JPH0933433A - 散乱媒質中における吸光物質の濃度測定方法 - Google Patents

散乱媒質中における吸光物質の濃度測定方法

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JPH0933433A
JPH0933433A JP7203899A JP20389995A JPH0933433A JP H0933433 A JPH0933433 A JP H0933433A JP 7203899 A JP7203899 A JP 7203899A JP 20389995 A JP20389995 A JP 20389995A JP H0933433 A JPH0933433 A JP H0933433A
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light
scattering medium
absorbing substance
medium containing
wavelength
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JP7203899A
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Kaoru Katayama
薫 片山
Mamoru Tamura
守 田村
Goro Nishimura
吾朗 西村
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Kirin Brewery Co Ltd
Original Assignee
Kirin Brewery Co Ltd
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  • Investigating Or Analysing Materials By Optical Means (AREA)
  • Measurement Of The Respiration, Hearing Ability, Form, And Blood Characteristics Of Living Organisms (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 安価でかつ取扱いが簡単である連続発振レー
ザを用いて、安価かつ簡易に散乱媒質中における吸光物
質の濃度を測定する方法を提供する。 【構成】 吸光物質を含まない散乱媒質、および吸光物
質を含む散乱媒質をそれぞれ準備し、吸光物質を含まな
い散乱媒質に、波長λの連続発振のレーザ光を照射し、
吸光物質を含まない散乱媒質からの電場の自己相関関数
を測定し、吸光物質を含む散乱媒質に、波長λの連続発
振のレーザ光を照射し、吸光物質を含む散乱媒質からの
電場の自己相関関数を測定し、これらの2つの自己相関
関数を用いて、両者のタイムシフト量α(=τ0*μa
/2)を求め、このタイムシフト量、ならびに波長λ
における散乱媒質の物性値である特性相関時間τ0 およ
び輸送平均自由距離l* を用いて、吸光係数μa を求め
ることにより吸光物質の濃度を測定する散乱媒質中にお
ける吸光物質の濃度測定方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、生体にお
ける血液中のヘモグロビン等の濃度に例示されるよう
に、散乱媒質中の吸光物質の濃度を測定する方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】生体組織のような光を強く散乱するよう
な媒質中での吸光量を測定することは医学・医療の分野
で重要な課題の一つである。それは、血液中のヘモクロ
ビンや筋肉中のミオグロビンはまわりの組織の酸素化の
状態によってその吸光度が変化し、その吸光度を定量で
きれば生体組織で重要な役割を持つ酸素代謝の様子を非
破壊で測定できるからである。測定を困難にしている点
は散乱によって光の光路が折りまげられ、飛行距離が実
際の物質の大きさと異なり、正しい吸光量が測定できな
いことに起因している。その時、吸光量を定量するに
は、光がどれだけ減光したかという情報とその光がどれ
だけの距離を飛行したかの情報が必要となる。
【0003】このような課題を解決するために提示され
た先行技術として、特公平6−82096号公報が挙げ
られる。このものは、吸光物質を含む散乱媒質に、異な
る波長λ1,λ2のパルス光を入射し、この入射光に基
づく散乱媒質からの光の時間応答関数における波長λ1
光の時刻t1、t2での光強度f1(t1),f1(t
2)、波長λ2光の時刻t1、t2での光強度f2(t
1),f2(t2)を測定して、波長λ1,λ2光の吸
光物質の吸光定数K、散乱媒質中での光の速度をCと
し、所定の式に基づいて吸光物質の濃度Vを求める散乱
媒質内吸光物質の濃度測定方法である。また、このもの
は吸光物質を含む散乱媒質に、異なる波長λ1,λ2の
パルス光を入射する過程と、これら波長λ1,λ2光に
おける吸光物質の吸光度A1,A2を求める過程と、吸
光物質の光路長lを測定する過程と、波長λ1,λ2光
における吸光物質の吸光係数ε1,ε2に基づいて、吸
光物質の濃度Vを所定の式から演算する過程と、からな
る散乱媒質内吸光物質の濃度測定方法である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特公平
6−82096号公報に提案の方法は、高価でしかも取
扱いが非常に困難な短パルスレーザを用いなくてはなら
ないという問題があった。加えて、検出装置も、高速な
時間応答ができる高価なものが必要となるという問題点
もあった。
【0005】本発明は、このような実状に鑑みて創案さ
れたものであり、その目的は、安価でかつ取扱いが簡単
である連続発振レーザを用いて、安価かつ簡易に散乱媒
質中における吸光物質の濃度を測定する方法を提供する
ことにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】このような課題を解決す
るために、本発明の散乱媒質中における吸光物質の濃度
測定方法は、吸光物質を含まない散乱媒質、および吸光
物質を含む散乱媒質をそれぞれ準備し、吸光物質を含ま
ない散乱媒質に、波長λの連続発振のレーザ光を照射
し、吸光物質を含まない散乱媒質からの電場の自己相関
関数を測定し、吸光物質を含む散乱媒質に、波長λの連
続発振のレーザ光を照射し、吸光物質を含む散乱媒質か
らの電場の自己相関関数を測定し、これらの2つの自己
相関関数を用いて、両者のタイムシフト量α(=τ0
*μa /2)を求め、このタイムシフト量、ならびに波
長λにおける散乱媒質の物性値である特性相関時間τ0
および輸送平均自由距離l* を用いて、吸光係数μa
求めることにより吸光物質の濃度を測定するように構成
される。
【0007】また、本発明の散乱媒質中における吸光物
質の濃度測定方法は、吸光物質を含む散乱媒質を準備
し、この吸光物質を含む散乱媒質に、波長λ1 の連続発
振のレーザ光を照射し、吸光物質を含む散乱媒質からの
電場の自己相関関数を測定し、この吸光物質を含む散乱
媒質に、波長λ1 とは異なる波長λ2 の連続発振のレー
ザ光を照射し、吸光物質を含む散乱媒質からの電場の自
己相関関数を測定し、これらの2つの自己相関関数を用
いて、両者のタイムシフト量△α(=τ0*△μa
2)を求め、このタイムシフト量、ならびに波長1 又は
波長λ2 における散乱媒質の物性値である特性相関時間
τ0 および輸送平均自由距離l* を用いて、差吸光係数
吸△μa を求めることにより吸光物質の濃度を測定する
ように構成される。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照しながら説明する。
【0009】まず、本発明に適用されている基本的な理
論について説明する。
【0010】吸光物質を含まない散乱媒質中からの光の
電場の自己相関関数は、下記式(1)で示される。
【0011】
【式1】 ここでE(0)およびE(τ)は、それぞれ、時間0お
よびτにおける散乱光りの電場、sは散乱光の光路長、
P(s)は散乱光の光路長分布関数(光が散乱媒質中で
どれだけの距離を飛行したかを示す分布関数)、l*
は、輸送平均自由距離(光子が散乱媒質中で散乱方向が
完全にランダムになるまでに飛行する距離)である。
〈 〉は平均を表示している。τ0 は特性相関時間であ
り、(k0 2D)-1で定義される。ここでk0 とDはそ
れぞれ波数(波長の逆数)および散乱粒子の拡散係数
(粒子の大きさとまわりの散乱媒質との関係で決まる定
数)である。
【0012】上記式(1)は、散乱媒質中に吸光物質を
含まない場合を考えている。従って、散乱媒質中に吸光
物質が存在する時には、上記式(1)においてP(s)
が吸光物質の影響を受ける。つまり、散乱媒質中に吸光
物質が存在する場合には、長い時間を飛んだ光ほど減衰
を受けることになり、その時の光路長分布関数は、下記
式(2)のように表される。
【0013】
【式2】 ここで、P0 (s)は、散乱媒質中に吸光物質を含まな
い場合の光路長分布関数、μa は吸光係数(単位長さ当
たりどれだけ光が減衰を受けるかを示す係数)である。
【0014】式(1)に式(2)を入れると式(3)が
得られる。
【0015】
【式3】 ここでAは定数、g0 (1) (τ)は、吸光物質を含まな
い散乱媒質中からの光の電場の自己相関関数である。
【0016】この式は、電場自己相関関数に与える吸収
の影響が、関数の時間的シフトのみであることを示して
おり、本発明ではこの原理に基づいて、具体的な散乱媒
質中における吸光物質の濃度測定方法を提案するもので
ある。
【0017】本発明では(1)濃度の測定対象となる吸
光物質を含む散乱媒質と、対照となる吸光物質を含まな
い散乱媒質をそれぞれ準備して、一つの波長λの連続発
振のレーザ光を用いる方法と(ただし、散乱媒質の濃度
は双方一定である)、(2)濃度の測定対象となる吸光
物質を含む散乱媒質を準備し、異なる2種類の波長λ
1 ,λ2 の連続発振のレーザ光を用いる方法とがある。
【0018】まず、最初に上記(1)の方法について説
明する。
【0019】『濃度の測定対象となる吸光物質』として
は、光を吸収する物質であれば特に、限定されるもので
はない。医療分野、食品分野、ビール産業分野、化学工
業分野など種々の分野での応用が可能である。医療分野
での一例を挙げれば、酸素化型ヘモグロビン、還元型ヘ
モグロビン、チトクロームオキシダーゼ、ミオグロビン
などが挙げられる。散乱媒質とは、光の散乱をさせるだ
けで、吸光のない媒質をいう。
【0020】まず最初に、吸光物質を含まない散乱媒質
に、波長λの連続発振のレーザ光を照射し、吸光物質を
含まない散乱媒質からの電場の自己相関関数を測定す
る。
【0021】『具体的な自己相関関数の測定は』、すで
に一般的に知られており、例えば、図1に示されるよう
な、演算処理装置1を用いて求められる。図1におい
て、演算処理装置1は、遅延回路DCと乗算回路Mと平
均回路ACを備えており、散乱媒質中から出てきた光情
報(電場)10は、2つの光情報(電場)に分岐され、
一方の光情報11は、直接、乗算回路Mに入る。他方の
光情報12は、一旦遅延回路DCに入り、ここで一定の
時間遅れを生じさせられた光情報13は乗算回路Mに入
る。乗算回路Mによりこれらの光情報11および13
は、乗算される。さらに平均回路ACにて時間平均化さ
れる。このような装置1を用いて自己相関関数が求めら
れるのである。
【0022】このようにして求められた自己相関関数
は、例えば、図2のグラフのa1の曲線で示される(た
だし、縦軸は対数目盛り)。グラフの縦軸であるg (1)
(τ)は、相関値を表しており、グラフの横軸τは、遅
延時間を表している。このa1の右下がりの曲線は、遅
延時間τが大きくなるにつれて、相関が失われてくるこ
とを示している。
【0023】次いで、吸光物質を含む散乱媒質に、波長
λの連続発振のレーザ光を照射し、吸光物質を含む散乱
媒質からの電場の自己相関関数を測定する。
【0024】『具体的な自己相関関数の測定手法は』、
上記の手法と同様にすればよい。得られた曲線は、例え
ば、図2のグラフのa2の曲線で示される。このグラフ
a2は、散乱媒質中に吸光物質を含んでいるために、相
関の失なわれ方が少ないことを示している。
【0025】このような2つの自己相関関数を用いて、
両者のタイムシフト量α(=τ0* μa /2)を求め
る。
【0026】タイムシフト量を求めるに際しての基本的
な考え方は、上記の図2のグラフのa1の曲線に重なる
ように、図2のグラフのa2の曲線をシフトさせる。そ
の結果を図3のグラフに示す。図3において、曲線a2
を右方向にαほど移動させて、このものを真下に降ろし
てa1の曲線に重なった時、このαがタイムシフト量を
表すのである。すなわち、曲線a1上の各点、、
、およびは、それぞれ点’、’、’、および
’に移動するとともに曲線a2上に重なる。
【0027】このように2つの曲線a1およびa2を重
ねた時の、横軸のシフト量(a2の曲線のシフト)がタ
イムシフト量α=τ0* μa /2を表す。2つの曲線
a1およびa2を重ねる手法としては、さまざまな計算
処理方法がある。
【0028】その一例を以下に述べる。まず、曲線a1
をある関数、例えば、g (1)(τ)=exp(mτ+v
τ2 +zτ3 )で近似する。同様に、曲線a2を、例え
ば、g (1)(τ)=exp(m’τ+v’τ2 +z’τ
3 )で近似する。曲線とのフィッティングによる近似計
算で、m,v,z,m’,v’,z’は求まる。
【0029】曲線a1のスタート時点をαほどずらす
と、g (1)(τ+α)=exp(m(τ+α)+v(τ
+α)2 +z(τ+α)3 )となる。このようにずらし
た曲線a1’と曲線a2とが一致すると仮定し、τの一
次項までをとると、m’=(m+2αv+3zα2 )と
なる。このαに関する2次方程式を解くとタイムシフト
量αが求まる。
【0030】次いで、このタイムシフト量α=τ0*
μa /2、ならびに散乱媒質の物性値である特性相関時
間τ0 および輸送平均自由距離l* を用いて、吸光係数
μaを求める。用いる散乱媒質によっては、物性値τ
0 、l* はすでに実験的に求められ、報告されているも
のもあり、この場合、これらの値はそのまま用いればよ
い。物性値τ0 、l* が明らかでない場合には、例え
ば、以下の方法でこれらの物性値τ0 、l* を求める。
【0031】特性相関時間τ0 の求め方 一つの方法として、十分に希釈した散乱媒質の電場の自
己相関関数を測定し、得られたのグラフ(この場合、縦
軸をln(g (1)(τ))、横軸をτとする)の傾きよ
りτ0 を求める。傾きがそのままτ0 の値となる。な
お、十分に希釈した散乱媒質とは、散乱が高々1回程度
しか起きない、いわゆる単散乱の領域にあることをい
う。
【0032】輸送平均自由距離l* の求め方 一つの方法として、まず、散乱媒質の電場の自己相関関
数を測定する。この場合、自己相関関数は前記式(1)
の形で表される。式(1)において、P(s)は、l*
の関数にもなっている。従って、l* の数値を仮定し、
シュミレーション(例えば、モンテカルロ法)により、
P(s)の分布を求めるとともに、τ0およびl* を式
(1)に入れて、数値計算により相関を求める。式
(1)により求められた相関と実際に測定した自己相関
関数とが一致するまで、l* の値を試行錯誤する。一致
したときのl* が求める輸送平均自由距離l* である。
【0033】なお、これとは別に、散乱媒質に単パルス
光レーザーを照射し、得られた光路長分布曲線のデータ
をパターソンの理論式を用いて解析し、l* を算出する
方法もある。
【0034】上述してきたようなタイムシフト量α=τ
0* μa /2、ならびに特性相関時間τ0 および輸送
平均自由距離l* を用いて、吸光係数μa が求まる。す
なわち、μa =εV(ここで、εは、モル吸光係数であ
りその単位は、((mol/l)-1・cm-1)、Vは吸
光物質のモル濃度でありその単位は(mol/l)であ
る)の関係より、吸光物質の濃度Vが求められる。
【0035】なお、上記測定に際して用いられるレーザ
の波長は、特に制限されるものではないが、例えば、4
00〜850nm程度のものが用いられる。
【0036】次いで、上記(2)の散乱媒質中における
吸光物質の濃度測定方法について説明する。この(2)
の方法が、前記(1)のそれと異なるのは、測定対象を
1つとし、2種類の異なる波長の連続発振のレーザ光を
用いることにある。すなわち、濃度の測定対象となる吸
光物質を含む散乱媒質1つを準備し、これに異なる2種
類の波長λ1 ,λ2 の連続発振のレーザ光をそれぞれ散
乱媒質に照射する。
【0037】この場合、2種類の波長λ1 ,λ2 は、後
述する物性値の波長依存性を無視できる程度のなるべく
近い波長のものを用いる。
【0038】まず、吸光物質を含む散乱媒質を準備し、
この吸光物質を含む散乱媒質に、波長λ1 の連続発振の
レーザ光を照射し、吸光物質を含む散乱媒質からの電場
の自己相関関数を測定する。具体的な自己相関関数の測
定は、上述の手法に従えばよい。その関数は、例えば図
4のグラフのb1の曲線で示される。
【0039】次いで、この吸光物質を含む散乱媒質に、
波長λ2 の連続発振のレーザ光を照射し、吸光物質を含
む散乱媒質からの電場の自己相関関数を測定する。得ら
れた曲線は、例えば図4グラフのb2の曲線で示され
る。
【0040】これらの2つの自己相関関数を用いて、両
者のタイムシフト量△α=τ0*△μa /2を求め
る。タイムシフト量△αを求める手法は 前記(1)の
方法に従えばよい。ここで、△μa は、差吸光係数であ
り、波長λ2 における吸光係数μa2と波長λ1 の吸光係
数μa1との差で表される。
【0041】次いで、このタイムシフト量△α=τ0
* △μa /2、ならびに波長λ1 又は波長λ2 における
散乱媒質の物性値である特性相関時間τ0 および輸送平
均自由距離l* を用いて、吸光係数μa を求める。τ0
およびl* に関し、ここでは、非常に接近した波長λ
1 ,λ2 を用いているので波長依存なしとみなすことが
できる。前述したように、用いる散乱媒質によっては、
物性値τ0 、l* はすでに実験的に求められ、報告され
ているものもあり、この場合、これらの値はそのまま用
いればよい。物性値τ0 、l* が明らかでない場合に
は、すでに述べた上記の方法でこれらの物性値τ0 、l
* を求めればよい。
【0042】そして、V=△μa /△εの関係式よりモ
ル濃度Vが求められる。なお、△εは、差モル吸光係数
であり、波長λ2 におけるモル吸光係数ε2 と波長λ1
のモル吸光係数ε1 との差で表される。
【0043】このような吸光物質の濃度測定方法に用い
られる装置の概略構成(特に、主要な機器)を図5に基
づいて説明する。
【0044】図5示されるように、濃度測定装置は、連
続発振のレーザ光照射装置51と、光検出器55と、デ
ィジタル相関器57とを備えている。濃度の測定対象5
3は、レーザ光照射装置51と光検出器55との間に介
在される。レーザ光照射装置51から発せられたレーザ
光は、測定対象53である吸光物質含む散乱溶媒の中に
入り、この測定対象53から出てきた散乱光は、光検出
器55によって、電気信号に変えられる。この光検出器
55により変換された電気信号は、ディジタル相関器5
7に入り、ここで自己相関関数(グラフ)が求められ
る。このディジタル相関器57より得られた自己相関関
数(グラフ)を基に、このディジタル相関器57に接続
されているコンピュータ59により数値処理が行われ、
シフト量が算出される。そして、最終的に吸光物質の濃
度が求められる。
【0045】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例を示し、本発明
をさらに詳細に説明する。
【0046】(実施例1)本発明の散乱媒質中における
吸光物質の濃度測定方法を適用して、高濃度イントラリ
ピッド(静脈注射用脂肪乳剤)溶液中の硫酸銅の濃度を
測定する実験を行った。
【0047】散乱媒質として、イントラリピッド(静脈
注射用脂肪乳剤)2%溶液を選定した。この溶液はこの
濃度で、光を多重散乱することは、すでに実験的に確認
されている。すなわち、この溶液は検出側の偏光子の角
度を変化させても、散乱光強度に変化が生じなかった。
吸光物質として、上記の散乱媒質と相互作用をしない硫
酸銅を選定した。
【0048】上記イントラリピッド(静脈注射用脂肪乳
剤)2%溶液を7つ用意し、1つは上記イントラリピッ
ド(静脈注射用脂肪乳剤)2%溶液そのものとし、他の
6つには、所定量の硫酸銅を、それぞれ加えて6種類の
硫酸銅含有イントラリピッド(静脈注射用脂肪乳剤)溶
液を作成した。
【0049】まず、最初に、硫酸銅を含有しないイント
ラリピッド(静脈注射用脂肪乳剤)2%溶液そのものの
自己相関関数を測定した。用いた連続発振のレーザ光
は、連続発振のチタンサファイヤレーザ(波長750n
m、出力30mW)を用いた。測定結果が、図6のグラ
フに示される。曲線Y0 がそれに相当する。同様にして
6種類の硫酸銅含有イントラリピッド(静脈注射用脂肪
乳剤)溶液の自己相関関数を測定した。その結果が、図
6のグラフに示される。ここでは、曲線を図面上、わか
りやすく表示するために、硫酸銅含有のものは3つのも
のしか表示していない(残り3本は図面上省略してあ
る)。
【0050】次いで、硫酸銅を含有しないサンプルの自
己相関関数を基準に、6種類の未知の濃度の硫酸銅含有
サンプルの自己相関関数の時間シフトをそれぞれ求め
た。
【0051】結果を図7のグラフに示した。図7におけ
る各プロット点(6点)がデータ点であり、縦軸の左側
がタイムシフト量を示しており、縦軸の右側が求めたタ
イムシフト量からτ0* (=0.272ms・cm)
を用いて吸光係数μa に換算した値である。この直線か
ら求められた硫酸銅のモル吸光係数は、10.5±0.
2cm-1(mol/l)-1であった。これは、すでに得
られている文献値の硫酸銅のモル吸光係数10.4cm
-1(mol/l)-1と極めて精度良く一致した。
【0052】(実施例2)本発明の散乱媒質中における
吸光物質の濃度測定方法を適用して、高濃度酵母菌のVi
ability (生死率)を測定した。
【0053】本来酵母菌のViability は、色素による染
色の度合で計測できる。酵母の場合、色素としてのメチ
レンブルー(青色)が用いられる。生きている酵母菌
は、その還元力により、色素を無色にする。そのため、
顕微鏡下で染色された酵母菌(死酵母)と染色されない
酵母菌(生酵母)の数を目視で計測すれば、Viability
が求められる。しかしながら従来のこの方法では、毎回
顕微鏡下で、計数しなければならないため非常に労力を
要していた。
【0054】本実施例では、高濃度の酵母菌を散乱媒質
と考え、その中で染色された酵母菌を吸光物質と考え
る。Viability 100%の酵母菌(すべて生きている)
溶液は、染色されないため溶質中の吸光物質は存在しな
い。それに対してViability 0%の酵母菌(すべて死ん
でいる)溶液は、すべてが吸光物質となる。この中間の
Viability では、中間の濃度の吸光物質が存在すること
になる。
【0055】そこで、Viability を測定したい高濃度の
酵母菌を用意し、適量のメチレンブルー溶液を添加す
る。溶液中に残留したメチレンブルーを取り除くために
サンプルを水洗した。このサンプルを装置のサンプルの
ところへ設置し、上記の実施例1の手法に従い、実験を
行ったところ、散乱媒質中での吸光物質の濃度(=染色
された酵母菌の数)が上記の実施例1と同様に測定で
き、この酵母菌のViability が、従来法の目視にて計測
されたそれと精度良く一致することが確認された。
【0056】(実施例3)本発明の2つの波長の連続発
振のレーザ光を用いる吸光物質の濃度測定方法を適用し
て、高濃度イントラリピッド(静脈注射用脂肪乳剤)溶
液中の硫酸銅の濃度を測定する実験を行った。
【0057】散乱媒質として、イントラリピッド(静脈
注射用脂肪乳剤)2%溶液を選定した。
【0058】上記イントラリピッド(静脈注射用脂肪乳
剤)2%溶液に、所定量の硫酸銅を、加えてモル濃度が
既知の硫酸銅含有イントラリピッド(静脈注射用脂肪乳
剤)溶液サンプルを作成した。
【0059】このサンプルに対して、波長741nmと
波長750nmのレーザ光をそれぞれ照射し、それぞれ
の波長における自己相関関数を測定した。これを用いて
両者のタイムシフト量△αを求め、最終的に、モル濃度
Vを求めた結果、実際の既知の濃度との差は±3%以内
にあり、良好な結果が得られた。
【0060】
【発明の効果】上記の結果より本発明の効果は明らかで
ある。すなわち、本発明は安価でかつ取扱いが簡単であ
る連続発振レーザを用いて、自己相関関数を測定し、タ
イムシフト量を求めるという画期的な手法を用いている
ために、安価かつ簡易に散乱媒質中における吸光物質の
濃度を測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】自己相関関数を測定するための演算処理装置の
一例を示す図である。
【図2】自己相関関数、すなわち自己相関とタイムシフ
トとの関係を示すグラフである。
【図3】タイムシフト量を求めるに際しての基本的な考
え方を説明するためのグラフである。
【図4】自己相関関数、すなわち自己相関とタイムシフ
トとの関係を示すグラフである。
【図5】吸光物質の濃度測定方法に用いられる装置の概
略構成(特に、主要な機器)を説明するための図であ
る。
【図6】実施例1により測定された自己相関関数を表す
グラフである。
【図7】実施例1の実験結果を説明するための図であ
る。
【符号の説明】
51…レーザ光照射装置 53…濃度の測定対象 55…光検出器

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 吸光物質を含まない散乱媒質、および吸
    光物質を含む散乱媒質をそれぞれ準備し、 吸光物質を含まない散乱媒質に、波長λの連続発振のレ
    ーザ光を照射し、吸光物質を含まない散乱媒質からの電
    場の自己相関関数を測定し、 吸光物質を含む散乱媒質に、波長λの連続発振のレーザ
    光を照射し、吸光物質を含む散乱媒質からの電場の自己
    相関関数を測定し、 これらの2つの自己相関関数を用いて、両者のタイムシ
    フト量α(=τ0*μa /2)を求め、 このタイムシフト量、ならびに波長λにおける散乱媒質
    の物性値である特性相関時間τ0 および輸送平均自由距
    離l* を用いて、吸光係数μa を求めることにより吸光
    物質の濃度を測定する散乱媒質中における吸光物質の濃
    度測定方法。
  2. 【請求項2】 吸光物質を含む散乱媒質を準備し、 この吸光物質を含む散乱媒質に、波長λ1 の連続発振の
    レーザ光を照射し、吸光物質を含む散乱媒質からの電場
    の自己相関関数を測定し、 この吸光物質を含む散乱媒質に、前記波長λ1 とは異な
    る波長λ2 の連続発振のレーザ光を照射し、吸光物質を
    含む散乱媒質からの電場の自己相関関数を測定し、 これらの2つの自己相関関数を用いて、両者のタイムシ
    フト量△α(=τ0* △μa /2)を求め、 このタイムシフト量、ならびに波長λ1 又は波長λ2
    おける散乱媒質の物性値である特性相関時間τ0 および
    輸送平均自由距離l* を用いて、差吸光係数吸△μa
    求めることにより吸光物質の濃度を測定する散乱媒質中
    における吸光物質の濃度測定方法。
JP7203899A 1995-07-18 1995-07-18 散乱媒質中における吸光物質の濃度測定方法 Pending JPH0933433A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2011046005A1 (ja) * 2009-10-14 2011-04-21 興和株式会社 分子組成測定方法及び装置
US10690593B2 (en) 2015-11-13 2020-06-23 Horiba, Ltd. Sample analyzer and recording medium recording sample analysis program

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