JPH093457A - 石炭並びに石炭とコールタールおよび/または重質油の混合物の処理方法 - Google Patents
石炭並びに石炭とコールタールおよび/または重質油の混合物の処理方法Info
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- JPH093457A JPH093457A JP15747695A JP15747695A JPH093457A JP H093457 A JPH093457 A JP H093457A JP 15747695 A JP15747695 A JP 15747695A JP 15747695 A JP15747695 A JP 15747695A JP H093457 A JPH093457 A JP H093457A
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- Production Of Liquid Hydrocarbon Mixture For Refining Petroleum (AREA)
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Abstract
(57)【要約】
【目的】、石炭の有効利用に適した石炭並びに石炭とコ
ールタールおよび/または重質油との混合物の処理方法
を提供する。 【構成】石炭12および重質油13を混合するための混
合器である。混合器11の出口側には、サービスタンク
14が、さらにその後段にはステンレス製反応管からな
る反応器15が設けられている。反応器15の出口側に
は、気流層型の熱分解炉16が設けられている。ウィッ
トバンク炭を粉砕し、FCCデカントオイル750kg
とともに混合器11に導入し、混合してスラリーを得
る。得られたスラリーを二軸スクリューポンプでサービ
スタンク14に導入し、一時貯留する。次に、サービス
タンク14からスラリーを押し出しポンプにより反応器
15に供給し、ここで250℃に加熱して、スラリー中
の石炭をFCCデカントオイルで膨潤および固化させ
る。得られた膨潤炭を熱分解し、高カロリーガス17、
タール、ガス液18および改質残渣19を分別回収す
る。
ールタールおよび/または重質油との混合物の処理方法
を提供する。 【構成】石炭12および重質油13を混合するための混
合器である。混合器11の出口側には、サービスタンク
14が、さらにその後段にはステンレス製反応管からな
る反応器15が設けられている。反応器15の出口側に
は、気流層型の熱分解炉16が設けられている。ウィッ
トバンク炭を粉砕し、FCCデカントオイル750kg
とともに混合器11に導入し、混合してスラリーを得
る。得られたスラリーを二軸スクリューポンプでサービ
スタンク14に導入し、一時貯留する。次に、サービス
タンク14からスラリーを押し出しポンプにより反応器
15に供給し、ここで250℃に加熱して、スラリー中
の石炭をFCCデカントオイルで膨潤および固化させ
る。得られた膨潤炭を熱分解し、高カロリーガス17、
タール、ガス液18および改質残渣19を分別回収す
る。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、石炭並びに石炭とコー
ルタールおよび/または重質油との混合物の処理方法に
関する。特に、高カロリーガスの製造方法、石炭の改質
方法、コールタールおよび/または重質油の改質方法、
コークスの製造方法、高濃度水素ガスの製造方法および
石炭並びに石炭とコールタールおよび/または重質油と
の混合物のガス化方法に関する。
ルタールおよび/または重質油との混合物の処理方法に
関する。特に、高カロリーガスの製造方法、石炭の改質
方法、コールタールおよび/または重質油の改質方法、
コークスの製造方法、高濃度水素ガスの製造方法および
石炭並びに石炭とコールタールおよび/または重質油と
の混合物のガス化方法に関する。
【0002】
【従来の技術およびその課題】従来、石炭資源の有効利
用を目的として、高カロリーガスの製造、高濃度水素ガ
スの製造、コークスの製造、および、石炭ガス化技術が
提案され、実施されている。
用を目的として、高カロリーガスの製造、高濃度水素ガ
スの製造、コークスの製造、および、石炭ガス化技術が
提案され、実施されている。
【0003】第1に、石炭からの高カロリーガスの製造
について説明する。石炭は、熱分解(乾留)により、高
カロリーガスを含む種々のガスを発生する。従来、高カ
ロリーガスの製造のための、石炭の熱分解方法およびガ
ス化方法として、各種の方法が提案されている。例え
ば、高収率化を目的として、石炭の熱分解およびガス化
を高温下もしくは高温高圧下、水素雰囲気中で行うこと
が提案されている。しかし、このような厳しい処理条件
を実現するための設備は費用がかかる。一方、比較的温
和な条件で石炭の熱分解およびガス化を行った場合に
は、カロリーが低い生成ガスを別途メタン化(メタネー
ション)する等して高カロリーガス化する必要が生じ
る。このため、処理工程数が増加し製造コストが増大す
る。
について説明する。石炭は、熱分解(乾留)により、高
カロリーガスを含む種々のガスを発生する。従来、高カ
ロリーガスの製造のための、石炭の熱分解方法およびガ
ス化方法として、各種の方法が提案されている。例え
ば、高収率化を目的として、石炭の熱分解およびガス化
を高温下もしくは高温高圧下、水素雰囲気中で行うこと
が提案されている。しかし、このような厳しい処理条件
を実現するための設備は費用がかかる。一方、比較的温
和な条件で石炭の熱分解およびガス化を行った場合に
は、カロリーが低い生成ガスを別途メタン化(メタネー
ション)する等して高カロリーガス化する必要が生じ
る。このため、処理工程数が増加し製造コストが増大す
る。
【0004】一方、特開平2−151690号公報また
は特開平5−117662号公報に開示されているよう
な、予め石炭を何らかの方法で改質し、熱分解およびガ
ス化をできる限り温和な条件下で行う方法が提案されて
いる。例えば、特開平2−151690号公報には、石
炭粒子を水素供与性溶剤で膨潤させて、その後に急速熱
分解を行う方法が開示されている。この方法によれば、
石炭粒子を水素供与性溶剤に膨潤させない場合と比較し
て、熱分解処理後の残留物中の炭素質物質(チャー)の
収率を数%低下させることができる。このチャーは付加
価値が比較的低く、使用範囲も限られるため、チャーの
収率は低いことが望ましい。
は特開平5−117662号公報に開示されているよう
な、予め石炭を何らかの方法で改質し、熱分解およびガ
ス化をできる限り温和な条件下で行う方法が提案されて
いる。例えば、特開平2−151690号公報には、石
炭粒子を水素供与性溶剤で膨潤させて、その後に急速熱
分解を行う方法が開示されている。この方法によれば、
石炭粒子を水素供与性溶剤に膨潤させない場合と比較し
て、熱分解処理後の残留物中の炭素質物質(チャー)の
収率を数%低下させることができる。このチャーは付加
価値が比較的低く、使用範囲も限られるため、チャーの
収率は低いことが望ましい。
【0005】しかしながら、上述の特開平2−1516
90号公報の方法は、石炭が温度が上昇して熱分解を開
始し、ガス、ガス液、タールが揮発し始めると同時に、
石炭の分解により生成したラジカルの重縮合も進行し、
最終的にチャーまたはコークスと呼ばれる炭素質物質を
多く生成する。従って、熱分解過程で生成するラジカル
を素早くかつ効率的に安定化させることが、炭素質物質
の低減に大きく寄与する。ところが、従来使用される水
素供与性溶剤としては、分子量約100〜200の低分
子量成分を使用している。このため、この水素供与性溶
剤は200〜340℃の温度範囲で大部分が揮発し、ま
た、わずかに残された水素供与性溶剤が熱分解してラジ
カルが生成する温度領域よりも低い。この結果、水素供
与性溶剤および石炭由来のラジカルとの間で水素の授受
が起こりにくく、炭素質物質の収量を低減し、ガスおよ
び液状生成物の収率を向上させることはそれほど期待で
きない。また、使用する水素供与性溶剤が高価であり、
工業化の点で経済的に不利である。
90号公報の方法は、石炭が温度が上昇して熱分解を開
始し、ガス、ガス液、タールが揮発し始めると同時に、
石炭の分解により生成したラジカルの重縮合も進行し、
最終的にチャーまたはコークスと呼ばれる炭素質物質を
多く生成する。従って、熱分解過程で生成するラジカル
を素早くかつ効率的に安定化させることが、炭素質物質
の低減に大きく寄与する。ところが、従来使用される水
素供与性溶剤としては、分子量約100〜200の低分
子量成分を使用している。このため、この水素供与性溶
剤は200〜340℃の温度範囲で大部分が揮発し、ま
た、わずかに残された水素供与性溶剤が熱分解してラジ
カルが生成する温度領域よりも低い。この結果、水素供
与性溶剤および石炭由来のラジカルとの間で水素の授受
が起こりにくく、炭素質物質の収量を低減し、ガスおよ
び液状生成物の収率を向上させることはそれほど期待で
きない。また、使用する水素供与性溶剤が高価であり、
工業化の点で経済的に不利である。
【0006】一方、昇温速度を著しく大きくすることに
より、特に高温高圧下で水素を使用することなく石炭か
ら比較的高収率で有用なガスまたは液状生成物を得るこ
とができるプロセスも存在する。しかし、このようなプ
ロセスでは、チャーの収率が依然として高い。
より、特に高温高圧下で水素を使用することなく石炭か
ら比較的高収率で有用なガスまたは液状生成物を得るこ
とができるプロセスも存在する。しかし、このようなプ
ロセスでは、チャーの収率が依然として高い。
【0007】一方、コークス炉で発生するコークス炉ガ
スを別のプロセスで利用することも検討されている。コ
ークス炉ガスは製鉄所内の複製ガスの中で最もカロリー
が高いが、その低位発熱量はせいぜい4000〜500
0kcal/Nm3 程度である。現在、製鉄所内では、
このようなコークス炉ガスを高炉ガス、転炉ガス、およ
び購入燃料ガスと組み合わせて各種の需要に応えるよう
にしているが、今後の製鉄所内でのガス需要に対して
は、それだけでは対応が困難であり、より高カロリーガ
スが望まれている。
スを別のプロセスで利用することも検討されている。コ
ークス炉ガスは製鉄所内の複製ガスの中で最もカロリー
が高いが、その低位発熱量はせいぜい4000〜500
0kcal/Nm3 程度である。現在、製鉄所内では、
このようなコークス炉ガスを高炉ガス、転炉ガス、およ
び購入燃料ガスと組み合わせて各種の需要に応えるよう
にしているが、今後の製鉄所内でのガス需要に対して
は、それだけでは対応が困難であり、より高カロリーガ
スが望まれている。
【0008】コークス炉ガスをより高カロリーのガスに
転化すべく、これをメタン化する技術が提案されている
(例えば、Q.YuanおよびB.K.Haung「常
圧化のメタン化による都市ガスの製造」、Proc.P
ittsburgh Coal Conf.VOL.6
th、Vol.12,pp721−724,198
9)。しかしながら、このメタン化技術を実施する場
合、コークス炉に加えてメタン化反応装置を初めとする
ガス変成設備が必要となり、コスト高の原因となる。加
えて、このメタン化技術によると、得られたメタン化ガ
ス中の二酸化炭素濃度が非常に高いものとなる。従っ
て、これを実用化するためには、別途脱炭酸設備が必要
である。
転化すべく、これをメタン化する技術が提案されている
(例えば、Q.YuanおよびB.K.Haung「常
圧化のメタン化による都市ガスの製造」、Proc.P
ittsburgh Coal Conf.VOL.6
th、Vol.12,pp721−724,198
9)。しかしながら、このメタン化技術を実施する場
合、コークス炉に加えてメタン化反応装置を初めとする
ガス変成設備が必要となり、コスト高の原因となる。加
えて、このメタン化技術によると、得られたメタン化ガ
ス中の二酸化炭素濃度が非常に高いものとなる。従っ
て、これを実用化するためには、別途脱炭酸設備が必要
である。
【0009】第2に、石炭からの高濃度水素ガスの製造
について説明する。高濃度水素ガスは、例えば、化学工
業、食品工業、石油精製業等に利用され、今後クリーン
エネルギーとしての利用が期待されている。石炭は、上
記説明したように、熱分解により、高カロリーガスを含
む種々のガスを発生する。例えば、コークス炉では、熱
分解の進行に伴って石炭から発生する熱分解ガスの主成
分は、コールタール、ガス液からエチレン、エタンなど
の高級炭化水素、メタン、炭酸ガス、一酸化炭素、水素
へと変化する。コークス炉では、上記成分ガスは全て同
一の上昇管に集められるので、得られるコークス炉ガス
はこれらの成分ガスの混合物である。このため、高濃度
水素ガスをこのコークス炉ガスから得るためには、ガス
精製設備が別途必要となる。
について説明する。高濃度水素ガスは、例えば、化学工
業、食品工業、石油精製業等に利用され、今後クリーン
エネルギーとしての利用が期待されている。石炭は、上
記説明したように、熱分解により、高カロリーガスを含
む種々のガスを発生する。例えば、コークス炉では、熱
分解の進行に伴って石炭から発生する熱分解ガスの主成
分は、コールタール、ガス液からエチレン、エタンなど
の高級炭化水素、メタン、炭酸ガス、一酸化炭素、水素
へと変化する。コークス炉では、上記成分ガスは全て同
一の上昇管に集められるので、得られるコークス炉ガス
はこれらの成分ガスの混合物である。このため、高濃度
水素ガスをこのコークス炉ガスから得るためには、ガス
精製設備が別途必要となる。
【0010】特開昭57−3882号公報には、コーク
ス炉への石炭装入から乾留が終了するまでの所要時間の
うち、最初の55〜75%の時間内に発生するメタンお
よび炭化水素の含有率が高い高カロリー成分ガスと、残
りの45〜75%の時間内に発生する水素含有率の高い
成分ガスとを別々に回収する技術が開示されている。し
かしながら、コークス炉では、炉壁部と炉中心部とで乾
留温度が異なり、発生するガスの成分は炉幅方向におい
て均一でない。このため、炭化水素成分ガス中への水素
の混入あるいは高濃度水素ガスへのメタンや炭化水素の
混入が避けられず、目的とする高カロリーガスや水素ガ
スを高濃度で得ることができない。
ス炉への石炭装入から乾留が終了するまでの所要時間の
うち、最初の55〜75%の時間内に発生するメタンお
よび炭化水素の含有率が高い高カロリー成分ガスと、残
りの45〜75%の時間内に発生する水素含有率の高い
成分ガスとを別々に回収する技術が開示されている。し
かしながら、コークス炉では、炉壁部と炉中心部とで乾
留温度が異なり、発生するガスの成分は炉幅方向におい
て均一でない。このため、炭化水素成分ガス中への水素
の混入あるいは高濃度水素ガスへのメタンや炭化水素の
混入が避けられず、目的とする高カロリーガスや水素ガ
スを高濃度で得ることができない。
【0011】第3に、コークスの製造について説明す
る。コークスは、石炭の高温乾留によって得られる。石
炭は、各種のマセラルにより構成された不均一な物質で
あるため、コークス製造時には、350〜500℃の軟
化溶融温度域時において石炭組織中の活性成分と不活性
成分の混合物が溶融結合する必要がある。従って、製鉄
用の塊コークスを製造するためには、加熱過程の上記温
度領域で軟化溶融し、一定の石炭化度を有するいわゆる
粘結炭が必要である。そのため、発電用または燃料用な
どに使用される石炭に比べ比較的高価な石炭を使用しな
ければならない。
る。コークスは、石炭の高温乾留によって得られる。石
炭は、各種のマセラルにより構成された不均一な物質で
あるため、コークス製造時には、350〜500℃の軟
化溶融温度域時において石炭組織中の活性成分と不活性
成分の混合物が溶融結合する必要がある。従って、製鉄
用の塊コークスを製造するためには、加熱過程の上記温
度領域で軟化溶融し、一定の石炭化度を有するいわゆる
粘結炭が必要である。そのため、発電用または燃料用な
どに使用される石炭に比べ比較的高価な石炭を使用しな
ければならない。
【0012】さらに、将来的な原料炭の枯渇およびそれ
による価格の高騰を考慮すると、今後劣質炭の有効利用
の必要性がますます重要になる。ところが、風化炭また
は非粘結炭、微粘結炭または弱粘結炭のように活性成分
の少ない劣質炭をコークス原料として使用した場合、活
性成分の接着が不十分になる。この結果、コークス塊が
得られないか、あるいは得られたとしても塊コークス歩
留まりやコークス強度が低下する。
による価格の高騰を考慮すると、今後劣質炭の有効利用
の必要性がますます重要になる。ところが、風化炭また
は非粘結炭、微粘結炭または弱粘結炭のように活性成分
の少ない劣質炭をコークス原料として使用した場合、活
性成分の接着が不十分になる。この結果、コークス塊が
得られないか、あるいは得られたとしても塊コークス歩
留まりやコークス強度が低下する。
【0013】このような事情から、製鉄用コークス製造
を目的とし、軟化溶融性の劣る比較的安価な石炭に石炭
系ピッチあるいは石油系ピッチを粘結剤として添加し、
冶金用コークスを製造する技術が確立されている(例え
ば特開昭58−61177号公報)。
を目的とし、軟化溶融性の劣る比較的安価な石炭に石炭
系ピッチあるいは石油系ピッチを粘結剤として添加し、
冶金用コークスを製造する技術が確立されている(例え
ば特開昭58−61177号公報)。
【0014】しかしながら、上述の冶金用コークスを製
造するための石炭への粘結剤の添加では、石炭と粘結剤
を均一に混合することが難しい。特に石炭内部の微細空
隙内部にまで石炭系ピッチあるいは石油系ピッチを浸透
させることは不可能である。このため、石炭の乾留時に
粒子同士の接着が十分になされないという問題が生じ
る。例えば、開示されている方法では、せいぜい3〜5
0μmの粒子を結合するのみであり、本来のコークスの
原料となる原料炭のような石炭粒子内のマセラル成分レ
ベルまでの結合は不可能である。
造するための石炭への粘結剤の添加では、石炭と粘結剤
を均一に混合することが難しい。特に石炭内部の微細空
隙内部にまで石炭系ピッチあるいは石油系ピッチを浸透
させることは不可能である。このため、石炭の乾留時に
粒子同士の接着が十分になされないという問題が生じ
る。例えば、開示されている方法では、せいぜい3〜5
0μmの粒子を結合するのみであり、本来のコークスの
原料となる原料炭のような石炭粒子内のマセラル成分レ
ベルまでの結合は不可能である。
【0015】また、この他にも粘結剤の流動によって偏
析がおこり、得られるコークスの性状が不均一になる。
このため、塊歩留まりが低下したり、さらにはコークス
強度が低下するなど種々の不都合が生じている。加え
て、粘結剤の流動による偏析によって炉壁面への炭素の
付着や揮発による炉壁への熱分解炭素の付着により、窯
出しが困難になるという問題も有している。
析がおこり、得られるコークスの性状が不均一になる。
このため、塊歩留まりが低下したり、さらにはコークス
強度が低下するなど種々の不都合が生じている。加え
て、粘結剤の流動による偏析によって炉壁面への炭素の
付着や揮発による炉壁への熱分解炭素の付着により、窯
出しが困難になるという問題も有している。
【0016】第4に石炭ガス化技術について説明する。
石炭資源の有効利用を背景として既に種々の石炭ガス化
技術が確立されている。このような石炭ガス化プロセス
の評価基準の一つとして炭素利用率が挙げられる。すな
わち、石炭ガス化プロセスでは、最終的に生成される飛
灰や主灰中に残留する炭素分が低いことが要求される。
このため、多くの石炭ガス化プロセスにおいて石炭ガス
化により発生したチャー等の固体炭素分を別途燃焼させ
る必要が生じている。
石炭資源の有効利用を背景として既に種々の石炭ガス化
技術が確立されている。このような石炭ガス化プロセス
の評価基準の一つとして炭素利用率が挙げられる。すな
わち、石炭ガス化プロセスでは、最終的に生成される飛
灰や主灰中に残留する炭素分が低いことが要求される。
このため、多くの石炭ガス化プロセスにおいて石炭ガス
化により発生したチャー等の固体炭素分を別途燃焼させ
る必要が生じている。
【0017】また、従来の石炭ガス化技術では、石炭中
の灰分(無機不純物)は、スラグとして1500℃以上
の極めて高い温度で溶融させてガス化装置から排出して
いる。このため、溶解スラグによる閉塞等の操業上のト
ラブルが起こりやすい。
の灰分(無機不純物)は、スラグとして1500℃以上
の極めて高い温度で溶融させてガス化装置から排出して
いる。このため、溶解スラグによる閉塞等の操業上のト
ラブルが起こりやすい。
【0018】以上説明したような石炭の利用の他に、石
油精製分野では、減圧蒸留残油を熱分解し、軽油、ガ
ス、ピッチ、チャーまたはコークスを得る重質油熱分解
プロセスとして、ディレードコーキング、フレキシコー
キング、EUREKA、CHERRY−P、ビスブレー
キング等の各種プロセスが知られている。例えば、燃料
油製造を目的としたビスブレーカーは、熱分解条件が温
和であるため、重質油をcoil内で液状のまま熱分解
でき、連続プロセスとしての有利性を有する。また、フ
レキシコーキングは、重質油を可能な限りガスに変換す
ることを目的としており、この方法で生成したコークス
をガス化している。
油精製分野では、減圧蒸留残油を熱分解し、軽油、ガ
ス、ピッチ、チャーまたはコークスを得る重質油熱分解
プロセスとして、ディレードコーキング、フレキシコー
キング、EUREKA、CHERRY−P、ビスブレー
キング等の各種プロセスが知られている。例えば、燃料
油製造を目的としたビスブレーカーは、熱分解条件が温
和であるため、重質油をcoil内で液状のまま熱分解
でき、連続プロセスとしての有利性を有する。また、フ
レキシコーキングは、重質油を可能な限りガスに変換す
ることを目的としており、この方法で生成したコークス
をガス化している。
【0019】しかしながら、石油系重質油の熱分解プロ
セスであるフレキシコーキングは、ガス収率を高めるた
めに、熱分解で生じたコークスをプロセス内で循環使用
し、一部ガス化しており、高度な運転技術を必要とす
る。また、ビスブレーキングは、熱分解条件が温和な反
面、重質燃料の収率が高く、その利用価値が小さい。
セスであるフレキシコーキングは、ガス収率を高めるた
めに、熱分解で生じたコークスをプロセス内で循環使用
し、一部ガス化しており、高度な運転技術を必要とす
る。また、ビスブレーキングは、熱分解条件が温和な反
面、重質燃料の収率が高く、その利用価値が小さい。
【0020】また、石炭と重質油を混合して燃料として
使用する方法として、例えば、特開昭60−11596
3号公報に開示されるCOM(Coal Oil Mixture)が行
われている。この方法は、石炭をスラリー化することに
より連続的に反応プロセスに供することができる点では
優位性を見いだせるが、燃焼用燃料としての利用を意図
したものであるため、高カロリーガスの製造には適用で
きない。また、COMの燃焼プロセスでは、重質油は単
に燃料として使用されるのみなので、重質油を有効に利
用したとはいえない。さらに、COM製造時には石炭ス
ラリーを安定に分散させるため、高価な添加剤を必要と
する。
使用する方法として、例えば、特開昭60−11596
3号公報に開示されるCOM(Coal Oil Mixture)が行
われている。この方法は、石炭をスラリー化することに
より連続的に反応プロセスに供することができる点では
優位性を見いだせるが、燃焼用燃料としての利用を意図
したものであるため、高カロリーガスの製造には適用で
きない。また、COMの燃焼プロセスでは、重質油は単
に燃料として使用されるのみなので、重質油を有効に利
用したとはいえない。さらに、COM製造時には石炭ス
ラリーを安定に分散させるため、高価な添加剤を必要と
する。
【0021】本発明は、かかる点に鑑みてなされたもの
であり、石炭の有効利用に適した石炭並びに石炭とコー
ルタールおよび/または重質油との混合物の処理方法を
提供する。
であり、石炭の有効利用に適した石炭並びに石炭とコー
ルタールおよび/または重質油との混合物の処理方法を
提供する。
【0022】
【課題を解決するための手段および作用】本発明は、第
1に、石炭とコールタールおよび/または重質油とを混
合してスラリーを得る工程、得られたスラリーを150
ないし350℃に加熱してスラリー中の石炭をコールタ
ールおよび/または重質油で膨潤させて膨潤炭を得る第
1の処理工程、および、得られた膨潤炭を600℃以下
の温度で加熱して高カロリーガスを得る第2の処理工程
を具備することを特徴とする高カロリーガスの製造方法
を提供する。
1に、石炭とコールタールおよび/または重質油とを混
合してスラリーを得る工程、得られたスラリーを150
ないし350℃に加熱してスラリー中の石炭をコールタ
ールおよび/または重質油で膨潤させて膨潤炭を得る第
1の処理工程、および、得られた膨潤炭を600℃以下
の温度で加熱して高カロリーガスを得る第2の処理工程
を具備することを特徴とする高カロリーガスの製造方法
を提供する。
【0023】また、本発明は、第2に、石炭とコールタ
ールおよび/または重質油とを混合してスラリーを得る
工程、得られたスラリーを150ないし350℃に加熱
してスラリー中の石炭をコールタールおよび/または重
質油で膨潤させて膨潤炭を得る第1の処理工程、得られ
た膨潤炭を加熱して膨潤炭から軽質成分を除去する第2
の処理工程、および、第2の処理工程の後に残された改
質炭を得る工程を具備することを特徴とする石炭の改質
方法を提供する。
ールおよび/または重質油とを混合してスラリーを得る
工程、得られたスラリーを150ないし350℃に加熱
してスラリー中の石炭をコールタールおよび/または重
質油で膨潤させて膨潤炭を得る第1の処理工程、得られ
た膨潤炭を加熱して膨潤炭から軽質成分を除去する第2
の処理工程、および、第2の処理工程の後に残された改
質炭を得る工程を具備することを特徴とする石炭の改質
方法を提供する。
【0024】また、本発明は、第3に、石炭とコールタ
ールおよび/または重質油とを混合してスラリーを得る
工程、得られたスラリーを150ないし350℃に加熱
してスラリー中の石炭をコールタールおよび/または重
質油で膨潤させて膨潤炭を得る第1の処理工程、およ
び、得られた膨潤炭を加熱して膨潤炭からコールタール
および/または重質油の軽質成分を分離および回収する
第2の処理工程を具備することを特徴とするコールター
ルおよび/または重質油の改質方法を提供する。
ールおよび/または重質油とを混合してスラリーを得る
工程、得られたスラリーを150ないし350℃に加熱
してスラリー中の石炭をコールタールおよび/または重
質油で膨潤させて膨潤炭を得る第1の処理工程、およ
び、得られた膨潤炭を加熱して膨潤炭からコールタール
および/または重質油の軽質成分を分離および回収する
第2の処理工程を具備することを特徴とするコールター
ルおよび/または重質油の改質方法を提供する。
【0025】また、本発明は、第4に、石炭とコールタ
ールおよび/または重質油とを混合してスラリーを得る
工程、得られたスラリーを150ないし350℃に加熱
してスラリー中の石炭をコールタールおよび/または重
質油で膨潤させて膨潤炭を得る第1の処理工程、得られ
た膨潤炭を加熱して軽質成分を除去する第2の処理工
程、第2の処理工程の後に残された膨潤炭を600℃以
下の温度で加熱して高カロリーガスを得る第3の処理工
程、第3の処理工程の後に残された膨潤炭の熱分解残渣
を1200℃以下の温度で加熱してコークスを得る第4
の処理工程、および、第4の処理工程の後に残されたコ
ークスを回収する工程を具備することを特徴とするコー
クスの製造方法を提供する。
ールおよび/または重質油とを混合してスラリーを得る
工程、得られたスラリーを150ないし350℃に加熱
してスラリー中の石炭をコールタールおよび/または重
質油で膨潤させて膨潤炭を得る第1の処理工程、得られ
た膨潤炭を加熱して軽質成分を除去する第2の処理工
程、第2の処理工程の後に残された膨潤炭を600℃以
下の温度で加熱して高カロリーガスを得る第3の処理工
程、第3の処理工程の後に残された膨潤炭の熱分解残渣
を1200℃以下の温度で加熱してコークスを得る第4
の処理工程、および、第4の処理工程の後に残されたコ
ークスを回収する工程を具備することを特徴とするコー
クスの製造方法を提供する。
【0026】また、本発明は、第5に、石炭とコールタ
ールおよび/または重質油とを混合してスラリーを得る
工程、得られたスラリーを150ないし350℃に加熱
してスラリー中の石炭をコールタールおよび/または重
質油で膨潤させて膨潤炭を得る第1の処理工程、得られ
た膨潤炭を加熱して軽質成分を除去する第2の処理工
程、第2の処理工程の後に残された膨潤炭を600℃以
下の温度で加熱して高カロリーガスを得る第3の処理工
程、および、第3の処理工程の後に残された膨潤炭を1
200℃以下の温度で加熱して高濃度水素ガスを得る第
4の処理工程を具備することを特徴とする高濃度水素ガ
スの製造方法を提供する。
ールおよび/または重質油とを混合してスラリーを得る
工程、得られたスラリーを150ないし350℃に加熱
してスラリー中の石炭をコールタールおよび/または重
質油で膨潤させて膨潤炭を得る第1の処理工程、得られ
た膨潤炭を加熱して軽質成分を除去する第2の処理工
程、第2の処理工程の後に残された膨潤炭を600℃以
下の温度で加熱して高カロリーガスを得る第3の処理工
程、および、第3の処理工程の後に残された膨潤炭を1
200℃以下の温度で加熱して高濃度水素ガスを得る第
4の処理工程を具備することを特徴とする高濃度水素ガ
スの製造方法を提供する。
【0027】本発明は、第6に、石炭とコールタールお
よび/または重質油とを混合してスラリーを得る工程、
得られたスラリーを150ないし350℃に加熱してス
ラリー中の石炭をコールタールおよび/または重質油で
膨潤させて膨潤炭を得る第1の処理工程、得られた膨潤
炭を加熱して軽質成分を除去する第2の処理工程、第2
の処理工程の後に残された膨潤炭を600℃以下の温度
で加熱して高カロリーガスを得る第3の処理工程、第3
の処理工程の後に残された膨潤炭の熱分解残渣を120
0℃以下の温度で加熱して高濃度水素ガスを得る第4の
処理工程、および、第4の処理工程の後に残された残留
炭素分をガス化剤存在下でガス化する第5の処理工程を
具備することを特徴とする石炭とコールタールおよび/
または重質油のガス化方法を提供する。
よび/または重質油とを混合してスラリーを得る工程、
得られたスラリーを150ないし350℃に加熱してス
ラリー中の石炭をコールタールおよび/または重質油で
膨潤させて膨潤炭を得る第1の処理工程、得られた膨潤
炭を加熱して軽質成分を除去する第2の処理工程、第2
の処理工程の後に残された膨潤炭を600℃以下の温度
で加熱して高カロリーガスを得る第3の処理工程、第3
の処理工程の後に残された膨潤炭の熱分解残渣を120
0℃以下の温度で加熱して高濃度水素ガスを得る第4の
処理工程、および、第4の処理工程の後に残された残留
炭素分をガス化剤存在下でガス化する第5の処理工程を
具備することを特徴とする石炭とコールタールおよび/
または重質油のガス化方法を提供する。
【0028】また、本発明は、第7に、石炭を150な
いし350℃の範囲内の温度で加熱して石炭の初期熱分
解ガスを回収する第1の処理工程、および、第1の処理
工程の後に石炭を350ないし1000℃の範囲内の温
度で加熱して熱分解成分ガスを回収する第2の処理工程
を具備することを特徴とする石炭からの熱分解成分ガス
の回収方法を提供する。
いし350℃の範囲内の温度で加熱して石炭の初期熱分
解ガスを回収する第1の処理工程、および、第1の処理
工程の後に石炭を350ないし1000℃の範囲内の温
度で加熱して熱分解成分ガスを回収する第2の処理工程
を具備することを特徴とする石炭からの熱分解成分ガス
の回収方法を提供する。
【0029】以下、本発明をさらに詳細に説明する。
【0030】本発明は、次のような新しい知見に基づい
て完成されたものである。;まず、石炭とコールタール
および/または重質油とを混合してスラリーとする。次
に、このスラリーを150〜350℃に加熱して、スラ
リー中の石炭をコールタールおよび/または重質油で膨
潤させる。本明細書では、石炭粉末内部までコールター
ルおよび/または重質油が浸透し、膨潤固化した石炭を
「膨潤炭」と呼ぶ。得られた膨潤炭は、石炭の熱分解性
および粘結性の点で優れているため、この膨潤炭を熱分
解して得られる高カロリーガス、高濃度水素ガス、コー
クス等を高品質でかつ高効率で得ることができる。ま
た、膨潤炭の熱分解により、膨潤炭から軽質成分を除去
して、コークスの製造に適した石炭を得ることができ
る。また、膨潤炭から重質成分を含まない良質のコール
タールおよび重質油を得ることができる。
て完成されたものである。;まず、石炭とコールタール
および/または重質油とを混合してスラリーとする。次
に、このスラリーを150〜350℃に加熱して、スラ
リー中の石炭をコールタールおよび/または重質油で膨
潤させる。本明細書では、石炭粉末内部までコールター
ルおよび/または重質油が浸透し、膨潤固化した石炭を
「膨潤炭」と呼ぶ。得られた膨潤炭は、石炭の熱分解性
および粘結性の点で優れているため、この膨潤炭を熱分
解して得られる高カロリーガス、高濃度水素ガス、コー
クス等を高品質でかつ高効率で得ることができる。ま
た、膨潤炭の熱分解により、膨潤炭から軽質成分を除去
して、コークスの製造に適した石炭を得ることができ
る。また、膨潤炭から重質成分を含まない良質のコール
タールおよび重質油を得ることができる。
【0031】さらに、石炭より熱分解成分ガスを回収す
る方法において、石炭を熱分解して高カロリーガスを含
む各種分解ガスを発生させる前の予備的な処理工程で、
石炭を150〜350℃の範囲内の温度で加熱して二酸
化炭素等を含む初期熱分解ガスを回収することにより、
後の高カロリーガスを得る工程での回収ガス中への二酸
化炭素等の低カロリーガス成分の混入を防止できること
がわかった。
る方法において、石炭を熱分解して高カロリーガスを含
む各種分解ガスを発生させる前の予備的な処理工程で、
石炭を150〜350℃の範囲内の温度で加熱して二酸
化炭素等を含む初期熱分解ガスを回収することにより、
後の高カロリーガスを得る工程での回収ガス中への二酸
化炭素等の低カロリーガス成分の混入を防止できること
がわかった。
【0032】以下、各々の発明についてさらに詳細に説
明する。第1の発明は、石炭からの高カロリーガスの製
造方法である。この方法では、まず、石炭とコールター
ルおよび重質油の少なくとも一方(以下、コールタール
および/又は重質油と記す)を、例えば混合器で混合し
てスラリーとする。ここで、処理対象である石炭は、特
に制限はなく、例えば、泥炭、褐炭、亜瀝青炭、瀝青炭
等を使用することができる。また、石炭粉末の粒度は、
コールタールまたは重質油とともに混合してスラリー化
するために粒径約5mm以下が好ましく、より好ましく
は100μm以下がよい。石炭を粉砕するためには、機
械せん断式粉砕機、高速回転式衝撃粉砕機、ボールミ
ル、ロッドミル、ジェットミル等が使用できるが、ボー
ルミルまたはロッドミルは石炭とコールタールおよび/
または重質油との混合も同時に行うことができるのでよ
り好ましい。
明する。第1の発明は、石炭からの高カロリーガスの製
造方法である。この方法では、まず、石炭とコールター
ルおよび重質油の少なくとも一方(以下、コールタール
および/又は重質油と記す)を、例えば混合器で混合し
てスラリーとする。ここで、処理対象である石炭は、特
に制限はなく、例えば、泥炭、褐炭、亜瀝青炭、瀝青炭
等を使用することができる。また、石炭粉末の粒度は、
コールタールまたは重質油とともに混合してスラリー化
するために粒径約5mm以下が好ましく、より好ましく
は100μm以下がよい。石炭を粉砕するためには、機
械せん断式粉砕機、高速回転式衝撃粉砕機、ボールミ
ル、ロッドミル、ジェットミル等が使用できるが、ボー
ルミルまたはロッドミルは石炭とコールタールおよび/
または重質油との混合も同時に行うことができるのでよ
り好ましい。
【0033】コールタールは、特に限定されないが、製
鉄プロセスにおいてコークス炉から副生するものを好適
に使用することができる。重質油としては、直留系であ
る常圧残油、減圧残油、アスファルテンや、分解系であ
るエチレンタール、FCCデカントオイル等の石油系重
質油が用いられる。さらに、石炭系の石炭液化残油やオ
イルサンド系のオリノコタール、コールドレーク等も使
用できる。
鉄プロセスにおいてコークス炉から副生するものを好適
に使用することができる。重質油としては、直留系であ
る常圧残油、減圧残油、アスファルテンや、分解系であ
るエチレンタール、FCCデカントオイル等の石油系重
質油が用いられる。さらに、石炭系の石炭液化残油やオ
イルサンド系のオリノコタール、コールドレーク等も使
用できる。
【0034】石炭とコールタールおよび/または重質油
と石炭の混合のための手段としては、両成分が均一に混
合できるものであれば特に制限されないが、スクリュー
混合機、ボールミル、ロッドミル等を使用できる。ボー
ルミルおよびロッドミルは混合と同時に粉砕も行うこと
ができるので好ましい。
と石炭の混合のための手段としては、両成分が均一に混
合できるものであれば特に制限されないが、スクリュー
混合機、ボールミル、ロッドミル等を使用できる。ボー
ルミルおよびロッドミルは混合と同時に粉砕も行うこと
ができるので好ましい。
【0035】混合時間は、混合比率に応じて適宜選択す
ればよいが、ボールミルやロッドミル等を使用し粉砕を
兼ねる場合は、石炭の種類にもよるが、5分から60分
が好ましい。また、混合の温度は、スラリーが固化しな
いようにするため、100℃未満に保つ必要がある。
ればよいが、ボールミルやロッドミル等を使用し粉砕を
兼ねる場合は、石炭の種類にもよるが、5分から60分
が好ましい。また、混合の温度は、スラリーが固化しな
いようにするため、100℃未満に保つ必要がある。
【0036】粉末状の石炭とコールタールおよび/また
は重質油との混合比率は特に規定されないが、重量比で
1:1以上であることが好ましい。固体の膨潤炭を得る
ためには1:5以下にする必要があるが、液体状の膨潤
炭でよければこの限りでない。
は重質油との混合比率は特に規定されないが、重量比で
1:1以上であることが好ましい。固体の膨潤炭を得る
ためには1:5以下にする必要があるが、液体状の膨潤
炭でよければこの限りでない。
【0037】得られたスラリーを、例えば、2軸スクリ
ューポンプ等のポンプによって次の工程に導入する。こ
のとき、スラリーを直接次の工程に導入してもよいが、
一旦サービスタンク等の貯蔵手段に導き、貯蔵しておく
こともできる。この貯蔵においても、タンク内の温度は
スラリーの膨潤が起こらないように100℃未満に保つ
必要がある。
ューポンプ等のポンプによって次の工程に導入する。こ
のとき、スラリーを直接次の工程に導入してもよいが、
一旦サービスタンク等の貯蔵手段に導き、貯蔵しておく
こともできる。この貯蔵においても、タンク内の温度は
スラリーの膨潤が起こらないように100℃未満に保つ
必要がある。
【0038】次に、スラリーを150〜350℃に加熱
する。これにより、コールタールおよび/または重質油
が、石炭内部の微細空隙内まで浸透する。この結果、石
炭が膨潤し、やがて固化して、膨潤炭を得る。
する。これにより、コールタールおよび/または重質油
が、石炭内部の微細空隙内まで浸透する。この結果、石
炭が膨潤し、やがて固化して、膨潤炭を得る。
【0039】ここで、処理温度(以下、膨潤固化温度と
いう)を150〜350℃に限定したのは、150℃未
満の温度では石炭の膨潤化に著しく時間がかかるためで
あり、一方、350℃を越えるとスラリーからの脱油が
起こり、石炭膨潤化の効率が低下するからである。
いう)を150〜350℃に限定したのは、150℃未
満の温度では石炭の膨潤化に著しく時間がかかるためで
あり、一方、350℃を越えるとスラリーからの脱油が
起こり、石炭膨潤化の効率が低下するからである。
【0040】ここでの加熱時間は、膨潤固化温度に依存
し、膨潤固化が十分に起こる時間であればよい。例え
ば、膨潤固化温度が350℃であれば、1〜10時間が
好適である。
し、膨潤固化が十分に起こる時間であればよい。例え
ば、膨潤固化温度が350℃であれば、1〜10時間が
好適である。
【0041】最後に、膨潤炭を熱分解してガスを得る。
膨潤炭は、石炭と石炭の微細構造内に浸透した重質油を
含む。膨潤炭は、従来の石炭の熱分解方法と同様の手順
で熱分解される。例えば、膨潤炭の熱分解は不活性雰囲
気または水素雰囲気中で行われる。
膨潤炭は、石炭と石炭の微細構造内に浸透した重質油を
含む。膨潤炭は、従来の石炭の熱分解方法と同様の手順
で熱分解される。例えば、膨潤炭の熱分解は不活性雰囲
気または水素雰囲気中で行われる。
【0042】この熱分解過程で得られるガスは、メタ
ン、一酸化炭素、二酸化炭素、エタン、エチレン、プロ
パン、プロピレン、n- ブタン、i- ブタン等を含有す
る高カロリーガスである。
ン、一酸化炭素、二酸化炭素、エタン、エチレン、プロ
パン、プロピレン、n- ブタン、i- ブタン等を含有す
る高カロリーガスである。
【0043】この膨潤炭の熱分解工程での処理温度は6
00℃以下である。処理温度が600℃を超えた場合に
は、膨潤炭から水素等のカロリーの低い分解成分ガスが
発生し、得られるガスのカロリーが低下するからであ
る。処理温度の下限値は、原料の石炭、コールタール、
重質油の性状等を考慮して選択することができるため、
特に限定されない。しかしながら、好ましくは、膨潤炭
の熱分解が起こり得る温度以上であり、プロセス全体の
熱効率を考慮すると、先だって行われる膨潤工程の処理
温度よりも高い温度であることがより好ましい。具体的
には、膨潤炭の熱分解温度は400℃ないし600℃の
範囲内から適宜選択される。
00℃以下である。処理温度が600℃を超えた場合に
は、膨潤炭から水素等のカロリーの低い分解成分ガスが
発生し、得られるガスのカロリーが低下するからであ
る。処理温度の下限値は、原料の石炭、コールタール、
重質油の性状等を考慮して選択することができるため、
特に限定されない。しかしながら、好ましくは、膨潤炭
の熱分解が起こり得る温度以上であり、プロセス全体の
熱効率を考慮すると、先だって行われる膨潤工程の処理
温度よりも高い温度であることがより好ましい。具体的
には、膨潤炭の熱分解温度は400℃ないし600℃の
範囲内から適宜選択される。
【0044】本発明の高カロリーガスの製造方法におい
て、石炭をコールタールおよび/または重質油で膨潤さ
せるための加熱処理(第1の処理工程)、および、第1
の処理工程で得られた膨潤炭を熱分解するための加熱処
理(第2の処理工程)は、様々な種類の反応容器を用い
て行うことができる。例えば、単一のバッチタイプの反
応容器(例えば、φ400×5000mmのステンレス
製反応管)に収容し、まず、反応容器の内部を150〜
350℃の範囲内の温度に均一に設定して、第1の処理
工程を行う。次いで、反応容器の内部を600℃以下の
任意の温度に昇温して、第2の処理工程を行う。
て、石炭をコールタールおよび/または重質油で膨潤さ
せるための加熱処理(第1の処理工程)、および、第1
の処理工程で得られた膨潤炭を熱分解するための加熱処
理(第2の処理工程)は、様々な種類の反応容器を用い
て行うことができる。例えば、単一のバッチタイプの反
応容器(例えば、φ400×5000mmのステンレス
製反応管)に収容し、まず、反応容器の内部を150〜
350℃の範囲内の温度に均一に設定して、第1の処理
工程を行う。次いで、反応容器の内部を600℃以下の
任意の温度に昇温して、第2の処理工程を行う。
【0045】また、複数の反応容器を用いることも可能
である。すなわち、第1の処理工程および第2の処理工
程のための反応容器を夫々別個に用意する。1番目の反
応容器の内部温度を150〜350℃の範囲内の温度に
均一に設定し、2番目の反応容器の内部温度を600℃
以下の任意の温度に均一に設定する。そして、被処理体
であるスラリーを順次供給して第1および第2の処理工
程を施すことが可能である。
である。すなわち、第1の処理工程および第2の処理工
程のための反応容器を夫々別個に用意する。1番目の反
応容器の内部温度を150〜350℃の範囲内の温度に
均一に設定し、2番目の反応容器の内部温度を600℃
以下の任意の温度に均一に設定する。そして、被処理体
であるスラリーを順次供給して第1および第2の処理工
程を施すことが可能である。
【0046】また、複数の異なる温度の区域を有し、内
部をスラリーが移動するにつれて石炭の膨潤および固
化、並びに膨潤炭の熱分解が進行するように温度勾配を
設けたパイプ型熱処理装置を用いることができる。この
第1の発明の方法の場合、パイプ型熱処理装置を被処理
体が移動するにつれて、複数の区域のうち、150〜3
50℃の範囲内の温度に設定された区域において第1の
処理工程が施され、これらの区域に続いて設けられた6
00℃以下の温度に設定された区域において第2の処理
工程が施される。このようなパイプ型熱処理装置を用い
た場合、第1の処理工程で加熱された被処理体の顕熱を
第2の処理工程で高効率で利用できる点、連続処理によ
り生産効率を向上できる点、バッチ処理において必要と
なる各反応器間の移載装置が不要となる等の設備の簡略
化が可能となる点の他に、第1の処理工程によって第2
の処理工程で回収される高カロリーガス中への二酸化炭
素等の低カロリーガスが混入するのを防止できる等の利
点がある。
部をスラリーが移動するにつれて石炭の膨潤および固
化、並びに膨潤炭の熱分解が進行するように温度勾配を
設けたパイプ型熱処理装置を用いることができる。この
第1の発明の方法の場合、パイプ型熱処理装置を被処理
体が移動するにつれて、複数の区域のうち、150〜3
50℃の範囲内の温度に設定された区域において第1の
処理工程が施され、これらの区域に続いて設けられた6
00℃以下の温度に設定された区域において第2の処理
工程が施される。このようなパイプ型熱処理装置を用い
た場合、第1の処理工程で加熱された被処理体の顕熱を
第2の処理工程で高効率で利用できる点、連続処理によ
り生産効率を向上できる点、バッチ処理において必要と
なる各反応器間の移載装置が不要となる等の設備の簡略
化が可能となる点の他に、第1の処理工程によって第2
の処理工程で回収される高カロリーガス中への二酸化炭
素等の低カロリーガスが混入するのを防止できる等の利
点がある。
【0047】第1の処理工程により石炭の膨潤化を行う
前に、石炭とコールタールおよび/または重質油からな
るスラリーを脱水することもできる。スラリーの脱水
は、スラリーを100〜150℃の範囲内の温度で加熱
することにより行われる。処理温度が100℃未満では
脱水の効率が著しく低いからであり、一方、処理温度が
150℃を超えると石炭の膨潤が始まり、その際に水分
の蒸発によるフォーミング、突沸が起こるからである。
このスラリーの脱水により、水分含有率が高い石炭やコ
ールタールおよび/または重質油を使用しても、安定に
膨潤固化を行うことができる利点がある。
前に、石炭とコールタールおよび/または重質油からな
るスラリーを脱水することもできる。スラリーの脱水
は、スラリーを100〜150℃の範囲内の温度で加熱
することにより行われる。処理温度が100℃未満では
脱水の効率が著しく低いからであり、一方、処理温度が
150℃を超えると石炭の膨潤が始まり、その際に水分
の蒸発によるフォーミング、突沸が起こるからである。
このスラリーの脱水により、水分含有率が高い石炭やコ
ールタールおよび/または重質油を使用しても、安定に
膨潤固化を行うことができる利点がある。
【0048】上述のような高カロリーガスの製造方法に
よれば、石炭粉末とコールタールおよび/または重質油
とのスラリーを、150〜350℃の範囲内の膨潤固化
温度で加熱して、石炭をコールタールおよび/または重
質油で膨潤させることにより、コールタールおよび/ま
たは重質油は、石炭の微細構造内に深く浸透し、石炭粉
末の容積および細孔径を増加させる。この結果、後の熱
分解工程において、石炭の比表面積が大きくなり、か
つ、水素供与性溶剤からの水素ラジカルと、石炭の熱分
解により生成したラジカルが接触する確率が増加する。
また、この膨潤・固化工程で、石炭中の水素結合やπ電
子間相互作用等のような非共有結合が緩和され、石炭の
熱分解が促進される。
よれば、石炭粉末とコールタールおよび/または重質油
とのスラリーを、150〜350℃の範囲内の膨潤固化
温度で加熱して、石炭をコールタールおよび/または重
質油で膨潤させることにより、コールタールおよび/ま
たは重質油は、石炭の微細構造内に深く浸透し、石炭粉
末の容積および細孔径を増加させる。この結果、後の熱
分解工程において、石炭の比表面積が大きくなり、か
つ、水素供与性溶剤からの水素ラジカルと、石炭の熱分
解により生成したラジカルが接触する確率が増加する。
また、この膨潤・固化工程で、石炭中の水素結合やπ電
子間相互作用等のような非共有結合が緩和され、石炭の
熱分解が促進される。
【0049】また、膨潤炭の中にはコールタール中また
は重質油中の重質成分が存在している。このため、後の
熱分解工程で重質油から水素ラジカルが放出される。こ
の結果、石炭熱分解由来のラジカルに十分な水素ラジカ
ルを供給し、重縮合によるチャーのような炭素質物質の
生成が抑制される。
は重質油中の重質成分が存在している。このため、後の
熱分解工程で重質油から水素ラジカルが放出される。こ
の結果、石炭熱分解由来のラジカルに十分な水素ラジカ
ルを供給し、重縮合によるチャーのような炭素質物質の
生成が抑制される。
【0050】さらに、熱分解工程では、その前の膨潤・
固化によって石炭中の水素結合やπ電子間相互作用等が
緩和されるので、熱分解時の高カロリーガスの生成量が
増加する。
固化によって石炭中の水素結合やπ電子間相互作用等が
緩和されるので、熱分解時の高カロリーガスの生成量が
増加する。
【0051】次に、第2の発明の石炭の改質方法につい
て説明する。本発明は、石炭、特に、劣質炭を原料とし
て、粘結性が向上し、強度の大きい冶金用コークス原料
となりうる石炭を得ることを目的とする。
て説明する。本発明は、石炭、特に、劣質炭を原料とし
て、粘結性が向上し、強度の大きい冶金用コークス原料
となりうる石炭を得ることを目的とする。
【0052】この方法では、第1に、石炭をコールター
ルおよび/または重質油と混合し、スラリーとする。ス
ラリーは第1の発明と同様の手順に従って調製される。
被処理体である石炭は、特に制限はなく、例えば、泥
炭、褐炭、亜瀝青炭、瀝青炭等を使用することができ
る。また、石炭粉末の粒度は、第1の発明と同様に、コ
ールタールまたは重質油とともに混合してスラリー化す
るために粒径約5mm以下が好ましく、より好ましくは
100μm以下がよい。
ルおよび/または重質油と混合し、スラリーとする。ス
ラリーは第1の発明と同様の手順に従って調製される。
被処理体である石炭は、特に制限はなく、例えば、泥
炭、褐炭、亜瀝青炭、瀝青炭等を使用することができ
る。また、石炭粉末の粒度は、第1の発明と同様に、コ
ールタールまたは重質油とともに混合してスラリー化す
るために粒径約5mm以下が好ましく、より好ましくは
100μm以下がよい。
【0053】また、コールタールおよび重質油は、第1
の発明で用いられるものと同様である。石炭とコールタ
ールおよび/または重質油との混合比率についても、第
1の発明の場合と同様である。
の発明で用いられるものと同様である。石炭とコールタ
ールおよび/または重質油との混合比率についても、第
1の発明の場合と同様である。
【0054】次いで、得られたスラリーを、150〜3
50℃の範囲内の温度で加熱してスラリー中の石炭をコ
ールタールおよび/または重質油で膨潤させて膨潤炭を
得る。この石炭の膨潤化のための第1の処理工程は、第
1の発明で説明した第1の処理工程と同様の手順に従っ
て行われる。この第2の発明においても、第1の発明と
同様に、膨潤固化温度を150〜350℃の範囲内に限
定したのは、150℃未満の温度では石炭の膨潤化に著
しく時間がかかるためであり、一方、350℃を越える
とスラリーからの脱油が起こり、石炭膨潤化の効率が低
下するからである。
50℃の範囲内の温度で加熱してスラリー中の石炭をコ
ールタールおよび/または重質油で膨潤させて膨潤炭を
得る。この石炭の膨潤化のための第1の処理工程は、第
1の発明で説明した第1の処理工程と同様の手順に従っ
て行われる。この第2の発明においても、第1の発明と
同様に、膨潤固化温度を150〜350℃の範囲内に限
定したのは、150℃未満の温度では石炭の膨潤化に著
しく時間がかかるためであり、一方、350℃を越える
とスラリーからの脱油が起こり、石炭膨潤化の効率が低
下するからである。
【0055】この後、得られた膨潤炭から軽質成分を除
去して、改質炭を得る。ここで膨潤炭の軽質成分とは、
原料にコールタールを用いた場合には、コールタール中
の減圧ピッチを除く留分に相当し、例えば、タール酸、
ナフタリン類またはアントラセン類が含まれる。膨潤炭
から軽質成分の除去方法は、特に限定されないが、例え
ば、膨潤炭を、常圧下でまたは減圧下で加熱することに
よって行う。膨潤炭から軽質成分を除去するための処理
温度は、特に限定されないが、例えば、常圧下では35
0℃〜400℃の範囲内から適宜選択される。
去して、改質炭を得る。ここで膨潤炭の軽質成分とは、
原料にコールタールを用いた場合には、コールタール中
の減圧ピッチを除く留分に相当し、例えば、タール酸、
ナフタリン類またはアントラセン類が含まれる。膨潤炭
から軽質成分の除去方法は、特に限定されないが、例え
ば、膨潤炭を、常圧下でまたは減圧下で加熱することに
よって行う。膨潤炭から軽質成分を除去するための処理
温度は、特に限定されないが、例えば、常圧下では35
0℃〜400℃の範囲内から適宜選択される。
【0056】また、軽質成分の除去には、例えば、ニー
ダータイプあるいはスパイラル式によって固体を移送若
しくは排出することができ、連続的に揮発性物質を除去
できる脱気機能を兼ね備えた反応蒸発装置または乾燥装
置等を利用できる。
ダータイプあるいはスパイラル式によって固体を移送若
しくは排出することができ、連続的に揮発性物質を除去
できる脱気機能を兼ね備えた反応蒸発装置または乾燥装
置等を利用できる。
【0057】第1の処理工程により石炭の膨潤化を行う
前に、上述の第1の発明と同様に、石炭とコールタール
および/または重質油からなるスラリーを脱水すること
もできる。
前に、上述の第1の発明と同様に、石炭とコールタール
および/または重質油からなるスラリーを脱水すること
もできる。
【0058】この膨潤炭からの軽質成分の除去のための
第2の処理工程では、先に述べたように、コールタール
および/または重質油が石炭粉末の微細空隙内に十分浸
透しているため、重質成分は、軽質成分に比べ膨潤炭か
ら分離されにくくなっている。このため重質成分は加熱
容器中の膨潤炭中に残る。従って、得られた改質炭は、
冶金用コークスの原料として優れた性質を有する石炭で
ある。なお、ここで、石炭の重質成分とは、原料にコー
ルタールを用いた場合に、コールタール中の減圧ピッチ
に相当する成分のことをいう。
第2の処理工程では、先に述べたように、コールタール
および/または重質油が石炭粉末の微細空隙内に十分浸
透しているため、重質成分は、軽質成分に比べ膨潤炭か
ら分離されにくくなっている。このため重質成分は加熱
容器中の膨潤炭中に残る。従って、得られた改質炭は、
冶金用コークスの原料として優れた性質を有する石炭で
ある。なお、ここで、石炭の重質成分とは、原料にコー
ルタールを用いた場合に、コールタール中の減圧ピッチ
に相当する成分のことをいう。
【0059】上述のように、第2の発明の石炭の改質方
法によれば、石炭とコールタールおよび/または重質油
を混合してスラリーとし、膨潤化工程を経ることによっ
て、コールタールおよび/または重質油が石炭の内部ま
で浸透し、重質成分の固定化が十分進行することにな
る。特に、コールタールやコールタールピッチは、石炭
中のミセル集合体と容易に相互作用を及ぼし合うので、
膨潤反応用溶剤として優れている。次いで得られた膨潤
炭をそのまま移送しながら、もしくは蒸発装置等の加熱
装置に導き、加熱して軽質成分を除去して改質炭を得
る。このような膨潤炭において、重質成分は軽質成分よ
り膨潤炭から分離しにくいため、軽質成分を容易に除去
することができ、改質された石炭を得ることができる。
法によれば、石炭とコールタールおよび/または重質油
を混合してスラリーとし、膨潤化工程を経ることによっ
て、コールタールおよび/または重質油が石炭の内部ま
で浸透し、重質成分の固定化が十分進行することにな
る。特に、コールタールやコールタールピッチは、石炭
中のミセル集合体と容易に相互作用を及ぼし合うので、
膨潤反応用溶剤として優れている。次いで得られた膨潤
炭をそのまま移送しながら、もしくは蒸発装置等の加熱
装置に導き、加熱して軽質成分を除去して改質炭を得
る。このような膨潤炭において、重質成分は軽質成分よ
り膨潤炭から分離しにくいため、軽質成分を容易に除去
することができ、改質された石炭を得ることができる。
【0060】第2の発明の方法では、上述の第1の発明
と同様に、石炭をコールタールおよび/または重質油で
膨潤させるための第1の処理工程、および、第1の処理
工程で得られた膨潤炭から軽質成分を除去するための第
2の加熱処理を、例えば、単一のバッチタイプの反応容
器、工程毎に設けられた複数の反応容器、および、複数
の異なる温度の区域を有し、内部を被処理体が移動する
につれて第1および第2の処理工程が進行するように温
度勾配を設けたパイプ型熱処理装置等のいずれのタイプ
の反応容器を用いても行うことができる。
と同様に、石炭をコールタールおよび/または重質油で
膨潤させるための第1の処理工程、および、第1の処理
工程で得られた膨潤炭から軽質成分を除去するための第
2の加熱処理を、例えば、単一のバッチタイプの反応容
器、工程毎に設けられた複数の反応容器、および、複数
の異なる温度の区域を有し、内部を被処理体が移動する
につれて第1および第2の処理工程が進行するように温
度勾配を設けたパイプ型熱処理装置等のいずれのタイプ
の反応容器を用いても行うことができる。
【0061】第3の発明は、コールタールまたは重質油
の改質方法である。この方法では、コールタールまたは
重質油、コールタールおよび重質油の混合物から重質成
分を除去することを目的とする。
の改質方法である。この方法では、コールタールまたは
重質油、コールタールおよび重質油の混合物から重質成
分を除去することを目的とする。
【0062】まず、第1に、コールタールおよび/また
は重質油を石炭と混合してスラリーを得る。ここで使用
されるコールタールは、特に限定されないが、製鉄プロ
セスにおいてコークス炉から副生するものを好適に使用
することができる。重質油としては、直留系である常圧
残油、減圧残油、アスファルテンや、分解系であるエチ
レンタール、FCCデカントオイル等の石油系重質油が
用いられる。さらに、石炭系の石炭液化残油やオイルサ
ンド系のオリノコタール、コールドレーク等も使用でき
る。これらのコールタールおよび重質油は、軽質成分お
よび重質成分の両方を含んでいる。軽質成分とは、例え
ば、石油重質油においては、いわゆるオイル分のことを
いい、飽和炭化水素、単環から二環の芳香族炭化水素を
含んでいる。一方、重質成分とは、レジン分およびアス
ファルテン分のことをいい、高分子飽和炭化水素や多環
芳香族炭化水素を含んでいる。コールタールおよび重質
油の改質物を、以下、改質タールと呼ぶ。
は重質油を石炭と混合してスラリーを得る。ここで使用
されるコールタールは、特に限定されないが、製鉄プロ
セスにおいてコークス炉から副生するものを好適に使用
することができる。重質油としては、直留系である常圧
残油、減圧残油、アスファルテンや、分解系であるエチ
レンタール、FCCデカントオイル等の石油系重質油が
用いられる。さらに、石炭系の石炭液化残油やオイルサ
ンド系のオリノコタール、コールドレーク等も使用でき
る。これらのコールタールおよび重質油は、軽質成分お
よび重質成分の両方を含んでいる。軽質成分とは、例え
ば、石油重質油においては、いわゆるオイル分のことを
いい、飽和炭化水素、単環から二環の芳香族炭化水素を
含んでいる。一方、重質成分とは、レジン分およびアス
ファルテン分のことをいい、高分子飽和炭化水素や多環
芳香族炭化水素を含んでいる。コールタールおよび重質
油の改質物を、以下、改質タールと呼ぶ。
【0063】本工程で使用しうる石炭は、特に制限はな
く、第1の発明で用いられるものと同様である。
く、第1の発明で用いられるものと同様である。
【0064】コールタールおよび/または重質油の混合
は、第1の発明と同様に行われる。
は、第1の発明と同様に行われる。
【0065】次に、得られたスラリーを150〜350
℃で加熱してコールタールおよび/または重質油で石炭
を膨潤および固化させる。このコールタールおよび/ま
たは重質油で石炭を膨潤化するための第1の処理工程
は、第1の発明で説明した第1の処理工程と同様の手順
に従って行われる。この第3の発明においても、第1の
発明と同様に、膨潤固化温度を150〜350℃の範囲
内に限定したのは、150℃未満の温度では石炭の膨潤
化に著しく時間がかかるためであり、一方、350℃を
越えるとスラリーからの脱油が起こり、石炭膨潤化の効
率が低下するからである。
℃で加熱してコールタールおよび/または重質油で石炭
を膨潤および固化させる。このコールタールおよび/ま
たは重質油で石炭を膨潤化するための第1の処理工程
は、第1の発明で説明した第1の処理工程と同様の手順
に従って行われる。この第3の発明においても、第1の
発明と同様に、膨潤固化温度を150〜350℃の範囲
内に限定したのは、150℃未満の温度では石炭の膨潤
化に著しく時間がかかるためであり、一方、350℃を
越えるとスラリーからの脱油が起こり、石炭膨潤化の効
率が低下するからである。
【0066】この結果、コールタールおよび/または重
質油は、加熱によって石炭粉末内部の微細空隙内まで浸
透し、石炭を膨潤して膨潤炭が得られる。
質油は、加熱によって石炭粉末内部の微細空隙内まで浸
透し、石炭を膨潤して膨潤炭が得られる。
【0067】次に、膨潤炭を加熱して改質タールを分離
および回収する。膨潤炭からの改質タールの分離および
回収は、特に限定されないが、例えば、膨潤炭を、常圧
下でまたは減圧下で加熱することによって行う。膨潤炭
から軽質成分を除去するための処理温度は、特に限定さ
れないが、例えば、常圧下では350℃〜400℃の範
囲内から適宜選択される。
および回収する。膨潤炭からの改質タールの分離および
回収は、特に限定されないが、例えば、膨潤炭を、常圧
下でまたは減圧下で加熱することによって行う。膨潤炭
から軽質成分を除去するための処理温度は、特に限定さ
れないが、例えば、常圧下では350℃〜400℃の範
囲内から適宜選択される。
【0068】第1の処理工程により石炭の膨潤化を行う
前に、上述の第1の発明と同様に、石炭とコールタール
および/または重質油からなるスラリーを脱水すること
もできる。
前に、上述の第1の発明と同様に、石炭とコールタール
および/または重質油からなるスラリーを脱水すること
もできる。
【0069】この膨潤炭からの軽質成分の除去のための
第2の処理工程では、先に述べたように、コールタール
および/または重質油が石炭粉末の微細空隙内に十分浸
透しているため、重質成分は、軽質成分に比べ膨潤炭か
ら分離されにくくなっている。このため重質成分は加熱
容器中の膨潤炭中に残り、原料のコールタールおよび/
または重質油中の軽質成分のみが選択的に得られる。
第2の処理工程では、先に述べたように、コールタール
および/または重質油が石炭粉末の微細空隙内に十分浸
透しているため、重質成分は、軽質成分に比べ膨潤炭か
ら分離されにくくなっている。このため重質成分は加熱
容器中の膨潤炭中に残り、原料のコールタールおよび/
または重質油中の軽質成分のみが選択的に得られる。
【0070】第3の発明の方法では、上述の第1の発明
と同様に、石炭をコールタールおよび/または重質油で
膨潤させるための第1の処理工程、および、第1の処理
工程で得られた膨潤炭から改質タールを回収するするた
めの第2の処理工程を、例えば、単一のバッチタイプの
反応容器、工程毎に設けられた複数の反応容器、およ
び、複数の異なる温度の区域を有し、内部を被処理体が
移動するにつれて第1および第2の処理工程が進行する
ように温度勾配を設けたパイプ型熱処理装置等のいずれ
のタイプの反応容器を用いても行うことができる。
と同様に、石炭をコールタールおよび/または重質油で
膨潤させるための第1の処理工程、および、第1の処理
工程で得られた膨潤炭から改質タールを回収するするた
めの第2の処理工程を、例えば、単一のバッチタイプの
反応容器、工程毎に設けられた複数の反応容器、およ
び、複数の異なる温度の区域を有し、内部を被処理体が
移動するにつれて第1および第2の処理工程が進行する
ように温度勾配を設けたパイプ型熱処理装置等のいずれ
のタイプの反応容器を用いても行うことができる。
【0071】第4の発明は、コークスの製造方法であ
る。この方法では、第1に、石炭をコールタールおよび
/または重質油と混合し、スラリーとする。スラリーは
第1の発明と同様の手順に従って調製される。被処理体
である石炭は、特に制限はなく、第1の発明と同様のも
のを使用することができる。また、コールタールおよび
重質油は、第1の発明で用いられるものと同様である。
石炭とコールタールおよび/または重質油との混合比率
についても、第1の発明の場合と同様である。
る。この方法では、第1に、石炭をコールタールおよび
/または重質油と混合し、スラリーとする。スラリーは
第1の発明と同様の手順に従って調製される。被処理体
である石炭は、特に制限はなく、第1の発明と同様のも
のを使用することができる。また、コールタールおよび
重質油は、第1の発明で用いられるものと同様である。
石炭とコールタールおよび/または重質油との混合比率
についても、第1の発明の場合と同様である。
【0072】次いで、得られたスラリーを、150〜3
50℃の範囲内の温度で加熱してスラリー中の石炭をコ
ールタールおよび/または重質油で膨潤させて膨潤炭を
得る。この石炭の膨潤化のための第1の処理工程は、第
1の発明で説明した第1の処理工程と同様の手順に従っ
て行われる。この第4の発明においても、第1の発明と
同様に、膨潤固化温度を150〜350℃の範囲内に限
定したのは、150℃未満の温度では石炭の膨潤化に著
しく時間がかかるためであり、一方、350℃を越える
とスラリーからの脱油が起こり、石炭膨潤化の効率が低
下するからである。
50℃の範囲内の温度で加熱してスラリー中の石炭をコ
ールタールおよび/または重質油で膨潤させて膨潤炭を
得る。この石炭の膨潤化のための第1の処理工程は、第
1の発明で説明した第1の処理工程と同様の手順に従っ
て行われる。この第4の発明においても、第1の発明と
同様に、膨潤固化温度を150〜350℃の範囲内に限
定したのは、150℃未満の温度では石炭の膨潤化に著
しく時間がかかるためであり、一方、350℃を越える
とスラリーからの脱油が起こり、石炭膨潤化の効率が低
下するからである。
【0073】次に、膨潤炭を加熱して軽質成分を分離す
る。膨潤炭からの軽質成分を分離するための加熱処理
(第3の処理工程)は、特に限定されないが、例えば、
膨潤炭を、常圧下でまたは減圧下で加熱することによっ
て行う。膨潤炭から軽質成分を除去するための処理温度
は、特に限定されないが、例えば、常圧下では350℃
〜400℃の範囲内から適宜選択される。
る。膨潤炭からの軽質成分を分離するための加熱処理
(第3の処理工程)は、特に限定されないが、例えば、
膨潤炭を、常圧下でまたは減圧下で加熱することによっ
て行う。膨潤炭から軽質成分を除去するための処理温度
は、特に限定されないが、例えば、常圧下では350℃
〜400℃の範囲内から適宜選択される。
【0074】この後、軽質成分が除去された膨潤炭を熱
分解して高カロリーガスを除去する。膨潤炭から高カロ
リーガスの除去は、600℃以下の温度で膨潤炭を加熱
して行われる。処理温度が600℃を超えた場合には、
膨潤炭から水素等のカロリーの低い分解成分ガスが発生
し、得られるガスのカロリーが低下するからである。処
理温度の下限値は、原料の石炭、コールタール、重質油
の性状等を考慮して選択することができるため、特に限
定されない。しかしながら、好ましくは、膨潤炭の熱分
解が起こり得る温度以上であり、プロセス全体の熱効率
を考慮すると、先だって行われる膨潤工程の処理温度よ
りも高い温度であることがより好ましい。具体的には、
膨潤炭の熱分解温度は400℃〜600℃の範囲内から
適宜選択される。しかしながら、高カロリーガスの回収
が必要がない場合には、処理温度が必ずしも600℃以
下である必要はない。
分解して高カロリーガスを除去する。膨潤炭から高カロ
リーガスの除去は、600℃以下の温度で膨潤炭を加熱
して行われる。処理温度が600℃を超えた場合には、
膨潤炭から水素等のカロリーの低い分解成分ガスが発生
し、得られるガスのカロリーが低下するからである。処
理温度の下限値は、原料の石炭、コールタール、重質油
の性状等を考慮して選択することができるため、特に限
定されない。しかしながら、好ましくは、膨潤炭の熱分
解が起こり得る温度以上であり、プロセス全体の熱効率
を考慮すると、先だって行われる膨潤工程の処理温度よ
りも高い温度であることがより好ましい。具体的には、
膨潤炭の熱分解温度は400℃〜600℃の範囲内から
適宜選択される。しかしながら、高カロリーガスの回収
が必要がない場合には、処理温度が必ずしも600℃以
下である必要はない。
【0075】この第3の処理工程の工程では、先に述べ
たように、コールタールおよび/または重質油が石炭粉
末の微細空隙内に十分浸透しているため、重質成分は、
軽質成分に比べ膨潤炭から分離されにくくなっている。
このため、重質成分は膨潤炭中に残る。
たように、コールタールおよび/または重質油が石炭粉
末の微細空隙内に十分浸透しているため、重質成分は、
軽質成分に比べ膨潤炭から分離されにくくなっている。
このため、重質成分は膨潤炭中に残る。
【0076】最後に、高カロリーガスが除去された膨潤
炭を、さらに熱分解してコークスを得る。この膨潤炭か
らコークスを得るための加熱処理(第4の処理工程)
は、1200℃以下の温度で行われる。処理温度が12
00℃を超えた場合には、コークス強度が低下するから
である。処理温度の下限値は、原料の石炭、コールター
ル、重質油の性状等を考慮して選択することができるた
め、特に限定されない。しかしながら、好ましくは、膨
潤炭の芳香族縮合環の大きさの増大と、三次元的結合の
生成が起こり得る温度以上であり、プロセス全体の熱効
率を考慮すると、先だって行われる膨潤工程の処理温度
よりも高い温度であることがより好ましい。具体的に
は、処理温度は700℃〜1200℃の範囲内から適宜
選択される。
炭を、さらに熱分解してコークスを得る。この膨潤炭か
らコークスを得るための加熱処理(第4の処理工程)
は、1200℃以下の温度で行われる。処理温度が12
00℃を超えた場合には、コークス強度が低下するから
である。処理温度の下限値は、原料の石炭、コールター
ル、重質油の性状等を考慮して選択することができるた
め、特に限定されない。しかしながら、好ましくは、膨
潤炭の芳香族縮合環の大きさの増大と、三次元的結合の
生成が起こり得る温度以上であり、プロセス全体の熱効
率を考慮すると、先だって行われる膨潤工程の処理温度
よりも高い温度であることがより好ましい。具体的に
は、処理温度は700℃〜1200℃の範囲内から適宜
選択される。
【0077】なお、第1の処理工程により石炭の膨潤化
を行う前に、上述の第1の発明と同様に、石炭とコール
タールおよび/または重質油からなるスラリーを脱水す
ることもできる。
を行う前に、上述の第1の発明と同様に、石炭とコール
タールおよび/または重質油からなるスラリーを脱水す
ることもできる。
【0078】本発明の方法により得られるコークスは、
第1の処理工程による石炭の膨潤工程において、原料の
風化炭、または非粘結炭、微粘結炭、もしくは弱粘結炭
等の石炭に、コールタールおよび/または重質油によっ
て粘結性が付与され、粘結性を有する原料炭並に改質さ
れる。このため、第3の処理工程による高カロリーガス
回収工程での低温乾留に続く、第4の処理工程による膨
潤炭の高温乾留によって、強度の大きい強靭な塊コーク
スを得ることができる。特に、コールタールやコールタ
ールピッチを用いた場合、石炭中のミセル集合体と容易
に相互作用を及ぼし合い、膨潤反応が特に促進される。
また、膨潤をつかさどるコールタールやコールタールピ
ッチ中の多環芳香族化合物の作用で粘結性が著しく改善
され、強靭なコークスを得ることができる。
第1の処理工程による石炭の膨潤工程において、原料の
風化炭、または非粘結炭、微粘結炭、もしくは弱粘結炭
等の石炭に、コールタールおよび/または重質油によっ
て粘結性が付与され、粘結性を有する原料炭並に改質さ
れる。このため、第3の処理工程による高カロリーガス
回収工程での低温乾留に続く、第4の処理工程による膨
潤炭の高温乾留によって、強度の大きい強靭な塊コーク
スを得ることができる。特に、コールタールやコールタ
ールピッチを用いた場合、石炭中のミセル集合体と容易
に相互作用を及ぼし合い、膨潤反応が特に促進される。
また、膨潤をつかさどるコールタールやコールタールピ
ッチ中の多環芳香族化合物の作用で粘結性が著しく改善
され、強靭なコークスを得ることができる。
【0079】第4の発明の方法では、上述の第1の発明
と同様に、例えば、単一のバッチタイプの反応容器、工
程毎に設けられた複数の反応容器、および、複数の異な
る温度の区域を有し、内部を被処理体が移動するにつれ
て第1ないし第4の処理工程が進行するように温度勾配
を設けたパイプ型熱処理装置等のいずれのタイプの反応
容器を用いることができる。
と同様に、例えば、単一のバッチタイプの反応容器、工
程毎に設けられた複数の反応容器、および、複数の異な
る温度の区域を有し、内部を被処理体が移動するにつれ
て第1ないし第4の処理工程が進行するように温度勾配
を設けたパイプ型熱処理装置等のいずれのタイプの反応
容器を用いることができる。
【0080】より具体的には、例えば、石炭とコールタ
ールおよび/または重質油の混合物スラリーを、チュー
ブ型の反応器内で移送しながら、膨潤(第1の処理工
程)、軽質成分除去(第2の処理工程)、低温および高
温熱分解(第3,第4の処理工程)を一貫して行う方法
や、石油系重質油スラリーを移送しながら低温熱分解
(第3の処理工程)し、さらに複数のドラム型反応容器
内で半回分式で最終工程(第4の処理工程)を行なって
コークスを得る、いわゆるディレードコーカーと同様の
方法が使用できる。また、脱水、膨潤工程までをスラリ
ーとして取り扱い、固化、軽質成分除去、低温乾留およ
び高温乾留工程を固体として別の反応器によって行うこ
ともできる。
ールおよび/または重質油の混合物スラリーを、チュー
ブ型の反応器内で移送しながら、膨潤(第1の処理工
程)、軽質成分除去(第2の処理工程)、低温および高
温熱分解(第3,第4の処理工程)を一貫して行う方法
や、石油系重質油スラリーを移送しながら低温熱分解
(第3の処理工程)し、さらに複数のドラム型反応容器
内で半回分式で最終工程(第4の処理工程)を行なって
コークスを得る、いわゆるディレードコーカーと同様の
方法が使用できる。また、脱水、膨潤工程までをスラリ
ーとして取り扱い、固化、軽質成分除去、低温乾留およ
び高温乾留工程を固体として別の反応器によって行うこ
ともできる。
【0081】第5の発明は、高濃度水素ガスの製造方法
である。ここで、高濃度水素ガスとは、水素含有率80
%以上のガスをいう。この方法は、上述の第4の発明の
コークスの製造方法の第4の処理工程を、高カロリーガ
スを回収した後の膨潤炭から高濃度水素ガスを回収する
ために利用している。
である。ここで、高濃度水素ガスとは、水素含有率80
%以上のガスをいう。この方法は、上述の第4の発明の
コークスの製造方法の第4の処理工程を、高カロリーガ
スを回収した後の膨潤炭から高濃度水素ガスを回収する
ために利用している。
【0082】この方法で使用される石炭は、特に制限さ
れず、第1の発明で使用したものと同様である。また、
コールタールおよび重質油も、第1の発明と同様に、特
に制限されないが、コールタール、石炭熱分解タール、
石炭ガス化タールに比べて、石油系重質油は水素含有率
が高いため、本発明の方法においては好適に使用するこ
とができる。
れず、第1の発明で使用したものと同様である。また、
コールタールおよび重質油も、第1の発明と同様に、特
に制限されないが、コールタール、石炭熱分解タール、
石炭ガス化タールに比べて、石油系重質油は水素含有率
が高いため、本発明の方法においては好適に使用するこ
とができる。
【0083】石炭とコールタールおよび/または重質油
の混合は、第1の発明と同様に行うことができる。石炭
とコールタールおよび/または重質油の混合比は、溶剤
と石炭の種類によって適宜選択すればよい。高濃度水素
ガスの他にコークスを得ようとする場合は、一般には石
炭100重量部に対してコールタールおよび/または重
質油50重量部以上が好ましく、より好ましくは100
重量部以上である。また、コールタールと石油系重質油
を併用する場合のこれらの混合比については特に限定さ
れず、使用する石炭粉末の条件等に合うように適宜選択
すればよい。
の混合は、第1の発明と同様に行うことができる。石炭
とコールタールおよび/または重質油の混合比は、溶剤
と石炭の種類によって適宜選択すればよい。高濃度水素
ガスの他にコークスを得ようとする場合は、一般には石
炭100重量部に対してコールタールおよび/または重
質油50重量部以上が好ましく、より好ましくは100
重量部以上である。また、コールタールと石油系重質油
を併用する場合のこれらの混合比については特に限定さ
れず、使用する石炭粉末の条件等に合うように適宜選択
すればよい。
【0084】第5の発明の方法の第4の処理工程による
高濃度水素ガスの回収は、1200℃以下の温度で行わ
れる。処理温度が1200℃を超えた場合には、熱分解
により発生するガスがほとんどなくなるためである。処
理温度の下限値は、原料の石炭、コールタール、重質油
の性状等を考慮して選択することができるため、特に限
定されない。しかしながら、好ましくは、処理温度は6
00℃以上の温度である。なぜならば、600℃未満の
処理温度では膨潤炭の分子構造中の芳香環側鎖の熱分解
によるメタンや残留含酸素官能基の脱離による一酸化炭
素等が熱分解ガス中に多く含まれてくるため、水素濃度
の高いガスを得ることができない。従って、600℃以
上、より好ましくは700℃以上の温度領域で熱分解し
た場合に、水素含有率80%以上の高濃度水素ガスを得
ることができる。
高濃度水素ガスの回収は、1200℃以下の温度で行わ
れる。処理温度が1200℃を超えた場合には、熱分解
により発生するガスがほとんどなくなるためである。処
理温度の下限値は、原料の石炭、コールタール、重質油
の性状等を考慮して選択することができるため、特に限
定されない。しかしながら、好ましくは、処理温度は6
00℃以上の温度である。なぜならば、600℃未満の
処理温度では膨潤炭の分子構造中の芳香環側鎖の熱分解
によるメタンや残留含酸素官能基の脱離による一酸化炭
素等が熱分解ガス中に多く含まれてくるため、水素濃度
の高いガスを得ることができない。従って、600℃以
上、より好ましくは700℃以上の温度領域で熱分解し
た場合に、水素含有率80%以上の高濃度水素ガスを得
ることができる。
【0085】この第5の発明の方法では、先に述べたよ
うに、コールタールおよび/または重質油が石炭粉末の
微細空隙内に十分浸透しているため、重質成分は、軽質
成分に比べ膨潤炭から分離されにくくなっている。この
ため重質成分は加熱容器中の膨潤炭中に残る。これによ
り、第4の処理工程の工程において、原料石炭中の芳香
環縮合反応時に生成する水素に加えて、コールタールお
よび/または重質油中の重質成分の縮合反応によって生
成する水素が加わり、膨潤処理を行わなかった場合に比
べて水素ガス収量が向上する。
うに、コールタールおよび/または重質油が石炭粉末の
微細空隙内に十分浸透しているため、重質成分は、軽質
成分に比べ膨潤炭から分離されにくくなっている。この
ため重質成分は加熱容器中の膨潤炭中に残る。これによ
り、第4の処理工程の工程において、原料石炭中の芳香
環縮合反応時に生成する水素に加えて、コールタールお
よび/または重質油中の重質成分の縮合反応によって生
成する水素が加わり、膨潤処理を行わなかった場合に比
べて水素ガス収量が向上する。
【0086】第4の発明の方法では、上述の第1の発明
と同様に、例えば、単一のバッチタイプの反応容器、工
程毎に設けられた複数の反応容器、および、複数の異な
る温度の区域を有し、内部を被処理体が移動するにつれ
て第1ないし第4の処理工程が進行するように温度勾配
を設けたパイプ型熱処理装置等のいずれのタイプの反応
容器を用いることができる。
と同様に、例えば、単一のバッチタイプの反応容器、工
程毎に設けられた複数の反応容器、および、複数の異な
る温度の区域を有し、内部を被処理体が移動するにつれ
て第1ないし第4の処理工程が進行するように温度勾配
を設けたパイプ型熱処理装置等のいずれのタイプの反応
容器を用いることができる。
【0087】より具体的には、例えば、石炭とコールタ
ールおよび/または重質油の混合物スラリーを、チュー
ブ型の反応器内で移送しながら、膨潤(第1の処理工
程)、軽質成分除去(第2の処理工程)、低温および高
温熱分解(第3,第4の処理工程)を一貫して行う方法
や、石油系重質油スラリーを移送しながら低温熱分解
(第3の処理工程)し、さらに複数のドラム型反応容器
内で半回分式で最終工程(第4の処理工程)を行い高濃
度水素ガスを得る、いわゆるディレードコーカーと同様
の方法が使用できる。前者の装置を用いた場合、高濃度
水素ガスはチューブ型反応器の最後部から回収でき、後
者の装置の場合はディレードコーカー型反応器から回収
することができる。また、第1の処理工程による膨潤工
程までをスラリーとして取り扱い、第2〜第4の処理工
程の工程を固体として別の反応器によって行うこともで
きる。
ールおよび/または重質油の混合物スラリーを、チュー
ブ型の反応器内で移送しながら、膨潤(第1の処理工
程)、軽質成分除去(第2の処理工程)、低温および高
温熱分解(第3,第4の処理工程)を一貫して行う方法
や、石油系重質油スラリーを移送しながら低温熱分解
(第3の処理工程)し、さらに複数のドラム型反応容器
内で半回分式で最終工程(第4の処理工程)を行い高濃
度水素ガスを得る、いわゆるディレードコーカーと同様
の方法が使用できる。前者の装置を用いた場合、高濃度
水素ガスはチューブ型反応器の最後部から回収でき、後
者の装置の場合はディレードコーカー型反応器から回収
することができる。また、第1の処理工程による膨潤工
程までをスラリーとして取り扱い、第2〜第4の処理工
程の工程を固体として別の反応器によって行うこともで
きる。
【0088】第6の発明は、石炭とコールタールおよび
/または重質油のガス化の方法である。この方法では、
上述の高濃度水素ガスの製造方法で説明した第4の処理
工程の後に残された固体炭素分をさらにガス化するため
の第5の処理工程を付加したものである。
/または重質油のガス化の方法である。この方法では、
上述の高濃度水素ガスの製造方法で説明した第4の処理
工程の後に残された固体炭素分をさらにガス化するため
の第5の処理工程を付加したものである。
【0089】この第5の処理工程では、上記固体炭素分
をガス化剤存在下で加熱することにより、固体炭素分が
ガス化される。ここで用いられるガス化剤は、例えば、
酸素または水蒸気である。この第5の処理工程は、第4
の処理工程での余熱を利用して行っても良いし、加熱手
段によりさらに加熱を行って行っても良い。後者の場合
には、処理温度は、ここで、熱分解により最終的に得ら
れる灰分が1200℃以上で加熱すると溶融して反応容
器の内部に付着残留するおそれがあるので、比較的低
温、例えば、1100℃未満、好ましくは800〜90
0℃の温度でガス化することが好ましい。これにより、
灰分を粉体の状態で簡単に排出させることができる。
をガス化剤存在下で加熱することにより、固体炭素分が
ガス化される。ここで用いられるガス化剤は、例えば、
酸素または水蒸気である。この第5の処理工程は、第4
の処理工程での余熱を利用して行っても良いし、加熱手
段によりさらに加熱を行って行っても良い。後者の場合
には、処理温度は、ここで、熱分解により最終的に得ら
れる灰分が1200℃以上で加熱すると溶融して反応容
器の内部に付着残留するおそれがあるので、比較的低
温、例えば、1100℃未満、好ましくは800〜90
0℃の温度でガス化することが好ましい。これにより、
灰分を粉体の状態で簡単に排出させることができる。
【0090】第7の発明は、石炭からの熱分解成分ガス
の回収方法である。この方法では、第1に、石炭を15
0〜350℃の範囲内の温度で加熱する(第1の処理工
程)。この工程は、石炭を熱分解させるための準備的な
加熱を行う。ここで、処理温度は、150〜350℃の
範囲内である。150℃未満では、熱分解反応速度が著
しく遅く、効率的な加熱処理ができないためである。一
方、350℃を超えると、第2の加熱工程で回収しよう
とすると高カロリーガス成分が混入し、第2の加熱工程
で回収しようとする高カロリー成分ガスが混入し、第2
の加熱工程での熱分解成分ガスの回収量が減るからであ
る。
の回収方法である。この方法では、第1に、石炭を15
0〜350℃の範囲内の温度で加熱する(第1の処理工
程)。この工程は、石炭を熱分解させるための準備的な
加熱を行う。ここで、処理温度は、150〜350℃の
範囲内である。150℃未満では、熱分解反応速度が著
しく遅く、効率的な加熱処理ができないためである。一
方、350℃を超えると、第2の加熱工程で回収しよう
とすると高カロリーガス成分が混入し、第2の加熱工程
で回収しようとする高カロリー成分ガスが混入し、第2
の加熱工程での熱分解成分ガスの回収量が減るからであ
る。
【0091】次に、第1の処理工程の後に石炭を100
0℃以下の温度で加熱して熱分解成分ガスを回収する
(第2の処理工程)。この工程での処理温度は1000
℃以下である。処理温度が1000℃を超えた場合に
は、熱分解成分ガスの発生量が著しく少ないからであ
る。処理温度の下限値は、原料の石炭の性状等を考慮し
て選択することができるため、特に限定されない。しか
しながら、好ましくは、石炭の熱分解が起こり得る温度
以上であり、より具体的には400℃〜800℃の範囲
内から適宜選択される。
0℃以下の温度で加熱して熱分解成分ガスを回収する
(第2の処理工程)。この工程での処理温度は1000
℃以下である。処理温度が1000℃を超えた場合に
は、熱分解成分ガスの発生量が著しく少ないからであ
る。処理温度の下限値は、原料の石炭の性状等を考慮し
て選択することができるため、特に限定されない。しか
しながら、好ましくは、石炭の熱分解が起こり得る温度
以上であり、より具体的には400℃〜800℃の範囲
内から適宜選択される。
【0092】石炭の熱分解成分ガスの分別回収を目的と
して、第2の処理工程をさらに分割して行うことができ
る。例えば、以下に示すような範囲内の温度で加熱処理
を行うことにより、異なる成分ガスを分別回収すること
ができる。
して、第2の処理工程をさらに分割して行うことができ
る。例えば、以下に示すような範囲内の温度で加熱処理
を行うことにより、異なる成分ガスを分別回収すること
ができる。
【0093】400℃〜450℃; エチレンおよびエ
タンを主成分とする高カロリーガス 500℃〜600℃; メタンを主成分とする高カロリ
ーガス 700℃〜1000℃; 水素を主成分とするガス ここで用いられる石炭は、特に制限はなく、例えば、泥
炭、褐炭、亜瀝青炭、瀝青炭等を使用することができ
る。また、石炭粉末の粒度は、石炭粒子間での熱伝導を
早くするために、粒径約5mm以下が好ましく、より好
ましくは100μm以下が良い。石炭を粉砕するために
は、機械せん断式粉砕機、高速回転式衝撃粉砕機、ボー
ルミル、ロッドミル、ジェットミル等が使用できるが、
ボールミルまたはロッドミルは石炭とコールタールおよ
び/または重質油との混合も同時に行うことができるの
でより好ましい。
タンを主成分とする高カロリーガス 500℃〜600℃; メタンを主成分とする高カロリ
ーガス 700℃〜1000℃; 水素を主成分とするガス ここで用いられる石炭は、特に制限はなく、例えば、泥
炭、褐炭、亜瀝青炭、瀝青炭等を使用することができ
る。また、石炭粉末の粒度は、石炭粒子間での熱伝導を
早くするために、粒径約5mm以下が好ましく、より好
ましくは100μm以下が良い。石炭を粉砕するために
は、機械せん断式粉砕機、高速回転式衝撃粉砕機、ボー
ルミル、ロッドミル、ジェットミル等が使用できるが、
ボールミルまたはロッドミルは石炭とコールタールおよ
び/または重質油との混合も同時に行うことができるの
でより好ましい。
【0094】この方法の第1および第2の工程は、上述
の第1の発明と同様に、例えば、単一のバッチタイプの
反応容器、工程毎に設けられた複数の反応容器、およ
び、複数の異なる温度の区域を有し、内部を被処理体が
移動するにつれて第1ないし第2の処理工程が進行する
ように温度勾配を設けたパイプ型熱処理装置等のいずれ
のタイプの反応容器を用いることができる。パイプ型熱
処理装置を用いた場合、複数の区域内の温度を、必要に
応じて、夫々、予備加熱、軽質成分の除去、高カロリー
ガスの回収、および、水素ガスの回収に適した温度に設
定することが好ましい。
の第1の発明と同様に、例えば、単一のバッチタイプの
反応容器、工程毎に設けられた複数の反応容器、およ
び、複数の異なる温度の区域を有し、内部を被処理体が
移動するにつれて第1ないし第2の処理工程が進行する
ように温度勾配を設けたパイプ型熱処理装置等のいずれ
のタイプの反応容器を用いることができる。パイプ型熱
処理装置を用いた場合、複数の区域内の温度を、必要に
応じて、夫々、予備加熱、軽質成分の除去、高カロリー
ガスの回収、および、水素ガスの回収に適した温度に設
定することが好ましい。
【0095】
【実施例】以下、本発明の実施例について図面を参照し
て詳細に説明する。
て詳細に説明する。
【0096】実施例1 高カロリーガスの製造方法 図1は、本発明の高カロリーガスの製造方法に用いられ
る処理装置の一例を示すブロック図である。
る処理装置の一例を示すブロック図である。
【0097】図中11は、石炭12および重質油13を
混合するための混合器である。混合器11は、リフター
式2室構造の湿式ボールミル(ドラムサイズφ1200
×3600mm)である。混合器11の出口側には、サ
ービスタンク(容量5m3 )14が、さらにその後段に
はステンレス製反応管(反応器φ400×5000m
m)からなる反応器15が設けられている。反応器15
の出口側には、気流層型の熱分解炉16が設けられてい
る。
混合するための混合器である。混合器11は、リフター
式2室構造の湿式ボールミル(ドラムサイズφ1200
×3600mm)である。混合器11の出口側には、サ
ービスタンク(容量5m3 )14が、さらにその後段に
はステンレス製反応管(反応器φ400×5000m
m)からなる反応器15が設けられている。反応器15
の出口側には、気流層型の熱分解炉16が設けられてい
る。
【0098】このような構成からなる石炭および重質油
の混合物の熱分解装置10において表1に示す性状を有
するウィットバンク炭について、熱分解を行った。ま
ず、ウィットバンク炭500kgを粒度−3mm80
%、すなわち粒子径3mm以下の粒子が全体の80%以
上の重量割合になるように粉砕し、FCCデカントオイ
ル750kgとともに混合器11に導入し、混合してス
ラリーを得た。得られたスラリーを二軸スクリューポン
プでサービスタンク14に導入し、一時貯留した。この
際、膨潤固化が起こらないように100℃未満に維持し
た。
の混合物の熱分解装置10において表1に示す性状を有
するウィットバンク炭について、熱分解を行った。ま
ず、ウィットバンク炭500kgを粒度−3mm80
%、すなわち粒子径3mm以下の粒子が全体の80%以
上の重量割合になるように粉砕し、FCCデカントオイ
ル750kgとともに混合器11に導入し、混合してス
ラリーを得た。得られたスラリーを二軸スクリューポン
プでサービスタンク14に導入し、一時貯留した。この
際、膨潤固化が起こらないように100℃未満に維持し
た。
【0099】
【表1】 次に、サービスタンク14からスラリーを押し出しポン
プにより反応器15に供給し、ここで250℃に加熱し
て、スラリー中の石炭をFCCデカントオイルで膨潤お
よび固化させた。
プにより反応器15に供給し、ここで250℃に加熱し
て、スラリー中の石炭をFCCデカントオイルで膨潤お
よび固化させた。
【0100】得られた膨潤炭、すなわち、石炭の微細構
造中にFCCデカントオイルが浸透したものを、−20
0メッシュ70%に調製した後、1kg/hの速度で、
500℃に維持された熱分解炉16に供給し、膨潤炭を
熱分解し、高カロリーガス17およびタール、ガス液1
8および改質残渣19を分別回収した。これらの生成物
の割合を表2に実施例1−1として示した。
造中にFCCデカントオイルが浸透したものを、−20
0メッシュ70%に調製した後、1kg/hの速度で、
500℃に維持された熱分解炉16に供給し、膨潤炭を
熱分解し、高カロリーガス17およびタール、ガス液1
8および改質残渣19を分別回収した。これらの生成物
の割合を表2に実施例1−1として示した。
【0101】一方、比較例として、同じウィットバンク
炭を粒度−200メッシュ70%に調製した後、改質処
理、すなわち上述のFCCデカントオイルとの混合およ
び膨潤固化を行うことなく、上記実施例と同様の条件で
熱分解を行った。その生成物の割合を表2に比較例1−
1として併記した。
炭を粒度−200メッシュ70%に調製した後、改質処
理、すなわち上述のFCCデカントオイルとの混合およ
び膨潤固化を行うことなく、上記実施例と同様の条件で
熱分解を行った。その生成物の割合を表2に比較例1−
1として併記した。
【0102】また、FCCデカントオイルを使用する代
わりにコークス炉から副生したコールタールを使用した
以外は実施例1−1と同様にして膨潤、熱分解処理を行
った場合の生成物の割合を実施例1−2として表2に併
せて示す。
わりにコークス炉から副生したコールタールを使用した
以外は実施例1−1と同様にして膨潤、熱分解処理を行
った場合の生成物の割合を実施例1−2として表2に併
せて示す。
【0103】さらに、ウィットバンク炭の代わりにプリ
マ炭、FCCデカントオイルの代わりにコールタールを
使用した以外は実施例1−1と同様にして膨潤、熱分解
処理を行った場合の生成物の割合を実施例1−3として
表2に併せて示す。
マ炭、FCCデカントオイルの代わりにコールタールを
使用した以外は実施例1−1と同様にして膨潤、熱分解
処理を行った場合の生成物の割合を実施例1−3として
表2に併せて示す。
【0104】
【表2】 表2から明らかなように、実施例1−1〜1−3の石炭
の改質を行った後に熱分解を行った場合には、比較例1
−1に比較して、ガス発熱量、ガス発生発熱量および改
質残渣量の値が高かった。従って、例えば製鉄所におい
て直接コークス用原料炭として使用できない非粘結炭、
微粘結炭もしくは弱粘結炭を重質油またはコールタール
で改質しながら、コークス炉ガスをはるかに上回る発熱
量を有する高カロリーガスを併産することが可能であ
る。
の改質を行った後に熱分解を行った場合には、比較例1
−1に比較して、ガス発熱量、ガス発生発熱量および改
質残渣量の値が高かった。従って、例えば製鉄所におい
て直接コークス用原料炭として使用できない非粘結炭、
微粘結炭もしくは弱粘結炭を重質油またはコールタール
で改質しながら、コークス炉ガスをはるかに上回る発熱
量を有する高カロリーガスを併産することが可能であ
る。
【0105】実施例2 石炭とコールタールおよび/ま
たは重質油との混合物の熱分解 図2は、本発明の石炭とコールタールおよび/または重
質油の混合物の熱分解に用いられる処理装置の一例を示
すブロック図である。
たは重質油との混合物の熱分解 図2は、本発明の石炭とコールタールおよび/または重
質油の混合物の熱分解に用いられる処理装置の一例を示
すブロック図である。
【0106】図中21は、石炭22とコールタールおよ
び/または重質油23とを混合するための混合器であ
る。混合器21は、リフター式2室構造の湿式ボールミ
ル(ドラムサイズφ1200×3600mm)である。
混合器21の出口側には、二軸スクリューポンプ式のサ
ービスタンク(容量5m3 )24が、そのさらに後段に
はステンレス製反応管(反応器φ400×5000m
m)からなる反応器25が設けられている。反応器25
の出口側には、蒸発器26が設けられ、さらに蒸発器2
6の後段には、気流層型の熱分解炉27が設けられてい
る。
び/または重質油23とを混合するための混合器であ
る。混合器21は、リフター式2室構造の湿式ボールミ
ル(ドラムサイズφ1200×3600mm)である。
混合器21の出口側には、二軸スクリューポンプ式のサ
ービスタンク(容量5m3 )24が、そのさらに後段に
はステンレス製反応管(反応器φ400×5000m
m)からなる反応器25が設けられている。反応器25
の出口側には、蒸発器26が設けられ、さらに蒸発器2
6の後段には、気流層型の熱分解炉27が設けられてい
る。
【0107】このような構成からなる石炭とコールター
ルの混合物の熱分解装置20において表1に示す性状を
有するウィットバンク炭について、熱分解を行った。ま
ず、ウィットバンク炭500kgを粒度−3mm80
%、すなわち粒子径3mm以下の粒子が全体の80%以
上の重量割合になるように粉砕し、コールタール500
kgおよびFCCデカントオイル1000kgとともに
混合器21に導入し、混合してスラリーを得た。得られ
たスラリーを二軸スクリューポンプでサービスタンク2
4に導入し、一時貯留した。この際、膨潤固化が起こら
ないように100℃未満に維持した。
ルの混合物の熱分解装置20において表1に示す性状を
有するウィットバンク炭について、熱分解を行った。ま
ず、ウィットバンク炭500kgを粒度−3mm80
%、すなわち粒子径3mm以下の粒子が全体の80%以
上の重量割合になるように粉砕し、コールタール500
kgおよびFCCデカントオイル1000kgとともに
混合器21に導入し、混合してスラリーを得た。得られ
たスラリーを二軸スクリューポンプでサービスタンク2
4に導入し、一時貯留した。この際、膨潤固化が起こら
ないように100℃未満に維持した。
【0108】サービスタンク24からスラリーを押し出
しポンプにより反応器22に供給し、ここで250℃に
加熱して、スラリー中の石炭をコールタールおよびFC
Cデカントオイルで膨潤および固化させた。得られた膨
潤炭、すなわち、石炭の微細構造中にコールタールおよ
びFCCデカントオイルが浸透したものを、蒸発器26
に導入し、380℃に加熱し、コールタールおよびFC
Cデカントオイル中の軽質成分9を除去した。これによ
り、石炭改質物、すなわち、石炭中にコールタールおよ
びFCCデカントオイルの重質成分だけが残留したもの
が得られる。
しポンプにより反応器22に供給し、ここで250℃に
加熱して、スラリー中の石炭をコールタールおよびFC
Cデカントオイルで膨潤および固化させた。得られた膨
潤炭、すなわち、石炭の微細構造中にコールタールおよ
びFCCデカントオイルが浸透したものを、蒸発器26
に導入し、380℃に加熱し、コールタールおよびFC
Cデカントオイル中の軽質成分9を除去した。これによ
り、石炭改質物、すなわち、石炭中にコールタールおよ
びFCCデカントオイルの重質成分だけが残留したもの
が得られる。
【0109】得られた石炭改質物の粒度を−200メッ
シュ70%に調製した後、1kg/hの速度で、800
℃に維持された熱分解炉27に供給し、石炭改質物を熱
分解し、高カロリーガス28、タール、ガス液混合物2
9並びにチャー30を分別回収した。これらの生成物の
割合を表3に実施例2−1として示した。
シュ70%に調製した後、1kg/hの速度で、800
℃に維持された熱分解炉27に供給し、石炭改質物を熱
分解し、高カロリーガス28、タール、ガス液混合物2
9並びにチャー30を分別回収した。これらの生成物の
割合を表3に実施例2−1として示した。
【0110】一方、比較例として、同じウィットバンク
炭を粒度−200メッシュ70%に調製した後、改質処
理、すなわち上述のコールタールおよびFCCデカント
オイルとの混合、膨潤・固化および軽質成分の分離除去
を行うことなく、上記実施例と同様の条件で熱分解を行
った。その生成物の割合を表3に比較例2−1として併
記した。
炭を粒度−200メッシュ70%に調製した後、改質処
理、すなわち上述のコールタールおよびFCCデカント
オイルとの混合、膨潤・固化および軽質成分の分離除去
を行うことなく、上記実施例と同様の条件で熱分解を行
った。その生成物の割合を表3に比較例2−1として併
記した。
【0111】また、上述の実施例2−1において、被処
理対象のウィットバンク炭に代えて表1に示すオプティ
マム炭を使用し、かつ、コールタールおよびFCCデカ
ントオイルに代えてコールタールを使用した以外は、同
様の手順に従って、石炭の熱分解を行った。この結果と
して分別回収された高カロリーガス28およびタール、
ガス液29並びにチャー30の割合を表3に実施例2−
2として示した。
理対象のウィットバンク炭に代えて表1に示すオプティ
マム炭を使用し、かつ、コールタールおよびFCCデカ
ントオイルに代えてコールタールを使用した以外は、同
様の手順に従って、石炭の熱分解を行った。この結果と
して分別回収された高カロリーガス28およびタール、
ガス液29並びにチャー30の割合を表3に実施例2−
2として示した。
【0112】また、上述の実施例2−1において、被処
理対象のウィットバンク炭に代えて表1に示すオプティ
マム炭を使用し、かつ、コールタールおよびFCCデカ
ントオイルに代えてFCCデカントオイルを使用した以
外は、同様の手順に従って、石炭の熱分解を行った。こ
の結果として分別回収された高カロリーガス28および
タール、ガス液29並びにチャー30の割合を表3に実
施例2−3として示した。
理対象のウィットバンク炭に代えて表1に示すオプティ
マム炭を使用し、かつ、コールタールおよびFCCデカ
ントオイルに代えてFCCデカントオイルを使用した以
外は、同様の手順に従って、石炭の熱分解を行った。こ
の結果として分別回収された高カロリーガス28および
タール、ガス液29並びにチャー30の割合を表3に実
施例2−3として示した。
【0113】
【表3】 表3から明らかなように、実施例2−1〜2−3の石炭
の改質を行った後に熱分解を行った場合には、いずれ
も、比較例2−1と比較して、ガスの割合が高く、利用
価値の低いチャーの割合を低くすることができることが
確認された。
の改質を行った後に熱分解を行った場合には、いずれ
も、比較例2−1と比較して、ガスの割合が高く、利用
価値の低いチャーの割合を低くすることができることが
確認された。
【0114】実施例3 石炭の改質方法 図3は、本発明の石炭の改質方法に用いられる石炭改質
装置の一例を示すブロック図である。
装置の一例を示すブロック図である。
【0115】図中31は、石炭32およびコールタール
33を混合するための混合器である。混合器31は、リ
フター式2室構造の湿式ボールミル(ドラムサイズφ1
200×3600mm)である。混合器31の出口側に
は、ステンレス製反応管(反応器φ400×5000m
m)からなる反応器34が設けられている。反応器34
の出口側には、ニーダー式蒸発反応装置からなる蒸発器
35が設けられている。また、混合器31および反応器
34の間には、混合器31で調製されたスラリーを一旦
貯蔵するためのサービスタンク(容量:5m3 )36が
別系統で設けられている。
33を混合するための混合器である。混合器31は、リ
フター式2室構造の湿式ボールミル(ドラムサイズφ1
200×3600mm)である。混合器31の出口側に
は、ステンレス製反応管(反応器φ400×5000m
m)からなる反応器34が設けられている。反応器34
の出口側には、ニーダー式蒸発反応装置からなる蒸発器
35が設けられている。また、混合器31および反応器
34の間には、混合器31で調製されたスラリーを一旦
貯蔵するためのサービスタンク(容量:5m3 )36が
別系統で設けられている。
【0116】上述の構成からなる石炭改質装置30にお
いて、表1に示す性状を有するウィットバンク炭、プリ
マ炭およびオプティマム炭について、石炭改質処理を行
った(実施例3−1〜3−3)。これらの石炭500k
gを粒度−3mm80%に調製し、コールタール150
0kgとともに混合器31に導き混合することによりス
ラリーを得た。このときの混合温度は100℃以上にな
らないようコントロールした。得られた混合物を二軸ス
クリューポンプによりサービスタンク36に導き保存し
た。サービスタンク36内の温度は、膨潤化が起こらな
いように100℃未満に保持した。次に、サービスタン
ク36から押し出しポンプにより、反応器34に導き、
350℃で5時間加熱することにより膨潤・固化し、膨
潤炭を得た。得られた膨潤炭を蒸発器35に装入し、3
80℃に加熱し、圧力を40Torrに設定してコールター
ル中の軽質成分37を除去し、実施例3−1〜3−3の
改質炭38を得た。この改質炭38は、原料のウィット
バンク炭にコールタール中の重質成分が石炭ベースで2
0重量%付加されたことになる。
いて、表1に示す性状を有するウィットバンク炭、プリ
マ炭およびオプティマム炭について、石炭改質処理を行
った(実施例3−1〜3−3)。これらの石炭500k
gを粒度−3mm80%に調製し、コールタール150
0kgとともに混合器31に導き混合することによりス
ラリーを得た。このときの混合温度は100℃以上にな
らないようコントロールした。得られた混合物を二軸ス
クリューポンプによりサービスタンク36に導き保存し
た。サービスタンク36内の温度は、膨潤化が起こらな
いように100℃未満に保持した。次に、サービスタン
ク36から押し出しポンプにより、反応器34に導き、
350℃で5時間加熱することにより膨潤・固化し、膨
潤炭を得た。得られた膨潤炭を蒸発器35に装入し、3
80℃に加熱し、圧力を40Torrに設定してコールター
ル中の軽質成分37を除去し、実施例3−1〜3−3の
改質炭38を得た。この改質炭38は、原料のウィット
バンク炭にコールタール中の重質成分が石炭ベースで2
0重量%付加されたことになる。
【0117】こうして得られた実施例3−1〜3−3の
改質炭を評価するために使用する配合炭を調製した。こ
の背後右端に使用する石炭を表4に示した。配合炭は、
平均反射率R0=1. 0、およびギーセラー最高流動度
logMF=2となるように、表5の5種の石炭を混合
することによって調製した。混合は、混炭機を用いて行
った。配合割合は表4に合わせて示した。
改質炭を評価するために使用する配合炭を調製した。こ
の背後右端に使用する石炭を表4に示した。配合炭は、
平均反射率R0=1. 0、およびギーセラー最高流動度
logMF=2となるように、表5の5種の石炭を混合
することによって調製した。混合は、混炭機を用いて行
った。配合割合は表4に合わせて示した。
【0118】
【表4】 上記の配合炭と実施例3−1〜3−3の改質炭を表5の
割合で混合し、混炭機により10分間混炭して乾留用試
料を製造した。なお、混炭の前に混合後の最終水分が8
%になるように水を添加した。次いで、縦260mm×
横260mm×高さ350mmの鋼製乾留缶に嵩密度が
0. 73になるように前記乾留用試料16kgを装入し
た。
割合で混合し、混炭機により10分間混炭して乾留用試
料を製造した。なお、混炭の前に混合後の最終水分が8
%になるように水を添加した。次いで、縦260mm×
横260mm×高さ350mmの鋼製乾留缶に嵩密度が
0. 73になるように前記乾留用試料16kgを装入し
た。
【0119】
【表5】 次いで、予め1000℃に加熱された乾留炉に試料が装
入された乾留缶を入れ、6時間乾留した。乾留終了後、
乾留缶を乾留炉から取り出し、約20分間散水して消火
および冷却を行った。得られたコークスの性状を表6に
示す。
入された乾留缶を入れ、6時間乾留した。乾留終了後、
乾留缶を乾留炉から取り出し、約20分間散水して消火
および冷却を行った。得られたコークスの性状を表6に
示す。
【0120】
【表6】 次に、上述の石炭改質装置40において、表1に示す性
状を有するウィットバンク炭、プリマ炭およびオプティ
マム炭について、実施例3−1〜3−3と異なる条件で
石炭処理操作を行った。これらの石炭500kgを粒度
−3mm80%に調製し、コールタール1500kgと
ともに混合器31に導き混合することによりスラリーを
得た。このときの混合温度は100℃以上にならないよ
うコントロールした。得られた混合物を二軸スクリュー
ポンプによりサービスタンク36に導き保存した。次
に、サービスタンク36から得られたスラリーを反応器
34に導いた。この反応器34の入り口付近の温度は1
00℃に、出口付近の温度は400℃に加熱し、この反
応器34の内部での滞留時間が3時間になるように移送
速度を設定して、スラリー中の石炭を膨潤・固化並びに
軽質成分の除去を同時に行い、実施例3−4〜3−6の
改質炭を得た。
状を有するウィットバンク炭、プリマ炭およびオプティ
マム炭について、実施例3−1〜3−3と異なる条件で
石炭処理操作を行った。これらの石炭500kgを粒度
−3mm80%に調製し、コールタール1500kgと
ともに混合器31に導き混合することによりスラリーを
得た。このときの混合温度は100℃以上にならないよ
うコントロールした。得られた混合物を二軸スクリュー
ポンプによりサービスタンク36に導き保存した。次
に、サービスタンク36から得られたスラリーを反応器
34に導いた。この反応器34の入り口付近の温度は1
00℃に、出口付近の温度は400℃に加熱し、この反
応器34の内部での滞留時間が3時間になるように移送
速度を設定して、スラリー中の石炭を膨潤・固化並びに
軽質成分の除去を同時に行い、実施例3−4〜3−6の
改質炭を得た。
【0121】これらの実施例3−4〜3−6の改質炭を
評価するために、実施例3−1〜3−3と同様の手順に
従って、配合炭を調製し、次いでコークスを製造した。
これらの結果を表6に併記する。
評価するために、実施例3−1〜3−3と同様の手順に
従って、配合炭を調製し、次いでコークスを製造した。
これらの結果を表6に併記する。
【0122】次いで、比較例3−1として、実施例3−
1において改質炭を使用せずに配合炭のみを用いた以外
は実施例3−1と全く同様の方法でコークスを得た。得
られたコークスの性状を表6に併せて示す。なお、本比
較例のコークスは、比較的高価な石炭を利用して製造し
た冶金用コークスに相当する。
1において改質炭を使用せずに配合炭のみを用いた以外
は実施例3−1と全く同様の方法でコークスを得た。得
られたコークスの性状を表6に併せて示す。なお、本比
較例のコークスは、比較的高価な石炭を利用して製造し
た冶金用コークスに相当する。
【0123】次いで、比較例3−2として、実施例3−
1において、改質炭の代わりに、未処理のウィットバン
ク炭を同量添加する以外は実施例3−1と全く同様の方
法でコークスを得た。得られたコークスの性状を表6に
併せて示す。次いで、比較例3−3〜3−5として、配
合炭にコールタールピッチ(軟化点73℃)を表5の割
合で添加し、実施例3−1と同様の方法でコークスを得
た。得られたコークスの性状を表6に併せて示す。表6
から明らかなように、本発明の方法により得られる実施
例3−1〜3−6の改質炭によって、比較例3−1の比
較的高価な石炭を利用して調製した冶金用コークスと同
程度の性状を有する優れたコークスを得ることができ
た。
1において、改質炭の代わりに、未処理のウィットバン
ク炭を同量添加する以外は実施例3−1と全く同様の方
法でコークスを得た。得られたコークスの性状を表6に
併せて示す。次いで、比較例3−3〜3−5として、配
合炭にコールタールピッチ(軟化点73℃)を表5の割
合で添加し、実施例3−1と同様の方法でコークスを得
た。得られたコークスの性状を表6に併せて示す。表6
から明らかなように、本発明の方法により得られる実施
例3−1〜3−6の改質炭によって、比較例3−1の比
較的高価な石炭を利用して調製した冶金用コークスと同
程度の性状を有する優れたコークスを得ることができ
た。
【0124】実施例4 コールタールの改質方法 図4は、本発明のコールタールの改質方法に用いられる
コールタール改質装置の一例を示すブロック図である。
コールタール改質装置の一例を示すブロック図である。
【0125】図中41は、石炭42およびコールタール
43を混合するための混合器である。混合器41は、リ
フター式2室構造の湿式ボールミル(ドラムサイズφ1
200×3600mm)である。混合器41の出口側に
は、ステンレス製反応管(反応器φ400×5000m
m)からなる反応器44が設けられている。反応器44
の出口側には、ニーダー式蒸発反応装置からなる蒸発器
45が設けられている。また、混合器41および反応器
44の間には、混合器41で調製されたスラリーを一旦
貯蔵するためのサービスタンク(容量:5m3 )46が
別系統で設けられている。
43を混合するための混合器である。混合器41は、リ
フター式2室構造の湿式ボールミル(ドラムサイズφ1
200×3600mm)である。混合器41の出口側に
は、ステンレス製反応管(反応器φ400×5000m
m)からなる反応器44が設けられている。反応器44
の出口側には、ニーダー式蒸発反応装置からなる蒸発器
45が設けられている。また、混合器41および反応器
44の間には、混合器41で調製されたスラリーを一旦
貯蔵するためのサービスタンク(容量:5m3 )46が
別系統で設けられている。
【0126】上述の構成からなるコールタール改質装置
50において、表7に示す性状を有する製鉄用コークス
炉タールについて、ウィットバンク炭、プリマ炭および
オプティマム炭を用いて改質処理を行った。これらの石
炭500kgを粒度−3mm80%に調製し、コールタ
ール1500kgとともに混合器41に導き混合するこ
とによりスラリーを得た。このときの混合温度は100
℃以上にならないようコントロールした。得られた混合
物を二軸スクリューポンプによりサービスタンク46に
導き保存することもできる。この場合、サービスタンク
46内の温度は、膨潤化が起こらないように100℃未
満に保持する。次に、スラリーを、混合器41から、直
接またはサービスタンク46から押し出しポンプにより
反応器44に導き、350℃で5時間加熱することによ
り膨潤・固化し、膨潤炭を得た。得られた膨潤炭を蒸発
器45に装入し、380℃に加熱し、圧力を40Torrに
設定してコールタール中の重質成分を石炭中に残留さ
せ、実施例4−1〜4−3の軽質タール47を得た。こ
の軽質タール47は、原料の石炭にコールタール中の重
質成分が付加され、原料コールタールベースで80重量
%に相当する。また、蒸発器45からは、軽質タール除
去後の残渣48が排出される。こうして得られた実施例
4−1〜4−3の軽質タールを評価するために、トルエ
ン不溶分、キノリン不溶分、ナフタリン分、タール酸分
を分析し、また、常圧蒸留により、その蒸留性状を調べ
た。その結果を表7に併せて示す。
50において、表7に示す性状を有する製鉄用コークス
炉タールについて、ウィットバンク炭、プリマ炭および
オプティマム炭を用いて改質処理を行った。これらの石
炭500kgを粒度−3mm80%に調製し、コールタ
ール1500kgとともに混合器41に導き混合するこ
とによりスラリーを得た。このときの混合温度は100
℃以上にならないようコントロールした。得られた混合
物を二軸スクリューポンプによりサービスタンク46に
導き保存することもできる。この場合、サービスタンク
46内の温度は、膨潤化が起こらないように100℃未
満に保持する。次に、スラリーを、混合器41から、直
接またはサービスタンク46から押し出しポンプにより
反応器44に導き、350℃で5時間加熱することによ
り膨潤・固化し、膨潤炭を得た。得られた膨潤炭を蒸発
器45に装入し、380℃に加熱し、圧力を40Torrに
設定してコールタール中の重質成分を石炭中に残留さ
せ、実施例4−1〜4−3の軽質タール47を得た。こ
の軽質タール47は、原料の石炭にコールタール中の重
質成分が付加され、原料コールタールベースで80重量
%に相当する。また、蒸発器45からは、軽質タール除
去後の残渣48が排出される。こうして得られた実施例
4−1〜4−3の軽質タールを評価するために、トルエ
ン不溶分、キノリン不溶分、ナフタリン分、タール酸分
を分析し、また、常圧蒸留により、その蒸留性状を調べ
た。その結果を表7に併せて示す。
【0127】
【表7】 得られた軽質タールは、製鉄用コークス炉から副生する
コールタールを常圧蒸留および減圧蒸留して得られるナ
フタリン分を主成分とするいわゆる化学工業用タールに
相当する。本発明の方法によれば、コークス炉から発生
したコールタールを別途蒸留設備にて蒸留するよりも、
簡便に軽質タールを得ることができる。また、ピッチと
呼ばれる原料コールタール中の重質分は、従来は非微粘
結炭への粘結材や、炭素材料等に利用されてきたが、本
発明の方法によれば、原料石炭中に固定されるので、原
料石炭に非、微若しくは弱粘結炭を使用する場合はコー
ルタールの軽質化と同時に石炭の改質をも同時に行うこ
とができる。
コールタールを常圧蒸留および減圧蒸留して得られるナ
フタリン分を主成分とするいわゆる化学工業用タールに
相当する。本発明の方法によれば、コークス炉から発生
したコールタールを別途蒸留設備にて蒸留するよりも、
簡便に軽質タールを得ることができる。また、ピッチと
呼ばれる原料コールタール中の重質分は、従来は非微粘
結炭への粘結材や、炭素材料等に利用されてきたが、本
発明の方法によれば、原料石炭中に固定されるので、原
料石炭に非、微若しくは弱粘結炭を使用する場合はコー
ルタールの軽質化と同時に石炭の改質をも同時に行うこ
とができる。
【0128】実施例5 冶金用コークスの製造方法 図5は、本発明の冶金用コークスの製造方法に用いられ
る装置の一例を示すブロック図である。図中51は、石
炭52およびコールタール53を混合するための混合器
である。混合器51は、リフター式2室構造の湿式ボー
ルミル(ドラムサイズφ1200×3600mm)であ
る。混合器51の後段には、調製されたスラリーを一旦
貯蔵するためのサービスタンク(容量:5m3 )54が
設けられている。サービスタンク54の出口側には、熱
処理装置55が設けられている。
る装置の一例を示すブロック図である。図中51は、石
炭52およびコールタール53を混合するための混合器
である。混合器51は、リフター式2室構造の湿式ボー
ルミル(ドラムサイズφ1200×3600mm)であ
る。混合器51の後段には、調製されたスラリーを一旦
貯蔵するためのサービスタンク(容量:5m3 )54が
設けられている。サービスタンク54の出口側には、熱
処理装置55が設けられている。
【0129】熱処理装置55は、図6に示すように、円
筒状内管71と、内管71から離間して同心的に配置さ
れた円筒状外管72との二重管構造からなる。内管71
と外管72は例えばSUSステンレス鋼で形成すること
ができる。内管71の内部は、スラリーの熱処理(膨潤
固化および熱分解)領域73を規定している。内管71
と外管72との間の間隙は、円環状加熱領域74を規定
している。
筒状内管71と、内管71から離間して同心的に配置さ
れた円筒状外管72との二重管構造からなる。内管71
と外管72は例えばSUSステンレス鋼で形成すること
ができる。内管71の内部は、スラリーの熱処理(膨潤
固化および熱分解)領域73を規定している。内管71
と外管72との間の間隙は、円環状加熱領域74を規定
している。
【0130】加熱領域74は、ドーナツ型円板状断熱板
75a〜75dで仕切られ、個々の加熱室74a〜74
eに区画されている。加熱室74a〜74eは、それぞ
れに対応する熱処理領域73の区域を所定の温度に加熱
するものであり、この加熱に対応して熱処理領域73
は、図1に関して説明した区域66a〜66eを構成す
る。すなわち、加熱室74a〜74eには、燃料ガスと
空気がそれぞれの供給源76および77からラインL1
およびL2を介して各合流ラインL3から混合物として
供給され、各加熱室74a〜74e内部の各バーナーB
で燃焼され、区域66a〜66eを異なる温度で温度に
加熱する。燃料ガスの流量は、目標とする温度に応じた
比率で燃料ガスと空気が各加熱室74a〜74e内で燃
焼されるように、合流ラインL3前段の各流量調整弁V
で調整される。なお、各加熱室74a〜74e内のバー
ナーBは、各加熱室の容積に応じその本数を適宜決定す
ることができる。
75a〜75dで仕切られ、個々の加熱室74a〜74
eに区画されている。加熱室74a〜74eは、それぞ
れに対応する熱処理領域73の区域を所定の温度に加熱
するものであり、この加熱に対応して熱処理領域73
は、図1に関して説明した区域66a〜66eを構成す
る。すなわち、加熱室74a〜74eには、燃料ガスと
空気がそれぞれの供給源76および77からラインL1
およびL2を介して各合流ラインL3から混合物として
供給され、各加熱室74a〜74e内部の各バーナーB
で燃焼され、区域66a〜66eを異なる温度で温度に
加熱する。燃料ガスの流量は、目標とする温度に応じた
比率で燃料ガスと空気が各加熱室74a〜74e内で燃
焼されるように、合流ラインL3前段の各流量調整弁V
で調整される。なお、各加熱室74a〜74e内のバー
ナーBは、各加熱室の容積に応じその本数を適宜決定す
ることができる。
【0131】内管71内には、スラリー65の圧送手段
としてプランジャーポンプ式押出機78が設置されてい
る。この押出機78は、行程距離の小さいものであり、
そのヘッド78aは、内管71の内壁に摺接する。スラ
リー65を熱処理領域73内に供給するための供給管7
9の先端には、逆止弁80が設けられている。逆止弁8
0は、押出し機78の前進時に閉じ、後退時に開いてス
ラリーを少量ずつ熱処理領域73内へ供給する。押出機
78の駆動により、スラリー65は、各区域66a〜6
6eにおける充分な滞留時間をもって熱処理領域73を
移送される。例えば、スラリー65は、熱処理領域73
の容積に応じて約30時間かけて供給部から出口まで移
送される。加熱室74a〜74eは円環状であり、熱処
理領域73を均一に加熱できるので、特に熱分解区域6
6c〜66eにおいて熱分解の程度はそれぞれ均一とな
る。
としてプランジャーポンプ式押出機78が設置されてい
る。この押出機78は、行程距離の小さいものであり、
そのヘッド78aは、内管71の内壁に摺接する。スラ
リー65を熱処理領域73内に供給するための供給管7
9の先端には、逆止弁80が設けられている。逆止弁8
0は、押出し機78の前進時に閉じ、後退時に開いてス
ラリーを少量ずつ熱処理領域73内へ供給する。押出機
78の駆動により、スラリー65は、各区域66a〜6
6eにおける充分な滞留時間をもって熱処理領域73を
移送される。例えば、スラリー65は、熱処理領域73
の容積に応じて約30時間かけて供給部から出口まで移
送される。加熱室74a〜74eは円環状であり、熱処
理領域73を均一に加熱できるので、特に熱分解区域6
6c〜66eにおいて熱分解の程度はそれぞれ均一とな
る。
【0132】熱分解区域66c〜66eにおける石炭の
熱分解生成物は、回収管の形態にある各回収手段67、
69a〜69b、および69から回収される。なお、回
収管67、69a〜69bおよび69はそれぞれ共通回
収管(図示せず)に接続し、各熱分解生成物が集められ
る。
熱分解生成物は、回収管の形態にある各回収手段67、
69a〜69b、および69から回収される。なお、回
収管67、69a〜69bおよび69はそれぞれ共通回
収管(図示せず)に接続し、各熱分解生成物が集められ
る。
【0133】こうして熱分解された石炭は、熱処理装置
55から残留炭素(チャーあるいはコークス)81とし
て容器82内に回収される。なお、熱処理区域は、上記
例に示した5つに限らず、所望の成分ガスの発生温度、
石炭の種類その他に応じて適宜設定することができる。
55から残留炭素(チャーあるいはコークス)81とし
て容器82内に回収される。なお、熱処理区域は、上記
例に示した5つに限らず、所望の成分ガスの発生温度、
石炭の種類その他に応じて適宜設定することができる。
【0134】本実施例では、まず、石炭52およびコー
ルタール53を混合器51に導入し、石炭52を粉砕
し、コールタール53と混合してスラリーを調製する。
この際の石炭粉末とコールタールとの混合比率は石炭1
00重量部に対してコールタール重量部150である。
また、混合時間は30分である。混合の温度は、スラリ
ーが膨潤および固化しないよう100℃未満に保った。
ルタール53を混合器51に導入し、石炭52を粉砕
し、コールタール53と混合してスラリーを調製する。
この際の石炭粉末とコールタールとの混合比率は石炭1
00重量部に対してコールタール重量部150である。
また、混合時間は30分である。混合の温度は、スラリ
ーが膨潤および固化しないよう100℃未満に保った。
【0135】次に、得られたスラリーを、二軸スクリュ
ーポンプによってサービスタンク54に導く。このサー
ビスタンク54内の温度もスラリーの膨潤が起こらない
ように100℃未満とした。
ーポンプによってサービスタンク54に導く。このサー
ビスタンク54内の温度もスラリーの膨潤が起こらない
ように100℃未満とした。
【0136】熱処理装置55内の最初の区域66aは、
スラリーを脱水する部分であり、加熱温度は150℃に
設定した。次の区域66bは、スラリーを膨潤固化させ
る部分であり、加熱温度を350℃に設定し、加熱時間
は2時間とした。この膨潤・固化領域66bにおいて、
加熱によってコールタールが石炭粉末内部の微細空隙内
まで浸透し、石炭組織は膨潤し、いわゆる膨潤炭となっ
て、次の領域66c〜66eへと移送した。
スラリーを脱水する部分であり、加熱温度は150℃に
設定した。次の区域66bは、スラリーを膨潤固化させ
る部分であり、加熱温度を350℃に設定し、加熱時間
は2時間とした。この膨潤・固化領域66bにおいて、
加熱によってコールタールが石炭粉末内部の微細空隙内
まで浸透し、石炭組織は膨潤し、いわゆる膨潤炭となっ
て、次の領域66c〜66eへと移送した。
【0137】次の領域66cは、膨潤炭から軽質成分5
7を回収する部分である。膨潤炭は、コールタールが石
炭粉末の微細空隙内に十分浸透しているため、コールタ
ール中の重質成分は、軽質成分57に比べ膨潤炭から分
離されにくくなっている。このため重質成分は熱処理装
置55中の膨潤炭中に残る。この軽質タールは、熱処理
装置55の途中に設けられた回収管67により抜き取っ
た。
7を回収する部分である。膨潤炭は、コールタールが石
炭粉末の微細空隙内に十分浸透しているため、コールタ
ール中の重質成分は、軽質成分57に比べ膨潤炭から分
離されにくくなっている。このため重質成分は熱処理装
置55中の膨潤炭中に残る。この軽質タールは、熱処理
装置55の途中に設けられた回収管67により抜き取っ
た。
【0138】次の領域66dは、軽質成分を除去した後
の膨潤炭をさらに熱分解し、500℃で熱分解して高カ
ロリーガス58を得る部分である。高カロリーガス58
を、回収管68a〜68bから連続的に得た。
の膨潤炭をさらに熱分解し、500℃で熱分解して高カ
ロリーガス58を得る部分である。高カロリーガス58
を、回収管68a〜68bから連続的に得た。
【0139】最後の区域66eは、膨潤炭を800℃で
熱分解し、コークス81を得るための領域である。ここ
では、水素を主成分とする乾留ガス58を発生しなが
ら、膨潤炭のコークス化が進行した。
熱分解し、コークス81を得るための領域である。ここ
では、水素を主成分とする乾留ガス58を発生しなが
ら、膨潤炭のコークス化が進行した。
【0140】上述のようにして、表8に示すような配合
で原料石炭(ウィットバンク炭、プリマ炭、オプティマ
ム炭)、各種溶剤(コールタール、コールタールピッ
チ)を混合し、熱分解して得られた実施例5−1〜5−
3のコークスの性状を表9に示す。
で原料石炭(ウィットバンク炭、プリマ炭、オプティマ
ム炭)、各種溶剤(コールタール、コールタールピッ
チ)を混合し、熱分解して得られた実施例5−1〜5−
3のコークスの性状を表9に示す。
【0141】
【表8】
【表9】 表9の結果から、本実施例により得られたコークスは、
膨潤固化工程において、原料の非粘結炭、微粘結炭、も
しくは弱粘結炭がコールタールによって粘結性が付与さ
れ、粘結性を有する原料炭並に改質されているため、前
段の500℃までの高カロリーガス抽出工程での低温乾
留に続く800℃での熱分解により、強度の大きい塊コ
ークスを得ることができる。特に、800℃での中低温
乾留であっても、現行の約1000℃の高温乾留コーク
スと同程度の強度を得ることができる。
膨潤固化工程において、原料の非粘結炭、微粘結炭、も
しくは弱粘結炭がコールタールによって粘結性が付与さ
れ、粘結性を有する原料炭並に改質されているため、前
段の500℃までの高カロリーガス抽出工程での低温乾
留に続く800℃での熱分解により、強度の大きい塊コ
ークスを得ることができる。特に、800℃での中低温
乾留であっても、現行の約1000℃の高温乾留コーク
スと同程度の強度を得ることができる。
【0142】実施例6 高濃度水素ガスの製造方法 図7は、本発明の高濃度水素ガスの製造方法に用いられ
る装置の一例を示すブロック図である。図中91は、石
炭92およびコールタール93を混合するための混合器
である。混合器91は、リフター式2室構造の湿式ボー
ルミル(ドラムサイズφ1200×3600mm)であ
る。混合器91の後段には、調製されたスラリーを一旦
貯蔵するためのサービスタンク(容量:5m3 )94が
設けられている。サービスタンク104の出口側には、
熱処理装置55が設けられている。この熱処理装置55
は、上述の実施例5で説明した図6で示すものと同様で
ある。
る装置の一例を示すブロック図である。図中91は、石
炭92およびコールタール93を混合するための混合器
である。混合器91は、リフター式2室構造の湿式ボー
ルミル(ドラムサイズφ1200×3600mm)であ
る。混合器91の後段には、調製されたスラリーを一旦
貯蔵するためのサービスタンク(容量:5m3 )94が
設けられている。サービスタンク104の出口側には、
熱処理装置55が設けられている。この熱処理装置55
は、上述の実施例5で説明した図6で示すものと同様で
ある。
【0143】本実施例では、まず、石炭92およびコー
ルタール93を混合器91に導入し、石炭92を粉砕
し、コールタール93と混合してスラリーを調製する。
この際の石炭粉末とコールタールとの混合比率は石炭1
00重量部に対してコールタール重量部150である。
また、混合時間は30分である。混合の温度は、スラリ
ーが膨潤および固化しないよう100℃未満に保った。
ルタール93を混合器91に導入し、石炭92を粉砕
し、コールタール93と混合してスラリーを調製する。
この際の石炭粉末とコールタールとの混合比率は石炭1
00重量部に対してコールタール重量部150である。
また、混合時間は30分である。混合の温度は、スラリ
ーが膨潤および固化しないよう100℃未満に保った。
【0144】次に、得られたスラリーを、二軸スクリュ
ーポンプによってサービスタンク54に導く。このサー
ビスタンク54内の温度もスラリーの膨潤が起こらない
ように100℃未満とした。
ーポンプによってサービスタンク54に導く。このサー
ビスタンク54内の温度もスラリーの膨潤が起こらない
ように100℃未満とした。
【0145】熱処理装置55内の最初の区域66aは、
スラリーを脱水する部分であり、加熱温度は150℃に
設定した。次の区域66bは、スラリーを膨潤固化させ
る部分であり、加熱温度を350℃に設定し、加熱時間
は2時間とした。この膨潤・固化領域66bにおいて、
加熱によってコールタールが石炭粉末内部の微細空隙内
まで浸透し、石炭組織は膨潤し、いわゆる膨潤炭となっ
て、次の領域66c〜66eへと移送した。
スラリーを脱水する部分であり、加熱温度は150℃に
設定した。次の区域66bは、スラリーを膨潤固化させ
る部分であり、加熱温度を350℃に設定し、加熱時間
は2時間とした。この膨潤・固化領域66bにおいて、
加熱によってコールタールが石炭粉末内部の微細空隙内
まで浸透し、石炭組織は膨潤し、いわゆる膨潤炭となっ
て、次の領域66c〜66eへと移送した。
【0146】次の領域66cは、膨潤炭から軽質成分9
5を回収する部分である。膨潤炭は、コールタールが石
炭粉末の微細空隙内に十分浸透しているため、コールタ
ール中の重質成分は、軽質成分95に比べ膨潤炭から分
離されにくくなっている。このため重質成分は熱処理装
置55中の膨潤炭中に残る。この軽質タールは、熱処理
装置55の途中に設けられた回収管67により抜き取っ
た。
5を回収する部分である。膨潤炭は、コールタールが石
炭粉末の微細空隙内に十分浸透しているため、コールタ
ール中の重質成分は、軽質成分95に比べ膨潤炭から分
離されにくくなっている。このため重質成分は熱処理装
置55中の膨潤炭中に残る。この軽質タールは、熱処理
装置55の途中に設けられた回収管67により抜き取っ
た。
【0147】次の領域66dは、軽質成分を除去した後
の膨潤炭をさらに熱分解し、500℃で熱分解して高カ
ロリーガス96を得る部分である。高カロリーガス96
を、回収管68a〜68bから連続的に得た。
の膨潤炭をさらに熱分解し、500℃で熱分解して高カ
ロリーガス96を得る部分である。高カロリーガス96
を、回収管68a〜68bから連続的に得た。
【0148】最後の区域66eは、膨潤炭を800℃で
熱分解し、高濃度水素ガス97を得るための領域であ
る。ここでは、前段の500℃での熱分解により、高カ
ロリーガス96が発生し終わった後なので、発生する乾
留ガスは水素を主成分とする高濃度水素ガス97であっ
た。ガスの回収は、回収管69から連続的に得ることが
できた。一方、この領域において膨潤炭のコークス化が
進行し、熱処理装置55の出口からはコークス98が排
出された。
熱分解し、高濃度水素ガス97を得るための領域であ
る。ここでは、前段の500℃での熱分解により、高カ
ロリーガス96が発生し終わった後なので、発生する乾
留ガスは水素を主成分とする高濃度水素ガス97であっ
た。ガスの回収は、回収管69から連続的に得ることが
できた。一方、この領域において膨潤炭のコークス化が
進行し、熱処理装置55の出口からはコークス98が排
出された。
【0149】以上のようにして、表8に示す配合で原料
石炭(ウィットバンク炭、プリマ炭、オプティマム
炭)、各種溶剤(コールタール、コールタールピッチ)
を混合し、熱分解して得られた実施例6−1〜6−3の
水素リッチガスの組成、発生量、発熱量を表10に示
す。
石炭(ウィットバンク炭、プリマ炭、オプティマム
炭)、各種溶剤(コールタール、コールタールピッチ)
を混合し、熱分解して得られた実施例6−1〜6−3の
水素リッチガスの組成、発生量、発熱量を表10に示
す。
【0150】
【表10】 表10の結果から、本実施例により得られた高濃度水素
ガスは、水素含有率がいずれも80%以上と高く、化学
工業用に有用なガスである。また、従来の石炭ガス化ガ
スの改質による水素ガス製造よりも簡便かつ低コストで
高濃度水素ガスを得ることができる。
ガスは、水素含有率がいずれも80%以上と高く、化学
工業用に有用なガスである。また、従来の石炭ガス化ガ
スの改質による水素ガス製造よりも簡便かつ低コストで
高濃度水素ガスを得ることができる。
【0151】実施例7 石炭およびコールタールまた
は重質油のガス化 図8は、本発明の石炭およびコールタールまたは重質油
のガス化方法のための装置の一例を示すブロック図であ
る。図中101は、石炭102とタール103を混合す
るための混合器である。混合器101は、リフター式2
室構造の湿式ボールミル(ドラムサイズφ1200×3
600mm)である。混合器101の後段には、調製さ
れたスラリーを一旦貯蔵するためのサービスタンク(容
量:5m3 )104が設けられている。サービスタンク
104の出口側には、熱処理装置105が設けられてい
る。この熱処理装置105は、上述の実施例5で説明し
た図6で示すものと同様の構成からなる熱分解領域部分
Aと、図9に示すガス化領域部分Bからなる。
は重質油のガス化 図8は、本発明の石炭およびコールタールまたは重質油
のガス化方法のための装置の一例を示すブロック図であ
る。図中101は、石炭102とタール103を混合す
るための混合器である。混合器101は、リフター式2
室構造の湿式ボールミル(ドラムサイズφ1200×3
600mm)である。混合器101の後段には、調製さ
れたスラリーを一旦貯蔵するためのサービスタンク(容
量:5m3 )104が設けられている。サービスタンク
104の出口側には、熱処理装置105が設けられてい
る。この熱処理装置105は、上述の実施例5で説明し
た図6で示すものと同様の構成からなる熱分解領域部分
Aと、図9に示すガス化領域部分Bからなる。
【0152】熱分解領域部分Aの出口側には、管110
の一重管構造からなるガス化領域部分Bが連設されてい
る。この管110には、4つのガス化剤吹き込み口11
2a〜112dが設けられている。ガス化剤吹き込み口
112a〜112dは、ガス化剤供給源113に接続さ
れている。ガス化領域部分Bの管110には熱分解領域
部分Aから送り出されてきた固体炭素分111がガス化
剤の存在下でガス化して、中カロリーガスを生成させ
る。
の一重管構造からなるガス化領域部分Bが連設されてい
る。この管110には、4つのガス化剤吹き込み口11
2a〜112dが設けられている。ガス化剤吹き込み口
112a〜112dは、ガス化剤供給源113に接続さ
れている。ガス化領域部分Bの管110には熱分解領域
部分Aから送り出されてきた固体炭素分111がガス化
剤の存在下でガス化して、中カロリーガスを生成させ
る。
【0153】生成した中カロリーガスは、ガス化剤吹き
込み口112a〜112dよりも前段に設けられた、回
収管の形態にある回収手段114a,114bから回収
される。回収管114a,114bには、中カロリーガ
スの回収タンク115が接続されている。
込み口112a〜112dよりも前段に設けられた、回
収管の形態にある回収手段114a,114bから回収
される。回収管114a,114bには、中カロリーガ
スの回収タンク115が接続されている。
【0154】一方、残留炭素分ガス化領域部分Bの最後
段部には、残された灰分116を排出するための排出部
117が設けられている。適当な間隔で排出部117の
排出管118の途中に設けられたストッパ119を開
き、回収容器120に灰分116を回収するようになっ
ている。
段部には、残された灰分116を排出するための排出部
117が設けられている。適当な間隔で排出部117の
排出管118の途中に設けられたストッパ119を開
き、回収容器120に灰分116を回収するようになっ
ている。
【0155】上述のようなガス化領域部分Bを備えた熱
分解装置105を使用し、各区域66a〜66fにおい
て、下記に示すように150℃から900℃にわたって
段階的に温度を上昇させる実質的にステップ状の温度勾
配を呈するように温度を設定し、また、各区域に66a
〜66fにおける滞留時間を下記のように設定した。
分解装置105を使用し、各区域66a〜66fにおい
て、下記に示すように150℃から900℃にわたって
段階的に温度を上昇させる実質的にステップ状の温度勾
配を呈するように温度を設定し、また、各区域に66a
〜66fにおける滞留時間を下記のように設定した。
【0156】 区域 温度(℃) 滞留時間(時間) 膨潤固化 66a 350 4 熱分解 66b 400 2 66c 450 2 66d 500 2 66e 700〜800 4 66f 800〜900 5 粒度−3mm以下80%、即ち、粒径3mm以下の石炭
粒子の全体に対する重量割合が80%以上であるように
粉砕調製されたプリマ炭(水分6.0%、灰分4.6
%、揮発分43.7%)を、供給速度12.1kg/時
でボールミルに供給した。同時に、コールタールを供給
速度18.1kg/時でボールミルに供給し、両者を混
合した。こうして得られたスラリー状の石炭/コールタ
ール混合物をタンクに貯蔵した。このタンクからスラリ
ーを供給速度30.2kg/時の割合で熱処理装置10
5に供給した。
粒子の全体に対する重量割合が80%以上であるように
粉砕調製されたプリマ炭(水分6.0%、灰分4.6
%、揮発分43.7%)を、供給速度12.1kg/時
でボールミルに供給した。同時に、コールタールを供給
速度18.1kg/時でボールミルに供給し、両者を混
合した。こうして得られたスラリー状の石炭/コールタ
ール混合物をタンクに貯蔵した。このタンクからスラリ
ーを供給速度30.2kg/時の割合で熱処理装置10
5に供給した。
【0157】はじめ液体であったスラリーは、膨潤・固
化のための区域66aを4時間かけて移動する間に膨潤
および固化して固体となった。その後、スラリーが40
0〜900℃の温度勾配を有する熱分解のための各区域
66b〜66eを移動する間に、スラリーが熱分解して
発生した熱分解ガスが夫々の区域に設けられた回収管6
7〜69から回収された。得られたガスの成分組成およ
び低位発熱量を表11に示す。
化のための区域66aを4時間かけて移動する間に膨潤
および固化して固体となった。その後、スラリーが40
0〜900℃の温度勾配を有する熱分解のための各区域
66b〜66eを移動する間に、スラリーが熱分解して
発生した熱分解ガスが夫々の区域に設けられた回収管6
7〜69から回収された。得られたガスの成分組成およ
び低位発熱量を表11に示す。
【0158】
【表11】 また、400〜500℃の温度範囲内の区域66b〜6
6dにおいて、熱分解ガスと共にコールタールおよびガ
ス液が19.1kg/時回収された。このようにして熱
分解処理が施された後に残された固体炭素分は、ガス化
領域区分Bにおいて、酸素および水蒸気雰囲気下で80
0〜900℃の温度でガス化され、中カロリーガス10
9を、回収管114a、114bから回収した。また、
排出部117から残留物が0.8kg/時の割合で排出
された。
6dにおいて、熱分解ガスと共にコールタールおよびガ
ス液が19.1kg/時回収された。このようにして熱
分解処理が施された後に残された固体炭素分は、ガス化
領域区分Bにおいて、酸素および水蒸気雰囲気下で80
0〜900℃の温度でガス化され、中カロリーガス10
9を、回収管114a、114bから回収した。また、
排出部117から残留物が0.8kg/時の割合で排出
された。
【0159】実施例8 石炭からの熱分解成分ガスの
回収方法 図10は、本発明の石炭からの熱分解成分ガスの回収方
法に用いられる処理装置の一例を示すブロック図であ
る。図中120は、石炭121単味に対して熱処理を施
すためのパイプ型熱分解装置である。熱分解装置120
には、石炭の供給側から出口側に向かって石炭121の
熱分解が進行するように温度勾配(例えば、100℃か
ら1,000℃までに渡る)が設けられている。そし
て、パイプ型熱分解装置120は、この温度勾配に沿っ
て複数の異なる温度の熱分解域(図10では122a〜
122eの5つの領域)が設定されており、各熱分解域
は、図示しない加熱手段によりそれぞれの温度に加熱さ
れる。
回収方法 図10は、本発明の石炭からの熱分解成分ガスの回収方
法に用いられる処理装置の一例を示すブロック図であ
る。図中120は、石炭121単味に対して熱処理を施
すためのパイプ型熱分解装置である。熱分解装置120
には、石炭の供給側から出口側に向かって石炭121の
熱分解が進行するように温度勾配(例えば、100℃か
ら1,000℃までに渡る)が設けられている。そし
て、パイプ型熱分解装置120は、この温度勾配に沿っ
て複数の異なる温度の熱分解域(図10では122a〜
122eの5つの領域)が設定されており、各熱分解域
は、図示しない加熱手段によりそれぞれの温度に加熱さ
れる。
【0160】熱分解域122b〜122eには、それぞ
れの領域で発生する熱分解生成物を装置外部に回収する
ための回収手段123〜127が設けられている。
れの領域で発生する熱分解生成物を装置外部に回収する
ための回収手段123〜127が設けられている。
【0161】図11は、図10に示したパイプ型熱分解
装置120を示す断面図である。熱分解装置120は、
円筒状内管131と、内管131から離間して同心的に
配置された円筒状外管132との二重管構造からなる。
内管131と外管132は、例えばSUSステンレス鋼
で形成した。内管131の内部は、石炭の熱分解領域1
33を規定している。内管131と外管132との間の
間隙は、熱分解領域加熱用の円環状加熱領域134を規
定している。
装置120を示す断面図である。熱分解装置120は、
円筒状内管131と、内管131から離間して同心的に
配置された円筒状外管132との二重管構造からなる。
内管131と外管132は、例えばSUSステンレス鋼
で形成した。内管131の内部は、石炭の熱分解領域1
33を規定している。内管131と外管132との間の
間隙は、熱分解領域加熱用の円環状加熱領域134を規
定している。
【0162】加熱領域134は、ドーナツ型円板状断熱
板135a〜135dで仕切られ、個々の加熱室134
a〜134eに区画されている。加熱室134a〜13
4eは、それぞれに対応する熱分解領域133の部分
(熱分解域)を所定の温度に加熱するものであり、この
加熱に対応して熱分解領域133は、図10に関して説
明した熱分解域122a〜122eを構成する。
板135a〜135dで仕切られ、個々の加熱室134
a〜134eに区画されている。加熱室134a〜13
4eは、それぞれに対応する熱分解領域133の部分
(熱分解域)を所定の温度に加熱するものであり、この
加熱に対応して熱分解領域133は、図10に関して説
明した熱分解域122a〜122eを構成する。
【0163】燃料ガスの流量は、目標とする温度に応じ
た比率で燃料ガスと空気が各加熱室134b〜134e
内で燃焼されるように、合流ラインL3前段の各流量調
整弁Vで調整される。
た比率で燃料ガスと空気が各加熱室134b〜134e
内で燃焼されるように、合流ラインL3前段の各流量調
整弁Vで調整される。
【0164】内管131内には、石炭121の圧送手段
としてスクリューフィーダー式押出機138が設置され
ている。この押出機138の回転駆動により、熱分解領
域133にホッパー139から供給された石炭121
は、各熱分解域122b〜122eにおける充分な滞留
時間をもって熱分解領域133を移送される。
としてスクリューフィーダー式押出機138が設置され
ている。この押出機138の回転駆動により、熱分解領
域133にホッパー139から供給された石炭121
は、各熱分解域122b〜122eにおける充分な滞留
時間をもって熱分解領域133を移送される。
【0165】熱分解域122b〜122eにおける石炭
の熱分解生成物は、図10に関して説明した回収手段1
23〜126に相当する回収管123a〜123e、1
24a〜124c、125a〜125d、および126
a〜126bから回収される。なお、回収管123a〜
123e、124a〜124c、125a〜125d、
および126a〜126bは、それぞれ共通回収管(図
示せず)に接続し、各熱分解生成物が集められる。こう
して熱分解された石炭は、パイプ型熱分解装置120か
ら残留炭素140として容器141内に回収される。
の熱分解生成物は、図10に関して説明した回収手段1
23〜126に相当する回収管123a〜123e、1
24a〜124c、125a〜125d、および126
a〜126bから回収される。なお、回収管123a〜
123e、124a〜124c、125a〜125d、
および126a〜126bは、それぞれ共通回収管(図
示せず)に接続し、各熱分解生成物が集められる。こう
して熱分解された石炭は、パイプ型熱分解装置120か
ら残留炭素140として容器141内に回収される。
【0166】上述のようなパイプ型熱分解装置120を
使用して以下の試験を行った。第1に、パイプ型熱分解
装置120の熱分解域122a〜122eにおける温度
および石炭の滞留時間を以下のように設定した。
使用して以下の試験を行った。第1に、パイプ型熱分解
装置120の熱分解域122a〜122eにおける温度
および石炭の滞留時間を以下のように設定した。
【0167】 熱分解域 温度(℃) 滞留時間(時間) 122a 400 3 122b 450 2 122c 500 1 122d 700 1 122e 800 1 ホッパーから石炭121としてプリマ炭(インドネシア
産)(灰分4.6%、揮発分43.7%)を約30kg
/時の割合で供給した。スクリューフィーダー式押出機
138は低速で回転させ、石炭121の供給から排出ま
での所要時間は約9時間であった。
産)(灰分4.6%、揮発分43.7%)を約30kg
/時の割合で供給した。スクリューフィーダー式押出機
138は低速で回転させ、石炭121の供給から排出ま
での所要時間は約9時間であった。
【0168】石炭121が上述の温度に設定された熱分
解域122a〜122e内を移送される間に、各々の熱
分解域に設けられた回収管123〜127から生成した
熱分解ガスを回収した。得られたガスの成分組成、低位
発熱量およびガス発生量を表12に例8−1としてまと
めた。また、石炭121が熱分解域122a〜122c
内を約6時間かけて移送される間にタールおよびガス液
が熱分解ガスと共に4.8kg/時回収された。
解域122a〜122e内を移送される間に、各々の熱
分解域に設けられた回収管123〜127から生成した
熱分解ガスを回収した。得られたガスの成分組成、低位
発熱量およびガス発生量を表12に例8−1としてまと
めた。また、石炭121が熱分解域122a〜122c
内を約6時間かけて移送される間にタールおよびガス液
が熱分解ガスと共に4.8kg/時回収された。
【0169】第2に、上述のようなパイプ型熱分解装置
120において熱分解域122aおよび122bのみを
使用し、夫々の温度および滞留時間は以下のように設定
した。
120において熱分解域122aおよび122bのみを
使用し、夫々の温度および滞留時間は以下のように設定
した。
【0170】 熱分解域 温度(℃) 滞留時間(時間) 12a 300 2 12b 450 5 ホッパーから石炭121としてプリマ炭(インドネシア
産)(灰分4.6%、揮発分43.7%)を約30kg
/時の割合で供給した。スクリューフィーダー式押出機
138は低速で回転させ、石炭121の供給から排出ま
での所要時間は約8時間であった。
産)(灰分4.6%、揮発分43.7%)を約30kg
/時の割合で供給した。スクリューフィーダー式押出機
138は低速で回転させ、石炭121の供給から排出ま
での所要時間は約8時間であった。
【0171】石炭121が上述の温度に設定された熱分
解域122aおよび122b内を移送される間に、各々
の熱分解域に設けられた回収管123,124から生成
した熱分解ガスを回収した。得られたガスの成分組成、
低位発熱量およびガス発生量を表12に例8−2として
まとめた。また、石炭121が熱分解域122a,12
2b内を約7時間かけて移送される間にタールおよびガ
ス液が熱分解ガスと共に4.1kg/時回収された。
解域122aおよび122b内を移送される間に、各々
の熱分解域に設けられた回収管123,124から生成
した熱分解ガスを回収した。得られたガスの成分組成、
低位発熱量およびガス発生量を表12に例8−2として
まとめた。また、石炭121が熱分解域122a,12
2b内を約7時間かけて移送される間にタールおよびガ
ス液が熱分解ガスと共に4.1kg/時回収された。
【0172】第3に、パイプ型熱分解装置120におい
て熱分解域122a〜122dのみを使用し、夫々の熱
分解域における温度および石炭の滞留時間を以下のよう
に設定した。
て熱分解域122a〜122dのみを使用し、夫々の熱
分解域における温度および石炭の滞留時間を以下のよう
に設定した。
【0173】 熱分解域 温度(℃) 滞留時間(時間) 122a 350 2 122b 400 3 122c 500 2.5 122d 800 2 ホッパーから石炭121としてプリマ炭(インドネシア
産)(灰分4.6%、揮発分43.7%)を約30kg
/時の割合で供給した。スクリューフィーダー式押出機
138は低速で回転させ、石炭121の供給から排出ま
での所要時間は約10.5時間であった。
産)(灰分4.6%、揮発分43.7%)を約30kg
/時の割合で供給した。スクリューフィーダー式押出機
138は低速で回転させ、石炭121の供給から排出ま
での所要時間は約10.5時間であった。
【0174】石炭121が上述の温度に設定された熱分
解域122a〜122d内を移送される間に、各々の熱
分解域に設けられた回収管123〜125から生成した
熱分解ガスを回収した。得られたガスの成分組成、低位
発熱量およびガス発生量を表12に例8−3としてまと
めた。また、石炭121が熱分解域122a〜122c
内を約7.5時間かけて移送される間にタールおよびガ
ス液が熱分解ガスと共に5.1kg/時回収された。
解域122a〜122d内を移送される間に、各々の熱
分解域に設けられた回収管123〜125から生成した
熱分解ガスを回収した。得られたガスの成分組成、低位
発熱量およびガス発生量を表12に例8−3としてまと
めた。また、石炭121が熱分解域122a〜122c
内を約7.5時間かけて移送される間にタールおよびガ
ス液が熱分解ガスと共に5.1kg/時回収された。
【0175】第4に、パイプ型熱分解装置120におい
て熱分解域122aおよび122bのみを使用し、夫々
の温度および滞留時間は以下のように設定した。
て熱分解域122aおよび122bのみを使用し、夫々
の温度および滞留時間は以下のように設定した。
【0176】 熱分解域 温度(℃) 滞留時間(時間) 122a 350 1 122b 450 1.5 ホッパーから石炭121としてプリマ炭(インドネシア
産)(灰分4.6%、揮発分43.7%)を約30kg
/時の割合で供給した。スクリューフィーダー式押出機
138は低速で回転させ、石炭121の供給から排出ま
での所要時間は約2.5時間であった。
産)(灰分4.6%、揮発分43.7%)を約30kg
/時の割合で供給した。スクリューフィーダー式押出機
138は低速で回転させ、石炭121の供給から排出ま
での所要時間は約2.5時間であった。
【0177】石炭121が上述の温度に設定された熱分
解域122aおよび122b内を移送される間に、各々
の熱分解域に設けられた回収管123,124から生成
した熱分解ガスを回収した。得られたガスの成分組成、
低位発熱量およびガス発生量を表12に例8−4として
にまとめた。また、石炭121が熱分解域122a,1
22b内を約2時間かけて移送される間にタールおよび
ガス液が熱分解ガスと共に3.9kg/時回収された。
解域122aおよび122b内を移送される間に、各々
の熱分解域に設けられた回収管123,124から生成
した熱分解ガスを回収した。得られたガスの成分組成、
低位発熱量およびガス発生量を表12に例8−4として
にまとめた。また、石炭121が熱分解域122a,1
22b内を約2時間かけて移送される間にタールおよび
ガス液が熱分解ガスと共に3.9kg/時回収された。
【0178】第5に、パイプ型熱分解装置120におい
て熱分解域122aおよび122bのみを使用し、夫々
の温度および滞留時間は以下のように設定した。
て熱分解域122aおよび122bのみを使用し、夫々
の温度および滞留時間は以下のように設定した。
【0179】 熱分解域 温度(℃) 滞留時間(時間) 122a 400 1 122b 500 1.5 ホッパーから石炭121としてオプティマム炭(南アフ
リカ共和国産)(灰分10.5%、揮発分32.9%)
を約30kg/時の割合で供給した。スクリューフィー
ダー式押出機138は低速で回転させ、石炭121の供
給から排出までの所要時間は約2.5時間であった。
リカ共和国産)(灰分10.5%、揮発分32.9%)
を約30kg/時の割合で供給した。スクリューフィー
ダー式押出機138は低速で回転させ、石炭121の供
給から排出までの所要時間は約2.5時間であった。
【0180】石炭121が上述の温度に設定された熱分
解域122aおよび122b内を移送される間に、各々
の熱分解域に設けられた回収管123,124から生成
した熱分解ガスを回収した。得られたガスの成分組成、
低位発熱量およびガス発生量を表12に例8−5として
まとめた。また、石炭121が熱分解域122a,12
2b内を約2時間かけて移送される間にタールおよびガ
ス液が熱分解ガスと共に3.9kg/時回収された。
解域122aおよび122b内を移送される間に、各々
の熱分解域に設けられた回収管123,124から生成
した熱分解ガスを回収した。得られたガスの成分組成、
低位発熱量およびガス発生量を表12に例8−5として
まとめた。また、石炭121が熱分解域122a,12
2b内を約2時間かけて移送される間にタールおよびガ
ス液が熱分解ガスと共に3.9kg/時回収された。
【0181】従来技術による例8−6,7として、コー
クス炉ガス及び前記「常圧下のメタン化による都市ガス
の製造」によるメタン化コークス炉ガスを上記例8−1
〜5において得られた高カロリー成分ガスと比較して表
12に併記する。
クス炉ガス及び前記「常圧下のメタン化による都市ガス
の製造」によるメタン化コークス炉ガスを上記例8−1
〜5において得られた高カロリー成分ガスと比較して表
12に併記する。
【0182】
【表12】 以上の結果からわかるように、本発明の石炭の熱分解成
分ガスの回収方法によれば、所望の熱分解成分ガスを選
択的に回収することができる。
分ガスの回収方法によれば、所望の熱分解成分ガスを選
択的に回収することができる。
【0183】また、第1の区域において150ないし3
50℃の範囲内の温度で石炭を熱分解することにより、
例8−1,8−3,8−4のように、第1の区域から
は、二酸化炭素を主成分とする低カロリーガス(初期熱
分解ガス)が回収され、第2の区域で回収されるメタ
ン、炭化水素を主成分とする高カロリーガスへの低カロ
リーガスの混入を防止することができることが確認され
た。特に、第1の区域での処理温度を400℃として行
った例8−1の熱分解域122aから回収されたガスよ
りも、第1の区域での処理温度を350℃とした例8−
3の122bから回収されたガスの方が二酸化炭素濃度
が20%近くも低く、低位発熱量は900Kcal/N
m3 上昇した。
50℃の範囲内の温度で石炭を熱分解することにより、
例8−1,8−3,8−4のように、第1の区域から
は、二酸化炭素を主成分とする低カロリーガス(初期熱
分解ガス)が回収され、第2の区域で回収されるメタ
ン、炭化水素を主成分とする高カロリーガスへの低カロ
リーガスの混入を防止することができることが確認され
た。特に、第1の区域での処理温度を400℃として行
った例8−1の熱分解域122aから回収されたガスよ
りも、第1の区域での処理温度を350℃とした例8−
3の122bから回収されたガスの方が二酸化炭素濃度
が20%近くも低く、低位発熱量は900Kcal/N
m3 上昇した。
【0184】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の高カロリ
ーガスの製造方法によれば、石炭とコールタールまたは
/および重質油を混合してスラリーとし、このスラリー
を150〜350℃に加熱してスラリー中の石炭をコー
ルタール/および重質油で膨潤させて膨潤炭を得る。こ
れにより、設備費が高い高圧高温設備や、高価な水素、
水素供与性溶剤を使用することなく、安価なコールター
ルおよび/または重質油を用いて石炭を改質し、簡便な
プロセスにより膨潤炭の熱分解を効率的且つ経済的に行
うことにより、高カロリーガスを製造することができ
る。
ーガスの製造方法によれば、石炭とコールタールまたは
/および重質油を混合してスラリーとし、このスラリー
を150〜350℃に加熱してスラリー中の石炭をコー
ルタール/および重質油で膨潤させて膨潤炭を得る。こ
れにより、設備費が高い高圧高温設備や、高価な水素、
水素供与性溶剤を使用することなく、安価なコールター
ルおよび/または重質油を用いて石炭を改質し、簡便な
プロセスにより膨潤炭の熱分解を効率的且つ経済的に行
うことにより、高カロリーガスを製造することができ
る。
【0185】また、本発明の石炭の改質方法によれば、
石炭とコールタール/および重質油を混合してスラリー
とし、このスラリーを150〜350℃に加熱してスラ
リー中の石炭をコールタール/および重質油で膨潤させ
て膨潤炭を得、膨潤炭から軽質成分のみを分離回収する
ことにより、設備費が高い高圧高温設備や、高価な水
素、水素供与性溶剤を使用することなく、簡便なプロセ
スにより効率的且つ経済的に改質炭を製造できる。
石炭とコールタール/および重質油を混合してスラリー
とし、このスラリーを150〜350℃に加熱してスラ
リー中の石炭をコールタール/および重質油で膨潤させ
て膨潤炭を得、膨潤炭から軽質成分のみを分離回収する
ことにより、設備費が高い高圧高温設備や、高価な水
素、水素供与性溶剤を使用することなく、簡便なプロセ
スにより効率的且つ経済的に改質炭を製造できる。
【0186】また、本発明のコールタールおよび/また
は重質油の改質方法によれば、石炭とコールタール/お
よび重質油を混合してスラリーとし、このスラリーを1
50〜350℃に加熱してスラリー中の石炭をコールタ
ール/および重質油で膨潤させて膨潤炭を得、さらに膨
潤炭を加熱して軽質成分を分離回収することにより、簡
便な設備で改質タールを製造することができる。
は重質油の改質方法によれば、石炭とコールタール/お
よび重質油を混合してスラリーとし、このスラリーを1
50〜350℃に加熱してスラリー中の石炭をコールタ
ール/および重質油で膨潤させて膨潤炭を得、さらに膨
潤炭を加熱して軽質成分を分離回収することにより、簡
便な設備で改質タールを製造することができる。
【0187】また、本発明のコークスの製造方法によれ
ば、石炭とコールタール/および重質油を混合してスラ
リーとし、このスラリーを150〜350℃に加熱して
スラリー中の石炭をコールタール/および重質油で膨潤
させて膨潤炭を得、膨潤炭を加熱して軽質成分を分離回
収し、さらに簡便な設備で膨潤炭の低温乾留および高温
乾留を行い、効率的且つ経済的にコークスを製造するこ
とができる。
ば、石炭とコールタール/および重質油を混合してスラ
リーとし、このスラリーを150〜350℃に加熱して
スラリー中の石炭をコールタール/および重質油で膨潤
させて膨潤炭を得、膨潤炭を加熱して軽質成分を分離回
収し、さらに簡便な設備で膨潤炭の低温乾留および高温
乾留を行い、効率的且つ経済的にコークスを製造するこ
とができる。
【0188】また、本発明の高濃度水素ガスの製造方法
によれば、石炭とコールタール/および重質油を混合し
てスラリーとし、このスラリーを150〜350℃に加
熱してスラリー中の石炭をコールタール/および重質油
で膨潤させて膨潤炭を得、膨潤炭を加熱して軽質成分を
分離回収し、さらに簡便な設備で膨潤炭の低温乾留およ
び高温乾留を行い、効率的且つ経済的に高濃度水素ガス
を製造することができる。
によれば、石炭とコールタール/および重質油を混合し
てスラリーとし、このスラリーを150〜350℃に加
熱してスラリー中の石炭をコールタール/および重質油
で膨潤させて膨潤炭を得、膨潤炭を加熱して軽質成分を
分離回収し、さらに簡便な設備で膨潤炭の低温乾留およ
び高温乾留を行い、効率的且つ経済的に高濃度水素ガス
を製造することができる。
【0189】また、本発明の石炭とコールタール/およ
び重質油のガス化方法によれば、石炭とコールタール/
および重質油を混合してスラリーとし、このスラリーを
150〜350℃に加熱してスラリー中の石炭をコール
タール/および重質油で膨潤させて膨潤炭を得、膨潤炭
を加熱して軽質成分を分離回収し、次いで、簡便な設備
で膨潤炭の低温乾留および高温乾留を行って、高カロリ
ーガスおよび高濃度水素ガスを得、さらに、ガス化剤の
存在下で残留炭素分を分解して中カロリーガスを効率的
且つ経済的に得ることができる。
び重質油のガス化方法によれば、石炭とコールタール/
および重質油を混合してスラリーとし、このスラリーを
150〜350℃に加熱してスラリー中の石炭をコール
タール/および重質油で膨潤させて膨潤炭を得、膨潤炭
を加熱して軽質成分を分離回収し、次いで、簡便な設備
で膨潤炭の低温乾留および高温乾留を行って、高カロリ
ーガスおよび高濃度水素ガスを得、さらに、ガス化剤の
存在下で残留炭素分を分解して中カロリーガスを効率的
且つ経済的に得ることができる。
【0190】また、本発明の石炭からの熱分解成分ガス
の回収方法によれば、まず、150〜350℃の範囲内
の温度で石炭を熱分解し、低カロリー成分ガスを除いた
後、次の熱分解工程で石炭を熱分解することにより、低
位発熱量の非常に高い高カロリーガスを効率的且つ経済
的に得ることができる。
の回収方法によれば、まず、150〜350℃の範囲内
の温度で石炭を熱分解し、低カロリー成分ガスを除いた
後、次の熱分解工程で石炭を熱分解することにより、低
位発熱量の非常に高い高カロリーガスを効率的且つ経済
的に得ることができる。
【図1】本発明の高カロリーガスの製造方法に用いられ
る処理装置の一例を示すブロック図。
る処理装置の一例を示すブロック図。
【図2】本発明の石炭とコールタールおよび/または重
質油の混合物の熱分解に用いられる処理装置の一例を示
すブロック図。
質油の混合物の熱分解に用いられる処理装置の一例を示
すブロック図。
【図3】本発明の石炭の改質方法に用いられる石炭改質
装置の一例を示すブロック図。
装置の一例を示すブロック図。
【図4】本発明のコールタールの改質方法に用いられる
コールタール改質装置の一例を示すブロック図。
コールタール改質装置の一例を示すブロック図。
【図5】本発明のコークスの製造方法に用いられる装置
の一例を示すブロック図。
の一例を示すブロック図。
【図6】図5に示すコークスの製造方法に用いられる装
置の熱処理装置を示す断面図。
置の熱処理装置を示す断面図。
【図7】本発明の高濃度水素ガスの製造方法に用いられ
る装置の一例を示すブロック図。
る装置の一例を示すブロック図。
【図8】本発明の石炭およびコールタールまたは重質油
のガス化方法のための装置の一例を示すブロック図。
のガス化方法のための装置の一例を示すブロック図。
【図9】図8に示す石炭およびコールタールまたは重質
油のガス化方法のための装置のガス化領域部分を示す断
面図。
油のガス化方法のための装置のガス化領域部分を示す断
面図。
【図10】本発明の石炭の熱分解成分ガスの回収方法に
用いられる処理装置の一例を示すブロック図。
用いられる処理装置の一例を示すブロック図。
【図11】図10に示した石炭の熱分解成分ガスの回収
方法に用いられる処理装置のパイプ型熱分解装置を示す
断面図。
方法に用いられる処理装置のパイプ型熱分解装置を示す
断面図。
10…高カロリーガス製造装置、 20…石炭とコールタールの混合物の熱分解処理装置、 40…石炭改質装置、 50…コールタール改質装置、 55、105…熱分解装置、 120…パイプ型熱分解装置 11、21、31、41、51、91、101…混合
器、 12、22、32、42、52、92、102、121
…石炭、 13、23、33、43、53、93、103、…コー
ルタール、 15、25、35、44、52…反応器、 16、27…熱分解炉、 26、36、45…蒸発器、 14、24、34、46、54、94、104…サービ
スタンク、 17、28、58、96…高カロリーガス、 97…高濃度水素ガス、30…チャー、38…改質炭、
81、98…コークス。
器、 12、22、32、42、52、92、102、121
…石炭、 13、23、33、43、53、93、103、…コー
ルタール、 15、25、35、44、52…反応器、 16、27…熱分解炉、 26、36、45…蒸発器、 14、24、34、46、54、94、104…サービ
スタンク、 17、28、58、96…高カロリーガス、 97…高濃度水素ガス、30…チャー、38…改質炭、
81、98…コークス。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C10G 1/02 9547−4H C10G 1/02 C10J 3/46 C10J 3/46 Z C10K 3/00 C10K 3/00 C10L 1/32 6958−4H C10L 1/32 D
Claims (21)
- 【請求項1】 石炭とコールタールおよび/または重質
油とを混合してスラリーを得る工程、 得られたスラリーを150ないし350℃に加熱してス
ラリー中の石炭をコールタールおよび/または重質油で
膨潤させて膨潤炭を得る第1の処理工程、および、 得られた膨潤炭を600℃以下の温度で加熱して高カロ
リーガスを得る第2の処理工程を具備することを特徴と
する高カロリーガスの製造方法。 - 【請求項2】 第1の処理工程の前に、スラリーを10
0ないし150℃の範囲内の温度で加熱してスラリーを
脱水する脱水工程を具備する請求項1記載の高カロリー
ガスの製造方法。 - 【請求項3】 第1の処理工程ないし第2の処理工程
を、内部をスラリーが移動するにつれて第1および第2
の処理工程が進行するように温度勾配を設けたパイプ型
熱処理装置を用いて行う請求項1または2に記載の高カ
ロリーガスの製造方法。 - 【請求項4】 石炭とコールタールおよび/または重質
油とを混合してスラリーを得る工程、 得られたスラリーを150ないし350℃に加熱してス
ラリー中の石炭をコールタールおよび/または重質油で
膨潤させて膨潤炭を得る第1の処理工程、 得られた膨潤炭を加熱して膨潤炭から軽質成分を除去す
る第2の処理工程、および、 第2の処理工程の後に残された改質炭を得る工程を具備
することを特徴とする石炭の改質方法。 - 【請求項5】 第1の処理工程の前に、スラリーを10
0ないし150℃の範囲内の温度で加熱してスラリーを
脱水する脱水工程を具備する請求項4記載の石炭の改質
方法。 - 【請求項6】 第1の処理工程ないし第2の処理工程
を、内部をスラリーが移動するにつれて第1および第2
の処理工程が進行するように温度勾配を設けたパイプ型
熱処理装置を用いて行う請求項4または5に記載の石炭
の改質方法。 - 【請求項7】 石炭とコールタールおよび/または重質
油とを混合してスラリーを得る工程、 得られたスラリーを150ないし350℃に加熱してス
ラリー中の石炭をコールタールおよび/または重質油で
膨潤させて膨潤炭を得る第1の処理工程、および、 得られた膨潤炭を加熱して膨潤炭からコールタールおよ
び/または重質油の軽質成分を分離および回収する第2
の処理工程を具備することを特徴とするコールタールお
よび/または重質油の改質方法。 - 【請求項8】 第1の処理工程の前に、スラリーを10
0ないし150℃の範囲内の温度で加熱してスラリーを
脱水する脱水工程を具備する請求項7記載のコールター
ルおよび/または重質油の改質方法。 - 【請求項9】 第1の処理工程ないし第2の処理工程
を、内部をスラリーが移動するにつれて第1および第2
の処理工程が進行するように温度勾配を設けたパイプ型
熱処理装置を用いて行う請求項4または5に記載のコー
ルタールおよび/または重質油の改質方法。 - 【請求項10】 石炭とコールタールおよび/または重
質油とを混合してスラリーを得る工程、 得られたスラリーを150ないし350℃に加熱してス
ラリー中の石炭をコールタールおよび/または重質油で
膨潤させて膨潤炭を得る第1の処理工程、 得られた膨潤炭を加熱して軽質成分を除去する第2の処
理工程、 第2の処理工程の後に残された膨潤炭を600℃以下の
温度で加熱して高カロリーガスを得る第3の処理工程、 第3の処理工程の後に残された膨潤炭の熱分解残渣を1
200℃以下の温度で加熱してコークスを得る第4の処
理工程、および、 第4の処理工程の後に残されたコークスを回収する工程
を具備することを特徴とするコークスの製造方法。 - 【請求項11】 第1の処理工程の前に、スラリーを1
00ないし150℃の範囲内の温度で加熱してスラリー
を脱水する脱水工程を具備する請求項10記載のコーク
スの製造方法。 - 【請求項12】 第1の処理工程ないし第4の処理工程
を、内部をスラリーが移動するにつれて第1ないし第4
の処理工程が進行するように温度勾配を設けたパイプ型
熱処理装置を用いて行う請求項10または11に記載の
コークスの製造方法。 - 【請求項13】 石炭とコールタールおよび/または重
質油とを混合してスラリーを得る工程、 得られたスラリーを150ないし350℃に加熱してス
ラリー中の石炭をコールタールおよび/または重質油で
膨潤させて膨潤炭を得る第1の処理工程、 得られた膨潤炭を加熱して軽質成分を除去する第2の処
理工程、 第2の処理工程の後に残された膨潤炭を600℃以下の
温度で加熱して高カロリーガスを得る第3の処理工程、
および、 第3の処理工程の後に残された膨潤炭の熱分解残渣を1
200℃以下の温度で加熱して膨潤炭を加熱分解して高
濃度水素ガスを得る第4の処理工程、 を具備することを特徴とする高濃度水素ガスの製造方
法。 - 【請求項14】 第1の処理工程の前に、スラリーを1
00ないし150℃の範囲内の温度で加熱してスラリー
を脱水する脱水工程を具備する請求項13記載の高濃度
水素ガスの製造方法。 - 【請求項15】 第1の処理工程ないし第4の処理工程
を、内部をスラリーが移動するにつれて第1ないし第4
の処理工程が進行するように温度勾配を設けたパイプ型
熱処理装置を用いて行う請求項14または15に記載の
高濃度水素ガスの製造方法。 - 【請求項16】 石炭とコールタールおよび/または重
質油とを混合してスラリーを得る工程、 得られたスラリーを150ないし350℃に加熱してス
ラリー中の石炭をコールタールおよび/または重質油で
膨潤させて膨潤炭を得る第1の処理工程、 得られた膨潤炭を加熱して軽質成分を除去する第2の処
理工程、 第2の処理工程の後に残された膨潤炭を600℃以下の
温度で加熱して軽質成分を除去する第3の処理工程、 第3の処理工程の後に残された膨潤炭を1200℃以下
の温度で加熱して膨潤炭を加熱分解して高濃度水素ガス
を得る第4の処理工程、および、 第4の処理工程の後に残された残留炭素分をガス化剤存
在下でガス化する第5の処理工程を具備することを特徴
とする石炭とコールタールおよび/または重質油のガス
化方法。 - 【請求項17】 第1の処理工程の前に、スラリーを1
00ないし150℃の範囲内の温度で加熱してスラリー
を脱水する脱水工程を具備する請求項16記載の石炭と
コールタールおよび/または重質油のガス化方法。 - 【請求項18】 第1の処理工程ないし第5の処理工程
を、内部をスラリーが移動するにつれて第1ないし第5
の処理工程が進行するように温度勾配を設けたパイプ型
熱処理装置を用いて行う請求項16または17に記載の
石炭とコールタールおよび/または重質油のガス化方
法。 - 【請求項19】 石炭を150ないし350℃の範囲内
の温度で加熱して石炭の初期熱分解ガスを回収する第1
の処理工程、および、 第1の処理工程の後に石炭を350ないし1000℃の
範囲内の温度で加熱して熱分解成分ガスを回収する第2
の処理工程を具備することを特徴とする石炭からの熱分
解成分ガスの回収方法。 - 【請求項20】 第1の処理工程の前に、石炭を100
ないし150℃の範囲内の温度で加熱して石炭を脱水す
る脱水工程を具備する請求項19記載の石炭からの熱分
解成分ガスの回収方法。 - 【請求項21】 第1の処理工程ないし第2の処理工程
を、内部を石炭が移動するにつれて第1ないし第2の処
理工程が進行するように温度勾配を設けたパイプ型熱処
理装置を用いて行う請求項19または20に記載の石炭
からの熱分解成分ガスの回収方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP15747695A JPH093457A (ja) | 1995-06-23 | 1995-06-23 | 石炭並びに石炭とコールタールおよび/または重質油の混合物の処理方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP15747695A JPH093457A (ja) | 1995-06-23 | 1995-06-23 | 石炭並びに石炭とコールタールおよび/または重質油の混合物の処理方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH093457A true JPH093457A (ja) | 1997-01-07 |
Family
ID=15650522
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP15747695A Pending JPH093457A (ja) | 1995-06-23 | 1995-06-23 | 石炭並びに石炭とコールタールおよび/または重質油の混合物の処理方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH093457A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2003066782A1 (fr) * | 2002-02-08 | 2003-08-14 | Sekiguchi Co., Ltd. | Procede d'inhibition de formation de depot, liquide inhibe de la formation de depot, et liquide d'emulsion inhibe de la formation de depot |
WO2014051180A1 (ko) * | 2012-09-27 | 2014-04-03 | 한국에너지기술연구원 | 팜 잔사유를 이용한 석탄의 개질방법 |
CN109321264A (zh) * | 2018-10-31 | 2019-02-12 | 西北大学 | 一种煤热解增油装置及工艺 |
KR20230024661A (ko) * | 2021-08-12 | 2023-02-21 | 재단법인 포항산업과학연구원 | 이차전지 음극재 제조용 조립 탄화 반응기 |
-
1995
- 1995-06-23 JP JP15747695A patent/JPH093457A/ja active Pending
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AU2012390659B2 (en) * | 2012-09-27 | 2015-07-02 | Korea Institute Of Energy Research | Method for reforming coal using palm residue |
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