JPH0948085A - 耐剥離性に優れた複合型制振鋼板 - Google Patents
耐剥離性に優れた複合型制振鋼板Info
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- JPH0948085A JPH0948085A JP20332995A JP20332995A JPH0948085A JP H0948085 A JPH0948085 A JP H0948085A JP 20332995 A JP20332995 A JP 20332995A JP 20332995 A JP20332995 A JP 20332995A JP H0948085 A JPH0948085 A JP H0948085A
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- Japan
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- resin
- damping steel
- steel sheet
- peeling
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Abstract
(57)【要約】
【課題】製造コスト、加工コストの増大を招くことな
く、耐加工剥離性と耐熱剥離性に優れた複合型制振鋼板
を提供すること。 【解決手段】高分子樹脂を二枚の鋼板の間に介在させて
なる複合型制振鋼板であって、前記高分子樹脂として以
下の式で示す関係式を満たす熱硬化性樹脂を用い、耐剥
離性に優れた複合型制振鋼板を得る。 EL´≧−0.95EG2 +14EG−46 EL´=EL/100、EG=log10E´、E´≧1
07 ただし、E´は前記高分子樹脂の20℃、0.5Hzに
おける動的弾性率(dyne/cm2 )、ELは前記高分子
樹脂の20℃、0.5Hzにおける伸び率(%)であ
る。
く、耐加工剥離性と耐熱剥離性に優れた複合型制振鋼板
を提供すること。 【解決手段】高分子樹脂を二枚の鋼板の間に介在させて
なる複合型制振鋼板であって、前記高分子樹脂として以
下の式で示す関係式を満たす熱硬化性樹脂を用い、耐剥
離性に優れた複合型制振鋼板を得る。 EL´≧−0.95EG2 +14EG−46 EL´=EL/100、EG=log10E´、E´≧1
07 ただし、E´は前記高分子樹脂の20℃、0.5Hzに
おける動的弾性率(dyne/cm2 )、ELは前記高分子
樹脂の20℃、0.5Hzにおける伸び率(%)であ
る。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プレス成形時の耐
加工剥離性と焼き付け塗装時の耐熱剥離性の優れた、極
めて高い制振性を有する複合型制振鋼板に関する。
加工剥離性と焼き付け塗装時の耐熱剥離性の優れた、極
めて高い制振性を有する複合型制振鋼板に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車、鉄道、船舶等の交通機関
による騒音や工場、工事現場、体育屋根、床からの騒音
が問題視されている。その解決手段として材料自身が振
動吸収性に優れ、鋼板と同様に成形溶接のできる制振鋼
板が使用されている。
による騒音や工場、工事現場、体育屋根、床からの騒音
が問題視されている。その解決手段として材料自身が振
動吸収性に優れ、鋼板と同様に成形溶接のできる制振鋼
板が使用されている。
【0003】この中で複合型制振鋼板は、2枚の鋼板の
間に粘弾性樹脂層を介在させ、この樹脂層により鋼板に
加えられた振動を熱エネルギーに変換し、騒音を防止す
るものである。近年の騒音規制に対するニーズから、自
動車のエンジンオイルパン、モーターカバー、階段、ド
ア、床材等の用途にこのような複合制振鋼板が注目され
ている。
間に粘弾性樹脂層を介在させ、この樹脂層により鋼板に
加えられた振動を熱エネルギーに変換し、騒音を防止す
るものである。近年の騒音規制に対するニーズから、自
動車のエンジンオイルパン、モーターカバー、階段、ド
ア、床材等の用途にこのような複合制振鋼板が注目され
ている。
【0004】しかしながら、この複合型制振鋼板は、深
絞りのプレス成形を行う際に、絞りビードやダイス肩で
の曲げ・曲げ戻し変形を受けることにより上下の鋼板が
ずれ、加工剥離や接着力の極端な低下を発生させるとい
う問題がある。さらに、成形後の塗装工程において、焼
き付け塗装時の熱により樹脂の溶融や軟化が起こり、剥
離が進行するという問題もある。
絞りのプレス成形を行う際に、絞りビードやダイス肩で
の曲げ・曲げ戻し変形を受けることにより上下の鋼板が
ずれ、加工剥離や接着力の極端な低下を発生させるとい
う問題がある。さらに、成形後の塗装工程において、焼
き付け塗装時の熱により樹脂の溶融や軟化が起こり、剥
離が進行するという問題もある。
【0005】従来、耐加工剥離性の向上を目的として、
樹脂と接する鋼板面にクロメート処理を施すこと(特開
平5−138800号公報)や、樹脂に接する鋼板の粗
度を特定範囲にすること(特開昭63−72533号公
報)などにより、樹脂と鋼板との界接着強度を向上させ
る方法が提案されている。ところが、プレス成形の際に
は上下鋼板のずれに追従できず、樹脂層の内部の破壊に
より、加工剥離や接着力の極端な低下を生じる場合があ
り、鋼板と樹脂層との界面接着強度とは無関係に剥離が
発生する場合がある。また、このように鋼板を表面処理
する場合には、コスト増加につながるという問題もあ
る。
樹脂と接する鋼板面にクロメート処理を施すこと(特開
平5−138800号公報)や、樹脂に接する鋼板の粗
度を特定範囲にすること(特開昭63−72533号公
報)などにより、樹脂と鋼板との界接着強度を向上させ
る方法が提案されている。ところが、プレス成形の際に
は上下鋼板のずれに追従できず、樹脂層の内部の破壊に
より、加工剥離や接着力の極端な低下を生じる場合があ
り、鋼板と樹脂層との界面接着強度とは無関係に剥離が
発生する場合がある。また、このように鋼板を表面処理
する場合には、コスト増加につながるという問題もあ
る。
【0006】また、樹脂のせん断変形抵抗を限定する方
法(特開昭63−72535号公報、特開昭63−72
536号公報、特開昭63−153126号公報、特開
昭63−153127号公報、特開昭63−15312
8号公報)、樹脂の弾性率を限定する方法(特開昭59
−87146号公報)、樹脂のせん断密着力をある値以
上とする方法(特開昭59−57743号公報、特公平
5−75578号公報)も提案されているが、これらは
形状凍結性、耐しわ性については向上するものの、樹脂
の弾性率やせん断密着力の向上とともに、樹脂の伸び率
の低下がおこり、深絞りのプレス成形時の上下鋼板のず
れに追従できず、剥離が発生する場合がある。
法(特開昭63−72535号公報、特開昭63−72
536号公報、特開昭63−153126号公報、特開
昭63−153127号公報、特開昭63−15312
8号公報)、樹脂の弾性率を限定する方法(特開昭59
−87146号公報)、樹脂のせん断密着力をある値以
上とする方法(特開昭59−57743号公報、特公平
5−75578号公報)も提案されているが、これらは
形状凍結性、耐しわ性については向上するものの、樹脂
の弾性率やせん断密着力の向上とともに、樹脂の伸び率
の低下がおこり、深絞りのプレス成形時の上下鋼板のず
れに追従できず、剥離が発生する場合がある。
【0007】プレス時の曲げ変形時に発生する上下鋼板
のずれに樹脂が追従できるように、樹脂単体の伸びに注
目し、20℃における伸び率がある一定値以上の樹脂を
用いる方法が提案されている(特公平4−34499号
公報、特開昭61−217237号公報)。しかし、こ
のような方法では、樹脂の伸び率を大きくすることによ
り樹脂の弾性率の低下をまねき、鋼板と樹脂との接着強
度が劣化したり、形状凍結性、耐しわ性が著しく劣化す
る場合がある。
のずれに樹脂が追従できるように、樹脂単体の伸びに注
目し、20℃における伸び率がある一定値以上の樹脂を
用いる方法が提案されている(特公平4−34499号
公報、特開昭61−217237号公報)。しかし、こ
のような方法では、樹脂の伸び率を大きくすることによ
り樹脂の弾性率の低下をまねき、鋼板と樹脂との接着強
度が劣化したり、形状凍結性、耐しわ性が著しく劣化す
る場合がある。
【0008】さらに、20℃における弾性率が小さく、
伸びの大きい熱可塑性樹脂を中心層に配し、その外側の
層に中心層よりも高い弾性率で伸びの小さい硬質の熱可
塑性樹脂を配した多層樹脂を用いる方法(特開昭60−
82349号公報、特開昭61−24444号公報、特
開昭61−24445号公報)も提案されているが、こ
の方法ではプレス時の加工剥離や密着性低下については
改善されるものの、樹脂を多層構造にするために熱可塑
性樹脂を用いることとなり、塗装の熱による剥離の進行
が問題となる。また、この多層樹脂を用いる方法は、樹
脂の製造工程でのコストアップにつながるという問題も
ある。
伸びの大きい熱可塑性樹脂を中心層に配し、その外側の
層に中心層よりも高い弾性率で伸びの小さい硬質の熱可
塑性樹脂を配した多層樹脂を用いる方法(特開昭60−
82349号公報、特開昭61−24444号公報、特
開昭61−24445号公報)も提案されているが、こ
の方法ではプレス時の加工剥離や密着性低下については
改善されるものの、樹脂を多層構造にするために熱可塑
性樹脂を用いることとなり、塗装の熱による剥離の進行
が問題となる。また、この多層樹脂を用いる方法は、樹
脂の製造工程でのコストアップにつながるという問題も
ある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】このように、制振鋼板
をオイルパン等に使用する場合には、プレス成形、焼き
付け塗装の工程を経るが、プレス成形時には加工剥離が
発生し、焼き付け塗装時には熱剥離が発生する。このよ
うな剥離は制振性能の著しい低下を招くため、剥離の発
生しない制振鋼板が求められているが、上述したような
種々の技術が提案されているにもかかわらず、未だ十分
な耐剥離特性を有する制振鋼板が得られていない。
をオイルパン等に使用する場合には、プレス成形、焼き
付け塗装の工程を経るが、プレス成形時には加工剥離が
発生し、焼き付け塗装時には熱剥離が発生する。このよ
うな剥離は制振性能の著しい低下を招くため、剥離の発
生しない制振鋼板が求められているが、上述したような
種々の技術が提案されているにもかかわらず、未だ十分
な耐剥離特性を有する制振鋼板が得られていない。
【0010】本発明はかかる事情に鑑みてなされたもの
であって、製造コスト、加工コストの増大を招くことな
く、耐加工剥離性と耐熱剥離性に優れた複合型制振鋼板
を提供することを目的とする。具体的には、一枚の鋼板
と同様なプレス成形を行った場合にも、極端な接着力の
低下を発生せず、さらに焼き付け塗装時の熱による剥離
を発生しない複合型制振鋼板を提供することを目的とす
る。
であって、製造コスト、加工コストの増大を招くことな
く、耐加工剥離性と耐熱剥離性に優れた複合型制振鋼板
を提供することを目的とする。具体的には、一枚の鋼板
と同様なプレス成形を行った場合にも、極端な接着力の
低下を発生せず、さらに焼き付け塗装時の熱による剥離
を発生しない複合型制振鋼板を提供することを目的とす
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するために、高分子樹脂を二枚の鋼板の間に介在させ
てなる複合型制振鋼板であって、前記高分子樹脂として
以下の式で示す関係式を満たす熱硬化性樹脂を用いたこ
とを特徴とする耐剥離性に優れた複合型制振鋼板を提供
するものである。
決するために、高分子樹脂を二枚の鋼板の間に介在させ
てなる複合型制振鋼板であって、前記高分子樹脂として
以下の式で示す関係式を満たす熱硬化性樹脂を用いたこ
とを特徴とする耐剥離性に優れた複合型制振鋼板を提供
するものである。
【0012】 EL´≧−0.95EG2 +14EG−46 EL´=EL/100 EG=log10E´ E´≧107 ただし、E´は前記高分子樹脂の20℃、0.5Hzに
おける動的弾性率(dyne/cm2 )、ELは前記高分子
樹脂の20℃における伸び率(%)である。
おける動的弾性率(dyne/cm2 )、ELは前記高分子
樹脂の20℃における伸び率(%)である。
【0013】本発明者らは、二枚の鋼板の間に介在させ
る高分子層(ダンパー材)に耐熱性が高い熱硬化性樹脂
を用いることを前提とし、熱硬化性樹脂の弱点である耐
しわ性や耐加工剥離性などのプレス成形性を改善するた
めに鋭意検討を重ねた結果、高分子樹脂の動的弾性率お
よび伸び率が一定の関係を有していれば良いことを見出
し、本発明を完成するに至った。また、高分子樹脂とし
ては、鋼板との垂直接着強度が100℃で10kgf/
cm2 以上であるものを用いることが好ましい。
る高分子層(ダンパー材)に耐熱性が高い熱硬化性樹脂
を用いることを前提とし、熱硬化性樹脂の弱点である耐
しわ性や耐加工剥離性などのプレス成形性を改善するた
めに鋭意検討を重ねた結果、高分子樹脂の動的弾性率お
よび伸び率が一定の関係を有していれば良いことを見出
し、本発明を完成するに至った。また、高分子樹脂とし
ては、鋼板との垂直接着強度が100℃で10kgf/
cm2 以上であるものを用いることが好ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。制振鋼板の剥離は、加工剥離と熱剥離に大別され
る。熱剥離の対策としては、本発明ではダンパー材に熱
硬化性樹脂を用いている。熱硬化性樹脂は耐熱性が高
く、焼き付け塗装時の熱によって樹脂が溶融することに
よる剥離の進行が防止されるからである。
する。制振鋼板の剥離は、加工剥離と熱剥離に大別され
る。熱剥離の対策としては、本発明ではダンパー材に熱
硬化性樹脂を用いている。熱硬化性樹脂は耐熱性が高
く、焼き付け塗装時の熱によって樹脂が溶融することに
よる剥離の進行が防止されるからである。
【0015】加工剥離を低減するための対策としては、
制振鋼板がプレス成形時にビードやダイス肩を通過し、
曲げ・曲げ戻し変形を受け、上下鋼板にずれが発生する
ことから、樹脂がずれに追従できるように伸び率を大き
くすることが有効である。ところが樹脂の特性として、
伸び率を大きくすることは弾性率の低下をともない、こ
の弾性率の低下は上下鋼板のずれをさらに大きくする結
果となり、かえって加工剥離しやすくなる場合がある。
制振鋼板がプレス成形時にビードやダイス肩を通過し、
曲げ・曲げ戻し変形を受け、上下鋼板にずれが発生する
ことから、樹脂がずれに追従できるように伸び率を大き
くすることが有効である。ところが樹脂の特性として、
伸び率を大きくすることは弾性率の低下をともない、こ
の弾性率の低下は上下鋼板のずれをさらに大きくする結
果となり、かえって加工剥離しやすくなる場合がある。
【0016】そこで本発明者らは、耐熱剥離性に優れた
熱硬化性樹脂を用いた制振鋼板に関して、上下鋼板のず
れの抑制と樹脂がずれに対して追従することとの2つの
側面から耐加工剥離性の向上を検討した。その結果、樹
脂の弾性率と伸び率のバランスを最適化することが有効
であることを見出し、上記本発明に至ったのである。
熱硬化性樹脂を用いた制振鋼板に関して、上下鋼板のず
れの抑制と樹脂がずれに対して追従することとの2つの
側面から耐加工剥離性の向上を検討した。その結果、樹
脂の弾性率と伸び率のバランスを最適化することが有効
であることを見出し、上記本発明に至ったのである。
【0017】すなわち、 EL´≧−0.95EG2 +14EG−46 EL´=EL/100 EG=log10E´ (ただし、E´は前記高分子樹脂の20℃、0.5Hz
における動的弾性率(dyne/cm2 )、ELは前記高分
子樹脂の20℃における伸び率(%)である。)を満た
す熱硬化樹脂を用いれば、耐加工剥離性をも良好にする
ことができるのである。
における動的弾性率(dyne/cm2 )、ELは前記高分
子樹脂の20℃における伸び率(%)である。)を満た
す熱硬化樹脂を用いれば、耐加工剥離性をも良好にする
ことができるのである。
【0018】ここで、20℃における動的弾性率E´が
107 (dyne/cm2 )よりも小さい場合については、
耐しわ性、形状凍結性の点で劣るため、深絞りのプレス
成形を前提とする複合型制振鋼板としては適さない。
107 (dyne/cm2 )よりも小さい場合については、
耐しわ性、形状凍結性の点で劣るため、深絞りのプレス
成形を前提とする複合型制振鋼板としては適さない。
【0019】ところで、熱剥離としては、上述した塗装
時の熱によりダンパー樹脂が溶融し、剥離が進行するも
の以外に、プレス成形時に上下の鋼板に蓄積された残留
応力が大きく、塗装時の熱で樹脂が軟化した際に、残留
応力が解放され、ふくれをともないながら剥離が進行す
るものがある。ダンパー材として熱硬化性樹脂を用いる
ことにより上述のように塗装時の熱で樹脂が溶融して剥
離が進行することは防止されるものの、上下鋼板の残留
応力が大きい場合にはそのような残留応力の解放にとも
なうふくれにより熱剥離が発生する場合がある。
時の熱によりダンパー樹脂が溶融し、剥離が進行するも
の以外に、プレス成形時に上下の鋼板に蓄積された残留
応力が大きく、塗装時の熱で樹脂が軟化した際に、残留
応力が解放され、ふくれをともないながら剥離が進行す
るものがある。ダンパー材として熱硬化性樹脂を用いる
ことにより上述のように塗装時の熱で樹脂が溶融して剥
離が進行することは防止されるものの、上下鋼板の残留
応力が大きい場合にはそのような残留応力の解放にとも
なうふくれにより熱剥離が発生する場合がある。
【0020】本発明者らは、この場合の熱剥離は高温時
の板厚方向の接着強度(垂直接着強度)が小さいために
発生することを見出し、ダンパー材と鋼板との垂直接着
強度が100℃で10kgf/cm2 以上であれば、残
留応力が大きい場合でも熱剥離が生じ難いことを見出し
たのである。つまり、接着強度がこの値以上であれば耐
加工剥離性に優れ、耐熱剥離性が特に優れた複合型制振
鋼板が得られる。
の板厚方向の接着強度(垂直接着強度)が小さいために
発生することを見出し、ダンパー材と鋼板との垂直接着
強度が100℃で10kgf/cm2 以上であれば、残
留応力が大きい場合でも熱剥離が生じ難いことを見出し
たのである。つまり、接着強度がこの値以上であれば耐
加工剥離性に優れ、耐熱剥離性が特に優れた複合型制振
鋼板が得られる。
【0021】本発明で用いられる鋼板の種類としては、
冷延鋼板、亜鉛めっき鋼板、合金亜鉛めっき鋼板、Al
系、Cr系、Ni系、Sn系の金属めっき鋼板などが挙
げられ、鋼板の表面にクロメート処理、りん酸塩処理な
どの化成処理を施したものであっても使用することがで
きる。
冷延鋼板、亜鉛めっき鋼板、合金亜鉛めっき鋼板、Al
系、Cr系、Ni系、Sn系の金属めっき鋼板などが挙
げられ、鋼板の表面にクロメート処理、りん酸塩処理な
どの化成処理を施したものであっても使用することがで
きる。
【0022】鋼板の板厚としては、板厚の増加にともな
い上下鋼板のずれ量が大きくなる傾向にあるため、片側
の鋼板の板厚が1.2mm以下のものを用いることが好
ましい。
い上下鋼板のずれ量が大きくなる傾向にあるため、片側
の鋼板の板厚が1.2mm以下のものを用いることが好
ましい。
【0023】本発明に用いられる高分子樹脂は、エポキ
シ、ポリウレタン、アクリル、熱硬化性ポリエステルな
どの熱硬化性樹脂であり、これらの樹脂は単独であって
も、あるいは混合して用いてもよく、樹脂厚(ダンパー
材の厚さ)としては、制振性、軽量化、コストなどの面
から考慮して、35μm以上、100μm以下であるこ
とが好ましい。
シ、ポリウレタン、アクリル、熱硬化性ポリエステルな
どの熱硬化性樹脂であり、これらの樹脂は単独であって
も、あるいは混合して用いてもよく、樹脂厚(ダンパー
材の厚さ)としては、制振性、軽量化、コストなどの面
から考慮して、35μm以上、100μm以下であるこ
とが好ましい。
【0024】また、本発明の樹脂には、溶接性を付与す
る目的として、ニッケル粉、鉄粉、ステンレス粉、銅粉
等の各種金属粉および合金粉、金属繊維、またはカーボ
ンブラック、グラファイト粉等の導電性粒子を添加して
もよい。
る目的として、ニッケル粉、鉄粉、ステンレス粉、銅粉
等の各種金属粉および合金粉、金属繊維、またはカーボ
ンブラック、グラファイト粉等の導電性粒子を添加して
もよい。
【0025】
【実施例】表1に示す実施例1〜14、および表2に示
す比較例1〜11の鋼板および樹脂を用いて複合型制振
鋼板を以下のようにして作製した。これらのうち実施例
1〜9および比較例1〜6のダンパー材樹脂としては、
分子中に不飽和結合を有するゴム成分とアクリル酸金属
塩もしくはメタクリル酸金属塩と、さらに重合性単量体
とを主成分とする粘弾性組成物を用い、実施例10〜1
3および比較例7〜11のダンパー材樹脂としては、側
鎖に芳香環を有する共重合ポリエステルを主成分とする
粘弾性組成物を用いた。なお、ダンパー材として用いた
樹脂の特性も表1および表2に示す。
す比較例1〜11の鋼板および樹脂を用いて複合型制振
鋼板を以下のようにして作製した。これらのうち実施例
1〜9および比較例1〜6のダンパー材樹脂としては、
分子中に不飽和結合を有するゴム成分とアクリル酸金属
塩もしくはメタクリル酸金属塩と、さらに重合性単量体
とを主成分とする粘弾性組成物を用い、実施例10〜1
3および比較例7〜11のダンパー材樹脂としては、側
鎖に芳香環を有する共重合ポリエステルを主成分とする
粘弾性組成物を用いた。なお、ダンパー材として用いた
樹脂の特性も表1および表2に示す。
【0026】これらの樹脂にNi粉を5wt%混入せし
め、板厚0.8mmの鋼板間に介在せしめ、樹脂厚50
μmとなるように貼り合わせ、複合型制振鋼板を作製し
た。これらの制振鋼板をドロービード試験機のビードお
よびダイス肩部を通過させ、通過部のTピール強度を測
定した。この試験においては、残留接着強度が2.0k
gf/cm以上であった場合には、ビード高さを1mm
高くして再度ドロービード試験を行った。このようにし
て、2.0mm以上の残留接着強度を保持するビード高
さの最大値を求め、限界ビード高さとした。その高さが
4mm以上のサンプルについて、耐加工剥離性良好材と
した。
め、板厚0.8mmの鋼板間に介在せしめ、樹脂厚50
μmとなるように貼り合わせ、複合型制振鋼板を作製し
た。これらの制振鋼板をドロービード試験機のビードお
よびダイス肩部を通過させ、通過部のTピール強度を測
定した。この試験においては、残留接着強度が2.0k
gf/cm以上であった場合には、ビード高さを1mm
高くして再度ドロービード試験を行った。このようにし
て、2.0mm以上の残留接着強度を保持するビード高
さの最大値を求め、限界ビード高さとした。その高さが
4mm以上のサンプルについて、耐加工剥離性良好材と
した。
【0027】また、耐加工剥離性良好材について、それ
ぞれの限界ビード高さでドロービード試験を行い、10
0℃の雰囲気中に30分間放置した後、Tピール強度を
測定し、熱剥離発生の有無について調査した。残留接着
強度が2.0kgf/cm未満となったサンプルについ
て、熱剥離ありとみなした。
ぞれの限界ビード高さでドロービード試験を行い、10
0℃の雰囲気中に30分間放置した後、Tピール強度を
測定し、熱剥離発生の有無について調査した。残留接着
強度が2.0kgf/cm未満となったサンプルについ
て、熱剥離ありとみなした。
【0028】これら評価結果についても併せて表1およ
び表2に示す。なお、ドロービード試験機で摺動試験を
行う状態を図1に、垂直接着強度測定試験を行う状態を
図2に示す。これら図中、参照符号1は制振鋼板、2は
ダイス、3は絞りビード、4はビールホルダー、5は垂
直接着強度測定用アルミニウム製治具である。
び表2に示す。なお、ドロービード試験機で摺動試験を
行う状態を図1に、垂直接着強度測定試験を行う状態を
図2に示す。これら図中、参照符号1は制振鋼板、2は
ダイス、3は絞りビード、4はビールホルダー、5は垂
直接着強度測定用アルミニウム製治具である。
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
【0031】なお、これら表中、樹脂特性は、制振鋼板
作製時と同じ条件(温度、時間)で架橋させた2.0m
m厚の樹脂シートを用い、動的弾性率を岩本製作所製粘
弾性スペクトロメーターVES−F−III により、20
℃、0.5Hzにて測定し、伸び率(引張伸び)につい
てはJISK7113に準拠して測定した。また、垂直
接着強度の測定については、20mmφのアルミニウム
製治具に制振鋼板をエポキシ系構造用接着材で接着し、
アルミニウム製治具を制振鋼板の板厚方向に5mm/m
inの速度で引張り(図2参照)、制振鋼板のダンパー
材樹脂が破壊される最大荷重を断面積で割って算出し
た。さらに、ドロービード試験の摺動速度は10m/m
inで行い、潤滑油はダフニーオイルコートskを使用
した。
作製時と同じ条件(温度、時間)で架橋させた2.0m
m厚の樹脂シートを用い、動的弾性率を岩本製作所製粘
弾性スペクトロメーターVES−F−III により、20
℃、0.5Hzにて測定し、伸び率(引張伸び)につい
てはJISK7113に準拠して測定した。また、垂直
接着強度の測定については、20mmφのアルミニウム
製治具に制振鋼板をエポキシ系構造用接着材で接着し、
アルミニウム製治具を制振鋼板の板厚方向に5mm/m
inの速度で引張り(図2参照)、制振鋼板のダンパー
材樹脂が破壊される最大荷重を断面積で割って算出し
た。さらに、ドロービード試験の摺動速度は10m/m
inで行い、潤滑油はダフニーオイルコートskを使用
した。
【0032】これら表の評価結果を樹脂の動的弾性率と
伸び率との関係でまとめたものを図3に示す。これらの
結果から、樹脂の動弾性率と伸び率との関係が、 EL´≧−0.95EG2 +14EG−46 を満たす場合に、限界ビード高さが4mm以上であり、
耐加工剥離性に優れることがわかった。
伸び率との関係でまとめたものを図3に示す。これらの
結果から、樹脂の動弾性率と伸び率との関係が、 EL´≧−0.95EG2 +14EG−46 を満たす場合に、限界ビード高さが4mm以上であり、
耐加工剥離性に優れることがわかった。
【0033】ただし、上記式においてEL´=EL/1
00、EG=log10E´E´は前記高分子樹脂の20
℃、0.5Hzにおける動的弾性率(dyne/cm2 )、
ELは前記高分子樹脂の20℃における伸び率(%)で
ある。また、ドロービード後の加熱試験において、熱剥
離が発生しない樹脂は、100℃で10kgf/cm2
以上の垂直接着強度を有していることが確認された。
00、EG=log10E´E´は前記高分子樹脂の20
℃、0.5Hzにおける動的弾性率(dyne/cm2 )、
ELは前記高分子樹脂の20℃における伸び率(%)で
ある。また、ドロービード後の加熱試験において、熱剥
離が発生しない樹脂は、100℃で10kgf/cm2
以上の垂直接着強度を有していることが確認された。
【0034】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、製
造コスト、加工コストの増大を招くことなく、耐加工剥
離性と耐熱剥離性に優れた複合型制振鋼板を得ることが
できる。
造コスト、加工コストの増大を招くことなく、耐加工剥
離性と耐熱剥離性に優れた複合型制振鋼板を得ることが
できる。
【図1】複合型制振鋼板におけるダンパー材の樹脂の動
的弾性率と引張伸びおよび限界ビード高さとの関係を示
す図。
的弾性率と引張伸びおよび限界ビード高さとの関係を示
す図。
【図2】ドロービード試験機で摺動試験を行う状態を示
す図。
す図。
【図3】垂直接着強度測定試験を行う状態を示す図。
1……制振鋼板 2……ダイス 3……絞りビード 4……ビードホルダー 5……垂直接着強度試験用アルミニウム治具
Claims (2)
- 【請求項1】 高分子樹脂を二枚の鋼板の間に介在させ
てなる複合型制振鋼板であって、前記高分子樹脂として
以下の式で示す関係式を満たす熱硬化性樹脂を用いたこ
とを特徴とする耐剥離性に優れた複合型制振鋼板。 EL´≧−0.95EG2 +14EG−46 EL´=EL/100 EG=log10E´ E´≧107 ただし、E´は前記高分子樹脂の20℃、0.5Hzに
おける動的弾性率(dyne/cm2 )、ELは前記高分子
樹脂の20℃における伸び率(%)である。 - 【請求項2】 前記高分子樹脂の鋼板との垂直接着強度
が100℃で10kgf/cm2 以上であることを特徴
とする請求項1に記載の耐剥離性に優れた複合型制振鋼
板。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP20332995A JP3168880B2 (ja) | 1995-08-09 | 1995-08-09 | 耐剥離性に優れた複合型制振鋼板 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP20332995A JP3168880B2 (ja) | 1995-08-09 | 1995-08-09 | 耐剥離性に優れた複合型制振鋼板 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0948085A true JPH0948085A (ja) | 1997-02-18 |
JP3168880B2 JP3168880B2 (ja) | 2001-05-21 |
Family
ID=16472214
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP20332995A Expired - Fee Related JP3168880B2 (ja) | 1995-08-09 | 1995-08-09 | 耐剥離性に優れた複合型制振鋼板 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3168880B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009132092A (ja) * | 2007-11-30 | 2009-06-18 | Mitsubishi Plastics Inc | 樹脂被覆マグネシウム合金板、樹脂被覆マグネシウム合金成形体の製造方法 |
-
1995
- 1995-08-09 JP JP20332995A patent/JP3168880B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009132092A (ja) * | 2007-11-30 | 2009-06-18 | Mitsubishi Plastics Inc | 樹脂被覆マグネシウム合金板、樹脂被覆マグネシウム合金成形体の製造方法 |
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Publication number | Publication date |
---|---|
JP3168880B2 (ja) | 2001-05-21 |
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Legal Events
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