【発明の詳細な説明】
ブレーキ装置用マスターシリンダー及びブレーキブースター構造
本発明は、ブレーキブースターに取付けられ、第1遠隔補償バルブと第2遠隔
補償バルブを介して車両のホイールブレーキに連結された2部品マスターシリン
ダーを有するブレーキ装置に関する。
今日の車両を設計する際、エンジンの位置の変更、電気装置及び汚染制御装置
の追加、また、車内の空間をより広くするように、前方に移動された或る車種の
キャブのために、ボンネットの下の利用可能な空間は狭くなってきている。更に
、ある車両では、ブレーキブースター及び関連するマスターシリンダーは、本体
パネル又は防火壁によって取り囲まれ、それにより、ブレーキ装置を保守点検し
、又は、ブレーキ流体を点検したり、ブレーキ装置に加えたりするのすら困難で
ある。マスターシリンダー用リザーバは、マスターシリンダーから遠隔位置に位
置させることが可能であるとの提案がなされている。そのような遠隔リザーバは
、最初、米国特許第1,835,580号に、またより最近では、米国特許第5
,003,780号及び同第5,083,433号に開示されている。そのような遠
隔リザーバの使用で、ブレーキブースター及びマスターシリンダーの全体の形態
が小さくなるが、マスターシリンダーは、いまだブレーキブースターからかなり
の距離だけ延びている。
発明者は、マスターシリンダー用のハウジングの約半分をブレーキブースター
内に位置決めした、ブレーキブースターとマスターシリンダーとを有するブレー
キ装置を発明した。この形態で、マスターシリンダーの後方ピストンは、ブレー
キブースターの可動壁に直接連結される。入力に応答してブレーキブースターが
作動され、出力を差圧による可動壁の移動を介して生じさせ、入力をマスターシ
リンダーに提供する。マスターシリンダーのピストンの移動で流体が加圧され、
流体はその後、車両のホイールブレーキに連結された第1遠隔補償バルブと第2
遠隔補償バルブに伝えられる。マスターシリンダーの一部をブレーキブースター
に位置決めすることによって、ボンネットの下の空間のかなりの節約となり、ま
た、遠隔補償バルブで可動壁とピストンの間の調節が省かれ、マスターシリンダ
ーの流体の加圧が直ちに始まる。
マスターシリンダーをブレーキブースターに位置決めするために、マスターシ
リンダーは、2部品ハウジングで作られている。第1ハウジングは、第1端部と
第2端部とを有し、第2端部は、第1の外方に突出した環状フランジと、第2端
部から第1端部に向かって延びる軸線方向の盲ボアとを有する。盲ボアは、第1
端部に隣接した第1流出ポートと、第2端部に隣接した第2流出ポートとを有し
、第1流出ポート第2流出ポートとの間に環状ショルダーを有する。第2ハウジ
ングは、第1端部と第2端部とを有し、第1端部は、第2外方突出フランジを有
し、また第2端部は、内方突出フランジを有する。第2ハウジングは、第2外方
突出フランジから内方突出フランジへと延びる軸線方向ボアを有する。第1ハウ
ジングの環状ショルダーによって盲ボアに位置決めされた第1密封材及び軸受構
造が、第1ピストンに係合する。第2ハウジングの内方突出フランジに隣接する
軸線方向ボアに位置決めされた第2密封材及び軸受構造は、第2ピストンに係合
する。スリーブ部材がボアに位置決めされ、第1密封材及び軸受構造及び第2密
封材及び軸受構造をハウジング内でほぼ静止位置に維持する。第2外方突出フラ
ンジのタブが、第1外方突出フランジの溝穴を貫通し、一体構造を作っている。
盲ボアに位置決めされた第1ばねは、第1ピストンに係合し、前記一体構造内に
第1チャンバを形成し、軸線方向ボアに位置決めされた第2ばねは、第1ピスト
ン及び第2ピストンに係合して、一体構造内に第2チャンバを形成している。ナ
ットが、ブレーキブースターから延びるボルトに取付けられ、第1ハウジングを
ブレーキブースターに連結し、同時に第2ピストンの端部をブレーキブースター
の可動壁と係合させるように寄せる。ナットがボルトに締めつけられるとき、第
1の外方に延びるフランジ及び第2の外方に延びるフランジの間に位置決めされ
た密封手段が圧縮され、盲ボア及び軸線方向ボアが環境から密封されるのを確保
して、第1ピストンと第2ピストンが直ちに流体を加圧し、ブレーキを作用させ
る。
遠隔補償を有するこのマスターシリンダーの利点は、2部品ハウジングの約半
分をブレーキブースターに位置決めし、マスターシリンダーの圧力ピストンを直
接可動壁に連結し、可動壁とマスターシリンダーのピストンとの間の調節の必要
性をなくし、小さな一体構造を作ることによって生じる。
本発明の目的は、マスターシリンダーハウジングの約半分がブレーキブースタ
ーに位置決めされたマスターシリンダーブレーキブースター構造を提供すること
にある。
本発明の更なる目的は、2部品ハウジングを有し、第1ハウジングと第2ハウ
ジングとの間の密封部材が、初め、作動チャンバを環境から密封し、また、マス
ターシリンダーをブレーキブースターに取り付けるボルトが、密封材を更に圧縮
し、作動チャンバの密封を補助するマスターシリンダーを提供することにある。
これらの目的及び利点は、図面を参照しつつこの明細書を読むことにより明ら
かとなろう。
図1は、加圧流体を車両のホイールブレーキに供給する遠隔補償バルブに連結
された2部品マスターシリンダーとブレーキブースター構造とを有し、2部品マ
スターシリンダーが、本発明の思想にしたがって作られているブレーキ装置を示
す。
図2は、静止位置にあり、マスターシリンダーから与えられる加圧流体が存在
しない、図1に示す遠隔補償バルブの拡大断面図である。
図3は、マスターシリンダーからの加圧用流体の受取りに応答して完全に作動
する位置の、図2に示す遠隔補償バルブの拡大断面図である。
図4は、2部品マスターシリンダー用のフランジ連結を示す、図1の図4−4
に沿った拡大断面図である。
図5は、ポペット弁を、リザーバの流体源とマスターシリンダーの流体加圧チ
ャンバとの間の連通を許容する位置に手動で移動させた、図1の遠隔補償バルブ
の拡大断面図を示す。
図6は、図4の線6−6に沿った拡大断面図である。
図7は、図4の線7−7に沿った拡大断面図である。
図1に示すブレーキ装置10は、車両の防火壁15にボルト16、16’によ
って取付けられたブレーキブースター12と、ブレーキブースター12に取付け
られたマスターシリンダー14と、車両の後輪ブレーキ24と前輪ブレーキ26
に取付けられた第1遠隔補償バルブ20と第2遠隔補償バルブ22とを有する。
プッシュロッド28に与えられた入力に応答して、機能的には米国特許出願第8
43,678号に開示された型式のブレーキブースター12の制御弁30が作
動し、運転差圧で出力が生じる。出力を入力として与えると、マスターシリンダ
ー14の作動ピストン32及び34が即座に移動し、流体は、管36及び38に
よって、それぞれ第1遠隔補償バルブ20と第2遠隔補償バルブ22に伝えられ
て、管40によって後輪ブレーキ24に、また管42によって前輪ブレーキ26
に与えられ、ブレーキが作動する。
より詳細には、制御弁30に加えてブレーキブースター12は、前方シェル4
6及び後方シェル48の内部を前方チャンバ50、50’と後方チャンバ52、
52’とに分割する可動壁44を有する。可動壁44は、制御弁30の保持及び
前方チャンバ50、50’、後方チャンバ52、52’及び環境との間の連通の
ためのボア56を有するハブ54を備える。カップ部材60に保持された反応デ
ィスク58が、壁44の移動によって作られた出力を受け入れるためにハブ54
に位置決めされている。カップ部材60は、マスターシリンダー14のピストン
32内のボア64に整列する突出部又は案内ピン62を有する。
2部品マスターシリンダー14は、第1円筒状ハウジング66と第2円筒状ハ
ウジング84とを有する。第1円筒状ハウジング66は、第1端部68と第2端
部とを有する。第2端部70は、外方に突出する第1の環状フランジ72を有し
、環状フランジ72は、複数の溝穴73、73’、73''及び73'''と、ブレ
ーキブースター12のシェル46から延びるボルト47、47’に取り付けるた
めの開口部75及び75’とを有する。図4、図6、及び図7を参照のこと。ハ
ウジング66は、第2端部70から第1端部68にほぼ延びる軸線方向の盲ボア
74を有する。盲ボア74は、第1端部68に隣接した第1流出ポート76と、
第2端部70に隣接した第2流出ポート78とを有する。環状ショルダー80は
、第1流出ポート76及び第2流出ポート78との間に位置決めし、第1密封材
及びボア74に位置決めされた軸受構造82のための止め部を構成する。
第2円筒状ハウジング84は、第1端部86及び第2端部88とを有する。第
1端部86は、第2外方突出フランジ90を有し、第2端部88は、内方突出フ
ランジ92を有する。外方突出フランジ90は、溝穴73、73’、73''及び
73'''を通って延びる複数のタブ94、94’、94''、及び94'''を有し、
フランジ72に加締められて一体構造を形成する。図4、図6及び図7を参照の
こと。第2ハウジング84は、第2外方突出フランジ90から内方突出フランジ
92に延びる軸線方向ボア96を有する。内方突出フランジ92に隣接した軸線
方向ボア96に位置決めされた第2密封材及び軸受構造98が、ピストン32に
係合する。盲ボア74と軸線方向ボア96に位置決めされたスリーブ100は、
第1密封材82、第2密封材98及び軸受構造をほぼ静止位置に保持する。スリ
ーブ100は、第2ハウジング84を第1ハウジング66に連結して一体構造を
形成するとき、ボア74及び96を周囲環境から、まず密封し、密封材及びバッ
クアップリング103をフランジ72とフランジ92の間に位置決めするための
環状突出部103を有する。
第1ばね104は盲ボア74に位置決めされ、かつ、第1ピストン34に係合
して、第1チャンバ106を一体構造内に作り、他方、ケージ構造が、軸線方向
ボア96のピストン32と34の間に位置決めされて、第2チャンバ114を作
る。ケージ構造は、ピストン34のレッジ(ledge)35に位置決めされた第1フ
ランジ109を有する保持部108と、戻りばね110と、保持部108をピス
トン32に取り付けるために、保持部108の第2フランジ111に係合するボ
ルト112とを有する。ケージのボルト112の長さは、戻りばね110の伸び
の制限を設定し、それによりチャンバ114の最大押し退け容積が形成される。
マスターシリンダー14が組み立てられた後、かつシェル46に取付けられる前
に、ピストン32及び34が、戻りばね104によって一体構造の外に押し出さ
れるのを防止するために、スリーブ100は、保持フランジ108に係合する複
数の内方突出部102(そのうちの1つだけ図示している)を有する。更に、第
2ハウジング84の内方突出フランジ92を越えて延びる第2ピストン32の部
分は、ピストン32をボア96内に確実に整列させるために、可動壁44に連結
されたカップ60の突出部62を受け入れるためのボア64を有する。
まず、第2ハウジング84をシエル46の開口部49に位置決めし、第1流出
ポート76と第2流出ポート78を図1に示す上方位置にし、開口部47、47
’をボルト75、75’に整列させて、マスターシリンダー14をシェル46に
取付ける。後述するように、流出ポートをこの位置にすると、装置からの空気抜
きがより良好に達成される。ナット77、77’をボルト75、75’に付けて
締
め付け、第1外方突出フランジ72をブレーキブースター12のシェル46に向
かって寄せ、同時に、第2フランジ90を開口部49の密封材13に係合させ、
チャンバ50を周囲環境から密封する。ナット77、77’を締め付けるとき、
密封材及びバックアップ部材103は、更に、フランジ72と90との間で圧縮
され、チャンバ114を周囲環境から密封する。一旦、マスターシリンダー14
がシェル46に取付けられると、ピストン32の端部は、可動壁44のカップ6
0に係合し、可動壁によってつくられた出力が、直ちにピストン32及び34に
伝達され、チャンバ106及び114内の流体を加圧し、第1遠隔補償バルブ2
0及び第2遠隔補償バルブ22に供給される加圧流体をつくる。
車両のブレーキ作用を行わせるために、後輪ブレーキ24と前輪ブレーキ26
に供給される加圧流体を通す遠隔補償バルブ20及び22は、構造的にも、機能
的にも同じであり、図2、図3及び図5に示すバルブ20だけについて下記に詳
細に説明する。
バルブ20は、ボア202を有するハウジング200を備える。ボア202は
、端キャップ205の流入ポート204によって管36に、補償ポート206に
よってリザーバ19に、更に、流出ポート208によって管40に連結されてい
る。ボア202に位置決めされたシャトルピストン210は、溝216によって
第2ランド214から分離された第1ランド212を有する。ランド214及び
保持されたOリング密封材は、流入ポート204を補償ポート206と流出ポー
ト208から分離する。ピストン210は、第1端部220から第2端部222
に延びる軸線方向ボア218と、軸線方向ボア218から溝216に延び、流入
ポート204を流出ポート208と連結する少なくとも1つの半径方向ボア22
4とを有する。ピストン210の軸線方向ボア218は、ショルダー230によ
って第2直径部228から分離された第1直径部226を有する。
ハウジング200の補償ポート206に位置決めされた傾斜バルブ232は、
ピストン210の溝216に延びるピン234を有する。ばね236は、傾斜バ
ルブのヘッド238に作用して、面240をリザーバ10の開口部243を取り
囲む座部242に付勢して、ハウジング200のボア202への連通を制御する
。
米国特許第5,214,917号に開示された型式のポペット弁244は、ボア
218の第1直径部226に位置決めされたステム246と、第2直径部228
に位置決めされたステム246に取付けられたヘッド248とを有する。ピスト
ン210に取付けられたキャップ252は、ばね250を保持し、ばね250は
、ポペット弁244のヘッド248をショルダー230に向かって付勢して、ピ
ストン210の軸線方向ボア218を通る流体の流れを制御する。ボア202に
位置決めされたばね手段254は、ピストン210を流入ポート204に向かっ
て付勢し、第1ランド212を傾斜バルブ232のピン234と係合させ、図2
に示すように、補償ポート206を通してリザーバ19の流体源用の開口部24
3とボア202との間の流体の伝達を開始する。ばね手段254は、ハウジング
200のボア260に保持された可動止めピン258に担持されたディスク25
6を有する。可動止めピン258は、ハウジング200の外の第1端部262と
、ピストン210の軸線方向ボア218に延びる第2端部264とを有する。デ
ィスク256及びランド212の間に位置決めされたばね手段254のコイル2
66は、可動止めピン258の環状フランジ268を付勢してハウジング200
と係合させ、またランド212をピン234と係合させて、図2に示す静止位置
を構成する。この位置で流体の自由な伝達が、リザーバ19と、ボア202と、
管40によって後輪ブレーキ24に、また、管42によって前輪ブレーキ26に
連結された流出ポート208、208’との間に起こる。しかし、この静止位置
では、ポペット弁244のヘッド248が面230に着座し、その結果、マスタ
ーシリンダー14のチャンバ106及び114は、リザーバ19、19’の流体
源から隔離されるのがわかるであろう。
ブレーキの作用中、プッシュロッド28に与えられた入力が、制御弁30を作
動して、チャンバ50、50’及び52、52’の間に差圧を生じさせ、出力を
生じさせる。戻りばね51にうちかった後、出力は、可動壁44を移動させて、
反動ディスク58とカップ部材60を介して、マスターシリンダ-14のピスト
ン32の端部に直接伝えられる入力を提供する。ピストン32の移動は、保持ば
ね(caged spring)110を介してピストン34に伝えられ、その結果、流体の加
圧がチャンバ106及び114で同時に起こる。加圧用流体は、遠隔補償バルブ
20及び22に伝えられ、車両の後輪ブレーキ24及び前輪ブレーキ26に分配
される。遠隔補償バルブ20及び22のばね手段254のコイル266の寸法及
び強さは、前輪ブレーキ26の作動を後輪ブレーキ24の後まで遅らせる必要性
又は要望によって、同じであっても又は異なっていてもよい。流入ポート204
に、例えば、遠隔補償バルブ20に伝えられる加圧用流体は、シャトルピストン
210に作用し、ばね手段254にうちかって、まずランド212をピン234
から遠ざけ、ばね236によって面240を座部242に押しつけ、リザーバ1
9から補償ポート206を介するボア202への流体の伝達を停止させる。シャ
トルバルブ210が、所定行程又は距離だけ移動した後、ポペット弁244のス
テム246の端部は、可動止めピン258の端部264に係合する。図3に最も
良く示しているように、一旦、リザーバ19との流体の伝達が停止すると、ポペ
ット弁244は静止し、シャトルバルブ210は更に移動して、面230がヘッ
ド248から遠ざかり、軸線方向ボア226及び半径方向ボア224を介する流
入ポート204から流出ポート208への加圧流体の伝達を始め、ブレーキ作用
を行わせる。ブレーキ作用が完了し、流入ポート204に与えられる加圧流体が
存在しないとき、ばね手段254は、シャトルピストン210を移動させて、ま
ず、座部230をヘッド248と係合させ、ボア218を通る流体の伝達を停止
させる。その後、ランド212は、傾斜バルブ232のピン234に係合し、図
2に示すように、リザーバ19の流体源から開口部243を介し、補償ポート2
06を通ってボア202への流体の伝達を、再度確立する。同時に、戻りばね5
1は、図1に示すように、ブレーキブースター12の壁44を静止位置に再度位
置決めする。
車両製造中、管36及び38は、マスターシリンダー14に連結されている。
一旦、ブレーキ装置のすべての連結がなされると、ブレーキ流体を加え、装置か
ら真空で空気抜きする。空気のチャンバ106及び114からの除去を確保する
ために、手動入力を可動止め部258の端部262に与え、ばね手段254のコ
イル266を圧縮し、端部264をステム246と係合させ、ヘッド248を座
部230から遠ざけ、また、図5に示すように、リザーバ19から出力ポート2
04への連通を確立する。空気が装置から排気されるとき、リザーバ19からの
流体が、チャンバ106及び114に伝えられる。装置からの空気の除去で、
ブレーキの作用中、ピストン32及び34に与えられる入力が、空気を圧縮する
よりもむしろ、流体を加圧することを確保する。
【手続補正書】特許法第184条の8
【提出日】1995年6月13日
【補正内容】
遠隔補償を有するこのマスターシリンダーの利点は、2部品ハウジングの約半
分をブレーキブースターに位置決めし、マスターシリンダーの圧力ピストンを直
接可動壁に連結し、ブレーキブースターの可動壁とマスターシリンダーのピスト
ンとの間の調節の必要性をなくし、小さな一体構造を作ることによって生じる。
図1に示すブレーキ装置10は、車両の防火壁15にボルト16、16’によ
って取付けられたブレーキブースター12と、ブレーキブースター12に取付け
られたマスターシリンダー14と、車両の後輪ブレーキ24と前輪ブレーキ26
に取付けられた第1遠隔補償バルブ20と第2遠隔補償バルブ22とを有する。
プッシュロッド28に与えられた入力に応答して、機能的には米国特許第5,2
07,142号及び同第5,233,911号に開示された型式のブレーキブー
スター12の制御弁30が作動し、作動差圧が生じて出力する。出力を入力とし
て与えると、マスターシリンダー14の作動ピストン32及び34が即座に移動
し、流体は、管36及び38によって、それぞれ第1遠隔補償バルブ20と第2
遠隔補償バルブ22に伝えられて、管40によって後輪ブレーキ24に、また管
42によって前輪ブレーキ26に与えられ、ブレーキが作動する。
より詳細には、制御弁30に加えてブレーキブースター12は、前方シェル4
6及び後方シェル48の内部を前方チャンバ50、50’と後方チャンバ52、
52’とに分割する可動壁44、44’を有する。可動壁44、44’は、制御
弁30の保持のためのボア56と、前方チャンバ50、50’、後方チャンバ5
2、52’及び環境との間の連通のための流路とを有する中央ハブ54を備える
。カップ部材60に保持された反応ディスク58が、壁44、44’の移動によ
って作られた出力を受け入れるために中央ハブ54に位置決めされている。カッ
プ部材60は、マスターシリンダー14のピストン32内のボア64に整列する
突出部又は案内ピン62を有する。
2部品マスターシリンダー14は、第1円箇状ハウジング66と第2円箇状ハ
ウジング84とを有する。第1円筒状ハウジング66は、第1端部68と第2端
部とを有する。第2端部70は、外方に突出する第1の環状フランジ72を有し
、環状フランジ(74)72は、複数の溝穴73、73’、73''及び73'''
と、ブレーキブースター12のシェル46から延びるボルト47、47’に取り
付けるための開口部75及び75’とを有する。図4、図6、及び図7を参照の
こと。ハウジング66は、第2端部70から第1端部68にほぼ延びる軸線方向
の盲ボア74を有する。盲ボア74は、第1端部68に隣接した第1流出ポート
(76)76と、第2端部70に隣接した第2流出ポート(78)78とを有する
。環状
ショルダー(80)80は、第1流出ポート76及び第2流出ポート78との間
に位置決めし、第1密封材及びボア74に位置決めされた軸受構造82のための
止め部を構成する。
第2円筒状ハウジング84は、第1端部86及び第2端部88とを有する。第
1端部86は、第2外方突出フランジ(90)90を有し、第2端部88は、内
方突出フランジ(92)92を有する。外方突出フランジ90は、溝穴73、7
3’、73''及び73'''を通って延びる複数のタブ94、94’、94''、及
び94'''を有し、フランジ72に加締められて一体構造を形成する。図4、図
6及び図7を参照のこと。第2ハウジング(84)84は、第2外方突出フラン
ジ(90)90から内方突出フランジ(92)92に延びる軸線方向ボア96を
有する。内方突出フランジ(92)92に隣接した軸線方向ボア96に位置決め
された第2密封材及び軸受構造98が、ピストン32に係合する。盲ボア74と
軸線方向ボア96に位置決めされたスリーブ100は、第1密封材82、第2密
封材98及び軸受構造をほぼ静止位置に保持する。スリーブ100は、第2ハウ
ジング(84)84が第1ハウジング(66)66に連結されて一体構造を形成
するとき、ボア74及び96を周囲環境から、まず密封する密封材及びバックア
ップリング103をフランジ72とフランジ92の間に位置決めするための環状
突出部101を有する。
第1ばね104は盲ボア74に位置決めされ、かつ、第1ピストン34につい
て、一体構造内で第1チャンバ106のための限界を構成し、他方、ケージ構造
が、軸線方向ボア96に位置決めされ、ピストン32と34に作用し、第2チャ
ンバ114のための限界を構成する。ケージ構造は、ピストン34のレッジ(led
ge)35に位置決めされた第1フランジ109を有する保持部108と、戻りば
ね110と、保持部108をピストン32に取り付けるために、保持部108の
第2フランジ111に係合するボルト112とを有する。ケージのボルト112
の長さは、戻りばね110の伸びの制限を設定し、それによりチャンバ114の
最大押し退け容積が形成される。マスターシリンダー14が組み立てられた後、
かつシェル46に取付けられる前に、ピストン32及び34が、戻りばね104
によって一体構造の外に押し出されるのを防止するために、スリーブ
100は、保持フランジ108に係合する複数の内方突出部102(そのうちの
1つだけ図示している)を有する。更に、第2ハウジング(84)84の内方突
出フランジ(92)92を越えて延びる第2ピストン32の部分は、ピストン32
をボア96内に確実に整列されるように、可動壁44に連結されたカップ60の
突出部62を受け入れるためのボア64を有する。
まず、第2ハウジング(84)84をシエル46の開口部49に位置決めし、第
1流出ポート76と第2流出ポート78を図1に示す上方位置にし、開口部47
、47’をボルト75、75’に整列させて、マスターシリンダー14をシェル
46に取付ける。後述するように、流出ポートをこの位置にすると、装置からの
空気向きがより良好に達成される。ナット77、77’をボルト75、75’に
設置して締め付け、第1外方突出フランジ72をブレーキブースター12のシェ
ル46に向かって寄せ、同時に、第2フランジ90を開口部49の密封材13に
係合させ、チャンバ50を周囲環境から密封する。ナット77、77’を締め付
けるとき、密封材及びバックアップ部材103は、更に、フランジ72と90と
の間で圧縮され、チャンバ114を周囲環境から密封する。一旦、マスターシリ
ンダー14がシェル46に取付けられると、ピストン32の端部は、可動壁44
のカップ60に係合し、可動壁によってつくられた出力が、直ちにピストン32
及び34に伝達され、チャンバ106及び114内の流体を加圧し、第1遠隔補
償バルブ20及び第2遠隔補償バルブ22に供給される加圧流体をつくる。
米国特許第5,214,917号に開示された型式のポペット弁244は、ボ
ア218の第1直径部226に位置決めされたステム246と、第2直径部22
8に位置決めされたステム246に取付けられたヘッド248とを有する。ピス
トン210に取付けられたキャップ252は、ばね250を保持し、ばね250
は、ポペット弁244のヘッド248をショルダー230に向かって付勢して、
ピストン210の軸線方向ボア218を通る流体の流れを制御する。ボア202
に位置決めされたばね手段254は、ピストン210を流入ポート204に向か
って付勢し、第1ランド212を傾斜バルブ232のピン234と係合させ、図
2に示すように、補償ポート206を通してリザーバ19の流体源用の開口部2
43とボア202との間の流体の伝達を開始する。ばね手段254は、ハウジン
グ200のボア260に保持された可動止めピン258に担持されたディスク2
56を有する。可動止めピン258は、ハウジング200の外の第1端部262
と、ピストン210の軸線方向ボア218に延びる第2端部264とを有する。
ディスク256及びランド212の間に位置決めされたばね手段254のコイル
266は、可動止めピン258の環状フランジ268に作用して、ハウジング2
00と係合させ、またランド212をピン234と係合させて、図2に示す静止
位置を構成する。この位置で流体の自由な伝達が、リザーバ19と、ボア202
と、管40によって後輪ブレーキ24に、また、管42によって前輪ブレーキ2
6に連結された流出ポート208、208’との間に起こる。しかし、この静止
位置では、ポペット弁244のヘッド248が面230に着座し、その結果、マ
スターシリンダー14のチャンバ106及び114は、リザーバ19、19’の
流体源から隔離されるのがわかるであろう。
ブレーキの作用中、プッシュロッド28に与えられた入力が、制御弁30を作
動して、チャンバ50、50’及び52、52’の間に差圧を生じさせ、出力を
生じさせる。戻りばね51にうちかった後、出力は、可動壁44、44’を移動
させて、反動ディスク58とカップ部材60を介して、マスターシリンダー14
のピストン32の端部に直接伝えられる入力を提供する。ピストン32の移動は
、保持ばね(caged spring)110を介してピストン34に伝えられ、その結果、
流体の加圧がチャンバ106及び114で同時に起こる。加圧用流体は、遠隔補
償
バルブ20及び22に伝えられ、車両の後輪ブレーキ24及び前輪ブレーキ26
に分配される。遠隔補償バルブ20及び22のばね手段254のコイル266の
寸法及び強さは、前輪ブレーキ26の作動を後輪ブレーキ24の後まで遅らせる
必要性又は要望によって、同じであっても又は異なっていてもよい。加圧用流体
は、流入ポート204に、例えば、遠隔補償バルブ20に伝えられる。加圧流体
は、シャトルピストン210に作用し、ばね手段254にうちかって、初めラン
ド212をピン234から遠ざけ、その後、ばね236によって面240を座部
242に押しつけ、リザーバ19から補償ポート206を介するボア202への
流体の伝達を停止させる。シャトルバルブ210が、所定行程又は距離だけ移動
した後、ポペット弁244のステム246の端部は、可動止めピン258の端部
264に係合する。図3に最も良く示しているように、一旦、リザーバ19との
流体の伝達が停止すると、ポペット弁244は静止し、シャトルバルブ210は
更に移動して、面230がヘッド248から遠ざかり、軸線方向ボア226及び
半径方向ボア224を介する流入ポート204から流出ポート208への加圧流
体の伝達を始め、ブレーキ作用を行う。ブレーキ作用が完了し、流入ポート20
4に与えられる加圧流体が存在しないとき、ばね手段254は、シャトルピスト
ン210を移動させて、初め、座部230をヘッド248と係合させ、ボア21
8を通る流体の伝達を停止させる。その後、ランド212は、傾斜バルブ232
のピン234に係合し、図2に示すように、リザーバ19の流体源から開口部2
43を介し、補償ポート206を通ってボア202への流体の伝達を、再度確立
する。同時に、戻りばね51は、図1に示すように、ブレーキブースター12の
壁44を静止位置に再度位置決めする。
請求の範囲
1.車両のホイールブレーキ(24、26)に連結された遠隔補償バルブ(20
、22)にブレーキ作用を行わせる加圧流体を供給するためのマスターシリンダ
ー(20、22)に入力を与えるために、可動壁(44、44’)を介して出力
を発生させるための、入力に応答するブレーキブースター(12)を有するブレ
ーキ装置(10)において、第1端部(68)と第2端部(70)とを有する第
1ハウジング(66)を有し、前記第2端部(70)は、第1の外方に突出した
環状フランジ(72)を有し、前記第1ハウジング(66)は、前記第2端部(
70)から前記第1端部(68)に向かってほぼ延びる軸線方向の盲ボア(74
)を有し、前記盲ボア(74)は、前記第1端部(68)に隣接する第1流出ポ
ート(76)と、前記第2端部(70)に隣接する第2流出ポート(78)とを
有し、前記第1ハウジング(66)は、前記第1流出ポート(76)と第2流出
ポート(78)との間に位置決めされた環状ショルダー(80)を有し、更に、
第1端部(86)と第2端部(88)とを有する第2ハウジング(84)を有し
、前記第1端部(86)は、第2の外方に突出したフランジ(90)を有し、前
記第2端部(88)は、内方に突出したフランジ(92)を有し、前記第2ハウ
ジング(84)は、前記第2の外方に突出したフランジ(90)から前記内方に
突出したフランジ(92)に延びる軸線方向ボア(96)を有し、更に、前記第
1ハウジング(66)の前記環状ショルダー(80)に隣接した前記盲ボア(7
4)に位置決めされた第1の密封材及び軸受構造(82)と、前記第2ハウジン
グ(84)の前記内方に突出したフランジ(92)に隣接した軸線方向ボア(9
6)に位置決めされた第2密封材及び軸受構造(98)と、前記第1密封材及び
軸受構造(82)と前記第2密封材及び軸受構造(98)をほぼ静止位置に維持
するための、前記盲ボア(74)と軸線方向ボア(96)に位置決めされた手段(
100)と、一体構造を作るために、前記第1の外方に突出したフランジ(72
)を前記第2の外方に突出したフランジ(90)に連結するための手段(73、
94;73’、94’;73''、94'';73'''、94''')と、前記盲ボア(
74)に位置決めされ、かつ前記第1密封材及び軸受構造(82)に係合する第
1ピストン(34)
と、前記軸線方向ボア(96)に位置決めされ、かつ前記第2密封材及び軸受構
造(98)に係合する第1部分と、前記第2ハウジング(84)で前記内方に突
出したフランジ(92)を越えて延びる第2部分とを有する第2ピストン(32
)と、前記盲ボア(74)と前記第1ピストン(34)とによって構成される第
1チャンバ(106)に位置決めされた第1ばね(104)と、前記軸線方向ボ
ア(96)と前記第1ピストン(34)及び第2ピストン(32)とによって構
成される第2チャンバ(114)に位置決めされた第2ばね(110)と、前記
第2ピストン(32)の前記第2部分の端部を前記ブレーキブースター(12)
の前記可動壁(44、44’)と係合するように位置決めするために、前記第1
の外方に突出した環状フランジ(72)を前記ブレーキブースター(14)に連
結するための手段(47、77)とを有し、前記可動壁(44、44’)の前記
出力は、ブレーキ作用を行わせるために前記加圧流体を生じさせるように、前記
第1チャンバ(106)と第2チャンバ(114)の前記第1ピストン(34)
と第2ピストン(32)を直ちに移動させることを特徴とするブレーキ装置。
2.前記マスターシリンダー(14)は、更に、前記第2チャンバ(114)の
最大を構成するように、前記第2ばね(110)の伸びを制限するための、前記
第2ピストン(32)に連結された保持手段(108、112)を有すること、
を特徴とする請求項1に記載のブレーキ装置(10)。
3.前記1密封材及び軸受構造(82)と前記第2密封材及び軸受構造(98)
を前記静止位置に維持するための前記手段(100)は、第1端部と第2端部と
を有するスリーブを有し、前記第1端部は、前記第1密封材及び軸受構造(82
)に係合し、前記第2端部は、前記第2密封材及び軸受構造(98)に係合し、
前記スリーブは、前記第2ピストン(32)を前記第2ハウジング(84)内に
維持するための止め部を提供するために、前記保持手段(108)に係合する複
数の内方に突出した舌部を有すること、を特徴とする請求項2に記載のブレーキ
装置(10)。
4.前記第2ピストン(32)が、更に、前記第2ピストン(32)を前記第2
チャンバ(114)内にほぼ軸線方向に整列して維持するのを補助するために、
前記可動壁(44、44’)の案内ピン(62)を受け入れるための軸線方向ボ
ア(64)を有すること、を特徴とする請求項3に記載のブレーキ装置(10)
。
5.前記第1の外方に突出した環状フランジ(72)を前記ブレーキブースター
(14)に連結するための手段(47、77)は、第1チャンバ(106)と第
2チャンバ(114)において、閉じ込められた空気を減ずるように、前記第1
流出ポート(76)と第2流出ポート(78)を、垂直位置に位置決めすること
、を特徴とする請求項4に記載のブレーキ装置(10)。
6.前記マスターシリンダー(14)は、前記第1の外方に突出した環状フラン
ジ(72)と第2の外方に突出した環状フランジ(90)との間に位置決めされ
た環状リング(103)を有し、前記環状リング(103)は、前記一体構造を
形成するために、前記第1の外方に突出した環状フランジ(72)を前記第2の
外方に突出した環状フランジ(90)に連結する前記手段(73、94;73’
、94’;73''、94'';73'''、94''')によって初めに圧縮され、その
後、流体が前記第2チャンバ(114)内に保持されるのを確保するために、前
記第1フランジ(47、77)を前記ブースター(14)に連結するための前記
手段(47、77)によって更に圧縮されること、を特徴とする請求項5に記載
のブレーキ装置。
7.前記第1の外方に突出したフランジ(72)を前記ブースター(14)に連
結するための前記手段(47、77)は、前記第2ハウジング(84)をほぼ前
記ブースターに位置決めすること、を特徴とする請求項6に記載のブレーキ装置
(10)。
8.更に、前記第1ピストン(34)と前記第2ピストン(32)が移動する際
、流体を加圧する能力を維持するために、前記第1チャンバ(106)と第2チ
ャンバ(114)に流体を提供するための、前記流出ポート(76、78)に連
結された遠隔補償バルブ(20、22)を有すること、を特徴とする請求項7に
記載のブレーキ装置(10)。
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フロントページの続き
(72)発明者 クラム ドナルド エイ
アメリカ合衆国 インディアナ州 46530
グレンジャー ティンバーライン トレ
ース サウス 11990
【要約の続き】
を確保する。