JPH0939263A - インクジェットカートリッジへのインク再充填方法および再充填装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 インクタンクにインクを漏らすことなく容易
に再充填する。 【構成】 シリンダー１にインクジェットカートリッジ
に充填するインク３を入れ端部に設けたインク注入管５
をインクジェットカートリッジのインクタンク７に接続
し、シリンダー１内のピストン２を引き上げインクタン
ク７内の空気を吸引し、ピストン２のシリンダー１内の
摺動降下によりインクタンク７にインク３を充填する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェット記
録装置に装着されるインクジェットカートリッジへのイ
ンク再充填方法および再充填装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】インクジェット記録装置の普及機におい
ては、近年記録ヘッドと記録ヘッドに供給するインクを
吸収体内に貯留するインクタンクとを一体化してキャリ
ッジに着脱可能に搭載し、キャリッジにより走査して記
録を実行するカートリッジタイプのインクジェットユニ
ットが用いられている。このインクジェットユニット
は、インクタンク内のインク貯留が終了することで、新
たなインクジェットユニットと交換して使用される。

【０００３】ところが、インクジェットユニットのイン
クタンクに収納されたインク量に対して記録ヘッドの寿
命が長く、インクジェットユニットのインクが終了した
場合でも記録ヘッドはまだ十分使用可能な状態であっ
た。このようなインクジェットユニットを廃棄処分する
ことは、資源環境の面から好ましいことではない。

【０００４】そこで、このようなインクジェットユニッ
トのインクタンクに収納し使用されたインクを再充填す
ることが提案された。具体的にはグラフィックユーティ
リティーズ社は蛇腹式のインク容器に金属注射針を取り
付け、インクタンク部に穴を開けた後、その穴に針を刺
し込み、蛇腹式のインク容器を人力によって徐々につぶ
すことで加圧して、インクを再充填する構成を採用して
いる。また、インク容器を注射器状としてインクを加圧
再充填する形状が採用されることもある。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】上記のような形状のイ
ンク再充填容器は、第１の問題として、インクの注入の
ために針部材を使用しているために、誤って人体を傷つ
けるおそれがある。第２の問題として、加圧状態が過度
になると吸収体へのインクの浸透速度よりも早く針先か
らインクが押し出されるため、インクタンクに開けた穴
からインクが溢れ出すことがある。第３の問題として、
インクの溢れを生じないようにインクを再充填するには
加圧状態を所定の加圧力に維持する必要があり、そのた
めの構造が複雑となる。第４の問題として、インクを再
充填するために加圧状態を人力によって行っているた
め、使用者のインク再充填のための拘束時間が長時間と
なる。といった種々の問題点があった。

【０００６】一方、インクジェットユニットは、前記し
たインクジェットユニットのインクが終了した時点で、
まだ使用可能な記録ヘッドを廃棄する場合に材料別に廃
棄を行わなければならない、といった種々の問題があっ
た。

【０００７】本発明は、上記従来の問題点を解消するた
めに成されたもので、インクジェットカートリッジのイ
ンクタンクにインクを漏らすことなく容易にインク充填
できるインク再充填方法、および再充填装置の提供を目
的とするものである。

【０００８】

【課題を解決するための手段】このため、本発明に係る
インクジェットカートリッジへのインク再充填方法は、
インクジェットカートリッジに充填するインクが入った
シリンダーをインクジェットカートリッジのインクタン
クに接続し、前記シリンダー内のピストンを移動させて
前記インクタンク内の空気を吸引して該インクタンクを
負圧とし、前記シリンダー内のインクを前記インクタン
ク内に吸引させてインク再充填することを特徴とする方
法によって、前記の目的を達成しようとするものであ
る。

【０００９】本発明に係る再充填装置は、インクジェッ
トカートリッジに充填するインクを入れ端部に設けたイ
ンク注入口をインクジェットカートリッジのインクタン
クに接続できるシリンダーと、前記インクタンク内の空
気を吸引するため前記シリンダー内を摺動可能なピスト
ンとを有することを特徴とする構成によって、更に前記
ピストンを摺動させたときのシリンダー内の容積は、イ
ンクを充填するインクタンクの容積の２倍以上であるこ
とを特徴とする構成、或は前記インク注入口は、内径１
ｍｍないし３ｍｍであって、接続したインクジェットカ
ートリッジのインクタンク内の空気を吸引する吸引口を
兼ねることを特徴とする構成によって、前記の目的を達
成しようとするものである。

【００１０】

【作用】上記の方法、構成によって、インクタンク内の
空気を吸引し、インクタンク内の負圧を利用してインク
を再充填することにより、インク再充填のための拘束時
間を少なくするとともにインクの溢れを防止し、減圧し
てからインクを再充填することにより、インクタンク内
のスポンジに均一に吸引させることができる。

【００１１】本発明は、インク漏れをはじめとし、イン
クタンク内のスポンジの不均一な吸引などの従来の問題
点を解消できる。

【００１２】

【発明の実施の形態】本発明の再充填装置は、再充填す
るためのインクを収納するシリンダーであり、かつ、イ
ンクタンク内を吸引したエアーをためておくシリンダー
を有し、シリンダーの端部に設けインクタンクに接続す
るインク注入口は、インクによるメニスカスが形成さ
れ、インク充填時以外にはインクを外部に漏出させな
い、かつインクタンク内のエアーを吸引して生じた負圧
を利用してインクを充填することを特徴とする。

【００１３】また、本発明のインク再充填方法は、記録
ヘッドと該ヘッドに供給されるインクを収納する吸収体
を備えたインクタンクとを備えたインクジェットカート
リッジ、或は、記録ヘッドとインクタンク分離型のイン
クタンクに対してインクを再充填するに際して、インク
タンク内の空気をシリンダー内に吸引してタンク内を減
圧し、これにより生じた負圧を利用してインクがインク
タンク内に再充填される。

【００１４】

【実施例】

（実施例１）以下、図面を参照して本発明のインク再充
填方法および再充填装置の実施例を説明する。

【００１５】図１は、インク再充填装置と、インクジェ
ットカートリッジ（以下、ＩＪＣと記す）のインクタン
クとが連結された状態を示す模式断面図である。

【００１６】インク再充填装置のシリンダー１には、イ
ンク３が収納されており、ＩＪＣ内の空気を吸引するた
めのピストン２とインク貯留部のインク３をインクタン
ク７に注入するためのインク注入管５とを備えている。

【００１７】そして、シリンダー１とピストン２は、イ
ンクタンク７内のエアーを吸引した際に、外部の空気が
シリンダー１内に入らないようにゴムまたはシリコンシ
ートで形成してある。

【００１８】ＩＪＣは、インクを収容するインクタンク
７と、インクタンク７から供給されるインクを吐出する
記録ヘッド８とを有しており、インクタンク７内にはイ
ンクを収容する吸収体６が収納されており、インクタン
ク７内を大気に連通する大気連通口１０が設けられてい
る。

【００１９】図１に示すインク再充填装置は、ＩＪＣの
大気連通口１０を介して連結される構成となっており、
大気連通口１０とインク注入管５は、インクタンク７内
のエアーを吸引してシリンダ１およびインクタンク７内
が減圧された際に外部のエアーが進入するのを防ぐため
のゴムまたはシリコンゴム製のシール１１により隙間が
ないように連結してある。

【００２０】ＩＪＣの記録ヘッド８は、インクタンク７
内が減圧された際に外部の空気が進入するのを防ぐため
にシール９により吐出ノズル口が密封してある。

【００２１】ただし、ＩＪＣには、インク再充填装置と
の連結専用の開口を設けることで接合し、連結専用の開
口以外の穴を減圧した際に外部の空気が流入しないよう
にシールするような構成としてもよいことは言うまでも
ない。

【００２２】インク再充填装置のインク注入管５の先端
のインク供給口４にはインクがメニスカスを形成してお
り、漏れ出ることがない、もっともインク供給口６があ
まりに大きいとインク供給口６にインクのメニスカスが
形成されない場合もあり得るために、ピストン２に力を
加えた時以外の外的要因では容易にメニスカスが破壊さ
れずインクが漏れることがない程度の管径とすることが
好ましい。好ましい管内径は、インクの組成や粘度によ
り変化するが、直径１mm程度から３mm程度が適当範囲で
ある。

【００２３】インク再充填装置のシリンダー１の容積
は、ＩＪＣに供給するインクの量とカートリッジ内の空
気を吸引した際の空気を吸引する量との関係から、シリ
ンダー１の容積はインクタンク７の容積の少なくとも２
倍以上であることが望ましい。

【００２４】以下、インク再充填の手順の概要を説明す
る。

【００２５】まず、インク再充填装置に空気が入らない
ようにＩＪＣのインクタンクに注入するだけのインクを
入れる。

【００２６】続いて、インク注入管５をインクを使い終
ったインクタンク７の大気連通口１０に差し込む。この
状態ではインク注入管５がインクタンク７に連結されて
いるだけでインクの充填は行われない。続いて、ＩＪＣ
の記録ヘッド８にシール９を押接させて、ＩＪＣの内外
に空気が漏れないように完全に密閉する。

【００２７】続いて、インク再充填装置のピストン２を
引き上げることにより、インクタンク７内の空気を吸引
しインクタンク７内を減圧する。なお、このピストン２
を引き上げる量により、インクタンク７内の圧力を調整
することができる。

【００２８】ピストン２を引き上げて、インクタンク７
内を減圧した状態では、図２の模式断面図に示すよう
に、シリンダー１内部にはインクがシリンダー１内の底
部にあり、インクタンク７から吸引したエアーはインク
の上部にある状態になっており、この状態でピストン２
を引き上げた手を離すことによって、減圧されたインク
タンク７内の負圧により、ピストン２が引き下げられ、
吸引された分だけのインクが自動的にインクタンク７内
に充填される。

【００２９】インクタンク７の吸引が不完全でインクの
充填が不完全だった場合には、上記の操作を繰り返すこ
とで必要な量のインクが充填される。

【００３０】（実施例２）実施例２は、近年、記録ヘッ
ドとインクタンクとが着脱自在な構成となっているイン
クジェットカートリッジのインクタンクへインク再充填
する実施例である。

【００３１】図３の模式断面図に示す様に、インクタン
ク７のインク供給口４に、キャップ１３がついており、
シリコンシート１４でインク供給口４を塞ぎ、インクタ
ンク７とキャップ１３が爪１５により押えられており、
シリコンシート１４が押圧密着されることにより、イン
ク供給口４からのインクの蒸発を防ぐ構造になってい
る。なお、１６は小径の大気連通口である。

【００３２】図４は、インクタンク７のキャップ１３に
実施例１に示したインク再充填装置を接続するアダプタ
ー１７を取付けた模式断面図である。

【００３３】図４に示すキャップ１３には、インクタン
ク７のインク供給口４とキャップ１３が接合される部分
の中心にインク供給口４の直径よりも小さい穴が設けて
あり、インクキャップ１３に実施例１に示したインク再
充填装置を接続するアダプター１７が取付けてある。

【００３４】更にアダプター１７とキャップ１３の間に
は、インクタンク内のエアーを吸引し、インクタンク内
が減圧された際に外部の空気が流入しないようにシール
材１８によりシールしてある。

【００３５】図４に示したアダプター１７を取付けたタ
ンクキャップ１３を用いた記録ヘッドと分離型のインク
タンク７へのインク再充填について以下に説明する。

【００３６】図５は、図４に示したアダプター１７を介
してタンクキャップ１３と実施例１に示したインク再充
填装置を接続して、インクをインクタンク７に再充填す
る状況を示した模式断面図である。

【００３７】タンクキャップ１３はインクタンク７にキ
ャップ１３につけられている爪１５によって固定され、
シリコンシート１４はインク供給口４に隙間なく接して
いる。

【００３８】アダプター１７を介してタンクキャップ１
３とインク再充填装置は連結されている。なお、アダプ
ター１７とインク再充填装置のインク注入口はインクタ
ンク７内を減圧した際に外部の空気の進入を防ぐように
隙間のない構造になっていなければならない。

【００３９】更に、インクタンク７の大気連通口１６
は、インクタンク７内を減圧した際に外部の空気が進入
しないようにシールしておく。

【００４０】この記録ヘッドとインクタンク分離型のＩ
ＪＣへのインク再充填方法については実施例１と同様
に、予めインク再充填装置にインクタンクに充填するだ
けのインク量を入れておき、ピストン２を引き上げてイ
ンクタンク７内の空気を吸い上げ、インクタンク７内を
減圧し、手を離すことで、インクタンク７内に生じた負
圧により自動的にインクがインクタンク７内に充填され
る。

【００４１】

【発明の効果】以上説明した様に、本発明によれば、イ
ンクタンク内の空気を吸引することにより生じたインク
タンク内の負圧を利用してインクを再充填することによ
り、インクタンク内のスポンジが均一にインク吸収する
ことになり、かつ必要以上のインクがインクタンク内に
入ることがなく、更に、インクをインクタンク内に再充
填するのに必要な時間も格段に短縮させることができ
る。

【００４２】更に、インクタンク内の空気を吸引して、
インクタンク内を減圧する作業と、インク注入の作業が
１回の作業で行なえる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の実施例１の再充填装置とインクタン
クとの連結状態を示す模式断面図である。

【図２】 実施例１の再充填方法を示す模式断面図であ
る。

【図３】 実施例２により再充填するインクタンクの模
式断面図である。

【図４】 実施例２より再充填するインクタンクにアダ
プターを取付けた模式断面図である。

【図５】 実施例２の再充填方法を示す模式断面図であ
る。

【符号の説明】

１ シリンダー ２ ピストン ３ インク ４ インク供給口 ５ インク注入管 ７ インクタンク

フロントページの続き (72)発明者 益田 和明 東京都大田区下丸子３丁目30番２号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 森田 攻 東京都大田区下丸子３丁目30番２号 キヤ ノン株式会社内

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 インクジェットカートリッジに充填する
   インクが入ったシリンダーをインクジェットカートリッ
   ジのインクタンクに接続し、前記シリンダー内のピスト
   ンを移動させて前記インクタンク内の空気を吸引して該
   インクタンクを負圧とし、前記シリンダー内のインクを
   前記インクタンク内に吸引させてインク再充填すること
   を特徴とするインクジェットカートリッジへのインク再
   充填方法。
2. 【請求項２】 インクジェットカートリッジに充填する
   インクを入れ端部に設けたインク注入口をインクジェッ
   トカートリッジのインクタンクに接続できるシリンダー
   と、前記インクタンク内の空気を吸引するため前記シリ
   ンダー内を摺動可能なピストンとを有することを特徴と
   するインクジェットカートリッジのインクタンクにイン
   クを充填する再充填装置。
3. 【請求項３】 前記ピストンを摺動させたときのシリン
   ダー内の容積は、インクを充填するインクタンクの容積
   の２倍以上であることを特徴とする請求項２記載の再充
   填装置。
4. 【請求項４】 前記インク注入口は、内径１ｍｍないし
   ３ｍｍであって、接続したインクジェットカートリッジ
   のインクタンク内の空気を吸引する吸引口を兼ねること
   を特徴とする請求項２または３に記載の再充填装置。