JPH0933989A - 照明光学系 - Google Patents

照明光学系

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JPH0933989A
JPH0933989A JP7207604A JP20760495A JPH0933989A JP H0933989 A JPH0933989 A JP H0933989A JP 7207604 A JP7207604 A JP 7207604A JP 20760495 A JP20760495 A JP 20760495A JP H0933989 A JPH0933989 A JP H0933989A
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optical axis
lens
illumination
optical system
fresnel lens
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JP7207604A
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Motoyuki Otake
基之 大竹
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Nikon Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 たとえばカメラに適用された場合に、カメラ
本体のデザインを優先させながらも、所定の撮影範囲を
良好に照明することができる照射角可変の照明光学系を
提供すること。 【解決手段】 照明光を供給するための発光手段と、該
発光手段からの光束を屈折作用により指向させるための
指向手段とを備えた照明光学系において、前記発光手段
および前記指向手段のうち少なくとも一方を前記指向手
段の光軸方向とは異なる方向に移動させて前記発光手段
と前記指向手段との間隔を変化させることによって、所
定の距離における照明範囲を変化させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は照明光学系に関し、
特に所定の範囲を照明するためのカメラ等に好適な照明
光学系であって照射角が可変の照明光学系に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】図17は、従来の照明光学系を備えたカ
メラの斜視図である。図17のカメラは、カメラ本体1
1を備えている。カメラ本体11の正面側(被写体側)
には、図示のように光軸14を有する撮影レンズ12、
ファインダー窓13および照明光学系15がそれぞれ配
置されている。
【0003】赤目現象(目が赤く写ってしまう現象)を
緩和するために、照明光学系15は撮影レンズ12から
できるだけ離れた位置に配置されている。すなわち、カ
メラ本体11を正面から見て、照明光学系15はカメラ
本体11の右端隅部や左端隅部に配置されている。図1
8は、図17の照明光学系15の断面図であって、
(a)はキセノン管1の長手方向軸線に垂直な面に沿っ
た断面図であり、(b)はキセノン管1の長手方向軸線
とフレネルレンズ2の光軸5とを含む面に沿った断面図
である。
【0004】図17および図18に示すように、照明光
学系15は、円筒形状で直管タイプのキセノン管1、反
射傘9およびフレネルレンズ2からなる。発光光源であ
るキセノン管1は、その長手方向軸線が撮影レンズ12
の光軸14に対して垂直になるように位置決めされてい
る。なお、反射傘9はキセノン管1を包囲するような形
状を有し、キセノン管1からの光をフレネルレンズ2に
向かって反射する。また、フレネルレンズ2の光軸5
は、撮影レンズ12の光軸14と平行であり、且つフレ
ネルレンズ2の外径形状(外側面によって規定される形
状)4の中心軸線(外径中心軸線)6と一致している。
【0005】さらに、フレネルレンズ2の被写体側(図
18中左側)の面がフレネルレンズ2の光軸5に対して
垂直な平面状に形成されている。一方、フレネルレンズ
2のキセノン管1側の面は、レンズ光軸5を回転中心と
する複数の輪帯状のフレネル要素からなるフレネル面状
に形成されている。こうして、キセノン管1より発した
光束は、反射傘9において反射されて間接的に、あるい
はキセノン管1から直接的に、フレネルレンズ2に入射
する。フレネルレンズ2で屈折された光は、撮影レンズ
12の撮影範囲を照明するように指向される。
【0006】キセノン管1より発した光束により撮影レ
ンズ12の撮影範囲を有効に照明するには、照明光学系
15の照射角を撮影レンズ2の画角に近づけることが肝
要である。照明光学系15の照明範囲は、距離dだけ離
れた位置おいて、照射角をεとするとd× tanεの範囲
に相当する。一方、撮影レンズ12の撮影範囲は、半画
角をωとするとd× tanωの範囲に相当する。ただし、
撮影レンズ12の撮影範囲は、焦点距離に依存して変化
する。また、同じ焦点距離であっても合焦状態(撮影距
離)が異なると撮影範囲が変化する。すなわち、撮影レ
ンズ12の撮影範囲は、撮影距離および焦点距離の双方
に依存して変化する。
【0007】図19は、図18のキセノン管1より発し
た光束の光路図である。図19に示すように、従来技術
による照明光学系では、撮影レンズ12の撮影範囲を良
好に照明するように、球面収差が良好に補正されてい
る。しかしながら、1つのフレネル面だけでは、球面収
差とサインコンディションとを同時に補正することはで
きない。したがって、従来技術による照明光学系では、
球面収差が良好に補正されているが、サインコンディシ
ョンは充分に補正されていなかった。この場合、例えば
フレネルレンズ2の両側の面をフレネル面状に形成する
ことにより、球面収差とサインコンディションとを同時
に補正することも考えられる。
【0008】しかしながら、フレネル面では、各フレネ
ル要素が全体として連続的な形状を構成していないた
め、光量の損失が大きい。したがって、フレネルレンズ
2の両側の面をフレネル面状に形成すると、効率的な照
明を行うことができなくなってしまう。また、フレネル
レンズ2の照明範囲側の面もフレネル面状に形成する
と、この外部に露出した照明範囲側のフレネル面が汚れ
た場合、汚れを容易に拭き取ることができないという不
都合もあった。
【0009】図20は、フレネルレンズを有しない照明
光学系の構成を概略的に示す図である。図20に示すよ
うに、フレネルレンズが存在しない照明光学系では、カ
メラ前面の開口部91とキセノン管1との位置関係に基
づいて照射角εが規定される。しかしながら、実際に
は、カメラ本体の薄型化を図るために、集光作用を有す
るフレネルレンズを配置する。そして、フレネルレンズ
によるキセノン管の虚像位置(図19参照)が、フレネ
ルレンズを配置しない時のキセノン管の位置(図20参
照)とほぼ同じになるように構成していた。従って、各
フレネル要素のフレネル角は、光軸から離れるにしたが
って大きくなるように構成されていた。
【0010】ところで、近年、レンズシャッター式のカ
メラでは、高変倍ズームレンズを備えたカメラが主流と
なりつつある。なお、図21は、ズームレンズを備えた
カメラに搭載される照明光学系の構成を概略的に示す図
である。このようなズームレンズでは、望遠端における
Fナンバーが大きく、良好な露出特性を得るには強力な
照明光学系が必要である。しかしながら、望遠端では狭
い撮影範囲に照明光束を集め、逆に広角端では広い撮影
範囲を一様に照明しなければならない。
【0011】このため、ズームレンズを備えたカメラに
搭載される照明光学系は、図21に示すように、キセノ
ン管1をフレネルレンズ2に対してレンズ光軸5に沿っ
て移動させることによって照明範囲を変化させ、撮影レ
ンズの変倍に応じて撮影レンズの撮影範囲に照明範囲を
合わせていた。図21中破線は、広角端における広い撮
影範囲を照明する際のキセノン管1のフレネルレンズ2
に近接した位置を示している。また、図21中実線は、
望遠端における狭い撮影範囲を照明する際のキセノン管
1のフレネルレンズ2から離れた位置を示している。
【0012】また、近年、カメラ本体のデザインの多様
化が進んでいる。そして、カメラ前面の形状が撮影レン
ズの光軸に対して垂直な平面だけで構成される従来のデ
ザインとは異なり、例えばカメラ本体の中央部の厚みに
比べて周辺部の厚みの方が薄くなるデザインが増えてい
る。このように、デザイン重視のカメラが増えつつあ
り、特にカメラ前面が複雑な形状で構成されるカメラが
増えている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】上述のようなデザイン
重視のカメラにおいては、照明光学系の最も撮影範囲側
の面がカメラ本体の外観形状に合わせた段差のない形状
となる方がデザイン上好ましい。しかしながら、従来の
照明光学系では、フレネルレンズの前面すなわち撮影範
囲側の面が撮影レンズの光軸に垂直な平面状に形成され
ていたため、デザインを優先させることができないとい
う不都合があった。このようなデザイン上の不都合を解
決するために、例えば、外観形状に合致し且つ照明特性
に影響を与えない形状の保護部材を照明光学系の照明範
囲側に配置する方法が考えられる。また、外観形状に合
致するように、単純にフレネルレンズを傾ける方法が考
えられる。
【0014】しかしながら、前者の方法の場合、保護部
材を配置するスペースが必要になり、カメラ本体の薄型
化を図ることができなくなってしまう。また、照明効率
の上でも、保護部材での反射による光損失があるため、
好ましくない。一方、後者の方法の場合、フレネルレン
ズではサインコンディションが充分補正されていないた
め、コマ収差が発生して照明範囲が偏ってしまうので好
ましくない。このように、照明光学系の配置は、カメラ
本体をデザインする上で大きな制約となっていた。
【0015】また、上述のコマ収差の発生に関する不都
合を解消するために、例えばフレネル面をレンズ光軸に
対して非回転対称な形状に形成することにより、照明範
囲が偏らないようにすることも考えられる。しかしなが
ら、このような非回転対称なフレネル面の加工自体が困
難であり、所望の加工精度を確保することができないの
で実用上不可能であった。
【0016】図22は、本件出願人による特開平6−3
32044号公報に開示の照明光学系の構成を概略的に
示す図である。図22の照明光学系では、フレネルレン
ズ2の傾きθによる照明範囲の偏りを、レンズ外径4の
中心軸線6に対してレンズ光軸5とレンズとの交点すな
わちレンズ中心をΔだけシフトさせることによる照明範
囲の偏りによって相殺して補正している。このように、
フレネルレンズ2を傾けても照明範囲の偏りが発生しな
いような照明光学系を実現して、カメラ本体のデザイン
を優先させている。
【0017】しかしながら、照射角を変化させることの
できる、いわゆる照射角可変の照明光学系に特開平6−
332044号公報に開示の構成を適用しようとした場
合、照射角が変化するにつれて照明範囲の偏る量が変化
してしまう。このため、広角端と望遠端との双方におい
て撮影レンズの撮影範囲を良好に照明することができな
い。
【0018】本発明は、前述の課題に鑑みてなされたも
のであり、たとえばカメラに適用された場合に、カメラ
本体のデザインを優先させながらも、所定の撮影範囲を
良好に照明することができる照射角可変の照明光学系を
提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に、本発明においては、照明光を供給するための発光手
段と、該発光手段からの光束を屈折作用により指向させ
るための指向手段とを備えた照明光学系において、前記
発光手段および前記指向手段のうち少なくとも一方を前
記指向手段の光軸方向とは異なる方向に移動させて前記
発光手段と前記指向手段との間隔を変化させることによ
って、所定の距離における照明範囲を変化させることを
特徴とする照明光学系を提供する。
【0020】また、本発明の好ましい態様によれば、前
記指向手段の光軸方向とは異なる方向に前記発光手段を
移動させることによって所定の距離における照明範囲を
変化させる。
【0021】
【発明の実施の形態】まず、カメラ等に用いられる照明
光学系では、撮影レンズの露出が行われる間に被写体を
照明する。そして、特に被写体が暗い撮影シーン等で被
写体を照明する場合、発光光源としては瞬間的に強力な
光量を照射する光源が望ましい。そこで、カメラ等に用
いられる照明光学系では、発光光源としてキセノン管が
一般的に用いられている。キセノン管は、全体的に棒状
で且つ円筒形状である。そして、その発光強度分布は、
キセノン管の長手軸線に関して回転対称であり、キセノ
ン管の長手軸線に沿って一定になるという特徴がある。
【0022】また、所定の撮影範囲を照明するように、
発光光源から発した光束を指向させるための指向手段に
は、屈折作用(集光作用)を有するレンズ成分が用いら
れる。特に、レンズ成分が保持し易く且つ安価に製造が
可能なように、光学材料としてプラスチック材料が多く
用いられている。また、レンズ成分として、その中心部
と周辺部とにおける厚みの変化の少ないフレネルレンズ
が一般的に用いられている。
【0023】本発明による照明光学系をカメラに組み込
んだ場合、照明光学系の照明範囲が撮影レンズの撮影範
囲をカバーすることが望ましい。ところで、前述のよう
に、赤目現象を防ぐために、撮影レンズと照明光学系と
が離れて配置されている。従って、被写体位置によりパ
ララックスが生じることも考慮して、被写体位置によら
ず撮影範囲を良好に照明することが必要である。
【0024】図1は、本発明による照明光学系を組み込
んだカメラの構成を示す斜視図である。図1のカメラ
は、カメラ本体11を備えている。カメラ本体11の正
面側(被写体側)には、図示のように光軸14を有する
撮影レンズ12、ファインダー窓13および照明光学系
15がそれぞれ配置されている。
【0025】照明光学系15は、円筒形状で直管タイプ
のキセノン管1、反射傘9およびフレネルレンズ2から
なる。発光光源であるキセノン管1は、その長手方向軸
線が撮影レンズ12の光軸14に対して垂直になるよう
に位置決めされている。なお、反射傘9はキセノン管1
を包囲するような形状を有し、キセノン管1からの光を
フレネルレンズ2に向かって反射する。このように、フ
レネルレンズ2は、キセノン管1の照明範囲側に配置さ
れ、キセノン管1より発した光束を所定の照明範囲を照
明するように指向させる指向手段を構成している。そし
て、後述するように、キセノン管1とフレネルレンズ2
との間隔を変化させることにより、所定距離における照
明範囲を変化させる。
【0026】図2は、本発明による照明光学系の光学配
置を示す断面図である。なお、(a)はレンズ中心7と
キセノン管1とを含む平面に沿った断面図であり、
(b)はレンズ光軸5を通り(a)の断面に垂直な平面
に沿った断面図であり、(c)はフレネルレンズ2の外
形寸法を示す図である。図2(a)および(b)におい
て、フレネルレンズ2の外径形状4の中心軸線が参照符
号6で示されている。また、フレネルレンズ2のレンズ
光軸5とフレネルレンズ2との交点すなわちレンズ中心
が参照符号7で示されている。なお、軸線8は、撮影レ
ンズ12の光軸14に平行で且つレンズ中心7を通る基
準光軸を示している。
【0027】また、mおよびnはそれぞれキセノン管1
の両端の点を示している。そして、キセノン管1、反射
傘9、各点mおよびnの添字wおよびtは、所定距離に
おける照明範囲が最も広い状態すなわち広角端および最
も狭い状態すなわち望遠端をそれぞれ示している。ま
た、参照符号Lは、キセノン管1の広角端と望遠端との
間の往復移動を示すベクトルである。
【0028】フレネルレンズ2は、キセノン管1側の面
がフレネル面状に形成され、もう一方の照明範囲側の面
がレンズ光軸5に対して垂直な平面状に形成されてい
る。図2(a)および(b)を参照してわかるように、
フレネルレンズ2では、基準光軸8と外径中心軸線6と
がΔだけ離れて配置されている。また、レンズ光軸5が
基準光軸8に対して、(a)では角度θA だけ(b)で
は角度θB だけ傾斜して配置されている。そして、点m
w と点mt とを直線的に結んだ線分kは、レンズ光軸5
と平行ではない。
【0029】次に、本発明においてフレネルレンズを傾
けた際の照明範囲の補正方法に関して説明する。図3
は、フレネルレンズを傾けていない従来の照明光学系の
状態を示す概念図である。図4は、フレネルレンズを傾
けた状態を示す概念図である。図5は、レンズ光軸を基
準光軸に対してシフトさせた状態を示す概念図である。
図6は、フレネルレンズの傾きによる照明範囲の偏りを
フレネルレンズのシフトによる照明範囲の偏りによって
補正した状態を示す概念図である。
【0030】図3乃至図6の各図において、aは発光光
源を、bは指向手段であるフレネルレンズを、cはフレ
ネルレンズbによる発光光源aの像位置をそれぞれ示し
ている。また、r1およびr2は発光光源aより発した
光線の光路を、dは撮影レンズの光軸に平行で且つフレ
ネルレンズbのレンズ中心gを通る基準光軸を、eはフ
レネルレンズbのレンズ光軸をそれぞれ示している。な
お、各図中、フレネルレンズbは薄肉レンズとして表現
されているが、発光光源a側の面がフレネル面状に形成
され、もう一方の面がレンズ光軸eに対して垂直な平面
状に形成されている。
【0031】図3に示すように、フレネルレンズbを傾
けていない従来例では、基準光軸dとレンズ光軸eとが
重なっており、発光光源aがレンズ光軸e上にある。そ
の結果、像位置cもレンズ光軸e上に存在していた。図
4では、フレネルレンズbが図4の紙面内において基準
光軸dに対して角度θだけ傾いている。この場合、フレ
ネルレンズbを傾けていない従来例における像位置c’
が像位置cまで移動する。なお、レンズ中心gから像位
置cまでの基準光軸dに沿った距離はBCであり、図中
紙面上において基準光軸dに垂直な方向に沿った像位置
の移動量はrである。また、フレネルレンズbの傾きに
よる照明範囲の傾き量はγである。
【0032】フレネルレンズbを傾けた場合、前述のよ
うに、1つのフレネル面だけでは球面収差とサインコン
ディションとを同時に補正することができない。このた
め、コマ収差が発生して像位置cがシフトし、その結果
照明範囲が角度γだけ偏ってしまう。
【0033】図5では、図3の配置からレンズ中心gを
基準光軸dに垂直な方向にΔだけシフトさせている。つ
まり、レンズ光軸eと基準光軸dとをシフト量Δだけシ
フトさせており、レンズ光軸eと基準光軸dとは一致し
ている。そして、発光光源aは、レンズ中心gから基準
光軸dに沿って距離ABだけ間隔を隔てて位置決めされ
ている。なお、発光光源aの結像倍率はβである。この
ように、レンズ中心gをΔだけシフトさせた場合、発光
光源aがΔだけ物体高を有し、その像位置cはβΔだけ
像高を有するようになる。したがって、基準光軸dのシ
フトにより、照明範囲が角度δだけ偏ってしまう。図6
では、フレネルレンズbの傾きによる照明範囲の偏りγ
を、フレネルレンズbのレンズ中心gのシフトによる照
明範囲の偏りδにより補正した状態を示している。
【0034】以上の議論は、キセノン管の長手方向軸線
に垂直な断面内における構成に基づいている。一方、キ
セノン管の長手方向軸線を含む断面内における構成に着
目すると、従来の照明光学系はフレネルレンズのレンズ
光軸に対して対称な構成を有する。これに対し、フレネ
ルレンズを傾けたりシフトさせたりした場合には、レン
ズ光軸に対するキセノン管の配置の対称性が崩れて、上
述の議論と同様に、キセノン管の長手方向軸線を含む断
面内においても照明範囲が偏ることになる。したがっ
て、この場合も、フレネルレンズの傾きによる照明範囲
の偏りをフレネルレンズのシフトによる照明範囲の偏り
によって補正することも可能である。
【0035】ところで、撮影レンズが変倍光学系の場
合、撮影レンズの変倍に伴って撮影範囲が変化する。し
たがって、効率的に被写体を照明するには、撮影範囲の
変化に合わせて照明範囲を変化させることが望ましい。
従来の照明光学系では、フレネルレンズのレンズ光軸と
撮影レンズの光軸とが平行で、且つ照明範囲を変化させ
るためにキセノン管をレンズ光軸に沿って移動させてい
た。したがって、図7に示すように、広角端においても
望遠端においてもキセノン管のフレネルレンズによる像
位置がレンズ光軸上に存在するので、広角端から望遠端
への変倍時に照明範囲が偏ることなく撮影レンズの撮影
範囲を良好に照明することができた。
【0036】図7において、(a)は広角端におけるキ
セノン管1w のフレネルレンズ2による像1'wの位置
を、(b)は望遠端におけるキセノン管1t のフレネル
レンズ2による像1'tの位置をそれぞれ示している。広
角端における状態を示す図7(a)では、キセノン管1
w の中央点pw (すなわちキセノン管1w の長手方向軸
線とフレネルレンズ2のレンズ光軸5との交点)のフレ
ネルレンズ2による虚像は、レンズ光軸5上の位置p'w
に形成される。また、キセノン管1w の図中左端および
右端の点であるmw およびnw のフレネルレンズ2によ
る虚像は、それぞれ位置m'wおよびn'wに形成される。
すなわち、広角端において、キセノン管1w のフレネル
レンズ2による像1'wの位置がレンズ光軸5上に存在す
ることになる。
【0037】一方、望遠端における状態を示す図7
(b)では、キセノン管1t の中央点pt (すなわちキ
セノン管1t の長手方向軸線とフレネルレンズ2のレン
ズ光軸5との交点)のフレネルレンズ2による虚像は、
レンズ光軸5上の位置p'wに形成される。また、キセノ
ン管1t の図中左端および右端の点であるmt およびn
tのフレネルレンズ2による虚像は、それぞれ位置m't
およびn'tに形成される。すなわち、広角端において、
キセノン管1t のフレネルレンズ2による像1'tの位置
がレンズ光軸5上に存在することになる。
【0038】ところが、上述の議論におけるフレネルレ
ンズの傾きとシフトとによる照明範囲の補正方法は、フ
レネルレンズとキセノン管とが所定の位置関係にある場
合にのみ適用されるものである。したがって、キセノン
管がフレネルレンズのレンズ光軸に沿って移動するよう
な場合には、フレネルレンズの傾きによる照明範囲の偏
りを補正するためのシフト補正量も変化してしまう。こ
のため、変倍範囲全体に亘って照明範囲が偏ることなく
撮影レンズの撮影範囲を良好に照明することができなく
なってしまう。
【0039】そこで、本発明において、キセノン管とフ
レネルレンズとの間隔が変化した場合に発生する照明範
囲の偏りを補正する方法に関して説明する。ただし、以
下の説明では、キセノン管だけを移動させている。本発
明においては、フレネルレンズとキセノン管との基準光
軸に沿った間隔を変化させることにより、照明光学系に
よる照射角を変化させている。すなわち、図8に示すよ
うに、広角端における状態を示す(a)と望遠端におけ
る状態を示す(b)とでは、フレネルレンズ2とキセノ
ン管1との基準光軸8に沿った間隔が異なるので、フレ
ネルレンズ2によるキセノン管1の像倍率が異なる。こ
のため、所定量だけフレネルレンズ2を傾けたりシフト
させたりした場合の照明範囲の偏りが広角端と望遠端と
で異なってしまう。
【0040】ところで、前述のように、キセノン管1に
対してレンズ光軸5をシフトさせた場合、照明範囲が偏
る(図5参照)。したがって、逆に、レンズ光軸5に対
してキセノン管1をシフトさせても、照明範囲が偏るこ
とになる。そこで、キセノン管1をレンズ光軸5とは異
なる方向に移動させることによって、照明範囲の偏りを
補正している。こうして、広角端から望遠端までの照射
角変化領域におけるすべてのキセノン管位置状態で、照
明範囲の偏りのない照明を可能としている。
【0041】特に、本発明においては、図9に示すよう
に、キセノン管1に対して照明範囲側とは反対の側にキ
セノン管1を包むような全体形状を有する反射傘9を配
置している。なお、図9において、(a)は広角端にお
ける光路を、(b)は望遠端における光路を示してい
る。キセノン管1は円筒形状であり、円筒軸線に垂直な
方向には光束が均一に照射される。このため、キセノン
管1の被写体側にフレネルレンズ2を配置するだけで
は、キセノン管1より発した光束を照明に効率的に寄与
させることができない。そこで、反射傘9を図9のよう
に配置することが効果的である。
【0042】こうして、キセノン管1からフレネルレン
ズ2とは反対側に向かう光束を反射傘9で一旦反射した
後、フレネルレンズ2で所定の照明範囲を照明するよう
に指向させて、所定の照明範囲を効率的に照明すること
ができる。なお、図示のように、反射傘9の反射面を、
球面状や、楕円面、放物面あるいは双曲面等の非球面状
に形成したり、さらに複数の曲面の組み合わで形成する
ことも可能である。
【0043】また、広角端から望遠端までのすべてのキ
セノン管位置状態において照明範囲の偏りを補正して良
好に撮影範囲を照明するために、照射角を変化させる際
にキセノン管1と反射傘9とを一体的に移動させること
が望ましい。さらに、照明光学系は撮影レンズから離れ
て配置されるために、撮影レンズの焦点距離と被写体位
置とに応じて、照明光学系に対する撮影レンズの撮影範
囲の方向が変化する。このため、撮影範囲の方向変化に
応じて、撮影レンズの光軸に垂直な方向にフレネルレン
ズをシフトさせることにより、撮影範囲を良好に照明す
ることも可能である。
【0044】
【実施例】本発明の実施例を、添付図面に基づいて説明
する。図10は、本発明の第1実施例にかかる照明光学
系の光学配置を示す断面図である。図10において、フ
レネルレンズ2の外径形状4の中心軸線が参照符号6で
示されている。また、フレネルレンズ2のレンズ光軸5
とフレネルレンズ2との交点すなわちレンズ中心が参照
符号7で示されている。なお、軸線8は、撮影レンズ1
2の光軸14に平行で且つレンズ中心7を通る基準光軸
を示している。
【0045】また、キセノン管1および反射傘9の添字
wおよびtは、所定距離における照明範囲が最も広い状
態すなわち広角端および最も狭い状態すなわち望遠端を
それぞれ示している。図10に示すように、第1実施例
においては、外径中心軸線6と基準光軸8とレンズ光軸
5とキセノン管1とが同一平面上に存在し、基準光軸8
とレンズ光軸5とがこの平面内において20度の角度を
なしている。また、キセノン管1は基準光軸8に対して
垂直に延びており、広角端から望遠端への照射角可変時
に、外径中心6と基準光軸8とを含む平面内において基
準光軸8に沿ってフレネルレンズ2から遠ざかるように
移動する。
【0046】第1実施例において、フレネルレンズ2の
外径形状4は、レンズ光軸5の方向から見た場合、図1
1に示すような寸法を有する矩形状である。そして、フ
レネルレンズ2の照明範囲側の面はレンズ光軸5に垂直
な平面状に形成され、キセノン管1側の面はフレネル面
状に形成されている。以下の表(1)に、フレネルレン
ズ2のフレネル面の諸元を示す。表(1)において、h
はレンズ光軸5からの距離を、σ(度)はレンズ光軸と
各フレネル要素の法線方向とのなす角度すなわちフレネ
ル角度をそれぞれ示している。
【0047】
【表1】 h[mm] σ(度) 0.5 0.00 1.5 0.00 2.5 1.24 3.5 2.21 4.5 3.14 5.5 3.70 6.5 6.95 7.5 11.81 8.5 22.80 9.5 25.11 10.5 27.30 11.5 29.37 12.5 31.32 13.5 33.16 14.5 34.89 15.5 36.53 16.5 38.09 17.5 39.64 18.5 41.00 19.5 42.00
【0048】図12および図13は、第1実施例の広角
端および望遠端における光路図である。また、図14
は、第1実施例の広角端および望遠端における照明特性
をそれぞれ示す図である。第1実施例ではフレネルレン
ズ2のレンズ光軸5が基準光軸8に対して傾いて配置さ
れているので、図14ではキセノン管の長手方向の照明
特性を示している。図14において、光束がフレネルレ
ンズ2を射出した際の基準光軸8に対してなす角度を横
軸に、相対的な強度分布を縦軸にそれぞれ示している。
なお、(a)は広角端における照明特性を、(b)は望
遠端における照明特性をそれぞれ示している。図14に
示すように、本実施例においては、良好な照明特性が得
られている。したがって、カメラの照明光学系に適用さ
れた場合、撮影レンズの撮影範囲を広角端から望遠端に
亘って良好に照明することができる。
【0049】図15は、本発明の第2実施例にかかる照
明光学系の光学配置を示す断面図である。(a)はキセ
ノン管1の長手方向軸線と基準光軸8とを含む面に沿っ
た断面図であり、(b)はキセノン管1の長手方向軸線
に垂直な面に沿った断面図である。図15(a)および
(b)において、フレネルレンズ2の外径形状4の中心
軸線が参照符号6で示されている。また、フレネルレン
ズ2のレンズ光軸5とフレネルレンズ2との交点すなわ
ちレンズ中心が参照符号7で示されている。なお、軸線
8は、撮影レンズ12の光軸14に平行で且つレンズ中
心7を通る基準光軸を示している。
【0050】また、mおよびnはそれぞれキセノン管1
の両端の点を示している。そして、キセノン管1、反射
傘9、各点mおよびnの添字wおよびtは、所定距離に
おける照明範囲が最も広い状態すなわち広角端および最
も狭い状態すなわち望遠端をそれぞれ示している。図1
5に示すように、第2実施例においては、外径中心軸線
6と基準光軸8とキセノン管1とが同一平面上に存在す
る。そして、キセノン管1の長手方向軸線と基準光軸8
とを含む面内においてレンズ光軸5と基準光軸8とは1
0°の角度をなしている。また、キセノン管1の長手方
向軸線に垂直で且つ基準光軸8を含む面内においてレン
ズ光軸5と基準光軸8とは10°の角度をなしている。
さらに、キセノン管1は基準光軸8に対して垂直に延び
ており、広角端から望遠端への照射角可変時に、外径中
心6と基準光軸8とを含む平面内において基準光軸8に
対してシフトしながら基準光軸8に沿ってフレネルレン
ズ2から遠ざかるように移動する。
【0051】第2実施例において、フレネルレンズ2の
外径形状4は、レンズ光軸5の方向から見た場合、図1
6に示すような寸法を有する矩形状である。そして、フ
レネルレンズ2の照明範囲側の面はレンズ光軸5に垂直
な平面状に形成され、キセノン管1側の面はフレネル面
状に形成されている。以下の表(2)に、フレネルレン
ズ2のフレネル面の諸元を示す。表(2)において、h
はレンズ光軸5からの距離を、σ(度)はレンズ光軸と
各フレネル要素の法線方向とのなす角度すなわちフレネ
ル角度をそれぞれ示している。
【0052】
【表2】 h[mm] σ(度) 0.5 0.00 1.5 0.25 2.5 1.73 3.5 2.68 4.5 3.48 5.5 5.99 6.5 9.41 7.5 14.12 8.5 23.97 9.5 26.22 10.5 33.35 11.5 35.36 12.5 40.25 13.5 42.04 14.5 43.72 15.5 45.32 16.5 43.86 17.5 45.47 18.5 45.50 19.5 46.50 20.5 47.10 21.5 47.50
【0053】第2実施例においても、第1実施例同様に
良好な照明特性が得られることを検証している。また、
上述の第2実施例においては、広角端と望遠端とでキセ
ノン管が平行に移動し且つキセノン管を基準光軸に対し
てシフトすることによって、照明範囲の偏りを補正して
いる。しかしながら、広角端と望遠端とでキセノン管が
互いに平行にならないように傾けて、照明範囲の偏りを
補正することができることはいうまでもない。
【0054】なお、上述の各実施例では、発光光源とし
てキセノン管を使用する例を示したが、ハロゲンランプ
や、LED等の他の適当な発光光源を用いることも可能
である。
【0055】
【効果】以上説明したように、本発明によれば、デザイ
ンを優先させたカメラ前面の形状としても、良好に撮影
レンズの撮影範囲を良好に照明可能な照射角可変の照明
光学系を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による照明光学系を組み込んだカメラの
構成を示す斜視図である。
【図2】本発明による照明光学系の光学配置を示す断面
図である。
【図3】フレネルレンズを傾けていない従来の照明光学
系の状態を示す概念図である。
【図4】フレネルレンズを傾けた状態を示す概念図であ
る。
【図5】レンズ光軸を基準軸線に対してシフトさせた状
態を示す概念図である。
【図6】フレネルレンズの傾きによる照明範囲の偏りを
フレネルレンズのシフトによる照明範囲の偏りによって
補正した状態を示す概念図である。
【図7】従来の照明光学系において、キセノン管をレン
ズ光軸に沿って移動させて照明範囲を変化させる様子を
示す図である。
【図8】本発明において、フレネルレンズとキセノン管
との基準光軸に沿った間隔を変化させることにより、照
明光学系による照射角を変化させる様子を示す図であ
る。
【図9】キセノン管1に対して照明範囲側とは反対の側
にキセノン管1を包むような全体形状を有する反射傘9
を配置した構成を示す図であって、(a)は広角端にお
ける光路を、(b)は望遠端における光路を示してい
る。
【図10】本発明の第1実施例にかかる照明光学系の光
学配置を示す断面図である。
【図11】図11におけるフレネルレンズ2の外径形状
4をレンズ光軸5の方向から見た図である。
【図12】第1実施例の広角端における光路図である。
【図13】第1実施例の望遠端における光路図である。
【図14】第1実施例の広角端および望遠端における照
明特性を示す図である。
【図15】本発明の第2実施例にかかる照明光学系の光
学配置を示す断面図である。
【図16】図14におけるフレネルレンズ2の外径形状
4をレンズ光軸5の方向から見た図である。
【図17】従来の照明光学系を備えたカメラの斜視図で
ある。
【図18】図17の照明光学系15の断面図であって、
(a)はキセノン管1の長手方向軸線に垂直な面に沿っ
た断面図であり、(b)はキセノン管1の長手方向軸線
とフレネルレンズ2の光軸5とを含む面に沿った断面図
である。
【図19】図18のキセノン管1より発した光束の光路
図である。
【図20】フレネルレンズを有しない照明光学系の構成
を概略的に示す図である。
【図21】ズームレンズを備えたカメラに搭載される照
明光学系の構成を概略的に示す図である。
【図22】本件出願人による特開平6−332044号
公報に開示の照明光学系の構成を概略的に示す図であ
る。
【符号の説明】
1 キセノン管 2 フレネルレンズ 4 フレネルレンズの外径 5 フレネルレンズの光軸 6 外径中心軸線 7 レンズ中心 8 基準光軸 9 反射傘 11 カメラ本体 12 撮影レンズ 13 ファインダ窓 14 撮影レンズの光軸 15 照明光学系

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 照明光を供給するための発光手段と、該
    発光手段からの光束を屈折作用により指向させるための
    指向手段とを備えた照明光学系において、 前記発光手段および前記指向手段のうち少なくとも一方
    を前記指向手段の光軸方向とは異なる方向に移動させて
    前記発光手段と前記指向手段との間隔を変化させること
    によって、所定の距離における照明範囲を変化させるこ
    とを特徴とする照明光学系。
  2. 【請求項2】 前記指向手段の光軸方向とは異なる方向
    に前記発光手段を移動させることによって所定の距離に
    おける照明範囲を変化させることを特徴とする照明光学
    系。
  3. 【請求項3】 前記指向手段は少なくとも1枚のフレネ
    ルレンズを有し、 前記指向手段の傾きによる照明範囲の偏りを補正するた
    めに、前記指向手段の外径中心軸線に対して前記指向手
    段の光軸中心がシフトしていることを特徴とする請求項
    1または2に記載の照明光学系。
  4. 【請求項4】前記発光手段はキセノン管であることを特
    徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の照明光
    学系。
  5. 【請求項5】前記発光手段に対して前記指向手段の側と
    は反対の側には、前記発光手段からの光束の一部を前記
    指向手段に向かって反射するための反射手段が設けられ
    ていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項
    に記載の照明光学系。
  6. 【請求項6】前記発光手段と前記指向手段との間隔が大
    きくなるにつれて所定の距離における照射範囲が狭くな
    り、最も照明範囲の広い状態を広角端とし、最も照明範
    囲の狭い状態を望遠端とするとき、 前記発光手段は、前記照明範囲が変化する際に、前記広
    角端における位置と前記望遠端における位置との間を直
    線的に移動することを特徴とする請求項1乃至5のいず
    れか1項に記載の照明光学系。
  7. 【請求項7】前記照明範囲が変化する際に、前記指向手
    段の光軸に対する前記発光手段のシフト量が変化するこ
    とを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の
    照明光学系。
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