JPH0937379A - 超音波振動子及びその製造方法 - Google Patents

超音波振動子及びその製造方法

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JPH0937379A
JPH0937379A JP17890995A JP17890995A JPH0937379A JP H0937379 A JPH0937379 A JP H0937379A JP 17890995 A JP17890995 A JP 17890995A JP 17890995 A JP17890995 A JP 17890995A JP H0937379 A JPH0937379 A JP H0937379A
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piezoelectric
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thickness
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JP17890995A
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Naoto Inose
直人 猪瀬
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Oki Electric Industry Co Ltd
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Oki Electric Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 溝加工を必要としない、円筒波等を送受波す
るための超音波振動子とその製造方法を提供する。 【構成】 圧電セラミックスからなる円環状あるいは円
筒状の圧電振動子21内において、その円筒径方向であ
ってその円筒軸方向に垂直な面内に、空孔群24が分布
形成されている。さらに、この空孔群24が分布形成さ
れた面は、圧電振動子21の円筒径の面においてその厚
さEの1/3以下のピッチPで複数箇所に形成されてい
る。このような空孔群24は、圧電振動子21のヤング
率等を低下させて、厚さE方向以外の共振モードの結合
を小さくする働きがある。そのため、内面電極22及び
外面電極23に高電圧を印加すると、圧電振動子21
が、厚さE方向に分極された円環形状で厚み振動を行
い、円筒波Zを放射する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、水中音響や医療等に用
いられ、円環形状や円筒形状等をした圧電セラミックス
材で形成された、円筒波等を送受波するための超音波振
動子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、このような分野の技術としては、
例えば、次のような文献に記載されるものがあった。 文献1:実公昭56−10077号公報 文献2:フェロエレクトリック(Ferroelectrics)、49(19
83)Gorgon and Breach,Science Publichers(米)HIKITA
等"PIEZOELECTRIC PROPERTIES OF THE POROUS PZT AND
THE POROUS PZT COMPOSITE WITH SILICONE RUBBER"p.26
5-272 文献3:強誘電体応用会議講演予稿集27−A−3(1
992)宮田等「多孔質圧電セラミックスの高周波トラ
ンスジューサへの応用検討」P.5−6 文献1には、圧電振動子を用いた超音波振動子の技術が
記載されている。文献2には、種々の圧電セラミックス
材料の技術が記載されている。また、文献3には、多孔
質圧電セラミックスを用いた高周波トランスジューサの
技術が記載されている。
【0003】図2は、前記文献1に記載された従来の1
チャンネル用超音波振動子の斜視図である。この超音波
振動子は、1チャンネル分の高さHを有する円環状の圧
電セラミックスからなる圧電振動子1を備えている。こ
の1チャンネル分の圧電振動子1の高さHは、その厚さ
Dの1/3よりも小さい。圧電振動子1の内周面には、
内面電極2が形成され、さらにその圧電振動子1の外周
面に、外面電極3が形成されている。圧電振動子1の外
周面には、その厚さD方向に、該厚さDの3/4以上の
深さに複数の縦溝4がD/3以下の間隔(ピッチ)Pで
機械加工されている。内面電極2には図示しないリード
線が接続されると共に、分割された複数の外面電極3が
図示しないリード線によって共通に接続され、それらの
全体が樹脂モールド等によって防水処理されている。な
お、図2中のyは、超音波振動子における縦方向の指向
性(垂直指向性)を示している。以上の構成において、
例えば、水中で円筒波を送波する場合、内面電極2と複
数の外面電極3との間に高電圧を印加する。すると、圧
電振動子1内に残留分極と残留歪とが生じて振動する。
これにより、超音波振動子から円筒波が放射(送波)さ
れる。又、水中で円筒波を受波する場合、その円筒波が
圧電振動子1で電気信号に変換され、該電気信号が内面
電極2と複数の外面電極3から出力される。この種の円
筒波を送受波する円環状の圧電振動子1は、基本共振を
厚み共振とすると、呼吸振動モードで利用する圧電振動
子とは異なり、送波感度が大きく、低入出力インピーダ
ンスにするため、円周直径を大きくすることができる利
点がある。しかし、一般的に水中音響や医療用超音波に
用いる圧電セラミックスであるPZTは、厚さD方向以
外の振動も生じる。そのため、PZTで形成された圧電
振動子1で円筒波を送受波するためには、その厚さD方
向に、該厚さDの3/4以上の深さで、かつD/3以下
のピッチPで縦溝4を形成する必要がある。
【0004】図3は、前記文献1に記載された従来の他
の多チャンネル用超音波振動子の斜視図である。この超
音波振動子は、水平指向性及び垂直指向性共に制御可能
で、1次元的にその音波ビームを走査できる素子であ
り、圧電セラミックスからなる円筒状の圧電振動子11
を有している。圧電振動子11の内周面には内面電極1
2が形成されると共に、その外周面にも外面電極13が
形成されている。圧電振動子11の外周面には、その厚
さDの3/4以上の深さで、縦方向に複数の縦溝14が
機械加工されると共に、複数のチャンネルを形成するた
めに横方向に円環状の複数の横溝15が機械加工されて
いる。内面電極12には、図示しないリード線が接続さ
れている。横溝15によって各チャンネル毎に分けられ
た外面電極13は、そのチャンネル内の縦溝14によっ
て複数の電極に分割されているので、それらの分割され
た電極には、図示しないリード線が共通接続されてい
る。そして、この超音波振動子の全体が樹脂モールド等
で防水処理されている。この超音波振動子では、横溝1
5によって分割された各チャンネル毎の圧電振動子11
が、図2の圧電振動子1と同様の動作を行う。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
超音波振動子では、次のような課題があった。円環状あ
るいは円筒状の圧電セラミックスを用いた圧電振動子
1,11は、基本共振を厚み共振とする厚み共振モード
で用いる場合、該圧電セラミックスが厚み振動以外の振
動も生じる。そこで、圧電振動子1,11の外周面に、
その厚さD方向に該厚さDの3/4以上の深さの縦溝
4,14や円環状の横溝15を機械加工して厚さD以外
の共振の結合を小さくしている。即ち、図2の圧電振動
子1では、P<D/3、H<D/3のような関係があ
る。縦溝4は、P<D/3になるような数だけ入れる必
要がある。高さはH<D/3であれば問題は生じない
が、垂直指向性yを鋭くしたい場合、H≧D/3となる
場合も生じる。この場合は、図3のように横溝15を入
れる必要がある。当然、この横溝の深さはD・3/4以
上で、ピッチがD/3以下である必要がある。この場合
も、図2のチャンネル内に横溝が入ったことになる。つ
まり、チャンネルサイズとは別に、縦溝と横溝はP<D
/3、H<D/3となるように入れる必要がある。圧電
振動子1,11をどんなに小さく作っても、円環あるい
は円筒の外周の長さがD/3より小さくなることがあり
えないので、いずれにしても縦溝4,14は必須であ
る。横溝に関しては、図2のようにH<D/3であれ
ば、不要である。このように、従来の超音波振動子で
は、圧電振動子1,11に溝加工しているので、該圧電
振動子1,11が割れやすく、製造の歩留まりが低く、
さらに溝加工によるコスト上昇という問題がある。その
上、チャンネル内に縦溝4,14の機械加工が入るた
め、分割された外面電極3,13をリード線で共通接続
する必要があり、配線構造が複雑になるという問題もあ
る。本発明は、これらの従来技術の課題を解決し、溝加
工を必要としない、円筒波等を送受波するための超音波
振動子とその製造方法を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】第1の発明は、前記課題
を解決するために、円筒波等を送受波するための超音波
振動子において、均一な曲面の内周面及び外周面を有す
る円筒形状の全体又は一部からなる圧電振動子と、前記
圧電振動子の内周面に形成された内面電極と、前記内面
電極に対向して前記圧電振動子の外周面に形成された外
面電極とを備えている。そして、前記圧電振動子は、そ
の円筒径方向であってその円筒軸方向に垂直な面内に、
空孔群が分布形成された圧電セラミックス材で構成して
いる。第2の発明では、第1の発明の超音波振動子にお
いて、前記空孔群が分布形成された面が、前記圧電振動
子の円筒径の面においてその肉厚寸法の1/3以下のピ
ッチで複数箇所に形成されている。第3の発明では、円
筒波等を送受波するための超音波振動子の製造方法にお
いて、圧電振動子形成工程と焼成工程と電極形成工程と
を順に施すようにしている。
【0007】ここで、圧電振動子形成工程では、加熱に
よって焼失する粒子を所定の混合比で圧電セラミックス
材に混入した第1のグリーンシート材と、前記粒子を混
入しない圧電セラミックス材からなる第2のグリーンシ
ート材とを用い、円筒の径方向であってその円筒軸方向
に垂直な面内に前記第1のグリーンシート材が位置し、
かつその円筒径の面においてその肉厚寸法の1/3以下
の間隔で前記第1のグリーンシート材が配置されるよう
に、均一な曲面の内周面及び外周面を有する円筒形状の
全体又は一部からなる圧電振動子を形成する。次に、焼
成工程では、所定の温度で前記圧電振動子を仮焼成して
前記粒子を焼失させて空孔を形成した後、その圧電振動
子を前記所定の温度よりも高温で本焼成する。その後、
電極形成工程では、前記焼成された圧電振動子の内周面
に内面電極を形成すると共に、その内面電極に対向して
該圧電振動子の外周面に外面電極を形成する。
【0008】
【作用】第1及び第2の発明によれば、以上のように超
音波振動子を構成したので、圧電振動子内の所定箇所に
分布形成された空孔群は、該圧電振動子のヤング率等を
低下させて厚さ方向以外の共振モードの結合を小さくす
る働きがある。そのため、圧電振動子は、厚さ方向に分
極された円環形状あるいは円筒形状等で厚み振動をする
ので、空間全体等に対する円筒波等の送受波が行える。
第3の発明によれば、第1のグリーンシート材と第2の
グリーンシート材とを用いて円筒形状の全体又は一部か
らなる圧電振動子を形成した後、仮焼成すれば、その第
1のグリーンシート材内の多数の粒子が焼失し、多数の
空孔が形成される。この空孔は、圧電振動子のヤング率
等を低下させて厚さ方向以外の共振モードの結合を小さ
くする働きがある。仮焼成によって空孔を形成した後、
高温で本焼成すれば、機械的強度の高い圧電セラミック
ス材からなる圧電振動子が形成される。従って、前記課
題を解決できるのである。
【0009】
【実施例】第1の実施例 図1(a),(b)は本発明の第1の実施例を示す1チ
ャンネル用超音波振動子の構成図であり、同図(a)は
斜視図、及び同図(b)は同図(a)のA1−A2線縦
断面の斜視図である。この超音波振動子は、水中音響や
医療等に用いられるものであり、厚さEの円環状の圧電
振動子21を有し、その均一な曲面の内周面に、内面電
極22が蒸着等で形成され、さらにその均一な曲面の外
周面に、外面電極23が蒸着等で形成されている。円環
状の圧電振動子21は、例えばPZT系の圧電セラミッ
クス材で形成されており、その円筒径方向であってその
円筒軸方向に垂直な面内に、多数の空孔24aからなる
空孔群24が分布形成されている。この空孔群24が分
布形成された面は、圧電振動子21の円筒径の面におい
てその厚さEの1/3以下のピッチPで複数箇所に形成
されている。空孔群24における各空孔24aの平均球
径は、例えば200μm程度である。この空孔群24が
形成されていない圧電材箇所の空孔率は0%である。な
お、図1の(a)中のZは、円筒波である。図示しない
が、内面電極22と外面電極23には、リード線が接続
され、さらに、超音波振動子の全体が、樹脂モールド等
で防水処理が施されている。図4は、図1の超音波振動
子の製造方法を説明するための図である。以下、図4を
参照しつつ、図1の超音波振動子の製造方法例を説明す
る。図1の超音波振動子は、例えば、次のような(1)
〜(3)の工程を経て製造される。
【0010】(1) 圧電振動子形成工程 図4に示すように、加熱によって焼失する粒子(例え
ば、平均球径200μm程度のカーボン粒子等)を所定
の混合比で混入したPZT系の圧電セラミックスの原料
粉末を水又は適当な溶剤(例えば、有機溶剤等)に混ぜ
た第1のグリーンシート材21aを、所定のピッチPで
円環状に配置する。粒子24bを混入しないPZT系の
圧電セラミックスの原料粉末を水又は適当な溶剤(例え
ば、有機溶剤等)に混ぜた第2のグリーンシート材21
bを、各第1のグリーンシート材21a間に円環状に配
置し、薄い円環状のフィルム(又は板)状にして乾燥さ
せたグリーンシート21cを複数枚製造する。これら複
数枚のグリーンシート21cを積層する。この際、各グ
リーンシート21cにおける第1のグリーンシート材2
1aが相互に重なるように、各グリーンシート21cを
重ね合わせる。そして、積層した複数枚のグリーンシー
ト21cをプレス等で加圧し、セラミックスの固まりか
らなる円環状の圧電振動子21を形成する。
【0011】(2) 焼成工程 粒子24bが焼失するような所定の条件(例えば、加熱
温度700〜800゜C程度)で、圧電振動子21を仮
焼成し、該粒子24bを焼失させて多数の空孔24aか
らなる空孔群24を形成する。その後、圧電振動子21
を例えば1000゜C以上で本焼成する。このような複
数枚のグリーンシート21cを重ね合わせ、プレス等で
加圧した後、焼成して圧電振動子21を製造するグリー
ンシート法は、焼成のための金型を特に必要としない、
セラミックスの一般的な製造方法である。
【0012】(3) 電極形成工程等 円環状の圧電振動子21の内周面に、蒸着等で内面電極
22を形成し、さらにその外周面に、蒸着等で外面電極
23を形成する。その後、内面電極22と外面電極23
にリード線を接続し、超音波振動子の全体を樹脂モール
ド等で防水処理を施せば、図1の超音波振動子の製造が
終了する。このようにして製造された超音波振動子を用
いて、例えば水中で円筒波Zを送波する場合、図示しな
いリード線を介して内面電極22と外面電極23との間
に高電圧を印加する。すると、圧電振動子21内に残留
分極と残留歪とが生じる。前記文献3に記載されている
ように、多数の空孔を形成した多孔質圧電セラミックス
と、空孔率0%の圧電セラミックスとを比較した場合、
密度、比誘電率、ヤング率、圧電定数、及び電気機械結
合係数のいずれもが、空孔率0%の圧電セラミックスよ
りも多孔質圧電セラミックスの方が小さな値になり、送
受波時共に共振感度が低下する。このようなことから、
この第1の実施例では、従来の図2の縦溝4に対応する
箇所に、空孔群24を設け、振動子21の厚さE方向以
外の共振モードの結合を小さくしている。そのため、高
電圧が印加された圧電振動子21は、厚さE方向に分極
された円環形状で厚み振動を行い、円筒波Zを放射す
る。また、外部からの円筒波Zを受波する場合、その円
筒波Zが圧電振動子21で電気信号に変換され、その変
換された電気信号が内面電極22及び外面電極23か
ら、図示しないリード線を介して出力される。以上のよ
うに、この第1の実施例では、圧電振動子21の円筒径
方向であってその円筒軸方向に垂直な面内で、かつその
円筒径の面においてその厚さEの1/3以下のピッチP
で、複数箇所に空孔群24を分布形成したので、圧電振
動子21の厚さE方向以外の共振モードの結合が小さく
なり、その厚さE方向に分極された円環形状で厚み振動
を行わせることができる。そのため、次の(a)〜
(d)のような効果がある。
【0013】(a) 従来のような溝加工なしに円環状
の圧電振動子21によって円筒波Zを送受波することが
できる。そのため、従来のような溝加工による圧電振動
子21の割れを防止できると共に、水圧による該圧電振
動子21の割れも防止でき、機械的強度を向上できる。 (b) 圧電振動子21には溝加工が不要のため、従来
のような溝加工による製造歩留まりの低下や、コストの
上昇を防止できる。 (c) 従来のように円環状の圧電振動子21における
チャンネル内に縦溝の機械加工が不要のため、その縦溝
によって分割される外面電極23を相互に接続する必要
がない。そのため、配線構造が簡単になる。 (d)図4の超音波振動子の製造方法では、複数枚のグ
リーンシート21cを積層した後にプレス等で加圧し、
それを仮焼成することによって粒子24bを焼失させる
ので、圧電振動子21の所定箇所に、空孔群24を簡単
かつ的確に形成できる。その後、圧電振動子21を本焼
成するので、機械的強度の大きな超音波振動子を製造で
きる。
【0014】第2の実施例 図5は本発明の第2の実施例を示すもので、図1の超音
波振動子の他の製造方法の説明図である。この超音波振
動子の製造方法では、カーボン粒子等の粒子24bを所
定の混合比で混入したPZT系の圧電セラミックスの原
料粉末を、水又は適当な溶剤(例えば、有機溶剤等)に
混ぜ、扇形のフィルム(又は板)状にして乾燥させた第
1のグリーンシート材21Dを複数枚製造する。さら
に、粒子24bを混入しないPZT系の圧電セラミック
スの原料粉末を水又は適当な溶剤に混ぜ、扇形のフィル
ム(又は板)状にして乾燥させた第2のグリーンシート
材21eを複数枚製造する。複数枚の第1のグリーンシ
ート材21d及び第2のグリーンシート材21eを用
い、該第1のグリーンシート材21dが所定のピッチP
となるように、それらの第1のグリーンシート材21d
及び第2のグリーンシート材21eを円筒状に重ね合わ
せ、プレス等で加圧してセラミックスの固まりからなる
圧電振動子21を形成する。次に、図4の製造方法と同
様に、圧電振動子21を仮焼成して粒子24bを焼失さ
せ、多数の空孔24aからなる空孔群24を所定位置に
形成した後、本焼成する。その後、図4の製造方法と同
様の電極形成工程等を施せば、超音波振動子の製造工程
が終了する。この第2の実施例では、次の(i),(i
i)のような効果がある。
【0015】(i) この第2の実施例の超音波振動子
の製造方法では、粒子24bの混入した第1のグリーン
シート材21dと、粒子24bを混入しない第2のグリ
ーンシート材21eとを用い、それらを重ね合わせて圧
電振動子21を形成するようにしているので、図4の製
造方法と同様に、空孔群24を所定位置に簡単かつ的確
に形成できるという効果がある。 (ii) 図4の製造方法では、第1のグリーンシート材
21aと第2のグリーンシート材21bとからなるグリ
ーンシート21cを、複数枚積層して圧電振動子21を
形成している。そのため、グリーンシート21cの製造
が多少煩雑になるおそれがある。これに対し、この第2
の実施例では、第1のグリーンシート材21dと第2の
グリーンシート材21eとを、円環状に重ね合わせて圧
電振動子21を形成しているので、図4の製造工程より
も簡単になる。
【0016】第3の実施例 図6(a)〜(c)は、本発明の第2の実施例を示す多
チャンネル用超音波振動子の構成図であり、同図(a)
は斜視図、同図(b)は同図(a)のB1−B2線縦断
面の斜視図、及び同図(c)は同図(a)のC1−C2
線横断面の斜視図である。この超音波振動子は、水平指
向性及び垂直指向性共に制御可能で、1次元的に音波ビ
ームを走査可能にした素子であり、厚さEの円筒状の圧
電振動子31を有している。円筒状の圧電振動子31
は、第1の実施例と同様にPZT系の圧電セラミックス
で形成され、その均一な曲面の全内周面には、蒸着等に
よって内面電極32が形成されている。圧電振動子31
の均一な曲面の全外周面には、チャンネル毎に分割され
た複数の円環状の外面電極33〜33が、蒸着等に
よって形成されている。即ち、これらの複数の外面電極
33〜33は、円環状の横溝34によってチャンネ
ル毎に分割されている。円筒状の圧電振動子31内に
は、第1の実施例と同様に、多数の空孔35aからなる
空孔群35が形成されている。空孔群35は、円筒径方
向であってその円筒軸方向に垂直な面内に位置し、かつ
その円筒径の面においてその厚さEの1/3以下のピッ
チPで配置形成されている。
【0017】図6(c)は、図6(a)の外面電極33
〜33のない横溝34の位置における横断面を示す
図である。この図6(c)に示すように、各横溝34の
箇所の円筒径の面にも、多数の空孔35aからなる空孔
群35が形成されている。また、図示しないが、内面電
極32と複数の外面電極33〜33とには、リード
線が接続され、それらの全体が樹脂モールド等で防水処
理が施されている。このような構成の超音波振動子は、
例えば、次のようにして製造される。図4あるいは図5
に示すような製造方法により、円筒状の圧電振動子31
を形成する。円筒状の圧電振動子31の均一な曲面の全
内周面に、蒸着等によって内面電極32を形成する。さ
らに、圧電振動子31の外周面に、スクリーン印刷等に
よって電極膜を被着した後、その電極膜の円環状の横溝
34部分をホトリソエッチング等で除去し、複数に分割
された外面電極33〜33を形成する。その後、内
面電極32と複数の外面電極33〜33とに、リー
ド線を接続し、それらの全体を樹脂モールド等で防水処
理を施せば、超音波振動子の製造が終了する。このよう
にして製造された超音波振動子では、従来の図3の縦溝
14と横溝15に対応する箇所に、空孔群35が形成さ
れているので、厚さE方向以外の共振モードの結合が小
さい。そのため、内面電極32と各外面電極33〜3
との間に高電圧を印加すると、圧電振動子31がそ
の厚さE方向に分極された円環形状で厚み振動する。こ
の厚み振動により、各チャンネル毎の円筒波が順次放射
されていく。また、外部からの円筒波は、対向する内面
電極32と各外面電極33〜33との間のチャンネ
ル毎の圧電振動子部分で、電気信号に変換され、その電
気信号が図示しないリード線を介して順次出力されてい
く。以上のように、この第3の実施例では、円筒状の圧
電振動子31の円筒径方向であってその円筒軸方向に垂
直な面内に位置し、かつその円筒径の面においてその厚
さEの1/3以下のピッチPで空孔群35を配置形成し
たので、厚さE方向以外の共振モードの結合が小さくな
る。そのため、前記第1の実施例の効果(a)〜(d)
とほぼ同様の効果を有する他に、次のような効果(e)
もある。
【0018】(e) 各横溝34箇所の円筒径の面に、
空孔群35が形成されているので、厚さE方向以外の共
振モードの結合が小さく、その厚さE方向に分極された
円環形状で厚み振動をする。そのため、従来の図3のよ
うに厚さDの3/4以上の深さの円環状の横溝15の機
械加工をしなくとも、複数の円環状の横溝34によって
外面電極を複数の外面電極33〜33に分割し、そ
の各横溝34箇所に空孔群35を形成するだけで、隣接
するチャンネルに影響を与えることなく、1次元的に音
波ビームを精度良く走査できる。しかも、分割された外
面電極33〜33は、例えば、電極形成時のスクリ
ーン印刷、及び電極形成後のホトリソエッチング等によ
って簡単に形成できる。従って、円筒状の圧電振動子3
1の機械的強度が大きく、製造歩留まりが高く、さらに
製造が容易で、その製造コストを低減できるという効果
が期待できる。なお、本発明は上記実施例に限定され
ず、種々の変形が可能である。その変形例としては、例
えば次の(1)〜(4)のようなものがある。
【0019】(1) 図1では円環状の超音波振動子、
及び図6では円筒状の超音波振動子の構造について説明
したが、これらの形状に限定されない。例えば、図1の
円環状の超音波振動子において、その一部の円弧状の超
音波振動子形状にしてもよい。このような円弧状の超音
波振動子では、ある特定の方向に対する円筒波を送受波
する働きがある。このような形状にすれば、圧電材料を
削減できる。同様に、図6の円筒状の超音波振動子にお
いて、その一部を円弧状に縦方向に切断したような超音
波振動子形状にしても、前記と同様の作用、効果が得ら
れる。 (2) 図6では、外面電極33〜33を横溝34
によって分割構造にしたが、その外面電極33〜33
を分割せずに、内面電極32を横溝によって分割する
構造にしても、図6と同様の作用、効果が得られる。ま
た、図1の円環状の圧電振動子21の内周面及び外周面
の一部に、内面電極及び外面電極をそれぞれ形成し、あ
る特定の方向に対して円筒波を送受波する構造にしても
よい。同様に、図6の円筒状の圧電振動子31の内周面
及び外周面の一部に、内面電極及び外面電極を形成し、
ある特定の方向に対して円筒波を送受波する構造にして
もよい。
【0020】(3) 円環状の圧電振動子21、あるい
は円筒状の圧電振動子31は、図4や図5以外の方法で
製造してもよい。例えば、図4では、円環状のグリーン
シート31cを複数枚用意しておき、それらを積層した
後にプレス等で加圧することにより、圧電振動子21を
製造しているが、複数枚の円板形のグリーンシートを積
層した後、その中心部分に円形の穴を開けるようにして
もよい。同様に、図5では、扇形の第1のグリーンシー
ト材21dと、扇形の第2のグリーンシート材21eと
を、円筒状に重ね合わせてプレス等で加圧して圧電振動
子31を形成しているが、複数のグリーンシート材を円
柱状に重ね合わせた後、それらの中心部分に円形の穴を
開けるようにしてもよい。 (4)上記実施例では、圧電振動子21,31を、PZ
T系の圧電セラミックス材を用いて形成したが、空孔群
24,35の形成可能な圧電材料であれば、前記文献2
に記載されているようなPbTiO系、PbNbO
系、BaTiO系等の種々の圧電セラミックス材を
用いることができる。
【0021】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、第1及び第
2の発明によれば、円筒形状の全体又は一部からなる圧
電振動子と、その内周面と外周面にそれぞれ形成された
内面電極及び外面電極とを備え、該圧電振動子を、所定
箇所に空孔群が分布形成された圧電セラミックス材で構
成したので、その空孔群によって厚さ方向以外の共振モ
ードの結合が小さく、前記内面電極及び前記外面電極に
よって厚さ方向に分極された円環形状で厚み振動をさせ
ることができる。そのため、次の(a)〜(d)のよう
な効果がある。
【0022】(a) 従来のように圧電振動子に溝加工
する必要がなく、円筒波を送受波することができる。そ
のため、従来のような溝加工による圧電振動子の割れ
や、水圧等による該圧電振動子の割れを防止でき、機械
的強度を向上できる。 (b) 従来のように圧電振動子に溝加工する必要がな
いので、溝加工による製造歩留まりの低下や、コスト上
昇を防止できる。 (c) チャンネル内に従来のような縦溝や横溝の溝加
工が入らないため、その縦溝あるいは横溝によって分割
された電極を接続する必要がなく、配線構造が簡単にな
る。 (d) 従来のような横溝の溝加工を行うことなく、チ
ャンネル毎に電極を分割し、その分割箇所の円筒径の面
に空孔群を形成すれば、厚さ方向に分極された円環形状
で厚み振動をするので、隣接するチャンネルに影響を与
えることなく、精度良く、1次元的に音波ビームの走査
が行える。 第3の発明によれば、第1及び第2のグリーンシート材
を用いて円筒形状の全体又は一部からなる圧電振動子を
形成した後、仮焼成して前記第1のグリーンシート材内
の粒子を焼失させて空孔を形成した後、本焼成するよう
にしたので、多数の空孔からなる空孔群を、圧電振動子
内の所定箇所に、簡単かつ的確に形成できる。従って、
超音波振動子の製造工程の簡単化と、それによる製造コ
ストの低減化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例を示す1チャンネル用超
音波振動子の構成図である。
【図2】従来の1チャンネル用超音波振動子の斜視図で
ある。
【図3】従来の他の多チャンネル用超音波振動子の斜視
図である。
【図4】図1の超音波振動子における製造方法の説明図
である。
【図5】本発明の第2の実施例を示す超音波振動子の製
造方法の説明図である。
【図6】本発明の第3の実施例を示す多チャンネル用超
音波振動子の構成図である。
【符号の説明】 21,31 圧電振動子 21a,21d 第1のグリーンシート材 21c グリーンシート 21b,21e 第2のグリーンシート材 22,32 内面電極 23,33〜33 外面電極 24,35 空孔群 24a,35a 空孔 34 横溝

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 均一な曲面の内周面及び外周面を有する
    円筒形状の全体又は一部からなる圧電振動子と、 前記圧電振動子の内周面に形成された内面電極と、 前記内面電極に対向して前記圧電振動子の外周面に形成
    された外面電極とを備え、 前記圧電振動子は、その円筒径方向であってその円筒軸
    方向に垂直な面内に、空孔群が分布形成された圧電セラ
    ミックス材で構成したことを特徴とする超音波振動子。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の超音波振動子において、 前記空孔群が分布形成された面は、前記圧電振動子の円
    筒径の面においてその肉厚寸法の1/3以下の間隔で複
    数箇所に形成されている超音波振動子。
  3. 【請求項3】 加熱によって焼失する粒子を所定の混合
    比で圧電セラミックス材に混入した第1のグリーンシー
    ト材と、前記粒子を混入しない圧電セラミックス材から
    なる第2のグリーンシート材とを用い、円筒の径方向で
    あってその円筒軸方向に垂直な面内に前記第1のグリー
    ンシート材が位置し、かつその円筒径の面においてその
    肉厚寸法の1/3以下の間隔で前記第1のグリーンシー
    ト材が配置されるように、均一な曲面の内周面及び外周
    面を有する円筒形状の全体又は一部からなる圧電振動子
    を形成する圧電振動子形成工程と、 所定の温度で前記圧電振動子を仮焼成して前記粒子を焼
    失させて空孔を形成した後、その圧電振動子を前記所定
    の温度よりも高温で本焼成する焼成工程と、 前記焼成された圧電振動子の内周面に内面電極を形成す
    ると共に、その内面電極に対向して該圧電振動子の外周
    面に外面電極を形成する電極形成工程とを、 順に施すことを特徴とする超音波振動子の製造方法。
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