JPH10231489A - 硫黄固定化剤配合固形燃料の製造方法 - Google Patents

硫黄固定化剤配合固形燃料の製造方法

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JPH10231489A
JPH10231489A JP11113997A JP11113997A JPH10231489A JP H10231489 A JPH10231489 A JP H10231489A JP 11113997 A JP11113997 A JP 11113997A JP 11113997 A JP11113997 A JP 11113997A JP H10231489 A JPH10231489 A JP H10231489A
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fixing agent
sulfur
slurry
gas
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JP11113997A
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Takeshi Konishi
武史 小西
Ichiro Ueno
一郎 上野
Takeshi Furukawa
武 古川
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NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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  • Production Of Liquid Hydrocarbon Mixture For Refining Petroleum (AREA)
  • Solid Fuels And Fuel-Associated Substances (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 脱硫効果が高くかつ硫黄固定化剤の利用率が
高い硫黄固定化剤配合固形燃料を製造できる硫黄固定化
剤配合固形燃料の製造方法を提供する。 【解決手段】 固体燃料11、液体燃料12および硫黄
固定化剤13を混合器14により混合してスラリーを調
製する。得られたスラリーをサービスタンク15に導
き、貯蔵しておく。次いで、サービスタンク15から熱
分解反応器16に供給する。熱分解反応器16では、ス
ラリーに対して熱処理工程が施される。スラリー熱分解
することにより、高カロリーガス17、軽質液生成物1
8および硫黄固定化剤配合固形燃料19が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、硫黄固定化剤配合
固形燃料の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】石炭のガス化において、炉内脱硫を目的
として、イオン交換によりカルシウムを褐炭に担持させ
る技術が、例えば、第33回石炭科学会議講演論文集、
1996年、第319頁(以下、文献1という)に報告
されている。この方法では、水酸化カルシウム[Ca
(OH)2 ]スラリー中に褐炭を加えて24時間攪拌す
ることにより、カルシウム担持炭を調製する。このカル
シウム担持炭は、石灰石よりも高い脱硫率を示し、脱硫
能を有するカルシウムの高分散化と、それによる高いカ
ルシウム利用率を達成できるという利点がある。
【0003】また、特公平6−68110号公報(以
下、文献2という)には、家庭用燃料、セントラルヒー
ティングボイラまたは火力発電燃料のために、石油コー
クスまたは主として石油コークスおよび石炭の混合物か
らなる微粒炭素担体、結合剤および製品ブリケットあた
り2重量%以上の炭酸カルシウムおよび/またはドロマ
イトからなる燃料ブリケットが開示されている。さら
に、文献2には、燃料ブリケットの製造方法として、上
記混合物を100℃以上で500℃を越えない温度で熱
分解して揮発分を減じる技術も開示されている。これら
の文献2に記載された技術によれば、硫黄含有率の高い
石油コークスを利用したブリケット燃料でも、燃焼時に
個々のブリケットの周囲に適当な厚さのカルシウム含有
灰分層が生じ、燃焼制御および脱硫を効率的に行うこと
ができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記文献1に開示され
たカルシウム担持炭の製造方法では、水酸化カルシウム
スラリー中へ石炭を混合および撹拌するが、水酸化カル
シウムスラリーは製造コストが高く、また、水酸化カル
シウムスラリーからのカルシウム担持炭の分離が工業化
に適していない。
【0005】また、上記文献2に開示された燃料ブリケ
ットの製造方法では、脱硫剤の混合を、炭素質担体との
固体/固体混合により行っている。このため、脱硫効果
を有するアルカリ金属成分を石炭または石油コークスの
構成分子中に均一に分散させ、燃料時の脱硫剤利用率を
高めることが困難である。
【0006】本発明は、かかる点に鑑みてなされたもの
であり、脱硫効果が高くかつ硫黄固定化剤の利用率が高
い硫黄固定化剤配合固形燃料を製造できる硫黄固定化剤
配合固形燃料の製造方法を提供する。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、固体燃料、液
体燃料および硫黄固定化剤を混合してスラリーを調製す
る工程、および、前記スラリーを600℃以下の温度で
熱分解して軽質液生成物、高カロリーガスおよび硫黄固
定化剤配合固形燃料を得る工程を具備することを特徴と
する硫黄固定化剤配合固形燃料の製造方法を提供する。
【0008】本発明は、また、固体燃料、液体燃料およ
び硫黄固定化剤を混合してスラリーを調製する工程、前
記スラリーを600℃以下の温度で熱分解して軽質液生
成物、高カロリーガスおよび熱分解残渣を得る第1熱処
理工程、前記第1熱処理工程で得られた前記熱分解残渣
を後の工程で発生する中カロリーガス雰囲気中で加熱乾
留して乾留ガスおよび乾留残渣を得る第2熱処理工程、
および、前記第2熱処理工程で得られた前記乾留残渣を
酸素含有ガス雰囲気で1200℃以下の温度で部分酸化
して中カロリーガスを発生させると共に硫黄固定化剤配
合固形燃料を得る第3熱処理工程を具備することを特徴
とする硫黄固定化剤配合固形燃料の製造方法を提供す
る。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面を
参照して詳細に説明する。本発明者らは、上述の課題を
解決すべく鋭意検討した結果、石炭の膨潤反応を利用す
ることにより、石炭の燃焼利用時に脱硫効果または硫黄
固定化能を発揮する硫黄固定化剤を石炭中に分子レベル
で、均一に分散させることができることを見出し、本発
明を完成した。
【0010】石炭の膨潤反応とは、石炭と、コールター
ル、タールピッチまたは石油系重質油のような液体燃料
とを混合し適度に加熱すると、石炭の構成分子中の水酸
基、カルボキシル基、ヘテロ環中のヘテロ原子等の官能
基同士の結合が緩和され、石炭の体積が増加することで
あり、石炭熱分解の前処理等への利用が検討されてい
る。
【0011】図1は、本発明に係る硫黄固定化剤配合固
形燃料の製造方法の一実施形態のフローを示す概略図で
ある。本発明に係る硫黄固定化剤配合固形燃料の製造方
法では、第1に、固体燃料11、液体燃料12および硫
黄固定化剤13を混合してスラリーを調製する。ここで
使用される固体燃料11は、石炭および石炭と同様の構
造を有する固体を含む石炭系固体物であり、例えば、泥
炭、亜炭、褐炭、亜瀝青炭、瀝青炭および無煙炭、山元
で発生する泥炭、選炭スラッジまたはこれらのうち少な
くとも2種の混合物である。
【0012】一方、液体燃料12は、液状であって炭素
を含有する物質である。液状燃料12は、例えば、コー
ルタール、タールピッチ、タール蒸留中間製品、タール
滓、重質油、廃油、汚泥、廃液および有機系廃溶剤から
なる群から選択される少なくとも1つである。
【0013】ここで、コールタールは、特に限定されな
いが、製鉄プロセスにおいてコークス炉から副生するも
のを好適に使用することができる。また、重質油として
は、直留系である常圧残油、減圧残油、アスファルテン
や、分解系であるエチレンタール、FCCデカントオイ
ル等の石油系重質油が用いられる。さらに、石炭系の石
炭液化残油、石炭液化生成油やオイルサンド系のオリノ
コタール、オリマルジョン、コールドレーク等も使用で
きる。廃油は、圧延工程で発生する廃油、廃塗料、タン
デム廃油または廃グリースである。また、汚泥とは、例
えば、コークス炉ガス精製工程で生じる活性汚泥、圧延
工程で発生する汚泥状の油スラッジ、製紙加工で発生す
る汚泥、その他一般の下水汚泥等である。また、廃液と
は、例えば、パルプ廃液等である。
【0014】硫黄固定化剤13は、一般的に硫黄固定化
剤または脱硫剤として知られているものであり、カルシ
ウム、マグネシウム、ナトリウムまたはカリウムを含有
する。硫黄固定化剤13は、具体的には、CaO、Ca
(CO32 ,Ca(OH)2 ,MgO,Mg(OH)
2 ,Mg(CO32 ,Na2 CO3 ,NaOH,K2
CO3 ,KOH,石灰石、消石灰、生石灰、ドロマイ
ト、蛍石、転炉スラグ、脱硫スラグ、脱燐スラグまたは
二次精錬スラグの製鋼スラグ、生コンクリートスラッジ
および酸による中和処理が必要なアルカリ性廃液からな
る群から選択される少なくとも1種である。ここで、酸
による中和処理が必要なアルカリ性廃液とは、例えば、
鋼板の酸洗処理廃液を中和処理した後のアルカリ性廃液
である。
【0015】上述の固体燃料11、液体燃料12および
硫黄固定化剤13を、例えば混合器14により混合して
スラリーを調製する。混合器14としては両成分が均一
に混合できるものであれば特に制限されないが、スクリ
ュー混合機、ボールミル、ロッドミル等を使用できる。
ボールミルおよびロッドミルは混合と同時に粉砕も行う
ことができるので好ましい。
【0016】混合器14としてボールミルまたはロッド
ミルを用いたとき、固形燃料11として粉末を用いた場
合にその粒度は、液体燃料12と共に混合してスラリー
化するために、粒径約5mm以下が好ましく、より好ま
しくは100μm以下が良い。ボールミルやロッドミル
を用いない場合には、固体燃料11を予め粉砕しても良
い。固体燃料11を粉砕するためには、機械せん断式粉
砕機、高速回転式衝撃粉砕機、ジェットミル等が使用で
きる。
【0017】混合時間は、混合比率に応じて適宜選択す
ればよいが、ボールミルやロッドミル等を使用し粉砕を
兼ねる場合は、固体燃料11の種類にもよるが、5分か
ら60分が好ましい。また、混合の温度は、スラリーが
固化しないようにするため、100℃未満に保つ必要が
ある。
【0018】得られたスラリーを、例えば、2軸スクリ
ューポンプ等のポンプによって貯蔵手段としてのサービ
スタンク15に導き、貯蔵しておく。この貯蔵において
も、タンク内の温度はスラリーの固化が起こらないよう
に100℃未満に保つ必要がある。スラリーは、サービ
スタンク15に貯留することなく、後述の如く、次の熱
分解反応器16に導入しても良い。
【0019】次いで、サービスタンク15からスラリー
を押し出しポンプ、スネークポンプ、2軸スクリューポ
ンプ、ダイヤグラムホースポンプ、プランジャーポンプ
等のような搬送手段(図示せず)により熱分解反応器1
6に供給する。熱分解反応器16では、スラリーに対し
て熱処理工程が施される。スラリーは、固体燃料11と
固体燃料11の微細構造内に浸透した炭素含有物質を含
む。このスラリーを、不活性雰囲気または還元性雰囲気
中で熱分解することにより、高カロリーガス17が得ら
れる。高カロリーガス17は、例えば、メタン、一酸化
炭素、二酸化炭素、エタン、エチレン、プロパン、プロ
ピレン、n- ブタン、i- ブタン等を含む。また、スラ
リー中に含有される軽質タールのような低沸点の軽質液
生成物18も分離される。
【0020】この熱処理工程での処理温度は600℃以
下である。処理温度が600℃を超えた場合には、スラ
リーから水素等のカロリーの低い分解成分ガスが発生
し、得られるガスのカロリーが低下するからである。処
理温度の下限値は、原料の固体燃料11、液体燃料12
の性状等を考慮して選択することができるため、特に限
定されない。具体的には、処理温度は300℃ないし6
00℃の範囲内から適宜選択される。
【0021】上述のような熱処理工程は、熱分解反応器
16として、その内部が600℃以下の温度に設定さ
れ、かつ、その内部をスラリーが送通されるようになっ
ていているものを用いることができる。このような熱分
解反応器16は、より具体的には、向流二重管式反応器
で有り得る。
【0022】上述の熱処理工程で、高カロリーガス17
および軽質液生成物18が分離された残渣(以下、熱分
解残渣という)として硫黄固定化剤配合固形燃料19が
得られる。この熱分解残渣を成型機で成型しても良い。
【0023】以上説明した第1実施形態に係る硫黄固定
化剤配合固形燃料の製造方法によれば、固体燃料、液体
燃料および硫黄固定化剤を混合してスラリーを調製し、
このスラリーに600℃以下の温度で熱分解する。この
スラリーを調製するときおよび熱分解の過程で、固体燃
料および硫黄固定化剤は液状の液体燃料の存在下で混合
されるため、固体/固体混合の場合よりも硫黄固定化剤
が固体燃料例えば石炭の構成分子中に均一に分散させる
ことができる。また、この熱処理工程により、石炭の化
学構造における水素結合が液体燃料の分子によって緩和
され、加熱時に官能基が脱離、分解しやすい状態とな
り、膨潤反応が起こる。この膨潤反応により、硫黄固定
化剤に含まれるカルシウム、マグネシウム、ナトリウム
またはカリウムが、石炭の官能基と結合し易く、内部に
硫黄固定化剤が略均一に分布した硫黄固定化剤配合固形
燃料が得られる。従来の方法により得られた、硫黄固定
化剤が固体燃料の表面にのみ付着していたり固体燃料中
に十分に分散されていない硫黄固定化剤配合固形燃料に
比べて、本発明の方法により得られる硫黄固定化剤配合
固形燃料は、燃焼時の硫黄固定化剤の利用率が高いの
で、脱硫効果が高くかつ硫黄固定化剤の使用原単位を低
減できる。
【0024】また、本発明の第1実施形態に係る硫黄固
定化剤配合固形燃料の製造方法は、硫黄固定化剤として
製鉄所で発生する安価な転炉スラグ、脱硫スラグ、脱燐
スラグ、二次精錬スラグ、アルカリ性廃液または生コン
クリートスラッジを使用することにより、さらに硫黄固
定化剤の購入コストを低減できる。
【0025】以下、本発明の硫黄固定化剤配合固形燃料
の製造方法のさらに具体的な実施形態についてに説明す
る。図2は、本発明の第1実施形態に係る硫黄固定化剤
配合固形燃料の製造方法を適用した固形燃料製造装置3
0を示す概略図である。この例では固体燃料11として
石炭を用いている。図中31は、石炭ホッパーである。
石炭ホッパー31の排出側には、ボールミル32が設け
られている。また、ボールミル32には、液体燃料用の
タンク33が、プランジャーポンプ34を介して接続さ
れている。さらにボールミル32には、硫黄固定化剤用
ホッパー29が接続され、硫黄固定化剤をボールミル3
2に供給するように構成されている。
【0026】ボールミル32の後段には、サービスタン
ク(容量5m3 )35が設けられている。このサービス
タンク35の後段には、二軸スクリューポンプ36が設
けられている。二軸スクリューポンプ36の排出側に
は、向流型二重管式熱分解装置37が設けられている。
【0027】向流型二重管式熱分解装置37は、互いに
同心円で配置された内管部38および外管部39を具備
する。内管部38は出口側端部に拡径部38aが設けら
れている。内管部38および外管部39の間には燃焼空
間40が設けられている。外管部39の出口側端部の近
傍には、燃焼空間40に燃料ガスおよび空気を供給する
ための燃料ガス供給手段41および空気供給手段42が
設けられている。一方、外管部39の入口側端部の近傍
には、燃焼排ガス排気手段43が設けられている。
【0028】内管部38の出口側には、内管部38に連
通するようにして、ガス/残渣分離部44が設けられて
いる。ガス/残渣分離部44の頂上部には、ガス導出管
45が接続されている。ガス導出管45の出口側は、2
つの支管46、47に分岐している。
【0029】ガス残渣分離部44の底部には、2つの残
渣ダンパー48、49が、上下に積み重ねられている。
上述のような固形燃料製造装置30において、次のよう
にして硫黄固定化剤配合固形燃料が製造される。第1
に、石炭ホッパー31に収容された原料の石炭を、ボー
ルミル32に導入する。一方、タンク33に収容された
液体燃料を、プランジャーポンプ34によりボールミル
32に送り込む。また、硫黄固定化剤を硫黄固定化剤用
ホッパー29からボールミル32に導入する。
【0030】ボールミル32により、石炭の粉砕および
石炭と液体燃料との混合を行い、スラリーを得る。得ら
れたスラリーを、サービスタンク35に送り込み、一時
的に貯留する。サービスタンク35に貯留されたスラリ
ーを、二軸スクリューポンプ36により、向流型二重管
式熱分解装置37の内管部38内に押し入れる。スラリ
ーは、二軸スクリューポンプ36の押し出す力により、
内管部38内を入口側から出口側に向かって徐々に進
む。
【0031】一方、内管部38および外管部39の間の
燃焼空間40内には、燃料ガス供給手段41および空気
供給手段42を介して、燃料ガスおよび空気を供給す
る。この燃料ガスを燃焼空間40内の内管部38の出口
付近で燃焼させる。この燃料ガスの燃焼による高温の燃
焼排ガスは、燃焼空間40内を内管部38の入口側に向
かって流れてゆき、燃焼排ガス排気手段43を通じて排
気される。
【0032】従って、内管部38内をゆっくりと進んで
いるスラリーは、燃料ガスの燃焼および燃焼排ガスによ
り加熱される。この際に、内管部38の出口側近傍での
燃焼空間40内の温度が600℃以下になるように設定
する。
【0033】この結果、スラリーは600℃以下の処理
温度で熱分解され、高カロリーガスおよび揮発した軽質
液生成物の混合物が発生する。発生した高カロリーガス
および軽質液生成物の混合物は、ガス/残渣分離部44
を経て、ガス導出管45に流入する。ガス導出管45に
流入した混合物は、ガス導出管45内を流れるうちに冷
却され、比較的沸点が低い軽質液生成物が液化する。こ
の液化した軽質液生成物を下側の支管47を通じてデカ
ンター55により回収する。また、高カロリーガスを上
側の支管46を通じて回収する。
【0034】一方、熱分解残渣すなわち固形燃料は、順
次送り込まれるスラリーによりガス/残渣分離部44に
押し出され、その底部に一時的に蓄積される。その後、
固形燃料を、ガス/残渣分離部44の底部から、残渣ダ
ンパー48、49を介して回収する。
【0035】上述の向流型二重管式熱分解装置37にお
いては、内管部38内の温度分布が、内管部38の出口
側に近いほど高くなっている。すなわち、内管部38の
出口近傍は、燃焼空間40内での燃料ガスの燃焼により
加熱されるため最も温度が高い。内管部38の入口に近
づくと内管部38内は、燃料ガスの燃焼排ガスの顕熱に
より加熱される。この燃焼排ガスの温度は内管部38の
入口に近くなるほど低くなる。この結果、内管部38内
には、その入口側から出口側に向かって温度が高くなる
温度勾配が形成されている。
【0036】このような温度勾配が付与された内管部3
8内で、スラリーを徐々に送りながら加熱した場合に
は、スラリーの昇温速度が小さいため、石炭と液体燃料
との相互作用、すなわち膨潤反応が十分に起こり、最終
的に強度の高い固形燃料が得られるという利点がある。
【0037】また、スラリー中には、ピッチ分が含まれ
ている。熱分解に伴うピッチ分のコークス化が進行する
とスラリーが再固化し、スラリーの流動性が低くなり、
最悪の場合、内管部38内でスラリーが詰まってしまう
いわゆるコーキングを起こすことがある。コーキングが
起こると操業を停止する必要がある。このようなスラリ
ーのコーキングを防止するために、内管部38内での処
理温度を、ピッチ分の固化温度よりも低い温度にするこ
とが好ましい。しかし、処理温度が低過ぎるとスラリー
の熱分解が進行せず、高カロリーガスや軽質液生成物の
収率が低下してしまうので、ピッチ分の固化温度よりも
わずかに低い温度が最も好ましい。
【0038】ピッチ分の固化温度は、液体燃料の種類に
よって異なる。例えば、コールタールを液体燃料として
用いる場合には、ピッチ分の固化温度は、490℃であ
り、熱分解の処理温度を約470℃に設定できる。
【0039】しかしながら、向流型二重管式熱分解装置
37のように内管部38の出口側端部に拡径部38aを
設けた場合には、拡径部38での処理温度が、ピッチ分
の固化温度を越えてスラリーが固化したとしても、コー
キングが起こりにくい。この結果、拡径部38aでの処
理温度をピッチ分の熱分解温度以上600℃以下にする
ことが可能になる。
【0040】図3は、図2に示す固形燃料製造装置30
の変形例を示す概略図である。この変形例では、ガス/
残渣分離部44の底部と、残渣ダンパー48、49の間
に、ダブルロール式成型機70が配置されている。この
ダブルロール式成型機70により、熱処理工程で得られ
た硫黄固定化剤配合固形燃料を所望形状に成型できる。
【0041】以下、本発明の硫黄固定化剤配合固形燃料
の製造方法の第2実施形態について説明する。第2実施
形態に係る硫黄固定化剤配合固形燃料の製造方法では、
第1実施形態と同様に、固体燃料11、液体燃料12お
よび硫黄固定化剤13を混合してスラリーを調製する。
次いで、このスラリーを熱分解反応器16で600℃以
下の温度で熱分解する(以下、第1熱処理工程とい
う)。この第1熱処理工程で、高カロリーガスおよび軽
質液生成物が分離された熱分解残渣を、部分酸化・乾留
炉に導入する。
【0042】部分酸化・乾留炉では、第2熱処理工程お
よび第3熱処理工程を行う。第2熱処理工程では、第1
熱処理工程からの、600℃以下(例えば約450℃)
の熱分解残渣に対して非酸化雰囲気で加熱乾留を行う。
この非酸化雰囲気での乾留により乾留ガスが発生し、乾
留残渣が得られる。この第2熱処理工程で発生する乾留
ガスは、第1熱処理工程で発生した高カロリーガス17
が発生し終わった後なので水素を主成分とする高濃度水
素ガスである。
【0043】第3熱処理工程では、第2熱処理工程で得
られた乾留残渣を部分酸化する。具体的には、ガス化剤
として酸素含有ガスを供給し、酸素雰囲気中で乾留残渣
の部分酸化する。ここで部分酸化とは、個々の乾留残渣
を部分的に酸化すなわち燃焼させることである。この乾
留残渣の燃焼により中カロリーガスが発生する。この中
カロリーガスは、一酸化炭素および水素を含有する。一
酸化炭素は、乾留残渣の部分酸化すなわち燃焼で発生し
た二酸化炭素が、周囲の乾留残渣中に存在する炭素と反
応して変化したものである。
【0044】ここで用いられる酸素含有ガスは、例え
ば、空気、酸素ガス、酸素および水蒸気の混合ガスまた
は酸素および二酸化炭素の混合ガスである。第3熱処理
工程の処理温度は、1200℃以下の温度で行う必要が
ある。処理温度が1200℃を越えた場合には、得られ
る硫黄固定化剤配合固形燃料の強度が低下するからであ
る。処理温度の下限値は、原料の固体燃料11、液体燃
料12の性状等を考慮して選択することができるため、
特に限定されない。具体的には、処理温度は700℃な
いし1200℃の範囲内から適宜選択される。
【0045】第3熱処理工程での乾留残渣の部分酸化の
割合は、例えば、10〜80%の範囲内で選択される。
部分酸化の割合が10%よりも低いと熱分解残渣の乾留
に必要な熱量が得られず、また、中カロリーガスの発生
量が少なくなるおそれがあるからである。一方、80%
よりも高いと固形燃料中の灰分含有率が増大し、固形燃
料の発熱量が低下する。また、固形燃料の強度が低下
し、第3熱処理工程での粉塵の発生量が増大するおそれ
がある。
【0046】この部分酸化の割合は固体燃料11中の灰
分の割合に応じて決定することが好ましい。固形燃料は
灰分が多いほど強度が弱くなり、形状を維持できにくく
なる。例えば、固体燃料11中の灰分の割合が15重量
%である場合には、コールタールを石炭の1.5倍使用
する乾留残渣の部分酸化の割合を約25%まで設定する
ことが可能である。一方、固体燃料11中の灰分が1〜
2重量%である場合には、部分酸化の割合は約80%ま
で設定することが可能である。部分酸化の割合の変更
は、ガス化剤としての酸素含有ガスの供給量、または、
酸素含有ガスが酸素および水蒸気の混合ガスである場合
には水蒸気の量を変更することにより行うことができ
る。これにより、中カロリーガスの発生量を任意に調節
できる。
【0047】本発明の第2実施形態に係る硫黄固定化剤
配合固形燃料の製造方法では、第2熱処理工程での熱分
解残渣の加熱・乾留は、第3熱処理工程で発生した非酸
化性の中カロリーガスの雰囲気中で中カロリーガスの顕
熱を利用して行われる。すなわち、上記説明した通り、
本発明の第3熱処理工程では、第2熱処理工程で得られ
た乾留残渣の部分酸化を行い、一酸化炭素を豊富に含む
中カロリーガスが発生する。この中カロリーガスは、非
酸化性であると共に700〜1200℃の高温である。
この中カロリーガスの顕熱を第2熱処理工程での乾留に
利用する。これと同時に、中カロリーガスにより乾留の
周囲雰囲気を非酸化性にしている。この場合、第3工程
で発生した中カロリーガスは、第2熱処理工程で利用し
た後に回収される。回収された中カロリーガスのうち第
3熱処理工程で発生した一酸化炭素および水素が大部分
を占めている。第3熱処理工程での中カロリーガスの発
生は、主に乾留残渣の一部の燃焼、および、酸素含有ガ
ス中に水蒸気が含まれている場合には水蒸気によるガス
化によるため、熱分解残渣の燃焼がない第2熱処理工程
の乾留で発生する乾留ガスよりも量が多くなるからであ
る。
【0048】上述の第2実施形態に係る硫黄固定化剤配
合固形燃料の製造方法によれば、第1実施形態の方法で
得られる固形燃料よりも強度が高く、かつ燃焼利用時の
発塵の原因となる揮発分が極めて低い点で優れた固形燃
料が得られる。
【0049】次に、本発明の第2実施形態に係る硫黄固
定化剤配合燃料の製造方法についてさらに詳細に説明す
る。図4は、本発明の第2実施形態に係る硫黄固定化剤
配合固形燃料の製造方法を適用した固形燃料製造装置9
0を示す概略図である。図2に示す第1実施形態の固形
燃料製造装置30と同様の構成については同一の番号を
付し、説明を省略する。
【0050】向流型二重管式熱分解装置37のガス・残
渣分離部44の下側の残渣ダンパー49の下方には、シ
ャフト炉型反応器50が配置されている。シャフト炉型
反応器50の上部には、後述のようにシャフト炉型反応
器50内で発生した中カロリーガスを回収するための回
収管51が接続されている。また、シャフト炉型反応器
50の下部には、酸素含有ガス供給手段52が取付けら
れている。シャフト炉型反応容器50の下端部に設けら
れた出口には、2つの固形燃料ダンパー53、54が上
下に積み重ねられている。
【0051】上述の構成からなるシャフト炉型反応器5
0を具備する固形燃料製造装置90では、次の通り、硫
黄固定化剤配合固形燃料の製造が行われる。第1実施例
で説明した通り、第1熱処理工程で得られた熱分解残渣
を、ガス/残渣分離部44の底部から、残渣ダンパー4
8、49を介して、シャフト炉型反応器50内に供給す
る。シャフト炉型反応器50内では、図5に示すよう
に、乾留前の熱分解残渣56および乾留後の乾留残渣5
7が堆積している。なお、説明の都合上、図5では、熱
分解残渣56および乾留残渣57は一部省略されてい
る。
【0052】シャフト炉型反応容器50の下部は、乾留
後の乾留残渣57で充填されており、また、酸素含有ガ
ス供給手段52を介して酸素含有ガスが供給され、酸化
雰囲気になっている(以下、酸化反応帯58という)。
酸化反応帯58では、乾留残渣57を部分酸化、言い換
えれば、乾留残渣57を部分的に燃焼させている。この
部分酸化により、二酸化炭素が発生する。この二酸化炭
素は、周囲に存在する炭素と反応して一酸化炭素に変化
する。また、部分酸化に伴って乾留残渣57から水素も
発生する。この結果、固形燃料が得られる。
【0053】このような一酸化炭素および水素を主体と
する中カロリーガス59は、非酸化性でかつ乾留残渣5
7の部分酸化によって高温(1000〜1200℃)に
なっている。
【0054】中カロリーガス59は上昇してゆくため、
乾留残渣57の上側に堆積している、乾留前の熱分解残
渣56の周囲は、非酸化性でかつ高温の中カロリーガス
59の雰囲気となる(以下、非酸化反応帯60とい
う)。この非酸化反応帯60では、中カロリーガス59
の顕熱によって熱分解残渣56が加熱乾留され、高濃度
水素ガスが発生すると共に乾留残渣57が得られる。発
生した高濃度水素は、酸化反応帯で発生した中カロリー
ガス59と共に、図4に示す回収管51を介して回収さ
れる。
【0055】上述の酸化反応帯58での部分酸化で得ら
れた固形燃料を、図4に示す固形燃料ダンパー53、5
4により少しずつ回収することにより、非酸化反応帯6
0で得られた乾留残渣57が自重により徐々に酸化反応
帯58に移行する。回収した固形燃料の量に応じて、シ
ャフト炉型反応器50に熱分解残渣56を供給すること
により、連続的に乾留および部分酸化を行うことができ
る。
【0056】なお、固形燃料ガス製造装置90の操業開
始時は、シャフト炉型反応器50内に熱分解残渣56を
供給して一定量貯留する。この段階でシャフト炉型反応
器50の下部に酸素含有ガスを供給し、熱分解残渣56
を部分酸化して、熱分解残渣56の燃焼により発生する
高温の非酸化性ガスを利用して、非酸化反応帯60を形
成し、熱分解残渣56の乾留を開始する。
【0057】なお、ガス/残渣分離部44の底部と、残
渣ダンパー48、49の間に、図3に示すようにダブル
ロール式成型機70が配置しても良い。このダブルロー
ル式成型機70により、第1熱処理工程で得られた熱分
解残渣を成型した後に、残渣ダンパー48、49を介し
てシャフト炉型反応器50に供給する。この熱分解残渣
の成型により、熱分解残渣の粒度が揃えられ、かつ、強
度が高められるため、第3熱処理工程で均一な部分酸化
が可能になると共に、最終的に得られる固形燃料の粒度
が均一になり使用しやすくなる。また、成型によって固
形燃料の強度が高まるため、所望の強度の固形燃料を得
るために使用する原料石炭の品位を下げることができ、
経済的な効果も得られる。
【0058】
【実施例】以下、本発明の硫黄固定化剤配合固形燃料の
製造方法の実施例について説明する。 実施例1 図1に示すフローに従って、硫黄固定化剤配合固形燃料
の製造を行った。まず、原料の固体燃料11として、表
1に示す性状を有するPrima炭500kgを、粒度
−1mm80%、すなわち粒子径1mm以下の粒子が全
体の80%以上の重量割合になるように粉砕した。ま
た、液体燃料12としての表2に示すコールタール75
0kgを用意した。また硫黄固定化剤13としての石灰
石を、粒度−500μm80%、すなわち粒子径500
μm以下の粒子が全体の80%以上の重量割合になるよ
うに粉砕した。上記Prima炭を、上記コールタール
750kgおよび上記石灰石25kgと共に、リフター
式2室構造の湿式ボールミル(ドラムサイズ直径120
0×3600mm)からなる混合器14に導入し、これ
らを混合してスラリーを得た。
【0059】得られたスラリーを押し出しポンプでサー
ビスタンク15に導入して、一時貯留した。サービスタ
ンク15内は石炭の膨潤固化が起こらないように100
℃未満に維持した。
【0060】次に、サービスタンク15からスラリーを
二軸スクリューポンプにより、ステンレス製反応管(直
径400×15000mm)からなる熱分解反応器16
に供給した。この熱分解反応器16内を移送する間にス
ラリーを600℃まで加熱し、高カロリーガス17と軽
質液生成物18としての軽質タールと硫黄固定化剤配合
固形燃料を分別回収した。得られた高カロリーガス、軽
質タールおよび硫黄固定化剤配合固形燃料の生成割合を
表3に示す。
【0061】
【表1】
【0062】
【表2】
【0063】
【表3】
【0064】比較例1―1 石灰石を使用しない以外は、上記実施例1と同様の手順
で、高カロリーガス、軽質タールおよび固形燃料を得
た。
【0065】比較例1―2 比較例1−1で得られた固形燃料を一旦粒度を−1mm
80%に粉砕し、粒度−500μm80%の石灰石25
kgと十分混合した後、再び成型機により常温下で圧縮
成型して硫黄固定化剤配合固形燃料を得た。
【0066】比較例1−3 比較例1−1で得られた固形燃料を一旦粒度を−1mm
80%に粉砕し、粒度−500μm80%の石灰石10
5kgと十分混合した後、再び成型機により常温下で圧
縮成型して硫黄固定化剤配合固形燃料を得た。
【0067】実施例1,比較例1−1,1−2,1−3
について、固形燃料の燃焼時間に対する発生ガス中のS
x 濃度の平均値および固形燃料中の全硫黄分に対する
硫黄の固定化割合を表4に示す。
【0068】
【表4】
【0069】実施例2 図1に示すフローに従って、硫黄固定化剤配合固形燃料
の製造を行った。まず、表1に示す性状を有するIll
inois#6炭500kgを、粒度−1mm80%に
なるように粉砕した。また、液体燃料12としての表2
に示すカフジ減圧残油750kgを用意した。また硫黄
固定化剤13としての石灰石を、粒度−500μm80
%になるように粉砕した。上記Illinois#6炭
を、上記カフジ減圧残油750kgおよび上記石灰石2
61kgと共に、リフター式2室構造の湿式ボールミル
(ドラムサイズ直径1200×3600mm)からなる
混合器14に導入し、これらを混合してスラリーを得
た。以下、実施例1と同様の手順に従って、高カロリー
ガス17、軽質液生成物18としての軽質油および硫黄
固定化剤配合固形燃料を分別回収した。得られた高カロ
リーガス、軽質油および硫黄固定化剤配合固形燃料の生
成割合を表3に示す。
【0070】比較例2―1 石灰石を使用しない以外は、上記実施例2と同様の手順
で、高カロリーガス、軽質油および固形燃料を得た。
【0071】比較例2―2 比較例2−1で得られた固形燃料を一旦粒度を−1mm
80%に粉砕し、粒度−500μm80%の石灰石26
1kgと十分混合した後、再び成型機により常温下で圧
縮成型して硫黄固定化剤配合固形燃料を得た。
【0072】実施例2,比較例2−1,2−2につい
て、固形燃料の燃焼時間に対する発生ガス中のSOx
度の平均値および固形燃料中の全硫黄分に対する硫黄の
固定化割合を表5に示す。
【0073】
【表5】
【0074】実施例3 図1に示すフローに従って、硫黄固定化剤配合固形燃料
の製造を行った。まず、表1に示す性状を有するNan To
ng炭500kgを、粒度−1mm80%になるように粉
砕した。また、液体燃料12としての表2に示すコール
タール500kg、タール滓150kg、製鉄所発生廃
油50kg、活性汚泥50kgの混合液体750kgを
用意した。また、硫黄固定化剤13として、粒度−50
0μm80%に粉砕した表6に示す脱硫スラグ48kg
と、粒度−500μm80%になるように粉砕した石灰
石34kgを用意した。上記Nan Tong炭を、混合液体7
50kgならびに上記脱硫スラグ48kgおよび石灰石
34kgと共に、リフター式2室構造の湿式ボールミル
(ドラムサイズ直径1200×3600mm)からなる
混合器14に導入し、これらを混合してスラリーを得
た。以下、実施例1と同様の手順に従って、高カロリー
ガス17、軽質液生成物18としての軽質油および硫黄
固定化剤配合固形燃料を分別回収した。得られた高カロ
リーガス、軽質油および硫黄固定化剤配合固形燃料の生
成割合を表3に示す。
【0075】
【表6】
【0076】比較例3―1 脱硫スラグおよび石灰石を使用しない以外は、上記実施
例3と同様の手順で、高カロリーガス、軽質タールおよ
び固形燃料を得た。
【0077】比較例3―2 比較例3−1で得られた固形燃料を一旦粒度を−1mm
80%に粉砕し、粒度500μmに粉砕した脱硫スラグ
48kgおよび石灰石34と十分混合した後、再び成型
機により常温下で圧縮成型して硫黄固定化剤配合固形燃
料を得た。
【0078】実施例3,比較例3−1,3−2につい
て、固形燃料の燃焼時間に対する発生ガス中のSOx
度の平均値および固形燃料中の全硫黄分に対する硫黄の
固定化割合を表7に示す。
【0079】
【表7】
【0080】表4、5および7から明らかなように、石
炭、液体燃料および硫黄固定化剤を混合してスラリーを
調製した後、このスラリーを熱処理することにより得ら
れた実施例1ないし3の硫黄固定化剤配合固形燃料は、
比較例1―2、1−3、2−2および3−2の、固形燃
料に固体/固体混合で硫黄固定化剤を配合した場合に比
べて脱硫効果が高かった。また、固形燃料に対する硫黄
固定化剤の配合割合が同じでも脱硫効果が高いことか
ら、本発明の硫黄固定化剤配合固形燃料の製造方法によ
れは、硫黄固定化剤の使用原単位を低減できることがわ
かった。
【0081】さらに、実施例3から、硫黄固定化剤とし
て製鉄所で発生する安価な脱硫スラグのような製鋼スラ
グを使用できることが確認された。この結果から本発明
の方法によれば、硫黄固定化剤の利用率が高く、硫黄固
定化剤の購入コストの低減が図られることがわかった。
【0082】さらに、比較例1―2、1−3、2−2お
よび3−2で得られた硫黄固定化剤配合固形燃料は、図
6(A)に示すように、硫黄固定化剤13が十分に分散
されていなかったり、図6(B)に示すように、硫黄固
定化剤13がほとんど表面にのみ付着していた。これに
対して、実施例1ないし3で得られた硫黄固定化剤配合
固形燃料19は、図6(C)に示すように、硫黄固定化
剤13が十分に分散され、均一に配合されていた。
【0083】実施例4 次のように、硫黄固定化剤配合固形燃料の製造を行っ
た。まず、図1に示すフローに従って、原料の固体燃料
11として、表1に示す性状を有するPrima炭50
0kgを、粒度−1mm80%、すなわち粒子径1mm
以下の粒子が全体の80%以上の重量割合になるように
粉砕した。このPrima炭を、液体燃料12としての
表2に示すコールタール750kg、および、硫黄固定
化剤13としての粒度−500μm80%、すなわち粒
子径500μm以下の粒子が全体の80%以上の重量割
合になるように粉砕した石灰石25kgと共に、リフタ
ー式2室構造の湿式ボールミル(ドラムサイズ直径12
00×3600mm)からなる混合器14に導入し、両
者を混合してスラリーを得た。
【0084】得られたスラリーを押し出しポンプでサー
ビスタンク15に導入して、一時貯留した。サービスタ
ンク15内は石炭の膨潤固化が起こらないように100
℃未満に維持した。
【0085】次に、サービスタンク15からスラリーを
二軸スクリューポンプにより、ステンレス製反応管(直
径400×15000mm)からなる熱分解反応器16
に供給した。この熱分解反応器16内を移送する間にス
ラリーを600℃まで加熱し、高カロリーガス17と軽
質液生成物18を分別回収した。
【0086】続いて、熱分解反応器16から熱分解残渣
を、図4および5に示す部分酸化・乾留炉としてのシャ
フト炉型反応器50に導入した。酸素含有ガスとして酸
素および水蒸気の混合ガスを、シャフト炉型反応器50
の下部に酸素含有ガス手段52を介して供給し、熱分解
残渣の乾留および800℃での乾留残渣の部分酸化を行
った。この結果、シャフト炉型反応器50の炉頂から中
カロリーガスを、その底部から硫黄固定化剤配合固形燃
料を回収した。以上のようにして回収された軽質液生成
物18の発生量、高カロリーガス17の発生量および発
熱量、中カロリーガスの発生量および発熱量、並びに、
硫黄固定化剤配合固形燃料の発生量を表8に示す。
【0087】
【表8】
【0088】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の硫黄固定
化剤配合固形燃料の製造方法によれば、固体燃料、液体
燃料および硫黄固定化剤を混合してスラリーを調製し、
このスラリーを600℃以下の処理温度で熱分解してい
る。これにより、固体燃料および硫黄固定化剤が液体燃
料の存在下で混合されると共に、固体燃料の膨潤反応に
より、硫黄固定化剤が固体燃料中に均一に分散される。
この結果、脱硫効果が高い硫黄固定化剤配合固形燃料が
得られると共に、硫黄固定化剤の使用原単位を低減する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る硫黄固定化剤配合固形燃料の製造
方法の一実施形態のフローを示す概略図。
【図2】本発明の第1実施形態に係る硫黄固定化剤配合
固形燃料の製造方法を適用した固形燃料製造装置を示す
概略図。
【図3】図2に示す固形燃料製造装置の変形例を示す概
略図。
【図4】本発明の第2実施形態に係る硫黄固定化剤配合
固形燃料の製造方法を適用した固形燃料製造装置を示す
概略図。
【図5】図4に示す固形燃料製造装置のシャフト炉型反
応器を示す概略図。
【図6】(A)、(B)は比較例によって得られた硫黄
固定化剤配合固形燃料における硫黄固定化剤の分布を示
す模式図、(C)は実施例によって得られた硫黄固定化
剤配合固形燃料における硫黄固定化剤の分布を示す模式
図。
【符号の説明】
11…固体燃料、12…液体燃料、13…硫黄固定化
剤、14…混合器、15…サービスタンク、16…熱分
解反応器、17…高カロリーガス、18…軽質液生成
物、19…硫黄固定化剤配合固形燃料、37…向流型二
重管式熱分解反応装置、50…シャフト炉型反応器。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C10K 3/00 C10K 3/00 C10L 3/06 C10L 3/00 A

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 固体燃料、液体燃料および硫黄固定化剤
    を混合してスラリーを調製する工程、および、 前記スラリーを600℃以下の温度で熱分解して軽質液
    生成物、高カロリーガスおよび硫黄固定化剤配合固形燃
    料を得る工程を具備することを特徴とする硫黄固定化剤
    配合固形燃料の製造方法。
  2. 【請求項2】 固体燃料、液体燃料および硫黄固定化剤
    を混合してスラリーを調製する工程、 前記スラリーを600℃以下の温度で熱分解して軽質液
    生成物、高カロリーガスおよび熱分解残渣を得る第1熱
    処理工程、 前記第1熱処理工程で得られた前記熱分解残渣を後の工
    程で発生する中カロリーガス雰囲気中で加熱乾留して乾
    留ガスおよび乾留残渣を得る第2熱処理工程、および、 前記第2熱処理工程で得られた前記乾留残渣を酸素含有
    ガス雰囲気で1200℃以下の温度で部分酸化して中カ
    ロリーガスを発生させると共に硫黄固定化剤配合固形燃
    料を得る第3熱処理工程を具備することを特徴とする硫
    黄固定化剤配合固形燃料の製造方法。
  3. 【請求項3】 硫黄固定化剤が、CaO、Ca(CO
    32 ,Ca(OH)2 ,MgO,Mg(OH)2 ,M
    g(CO32 ,Na2 CO3 ,NaOH,K2 CO
    3 ,KOH,石灰石、消石灰、生石灰、ドロマイト、蛍
    石、製鋼スラグ、生コンクリートスラッジ、および、酸
    による中和処理が必要なアルカリ性廃液からなる群から
    選択される少なくとも1種である請求項1または2記載
    の硫黄固定化剤配合固形燃料の製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2009131271A1 (en) * 2008-04-21 2009-10-29 Jmbio Inc. Method and apparatus for enhancing flammability performance of flammable liquid
KR101004606B1 (ko) * 2008-04-21 2010-12-28 제이엠바이오 주식회사 인화성 액체의 인화성능 강화를 위한 예열장치
CN116332667A (zh) * 2023-04-06 2023-06-27 中国科学院过程工程研究所 一种含硫固废制备多孔材料及固化硫的方法

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