JPH093758A - 耐弾用部材 - Google Patents

耐弾用部材

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JPH093758A
JPH093758A JP15197595A JP15197595A JPH093758A JP H093758 A JPH093758 A JP H093758A JP 15197595 A JP15197595 A JP 15197595A JP 15197595 A JP15197595 A JP 15197595A JP H093758 A JPH093758 A JP H093758A
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Atsushi Moriwaki
敦史 森脇
Kaoru Ban
薫 伴
Shigeo Abiru
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 繊維の持つ可撓性および高耐弾特性を100
%生かしたソフト耐弾材であって、軽量で取扱い性に優
れるとともに、高速で飛行する物体による局部的に大き
な衝撃力をも受止め得、耐弾用部材の人体側の変形量を
人体への影響がない範囲まで軽減し得る、高い安全性を
も有する、耐弾用部材を提供すること。 【構成】 少なくとも2枚の短繊維不織布でなる積層体
の少なくとも1面に1枚の織物を縫合してなる、空隙率
が78%以上98%以下の耐弾用部材であって、該短繊
維不織布が、18g/d以上の単繊維強度および500
g/d以上の引っ張り弾性率を有する超高強度高弾性繊
維を10mm以上150mm以下の短繊維から構成され
る、経緯平均布帛強力が0.05kgf/2cm以上3
0kgf/2cm以下の短繊維不織布であり、該織物
が、該超高強度高弾性繊維により構成され、所定の式で
表されるCFが1500以上2000以下の織物であ
る、耐弾用部材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐弾用部材に関し、詳
しくは、砲弾破片あるいは銃弾を対象とした防弾チョッ
キをはじめ、不発弾処理や発破作業時の防爆カーテンな
どに用いるための、高速で飛行する物体が及ぼす局部的
に大きい衝撃力を受止め得る耐弾用部材に関する。
【0002】
【従来の技術】高速で飛行する弾丸または砲弾破片など
を例にとった場合、このような物体はMV2(Mは質
量、Vは着速度)に比例して負荷威力を増すので、耐弾
用部材はこれによる運動エネルギE(E=MV2/2)
を吸収して物体を停弾させ得る性能を有する必要があ
る。そのため、高速で飛行する物体の質量および速度が
大きい程、さらには飛行する物体を停弾させ得る確率を
高めて安全性を確保しようとする程、物体が及ぼす衝撃
力を受止め得る耐弾用部材の性能を向上させる必要があ
る。
【0003】防護衣などに用いられた当初の耐弾用部材
は、成型した金属板、陶器、FRPなどの小片を織物に
縫い付けたものであった。しかし、この耐弾用部材は、
可撓性が低いために、着心地が悪いだけでなく、取扱い
難かった。
【0004】そのため、これらの問題点を改善するため
に、およそ10g/dの強度を有する高強力ナイロン糸
を用いた耐弾用部材が開発された。しかし、この耐弾用
部材には十分な耐弾性能が得られないという問題があ
る。
【0005】一般に、従来の耐弾用部材は、織布または
不織布に樹脂を含漬させることにより、その形態保持を
行ったハード耐弾材と、繊維の可撓性を生かしたソフト
耐弾材とに分けられる。
【0006】最近、このハード耐弾材として、一方向に
引揃えられた繊維シートを、繊維配列が0゜および90
゜になるようにフィルムを介して積層した後、さらに樹
脂を含浸させたシートが開発された。このシートは、ハ
ード耐弾材としては、従来に無い優れた性能を有する。
しかし、これらのシートはまた、繊維間の拘束が無いた
めに、衝撃が加えられた際にシート表面に亀裂が発生
し、そして大きな衝撃力が連続して加えられると、その
効果は著しく激減するという問題を有する。さらに、ハ
ード耐弾材であるために、その重量の20重量%前後が
樹脂であり、ソフト耐弾材に比べて同重量当りの耐弾性
能は低い。その結果、性能を向上させるために積層枚数
を増やさなければならず、コストがかかるだけでなく、
重量が増加して取扱い難いという問題もある。
【0007】近年、20g/dを超える単繊維強度を有
する芳香族ポリアミド、超高強力ポリエチレン繊維など
の超高強度高弾性繊維が新たに開発され、そして上記ソ
フト耐弾材として、この繊維でなる織物を積層した耐衝
撃性が高く、軽量で、取り扱いの容易な耐弾用部材が開
発された。この耐弾用部材は、現在、ビル破壊、トンネ
ル工事などの発破作業、不発弾処理のための防爆カーテ
ン、過激派などによるロケット弾に対処するための防爆
カーテン、装甲車の内張やVIP用の演題の内張などに
用いられ、その需要も多岐に渡っている。しかし、これ
らの耐弾用部材であっても、高速で飛行する物体のエネ
ルギー量が大きい場合には、耐弾性能を向上させるため
に積層枚数を増やさなければならず、コストがかかるだ
けでなく、重量が増加して取扱い難くなるという問題が
ある。
【0008】そのため、これらの織物を基本としたソフ
ト耐弾材の性能を向上させる具体的な方策として、繊維
物性、製織技術などを向上させる試みが行われてきた。
例えば、上記のような同一の超高強度高弾性繊維を用い
て、最高の耐弾性能を得るためには、従来の織構造にお
いてまず平織にすること、細デニール化させて衝撃力が
伝播するネットワークを向上させること、製織時の糸条
のダメージを出来るだけ軽減させること、経糸および緯
糸の打込み本数を多くすること、繊維を出来るだけ直線
的に挿入することなどが行われている。しかし、これら
の方法では、生産性が非常に悪く、かつ、耐弾性能の向
上もわずかであり、現在の技術水準を考慮すると、これ
らの方法だけでは、今後大幅な耐弾用部材の耐弾性能の
向上は期待出来ない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題を
解決することを課題とするものであり、その目的は、繊
維が有する優れた可撓性および高耐弾特性を100%生
かしたソフト耐弾材であって、軽量で、かつ取扱い性に
優れ、高速で飛行する物体が及ぼす局部的に大きい衝撃
力を受止め得、そして、耐弾用部材の人体側の変形量を
人体に影響を与えない程度の範囲に抑え得る、高い安全
性をも有する耐弾用部材を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、少なくとも2
枚の短繊維不織布でなる積層体の少なくとも1面に1枚
の織物を縫合してなる、空隙率が78%以上98%以下
の耐弾用部材であって、上記短繊維不織布は、18g/
d以上の単繊維強度および500g/d以上の引っ張り
弾性率を有する超高強度高弾性繊維を10mm以上15
0mm以下の短繊維から構成される、経緯平均布帛強力
が0.05kgf/2cm以上30kgf/2cm以下
の短繊維不織布であり、上記織物は、該超高強度高弾性
繊維により構成され、下式で表されるCF(カバーファ
クター)
【0011】
【数2】
【0012】が1500以上2000以下の織物であ
る、耐弾用部材であり、このことにより上記目的が解決
される。
【0013】さらに、本発明を詳しく説明する。
【0014】本発明に用いられる短繊維不織布は、18
g/d以上の単繊維強度および500g/d以上引っ張
り弾性率を有する超高強度高弾性繊維を10mm以上1
50mm以下の短繊維から構成される、経緯平均布帛強
力が0.05kgf/2cm以上30kgf/2cm以
下の短繊維不織布である。
【0015】この超高強度高弾性繊維は、18g/d以
上の単繊維強度および500g/d以上の引っ張り弾性
率を有する超高強度高弾性繊維であれば特に限定するこ
となく使用され得る。これに対して、単繊維強度が18
g/d未満、あるいは、引張り弾性率が500g/d未
満の繊維を上記短繊維不織布に使用した場合には、単位
重量あたりの耐弾性能が著しく低下するので、耐弾性能
を堅持する部材の重量は重くなり、実用性に欠ける。ま
た、この短繊維不織布に用いられる超高強度高弾性繊維
の単繊維強度および引張り弾性率は、高ければ高い程良
く、対象とする物体が及ぼす衝撃力、製糸性、および製
造コストとの兼ね合いから適宜決定され得る。
【0016】この超高強度高弾性繊維としては、全芳香
族ポリアミド繊維、ポリパラフェニレンベンズオキサゾ
ール(PBO)繊維、ポリパラフェニレンベンズチアゾ
ール(PBT)繊維、ポリエチレン、ポリプロピレンな
どのポリオレフィン繊維、ポリアクリロニトリル繊維、
ポリ(フッ化)ビニリデン繊維、全芳香族ポリエステル
繊維、ボロン繊維などが用いられ得る。
【0017】特に、本発明の耐弾用部材が軽量となるた
めには、上記超高強度弾性繊維は束ねられた際に、一定
の空隙を有することが所望される。従って、上記超高強
度高弾性繊維には、好ましくは横断面偏平率が1.5以
上12.0以下のポリエチレン繊維が用いられる。さら
に、上記超高強度高弾性繊維は、耐弾性能を向上させる
点から、横断面偏平率が1.7以上8.0以下のポリエ
チレン繊維を用いることが好ましい。これに対し、横断
面偏平率が1.5未満である場合には、繊維の剛直性が
増すために、耐弾用部材間を通過する弾などの物体に対
する繊維の絡み付きが弱くなる。横断面偏平率が12.
0を越える場合には、繊維横断面の長軸側の両サイドに
応力が集中して、衝撃力に対する繊維の強度が低下す
る。ここで言う、繊維の横断面偏平率とは、下式で表さ
れる値のことである。
【0018】
【数3】
【0019】さらに上記超高強度高弾性繊維として用い
られるポリエチレン繊維は、平均分子量が5×105
上の高分子量を有することが好ましい。
【0020】上記短繊維不織布は、これらの超高強度高
弾性繊維を、10mm以上150mm以下、そしてエネ
ルギーの吸収効率および換算効率を高める点から好まし
くは20mm以上100mm以下の短繊維により構成さ
れる。10mm未満の繊維により構成された不織布は、
その製造工程において、取扱い性を向上させる点から絡
合度を上げる必要があり、その結果、構成する繊維の損
傷を増加させる。さらに、このような不織布は、大きな
衝撃力が加わえられると、構成される非常に短い繊維の
ために、この繊維が伸びて破断するより前に絡合が解
け、エネルギー吸収効率が著しく低下する。反対に15
0mmを超える繊維により構成された不織布は、その製
造工程において開繊不良などの問題を生じ、均質なシー
トが得られにくい。さらに、このような不織布は構成さ
れる繊維が長繊維化するほど単繊維間の自由度が束縛さ
れるので、局部的に大きな衝撃力が加わえられた際に、
弾丸などの物体が繊維間を分け入る現象が起こりエネル
ギー換算効率が低下する。
【0021】この短繊維不織布は、例えば、上記超高強
度高弾性繊維を10mm以上150mm以下の短繊維に
切断してシート状にした後、公知の絡合処理を施すこと
により得られ得る。
【0022】得られた短繊維不織布は、経緯平均布帛強
力が0.05kgf/2cm以上30kgf/2cm以
下であり、そして取扱い性および耐弾性能を向上させる
点から0.1kgf/2cm以上15kgf/2cm以
下であることが好ましい。短繊維不織布の経緯平均布帛
強力が0.05kgf/2cm未満である場合には、不
織布自体の強力が小さすぎるため、取扱い性が非常に低
下し、反対に経緯平均布帛強力が30kgf/2cmを
越える場合には、この不織布を構成する繊維間の自由度
が著しく低減され、単位重量当りの耐弾性能が低下す
る。
【0023】本発明に用いられる織物は、上記短繊維不
織布を構成する超高強度高弾性繊維、すなわち18g/
d以上の単繊維強度および500g/d以上の引っ張り
弾性率を有する超高強度高弾性繊維により構成されてい
る。単繊維強度が18g/d未満、あるいは、引張り弾
性率が500g/d未満の繊維をこの織物に使用した場
合には、局部的に大きな衝撃力を瞬時、かつ広範囲に伝
播し得ず、エネルギーを受止める能力に欠け、さらに耐
弾用部材の局部的変形量も大きくなる。その結果、この
耐弾用部材を着用する身体に対する安全性が失われる。
この織物に用いられる超高強度高弾性繊維の単繊維強度
および引張り弾性率は、高ければ高い程良く、対象とす
る物体が及ぼす衝撃力、製糸性、および製造コストとの
兼ね合いで適宜決定され得る。
【0024】上記短繊維不織布および織物に用いられる
超高強度高弾性繊維は、単繊維強度が18g/d以上で
引張り弾性率が500g/d以上である範囲にあればよ
く、一つの耐弾用部材に用いられる短繊維不織布と織物
とを構成する超高強度高弾性繊維が全て同一である必要
はない。
【0025】上記織物は、下式で表されるCF(カバー
ファクター)
【0026】
【数4】
【0027】が1500以上2000以下であり、得ら
れる織物が衝撃力の伝播に優れる点および局部的変形量
が小さい点から、1600以上1950以下であること
が好ましい。CFが1500未満である場合には、局部
的に大きな衝撃力に対して、織物を構成する糸条間の目
がずれる現象が発生し、局部的に大きな衝撃力を瞬時、
かつ広範囲に伝播し得ず、エネルギーを受止める能力に
欠け、また耐弾用部材の局部的変形量も大きくなるの
で、この耐弾用部材を着用する身体に対する安全性が失
われる。反対にCFが2000を越える場合には、織物
を構成する糸条を製織する際に、横からの強い力を受け
て糸条の繊維が損傷し、織物の厚み方向に糸条が大きく
ループする。その結果、得られる織物は、衝撃力を伝播
しにくい、すなわち耐弾性能に劣る。
【0028】上記織物は、上記超高強度高弾性繊維を公
知の方法を用いて製織することにより得られ得る。この
ときの織組織には、平織、斜文織、または朱子織だけで
なく、いずれの織組織も用いられ得る。しかし、上記織
物は、変形を小さくする点から平織が好ましい。
【0029】上記織物は、好ましくは耐弾用部材の総重
量に対し3重量%以上40重量%以下で、さらに好まし
くは5重量%以上20重量%以下の割合で使用される。
上記織物が3重量%未満である場合には、積層した短繊
維不織布の変形に伴う衝撃力を受止める能力が不足し易
くなり、反対に40重量%を越える場合には、同重量で
あっても短繊維不織布の割合が少ないために耐弾性能が
劣る場合が多いからである。
【0030】本発明の耐弾用部材は、例えば、通常の縫
合材料を用いる公知の手順により、上記短繊維不織布お
よび織物を縫合して得られる。このとき、少なくとも2
枚の上記短繊維不織布でなる積層体の少なくとも1面に
1枚の上記織物が縫合される。上記織物を縫合しない上
記短繊維不織布のみでは、糸条間の拘束が弱いために、
衝撃力によって形態が破壊される。その結果、耐弾用部
材の変形量が増大し、大きな衝撃力が繰り返し加えられ
ると、初期と同様の耐弾性能を保持し得ないという品質
保証上の問題が生じる。さらに、この変形量の増大は、
たとえ停弾しても人体に大きな影響を与えるので、耐弾
用部材を防弾チョッキなど身体に直接接触する分野には
使用出来ない。そのため、衝撃力が加えられる面に対
し、少なくともその裏面側には上記織物を縫合する必要
がある。短繊維不織布を表層に有する耐弾用部材はま
た、毛羽立ち、ピリングなどの品質低下が起こりやすい
ことから、裏面側に加えて、表面側にも上記織物が縫合
されることが望ましい。
【0031】本発明の耐弾用部材の空隙率は、78%以
上98%以下であり、耐弾性能および取扱い性を向上さ
せる点から85%以上96%以下であることが好まし
く、そして、取扱い性の許す限りこの範囲でできるだけ
高い値であることがさらに好ましい。耐弾用部材の空隙
率が78%未満である場合、構成する短繊維不織布およ
び織物の繊維の自由度は損なわれ、単位重量当りの耐弾
性能が低下する。反対に空隙率が98%を越える場合、
取扱い性が非常に低下し、品質管理の点で問題が生じ
る。なお、ここで言う、空隙率とは、下式で表される値
のことである。
【0032】
【数5】
【0033】このようにして、少なくとも2枚の短繊維
不織布でなる積層体の少なくとも1面に1枚の織物を縫
合してなる、耐弾用部材が得られる。
【0034】
【実施例】以下、本発明の実施例および比較例を挙げ
て、本発明の耐弾用部材の性能が優れていることを説明
する。
【0035】(実施例1)超高強度高弾性繊維として、
単繊維強度が33g/d、引張り弾性率が1000g/
d、横断面偏平率が5.3の高強度ポリエチレン繊維を
用いた。この繊維を、51mmにカットし、シート状に
積層した後、ニードルパンチによる絡合処理を施し、目
付けが253g/m2、経緯平均布帛強力が5.3kg
f/2cmの短繊維不織布を得た。
【0036】同じく単繊維強度が33g/d、引張り弾
性率が1000g/d、横断面偏平率が5.3、トータ
ル400デニールの高強度ポリエチレン繊維を経糸およ
び緯糸に用いて、経糸密度および緯糸密度がそれぞれ4
6本/インチ、CFが1857、そして目付けが174
g/m2の織物を得た。
【0037】次いで、上記で得られた短繊維不織布を1
1枚積層した後、その表面側および裏面側に、上記で得
られた織物を縫合し、縦横30cmの大きさに切り出し
て、厚みが40mm、トータル目付けが3131g/m
2、空隙率が92%の耐弾用部材を得た。
【0038】上記で得られた耐弾用部材2枚に、質量
1.1gで円柱状の模擬破片弾を、弾速440m/秒以
上550m/秒以下の範囲内で、貫通または非貫通の割
合が半々になる様にそれぞれ12発づつ、計24発発射
した。このうち、貫通弾の低速側より5点、非貫通弾の
高速側より5点のデータを採用し、その平均値(V5
0)から耐弾性能を評価した。ただし、採用データの着
弾位置は、前着弾位置よりも経緯方向各5cm以上、斜
め方向各2cm以上離れていることを前提とする。この
ようにして算出されたV50は、492.7m/秒であ
った。
【0039】さらに上記耐弾用部材を厚み10cmの油
粘土に接触させた状態での停弾時のトラウマ量(粘土の
凹み量)を測定した。その結果は、14mmと非常に良
好な値であった。
【0040】(実施例2)実施例1と同様の高強度ポリ
エチレン繊維を用い、これを30mmにカットしたこと
以外は実施例1と同様にして、目付けが181g/cm
2、経緯平均布帛強力が0.15kgf/2cmの短繊
維不織布を得た。
【0041】次いで、この短繊維不織布を14枚積層し
たこと以外は、実施例1で得られた織物を用いて、実施
例1と同様に縫合し、切り出しを行い、厚みが50m
m、トータル目付けが2882g/m2、空隙率が94
%の耐弾用部材を得た。
【0042】上記で得られた耐弾用部材2枚に、弾速4
50m/秒以上560m/秒以下の範囲内で発射したこ
と以外は、実施例1と同様にしてV50を算出した。そ
の結果は、492.7m/秒であった。
【0043】さらに、実施例1と同様にトラウマ量を測
定した。その結果は、15mmと防護衣としても使用可
能な、非常に良好な値であった。
【0044】(比較例1)現在、防弾チョッキとして使
用実績のある単繊維強度が24g/d、引張り弾性率が
650g/d、3000デニールのアラミド(芳香族ポ
リアミド)糸からなる経糸密度および緯糸密度が17本
/インチ、目付けが460g/m2、CFが1541の
織物を13枚積層して、厚みが8mm、トータル目付け
が5980g/m2、空隙率が49%の耐弾用部材を得
た。
【0045】上記で得られた耐弾用部材2枚に、模擬破
片弾を弾速440m/秒以上540m/秒以下の範囲内
で発射したこと以外は、実施例1と同様にしてV50を
算出した。その結果は、483.8m/秒であった。
【0046】さらに、実施例1と同様にトラウマ量を測
定した。その結果は、14mmと非常に良好な値であっ
た。
【0047】(比較例2)織物を用いることなく、実施
例1で得られた短繊維不織布を8枚積層したこと以外
は、実施例1と同様に切り出しを行い、厚みが40m
m、トータル目付けが2024g/m2、空隙率が95
%の耐弾用部材を得た。
【0048】上記で得られた耐弾用部材2枚を用いて、
模擬断片を弾速430m/秒以上530m/秒以下の範
囲内で発射したこと以外は、実施例1と同様にしてV5
0を算出した。その結果は、480.5m/秒であっ
た。
【0049】さらに、実施例1と同様にトラウマ量を測
定した。その結果は54mmと非常に大きく、身体に直
接接触する箇所の使用においては安全性の問題があると
判明した。さらに、一回の衝撃力により、この耐弾用部
材は、原形を止めない位に破壊され、複数の物体が及ぼ
す衝撃力に対しては、品質が保証できないという問題が
残った。
【0050】(比較例3)実施例1と同様の高強度ポリ
エチレン繊維を経糸および緯糸に用いて、経糸密度およ
び緯糸密度がそれぞれ23本/インチ、CFが929、
目付けが87g/m2の織物を得た。
【0051】実施例1で得られた短繊維不織布を11枚
積層した後、この織物を用いたこと以外は実施例1と同
様に縫合し、切り出しを行い、厚みが39mm、トータ
ル目付けが2957g/m2、空隙率が92%の耐弾用
部材を得た。
【0052】上記で得られた耐弾用部材2枚を用い、実
施例1と同様にしてV50を算出した。その結果は、4
86.5m/秒であった。
【0053】さらに、実施例1と同様にトラウマ量を測
定した。その結果は、26mmと大きく、身体に直接接
触する箇所の使用においては、安全性の問題があると判
明した。
【0054】《各耐弾用部材の比較》上記のようにして
得られた各実施例および各比較例の単位重量あたりの耐
弾性能を比較するために、単位重量あたりの耐弾エネル
ギー量を以下の式から算出した。その結果から、比較例
1の耐弾用部材の耐弾エネルギー量を100%としたと
きの各耐弾用部材の耐弾比率(%)を求めた。この結果
を、上記全ての結果とともに表1に示す。
【0055】
【数6】
【0056】
【表1】
【0057】表1からわかるように、比較例1の耐弾用
部材に比べて、実施例1および2の耐弾用部材は、同重
量あたりの耐弾性能は2倍程度であった。このことは、
従来の比較例の耐弾用部材の半分程度の重さ、すなわち
50%程度の軽量化を行っても、同様の性能を得ること
が出来ることが証明されたといえる。また、2倍のエネ
ルギー量を有する物体が及ぼす衝撃力に対しても同重量
で対応し得ることが証明されたといえる。またトラウマ
量も比較例1の耐弾用部材と同等であり、防弾チョッキ
としても十分使用可能であることが確認された。
【0058】
【発明の効果】以上のように、本発明の耐弾用部材は、
従来の同一の超高強度高弾性繊維を用いた織物では到達
し得なかった高い単位重量当りの耐弾性能を有する、超
高強度高弾性繊維の性能を十分に利用したこれらの繊維
の積層体の構造を有する。具体的には、耐弾部材内を通
過する弾丸に超高強度高弾性繊維を十分絡ませるだけの
自由度を持たせて見掛上の弾径を大きくすること、およ
び、それを受け止める超高強度高弾性繊維で構成される
織物の織密度を高くし、局部的に大きな衝撃力に対する
糸条間の目のずれを防止して衝撃吸収範囲を拡大するこ
とによって、耐弾性能を高め、かつ耐弾用部材の人体側
の変形量も人体への影響がない範囲まで軽減することが
可能となる。
【0059】そのため、従来の織物では成し得なかった
単位重量当りの優れた耐弾性能を有するだけでなく、従
来の織物と同等の耐弾部材の人体側の変形量が得られ、
かつ大幅な軽量化による取扱い性の向上とともに、高い
安全性を有する耐弾用部材を提供することができる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも2枚の短繊維不織布でなる積
    層体の少なくとも1面に1枚の織物を縫合してなる、空
    隙率が78%以上98%以下の耐弾用部材であって、 該短繊維不織布が、18g/d以上の単繊維強度および
    500g/d以上の引っ張り弾性率を有する超高強度高
    弾性繊維からなる10mm以上150mm以下の短繊維
    から構成される、経緯平均布帛強力が0.05kgf/
    2cm以上30kgf/2cm以下の短繊維不織布であ
    り、 該織物が、該超高強度高弾性繊維により構成され、下式
    で表されるCF(カバーファクター) 【数1】 が1500以上2000以下の織物である、耐弾用部
    材。
  2. 【請求項2】 前記耐弾用部材の総重量に占める前記織
    物の重量の割合が3重量%以上40重量%以下である、
    請求項1に記載の耐弾用部材。
  3. 【請求項3】 前記超高強度高弾性繊維が、1.5以上
    12.0以下の横断面扁平率を有するポリエチレン繊維
    である、請求項1または2に記載の耐弾用部材。
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WO2021077669A1 (zh) * 2019-10-25 2021-04-29 青岛理工大学 抗爆抗冲击负泊松比梯度复合阻尼材料及其制备方法

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