JPH0941032A - 加熱炉用スキッドライダー - Google Patents
加熱炉用スキッドライダーInfo
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- JPH0941032A JPH0941032A JP19630695A JP19630695A JPH0941032A JP H0941032 A JPH0941032 A JP H0941032A JP 19630695 A JP19630695 A JP 19630695A JP 19630695 A JP19630695 A JP 19630695A JP H0941032 A JPH0941032 A JP H0941032A
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- skid
- heating furnace
- skid rider
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 本発明は加熱炉におけるスキッドライダーの
性能を改善することにより寿命を延長させることを目的
とするものである。 【解決手段】 本発明のスキッドライダーは母材Crに
0.05体積%以上0.5体積%以下の酸化物を分散し
た焼結材またはCr焼結材に対し塑性加工を施した素材
によりスキッドライダーの高さ方向の平均結晶粒径を連
続的に変化させ、ライダー下部において60μm以下、
上部が60μmを超える平均結晶粒径を有する組織で構
成される加熱炉スキッドライダー。 【効果】 本発明材は優れたクリープ変形抵抗性、耐高
温腐食性および耐衝撃性を有するため耐用寿命を従来品
より長くすることができるとともに、加熱炉内の輻射熱
をむらなく被加熱体に供給できることからスキッドマー
クの低減が図れ熱間圧延コイルの品質向上が得られる。
性能を改善することにより寿命を延長させることを目的
とするものである。 【解決手段】 本発明のスキッドライダーは母材Crに
0.05体積%以上0.5体積%以下の酸化物を分散し
た焼結材またはCr焼結材に対し塑性加工を施した素材
によりスキッドライダーの高さ方向の平均結晶粒径を連
続的に変化させ、ライダー下部において60μm以下、
上部が60μmを超える平均結晶粒径を有する組織で構
成される加熱炉スキッドライダー。 【効果】 本発明材は優れたクリープ変形抵抗性、耐高
温腐食性および耐衝撃性を有するため耐用寿命を従来品
より長くすることができるとともに、加熱炉内の輻射熱
をむらなく被加熱体に供給できることからスキッドマー
クの低減が図れ熱間圧延コイルの品質向上が得られる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱間圧延用または
鋼材熱処理用等の加熱炉における被加熱体支持部材であ
るスキッドライダーに関するものである。
鋼材熱処理用等の加熱炉における被加熱体支持部材であ
るスキッドライダーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に加熱炉内でスラブ等被加熱体を保
持するための被加熱体支持部材はスキッドパイプと呼ば
れる冷却管上に配置され、さらに周囲を耐熱キャスタブ
ルで覆われた構造となっているため、被加熱体支持部材
のうちの上部は加熱炉操業温度近傍の高温に曝され、冷
却管上のライダー下部は数十度から数百度程度の低温と
なり、一つの部材において高さ方向に大きな温度分布を
有している。このような過酷な使用環境下において、安
定した炉の操業を行うため、加熱炉用支持部材はその上
部において高温での圧縮クリープ変形抵抗性、耐高温腐
食(酸化・炭化)性等の耐熱特性が要求されるととも
に、下部においては使用中の割損を生じないための耐衝
撃性等の機械的特性が要求される。
持するための被加熱体支持部材はスキッドパイプと呼ば
れる冷却管上に配置され、さらに周囲を耐熱キャスタブ
ルで覆われた構造となっているため、被加熱体支持部材
のうちの上部は加熱炉操業温度近傍の高温に曝され、冷
却管上のライダー下部は数十度から数百度程度の低温と
なり、一つの部材において高さ方向に大きな温度分布を
有している。このような過酷な使用環境下において、安
定した炉の操業を行うため、加熱炉用支持部材はその上
部において高温での圧縮クリープ変形抵抗性、耐高温腐
食(酸化・炭化)性等の耐熱特性が要求されるととも
に、下部においては使用中の割損を生じないための耐衝
撃性等の機械的特性が要求される。
【0003】これらの機能要求に対して、主にSCH1
2耐熱合金やCo耐熱合金等のオーステナイト系耐熱鋳
造材が使用されてきたが、1150℃以上の高温操業の
中では従来の耐熱鋳造合金ではクリープ変形による大き
な頭部へたりを起こしてしまう。このため加熱炉支持部
材高さが低下し、被加熱体と加熱炉支持部材との接触面
温度を低下させることによりスキッドマークと呼ばれる
低温スポットができ、被加熱材の均一加熱を困難なもの
にしている。
2耐熱合金やCo耐熱合金等のオーステナイト系耐熱鋳
造材が使用されてきたが、1150℃以上の高温操業の
中では従来の耐熱鋳造合金ではクリープ変形による大き
な頭部へたりを起こしてしまう。このため加熱炉支持部
材高さが低下し、被加熱体と加熱炉支持部材との接触面
温度を低下させることによりスキッドマークと呼ばれる
低温スポットができ、被加熱材の均一加熱を困難なもの
にしている。
【0004】近年、かかる問題を解決するため金属Cr
中にFe,Mo等を添加したフェライト系のCr合金を
加熱炉における被加熱体支持部材として適用する研究が
なされている(たとえば、特開平3−47912号公
報)。これら合金は耐熱材料としての優れた高温圧縮ク
リープ特性、腐食特性を発現するため鋳造法あるいは焼
結材の高温熱処理により素材結晶粒を粗大化した製法を
一般的に使用しているが、フェライト系材料の結晶粒径
の粗大化は一方において耐衝撃性等の機械的特性を低下
させ、現状によっては使用中に部材下部において割損を
おこし、被加熱材の表面に疵をつける場合がある。従っ
て、高温雰囲気で使用される被加熱体支持部材の耐熱特
性を一層向上し、低温部での耐割損性を向上させること
は工業的に極めて重大な意義を有する。
中にFe,Mo等を添加したフェライト系のCr合金を
加熱炉における被加熱体支持部材として適用する研究が
なされている(たとえば、特開平3−47912号公
報)。これら合金は耐熱材料としての優れた高温圧縮ク
リープ特性、腐食特性を発現するため鋳造法あるいは焼
結材の高温熱処理により素材結晶粒を粗大化した製法を
一般的に使用しているが、フェライト系材料の結晶粒径
の粗大化は一方において耐衝撃性等の機械的特性を低下
させ、現状によっては使用中に部材下部において割損を
おこし、被加熱材の表面に疵をつける場合がある。従っ
て、高温雰囲気で使用される被加熱体支持部材の耐熱特
性を一層向上し、低温部での耐割損性を向上させること
は工業的に極めて重大な意義を有する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前述した従
来の加熱炉用被加熱体支持部材の有する問題点、即ちオ
ーステナイト系材料であるFe耐熱合金、Co耐熱合金
製のスキッドライダーの欠点である高温圧縮クリープ変
形とフェライト系材料であるCr合金でみられる、被加
熱体が与える衝撃荷重に起因するライダー下部の低温域
でみられる割損等の問題点を一挙に解決しようとするも
のである。
来の加熱炉用被加熱体支持部材の有する問題点、即ちオ
ーステナイト系材料であるFe耐熱合金、Co耐熱合金
製のスキッドライダーの欠点である高温圧縮クリープ変
形とフェライト系材料であるCr合金でみられる、被加
熱体が与える衝撃荷重に起因するライダー下部の低温域
でみられる割損等の問題点を一挙に解決しようとするも
のである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、加熱炉用被加
熱体支持部材における前述の問題を解決するためフェラ
イト系材料の高温耐熱特性と衝撃値をはじめとする機械
的特性を向上させるための素材成分および製造方法を見
いだしたものである。即ち、金属Cr中に酸化物が0.
05体積%以上、0.5体積%以下となるよう均一混合
した粉末、または金属Cr粉末の焼結体に熱間加工を加
えた平均粒径が60μm以下の素材を、操業温度が11
50℃以上の加熱炉で使用することにより、スキッドラ
イダー上部を平均結晶粒径60μmを超える素材とし、
ライダー下部は平均結晶粒径60μm以下のままとする
ことを特徴とする加熱炉におけるスキッドライダーを要
旨とするものである。
熱体支持部材における前述の問題を解決するためフェラ
イト系材料の高温耐熱特性と衝撃値をはじめとする機械
的特性を向上させるための素材成分および製造方法を見
いだしたものである。即ち、金属Cr中に酸化物が0.
05体積%以上、0.5体積%以下となるよう均一混合
した粉末、または金属Cr粉末の焼結体に熱間加工を加
えた平均粒径が60μm以下の素材を、操業温度が11
50℃以上の加熱炉で使用することにより、スキッドラ
イダー上部を平均結晶粒径60μmを超える素材とし、
ライダー下部は平均結晶粒径60μm以下のままとする
ことを特徴とする加熱炉におけるスキッドライダーを要
旨とするものである。
【0007】本発明の焼結材料は99%純度以上、粉末
粒径250μm以下のCr粉末と粉末粒径5μm以下の
金属酸化物、好ましくはY2 O3 ,La2 O3 等の希土
類酸化物粉末からなる混合粉末、またはCr粉末単体を
原料粉末とする。製造方法は加圧成形及び常圧焼結法、
好ましくは熱間等方圧加圧装置(HIP)を用いて金属
容器中に真空封入した粉末を加圧焼結したのち、この焼
結素材に圧延、鍛造または押出し成形等の熱間塑性加工
を加えることにより素材に大きなひずみエネルギーを与
えたものを製品素材とするものである。あるいは、真空
封入された粉末を直接熱間押出し、引抜きすることによ
っても製造することができる。
粒径250μm以下のCr粉末と粉末粒径5μm以下の
金属酸化物、好ましくはY2 O3 ,La2 O3 等の希土
類酸化物粉末からなる混合粉末、またはCr粉末単体を
原料粉末とする。製造方法は加圧成形及び常圧焼結法、
好ましくは熱間等方圧加圧装置(HIP)を用いて金属
容器中に真空封入した粉末を加圧焼結したのち、この焼
結素材に圧延、鍛造または押出し成形等の熱間塑性加工
を加えることにより素材に大きなひずみエネルギーを与
えたものを製品素材とするものである。あるいは、真空
封入された粉末を直接熱間押出し、引抜きすることによ
っても製造することができる。
【0008】Crは難焼結材であるため、HIP焼結法
を用いる場合には1300℃〜1450℃の超高温下で
100〜200MPaの圧力のもと2時間〜5時間保持
して焼結でき、圧延または鍛造は塑性変形が十分可能な
800℃以上において30%以上の塑性変形を与える。
この素材を用いることにより加熱炉操業時にライダー上
部が優れた耐クリープ特性を有する粗大結晶粒組織、下
部が機械的特性に優れる微細結晶粒組織を有するスキッ
ドライダーを供給できる。この時、30%以下の塑性変
形では加工エネルギーが不十分なためスキッドライダー
上部の再結晶による結晶粒の粗大化が十分達成できな
い。
を用いる場合には1300℃〜1450℃の超高温下で
100〜200MPaの圧力のもと2時間〜5時間保持
して焼結でき、圧延または鍛造は塑性変形が十分可能な
800℃以上において30%以上の塑性変形を与える。
この素材を用いることにより加熱炉操業時にライダー上
部が優れた耐クリープ特性を有する粗大結晶粒組織、下
部が機械的特性に優れる微細結晶粒組織を有するスキッ
ドライダーを供給できる。この時、30%以下の塑性変
形では加工エネルギーが不十分なためスキッドライダー
上部の再結晶による結晶粒の粗大化が十分達成できな
い。
【0009】
【作用】本発明において金属Crを母材金属としたのは
元来Crが有する高温での優れた耐酸化性、圧縮クリー
プ変形抵抗性に着目したとともに、他金属と合金化した
場合しばしばみられるσ相等の脆性金属間化合物の生成
を避けるためである。また、純度を99%以上としたの
はCr中の不純物が増加することによりCrそのものが
脆化することを防止するためである。さらに、250μ
m以下の粉末を使用したのは難焼結材であるCrの焼結
性を考慮するとともに、本発明の特徴の一つである熱間
塑性加工を容易ならしめるためである。
元来Crが有する高温での優れた耐酸化性、圧縮クリー
プ変形抵抗性に着目したとともに、他金属と合金化した
場合しばしばみられるσ相等の脆性金属間化合物の生成
を避けるためである。また、純度を99%以上としたの
はCr中の不純物が増加することによりCrそのものが
脆化することを防止するためである。さらに、250μ
m以下の粉末を使用したのは難焼結材であるCrの焼結
性を考慮するとともに、本発明の特徴の一つである熱間
塑性加工を容易ならしめるためである。
【0010】一方、添加材として酸化物を選定したのは
加熱炉操業温度である1150℃以上の高温においても
金属Crあるいは被加熱体である鋼材と反応することな
く、それ自体熱力学的に非常に安定であり、かつ結晶粒
内に均一に分散した場合、金属Cr結晶粒界面でのすべ
りを起こり難くし、結果としてクリープ抵抗性が向上す
るためである。さらに、これらの酸化物は高温環境下で
生成された表面腐食層と素材の界面に凝集し、表面腐食
層と生地をつなぐ楔の役割をはたすことにより表層剥離
を抑制し、高温腐食による損傷を軽微ならしめるためで
ある。酸化物粉末の粒径を5μm以下と限定したのは酸
化物粉末の割損・脱落を防止し、熱間塑性加工により再
結晶粗大化をするために障害とならない粉末粒径を考慮
したことによる。
加熱炉操業温度である1150℃以上の高温においても
金属Crあるいは被加熱体である鋼材と反応することな
く、それ自体熱力学的に非常に安定であり、かつ結晶粒
内に均一に分散した場合、金属Cr結晶粒界面でのすべ
りを起こり難くし、結果としてクリープ抵抗性が向上す
るためである。さらに、これらの酸化物は高温環境下で
生成された表面腐食層と素材の界面に凝集し、表面腐食
層と生地をつなぐ楔の役割をはたすことにより表層剥離
を抑制し、高温腐食による損傷を軽微ならしめるためで
ある。酸化物粉末の粒径を5μm以下と限定したのは酸
化物粉末の割損・脱落を防止し、熱間塑性加工により再
結晶粗大化をするために障害とならない粉末粒径を考慮
したことによる。
【0011】また、本発明の焼結材料に占める酸化物添
加量の上限は、粉末粒界における酸化物凝集により塑性
加工が困難にならず、1150℃以上の操業温度でも再
結晶粗大化が可能である0.5体積%以下とした。ま
た、下限は酸化物分散効果が得られる0.05体積%以
上とした。これらの機能は高温で安定な金属酸化物であ
れば効果がみられるが、特に希土類酸化物において顕著
な効果をもたらす。一方、酸化物を添加しない場合は分
散効果がないため若干クリープ特性は劣るがコスト的に
有利であるとともに結晶粒粗大化傾向が大きくなること
により従来技術以上の性能を確保できる。
加量の上限は、粉末粒界における酸化物凝集により塑性
加工が困難にならず、1150℃以上の操業温度でも再
結晶粗大化が可能である0.5体積%以下とした。ま
た、下限は酸化物分散効果が得られる0.05体積%以
上とした。これらの機能は高温で安定な金属酸化物であ
れば効果がみられるが、特に希土類酸化物において顕著
な効果をもたらす。一方、酸化物を添加しない場合は分
散効果がないため若干クリープ特性は劣るがコスト的に
有利であるとともに結晶粒粗大化傾向が大きくなること
により従来技術以上の性能を確保できる。
【0012】本発明者らはこれらCr粉末と酸化物との
混合粉末またはCr粉末のみを焼結した素材、さらには
熱間塑性加工した素材の再結晶特性、耐熱特性、機械的
特性を詳細に検討した結果、スキッドライダーの上部と
下部での結晶粒を変化させる制御を容易に可能ならしめ
る方法を見いだした。即ちこれらCr粉末と酸化物との
混合粉末またはCr粉末を焼結し、熱間塑性加工しただ
けでは結晶粒の粗大化は起こらないが、本素材を115
0℃以上の高温に数時間保持することにより、塑性加工
によるひずみエネルギーが駆動力となり、素材の再結晶
化が急速に進むことを見いだした。
混合粉末またはCr粉末のみを焼結した素材、さらには
熱間塑性加工した素材の再結晶特性、耐熱特性、機械的
特性を詳細に検討した結果、スキッドライダーの上部と
下部での結晶粒を変化させる制御を容易に可能ならしめ
る方法を見いだした。即ちこれらCr粉末と酸化物との
混合粉末またはCr粉末を焼結し、熱間塑性加工しただ
けでは結晶粒の粗大化は起こらないが、本素材を115
0℃以上の高温に数時間保持することにより、塑性加工
によるひずみエネルギーが駆動力となり、素材の再結晶
化が急速に進むことを見いだした。
【0013】一方、加熱炉の操業は通常数時間から十数
時間かけて操業温度まで昇温する方法がとられているた
め、本素材により製作されたスキッドライダーを取り付
けておくことにより1150℃以上の操業温度に達した
後、キャスタブル上に露出しているスキッドライダー上
部は容易に再結晶化される。即ち、上部は再結晶粗大化
により結晶粒界面積が減少し、クリープ性、酸化性が向
上するとともに、微細酸化物を添加した場合これらが結
晶粒内に多数分布することにより素材変形抵抗をたか
め、優れた圧縮クリープ抵抗性を得る。さらに酸化物、
特に希土類酸化物は表層酸化膜下で生地との間に楔効果
をもたらし表層剥離を抑制し、高温腐食による表面損傷
を軽微ならしめる。割損の危険性が最も高いライダー下
部の低温部では結晶粒径の粗大化はおこらず、結晶粒径
が小さいまま維持されるため優れた機械的特性が得ら
れ、衝撃による割損抵抗は大きく改善されるものであ
る。
時間かけて操業温度まで昇温する方法がとられているた
め、本素材により製作されたスキッドライダーを取り付
けておくことにより1150℃以上の操業温度に達した
後、キャスタブル上に露出しているスキッドライダー上
部は容易に再結晶化される。即ち、上部は再結晶粗大化
により結晶粒界面積が減少し、クリープ性、酸化性が向
上するとともに、微細酸化物を添加した場合これらが結
晶粒内に多数分布することにより素材変形抵抗をたか
め、優れた圧縮クリープ抵抗性を得る。さらに酸化物、
特に希土類酸化物は表層酸化膜下で生地との間に楔効果
をもたらし表層剥離を抑制し、高温腐食による表面損傷
を軽微ならしめる。割損の危険性が最も高いライダー下
部の低温部では結晶粒径の粗大化はおこらず、結晶粒径
が小さいまま維持されるため優れた機械的特性が得ら
れ、衝撃による割損抵抗は大きく改善されるものであ
る。
【0014】
【実施例】本発明の加熱炉用被加熱体支持部材の製造及
び材料特性について実施例により説明する。 (1)素材の製造 表1に示すように99%純度以上、粉末粒径250μm
以下のCr粉末および酸化物として粉末粒径5μm以下
のY2 O3 粉末を使用した。酸化物分散材については事
前に十分混合した後、Cr単体粉については原料粉末を
それぞれ軟鋼製容器に真空封入してHIP処理を施すこ
とにより焼結材とした。HIP処理は高融点材料である
Crおよび酸化物が十分焼結するよう1400℃×15
0MPa×2時間なる条件で実施した。また、熱間塑性
加工は800℃〜1200℃の温度範囲で鍛造により実
施し平均結晶粒径58μmの素材を製作した。このとき
の鍛造による塑性加工率は33%とした。
び材料特性について実施例により説明する。 (1)素材の製造 表1に示すように99%純度以上、粉末粒径250μm
以下のCr粉末および酸化物として粉末粒径5μm以下
のY2 O3 粉末を使用した。酸化物分散材については事
前に十分混合した後、Cr単体粉については原料粉末を
それぞれ軟鋼製容器に真空封入してHIP処理を施すこ
とにより焼結材とした。HIP処理は高融点材料である
Crおよび酸化物が十分焼結するよう1400℃×15
0MPa×2時間なる条件で実施した。また、熱間塑性
加工は800℃〜1200℃の温度範囲で鍛造により実
施し平均結晶粒径58μmの素材を製作した。このとき
の鍛造による塑性加工率は33%とした。
【0015】
【表1】
【0016】(2)素材の再結晶特性 図1は2時間保定での熱処理温度と結晶粒径との関係を
示す図である。この図1に示す様に本発明成分における
熱間塑性加工後の素材は1150℃以上の温度で数時間
の保持により再結晶粗大化が起こり、1150℃以上の
温度で操業している加熱炉においてライダー上部が十分
再結晶されることを示したものである。図2に160m
m高さのスキッドライダーを加熱炉で使用した場合のラ
イダー高さ方向の温度分布についての有限要素法解析結
果を示すが、ライダー下部温度は200℃から600℃
となり、上部温度は高さ120mm以上で1150℃を
越えるものである。従って、スキッドパイプ上のスキッ
ドライダーは図3に示すように同一素材のなかで高さ方
向での異なった結晶粒を有するもとなる。すなわち、図
3はスキッドライダー断面の組織変化を示す図であり、
ライダー上部は結晶粒粗大部分、ライダー下部は結晶粒
微細部分を示している。符号1はCr系スキッドライダ
ー、2はライダーホルダー、3は冷却管、4はキャスタ
ブルである。
示す図である。この図1に示す様に本発明成分における
熱間塑性加工後の素材は1150℃以上の温度で数時間
の保持により再結晶粗大化が起こり、1150℃以上の
温度で操業している加熱炉においてライダー上部が十分
再結晶されることを示したものである。図2に160m
m高さのスキッドライダーを加熱炉で使用した場合のラ
イダー高さ方向の温度分布についての有限要素法解析結
果を示すが、ライダー下部温度は200℃から600℃
となり、上部温度は高さ120mm以上で1150℃を
越えるものである。従って、スキッドパイプ上のスキッ
ドライダーは図3に示すように同一素材のなかで高さ方
向での異なった結晶粒を有するもとなる。すなわち、図
3はスキッドライダー断面の組織変化を示す図であり、
ライダー上部は結晶粒粗大部分、ライダー下部は結晶粒
微細部分を示している。符号1はCr系スキッドライダ
ー、2はライダーホルダー、3は冷却管、4はキャスタ
ブルである。
【0017】(3)素材の材料特性 高さ方向において結晶粒径が異なることは同一素材にお
いて異なる特性を有することを意味する。即ち、高さ方
向において表1及び表2に示すような異なる材料特性を
有したスキッドライダーを供給できる。本発明である塑
性加工を加えた表2に示す素材(No.1〜No.3)
は1150℃以上の熱履歴を加えることにより結晶粒径
が60μmを越える大きさに成長し、圧縮クリープ特性
は従来材に比べ大幅に改善される(試料位置/上部
材)。一方、熱履歴温度が1150℃以下の場合(試料
位置/下部材)は圧縮クリープ特性はあまり改善されな
いが、400℃での機械的特性に優れ、割損に対する抵
抗性は大きく向上する。また、少量の酸化物を加えるこ
とは圧縮クリープ特性、高温腐食特性が改善される。
いて異なる特性を有することを意味する。即ち、高さ方
向において表1及び表2に示すような異なる材料特性を
有したスキッドライダーを供給できる。本発明である塑
性加工を加えた表2に示す素材(No.1〜No.3)
は1150℃以上の熱履歴を加えることにより結晶粒径
が60μmを越える大きさに成長し、圧縮クリープ特性
は従来材に比べ大幅に改善される(試料位置/上部
材)。一方、熱履歴温度が1150℃以下の場合(試料
位置/下部材)は圧縮クリープ特性はあまり改善されな
いが、400℃での機械的特性に優れ、割損に対する抵
抗性は大きく向上する。また、少量の酸化物を加えるこ
とは圧縮クリープ特性、高温腐食特性が改善される。
【0018】一方、比較材(No.4)に示すように、
塑性加工を加えていない素材を1150℃以上の高温に
加熱しても結晶粒の粗大化はおこらない。また、従来材
のように母材をCr−Feとした場合は塑性加工による
結晶粒制御が困難であるばかりでなく、合金化作用等に
より著しい硬度上昇が起こるとともに機械的特性が低下
することから割損に対する危険性が増大し、切削性が低
下する(No.5)。また、Co鋳造合金の場合、機械
的特性は優れているが、圧縮クリープ変形抵抗性が不十
分であり、使用中に容易に頭部へたりをおこす(No.
6)。
塑性加工を加えていない素材を1150℃以上の高温に
加熱しても結晶粒の粗大化はおこらない。また、従来材
のように母材をCr−Feとした場合は塑性加工による
結晶粒制御が困難であるばかりでなく、合金化作用等に
より著しい硬度上昇が起こるとともに機械的特性が低下
することから割損に対する危険性が増大し、切削性が低
下する(No.5)。また、Co鋳造合金の場合、機械
的特性は優れているが、圧縮クリープ変形抵抗性が不十
分であり、使用中に容易に頭部へたりをおこす(No.
6)。
【0019】
【表2】
【0020】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の焼結材料は
1150℃以上の高温雰囲気において優れた圧縮クリー
プ特性、耐高温腐食性及び耐衝撃割損性を有するため加
熱炉内において背丈の高いスキッドライダーを長期間保
持することが可能となった。このことにより耐用寿命を
従来品より長くすることができると共に、加熱炉内の輻
射熱をむらなく被加熱体に供給できることからスキッド
マークの低減が図れ熱間圧延コイルの品質向上が得られ
る。さらに熱間塑性加工により最終製品に近い形状に成
形できることから素材歩留りを向上できるとともに、低
硬度材であることから切削性が良好であり、任意形状の
スキッドライダーを低価格で供給できる。
1150℃以上の高温雰囲気において優れた圧縮クリー
プ特性、耐高温腐食性及び耐衝撃割損性を有するため加
熱炉内において背丈の高いスキッドライダーを長期間保
持することが可能となった。このことにより耐用寿命を
従来品より長くすることができると共に、加熱炉内の輻
射熱をむらなく被加熱体に供給できることからスキッド
マークの低減が図れ熱間圧延コイルの品質向上が得られ
る。さらに熱間塑性加工により最終製品に近い形状に成
形できることから素材歩留りを向上できるとともに、低
硬度材であることから切削性が良好であり、任意形状の
スキッドライダーを低価格で供給できる。
【図1】2時間保定での熱処理温度と結晶粒径との関係
を示す図、
を示す図、
【図2】スキッドライダー高さ方向の温度分布変化を示
す図、
す図、
【図3】スキッドライダー断面の組織変化を示す図であ
る。
る。
1 Cr系スキッドライダー 2 ライダーホルダー 3 冷却管 4 キャスタブル
Claims (1)
- 【請求項1】 冷却管の外部に配設されたライダーホル
ダーに装着され、下部周囲を耐熱キャスタブルで覆われ
た加熱炉用スキッドライダーであって、0.05体積%
以上5体積%以下の金属酸化物を有し残部が純度99%
以上の金属クロムと不可避不純物からなる焼結体に、熱
間塑性加工を加えることにより、前記耐熱キャスタブル
で覆われた部分の平均結晶粒径を60μm以下、それ以
外の部分を60μm以上とした組織で構成されることを
特徴とする加熱炉用スキッドライダー。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP19630695A JPH0941032A (ja) | 1995-08-01 | 1995-08-01 | 加熱炉用スキッドライダー |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP19630695A JPH0941032A (ja) | 1995-08-01 | 1995-08-01 | 加熱炉用スキッドライダー |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0941032A true JPH0941032A (ja) | 1997-02-10 |
Family
ID=16355621
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP19630695A Withdrawn JPH0941032A (ja) | 1995-08-01 | 1995-08-01 | 加熱炉用スキッドライダー |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0941032A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014189842A (ja) * | 2013-03-27 | 2014-10-06 | Kubota Corp | スキッドボタン |
-
1995
- 1995-08-01 JP JP19630695A patent/JPH0941032A/ja not_active Withdrawn
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014189842A (ja) * | 2013-03-27 | 2014-10-06 | Kubota Corp | スキッドボタン |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20021001 |