JPH0940464A - 窒化珪素質焼結体及びその製造方法 - Google Patents

窒化珪素質焼結体及びその製造方法

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JPH0940464A
JPH0940464A JP7212658A JP21265895A JPH0940464A JP H0940464 A JPH0940464 A JP H0940464A JP 7212658 A JP7212658 A JP 7212658A JP 21265895 A JP21265895 A JP 21265895A JP H0940464 A JPH0940464 A JP H0940464A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 酸化雰囲気下、特定の温度範囲で熱処理する
ことにより、耐酸化性が高く、高温における曲げ強度に
優れ、また、特にクリープによる歪み量の小さい窒化珪
素質焼結体及びその製造方法を提供する。 【解決手段】 窒化珪素粉末89重量%(以下、%とい
う。)に、Yb2 3 粉末8%、Al2 3 粉末1%及
びAlN粉末2%を配合し、窒化珪素製のボールミルを
使用して、湿式で混合粉砕した。その後、得られた粉砕
物を乾燥し、55×55×25mmの形状に静水圧プレ
ス法によって成形した。次いで、この成形体を窒素ガス
雰囲気中、熱間静水圧プレス法によって1800℃で2
時間焼成した。得られた焼結体を大気雰囲気下、130
0℃で1000時間熱処理し、その最表層を常法によっ
て除去し、特定の表面構造を有する窒化珪素質焼結体を
得た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐酸化性が高く、
高温における曲げ強度に優れ、且つ、特にクリープによ
る歪み量の少ない窒化珪素質焼結体及びその製造方法に
関する。本発明の窒化珪素質焼結体は、ガスタービン等
の熱機関の構造用部品等の材料又は素材として使用する
ことができる。
【0002】
【従来の技術】窒化珪素質焼結体は、機械的特性、耐熱
性及び耐食性等に優れているため、自動車用エンジンや
ガスタービンエンジン等の熱機関に用いられる構造材料
への応用が試みられている。
【0003】窒化珪素は、共有結合性が高いため難焼結
性であって、焼結させるためにはAl2 3 、MgO及
び希土類元素の酸化物等の焼結助剤を使用する必要があ
る。しかし、これら焼結助剤を使用して得られる焼結体
は、高温における曲げ強度或いは耐クリープ性等が低下
する傾向にあり、焼結助剤の種類、使用量等の検討、或
いは粒界を結晶化する等の方法により、上記曲げ強度等
の低下を抑える試みがなされている。
【0004】例えば、特開平6−183842号公報に
は、焼成温度より更に高い温度で熱処理することにより
結晶粒を粗大化させ、耐クリープ性を向上させる技術が
開示されている。また、特開平6−87665号公報及
び特開平6−135706号公報には、金属珪素粉末を
窒化して得られる窒化珪素粉末において、フッ素、塩
素、鉄等、特定の元素の含有量を特定量以下とすること
により、耐クリープ性を改良する技術が開示されてい
る。更に、特公昭61−315号公報には、粒界を結晶
化することにより、特に高温耐クリープ性に優れた窒化
珪素焼結体を得る技術が記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
粒子の粗大化による方法では、耐クリープ性は向上する
ものの、同時に欠陥寸法の増大が予想され、強度の低下
を招く恐れがある。また、フッ素、塩素等の不純物の量
を低減する方法も、耐クリープ性の改良に有効ではある
と思われるが、非常にコストの高い製品となり現実的で
はない。更に、粒界の結晶化は、現在、最もよく知られ
た手軽な方法であり、耐クリープ性向上にかなり有効な
手段ではあるが、耐酸化性の点で問題があり、必ずしも
有利な方法とはいえない。
【0006】本発明は、上記の問題点を解決するもので
あり、耐酸化性が高く、高温における曲げ強度に優れ、
また、特に高温におけるクリープによる歪み量の小さい
窒化珪素質焼結体及びその製造方法を提供するものであ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】第1発明の窒化珪素質焼
結体は、少なくとも希土類元素を焼結助剤成分として含
む窒化珪素質焼結体において、該焼結体は、その表面か
ら順に、最表層、第1の薄層、第2の薄層及び主体部か
らなり、上記主体部の焼結助剤成分量を100とした場
合に、上記最表層中の焼結助剤成分量が重量比で150
以上、上記第1の薄層中の焼結助剤成分量が重量比で5
〜50、及び上記第2の薄層中の焼結助剤成分量が重量
比で90〜110であり、上記第2の薄層中の粒界相は
結晶質であって、且つ上記主体部の粒界相は、結晶質と
非晶質とが混在していることを特徴とする。
【0008】また、第2発明の窒化珪素質焼結体は、少
なくとも希土類元素を焼結助剤成分として含む窒化珪素
質焼結体において、該焼結体は、その表面から順に、第
1の薄層、第2の薄層及び主体部からなり、上記主体部
の焼結助剤成分量を100とした場合に、上記第1の薄
層中の焼結助剤成分量が重量比で5〜50、及び上記第
2の薄層中の焼結助剤成分量が重量比で90〜110で
あり、上記第2の薄層中の粒界相は結晶質であって、且
つ上記主体部の粒界相は、結晶質と非晶質とが混在して
いることを特徴とする。
【0009】更に、第3発明の窒化珪素質焼結体は、上
記第1の薄層の厚さは5〜250μmであって、上記第
2の薄層の厚さは10〜350μmであることを特徴と
する。
【0010】窒化珪素としては、不純物としての酸素量
が1〜3重量%程度であり、その他の不純物は極く少な
いものが好ましく、α型、β型いずれも特に制限される
ことなく使用することができる。また、上記「焼結助剤
成分」は、少なくとも「希土類元素」を含んでおり、希
土類元素としては、Y、Sc、La、Ce、Pr、N
d、Gd、Tb、Dy、Er及びYb等の元素が挙げら
れる。本発明の窒化珪素質焼結体は、窒化珪素及び焼結
助剤の各原料粉末の所要量を秤量し、調合した後、混合
した粉末に適当なバインダ等を添加し、その後、成形
し、焼成し、次いで、熱処理し、最表層を除去し、又は
除去せず得ることができる。
【0011】焼結助剤成分を構成することとなる焼結助
剤としては、希土類元素を含むものの他に、焼結助剤と
して通常使用されているMg、Al、V、Mo及びW等
の各元素を含むものを使用することもできる。これら焼
結助剤はその多くが酸化物からなり、また酸化物でない
場合も焼成によりそのほとんどが酸化物に変化して焼結
助剤成分となる。具体的には、例えばEr2 3 、Yb
2 3 、Al2 3 及びWO3 等、またはこれらの複酸
化物若しくは珪酸化合物となって、通常、実質的にその
全量が窒化珪素からなる粒子の粒子間に結晶質又は非晶
質の粒界相を形成する。尚、焼結助剤の原料粉末として
は、酸化物又は焼成過程において酸化物に変化し得るも
の、例えば炭酸塩、酢酸塩等の塩或いは水酸化物等の粉
末を使用することができる。
【0012】上記の成形は公知の方法で実施することが
でき、例えばプレス成形、鋳込成形、押出成形及びイン
ジェクション成形等の方法によって、所望の形状に成形
することができる。成形品の焼成は、例えば1600〜
2300℃の温度範囲で、窒素ガス、窒素ガスと水素ガ
ス或いは不活性ガスとの混合ガス等の雰囲気下に実施さ
れる。焼成方法としては、常圧焼成法、ガス圧焼成法、
熱間静水圧プレス法、ホットプレス法などが挙げられ、
また、珪素粉末と希土類元素化合物、或いはこれに窒化
珪素粉末を加えた系を窒素雰囲気下、焼成した反応焼結
体を、上記焼成方法で再度焼成することもできる。
【0013】上記「最表層」における焼結助剤成分量が
重量比で150未満では、上記第1の薄層における上記
重量比が50以下となるほどに、焼結助剤成分量が厚さ
方向に偏在した焼結体を得ることができない。また、こ
の最表層の厚さは特に制限されず、第1の薄層の厚さが
所定の範囲となるように熱処理した場合に、通常、5〜
20μm程度の厚さとなる。
【0014】更に、上記「第1の薄層」においては、そ
の粒界相が非晶質である場合には、この第1の薄層にお
ける焼結助剤成分量の量比が低いことと相まって、耐酸
化性が向上し、それに伴って耐クリープ性も更に優れた
ものとなり、クリープによる歪みの生成が抑えられるた
め好ましい。
【0015】第1の薄層における焼結助剤成分量の重量
比が5未満では、窒化珪素粒子間の結合力の低下を招
き、この重量比が50を越える場合は、得られる窒化珪
素質焼結体の耐酸化性が低下し、クリープによる歪み量
も増大する。また、この第1の薄層の厚さが5μm未満
では、耐酸化性、耐クリープ性がともに低下し、250
μmを越える場合は曲げ強度が劣るため好ましくない。
この厚さは45〜110μmであることが好ましく、こ
の範囲であれば、焼結助剤の種類等にかかわりなく、よ
り曲げ強度等に優れた窒化珪素質焼結体を得ることがで
きる。
【0016】更に、上記「第2の薄層」においては、粒
界相は、R2 Si2 7 で表されるD相、R10Al2
3 184 で表されるA相、R4 Si2 2 7 で表
されるJ相及びR20Si1248で表されるH相等の「結
晶質」により構成されている。そのため、耐クリープ性
が更に改善される。
【0017】また、第2の薄層における焼結助剤成分量
の重量比は90〜110の範囲であるが、通常、主体部
の平均値と同程度となり、重量比は100前後となる。
この第2の薄層と、主体部との大きな相違は、その粒界
相にあり、主体部では結晶質部分とともに、明らかに非
晶質部分が存在するが、第2の薄層では上記のように実
質的に結晶質によって形成されており、この点に第2の
薄層の大きな特徴がある。尚この第2の薄層の厚さが1
0μm未満では、耐クリープ性が低下するため好ましく
ない。
【0018】また、本発明の窒化珪素質焼結体では、第
2発明のように、酸化物の量比が高い最表層を有さず、
第1及び第2の薄層と「主体部」とからなる焼結体とす
ることが好ましい。この最表層は実質的に酸化物からな
る層であるため、高温における曲げ強度のばらつきが大
きくなることがあり、この最表層を除くことによって高
温特性の安定性を高めることができるからである。
【0019】かかる窒化珪素質焼結体は、第5発明のよ
うに、窒化珪素粉末と、少なくとも希土類元素を含む焼
結助剤粉末との組成物を、成形し、焼成した後、酸化雰
囲気下、1100〜1600℃で30時間以上熱処理す
ることにより請求項1記載の最表層を備える窒化珪素質
焼結体を製造し、その後、該最表層を除去することによ
り製造することができる。
【0020】上記熱処理の雰囲気が、窒素ガス雰囲気或
いは不活性ガス雰囲気等、非酸化性雰囲気である場合
は、焼結助剤の焼結体表面への拡散効果に乏しく、焼結
助剤からなる粒界相の少ない層、即ち第1の薄層が十分
に形成されない。また、熱処理温度が1100℃未満で
は、熱処理効果が不十分で、本発明において特定された
最表層と第1及び第2の薄層が生成せず、耐酸化性が低
下し、得られる窒化珪素質焼結体のクリープによる歪み
量が増大することもある。この温度が1600℃を越え
る場合は、たとえ処理時間を短くしても、材料の熱劣化
を抑えることができず曲げ強度の低下を招く。
【0021】更に、熱処理時間は、通常、処理温度が低
ければ上記範囲内においてより長時間とし、処理温度が
高ければ短時間とする。しかし、必ずしもこのように調
整する必要はなく、比較的高い処理温度で長時間処理し
ても、本発明の窒化珪素質焼結体を得ることができる。
また、処理時間が30時間未満では、比較的高温で処理
しても目的とする焼結体を得ることができない。
【0022】第2発明の窒化珪素質焼結体では、その表
層部に、焼結助剤成分の量的な割合が低く、且つ好まし
くは非晶質である厚さ数十〜数百μm程度の第1の薄層
と、その内側に、焼結助剤成分の量的な割合は主体部の
平均値と同程度であって、結晶質であり、且つ上記と同
程度の厚さの第2の薄層とを有する構造となっている。
このような構成とすることにより、耐酸化性が向上し、
高温における耐クリープ性等に優れ、クリープによる歪
みの小さい窒化珪素質焼結体を得ることができる。
【0023】また、上記のような表面構造の第2発明の
窒化珪素質焼結体は、焼成物を大気下等の酸化雰囲気に
おいて熱処理することにより、焼結助剤を焼結体表面に
拡散させることによって製造することができる。このよ
うな熱処理を施した場合、上記の焼結助剤により構成さ
れる焼結助剤成分の量的な割合の低い第1の薄層の上
に、焼結助剤成分の量、即ち酸化物の多い最表層が更に
形成され、第1発明の窒化珪素質焼結体が得られる。本
発明の窒化珪素質焼結体では、高温における耐クリープ
性の向上による歪みの抑制を主たる目的としており、こ
の点では最表層をそのままにした第1発明の窒化珪素質
焼結体であってもよいが、強度のばらつきを考えればこ
の最表層を除去した第2発明の窒化珪素質焼結体のほう
がより好ましい。
【0024】
【発明の実施の形態】本発明の窒化珪素質焼結体は、通
常用いられる窒化珪素粉末を使用し、焼結助剤として、
特定量のEr2 3 粉末、V2 5 粉末及びWO3
末、又はYb23 粉末、Al2 3 粉末及びAlN粉
末等を組み合わせて配合し、湿式で混合粉砕した後、乾
燥し、常法によって成形、焼成し、その後、大気雰囲気
下、特定の温度範囲で30時間以上、特に50時間以上
熱処理することにより得られる。この窒化珪素質焼結体
はこのままで使用可能であるが、焼結助剤成分である酸
化物の量比が高い最表層を常法に従って除去すれば、高
温における強度のばらつきがより小さい窒化珪素質焼結
体とすることができる。
【0025】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳しく説明
する。 実験例1〜9 平均粒径0.6μm、α率97%の窒化珪素粉末89重
量%に、平均粒径1〜3μmのEr2 3 粉末8重量
%、平均粒径約1μmのV2 5 粉末1重量%及び同粒
径のWO3 粉末2重量%を配合し、窒化珪素製のボール
ミルを使用して、湿式で混合粉砕した。その後、粉砕物
を乾燥し、この粉末を55×55×25mmの形状に4
ton/cm2 の圧力で静水圧プレス成形し、得られた
成形体を、熱間静水圧プレス法によって、1800℃で
2時間焼成し、更に、JIS R1604に基づいて曲
げ強度を測定するための試験片に加工した。
【0026】その後、実験例6を除き、上記の試験片を
表1に示す条件によって所定雰囲気下にそれぞれ熱処理
した。熱処理した後の窒化珪素質焼結体の特性及び第2
の薄層中の粒界相の性状を表1に併記する。この表1に
おいて、**は第1及び第5発明の数値他の限定を外れ
ていることを示す。また、*は第3発明の数値限定を外
れていることを表す。尚、表1の各特性の測定方法は下
記の通りである。
【0027】(1) 最表層及び第1〜2の薄層並びに主体
部の構成相の確認;表面から内部に向かって研削しなが
ら、X線回折法により調べた。 (2) 第1及び第2の薄層中の焼結助剤成分量の重量比;
EPMA分析(電子プローブマイクロアナライザー)の
ピーク強度比に基づいて断面の元素の定量分析を行っ
た。
【0028】(3) 酸化増量;JIS R1609に準じ
て、試験片を1300℃で100時間加熱した後、重量
増加を測定し、これを試験片の表面積で除して求めた。 (4) 曲げ強度;JIS R1604に基づく4点曲げ強
度を1300℃にて測定した。 (5) 歪み量;JIS R1612に従い、1400℃、
負荷応力200MPa、100時間の条件にて、4点曲
げのクリープ試験を行い、荷重点の変位量から算出し
た。 歪み量=6tδ2 /〔(L+2l)×(L−l)〕 (t;試験片の厚さ、δ2 ;荷重点の変位量、L;外ス
パン、l;内スパン)
【0029】実験例10〜18 実験例1において、焼結助剤をYb2 3 8重量%、A
2 3 1重量%及びAlN2重量%に代えた他は、実
験例1と同様にして窒化珪素質焼結体を得(但し、実験
例15は熱処理をしない。)、同様にして曲げ試験のた
めの試験片に加工した。尚、ここで使用した焼結助剤の
系では、実験例1の場合に比べて耐熱性がやや低いた
め、全般に温度を下げて熱処理した。表2において*及
び**の意味は表1の場合と同じである。また、表1及
び2において、量比の欄は、第1及び第2の薄層の焼結
助剤成分量の、主体部の焼結助剤成分量を100とした
場合の重量比である。
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
【0032】表1の結果によれば、実験例1〜5の窒化
珪素質焼結体では、第1及び第2の薄層における焼結助
剤成分量の重量比は、それぞれ第1発明の範囲内であ
り、また、各薄層の厚さは第3発明の範囲内となってい
る。そのため、酸化増量は各実施例いずれも0.1mg
/cm2 未満と微量であり、歪み量もすべての例で0.
001未満である。また、曲げ強度も570〜620M
Paの範囲にあり、高温における耐酸化性及び耐クリー
プ性に優れた窒化珪素質焼結体であることが分かる。
尚、第2の薄層の粒界相は、実験例1〜5いずれの場合
も結晶質のD相となっている。
【0033】一方、実験例6では、熱処理を施していな
いため第1及び2の薄層が生成しておらず、曲げ強度は
大きいものの、酸化増量及び歪み量ともに実験例1〜5
に比べて大きくなっている。また、熱処理温度が上限を
越えている実験例7では、耐酸化性は良好であるが、強
度低下が大きく、クリープ試験の途中で試験片が破断し
てしまって歪み量の測定ができなかった。更に、酸化雰
囲気ではなく、窒素ガス雰囲気下に熱処理した実験例8
では、第1の薄層が生成せず、酸化増量及び歪み量が劣
ったものとなっている。また、熱処理温度が下限未満で
ある実験例9では、熱処理効果が表れず、熱処理をしな
かった場合と同様に第1及び2のいずれの薄層も生成せ
ず、熱処理をしなかった場合と同様の結果となってお
り、第2の薄層の粒界相も非晶質となっている。
【0034】また、表2の結果によれば、実験例10〜
14の窒化珪素質焼結体では、焼結助剤成分量の重量比
及び各薄層の厚さともに適正であり、各特性は実験例1
〜5の場合とまったく同様に良好であり、特に曲げ強度
は全般に実験例1〜5を上回っている。
【0035】これに対して、熱処理を施していない実験
例15では、強度は十分であるが、酸化増量及び歪み量
は実験例6よりも更に劣っている。また、実験例16で
は、1000μmと非常に厚い第1の薄層が生成し、強
度が低下するとともに、クリープ試験では試験片が途中
で破断し、歪み量の測定はできなかった。更に、窒素雰
囲気下、熱処理した実験例17では、実験例8と同様の
結果となっているが、耐酸化性はより低下している。ま
た、熱処理温度が1000℃と低い実験例18では、同
様に処理温度の低い実験例9に比べ、耐酸化性は改善さ
れているが、歪み量は更に大きくなっている。
【0036】実験例19〜24 実験例10〜18と同一の組成の原料を用い、熱処理の
温度及び時間を変化させたこと以外は実験例1と同様に
して3種類の窒化珪素質焼結体製造し、それぞれ最表層
をそのままにした場合と、除去した場合について、曲げ
強度のばらつきを評価した(各条件の試験片数は15で
ある)。尚、強度のばらつきはワイブル係数で表す。こ
の係数は、セラミックスの破壊挙動を統計的に処理する
ワイブル統計において算出される数値であり、セラミッ
クス一般についてこの係数が20を越えればばらつきが
小さく、20をかなり下回る場合はばらつきが大きいと
されている。
【0037】
【表3】
【0038】表3の結果によれば、最表層の有無による
曲げ強度の平均値にはほとんど差がない。しかし、その
ワイブル係数には明らかに差があり、最表層が除去され
た場合は25、32及び26となっており、最表層がそ
のまま残されている例では14、16及び11である。
このように熱処理条件によらず、最表層が除去された場
合は、明らかに強度のばらつきが小さいことが分かる。
【0039】
【発明の効果】第1発明の窒化珪素質焼結体では、酸化
物の量比の高い最表層をそのまま残しているため、高温
における強度のばらつきがやや大きいが、実用上十分な
性能を備えた窒化珪素質焼結体が得られる。また、第2
発明の窒化珪素質焼結体では、第1の薄層中の焼結助剤
成分量が少なく、また第2の薄層中の粒界相が結晶質で
あるため、耐酸化性に優れ、高温における曲げ強度が大
きく、且つクリープによる歪み量の小さい窒化珪素質焼
結体を得ることができる。更に、第1及び2の薄層を、
第3発明に特定された厚さとすることによって、より高
温特性に優れた焼結体とすることができる。
【0040】上記のように第1〜3発明の窒化珪素質焼
結体は高温特性に優れ、第4発明のように、高温におけ
るクリープによる歪み量が非常に小さい。更に、第5発
明の窒化珪素質焼結体の製造方法によれば、成形、焼成
して得られる焼結体を、酸化雰囲気下、特定の処理条件
によって熱処理し、その後、その最表層を除去すること
によって、第2発明の優れた特性の窒化珪素質焼結体を
容易に製造することができる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも希土類元素を焼結助剤成分と
    して含む窒化珪素質焼結体において、該焼結体は、その
    表面から順に、最表層、第1の薄層、第2の薄層及び主
    体部からなり、上記主体部の焼結助剤成分量を100と
    した場合に、上記最表層中の焼結助剤成分量が重量比で
    150以上、上記第1の薄層中の焼結助剤成分量が重量
    比で5〜50、及び上記第2の薄層中の焼結助剤成分量
    が重量比で90〜110であり、上記第2の薄層中の粒
    界相は結晶質であって、且つ上記主体部の粒界相は、結
    晶質と非晶質とが混在していることを特徴とする窒化珪
    素質焼結体。
  2. 【請求項2】 少なくとも希土類元素を焼結助剤成分と
    して含む窒化珪素質焼結体において、該焼結体は、その
    表面から順に、第1の薄層、第2の薄層及び主体部から
    なり、上記主体部の焼結助剤成分量を100とした場合
    に、上記第1の薄層中の焼結助剤成分量が重量比で5〜
    50、及び上記第2の薄層中の焼結助剤成分量が重量比
    で90〜110であり、上記第2の薄層中の粒界相は結
    晶質であって、且つ上記主体部の粒界相は、結晶質と非
    晶質とが混在していることを特徴とする窒化珪素質焼結
    体。
  3. 【請求項3】 上記第1の薄層の厚さは5〜250μm
    であって、上記第2の薄層の厚さは10〜350μmで
    ある請求項1又は2記載の窒化珪素質焼結体。
  4. 【請求項4】 JIS R1612に従い、大気中、1
    400℃で200MPaの曲げ応力を負荷した場合の、
    100時間経過後の歪み量が0.001未満である請求
    項1乃至3のいずれか1項に記載の窒化珪素質焼結体。
  5. 【請求項5】 窒化珪素粉末と、少なくとも希土類元素
    を含む焼結助剤粉末との組成物を、成形し、焼成した
    後、酸化雰囲気下、1100〜1600℃で30時間以
    上熱処理することにより請求項1記載の最表層を備える
    窒化珪素質焼結体を製造し、その後、該最表層を除去す
    ることを特徴とする窒化珪素質焼結体の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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