1.多能性幹細胞に循環を誘導するために、ドナーを150mg/kgの5− フルオロウラシルで−7日目に処理する(静脈注射)。 2.骨髄をドナーから−5日目に採集して、mAB及び補体によりT細胞涸渇 させる。 3.骨髄を、Kb遺伝子を含む高力価の非感染性レトロウイルス粒子を生成す る環境栄養性パッケージング細胞系統(B17H2Kb−18)からの上清中で 5日間培養する(下記参照)。IL−3及びIL−6をこれらの培養に加える。 4.0日目に、レシピエントB10.AKMマウスを致死的照射して(10. 25Gy)、Kb遺伝子を形質 導入した2.5×106のBMCで再構成する。対照動物を同様に処理する(但 し、それらは、Kb含有ベクターにさらしてない同じ環境栄養性パッケージング 系統からの上清にさらした骨髄を受ける)。レシピエントを抗CD8モノクロー ナル抗体で前処理することも出来る。 細胞及び血清学的アッセイを次のようにして実施する。 抗クラスI細胞媒介のリンパ球溶解(CML)のアッセイ:脾臓をBMTレシ ピエント及び正常マウスから取り出し、赤血球をACK緩衝液を用いて溶解させ て単一細胞懸濁液を調製する。細胞を、100メッシュナイロンを通して濾過し 、洗浄して、10%ウシ胎児血清、0.025mM 2−メルカプトエタノール 、0.01M HEPES緩衝液、0.09mM 非必須アミノ酸、1mM ピ ルビン酸ナトリウム、2mM グルタミン、100U/ml ペニシリン及び1 00μg/ml ストレプトマイシンを加えたRPMI1640からなる完全培 地中に4×106/mlで再懸濁させる。90μlの応答細胞を、照射(30G y)した刺激用脾臓細胞と共に Costar 96ウェル丸底プレートに加える。培養 を、3つの複製それぞれの2列においてセットアップし、6%CO2中で37℃ にて5日間のインキュベーションの後に、5つの異なる応答者:標的比の全部に て細胞溶解能力を試験し得るように2倍の連続稀釈物 を3連の第2列から調製した。51Cr標識した2日間コンカナバリンA誘導した リンパ芽球を、次いで、ウェル当り104の芽細胞で加えて37℃、6%CO2で 4時間インキュベートする。プレートを Titertek 上清採集システム(バージニ ア州、Sterling在、Skatron,Inc.)を用いて採集し、51Cr放出を自動ガンマ ーカウンターを用いて測定する。細胞溶解能力は、測定がプレートされた応答者 の数に基づいてされるように、5日間のインキュベーション期間の終りに存在す る生細胞の数ではなくて最初にプレートした細胞培養において直接測定する。こ の方法論は、この研究所で開発されて、数年間にわたって、個々の動物からの脾 臓細胞応答の分析のために首尾よく用いられてきた[Sykes,M.等、1988 J.Imm unol.140:2903-2911]。特異的溶解パーセントは、下記の式を用いて計算する : 限界稀釈分析:応答者及び刺激者(6×105、30Gy照射)細胞を、96 ウェルプレート中で13%TCGF(BALB/c conA活性化脾臓細胞か ら得たレクチン不活性化conA上清)を含む完全培地中で、7日間同時培養す る。105(24ウェル)、3× 104(24ウェル)、104(30ウェル)、3000(30ウェル)、100 0(30ウェル)、300(30ウェル)及び100(30ウェル)の応答者細 胞を調製する。3000の51Cr標識したconA芽細胞を各ウェルに7日目に 加えて、4時間51Cr放出を測定する。51Cr放出が、同数の標的細胞を加えた だけの刺激細胞を含む24ウェル中の平均51Cr放出を3標準偏差超えている場 合に、ウェルを陽性と考える。ポアッソン分布を用いて各標的を認識する前駆体 CTLの頻度を測定し、統計的分析をTaswell のカイ二乗法によって実施する( Taswell,1981,J.Immunol.126:1614)。 フローミクロフルオロメトリー:1色及び2色のフローサイトメトリーを実施 して、特定の表現型を発現している細胞のパーセンテージを、前に Sykes,1990 ,J.Immunol.145:3209-3215に詳細に記載されたようにして2色データから測定 する。Lysis IIソフトウェアプログラム(Becton Dickinson)を用いて、前方角 及び90°光散乱に基づくゲート制御により顆粒球をリンパ球から区別する。細 胞ソーティングを Coulter Epics Elite セルソーターにて行なう。 フローサイトメトリー用の細胞懸濁液:PBL、BMC、胸腺細胞、脾臓細胞及 びリンパ節懸濁液を、前に記載されたようにして調製する(Sykes,M.等、1988 ,J.Immunol.140:2903-2911;Sykes,M.1990,J.Immunol. 145:3209-3215; Sharabi,Y.等、1990,J.Exp.Med.172:195-202)。全末梢白血 球細胞懸濁液(顆粒球を含む)を、ヘパリン処理した血液を、エッペンドルフ遠 心分離機で14,000RPMで2分間遠心してからバフィーコート層を吸引し て調製した。これらの細胞を15mlの円錐チューブに移して洗う。残ったペレ ットを汚染している赤血球(RBC)を、4.5mlの蒸留H2Oに5秒間さら すことにより溶解させてから0.5mlの10×PBSでレスキューする。 細胞染色:1色及び2色染色を、前に記載されたようにして実施する(Sykes ,M.,1990,J.Immunol.145:3209-3215; Sykes 等、1988,J.Immunol.141:2 282-2288 )。直接染色のみを用いるときはいつでも、ラット抗マウスRcτR mAB 2.4G2(Unkeless,J.C.,1979,J.Exp.Med.150:580-596)の 培養上清を用いて、FcτR結合による非特異的染色をブロックする。次のmA Bを用いる:ビオチン化マウスKb特異的IgG2amAB28−8−6(Ozato 等、1981,J.Immunol.126:317-321)及び対照用マウスIgG2amAB HO PC1(マウス抗原に対する公知の特異的結合を有しない)を、プロテインAセ ファロースカラムにおける精製によって調製し、我々の研究室において用いられ る標準的手順によりビオチン化する;ラット抗MAC1 mAB M1/70( Springer等、Eur.J.Immunol.9:301)を培養上清として用い、マウス抗ラッ トIgG特異的mAB MAR18.5により染色する;FITC標識したラッ ト抗マウス顆粒球抗体Gr1を Pharmingen から購入する;FITC標識したラ ット抗マウスIgM mAbを Zymedから購入する;FITC標識したラット抗 マウスThy1.2 mABをBecton-Dickinsonから購入する;FITC標識し たマウス抗ヒトCD3 mAB Leu4(Becton Dickenson)をFITC標識 したネガティブ対照として直接使用する。 胸腺組織の免疫蛍光検査:組織をL15培地中で24時間インキュベートして バックグラウンド染色を減少させ、次いで、切断してイソペンタン中での凍結の ためにO.C.T.化合物中に包埋する。凍結切片(厚さ4μm)を低温保持装 置にて調製し、乾燥してアセトン中で固定し、PBS中で洗う。第1の抗体イン キュベーション(28−8−6との)を、Fcレセプターを飽和するために、2 %正常マウス血清の存在下で実施する。45分後に、スライドを4回洗い、FI TC結合した第2の試薬(モノクローナルラット抗マウスIgG2a−FITC 、Pandexより購入)を加える。第2の試薬と共に45分間のインキュベーション の後に、4回の洗浄を行なって組織を載せる。切片を、蛍光顕微鏡下で、その組 織が得られた動物の群を知らない観察者によって検査する。 骨髄操作及びアッセイを次のようにして実施した: マウス骨髄幹細胞の形質導入:骨髄細胞の形質導入に用いる方法論は、以前に 記載されている(Karlsson等、1988,Proc.Natl.Acad.Sci.85:6062-6066) 。骨髄を、2日前に150mg/kgの5−FUで処理した6〜12週齢の雌B 10.AKMドナーから採集する。T細胞涸渇(上記参照)に続いて、骨髄を分 割して、10cmプレート当り107細胞を、8μg/mlのポリブレン、10 % FCS、0.6% IL−3含有上清、0.6% IL−6含有上清及びB 19H2Kb若しくはN2細胞由来の新鮮な上清の存在下で5日間培養する。I L−3及びIL−6含有上清は、マウスrIL−3遺伝子含有プラスミッドpC D−IL−3又はrIL−6遺伝子含有プラスミッドpCD−IL−6で、それ ぞれ、トランスフェクトしたCOS7細胞の48時間上清である(両プラスミッ ドは DNAX Corp.の Frank Lee博士により提供された)。IL−3含有上清を、 IL−3依存性細胞系統32Dの増殖を、これらの上清の稀釈物の存在下におい て試験することにより力価測定し、IL−6を、IL−6依存性系統T1165 を指示細胞系統として用いて同じ方法で力価測定する。我々は又、最近記載され たように(Zsebo 等、1990,Cell 63:125-201)、骨髄形質導入におけるマウス SCFの効果を試験する。 これらのウイルス含有上清を、毎日、各プレートの非付着層を採集し、細胞を ペレット化して新たに採集して 濾過したウイルス含有B19H2Kb若しくはN2上清(添加剤を含む)に再懸 濁することによって新鮮にする。5日後、非付着及び付着BMCを採集して洗浄 し、HEPES緩衝液及びヘパリン10U/M1を加えたゲンタマイシンを含む Medium 199に2.5×106/mlで再懸濁する。この懸濁液の1mlを照射し たマウスに静脈注射する。 マウスCFU−GMアッセイ:CFU−GM(コロニー形成単位−顆粒球/マ クロファージ)として公知の骨髄前駆細胞を試験するために、骨髄細胞を、30 %限定ウシ胎児血清(FBS)(ユタ州、Logan 在、HyClone)、10-4M β −メルカプトエタノール、抗生物質、5%(v/v)マウスIL−3培養補足( マサチューセッツ州、Bedford 在、Collaborative Research Inc.)及び0.8 %メチルセルロース(Vancouver 在Terry Fox Laboratoryから購入した市販の調 製溶液の36%v/vの添加による)を含むIMDM培地からなるプレート用培 地に懸濁する。この懸濁液の1.1mlを、次いで、35mm組織培養プレート に分配して(2連で)、37℃のインキュベーター中に置く。その結果のCFU −GM由来のコロニーを、5〜7日後に、顕微鏡的に数える。形質導入したCF U−GMを、培養培地に0.9μg/mlの活性G418を含ませることにより 選択する。形質導入頻度を、次いで、薬剤の存在下及び不在下のコロニーに由来 するCFU−GMの比により 測定する。 分子的方法を次のようにして行なった: N2−B19−H2bベクター:このベクターを、元のレトロウイルスベクタ ーN2(Eglitis 等、1985,Science 230:1395-1398)から出発して構築した(更 なるBamHI部位をXhoI部位の直ぐ3’側に誘導するようにShimada によ り改変された)。それは、Waneck(Waneck等、1987,J.Exp.Med.165:1358-13 70)に記載されたように前にベクターpBG367にクローン化されたKbcD NAを含む。この遺伝子を、N2−B19−H2b構築物を生成するために、高 い効率のパーボウイルス由来のプロモーターであるB19プロモーター[Liu 等 、1991,J.Virol.印刷中]の制御下に置いた。 サザーンブロット分析を、PBL、胸腺細胞、BMC、脾臓細胞又はリンパ節 細胞懸濁液から抽出したDNAについて、標準的方法(Ausubel 等、1989,Curr ent protocols in molecular biology.John Wiley & Sons,ニューヨーク)を用いて行 なうことが出来、pBG367からEcoRIによって遊離されたKbcDNA の断片を用いてプローブ検出を行なう。ゲノムDNAを、形質導入したKbを他 のB10.AKM系統のクラスI遺伝子と区別することの出来る酵素で切断する 。公知の配列から、EcoRIは、1.6kbのバンドを形質導入したKbcD NAから遊離させるはずなので、この目的に 十分なものであることがわかる(それは予想される内在性のB10.AKMのKk 及びDqクラスIバンドと異なる)(Arnold等、1984,Nucl.Acids Res.12:94 73-9485;Lee 等、J.Exp.Med.168:1719-1739)。しかしながら、他のクラスI 及びクラスI様遺伝子から遊離したバンドとの混同がないことを確実にするため に、我々は、幾つかの酵素を先ず、B10.AKM由来のDNAについて試験し て適当な制限酵素の組合せを選択する。 DNAのPCR分析を、前に我々の予備研究において有効であることを示した プライマーを用いて実施することが出来る(図4参照)。 5'プライマー: 5'-GGCCCACACTCGCTGAGGTATTTCGTC-3'(α1エキソンの5’末端をカバ ー)(配列番号3) 3'プライマー: 5'-GCCAGAGATCACCTGAATAGTGTGA-3'(α2エキソンの5’末端をカバー )(配列番号4) これらの特異的オリゴヌクレオチド及びCetusGeneAmp キット(コネチカット、Norw alk,Perkin Elmer Cetus)を製造者の指示に従って用いて、DNAを25サイ クルのPCR増幅にかける。更に、生成物を電気泳動の後にオートラジオグラフ ィーによって可視化するために[32]PdCTPをPCR反応に含ませる。 RNAを、5×106〜5×107細胞から、グアニジンイソチオシアネート及 びCsC1法(Chirgwin等、1979,Biochem.18:5294-5308 )を用いて単離する こと が出来、ノーザン分析、RNアーゼ保護分析及び逆転写酵素により形成された生 成物のPCR分析に用いる。5×106未満の細胞しか利用できない状況(例え ば下記の個々のマウスの尾からの採血)のために、我々は、QuickPrep mRNA Pur ification Kit(Amgen )を、小型化したRNA調製手順として利用する。 ノーザン分析を、標準的方法(Ausubel 等、1989,Current protocols in mole cular biology John & Sons ニューヨーク )及び同じKbcDNA由来のプローブを用 いて行なうことが出来る。ベクター由来のKbmRNAは、cDNAの3’末端 とウイルス性3’LTR内のポリアデニル化部位との間にベクター配列を含むた めに、内在性のクラスI転写物より大きい(2.5kb対1.6kb)。それ故 、ベクター由来のKbmRNAをKbcDNAプローブとクロスハイブリダイズし 得る内在性転写物から区別することは容易である。我々は又、転写物のユニーク な非Kb配列から導いたプローブをも利用する(例えば、B19又はN2由来の ベクター配列からのもの)。 RNアーゼ保護分析は、標準的なノーザンブロットより高感度であり、しかも 定量的である。公開された方法(Sambrook等、1989,Molecular cloning:A labo ratory manual.Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor) に基く手順を用いてリボプローブを導く。簡単に言えば、KbcDNAを、T3 及びT7RN Aポリメラーゼプロモーター配列(Stratageneからのブルースクリプト又はブル ースクリプトプラスミッド)を含むプラスミッドベクター中にクローン化する。 適当なポリメラーゼ及び32P−ヌクレオチドを用いて、挿入物の転写を開始して 放射性KbRNAを精製する。このプローブを、次いで、種々のRNA調製物と インキュベートし、その後、リボヌクレアーゼで処理する。RNAの存在を、配 列決定用ゲル上で電気泳動により評価する。 RNAの逆転写酵素処理の後に、PCRを、Kb転写物を検出するための高感 度の手順として用いる。適当なプライマーを、レトロウイルス由来の転写物を特 異的に増幅するためにデザインする(1つのプライマーが、構築物の5’UT領 域及びcDNA配列から導かれた配列をカバーする)。簡単に言えば、RNAを 、GuSCN/CsC1法により調製し、第1鎖cDNAを5μgの全RNAか らスーパースクリプト予備増幅システム(メリーランド、Gaithersburg在、BRL/Life Technologies,Inc.)を用いて調製する。PCR増幅を、Cetus GeneAmp キッ ト(コネチカット、Norwalk 在、Perkin Elmer Cetus)を用いて、50サイクル行なう (Hansen等、J.Immunol.118:1403-1408)。反応生成物を、3%NuSieve アガロ ースゲル(メイン、Rockland 在、FMC BioProducts )上での電気泳動の後に可視化 する。 同種MHC遺伝子トランスファープラスシクロスポリン 第1に血管新生した同種移植片の運命の決定においてクラスIIMHC遺伝子座 における違いが決定的に重要であることは、以前に、部分的に同系交配したミニ ブタにおいて示された。移植後の早い時期に与えたシクロスポリンは、一律に、 クラスIIマッチしたクラスIミスマッチの腎臓同種移植片の寛容へ導く。しかし ながら、シクロスポリン単独では、完全MHCバリヤーを横切る寛容を生成しな い。クラスIIの重要性と一致して、クラスIIバリヤーを横切る同種骨髄移植は、 骨髄ドナーのクラスIIにマッチするがレシピエントとは完全に異なる腎臓移植片 に対する寛容を誘導する。下記の実験において、SLA不同の腎臓移植を達成す るための特異的移植寛容を、レシピエントの骨髄を一般に移植前に同種SLAク ラスII遺伝子を有するレトロウイルス発現ベクターでの形質導入により改変する 自己の骨髄移植によって誘導した。レトロウイルス発現ベクターは、SLA−D RBa又はDRBcの何れかについてのcDNA及び薬物選択マーカー(Neo) を含み、高力価のウイルス上清を両栄養性パッケージング細胞系統を用いて調製 した。この研究に含まれた5匹の動物からの骨髄を2日目に採取し、次いで、同 種(n=4)又は同系(n=1)MHC遺伝子の何れかについて、約48時間に わたって、ウイルス含有上清と共に培養した。−1日又は0日目の致死照 射(24時間間隔を置いた2フラクションにて10Gy)の後で、動物に、0日 目に、0.4〜1.3×108細胞/kgを移植した。遺伝子トランスファーの 効力を、ネオマイシン耐性について選択するためのG418の存在下で、顆粒球 /マクロファージ前駆細胞についてのコロニー形成単位アッセイ(CFU−GM )を用いて試験した。G418耐性CFU−GMの頻度は、移植直後に動物間で 有意に変動し(6.5〜25.9%)、時間と共にゆっくり減少した。すべての 動物は、骨髄移植の3か月後までに、同種刺激に対する応答性を回復した(ML Rにより試験)。クラスIIMHCのDQ及びDR分子に特異的なMAbを、DQ 及びDRの認識の効果を分離するために、「ブロッキング」MLR研究のために 用いた。同種DRB遺伝子で形質導入した骨髄移植のレシピエントからの細胞を 用いるアッセイにおいて、遺伝子ドナー型細胞に対する応答のDR部分は、強く 減少され、形質導入した遺伝子のDR特異的無応答性の誘導における効力を示し た。この効果は、gg方向に対するDRBaよりcc組合せに対するDRBdにお いて一層著しいにもかかわらずすべての実験動物において認められた。同系遺伝 子で形質導入した対照動物からの細胞を用いるMRLにおいて、MLR中のDR 又はDQのブロッキングは、同じハプロタイプの天然の動物において認められた ものと同一の反応性パターンを示した。BMTの5か月後に、動物を、遺伝子ド ナー型のクラスIIにマッチ且つ元のレシピエントのハプロタイプとは完全にミス マッチである腎臓移植片により攻撃誘発(challenged)した。クラスIMHC及 びマイナー抗原不同に対して寛容化するために、12日間にわたって10〜15 mg/kg/日でシクロスポリンを静脈投与した。3匹の動物が、それらの腎臓 移植片を8、22及び40日目に拒絶した。8日目の早められた拒絶の様式は、 同種遺伝子生成物の発現の望ましくない効果としての増感を示唆するものであっ た。これらの何れのレシピエントにおいても、抗ドナー型抗体の存在は、フロー サイトメトリーによって検出されなかった。一匹の動物が寛容になり、移植後1 01日目で正常のクレアチニンレベルを示した。同系遺伝子で形質導入した骨髄 を受けた動物は、高クレアチニンレベルで病理学的血管変化を伴う重大な拒絶を 受けた。最長生存腎臓移植片のレシピエントも又、G418rCFU−GMの初 期頻度に基づいて判断して、最も効率的に形質導入された自己骨髄を受けた。こ の一例において、組換えサイトカイン[Pixy321 (Pixyは、ヒトGM−CSF/ IL3融合蛋白質である)100単位/ml;マウス幹細胞成長因子20単位/ ml;これらのサイトカインを使用したが、トランスフォームされた細胞と同じ 種からのサイトカインも又使用出来る]を、同種DRBレトロウイルス発現ベク ターでの形質導入中、培養培地に含ませた。これらのサイトカインは、最終的に DRB特異的な低応答性を 誘導した樹状細胞の前駆細胞を含む多系列多能性造血幹細胞の形質導入へと導い た。これらの実験は、骨髄細胞中への体細胞クラスIIMHCDRB遺伝子トラン スファーが、レシピエントの免疫応答に際して著しい機能的意義を有することを 示す。イン・ビトロ及び一層重要なことにはイン・ビボにおいて、完全にミスマ ッチの腎臓移植片の生存のドナー特異的な延長の誘導に伴って免疫機能が有意に 調節された。同種骨髄幹細胞のMHC遺伝子での形質導入は、リンパ造血キメリ ズムに匹敵する機構によりMHCバリヤーを横切る寛容を誘導する方法を提供す る。ここに記載した実験で用いた致死的照射は、一層臨床的に許容される様式で 骨髄植付けを可能にする骨髄除去しない条件の養生法で置き換えることが出来る 。III.骨髄移植を伴う寛容の誘導 クラスI及び他のマイナーな不同に対する寛容を誘導するための、骨髄細胞の 移植と組合せた高投与量シクロスポリンの短期コース(サイトカイン放出を刺激 する治療例えばプレドニゾンでの治療の不在にて施与する)は、クラスII不同に 対する寛容を誘導する 。 異種移植片: 下記の手順を、移植された器官(異種移植片)が拒絶前に異種 移植宿主において生存する時間を延長するためにデザインした。この器官は任意 の器官例えば肝臓、腎臓、心臓であってよい。主要な戦略は、器官灌流による天 然抗体の排除、寛容誘導性骨髄の移 植、適宜に、ドナーの間質組織の移植、及び適宜に、上記のように移植片の導入 の頃に補助減縮剤の短期コースを施与することである。レシピエントの移植に対 する準備は、これらのステップの何れか又はすべてを含む。好ましくは、それら を下記の順序で行なう。 第一に、ウマ抗ヒト胸腺細胞グロブリン(ATG)の調製物を、レシピエント に静脈注射する。この抗体調製物は、成熟T細胞及びナチュラルキラー細胞を排 除する。もし排除されないと、成熟T細胞は、骨髄移植片及び異種移植片自身( 感作後)の両者の拒絶を促進するであろう。同様に重要なことであるが、ATG 調製物は又、ナチュラルキラー(NK)細胞をも排除する。NK細胞は、恐らく 、移植された器官に影響を有しないが、新たに導入された骨髄を直接作用して拒 絶するであろう。任意の哺乳動物宿主から得た抗ヒトATG、例えばウマ由来の ATGより低い力価であったが、ブタで生成されたATGも用いることが出来る 。ATGは、ATGにおけるポリクローナル混合物はすべての宿主NK細胞を溶 解させることが出来るが、抗NKモノクローナル抗体は一般にすべての宿主NK 細胞を溶解させることはないので、抗NKモノクローナル抗体より優れている。 しかしながら、抗NKモノクローナル抗体を用いることは出来る。 宿主T細胞が移植後再生する時期における、宿主胸腺中のドナー抗原の存在は 、宿主T細胞を寛容化するため に決定的に重要である。もしドナーの造血幹細胞を、宿主T細胞が再生される前 に宿主胸腺内で樹立して寛容を誘導することが出来なかったならば、この非骨髄 除去養生法の間中、抗レシピエントT細胞抗体の反復投与が必要であろう。宿主 T細胞の連続的涸渇は、数週間にわたって必要であろう。或は、例えば、もしこ のアプローチが成功せず、寛容がこれらの動物において誘導されない[ドナー皮 膚移植片受容、特異的細胞性低応答性(イン・ビトロ)及び体液性寛容により測 定]ならば、このアプローチを改変して宿主の胸腺摘出を含むことが出来る。胸 腺摘出されたレシピエントにおいて、宿主T細胞は、宿主胸腺内で分化する機会 を持たず、従って、ドナーの胸腺内で分化しなければならない。もしこれが可能 でないならば、その動物は、免疫適格について、ドナー胸腺内でのドナーT細胞 の発達に依存しなければならない。免疫適格は、非ドナー型異種ドナー皮膚移植 片を拒絶する能力及び病原体を含む環境で生存する能力により測定することが出 来る。 貧血を回避するために、レシピエントを脾臓摘出することも必要又は望ましい であろう。 第2に、レシピエントに、新たに注入された骨髄細胞のための場所を作るため に低線量照射を施与する。100〜400ラドの準致死線量(全身照射)プラス 700ラドの局所的胸腺照射が、この目的に効果的であることが見出された。 第3に、天然の抗体を、ドナー種の肝臓の血液灌流によりレシピエントの血液 から吸収する。前もって形成されていた天然抗体(nAB)が、移植片拒絶の第 一次因子である。天然抗体は異種内皮細胞に結合し、それらは第1にIgMクラ スである。これらの抗体は、異種ドナーの抗原に対する如何なる公知の以前の曝 露にも依存しない。これらの天然抗体をを生成するB細胞は、T細胞非依存性の 傾向があり、通常、発生中に自己抗原に曝露されることによりこれらの抗原に対 して寛容となる。新たに発生中のB細胞が寛容化される機構は未知である。肝臓 は、腎臓より一層効果的な天然抗体の吸収体である。 骨髄除去をしない手順における第4のステップは、ドナー間質組織好ましくは 胎児の肝臓、胸腺及び/又は胎児の脾臓から得たものをレシピエント中に好まし くは腎臓被膜内に移植することである。異種バリヤーを横切る幹細胞植付け及び 造血は、ドナー種からの造血間質環境を提供することにより増大される。間質マ トリックスは、造血細胞及びそれらの間質環境間の相互作用に必要な種特異的因 子例えば造血成長因子、接着分子及びそれらのリガンドを供給する。 肝臓は、胎児における造血の主要部位であるので、胎児肝も又造血幹細胞源と して骨髄の代替物として働き得る。胸腺は、T細胞成熟の主要部位である。各器 官は、宿主中に移植されたそれぞれの未分化幹細胞の分化を支 持することの出来る器官特異的な間質マトリックスを含む。成体胸腺を使用する ことも出来るが、妊娠の十分初期に得られた胎児組織は、GVHDを引き起こし 得る成熟Tリンパ球を含まないので好ましい。GVHDに対する更なる用心とし て、胸腺間質組織を、移植前に、例えば1000ラドで照射することが出来る。 移植の別法又は補助として胎児肝細胞を懸濁液にて投与することが出来る。 第5に、ドナーの骨髄細胞(BMC)又は他の造血幹細胞の源例えば胎児肝懸 濁液を、レシピエントに注入する。ドナーのBMCは、レシピエントの適当な部 位に帰り、残りの宿主細胞と隣接して成長して増殖し、キメラ状リンパ造血集団 を形成する。このプロセスにより、新たに形成中のB細胞(及びそれらが産生す る抗体)は、ドナー抗原にさらされるので、この移植片は自己として認識される ようになる。ドナーに対する寛容は又、造血幹細胞例えばBMCの植付けが達成 された動物中のT細胞レベルにおいても認められる。骨髄キメリズムが誘導され てから数か月後に器官移植片をかかるレシピエント中に位置させた場合には、ド ナーに対する天然抗体は消失し、移植片は免疫系の体液性及び細胞性防御の両者 に受容されるはずである。このアプローチは、造血細胞移植、例えばBMT例え ば胎児肝懸濁液の移植の後、器官移植の時点で正常な健康及び免疫適格が回復し ている程十分長期間経っても器官移植を可能にするという更なる 利点を有する。異種ドナーの利用は、同じ動物又は遺伝的にマッチする動物から の骨髄細胞及び器官を使用する可能性を与える。 最後に、補助減縮剤の短期コース例えば高投与量CsAの短期コースをレシピ エントに施与することが出来る。上記のように、このコースを移植の頃又はその 少し前に初め且つ、成熟T細胞が刺激され、拒絶を開始するのに要する時間とほ ぼ等しい時間にわたって継続する。これらの手順の何れもが移植された器官の生 存を助成し得るが、最良の結果は、すべてのステップを組合せて用いたときに達 成される。この発明の方法を用いて、同種移植片(例えば、移植片のドナー及び レシピエントの両者がヒト)及び異種移植片(例えば、移植片のドナーが非ヒト 動物、例えばブタ例えばミニブタであり、移植片レシピエントが霊長類、例えば ヒト)に対する寛容を与えることが出来る。 これらの手順の何れもが移植された期間の生存を助成するが、最良の結果は、 すべてのステップを組合せて用いたときに達成される。この発明の方法を用いて 、同種移植片(例えば、移植片のドナー及びレシピエントの両者がヒト)及び異 種移植片(例えば、移植片のドナーが非ヒト動物、例えばブタ例えばミニブタで あり、移植片レシピエントが霊長類、例えばヒト)に対する寛容を与えることが 出来る。 異種移植片の場合に、移植片のドナー及び寛容誘導性 造血細胞又は灌流用の肝臓を供給する個体は、同一個体であるか又は出来るだけ 密接に関連しているべきである。例えば、高度に同系交配したドナー集団から移 植用組織を得ることは好ましい。 詳細なプロトコール ミニブタドナーからの腎臓のレシピエントとしてカニクイザルを準備する下記 のプロトコールにおいて、レシピエントの動脈及び静脈カニューレを灌流用肝臓 に接続した時点をゼロ時間と定義する。 −1日目において、市販のウマ抗ヒト抗胸腺細胞グロブリン(ATG)の調製 物をレシピエントに注射する。ATGは、排除しなければ、寛容を誘導するため に用いる骨髄細胞の拒絶を引き起こすであろう成熟T細胞及びナチュラルキラー 細胞を排除する。レシピエントを麻酔し、IVカテーテルをレシピエントに挿入し 、そして6mlのヘパリン化全血液を感染前に取り出す。次いで、ATG調製物 を静脈注射する(50mg/kg)。6mlのヘパリン化全血液を、30分、2 4時間及び48時間の時点において試験するために吸い出す。血液試料を、ナチ ュラルキラー細胞活性に対する抗体処理の効果について分析し(K562標的に ついて試験)、CD4、CD8、CD3、CD11b及びCD16を含むリンパ 球サブポピュレーションについてFACS分析により分析する。両アッセイから の予備データは、細胞の両グループがATGの投与により排除されることを示す 。 もし成熟T細胞及びNK細胞が排除されないならば、器官移植の前及び後のこの 手順のもっと遅い時期に再投与することが出来る。 準致死的照射を、−1〜−8日目に、レシピエントに施与することが出来る。 照射は、十分なレシピエントの内在性BMCを排除して新たに導入された外来の BMCの造血を刺激するのに必要である。準致死的全身照射は、レシピエントに 対する最小毒性効果にて植付けを許すのに十分である。全身照射(150ラド) を、両側からの(TRBC)コバルト遠隔放射線療法で、10ラド/分にて、カ ニクイザルレシピエントに施与する。植付けを促進するために、胸腺の局所的照 射(700ラド)も用いることが出来る。 天然抗体は、器官拒絶の第1の原因である。移植前にレシピエントの循環系か ら天然抗体を除去するために、0日目に、天然抗体(nAB)の手術的吸収を、 下記のようにミニブタの肝臓を用いて行なう。−90分において、ブタドナーを 麻酔し、標準的手術手順により肝臓を取り出す準備をする。−60分において、 レシピエントのサルを麻酔する。末梢IVカテーテルを挿入し、6mlの全血液試 料を吸い出す。正中線切開により、腹大動脈及び大静脈を取り出す。血液採取用 のサイドポートを有するシラスティックカニューレをこれらの血管に挿入する。 −30分において、肝臓をインシトゥーで薄色になる まで灌流し、次いで、ブタドナーから取り出して冷リンゲルラクテート中に置く 。この肝臓を、サルにおける再灌流の直前まで冷やしておく。肝臓のバイオプシ ーを行なう。−10分において、肝臓を温アルブミン溶液で、肝臓が暖まる(3 7℃)まで灌流する。 0時間において、レシピエントの動脈及び静脈カニューレをドナーの肝臓の門 脈及び大静脈に接続して灌流を開始する。肝臓バイオプシーを、30分及び60 分にそれぞれ行なう。レシピエント血液試料を血清用にも、30分及び60分に てそれぞれ吸い出す。60分に、肝臓をカニューレから分離し、レシピエントの 大血管を修復する。レシピエントのサルから有害な天然抗体を吸収する機能を果 たした肝臓を捨てる。血清用の更なる血液試料をレシピエントから、2、24及 び48時間にて吸い出す。この手順を2つのブタ肝臓の順次的灌流にて行なった 場合、第2の肝臓は、灌流中軽い虚血性変化の証拠を示さなかった。30分の灌 流の終りに、第2の肝臓は、隣接する2つのカニューレにおいて動脈の流入血液 と比べて黒ずんだ静脈の流出血液により証明されるように大いに正常且つ機能的 であるようであった。これらの肝臓からの組織切片は正常であったが、免疫蛍光 染色は内皮細胞にIgMを示した。血清試料は、天然抗体の減少を示した。 T細胞及びB細胞媒介の寛容による移植された器官の長期生存を促進するため に、ドナー骨髄細胞をレシピエ ントに投与してキメラ状骨髄を形成する。骨髄中のドナー抗原の存在は、新たに B細胞を発生させ且つ新たにT細胞を感作してドナーの抗原を自己として認識さ せ、それにより、ドナー由来の移植された器官に対する寛容を誘導することを可 能にする。ドナーのBMCを安定化するために、ドナーの間質組織(胎児肝の組 織スライスの形態)、胸腺及び/又は胎児脾臓を、レシピエントの腎臓被膜の下 に移植する。間質組織は、好ましくは、造血幹細胞例えばBMC又は胎児肝細胞 懸濁液の投与と同時に又は投与前に移植する。 キメリズムの後に、2色フローサイトメトリーを用いることが出来る。このア ッセイは、モノクローナル抗体を用いて、ドナークラスI主要組織適合抗原及び 白血球共通抗原をレシピエントクラスI主要組織適合抗原に対して識別する。次 に、BMCを、器官移植と同時に又は移植前に注射することが出来る。以前に記 載のように、骨髄を採取し、静脈注射(7.5×108/kg)する(Penningto n等、1988,Transplantation 45:21-26)。寛容が誘導される前に天然抗体の再発 が見られ、これらの抗体が移植片に障害を引き起こすならば、プロトコールを改 変してBMT後に十分時間をおいて器官移植前に体液性寛容が樹立されるように することが出来る。 上記のアプローチは、共同して移植拒絶の問題を防ぐようにデザインされてい る。腎臓をカニクイザルに、肝臓の天然抗体吸収後に、寛容を誘導するための骨 髄移植 を用いずに移植した場合には、腎臓機能は、腎臓の拒絶の前に1〜2日間持続し た。4つの手順(肝臓灌流による天然抗体の吸収、ATGの投与、準致死的照射 及び骨髄注入、その後にブタ腎臓を霊長類レシピエントに移植する)を行なった 場合には、腎臓は、拒絶前に7日間機能した。移植された器官の拒絶にもかかわ らず、レシピエントは健康を維持した。 ブタ胎児肝及び胸腺間質組織を2匹の準致死的照射したSCIDマウスの腎臓 被膜下に移植した場合、移植の2週間後において、末梢血液白血球の25〜50 %は、ドナー系列であった。胎児肝を胸腺を伴わずに受けた第3の動物において は、有意の程度のキメリズムは検出されなかった。 この発明の方法を、説明したように、組合せて、又は一部分で用いることが出 来る。 この骨髄細胞を導入する方法を変えることが出来、特に、(1)造血幹細胞の 注射と移植との時間間隔を増すこと;(2)注射する造血幹細胞の量を増し又は 減じること;(3)造血幹細胞注射の回数を変えること;(4)造血幹細胞の送 達方法を変えること;(5)造血幹細胞の組織源を変えること、例えば胎児肝細 胞懸濁液を用いることが出来る;又は(6)造血幹細胞のドナー源を変えること によって変えることが出来る。移植片ドナーから導いた造血幹細胞が好適である が、造血幹細胞を他の個体若しくは種から、又は遺伝子操作した同系交 配ドナー株から、又はイン・ビトロ細胞培養から得ることも出来る。 造血幹細胞の移植のためにレシピエントを準備する方法を変えることが出来る 。例えば、レシピエントは、脾臓摘出又は胸腺摘出を受けることが出来る。後者 は、好ましくは、骨髄を除去しない養生法の前例えば−14日に施与する。 天然抗体の血液灌流は、(1)他の血管器官例えば肝臓、腎臓、腸を利用する ;(2)複数の逐次的器官を利用する;(3)各器官を灌流する時間の長さを変 える;(4)灌流される器官のドナーを変えることが出来る。レシピエントの照 射は、(1)準致死的範囲より低い全身照射の吸収線量を変える;(2)種々の 身体部分(例えば、胸腺、脾臓)を標的とする;(3)照射率を変える(例えば 、10ラド/分、15ラド/分);又は(4)照射と造血幹細胞移植との時間間 隔を変える(1〜14日の任意の時間間隔を用いることが出来、ある種の利益は 4〜7日の時間間隔の利用から生じ得る)ことを利用することが出来る。造血細 胞移植前に導入する抗体を、(1)T細胞サブセット又はNK細胞に対するモノ クローナル抗体を利用すること(例えば、Hercend 等の米国特許第4,772, 552号に記載された抗NKH1A、参考として本明細書中に援用する);(2 )抗ヒトATGを他の哺乳動物宿主にて調製すること(例えば、サル、ブタ、ウ サギ、イヌ);又は(3)上記の宿 主の何れかにおいて調製した抗サルATGを用いることにより変えることが出来 る。 この発明の方法を他の哺乳動物レシピエント(例えば、アカゲザル)に用いる ことが出来、又、他の哺乳動物ドナー(例えば、霊長類、ヒツジ又はイヌ)を用 いることが出来る。血液灌流の別法又は補助として、宿主抗体を、過剰の造血細 胞の投与により涸渇させることが出来る。 造血細胞移植例えばBMT前に導入する間質組織を、(1)胎児肝及び胸腺組 織を細胞懸濁液として投与すること;(2)胎児肝又は胸腺間質組織の何れか一 方のみを投与すること;(3)間質移植組織を他の被膜を有する十分血管化され た部位に置くこと、又は(4)成体胸腺又は胎児脾臓を間質組織源として用いる ことにより変えることが出来る。 キメラブタにおける完全にMHCミスマッチの腎臓同種移植片に対する寛容 ミニブタにおける腎臓移植片(KTx)の寛容の達成に対する主要組織適合性 複合体(MHC)クラスIIマッチングの圧倒的重要性が以前に示された。クラス II抗原がマッチする場合、MHCクラスI及びマイナー抗原(MA)バリヤーを 越える長期の特異的寛容を、シクロスポリンの短期コースによって一様に誘導す ることが出来る。しかしながら、シクロスポリンは、全MHCバリヤーを越える この効果を生じない。単一ハプロタイプク ラスIIMHC+MAバリヤーを越える骨髄移植(BMT)は、FCMにより確認 されたように、完全キメラ動物を創出した。これらのキメラは、BMTの2〜3 か月後に正常な細胞性免疫機能を回復する(MLR及びCMLにより試験)。4 匹のかかるキメラ動物(表1の1〜4番参照)は、MBTドナーとクラスIIマッ チするがレシピエントとは完全にミスマッチのドナーからの腎臓移植片を受けた 。シクロスポリン(10mg/kg/日)の12日コースが、腎臓移植後の唯一 の免疫抑制であった。4匹のすべてのブタは、300日より長期間正常クレアチ ニン(Cr)値(<2mg%)を維持し、−レシピエントは、良好な腎臓機能を 有して3年より長く生存し、移植片組織学は最小境界線拒絶を示した。これらの 結果は、BMTによるクラスII抗原に対する寛容の誘導が、完全に異種の腎臓移 植片に対する特異的寛容を誘導することを可能にすることを示す(皮膚移植片に より試験)。続いて、我々は、この現象の特異性を、単一ハプロタイプクラスII +MAミスマッチBMTが、レシピエント及びBMTドナーの両者と完全にミス マッチの腎臓移植片のシクロスポリン誘導した長期受容を促進するかを測定する ことによって試験した(表1の5〜10番)。シクロスポリンの12日コースは 、キメラレシピエントにおけるかかる腎臓移植片の長期生存を与えた。5番の動 物は未だ生存し、正常Crレベルを有して臨床的に良好であった;しかしながら 、組織学は、境界線拒 絶を示している。6番の動物を腎臓移植の18か月後に殺したが、腎臓機能の低 下を有した(Cr>11mg%)。7番の動物を、感染症の故に、腎臓移植の6 か月後に殺したが、腎臓移植片は、血管傷害の徴候を有しない中程度の腸管(tu bulointestinal)浸潤物を示した。両長期生存動物(3番及び5番のブタ)を、 最近、抗ドナー反応性について試験した。CML及びMLRは、腎臓移植片ドナ ー型細胞に対する特異的非応答性を示した。8〜10番のブタは、異系交配した ヨークシャードナーからの腎臓移植片を受けた。これらの動物は、シクロスポリ ン治療の停止後少しして始まる不可逆的腎不全を発生した。 従って、MHCクラスIIミスマッチのBMTレシピエントにおけるシクロスポリ ンの手術後短期コースは、BMTドナーとクラスIIマッチする腎臓移植片に対す る寛容を誘導することを可能にする。ある場合には、明らかに複数の遺伝子座の 不同の程度に依存(同系交配及び異系交配ドナー間の差異と比較)して、レシピ エント及びBMTドナーの両者と完全にミスマッチの腎臓移植片に対する長期非 応答性を達成することが出来る。 霊長類同種腎臓移植におけるT細胞機能を抑制するためのシクロスポリンの短 期コース 下記の実験は、植付けを達成するための骨髄を除去しないプロトコールにおい て得られた混合キメリズムが、多系列リンパ造血キメリズム及び完全にMHCミ スマッチのカニクイザル間の腎臓移植片に対する長期の寛容を生じ得ることを示 す。骨髄移植を寛容誘導養生法として用いる場合には、宿主のリンパ造血要素の 完全除去は、必要でないし望ましくもない。それよりも、混合キメリズムの状態 を達成することが有利であり、該状態において、ある種のドナー由来の要素の存 在が特異的寛容を誘導し、他方、宿主型抗原提示細胞は正常免疫適格を維持する 。 混合キメリズムを達成するためには、成熟宿主T細胞の除去が重要であること がマウスにおける研究において示されている。完全にMHCミスマッチのカニク イザルを用いる初期の研究において、種々のモノクローナル抗 体を、成熟T細胞サブセット(抗CD4及び抗CD8)並びにT細胞涸渇剤とし ての抗胸腺グロブリン(ATG)の幾つかの源に対して試験した。これらの抗体 処理は末梢血液中のT細胞の著しい涸渇を生じたが、リンパ節のバイオプシーは 、残余のT細胞が残っており、しばしば抗体で覆われていることを示した。T細 胞機能を更に抑制するために、筋肉内投与用の油中シクロスポリン(CyA)調 製物を用いる治療の1か月コースを、調製養生法に加えた。この治療は、薬物投 与中にシクロスポリンの治療レベルを生じ、薬物を停止した後3週間の期間にわ たって漸減するレベルを生じた。非致死的な調製養生法の基本的プロトコールは 、次の通りである:体重6〜10kgのカニクイザル(マサチューセッツ、Wilmington在 、Charles River Primates)を、300ラドのWBI、−6日目における単一照 射(#M393)又は−6日目と−5日目の各150ラドの2フラクション(# M3093及び#M3293)で処理した。700ラドの胸腺照射を−1日目に 施与した。ウマ抗ヒト胸腺グロブリン(ATG)(Upjohn)を、−2、−1及び 0日目に50mg/kgにて筋肉内投与した。0日目に、正中線切開により、ド ナーの腎動脈及び腎静脈を、レシピエントの大動脈及び大静脈中に、それぞれ、 末端から側面へ(end to side)吻合し且つ排尿のために尿管尿管吻合すること により、正常位の腎臓移植を行った。骨髄を2匹のドナーウサギから採取し、単 離細胞浮遊液として調 製して、腎臓移植の最後にレシピエント中に静脈から注入した。シクロスポリン (Sandimmun,15mg/kg/日、オリーブ油中に懸濁)での治療(筋肉内投与 )を、0日目に始めて27日間継続した。 サル#393は、8日目に汎血球減少となり、血液型の適合した輸血を3回必 要とし、次の2週間にわたって全血液を照射した。しかしながら、末梢血液成分 はその後徐々に回復し、30日目までに正常となった。腎臓機能は250日より 長期にわたって正常であり、215日目のバイオプシーは正常腎臓を示した。 この動物について、ドナーを宿主から区別することを予め測定したモノクロー ナル抗クラスI抗体を用いて、逐次的フローサイトメトリー(FMC)分析を行 ない、リンパ様細胞、単核細胞及び好中球ポピュレーションを散乱プロフィル測 定により分析した。3つのすべてのサブポピュレーションにおけるキメリズムの 明白な証拠が、最初、10日目に検出され、27日目にシクロスポリン治療を停 止するまで同様に高レベルを持続した。それ故に、各サブポピュレーションにお いて検出されたキメリズムのレベルは減少したが、キメリズムは、FCMによっ て、リンパ球(1.5%)及び単核細胞(29%)中で、203日目に依然とし て検出可能であった(最後の日に試験した)。更に、203日目の骨髄吸引は、 FCMにより、11.2%のドナー細胞を示した。 混合リンパ球反応は、予備移植を行ない、移植後159日目に、抗ドナー反応 性の特異的喪失を示した(表2)。 この結果は、27日目以後、何らの更なる外因性の免疫抑制を伴わずに正常な 腎臓機能及び正常な腎臓組織学と合わせて、我々に、特異的な移植寛容がこの動 物中に混合キメリズムの樹立により誘導されたということを結論させる。更なる 2匹の動物を、同じプロトコールで処理したが、3週間にわたる徐々に漸減する レベルではなく、停止後に血液中のシクロスポリンレベルの急激な下降を生じる シクロスポリン調製物の静脈内投与を用いた。これらの動物の内の1匹は、感染 症のため、形成不全期間中に12日目に死亡し、他方は、シクロスポリンの停止 後にキメリズムの証拠を喪失し、100日目に未だ生存したが、臨床及び病理学 的基準の両者により慢性 的拒絶と一致する経過を示した。 調製養生法の毒性を減少させるために、我々は、続いて、照射プロトコールを 改変した。一匹の動物(#3893)において、WBIを1.5Gyに減らした 。この動物は、混合キメリズムを発生し得ず、腎臓移植片を拒絶した(47日目 にて、クレアチニン=12.1)。更なる2匹の動物(#3093及び#329 2)において、WBIを3.0Gyに維持したが、単一照射ではなく、連続する 2日(−6及び−5日目)の1.5Gyに分けた。これらの動物の両者とも混合 多系統キメリズムを生じ、それぞれ、11及び20日目に最初に検出可能であっ た。それらは、分割しない照射を受けた動物よりずっと低い調製養生法の毒性を 示し、両者は、この文章を書いているこの時点において、正常の腎臓機能を持つ キメラを維持している(それぞれ、40日目及び25日目)。 混合キメリズムアプローチによるブタからサルへの腎臓異種移植 下記の実験は、以前に調和性ゲッ歯動物系において効果が示された異種リンパ 造血キメリズムアプローチによる、サルにおけるブタの器官に対する寛容の誘導 を示す。今までに、16匹のカニクイザルが、ブタ腎臓移植片を同じドナーから の異種骨髄と共に受けた。これらの異種移植片についての調製養生法は、1)骨 髄を除去しない全身照射(WBI)及び胸腺照射による調整;2) サルの血液をブタの肝臓を灌流させることによる前に形成されたmAbの除去; 3)脾臓摘出術;4)ATG及び/又はmAbを用いるT細胞涸渇;及び5)シ クロスポリン(及びある種の動物では抗IgMmAb)を用いる手術後免疫抑制 を含む。10匹の動物が4日より長く生存し、最長で13日間生存し、11日目 まで正常な腎臓機能を有した。この動物において、ブタの細胞は、移植後10日 目においてのみ末梢血液中に検出され、これは、一時的な異種キメリズムを示唆 した。2匹のサルは、腎臓異種移植前に脾臓摘出とブタ肝臓灌流のみを受けた。 これらの動物の一方において、移植後更なる免疫抑制は施与しなかったが、腎臓 は、3日間機能し、その後急速に機能を喪失して、5日目までに完全に拒絶され た。このサルの血清のフローサイトメトリーによる分析は、拒絶と相関する高力 価のIgMの再発を示した。第2の動物において、シクロスポリン15mg/k g/日及び15デオキシスペルグアリン(DSG)6mg/kg/日を、移植後 に静脈投与した。腎臓は、7日目まで機能し、その後衰弱して、8日目に除去さ れた。病理学的検査は、パッチ状の間質の出血に加えて焦点の炎症性浸潤物を示 した。この浸潤物は、約20%のT細胞を含んだ(CD3、CD4及びCD8に 対するmAbを用いる染色により測定)。IgM天然抗体は、この動物における 肝臓灌流中に効果的に除去され、著しいことには、それらはその後血清中に現れ ず、IgGレベルは、 7日目に上昇し始め、腎臓機能不全の開始と相関した。これらの結果は、1)天 然抗体(IgM)応答が、ブタ肝臓による吸収及びDSGによる手術後抑制を含 む調製養生法の構成要素により効果的に排除されたこと;及び2)この調製養生 法のT細胞抑制用の構成要素(即ち、照射、シクロスポリン及びATG)は、こ れらの実験において、細胞性及び第二次(IgG)応答を防ぐことを要求される ことを示す。 他の具体例 造血細胞移植例えばBMT前に導入した間質組織を、(1)胎児肝及び胸腺組 織を細胞懸濁液として投与すること;(2)胎児肝又は胸腺間質組織の何れか一 方のみを投与すること;(3)間質移植組織を他の被膜を有する十分血管化した 部位内に置くこと;又は(4)成体胸腺又は胎児脾臓を間質組織源として使用す ることによって変えることが出来る。 同種抗原又は同種移植片に対する寛容を誘導し又は受容を促進するためのここ に記載した方法は、ドナーとレシピエント間で移植片拒絶に影響するMHC遺伝 子座又は他の遺伝子座に如何なる程度のミスマッチがある場合にも使用すること が出来る。好ましくは、少なくとも1つのMHC遺伝子座又は認識及び拒絶を媒 介する少なくとも1つの他の遺伝子座例えばマイナー抗原遺伝子座にミスマッチ がある。クラスI及びクラスIIMHC遺伝子座に関して、ドナー及びレシピエン トは、クラスIでマ ッチし且つクラスIIでミスマッチする;クラスIでミスマッチし且つクラスIIで マッチする;クラスIでミスマッチし且つクラスIIでミスマッチする;クラスI でマッチし且つクラスIIでマッチすることがあり得る。これらの組合せの何れに おいても、認識及び拒絶を制御する他の遺伝子座例えばマイナー抗原遺伝子座は 、マッチし又はミスマッチし得る。上述のように、少なくとも一遺伝子座におい てミスマッチであることが好ましい。MHCクラスIにおいてミスマッチとは、 1つ以上のMHCクラスI遺伝子座についてミスマッチであることを意味し、例 えばヒトの場合には、HLA−A、HLA−B若しくはHLA−Cの1つ以上に おけるミスマッチ、又はブタの場合には、1つ以上のSLAクラスI遺伝子座例 えばブタA若しくはB遺伝子座におけるミスマッチを意味する。MHCクラスII においてミスマッチとは、1つ以上のMHCクラスII遺伝子座においてミスマッ チであることを意味し、例えばヒトの場合には、DPα、DPβ、DQα、DQ β、DRα若しくはDRβの1つ以上においてミスマッチ、又はブタの場合には 、1つ又はSLAクラスII遺伝子座におけるミスマッチ例えばDQα若しくはβ 又はDRα若しくはβにおけるミスマッチを意味する。 同種抗原又は同種移植片に対する寛容を誘導するためのここに記載の方法は、 ドナーとレシピエントの間に、混合リンパ球アッセイにおける如何なる程度の反 応性が ある場合(例えば、ドナーとレシピエントの間の混合リンパ球反応性がない場合 、低い場合、中程度の場合又は高い場合)にも使用することが出来る。好適具体 例において、混合リンパ球反応性を用いてクラスIIについてのミスマッチを規定 し、この発明は、混合リンパ球アッセイにより規定した如何なる程度のミスマッ チを有する個体間の同種移植をも実施する方法を含む。血清学的試験を用いてク ラスI又はII遺伝子座におけるミスマッチを規定することが出来、この発明は、 血清学的方法で測定してクラスI又はIIおいて如何なる程度のミスマッチを有す る個体間の同種移植をも実施する方法を含む。好適具体例において、この発明は 、血清学的及び又は混合リンパ球反応性アッセイにより測定してクラスI及びク ラスIIの両者においてミスマッチである個体間の同種移植を実施する方法を特徴 とする。 この発明の方法は、新生物疾患、特に通常の様式の治療例えば化学療法又は放 射線療法に耐性の疾患で苦しめられている組織又は器官を置き換えるのに特に有 用である。この発明の方法を用いて、移植片例えば同種移植片例えば1つ以上の クラスI遺伝子座、1つ以上のクラスII遺伝子座、又は1つ以上のクラスI及び クラスII各遺伝子座でミスマッチのドナーからの同種移植片に対する寛容を誘導 することが出来る。好適具体例において、移植片は、消化管由来の組織例えば胃 由来の組織又は腸組織(例えば小腸、大腸若しくは結腸)を含み;移植片 は、レシピエントの消化系の一部、例えば消化管例えば胃、腸(例えば、小腸、 大腸、結腸)の全部又は部分を置き換える。 寛容とは、ここで用いる場合、抗原に対する完全な免疫学的寛容だけでなく、 部分的な免疫学的寛容即ちこの発明の方法を用いなかったならば見られたであろ うものより大きい程度の抗原に対するの寛容のことをもいう。 ここで論ずる場合、混合キメリズムの発生を促進するために、移植片レシピエ ントを照射にさらすことは、しばしば、望ましい。本発明者は、照射線量を分割 することにより、即ち照射を2回以上の曝露又は期間にて加えることにより、照 射毒性を一層減じて混合キメリズムを誘導することが可能であることを発見した 。従って、異種移植片又は同種移植片のレシピエント、例えば霊長類レシピエン ト例えばヒトレシピエントの照射を要するこの発明の任意の方法において、照射 を、単一曝露において加えることが出来、又は、一層好ましくは、2回以上の曝 露若しくは期間に分割することが出来る。分割した線量の合計は、好ましくは、 単一曝露で与えた場合に混合キメリズムを生じ得る照射線量(例えば、ラド又は Gy)に等しい。これらの分割は、好ましくは、ほぼ等しい線量である。例えば 、700ラドの単一照射線量を、例えば350ラドの2フラクション又は100 ラドの7フラクションで置き換えることが出来る。照射線量の分 割過多もこの発明の方法において用いることが出来る。これらの分割を同じ日に 加え、又は1、2、3、4、5日若しくはそれより多い日数の間隔をおいて分割 することが出来る。全身照射、胸腺照射、又はこれらの両方を分割することが出 来る。 本発明者は又、調製養生法の多く又はすべてを、寛容化幹細胞及び/又は移植 片の移植の数日以内に、好ましくは72、48若しくは24時間以内にレシピエ ント例えば同種移植片若しくは異種移植片レシピエントに加え又は施与すること が出来ることをも発見した。これは、特に、死体からの移植片を受けるヒトの場 合に有用である。従って、幹細胞及び/又は移植片の移植前の処理、例えば、宿 主抗体を不活性化し若しくは涸渇させる処理、宿主T細胞若しくはNK細胞を不 活性化する処理、又は照射を要するこの発明の任意の方法において、これらの処 理を、幹細胞及び/又は移植片の移植の数日以内に、好ましくは72、48若し くは24時間以内に施与することが出来る。特に、同種移植片の霊長類例えばヒ トレシピエントに、宿主抗体を不活性化し又は涸渇させる処理、宿主T細胞若し くはNK細胞を不活性化する処理、又は照射の何れか若しくはすべてを、幹細胞 及び/又は移植片の移植の数日以内、好ましくは72、48若しくは24時間以 内に与えることが出来る。例えば、レシピエントのT細胞及び/又はNK細胞を 涸渇させる処理、例えばATGの投与を−2、−1及び0日目に与え ることが出来、WBI、胸腺照射及び幹細胞(例えば、骨髄幹細胞)を0日目に 施与することが出来る。(移植片例えば腎臓同種移植片を0日目に移植する)。 この発明の方法は、レシピエントの脾臓摘出を含むことが出来る。 ここで論ずるように、血液灌流例えばドナー器官を用いる血液灌流を用いて、 宿主の天然抗体を涸渇させることが出来る。天然抗体を涸渇させるかさもなけれ ば不活性化する他の方法は、ここに記載の任意の方法と共に用いることが出来る 。例えば、天然抗体を涸渇させ又は不活性化する薬物例えばデオキシスペルグア リン(DSG)(Bristol)又は抗IgM抗体を同種移植片又は異種移植片のレ シピエントに投与することが出来る。DSG(又は類似の薬物)、抗IgM抗体 、及び血液灌流の1つ以上を用いて、この発明の方法において、レシピエントの 天然抗体を涸渇させさもなければ不活性化することが出来る。濃度6mg/kg /日のDSGの静脈投与は、ブタからカニクイザルへの腎臓移植において天然抗 体を抑制するのに有用であることが見出された。 ここに記載した方法の幾つかは、致死的照射を用いて造血空間を創り、それに より、同種、異種、同系、又は遺伝子操作した自己の幹細胞の投与に対するレシ ピエントの準備をする。ここに記載の方法、特に霊長類用又は臨床用の方法の何 れにおいても、かかる細胞の投与のための造血空間を、非致死的方法、例えば準 致死的照射線 量、骨髄涸渇用薬物又は抗体を施与することによって創るのが好ましい。準致死 的レベルの骨髄涸渇の利用は、レシピエントにおいて混合キメリズムの生成を与 える。混合キメリズムは、一般に、レシピエント骨髄の全除去又は致死的除去及 び、その後の投与された幹細胞でのレシピエントの完全再構成に好適である。 胸腺T細胞の不活性化のための別法も又、この発明の具体例に含まれる。ここ に記載の方法の幾つかは、宿主胸腺T細胞を不活性化するか、さもなければ、宿 主の胸腺T細胞媒介のドナー抗原に対する応答を減らす胸腺照射の施与を含む。 この発明の同種又は異種移植方法において必要とされる胸腺照射を、宿主の胸腺 T細胞媒介の応答を(例えば、胸腺T細胞を涸渇させ及び/又はT細胞レセプタ ー(TCR)、CD4コレセプター若しくはCD8コレセプターの1つ以上を下 方調節することにより)減じる他の治療で補い、又は置き換えることが出来るこ とが見出されている。例えば、胸腺照射を、宿主の胸腺T細胞媒介の応答を減少 させるのに十分な回数、十分な投与量で、十分な期間投与される抗T細胞抗体( 例えば、抗CD4及び/又は抗CD8モノクローナル抗体)で補い、又は置き換 えることが出来る。 最良の結果を得るためには、抗T細胞抗体を、反復投与すべきである。例えば 、抗T細胞抗体を、ドナー骨髄移植前に1、2、3回又はそれより多数回投与す ることが出来る。典型的には、抗体の骨髄移植前投与を、骨髄移植の約5日前に 患者に与える。更に、骨髄移植の6、7又は8日前の投与を与えることも出来る 。最初に治療を施し、次いで、患者が血清中の過剰の抗体及び末梢T細胞の約9 9%涸渇を示すまで予備骨髄投与を1〜5日毎に反復し、次いで、骨髄移植を行 うのが望ましい。抗T細胞抗体を、ドナー骨髄移植後にも、1、2、3回又はそ れより多数回投与することが出来る。典型的には、骨髄移植後治療を、骨髄移植 後約2〜14日に与える。骨髄後施与を、必要な回数だけ反復することが出来る 。2回以上の施与を与える場合は、これらの施与を約1週間間隔にすることが出 来る。もし患者が早期の又は望ましくないT細胞回復を受けるようならば、更な る投与を与えることが出来る。好ましくは、抗T細胞抗体を、ドナー骨髄移植前 に、少なくとも1回(好ましくは、2、3回又はそれより多数回)投与し、ドナ ー骨髄移植後に、少なくとも1回(好ましくは、2、3回又はそれより多数回) 投与する。 下記の実験は、更なるT細胞涸渇用抗体が、骨髄を除去しない条件の養生法に おいて胸腺照射に置き換って、同種骨髄の植付け及びドナー特異的な寛容の誘導 を与え得ることを示す。 マウスにおいて、同種骨髄植付け及びドナー特異的寛容の誘導を与える、低毒 性の、骨髄除去しない条件の養生法が、以前に記載されている。涸渇投与量の抗 CD4及び抗CD8モノクローナル抗体による−5日目の予備治療、0日目の3 Gyの全身照射及び7Gyの胸腺照射の施与及びその後の完全にMHCミスマッ チのドナー骨髄細胞の投与を含む養生法は、永久的混合キメリズム及び皮膚移植 片寛容の誘導を与える。このプロトコールにおける胸腺照射ステップは、更なる 抗CD4及び抗CD8モノクローナル抗体治療で置き換えることが出来る。多系 統キメリズムを、0日目に同種(B10.A、H−2a)骨髄移植を受けその後 3Gyの全身照射を胸腺照射を伴って又は伴わないで受け、及び骨髄移植前及び 後の様々なスケジュールでモノクローナル抗体による治療を受けたB10(H− 2b)マウスにおいて比較した。胸腺照射を受けるか又は骨髄移植前のモノクロ ーナル抗体治療を少なくとも2回受けた殆どの動物(52匹中の50匹)は、長 期多系統末梢血液混合同種キメリズムを示した(フローサイトメトリー分析によ る)。対照的に、骨髄移植前のモノクローナル抗体治療を胸腺照射を伴わずに1 回だけ受けた8匹の動物の内1匹だけが、継続する(20週より長期)混合キメ リズムを発生した。すべてのキメラ動物は、100日より長期間にわたってドナ ー皮膚移植片を受容し、第三者のBALB/c移植片を14日以内に拒絶した。 それ故、混合キメリズム及 びドナー特異的皮膚移植片受容は、骨髄移植前モノクローナル抗体治療を少なく とも2回行なうならば、胸腺照射を用いることなく誘導することが出来る。(モ ノクローナル抗体治療は、約5日間隔で、最終治療は、骨髄移植の1日前であっ た。)しかしながら、ドナーT細胞再構成のレベルは、骨髄移植後に胸腺照射を 受けるか又は更なる抗T細胞モノクローナル抗体治療を受けた動物において最高 であった。2回の骨髄移植前モノクローナル抗体治療(モノクローナル抗体治療 は、約5日間隔とし、最終治療は骨髄移植の1日前であった)を受け且つ胸腺照 射を受けてない20匹のマウスの内11匹は、6週目において、比較的低レベル のドナーT細胞再構成(20%未満のドナーで、80%を超える宿主)を示し、 これらの内の9匹は、20週目までに、全系統中のドナー細胞の顕著な消失を示 した。対照的に、1又は2回の骨髄移植後モノクローナル抗体治療(モノクロー ナル抗体治療は、約7日間隔とし、最初の治療は骨髄移植後7日目であった)を 受けた同様に治療した12匹のマウスの内12匹は、6週目に、高レベルのドナ ーT細胞再構成(平均86±12%のドナー)を示し及び、20週目に、全系統 中で存続する高レベルのドナー再構成を示した。従って、骨髄移植前T細胞涸渇 用モノクローナル抗体の第2投与は、胸腺照射に置き換わり且つ我々の養生法に おける寛容誘導を与えることが出来るが、骨髄移植の1〜2週後に投与する更な るモノクローナル抗体 は、永続的な混合キメリズム及び寛容を確実に誘導する能力を増大させることが 出来る。反復抗T細胞モノクローナル抗体治療がこの養生法における胸腺照射に 置き換わる能力が、最初のモノクローナル抗体治療による涸渇を逃れた宿主胸腺 細胞を涸渇させるそれらの能力を反映することは最もありそうである。これらの モノクローナル抗体は、殆どの宿主T細胞を涸渇させ、少数の残存細胞上のTC R並びにCD4及びCD8コレセプターの両者の下方調節を誘導する。これらの 動物において、ドナー骨髄由来細胞の宿主胸腺への早期移動は、ドナー抗原を認 識するTCRを有する成熟宿主型胸腺細胞の完全なクローン涸渇と関連している 。かかるTCRを有する宿主T細胞の小集団がキメラ脾臓中に存続しても、これ らの細胞は、それらのTCRによる刺激に対してアネルギーである。これらの細 胞は、モノクローナル抗体治療後にCD4又はCD8を下方調節することにより 涸渇を逃れることが出来たのであろう。従って、この比較的非毒性の養生法は、 存在するT細胞レパトアの殆どを除去し、胸腺内ドナー抗原の存在下で新たなT 細胞を発生させ、及び末梢における少数の残存宿主T細胞間でアネルギーを誘導 することによって多能性造血幹細胞植付け及び特異的寛容を達成する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (31)優先権主張番号 08/181,558 (32)優先日 1994年1月12日 (33)優先権主張国 米国(US) (31)優先権主張番号 08/220,371 (32)優先日 1994年3月29日 (33)優先権主張国 米国(US) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M C,NL,PT,SE),AU,CA,JP,US

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.レシピエント霊長類に、ドナー霊長類からの同種移植片に対する寛容を誘発 させる方法にして、 前記レシピエントに前記同種移植片を移植し、そして該レシピエントに補助減縮 治療の短期コースを施して前記同種移植片に対する寛容を誘発させることを含む 方法。 2.補助減縮治療の短期コースは、同種移植片がレシピエントに導入されるほぼ 同じ時に概ね施される、請求項1の方法。 3.レシピエントが、移植片拒絶に影響する第1の遺伝子座でミスマッチし、且 つ移植片拒絶に影響する第2の遺伝子座でマッチし或はミスマッチに寛容である 、請求項1の方法。 4.補助減縮治療の短期コースの持続は、レシピエント種の成熟T細胞が最初に 抗原で刺激された後該抗原の拒絶を開始するのに必要とされる期間にほぼ等しい かそれより短い、請求項1の方法。 5.補助減縮治療の短期コースは、レシピエントの成熟T細胞によるサイトカイ ンの放出を刺激する処置を行わずに施される、請求項1の方法。 6.補助減縮治療の短期コースがプレドニゾンの不存在で施される、請求項1の 方法。 7.補助減縮剤がシクロスポリンAよりなる、請求項1 の方法。 8.第1の種のレシピエント哺乳動物に、第2の種の哺乳動物からの移植片に対 する寛容を誘発させる方法にして、 前記第2の種のMHC抗原をコードするDNAを前記レシピエント哺乳動物の造 血幹細胞に挿入し、 前記MHC抗原をコードするDNAを前記レシピエントに発現させ、 前記移植片を該レシピエントに移植し、そして 該レシピエントに補助減縮治療の短期コースを施して前記移植片に対する寛容を 誘発させることを含む方法。 9.レシピエント霊長類に、同じ種のドナーから得られる移植片に対する寛容を 誘発させる方法にして、 前記ドナーのMHC抗原をコードするDNAを前記レシピエントの造血幹細胞に 挿入し、 前記MHC抗原をコードするDNAを前記レシピエントに発現させ、 前記移植片を該レシピエントに移植し、そして 該レシピエントに補助減縮治療の短期コースを施して前記移植片に対する寛容を 誘発させることを含む方法。 10.第1の種のレシピエント哺乳動物に、第2の種の哺乳動物から得られる移 植片に対する寛容を誘発させる方法にして、 前記レシピエント哺乳動物に第2の種の造血幹細胞を導入し、 前記移植片を前記レシピエントに移植し、そして 該レシピエントに補助減縮治療の短期コースを施して前記移植片に対する寛容を 誘発させることを含む方法。 11.レシピエント哺乳動物に、同じ種のドナー哺乳動物から得られる移植片に 対する寛容を誘発させる方法にして、 前記レシピエント哺乳動物に前記ドナーの造血幹細胞を導入し、 前記移植片を前記レシピエントに移植し、そして 該レシピエントに補助減縮治療の短期コースを施して前記移植片に対する寛容を 誘発させることを含む方法。 12.ドナー哺乳動物から移植片を受けるレシピエント哺乳動物の胸腺ないしリ ンパ節T細胞の活性を減少または抑制する方法にして、 前記移植片に対する寛容を誘発させ、 前記レシピエントに、胸腺ないしリンパ節T細胞を不活性化するのに十分な短期 コースの免疫抑制剤を施し、そして 前記移植片を前記レシピエンスに移植することを含む方法。 13.短期コースの免疫抑制剤の持続がほぼ30日に等しい、請求項12の方法 。 14.短期コースは、寛容を誘発させる治療が始まる前か或はほぼ同じ時に開始 される、請求項12の方法。 15.第1の種のレシピエント哺乳動物で、第2の種の ドナー哺乳動物からの移植片の受容を促進させる方法にして、 前記第2の種のMHC抗原をコードするDNAを前記レシピエント哺乳動物の造 血幹細胞に挿入し、 前記MHC抗原をコードするDNAを前記レシピエントに発現させ、 前記移植片を前記レシピエントに移植し、そして 該レシピエントに、その胸腺ないしリンパ節T細胞を不活性化するのに十分な免 疫抑制剤の短期コースを施すことを含む方法。 16.レシピエント哺乳動物で、同じ種のドナーから得られる移植片の受容を促 進させる方法にして、 前記ドナーのMHC抗原をコードするDNAを前記レシピエントの造血幹細胞に 挿入し、 前記MHC抗原をコードするDNAを前記レシピエントに発現させ、そして 該レシピエントに、その胸腺ないしリンパ節T細胞を不活性化するのに十分な免 疫抑制剤の短期コースを施すことを含む方法。 17.第1の種のレシピエント哺乳動物で、第2の種の哺乳動物から得られる移 植片の受容を促進させる方法にして、 前記レシピエンス哺乳動物に第2の種の造血幹細胞を導入し、そして 該レシピエントに、その胸腺ないしリンパ節T細胞を不 活性化するのに十分な免疫抑制剤の短期コースを施すことを含む方法。 18.レシピエント哺乳動物で、同じ種のドナーから得られる移植片の受容を促 進させる方法にして、 前記レシピエントに前記ドナーの造血幹細胞を導入し、そして 該レシピエントに、その胸腺ないしリンパ節T細胞を不活性化するのに十分な免 疫抑制剤の短期コースを施すことを含む方法。
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