JPH0949764A - 注型絶縁物の非破壊検査方法 - Google Patents

注型絶縁物の非破壊検査方法

Info

Publication number
JPH0949764A
JPH0949764A JP20213695A JP20213695A JPH0949764A JP H0949764 A JPH0949764 A JP H0949764A JP 20213695 A JP20213695 A JP 20213695A JP 20213695 A JP20213695 A JP 20213695A JP H0949764 A JPH0949764 A JP H0949764A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
color
curing
cast
color difference
insulating spacer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP20213695A
Other languages
English (en)
Inventor
Toshiyuki Nakano
俊之 中野
Masafumi Takei
雅文 武井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toshiba Corp filed Critical Toshiba Corp
Priority to JP20213695A priority Critical patent/JPH0949764A/ja
Publication of JPH0949764A publication Critical patent/JPH0949764A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Investigating Or Analysing Materials By Optical Means (AREA)
  • Spectrometry And Color Measurement (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 高温硬化された注型絶縁物の熱履歴推定を可
能にし、かつ硬化後の注型絶縁物のガラス転移温度の推
定を可能とした、注型絶縁物の非破壊検査方法を提供す
る。 【解決手段】 一次硬化後に金型から取り出した絶縁ス
ペーサの表面を「L* a* b* 表色系」にて測色して得
た基準色と、二次硬化後の注型絶縁物の表面の色との色
差には、色差が約15までは、樹脂系によらず、所定の
硬化温度では硬化時間の増加に伴って直線的に色差が増
加することが明らかになった。従って、この関係から、
予め試験片を用いて等色差(ΔE* ab)線の硬化温度
と硬化時間との関係を求めておくことにより、二次硬化
時間が既知の場合は、注型絶縁物の表面の一次硬化後と
二次硬化後の色差に基づいて、二次硬化時の熱履歴(等
価硬化温度)を推定することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、SF6ガス等を絶
縁媒体とするガス絶縁開閉装置や管路気中送電装置等に
用いられる絶縁スペーサ等の注型絶縁物の非破壊検査方
法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、変電所に用いられる高電圧回路の
開閉装置及び送電装置として、ガス絶縁開閉装置及び管
路気中送電装置が良く用いられている。これらのガス絶
縁開閉装置及び管路気中送電装置においては、その接地
金属容器内に高電圧導体を絶縁支持するために注型絶縁
物である絶縁スペーサが用いられている。
【0003】この絶縁スペーサとしては、例えば特公昭
54−44106号公報及び特開昭55−155512
号公報に示すようなものが知られている。即ち、エポキ
シ樹脂等の合成樹脂から成る絶縁スペーサ本体によって
高電圧導体が支持され、また、この絶縁スペーサのフラ
ンジ部には、接地金属容器に絶縁スペーサを固定するた
めの金属フランジ部が形成されている。さらに、金属容
器内に封入されるSF6ガスは、電界が不平等であると
その絶縁性能が低下する傾向にあるので、その対策とし
て、高電圧導体の回りに接地シールドを一体に埋め込
み、前記金属フランジ部によってその電位を確保してい
る。
【0004】図6は、従来の絶縁スペーサの縦断面図を
示したものである。即ち、高電圧導体1は絶縁スペーサ
5によって金属容器3に絶縁支持されている。また、こ
の絶縁スペーサ5には、隣接する高電圧導体1a、1b
を接合するための通電部4が一体に注型されている。一
方、接地金属容器3には、隣接する容器相互を連結する
ための連結フランジ7aが設けられている。そして、絶
縁スペーサ5の外縁部には、金属容器3に形成された連
結フランジ7aに挟持され、取り付けボルト7によって
金属容器3に絶縁スペーサ5を固定するための金属フラ
ンジ6が一体に注型されている。また、絶縁スペーサ5
には導電性リング8が一体に注型され、この導電性リン
グ8は常時接地され、接地金属容器3と絶縁スペーサ5
との結合部の電界を緩和し、絶縁性能の向上を図ってい
る。この様に構成された絶縁スペーサ5が、Oリング9
を介して、金属容器3の連結フランジ部7aに取り付け
固定されている。
【0005】また、絶縁スペーサ5の絶縁部の注型材料
としては、化学的安定性、機械的強度などの観点から、
一般に、酸無水物を硬化剤に用いたエポキシ樹脂がベー
ス材料に用いられ、さらに(1)材料コストを下げる、
(2)弾性率を上げ製品の剛性を増す、(3)機械的強
度を改善する、(4)線膨張係数を下げ成形性を改善す
る、等の目的のため、特にSF6ガス絶縁開閉装置用の
絶縁スペーサ用としては、アルミナを充填することが一
般的に行われている。
【0006】一方、機器縮小化の目的から、導体通電部
の温度上昇の許容値は上昇しており、絶縁スペーサ用樹
脂の高温クリープ特性の改善が要求されている。この高
温クリープ特性の改善には、樹脂のガラス転移温度を上
昇させる方法が一般的に用いられている。また、近年、
避雷器の高性能化に伴う絶縁設計の合理化や機器の縮小
化による母線やタンクの温度上昇により、高耐熱性の絶
縁スペーサが要求されており、ガラス転移温度が140
℃〜150℃の樹脂を用いる必要が出てきている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
たような従来の絶縁スペーサには、以下に述べるような
解決すべき課題があった。すなわち、前記ガラス転移温
度の上昇に伴って、絶縁スペーサ製造時の樹脂硬化温度
を上昇させる必要が生じ、硬化雰囲気中の酸素による樹
脂の酸化が大きくなる150℃前後の硬化温度が選択さ
れる場合が多い。このため、絶縁スペーサの樹脂表面の
酸化による着色や、埋め込み金物と樹脂との接着界面へ
のダメージを最小限にするため、硬化炉の温度管理を厳
しく行う必要がある。
【0008】また、絶縁スペーサの製造工程中における
二次硬化時の絶縁スペーサの温度は、絶縁スペーサ自体
の熱容量や硬化炉の温度分布により強く影響される。こ
のため、実際に絶縁スペーサが受けた熱履歴を知るため
には、スペーサ表面の所定の場所の温度を、熱電対等を
用いて直接計測する必要があるが、この方法は非常に煩
雑であるため、全ての絶縁スペーサの温度を計測して、
二次硬化工程を管理することは難しかった。
【0009】また、二次硬化後の絶縁スペーサの樹脂の
硬化度(ガラス転移温度Tg)は、硬化温度、硬化時間
と共に上昇し、最終的に所定のガラス転移温度Tgで飽
和する。この様に、樹脂の耐熱性の指標となるガラス転
移温度Tgの変化をモニタリングすることは、工程管理
上重要であるため、従来、X線や超音波等を用いた非破
壊検査方法の適用が試みられているが、これらはいずれ
も硬化途中の絶縁スペーサを検査の対象にすることは不
可能であった。また、複雑な形状を有する絶縁スペーサ
に対して、精度良く硬化度を測定する方法は見いだされ
ていなかった。さらに、耐熱性の指標となる二次硬化後
の絶縁スペーサの樹脂のガラス転移温度の測定には、従
来、示差走査熱量計(DSC)等を用いた破壊測定を行
う必要があり、より簡便に、かつ非破壊的に樹脂のガラ
ス転移温度を推定する方法の開発が望まれていた。な
お、上記の問題点は、絶縁スペーサに限らず、注型絶縁
物全般に共通のものである。
【0010】一方、プラスチック、ゴム分野、塗装分
野、窯業分野、繊維、染色分野、印刷分野等では、色彩
測定を用いた品質管理が一般的に行われており、また、
これまで色彩測定を高電圧機器用絶縁材料の劣化度の評
価に応用した例はあるが、絶縁スペーサ等の大型注型絶
縁物の熱履歴推定や硬化度推定に色彩測定を応用した例
はなかった。
【0011】本発明は、上述したような従来技術の問題
点を解決するために提案されたもので、その目的は、高
温硬化された注型絶縁物の熱履歴推定を可能にし、かつ
硬化後の注型絶縁物のガラス転移温度の推定を可能とし
た、注型絶縁物の非破壊検査方法を提供することにあ
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、一次硬化後に金型から取り出した注型絶縁物の表面
をL* a* b* 表色系にて測色して得た基準色と、二次
硬化後の注型絶縁物の表面の色との色差により、二次硬
化時の注型絶縁物の平均温度を推定することを特徴とす
るものである。
【0013】請求項2に記載の発明は、請求項1記載の
注型絶縁物の非破壊検査方法において、前記色差が、
(L* a* b* )空間における明度L* の変化と、色度
を表すa* とb* の変化の直線距離 [(ΔL* )2 +(Δa* )2 +(Δb* )2 1/2 で定義されたものであることを特徴とするものである。
【0014】上記の請求項1及び請求項2に記載の発明
によれば、予め試験片を用いて等色差線の硬化温度と硬
化時間との関係を求めておくことにより、一次硬化後と
二次硬化後の色差に基づいて、二次硬化時の熱履歴(等
価硬化温度)を非破壊的に推定することができる。
【0015】請求項3に記載の発明は、請求項1記載の
注型絶縁物の非破壊検査方法において、前記色差が、
(L* a* b* )空間における色度を表すa* とb* の
変化の直線距離 [(Δa* )2 +(Δb* )2 1/2 で定義されたものであることを特徴とするものである。
【0016】上記請求項3に記載の発明によれば、充填
剤が同一であれば、二次硬化条件によらず、硬化物の明
度L* はほぼ一定となり、a* とb* で規定される色相
と彩度の変化が二次硬化時の色差と熱履歴の関係を決定
するという研究結果に基づいて、より簡易な式によっ
て、注型絶縁物の二次硬化時の熱履歴(等価硬化温度)
を非破壊的に推定することができる。
【0017】請求項4に記載の発明は、請求項1または
請求項2または請求項3に記載の注型絶縁物の非破壊検
査方法において、二次硬化後の注型絶縁物の表面の測色
を、注型絶縁物の表面の任意の3点以上で行い、その平
均値と前記基準色との色差に基づいて二次硬化時の注型
絶縁物の平均温度を推定することを特徴とするものであ
る。
【0018】上記請求項4に記載の発明によれば、金型
内面に昇華して付着した硬化剤の影響を受けることな
く、二次硬化途中の注型絶縁物の熱履歴を、高精度で、
かつ非破壊的に推定することができる。
【0019】請求項5に記載の発明は、請求項1乃至請
求項4のいずれか一に記載の注型絶縁物の非破壊検査方
法において、前記二次硬化時の注型絶縁物の平均温度
と、予め所定の温度と時間で測定したガラス転移温度と
色差との関係から、二次硬化時の注型絶縁物のガラス転
移温度を推定することを特徴とするものである。
【0020】上記請求項5に記載の発明によれば、予め
試験片を用いて一次硬化後(二次硬化前)の色差と等価
温度の関係を求めておくことにより、一次硬化時からの
ガラス転移温度の上昇値を求めることができ、この上昇
値と一次硬化時のガラス転移温度とを合算すれば、注型
絶縁物樹脂の二次硬化後のガラス転移温度を推定するこ
とが可能となる。
【0021】請求項6に記載の発明は、請求項1乃至請
求項5のいずれか一に記載の注型絶縁物の非破壊検査方
法において、前記注型絶縁物が絶縁スペーサであること
を特徴とするものである。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態につい
て、絶縁スペーサを例に、図1乃至図5を参照して具体
的に説明する。なお、本実施形態を説明する前に、ま
ず、分光測色計を用いた色彩測定について説明する。す
なわち、微妙で感覚に左右されやすい色は、規格化され
た表色系により数値化して取り扱われている。表色系の
中でも「L* a* b* 表色系」は1976年に国際照明
委員会(CIE)で規格化され、日本ではJIS Z8
729において採用された、現在最も広く使用されてい
る表色系である。この「L* a* b* 表色系」では、明
度をL* 、色相と彩度を示す色度をa* 、b* で表して
いる。また、a* 、b* は色の方向を示しており、a*
は赤方向、−a* は緑方向、そしてb* は黄方向、−b
* は青方向を示している。そして、これらの数値が大き
くなるに従って色鮮やかになり、0に近づくに従ってく
すんだ色になる。
【0023】また、「L* a* b* 表色系」では、2試
料の座標L* 、a* 、b* の差であるΔL* 、Δa* 、
Δb* によって定義される色差で、色の違いを1つの数
値で表すことができる。すなわち、色差の量記号をΔE
* abとすると、以下の関係式がある。
【0024】
【数1】 続いて、本発明に使用される絶縁スペーサ表面の色彩測
定に用いられる分光測色計について説明する。すなわ
ち、「L* a* b* 表色系」の測定が可能である分光測
色計であればいずれも使用することができ、例えば、図
5に示したような測色測定計を用いることにより、絶縁
スペーサ表面の測色が容易に実施できる。 [1.第1実施形態]本実施形態は、請求項1及び請求
項2に記載の発明に対応するものである。◎本発明者等
は、鋭意研究の結果、一次硬化後に金型から取り出した
絶縁スペーサの表面を「L* a* b* 表色系」にて測色
して得た基準色と、二次硬化後の絶縁スペーサの表面の
色との色差には、図1に示すような関係があることを見
いだした。すなわち、色差が約15までは、樹脂系によ
らず、所定の硬化温度では硬化時間の増加に伴って直線
的に色差が増加することが明らかになった。
【0025】従って、図1に示した関係から、予め試験
片を用いて等色差(ΔE* ab)線の硬化温度と硬化時
間との関係を求め、図示しておくことができる(図
2)。そして、上記のようにして予め作成した図2を参
照することにより、二次硬化時間が既知の場合は、絶縁
スペーサの表面の一次硬化後と二次硬化後の色差に基づ
いて、二次硬化時の熱履歴(等価硬化温度)を求めるこ
とができる。
【0026】なお、以上の絶縁スペーサ表面の測色は、
二次硬化途中の炉内で簡便に行うことが可能であるた
め、本実施形態によれば、二次硬化途中の絶縁スペーサ
の熱履歴を非破壊的に知ることができる。また、二次硬
化途中の絶縁スペーサの熱履歴を随時把握することがで
きるので、硬化炉の温度管理を適切に行うことができ、
絶縁スペーサの樹脂表面の酸化による着色や、埋め込み
金物と樹脂との接着界面へのダメージを最小限に抑える
ことができる。
【0027】[2.第2実施形態]本実施形態は、請求
項3に記載の発明に対応するものである。すなわち、絶
縁スペーサにはアルミナやシリカ等の無機充填剤が含ま
れるのが一般的であるが、これらの無機充填剤自体の色
はロットによって異なり、「L*a* b* 表色系」で言
えばL* の変化が大きく、硬化樹脂の色も充填剤の色の
ロットの変動により大きく影響を受ける。また、本発明
者等の研究の結果、充填剤が同一であれば、二次硬化条
件によらず、硬化物の明度L* はほぼ一定となり、a*
とb* で規定される色相と彩度の変化が二次硬化時の色
差と熱履歴の関係を決定することがわかった。
【0028】そこで、前記(1)式中のL* を無視した
以下の(2)式で色差を定義することにより、使用する
充填剤の色相変化によらず、絶縁スペーサの熱履歴を推
定することができる。
【0029】
【数2】 なお、以上の絶縁スペーサ表面の測色は、二次硬化途中
の炉内で簡便に行うことが可能であるため、本実施形態
によれば、使用する充填剤の色相変化によらず、二次硬
化途中の絶縁スペーサの熱履歴を非破壊的に知ることが
できる。また、二次硬化途中の絶縁スペーサの熱履歴を
随時把握することができるので、硬化炉の温度管理を適
切に行うことができ、絶縁スペーサの樹脂表面の酸化に
よる着色や、埋め込み金物と樹脂との接着界面へのダメ
ージを最小限に抑えることができる。
【0030】[3.第3実施形態]本実施形態は、請求
項4に記載の発明に対応するものである。すなわち、絶
縁スペーサ等の高電圧用の大型注型絶縁物は、通常、金
型に樹脂を真空で注入するが、この時、金型内面に硬化
剤が昇華して付着する。しかし、本発明者等の研究の結
果、この昇華した硬化剤が絶縁スペーサの表面樹脂中の
硬化剤量を変化させ、二次硬化後の色相を変化させるこ
とがわかった。また、これらの硬化剤による色相変化
は、注型口から反注型口側に連続的に生じることも判明
した。
【0031】このため、絶縁スペーサの中心付近を含む
注型口から反注型口側に至る少なくとも3点以上の箇所
で色彩測定を行い、その平均値を用いて色差を決定する
ことにより、絶縁スペーサの熱履歴を高精度で推定する
ことができる。
【0032】なお、以上の絶縁スペーサ表面の測色は、
二次硬化途中の炉内で簡便に行うことが可能であるた
め、本実施形態によれば、金型内面に昇華して付着した
硬化剤の影響を受けることなく、二次硬化途中の絶縁ス
ペーサの熱履歴を非破壊的に知ることができる。また、
二次硬化途中の絶縁スペーサの熱履歴を随時把握するこ
とができるので、硬化炉の温度管理を適切に行うことが
でき、絶縁スペーサの樹脂表面の酸化による着色や、埋
め込み金物と樹脂との接着界面へのダメージを最小限に
抑えることができる。
【0033】[4.第4実施形態]本実施形態は、請求
項5に記載の発明に対応するものである。本発明者等の
研究の結果、一次硬化後の絶縁スペーサ樹脂のガラス転
移温度Tgを基準として、二次硬化時に上昇するガラス
転移温度Tgは、図3に示すように、所定の硬化温度で
は色差の対数と直線関係があることがわかった。そし
て、図3に基づいて、二次硬化時に上昇するガラス転移
温度Tgの硬化温度と色差依存性を示す図4を作成する
ことができる。従って、一次硬化後(二次硬化前)の色
差と等価温度がわかれば、図4から、一次硬化時からの
ガラス転移温度の上昇値を求めることができ、この上昇
値と一次硬化時のガラス転移温度とを合算すれば、絶縁
スペーサ樹脂の二次硬化後のガラス転移温度を推定する
ことが可能となる。
【0034】なお、以上の絶縁スペーサ表面の測色は、
二次硬化途中の炉内で簡便に行うことが可能であるた
め、二次硬化途中の絶縁スペーサのガラス転移温度Tg
を非破壊的に知ることができる。また、二次硬化途中の
絶縁スペーサの熱履歴を随時把握することができるの
で、硬化炉の温度管理を適切に行うことができ、絶縁ス
ペーサの樹脂表面の酸化による着色や、埋め込み金物と
樹脂との接着界面へのダメージを最小限に抑えることが
できる。
【0035】
【実施例】以下に、より具体的な実施例をあげて、本発
明をさらに詳細に説明する。なお、以下の実施例におい
て、二次硬化時の色変化調査のために試作した絶縁スペ
ーサは、図6に示したようなコーン形状のスペーサで、
直径650mm、樹脂部分の最大厚さ90mm、中心部
にアルミニウム製の通電部材を配したモデルスペーサで
ある。
【0036】[1.第1実施例]エポキシ樹脂として
は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(チバガイギー社
製:CT200,エポキシ当量390)70重量部、ノ
ボラック型エポキシ樹脂(三井石油化学社製:VR−1
60)30重量部を用い、また、硬化剤として無水フタ
ル酸(チバガイギー社製:HT901)35重量部、充
填剤として粒子状アルミナ(昭和電工社製:平均粒径1
2μm)350重量部を配合し、万能混合機にて110
〜120℃で真空混合した樹脂組成物を、120℃に予
熱した金型中に注型し、一次硬化120℃×15H、二
次硬化150℃×12Hの条件で硬化させてモデルスペ
ーサを作成した。また、上記一次硬化、二次硬化はいず
れも炉内の温度分布が3℃以内の熱風循環炉を用い、絶
縁スペーサ表面のA面、B面の温度変化を熱電対を用い
て計測した。
【0037】なお、本実施例と同様の条件で、予め試験
片レベルで実測し、用意した色差と各物性値との関係を
求めたところ、図1乃至図4に示した結果が得られた。
【0038】[2.第2実施例]樹脂組成、硬化条件
は、上記第1実施例と全く同じに行いモデルスペーサを
作成した。但し、本実施例では、二次硬化は温度分布が
大きい床ヒータ固定式炉を用い、絶縁スペーサのA面、
B面の温度変化を熱電対を用いて計測した。
【0039】[3.考察]前記実施例および比較例の方
法で作成したモデルスペーサの評価結果を表1に示し
た。なお、表1に示した色差は分光測色計(商品名:C
M−1000,ミノルタ(株)製)を用いて、それぞれ
のモデルスペーサの一次硬化後表面と二次硬化後表面の
色差を測定した。
【0040】一方、ガラス転移温度Tgの実測値は、モ
デルスペーサから切り出した試料を示差走査熱量計(パ
ーキンエルマー社製 DSC−7型)により測定し、そ
の比熱変化から求めた。
【0041】
【表1】 まず、第1実施例の評価結果について考察する。すなわ
ち、スペーサA面の二次硬化温度についてみると、ΔE
* abが1.23、二次硬化時間が12Hであることか
ら、図2により、色差から推定して求められた二次硬化
温度は145℃となる。一方、二次硬化温度の実測平均
値は145℃となっており、両者は一致している。
【0042】また、スペーサA面の二次硬化後のガラス
転移温度Tgについてみると、ΔE* abが1.23、
次硬化温度が145℃であることから、図4により、色
差から推定して求められた上昇値は46℃となる。従っ
て、一次硬化後のガラス転移温度Tgの実測値である1
00℃に前記46℃を加算すると、色差から推定して求
められた二次硬化後のガラス転移温度Tgは146℃と
なる。一方、二次硬化後のガラス転移温度Tgの実測値
は145℃となっており、両者はほぼ一致している。
【0043】上記表1の結果が示すとおり、本発明の非
破壊検査方法によれば、色差測定から二次硬化後のスペ
ーサ樹脂のガラス転移温度Tgを非破壊的に精度良く推
定することができ、また、絶縁スペーサの二次硬化時の
等価温度推定では、硬化炉の温度むら等を精度良く把握
することができる。
【0044】
【発明の効果】以上、詳述したように、本発明によれ
ば、従来の方法では行うことが困難であった二次硬化時
の絶縁スペーサの等価硬化温度と、二次硬化後のスペー
サ樹脂のガラス転移温度Tgを非破壊的に推定すること
ができる注型絶縁物の非破壊検査方法を提供することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】所定の二次硬化温度における絶縁スペーサ表面
の色差ΔE* abの時間変化を示す図
【図2】等色差(ΔE* ab)線の硬化温度と硬化時間
依存性を示す図
【図3】所定の二次硬化温度における、絶縁スペーサ表
面の色差ΔE* abの変化と樹脂の(一次硬化直後の値
を出発点とした)ガラス転移温度Tg上昇値との関係を
示す図
【図4】樹脂の等ガラス転移温度Tg線の変化と硬化温
度及び色差ΔE* abとの関係を示す図
【図5】測色測定計の概略構成を示す断面図
【図6】絶縁スペーサの構成を示す断面図
【符号の説明】
1a,1b…高電圧導体 2…絶縁ガス 3…接地金属容器 4…通電部材 5…絶縁スペーサ 5a…絶縁スペーサ表面A 5b…絶縁スペーサ表面B 6…金属フランジ 7…取り付けボルト 7a…連結フランジ 8…導電性リング 9…Oリング 10…絶縁スペーサ表面 11…パルスキセノンランプ 12…試料測定用ファイバ 13…光源測定用ファイバ

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一次硬化後に金型から取り出した注型絶
    縁物の表面をL* a* b* 表色系にて測色して得た基準
    色と、二次硬化後の注型絶縁物の表面の色との色差によ
    り、二次硬化時の注型絶縁物の平均温度を推定すること
    を特徴とする注型絶縁物の非破壊検査方法。
  2. 【請求項2】 前記色差が、(L* a* b* )空間にお
    ける明度L* の変化と、色度を表すa* とb* の変化の
    直線距離 [(ΔL* )2 +(Δa* )2 +(Δb* )2 1/2 で定義されたものであることを特徴とする請求項1記載
    の注型絶縁物の非破壊検査方法。
  3. 【請求項3】 前記色差が、(L* a* b* )空間にお
    ける色度を表すa*とb* の変化の直線距離 [(Δa* )2 +(Δb* )2 1/2 で定義されたものであることを特徴とする請求項1記載
    の注型絶縁物の非破壊検査方法。
  4. 【請求項4】 二次硬化後の注型絶縁物の表面の測色
    を、注型絶縁物の表面の任意の3点以上で行い、その平
    均値と前記基準色との色差に基づいて二次硬化時の注型
    絶縁物の平均温度を推定することを特徴とする請求項1
    または請求項2または請求項3記載の注型絶縁物の非破
    壊検査方法。
  5. 【請求項5】 前記二次硬化時の注型絶縁物の平均温度
    と、予め所定の温度と時間で測定したガラス転移温度と
    色差との関係から、二次硬化時の注型絶縁物のガラス転
    移温度を推定することを特徴とする請求項1乃至請求項
    4のいずれか一に記載の注型絶縁物の非破壊検査方法。
  6. 【請求項6】 前記注型絶縁物が絶縁スペーサである請
    求項1乃至請求項5のいずれか一に記載の注型絶縁物の
    非破壊検査方法。
JP20213695A 1995-08-08 1995-08-08 注型絶縁物の非破壊検査方法 Pending JPH0949764A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP20213695A JPH0949764A (ja) 1995-08-08 1995-08-08 注型絶縁物の非破壊検査方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP20213695A JPH0949764A (ja) 1995-08-08 1995-08-08 注型絶縁物の非破壊検査方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH0949764A true JPH0949764A (ja) 1997-02-18

Family

ID=16452563

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP20213695A Pending JPH0949764A (ja) 1995-08-08 1995-08-08 注型絶縁物の非破壊検査方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0949764A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006062273A1 (en) * 2004-12-10 2006-06-15 Se-Gyu Kim Branched-amino acid supplement food
JP2007530968A (ja) * 2004-03-31 2007-11-01 ザ・ユニバーシティ・オブ・リバプール 複合システムの非直交性モニタリング
JP2010243353A (ja) * 2009-04-07 2010-10-28 Ricoh Co Ltd 光沢感評価方法、光沢感評価装置、該装置を有する画像評価装置、画像評価方法および該方法を実行するためのプログラム

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007530968A (ja) * 2004-03-31 2007-11-01 ザ・ユニバーシティ・オブ・リバプール 複合システムの非直交性モニタリング
WO2006062273A1 (en) * 2004-12-10 2006-06-15 Se-Gyu Kim Branched-amino acid supplement food
JP2010243353A (ja) * 2009-04-07 2010-10-28 Ricoh Co Ltd 光沢感評価方法、光沢感評価装置、該装置を有する画像評価装置、画像評価方法および該方法を実行するためのプログラム

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Ammann et al. A simple multinuclear NMR thermometer
Williams et al. Accurate transmission line characterization
Ribeiro et al. Thermal expansion of epoxy and polyester polymer mortars—plain mortars and fibre-reinforced mortars
US20230395326A1 (en) Dielectric material for a high voltage capacitor
US20230368975A1 (en) Dielectric material for a high voltage capacitor
JPH0949764A (ja) 注型絶縁物の非破壊検査方法
GB1588748A (en) Electrical article comprising a metal conductor and a cured insulating body in contact with said conductor
US6639401B2 (en) Contactless, transformer-based measurement of the resistivity of materials
CN109181531A (zh) 一种硅橡胶涂料及其制备方法、应用
US6414398B1 (en) Resin ceramic compositions having magnetic properties
CN1207571C (zh) 一种用脊波导进行电磁介质电磁参数变温测试的装置
JPH0619323B2 (ja) 絶縁物の劣化診断方法
CN100353463C (zh) 一种热敏变色绝缘制品
GB2083478A (en) Epoxy resin moulding compositions
CN114236321A (zh) 套管表面老化状态评估方法
CN113125036A (zh) 一种用于变压器的荧光光纤测温探头
JPH0453378B2 (ja)
JP4270728B2 (ja) ポリマー碍子
CN109096890A (zh) 一种无卤阻燃导热绝缘漆及其制备方法
CN114235894B (zh) 一种用于封装高频变压器的环氧树脂性能测试方法
CN109415496A (zh) 环氧树脂组合物和具有环氧树脂组合物的电力产品的用途
Kotte et al. Influence of the cure parameters on the partial discharge behavior of cast resins
Smith et al. Temperature aging characteristics of Class A insulation
Wang et al. Properties of interface between epoxy resin layers cured at different times
Abderrazzaq Characterizing the Internal strain in composite Insulation under Dry and Wet conditions